予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
令和四年三月八日(火曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
三月七日
辞任 補欠選任
青山 繁晴君 中西 哲君
上野 通子君 竹内 功君
片山さつき君 朝日健太郎君
藤木 眞也君 小野田紀美君
丸川 珠代君 猪口 邦子君
宮島 喜文君 滝沢 求君
浅田 均君 柳ヶ瀬裕文君
倉林 明子君 大門実紀史君
武田 良介君 小池 晃君
三月八日
辞任 補欠選任
小川 克巳君 本田 顕子君
滝波 宏文君 松川 るい君
高橋 光男君 矢倉 克夫君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 山本 順三君
理 事
こやり隆史君
藤川 政人君
堀井 巌君
山下 雄平君
白 眞勲君
森本 真治君
杉 久武君
片山 大介君
山添 拓君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
岡田 広君
佐藤 正久君
自見はなこ君
進藤金日子君
滝沢 求君
竹内 功君
中西 哲君
比嘉奈津美君
本田 顕子君
松川 るい君
三木 亨君
森屋 宏君
和田 政宗君
石垣のりこ君
打越さく良君
熊谷 裕人君
小西 洋之君
田島麻衣子君
福島みずほ君
森屋 隆君
矢倉 克夫君
安江 伸夫君
山本 香苗君
若松 謙維君
礒崎 哲史君
田村 まみ君
浜口 誠君
音喜多 駿君
柳ヶ瀬裕文君
小池 晃君
大門実紀史君
事務局側
常任委員会専門
員 星 正彦君
公述人
慶應義塾大学総
合政策学部教授 中室 牧子君
東京財団政策研
究所研究主幹 森信 茂樹君
公益財団法人笹
川平和財団理事
長 角南 篤君
名古屋大学名誉
教授 松井 芳郎君
国際医療福祉大
学医学部公衆衛
生学教授 和田 耕治君
インターパーク
倉持呼吸器内科
院長 倉持 仁君
─────────────
本日の会議に付した案件
○令和四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
付)
○令和四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
付)
○令和四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────
この発言だけを見る →午前九時開会
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委員の異動
三月七日
辞任 補欠選任
青山 繁晴君 中西 哲君
上野 通子君 竹内 功君
片山さつき君 朝日健太郎君
藤木 眞也君 小野田紀美君
丸川 珠代君 猪口 邦子君
宮島 喜文君 滝沢 求君
浅田 均君 柳ヶ瀬裕文君
倉林 明子君 大門実紀史君
武田 良介君 小池 晃君
三月八日
辞任 補欠選任
小川 克巳君 本田 顕子君
滝波 宏文君 松川 るい君
高橋 光男君 矢倉 克夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 順三君
理 事
こやり隆史君
藤川 政人君
堀井 巌君
山下 雄平君
白 眞勲君
森本 真治君
杉 久武君
片山 大介君
山添 拓君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
岡田 広君
佐藤 正久君
自見はなこ君
進藤金日子君
滝沢 求君
竹内 功君
中西 哲君
比嘉奈津美君
本田 顕子君
松川 るい君
三木 亨君
森屋 宏君
和田 政宗君
石垣のりこ君
打越さく良君
熊谷 裕人君
小西 洋之君
田島麻衣子君
福島みずほ君
森屋 隆君
矢倉 克夫君
安江 伸夫君
山本 香苗君
若松 謙維君
礒崎 哲史君
田村 まみ君
浜口 誠君
音喜多 駿君
柳ヶ瀬裕文君
小池 晃君
大門実紀史君
事務局側
常任委員会専門
員 星 正彦君
公述人
慶應義塾大学総
合政策学部教授 中室 牧子君
東京財団政策研
究所研究主幹 森信 茂樹君
公益財団法人笹
川平和財団理事
長 角南 篤君
名古屋大学名誉
教授 松井 芳郎君
国際医療福祉大
学医学部公衆衛
生学教授 和田 耕治君
インターパーク
倉持呼吸器内科
院長 倉持 仁君
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本日の会議に付した案件
○令和四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
付)
○令和四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
付)
○令和四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────
山
山本順三#1
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
本日は、令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
本日は、令和四年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、経済・財政について、公述人慶應義塾大学総合政策学部教授中室牧子さん及び東京財団政策研究所研究主幹森信茂樹君から順次御意見を伺います。
まず、中室公述人にお願いいたします。中室公述人、どうぞ。
この発言だけを見る →本日は、令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
本日は、令和四年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、経済・財政について、公述人慶應義塾大学総合政策学部教授中室牧子さん及び東京財団政策研究所研究主幹森信茂樹君から順次御意見を伺います。
まず、中室公述人にお願いいたします。中室公述人、どうぞ。
中
中室牧子#2
○公述人(中室牧子君) 本日は、公述をさせていただく機会を賜り、誠にありがとうございます。
経済財政運営に関して、中でもとりわけ人への投資の効果をどう高めるかという観点で、私の専門であります教育経済学の研究成果に基づいてお話をさせていただきます。
資料の一ページ目、こちらを御覧ください。
これは、二〇二〇年に経済学の最も権威ある国際学術誌の一つであるクオータリー・ジャーナル・オブ・エコノミクスに掲載された論文の図表であります。
これは、過去五十年間にアメリカで行われた百三十三の公共政策の費用対効果を算出したものです。縦軸に費用対効果、横軸に政策の対象となる個人の平均的な年齢を取ったグラフです。費用対効果の高い政策は左側の上部、すなわち政策の受益者の年齢が低いときに行われているものに集中していることが分かります。公共政策は当然、社会保障、職業訓練、現金給付など多岐にわたりますけれども、その中で最も費用対効果が高いのは子供の教育と健康への投資であるということになります。この論文では、子供の教育や健康への投資を行った政府の政策の多くは、子供が大人になった後の税収の増加や社会保障費の削減によって初期の支出を回収できていることも示されています。
しかし、子供の教育や健康について行われる支出であったとすればどのようなものでも費用対効果が高いというわけではありません。経済学では需要と供給の理論を用いて多くの経済現象を説明します。教育についても例外ではありません。
このため、私たちは、教育政策には教育の需要を喚起するような刺激策や再分配政策と教育の質を高めるような供給側への投資というものを分けて考えます。教育需要を喚起するような政策は当然、時として有効なこともあります。例えば、開発途上国で就学率が低い場合に、主に貧困世帯の子供たちの学費を無償化することによって就学率を一気に向上させたというような事例は枚挙にいとまがありません。
しかしながら、このような教育需要を喚起する目的で行われた再分配政策は、子供の学力や学歴に与える影響は一時的で、かつ費用対効果に優れないということを示す研究も少なくありません。今の日本においても、再分配政策が余りうまく機能していない可能性があります。
資料の、こちら三ページの方を御覧ください。
こちらは、兵庫県尼崎市から提供を受けた、市内の保育所に支払われる保育料の分布でございます。一番下にあります緑の分布は二〇〇〇年のもの、一番上の黄色が二〇一五年のものです。これを見ると、二〇〇〇年時点では保育料の利用料はゼロ円のところが最も高くなっているということが分かります。
保育所は、御承知のとおり、児童福祉施設の一つであり、保育料は応能負担となっていますから、二〇〇〇年の時点では経済的に苦しい御家庭における子供の養育を支援する福祉的な役割を担っていたということが分かります。しかし、二〇一五年になってみると、今度は最も保育料の高い家計が多くなっているということが分かります。これは、この十五年の間に保育所の役割が福祉から共働き世帯のサポートへと変化してきたということを意味します。
このような状況で一律に幼児教育の無償化が行われると何が起こるのでしょうか。
二〇一九年十月に開始された幼児教育無償化の支出の多くは高所得世帯への再分配となったと考えられます。同様のことは他の自治体でも生じており、例えば、東京大学の山口慎太郎教授らによれば、神奈川県横浜市では、世帯年収一千百三十万円以上の世帯が幼児教育無償化によって受けた恩恵は一年間で約五十二万円、一方、三百六十万円の世帯では十五万円程度であったということです。
このように世帯の経済状況を把握することなく一律の無償化を行えば、再分配の機能を果たし得ないことが分かります。我が国の財政状況が極めて厳しい中では、高所得世帯ほど手厚い再分配を受けるということは国民の理解を得られないものというふうに考えます。
一方、真に必要な人には十分な支援が行われているのかというと、この点にも疑問が残ります。
資料の、こちら四ページの方を御覧ください。
これは、私の研究室でNPO法人カタリバとともにコロナ禍における経済困窮家庭の小中高生を対象にした調査の結果です。これを見ると、経済困窮以外の問題を同時に抱える世帯が実に全体の四〇・二%に上っています。経済困窮に加えて、一九%が発達障害、七%に身体障害があり、一三%が不登校となっています。このように複数の問題が同時に生じると一気に困難な状況に陥ります。
例えばですが、一人親で経済的に困窮しているというのに、学齢の小さい子供が不登校になり学校に通わなくなってしまったら、親は昼間、子供を一人に置いたまま就労することは難しいでしょう。しかし、発達障害や身体障害は保健部局、不登校は教育委員会、経済困窮は福祉部局の担当であり、行政の縦割りによって保健、教育、福祉の所管横断的な情報共有が妨げられ、重層的な課題を抱える子供に対する支援が十分に行われているとは言えません。
この結果、私たちの分析では、この四ページで示されているとおりですけれども、複数の課題を抱えている世帯の子供というのは、経済困窮のみの世帯の子供と比較すると、学力や非認知能力、問題行動などの面において不利になっていることが分かります。そもそも経済困窮世帯の子供たちは、そうでない世帯の子供たちと比較すると様々な面で不利になっているにもかかわらず、それよりももっと不利になっているということが分かるわけです。
以上のようなことを踏まえますと、私たちは、高所得世帯ほど恩恵があるような再分配を行ったり、あるいは縦割り行政によって真に支援の必要な子供に対して十分な支援が行われていないというような状況を改めなければなりません。必要な人に必要なだけの支援を迅速に届けるということが必要です。
五ページの方を、こちら御覧ください。
このことを実現するために今アメリカで起こっている新たな動きが参考になります。ノーベル経済学賞の最右翼とみなされているハーバード大学のラージ・チェティらの研究グループ、オポチュニティーインサイツがCOVID―19の影響を計測することを目的に開発したエコノミックトラッカーという仕組みがあります。
これは、複数の民間企業から匿名化されたデータの提供を受け、個人消費、雇用、売上げなどに関する日次のデータを用いてリアルタイムに経済状況を把握することができるようになっています。これらを目的に応じて公的統計や行政記録と照合し、分析を行っています。
この皆さんに見ていただいております五ページの図表というのは、バイデン政権下で行われた現金給付の効果を明らかにするために行われた分析です。緑のグラフ、こちらはバイデン政権下で行われた一回目の現金給付の効果になっています。御承知のとおり、バイデン政権では三回にわたり現金給付が行われており、二〇二〇年三月にまず一回目、千二百ドルの支給を決定し、同年十二月に六百ドルの追加給付が決定しています。
チェティ教授らの研究グループは、クレジットカードの支出データを分析をして、この緑のラインで表されている一回目の給付が行われた直後にほとんど全ての所得階層で消費が増加しているということを明らかにしています。しかし、オレンジのバー、二回目の現金給付が届き始めた頃、七・八万ドルを超える高収入の家計はほとんど支出を変化させていません。同時に、雇用のデータを使って、二回目の現金給付が行われる頃には高所得世帯の雇用状況というのはV字回復していて、ほとんどCOVID―19の悪影響から脱出したということも示しています。この分析は、アメリカで行われた三回目の、この後行われた三回目の現金給付で、八万ドル以上の家計は支出対象外として所得制限を設ける根拠となったというふうに言われています。
このように、例えばCOVID―19のようなショックが、いつ、誰に、どのような影響をもたらしたのかということを詳細に分析し、次の打ち手に生かすデータ掛ける政策の動きが加速をしています。データが蓄積されれば、単なる所得によって支援を受けるかどうかの線引きをするだけではなく、雇用状況や家族構成にも配慮した必要な支援を届けることができるようになるでしょう。
子供や保護者のプライバシーに配慮して個人情報保護法を遵守しつつも、様々なデータの連携をすることで、子供に対する支援にもメリットがあります。
第一に、データによって複数の困難を抱える子供を特定して、必要な支援をプッシュ型で迅速に行うことができるようになるということです。申請手続が面倒くさいと、貧困世帯の成績優秀な高校生が大学に進学するための出願書類を出すことを諦めてしまうという有名な研究がありますから、このようなことが起きないよう、行政が国民側からの申請を待つのではなく、能動的に支援を届けるプッシュ型の支援というのは非常に重要です。
また、予防的な介入を行うことも重要です。例えば、母親のストレスホルモンであるコルチゾールの上昇にさらされた胎児は、生まれた後の健康や学歴に悪影響があるということを示した研究があります。学歴の低い母親ほど妊娠中のコルチゾールのレベルが高く、貧困の世代間連鎖に影響している可能性があります。子供が生まれてからではなく、生まれる前から、貧困状態にある母親への支援を行うことの重要性が示唆されます。
多くの研究が、予防的な介入は、問題が生じた後の政策介入よりも効果が大きく、コストが小さいことを示しています。加えて、虐待、自殺など、放置すれば生命の危険に及ぶ異変を速やかに察知し、介入を行うことも重要でしょう。
我が国でこうした動きを加速するため、私自身も非常勤でデジタルエデュケーション統括として関わるデジタル庁では、子供に関する各種データの連携による支援実証事業において、個人情報保護条例を遵守した上で、自治体とともに保健、教育、福祉などの所管を超えたデータ連携の実証事業を開始します。令和五年度以降は、創設が予定されるこども家庭庁の司令塔機能の下で、ニーズに応じたプッシュ型の支援につなげていきます。
