予算委員会

1964-03-16 参議院 全175発言

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会議録情報#0
昭和三十九年三月十六日(月曜日)
   午前十時二十五分開会
    —————————————
  委員の異動
 三月十六日
  辞任      補欠選任
   鹿島守之助君  櫻井 志郎君
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 出席者は左のとおり。
   委員長     太田 正孝君
   理事
           大谷藤之助君
           平島 敏夫君
           村山 道雄君
           藤田  進君
           山本伊三郎君
           鈴木 一弘君
           高山 恒雄君
           奥 むめお君
   委員
           井上 清一君
           植垣弥一郎君
           江藤  智君
           木村篤太郎君
           草葉 隆圓君
           木暮武太夫君
           後藤 義隆君
           郡  祐一君
           櫻井 志郎君
           杉原 荒太君
           田中 啓一君
           館  哲二君
           鳥畠徳次郎君
           山本  杉君
           吉江 勝保君
           亀田 得治君
           木村禧八郎君
           瀬谷 英行君
           羽生 三七君
           安田 敏雄君
           米田  勲君
           牛田  寛君
           渋谷 邦彦君
           須藤 五郎君
           林   塩君
  国務大臣
   法 務 大 臣 賀屋 興宣君
   外 務 大 臣 大平 正芳君
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
   厚 生 大 臣 小林 武治君
   通商産業大臣  福田  一君
   自 治 大 臣 早川  崇君
  政府委員
   経済企画政務次
   官       倉成  正君
   外務省移住局長 白幡 友敬君
   大蔵大臣官房財
   務調査官    松井 直行君
   大蔵省主計局長 佐藤 一郎君
   大蔵省主税局長 泉 美之松君
   大蔵省理財局長 吉岡 英一君
   文部省体育局長 前田 充明君
   厚生省環境衛生
   局長      舘林 宣夫君
   厚生省社会局長 牛丸 義留君
   厚生省児童局長 黒木 利克君
   農林政務次官  松野 孝一君
   農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
   通商産業省企業
   局参事官    馬郡  巖君
   自治大臣官房参
   事官      宮澤  弘君
   自治省財政局長 柴田  護君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  参考人
   海外移住事業団
   理事長     広岡 謙二君
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  本日の会議に付した案件
○昭和三十九年度一般会計予算(内閣
提出、衆議院送付)
○昭和三十九年特別会計予算(内閣
提出、衆議院送付)
昭和三十九年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    —————————————
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太田正孝#1
○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和三十九年度一般会計予算、昭和三十九年度特別会計予算、昭和三十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、引き続き質疑を行ないます。
 この際、おはかりいたします。渋谷邦彦君から、本日の同君の質疑に、参考人として、海外移住事業団理事長広岡謙二君を出席されたいと言っておりまするが、これを認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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太田正孝#2
