決算委員会

1978-02-27 参議院 全185発言

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会議録情報#0
昭和五十三年二月二十七日(月曜日)
   午前十時六分開会
    —————————————
   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     矢田部 理君     宮之原貞光君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     三治 重信君
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     安武 洋子君     渡辺  武君
 二月二十二日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     安武 洋子君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     降矢 敬雄君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                斎藤 十朗君
                坂元 親男君
                長谷川 信君
                野口 忠夫君
                田代富士男君
    委 員
                伊江 朝雄君
                石本  茂君
                北  修二君
                藤川 一秋君
                降矢 敬雄君
                案納  勝君
                寺田 熊雄君
                丸谷 金保君
                和泉 照雄君
                沓脱タケ子君
                安武 洋子君
                喜屋武眞榮君
                野末 陳平君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       熊谷太三郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  山田 久就君
   政府委員
       経済企画政務次
       官        前田治一郎君
       経済企画庁長官
       官房長      高橋  元君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   小林  進君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇君
       経済企画庁調整
       局審議官     澤野  潤君
       経済企画庁国民
       生活局長     井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       経済企画庁調査
       局長       岩田 幸基君
       科学技術庁長官
       官房長      半澤 治雄君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   剱持 浩裕君
       科学技術庁計画
       局長       大澤 弘之君
       科学技術庁研究
       調整局長     園山 重道君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       環境庁長官官房
       長        金子 太郎君
       環境庁長官官房
       審議官      石渡 鷹雄君
       環境庁長官官房
       会計課長     高橋 盛雄君
       環境庁企画調整
       局長       信澤  清君
       環境庁自然保護
       局長       出原 孝夫君
       環境庁大気保全
       局長       橋本 道夫君
       環境庁水質保全
       局長       二瓶  博君
       外務省国際連合
       局長       大川 美雄君
       気象庁長官    有住 直介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       国土庁長官官房
       震災対策課長   城野 好樹君
       水産庁長官官房
       漁政部長     矢崎 市朗君
       資源エネルギー
       庁石油部精製課
       長        清滝昌三郎君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十九年度特別会計
 歳入歳出決算、昭和四十九年度国税収納金整理
 資金受払計算書
 昭和四十九年度政府関係機関決算書(第七十七
 回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)
    —————————————
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茜ケ久保重光#1
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十五日、矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
 また、二月十六日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。
 また、本日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。
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茜ケ久保重光#2
○委員長(茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、総理府のうち、経済企画庁、科学技術庁及び環境庁の決算について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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茜ケ久保重光#3