人への投資をより効果的にするため、データを活用した効果的な政策を実施していただきたいというふうに思います。
最後に、一つ強調したいことがあります。六ページの方を御覧ください。
こちらは、先ほど、教育需要を喚起するために再分配政策は費用対効果に優れないということを申し上げましたが、一方で、教育の質を高める供給サイドへの投資は費用対効果に優れていることを示す研究は多くあります。
これについて、我が国では、教育の質の担保を目的として、例えば保育所設置認可に代表されるような事前の規制というものが非常に重視されてきました。設置認可においては、施設の面積や保育士の数などが細かく規定され、それを満たしていないと設置が認可されません。しかし、一旦認可を受けると、その後の事後的な評価というのはほとんど行われません。その結果、育ち盛りの園児にスプーン一杯しか御飯を与えなかったという認定こども園に批判が集まったことは記憶に新しいところです。
どう考えても、入口の規制よりも出口における質保証に力を注ぐべきです。これは、幼児教育のみならず、我が国の全ての教育段階で同じことが言えると思いますが、ここでは具体的に幼児教育のデータを用いて説明します。
当然、自治体において保育の質を高める取組は様々に行われていますが、その一つである第三者評価の結果を見てみると、ほぼ横並びという結果になっているものが少なくありません。
この六ページの一番上の図表を御覧ください。
これは、関東のある自治体の全認可保育所の第三者評価の結果ですが、ほとんど保育所間の差は見られないという結果になっています。本当に保育の質に差はないのでしょうか。
下の左側の図を御覧ください。
これは、私たちの研究グループが、全く同じ自治体で全く同じ年に発達心理学分野で開発された保育環境評価スケールという指標を用いて、トレーニングを受けた調査員が保育所の観察調査の中で約四百五十程度の項目を評価した指標です。これを見ると、保育所によってかなり大きなばらつきがあるということが分かります。
そして、下の右の方の図を御覧ください。
これは、関東の別の自治体で三年にわたって認可保育所の保育の質の評価を行ったものです。そうすると、保育所間はもちろんのこと、年によってもばらつきがあるということが分かります。同じ自治体から認可を受けた保育所で同じ保育料が設定されているにもかかわらず、保育所によって質に差があるばかりか、入園した年によっても差があるという状況になってしまっているのです。
アメリカやイギリス、ニュージーランドでは、私たちがここで用いたような学術的に妥当な指標に基づいて幼児教育の質をモニタリングする政府機関があり、全国規模で幼児教育の質を向上させる取組を行っています。我が国においても同様の取組を行うことが急がれます。
経済学では、二〇〇〇年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンらの研究業績を中心に、質の高い幼児教育が子供たちの将来の成果にプラスの影響を及ぼすことを明らかにした研究もあります。一方で、カナダのケベック州で実施された保育料の大幅な値下げの後、子供たちの発達や学力、行動に悪影響があったということを示す研究もあります。
教育、特に幼児教育は、その質が高かった場合、プラスの効果が長期にわたって持続すると言えますが、逆に質が低かった場合、そのマイナスの効果も長期にわたって持続をします。この意味においては、私たちが人への投資の効果を高めるために何よりも注力すべきは教育の質の向上だというふうに思います。
七ページ目は、本日のまとめになります。
御清聴どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →経済財政運営に関して、中でもとりわけ人への投資の効果をどう高めるかという観点で、私の専門であります教育経済学の研究成果に基づいてお話をさせていただきます。
資料の一ページ目、こちらを御覧ください。
これは、二〇二〇年に経済学の最も権威ある国際学術誌の一つであるクオータリー・ジャーナル・オブ・エコノミクスに掲載された論文の図表であります。
これは、過去五十年間にアメリカで行われた百三十三の公共政策の費用対効果を算出したものです。縦軸に費用対効果、横軸に政策の対象となる個人の平均的な年齢を取ったグラフです。費用対効果の高い政策は左側の上部、すなわち政策の受益者の年齢が低いときに行われているものに集中していることが分かります。公共政策は当然、社会保障、職業訓練、現金給付など多岐にわたりますけれども、その中で最も費用対効果が高いのは子供の教育と健康への投資であるということになります。この論文では、子供の教育や健康への投資を行った政府の政策の多くは、子供が大人になった後の税収の増加や社会保障費の削減によって初期の支出を回収できていることも示されています。
しかし、子供の教育や健康について行われる支出であったとすればどのようなものでも費用対効果が高いというわけではありません。経済学では需要と供給の理論を用いて多くの経済現象を説明します。教育についても例外ではありません。
このため、私たちは、教育政策には教育の需要を喚起するような刺激策や再分配政策と教育の質を高めるような供給側への投資というものを分けて考えます。教育需要を喚起するような政策は当然、時として有効なこともあります。例えば、開発途上国で就学率が低い場合に、主に貧困世帯の子供たちの学費を無償化することによって就学率を一気に向上させたというような事例は枚挙にいとまがありません。
しかしながら、このような教育需要を喚起する目的で行われた再分配政策は、子供の学力や学歴に与える影響は一時的で、かつ費用対効果に優れないということを示す研究も少なくありません。今の日本においても、再分配政策が余りうまく機能していない可能性があります。
資料の、こちら三ページの方を御覧ください。
こちらは、兵庫県尼崎市から提供を受けた、市内の保育所に支払われる保育料の分布でございます。一番下にあります緑の分布は二〇〇〇年のもの、一番上の黄色が二〇一五年のものです。これを見ると、二〇〇〇年時点では保育料の利用料はゼロ円のところが最も高くなっているということが分かります。
保育所は、御承知のとおり、児童福祉施設の一つであり、保育料は応能負担となっていますから、二〇〇〇年の時点では経済的に苦しい御家庭における子供の養育を支援する福祉的な役割を担っていたということが分かります。しかし、二〇一五年になってみると、今度は最も保育料の高い家計が多くなっているということが分かります。これは、この十五年の間に保育所の役割が福祉から共働き世帯のサポートへと変化してきたということを意味します。
このような状況で一律に幼児教育の無償化が行われると何が起こるのでしょうか。
二〇一九年十月に開始された幼児教育無償化の支出の多くは高所得世帯への再分配となったと考えられます。同様のことは他の自治体でも生じており、例えば、東京大学の山口慎太郎教授らによれば、神奈川県横浜市では、世帯年収一千百三十万円以上の世帯が幼児教育無償化によって受けた恩恵は一年間で約五十二万円、一方、三百六十万円の世帯では十五万円程度であったということです。
このように世帯の経済状況を把握することなく一律の無償化を行えば、再分配の機能を果たし得ないことが分かります。我が国の財政状況が極めて厳しい中では、高所得世帯ほど手厚い再分配を受けるということは国民の理解を得られないものというふうに考えます。
一方、真に必要な人には十分な支援が行われているのかというと、この点にも疑問が残ります。
資料の、こちら四ページの方を御覧ください。
これは、私の研究室でNPO法人カタリバとともにコロナ禍における経済困窮家庭の小中高生を対象にした調査の結果です。これを見ると、経済困窮以外の問題を同時に抱える世帯が実に全体の四〇・二%に上っています。経済困窮に加えて、一九%が発達障害、七%に身体障害があり、一三%が不登校となっています。このように複数の問題が同時に生じると一気に困難な状況に陥ります。
例えばですが、一人親で経済的に困窮しているというのに、学齢の小さい子供が不登校になり学校に通わなくなってしまったら、親は昼間、子供を一人に置いたまま就労することは難しいでしょう。しかし、発達障害や身体障害は保健部局、不登校は教育委員会、経済困窮は福祉部局の担当であり、行政の縦割りによって保健、教育、福祉の所管横断的な情報共有が妨げられ、重層的な課題を抱える子供に対する支援が十分に行われているとは言えません。
この結果、私たちの分析では、この四ページで示されているとおりですけれども、複数の課題を抱えている世帯の子供というのは、経済困窮のみの世帯の子供と比較すると、学力や非認知能力、問題行動などの面において不利になっていることが分かります。そもそも経済困窮世帯の子供たちは、そうでない世帯の子供たちと比較すると様々な面で不利になっているにもかかわらず、それよりももっと不利になっているということが分かるわけです。
以上のようなことを踏まえますと、私たちは、高所得世帯ほど恩恵があるような再分配を行ったり、あるいは縦割り行政によって真に支援の必要な子供に対して十分な支援が行われていないというような状況を改めなければなりません。必要な人に必要なだけの支援を迅速に届けるということが必要です。
五ページの方を、こちら御覧ください。
このことを実現するために今アメリカで起こっている新たな動きが参考になります。ノーベル経済学賞の最右翼とみなされているハーバード大学のラージ・チェティらの研究グループ、オポチュニティーインサイツがCOVID―19の影響を計測することを目的に開発したエコノミックトラッカーという仕組みがあります。
これは、複数の民間企業から匿名化されたデータの提供を受け、個人消費、雇用、売上げなどに関する日次のデータを用いてリアルタイムに経済状況を把握することができるようになっています。これらを目的に応じて公的統計や行政記録と照合し、分析を行っています。
この皆さんに見ていただいております五ページの図表というのは、バイデン政権下で行われた現金給付の効果を明らかにするために行われた分析です。緑のグラフ、こちらはバイデン政権下で行われた一回目の現金給付の効果になっています。御承知のとおり、バイデン政権では三回にわたり現金給付が行われており、二〇二〇年三月にまず一回目、千二百ドルの支給を決定し、同年十二月に六百ドルの追加給付が決定しています。
チェティ教授らの研究グループは、クレジットカードの支出データを分析をして、この緑のラインで表されている一回目の給付が行われた直後にほとんど全ての所得階層で消費が増加しているということを明らかにしています。しかし、オレンジのバー、二回目の現金給付が届き始めた頃、七・八万ドルを超える高収入の家計はほとんど支出を変化させていません。同時に、雇用のデータを使って、二回目の現金給付が行われる頃には高所得世帯の雇用状況というのはV字回復していて、ほとんどCOVID―19の悪影響から脱出したということも示しています。この分析は、アメリカで行われた三回目の、この後行われた三回目の現金給付で、八万ドル以上の家計は支出対象外として所得制限を設ける根拠となったというふうに言われています。
このように、例えばCOVID―19のようなショックが、いつ、誰に、どのような影響をもたらしたのかということを詳細に分析し、次の打ち手に生かすデータ掛ける政策の動きが加速をしています。データが蓄積されれば、単なる所得によって支援を受けるかどうかの線引きをするだけではなく、雇用状況や家族構成にも配慮した必要な支援を届けることができるようになるでしょう。
子供や保護者のプライバシーに配慮して個人情報保護法を遵守しつつも、様々なデータの連携をすることで、子供に対する支援にもメリットがあります。
第一に、データによって複数の困難を抱える子供を特定して、必要な支援をプッシュ型で迅速に行うことができるようになるということです。申請手続が面倒くさいと、貧困世帯の成績優秀な高校生が大学に進学するための出願書類を出すことを諦めてしまうという有名な研究がありますから、このようなことが起きないよう、行政が国民側からの申請を待つのではなく、能動的に支援を届けるプッシュ型の支援というのは非常に重要です。
また、予防的な介入を行うことも重要です。例えば、母親のストレスホルモンであるコルチゾールの上昇にさらされた胎児は、生まれた後の健康や学歴に悪影響があるということを示した研究があります。学歴の低い母親ほど妊娠中のコルチゾールのレベルが高く、貧困の世代間連鎖に影響している可能性があります。子供が生まれてからではなく、生まれる前から、貧困状態にある母親への支援を行うことの重要性が示唆されます。
多くの研究が、予防的な介入は、問題が生じた後の政策介入よりも効果が大きく、コストが小さいことを示しています。加えて、虐待、自殺など、放置すれば生命の危険に及ぶ異変を速やかに察知し、介入を行うことも重要でしょう。
我が国でこうした動きを加速するため、私自身も非常勤でデジタルエデュケーション統括として関わるデジタル庁では、子供に関する各種データの連携による支援実証事業において、個人情報保護条例を遵守した上で、自治体とともに保健、教育、福祉などの所管を超えたデータ連携の実証事業を開始します。令和五年度以降は、創設が予定されるこども家庭庁の司令塔機能の下で、ニーズに応じたプッシュ型の支援につなげていきます。
人への投資をより効果的にするため、データを活用した効果的な政策を実施していただきたいというふうに思います。
最後に、一つ強調したいことがあります。六ページの方を御覧ください。
こちらは、先ほど、教育需要を喚起するために再分配政策は費用対効果に優れないということを申し上げましたが、一方で、教育の質を高める供給サイドへの投資は費用対効果に優れていることを示す研究は多くあります。
これについて、我が国では、教育の質の担保を目的として、例えば保育所設置認可に代表されるような事前の規制というものが非常に重視されてきました。設置認可においては、施設の面積や保育士の数などが細かく規定され、それを満たしていないと設置が認可されません。しかし、一旦認可を受けると、その後の事後的な評価というのはほとんど行われません。その結果、育ち盛りの園児にスプーン一杯しか御飯を与えなかったという認定こども園に批判が集まったことは記憶に新しいところです。
どう考えても、入口の規制よりも出口における質保証に力を注ぐべきです。これは、幼児教育のみならず、我が国の全ての教育段階で同じことが言えると思いますが、ここでは具体的に幼児教育のデータを用いて説明します。
当然、自治体において保育の質を高める取組は様々に行われていますが、その一つである第三者評価の結果を見てみると、ほぼ横並びという結果になっているものが少なくありません。
この六ページの一番上の図表を御覧ください。
これは、関東のある自治体の全認可保育所の第三者評価の結果ですが、ほとんど保育所間の差は見られないという結果になっています。本当に保育の質に差はないのでしょうか。
下の左側の図を御覧ください。
これは、私たちの研究グループが、全く同じ自治体で全く同じ年に発達心理学分野で開発された保育環境評価スケールという指標を用いて、トレーニングを受けた調査員が保育所の観察調査の中で約四百五十程度の項目を評価した指標です。これを見ると、保育所によってかなり大きなばらつきがあるということが分かります。
そして、下の右の方の図を御覧ください。
