憲法審査会

2025-05-07 参議院 全100発言

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会議録情報#0
令和七年五月七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     太田 房江君     松川 るい君
     星  北斗君     赤池 誠章君
     大椿ゆうこ君     福島みずほ君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     藤木 眞也君     越智 俊之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         中曽根弘文君
    幹 事
                臼井 正一君
                佐藤 正久君
                中西 祐介君
                山本 啓介君
                若林 洋平君
                熊谷 裕人君
                辻元 清美君
                谷合 正明君
                片山 大介君
                川合 孝典君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                衛藤 晟一君
                越智 俊之君
                加藤 明良君
                梶原 大介君
                片山さつき君
                小林 一大君
                古庄 玄知君
                田中 昌史君
                中田  宏君
                松川 るい君
                松下 新平君
                山本佐知子君
                吉井  章君
                和田 政宗君
                打越さく良君
                小沢 雅仁君
                小西 洋之君
                田島麻衣子君
                福島みずほ君
                水野 素子君
                伊藤 孝江君
               佐々木さやか君
                平木 大作君
                矢倉 克夫君
                浅田  均君
                柴田  巧君
                松沢 成文君
                上田 清司君
                仁比 聡平君
                山本 太郎君
                高良 鉄美君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       本多 恵美君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局選挙部長    笠置 隆範君
   参考人
       一般社団法人選
       挙制度実務研究
       会会長      大泉 淳一君
       一般社団法人選
       挙制度実務研究
       会理事長
       総務省管理執行
       アドバイザー   小島 勇人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(災害時等の選挙制度))
    ─────────────
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中曽根弘文#1
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、本日の審査会に、幹事会協議のとおり、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中曽根弘文#2
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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中曽根弘文#3
○会長(中曽根弘文君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、憲法に対する考え方についてのうち、災害時等の選挙制度について、本日の審査会に一般社団法人選挙制度実務研究会会長大泉淳一君及び同理事長・総務省管理執行アドバイザー小島勇人君を参考人として出席を求め、その御意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中曽根弘文#4
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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中曽根弘文#5
○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方についてのうち、災害時等の選挙制度について総務省から説明を聴取し、参考人の皆様から御意見を伺います。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本審査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、総務省から説明を聴取し、次に、大泉参考人、小島参考人の順にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 全体の所要は二時間を目途といたします。
 なお、御発言は、質疑、答弁とも着席のままで結構でございます。
 まず、総務省から説明を聴取いたします。笠置総務省自治行政局選挙部長。
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笠置隆範#6
○政府参考人(笠置隆範君) 座ったままでいいということでございますか。
 総務省選挙部長の笠置でございます。
 横置きの災害時の選挙制度という資料を用意させていただいておりますので、それに沿って御説明申し上げます。
 まず、一ページ目でございます。衆議院総選挙及び参議院通常選挙の期日についてでございます。
 衆議院総選挙及び参議院通常選挙は、憲法及び公職選挙法の規定に基づきまして選挙を行うべき期間が定まることとなりまして、その期間内の特定の日が選挙期日として閣議決定を経て公示をされるということになってございます。
