外務委員会

1965-06-01 衆議院 全89発言

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会議録情報#0
昭和四十年六月一日(火曜日)
   午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 安藤  覺君
   理事 野田 武夫君 理事 毛利 松平君
   理事 戸叶 里子君 理事 帆足  計君
   理事 穗積 七郎君
      菊池 義郎君    竹内 黎一君
      濱野 清吾君    福井  勇君
      三原 朝雄君    森下 國雄君
      石野 久男君    黒田 寿男君
      松本 七郎君    永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  永田 亮一君
        外務事務官
        (アジア局長) 後宮 虎郎君
        外務事務官
        (北米局長)  安川  壯君
        外務事務官
        (欧亜局長)  北原 秀雄君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (大臣官房外務
        参事官)    西堀 正弘君
        外務事務官
        (大臣官房国際
        資料部外務参事
        官)      上川  洋君
        外務事務官
        (情報文化局文
        化事業部長)  針谷 正之君
    ―――――――――――――
五月二十八日
 委員加藤進君辞任につき、その補欠として川上
 貫一君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
 委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として勝
 間田清一君が議長の指名で委員に選任された。
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件(日韓問題等)
     ――――◇―――――
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安藤覺#1
○安藤委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。
 石野久男君。
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石野久男#2
○石野委員 きょうは最後で、大臣の時間もないそうで、たった二十分しか割り当てられておりませんので、端的にお聞きしますが、日韓交渉の問題で、韓国の側から申し出の旗国主義のことで、だいぶん問題が難航しているそうですか、その後の事情を、この問題についてどういうふうになっているか、御説明願います。
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椎名悦三郎#3
○椎名国務大臣 アジア局長から申し上げます。
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後宮虎郎#4
○後宮政府委員 事実問題でございますので、大臣のお答えになります前に経過を申し上げますと、この前の外務委員会で大臣からお答えがございましたように、合意事項と必ずしも一致しないような修正意見を韓国側から申し入れてまいりましたので、いろいろその後公私の会合を通じまして、そういう態度では交渉を進められないからということで強く反省を求めて押し返しておる段階でございまして、まだ遺憾ながら先方がはっきりと各点について合意事項と矛盾する点を取り下げてくるというところの確証を得るに至っておらないというのが実情でございます。
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石野久男#5
○石野委員 時間がありませんから理論的なことはあまり言いませんが、そういう事情の中で、高杉・金会談によると、仮調印から正式調印までの日程が、およそ六月の中旬ころには正式調印にいくのじゃないかということがよく流布されております。外務省は大体そういうようなスケジュールでこの正式調印の問題を運ぼうとしておるのですか。大臣にひとつお聞きしたい。
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椎名悦三郎#6
○椎名国務大臣 できればということでございます。しかし、実際問題としては、いまのような漁業問題の進捗状況では、いかにスケジュールを定めてみたところでそのとおりにいかないのではないかと心配しております。
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石野久男#7
○石野委員 共同コミュニケを発表したときには、双方ともに非常に満足であるということを発表しておるし、大臣もそういうふうに言ってこられた。その中に旗国主義などみな入っておるわけです。それが、ただ一月もたたない間に、旗国主義については向こうから苦情が出てくる。こういう事情は一にかかって韓国の内部に日韓会談に対する反対の強い力があるということを証明しておると思います。私は時間がありませんからそれらの韓国の内部事情がどうあるかということはここで多くを申しませんけれども、問題は、そういう事情の中で朴正煕がアメリカに行きジョンソンと話し合いをする、そして日韓会談の正式調印の時期を非常に急がれておるというような情報も聞いております。そのようなことから、実質的には事務折衝の中でもかたまりのないものを政治的な立場から日韓会談正式調印ということが国会の終了後早急に行なわれるとするならば、外交上非常に疑義を残し、日本と朝鮮との友好関係の将来にとりましてもいたずらに問題を残すことになるのじゃないかということをわれわれは憂えておるわけです。そこで、双方に完全な意思の合致がないままに、むずかしいところがあってもあとで何とかまとめようじゃないか、正式調印だ、批准だというような会談の進め方というものは、これは私はよくないと思うのです。この際大臣に重ねて聞いておきますが、少しぐらいの考え方の違いがあってもとにかく正式調印にこぎつけて批准を日韓双方で強引に押しまくってしまうというような態度を今日おとりになっていられるかどうか。この点について、特にこの問題は、休会後われわれが議会を離れて、参議院選挙のさなかにおそらくそういう双方の話し合いというものは進んでいくだろうと思いまするので、私はこの辺に対する政府の明確な考え方というものを聞いておきたいと思う。大臣からひとつ御所見を承りたい。