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    —————————————
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茜ケ久保重光#4
○委員長(茜ケ久保重光君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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野口忠夫#5
○野口忠夫君 経済企画庁にお尋ねいたしたいと思いますが、平河会という宮澤経済企画庁長官を中心とする自民党の政策集団と言われる会がありまして、この平河会が「中期展望に立つ経済改革の提案」をまとめて発表されておりますが、間違いございませんか。
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宮澤喜一#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 平河会は、過去五年の間に何回か国のいろいろな問題について提言をいたしておりますが、ことしの一月にも最近の問題について提言をいたしたように承知しております。
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野口忠夫#7
○野口忠夫君 長官が主宰する会合で公表されたものですから、今日のわが国の対策方向に相当の影響を持つものと判断されますので、この点について二、三お聞きしたいと思います。
 提案の中の一つに、年金、保険、児童手当等の受益者に対し、高齢者社会を迎えて受益者が非常にふえてくると、必要経費も増大する一方で、財政資金には限りがあるから、これを有効に使うためという理由で受益者の所得制限を強化し、所得に対する逆累進制を提案されています。しかしながら、現行の年金等は将来自分が受ける給付の財源は、現在の所得の中から積み立てていく積立方式でありまして、将来の給付に対して当然の権利を有するものと考えられるものですが、この個々人の将来の権利を、給付を受ける時点においてその人の受給時の所得を勘案して修正減額するというのは、大変な無理が生ずると思われるわけでありますが、この点について長官の御見解をお伺いしたいと思います。
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宮澤喜一#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 平河会は五年ほどの歴史を持っておりまして、毎週政策研究をいたしておりますが、その間たまたま私、今回を含めまして二度ほど内閣の方に閣僚として仕事をするようになりまして、その間だけは平河会の提案につきましては私は参画をいたさないということで、その都度会員との間でそういう了解をいたしております。できるだけ一緒に勉強はいたしたいと存じておりますけれども、提言というようなことになりますと、やはり現在政府が考えておりますことと提言の内容とはしばしば異なる場合がある、それがまた提言ということの意味でもございますので、私自身はそれには参加いたさないということを基本的に了解をいたしておりまして、ただいまお話しの提案はことし一月になされたものでございますが、私すでに閣内におりましたので、この提案には私自身は参加をしない、また拘束もされないことももちろんでございます。
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野口忠夫#9
○野口忠夫君 経済企画庁長官という立場でこの会を主宰なさるわけでございましょうから、現在の状態では私はそれには余り関係はしない、影響は受けないと、こういうお話でございますが、このような考え方、年金受給時に所得に応じて減額修正するということであるならば、現行の積立方式を変えて賦課方式に改めるべきであろうと思われるわけであります。高齢者社会を迎えたとき、そのときの高齢者を、そのときの高齢者のために現在の若い人たちの拠出によって年金を給付するというこの賦課方式であれば、勤労者の所得からその所得に見合った額を拠出させて高齢者の年金財源として充てるというのであれば、当然そのときの高齢者の所得の額に応じ年金額は決定されるであろうと思われるわけでありますが、この提案の基盤に賦課方式ということを考えておられたのかどうか。まあそのことをどうするかこうするかではなくて、長官として、この問題について、そういうものが土台となっておったんだと、なるべきなんだと、こういう考えでおられたかどうか、お聞きしたいと思うわけであります。
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宮澤喜一#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたような理由で、私自身平河会の提言そのものは政府の考えを代表するものではございませんので、それにつきましての政府としての考えを申し上げる筋合いのものではないと存じますが、もともと平河会では、この問題は長いこといろんな機会に議論をいたしております。まあ、基本的には現在の修正積立方式というものを議論の対象にしておるわけでございますけれども、いつまでそういう方式が可能であるかないかというようなことについては、いろいろ従来内部で議論をしております。しかし、この提言がなされた背景にその方式そのものをどうするかということは十分に詰め切った立場でこの提言をしたのではないのではなかろうかと。私、詳しい事情は、先ほど申しましたような理由で参画をいたしませんでしたので存じませんけれども、そういう想像は可能だと存じます。
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野口忠夫#11
○野口忠夫君 宮澤長官は非常に素直なお方でいられまして、いつもまあ私どもの耳にするところでは、中国問題あるいは経済の見通し等について率直に御意見を述べられる方であると思うんですが、まあ政府の段階という立場よりも平河会というものの中でこういう話があったことについて、やっぱり長官の率直な意見を聞きたいと思うているわけなんでございますから、そういう意味でひとつお答え願いたいんです、政府がどうだということでお聞きしているわけでございませんので。
