日韓条約等特別委員会

1965-12-03 参議院 全426発言

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会議録情報#0
昭和四十年十二月三日(金曜日)
   午前十時五十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月三日
    辞任         補欠選任
     曾祢  益君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺尾  豊君
    理 事
                大谷藤之助君
                久保 勘一君
                草葉 隆圓君
                長谷川 仁君
                松野 孝一君
                亀田 得治君
                藤田  進君
                森 元治郎君
                二宮 文造君
    委 員
                井川 伊平君
                植木 光教君
                梶原 茂嘉君
                木内 四郎君
                黒木 利克君
                近藤英一郎君
                笹森 順造君
                杉原 荒太君
                園田 清充君
                田村 賢作君
                中村喜四郎君
                日高 広為君
                廣瀬 久忠君
                柳田桃太郎君
                山本茂一郎君
                和田 鶴一君
                伊藤 顕道君
                稲葉 誠一君
                岡田 宗司君
                小林  武君
                佐多 忠隆君
                中村 英男君
                羽生 三七君
                横川 正市君
                渡辺 勘吉君
                黒柳  明君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
                岩間 正男君
                市川 房枝君
    国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大臣  石井光次郎君
        外 務 大臣  椎名悦三郎君
        文 部 大臣  中村 梅吉君
        農 林 大臣  坂田 英一君
        通商産業大臣  三木 武夫君
        国 務 大臣  松野 頼三君
    政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        防衛庁長官官房
        長       海原  治君
        防衛庁防衛局長 島田  豊君
        防衛庁教育局長 宍戸 基男君
        防衛庁人事局長 堀田 政孝君
        防衛庁経理局長 大村 筆雄君
        防衛庁装備局長 國井  眞君
        防衛施設庁長官 小幡 久男君
        法務省民事局長 新谷 正夫君
        法務省刑事局長 津田  實君
        法務省入国管理
        局長      八木 正男君
        外務省アジア局
        長       後宮 虎郎君
        外務省北米局長 安川  壯君
        外務省経済協力
        局長      西山  昭君
        外務省条約局長 藤崎 萬里君
        文部大臣官房長 安嶋  彌君
        文部省初等中等
        教育局長    齋藤  正君
        農林大臣官房長 大口 駿一君
        水産庁長官   丹羽雅次郎君
        水産庁次長   石田  朗君
   事務局側
        常任委員会専門
        員       増本 甲吉君
        常任委員会専門
        員       結城司郎次君
        常任委員会専門
        員       坂入長太郎君
        常任委員会専門
        員       渡辺  猛君
        常任委員会専門
        員       宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条
 約等の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の
 実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域