○委員長(太田正孝君) 御異議ないと認めます。
    —————————————
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太田正孝#3
○委員長(太田正孝君) 木村禧八郎君。
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木村禧八郎#4
○木村禧八郎君 私は、三十九年度の国税及び地方税を通じての歳入面に焦点をしぼって質問をいたしたいと思うのであります。予算委員会では比較的、歳入面の質疑が少ないようでございましたので、歳入面に焦点をしぼって質問をいたしたいと思うのです。
 三十九年度の歳入予算の特徴として、四つの点をあげることができると思うのです。その第一は、自然増収が国の予算及び地方財政計画を通じて著しく大きいということであります。これはもう、いままで前例がない画期的な巨額な自然増収が見積もられているということであります。第二は、それとの関連におきまして国民所得に対する税負担率が非常に大きくなっているということであります。第三は、前年度の剰余金の繰り入れが激減しているということであります。第四は減税でございます。国税、地方税を通じて、これが実質的減税であるかないかは、これから質問してまいりますが、減税政策がとられているということ、この四点に特徴があると思います。したがって、私はこの四点について、これから質問をしてまいりたいと思います。
 第一は自然増収でございますが、国税におきましては三十九年度六千八百二十六億の自然増収が見積もられております。前年度は三千百三十一億でございますから、前年度の倍以上の自然増収が見積もられておる。地方財政計画におきましては二千五百八十九億の自然増収が見積られております。三十八年度は千二百七十四億の自然増収でございますから、これまた倍以上の自然増収が見積もられておるわけです。この自然増収については過大な見積もりではないかと、こういう批判があるわけです。もし過大に見積もられたといたしますれば、徴税強化の問題が起こってくると思うのです。歳入予算として、一応これだけ見積もれば、どうしたって、これだけを確保しなければなりませんから——歳入欠陥が生じてはたいへんでございますから、どうしてもそこに無理な徴税強化が起こる危険もあるわけです。そこで、そういう点を明らかにする必要があると思いますので、このような画期的な、国税、地方税を通じての自然増収が可能であるという見通しですね、その根拠を大蔵大臣並びに自治大臣から具体的に御説明を願いたいと思います。
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田中角榮#5
○国務大臣(田中角榮君) 国税に関して、私からお答えを申し上げます。三十九年度の自然増収六千八百二十六億は、前年に比べて非常に大きいように思われますけれども、御承知のとおり三十八年度の第二次、第三次補正の財源としました自然増収が二千億ばかりございます。でありますから六千八百二十六億という数字になりますけれども、当初に比べまして三十八年度のベースが二千億余大きくなっておりますので、三十八年度決算額からみますと、四千八百億程度の自然増収を見込んでいるわけでございます。この四千八百億程度の見積もりに対しましては、適正な見積もりだと、このように政府は考えているわけでございます。それは三十八年度の下半期の経済成長率が非常に高いということでありますので、三十九年度の成長率を名目九・七%とみましても、三十八年度下期の成長率の高いときの税収が三十九年度の上期の税収にずれ込むわけでありますので、そのような立場から計算をしますと、実質四千七、八百億の自然増収は見込めるというふうに考えているわけでございます。なお、税目別に十分積み重ねをいたして計算をいたしたものでございまするので、これが財源確保のために、徴税強化を行なうというようなことは絶対に考えておらないわけであります。
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早川崇#6
○国務大臣(早川崇君) 昨年、三十八年度に比べまして、三十九年は二二%自然増収がふえている計算になるわけでございます。この基礎は主として事業税、住民税の増収による見込みでございますが、国税の法人税、所得税の算出基礎、また最近までの課税及び収入の状況、今後の経済情勢の推移等を考慮して見積もったものでございまして、この程度の税収入は確保できるものと自治省といたしては考えているわけでございます。なお、個人所得課税関係、法人所得課税関係並びに財産課税関係につきましては、大蔵当局の見積もりました所得税あるいは法人税その他の算出基礎に勘案をいたしまして、地方税を算定いたした次第でございます。