 第二番目に、やっぱりあの提言の中の一つに、土地は空気や水と同じような公共財としての性格を持つものであって、土地所有者の私権を思い切って制限することをしてはどうかというような主張があられるわけであります。資本主義体制下のわが国の今日の状況の中で、土地が空気や水と同じ公共財であると考えたいという願望は願望としてわかるわけでございますけれども、この願望と実現の間にはどうも疑問が残るんではないかと思われるわけであります。
 公共財とは、各人が時と場所を選ばずにだれでも利用することができる財ということであって、空気などは典型的な例であろうと思います。しかし日本では、土地のうちでも宅地などについては商品化され、需要と供給とによって価格が定まり、需要の大きさに比べて供給が非常に限定されているものですから、価格が高騰して庶民では購入できないような状態にも追い込まれております。こういう意味からすれば、宅地は市場性の濃い財であり、公共財とは言えないのではないだろうかと思われるわけです。
 土地が公共財であるという理論を推し進めてまいりますと、国有化とか、社会化とかいうことになりまして、非常に国民の合意を得た上でそういうことが望まれるんではないかというような私どもの考え方と近づいてくるわけでありますが、どうも総理経験者を含めて、土地に利潤を求めてあの狂乱物価を、あの混乱を生んだような今日の日本の現状ではちょっと現実離れしているんではないかというふうに思うわけであります。まして、今日の体制の中で私権の制限ということになると、憲法二十九条の財産権の侵害等の問題の解決も残るだろうと思われるわけでありますが、こういう、どうも願望としてはわかるんですけれども、本質的な問題に触れることなく理想論を述べられて、現実の宅地不足と価格の高騰の解決というようなことになるとは思われないわけでございますけれども、こうしたことが提言の中にあるわけでありまして、これについて平河会の最高幹部として、率直に言うてこの提案、提言の持つ気持ちですね、それと今日的状態とあわせてどうお考えになるか、ひとつお聞きしたいというふうに思うわけであります。
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宮澤喜一#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、この問題には非常にむずかしい面がたくさんございますが、平河会では比較的早く数年前にこの問題を取り上げていろいろ議論をいたしまして、それが国土利用計画法等々を生みました背景に何がしかの貢献をしたというふうに私、見ておりますけれども、今回の提言もその線上にあるものであろうと私考えております。
 すなわち、ただいま御指摘のように、憲法に定めるところの財産権というものは、これはもう絶対に尊重されなければならない。このことはもう基本的に問題の最も根本にある考え方でございます。また、平河会の構成員が私ども自由民主党の党員でございますので、ことさらこの自由経済、市場経済というものを基本に考える立場から、私有財産というものは尊重されなければならないということは、基本的に強く考えております。その
                     −上に立ちまして、しかし、東京、大阪、名古屋というようないわゆる大都会においてこれだけ住民の土地の利用についての希望が高いときに、所有権の問題と利用権の問題とを、私有財産尊重の原則に触れることなく分けて考えることは可能であるかどうであろうかということが今回の提案の背景であろうかと思います。提案では、財産権はもとより尊重をする、しかしそれが、利用権の面においていわゆる公共の福祉に非常に貢献をするというような場合にはそれなりの奨励なり補助を積極的に与える方法はないであろうか、あるいは、その道を選ばない所有者に対してはそれなりの負担を課するということは可能であろうか可能でないであろうかというようなことについての提言であると見ておりまして、この問題には、ただいま野口委員が御指摘になりましたように、非常にむずかしい面がたくさんございます。しかし、いろいろな提言をしておる間に、少しずつ——先ほども申し上げました国土利用計画法のような、少しずつ世の中のコンセンサスを得ながら新しい制度が生まれてくるというような、そのような効果は時間をかけますとございますので、そういうことを考えました提言ではなかろうかと、私、観察をいたしておるわけでございます。
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野口忠夫#13
○野口忠夫君 まあ、このことばかり申し上げて済まないんですけれども、最後に、これは非常に現実的な問題なんですけれども、この提案の中で公務員給与制度の改正ということを提唱されているんでありますが、この問題について一、二伺いたいと思うんです。
 非常に現在のこの不況の中で民間企業は収益低下に苦しんでおって、一時帰休や昇給ストップがあって四苦八苦の状態の中にあるということは、これはもう言うまでもない事実であると思います。が、この苦境の、こういう苦しい状態の発生をした原因は、やはり政府の経済政策の失敗によるものであるということもまたこれ紛れもない事実であろうと思うわけであります。しかるに、この提案の骨子を拝見いたしますと、「人事院勧告は民間給与の実態を反映していないとの批判が強く」と、このようなことがあって、公務員給与の優遇というようなことを批判しているわけであります。しかし、この批判の対象となっている人事院勧告というのは、昭和二十三年の十二月から始まってこの方、常に公務員の給与は民間給与に比しまして一年有余の立ちおくれを勧告してきたものなのであります。で、毎年毎年公務員の労働権の代償としての人事院に対して、われわれを保護してほしい、保障してほしいという公務員側からの要求の中で、この人事院勧告は給与の実態を反映していないとの批判が続いてまいりまして、ようやく近年になって半年おくれの四月実施ということになったものでありますが、勧告当初から政府の実施時期引き延ばしなどで、この間における公務員の実損害額は膨大な額になると思われるわけであります。
 このような公務員給与の実態をネグレクトして、政府みずからの政策失敗が生み出した不況によって民間給与が低下したということにあるにもかかわらず、わけもなく公務員給与と対比させて公務員給与制度を検討をするなどという提案は、どうも政府の政策失敗を公務員給与優遇にすりかえようということにほかならないというようにきり思われないわけであります。常に先進的な立場で平河会の提案というものがこれなされてきている状態の中で、若干この提案はちょっと認識が不足しているような提案のように思われるわけですが、人事院勧告に基づく公務員給与の制度改正という、このことは、人事院がどうして存在しているのか、公務員は一体どういう状態に置かれているのか、これは科学的な調査のもとに基づいて行われて人事院自身もやっぱりこういう批判に対してはずいぶん努力をしてきているということを言われているわけでありますけれども、こういう提案があったわけですけれども、この点についてはどうお考えでございましょうか。
