予算委員会

1966-02-17 衆議院 全260発言

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会議録情報#0
昭和四十一年二月十七日(木曜日)
   午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 福田  一君
   理事 赤澤 正道君 理事 久野 忠治君
   理事 田中 龍夫君 理事 松澤 雄藏君
   理事 八木 徹雄君 理事 川俣 清音君
   理事 楯 兼次郎君 理事 野原  覺君
   理事 竹本 孫一君
      相川 勝六君    愛知 揆一君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      井出一太郎君    岩動 道行君
      今松 治郎君    植木庚子郎君
      江崎 真澄君    小川 半次君
      大石 八治君    大橋 武夫君
      上林山榮吉君    川崎 秀二君
      木村 剛輔君    木村武千代君
      鯨岡 兵輔君    小山 省二君
      倉成  正君    坂村 吉正君
      竹内 黎一君    登坂重次郎君
      灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君
      西村 直己君    野田 卯一君
      橋本龍太郎君    藤本 孝雄君
      古井 喜實君    松浦周太郎君
      三原 朝雄君    水田三喜男君
      湊  徹郎君    石橋 政嗣君
      大原  亨君    加藤 清二君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      中澤 茂一君    松井 政吉君
      八木 一男君    八木  昇君
      安井 吉典君    山中 吾郎君
      山花 秀雄君    小平  忠君
      竹谷源太郎君    吉田 賢一君
      加藤  進君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        通商産業大臣  三木 武夫君
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
        郵 政 大 臣 郡  祐一君
        労 働 大 臣 小平 久雄君
        建 設 大 臣 瀬戸山三男君
        自 治 大 臣 永山 忠則君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 松野 頼三君
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
        内閣審議官
        (内閣官房内閣
        審議室長)   高柳 忠夫君
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        警  視  監
        (警察庁長官官
        房長)     浜中 英二君
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      秦野  章君
        総理府事務官
        (行政管理庁行
        政管理局長)  井原 敏之君
        防衛庁参事官
        (長官官房長) 海原  治君
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  島田  豊君
        防衛庁参事官
        (教育局長)  宍戸 基男君
        防衛庁参事官
        (経理局長)  大村 筆雄君
        防衛庁参事官
        (装備局長)  國井  眞君
        防衛庁事務官
        (防衛施設庁労
        務部長)    江藤 淳雄君
        総理府事務官
        (経済企画庁長
        官官房長)   澄田  智君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
        法務事務官
        (人権擁護局
        長)      鈴木信次郎君
        外務事務官
        (大臣官房長) 高野 藤吉君
        外務事務官
        (アジア局長) 小川平四郎君
        外務事務官
        (北米局長)  安川  壯君
        外務事務官
        (経済局長)  加藤 匡夫君
        外務事務官
        (経済協力局
        長)      西山  昭君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
        外務事務官
        (国際連合局
        長)      星  文七君
        大蔵事務官
        (主計局長)  谷村  裕君
        大蔵事務官
        (主税局長)  塩崎  潤君
        大蔵事務官
        (理財局長)  中尾 博之君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     齋藤  正君
        文部事務官
        (社会教育局長)宮地  茂君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局長)中原龍之助君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  若松 栄一君
        厚生事務官
        (社会局長)  今村  譲君
        農林事務官
        (大臣官房長) 大口 駿一君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  丸山 文雄君
        運輸事務官
        (船員局長)  岡田 良一君
        海上保安庁長官 栃内 一彦君
        労働基準監督官
        (労働基準局長)村上 茂利君
        労働事務官
        (職業安定局長)有馬 元治君
        建 設 技 官
        (住宅局長)  尚   明君
        自治事務官
        (財政局長)  柴田  護君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (前臨時行政調
        査会会長)   佐藤喜一郎君
        専  門  員 大沢  実君
    —————————————
二月十七日
 委員愛知揆一君、荒木萬壽夫君、荒舩清十郎君、
 灘尾弘吉君、西村直己君、野田卯一君、古井喜
 實君、松浦周太郎君、小松幹君、永井勝次郎君
 及び小平忠君岩辞任につき、その補欠として岩
 動道行君、藤本孝雄君、小山省二君、湊徹郎君、
 木村剛輔君、木村武千代君、大石八治君、鯨岡
 兵輔君、八木一男君、安井吉典君及び竹谷源太
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員多賀谷真稔君及び八木一男君辞任につき、
 その補欠として松井政吉君及び石橋政嗣君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員大石八治君、木村剛輔君、木村武千代君、
 小山省二君、藤本孝雄君、湊徹郎君、石橋政嗣
 君、松井政吉君及び吉田賢一君辞任につき、そ
 の補欠として古井喜實君、西村直己君、野田卯
 一君、荒舩清十郎君、荒木萬壽夫君、灘尾弘吉
 君、小松幹君、多賀谷真稔君及び小平忠君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 理事小平忠君同日委員辞任につき、その補欠と
 して竹本孫一君が理事に当選した。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3
 号)
     ————◇—————
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福田一#1
○福田委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第三号)を議題とし、質疑を行ないます。八木一男君。
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八木一男#2
○八木(一)委員 私は、同和問題、部落解放問題について総理大臣並びに関係各閣僚に御質問を申し上げたいと思うわけであります。
 最初に申し上げておきたいと思いますが、この問題は全国民的な課題でございまして、憲法の第十一条、第十四条、第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条、第二十七条というような条文が守られていないという問題になるわけでございます。非常に重大な問題でございまするので、私も一生懸命に御質問申し上げますが、どうか総理大臣はじめ各閣僚の皆さま方も、野党が攻撃をするから、それを防ぐというような意味ではなしに、全国民的な課題を与野党一致して、政府が主体となって解決をするというような心組みでぜひ御答弁を願いたいと思うわけでございます。
 ことに総理大臣は、こちらのほうをごらんになって、まじめに答弁をしようという気組みを見せておられますが、各閣僚は少し雑然として非常にふまじめな態度であります。閣僚がみんな粛然としてこの問題を聞かれることを要望いたします。
 特にそれを申し上げますのは、この問題は西日本において非常に重大な問題でございまするが、東日本あるいは北陸あるいは北海道に至っては一つもこの問題がない。したがって、そこで育ち、そこで活動しておられる方は、非常にりっぱな政治家であっても、この問題に対する関心が薄いのであります。しかし、問題は全国民的な問題であって、政府が一体となってこの問題を解決をしていただかなければならないのであります。でございまするから、北海道とか、あるいはその他問題が薄いところの方は、この総理大臣の御答弁中にその問題の認識を深められるという気持ちで、自分の管掌の行政官庁に直接にそう関係はなくても、この問題は一緒に考えて、総理の御答弁に従って、私どもの要望に従って問題を解決するという決心を固めていただきたいと思います。