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木村禧八郎#7
○木村禧八郎君 大蔵大臣、ただいま各税目別に積算をして積み上げたものである。その点、もう少し具体的に説明してもらいたい。
 それからもう一つ、租税の自然増収の見積もりの場合ですね、いろいろな見積もり方があるわけですね。弾性値を見る場合、あるいは限界租税函数、そういう計算のしかたがあるわけです、見積もりについては。したがって、三十八年度と三十九年度の弾性値をとった場合どうなるか。それから限界租税函数をとった場合どうなるか、三十八年と九年と。この二つについて御答弁願いたい。
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田中角榮#8
○国務大臣(田中角榮君) 御承知の、名目九・七%、実質七%のGNPの伸びを見ておるのでございます。国民所得に対して一〇・六%増、鉱工業生産九%、それから物価は、卸売りはほぼ横ばい、また消費者物価は、対前年度四・二%、年間を通じて三%、このように見ておるわけでございます。個人消費が一一・七%、こういうふうに見まして、雇用が大体四%増、それから申告所得税につきましては、営業が約一〇%、農業が五・八%、その他事業が一三%。法人税——法人につきましては、生産の伸びが一五・一%、九%伸ばして大体そういう規模になるわけであります。そういうような見方で見まして、直接税関係につきましては、いま申し上げましたように、三十八年に比べまして、雇用が約四%増、賃金水準九%の上昇を見ておるわけであります。申告所得につきましては、個人の営業所得が三十八年——前年に対して約一〇%増、農業所得に対しましては、いままで申し上げたとおりでございます。法人税につきましては、三十九年度の申告所得につきましては、三十八年度に対して一八%程度増加するものということで計算をしております。相続税等につきましては、最近における財産価格の推移を換算して計算をしたわけでございます。
 間接税その他印紙収入等につきまして申し上げますと、酒税につきましては百二十六万キロリットル、対前年度比八・二%増、ビールにつきましては百九十二万キロリットル、対前年度比一三%増と見込んで計算をいたしました。砂糖消費税及び揮発油税につきましては、砂糖については百六十九万トン、揮発油税につきましては、地方道路税を含めて九百七十五万キロリットルと見込んでおるわけであります。物品税につきましは、小型乗用車、テレビ、耐久消費財の売れ行きのしさいを見ながら三十九年度の動向を推算して決定をしておるわけでございます。入場税その他の諸税、印紙収入等につきましては、最近の実績を元にして計算をいたしてございます。関税については、最近における課税実績と今後の状態というものを基礎にして計算をいたしておるわけでございます。
 税目別の数字は、必要であれば、政府委員からお答えいたします。
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木村禧八郎#9
○木村禧八郎君 弾性値、限界租税函数は……。
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泉美之松#10
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。弾性値につきましては、国民所得に対する弾性値は昭和三十八年は補正後一・二九となっておりますが、三十九年度の予算は一・七九となっております。なお、念のために申し上げておきますが、租税全体の収入を弾性値なりあるいは限界負担率で算定することは、一つの方法ではございますけれども、木村委員御承知のとおり、国民所得に対する税収の弾性値は、そのときどきの経済情勢によりまして、はなはだしく動くのでございます。過去の例から申し上げましても、いま申し上げました弾性値は昭和三十一年には一・八一、三十二年には二・五九、それが三十三年には〇・四三、三十四年には一・一八、三十五年には一・七七、三十六年には一・五九、三十七年には一・四九、このように非常に変動いたしますので、これを用いまして、税収見積もりをいたすことは困難ではないかというふうに、私どもは感じておるのでございます。私どもは各税目別に積み上げ計算をいたしまして、——ただ、全体の税収も、はたしてそういった積み上げ計算が適正であるかどうかという一つのチェック材料といたしまして、弾性値なり、あるいは限界負担率を用いまして検討をいたしておるというのでございます。