これは、関東の別の自治体で三年にわたって認可保育所の保育の質の評価を行ったものです。そうすると、保育所間はもちろんのこと、年によってもばらつきがあるということが分かります。同じ自治体から認可を受けた保育所で同じ保育料が設定されているにもかかわらず、保育所によって質に差があるばかりか、入園した年によっても差があるという状況になってしまっているのです。
アメリカやイギリス、ニュージーランドでは、私たちがここで用いたような学術的に妥当な指標に基づいて幼児教育の質をモニタリングする政府機関があり、全国規模で幼児教育の質を向上させる取組を行っています。我が国においても同様の取組を行うことが急がれます。
経済学では、二〇〇〇年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンらの研究業績を中心に、質の高い幼児教育が子供たちの将来の成果にプラスの影響を及ぼすことを明らかにした研究もあります。一方で、カナダのケベック州で実施された保育料の大幅な値下げの後、子供たちの発達や学力、行動に悪影響があったということを示す研究もあります。
教育、特に幼児教育は、その質が高かった場合、プラスの効果が長期にわたって持続すると言えますが、逆に質が低かった場合、そのマイナスの効果も長期にわたって持続をします。この意味においては、私たちが人への投資の効果を高めるために何よりも注力すべきは教育の質の向上だというふうに思います。
七ページ目は、本日のまとめになります。
御清聴どうもありがとうございました。
山
森
森信茂樹#4
○公述人(森信茂樹君) 皆さん、おはようございます。東京財団政策研究所の森信でございます。
私からは、我が国の経済財政の課題として、経済の現状認識、必要な政策、財政に関する見方の三点をお話しさせていただきたいと思います。
最初に、我が国経済の現状認識です。
図の三ページをお開きいただきたいんですが、この三ページの図は、総務省の家計調査、二人以上世帯で、我が国の所得と資産の分布の変化をアベノミクス期以前とアベノミクス期に分けて比較したものです。
これを見ますと、黒塗りのアベノミクス期には、四百万円から七百万円の収入階級の分布が、これ減少しております。一方、七百万円超と三百万円以下の収入階級が増加しており、中間層が二極化したことが明確に見て取れます。
それから、次の四ページの図ですが、これは貯蓄残高、資産の変化で、これを見ましても、中間層の割合が減少し、右と左に二極化していることが見て取れます。さらに、オレンジ色の部分ですが、これはコロナ禍の時期です。これは、二極化の動きが加速しているというふうに考えております。
以上のことは、これは私の認識ですが、アベノミクスの描いたトリクルダウンというストーリー、つまり、政府が円安や金融緩和により大企業の業績を改善させれば、その成果が市場メカニズムに沿って中小企業や国民全体に及んでいくということが生じなかったことを示していると言えましょう。民間や市場メカニズムに任せただけでは国民全体の格差は是正できないということでもあります。
一方で、安倍政権は八年に及ぶ長期政権となり、若い世代を中心として国民の支持率もそれなりに高いものがありました。アベノミクスによるトリクルダウンが機能せず、中間層の二極化が生じたにもかかわらず長期政権となったことには、それなりの理由があったと考えております。
それは、アベノミクスの持つもう一つの側面で、私が意図せざるリベラル策と呼んでいるものでございます。安倍政権は、二度延期しながらも消費税率を八%、一〇%と引き上げ、十数兆円の財源を活用して、子ども・子育て支援や幼児教育の無償化、待機児童解消などを進め、高齢者に偏っていた社会保障を全世代型に切り替えました。
大和総研の研究成果で、三十代四人世帯の実質可処分所得が、二〇一九年から施行された幼児教育無償化の恩恵が二度の増税による可処分所得の減少を上回り、増加したという分析があります。
このような社会保障の政策転換が子育て世帯を中心として安倍政権への評価につながったというふうに考えておりまして、それが長期政権を続けることができた原因であったというふうにも捉えております。
以上から言えることですが、トリクルダウン、つまり、企業行動や市場メカニズムに任せただけの分配の効果は低いということ、一方で、国家が自らの権能である税制や社会保障を見直す再分配を行っていくことが重要だということです。
我が国経済がいまだデフレ脱却できずにもがいている最大の原因は、個人消費の低迷にあります。国民の間には医療、年金、介護、子ども・子育てなどに対する将来不安が根強く残っており、これが消費者の財布のひもを締めさせ、勤労世代が安心して子供を産まず、少子化につながっています。
この国民の不安を解消するには、信頼のできる社会保障の将来像を示すことだと考えています。賃上げを促進しても、不安がある限り分配と成長の好循環はできないと考えます。先ほどのアベノミクスの事例は、国民は、増税や社会保障負担の増加により国民負担が高まったとしても、それが自分たちに還元され、将来不安やリスクを軽減すると実感すれば負担増を受け入れる素地を持っているということを示しているのではないでしょうか。
次は、国民の安心を高める具体的なセーフティーネットについてお話をしたいと思います。
コロナ禍を機に政府部内でデジタルガバメントに向けた対応が進められています。しかし、デジタルガバメントというのは、行政サービスを効率的、効果的に進めるための手段にすぎません。二〇一六年一月から始まったマイナンバー、この制度の目的は、公平な課税、つまり正確な所得把握とそれを基にした効果的、効率的な社会保障制度の構築、この二つです。この原点に立ち返って、マイナンバー制度を活用したデジタル時代のセーフティーネット、つまりデジタルセーフティーネットを構築することが国民の不安の解消につながると考えております。
働き方改革やコロナ改革で、ネット上のプラットフォームを介して単発の契約で労務やスキルを提供して所得を得るギグワーカーが増加し、ギグエコノミーが広がっています。これは、新たなライフスタイルとして期待される一方で、ギグワーカーなどフリーランスの所得は一般的に不安定です。また、オンライン飲食配達代行サービスの配達人などは、プラットフォーム企業から業務内容について指示を受けるなど労働者と同じ働きをしているにもかかわらず、個人事業者となるので、様々なセーフティーネットから抜け落ちてしまいます。さらに、彼らの収入の管理、記帳は十分でなく、例えば持続化給付金の申請に手間取るなどの問題が生じています。
彼らのセーフティーネットを考えるには、まず収入を正確に把握することが大前提になります。そのためには、業務の発注主や契約を仲介するプラットフォーム企業から労務を提供する者のマイナポータルに収入情報の提供をさせることが必要です。マイナポータルは、e―Taxや社会保障と連携しているので、個人事業者が各種給付金の申請や正確な給付に役立てることが可能になります。
このことを示したのが十一ページの図でございます。
ちょっと十一ページは見にくい図かもしれませんが、真ん中にこの国民全員が保有するマイナポータルが書いてあります。ぴったりサービスとかお知らせとか書いてあります。これは国民の一人一人に設置されているものです。左側に民間のいろんな企業があります。本人の同意に基づき、様々な情報をこの民間の企業から今情報を入手することが可能になっています。この仕組みに、一番左の下に書いてあるんですが、プラットフォーマー、プラットフォーム企業から、そこで働くギグワーカーの収入情報を提供、連動させるようにすれば、このギグワーカーたちの、あるいはフリーランスの税務申告や社会保障の早期受取につながっていくと思います。
さらには、このようなシステムを構築すれば、広く欧米で導入されている給付付き税額控除制度も可能になります。この制度は、税と社会保障を連動させることにより、低所得の勤労者に減税や給付が与えられるもので、労働インセンティブを供与したり、フリーランスの不安定な収入の安定化につながります。
英国では、あらゆる社会保障給付と税負担が一体的に捉えられ、勤労に応じて給付が増加するユニバーサルクレジット制度があり、職業訓練、人的資本の向上策と組み合わされて、人的資本の向上に役に立っております。類似の制度はオランダ、スウェーデンなどの北欧、欧州諸国や韓国にも存在し、低所得者のセーフティーネットになり、またコロナ給付金の早期給付にもつながっております。
是非、我が国でも、デジタルを活用して収入や所得をリアルタイムで把握しつつ、必要な給付に結び付ける制度を検討していただきたいと思っております。国民の将来不安を軽減する大変有効な経済政策というふうに言えましょう。
三番目に、MMTについて申し上げたいと思います。最後に、このMMT、つまり現代貨幣論について私の考え方を述べたいと思います。
MMTは三つのパートに分かれます。第一は、政府と中央銀行の勘定を一体とみなし、財政赤字拡大に伴う国債の増発分は、それに見合う国民の資産増加となるので、公的債務の増加は将来世代の負担にはならないという考え方です。第二に、したがって、自国通貨を発行する権限のある政府は、中央銀行が財政赤字分の国債を買い続けることによって、国民負担なく財政支出が可能になるとし、経済に需給ギャップがある限り、これを埋め合わせる財政出動を行うべきだとしております。第三に、積極財政の歯止めはインフレ懸念で、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減によって対応する、そのルールをあらかじめ決めておけばいいとしています。
金融政策が機能不全になり、デフレ脱却にもがく我が国の現状に対して、財政赤字を気にすることなく、コロナ対応も含めた経済政策の実行を主張する論者や政治家の方々の主張を正当化する文脈で用いられています。
筆者はこのような考え方に対して、インフレ、ワイズスペンディング、国家の信任という三つの観点から疑問を呈しております。
第一点目は、インフレの問題で最大の課題です。我が国財政については財政破綻の危機が言われますが、財政破綻というのはどのような形で発生するのか、定説があるわけではありません。また、日銀が財政赤字をファイナンスをしている状況下では、直ちに財政破綻が生じる可能性は高くないと言えましょう。むしろ、懸念すべき問題は、国の目指す二%をはるかに超えるインフレの発生です。
インフレは、耐えられる富裕層と耐えられない貧困層との格差を拡大し、社会に大きな亀裂を招きます。MMT論者も、財政拡大策の唯一の歯止めはインフレとして、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減により対応する必要がある、あるいはそのための具体策をあらかじめ決めておけばいいとしています。
しかし、あらかじめインフレ懸念が出始めれば財政拡大をやめ、緊縮に向かうということを法律で決めることが現実的でしょうか。事前に決める増税は所得税なのか、消費税なのか、あるいは新税なのか、歳出削減は社会保障か、公共事業か、どの程度の規模なのか、これらの事項を我が国の国会であらかじめ議論し、立法化できるでしょうか。
安倍元首相は、消費税一〇%の引上げの時期をめぐり、法律で実施時期が決まっているにもかかわらず、二度も延期をしております。
また、インフレ懸念が生じたら増税や歳出削減をという主張は、タイムラグを考慮しておりません。
筆者が経験した例ですが、我が国が土地バブル対策として導入した地価税が挙げられます。
高騰する土地価格が社会問題化し、対策の必要性が議論され始めたのが一九八九年で、地価税の導入は九二年、この間、三年が経過しております。導入された九二年には既にバブルが崩壊し、地価は下がり始めており、地価税の対象となる百貨店やホテルなどの経営を更に苦しめる結果となりました。インフレ懸念が生ずれば増税、歳出削減で機動的に対応すればいいというMMT論者の主張は、実現性が低いと思います。
次に、ワイズスペンディングからの問題です。
需給ギャップがある限り、それを埋め合わせる財政追加をすべきということになれば、ワイズスペンディング機能は機能せず、果てしない無駄な政府支出や政府投資が行われ、それが更に経済の停滞の長期化につながるという問題です。
一つだけ例を申し上げますと、投資されたが有効活用されず、維持費だけがかさむ、国の資産価値が、これは資産価値が毀損しているというふうに見ることができまして、したがって、国民の借金は国民の資産だというふうには言えないというふうに私は思います。
最後に、国家、通貨の信認の問題があります。
際限なく国債発行を続ければ、国家に対する信用は落ち、通貨への信頼、信認も消え、国債の買手がいなくなります。国内でファイナンスできるから大丈夫というこのMMTの大前提は崩れてしまいます。二〇二五年には、団塊世代が全て後期高齢者になり、国債を国内の貯蓄でファイナンスする力が大きく衰えてくることも念頭に置く必要があります。財政をめぐる新しい見解としてのMMTは、様々な課題や疑問を抱えています。
一方、米国では潜在GDPを超える膨大な財政支出やエネルギー価格の上昇などから急速な物価上昇が生じており、欧州でもインフレの兆候が見え始めています。
このように見てくると、今必要な経済政策は、インフレにつながるような財政運営を避けつつ、あわせて、国民に受益と負担のリンケージあるいは選択肢を含めた社会保障の将来像を示しつつ、国民の将来不安を軽減させることではないでしょうか。
以上でございます。
この発言だけを見る →私からは、我が国の経済財政の課題として、経済の現状認識、必要な政策、財政に関する見方の三点をお話しさせていただきたいと思います。
最初に、我が国経済の現状認識です。
図の三ページをお開きいただきたいんですが、この三ページの図は、総務省の家計調査、二人以上世帯で、我が国の所得と資産の分布の変化をアベノミクス期以前とアベノミクス期に分けて比較したものです。
これを見ますと、黒塗りのアベノミクス期には、四百万円から七百万円の収入階級の分布が、これ減少しております。一方、七百万円超と三百万円以下の収入階級が増加しており、中間層が二極化したことが明確に見て取れます。
それから、次の四ページの図ですが、これは貯蓄残高、資産の変化で、これを見ましても、中間層の割合が減少し、右と左に二極化していることが見て取れます。さらに、オレンジ色の部分ですが、これはコロナ禍の時期です。これは、二極化の動きが加速しているというふうに考えております。
以上のことは、これは私の認識ですが、アベノミクスの描いたトリクルダウンというストーリー、つまり、政府が円安や金融緩和により大企業の業績を改善させれば、その成果が市場メカニズムに沿って中小企業や国民全体に及んでいくということが生じなかったことを示していると言えましょう。民間や市場メカニズムに任せただけでは国民全体の格差は是正できないということでもあります。
一方で、安倍政権は八年に及ぶ長期政権となり、若い世代を中心として国民の支持率もそれなりに高いものがありました。アベノミクスによるトリクルダウンが機能せず、中間層の二極化が生じたにもかかわらず長期政権となったことには、それなりの理由があったと考えております。
それは、アベノミクスの持つもう一つの側面で、私が意図せざるリベラル策と呼んでいるものでございます。安倍政権は、二度延期しながらも消費税率を八%、一〇%と引き上げ、十数兆円の財源を活用して、子ども・子育て支援や幼児教育の無償化、待機児童解消などを進め、高齢者に偏っていた社会保障を全世代型に切り替えました。
大和総研の研究成果で、三十代四人世帯の実質可処分所得が、二〇一九年から施行された幼児教育無償化の恩恵が二度の増税による可処分所得の減少を上回り、増加したという分析があります。
このような社会保障の政策転換が子育て世帯を中心として安倍政権への評価につながったというふうに考えておりまして、それが長期政権を続けることができた原因であったというふうにも捉えております。