 憲法には、衆議院の解散・総選挙についてのみ規定が置かれておりまして、それは第五十四条でございますが、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に衆議院の選挙を行うこととされてございます。同様の規定が公職選挙法の第三十一条の三項にも規定をされているということでございます。
 次に、衆議院の任期満了による総選挙につきましては、公職選挙法第三十一条一項及び第二項に規定がございます。原則としては、議員の任期満了が終わる日前三十日以内に行うとされてございます。ただし、その期間が国会開会中又は国会閉会日から二十三日以内に掛かる場合においては、国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行うこととなります。
 参議院の通常選挙につきましては、公職選挙法の第三十二条に規定がございまして、衆議院の任期満了選挙の場合と同様の規定ぶりとなっているということでございます。
 二ページ目でございます。ただいま御説明を申し上げました内容をイメージ図でお示ししたところでございます。
 任期満了による選挙を行うべき期間につきましては、①のように、閉会日から任期満了日までが五十四日以上離れている場合か、②のように、閉会日から任期満了日まで五十三日以内の場合かで選挙を行うべき期間が異なってくることとなります。
 ①のように、閉会日から任期満了日まで五十四日以上離れている場合には、原則どおり、赤い矢印の部分でございますが、の範囲でございますが、任期満了日前三十日以内が選挙を行うべき期間となります。②の場合、すなわち閉会日から任期満了日までが五十三日以内の場合には、閉会日から二十四日以後三十日以内の間、図の赤い矢印の範囲内で選挙を行うこととなります。閉会日によっては、任期満了後に選挙期日が設定をされるということもございます。
 ②の場合は、いずれも公職選挙法第三十一条あるいは三十二条の第二項に該当をする場合でございます。任期満了日まで国会の会期を設けることが可能であるということから、任期満了前三十日以内の原則を貫くとした場合、国会開会中に総選挙あるいは通常選挙の公示がなされる、で、選挙が執行されるということになります。そうした場合には、特に現職の議員の場合には、その議員としての職責を果たすためには選挙運動はできず、選挙運動に専念すれば議員としての職責を果たせなくなるという不都合な事態を避けるというのが第二項の例外規定の趣旨となってございます。
 次に、三ページ目でございます。国会議員の任期と選挙期日でございます。
 衆議院議員の任期は四年であること、参議院議員の任期は六年であることは憲法に規定をされているということでございます。衆議院の解散・総選挙の期日についても、先ほど申し上げましたけれども、五十四条で憲法に規定がございます。その上で、国会議員の任期延長と選挙期日に関する過去の質問主意書の答弁といいますか、そちらを御紹介申し上げます。
 下の方でございますが、こちらは東日本大震災が起こった平成二十三年のものでございます。統一地方選特例法により定められていた選挙期日で選挙を行うことが困難な東日本大震災の被災団体の選挙について、選挙期日の延期と任期延長を行うための特例法が制定をされましたが、それと同様に、国会議員についても選挙期日の延期と任期延長はできるかといったことを問われたものでございます。答弁といたしましては、下線部分でございますが、特例法を制定することにより、国政選挙の選挙期日を延期するとともに、国会議員の任期を延長することはできないとするものでございます。
 続きまして、四ページでございます。四ページ、こちらは先ほど若干触れましたけれども、地方選挙における選挙期日の延期と任期の延長を行うための特例法の概要でございます。
 平成七年、平成二十三年共に統一地方選挙の年でございまして、前年秋の臨時国会で統一地方選特例法が成立をしており、記載してあるよう、平成七年は、県、指定都市の選挙は四月九日、一般市町村の選挙は四月二十三日に、平成二十三年は、県、指定都市の選挙は四月十日、一般市町村の選挙は四月二十四日に選挙を行うと統一地方選特例法で法定をされていたところでございます。
 そうした中、阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災が起きまして、法定された統一地方選挙の期日に選挙を適正に行うことが困難な被災団体等につきまして、その選挙期日を延期をし、任期も延期した選挙期日の前日まで延長するとした特例法が制定をされたところでございます。こうした措置は、地方の首長あるいは議員の任期や地方選挙を行うべきかの定めがいずれも法律によっていることから可能であったというところでございます。
 五ページ目でございます。五ページ目は、繰延べ投票についてまとめたものでございます。
 繰延べ投票は、天災その他避けることができない事故により投票所において投票を行うことができないときに繰延べ投票を行うこととなるとされてございます。これは投票区の範囲で投票の日を延期するものでございまして、選挙の期日が変わるとか、選挙の期日が延期をされるといったものではございません。天災その他避けることができない事故とは、一般的には、火災等により投票所が焼失したときや投票所への交通が天災により途絶したときなど、投票所を開設することができない場合や選挙人が投票することができない場合が該当するものと考えられております。
 実際に、災害等が起こったり起こりそうな場合で投票日の投票や投票箱の送致に支障を来す状況が見込まれるときは、投票所の変更でありますとか繰上げ投票などを行うことにより、繰延べ投票とならないよう最大限取り組むこととなります。その上で、繰延べ投票が必要かを十分検討することとなろうかと思っております。
 なお、国政選挙における繰延べ投票につきましては、公職選挙法制定後、これまでに、記載のとおり二件ございました。いずれも、記載のとおり集中豪雨によるものでございまして、一週間後に投票が行われたというところでございます。
 六ページ目でございます。六ページ目は、災害時の避難者の投票機会の確保のための取組ということをまとめさせていただいてございます。
 災害時の選挙実施の具体的な方法につきましては個別の事情に応じて検討が必要となるわけでございますが、避難者の居所情報が把握できているといったことを前提に、①で避難者に不在者投票の方法等を周知する、②として避難者への選挙公報を送付をすると、③として避難先での当日投票所や期日前投票所を設置をするといったことが考えられまして、これらは東日本大震災でありますとか平成二十八年の熊本地震、また令和六年の能登半島地震の際に被災地で行われた選挙においても適宜実施をしてきたものでございます。
 なお、現在では、国政選挙の場合、都道府県選管のホームページに選挙公報といったものを掲載をいたしておりますので、このため、避難者への候補者情報の周知にこれは大きく寄与しているというふうに考えてございます。
 最後、七ページでございます。選挙人名簿でございます。