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木村禧八郎#11
○木村禧八郎君 それから、限界租税函数はどうですか。
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泉美之松#12
○政府委員(泉美之松君) 国民所得に対する限界負担率は、昭和三十八年度補正後で申し上げますと、一八・一五でございます。これが三十九年度におきましては、二五・三四になります。
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木村禧八郎#13
○木村禧八郎君 この自然増収の見積もりの基礎になっている名目成長率九・七%ですか、それから物価四・二%、そういうものをもとにして計算すると、弾性値なり、あるいは限界租税函数から見ますと、このような大きな動きは出てこないように思われるのです。
 そこで、さっき大蔵大臣が言われましたが、三十八年は予想以上に景気がよかった。したがって、三十八年下期から三十九年の上期にかけての法人税等の増収があるわけですね。そういうものを見込むと、多少三十九年度の成長率なり、あるいは物価の騰貴率を基礎にして計算した場合に比べて、少しずれるわけですね。それで大きな自然増収が可能であると、こういう御説明であったわけです。ですから、機械的にいまの弾性値や、あるいは租税函数だけでは、三十九年度の一カ年分の平均値だけで計算はできないということはわかっておる。そこで、問題なのは、これは四十年になるとすると、今度は自然増収はそれと逆のことが起こってくるのではないか。三十八年の下期から三十九年の上期にかけての、非常に国民生産も高い。そこでかなり法人所得もあった。そこで三十九年度の自然増収もかなり多く見積もられる、ということはわかります。そうなると、今度は四十年度の自然増収を見積もる場合、今度は逆のことが起こるのであって、四十年度は自然増収はかなり減るのではないか。こう思われますが、その点はどういうふうに……。
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田中角榮#14
○国務大臣(田中角榮君) 理屈からいいますと、三十八年度の下期の高い成長率の分が三十九年度にずれ込んでおりますので、税収上は六千八百二十六億という数字が出るわけであります。そのためには、四十年度になると、今度そういう高い成長率ではない。九・七%、実質七%ということでございますから、自然増収は減るという議論になるわけでございますが、まあそれは率において減るということでありまして、対前年度比の金額から見ますと、前年度の決算ベースが大きくなっておりますので、七%ないし所得倍増の年次計画である平均率七・二%程度の正常な経済成長を続けるとすれば、私は、財政上必要な資金は確保できるという立場に立っておるわけであります。また同時に、三十九年度は特殊事情、いわゆる前年度剰余金が千八百億余の減になっておりますので、これは今年度の特殊な状況でございます。三十九年から四十年に、今度参りますと、この対前年度剰余金の千八百億余の減がないわけでございますから、今年度に見込んだ数字ほどのものが出ないとしても、予算編成上必要な財源は確保できるだろうということが常識的な見方でございます。
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木村禧八郎#15
○木村禧八郎君 その前に、もう一つ伺っておきたいことがあったのですが、今度の自然増収の見積もりは、従来の見積もりと違って、従来は補正財源を残すためにかなり余裕をもって見積もったように伺っておりますが、今度は、目一ぱいぎりぎり見積もったと、こう言われているのですが、そうしますと、補正財源についてはどういうふうにお考えなんですか。
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田中角榮#16
○国務大臣(田中角榮君) 今度の予算で新しく百億の災害予備費を設けたわけでございます。でございますから、災害等に対する予備費は、支出が必要であるという場合には、この予備費の中でおおむねまかなってまいりたい、このように考えているわけであります。しかし、そのほかになおいろいろな補正の要因が出てきた場合にどうするかということは、これは将来に起こる問題でございまして、まあ物価を押えたいという考えでございますし、そういう意味から考えて、いまの段階において補正の事態を予測して、補正が起きたらどうしますかということは申し上げられる段階ではない。とにかくいま三十九年度の本予算を審議をしていただいているのでございますから、補正等に対して的確に申し上げられる段階ではございませんし、補正に対するお答えを申し上げることは、本予算を審議していただいておる状態からいえば、申し上げるべきではないというふうに思います。