以上から言えることですが、トリクルダウン、つまり、企業行動や市場メカニズムに任せただけの分配の効果は低いということ、一方で、国家が自らの権能である税制や社会保障を見直す再分配を行っていくことが重要だということです。
我が国経済がいまだデフレ脱却できずにもがいている最大の原因は、個人消費の低迷にあります。国民の間には医療、年金、介護、子ども・子育てなどに対する将来不安が根強く残っており、これが消費者の財布のひもを締めさせ、勤労世代が安心して子供を産まず、少子化につながっています。
この国民の不安を解消するには、信頼のできる社会保障の将来像を示すことだと考えています。賃上げを促進しても、不安がある限り分配と成長の好循環はできないと考えます。先ほどのアベノミクスの事例は、国民は、増税や社会保障負担の増加により国民負担が高まったとしても、それが自分たちに還元され、将来不安やリスクを軽減すると実感すれば負担増を受け入れる素地を持っているということを示しているのではないでしょうか。
次は、国民の安心を高める具体的なセーフティーネットについてお話をしたいと思います。
コロナ禍を機に政府部内でデジタルガバメントに向けた対応が進められています。しかし、デジタルガバメントというのは、行政サービスを効率的、効果的に進めるための手段にすぎません。二〇一六年一月から始まったマイナンバー、この制度の目的は、公平な課税、つまり正確な所得把握とそれを基にした効果的、効率的な社会保障制度の構築、この二つです。この原点に立ち返って、マイナンバー制度を活用したデジタル時代のセーフティーネット、つまりデジタルセーフティーネットを構築することが国民の不安の解消につながると考えております。
働き方改革やコロナ改革で、ネット上のプラットフォームを介して単発の契約で労務やスキルを提供して所得を得るギグワーカーが増加し、ギグエコノミーが広がっています。これは、新たなライフスタイルとして期待される一方で、ギグワーカーなどフリーランスの所得は一般的に不安定です。また、オンライン飲食配達代行サービスの配達人などは、プラットフォーム企業から業務内容について指示を受けるなど労働者と同じ働きをしているにもかかわらず、個人事業者となるので、様々なセーフティーネットから抜け落ちてしまいます。さらに、彼らの収入の管理、記帳は十分でなく、例えば持続化給付金の申請に手間取るなどの問題が生じています。
彼らのセーフティーネットを考えるには、まず収入を正確に把握することが大前提になります。そのためには、業務の発注主や契約を仲介するプラットフォーム企業から労務を提供する者のマイナポータルに収入情報の提供をさせることが必要です。マイナポータルは、e―Taxや社会保障と連携しているので、個人事業者が各種給付金の申請や正確な給付に役立てることが可能になります。
このことを示したのが十一ページの図でございます。
ちょっと十一ページは見にくい図かもしれませんが、真ん中にこの国民全員が保有するマイナポータルが書いてあります。ぴったりサービスとかお知らせとか書いてあります。これは国民の一人一人に設置されているものです。左側に民間のいろんな企業があります。本人の同意に基づき、様々な情報をこの民間の企業から今情報を入手することが可能になっています。この仕組みに、一番左の下に書いてあるんですが、プラットフォーマー、プラットフォーム企業から、そこで働くギグワーカーの収入情報を提供、連動させるようにすれば、このギグワーカーたちの、あるいはフリーランスの税務申告や社会保障の早期受取につながっていくと思います。
さらには、このようなシステムを構築すれば、広く欧米で導入されている給付付き税額控除制度も可能になります。この制度は、税と社会保障を連動させることにより、低所得の勤労者に減税や給付が与えられるもので、労働インセンティブを供与したり、フリーランスの不安定な収入の安定化につながります。
英国では、あらゆる社会保障給付と税負担が一体的に捉えられ、勤労に応じて給付が増加するユニバーサルクレジット制度があり、職業訓練、人的資本の向上策と組み合わされて、人的資本の向上に役に立っております。類似の制度はオランダ、スウェーデンなどの北欧、欧州諸国や韓国にも存在し、低所得者のセーフティーネットになり、またコロナ給付金の早期給付にもつながっております。
是非、我が国でも、デジタルを活用して収入や所得をリアルタイムで把握しつつ、必要な給付に結び付ける制度を検討していただきたいと思っております。国民の将来不安を軽減する大変有効な経済政策というふうに言えましょう。
三番目に、MMTについて申し上げたいと思います。最後に、このMMT、つまり現代貨幣論について私の考え方を述べたいと思います。
MMTは三つのパートに分かれます。第一は、政府と中央銀行の勘定を一体とみなし、財政赤字拡大に伴う国債の増発分は、それに見合う国民の資産増加となるので、公的債務の増加は将来世代の負担にはならないという考え方です。第二に、したがって、自国通貨を発行する権限のある政府は、中央銀行が財政赤字分の国債を買い続けることによって、国民負担なく財政支出が可能になるとし、経済に需給ギャップがある限り、これを埋め合わせる財政出動を行うべきだとしております。第三に、積極財政の歯止めはインフレ懸念で、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減によって対応する、そのルールをあらかじめ決めておけばいいとしています。
金融政策が機能不全になり、デフレ脱却にもがく我が国の現状に対して、財政赤字を気にすることなく、コロナ対応も含めた経済政策の実行を主張する論者や政治家の方々の主張を正当化する文脈で用いられています。
筆者はこのような考え方に対して、インフレ、ワイズスペンディング、国家の信任という三つの観点から疑問を呈しております。
第一点目は、インフレの問題で最大の課題です。我が国財政については財政破綻の危機が言われますが、財政破綻というのはどのような形で発生するのか、定説があるわけではありません。また、日銀が財政赤字をファイナンスをしている状況下では、直ちに財政破綻が生じる可能性は高くないと言えましょう。むしろ、懸念すべき問題は、国の目指す二%をはるかに超えるインフレの発生です。
インフレは、耐えられる富裕層と耐えられない貧困層との格差を拡大し、社会に大きな亀裂を招きます。MMT論者も、財政拡大策の唯一の歯止めはインフレとして、インフレ率が上昇し始めたら増税や歳出削減により対応する必要がある、あるいはそのための具体策をあらかじめ決めておけばいいとしています。
しかし、あらかじめインフレ懸念が出始めれば財政拡大をやめ、緊縮に向かうということを法律で決めることが現実的でしょうか。事前に決める増税は所得税なのか、消費税なのか、あるいは新税なのか、歳出削減は社会保障か、公共事業か、どの程度の規模なのか、これらの事項を我が国の国会であらかじめ議論し、立法化できるでしょうか。
安倍元首相は、消費税一〇%の引上げの時期をめぐり、法律で実施時期が決まっているにもかかわらず、二度も延期をしております。
また、インフレ懸念が生じたら増税や歳出削減をという主張は、タイムラグを考慮しておりません。
筆者が経験した例ですが、我が国が土地バブル対策として導入した地価税が挙げられます。
高騰する土地価格が社会問題化し、対策の必要性が議論され始めたのが一九八九年で、地価税の導入は九二年、この間、三年が経過しております。導入された九二年には既にバブルが崩壊し、地価は下がり始めており、地価税の対象となる百貨店やホテルなどの経営を更に苦しめる結果となりました。インフレ懸念が生ずれば増税、歳出削減で機動的に対応すればいいというMMT論者の主張は、実現性が低いと思います。
次に、ワイズスペンディングからの問題です。
需給ギャップがある限り、それを埋め合わせる財政追加をすべきということになれば、ワイズスペンディング機能は機能せず、果てしない無駄な政府支出や政府投資が行われ、それが更に経済の停滞の長期化につながるという問題です。
一つだけ例を申し上げますと、投資されたが有効活用されず、維持費だけがかさむ、国の資産価値が、これは資産価値が毀損しているというふうに見ることができまして、したがって、国民の借金は国民の資産だというふうには言えないというふうに私は思います。
最後に、国家、通貨の信認の問題があります。
際限なく国債発行を続ければ、国家に対する信用は落ち、通貨への信頼、信認も消え、国債の買手がいなくなります。国内でファイナンスできるから大丈夫というこのMMTの大前提は崩れてしまいます。二〇二五年には、団塊世代が全て後期高齢者になり、国債を国内の貯蓄でファイナンスする力が大きく衰えてくることも念頭に置く必要があります。財政をめぐる新しい見解としてのMMTは、様々な課題や疑問を抱えています。
一方、米国では潜在GDPを超える膨大な財政支出やエネルギー価格の上昇などから急速な物価上昇が生じており、欧州でもインフレの兆候が見え始めています。
このように見てくると、今必要な経済政策は、インフレにつながるような財政運営を避けつつ、あわせて、国民に受益と負担のリンケージあるいは選択肢を含めた社会保障の将来像を示しつつ、国民の将来不安を軽減させることではないでしょうか。
以上でございます。
山
山本順三#5
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
この発言だけを見る →以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
山
山下雄平#6
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
お二人の先生、今日は貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
私は、両先生に格差問題についてお話をお伺いできればというふうに思っております。
中室先生には教育におけるこの格差の問題、そして森信先生には税、財政の観点から格差の問題について少しお伺いできればと思いますけれども、まず中室先生は、いろんな政策の投資効果というのは、やはり教育であったり健康というものが非常に投資効果が高いと、特に教育においては幼少期での政策の投資効果が高いというようなお話をされましたけれども、ただ、教育で政策であれば何でもいいというわけではなくて、そこはやはりいろんなものを精査していかなければならないということで、欧米での先行研究を踏まえて、では日本ではどういった具体的な施策を取るべきか、保育の質の改善のことについて触れられましたけれども、保育の質の改善であれば、具体的にどういった質の改善ということをやっていくことが日本でも効果が高いだろうというふうに考えられ得るかということを、EBPMの観点から少しお話をお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →お二人の先生、今日は貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
私は、両先生に格差問題についてお話をお伺いできればというふうに思っております。
中室先生には教育におけるこの格差の問題、そして森信先生には税、財政の観点から格差の問題について少しお伺いできればと思いますけれども、まず中室先生は、いろんな政策の投資効果というのは、やはり教育であったり健康というものが非常に投資効果が高いと、特に教育においては幼少期での政策の投資効果が高いというようなお話をされましたけれども、ただ、教育で政策であれば何でもいいというわけではなくて、そこはやはりいろんなものを精査していかなければならないということで、欧米での先行研究を踏まえて、では日本ではどういった具体的な施策を取るべきか、保育の質の改善のことについて触れられましたけれども、保育の質の改善であれば、具体的にどういった質の改善ということをやっていくことが日本でも効果が高いだろうというふうに考えられ得るかということを、EBPMの観点から少しお話をお伺いできればと思います。
中
中室牧子#7
○公述人(中室牧子君) 貴重な質問をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど御紹介をいたしました二〇〇〇年にノーベル賞を取ったジェームズ・ヘックマンは、子供が大人になった後の再分配というものをやるよりは子供が小さいときに行う事前分配の方が望ましいというような言い方をしていまして、これは何を意味しているかというと、質の高い教育を提供するということが、その後に大人になってから行う再分配よりも効果が高いということなんですね。ですが、この質を測るということはなかなか困難が伴うことでありまして、先ほど幼児教育の例をお見せをいたしましたけれども、今は様々な方法を使ってその教育の質を測るというようなことを研究上行うようになってきています。
先ほど御紹介をした海外の政府機関の例は、例えばアメリカであればQRIS、イギリスであればOFSTEDというような機関がありまして、幼児教育の質をモニタリングをしているということがあります。例えば、ニューヨーク州にはスクール・クオリティー・スナップショットというホームページがありまして、そこへ行きますと、全ての幼稚園や保育所、小学校、中学校等の名前を入れるとその質の指標が同時に出てきて、保護者がそれを参考にできるようになっているということがあるんですね。
今、我々が保育所や幼稚園を選ぼうと思うと、例えば家から近いとか、あるいはその周囲の保護者の方の評判に頼るほかないわけですけれども、そのように質に対する情報が保護者に開示をされているとすれば、そのことを通じてその保護者の方から保育所や幼稚園にプレッシャーが掛かって質が向上していくということもあるでしょうし、それを見て保育所や幼稚園が自らその教育を改善していこうというようなことも起こるのではないかというふうに思っております。
ですので、そうした海外の先行事例から、質を高める取組というのは、特に政府が関与する形で様々なことが実施可能ではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →先ほど御紹介をいたしました二〇〇〇年にノーベル賞を取ったジェームズ・ヘックマンは、子供が大人になった後の再分配というものをやるよりは子供が小さいときに行う事前分配の方が望ましいというような言い方をしていまして、これは何を意味しているかというと、質の高い教育を提供するということが、その後に大人になってから行う再分配よりも効果が高いということなんですね。ですが、この質を測るということはなかなか困難が伴うことでありまして、先ほど幼児教育の例をお見せをいたしましたけれども、今は様々な方法を使ってその教育の質を測るというようなことを研究上行うようになってきています。
先ほど御紹介をした海外の政府機関の例は、例えばアメリカであればQRIS、イギリスであればOFSTEDというような機関がありまして、幼児教育の質をモニタリングをしているということがあります。例えば、ニューヨーク州にはスクール・クオリティー・スナップショットというホームページがありまして、そこへ行きますと、全ての幼稚園や保育所、小学校、中学校等の名前を入れるとその質の指標が同時に出てきて、保護者がそれを参考にできるようになっているということがあるんですね。
今、我々が保育所や幼稚園を選ぼうと思うと、例えば家から近いとか、あるいはその周囲の保護者の方の評判に頼るほかないわけですけれども、そのように質に対する情報が保護者に開示をされているとすれば、そのことを通じてその保護者の方から保育所や幼稚園にプレッシャーが掛かって質が向上していくということもあるでしょうし、それを見て保育所や幼稚園が自らその教育を改善していこうというようなことも起こるのではないかというふうに思っております。