 まず第一に、内閣総理大臣の佐藤さんから、部落解放の問題、未解放部落の問題、同和対策の問題についてどのようにお考えになっておられるか、総括的にひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
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佐藤榮作#3
○佐藤内閣総理大臣 この問題は、もうすでに百年近くなろうとしております。問題が起きて、また平等の待遇を要求され、また、しかあるべきだ、かようにいわれてもうすでに百年になんなんとしておる。いまなおこういう問題について、国会のこの場において論議しなければならない、こういうことはほんとうに恥ずかしい次第のように私は感じております。
 との同和の問題は、そういう意味で全国民の関心の的であるが、同時に、こん然一体として相互の理解を深めるということが根本の問題だと思いますので、そういう方向に一そう努力をしていく。ことに、昨年同和対策の調査が完了して、そしてりっぱな答申も出ております。もう今後行くべき方向、これは非常にはっきりしておりますので、その線について政府も予算その他において努力してまいりますが、問題の基本は、やはり理屈ではないんだ、いまなお感情的なものが一部に残っておる。しかし、代がかわっておる今日、冒頭に申しましたように、百年近くになっている今日、いまなおそういうようなことがあるというのは、まことにこれは恥ずかしい次第でありますので、全体が一そう努力することによりまして、この問題を本来の姿に返すということであってほしいと思います。
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八木一男#4
○八木(一)委員 総理大臣の御答弁は、総理大臣として熱意を込めてこの問題に取り組もうということを総体的に御披瀝になった、その点はけっこうだと思います。しかしながら、御答弁だけでは非常に不十分でございます。と申しまするのは、こん然一体となって相互の理解でこの問題を解決をしていこう。ところが、相互の理解がなかなかいかないというところに歴史的な大きな背景があるわけであります。たとえば、この同和地区に住んでいる人、未解放部落の人たちの中には、極度に貧困の人が非常に多い。その場合に、たとえば生活保護法の適用を受ける人が多い。あるいはまた失対の仕事をしている人が多い。その場合に、なぜその人たちがそれほどの貧困の状態になったかということを一般の人たちが理解をしない。あの人たちはなまけたからそういうことになった、そうして、そのために国費なり、市町村費を使わなければならない、その税金はわれわれが負担をする、そういうことは迷惑だというような、非常に無理解な問題がございます。一番問題は、結婚の問題や就職の問題でございまするが、問題を全部前から考え起こして、そうして、いわゆる未解放部落の人たちにはその差別を受けている現状、極度に貧困である現状について一切の責任がない。その責任は徳川幕府以来のすべての政権を担当した者の責任である。それを解決をすることが全国民的な課題であるということを、全国民が理解をしなければ問題は片づかないわけであります。したがって、歴史的にその問題をぜひ、総理大臣は御研究になっておられると思いますが、総理大臣はじめ各閣僚の方は研究をし、ほんとうの信念をもって、決心をもってこの問題に当たっていただきたいと思うわけであります。
 この未解放部落の問題の淵源はいろいろの説がございます。しかし、その問題は、ずっと前の問題はいまの政治には影響がありませんので、いまの政治に影響のある部分から私なりに研究をしたことをかいつまんで申し上げて、御理解を深めていただきたいと思います。
 私は奈良県の出身で、奈良県に居住をいたしております。奈良県においては未解放部落民の居住の率が全国で一番高いわけであります。しかも非常な差別と貧乏に苦しんだ人が、大正年間にそれに耐えきれないで決起をした、いわゆる水平社運動の発祥地でございます。したがって、浅学非才の者でございまするけれども、この問題については、ほかの方に負けないだけの熱意をもって研究をし、またその解決の方策について一生懸命に考え、努力をしたものでございます。
 この問題の具体的な近代的な起こりは、徳川幕府にございます。徳川幕府が長い間の武家政治を確立するために、経済的な基盤を確立をしなければならない。したがって、そのときの主要産業である農業をしている人から収奪を継続的にしなければならないということを考えたわけであります。それがいわゆる本多佐渡守の、百姓をして飢えしむべからず、食わしむべからずという政策であります。そのようにぎりぎりまで農民、おもな産業のにない手である農民をしぼるためには、いろいろの方策をしなければならない。しぼり過ぎたならば一揆が起こる、しぼり過ぎなかったら武士が栄耀栄華ができないという問題で、極度までこれをしぼろうと考えました。そのために農民に栄誉を与えて、国の宝と称しておだててしぼりとる方策を一つしました。それと同時に、他の階層の人たちと分離をして、国民を分断をして、農民が孤立するような状態にして一揆を押えようというふうに考えたわけであります。そのために、身分制度を故意に確立をいたしました。士農工商という身分制度を確立いたしました。支配階級である武士、その次に農、工、商であります。技術者の工の部分に当たる人、あるいは実業家の商の部分に当たる人は、農民よりもある意味で力を持っている人がずいぶんあったわけでございまするけれども、それを故意に下に置いて、士農工商という序列をつくった。それでもあきたりないで、あと、えた、非人という階級を無理に置いた。そういうことにして、百姓に栄誉を与えてしぼり取ろうとしたわけであります。
 その身分制度、その徳川幕府の制度の犠牲を受けたのが未解放部落民であります。したがって、人間外の扱いを受けて、たとえばどんなに経済的に進出をしようと、縄の帯しか締めてはいけない。同火同席は許さない。百姓のうちに立ち入ることは許さない。たばこの火を借りるのも、直接に借りてはいけないというような、非人間的な扱いが徳川時代に数百年行なわれてまいったわけであります。
 ところが、その後明治の時代になりまして、太政官布告が出まして、そのような身分制度はいけない、不平等なことはいけないということで、太政官布告が明治四年に出ました。以後、全部の国民を、大部分の国民を平民と称するということになったわけであります。したがって、そのような身分制度は一応形式的になくなったかに見えました。しかしながら、従前からあった位階勲等というものがそのまま存続をいたしました。新しく公侯伯子男という華族をつくりました。士族という名前を残しました。そのように、人よりもとうといとされる階層をつくったがために、国民が一視同仁でない、国民が同じでない、とうとい人があれば、逆に卑しまれる人があるという風潮は、そのような不完全な改革ではなくならないわけであります。そのようなことのために、昔の身分制度は抜けましたけれども、ほんとうの意味では、そのような差別観は明治時代もずっと同じく継続したわけであります。
 ところで、しかしながら、名目的に平民という通称で全部呼ばれるようになったことは悪いことではございませんけれども、明治時代に徳川時代よりも悪いことが起こりました。というのは、徳川時代は身分制度で差別をしたけれども、おのおのが経済的には何とか食える制度をつくってあったわけであります。いわゆる未解放部落民には斃獣処理権という経済的な特権がございました。武士の馬、百姓の牛、それが死んだときには直ちにもよりの部落民がこれを処理をする。そうして馬具をつくるというような経済的な独占権があったわけであります。非人間的な扱いに対して、逆に、いささかの経済的な特権を確立をいたしておりました。ところが、明治解放で、それは一切職業選択の自由ということで、経済の自由ということでそれは取り払われました。身分制度はなくなって、いろいろの身分が大きく変わったのは、一つは武士の制度があります。武士は俸禄制度を持っておりました。五十石とか三百石、千石というようなものを世襲的に受け取ることができる制度でございましたけれども、これは明治改革でなくなりました。そのために、武士には当時の金で二億一千万円、現在の金に換算するとどのぐらいになりますか、数千億から一兆ぐらいに当たると思います。そのぐらいの秩禄公債という公債をこれに支給をいたしました。武士階級が新しい時代に成り立ち得る、そういう措置を明治政府はとったわけであります。
 ところが、部落民に対しては、何もいたしませんでした。いままでそれだけ人間外の扱いを受けて、差別を受けている。ほかの経済界に発展する要素がないというのにかかわらず、明治の農地解放のときに、ただの一寸の土地も農村居住の部落民にこれを分け与えなかったわけであります。しかも、そのような身分制度が実際的に続いておりますから、差別が非常に続いております。新しい資本主義経済の中で、たとえばある町の国鉄、あるいは私鉄の駅前で、そこで商売をすれば繁盛をする。商業として成り立とうと決心をしても、その家を貸してくれない、土地を貸してくれない、もちろん売ってくれない。間々何とかしてそこで商売をしても、差別概念があって、その店の品物は買わないというような状態が続きました。商売人としても成り立たない。同様に、工業をすることも成り立たない。しかもまた、非常に差別が強いので、労働者として働く道をふさがれておったわけであります。武士のほうは、大部分新政府の官吏に登用をされました。逆に部落民のほうは、下級官吏どころか、一番末端の臨時工のようなところにも、その当時は差別概念があって雇用をしなかったわけであります。労働者として成り立たず、農民として成り立たず、そうして中小商工業者として成り立たない状態に明治政府は置いたわけであります。
 そのために、それ以上に、いままでなかった、徳川時代にはそのような差別を受けておりました関係上税金というものがありませんでした。徴兵制度というものがありませんでした。ところが、新しく税金もかかるようになった、徴兵制度にもかかるようになったわけであります。経済的には不利な点だけが明治改革においては行なわれたわけであります。したがって、非常な貧困がそれから続きました。ところが、明治以降の資本主義の伸展期において、そのような膨大な半潜在失業群があることは、低賃金の体制によって搾取を強化して、資本家がもうけるためには非常にいい状態でありました。したがって、明治から大正にかけて、この問題を解決するための具体的な措置は何もとられないで放置をされたわけであります。