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木村禧八郎#17
○木村禧八郎君 例年必ずと言ってもいいほど補正が出る、また、今後物価その他を考えますと、補正の問題も起こらざるを得なくなってくると思う。四・二%物価が上がるということになっておりますが、三十九年度の予算については、四・二%の補正は行なわれておらないのです。いままで騰貴した物価に対する補正が行なわれておりますけれども、三十九年度自体の物価の値上がりについての補正は、税制の問題でも考慮されておりませんし、これまでの物価騰貴の分が補正されているのですから、当然三十九年度内の物価騰貴の調整の補正等も出ると思うのですが、当然補正財源が問題になってくると思う。しかし、本予算を審議している際に、補正のことについて大蔵大臣は言えない、それはお立場上言えないかもわかりませんが、そういう点は必ず私は問題になってくると思う。ここで私が問題にしたいのは、歳入面との関連において歳出の面が御承知のように非常に硬直性を帯びてきております。なかなかこれが弾力的な財政の編成ができないことになる。毎年々々自然増が非常に大きくなってくる。
 そこでこの際、大蔵大臣に伺いたいことは、これは大蔵委員会でも一応伺いましたけれども、毎年非常に硬直的に財政が膨張してきている原因は一体どこにあるか。今後この原因を明らかにして、これについての適切な措置を講じなければ、これは将来重大な問題になってくると思います。ですからこの際、この硬直的になってきて、非常に弾力性が失われてきている歳出の年々の自然増加が繰り返されているのですから、その原因は一体どこにあるか。それと今度は歳入との関係が問題になってくるわけです。そうしますと、普通の歳入ではまかなえないという問題が必ず起こってくると思う。そういうことについてやはりこの際われわれは、当面のこの予算ばかりでなく、かなり長期的な立場に立って、この三十九年度の予算も、その歳出についても歳入についても検討しなければならないと思いますから、その点についてこれは各方面でも非常に問題になっておりますから、はっきりと御説明を願いたい。
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田中角榮#18
○国務大臣(田中角榮君) 予算の硬直性というものが、旧来だんだんと議論をされきつつあるということは、御説のとおりでございます。この原因は一体何かということでございますが、俗に当然増経費といわれているようなものに関してでございますが、この一つは、人事院勧告におきましても、十月一日から施行いたしましたベース・アップが平年度化されるという問題が一つあります。
 それからもう一つは、法律に基づいて各種公共事業に対する五カ年計画を行なっております。道路五カ年計画、住宅の五カ年計画、それから下水道等の五カ年計画、港湾五カ年計画、治山五カ年計画、治水五カ年計画、こういう五カ年計画の法律で決定いたしましたものが非常に近来多くなっておるわけであります。でありますから、これらのものに対しては、年次計画どおり予算を配分しなければならないという意味からいうと、相当制約を受けておるわけであります。
 それからもう一つは、戦後新しい憲法のもと、国会重点主義になりましたので、まず税制等に対しては、税は法定主義であるということは、もう御承知のとおりでございますが、その他のものでもいわゆる予算編成というものを法律によって縛る、こういう風潮が非常に戦後とみに発達をしてきておるわけであります。そういう意味で何でも法律で政府は予算を盛らなければならない、また、その中でもって二分の一の補助をしなければいかぬ、この補助率は三分の二であるというふうに法定をされますので、そういうものが非常に予算を硬直性にするものだと、こういうことが言い得るわけであります。しかし、これは新しい憲法のあり方、国会及び行政府のあり方、予算編成権と国会とのあり方等の根本的な問題がありますので、方向としては非常にいいことであり、また、私のほうからいえば、予算編成の当事者は困ったことである、こういうことになるわけでございますが、これはまあ戦後の趨勢であって、私たちがどうすることもできない問題でございます。そういう意味で、だんだんと大蔵省でもってやり得る範囲というものは確かに少なくなっておるということは事実でございます。それだけではなく、ガソリン税のように目的税にする、こういう特別な制度ができてこようと、大蔵省は、その歳入財源に対しては何もすることができないということになるわけでございます。