 選挙人名簿につきましては、公職選挙法施行令におきまして、市町村選管が選挙人名簿を電子データにより調製する場合には、当該名簿が滅失し、又は毀損することを防止するために必要な措置を講じなければならないと規定をされていると。また、これを受けまして、各選挙管理委員会におきましては、こうした規定等に基づいて、自治体の情報セキュリティー部門とも連携をしながら選挙人名簿システムのデータの滅失防止措置を講じているところでございます。
 また、選挙人名簿の管理事務、こちらは地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、いわゆる標準化法に基づく標準化対象事務に該当しておりまして、各市町村選管のシステムは、災害発生時のシステム復旧やバックアップ等に関し、総務省やデジタル庁で定めた要件を満たしたものに原則令和七年度までに移行する予定となってございます。移行後は、市町村の選挙人名簿管理システムはクラウドを活用し、同時被災のおそれがない遠隔地でバックアップデータを管理する仕様で運用されるといったことで、万が一被災地において名簿が消失するといったようなことがあったとしても、その再調製といったものは容易に行うことができると考えてございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
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中曽根弘文#7
○会長(中曽根弘文君) 次に、参考人の皆様から御意見をお述べいただきます。
 まず、大泉参考人にお願いいたします。大泉参考人。
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大泉淳一#8
○参考人(大泉淳一君) 選挙制度実務研究会の大泉淳一と申します。本日は、参考人として御招致をいただき、ありがとうございます。
 選挙制度実務研究会は、隣の小島理事長ら選管の経験者とともに、選挙管理委員会が業務を適正、円滑に推進できるよう、会員の選管からの質問に答えたり選挙管理に関する研修を行ったりしている団体です。
 本日は、災害と選挙について、総務省の説明とちょっとかぶるところもあると思いますけれども、御容赦いただきまして、簡単なものですがレジュメを用意しましたので、それに沿ってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、公選法は災害、天災をどれぐらい意識して作られているかということの観点から条文を見てみました。
 主なものとしては、選挙人名簿関係で、二十二条で天災その他特別の事情がある場合に登録日を変更するというもの、それから三十条では天災事変その他の事故により必要があるときと、先ほどよりちょっと重い書きぶりなんですけれども、条文的には選挙人名簿が消失したときなどに再調製する規定があります。
 投票関係については、まず、投票所は投票日の五日前までに選管が告示しなければいけないのですが、天災その他の避けることのできない事故によりその投票所を変更したときは直ちに告示することが定められています。
 また、共通投票所、これは投票日当日に決められた投票所以外でもその市町村の有権者であれば投票できるという投票所ですけれども、これと期日前投票所については、天災その他避けることができない事故により投票ができないときは、これらを取りやめたり早く閉じたりするという根拠規定がございます。
 次に、期日前投票と不在者投票については、投票日当日に投票できないと見込まれることが事由として必要なんですけれども、この事由として、天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であることが掲げられております。
 そして、繰延べ投票ですが、天災その他避けることができない事故により投票所において投票を行うことができないときなどについて、後日改めて投票を行うというものでございます。この規定は、開票や当選人を決定する選挙会などについても準用されておりまして、繰延べ開票あるいは繰延べ選挙会というものもあります。
 次に、選挙運動関係的な条文でございますけれども、天災その他避けることのできない事故その他特別の事情があるときにはポスター掲示場を設けないことができる、それから政見放送又は経歴放送が不能となった場合には行わない、あるいは選挙公報発行の手続を中止するなどの規定が置かれております。
 国政選挙における繰延べ投票の例、ちょっと先ほど説明が総務省からございましたけれども、公選法施行後は二回ですけれども、戦後といいますと三回ございます。
 一つは、公選法制定前の参議院議員選挙法に基づき実施されました、一九四七年、昭和二十二年の第一回の参議院通常選挙でございまして、投票日当日の四月二十日午前に発生した長野県の飯田市の大火によりまして投票所も焼失したりしまして、参議院議員選挙法にも規定されておりました繰延べ投票、再投票となりました。五日後の四月二十五日には戦後二回目の衆議院議員総選挙が予定されていましたので、これに合わせて参議院選挙も投票が行われたというのが一回目です。それから、一九六五年、昭和四十年の参議院議員通常選挙については熊本県で、それから一九七四年、昭和四十九年には三重県で、それぞれ水害により繰延べ投票あるいは再投票が行われました。
 参議院選挙は当時は全国区がありましたので、当落線上にある候補者あるいは六年議員と三年議員の境目になるような候補者が被災地に赴いて、投票日の前日まで選挙運動を行いました。被災者の反応も、この時期に選挙かという厳しい意見がある一方で、復興のために一票を投じたいというような意見があったことや、現場の選挙運動の様々な様子、さらには復旧を手伝う運動員の様子、まあちょっと買収罪とかどうなのかという懸念はありますけれども、そのようなものが報道されていたようでございます。
 備考のところですが、災害があったのにそのまま選挙を行った事例です。網羅的に調べてもちょっと分からないのですけれども、このほかにも大雨などにより投票が懸念された例はあったようでしたが、記憶にある限りのものとしてここに挙げました。
 一つは、一九九三年、平成五年の衆議院議員総選挙で、公示後に北海道南西沖地震が発生し、特に奥尻島では津波被害などが甚大でございました。しかし、現地では、投票所を変更するなどして選挙が予定どおりに行われたということがございました。また、二〇〇七年、平成十九年の参議院議員通常選挙でも、公示後に新潟県中越沖地震が起きたのですけれども、避難所も投票所に使用するなどして選挙が実施されました。被災された方々は大変な状況の下でしたけれども、現場の選管の方々始め関係者の皆様の大変な努力で選挙が実施されたということだと思います。
 当時の時代背景もあってのことだとは思いますけれども、こういうときにこそ、自分たちの代表者を選ぶという民主主義における選挙の重み、また、自分たちの投票がないと選挙区全体の当落あるいは代表者が決まらないといったことに対する何らかの責任感のようなものがあったのではないかと想像しております。
 次に、法律により選挙自体を延期した例としては、地方選挙については、総務省から説明のあったとおり、阪神・淡路大震災、それから東日本大震災の延期がございました。地方公共団体の議員及び長の任期ですけれども、国会議員と異なり法律マターでございますので、いずれの場合も任期は選挙の前日まで延長がされました。