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宮澤喜一#14
○国務大臣(宮澤喜一君) この平河会のことしの一月の提案と私との関係は冒頭に申し上げたとおりでございますけれども、それにいたしましても、なおこの公務員に関する部分は、私、少し提案そのものが短絡に過ぎるという感じを持っております。またこれには背景がございまして、いわゆるこの石油危機以来ことにさようでございますけれども、国の経済が大きな変化に遭遇をしたその際、実は平河会の人たちが最初に考えましたことは、われわれ国会に籍を置く者がやはり率先して自分たちの給与について自粛をすべきではないのであろうかという考え方が一貫してございまして、そこから公僕としての公務員ということに考えが及んでいったものと思われます。が、そして恐らくこの提案の背景には、人事院が勧告の基礎にいたしますところの民間給与の実態というものが、いわゆるかなり大きな企業を中心に調査を——これはやむを得ないことですが、どうしてもそういうことになりますし、中小企業は必ずしもそのような状態にはないというような認識がまた背後にあるかと思いますけれども、しかし、せっかくこうやって人事院の勧告の制度が定着をして、そうして多数の公務員がその制度の上で今日の経済的な環境にあるわけでございますから、いまこのようなことを提言することは、背景はただいま申し上げましたとおりでありますけれども、短絡的に過ぎるのではないかという感じを私としては持っております。
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野口忠夫#15
○野口忠夫君 国家公務員のみならず、地方公務員の給与についてもいろいろな問題があるわけでございますが、一部の地方自治体においては、国家公務員の給与の水準より高いところがあることはこれは事実だと思います。しかしこのことは、各自治体がそれぞれの財政の枠の中で決めていることであって、このことを国が云々するということは、私はどうも地方自治の精神に反することになるのではないかと思うわけであります。地方自治体の給与が高いか低いかは、その自治体の財政の枠の中で行政密度というものを勘案して決めていることであって、国がこれに関与するような態度は結構ではないのではなかろうか。あくまでもやはりこうした問題の指導あるいは助言というような立場でのあり方はあるにしましても、何か高いからこの制度は改正せいというようなことになってきますと、地方自治体みずからが自治の精神に基づいてそれの改正をやっていくというような方向ではなくて、上から押しつけてやっていくようなかっこうになってしまいますが、地方自治の本旨に基づく地方自治体のあり方について、そういうようなあり方はちょっとうまくないというように思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
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宮澤喜一#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、地方公務員の場合には人事委員会が勧告を行う制度が定着をいたしておるわけでございます。したがいまして、国がそれに対して指導、助言といったようなことであればともかく、基本的にはやはり地方自治というものを一番基本に考えなければならないという点については、私は野口委員の言われたとおりに存じます。
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野口忠夫#17
○野口忠夫君 それじゃ経済問題についてお聞きしたいと思うんですが、宮澤経済企画庁長官は、まあ先ほど申し上げましたように、日中関係やあるいは景気回復の見通しなどの例に見られるように、いつも何かこう素直な御意見を述べられる方であると私はお見受けしてまいりました。きょうはひとつ、福田内閣の現在やっている経済運営、これは国民の生活の安定に役立っているのかどうかという問題について長官の本音を聞きたいと思っているわけなんです。あっちこっちに気がねしないで、経済企画庁長官としての本音を私は聞きたいと、こういうふうに思うわけであります。
 本席は昭和四十九年度の決算をこれ審議する場所でございますが、どうも日本経済のあり方を考えるに当たって、この昭和四十九年を今日の時点で見ますとまるで百八十度変わっているんですね。総需要抑制、公共事業の抑制、インフレ収束に向けて強行されましたこれらの政策、昭和四十九年の経済政策のあり方というものは、どうもそれ以後の日本経済施策の進め方に大きなネックとなっているのではないか。その意味では、非常に本決算委員会における昭和四十九年度の問題というのは深刻なものを持っているんではないかというような考え方をするわけであります。福田内閣は、現在十五カ月予算による財政主導の不況脱出を懸命に図っておりますが、その効果を論ずる前にまず重要な問題となるのは、福田総理がやはり経済企画庁長官をやっておられました昭和四十九年の石油ショック以後、この日本経済は全治三年の大やけどをしたという情勢認識を持っておったことはもう周知の事実であります。当決算委員会においても、当時の福田経済企画庁長官がその旨の発言をしているのは、参議院の会議録で明らかであります。しかし、この認識は、その後現在に至るまでの経済の推移によってこの認識は誤りであることが明らかになったのではないかということであります。大やけどは治っていないのではないか。この全治三年という認識の中から出発してくる経済政策、ここに大きな問題があるんではないかというふうに思われるんですが、この認識の誤りについて経済企画庁長官の所見を承りたいんです。
 経済全般の運営の基本方針及び毎年度の経済計画の策定などを任務とする経済企画庁設置法第三条にありまするこの企画庁の任務は、経済情勢を常に正しく認識することが不可欠でありまして、政府部内にその認識が誤っているものがある場合は、これをリードしていくべきであろうと考えておるのでありますが、全治三年の認識の誤りの点から生まれる見解、それからまた現在の企画庁長官としての任務の上に立っての立場上の見解をお示し願いたいというふうに思うわけであります。