 の設定に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済
 協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第
 二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する
 措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び
 待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の
 実施に伴う出入国管理特別法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
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寺尾豊#1
○委員長(寺尾豊君) ただいまから日韓条約等特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。本日曾祢益君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
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寺尾豊#2
○委員長(寺尾豊君) 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案
 以上四案件を一括議題とし、質疑を行ないます。中村英男君。
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亀田得治#3
○亀田得治君 ちょっと資料について。
 委員のほうから、いままで再三にわたってこの資料要求をやり、そのつど毎日の理事会におきましても要請をしておるんですが、本日の段階に至っても、なおかつ出さないというものが多々あるわけでございます。こういうことは、ひとつ総理、外務、各責任者としては、十分反省をしてもらいたいと思うのです。
 たとえば、政府が提出できないと言うているものの中に、韓国から要求された文化財返還の目録というものがあります。それで、これは韓国から日本政府あてにきた全文をそのまま出せないのであれば、何と何を要求されたか。その項目だけでも資料として出すべきだ。こういう要求をしておるのでありますが、そのようなことも今日まできちんと出されない。あるいは共産圏渡航に関する昭和三十一年の次官会議の決定、これにつきましてもいまだに出そうといたしません。二つとも委員長理事打ち合わせ会におきましては当然これは出すべきだということで、一致してこれは要求しておるものであります。共産圏渡航に関する次官会議の決定に関して、その出せない経過をいろいろ担当者から聞くわけですが、一つも納得のいく説明がございません。外務大臣からなぜ一体こういうものがわれわれに対して出せないのか、はっきりこの理由を示してもらいたい。担当者の若干の説明によりますと、これは確定的な標準ではないんだ、こういうことも言われます。おおよその基準だ、そういう説明がありました。おおよその基準でありましても、われわれ国民が渡航を申請した場合に、やはりその基準によって処理されておるわけなんです。国民の渡航に関する権利義務に重大な実際上の影響があるわけなんです。決して役所の中だけで隠して持っておるべき問題では私は断じてない。ことに、この韓国から要求された文化財の返還目録ということになれば、これは若干外国との関係がありますが、われわれ国民が外に行くという場合の基準というものは外国には少しも関係のない問題なんです。なぜ、そういうものをあくまでも、理事会の要求にもかかわらず秘密にしなきゃならぬのか納得できない。御承知のように、この基準は北朝鮮に対しては特に厳格に強く適用されておるわけですね、北朝鮮に対しては特に。この日韓問題において北朝鮮との関係ということは非常に重要なこれは審議の対象なんです。そういうことに関連して、この資料要求をしておるわけでありまして、ただ軽く私たちがあったら見せてくれいと、そういったようなものではない。なぜ出せぬのですか、こういうものをいつまでも。外務大臣、総理のはっきりとした見解をこの際承りたい。
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椎名悦三郎#4
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまの外国渡航に関する次官会議の申し合わせ事項及びこれに関連する閣議了解、これは純然たる行政の行為の大体の基準を内部的にきめておるものでございまして、行政上のこれは一つの覚えとしてつくっておるものであって、いわゆる国会に提出すべき資料というような範疇に属するものではない、こういうものは出すべきものではない、こうわれわれは考えております。
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亀田得治#5
