厚生委員会

2000-10-31 衆議院 全218発言

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会議録情報#0
平成十二年十月三十一日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 鴨下 一郎君 理事 坂井 隆憲君
   理事 鈴木 俊一君 理事 山口 俊一君
   理事 金田 誠一君 理事 釘宮  磐君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 武山百合子君
      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君
      木村 義雄君    熊代 昭彦君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      西川 京子君    堀之内久男君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      吉川 貴盛君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      家西  悟君    石毛えい子君
      古川 元久君    牧  義夫君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      山井 和則君    江田 康幸君
      福島  豊君    樋高  剛君
      小沢 和秋君    瀬古由起子君
      阿部 知子君    中川 智子君
      上川 陽子君    増原 義剛君
      小池百合子君
    …………………………………
   厚生政務次官       福島  豊君
   参考人
   (健康保険組合連合会常務
   理事)          対馬 忠明君
   参考人
   (全国市長会介護保険対策
   特別委員会委員長)
   (大阪府守口市長)    喜多 洋三君
   参考人
   (日本労働組合総連合会政
   策グループ長)      村上 忠行君
   参考人
   (全国保険医団体連合会副
   会長)          室生  昇君
   参考人
   (日本医師会政策担当副会
   長)
   (日本医師会総合政策研究
   機構所長)        糸氏 英吉君
   参考人
   (医事評論家)      行天 良雄君
   参考人
   (NPO大阪精神医療人権
   センター代表理事)
   (弁護士)        里見 和夫君
   参考人
   (医療法人財団天心堂へつ
   ぎ病院理事長)      松本 文六君
   厚生委員会専門員     宮武 太郎君
    —————————————
委員の異動
十月三十一日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     増原 義剛君
同日
 辞任         補欠選任
  増原 義剛君     上川 陽子君
    —————————————
十月三十一日
 遺伝子組換え作物・食品の安全性の審査に関する請願(古川元久君紹介)(第六〇七号)
 同(伊藤英成君紹介)(第七〇四号)
 同(大島令子君紹介)(第七〇五号)
 同(松沢成文君紹介)(第七〇六号)
 高齢者定率一割負担、医療費負担限度額引き上げなど患者負担増の中止に関する請願(今川正美君紹介)(第六〇八号)
 同(北川れん子君紹介)(第六〇九号)
 同(中川智子君紹介)(第六一〇号)
 同(中川智子君紹介)(第七一七号)
 同(松沢成文君紹介)(第七一八号)
 ウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(家西悟君紹介)(第六一一号)
 同(古川元久君紹介)(第六一二号)
 同(三井辨雄君紹介)(第六一三号)
 同(荒井聰君紹介)(第七一九号)
 同(釘宮磐君紹介)(第七二〇号)
 同(樋高剛君紹介)(第七二一号)
 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(赤松正雄君紹介)(第六一四号)
 同(家西悟君紹介)(第六一五号)
 同(岩國哲人君紹介)(第六一六号)
 同(上田清司君紹介)(第六一七号)
 同(漆原良夫君紹介)(第六一八号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第六一九号)
 同(海江田万里君紹介)(第六二〇号)
 同(金子善次郎君紹介)(第六二一号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第六二二号)
 同(河上覃雄君紹介)(第六二三号)
 同(木下厚君紹介)(第六二四号)
 同(北川れん子君紹介)(第六二五号)
 同(小西哲君紹介)(第六二六号)
 同(小林守君紹介)(第六二七号)
 同(後藤茂之君紹介)(第六二八号)
 同(後藤斎君紹介)(第六二九号)
 同(近藤基彦君紹介)(第六三〇号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第六三一号)
 同(佐藤敬夫君紹介)(第六三二号)
 同(斉藤鉄夫君紹介)(第六三三号)
 同(坂口力君紹介)(第六三四号)
 同(玉置一弥君紹介)(第六三五号)
 同(中津川博郷君紹介)(第六三六号)
 同(中村喜四郎君紹介)(第六三七号)
 同(春名直章君紹介)(第六三八号)
 同(平野博文君紹介)(第六三九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第六四〇号)
 同(細田博之君紹介)(第六四一号)
 同(松本善明君紹介)(第六四二号)