そういう意味でいろいろな問題はございますけれども、いま木村先生が言われたように、もう政府が予算を組めないような状態になるかというと、私は必ずしもそうではないというふうに考えます。ことしは六千八百二十六億のうち、前年度剰余金の減分千八百億を除いた約四千八百億の中で硬直性と俗に称されるものが一体どのくらいあるか、大体半分ぐらいある。こう言っていいと思います。特に法律でもってことしも医療費等を年度の途中から国庫負担率を上げる、こういうようなことになりますと、今後は国民健康保険、その他の家族給付というようなものが来年度は平年度化するわけであります。こういう意味で大蔵省としてはたいへんでございますが、可能な歳入一ぱい努力をして予算編成をしておるわけでございます。木村さんのような御発言を契機にして、予算の弾力性、効率性というようなことに対しては、やっぱり国会でも相当考えていただければはなはだ幸いだと、私自身も国会議員でありますから、なかなかむずかしい問題だと思います。しかし、どうにもならぬほど予算が硬直しているとは考えておらないわけであります。
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木村禧八郎#19
○木村禧八郎君 これは認識の程度で、そのくらいの認識の程度でいいかどうかは、問題だと思います。それは非常に大きな問題になると思います。いま大蔵大臣がおあげになった原因のほかに、物価騰貴の問題があります。これは非常に年々自然増収を大きくすると同時に、歳出のほうも毎年大きくしているわけです。あるいはまた、国庫債務負担行為が多くなる、継続費が多くなる、いろいろございます。この点については、もっと根本的に、たいしたことがないぐらいに考えるような御認識じゃ困ると思います。私は、予算が組めないほど歳出が硬直的になっていっているわけではございません。それは組めるでしょう。しかし、その結果、しわが寄るところがある。そうなると減税が困難になるという問題があります。社会保障のほうにしわが寄ってくるという問題もあるわけです。そういう問題意識で質問しておるわけですが、しかし、言葉じりをとらえて悪いようですが、あとで質問しようとしておったのですが、いまちょっと、ガソリン税は目的税であるとはっきり言われました。最近大蔵大臣は、この減税についても、ガソリン税を目的税だ、目的税だから別なんだということをしょっちゅう言われております。この際明らかにしてください。目的税じゃありませんよ。あなたがもしそう言われるならば、これは違法ですよ。
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田中角榮#20
○国務大臣(田中角榮君) 舌足らずでありましたから訂正いたします。ガソリン税は目的税ではございません。目的税式な税でございます。それから道路譲与税等は、これは目的税である、軽油引取税等の地方税は目的税になっておりますが、国税としてのガソリン税は、道路整備の財源に相当額を盛らなければならないということでありますから、目的税ではないということだけは申し上げておきます。
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木村禧八郎#21
○木村禧八郎君 まあ訂正されたからいいですけれども、あなたはしょっちゅうよそへ行って目的税目的税と言いますけれども、これは目的税以外だ、減税以外だといま訂正されましたから了承しておきます。
 次に減税の問題に移りたいのですが、まず最初に、いまの日本の、現時点での税負担は重いのか軽いのか、まずこの点大蔵大臣に伺いたい。
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田中角榮#22
○国務大臣(田中角榮君) まあ税負担は軽いにしくはないという気持ちであることは毎度申し上げておるとおりでございます。ヨーロッパの先進工業国等に比べればまだ重いということが正しいと思います。しかし、戦後何もない無資本の状態から、十八、九年の間にここまで国民の努力によって築き上げてきた日本の情勢、また、一般会計その他歳入要求が非常に強い、またそうすることによって将来への道を開こう、また開かなければならないという特殊な事情にある日本の状態を静かに見るときには、おおむねやむを得ざる妥当な行動であろう、このように思考しておるわけであります。
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木村禧八郎#23
○木村禧八郎君 大蔵大臣は、税制調査会の答申を尊重されるのか、しないのか、この点を伺いたい。
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田中角榮#24