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椎名悦三郎#8
○椎名国務大臣 もちろん、疑義を残したままで、当座を多少ごまかして、かけ足で正式調印にこぎつけるというような、そういう考えは私どもはとりたくない、やはり将来にそういういざこざを残さないように十分に踏み固めてまいりたい、こういう考え方でございます。したがって手間どっておる、こういう状態でございます。
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石野久男#9
○石野委員 重ねて聞いておきますが、イニシアルを取りかわした問題でも双方の見解が根本的に違っているような場合、いまのようなそういう旗国主義の問題なんかで双方の見解が非常に違っている、そういうようなものが残されたままで正式調印というようなことになることは将来のためによくないとわれわれは思っておる。ですから、政府がイニシアルを取りかわした問題で双方の見解が根本的に違っている場合には調印なんかすべきでないというふうに私は考えるのだが、外務大臣はその点はどういうふうにお考えになっておりますか。お急ぎなのでございましょうかどうか。
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椎名悦三郎#10
○椎名国務大臣 合意事項に関して根本的に違っているというふうに私は報告を受けておりません。こっちはいかにいろいろなことを考えながら取りきめたとはいうけれども、しかし、実際問題というものはそれ以上に複雑多岐な様相を示すものでございます。先般のイニシアルを取りかわした問題はごく大体の方針を定めたものである。であるから、これを補完するという意味における新たな論議は、これは喜んで応ずるけれども、補完ではなくて旗国主義の原則に多少なりとも抵触してくる、あるいはこれを修正するというような考え方は、これは絶対に譲れない、こういう考え方をとっておるのであります。根本的にもうこれを修正するというような、そこまでの何はございません。その点は御了解を願いたい。
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石野久男#11
○石野委員 わかったようなわからないようなことなんですが、旗国主義の問題では根本的に考え方が違っていないんですね。違っていなければけっこうなんです。もし根本的に、基本的に違ってくるような場合には、政府としてはそんなことの上に立って調印などに入っていくということはないのでございましょうね。考え方の上に根本的に双方で違っているということが明確になっている場合に調印なんかしないでしょうね。
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椎名悦三郎#12
○椎名国務大臣 もちろんです。
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石野久男#13
○石野委員 わかりました。では根本的に違っているような場合には調印はしないように私たちはしていただきたい。
 そこで、お尋ねしますが、外務大臣は、三月十九日に韓国政府が発表した韓日会談白書を読んでおりますか。
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椎名悦三郎#14
○椎名国務大臣 私はまだ読んでおりません。
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石野久男#15
○石野委員 アジア局長、どうです。
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後宮虎郎#16
○後宮政府委員 御承知のとおり、膨大な白書でございまして、私もざっと一応は目を通したということでございます。
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石野久男#17
○石野委員 訳抄は世界週報に出ておるわけです。私はここに原本を持っております。ここで問題になるのは、私は時間がありませんから基本的な問題だけ伺いますが、基本条約に関係するところで、これは韓国の政府が発表しておるものです。その政府が発表しておる問題の中で、日本の側と韓国の側とで食い違いがあると思うのですが、アジア局長は、これをざっと読んで、この白書についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
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後宮虎郎#18
○後宮政府委員 もちろんわれわれの了解するところと一〇〇%一致しているというところばかりではございませんが、やはり韓国側から見た日韓交渉の経緯、あるいは韓国側が国民に説明するときにはこの程度のことを言わなくてはいけないのかというような印象を受けたところが正直なところです。
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石野久男#19
○石野委員 この基本条約の第二条、第三条は、外務大臣がソウルに行ってこの基本条約の仮調印をしました当時からわれわれは問題にしておるところなんです。まず、この条約の第二条の「もはや無効であることが確認される。」というこの問題の考え方について、政府の見解と韓国の側の見解は、韓国政府が発表したこの白書によれば基本的に違うというふうに見られるわけです。アジア局長は、との白書の示している点についてどういうふうにお考えですか。
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後宮虎郎#20