 同(三井辨雄君紹介)(第六四三号)
 同(山井和則君紹介)(第六四四号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第七二二号)
 同(伊藤英成君紹介)(第七二三号)
 同(石井郁子君紹介)(第七二四号)
 同(江田康幸君紹介)(第七二五号)
 同(小沢和秋君紹介)(第七二六号)
 同(大幡基夫君紹介)(第七二七号)
 同(大森猛君紹介)(第七二八号)
 同(海部俊樹君紹介)(第七二九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第七三〇号)
 同(釘宮磐君紹介)(第七三一号)
 同(古賀一成君紹介)(第七三二号)
 同(児玉健次君紹介)(第七三三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第七三四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第七三五号)
 同(志位和夫君紹介)(第七三六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第七三七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第七三八号)
 同(田端正広君紹介)(第七三九号)
 同(達増拓也君紹介)(第七四〇号)
 同(筒井信隆君紹介)(第七四一号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第七四二号)
 同(中田宏君紹介)(第七四三号)
 同(中西績介君紹介)(第七四四号)
 同(中林よし子君紹介)(第七四五号)
 同(長妻昭君紹介)(第七四六号)
 同(野田毅君紹介)(第七四七号)
 同(春名直章君紹介)(第七四八号)
 同(樋高剛君紹介)(第七四九号)
 同(不破哲三君紹介)(第七五〇号)
 同(藤木洋子君紹介)(第七五一号)
 同(藤村修君紹介)(第七五二号)
 同(冬柴鐵三君紹介)(第七五三号)
 同(牧野聖修君紹介)(第七五四号)
 同(松沢成文君紹介)(第七五五号)
 同(松本善明君紹介)(第七五六号)
 同(松本剛明君紹介)(第七五七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第七五八号)
 同(山口富男君紹介)(第七五九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第七六〇号)
 国立ハンセン病療養所の存続と医療・福祉の充実に関する請願(家西悟君紹介)(第六四五号)
 同(今野東君紹介)(第六四六号)
 同(中林よし子君紹介)(第六四七号)
 同(春名直章君紹介)(第六四八号)
 同(山口富男君紹介)(第六四九号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第七六二号)
 同(小沢和秋君紹介)(第七六三号)
 同(大森猛君紹介)(第七六四号)
 同(木島日出夫君紹介)(第七六五号)
 同(児玉健次君紹介)(第七六六号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第七六七号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第七六八号)
 同(中林よし子君紹介)(第七六九号)
 同(春名直章君紹介)(第七七〇号)
 同(藤木洋子君紹介)(第七七一号)
 同(松本善明君紹介)(第七七二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第七七三号)
 同(山口富男君紹介)(第七七四号)
 てんかん総合対策に関する請願(三井辨雄君紹介)(第六五〇号)
 高齢者定率一割負担の導入など医療費負担の引き上げ反対に関する請願(大幡基夫君紹介)(第七〇七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第七〇八号)
 同(中林よし子君紹介)(第七〇九号)
 同(春名直章君紹介)(第七一〇号)
 介護保険の改善と医療保険改悪計画の中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第七一一号)
 同(児玉健次君紹介)(第七一二号)
 同(志位和夫君紹介)(第七一三号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第七一四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第七一五号)
 同(山口富男君紹介)(第七一六号)
 年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(達増拓也君紹介)(第七六一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
 医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

    午前九時三十分開議
     ————◇—————
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遠藤武彦#1
○遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人の方々から御意見を聴取した後、質疑を行います。
 午前は、主に健康保険法等の一部を改正する法律案について、参考人として、健康保険組合連合会常務理事対馬忠明君、全国市長会介護保険対策特別委員会委員長・大阪府守口市長喜多洋三君、日本労働組合総連合会政策グループ長村上忠行君、全国保険医団体連合会副会長室生昇君、以上の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席いただき、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず対馬参考人にお願い申し上げます。