ですので、そうした海外の先行事例から、質を高める取組というのは、特に政府が関与する形で様々なことが実施可能ではないかというふうに考えております。
山
山下雄平#8
○山下雄平君 ありがとうございます。
利用者の方からいろいろ選択ができることによって供給側のまた改革につながって、それがいい保育の質であったり教育の質につながるような、そういう意味でいうと、データを現場でも活用していけるのではないかという御指摘で、大変非常に参考になりました。
あと、加えて教育環境の地域間格差という問題についても先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、先生が雑誌等で書かれていたりお話しされているものを幾つか拝見させていただいたんですけれども、田舎よりも、私自身も田舎の出身で、先生も関西の御出身だと思いますけれども、田舎よりも都会の方が教育環境が良くて、個々人ではいかんともし難い教育における地域格差が子供の将来に影響を与えるという話もされておられたんですけれども。
また、外国では、政府が良い環境の地域に引っ越すことができるようにするバウチャーを配ることによって、そうしたいい環境のところに引っ越してもらうことによって効果が出ているような国があるというふうにも以前御指摘されておられますけれども、仮にこうした政策を日本で取ると、更に人口の集中している東京であったりとか大都市に人が動いていってしまうという懸念もあるとは思うんですけれども、日本におけるその教育環境の地域間格差というものをどのように現在見ておられるかということと、それに対応してどういった政策を日本で取るべきかというふうに考えていらっしゃるかについてお話をお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →利用者の方からいろいろ選択ができることによって供給側のまた改革につながって、それがいい保育の質であったり教育の質につながるような、そういう意味でいうと、データを現場でも活用していけるのではないかという御指摘で、大変非常に参考になりました。
あと、加えて教育環境の地域間格差という問題についても先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、先生が雑誌等で書かれていたりお話しされているものを幾つか拝見させていただいたんですけれども、田舎よりも、私自身も田舎の出身で、先生も関西の御出身だと思いますけれども、田舎よりも都会の方が教育環境が良くて、個々人ではいかんともし難い教育における地域格差が子供の将来に影響を与えるという話もされておられたんですけれども。
また、外国では、政府が良い環境の地域に引っ越すことができるようにするバウチャーを配ることによって、そうしたいい環境のところに引っ越してもらうことによって効果が出ているような国があるというふうにも以前御指摘されておられますけれども、仮にこうした政策を日本で取ると、更に人口の集中している東京であったりとか大都市に人が動いていってしまうという懸念もあるとは思うんですけれども、日本におけるその教育環境の地域間格差というものをどのように現在見ておられるかということと、それに対応してどういった政策を日本で取るべきかというふうに考えていらっしゃるかについてお話をお伺いできればと思います。
中
中室牧子#9
○公述人(中室牧子君) こちらも大変貴重な御指摘かというふうに思います。
私の研究室で様々な自治体のデータを見ておりますけれども、今まさに山下先生がおっしゃいましたように、地域間の格差というのは確実に生じています。例えば、同じ自治体の中でも、就学援助率が〇%の学校から五〇%の学校まで存在している、いじめ、暴力、不登校に関してもゼロ件の学校と非常に多くの件数で生じている学校があるということになるかと思います。
こうした格差が生じている中で、平等な資源分配をするというのはかなり危険なことだというふうに思います。やはり、いじめや不登校、あるいは暴力などのことが非常にたくさん起こっている学校にはたくさんの教員を配置をするとか、そういったように、問題のその状況に合わせて資源分配をするということが非常に大事だと思うんですね。
ところが、我が国では一律、例えば小学校であれば三十五人学級にするとか四十人学級にするというような形で、全ての学校に平等に資源分配しようとするわけですけれども、それについてはやはり改めていく必要があるのではないか、実情に応じた資源配分にするということが必要なのではないかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →私の研究室で様々な自治体のデータを見ておりますけれども、今まさに山下先生がおっしゃいましたように、地域間の格差というのは確実に生じています。例えば、同じ自治体の中でも、就学援助率が〇%の学校から五〇%の学校まで存在している、いじめ、暴力、不登校に関してもゼロ件の学校と非常に多くの件数で生じている学校があるということになるかと思います。
こうした格差が生じている中で、平等な資源分配をするというのはかなり危険なことだというふうに思います。やはり、いじめや不登校、あるいは暴力などのことが非常にたくさん起こっている学校にはたくさんの教員を配置をするとか、そういったように、問題のその状況に合わせて資源分配をするということが非常に大事だと思うんですね。
ところが、我が国では一律、例えば小学校であれば三十五人学級にするとか四十人学級にするというような形で、全ての学校に平等に資源分配しようとするわけですけれども、それについてはやはり改めていく必要があるのではないか、実情に応じた資源配分にするということが必要なのではないかなというふうに思っております。
山
山下雄平#10
○山下雄平君 ありがとうございます。
その点においても、この問題に関してもやはりデータに基づいて政策を決定していく、またどういったところに施策を投じていくかということを、まあPDCAサイクルと言っていいかどうか分かりませんけれども、回していく必要があるというふうな考えだと思いますけれども。
日本の教育政策、恐らく教育政策だけではないんだと思うんですけれども、決定的にそういうことが欠けているというふうな御指摘もいろんなところでされておりますけれども、日本の政策決定において、この辺をまずは改善して、そのいわゆるEBPM政策を取れていない日本の現状として、まずはどの辺りからそこに切り込んでいくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →その点においても、この問題に関してもやはりデータに基づいて政策を決定していく、またどういったところに施策を投じていくかということを、まあPDCAサイクルと言っていいかどうか分かりませんけれども、回していく必要があるというふうな考えだと思いますけれども。
日本の教育政策、恐らく教育政策だけではないんだと思うんですけれども、決定的にそういうことが欠けているというふうな御指摘もいろんなところでされておりますけれども、日本の政策決定において、この辺をまずは改善して、そのいわゆるEBPM政策を取れていない日本の現状として、まずはどの辺りからそこに切り込んでいくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
中
中室牧子#11
○公述人(中室牧子君) ありがとうございます。
海外と今の日本の状況を比較しますと、圧倒的に遅れているのは行政記録情報の利用ということではないかなというふうに思っております。行政記録情報というのは、人々が例えば申請をしたり届出をしたりしたときに行政にたまっていくデータのことですけれども、近年、経済学の研究、社会科学の研究ではこの行政記録情報を匿名化して研究利用するということが始まっています。
これは非常に重要なことでありまして、例えば国勢調査とかも直近のものであれば回収率が七〇%となっていて、三〇%の方は回答されていない。この三〇%の回答されていない方がランダムに起こっているということであればいいんですけれども、恐らくそうはなっていないでしょう。恐らく貧困の方、病気の方、外国人で日本語が分からない方が国勢調査に回答していないんだとすると、政策的に最も救済をしていかなければならない人が統計から抜けているという問題が起こってくるわけです。
この問題を解決するために、海外ではレジスター方式といって行政記録を用いて統計を組成すると、国勢調査を組成するというようなことが始まっていて、我々もやはりそういったことを考えていかなければならないのではないか。今回、国交省や、以前は厚労省の問題で統計不正の問題が起きましたけれども、やはり人為的に統計を収集して集計するという作業の中では、まあ不正が起こるとまではいかなくても、ミスが起こったり、様々なその問題が生じますので、デジタル化の恩恵を最大限受けるという意味でも、そうした行政記録情報の利活用というものは進めていくべきではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →海外と今の日本の状況を比較しますと、圧倒的に遅れているのは行政記録情報の利用ということではないかなというふうに思っております。行政記録情報というのは、人々が例えば申請をしたり届出をしたりしたときに行政にたまっていくデータのことですけれども、近年、経済学の研究、社会科学の研究ではこの行政記録情報を匿名化して研究利用するということが始まっています。
これは非常に重要なことでありまして、例えば国勢調査とかも直近のものであれば回収率が七〇%となっていて、三〇%の方は回答されていない。この三〇%の回答されていない方がランダムに起こっているということであればいいんですけれども、恐らくそうはなっていないでしょう。恐らく貧困の方、病気の方、外国人で日本語が分からない方が国勢調査に回答していないんだとすると、政策的に最も救済をしていかなければならない人が統計から抜けているという問題が起こってくるわけです。
この問題を解決するために、海外ではレジスター方式といって行政記録を用いて統計を組成すると、国勢調査を組成するというようなことが始まっていて、我々もやはりそういったことを考えていかなければならないのではないか。今回、国交省や、以前は厚労省の問題で統計不正の問題が起きましたけれども、やはり人為的に統計を収集して集計するという作業の中では、まあ不正が起こるとまではいかなくても、ミスが起こったり、様々なその問題が生じますので、デジタル化の恩恵を最大限受けるという意味でも、そうした行政記録情報の利活用というものは進めていくべきではないかというふうに考えております。
山
山下雄平#12
○山下雄平君 ありがとうございました。非常に分かりやすく、また、我々としても取り入れていかなければならないというふうな御指摘だったというふうに考えています。
次に、森信先生にお話をお伺いできればと思いますけれども、まず、所得税の再分配機能が低下してきているのではないかというような指摘がありますけれども、これが日本の社会、また日本の経済にどのような影響を与えてきたというふうに見られておられるかという点についてお伺いできればと思いますし、また、所得税の最高税率であったり、課税最低限はどのような水準にあるべきかと、どういった課税を求めていくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →次に、森信先生にお話をお伺いできればと思いますけれども、まず、所得税の再分配機能が低下してきているのではないかというような指摘がありますけれども、これが日本の社会、また日本の経済にどのような影響を与えてきたというふうに見られておられるかという点についてお伺いできればと思いますし、また、所得税の最高税率であったり、課税最低限はどのような水準にあるべきかと、どういった課税を求めていくべきかというふうに考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
森
森信茂樹#13
○公述人(森信茂樹君) お答えします。
所得税につきましては、最近、所得再分配機能が落ちてきていると、この一つのシンボリックな現象として言われますのが、金融所得課税ですね。金融所得は、国税一五、地方税五の合計二〇%の分離課税になっておって、それが所得税の本来である累進税率を阻害している、特に高所得者においてはそれが阻害されているというところが機能が低下していると言われているわけなんです。
私もこれはそのとおりだと思いますけど、しかし、よって立つべき結論としましては、じゃ、金融所得を一律引き上げるということでは解決できないわけですね。といいますのは、そもそも今の金融所得、国税一五%というのは、七百万とか八百万とかという所得の方にとってみれば、実は給与所得よりも高い税率なんですね。だから、一律引き上げるというふうな話ではなくて、やはり、先ほど言いましたが、デジタルの活用によりまして、これはもう番号が付いているわけですから、特に株式譲渡所得とそれから配当についてはマイナンバーで把握されているわけですから、それで名寄せをして、その高金融所得者、ここにピンポイントして、税率をもう一つ、もう一段階高い税率をつくると、そういったことが私は必要ではないかと思います。
それから、課税最低限と累進税率の問題は、これは大変社会構造とも深い連携を、関連をしていると思いますので、これにはもう少し時間を掛けて議論をする必要があると思っておりまして、まずは金融所得税率の高金融所得者への課税強化、それからもう一つは所得控除から税額控除への変更による累進機能の強化と、そういったところを進めていくのが筋ではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →所得税につきましては、最近、所得再分配機能が落ちてきていると、この一つのシンボリックな現象として言われますのが、金融所得課税ですね。金融所得は、国税一五、地方税五の合計二〇%の分離課税になっておって、それが所得税の本来である累進税率を阻害している、特に高所得者においてはそれが阻害されているというところが機能が低下していると言われているわけなんです。
私もこれはそのとおりだと思いますけど、しかし、よって立つべき結論としましては、じゃ、金融所得を一律引き上げるということでは解決できないわけですね。といいますのは、そもそも今の金融所得、国税一五%というのは、七百万とか八百万とかという所得の方にとってみれば、実は給与所得よりも高い税率なんですね。だから、一律引き上げるというふうな話ではなくて、やはり、先ほど言いましたが、デジタルの活用によりまして、これはもう番号が付いているわけですから、特に株式譲渡所得とそれから配当についてはマイナンバーで把握されているわけですから、それで名寄せをして、その高金融所得者、ここにピンポイントして、税率をもう一つ、もう一段階高い税率をつくると、そういったことが私は必要ではないかと思います。
それから、課税最低限と累進税率の問題は、これは大変社会構造とも深い連携を、関連をしていると思いますので、これにはもう少し時間を掛けて議論をする必要があると思っておりまして、まずは金融所得税率の高金融所得者への課税強化、それからもう一つは所得控除から税額控除への変更による累進機能の強化と、そういったところを進めていくのが筋ではないかというふうに考えております。
山
山下雄平#14
○山下雄平君 ありがとうございます。
あわせて、先生先ほどMMTについてもお触れになられました。本当は参議院にMMTの権威の方がいらっしゃるんですけど、ちょっと今日はメンバーじゃないのでいらっしゃいませんけれども。