 ちなみに、兵庫県内の団体はその後も統一地方選挙に参加していましたけれども、四月の選挙後、六月に任期が始まるというのはちょっと長過ぎるということで、二〇一七年、平成二十九年に任期を短縮することができる法律が成立しまして、それ以降、短くなっております。
 それから、東日本大震災時における実際の選挙の執行とその難しさにつきましては、実際に現場で携わられました小島参考人から詳しくお話があると思います。
 あと、災害に係る近時の公選法の改正について、ちょっと用意をしてみました。
 資料では、災害に関して、最近、公選法の改正があったということを幾つか挙げております。
 一つは、期日前投票、不在者投票の事由で、先ほど申しましたけれども、天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であることというのが加えられたことでございます。
 この背景としましては、二〇一四年、平成二十六年の十二月の衆議院議員総選挙の直前に各地で大雪が降りまして、集落が孤立した、あるいは交通が途絶したというような状況がございました。選管の中には、期日前投票を慫慂する者がある一方で、事由に規定されていないのに勧めることはいいのかとちゅうちょする選管もあったように記憶しております。
 二〇一六年、平成二十八年の法律改正によりまして、これが正面から認められるようになりました。それで、あわせまして、このような雪の害の場合などには途絶解消するまで期間を要しないということも実績としてあったことなので、繰延べ投票の場合には、それまで投票所の告示について五日前までというふうになっていましたけれども、雪などの関係が使えるときもあるのじゃないかということで、二日前までに改正されております。
 この期日前投票の事由の改正は、次の二〇一七年の、平成二十九年の衆議院議員総選挙が台風の襲来に見舞われたことから、期日前投票の慫慂などに効果を発揮したと思います。
 しかし、台風はそのとき去ったんですけれども、その後の暴風雨により、離島の投票箱が開票所の場所まで運べずに開票が遅れるなどの事態が発生しました。これに対応するために、二〇一九年、令和元年の改正によりまして、非常のときなどは離島の側にも開票所を設置することができるとして、そのルール、主なものとして開票立会人の選任の特例などが定められました。
 また、コロナ禍においては、宿泊施設や自宅などにおいて外出自粛要請を受けた有権者がおりましたが、これらの方々の投票機会を確保するために、二〇二一年、令和三年に特例法が成立して郵便投票ができるようになりました。
 また、ここには掲げておりませんけれども、二〇一七年、平成二十九年の衆議院の小選挙区の区割りの改定法において、分割市区が多く生じてしまったということもありまして、開票区の合同が入りました。これによって開票は同一選挙区内の他の市町村にも委託ができるようなことになったわけでございますけれども、災害時の選挙において、投票はできたけれども開票に人手が回らないというようなことがあれば、こういうときに利用ができるのかもしれません。
 これらは、いずれも、大災害に対応してというよりも、事務的な観点から選挙を円滑に執行するために、ある意味で技術的な改正であったのではないかと思います。
 最後に、災害と選挙について着目すべき点を、思っているところを述べます。
 総務省から説明にも重なりますけれども、まず、投票する人を管理しておかなければいけませんので、選挙人名簿を消失しないように、あるいはすぐに復活できるようにしておかなければなりません。他の行政情報も同様でしょうけれども、クラウドなどによって確保するようにしていかなければならないと考えてもおります。
 次に、投票を管理する人員の確保が必要です。
 被災自治体で独自に選挙執行ができないのであれば応援職員に頼ることとなりますけれども、選挙執行のやり方は各選管により微妙に異なると思われますので、例えば対口支援などが考えられておりますけれども、こういう場合には、団体が決まっているのでしたら、指揮命令系統も含めて事前に役割分担を決めるなどのことが必要だと思われます。また、投票所を含め、投票に必要な施設の確保も必要だと思います。
 さらに、有権者に対する便宜供与と情報の提供も必要です。
 東日本大震災に対しては、特例法に基づいて、通常の選挙期間、例えば町村でしたら五日間ですけれども、これを延ばして告示したという例もありました。また、それまで選挙公報を発行していなかった団体において、これを発行するようにした団体や、町村の区域外で避難した住民のための投票所をつくったというようなこともありました。
 また、熊本地震の際には、南阿蘇村で、住民がいつもの投票所ではなくて避難所近くの投票所でも投票できるようにということで、当時導入されたばかりの共通投票所制度を用いて、村内どの投票所でも投票できるような措置がとられました。このような既存の制度を生かして、できるだけ有権者に対する情報の提供と便宜供与を行うことが重要だと思います。
 最後になりますけれども、これまで災害に係る選挙では、さきに述べましたように、自分たちの代表者を選ぶという民主主義における選挙の重み、また代表者が決まらないことに対する責任感のようなものが選管職員や一部の有権者も含めて認識されておりまして、少しでも早く代表者を選出したいという意識が高かったと思われます。選挙が最優先だということは申し上げませんけれども、民主主義における選挙の重要性というモチベーションが今後とも保たれればいいと考えております。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございます。
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中曽根弘文#9
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 次に、小島参考人にお願いいたします。小島参考人。
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小島勇人#10
○参考人(小島勇人君) 一般社団法人選挙制度実務研究会理事長の小島勇人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、このような憲法審査に係る大変重要な場で御説明の機会をいただきましたことに感謝申し上げる次第でございます。
 私は、これまで、総務省選挙部の御要請により、平成二十八年の参議院議員通常選挙を控えて発災した熊本地震、昨年一月の能登半島地震、豪雨災害の被災地に総務省選挙部の担当の方とともに現地に赴き、状況を把握し、選挙の執行に向けた助言等を実施してまいりました。