○亀田得治君 委員長、そんなことで納得いきますか。行政内部のことだと、行政内部のことにきまっていますよ。行政以外のことなどこちらが要求しておるわけじゃございません。行政内部のことについて国会が調査をする権利を持っておるのに、あなたの説明からいうならば、行政内部のことだから、したがって、当然出すべきだという結論になるじゃありませんか。しかもそれは、私が申し上げるように、行政内部のことであって、単に役所の中の仕事の処理とその基準ということじゃなしに、同時に、それは国民の権利義務に直接つながっておる問題ですね。つながっておる問題なんです。純然たる行政内部とはいえない、そういう意味では。われわれがまた審議するのも、行政の内部で国民と関係のあることについてだけ特に審議したいわけなんです。そんな説明では納得できない。ことにこういう次官会議の決定というものは、十年もすでにたっておるわけでしょう。はなはだこれは少し古過ぎると、手直しをしなければならぬのじゃないかというふうな意見が、外部はもちろん内部にも起きておる重要な問題なんですね。そうでしょう。だからそういう状態にあるものを、われわれが手直しをするならば、ここをこうすべきじゃないかとか、ああすべきじゃないかとか、そういう意見を出すのは当然だし、皆さんも、国会等においてそういう点の意見を聞いていただいて参考にもまたしてもらわなきゃならぬわけです。ただいまのような答弁で、ああそうですかと引き下がるわけにはまいりませんよ。行政内部のことだと、そんなこと言い出したら――各省にわたりまして国民に関係のあることでありながら、しかし、行政内部でいろいろ処理をする基準というものがある。そんなものはみな見れぬようになるじゃないですか。国会は何を基準にして批判をすることになるのです。委員長から警告してください、出してくれるように。委員長、理事打ち合わせ会できめておるわけですから、私だけ、われわれだけの立場が無視されるわけじゃない。委員長自身だってそういうことで引き下がれないはずなんです。どうなんです委員長、国会の立場で考えてください、そんなことをあなた前例にされていったらたいへんですよ。委員長注意しなさい。あなた、新聞等によれば何か自民党のほうでこの審議についていろいろなことを画策を始めておるのでしょう。少なくとも資料くらいそろえなさいあなた。
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椎名悦三郎#6
○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかくいまから十年前にきめたものでもりまして、これはもう単に渡航を許可すべきか、すべからざるかというような場合においてほんの参考の基準として定めたものでございまして、その後提出をしばしば求められたようですけれども、これはもうほんのこの参考であって、これをもし公表するということになると、かえって許可、不許可の基準として固定化するような形になる、一体そういうものではないのでありますから、それでただこれは提出すべきものではないというのでお断わりしてきておるのであります。どうぞその点を御了承願います。
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亀田得治#7
○亀田得治君 委員長、ああいうことでいいんですか、委員長、どうなんです。あなたの考えを聞かしてください。国会の立場で考えてもらわなければいかぬですよ。
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寺尾豊#8
○委員長(寺尾豊君) お答えします。一応最高責任者であられる椎名外相がいまあのような事情を話されたのですが、私はそれを全面的になるほどとも考えていないし、したがって、この問題についてはひとつ委員長におまかせを願って、私がまたこの委員会終了後にでもまた折衝をいたしまして、いよいよいかないものかどうか。まあ大臣がああやって言明されたのだからいかないとは思いますよ。思いますが、われわれはぜひにもほしいという皆さん方の御要望もあるので私におまかせください。
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亀田得治#9
○亀田得治君 それじゃ、それは委員長におまかせもしましょう。国会の審議権というもりを十分尊重して、その立場でこの処理はしてもらいたい。ただいまの外務大臣の説明を聞きましても、これは発表すると誤解を与えてもいかぬ、という意味のことも言われました。しかし、国会議員はそういうことは誤解しません。このものさしで全部処理しているわけではなしに、大体の基準だからそのつもりで見てくださいと言えば、もちろんわれわれはそんなことはそのつもりで受け取ります。マスコミの方々にしたって、ちゃんとそういうことで間違うわけがありません。そんなことで自分たちの持っておるものさしというものを秘密にしておくということは、そんなことは許されません。誤解などは一つもしません。したがって、そういうことは、委員長のほうから前向きで、この問題はきちっと片をつけてもらいたい。
 それからもう一つ、韓国から要求された文化財の項目だけ明確にしろ、要求された全文そのものの写しを出せいというと、韓国との関係ができるから……項目だけでも明らかにしなさい、こうなっているんですが、これは一体どうなっているんです。これも委員長から言ってください。
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椎名悦三郎#10
○国務大臣(椎名悦三郎君) 目録だけでもとおっしゃるが、目録すなわち実体を表明するものでありまして、これはいま外交折衝の途中でございますので、これはただいまの段階では差し控えさしていただきたい、こう思います。