こうしたMMT、自国で紙幣を刷って財政を更に拡大していくべきだという考えと、財政はやはり再建していかなければならないという考え方あると思うんですけれども、MMTについて、先生が先ほど指摘された懸念と合わせて、私自身、過度な財政的な、積極的な財政政策を取ることが将来取り得る財政政策の範囲を狭めてしまうというような懸念もあるのではないかというふうに思うんですけれども、財政政策が引き起こす世代間への影響の格差、この時代に生まれたから幸せだった、不幸だった、親ガチャという言葉がありますけれども、世代ガチャみたいなことを財政政策が引き起こす可能性について、先生、どのようにお考えなのかをお聞かせください。
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こうしたMMT、自国で紙幣を刷って財政を更に拡大していくべきだという考えと、財政はやはり再建していかなければならないという考え方あると思うんですけれども、MMTについて、先生が先ほど指摘された懸念と合わせて、私自身、過度な財政的な、積極的な財政政策を取ることが将来取り得る財政政策の範囲を狭めてしまうというような懸念もあるのではないかというふうに思うんですけれども、財政政策が引き起こす世代間への影響の格差、この時代に生まれたから幸せだった、不幸だった、親ガチャという言葉がありますけれども、世代ガチャみたいなことを財政政策が引き起こす可能性について、先生、どのようにお考えなのかをお聞かせください。
森
森信茂樹#15
○公述人(森信茂樹君) お答え申し上げたいと思います。
今日は権威の方がいらっしゃらないということなので、自由に話ができると思いますけど。
私も全く今の山下先生のお考えと、賛成いたします。結局、財政の硬直化ということで利払いとか償還に回る予算の割合、予算の中に占めるその利払い、償還の費用の割合がどんどん増えていくわけなんですね。そうしますと、本来使うべき社会保障とか防衛なんかも含めて、公共投資も含めて、使える範囲がどんどん狭くなっていくということで、これは明らかに将来世代の社会構成というものを縮めていくことだと思います。
それから、やっぱり世代間の問題だけではなくて民間との関係というのも考えていく必要があると思うんですね。政府がたくさんたくさん貯蓄を吸収して使いますと、民間の方が使える資金がどんどん減ってきて、くるわけです。そうすると、非常に、何でもかんでも政府だということで、効率的な経済、経済が回らなくなるという懸念もあるんではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →今日は権威の方がいらっしゃらないということなので、自由に話ができると思いますけど。
私も全く今の山下先生のお考えと、賛成いたします。結局、財政の硬直化ということで利払いとか償還に回る予算の割合、予算の中に占めるその利払い、償還の費用の割合がどんどん増えていくわけなんですね。そうしますと、本来使うべき社会保障とか防衛なんかも含めて、公共投資も含めて、使える範囲がどんどん狭くなっていくということで、これは明らかに将来世代の社会構成というものを縮めていくことだと思います。
それから、やっぱり世代間の問題だけではなくて民間との関係というのも考えていく必要があると思うんですね。政府がたくさんたくさん貯蓄を吸収して使いますと、民間の方が使える資金がどんどん減ってきて、くるわけです。そうすると、非常に、何でもかんでも政府だということで、効率的な経済、経済が回らなくなるという懸念もあるんではないかというふうに考えております。
山
熊
熊谷裕人#17
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。
今日は、公述人の中室先生、そして森信先生、ありがとうございます。
私からも幾つか御質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に中室先生に御質問させていただきます。
私も前職、市議会議員でございまして、地方議員の時代に御著書の「「学力」の経済学」、購入させていただきまして、読ませていただきました。今日の公述の中にもございましたように、その本で幼児期の投資が最大効果を上げるというようなことが書いてありまして、そのとおりだなと思って、どのように地方自治体の幼児教育の中でそれが還元をできるのかといった形で私もいろいろ考えさせていただきました。
教育は、未来への先行投資と言われている中で、我が国の教育への投資は、残念ながらOECD諸国の中で本当に下位で恥ずかしい限りだと思っております。この教育全体に関わる予算、この国の現状というものを中室先生はどのようにお考えか、まずはお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、公述人の中室先生、そして森信先生、ありがとうございます。
私からも幾つか御質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に中室先生に御質問させていただきます。
私も前職、市議会議員でございまして、地方議員の時代に御著書の「「学力」の経済学」、購入させていただきまして、読ませていただきました。今日の公述の中にもございましたように、その本で幼児期の投資が最大効果を上げるというようなことが書いてありまして、そのとおりだなと思って、どのように地方自治体の幼児教育の中でそれが還元をできるのかといった形で私もいろいろ考えさせていただきました。
教育は、未来への先行投資と言われている中で、我が国の教育への投資は、残念ながらOECD諸国の中で本当に下位で恥ずかしい限りだと思っております。この教育全体に関わる予算、この国の現状というものを中室先生はどのようにお考えか、まずはお聞かせいただきたいと思います。
中
中室牧子#18
○公述人(中室牧子君) ありがとうございます。
今まさにおっしゃいましたように、教育は未来への投資ということですから、しっかりやっていかなければならないということかと思いますが、国民医療費の金額が四十二兆円に上る中、教育に関してはおよそ幼稚園から大学まで合わせても五兆円程度しか掛けられていないということですから、これをもっとしっかりと増額していくことが必要だという問題意識は私自身も持っております。ただ、今十五歳以下の子供たちのいる世帯が日本全体の二〇%以下にとどまっているということを考えますと、その子供がいる世帯がマジョリティーとはとても言えないということだと思います。ですから、数の論理で考えれば、どう考えても子供たちに係る政策に予算を増やしていこうというふうにはならないというのは当然のことかと思います。
このモメンタムを変えていこうと思えば、やはり数の多いところにお金を付けるということではなくて、リターンの高いところに、効果の高いところにお金を掛けていくんだという考え方を徹底していかなければならないというふうに思っています。先ほども申し上げたように、子供の教育や健康への投資というのは、今支払ったものが必ず将来回収できて、しかも割のいい投資であるということを示す研究が多数ありますから、そういったものを利用して、国民の皆さんにとって、子供がいない皆さんにとっても子供への投資というものが非常に利益のあるものであると、外部性の高いものであるということをしっかりと訴えていかなければならないというふうに思います。
そのためには、子供への投資であれば何でもいいというわけではなくて、こういったところにこれぐらいのお金を掛けるとこういう効果があるということをきちんと示していくということがとても大切なことなのではないか、アカウンタビリティー、説明責任という観点からもとても大切なことなのではないかというふうに考えております。
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このモメンタムを変えていこうと思えば、やはり数の多いところにお金を付けるということではなくて、リターンの高いところに、効果の高いところにお金を掛けていくんだという考え方を徹底していかなければならないというふうに思っています。先ほども申し上げたように、子供の教育や健康への投資というのは、今支払ったものが必ず将来回収できて、しかも割のいい投資であるということを示す研究が多数ありますから、そういったものを利用して、国民の皆さんにとって、子供がいない皆さんにとっても子供への投資というものが非常に利益のあるものであると、外部性の高いものであるということをしっかりと訴えていかなければならないというふうに思います。
そのためには、子供への投資であれば何でもいいというわけではなくて、こういったところにこれぐらいのお金を掛けるとこういう効果があるということをきちんと示していくということがとても大切なことなのではないか、アカウンタビリティー、説明責任という観点からもとても大切なことなのではないかというふうに考えております。
熊
熊谷裕人#19
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
私どもも、しっかりと子供への投資というものがどれだけ効果の高いものであるかと、政策的な評価、しっかりとEBPMに基づいて政策立案をしていかなければいけないなというふうに思っております。
その中で、先ほど先生の公述にもありましたとおりに、幼児期の投資効果の、高めるための鍵というのが供給サイドへの投資だというようなお話もございました。
そこで、幼児期の教育といいますと、保育園の保育士さんや幼稚園の教員さんという方への、担い手への投資ということが非常に重要になってくるのかなと。特に保育園の保育士さんへの投資というのは、保育園ごとにも中身の違いがございますし、置かれている地域によっても格差があるというような話、先ほどございました。そういった中で、そういった担い手の皆さんへどのような処遇改善をしたらこの質が高まるのかといったところで、何かお考えがあれば御示唆をいただければと思います。
この発言だけを見る →私どもも、しっかりと子供への投資というものがどれだけ効果の高いものであるかと、政策的な評価、しっかりとEBPMに基づいて政策立案をしていかなければいけないなというふうに思っております。
その中で、先ほど先生の公述にもありましたとおりに、幼児期の投資効果の、高めるための鍵というのが供給サイドへの投資だというようなお話もございました。
そこで、幼児期の教育といいますと、保育園の保育士さんや幼稚園の教員さんという方への、担い手への投資ということが非常に重要になってくるのかなと。特に保育園の保育士さんへの投資というのは、保育園ごとにも中身の違いがございますし、置かれている地域によっても格差があるというような話、先ほどございました。そういった中で、そういった担い手の皆さんへどのような処遇改善をしたらこの質が高まるのかといったところで、何かお考えがあれば御示唆をいただければと思います。
中
中室牧子#20
○公述人(中室牧子君) ありがとうございます。
私は、その処遇改善という意味で、例えば給与だったり福利厚生だったりを充実させるということも重要かと思いますが、それ以外に重要なのは働き方改革だというふうに思っております。
労働条件の悪いところに優秀な人が集まってくるということは古今東西あり得ませんので、やはり幼稚園の先生や保育士さん、あるいは公立学校で働く教員についての働き方改革ということを徹底していくべきではないか。今文科省や政府の方でも例えば部活動のことについての議論というのは既に行われているやに承知をしておりますけれども、例えば教員の兼業などを認めるなどして部活動を保護者の負担にする、あるいは企業に外注するなどして、仮に教員が部活動に放課後は関わりたいという場合は兼業でその人にも報酬を払うというような形にして、今のそのボランティアのような形で無料、ただ働き、働かせ放題みたいなやり方は直ちに改めるべきではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →私は、その処遇改善という意味で、例えば給与だったり福利厚生だったりを充実させるということも重要かと思いますが、それ以外に重要なのは働き方改革だというふうに思っております。
労働条件の悪いところに優秀な人が集まってくるということは古今東西あり得ませんので、やはり幼稚園の先生や保育士さん、あるいは公立学校で働く教員についての働き方改革ということを徹底していくべきではないか。今文科省や政府の方でも例えば部活動のことについての議論というのは既に行われているやに承知をしておりますけれども、例えば教員の兼業などを認めるなどして部活動を保護者の負担にする、あるいは企業に外注するなどして、仮に教員が部活動に放課後は関わりたいという場合は兼業でその人にも報酬を払うというような形にして、今のそのボランティアのような形で無料、ただ働き、働かせ放題みたいなやり方は直ちに改めるべきではないかというふうに考えております。
熊
熊谷裕人#21
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
私も、地方議員の時代に、学校の先生の部活動の関係、私は地域総合型スポーツクラブにその担い手をしていただきたいなということで一生懸命取り組んでまいりましたが、教員の働き方改革というところが必要だなというところは認識は一致をしているかと思います。
その中で、今教育現場でITC化が大変進んでおります。教員の負担というのが大変高くなってきていると思いますが、その中でどんなことが具体的に言ったら現場の先生方の労働環境の改善や働き方改革につながるかというところと、それから、私の娘も大学生なんですが、大学の授業が今オンライン化をされて、ここ二年ぐらいほとんどキャンパスに行っていないという状況でございまして、これからの大学の授業の在り方というのがこのコロナ禍を機会に変わっていくのかなというふうに思っておりますが、この大学の授業のオンライン化についてどのように先生は御所見をお持ちか、お聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →私も、地方議員の時代に、学校の先生の部活動の関係、私は地域総合型スポーツクラブにその担い手をしていただきたいなということで一生懸命取り組んでまいりましたが、教員の働き方改革というところが必要だなというところは認識は一致をしているかと思います。
その中で、今教育現場でITC化が大変進んでおります。教員の負担というのが大変高くなってきていると思いますが、その中でどんなことが具体的に言ったら現場の先生方の労働環境の改善や働き方改革につながるかというところと、それから、私の娘も大学生なんですが、大学の授業が今オンライン化をされて、ここ二年ぐらいほとんどキャンパスに行っていないという状況でございまして、これからの大学の授業の在り方というのがこのコロナ禍を機会に変わっていくのかなというふうに思っておりますが、この大学の授業のオンライン化についてどのように先生は御所見をお持ちか、お聞かせいただければと思います。
中
中室牧子#22
○公述人(中室牧子君) ありがとうございます。
ちょっと二つの論点に分けてお話をしたいと思いますが、小中学校で進んでおりますGIGAスクール構想、一人一台端末構想でございますけれども、これに関しては引き続き推進していくものというふうに理解をしております。
ただ、海外の先行研究を見ますと、海外でも、一人一台端末政策というのは諸外国でかなり行われていますけれども、ただ単にパソコンを配るだけで子供たちの学力や認知能力が高まることはないというのはコンセンサスになっています。ですので、やはりこれをどう使うのかということが極めて重要で、海外の研究を見ますと、個別最適化、子供たちの能力や特性、興味、関心に合わせた個別化ができると、一人一台端末というのは非常に功を奏するということが分かっています。