○国務大臣(田中角榮君) 政府は税制調査会の答申は尊重するというたてまえでございます。
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木村禧八郎#25
○木村禧八郎君 そうしますとですね、いまの税負担が大体おおむね妥当だということを言われました。税制調査会の答申ではそういうことを言っておりません。戦前に比べても、諸外国に比べてもまだ日本の税負担は重いと、であるからかなり継続的に所得税の減税は行なっていかなければいけないという答申をしておるのです。三十五年度の答申もそうです、今度の答申もそうです。そうすると、大蔵大臣は一体税制調査会の答申をお読みになっているのですか。何か尊重していると言いながら、実際にはちっとも尊重しておらないのです。ただいままあ適当だ、妥当であるなんという、そんな考え方ですね。戦前と比べて——戦前は一二・九%じゃありませんか。そうでしょう。最低課税限だってうんと違うのですよ、うんと開きがある。私はそういう御認識では非常に問題があると思うのです。ちっとも答申を尊重してはおりませんよ。
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田中角榮#26
○国務大臣(田中角榮君) 答申は読んでおりますし、尊重いたしておるつもりでございます。戦前との問題でございますが、まあこれを、早く戦前並みになりたいという気持ちは木村さんと同じ気持ちでございます。しかし、戦前は世界の一等国といわれるような状態でございましたし、戦後は御承知のとおり、全くあの荒廃の中から立ち上がってきておるのでございます。確かに戦前の予算と戦後の予算は一体どうなのかということに対して、自分でもまじめに読んでみましたし、検討もしてみましたが、戦前には確かに二つの問題があります。一つは、非常に健全財政を貫いたということであります。もう一つは、その健全財政の乏しい予算の中の最もウエートを置かれたものが軍事費であったということであります。そういう二つの特殊性から、道路も、港湾もずたずたになってしまってどうにもならないような状態になったことは御承知のとおりであります。でありますから、戦後は、苦しい中からも、先進諸国になるべく早く追いつくように、社会保障もできるだけ拡充しなければならないし、その他いろいろな国の歳出負担になるようなものも、将来の日本のためにやらなければならないという特殊な歳出要求が出ておりますので、そういう意味では国民全体がある時期税負担が重いということは確かにあると思われますけれども、お互いが物価を抑制したり、日本の正常な経済成長率がだんだんと続いてまいりましたり、国際競争力がついたり、そうすることによって、将来、戦前にも劣らない、戦前より以上な軽い税負担まで持っていかなければならないという、そのためにこそ歳出もあるのでありますから、まあ、その間の事情は私が申し上げるよりも、木村さんのほうでよく御存じのはずだと思います。
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木村禧八郎#27
○木村禧八郎君 いや、事実を知っているとかいないとかという問題ではないのです。これによって国民の生活に非常に大きな影響があるから、その事実の認識のしかたが問題になる。大蔵大臣、戦前のことを言われましたが、もう一つ落としている。戦前の税負担率の軽かった一つの大きな原因は、公債に財源を求めておったということが一つあるわけです。したがって、今後御説明されるとき、そういう点もひとつお加えする必要があると思います。それだからといって、私はいまの税負担が、決して公債発行せよということじゃないのであります。戦前戦前と大蔵大臣仰せられますけれども、いまは戦前水準をはるかに鉱工業生産も抜いておるわけです。池田さんがしょっちゅう自慢するように、日本の成長率は世界にまれに見る大きな成長率を遂げ、資本の蓄積は非常に大きくなっているわけです。にもかかわらず、税負担が戦前よりも著しく重いわけです。それが問題です。十分にあなたは税制調査会の答申をお読みになっていると言いますけれども、昭和三十六年の答申をごらんになりますと、税制調査会の答申は、社会保障の点にも十分考慮を払い、諸外国の税制とも比較をいたし、各税目別に全部調べて、そうして総合的に判断した場合、大体二〇%程度の税負担率が妥当ではないかという結論を出しているわけです。もちろん機械的に二〇%にくぎづけすることは正しくないと言っております。実質的に所得がふえれば、税負担率もふえるのも妥当かと思われるけれども、しかし、現在の日本の税負担は、戦前に比べても、諸外国に比べても、著しく税負担が重い。だから当分の間は、大体二〇%程度の税負担率でいくべきであるということを言っておるのであります。しかも中山伊知郎氏は、三月六日の衆議院の大蔵委員会におきまして、自分は日本の国民所得に対する税負担が二〇%、この線を何も変えておらない、やはりその程度が適当であるということをはっきりと言われておるのです。ところが、三十九年度は、二二・二%、三十八年の二一・五%よりもかえって負担率が重くなっているのですよ。これは単に国民所得と税負担率とを機械的に比較をして言っているのじゃないのです。税制調査会では、各税目別全部洗っておる。社会保障との関係もちゃんと考えて、なおかつ、日本経済の現状では租税負担率は重過ぎるということを言っておるのです。ちっともこの答申を読んでおらぬじゃないですか。