 そのような貧困のために差別はますます助成をいたしました。身分的な観念からくる差別でございましたが、そのような状態において非常な貧困がある。貧困のために差別が助長をされてきたわけであります。そのような状態のもとでがまんしきれなくなった人たちが、結局米騒動のときに——これはほかの経済的に苦しんでいた人々と一緒にやったことでございますが、決起をいたしました。その後、自発的に問題を解決をしなければならないということで、水平社運動が大正十一年に起こりました。それに対して、当時の政府は、ようやく事の重大なことに気がついたか、またはいままでわざと忘れておいたのを、それではいけないということで、昭和十一年に十年計画というものをやってこれを解決しようということに当たりかけたわけであります。ところが、あのような支那事変から大東亜戦争に突入をいたしまして、これは一切実効を発揮することなくとだえてしまいました。その後、戦後を迎えたわけであります。戦後を迎えて民主主義の時代になりました。このような平和憲法、民主主義憲法ができたわけであります。しかしながら、いまの部落の人たちは、この憲法のほんとうの恩典を受けておりません。先ほど申し上げましたように、憲法の諸条文のあらゆる点に違反をした事実がいまの日本の国にあるわけであります。
 戦後の民主憲法において、基本的人権を尊重しなければならない憲法下において、戦後の政府は、戦前の政府の百倍もの勢いをもってこの問題の解決に当たらなければならないのに、残念ながら最初の政府はそういうことではございませんでした。そして、その間に農地改革が行なわれました。農地改革が行なわれたけれども、その農地改革においても、部落農民はその均てんはあまり受けておらないわけであります。というのは、この農地改革は、小作権を持っておる人に自作農創設の道をつくるという方策をもって行なわれました。ところが、農村居住の部落民は、明治から大正にかけて最初は小作権を一つも持っておりませんで、一生懸命に農業労働者として働いて、わずかに一番悪い土地、山の陰で実らない、川のそばで、台風が来たら流れてしまうというような劣悪な土地の小作権を、わずかに二、三反もらったというにすぎないわけであります。したがって、農地解放によって、農地居住の部落民は、わずかに一部の人が農地解放の利益を得ましたけれども、それはほんとうにわずかでありました。いまの部落農民の平均反別は三反半ぐらいであります。全国の零細農中の零細農であります。そうしてまた中小企業は、皮革とか、あるいはげたとか、そういうものが伝統産業としてございましたけれども、これは大きな皮革産業に侵略をされる、あるいは様式の違いでげた産業等は凋落をするということで、伝統の産業も衰微の一途をたどっております。
 また労働問題においては、そのような差別が実際にありました。関西以西のいわゆるしっかりとした、安定した企業においては、就職試験を受けても、身元引き受け能力の問題を口実にいたしまして、実際、部落出身の子弟については、そのような大きな産業では採用をいたしておりません。したがって、非常に不安定な中小企業、あるいは臨時工、社外工あるいは失対労働者というのが、この部落居住の労働者として働く人たちのいまの状態であります。
 このような状態のために、非常に貧困が加重をされております。その環境は、総理大臣御承知のとおり、見て、これがわれわれ日本国民の居住であるかというようなところが非常に多いわけであります。衛生環境も非常に悪い。それがまた差別を助長をいたしております。そこの地区に入った人は、環境は悪い、非衛生である、そのことでそこに近寄らない。したがって、その居住の人たちとは交際はしないというような状況であります。若い青年が一生懸命に勉強をして中学校を出る。ところが、自分よりも成績が悪い、その事業に不適当であると思われる人が大きな企業に就職をする。一生懸命やっても、このような差別で就職ができなければ、その人たちは虚無的になります。虚無的になった青年のある一時的な言動をとらえて、粗暴である、したがってつき合うことはやめておこうというようなことで、差別が貧乏を生み、貧乏が差別を助長しているわけであります。
 この問題をほんとうにあらゆる角度から解決をしていかなければなりません。その解決の方法は何か。いま総理大臣がおっしゃったように、お互いの理解で民主主義の観念に従ってやることが大事であります。しかし、その問題のもとは何か、生活の根源が成り立っておらないことにあるわけであります。雇用の問題であります。零細農業の問題であります。零細漁業の問題であります。零細工業の問題であります。そして、そのようにいままで農地を分けられず、最初から雇用の差別を受けた、中小企業は成り立たないようにされている。その問題をこれから急速に解決をして、ほかの国民と同じく、自分の努力によってその生活を向上する、そういう道を、その基盤をつくることが大事であります。そのことのためには非常に大きな強力な政策が必要であります。そのようなことのために、政府がこれにほんとうに本腰で取っ組んでいただく必要があろうと思うのであります。
 少し長くしゃべりまして恐縮でございますが、そういう問題で一般的な差別言辞を弄する、そういうことをなくする、差別的な態度をなくするということをしなければなりませんが、それを根本的に直すためには、そのようなよって立つ経済的基盤、劣悪な環境の条件、そして劣悪な教育の条件、そういうものを政府の強力な政策によって解決をし、そして、民主主義理念の進展とともに、これを急速に解消するという問題が必要であろうと思うわけであります。その点について総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
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佐藤榮作#5
○佐藤内閣総理大臣 八木君は詳しく実情を調べてただいまのようなお話をされました。私もやはり山口県の出身でございますので、こういう部落問題、これはほんとうの身近な問題として今日も取り組んでおります。そうして、これはもう御承知のことだと思いますが、明治四年に出た基本人権の尊重、こういう形でものごとが進んでおりますから、私どものような明治生まれの者はともかくとして、大正あるいは昭和の生まれの諸君は、こういう問題についてはあまり関心はないだろう、かように私は思いますが、それにいたしましても、この部落を形成しておるそこに一つの問題がある、かように思いますので、この同和対策の基本として、生活環境を変えるというこの問題が一番先に取り上げられておると思います。私どもが、解放、同時にまた、一般お互いに基本人権を持っておるのだから、どこでも職業選択の自由もあるし、また居住の自由もあるから、どんどん出かけて雑居していく、こういうことが望ましいと思いますが、やはりお互いに過去の土地というものには特別な執着がありますので、どうしても雑居はなかなかしない。そういうところに一つの問題があると思いますから、生活環境の整備をすること、ここに私どもも入り、また衆議院選挙の際に出かけましても、ほんとうに楽に話ができるような、そういう環境をつくることがまず第一だと思います。
 同時にまた、ただいま御指摘になりました職業選択の自由はあるといいながら、どうしてもいまのような特定地区に住んでおると、就職の場合においてもいろいろな制限を受けるとか、あるいは阻害されるとか、こういうことがあるように思います。最近は、私久しぶりに選挙区へ帰ってみますると、戦争直後私どもが感じたような状態ではなくて、よほど変わっております。ことに都会に出かけておる諸君も非常に多いのでありますので、もうりっぱな実業家になられた方もあるようだし、あるいは大学の先生にもなる、そういう方もありましょうし、また、みずから社会的地位も高まっておる、かように私思いますので、こういうことはおそらくその他の面におきましても、同じように、落後者は生活に苦しむ、同時にまた、成功する者もあるというように、よほどその間は差別がなくなってきたと思います。しかし、積極的に政府自身が職業選択の自由、これを助け、また就職の場を提供する、あるいは教育の面でも特別にくふうをしまして、そうしてお世話するとか、これは別に同和の問題ではございませんが、昨日、産炭地の振興の問題で多賀谷君からもお尋ねがございましたが、長く貧困、また就職の道をふさがれておる、こういうようなところの家庭の子弟の教育、これはまたたいへんな問題だと思いますので、もう古い者はともかくとして、これから育っていく者、これにはいまのような差別的な感情を残さないように、基本的人権をそこなわないように、伸び伸びとした教育を提供する、こういうことを特に努力していかなければならぬと思います。こういう意味では、先生はもちろんのこと、そういう理解がなければなりませんが、同時にまた、村の長老諸君が、青少年の教育の場においても、あとにあとくされの悪いものを残さないように、そういう努力をしないと、今日の状態ではなかなか御期待に沿うようなわけにもいかないのじゃないかと思います。
 それからもう一つは、特殊な病気等があればなおさらのこと、これについての対策を立てなければならぬと思います。病気といえば、多く眼病、トラコーマ、こういうものがあげられるように思いますが、そういう点について特に留意していって、そうして、部落と一般との間の待遇あるいは差別、これをしなくても済むような自然な状況をつくることが何よりも大事だ。だから、いまの同和対策のねらいは、そういう意味の具体的処置に真剣に取り組んでいくことだ。しかも、これは一省だけの問題では実はないのでありまして、各省にまたがる問題だ。ただいま、たいへん農地解放のときの処遇なども御指摘になりました。確かに農林行政の面におきましても、こういう取り残される農民というものができないように特に注意しなければならないことだと思うし、中小企業におきましても、ただいま職業の選択の自由がございますから、在来のように皮革業だとか、特殊な事業だけに携わるということでなしに、これは独占的な地位が与えられたといって喜ばれるかわかりませんが、それはかえって逆で、むしろ一般と何らの区別なしに職業の選択が自由にできるのだ。そうして、しかも政府が、それがどこの出身であろうが、中小企業の育成強化をはかっておる。また零細企業の確立に政府自身が金融その他をつとめておるのでありますので、まあお世話をするほうから見まして、これはどこの出身だからということで差別待遇をしないようにすべきだ、かように思います。そういう意味で、ただいま言われたとおり、各省にもまたがるし、総合的な対策も必要だし、そこで全国民の問題として取り上げていく、こういうことでないとこの問題はいかないと思います。