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宮澤喜一#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和四十八年の中東戦争の結果生じましたいわゆる石油危機、これにどのように対処すべきであったかということにつきましては、わが国を初め各国ともいろいろ違う対応の仕方をいたして今日に及んでおるわけでありますが、このような事態はかつてなかった事態でありますだけに、これは長く恐らく経済政策の歴史に残って、将来に向かって非常にいろんな意味で示唆に富むケーススタディーになるのではないかと考えております。
 その中でわが国がとりました政策は、いわゆる狂乱物価とそれから予想された国際収支の非常な危機というものを、ある程度時間をかけてなし崩しで対処をしようという方法をとったというふうに私考えておりまして、いわゆるその三年間云々ということを当時、現在の福田総理が言われましたその考え方は、経済法則に従って物価は幾ら上がってもいいではないか、仮に国際収支が赤字になってもやむを得ないというような考え方もこれも一つの考え方であるわけでございますけれども、そういう方法をとらずに、何とか需要を締めることによってなし崩しに物価を正常なところへ持ってこようと、そうして国際収支の赤字に何とか対処していこうと、こういう政策であったと私は過ぎ去った年月を考えて見ておるわけでございますが、結果として、私はこの政策は成功をしたというふうに自分としては評価をいたしております。私のいたしたことではございませんけれども、結果としてまずまず成功したのではないかと考えております。
 と申しますのは、現在の段階におきましてわが国の物価は、当時の狂乱物価とは比べものにならないいわゆる正常化に近い状態になってまいりましたし、また当時、政府が人為的に抑えましたいろいろな価格要因も、電力料金等々を初め、ほぼ経済の各分野で正常化されたと。その後石油の値上がりは少しずつございますけれども、基本的な四倍ぐらいの値上がりというものはまずわが国の経済がほぼ吸収をしたと、現段階ではそう申し上げることができるのではないか。一部に石油価格などにまだまだ人為的な部分が残っておりますけれども、概して吸収をし得たということが申せるのではないか。
 と同時にまた国際収支の方も、当時は、日本の経済力をもってしては必要な石油が輸入できないと、それだけの国際収支に耐えられないという議論が多数でございましたけれども、今日はむしろその反対の問題が国際的にいろいろ提起をされておるような黒字の現状でございます。やり過ぎたと言えばやり過ぎたということになりますけれども、しかし、この外貨の国際収支の危機にわが国はりっぱに対処し得たということは疑いもない事実でございます。といたしますと、国内の物価の面で及び国際収支の面で、わが国はこのなし崩しの方法で時間をかけて石油危機にまず対処することができたという点では、先進各国に比べて日本がうまくやったと評価をされておるだけの理由は私はあるというふうに考えておるわけであります。
 しかし、野口委員の御質問は、さらに進んで、それならば今日のわが国の経済が全く正常な拡大均衡に入っておるかということになればそうではないではないかとおっしゃいますことは、もうまさにそのとおりでありまして、雇用を見ましても生産を見ましても、国民の消費態度を見ましても、もう申し上げるまでもないような今日の経済状態でございますから、これで完全な健康体に、もう一度拡大均衡を追えるような経済になったとはこれは申し上げられない。けれども、申し上げられることは、少なくともいまのわが国の経済は、これだけ石油価格が上がりましたにもかかわらず、いま持っておる問題を、外圧と申しますか、よその要因に振り回されずに、自分の力で何とかして解決できるという程度の健康と申しますか、正常な事態を取り戻すことができたという意味では、そういう状態を全治ともし呼ぶのならそれは呼べないことはない。つまり、よそからの要因で振り回されずに、われわれとしてはわれわれの力でこの経済を拡大均衡に持っていくという、それだけの石油危機からの回復をいたしたという意味で、そういう意味でそれを全治と言うのなら全治と呼んでもよろしいでございましょう。決していまや完全な拡大均衡に自然に乗るような経済になっているとは私申し上げられませんけれども、ともかく、あれだけの事態を国際収支の面及び物価の面でここまで持ってきたということは、これは一つのケーススタディーとして、わが国のやり方はやはりわが国の実情に即したものであったのではないかというふうに見ております。
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野口忠夫#19
○野口忠夫君 全治の内容ですが、病気は治らぬ、けれども息だけはまあついていると、だからそのうちまた何とかなるんじゃないかというような全治の仕方であったというようなお答えにきり受け取れないわけなんですけれども、これから少し質問したいと思います。ただいまのお話でありましたように、やはり経済運営ということについての反省が少し足りないんではなかろうかという感じがするわけであります。
 今回、福田内閣は、保革伯仲と言われる国会の中で五十三年度予算に関する野党の修正要求を突っぱねて、国会審議がストップするというようなことになったのには大きな責任があると思います。こうした状態をつくるその原因として見過ごすことのできないことは、公共事業の実施を不況脱出の決め手としてあくまでもこれに執着していく政府の強硬姿勢の根底に、実は政府の経済運営の従来までやってきた実績に関してどうも反省不足が存在するというふうに推定されるわけであります。
 昭和四十八年度の末期から五十年度に至る引き締め政策の過程で、企業がこれに対応していわゆる減量経営という行動様式をとるようになったことについて、企画庁の認識は必ずしも十分でないように私は見受けられるわけであります。昭和五十二年度の経済白書によりますと、企画庁は、昭和五十一年度の日本経済の特色の一つとして、企業の行動様式が変化して減量経営という形態のものになった経過を述べられておりますけれども、こういうことを述べた根拠が、やはり利益があるからとかないからとかという従来の資本の論理に基づいてとらえているようにこの白書の問題を私は考えるわけであります。しかし、ここではそういうとらえ方をしておりますけれども、総需要抑制や財政繰り延べ措置との関連が、そういう政策的推進のやり方がこの減量経営方式に導いていったという姿との関連がどうも十分解明されていないように思われるわけであります。減量経営というものが政府の政策に対応して生まれてきた側面をとらえることなしに、減量経営の各種の弊害について、どうも政府は責任を感じないという経済システムが生まれてくるんではなかろうかと思われるわけであります。公共事業の促進との関連でこれを考えていきますと、減量経営でありまするがゆえに、公共事業の促進が直接雇用の拡大につながらないし、景気回復も余り望めないと言えるようになっているのでありましょう。五十三年度の大型予算は景気回復の呼び水効果に乏しいということは、日本経済新聞が約三十社ばかりの主要企業を相手にして聞き取り調査をやったそのときの新聞報道によってでも、これが主要企業経営者の見解であるようであります。
