外務委員会

1959-12-21 参議院 全394発言

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会議録情報#0
昭和三十四年十二月二十一日(月曜
日)
   午前十一時一分開会
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  委員の異動
本日委員堀木鎌三君及び千葉信君辞任
につき、その補欠として後藤義隆君及
び大和与一君を議長において指名し
た。
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 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           井上 清一君
           剱木 亨弘君
           苫米地英俊君
           吉田 法晴君
   委員
           青柳 秀夫君
           梶原 茂嘉君
           後藤 義隆君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           加藤シヅエ君
           木村禧八郎君
           小林 孝平君
           森 元治郎君
           大和 与一君
           曾祢  益君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   外 務 大 臣 藤山愛一郎君
   大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   法制局次長   高辻 正巳君
   外務省アジア局
   長       伊関佑二郎君
   外務省アジア局
   賠償部長    小田部謙一君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
   大蔵省理財局長 西原 直廉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  説明員
   外務省アジア局
  南東アジア課長  影井 梅夫君
   運輸省船舶局長 水品 政雄君
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  本日の会議に付した案件
○日本国とヴィエトナム共和国との間
 の賠償協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とヴィェトナム共和国との間
 の借款に関する協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
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草葉隆圓#1
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、堀木鎌三君及び千葉信君が委員を辞任され、その補欠として後藤義隆君及び大和与一君が選任されました。
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草葉隆圓#2
○委員長(草葉隆圓君) 日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、
 日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件、
 以上衆議院送付の両件を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を続行いたします。
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曾禰益#3
○曾祢益君 まず、これは木村委員からまだ質問継続中の形になっておりますが、特別円の問題についてちょっとお伺いしたいのですが、この特別円の支払いと賠償との関係でございます。仏印に対する債務として、いわゆる特別円、あるいはいろいろな勘定がございますから、特別円以外にも金塊あるいはドルの支払いもあるわけでありますが、これ全体が必ずしも、何と申しますか賠償と同じ性質のものだとは私も主張するものではございませんが、しかしこの特別円の支払いが賠償の支払いとダブっておるところがあるような感じがするのであります。政府のお考えでは、この特別円の支払いと賠償との関係が全然ないものかどうか。この点について、一般的な抽象論でありますが、まず伺いたいのであります。
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藤山愛一郎#4
○国務大臣(藤山愛一郎君) 仏印特別円及び一般、まあいわゆる昭和十六年の日仏協定に基づきます清算関係と、それから賠償とは関係はございません。
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曾禰益#5
○曾祢益君 賠償の債務というものは、少なくともいつに開戦の日をとるか、これはいろいろ双方の主張が違っておりまして、結局政府の主張によれば、四十四年の八月二十五日、これが日仏間の開戦の日、従ってフランスあるいはフランスから分離したベトナムに対する日本の賠償の義務は、戦争開始以後から起算するという建前をもっておられると思うのでありまするが、その通りに解釈してよろしゅうございますか。
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藤山愛一郎#6
○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りでざいます。
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曾禰益#7
○曾祢益君 そういたしますると、特別円の方は、政府の主張によると、八月二十五日以前の日仏間の支払い等に関する協定に基づくフランスに対する債務。しこうして八月二十五日以後の日本の軍事行動、すなわち日本とフランス及びフランスから分離する国との間に起こった戦争に基づく一切の日本の債務━━賠償その他の向こうの請求権を含めて一切の債務は、全部賠償で支払う、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
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藤山愛一郎#8