 私はまことに残念に思いますのは、冒頭に申しましたように、非常に古い問題をいまなお取り上げなければならない、こういう実情にある。お互いの頭はよほど進みましても、社会的にはなかなか進まないものがある、かようなことを思うのであります。しかし、ただいまお話がありましたが、水平運動、水平社運動ということを言われました、けれども、ただいまはそういうようなことばも私どもは最近は聞かないようになっております。私は大学を卒業して鉄道に入りましたが、その当時は、ただいまの大正年間あるいは昭和の初め、そのころはただいまの運動がなかなか強くて、そうして至るところで荊冠旗も見受けた。しかしながら、最近はそういうこともないようであります。よほど平静に帰したと、かように私思います。同時に、同和対策を進めるのはいいが、意識して同和あるいは部落対策だと、こういうことで考えるところにまだ十分のものがないのじゃないだろうか。もっと徹底すると、同じようにスラム街はなくするんだとか、あるいは病気は片づけるんだとか、あるいは貧困と真剣に取り組むんだ、これはもう全部が同じように扱うんだ、こういうところまでいかないと十分の効果をあげない、かように私は思います。
 たいへん長い御質問に対してまた長い答弁をいたしまして恐縮ですが、私もかように思っておるような次第でございます。
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八木一男#6
○八木(一)委員 総理大臣が比較的時間をかけて御答弁をしていただいた御誠意は認めだいと思います。ただ、いまおっしゃった中に、ぜひもっと理解を深めていただかなければならないと私は思う問題があるのです。実はおっしゃったように、大学の教授になった人も、相当の実業家になった人も、あるいは国会議員とか県会議員にどんどん進出している人もいます。ところで、眠った子を起こすなという声が世の中に一部あるわけです。これが非常な間違いであります。ヤジこの辺でやじっている連中もそういう考え方を持っているようですが、そうではないのです。実は眠った子を起こすなと言う人は、だれが言うか、それは、部落の出身で実業家になり学者になり議員になり、みずからが相当の社会的の地位を獲得した人がそれを言うわけであります。その人たちは、部落に生まれても、すでに社会的には先生ととうとばれ、社長といわれ、人を使い、人を指導し、自分は解放されているわけです、その人たちは部落の出身であっても。そういう人たちは、昔の自分たちの苦労を忘れたいがために、それを言ってもらいたくない。ところが、世の中の理解が深いと称する一般の人たちのつき合うのは、その部落の指導者であるという、そういう部落から社会的に地位を得た人、そういう人に会う人が多いわけです。したがって、そういう人の意見を聞いて、眠った子を起こさないほうがいいというようなことを言う人がございます。そのために、ほんとうに底辺にある部落の人が置き去りにされておるわけです。百人のうち九十九人までの部落民が、総理大臣も御承知ですが、各大臣はほとんどそこの中心地に入った方はないと思いますが、それは言語に絶する生活環境であります。したがって、それで非常な差別を受けております。
 結婚の問題については、関西以西においては非常な問題であります。当人が相思相愛になる、どうしても添い遂げたいといっても、親がこれを許さない、親が許しても、おじ、おばが許さない。おじ、おばが許しても、それより横の親戚が許さないというような状態で、結婚に関しての自殺者の半数以上は部落の関係の人だと私ども理解をいたしておりまするが、そういう状態であります。したがって、そのようにだんだん解決しているという問題ではないのであります。ほんとうの根本的解決をしなければ、通称三百万といわれ、この同和対策審議会の答申においても、確認された者が百数十万人といわれるその人たちの人権が、完全にじゅうりんされたままになるわけであります。憲法の各条章がそのような日本国民に確立をされていないわけです。したがって、だんだん直るだろうという考え方を世の中の人が言うときには、それはものを半理解、部落の差別を増す言辞であると私は思います。総理大臣はそのことはおわかりだと思いますが、各閣僚にその点はしっかり考えておいていただきたいと思います。
 ところで、この問題を解決するには、一般の労働政策、一般の社会保障政策、一般の零細農業対策、一般の零細漁業対策、そういうものがすべてが浸透することがまず第一に必要であり、一般の教育対策を浸透することが必要であります。しかしながら、これは総理大臣も否定をなさらないと思いますが、たとえば中小企業の問題では、中小企業対策で、その中の小企業が実際上には対処されていない。その中の零細企業が実際的には対処されていない。零細企業の部落産業が中小企業対策といっても全然その均てんにあずかっていない。零細農業対策も、一番の零細農に対しては行き届いていないわけであります。ですから、その一般行政だけではこの問題は解決をしないわけであります。一般の行政は徹底的に下に対して浸透すると同時に、その問題を解決するために特別な対策を国が強力にしなければ、問題は解決をしません。経済的な問題が解決しなければ、民主教育をいかにやっても、民主主義をいかに伸展をしても、人間の中に差別感が残る。残念ながら、世の中の人は貧乏な人に対しては同情はしても、あそこは貧乏だという差別感が一般的にあるわけです。極度の貧乏と身分的な差別とがぶつかったときに、その差別は一そう助長されるわけであります。そういうことではいけないので、その問題が国会において討議をされた昭和三十三年の三月十一日に、佐藤さんのお兄さんである岸内閣総理大臣の時代に、この問題に政府が根本的に取り組む、徹底的に取り組む、これは自分の内閣はもちろん、これからいかなる政党の内閣だろうとも、何びとが総理大臣になろうともあらゆる政府の責任である、この完全な、そして至急な解決が必要である。その解決の方法には、そのような民主主義の伸展だけではいけない、ほんとうに生活の根源が成り立つためにやらなければならない。何百年の残滓が残っているのを短期間で解決をするときには、一般行政だけではだめだ、一般行政に加えて強力な施策が必要である、そういう意思統一がされまして、その問題を総合的に決定をするために同和対策審議会が昭和三十五年に設置され、四十年の八月十一日に答申が出たわけであります。多賀谷真稔君の本会議の質問に対して総理大臣は、同対審の答申を尊重いたします、そして、その中の重要事項である同和対策特別措置法の立案を早急に急ぐ、多賀谷真稔君の要望は二月以内に提出をしていただきたいということでございましたが、それに間に合うかどうかは確約はできないけれども、至急にその提出の準備を政府としては強力に進めたいという御答弁が総理大臣からございました。その前向きの姿勢は非常にけっこうだと思いますが、それがほんとうのものでなければ、この憲法をじゅうりんしている問題、ほんとうに数百万の大ぜいの人間が、大ぜいの日本国民が完全に人権をじゅうりんされる問題を早急に解決をすることはできないわけであります。したがって、ぜひ総理大臣には、この同和対策審議会の答申を尊重する意味において強力に進めていただきたいと思います。その審議会の答申を全部お読みをいただきましたならば、この審議会はこれを一生懸命やったけれども、まだこれでは不完全である、これ以上に施策が必要であるけれども、緊急な問題だからここまで討議したところでこの答申を総理大臣にお出しをする。こういうことで、したがって、これだけでは完全ではないわけです。それ以上に考えられるあらゆることをつけ足していかないと、この問題は解決できないわけであります。それと同時に、この問題は至急に解決をしなければ、その間、人権のじゅうりんがずっと続くわけであります。総合的に年次計画を立てていかなければならないけれども、できるだけ至急にその完成をしなければならないと思うわけであります。そして最後に、その年次計画をつくって、総合計画を策定してやるというところにいろいろなことがございます。
 そこで、具体的に御質問をしますが、私はこの年次計画、総合計画をできる限り政府が努力をされて、短期間で完成をするということが必要だろうと思うわけであります。昭和十一年に、その年のまだ無理解の政府であっても、完全解決のために十年間でこれをなし遂げるという計画をして、戦争でつぶれたわけでございます。民主主義の時代で、この民主主義憲法の時代で、この問題を一生懸命考えなければならない内閣としては、それ以内の短い期間でこの問題を解決する、その問題の具体的なものをやっていくという決心をなさらなければならないと思うわけでございます。佐藤内閣総理大臣の前向きの、私より以上の前向きの決意をぜひお聞かせをいただきたいと思います。
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佐藤榮作#7
○佐藤内閣総理大臣 この問題は八木君が御指摘のように、国民全体の問題として取り組んでいく、ことに政府は、岸内閣以来の問題でございますので、ぜひとも仕上げするような意味で、できるだけの留意をしたい、注意してまいりたいと思います。予算の編成にあたりましても、四十一年度では十分だとは申しませんが、その方向をあらわしたように思います。
 また、同和対策協議会、この設置の問題も、もうすでに閣議で、国会で御審議をいただく法案の決定をいたしておりますので、あとは特別措置法の問題が残っておると思います。なかなか特別措置法には各省ともいろいろの考え方があるようでございます。しかし、これも先ほど来言われるように、そっとしておくのでなくて、積極的に国会の総意に沿うような問題をぜひとも取り上げたいと、かように思っております。ことに、これは保守党も革新政党も同じことだと思いますが、わが党におきましても、同和対策についてはたいへん熱心に、また真剣に取り組んでおりますので、ただいまの特別措置法の制定にあたっては十分党とも相談の上、御満足のいくような方向で、前向きで検討したい、かように思います。ただ、この機会に、いつ出すかと、かように言われますと、まだそこまではまいっておりませんけれども、十分審議いたしまして、そして前向きにこの問題と取り組む、このことだけ披露しておきます。
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八木一男#8
○八木(一)委員 非常に前向きな御答弁でけっこうでございますが、問題を進める意味において一つ、二つ明確にしていただきたいと思うのです。