 本日は、とりわけ象徴的とも言えます、私が川崎市選挙管理委員会事務局長として体験いたしました平成二十三年の東日本大震災における支援の状況につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 本日の御説明に関連する資料につきましては、お手元に御配付のとおりでございますが、資料一、都道府県選管連合会発行の「選挙」という月刊誌に掲載いたしました、私が事務局長を務めておりました川崎市選挙管理委員会事務局が行った陸前高田市への選挙支援の記録でございます。資料二は、被災地への人的支援に当たっての留意点をまとめたものでございます。資料三は、主な当時の新聞記事でございます。
 私は、これから御説明申し上げます東日本大震災における岩手県陸前高田市へ、その年の九月まで延期されました岩手県知事選挙、同県議会議員選挙、陸前高田市議会議員選挙の事前準備と選挙の執行支援のほか、福島第一原発の事故に伴って福島県会津美里町に避難しておりました楢葉町への投票事務、開票事務などにつきまして、都道府県選挙管理委員会連合会に協力をして支援を行いました。
 御案内のとおり、千年に一度と言われるような、東北地方から関東地方を含めた広域にわたり大津波等により未曽有の被害をもたらした東日本大震災には、原発の事故のものも含みますけれども、平成二十三年三月十一日に発災したことは記憶に新しいと思います。発災の当時、私たちは、目前に迫った四月十日の統一地方選挙を一か月後に控えて、市区選挙管理委員会ともその執行準備を急ピッチで進めていました。
 発災直後より、統一地方選挙の執行について、市民その他いろいろな方面から選挙管理委員会に向けられた意見、苦情、サジェスチョンは、被災地の大変な状況を見たときに復興復旧を最優先とすべきではないかというような意見を多く私たち川崎でも受けたところでございます。
 いろいろな意見、苦情等を受けながらも、私たち川崎市選挙管理委員会としては、とにかく目前に迫った自らの四月十日の選挙を無事やり遂げて、その上で、恐らく平成七年の阪神・淡路大震災当時のように延期になるだろう被災地の選挙としても支援をどうしてもしていこうと、そういう強い機運が高まっていたところでございます。
 仮に、統一地方選挙全体が延長になりますと、これ全国が延長になるわけですので支援ができないということになるわけでございますが、何としても私たちは四月十日には終えたいと、そういう一心で選挙の執行を準備して加速していったところでございます。
 そのような中、総務省選挙部では、四月十日及び二十四日に執行される統一地方選挙について、これも迅速な対応であったと思いますが、被災地の復旧復興に全国から派遣された自衛隊の隊員の方々、警察官、消防官の方々の不在者投票の事務に関する支援について、総務省での対応に当たるため、川崎市から不在者投票事務に精通した人員を派遣を行ったところでございます。
 これと並行して、延期された被災地での選挙に係る選挙執行支援に関するスキームをどのようにすべきかという検討に入ったという報に接しました。その後、総務省から、過去の災害等で既に行われていた大きいスキームで市町村職員を被災地の市町村に派遣しているものを参考にして選管職員を派遣できないか、この場合は派遣元は指定都市選挙管理委員会連合会では対応できるのか、対応できるとした場合、その窓口は指定都市選管連合会が適当なのかどうかという種々な意見を求められまして、その過程で具体的な支援事務の内容について俎上に上るという状況になってきました。
 また、指定都市選管連合会においても、各都市の委員長ないし委員の集まる会議におきまして、被災地選管より支援要請があったときは積極的に支援していこうという申合せを行ったということでございます。
 以上の要請がありまして、岩手県、宮城県、福島県の被災団体、自治体における統一地方選挙について臨時特例法が制定されまして、平成二十三年九月二十二日までの期限で延期が可能になったということでございます。
 これに伴い、岩手県は、県内の被災自治体と協議、調整を行った結果、大津波等による被害が特に甚大であった陸前高田市と大槌町について、選挙事務に精通した他都市職員による選挙執行計画の段階から長期支援があれば、県知事、県議会議員選挙の選挙とともに地元の自治体選挙も執行することが可能であるという判断をしまして、総務省選挙部に対しまして、これらの二つの自治体への応援要請の派遣について要請が行われたということでございます。この要請を受けた総務省から、都道府県連合会、指定都市選管連合会等に派遣の打診がなされたということでございます。
 既に私ども川崎市としては必ず支援に行くという意思を表明しておりましたので、総務省の動き等を含めて、直ちに市長、副市長、市選挙管理委員会に経緯や状況を説明して、その上で、陸前高田市への選挙事務に係る人的支援として、平成二十三年六月二十七日から九月二十二日までの約三か月間、選挙事務に精通した市職員、選管事務職員を四人ずつ二週間交代で派遣することに決定をいたしました。
 私自身も五回にわたり現地入りしましたけれども、その際、当時の総務省選挙部の管理課で担当しておりました、現在熊本県知事をやっておる木村敬氏も何回か一緒に現地へ入ったということでございます。当時の川崎市長は自治省出身の阿部孝夫氏でしたが、この市長への説明の際、市長から、できることは何でもやってくださいと、金の心配しなくていいと、そういうお言葉をいただきました。市長からいただきましたそのお言葉により、心置きなく、心配なく、何の心配もなくですね、支援に邁進することができたということでございます。こういった場面での派遣元のトップの心意気、非常に重要であると私は当事者として感じたということでございます。
 また、その後の要請に基づき、平成二十三年九月二日から同月十二日までの間、具体の執行に当たって、私ども川崎市の区選挙管理委員会から七人の職員を派遣をしたということでございます。
 当時の陸前高田市の執行体制でございますけれども、総務部長兼総務課長が充てられている選管事務局長がおります。そして、総務課の課長補佐が充てられている事務局次長の役割の事務局長補佐と、それから専任の選挙係長さんが一人いて、その係長が選挙執行事務のおおむね全ての部分をコーディネートしながら、十数人の選管併任の職員をマネジメントして選挙を執行していたということでございます。併任の方々は、グループごとに担当する分野を持ちながら、責任感を持って仕事に当たっていたということでございます。
 平成二十三年六月から現地に入った川崎市職員、法律知識、それからこれまでの豊富な実務経験を基に、陸前高田市の選挙係長を補佐しながら、併任職員のそれぞれの分野の事務のサポートを含め、側面から補佐をしたということでございます。
 大きく基本的な仕事は、とにかく全ての書類、物品はなくなっています。全てなくなっています。ですから、紙の書類は辛うじて委員さんが保管したのありましたけれども、まずそういった選挙執行に必要な書類のデータ化、それが最優先ということで、もう日々、派遣した職員はパソコンに向かってデータの復興に努めたということでございます。
 それからもう一つは、陸前高田市では三つ一遍の選挙の執行って初めてです。知事選挙、県議会議員選挙、市議会議員選挙、これ三つの選挙をやるということは初めての経験であったということでございます。川崎市ではもう当たり前で、四つ一遍も五つ一遍もやっているわけですけれども、地方に行きますと、二つの選挙はともかく、三つ、四つというのはなかなか経験がないということでございました。