○後宮政府委員 御承知のとおり、先方は当初から、ああいう併合条約等は初めから無効であった、なかったのだという表現をとることを主張いたしました。わがほらは、それは国際先例・法理にも反するのでということで、いろいろ表現につきまして最後まで話し合いがつかなかったのでありますが、最後の段階で「もはや」という字句が入ったことによりまして、ともかくその「もはや」という文句にすることに両方が合意しましたことによって、法理的には、これは一たんは有効に成立したものだという日本側の立場は貫かれたものだというふうに了解しております。先方が国民感情その他の上から法理論以外の説明はいろいろいたしましょうが、法理諭としてはわがほうの立場は貫かれた、そういうふうに了解しております。
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石野久男#21
○石野委員 韓国の側は、この「もはや」ということばは最初からなかったのだという見解をとっておるわけです。そして白書はそのことをはっきり言っておるわけですね。ですから、局長の言うのとは違うのです。その点について局長はどういうふうに考えておりますか。
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後宮虎郎#22
○後宮政府委員 日本側に関する限りは、いろんな経緯がありまして、結局、「もはや」オールレディという文句になりましたときに、これは一たんは有効に成立したものだという立場を先方も認めての上であったというふうに了解しておるわけでございます。
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石野久男#23
○石野委員 韓国の側はそういうようなことは言ってないのですよ。もう最初からそういうものはなかったのだということを言っておるわけです。ですから、この問題についての考え方は、これは韓国のほうではこういうふうに言っておるのですよ。「まず、該当する条約および協定に関しては、一九一四年八月二十九日のいわゆる韓日合併条約とその以前の大韓帝国と日本帝国間に締結されたすべての条約、協定、議定書など名称のいかんを問わず、国家間合意文書はすべて無効であり、また政府間に締結されたものであれ、皇帝間に締結されたものであれ、無効である。無効の時期に関しては、無効という用語自体が別段の表現が付帯されない限り原則的に当初から効力が発生できないものであり、もはやと強調されている以上、遡及して無効である。」と、こう言っておるわけです。だから、日本の政府の側と韓国の側との考え方が百八十度違うのです。根本的に違うのです。これはお認めでしょう。これは韓国政府が出しておる書類なんです。この訳文は違いますか。
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後宮虎郎#24
○後宮政府委員 先方がそういうふうに解釈し、国民のほうにそういうふうに説明しておることは承知しております。ただ、法理論的に申しまして、たとえば、あのときに成立いたしました条約・協定に基づいて韓国王室に対する待遇の問題とかいろいろなことを日本が実施してきている、それを全部御破算にしろとかなんとかいうことまでは先方も言っておりませんので、法律上の権利義務の問題としては、日本側の、一たんは有効に成立したという立場に立っているというふうに了解しているわけであります。
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石野久男#25
○石野委員 大臣にお聞きしますが、条約を締結するにあたって、双方の見解が違ったものを一つの文章として条約を締結することを、日本外務省は常に考え方の基底に置いているのでございますか。
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椎名悦三郎#26
○椎名国務大臣 両方の解釈が違うということはまあ万々あり得ないように仕組まれておるのでありまして、そのために、日韓両文について疑義があった場合には英文によってその疑義をただすということになっております。私どもはあくまで、法理論的には一たん有効に成立し、そして事実関係もそういうふうな経路をたどっている、そして今日においては無効になっておる、効力を失なっておる、こういうふうに解釈しております。
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石野久男#27
○石野委員 法理論的には成立した、事実関係ではどうだこうだというような言い方はおかしいのですよ。向こうは政府機関が正式に国民に対してこういうように白書を出しているわけです。これは国民に対してだけじゃなくて世界に対して出しておるわけです。その説明の中では、第二条の規定については当初から無効だということを言っておる。日本のほうではそうじゃないと説明しておる。もし韓国の側の説明が正しいとするなら、日本の政府は国民をだましている。日本の政府の説明が正しいとするなら、韓国政府は韓国の国民をだましている。両国の政府がお互いに国民をだましながら条約を締結するということは、これは無効ですよ。こんなことはあってはいけないと思うのです。第二条は、もう明らかに日本の政府と韓国の政府との間の見解は百八十度違っております。こういう中で基本条約がそのまま調印されるということは、絶対に許さるべきことじゃないと思う。
 また、この第三条について、政府は韓国政府の出している見解をどういうふうに理解し、また、見ておられますか。
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後宮虎郎#28
○後宮政府委員 韓国側のほうは、この条文の後半のほうにあります「朝鮮にある唯一の合法的な政府」という点、そこを非常に強調して読んでいるように了承しております。
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石野久男#29
○石野委員 韓国政府は、韓半島における唯一の合法政府だということを確認する条項だ、こういうふうに言っておりますね。そうでしょう。
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