ですので、こういった方向で一人一台端末政策を生かすことができるようにしていくということが一つ重要ではなかろうかと思っております。
二つ目に、大学におけるオンライン授業ということでございます。
これは、良い面、悪い面あるということは、私も大学で教えていて大変よく理解できるところでございます。
良い面としては、やはり今まで八百人とかの大規模の教室でやっていたことがオンラインになりますと、例えば、出席率が高まったり、もっとたくさんの人たちを受け入れることができるようになったり、あるいはその大学のキャンパス外からの参加もできるようになったり、様々ないいことがありますので、こうした技術革新というのは最大限利用していかなければならないだろうというふうに思っております。
ただ一方で、やはり目が届きにくくなるということで、教育の質が下がるのではないかという御懸念はあるのかなというふうに思っております。
アメリカでは、実は二〇〇六年に規制緩和が行われて、今の日本と同じように、大学の遠隔授業の単位上限というものを取っ払うという規制改革が行われています。この結果、様々な研究が行われて、オンライン授業と対面授業の間で、少なくとも座学形式の講義においては差がないということを示す研究が多数になっています。
ですので、座学で、例えば先ほども申し上げましたように六百人とか七百人とかというような大講義に関して言えば、その空間や時間の制約を取っ払えるという意味においてオンライン授業は活用していくべきだろうというふうに考えておりますけれども、例えば、ゼミなどの少人数、あるいは実験や実習を伴うような授業というのはオンラインには限界がありますから、こういったものに関しては引き続き対面で行っていくというように、その組合せを、どういう組合せがベストなのかということを考えていく時期に差しかかっているであろうというふうに思います。
我々としても、大規模の講義に関してはオンラインでやれる、その代わり、小規模のゼミや講義形式のものに関しては対面でやれるというふうに、リソースをある程度分散することができるようになれば、同じ時間やエネルギーでより多くのことができるということになりますので、そうしたそのリソースの再分配といいますか、より効率的な再分配というものが大学の方でも起こっていくのではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →ちょっと二つの論点に分けてお話をしたいと思いますが、小中学校で進んでおりますGIGAスクール構想、一人一台端末構想でございますけれども、これに関しては引き続き推進していくものというふうに理解をしております。
ただ、海外の先行研究を見ますと、海外でも、一人一台端末政策というのは諸外国でかなり行われていますけれども、ただ単にパソコンを配るだけで子供たちの学力や認知能力が高まることはないというのはコンセンサスになっています。ですので、やはりこれをどう使うのかということが極めて重要で、海外の研究を見ますと、個別最適化、子供たちの能力や特性、興味、関心に合わせた個別化ができると、一人一台端末というのは非常に功を奏するということが分かっています。
ですので、こういった方向で一人一台端末政策を生かすことができるようにしていくということが一つ重要ではなかろうかと思っております。
二つ目に、大学におけるオンライン授業ということでございます。
これは、良い面、悪い面あるということは、私も大学で教えていて大変よく理解できるところでございます。
良い面としては、やはり今まで八百人とかの大規模の教室でやっていたことがオンラインになりますと、例えば、出席率が高まったり、もっとたくさんの人たちを受け入れることができるようになったり、あるいはその大学のキャンパス外からの参加もできるようになったり、様々ないいことがありますので、こうした技術革新というのは最大限利用していかなければならないだろうというふうに思っております。
ただ一方で、やはり目が届きにくくなるということで、教育の質が下がるのではないかという御懸念はあるのかなというふうに思っております。
アメリカでは、実は二〇〇六年に規制緩和が行われて、今の日本と同じように、大学の遠隔授業の単位上限というものを取っ払うという規制改革が行われています。この結果、様々な研究が行われて、オンライン授業と対面授業の間で、少なくとも座学形式の講義においては差がないということを示す研究が多数になっています。
ですので、座学で、例えば先ほども申し上げましたように六百人とか七百人とかというような大講義に関して言えば、その空間や時間の制約を取っ払えるという意味においてオンライン授業は活用していくべきだろうというふうに考えておりますけれども、例えば、ゼミなどの少人数、あるいは実験や実習を伴うような授業というのはオンラインには限界がありますから、こういったものに関しては引き続き対面で行っていくというように、その組合せを、どういう組合せがベストなのかということを考えていく時期に差しかかっているであろうというふうに思います。
我々としても、大規模の講義に関してはオンラインでやれる、その代わり、小規模のゼミや講義形式のものに関しては対面でやれるというふうに、リソースをある程度分散することができるようになれば、同じ時間やエネルギーでより多くのことができるということになりますので、そうしたそのリソースの再分配といいますか、より効率的な再分配というものが大学の方でも起こっていくのではないかというふうに考えております。
熊
熊谷裕人#23
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
続いて、森信公述人にも御質問させていただきたいと思います。
公述人の御出身が財務省ということで、ちょっとその辺の予算の関係でお尋ねをしたいと思っておりますが、ここ数年、補正予算と本予算が一体化をされまして十数か月予算というような編成がここのところずっと行われております。そして、コロナ禍への対応ということで、補正予算も大型化をして予算規模が拡大をしています。そのために予算使い切れずに翌年への繰越しということもここ何年か起きておりますが、予算が正しく使われていないんではないかというようなことも指摘をされております。
そういった中で、政府の方から、予算の単年度主義見直すんだというような話も出ておりますが、この予算の単年度主義について、先生、御所見がありましたらお聞かせをいただければと思います。
この発言だけを見る →続いて、森信公述人にも御質問させていただきたいと思います。
公述人の御出身が財務省ということで、ちょっとその辺の予算の関係でお尋ねをしたいと思っておりますが、ここ数年、補正予算と本予算が一体化をされまして十数か月予算というような編成がここのところずっと行われております。そして、コロナ禍への対応ということで、補正予算も大型化をして予算規模が拡大をしています。そのために予算使い切れずに翌年への繰越しということもここ何年か起きておりますが、予算が正しく使われていないんではないかというようなことも指摘をされております。
そういった中で、政府の方から、予算の単年度主義見直すんだというような話も出ておりますが、この予算の単年度主義について、先生、御所見がありましたらお聞かせをいただければと思います。
森
森信茂樹#24
○公述人(森信茂樹君) お答えします。
今、予算の単年度主義に対しまして御質問をいただきました。これは大変難しい問題で、確かに単年度主義だと、繰り越してしまうと予算が次年度から使えなくなるので、余れば無理やり使ってしまおうというふうなインセンティブが働くのは当然のところだと思います。他方で、繰り越しても使えるように、例えば基金というものをたくさんつくってきたわけですけれど、それはそれでまた非常に不明朗な中にお金がたまって、また見えないというところが出てきているわけですね。
これ大変難しい問題だと思うんですが、ちょっと話は外れますが、私予算を長年やってきた経験で申しますと、やっぱり霞が関の文化が、予算を作ったらもうおしまいなんですね。とにかく予算が通って、予算が通ればあとは人事異動を待つだけというふうな感じで、俺があそこの予算を付けたんだというような人も出てきたりして、決算とか執行とかにリソースが行っていないんですね。財務省では一時、今もやっていると思いますが、執行調査ということで、予算が終わってもちゃんと調査、執行がどうなっているかを調査するようなこともやっているんですけれど、やはり予算を作ったら、さあ、これでおしまいだという感じが残っているところに私は何か大きな問題があると思っているんです。
したがって、まあ国会のことを申し上げると怒られちゃいますけど、やっぱり予算委員会が一番重要で、決算になると何かまたちょっと違う雰囲気になってくると、そこがやっぱり霞が関と同じような文化があるなというふうに思っておりますので、やっぱりきちっとその最後まで見届けるという文化をつくっていく。これ、民間では絶対に、あれですよね、予算で作って、はい、おしまいということはあり得ないですよね。ちゃんと決算まで見て、執行に使われたかどうかというのを、うまく使われたかどうかというのが一番重要だと思います。だから、そこの文化を是非変える、変えていただきたいなと私は常々思ってきておりました。
答えになっているかどうか分かりませんけど、以上です。
この発言だけを見る →今、予算の単年度主義に対しまして御質問をいただきました。これは大変難しい問題で、確かに単年度主義だと、繰り越してしまうと予算が次年度から使えなくなるので、余れば無理やり使ってしまおうというふうなインセンティブが働くのは当然のところだと思います。他方で、繰り越しても使えるように、例えば基金というものをたくさんつくってきたわけですけれど、それはそれでまた非常に不明朗な中にお金がたまって、また見えないというところが出てきているわけですね。
これ大変難しい問題だと思うんですが、ちょっと話は外れますが、私予算を長年やってきた経験で申しますと、やっぱり霞が関の文化が、予算を作ったらもうおしまいなんですね。とにかく予算が通って、予算が通ればあとは人事異動を待つだけというふうな感じで、俺があそこの予算を付けたんだというような人も出てきたりして、決算とか執行とかにリソースが行っていないんですね。財務省では一時、今もやっていると思いますが、執行調査ということで、予算が終わってもちゃんと調査、執行がどうなっているかを調査するようなこともやっているんですけれど、やはり予算を作ったら、さあ、これでおしまいだという感じが残っているところに私は何か大きな問題があると思っているんです。
したがって、まあ国会のことを申し上げると怒られちゃいますけど、やっぱり予算委員会が一番重要で、決算になると何かまたちょっと違う雰囲気になってくると、そこがやっぱり霞が関と同じような文化があるなというふうに思っておりますので、やっぱりきちっとその最後まで見届けるという文化をつくっていく。これ、民間では絶対に、あれですよね、予算で作って、はい、おしまいということはあり得ないですよね。ちゃんと決算まで見て、執行に使われたかどうかというのを、うまく使われたかどうかというのが一番重要だと思います。だから、そこの文化を是非変える、変えていただきたいなと私は常々思ってきておりました。
答えになっているかどうか分かりませんけど、以上です。
熊
熊谷裕人#25
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
私たち参議院は実は決算重視の参議院でございまして、この予算のPDCAサイクルをしっかり回すというのは、地方議員の時代から私も一生懸命やってきておりまして、この参議院の決算重視の文化を何とか私もしっかりしたものにしていって、予算作ったら終わりというこの霞が関と国会の文化を何とか変えていきたいと思いますので、今後ともアドバイス等いただければ幸いでございます。
時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →私たち参議院は実は決算重視の参議院でございまして、この予算のPDCAサイクルをしっかり回すというのは、地方議員の時代から私も一生懸命やってきておりまして、この参議院の決算重視の文化を何とか私もしっかりしたものにしていって、予算作ったら終わりというこの霞が関と国会の文化を何とか変えていきたいと思いますので、今後ともアドバイス等いただければ幸いでございます。
時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
杉
杉久武#26
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
本日は、中室公述人、また森信公述人、お忙しい中貴重な御意見をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
私の方からは、まず最初にお二人の公述人に同じ質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど様々御教示いただきましたが、その前提として、やはり所得の正確な捕捉をしていく、私はこれはやはりまだまだ日本では課題があるんではないかなというように思っております。特に、このコロナ禍でも様々政府もいろいろな政策を打ってきたわけでありますけれども、所得制限のあるもの等もございました。ただ、今、日本の制度の仕組みの中では、やはりこの所得の捕捉、所得制限で判断をする主体が国ではなく地方自治体であるということ、そしてその捕捉のタイミングが、やはり年度の所得は国税で捕捉をされた後、その情報が自治体に送られて、翌年の六月ぐらいが所得が分かる時期にもなりますので、やはりこの迅速性においてもまだまだ課題があるんではないかなというふうに感じているところであります。
ただ一方で、日本の、森信参考人はもう財務省出身なのでよく御存じだと思いますけど、やはりこの所得の捕捉って、確定申告は決して義務ではなく、多くの給与所得者は年末調整で対応するという仕組みの中で、やはりこの正確な所得を迅速に捕捉をしていくというところは改善の余地はまだまだあるというふうに感じております。
私自身、アメリカでも仕事をしていく中で、アメリカの場合は全員が確定申告をするというのが大原則でありまして、そのIRS、内国歳入庁に集まった情報を基に、先ほど中室公述人からも御紹介ありました例えば給付金ですね、これについても所得制限を設けて、かつ、日本はどうしても所得の制限を設けたときに崖ができるんですけれども、ちゃんとこのフェーズアウトをしていく形で、要は一円違ったら給付がないということは、給付がゼロサムにならないような形で調整をされ、かつプッシュ型、申請なしに給付が受けれるという形をアメリカでは実現したわけでありまして、いろいろ生い立ち等、文化、歴史も違うところで一律にこれを合わせるということは難しいと思うんですけれども、やはり正確な、このデジタル社会の中で正確な所得の捕捉ということはやはり私は前に進めていかなきゃいけない課題だというふうに思っておりますが、この点についてどのようにやはり日本は取り組んでいくべきなのか、この辺りについてお二人の公述人から御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →本日は、中室公述人、また森信公述人、お忙しい中貴重な御意見をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