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亀田得治#11
○亀田得治君 まあこれも委員長に一任しますわい。だめだ、そんな秘密外交は。
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中村英男#12
○中村英男君 私は、日韓漁業協定と竹島の問題について質問申し上げますが、この漁業協定につきましては、日本の漁民、ことに西日本の漁民は安全操業ができるかどうか。ことにこの審議を通しましても韓国の魚族保護法がそのまま残っておりますが、しかし、専管区域、規制区域、そういう措置の中で解消されておると、こう思われますけれども、平和ラインあるいは大陸だなの宣言は、きのうの渡辺君の質疑を通してみましても、向こうは廃止する、撤廃するということを宣言してない。そういう意味で非常に安全操業ができるかどうかということを非常に西日本の漁民は心配をしておる。同時に漁業面でいろいろ制限を受けたり、ことに、今日まででも魚族の枯渇はしておるが、将来韓国の漁業が発展すると漁族の枯渇がなおひどくなって、実際には漁獲高が減ってくるじゃないか、収入が減るじゃないか、そういういわば希望と心配できわめて複雑な表情をしておるのが現時点における西日本の漁民のように思うのです。そういうことですから、私はきわめて端的に素朴に質問申し上げたいと思います。
 まず総理大臣にお伺いしたいが、李ラインの不当性を政府、国民は言っておるが、一体具体的には不当とはどういうことであるかということをまずお伺いしたい。
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佐藤榮作#13
○国務大臣(佐藤榮作君) こういう問題は国際法上まずきめられる。これが国際法上から見まして、いわゆる李ラインなるものは私どもは違法、不法だと、かように考えて認められないものだとかように思っておるので、その意味の主張をしておるわけでございます。
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中村英男#14
○中村英男君 こういう不当なラインであるということを日本政府もかねがね主張しておるのですが、この不当なラインでたくさんな漁船があるいは船員が拿捕されているのですね。そういう点について私は今度のこの交渉を通して非常に不満なんですが、もっともこれは非常にむずかしいことと思うのですが、政府が、不当であればやはり拿捕された船、船員、それに対する請求を国内補償にせずに、やはり韓国へして、不当性を明快にすべきであったではないかと思うのです。これはもっともむずかしいことなんです。むずかしいことですが、それはやはりすべきじゃなかったかと思うのですが、総理はどういうふうにお考えになりますか。
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佐藤榮作#15
○国務大臣(佐藤榮作君) 中村君の言われるとおり、これは当方で請求すべきことだと、こういう事柄も折衝いたしまして、そして向こう側からもこちらへ請求するものがある、こちらからも請求するものがあるということが幾つか出てまいりましたものが、いわゆる請求権解決の方法としての外交折衝であった。外交折衝は外務大臣からしばしばお答えいたしておりますように、そういう意味の請求権の確認問題では双方で話がつかない、別な形において、いわゆる経済協力の形で請求権問題も最終的に完全にこれを解消した、かようないきさつになっておるわけであります。この問題だけを切り離してみれば、中村君のお尋ねのとおり当方で請求して、そうして処理すべきものである、いまの補償などのような問題でないというのが本来の筋でございます。
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中村英男#16
○中村英男君 そういうことはわからぬではないんですが、そういう処理のしかたが、平和ラインが撤廃されずに安全操業ができるかどうかということを漁民は心配していると思うんですね。そこで、これは藤山さんが外務大臣のときですけれども、やはりこういう点では総理も処理しにくかったと思うんですが、日本国において収容されている韓国人及び韓国において収容されている日本人漁夫に対する処置に関する日本国政府と大韓民国政府との間の了解覚え書きというのがあるんですね。これによると、大韓民国政府は刑を終わって大韓民国の外国収容所、これは釜山ですが、外国収容所に収容されている日本人漁夫を日本国に送還し、及び第二次世界大戦後の韓国人不法入国者の送還を受け入れる。この了解書は署名の日に効力を発生する、これは一九五七年の十二月三十一日に東京で作成されているんですね。藤山愛一郎・金外相、こうなっているんですね。これはこのときにすでに外国収容所に収容されている日本の漁夫は刑を終了しているということを確認しているんですね、日本の政府が。日本人から言ったら何ら刑を受けるべきものじゃない。これは公海で漁業をしているのを拿捕しているんですから、これはきわめて不当な、不法なことなんです。それをここで刑を終了していると、刑を受けたのが当然だということを日本の政府は認知して受け取っておるんです。こういうやり方を過去においてやられておるから、総理としては、引き継がれた総理としては、非常に私はこの問題はやりにくかったろうと思うのですよ。思うけれども、やはり李ラインがなくなったということを日本政府が言うなれば、やはりこの不当性を、請求権を相殺せずに、不当性を明快にするためには、やはり請求権というものはむずかしいことではあるけれども、韓国が私は補償すべきであると、こう思っているんですね。