 それからもう一つは、いろいろ復興しなければいけないものがありました。失権者名簿の復旧、他都市への照会、それから船員の選挙人名簿登録証明書の発行、不在者投票施設への周知、各証票の作成と選挙公報の事前審査、立候補届出関係書類の事前審査、そういったものがありました。
 これらに加えて特に重要だったのは、期日前投票システム、当日投票システムを三選挙同時執行に使えるように改修する作業がございました。これらのシステムは従前、陸前高田市の職員が開発したものを使っておりましたけれども、開発された職員の方は残念なことに津波でお亡くなりになりました。そして、細かいシステムのことを知っている職員は誰もいない状況になりました。そして、これ、システム業者で担当していたSEさんもお亡くなりになりました。
 このシステムにつきましても、本市から、川崎市から派遣した職員の一人がシステムを担当しており、かなり詳しかったことから、何とか使えるように実は改修して、期日前投票、当日投票に無事使うことができたということでございます。こういう派遣のときに、選挙関係等のシステムの知識を有する職員の派遣が不可欠であると、そういうふうに痛感したということでございます。
 それから、併任の職員の方が担当せずに選挙係長が直接担当する候補者関係、立候補届出受理関係の事務ありましたけれども、これらの事務は全面的に本市の派遣職員からサポートして行いました。それから、執行経費の計算、必要物品の手配、そういったものを全てやらさせていただきました。
 それから、お手元に資料二というのがございまして、被災地への選挙執行事務支援に係る人的支援の留意点というのを整理してございます。細かいことここでは御説明いたしませんけれども、いずれにしても、現地へ行って主体はどこかということになりますと、主体はあくまでも現地の選管職員です。ですから、あくまでサポートに努めるということ。あくまでもよその、ちょっと例えは悪いですけれども、よそのおうちに行ってお仕事するわけですから、勝手にたんすを開けたり戸棚を開けることできません。いずれにしても、そういった現地との意思疎通、それからある意味での信頼関係、そういったものが必要になるということでございます。
 細かいことはここに書いてございます。この資料は、私が今までの経験を整理したものです。ですから、大変これから参考にしていただければいいかなというふうに思っているところでございます。
 いずれにしても、派遣する側も派遣を受ける側も初めてのことということになりますので、相互の協力、信頼関係の構築、言わば二人三脚によって、また総務省の的確かつ丁寧な助言等により、この陸前高田への支援は無事終えることができたということでございます。
 冒頭述べましたけれども、千年に一度とも言われるような大震災、大津波により、選挙執行に必要な人、物に関する全てのものを失った被災地陸前高田市で、同市選管事務局と川崎市選管事務局と二人三脚で成し遂げた選挙の実行ということでございまして、本市の側からできるだけ詳しく記録として必要な資料を含めて残し、今後あるかないか、また、ないかもしれない、あるかもしれない、こういう事態に対処するため、幾ばくかでも全国の選管事務局諸兄の参考となればと思い整理したものが資料一ということでございます。
 資料一には実は三と四の続編がございまして、毎日何をしたかという記録、行って、毎日、三か月間毎日何をしたのかということの記録を全部資料として残してあるということでございます。
 最後に申し上げたいのは、支援に当たって、意識の高い選挙事務にたけた人材の育成、それから、このためには、支援する側となり得る全国の市町村選管の組織とマンパワーの充実を図る、そして、市町村選管、これも大変重要なことだと思うんですが、市町村選管への技術的助言をする都道府県選管の現場実務に対する理解、こういったものが必須であるというふうに思うわけでございます。
 地震等の災害の時期、場所、被害の状況は千差万別でございます。固定したマニュアルの策定はなかなか難しいと思いますけれども、先ほど来、うちの会長の方からも御説明がありましたとおり、公職選挙法、災害時の管理執行に関する選挙人名簿の再調製の問題ですとか、繰延べ投票、繰延べ開票、繰延べ選挙会、繰延べ選挙分会、ポスター掲示場を設置しない場合、政見放送や経歴放送を中止する場合、選挙公報の発行を中止する場合など種々な規定がございます。このほかにもたくさんあるわけでございます。
 いずれにしても、大規模災害等における選挙の執行に係る政府、都道府県選管、市区町村選管の連携による協力体制と、民主主義の根幹である選挙の管理執行に精通した人材の継続した育成が是非とも必要であろうというふうに思っております。
 東日本大震災による被災地陸前高田市における選挙区の管理執行事務への人的支援につきましては以上であります。
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中曽根弘文#11
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 質疑を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 なお、質疑が終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
 参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 それでは、質疑のある方は、二巡目以降の質疑を希望される方も含め、氏名標をお立てください。
 まず、一巡目は各会派一名ずつ指名させていただき、質疑時間は答弁を含め各八分以内といたします。
 佐藤正久君。
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佐藤正久#12
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。
 総務省選挙部長、大泉参考人、小島参考人の三名の皆様には、大変貴重な御説明、御意見をいただきましたこと、感謝申し上げます。
 それでは、早速、会派を代表して発言をさせていただきます。
 国民主権原理の下、国民の選挙権の行使の保障は極めて大事であり、緊急事態時においても国政選挙を行い得る体制の整備が重要です。ゆえに、これまで、災害等が発生した場合、まずは期日どおりに国政選挙を実施できるよう、災害後の避難者の投票機会の確保のために不在者投票や期日前投票など様々な既存の制度を工夫することで対応すべきと考えます。その上で、不在者投票や期日前投票等の工夫でどうしても対応できない場合には、公職選挙法第五十七条が定める繰延べ投票を行うことになると考えています。
 この繰延べ投票の期間ですが、国政選挙における過去の二例の繰延べ投票では、昭和四十年七月四日執行の参議院議員選挙では七日間の繰延べ期間となり、被災地では七月十一に投票が行われました。もう一つの例である昭和四十九年七月七日執行の参議院議員選挙でも七日間の繰延べ期間となり、被災地での投票は七月十四日となりました。このことから繰延べ投票は一週間の延期であると考える向きがありますが、この解釈はあくまでも過去二回の例が七日間の繰延べ期間であったということだけであり、やはり法律上限界があるのか、まずは条文にのっとって解釈すべきと考えます。