 ですから、減量経営というこのあり方の中に企業を追い込んでしまった政策の誤り——私は、今度の円高ということによって中小企業が数多く倒産していることは長官の御存じのとおりだと思います。総理は国際機関の中で黒字減らしの約束をいたしました。しかし、その黒字は増大の一途をたどってきている。国際機関の中で公約をした問題ですから、これは国策だと思うんですよ。この国策に従っていけばドルは減るであろうと思われるのに、ドルは減るどころではなくどんどんどんどんふえていく。どこかの企業の中にふえているんだろうと思うんですよ。そのことが、報復的な措置というような姿の中で円高になってあらわれ、中小企業が見るも無残に倒産している。同じ日経新聞に出ておりますけれども、このドルを持っている日本の自動車産業などというところで、先行き不安であるがゆえにやはり合理化、引き締めをやっていかねばならぬと言うて、減量経営の上に乗った非常な利益を上げながら、国策に反してドルをどんどん取りながら、まさに日本の成長産業とも言われるような今日的状態の中で、同じような合理化引き締めの状態の中でこれが行こうとするようなそういう方向に持っていったもの、それは間違いなく総需要抑制政策という政策の進行の中で生まれた新しい経営の行動様式、それに乗る日本の経営企業、もうかっていても引き締め、減量、合理化等をやらねばならぬみたいな話にある。こういうことに導いていってしまった政策的な側面というものを見ないでやっていく経済政策の中に、公共事業をどんなに起こしていっても、企業の皆さんはこれに食いついてこないという政策の失敗による袋小路がここにあるんではなかろうかというふうに思われるわけでありますけれども、この袋小路を導き出してしまった政府の責任、これを果たして持っているのかどうか。
 ですから、一応物格は鎮静した、だから成功であった、そういう言い方ではとても言い切れないと思うんですよ。どうしてもここでその責任を考える中で一つの考え方を転回するようなことでなければ、本当の意味での経済政策になっていかないんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、長官はどうお考えでございましょうか。
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宮澤喜一#20
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在のいわゆる減量経営というものが、石油危機に際会しましたときに政府がとった政策、その結果として出てきているのではないかとおっしゃいますことは、私率直に真理の面があると思います。
 現実の経済の動きを見てみますと、石油危機が起こりました昭和四十八年でございますが、この年には、公定歩合が四十八年年間で五回上がっております。これはもともと経済が過熱の情勢にありましたので、四月、五月、七月、八月と四遍上げておるわけでございますけれども、そこへ石油危機が参りまして、十二月には一挙に二%公定歩合を上げております。九%になっておるわけでありますが、ここのあたりで政府が総需要の管理、抑制ということにはっきりした態度を打ち出しましたことはこの事実からも明らかであります。もとより申し上げましたように、その目的は物価の抑制と国際収支の問題に対処するためであったわけであります。
 しかるところ、ただいま御審議をいただいておりますこの四十九年でございますが、この年には一切公定歩合の動きはございませんで、五十年になりましてから、今度は一、二、三、四回公定歩合を下げております。で、現実の景気の谷は、後にわかったことでございますが、五十年の三月であったわけですけれども、十月まで公定歩合を下げ続けておると。また五十一年は公定歩合については何にも動きがございませんで、五十二年になりまして今回まで三遍、五十二年になりまして三遍公定歩合を下げて現在に至っておると、こういう姿でございますから、明らかに四十八年のおしまいになって政府は総需要の厳しい管理に乗り出し、そして四十九年はそれの推移を見ながら、五十年の四月になりまして、今度は一応事態が収拾しつつあると見て公定歩合の引き下げに入ったと、こういうのが経緯であったと思いますので、したがいまして、政府としては一応総需要の管理に成功をし、物価についても国際収支についてもめどが立ったというところで、五十年の四月から今度は公定歩合を下げる政策を続いて今日までやっておるわけでございます。しかしとにかく、石油の価格があれだけ、四倍にも五倍にもなったという大きな変化に対して、物価と国際収支の面ではわれわれは成功いたしましたけれども、日本経済を順調な拡大均衡に乗せていくという政策には今日現在まだ成功していない。政府としては、公定歩合を下げる一方で、公共投資を中心に不況脱出、雇用の改善を図っておるというのが現在の姿でございます。
 したがいまして、冒頭に申しましたように、この石油危機にどう対処したかということは各国によって対応の仕方が違っておりまして、私は総じてわが国の場合には成功をしたと申し上げておりますけれども、同時に、まだまだ拡大均衡への民間の自信を十分に政府が確立するに至っていない。そのために、今回のような財政主導の予算を昨年よりさらに大きな重点を置きまして御審議を願っておるというのが今日の姿であると存じます。
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野口忠夫#21
○野口忠夫君 インフレーション克服という課題をもって四十九年度に行われました経済政策、どうもこれはやっぱり失敗であったと、そういうことの中で、企業の冷え込みというものを減量経営というような方向で形づくってしまった、ここに何か今日の不況が、先ほどのような日経新聞の資料で申し上げましたように、公共事業を中心の十五カ月予算で投入しても回復の呼び水にならないであろうと言われるこの問題のやっぱり根源がそこに残されてしまったのではないだろうか。これはやっぱり四十九年度の経済運営の失敗ではなかったろうか。第一・四半期と第二・四半期には主として公共事業の契約抑制を行った後で、第三・四半期にはさらに公共事業の契約抑制と財政執行の繰り延べということを同時に実施するというパンチを与えたわけでありますね。これはもうそうせざるを得ない方向に行くわけでしょう。それは物価引き下げという大きな問題があるだろうけれども、極端にその方に行ったということですね。