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佐藤榮作#17
○国務大臣(佐藤榮作君) いま私がお答えいたしましたように、この問題だけ切り離していえば、ただいま中村君のお説のとおりの議論が正しいと、かように思います。日韓間の問題はいろいろ複雑な問題を持っておりますので、政府がいわゆる一括解決ということをしばしば申し上げてまいりました。こういうような事柄につきましても、日本側の正当性あるいは韓国のこのことについては主張が正しくないとか、あるいはまた、韓国側で他の面においては日本に要求するものもある。こう幾つも複雑な関係にありますので、その一つ一つについて裁定を下さないで一括して処理していく、こういうような方法をとっておる。まあこの点において、どうも一括処理といいながら竹島が残っているじゃないか、これは昨日もお答えいたしましたように、一括処理ができなかったのはまことに残念で、申しわけなく思っております。かように申している。ただ、これにいたしましても、将来の解決の方向というものはきめてある、そういうことでごしんぼういただきたいと、かように申しておるのであります。ただいま中村委員から御指摘になりますことそれぞれの問題は、理論的には私は異論を申し立てるものではございませんけれども、しかし、一括処理、全体をどうすれば親善友好関係を樹立するか、こういう観点に立って処理したい、こういうことでございます。また、他の面で、漁業協定等についていろいろの批判も受け、もっと日本は譲らないではっきりすべきじゃなかったか、かような激励も受けておりますが、これはしかし、申し上げますように、双方が互譲、互いに譲り合ってそうして初めてこのむずかしい交渉ができ上がった。そういう意味では妥協ででき上がっているものでありますということも率直に私どもが認めて説明をしているような状況でございますので、ただいまの問題もその一つの問題だ、かように御了承をいただきたいと思います。
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中村英男#18
○中村英男君 いや、それは私もわからぬことはないんです。わからぬことはないけれども、少なくとも李ラインでどういうことをされたかということは、総理も山口県ですから御承知のことと思うんですが、非常にくどいようですが、私は、これは李ラインを宣言して今日まで漁夫が四千名拿捕を受けている。漁船にして二千三百二隻ですか、この中で沈没された船も三隻あるんです。また、未帰還の漁船も百七十三隻、死亡した人も五名ある。非常に抑留中に乱暴されて今日病床にある乗組員や、このために漁業ができずに転落して、生活の保護を受けている漁家もあるんですね。これらのことについては、後ほど国内補償の問題で農林大臣なり、大蔵大臣に質問したい思いますが、こういういわばこれは涙金なんです。こういう涙金で処理されることを一体こういう被害を受けた人たちは金高の多い少ないじゃないんですね、こういう涙金で処理されることは私は本意ではないと思いますね、そういう点をひとつ、私はいまの総理の答弁はわからぬことはないですけれども、本意でないのだ、こういうことはひとつ御留意をいただきたい思うのです。こういうひとつやり方をされますから、国民感情としては、御承知のように、この李ラインを引いたためにたくさん拿捕されている、昭和二十七年ごろには西日本の漁民ははち巻きを締めて東京へ出てきて非常にやかましかった、デモをしてやかましかったんです。そういう前後の日本の国民感情としてはどういう感情になったかというと、韓国にばかにされているんだ、これは軍備を持たなきゃいかぬじゃないかという、そういう軍備の増強しなきゃならぬじゃないかという熱をあふったんですね。私どもはアメリカ大使館に行ったんです、アメリカは居中調停ができる立場にあるじゃないか、韓国と日本の間にあってアメリカはなぜそれを放任するか、居中調停をしてこういう不法なことをしないようにあなたのほうから、アメリカさんから言ったらどうかということを、私どもはアメリカ大使館へ行って申し入れたことがあるんですね。こういう居中調停ができるアメリカが、今日までほうっておくということは、これはほかに目的があるんじゃないか、日本をして軍備を持たなかったらいかぬじゃないかということを刺激することにそれを利用しておるんじゃないかとさえ日本の国民は誤解したんですね。ですからこういう重大な経過があることですから、私は総理の処理されたことはわからぬことはないですけれども、あまりに私は簡単過ぎる、こう思っておりますから、そういう点を総理に質問したような次第であります。
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佐藤榮作#19