 そこで、総務省にお伺いします。
 繰延べ投票は被災地の国民の投票権を確保、保障する重要な制度であると考えますが、繰延べ投票創設時の議論やこれまでの政府答弁、あるいはこれまでの実施例などから、繰延べ投票はそのような制度趣旨であると考えてよいのでしょうか。その上で、繰延べ投票の期間についての解釈ですが、条文に即して法律上限界があると解釈すべきでしょうか。これらについてお伺いします。
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笠置隆範#13
○政府参考人(笠置隆範君) 公職選挙法第五十七条は、天災その他避けることのできない事故により投票所で投票を行うことができないときに繰延べ投票を行うと定めてございます。災害時におきましても有権者の投票の機会を確保することは重要でございまして、繰延べ投票や不在者投票の制度を活用することでそうした機会の確保に努めることとなると考えてございます。過去の国会答弁におきましても、そのような趣旨の説明がされてきたと承知をいたしております。
 また、繰延べ投票につきましては、何日以内に投票を行わせなければならないという法律上の定めはございませんで、選挙管理委員会が投票を適正に行わせることが可能であると判断をした時点で、選挙結果を速やかに確定させるという観点から、できるだけ早期に投票を行わせることとなるものでございます。
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佐藤正久#14
○佐藤正久君 ありがとうございました。
 繰延べ投票はまさに被災地の国民の投票権を保障する重要な制度であることから、できる限り柔軟な対応が可能となるような制度設計になっているのではないかと受け止めました。一方で、選挙の公平性等の観点から、今の制度設計のままでよいのかという考えもあるのではないかと思います。
 そこで、大泉参考人、小島参考人に質問いたします。
 選挙の公平性の観点を踏まえると、繰延べ投票となった対象地域における選挙運動の期間や選挙費用などに関して何らかの見直しに向けた検討も必要となるかもしれませんが、総務省や国会での勤務経験のある大泉参考人、また自治体において災害時の選挙アドバイザーとして御活躍されており実務の御見識も深い小島参考人は、この期間や選挙費用などについてどのようにお考えでしょうか。さらに、繰延べ投票制度の在り方に関しまして、災害の長期化等にも十分対応し得る制度となるよう更に検討すべき課題があれば御教示いただきたいと思います。両参考人にお願いいたします。
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大泉淳一#15
○参考人(大泉淳一君) 現在の繰延べ投票ですけれども、選挙運動の期間や選挙運動の費用に関しては、選挙運動期間は、先ほど事例で申し上げましたとおり、繰延べ投票の投票日の前日まで選挙運動をすることができるというふうにされておりますので、そういうふうになっております。また、選挙運動費用については、公職選挙法の百九十五条の規定を受けて、それから施行令が決まっておりまして、選挙運動に関する支出金額の制限額が一定額加算されるというルールになっております。
 これらの規定について見直しをするかということでございますけれども、繰延べ投票は、これまでの実績を見ますと、まさに選挙を早期に実施するという要請の下に必要最小限の範囲で何とか実施してきたというようなことだったと考えられます。言わば、通常の選挙執行体制の下で、その大きな枠組み、大枠を維持したままで、ある意味、例外的な便法を講じることによりまして一体として適正な選挙を実施するというものだと見受けられます。
 そういう意味からいって、繰延べ投票の見直しも必要でしょうけれども、もし災害が長期化、もし長期化するなどのことがございましたならば、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの教訓を基にして、必要な事項、例えば選挙人名簿の維持や人的、物的協力の在り方、あるいは避難者情報、これは個人情報に関わるものでもありますけれども、その共有する範囲、行政機関は共有してもよろしいんでしょうけれども、政見を訴える側の政党、候補者との関係でどうするのかというようなことなどにつきまして、立法かどうか分かりませんけれども、決めておくことが必要ではないかと思われます。
 したがいまして、先ほどの小島参考人の意見で指摘されたようなことなどを参考に、決めておくことを先に決めておくということが大事なんじゃないかと思います。
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小島勇人#16
○参考人(小島勇人君) まず第一点目の、繰延べ投票となった対象地域における選挙運動期間、選挙費用に関してでございますが、ただいま会長及び総務省選挙部長の方から御説明があったとおりでございますけれども、通常の場合、選挙運動期間は、公職選挙法百二十九条の規定により、公示日から選挙の期日の前日までとされておりますが、繰延べ投票が行われた場合、当該地域につきましては繰り延べられたその投票日をいうものと解されておりますので、繰延べ投票が行われる投票区の区域につきまして、繰延べ投票の前日まで選挙運動をすることができるものでございます。
 一方、繰延べ投票の場合の選挙運動に関する支出制限につきましても、既に御説明がございましたけれども、公職選挙法百九十五条の規定を受けた公職選挙法施行令百二十七条の二第四項の規定によって、当該選挙の事務を管理する選挙管理委員会が同条第一項から第三項までの規定に準じて算出した額の範囲内で定める額とされております。
 繰延べ投票が行われる投票区の区域におきましては繰延べ投票の前日まで選挙運動をすることのできるものでございますが、繰延べ期間の幅によりまして選挙運動費用は、各候補者の運動量にもよりますけれども、その増加は否定できないだろうというふうに思います。
 この繰延べ期間の選挙運動について引き続き認めることとするのか、それとも一定程度制限をしていくのか、規制をするとしてどのような規制が考えられるのかといったことが論点になろうかというふうに思いますが、その場合の結論につきましては、選挙運動の土俵の問題でありますので、各党各会派の皆様方の御論議が必要であろうと考えております。
 次に、繰延べ投票制度の在り方に関して、災害の長期化にも十全の対応をし得る制度となるよう更に検討すべき課題があればということでございますが、現行法の繰延べ投票制度を積極的にこうすべきだという考えを私から今お示しすることできませんけれども、被災の状況、施設の状況、マンパワーの状況、被災した地域の選挙人の環境、心情などを迅速にどうくみ上げるのか、その上で、どの程度の期間延長したら被災地以外の都市の選管から選挙の管理執行に関するスキルを有する人材による支援が期待できるのかという観点での検討も必要かと思います。