 企画庁は、これによって物価は鎮静して、景気も第四・四半期にはおおむね底入れしたと見て、以後回復を期待していたと、そういうふうに白書にも述べてあるわけです。
 しかし、今日に至るまで景気の回復は軌道に乗ったとは言えない状況があります。しかも、自律回復力さえ失われたというような今日の状態ではなかろうかと思われるわけです。どうも四十九年度には別の経済運営方式はとれなかったかどうかということがやっぱり残ってくるんじゃなかろうかと思うんですがね。長官、その辺は本音で言ってもらいたいんですがね。何か物価、今度は不況。四十九年と五十三年を比較してみて、何か物価と不況の間を行ったり来たりしているような経済政策、その往復ビンタを受けているのがどうも国民だということになるような今日の経済的実相ではないか。
 こういう中で、実は、企画庁としてはそういう新たな道はないかということをまあ探したような白書の述べ方もあるわけでありますけれども、非常にこれは二律背反的の側面があるのでむずかしいというようなことに考えながら、まあそうしたような方向もどうかというような話があったわけでありますが、この二段階政策、こっちをやってこう、こっちをやってこうという、そのたんびに国民は往復ビンタを食っているわけですよ。これじゃどうも国民が、はっとひっついてこれやっていこうというような感じにならぬじゃないかというんですが、やっぱり物価安定とこの景気回復というものを経済政策としてはバランスをとってこなかったところに、どうも今日の景気回復が軌道に乗らない原因があるんではなかろうか。これは四十九年度の経済運営は全く失敗したことのこれは何よりの証拠ではなかろうかと思うんですけれども、この経済運営の実績、これについてどのように評価なさいますか、ひとつ見解を承りたいと思います。
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宮澤喜一#22
○国務大臣(宮澤喜一君) あのころの経済運営について、石油危機以後の今日までの経済運営について、私は概してわが国としてはうまく対応したのではないかと申し上げておりますし、野口委員はいやそうではないと、あっち行きこっち行きして迷惑したのは国民であるというお立場で御批判をただいまいただいておるわけであります。しかし、いずれにしても野口委員と私とが一致できますことは、とにかくいまとなっては振り子が行き過ぎてしまったではないかということは、これは私もそう思います。
 が、さて、その四十九年、五十年でございますけれども、非常に経済運営がむずかしいときであったということは御認識をいただきたいと存じますのは、四十九年度は実質経済成長率は御承知のようにマイナス〇・二%でございます。そのような厳しい経済運営をやりながら、なお経常収支は二十三億ドルの赤字になっておるわけでございますから、この段階ではまだわが国経済が四倍になった石油を買えるか買えないかということは、実はこの赤字で見ます限り、非常に危ないという状況にあったということが申し上げられると思います。しかも、それでいて経済成長率は実質でマイナスの〇・二%であったわけでございますから、この経済成長率をプラスに持っていきましたら、恐らく経常収支の幅はさらに赤字が大きくなっておったというふうに考えられます。次の五十年度でございますが、このときには実質成長率は三・四%になりまして、経常収支はいっぱいいっぱい、一億三千万ドルの黒字というところで、どうやらこの辺でいけるのかなという感じが出てまいったのではなかろうか。もう五十一年度になりますと、経常収支は四十六億になっておりますから、ほぼこの辺で対処する見当がついたということが言えるのではなかろうかと思っていまして、四十九、五十というのは、振り返ってみますとまずまず非常な危ないときをともかく何とか渡り切ったという二年間であったというふうに申し上げてもいいのじゃなかろうかと。
 しかし、それで私はよくこの危機を乗り切って、概して国際収支面でも物価でも成功であったと申し上げたいわけですけれども、そうかといって、いまになってここまで振り子が、いわゆる経済の自律反転力が冷えてしまうまで、ここまで行かなくても何かやりようがなかったかとおっしゃいます意味では、これはやはりこれだけ大きな経済の運営でございますから、どうやったらそうなれたかということは、よくいままだわかっておりませんけれども、もう少し上手な振り子の振り方はなかったかとおっしゃれば、これはやはり将来いろいろ検討してまいらなければならない問題を御指摘なさっていらっしゃるというふうに受け取らしていただくことは、私はそうなければならないと思います。
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野口忠夫#23
○野口忠夫君 長官、時間があれなそうですみませんが、もう少し……。
 いま、ここまで来る過程の中で何とかなるものはなかったかというお話でございますが、いまになってという問題はわかります。だけどこれは四十九年度の決算をやっているわけですから、非常に古いものをやっています。勉強が足りなくて、これ長くなって月曜日にやるようなことになってしまいましてすみませんが。だから私は、それは古い昔のことでもう仕方がないのではなくて、そこからやっぱり今日が出発してこなければならぬと考えるわけであります。それが間違っていたと。それは直しようないです。だがしかし、今日はそのことを土台としてやっぱり出発しないと、その意味では謙虚に政策の失敗を、今日の景気の冷え込み状態の中では認めなければならぬのではなかろうか。でなければ、どんなことをやってもこれに応じて景気が回復してくるような道はどうも見つからぬのではなかろうか。そのための方策のまさぐりというものがいまの段階でなされなければならぬのが、どうもこれ、その政策に固執して、伯仲国会の中で野党の言うことなんか聞かないなんて言って力んでストップするようなことをやっておっては、どうもここら辺、ほかの人に言ってはわからないかもしれませんけれども、経済企画庁長官宮澤さんにだけはこの辺の私の気持ちを理解してもらいたいと思うし、御答弁もいただきたいと思うわけなんです。やっぱりそのことから、その謙虚に失敗の上に立ってそれを認識する中で、それはもう出直しをこうしているんだというようなことになってこないと、減量経営方式に流れていった企業の皆さんを呼び戻してくるなんということは政治の力では容易ではないではなかろうかと私は思うわけでありますが、非常に深刻な問題の前に立っているんだということを考えていただかなければならぬかと思うんです。