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田中角榮#28
○国務大臣(田中角榮君) 答申はよく読んでおりますが、しかし、税制調査会の立場でお考えになったものと、ただ私たちのほうでは——税制調査会は歳出のほうは考えておらないのです。私は三十五年から確かに私も答申をずっと読んでみましたが、二〇%程度という答申に沿いたいということでございますが、今年度はこのままにしておきますと二二・八%になるわけであります。それを二千二百五十六億円——だんだん大きくなったわけです。初めは二千億に近く、二千億、二千億以上、二千百億、二千百八十億、こう御報告しているうちに、こうしてだんだんと御発言等もありますので、いろいろのことを検討しながら、三十九年度の減税でもって平年度二千二百五十六億円ぐらいになると思います。そういうふうになっておるのでございますから、私は税制調査会の、こういう減税案を提出しておる税制調査会の答申をまじめに尊重されておらぬ、こういうことを言えば言えると思いますけれども、私のほうから考えますと、このほかにたくさんの歳出要求を健全財政を守りながらまかなっていくのでございますから、二〇%でなければいけぬ、こういうふうにおとりいただきませんで、歳出の内容等も十分検討しまして、社会保障費も対前年度一般予算のワクが一四・二%しか伸びておらぬのに、社会保障費も二〇%以上も伸ばさなければいかぬし、道路とかその他も二〇%以上にしなければならぬし、住宅も一七%から二〇%にふやさなければいかぬしという、こういう状態を十分比べていただきますと、税制調査会の二〇%程度にとどめることが好ましいと、望ましいと、当時こういうことを言われたものと、今年度二二・一%税負担率がなっておるということがまあそう違わないのだなということをひとつ御理解いただければはなはだ幸いだと思います。私はやはり三十五年に二〇%と言われた税制調査会の答申に基づいて、この間中山さんが、いや、いまでも二〇%が好ましいと、こういうことを言われましたが、言われることはよくわかります。私もそうありたい、こう思っておるのですが、財政の事情その他を十分考えて、これが国民自体の将来のための投資でありますから、ある時期、私は二一%になり、二二%になるということはやむを得ないことではないか。私はまあ大体二〇%というものが二一、二%と、こういうところにお考えいただければまあいいのではないかというふうに考えます。
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木村禧八郎#29
○木村禧八郎君 私はなぜ租税負担率を問題にするかといいますと、税制調査会の答申の説明がありましたが、この負担率がきまって減税の規模がきまってくるのですよ。ですから一番これは基本なんです。減税を考える場合一番基本なんです。しかし、それも機械的に何も国民所得の何%というのではこれはまたあまり意味がないと思うのです。しかし、各税目別に洗い、しかも歳出を考え、社会保障のことも考え、あらゆる要素を考えて、なおかつ二〇%程度が、諸外国の税負担なり戦前の税負担を考えてその程度が適当だという答申なんですよ。ただいま、大蔵大臣は、税制調査会では、歳出のことをちっとも考えていない、というようなことを言われるが、ちゃんとやはりこの答申に書いてあるのですよ。たとえばですよ、公共投資の拡充や社会保障の充実といった財政支出の増加は、直ちに国民経済の発展や国民生活の安定につながるものであるから、その結果ある程度の税負担の増加をもたらすことも納税者としては忍ぶべき筋合いのものであろうということも書いてあるのです。政府が、少し税負担が重くなってもよろしいという根拠としてあげていることも、十分に全部総合的に勘案して、しかも税負担率は大体日本のいまの現状としては二〇%程度がここ当分の間は、その程度が適当であるという答申なんです。十分読んでおらないじゃありませんか。支出のこともちゃんと考えておるのです。
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