 先ほど申し上げましたように、前の——新憲法じゃない、昔の政府、基本的人権がそれほど尊重されていない政府ですら、問題解決のために十年間で完全に解決をするという計画を立てて、戦争でこれが中止になったわけであります。したがって、基本的人権を重んじなければならない、憲法を重んじなければならないいまの政府としては、それ以内の短い期間でこれを解決をするという熱意を持って当たっていただきたいと思いますし、特に最初の五カ年間で、いまできる、いま考え得る有効な政策はどんどんやる、あとの五カ年間でその後に考えられた、あるいは補完するものを完成するというような勢いでぜひやっていただきたいと思いますのと、同和対策特別措置法について、二月以内には無理であろうとも、少なくとも三月、そのくらいまでにぜひともお出しになるということを御披瀝を願いたいと思いますのと、その内容について、与野党のことをおっしゃいましたが、与野党ともに同和対策審議会設置法は出したわけでございます。その問題について協力をいたしておりますので、私ども社会党の意見なりあるいは民社党さんの意見なり、あるいは自民党の皆さま方、特に秋田さんとか灘尾さんとか、非常に熱心な方がおられます。そういう方々と一緒に御相談をして、政府のほうにもこのようにやったらよかろうじゃないかということを、積極的に意見を申し上げて、内容をりっぱなものにして、全国民的に解決をする方策をとらしていただきたいと思うのです。その点について総理大臣から、各官庁やあるいは総裁であられる自民党のほうに、全国民的にほかの人と協力をして、いいものを急速につくろうということをぜひ御決意をしていただきたいと思いますのと、それを十年以内、五年に大体完成するということと、措置法を三月以内にお出しになる、そのことについての御決意をぜひ前向きに御披瀝をいただければ非常にしあわせだと思います。
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佐藤榮作#9
○佐藤内閣総理大臣 ただいま八木君から、長期計画を立てろ、同時にまた、特別措置法の取り扱い方について、自分たちも協力するからぜひ早くつくれという重ねての御要望がございました。十分心してただいまの御要望に沿うように最善の努力をいたします。
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福田一#10
○福田委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。
 この際申し上げます。ただいま参考人として前臨時行政調査会会長佐藤喜一郎君の出席をいただいております。
 佐藤参考人には、御多忙中のところ御出席をいただきありがとう存じます。
 なお、佐藤参考人の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしますので御了承願います。
 それでは吉田賢一君。
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吉田賢一#11
○吉田(賢)委員 私は、去る三十九年の九月に答申が出ました臨時行政調査会、これは略称して臨調と申しますが、臨調の答申を中心に政府並びに関係閣僚の御意見を伺うのでございますが、その前に、臨調の会長として二年半余にわたって、かつまた戦後最大の構成、規模をもって努力をせられた臨調の会長であった佐藤喜一郎さんが御出席になっておりまするので、佐藤さんによって臨調が答申をいたしました趣旨、内容、大体の目標、骨子、こういったところをひとつ率直に伺いたいのでございます。ただし時間の制約もあることでございまするから、でき得るだけひとつ要点だけをお述べいただきたいとお願いしたいのであります。どうぞひとつお願いいたします。
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佐藤喜一郎#12
○佐藤参考人 お呼び出しがございましたので、私から申し上げたいと存じます。
 臨時行政調査会の性格でございますが、時の政府、池田内閣のときに任命を受けまして、二年半にわたって鋭意調査をいたして、一昨年の九月末日でございましたか、政府に答申をいたしたのでございます。そして調査会の規定の中にも、臨時調査会のほうで希望すれば、総理大臣は国会に報告しなければならないと書いてございましたが、私どもも、答申にあたりまして内閣に、この答申はぜひ国会にも報告を願いたいということをつけ加えて答申を終わったのであります。したがって、国会の皆さん方には御報告があったんだろうと、私はそれを前提として申し上げます。
 何ぶんにも調査会の答申は非常に膨大なものになっております。したがいまして、よほど御熱意のある方でないと全部をお読みくだすったとは私考えてはおらぬのでありますが、しかし、総論的のものを設けてございますので、どうかひとつおひまのときに読んでいただきたいと思うことが私どもの熱望でございます。
 さらに、この調査会は、国家の行政のあり方について調査を依頼されましたので、これに関連のあります場合には触れておりますけれども、地方行政に触れておりません。また国会の運営とも、行政の能率化等の関係がだいぶございますが、しかし、国会の運営について調べろという御依頼は受けておりませんので、それは権限外であるというふうに考えて、直接には国会の運営に対しては答申がされておらぬのであります。
 かような前提のもとに立ちまして、——なおもう一つ御留意を願っておきたいと思うことは、この答申に出ましたことは、七人の委員の全会一致の意見である。つまり多数決で、七人委員でございますが、三人、三人になった場合に会長あるいは委員長がきめるというようななにではございませんで、全会七人の委員の意見の合意を見たものだけが答申されておりまして、実際上におきまして、われわれが答申したいと思ったことの中でも、意見の相違がありましたものは答申になっておらない。この二つだけ御留意を願いたいと存じます。
 次に、方針をどういうふうにやっておったかと申しますと、大体行政の問題は、運営の問題と機構の問題とあるわけでありまして、機構が悪いと運営がなかなかうまくいかないという面もございますが、機構のほうはなるべく触れない、何と申しますか、最小限度にこれをとどめて、主としてなるべく運営でもって実際の改革ができるようにというような気持ちで七人の委員は調査に当たったのでございます。
 さらに、もう一つの問題は、いままでたびたび行政審議会もありましたし、行政の改革が企てられたのでございますが、それが、答申は出るけれども実施に移されていないという結果が遺憾ながら出ておりますので、どうしたらばこれが実施を促進するか、これは、やはり国民の世論に訴えないと、世論の支持がないというと、政府のほうも、また国会がこれに協力していただくにしましてもやりにくいだろうというので、八回にわたりまして各地方へわれわれが出かけまして、各方面の方の意見を懇談会という形で伺ったのであります。公聴会式の意味を持った懇談会であったのでございます。そうして、それは「国民の声」として別冊に収録してありまして、かなり大部なものになっております。また、調査会の発足にあたりまして、広く国民の声を伺いたいといって呼びかけをいたしました結果、その公聴会を開きます前から、多数の一般の国民の方の中からたくさんの投書をいただいておるのであります。これらを集めまして、別冊として収録してございます。
 それから、方針として、さらに実証的の調査、研究を前提といたしまして、わりあいにと申しますより、ほとんど政策の面には触れておらないのであります。たとえば、いま緊縮政策をやるときであるとか、あるいは公共事業が港湾に集中すべきであるとか、そういうような政策的の面には全然触れておらないのでございます。そして、これを大ざっぱに分けますと、大体四つぐらいのところに分かれておったのであります。
 第一は、先ほど申しましたように、行政の運営面に数々の問題がございます。なかんずく、この公聴会及び投書等によって見ますと、公務員のあり方、あるいはお役所行政という、仕事という面で非常にたくさんの批判やら注文やらがこの投書できております。したがいまして、運営、なかんずく公務員のあり方というものについて、かなりたくさん国民の不満があるということを承知いたしました結果、この運営及びなかんずく公務員のあり方ということにかなりの重点を置いてやっておるのであります。
 もう一つは、先ほど申し上げましたように、機構の改革ということはなるべく避けたのでございますが、世の中の進歩いたしますに伴って行政事務の配分ということは非常に重大な問題になりますので、これを合理的の配分と、われわれわかりにくいことばで称しておりましたが、この行政の事務の配分ということにもう一つの重点が置かれておったのであります。しかし、最も重要と思われましたことは、いわゆる各省がばらばらの行政をおやりになる傾向がある。内閣というものがあるのだから、そこで総合調整ができるはずだというふうにわれわれは外から初め見ておったのでありますが、いろいろ実態、実証調査をいたしますと、必ずしもそういってない。閣議において総合的なお話し合いをするような機構ができていないのじゃないかというふうに考えまして、内閣の総合調整機能の発揮、なかんずくこれが予算編成に関連しまして非常に重要であるということに気がつきまして、内閣の総合調整機能の発揮できるような、この面につきましては機構改革というものにかなり重点を置いてやったのであります。
 それからもう一つ、当時東京都におきまして水飢饉その他行政上の非常なそごが生じておりまして、これは広域行政というものに欠陥があるというふうに見まして、首都圏行政というものにつきまして特別の答申をいたしております。これは緊急を要すると思いまして、一昨年の九月に全体の答申をいたしますに先立って、約一年少しばかり前だったと記憶いたしますが、首都圏行政について答申を別途いたしておるのであります。
 大体がこういうところでございますが、たいへん恐縮でございますが、行政答申の中に「改革意見の実現に対する要望」というわずか二ページばかりのものがございますので、それを私ここで読ましていただきたいと思います。