 もちろん選挙管理委員会だけでなく、災害復旧中の中で、投票所や開票所に使用されている施設への道路における障害物の除去等、これらの施設の復旧、そういったものも優先的な大事なことだと思います。
 以上でございます。
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佐藤正久#17
○佐藤正久君 選挙困難事態については、現行の繰延べ投票制度について有識者から意見を聴取し、議論を深めていくことが適当ではないかと申し上げたところであり、本日の審議は大変有意義であると考えます。
 以上です。
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中曽根弘文#18
○会長(中曽根弘文君) 小西洋之君。
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小西洋之#19
○小西洋之君 立憲民主・社民・無所属の小西洋之でございます。
 私からも、笠置選挙部長、大泉、小島両参考人の御説明に深く感謝を申し上げますとともに、皆様におかれましては、大震災を始めとする選挙の実施のために奮闘してくださっていたことに深い感謝と敬意を表させていただきます。
 私からは繰延べ投票を中心に、まず制度の基本について選挙部長に御質問をさせていただいて、その後、その運用等について両お二方の参考人に御質問させていただきたいと思います。
 まず、選挙部長に質問をさせていただきますが、繰延べ投票ですけれども、その制度の内容上、どうしても同時あるいは一斉に投票が行われない形態の選挙になるわけでございますけれども、こうしたものは憲法に違反する制度なのか、違反しないのか、端的にお願いいたします。
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笠置隆範#20
○政府参考人(笠置隆範君) 公職選挙法第五十七条、繰延べ投票でございますが、こちらは天災その他避けることのできない事故により投票所で投票を行うことができないときに繰延べ投票を行うということを定めてございまして、やむを得ない理由により投票ができない場合の方法を定めたこの五十七条の規定は憲法に違反するものではないと考えております。
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小西洋之#21
○小西洋之君 ありがとうございました。
 先ほどの佐藤筆頭幹事のと一部重なるのですが、二問目ですが、災害時における有権者の投票機会の確保という繰延べ投票の制度趣旨からすると、繰延べ投票の実施に当たり、災害規模や繰り延べる期間による法律上の制約はないということでよろしいでしょうか、笠置選挙部長。
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笠置隆範#22
○政府参考人(笠置隆範君) 五十七条の繰延べ投票でございますが、こちらにつきましては、災害の規模に関する規定もございませんし、何日以内に投票を行わせねばならないといった法律上の定めもないと。したがいまして、天災その他避けることのできない事故により投票所単位で投票を行うことができない場合に投票日を繰り延べるわけでございますが、選挙管理委員会が投票を適正に行わせることが可能であると判断した時点で、できるだけ早期に投票を行わせるということでございます。
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小西洋之#23
○小西洋之君 じゃ、続けて選挙部長に。
 次に、今の運用上の観点なんですけれども、被害が広範囲にわたっている、あるいはその選挙実施までに長期間を要するような災害では、繰延べ投票では対応できないのかどうかについて答弁をお願いいたします。
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笠置隆範#24
○政府参考人(笠置隆範君) 災害等によりまして投票所において投票を行うことができないことが見込まれる場合には、投票所の変更でありますとか期日前投票の活用、あるいは繰延べ投票を検討することとなると考えられますが、被害が広範囲であるということのみをもって繰延べ投票ができないということにはならないのだと考えております。
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小西洋之#25
○小西洋之君 ちょっと確認ですが、今は長期間を要する災害でもということでよろしいでしょうか。
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笠置隆範#26
○政府参考人(笠置隆範君) 被害の状況、態様によって繰延べ投票ができない、できるということにはならないと考えてございます。
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小西洋之#27
○小西洋之君 ありがとうございました。
 では、選挙部長に重ねてですが、当然のことだと思うんですが、念のための確認ですが、選挙の公示、告示日以降に投票の期日を延期する制度としては現行では繰延べ投票しかないという認識でよろしいでしょうか。また、これも確認ですが、投票所で投票ができない原因が公示、告示日以前に発生した災害の場合であっても投票を繰り延べることはできるという認識でよろしいでしょうか。
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笠置隆範#28
○政府参考人(笠置隆範君) 選挙期日の公示あるいは告示後に投票の期日を延期するものといたしましては、五十七条の繰延べ投票以外にはないということでございます。
 また、後段のお尋ねですが、災害の発生時期というお話でございますが、災害の発生時期問わず、五十七条の要件、天災その他の避けることのできない事故により投票所において投票を行うことができないときに繰延べ投票を行うというものでございます。
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小西洋之#29
○小西洋之君 ありがとうございました。
 では、小島参考人に伺わさせていただきます。
 この資料、私も事前に拝見させていただきまして、陸前高田などの被災地の選挙の実現、改めて重ねて敬意を表させていただきます。
 先ほど小島参考人の御発言の中でとても印象的に思いましたのが、これ統一地方選、大震災のときが例ですけれども、日本の選挙で、統一地方選全体が延長になると川崎市のような支援ができないと、なので川崎市としてはまずは自分たちの選挙を適切にこの期限までに終わらせることに頑張られたということなんですが、これ非常に重要だと思うんですけれども、大規模の災害が起きたときには災害を受けていない地域が着実に選挙を終わらせて、そのマンパワーで先ほどおっしゃったような支援を行うと、そういう取組をするということで考えたらよろしいでしょうか。もう簡潔に。
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