 もう一つは、時間がありませんのであちこち飛ばしますが、大分失業者がふえてくる中で、五十三年度に見込んでいる五十五万人の雇用増の内訳について、製造業はゼロであり、第三次産業が中心であると衆議院の予算委員会で長官は答弁をなさいました。このように、景気刺激の大型予算のもとにおいて製造業の雇用増が全く望めないというのは、これは重大問題ではなかろうか。どうもこれは製造業の減量経営の中に政策的に協力していくような傾向になっていくんではなかろうか。第三次産業にのみ雇用増を求めて、製造業はもうどうでもいい。製造業の中にも成長的の製造業があるわけでありまして、そういうところでは、やっぱり今日的失業者の出てくる中では雇用の増大も考えていただこう、できる限りのやっぱり努力をせいということが本当だと思うわけですが、何かここでまことに製造業にはだめで、第三次産業にだけ持っていくんだと、こういうようなことの半身不随的な雇用状態をつくり出した一つの原因は、やっぱりこの四十九年度を含む総需要政策にあるのではないかというふうに思われるわけであります。これは経済企画庁調査局の月報あるいは中小企業庁の白書の中にもありますけれども、総需要抑制の実施のもとで、「従来にくらべて製造業での雇用調整がいちじるしい」、こういうことが見ているところでも明らかだと思うんです。
 この五十五万人の雇用増は製造業以外で吸収するという事態は、また職業選択の自由を拘束することにならないだろうか。このような事態を招いた政府の責任というものを企画庁長官はどのように思うかということをひとつお伺いしたい。
 それから、失業者の数の把握でございますけれども、いろいろな報告を見ますと、比率で言いますと各国から大分低いようでございますけれども、潜在失業者等を含めると四百万から六百万ぐらいあるんじゃないかというようなこともありますが、こういう失業人口の統計なんというものは、少ないものを出すんじゃなくて、やっぱり実態に即して報告されるべきが至当ではないかと思うんですけれども、この件についてもあわせて御答弁願いたいと思います。
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宮澤喜一#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども、雇用の問題は経済企画庁としてはいわゆるマクロでしかとらえられない問題でございますけれども、それにいたしましても、現在の五十三年度の経済運営が私どもの考えておりますようにいくといたしまして、なお五十三年度末には百十万の完全失業があると、今年度に比べて五万程度の改善しかないということでございますので、これは残念な状態でございます。同時に、いわゆる企業の稼働率指数につきましても、五十三年度末、来年の三月でせいぜい稼働率指数で九二ぐらい、と申しますことは、稼働率で八三、四でございますから、そのように考えますと、五十三年度というのは、将来に向かってわが国の経済が自律反転力を取り戻して拡大均衡に入るためのつなぎの役割りを担う年であって、この単年度で雇用なり稼働率なりが回復を完全にするという年には単年度としてはなり得ないというふうに私どもはこの年を、五十三年度を見ておるわけでございます。
 したがいまして、製造業においては、一つ一つに出入りはございますものの、恐らく製造業の雇用の増というものはネットとしては見れないのではないか。その中で恐らく製造業の対応は、多少ずつ稼働率が上がってまいりますと、現にいる人たちに対する時間外給与の増大、いわゆる幾らかの残業手当というような、そういう形で動いていって、新規雇用というところまではいかないのではないだろうか、どうもそう考えざるを得ないというふうに思っておるわけであります。
 このことは、しかしそれでそれが本来の姿、今後の日本経済の本来の姿であると申し上げておるのではありませんで、政府の経済運営が考えどおりいきますれば、将来に向かってそういう拡大均衡に入るための、いわゆる不況からの脱出と申しますか、そういう役割りをこの年、五十三年度が担うということに私ども考えておるわけでございます。
 なお、失業統計の問題でございますけれども、過剰雇用がどのぐらいあるかということはしばしば国会でも御議論になりますし、私どもとしても大きな関心のあるところでございますけれども、その過剰雇用ということが十分に定義されないこともございまして、労働省としてはそのような統計は持っていないという立場だというふうに私ども承知をいたしておるわけでございます。
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野口忠夫#25
○野口忠夫君 時間がないそうであれですが、長官はデノミについてはどういう見解ですか、簡単に。
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宮澤喜一#26
○国務大臣(宮澤喜一君) はい。
 ただいまそのようなことを現実に実施をする経済情勢にはないというふうに考えております。
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野口忠夫#27
○野口忠夫君 それじゃ御要望申し上げて終わりますが、経済計画の策定ということに当たっては、過去の経済運営が国民生活に与えた影響を徹底して検討して、十分な反省の上に立って適正な経済計画の策定に努め、これを十分予算化して、国民生活の向上に真に役立つことが大切であると考えておりますが、ぜひそのような方向でお進め願うことを御要望申し上げて、私の長官に対する質問を終わります。
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宮澤喜一#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 御好意のある御提言であると存じます。最大限の努力をいたさなければならないと考えております。
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野口忠夫#29
○野口忠夫君 時間がありませんので、はしょって御質問申し上げたいと思うんですが、やはり今日の状態の中で非常に重要なことは物価安定の問題であろうと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたようなこの物価安定と不況との間の谷間を行ったり来たりしている景気政策でございますが、四十九年には物価の問題で総需要、今回はまた景気回復というようなことを唯一として、物価問題に対する関心が何かいま一つ薄い不安を残しているように思われるわけであります。景気とこれとの間をこう行ったり来たりしながら今回は十五カ月予算で景気回復しようというこの中で、物価問題に対する御所見をひとつ承りたいと思うんですが。
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