 「以上は、当調査会が改革の必要を認めた問題点とその改革の方向を示したものである。」というのはこの「総論」でございますが、「その項目は多岐にわたっているので、直ちに実施できるものと若干の日時をかけて計画的に実現することを期待するもの」とに分かれるかと思います。「しかし、これらの改革意見は相互に関連性を有するものであるから、全体としての調和を保ちつつ、可及的すみやかに実現されることを望みたい。特に、強化すべき部門は縮小すべき部門よりの配置転換により、全体として拡大しないように配慮する必要がある、行政改革は、過去の経験から明らかなように、きわめて困難な問題である。行政組織内には現状維持的空気が強く、民間にも利害関係団体等で同様の立場から改革をはばむ方向に力を貸すものもあり、政党方面においても、行政改革については必ずしも大局的見地から行動するとは限らない。それに口実を与えるものは、欠点の多い組織制度といえども多少の存在理由はあるものであり、改善にはいくらかのマイナス」を必ず伴うものであるということであります。「また、行政改革は決して単一の理念で割り切れるものではなく、いろいろの矛盾する要素をその時代の実情に適応するように調和させることが要点」であります。たとえば、行政が専門分化していくと同時に統一をよけいしなければならない、能率の向上と公正の確保の関係、責任の明確化と協力の関係等がそれであります。「このような傾向のなかで行政改革を行なうためには、およそ行政に関連を持つ者が、おのおのその立場で全力を尽して協力されることが望ましいのであるが、まだ、各省庁は自己の立場に固執せず積極的に改善の努力をするように期待する。行政改革は、なんといつても、国家的要請であることの認識を持つた最高指導者の強いリーダーシップの発動に期待する以外にはない。政府はもちろん、国会もこの行政改革を実現するために最大の努力を」払っていただきたい。こういうことを申し上げているわけであります。「なお、行政改革には国民の強い関心と支持が必要であるので、その意味において政府は、毎年行政の実態とその改善の状況を明らかにする」いわば「「行政改善白書」ともいうべきものを」一ぺんは少なくも発表することを考慮してもらいたい。さらに、行政改革は不断の努力を要する難事でありますから、われわれがやりました調査会の報告をもって終わりというわけではございませんので、常に各種行政の実態を調査して、実証的資料を持って改革に備え、そうして今後も継続的に努力を重ねることを要望いたします。こういうふうに結んでおるわけであります。
 大体におきまして私が申し上げたいことの要旨はそこに尽きるのでございますが、調査会ができましたときに、総理大臣の池田さんが、初会合の席上で申したことがあるのであります。民間企業においては技術革新が着々と進められ、企業の能率化、近代化、生産性の向上は著しい、行政の組織や運営は、この社会の進展にふさわしい能率的なものでなければならない、行政の体質改善が刻下の急務である、こういうふうに述べておられるのであります。
 そういうわけで、先ほども申しましたように、国会の運営につきましては、われわれは諮問を受けておらなかったという意味で触れてはいないのでありますが、この文章の中には、必然、一般の行政との関連におきましていろいろな事項が述べられているのであります。
 そのうち一、二を申しますと、国会及び政党の中に存在しております常任委員会というものが各省別にできておりますので、これが各省と個別に接触しておりまして、国の行政の統一性を妨げていやしないかという記事がございます。それからまた、非常に申し上げにくいことでございますが、国会の開会中に行政の重要な管理職の多くが国会にくぎづけになっておる。このために行政の渋滞をやや来たしている面がありはしないかということでございます。それからもう一つは、この予算委員会のように、予算につきましては非常に慎重なる御審議が行なわれているのでありますが、いま少し決算委員会のほうで、予算の済んでしまってからの検討を重要視なすってはいかがであろうか。つまり民間の企業で申しますと、株主総会が一番重要なる問題になりますので、決算委員会のほうの問題を多少触れております。
 まあこういったような趣旨でございまして、なおほかに御質問のことがございましたらば申し上げますが、私のただいま吉田さんからのお話に対します答弁は、一応これにいたしたいと思います。ありがとうございました。
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吉田賢一#13
○吉田(賢)委員 ちょっと佐藤さんに引き続いてお尋ねいたしますが、要するに、調査会の設置法の法律の趣旨、成立の経過等にかんがみまして、調査の対象は行政にあったわけですね。政治を対象にしなかった。ところで、行政というものは政治をはずして存在しないものとも考えるのですが、政治が行政を取り巻いているとも言えます。たとえば国会を政治の一つの象徴といたしましたら、国会と行政の関係は切っても切れませんので、したがいまして、そこに政治にやはり言及し、調査の対象がそこにまでいかなければ、なかなか問題の解明ないしは目的の達成は困難と、こういうふうなことはお考えになりませんでございましたか。
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佐藤喜一郎#14
○佐藤参考人 ただいま御質問の、行政と政治の関係でございますが、答申の中にも、行政の欠陥というものは、行政だけの中に存在してなくて、外部からのいろいろな要因によって行政がゆがめられている面があるということも、触れておるのであります。ただ、先ほども申し上げましたように、一応行政自体の、狭い意味の行政にしぼりまして、政策やら政治の問題に触れませんでしたことは、ちょっと例を申し上げますと、この臨時行政調査会が多少モデルにしたと思われるアメリカのフーバー委員会でございますが、第一回のときには、やはりわれわれがやりましたと同じように、狭い意味の行政の能率化、合理化ということに重点を置いて調査を進めたようでございます。フーバー委員会は二回ございましたのでありますが、二回目の答申を見ますと、今度は相当ポリシーを入れているというふうに書いてございます。したがいまして、政府のほうのお考え、あるいは国会のお考えで政策を入れたものをまた別におやりになるというのであれば別でございますが、一応われわれとしては、時間的の制約も多分に受けておりましたということもございまして、そういうふうに政策面は取り上げなかった。なかんずく、また非常にめんどうでございました地方行政のあり方なども取り上げていないという事情は、多少時間的に足りないという面もあったのでございます。
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吉田賢一#15
○吉田(賢)委員 佐藤さんになお伺いますが、この臨調は、劈頭申しましたように、私ども調べたところによりましても、日本におきまして戦後最大の行政調査会であったと思います。また、各界の代表、財界、新聞、あるいは学者、労働組合、司法界等の一流の方が全会一致をもってきめた意見、それからまた、この答申が出ました前後の全国の日刊新聞を調べてみますると、社説、投書等によりまして絶対的な支持をしておるというのが、例外がなかったように思われます。こういうような情勢のもとに答申はせられました。そこで、今日一年半たっておりまするが、委員長として心血をそそがれたあなたの感想としましては、このような状態に対しましてどういうふうにお考えになりましょう。これは、やはり当然こんなものだというふうになるのでしょうか。それともどこか抜くことのできないような妨げる力があるのであろうか。もしくは、ほんとうは国民が知らなかったので、これを実現することは国民は欲しないというのがほんとうであるのであろうか。この辺につきまして、最も事情に精通しておられるあなたは、ことにアメリカまで行ってフーバー委員会の実績等についても詳細に御調査になったとか聞き及んでおりまするが、そのようなお立場から顧みまして、いまのこの進展の状況にどのような感想を持っておられましょう。
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佐藤喜一郎#16
○佐藤参考人 いま御質問の点でございますが、アメリカのフーバー委員会の答申の出ます前後から、アメリカでは市民委員会というものが発足いたしました。発足の当時は、六十人余りのワシントンにおきます有力者が組織したそうでありますが、やがてそれが各州に広がりまして、最盛期には八万人の会員があったといわれております。一部ではまだ続いているというふうに聞いておるのでございますが、各方面の方から、この行政改革答申はせっかくしたのだから、これが実行できるように日本も何かやらなきゃなるまい、こういう御意見やらおすすめを私はいただいたのでございますが、これは、調査会としては、調査会自身としての職務ではありませんので、民間がこの必要を感じたならば——現に民間団体の中には、この行政改革促進委員会というものをつくっているものもございます。またわれわれとしましては、これがなるべく行なわれるようにするのにはどうしたらいいかというので、先ほどもちょっと朗読いたしましたように、年に一ぺんは少なくも行政改善白書というものを書いていただきたいということで、必ずや政府としても促進せざるを得ないような立場に置かれるのではなかろうか、こういうふうに考えて、勧告の中に要望として入れてあるのであります。また、市民委員会を日本でやってみるかという考えもあったことはあったと存じますが、いろいろ国情も違いますし、市民委員会は、聞いてみますと、国会の議員が選挙区に帰りましたときに、この市民委員会の連中が国会議員にいろいろと、早くあの行政調査会の、フーバー委員会の勧告を実施すべしということを要望したそうであります。そういうような事情に日本があるかどうかという点も考えまして、必ずしもアメリカのまねをする必要はないけれども、一つのきめ手はないと存じますので、われわれとしては決していまの状態が満足すべき状態とは考えておりませんが、非常に各方面に広範囲にわたっている改革でありますだけに、必ずしも一年や二年でこれが達成できるとは思っていないことは事実でございます。
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吉田賢一#17