○国務大臣(藤山愛一郎君) その点政府委員から御答弁いたさせます。
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高橋通敏#9
○政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の点でございますが、一九四四年の八月二十五日を起点といたしまして法律的には考える次第でございます。従いまして、法律的には、その八月二十五日以前は戦前債務でございますし、二十五日以後は一切の債務は放棄したと、御指摘の通りになるわけでございます。ただし、特別円に関しましては、これは日本とフランスとの間の債務でございます。すなわち、日本とフランスとの間で御承知の通り国家間のいろいろな約定がございまして、その約定に従いましてピアストルを日本政府に提供させ、そのピアストルによって現地の物資その他を調達、その他貿易に充てたという関係になるわけでございます。従いまして、そのピアストルの見合いとしての円、この円の関係は、日本とフランスとの間の債権債務として残るわけでございます。従いまして、法律的立場によりますと、八月二十五日以前はフランスとの間の金銭債務であり、八月二十五日以後はフランスとの関係におけるその債務の、法律的に言いますれば請求権の放棄と、こういうふうになるわけでございます。しかし、あくまで、それはフランスとの債権債務の法律的な解釈でございまして、それはフランスが放棄したというだけでございまして、それとそれ以後の現地の賠償とはこれは別問題である、このように考える次第でございます。
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曾禰益#10
○曾祢益君 どうも非常に御説明が、大へん失礼ですけれども、たどたどしくてよくわからないのですが、八月二十五日以前の特別円の支払いが、これが賠償の性質でない、戦争に基づくあれでなくて、まあ一種のいわゆる平和進駐ですか、軍事占領という実態をとってはおりましたけれども、とにかく日本とフランス国との協定によって生じた、これは別個の戦争による債務、すなわち賠償の性質を持たざるものだということは私も承認します。ですから、これは賠償の対象でない。しかし、一たん日本とフランス国との間に八月二十五日以後は戦争状態があった。しからば、フランスに払うか、フランスから分離したベトナム国に払うかはこれは別問題である、問題の本質じゃなくて、賠償の債務というものは、八月二十五日以後の事態について全部賠償の債務になるべきであって、八月二十五日以後についても特別円の支払いが残るということは、これはどうも筋道が立たないのである。しかも、それならば、特別にその債務があるとするならば、なぜ八月二十五日以後の一般債務はフランスから分離したところのベトナム国に払い、特別円勘定だけはなぜフランスに払うのか、その理由が明確にされなければならない。
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高橋通敏#11
○政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の点がございますが、私説明が不十分かと思いますが、御指摘の通り、戦前債務の点は、もう御指摘の通りでございます。ところが、特別円に関しましては、これはフランスから特別円を、フランスからピアストルを提供させまして、そうして現地においてそのピアストルが流通過程に入りまして、そうして現地の物資を調達したわけでございます。
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曾禰益#12
○曾祢益君 それはわかっております。
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高橋通敏#13
○政府委員(高橋通敏君) その関係におきましては、現地においてはそのピアストルがそのまま流通しておったと、こういうわけでございます。ただフランスのいわば一つの発券銀行と申しますか、国庫という立場において、フランスから、仏印銀行を通じまして、フランスがわれわれに提供した。ピアストルの見合いとしての円というのを、われわれはフランスに対する債務として考えて、その債務の面を、これをどう処理するかという問題でございます。従いまして、この債務の面だけを考えますれば、しかも法律的に考えますれば戦前の債務であり、戦後は放棄である。すなわちフランスとしましては、日本政府に対して、戦後の分は放棄したという日本側の立場に立ちますれば、そのような法律論も成り立つわけでございます。しかし、それと現実に流通した。ピアストルの問題、しかもそれに関連するところの損害、すなわち賠償という問題は私は別問題である、このように考える次第でございます。
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曾禰益#14
○曾祢益君 どうもわからないのですがね、八月二十五日以後の特別円勘定では、起こった日本の債務は、ピアストルを使ったために起こった特別円等の債務はこれはあるわけですね、それは戦争債務とは、賠償とは全然別の問題である、開戦後も。こういう考えですか。
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高橋通敏#15
○政府委員(高橋通敏君) そのように考えます。
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曾禰益#16
○曾祢益君 それでは特別円勘定はいつまが日本の債務として残るのですか、締め切りはいつなんですか。
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高橋通敏#17
○政府委員(高橋通敏君) その点は先ほどたびたびと申しますか申し上げておりますように、一九四四年の八月二十五日でございます。これが法律的に八月二十五日が開戦でございますから、わが方の立場といたしましては、戦前と戦後とを分けますと、この八月二十五日というところが基点になるわけでございます。
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曾禰益#18
○曾祢益君 起点じゃなくて終点というのですか、どっちなんですか。戦前のものは、八月二十五日以前のものはこれは戦争に基づく債権債務の問題ではない、これはあなたも僕も一致しておるわけです。八月二十五日以後のピアストルを使ったことによる日本の債務は、これはどっちの性質なのか、戦争による債務なのか、それとも全然別の債務か、戦前と同じように認めるのかということを聞いておるわけです。