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの点は私簡単に説明をいたしましたけれども、その簡単な結論が出るまでにはずいぶん複雑な交渉をいたしておるのであります。歴代農林大臣は漁民あるいは漁業家の損害賠償について強い請求をし、しばしば交渉も持った。このことは中村君も経過は十分御承知だと、かように思うのでございますが、しかし、これの事柄をいろいろ説明し、いろいろ要求もし、話もし、交渉も続けたが、とにかくなかなか受け入れてくれない。そうして最終的にただいま申す結論的な一括処理と、こういうことで、やむを得ずそういう処理にいたしたと、かようなことを実は申しておるのであります。ただいま言われる事情をよく御理解をいただいておるが、歴代の農林大臣が、わが国の漁民、漁業家等の保護のために正しい主張を何度も繰り返しておること、これまたこれも御承知願えておると思います。私は簡単な結論だけ申しましたので、非常にあっさりしているようにおとりかと思いますけれども、そういうものではありません。また、今回も補償、見舞い金等を出すにいたしましても、私は特に気の毒に思いますのは、零細な漁民、そういう方がただいまあげられましたように、日常の生活にも非常な苦痛を感じておられる、こういうようなことを特に勘案いたしまして、そうしてこれらの方々に十分手厚い処置のとれるような方法で、いま予算を要求しておるような次第であります。これらの事柄も、大企業ももちろん多大の損害をこうむるわけでありますが、しかし、これらについては救済の方法が、別途また保険その他の問題があるようでございますが、零細な漁民についてはそういうような救済の道もないのでありますから、政府が十分めんどうを見るということでなければならない、かように思って、こまかな注意もしておるような次第であります。
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中村英男#20
○中村英男君 椎名外務大臣にお伺いしたいのですが、これ竹島の問題なんですが、いままでの質疑を通して見ますと、大臣は、占領しておることを実力で排除しようとは考えていない、こういう御答弁でしたが、そうなると、大臣のおことばを信用しても、なかなかこの竹島の最終的な結論というものは相当の時間を要すると見なきゃならぬですね。そうすると、一体、この地域における漁業の補償の問題も出てくるんじゃないか。これは外務大臣よりは農林大臣の所管かと思うんですが、それじゃ最初に農林大臣にお伺いしますが、相当長い時間、結論が出るのにかかると思うんです。竹島周辺における漁業は政府も世間もきわめて簡単に考えておるようですが、これはもうたくさんあるんですね。ですから、こういう補償をどうするかと、こういう点をひとつお伺いしたい。
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坂田英一#21
○国務大臣(坂田英一君) 竹島の問題については、いまのような関係に相なっておりますので、私どもとしても、やはり理論的には、どうしても向こうへ漁業水域十二海里を設けなければならぬと、こう思うのでございます、理論的には。しかし、それがいまのような実態にありまするので、かえってそれは紛糾を助長するようなことに相なってもなりませんというようなことも考えておりまするので、そういう方向はとらずに進んでいきたいと、こう考えておりまするが、補償等の問題については、いまそういう問題について検討中でございまするので、したがって、その問題もまだもちろん考えておらぬわけでございます。
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中村英男#22
○中村英男君 漁業の問題は検討中でまだ考えていないということは、ちょっと私宅了解しにくいんですが、これは農林大臣、あそこはサバやアジの漁場なんです。これはまき網二十統で四月から八月までにやれば二万八千三百トンぐらいとれるんですね。これを数字ではじいてみると、大体十五万トンぐらいが水揚げが可能だと、こう言われておるんですね、十五万トン。十五万トンといいますと、いま規制水域内において規制されておる漁獲量なんですね。ですからたいへんなこれは漁場の放棄ということ、専管水域を設けぬということは。占領されたままでおると漁場に行けませんから、検討中ではあるが、まだ考えていないということでは因ると思うのですね、もう少し具体的に補償しなければいかぬとなれば。
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坂田英一#23
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、中村委員も御存じのとおりであると思いますが、あすこに共同許可線がございます。でしかし、いろいろいまのような実態にありまするので、それがいま許可されただけで、現在何もやらずに残っておると、こういう実態でございます。したがって、現在それらの問題についてもまだ活動しておらぬわけです。そこで私どもとしては、どうしても理論的には漁業水域を設定すべき筋合いのものであることは、これは御存じのとおりでございまして、ただここへ賠償というものを、漁業水域を設定しない前に、賠償という問題が出るということは、これは非常に私どもとしても領有権を放棄したようなことに相なっても困りまするような関係がございまするし、いま許可したやつも動いていない、長い間動いていないという実態でありまするので、それらの問題を検討しておるということでございます。
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中村英男#24