○吉田(賢)委員 どうもその辺が、佐藤さんともあろう硬骨漢といたしまして、少し私としては食い足りない御発言のように思うのですが、一体国会は国民を代表したものと憲法にはなっておりますし、国会にこれが報告せられ、時の内閣に報告せられ、そうして二億円の国費が使われ、百三十一名ほどがほとんど常動的にこれを担当せられ、全国で八カ所という広範な国民の声を集約せられて、等身大の資料がここにできております。日本といたしまして、池田前首相も、選挙区制の問題と行革の問題は命をかけてでもやるというようなことを漏したとか言われておるのであります。そのような背景もあり、そのような熱意があり、そのような事情のもとにできたものが、いま行政監理委員会等も若干できておりますけれども、しかし、あなた御自身も心血を注いでおやりになった立場としましては、感無量というようなところがあるのじゃないかと思うのであります。何が一体これをはばんでおるのか。日本におきましては、行政改革というものはしょせんはできないものかどうか、一体、することは国民のために不利益なのかどうか、できるだけ行政経費も節約して、能率的に親しみやすい行政を国民のためにというようなスローガンのもとに、じゃんじゃんとみんなの賛同を得てやって、実はふたをあけたらそうじゃない実態なのか、そうであるけれどもどこかがはばんでおるのか、ここをやはり端的におっしゃってもらいたいのです。それが、われわれ国会の立場といたしましても重要な参考になります。私にいたしましても、きょうのあなたに対する、また総理その他に対する質問にしましても、きょうすぐにこの情勢下におきましてこれが実現するとは思いません。しかしながら、この国会におきまして、事の重要性と、事の真相と、事の経過というものにつきましては、どうか一億の国民に知ってもらいたい、その先がけの一役を買いたい、こういう気持ち以外にありません。この辺につきまして、通ずるものがあるかと思うのですが、あなたとしまして、何がこれをはばんでおるのか、どうすればいいのかということについて、きょうはひとつ率直な御意見を聞かせてもらいたいと思うのですが、その点、いかがでございましょう。
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佐藤喜一郎#18
○佐藤参考人 いまお話しのような希望というものを私が持っておることは、吉田委員に劣らないと思うのでございますが、ただ、どうやってこれをやるかという手段では、私としてきめ手というものをまだ持っておりません。ただ、これは一つの手でやれるものじゃないので、機会あるごとに、いかなる団体にでも、ほかの問題は別といたしまして、この行政の問題でもあれば、必ずいつでも私は出かけて話をする。国民も漸次行政改革の必要性というものは悟ってきたのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。何にいたしましても、政府はもちろんでございましょうが、国会のほうも、吉田さんのように御熱意を持っていただく方が一人でもふえれば、私は非常に喜ばしく感じるわけでございます。どうもありがとうございました。
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吉田賢一#19
○吉田(賢)委員 最後に、佐藤さんにもう一点伺っておきますが、この行政改革の課題を原価計算的に測定するということは、なかなかどうもむずかしいらしい。アメリカあたりにおきましては、フーバー委員会の後の実践団体である市民委員会は、これによってアメリカの国民は行政費の膨大な節約ができる、最も能率的な行政が行なわれると言ったことが市民にぴったりときたらしい。ところが、わが国のこの場合におきまして、その方面の可能な節約の限界、もしくはこれによって冗費が相当省ける——さっきもおっしゃった予算の執行あるいは決算等の段階をもっと重視しなければならぬということは、これも答申の中にも書かれておりますが、率直に国民の経済的負担が相当軽くなるといったような面、相当経費の節約ができるといったような面、こういうことは、これは数学的に測定はできないものであったのでしょうか。深く研究はいたしておりませんけれども、十六項目にわたる答申を通覧いたしまして、経済的に国民の負担がこのように軽くなるといったような辺が、どうも集約されてまいりませんです。しかし、いまの日本の国民といたしましては、あらゆる政治、行政の問題にこれはつながってまいりますので、その辺が解明されましたならば、非常に俚耳に入りやすい、こういうように思うのですが、その辺についてのお考えはどんなものでございましょう。
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佐藤喜一郎#20
○佐藤参考人 フーバー委員会におきましても、十九ほどの項目について勧告が出ておるのでありますが、それぞれにつきまして、アメリカでは勧告のある部分につきましては何億ドルの節約になるというようなことがよく出ておりまして、私どもも、これが一番わかりやすい、また国民に訴えやすいので、何かこの点につきましてそういう数字でもってこれをあらわすことができないだろうかということは考えたのでございますが、何ぶんにも、それは先ほども申しましたが、ほとんど時間的余裕もなし、また今日においても、これは意見の相違になるような問題がございます。ただ、専門委員会の中には、この行政改革の答申を十分にやっていただいたならば一兆円の節約になるであろうということを言われた方があるのであります。しかし、その一兆円というのは、おそらく時間の節約でありますとか、民間のこうむっておりますむだな経費、そういうものまで含めての数字であろうかと思いまして、これは非常に勇ましいわかりいい数字なのでありますが、この根拠を突きとめることができませんので、私はめったにこの数字は言わないのであります。しかし、いま吉田委員の何か数字にあらわせぬかという御質問がございましたので、そういう意見もあるのだということでございます。
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吉田賢一#21
○吉田(賢)委員 いま諸外国におきまして行政の組織運営の議論をするときに、よく行政の生産性ということがいわれるのでありますが、この辺につきましては、ひとつまた専門家におかれまして、でき得る限りその方面とのつながりにおいて行政の組織・運営の改革問題が展開せられるように御努力を願いたい、こう思うのであります。佐藤さんにおかれましては、何か世界の支店長さんを集めておるということでありますので、きょうは時間の約束もしておりましたから、これ以上はもうお尋ねしないことにいたします。
 総理にお尋ねいたしたいのであります。五十一国会の男頭の例の施政演説におきまして、最後の段階におきまして、「最少の……。
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福田一#22
○福田委員長 それでは、佐藤参考人には御退席になってけっこうでございます。ありがとうございました。
 吉田君、発言を続けてください。
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吉田賢一#23
○吉田(賢)委員 「最少の行政費による最高の能率こそ、国民の最も希望するところであります。」これ以下二、三行にわたりまして、公団、公庫の新設を認めずとか、あるいは部局の新設、人員増加等についても最小限度にとどめたとかいったようなことが、やや臨調の行政改革に対する施政演説の御趣意かとうかがうのでありますが、私は、一体最少の行政費をもって最高の能率ということは、これは何か臨調もそのような答申の趣旨が随所に出てくるのでありますが、大体同じ思想をもってこう要約しておられるのであろうか、もしくはそうでないのであろうか、この辺をちょっとまず聞いておきたいのです。
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佐藤榮作#24
○佐藤内閣総理大臣 これは、基本的な行政のあり方ですから、臨調におきましても私と同じ考え方だろうと思います。
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吉田賢一#25
○吉田(賢)委員 総理大臣は、臨時行政調査会の設置法の第三条の趣旨によりましても、当然意見もしくは答申は尊重する法律上の義務がございます。したがいまして、従来当委員会におきまして、社会党の勝間田君やらわが党の西村君の質疑に対してお答えになっておりましたが、答申を尊重するということは、よく繰り返しておられるのでございます。もっともなことでございます。尊重以上のものもなければ以下もないと思うのでありますが、しかし、問題は、やはりこの答申を実現するかどうかは、一にかかって総理の決意にあると私は思う。総理の内閣のリーダーシップの問題につながってくるのでないか、こう思うのです。この辺につきまして、ほんとうにあなたのお覚悟をひとつ聞いてみたいと思うのです。もうすでに組閣三年目になるのでございますので、ようやく国民はあなたが総理大臣としていろいろと板についた独自の行政をやっていかれるというふうに信頼もしておりましょうから、このあたりでもっと私は積極的に臨調の答申に対する態度を明らかにする必要があると思うのです。と申しまするのは、たとえば、池田首相の三十八国会、三十六年の一月ですが、この臨調のできる直前の施政演説には、「今回行政の画期的な体質改善を行ない、国民へのサービス向上に寄与すべく、各界各層の知能を結集して、権威の高い行政診断機関を設けることとし、近く関係法案を提出して御審議を願うつもりである。」ということを述べて、続いてこの臨調ができました直後、三十七年の一月の施政演説を読んでみますると、「政府は、綱紀の維持と行政の効率的運営に不断の努力を払っておりますが、今回新たに臨時行政調査会を設けるゆえんは、行政の機構と運営の根本的刷新を期し、国民の願望にこたえんとする配慮に出ました。」ということを言っております。さらに、さっき佐藤さんも述べましたように、臨調の発足の第一回の会合におきましては、これはもう熱烈な態度表明があります。いわく、「行政の体質改善はまさに国家の急務であります。調査会は、わが国行政全般に関する権威の高い診断機関として、まず行政の実態を調査され、行政の民主的かつ統一ある実施を確保し、行政機関の所掌範囲を合理化し、行政事務を能率化するために、その組織、運営のあり方について改善案を御提出下さるよう切にお願いいたします。行政全般の抜本的刷新を実施することによって、広く国民の声にこたえ、国家発展の基礎を固める決意を有するものであります。」というふうに述べております。このようでありまして、あなたの場合は、四十七国会、四十八国会におきましても触れておいでになりまするが、四十七国会の場合は、「行政制度の改善につき検討を加え、行政の組織及び運営の能率化を実現したいと考えておる。」また、四十八国会におきましては、「行政制度全般に検討を加えて臨時行政調査会の意見の趣旨を尊重して実施可能の部門から行政の改革を逐次実現したいと思います。」というふうになっておりまするので、これは手がたい行き方のようでありまするけれども、もしほんとうにあなたが決意と熱意と力を発揮してこの臨調実現に突進するというような態勢になくして、単にことばだけということになりましたらたいへんでございまするので、したがいまして、この機会に内閣の首班として、総理大臣として、あなたのこれに対するほんとうの御所信を聞いておきたい、こういうふうに思います。