私の方からは、まず最初にお二人の公述人に同じ質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど様々御教示いただきましたが、その前提として、やはり所得の正確な捕捉をしていく、私はこれはやはりまだまだ日本では課題があるんではないかなというように思っております。特に、このコロナ禍でも様々政府もいろいろな政策を打ってきたわけでありますけれども、所得制限のあるもの等もございました。ただ、今、日本の制度の仕組みの中では、やはりこの所得の捕捉、所得制限で判断をする主体が国ではなく地方自治体であるということ、そしてその捕捉のタイミングが、やはり年度の所得は国税で捕捉をされた後、その情報が自治体に送られて、翌年の六月ぐらいが所得が分かる時期にもなりますので、やはりこの迅速性においてもまだまだ課題があるんではないかなというふうに感じているところであります。
ただ一方で、日本の、森信参考人はもう財務省出身なのでよく御存じだと思いますけど、やはりこの所得の捕捉って、確定申告は決して義務ではなく、多くの給与所得者は年末調整で対応するという仕組みの中で、やはりこの正確な所得を迅速に捕捉をしていくというところは改善の余地はまだまだあるというふうに感じております。
私自身、アメリカでも仕事をしていく中で、アメリカの場合は全員が確定申告をするというのが大原則でありまして、そのIRS、内国歳入庁に集まった情報を基に、先ほど中室公述人からも御紹介ありました例えば給付金ですね、これについても所得制限を設けて、かつ、日本はどうしても所得の制限を設けたときに崖ができるんですけれども、ちゃんとこのフェーズアウトをしていく形で、要は一円違ったら給付がないということは、給付がゼロサムにならないような形で調整をされ、かつプッシュ型、申請なしに給付が受けれるという形をアメリカでは実現したわけでありまして、いろいろ生い立ち等、文化、歴史も違うところで一律にこれを合わせるということは難しいと思うんですけれども、やはり正確な、このデジタル社会の中で正確な所得の捕捉ということはやはり私は前に進めていかなきゃいけない課題だというふうに思っておりますが、この点についてどのようにやはり日本は取り組んでいくべきなのか、この辺りについてお二人の公述人から御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
中
中室牧子#27
○公述人(中室牧子君) ありがとうございます。
経済学の分野では課税情報の目的外利用をした研究というものが急速に増えているということがあります。やはり、その税の情報をきちっと分析できるということは非常に重要なことでありますので、我々もこの税データを研究利用できるということを求めて様々なところにお願いをしてまいりました。
二〇一九年の骨太の方針の中では、例えば住民税であるとか不動産取得税であるとか、こういった情報を研究利用、目的外利用できるように検討をするということが明記されているわけですけれども、そこから一向にそのことについて動きがないということですので、政府の方で是非この点については前に進めていただきたいというふうに思っております。
アメリカでは、実は税データの利用というものは許可制、IRSの許可制になっているところでございますが、欧州ではもっと研究利用が自由にできるようになっています。先ほどノーベル賞の最右翼として御紹介しましたラージ・チェティやアメリカの研究者グループは、許可制であるアメリカのやり方であったとしても欧州に比べるとはるかに遅れていて、アメリカのその経済学の研究競争力をそいでいるというような発言をしています。
しかし、日本はそこから比べてまだ更に遅れているわけでありまして、研究上ということだけではなく、その政策的な意味からも、やはり税情報や不動産取得税の情報というものを研究利用できるように速やかに働きかけていただければ大変幸いでございます。
以上です。
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二〇一九年の骨太の方針の中では、例えば住民税であるとか不動産取得税であるとか、こういった情報を研究利用、目的外利用できるように検討をするということが明記されているわけですけれども、そこから一向にそのことについて動きがないということですので、政府の方で是非この点については前に進めていただきたいというふうに思っております。
アメリカでは、実は税データの利用というものは許可制、IRSの許可制になっているところでございますが、欧州ではもっと研究利用が自由にできるようになっています。先ほどノーベル賞の最右翼として御紹介しましたラージ・チェティやアメリカの研究者グループは、許可制であるアメリカのやり方であったとしても欧州に比べるとはるかに遅れていて、アメリカのその経済学の研究競争力をそいでいるというような発言をしています。
しかし、日本はそこから比べてまだ更に遅れているわけでありまして、研究上ということだけではなく、その政策的な意味からも、やはり税情報や不動産取得税の情報というものを研究利用できるように速やかに働きかけていただければ大変幸いでございます。
以上です。
森
森信茂樹#28
○公述人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
先ほどの私の資料の十一ページを開いていただければ有り難いんですが、十一ページは、マイナポータルを活用して、所得をどうやって情報を得て、それをどうやって申告につなげるかと、一番左の上にe―Taxの観点で税務申告のことが書いてあります。
これで、実は、この左の方に、左の下の方に、民間からの、例えば自分の働いている企業からの源泉徴収票、それから生保料控除、損保料控除とか、あるいは医療費控除のための資料とか、今全てこの民間送達サービスを通じてデータで入手できるように今年からなったんですね。二、三年前から進めてきたんですが、今年は特にふるさと納税もそのポータルサイトから一気にダウンロードして自分でe―Taxにつなげることができると。こういうシステムができた、もうできているわけですが、私は、もう全員申告にすべきじゃないかといつも思っているんです。
やっぱり、先ほどおっしゃいましたように、年末調整がある、税務署に行かなくていいというのがやはり納税者の納税意識を弱めているというふうに思いますので、今は本当にもう簡単に、e―Taxをやればどんどんどんどん自動的に入れるデータを指示してくれますし、そこにアクセスしてボタンを押す、押すと全体が出てくるということになってきておりますので、非常にこのデジタルの、マイナポータルを活用した収入の把握、これができればこれを適正な社会保障につなげることができるので、先ほど中室先生からもあった、次の次のページにちょっと書いてあるんですが、給付付き税額控除のバイデンのやった制度、これ、要するに、フェーズアウトしていって高所得の人には配らない、しかし低所得のときには働けば少し増えていくと、こういうことで、非常に勤労のインセンティブが高まるし、フリーランスのように所得不安定な方の所得の安定化というのもできるんですね。
そういう意味で、こういう制度をつくるためには、どうしてもやはり収入をデジタルで把握することができていないと駄目なんですが、それがいよいよ日本でも昨今できてきたというところが私は非常に大きな進化だというふうに思っておりますので、このできた、このできていることを活用していかなる制度をつくるかということが必要だと思うんです。
一つだけ申し上げさせていただきたいんですが、例えば、この間十万円の給付でいろいろ問題になりましたが、あのときに、世帯でその所得を把握することが一つ課題になりましたですね。今、マイナンバー制度というのは住基ネットからつながれていますから、AさんとBさんが同世帯だということが分かるんですね。だから、それを活用すれば世帯所得も把握できるというような状況になっているんですが、しかし、じゃ、世帯とは何かとかというふうな議論がまた一方ではあって、なかなかそれがデジタルの世界に落とし込めないという状況がありますので、是非そういう制度の設計を、単にデジタルは基盤整備なのであって、その基盤を基に新しい制度をつくるんだと。例えば、世帯というものを定義して、どうやって世帯で給付をしていくかとかですね、そういった制度の設計が私は重要じゃないかというふうに思っております。
以上でございます。
この発言だけを見る →先ほどの私の資料の十一ページを開いていただければ有り難いんですが、十一ページは、マイナポータルを活用して、所得をどうやって情報を得て、それをどうやって申告につなげるかと、一番左の上にe―Taxの観点で税務申告のことが書いてあります。
これで、実は、この左の方に、左の下の方に、民間からの、例えば自分の働いている企業からの源泉徴収票、それから生保料控除、損保料控除とか、あるいは医療費控除のための資料とか、今全てこの民間送達サービスを通じてデータで入手できるように今年からなったんですね。二、三年前から進めてきたんですが、今年は特にふるさと納税もそのポータルサイトから一気にダウンロードして自分でe―Taxにつなげることができると。こういうシステムができた、もうできているわけですが、私は、もう全員申告にすべきじゃないかといつも思っているんです。
やっぱり、先ほどおっしゃいましたように、年末調整がある、税務署に行かなくていいというのがやはり納税者の納税意識を弱めているというふうに思いますので、今は本当にもう簡単に、e―Taxをやればどんどんどんどん自動的に入れるデータを指示してくれますし、そこにアクセスしてボタンを押す、押すと全体が出てくるということになってきておりますので、非常にこのデジタルの、マイナポータルを活用した収入の把握、これができればこれを適正な社会保障につなげることができるので、先ほど中室先生からもあった、次の次のページにちょっと書いてあるんですが、給付付き税額控除のバイデンのやった制度、これ、要するに、フェーズアウトしていって高所得の人には配らない、しかし低所得のときには働けば少し増えていくと、こういうことで、非常に勤労のインセンティブが高まるし、フリーランスのように所得不安定な方の所得の安定化というのもできるんですね。
そういう意味で、こういう制度をつくるためには、どうしてもやはり収入をデジタルで把握することができていないと駄目なんですが、それがいよいよ日本でも昨今できてきたというところが私は非常に大きな進化だというふうに思っておりますので、このできた、このできていることを活用していかなる制度をつくるかということが必要だと思うんです。
一つだけ申し上げさせていただきたいんですが、例えば、この間十万円の給付でいろいろ問題になりましたが、あのときに、世帯でその所得を把握することが一つ課題になりましたですね。今、マイナンバー制度というのは住基ネットからつながれていますから、AさんとBさんが同世帯だということが分かるんですね。だから、それを活用すれば世帯所得も把握できるというような状況になっているんですが、しかし、じゃ、世帯とは何かとかというふうな議論がまた一方ではあって、なかなかそれがデジタルの世界に落とし込めないという状況がありますので、是非そういう制度の設計を、単にデジタルは基盤整備なのであって、その基盤を基に新しい制度をつくるんだと。例えば、世帯というものを定義して、どうやって世帯で給付をしていくかとかですね、そういった制度の設計が私は重要じゃないかというふうに思っております。
以上でございます。
杉
杉久武#29
○杉久武君 非常に貴重な御示唆をいただきまして、大変にありがとうございます。
先ほど、今、フェーズアウトの話も少しいただきましたけれども、やはりこのデジタル的に所得の捕捉が遅れているという中で、やはりこの給付水準が、崖があるというのがどうしても日本だとスタンダードになってしまっている。
そのため、例えば配偶者控除のように、崖をなくしたのに壁の意識がやはり国民に残ってしまっているというのが私は非常に解決しなきゃいけない課題だというふうに思いますし、やはりこの、先ほども言いましたように、やっぱり一円違ってもらえないと、もらえるという形ではなくて、徐々に逓減させていくという、やはりきめ細やかな制度設計というものをつくっていくベースになっていくのがやはり正確なデジタルでの所得の把握だというふうに思いますので、今日いただいた御示唆も踏まえて取り組んでいければなというふうに思っております。
あと、続いて森信参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほど教えていただいたように、やはり我々自身もやっぱり中間層をどう支援していくかということを物すごく今テーマと考えております。
やはり、この二極化という話もありましたが、この強い中間層をやっぱりしっかり支えていくということが日本経済全体の発展につながっていくというように思いますが、私もまだ、今いろいろと若い皆さんと車座で対話をする機会を最近設けているんですけれども、やはり将来に対しての不安、特にやっぱり負担感の重さ、社会保険にしても税にしても、これが減ることはないだろうというやっぱり意識を持っているので、これをどう和らげていくのかというのがやっぱり大事なんじゃないかなというふうに思っています。
そういった中で、一つ我々まだ考えている最中ですけれども、やはりこの生活上の必要最低限のサービス、ベーシックサービス的な考え方ですけれども、それをやっぱり低廉化していくことも重要なんじゃないかなと思いますが、どうやってこの中間層の負担感を和らげていくのか、どういう対応が政策的に重要か、この辺りについて教えていただければと思います。
この発言だけを見る →先ほど、今、フェーズアウトの話も少しいただきましたけれども、やはりこのデジタル的に所得の捕捉が遅れているという中で、やはりこの給付水準が、崖があるというのがどうしても日本だとスタンダードになってしまっている。
そのため、例えば配偶者控除のように、崖をなくしたのに壁の意識がやはり国民に残ってしまっているというのが私は非常に解決しなきゃいけない課題だというふうに思いますし、やはりこの、先ほども言いましたように、やっぱり一円違ってもらえないと、もらえるという形ではなくて、徐々に逓減させていくという、やはりきめ細やかな制度設計というものをつくっていくベースになっていくのがやはり正確なデジタルでの所得の把握だというふうに思いますので、今日いただいた御示唆も踏まえて取り組んでいければなというふうに思っております。
あと、続いて森信参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほど教えていただいたように、やはり我々自身もやっぱり中間層をどう支援していくかということを物すごく今テーマと考えております。
やはり、この二極化という話もありましたが、この強い中間層をやっぱりしっかり支えていくということが日本経済全体の発展につながっていくというように思いますが、私もまだ、今いろいろと若い皆さんと車座で対話をする機会を最近設けているんですけれども、やはり将来に対しての不安、特にやっぱり負担感の重さ、社会保険にしても税にしても、これが減ることはないだろうというやっぱり意識を持っているので、これをどう和らげていくのかというのがやっぱり大事なんじゃないかなというふうに思っています。
そういった中で、一つ我々まだ考えている最中ですけれども、やはりこの生活上の必要最低限のサービス、ベーシックサービス的な考え方ですけれども、それをやっぱり低廉化していくことも重要なんじゃないかなと思いますが、どうやってこの中間層の負担感を和らげていくのか、どういう対応が政策的に重要か、この辺りについて教えていただければと思います。