○中村英男君 これは大臣間違えておいでになるのですよ。これは竹島の周辺は規制区域になっている。平和ラインの中には入っておったけれども、今度のこれでは、新漁業協定は、これは鬱陵島のところは規制区域に入っていっておる。竹島のところは規制区域からうんと離れておるのですよ。関係ないんですよ。それからいますぐというわけではないが、これは当然占領しておるのですから、私どもが視察に行きたくても行けない。こういうことですから漁業には行けないんです、現実には、どうあろうとも。ですから、これは形は何も金で補償するということじゃないのですよ。形はその他の統数を考えるとか、以東底びき、まき網のことを考えるとか、あるいはこれは隠岐の五個村の久見に所属しておるのですね、ですから、隠岐島の施設についてどう考えるとか、漁民をどうするとかいういろいろ具体的な問題があろうと思いますけれども、少なくとも占領して専管区域をいまのところは引かないということになれば、当然補償の問題が起こってくるのです。これは具体的にやはり考えなければいかぬですね。
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坂田英一#25
○国務大臣(坂田英一君) いまお答えしたようなことでありますので、いま検討中でございます。ただ、補償するということにきめてしまいますと、どうも領有権の問題に関連する。共同規制水域でなしに、いわゆる十二海里の漁業水域のことを先ほど申したのでありまするから、そういう問題がいま現在それじゃ漁業水域を設定したらどうかというお話もあろうかと思うのですけれども、それは現在の実態の状態のもとにおいてそれをやりますることは、かえって紛糾を困らすようなことになるのじゃないかということも考えておりまするので、その漁業水域、いわゆる十二海里の沿岸水域ということの設定についても、権利は持っておるつもりでおるわけですけれども、その竹島の現状から見まして、それもできない。それから補償という問題にしてしまいますと、領有権を放棄したようなことにもなるようなことも考えなければなりません。そういうこともむずかしいというので、それもできません。しかし、その竹島のほうに漁業をいたしておりましたる者も、最近は動いていないわけでございまするけれども、その地帯においての漁業者の問題を、別の意味でどこに働く場所があるかといったような問題については十分考えていきたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
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中村英男#26
○中村英男君 せっかく専管水域の話が出ましたから、もう一つお伺いしますが、これは韓国のほうも韓国の領土だと、こういうことで専管区域を設けると、こう韓国の国会では言っておるのですね、日本の国会ではあなたのおっしゃるように、これはなかなか日本の領土だから、専管区域を設けようと思うておるが、紛糾のたねになるからどうしようか、こういう御意見のようですが、私はこの際韓国のほうで専管水域を設定すると言えば、日本も日本の領土であるということになれば、専管水域を設定したらいいじゃないですか、そうしますと、これはもちろん紛糾になります。漁業協定の九条に引っかかるものですね、九条に。九条に引っかかるということは、いまのような事態にほうっておくと、これはなかなか近い将来に解決のめどはつかないということは予想されるのですから、九条に引っかけたら私は紛糾になって、処理が早いのじゃないかと思っておるが、どうでしょう。
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坂田英一#27
○国務大臣(坂田英一君) その点については、私どもも非常に検討を加えておるのでございます。そこで今度この条約に基づく日本沿岸における漁業水域の設定に関する法律をお願いしておるわけでありますが、そのときには個所を指定しないで、政令でその地域を決定するというふうにいたしましたのでございます。これはまあ御質問とは離れておりまするが、対馬の近海をやるということで、これはまあそういうことでいま準備中でありますが、竹島の問題につきましては、いまどうしたほうが一番いいかという問題もあろうかと思います。それらについて、先ほども申しましたように、検討中なんでございます。
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中村英男#28
○中村英男君 これは検討中でなくして、私の言うように、韓国も設定するというのですから、設定してしもうたらこれはやはり占領しておる、専管区域を設定したということになれば、竹島が韓国のものだということを確認するようなものです。ですから、これは日本のほうでやはり対島以外にもここを設定すれば、漁業協定の九条にひっかかるから、紛糾になって、紛争の場面に出て竹島の処理が早いではないかということを私は進言しているのです。
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坂田英一#29
○国務大臣(坂田英一君) いまの御進言についてはつつしんで拝聴いたします。
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