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佐藤榮作#26
○佐藤内閣総理大臣 吉田さんからいろいろ詳しくお尋ねでございます。私は、長い経験から申しましても、政治、行政——行政そのものは簡潔なものでないと国民に理解されない。また国民のお世話をするにしても、十分の成果をあげ得ない、いわゆる繁文褥礼になる、ここに官僚制度の欠陥がある、かように実は思っております。幸いにいたしまして二年有半の調査の結果、臨調がすばらしい報告をしてくだすったのであります。これを尊重することはもちろんであります。ただ、この問題はなかなか直ちにできる、こういうものでもございませんので、やはり緩急よろしきを得とでも申しますか、それぞれ可能なものから手をつけていくということが望ましい、かように思っておりますので、そういうように身近なもの、可能なもの、それとひとつ真剣に取り組んでみよう、こういうことでございます。ことしの予算編成にあたりましても、そういう意味で、たいへん消極的な態度のようではございますが、まず予算編成上可能なこと、これは、この機会には公社、公団等はつくらないということや、あるいは局をつくる場合にはどこかの局を一つ整理してこい、そうして新しいものも考えるが、おそらく在来の機構でもすでに目的を果たしたもの、あるいは一局にしておく必要のないもの等々があるだろうから、そういうことを勘案して機構自身が膨大にならないように、こういうことでまずその可能なものを取り上げてまいったのであります。幸いにいたしましても、関係団体等におきましても十分私ども政府の意のあるところを理解してくれ、また与党はもちろん積極的にこれを支持してくれまして、今回の予算ができたわけでございます。たいへんむずかしい問題でございますが、政府自身が根気強く、また国民のほんとうの利益のためにどういうことをすればいいか、こういうことでこれは取り組んでまいりたいと思います。申すまでもないことですが、ただいまは積極的に人員を減らすとか、あるいは整理するとか、こういう時期でないことは、百も私承知いたしておりますので、同じ経営の合理化にいたしましても、これは補職あるいは転勤その他等によりまして、実際現実にあまり犠牲者の出てこないような、そういう仕組みでこの問題を処置したい、かように思っておる次第でございます。
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吉田賢一#27
○吉田(賢)委員 公務員の人員を整理しないというような問題は、これは設置法ができるときに両院で附帯決議で明確になっておるのであります。したがいまして、その趣旨は尊重して答申も出ておることには間違いない。けれども、一局を設けるとか設けないとか、あるいは公社、公団をつくるとかつくらないとかということは、今日のこの重大な情勢の根本的な組織・運営に取り組むという段階におきましては、むしろ末梢的なことではないであろうか。もっと重要なことがあるんではないか。項目は十六になっておりますけれども、とてもわれわれとして読み切れないほど実に多岐にわたっております。あるいはまた、各省から出ました照会に対する回答にいたしましても、ずいぶんと多岐にわたっておりまするが、そのような多くの問題があるときでありまするので、これらが前進しないというのは一体何であろうかということを、まずそこをよくお考えになってしかるべきでないか、こう思うのです。これは、総理といたしましては、同時に自民党の総裁でもありまするので、一面におきまして、やはり国会が積極的な態勢にならないというのは一体どういうわけだろう、こういう点につきましても、やはり率直に意見の表明があってしかるべきでないかと、私はこう思うのです、何がそうなしておるのであろうかと。答申に対する各省の意見を一応読んでみますると、なかなか賛成意見が出てきておらぬ。なかなか出てきておりません。そういうのは一体どういうわけだろう。そうすると、一体行政組織がほとんど本能的に反対しているのであろうか、また国会自身もこれに同調しているのであろうか、こういうふうにさえ国民は感じるんではないであろうか。それなら、これをはばむのは一体どこなんだろう、行政官庁自身なのであろうか、組織自身であるのであろうか、あるいは国会自身なのかどうかというようなことすら考えざるを得ないのでありますが、あなたのお立場といたしまして、これが予算にも盛ってあるとおっしゃいますけれども、それは順調に進行しておるというような御判断なのであろうか。なかなか容易でない、大きなはばむ力が作用しておるということを率直にお認めになったほうが、私は正直な佐藤さんのお立場としまして国民は納得すると思うのですが、その点はいかがでございますか。
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佐藤榮作#28
○佐藤内閣総理大臣 これはたいへんむずかしいことなんですが、思い切った改革は、実情を無視して進んでいくというか、一つの構想のもとに新しく考える、これは非常に徹底した行き方です。ところが、これについてはやはり現実の問題として、実際にそれがはたして適当なりやいなや、こういう批判が出てくるわけであります。必ずしも、いわゆる官僚機構がこれをはばんでおる、私はかようには思いませんけれども、ただいま申し上げますように、できるだけ現実的な問題で非常な変化を与えないように、徐々に改革が行なわれるように、こういうことをやはり現状においてはみんなが望むのであります。ただいまも、国会等において附帯決議をしておる、人間を減らさないように、こういうようなことを考えておるといわれますが、これもやはり現状に対して大きな変化を与えないという、その考え方だろうと思う。しかし、徹底する考え方から言えば、これは理論的にもずいぶんおかしな問題だと思います。仕事が現に減って、仕事がなくなって、そうして人だけは従前どおりいるという、これはおかしなことなんで、これは結局あまり重大なる変化を現状に与えないように徐々に改革をしていこう、こういうことに落ちるのだと思います。ただいま各省庁がこういうことについて積極的でないというのは、そういう意味においてある程度理解できないわけではない。だから、私が申し上げますように、総理自身がたいへん根気強くこういう問題と取り組んで、そうして摩擦を起こさないように、しかもその改革の実をあげるように、したがって、これは相当の時間がかかるものだ、かように私は思っておるのであります。
 いずれにいたしましても、膨大な調査報告を受け、そうして巨額の費用も投じて結論を得た、しかもこれはたいへんりっぱなものなんだ、かように思いますが、ただ、いますぐ右から左というのは、吉田君もそれはむずかしいだろうと言われますように、重大な変更を与えることは、これは現場にいる者がその地位を守るというだけではなく、国民自身にいたしましても、非常な変化を受けるということについては、これは必ずしも賛成しないだろう、そういう意味で、長期にわたる根気強さによって初めて成果をあげるものだ、かように思います。
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吉田賢一#29
○吉田(賢)委員 そうしたら、少し具体的な問題に触れていきまするが、たとえば答申の第一に掲げてありました内閣機能の強化の問題でありますが、これは予算編成の過程をめぐりまして、この問題が大きく打ち出されておるようでございます・が、いまのあなたのお立場は、自民党の総裁であると同時に行政機関の最高府の閣議の首長であります。そこで、内閣の機能をこの際もっと強化いたしまして、そして予算編成におきましても、予算編成は大蔵省が事務的にはこれを扱うにいたしましても、もっと内閣の意向、まず方針が予算編成の基礎的なものになるというような、そのようなところまで内閣を強化するということが答申されておるのでありますが、そういうことについて具体的に取り組んでいかねばならぬということはお考えにならぬでしょうか。なぜその質問をするかというならば、予算の編成におきましても、毎年年末になりますと、全国的に猛烈な陳情のあることは御承知のとおりであります。一応は内示されまして、あと、最終的な復活要求という段階になりましたならば、北海道から九州の果てに至りますまで東京に向かって殺到してまいりますということは、御承知のとおりであります。予算案の編成の最終段階において、このような情景を呈しておるということは、何が一体こうせしめておるのであろうか、どこに一体この原因があるのであろうか、こういうことにつきまして、もっとすっきりとすべきものではないであろうか。編成の方針が総理によって示される、これによって予算はさらに具体的な案がつくられるというふうな順序を追うべきものではないのでしょうか。年末になりまして、どさくさと一週間くらいの間に方針も示されて、また、最終の復活の猛烈な激しい取り合いができるということは、世界に類例がないというふうにも思うのですが、これをもっと規制していくには、内閣の強化が必要である。この点が、答申の内閣強化の骨子であります。案といたしまして、方法といたしまして、補佐官を設けるとかいろいろと仮定したものはございますけれども、いずれにしましても、いまのように総理を助ける機関が弱体では、指導力はありません、統率力はありません。むしろ大蔵大臣が総理にかわって予算編成方針を閣議で述べる、あるいはまたその予算を編成する、これをかわって首相が国民に報告するという立場でないかというふうにさえ実は思うのであります。そうならば、これは本末転倒であります。この点におきまして、もっと内閣を強化するということ、これが行政の筋目をとおしていく、内閣そのものが行政組織全体の統率の中核になっていくということを事実に示していく、要するに、これはもっと言うならば、内閣の強化は即総理大臣のやはりリーダーシップの強化ということになるのかわかりません。総理大臣自身の権限は、憲法でも明確でありますし、法律上はもう明らかである。しかし、事実上はこのような状態でありますので、こういったことは、やはり根本の問題としまして、重要な課題として、内閣はあげて取り組んでいってもらわねばなるまい、こう思うのですが、この点につきましてはいかがでございましょう。
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