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高橋通敏#19
○政府委員(高橋通敏君) 戦前と同じような債務でございます。しかし法律的に申し上げますれば、平和条約第十四条の適用でございまして、わが方から見れば、請求権をフランスに対して放棄させる、こういう理由が成り立つわけでございます。
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曾禰益#20
○曾祢益君 おかしいな。しかしフランスに対して債務が発生したのはこの特別円関係だけではない。何となれば、ベトナム国というのはまだできていないのですよ。従ってそれ以外の一般賠償も開戦の当時、すなわち四十四年八月二十五日においては日本がフランス国に対して負った債務なんですよ。そうじゃないですか。その債務をフランス国家から分離したベトナム国が継承しているということになるんでしょう。何も変わりはないじゃないか。
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高橋通敏#21
○政府委員(高橋通敏君) その点につきましては、このような債務はフランス政府と日本政府間の債務でございまして、国際法上の一般三原則といたしましては引き継がないのだという、こういう原則に立つものでございます。すなわちある国から一つの国が独立いたします場合でございますが、これは私申すまでもなく、一般的にいいましてその地方に結びついた債務と申しますか、鉄道であるとか、鉱山とか、そういうような債務、これは一般的問題として引き継ぐわけでございますが、このような債務は、これはフランス政府と日本、フランス対日本の債務でございますので引き継ぐというような問題は発生しない、むしろこれはフランスにこのような支払いをなしたあとで、フランスと現地とがどのような関係でこれを済ますか、こういう問題になるかと考える次第でございます。
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曾禰益#22
○曾祢益君 私が申し上げたのは、この債務も、開戦時以後の特別円の債務も、開戦時以後の一般戦争債務も、まず第一にはフランスに対する債務であったはずなんです。それがその後フランスからベトナム国が分離したために、大部分の債務は、日本の債務はベトナム国にフランスから継承されている、こういう形になるわけです。ところが特別円、開戦後の特別円勘定だけはなぜフランスに残るのか、これをあなたは国際法の一般原則だと言われますけれども、一体その分離国と元の母国との間の権利の継承、権利義務の継承がしかく明確に、こういう権利は必ず分離国が継承し、こういう権利だけは母国に残るなんかということについて明確に国際法の原則がありますか。
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高橋通敏#23
○政府委員(高橋通敏君) 御指摘の通りその点は非常に複雑かつ困難な問題でございます。これは御指摘の通りでございます。ただ、この特別円に関しましては、私はこれは政府間の債務でありまして、この政府間の債務を、今度は独立したあとで、または独立前に、フランスと、独立前でございますればフランス本国とその植民地でございますベトナム国、すなわちベトナムにおける仏印銀行とどのように処理をするか、また独立した場合には、今度はそのフランスと独立国とがどのような処理をしたかというのは、これはフランス対その地域の問題でございますので、われわれといたしましては、あくまでフランスと日本との債務といたしましてこれを解決した次第でございます。
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曾禰益#24
○曾祢益君 それならば、開戦後の特別円の支払いをフランスに対してやったことについて、ベトナム側はどういう見解をとっていましたか。
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高橋通敏#25
○政府委員(高橋通敏君) ベトナム側としましては、フランスは、実はフランス側といたしましては、一九四七年でございますが、この金額十五億でございます、たしか十五億と思いますがとにかく一九四七年にフランス本国とその現地における発券銀行であるフランスインドシナ銀行の債務と申しますか関係を、十五億を支払うことによって補てんいたしております。従いましてこの関係は、これによって、もう独立前に解決いたしておる次第でございます。
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曾禰益#26
○曾祢益君 独立がいつ始まったかということは、非常にいろいろ議論があるだろうと思いまするが、私の伺いたいのは、ベトナム国の方から、少なくとも開戦後の特別円の支払いをフランスにやることについて、いわゆる文句を言ってきたとか、抗議したとか、異議を申し立てたということはないのであるかということであります。
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高橋通敏#27
○政府委員(高橋通敏君) わかりました。その点は交渉の過程においてそのようなことを申してきたことはあります。しかし、われわれといたしましては、これはとにかくフランスとの関係であるからということにおいて、この点は拒絶いたしておる次第でございます。
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曾禰益#28
○曾祢益君 拒絶はしているかもしれないけれども、向こうが一体納得したのかどうか。向こうは特別円の支払いも、開戦後に関する限りは、やはりフランスと分離した国であって、ベトナムの方に継承権があるという建前だから文句を一言ったのじゃないですか。その点はどうなんですか。
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高橋通敏#29
○政府委員(高橋通敏君) おそらくそういう点も理由の一つであったと考えます。しかし、この関係は、われわれとしてはフランスとの関係であると、従いましてそのフランスとの関係を完済したのちに、今度はフランスとベトナムがどういうふうにするかということは、これはフランスとベトナムとの関係じゃなかろうか、こういう立場に立ちますものですから、これに対してはわれわれは応じられないということを向こうに申した次第でございます。
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