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対馬忠明#2
○対馬参考人 対馬でございます。
 ちょっと風邪ぎみでございまして、お聞き苦しいところがあるかと思いますけれども、御容赦願いたいというふうに思います。
 まず最初に、このような意見陳述の機会を与えていただきましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。
 健康保険組合連合会の常務理事組合として健保連の意見を申し上げるということでございますけれども、私は新日本製鉄健康保険組合の理事長代理でもございまして、現場の第一線の意見を含めて申し上げることをお許しいただきたいというふうに思います。
 法案の内容に入る前に、私ども健保組合の立場をより御理解いただくために、まず、医療保険財政がいかに待ったなしの状況に置かれているか、また介護保険料の徴収、納付がいかに変則的な状況にあるか、御説明させていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、医療保険財政でございますけれども、資料を用意してございますのですが、平成十一年度の決算、資料ナンバー一をごらんになっていただきたいというふうに思います。健保組合関係者は悪い決算にはならされているわけでございますけれども、なれた私どもにとりましても、この十一年度の決算というものは実に衝撃的なものでございました。過去初めてというものが何と七項目もございました。
 一つ目が、経常収支でございます。過去最高の二千三十三億円の赤字でございました。
 二つ目が、拠出金です。老健拠出金が大幅に増大しまして、収入に占める割合が初めて三割を超えました。それ以外の拠出金を加えますと、四割を超えました。
 三つ目でございますが、保険料収入総額です。初めて減少いたしました。
 四つ目、保険料率です。組合平均の保険料率は次のページに掲載されておりますけれども、これはパーミルですから千分の八十五・一一でございますが、初めて政管の料率を上回りました。
 五つ目、財政が窮迫している組合の数でございます。法定準備金を保有できず、かつ千分の九十以上の高い保険料率を設定している組合が過去最高の数、百六十四組合ということになりました。
 六つ目、被保険者の数です。過去最大の減少、これは三ページ目に記載されてございます。
 七つ目ですが、標準報酬月額でございます。過去最低の伸びでございました。
 ここに至るまでの財政の推移ですけれども、この資料一の最後のページにグラフが載ってございます。ごらんになっておわかりのとおり、ここ数年来、構造的な赤字になってございます。平成九年、十年だけは健保法改正の影響でほぼ収支が均衡してございますけれども、平成十二年度予算では、老人医療費が一部介護の方に移行するにもかかわらず、三千三百億円という巨額の赤字になってございます。十三年度も引き続いて悪化することが見込まれておりまして、予算が組めないという悲鳴を上げている組合も数多くございます。こういう中で、私ども健保関係者は何とか平成十四年度の抜本改革まではということで、精いっぱい歯を食いしばっているというのが現状の姿でございます。
 次に、介護保険でございますけれども、現在、約四割の組合、私どもの組合を含めてでございますけれども、保険料を徴収できない、本来必要な保険料でございますけれども、徴収できないという極めて変則的な状況に置かれてございます。
 A3一枚の資料でございますけれども、ちょっとわかりにくいのですが、右側の中ほどをごらんいただきたいわけです。この組合の場合、これはパーセンテージでございますが、法定上限が九・五%になっておりますので、本来〇・八%必要なんですけれども、〇・五%しか徴収できない、〇・三%不足するという状況になってございます。
 これにつきましては、本来、介護保険導入時の四月に解決が図られるべきものでございましたけれども、七月の法改正にあわせて上乗せして徴収してバランスを図ろう、こういうことでございました。ところが、法案が廃案になったものですから、現在でも〇・五%しか徴収できない。したがいまして、納付猶予申請をしたり、積立金を取り崩して流用をしたり、こういうことで対応しているのが現状の姿でございます。
 当組合、新日鉄健保組合で申し上げますと、本年度の徴収不足分は、仮に一月の法改正を前提にいたしましても二・七億円、二億七千万円にも上ります。法改正がおくれますと、一カ月ごとに四千五百万円、不足分がかさんでまいります。組合を預かっている立場としては、まことに耐えがたいものがございます。
 私どもは、必要な保険料をきちんと徴収してきちんと納付したい、またそういうことで組合の機関決定も得ているものであります。変則的な運営を強いられて、また財政にも悪影響を及ぼすこの料率上限をぜひ見直していただきたいというふうに思います。
 次に、改正法案についてであります。
 私どもとしましては、十分審議を尽くされた上での速やかなる可決成立を切望する次第でございます。
 その理由は三点ほどございます。
 一点目は、先ほど来申し上げております財政の逼迫であります。この法案は、端的に申し上げまして、財政改善に寄与するものであります。
 料率上限は先ほど申し上げましたので割愛させていだたきまして、患者負担、高額療養費の見直しなどについて申し上げます。
 今年度の診療報酬引き上げは実質〇・二%、四百三十億円の医療給付費増をもたらすものでございました。老人の患者負担の見直しなどによります四百六十億円の引き下げは、この財源対策としての意味合いもあったはずでございます。引き上げは四月の実施、患者負担見直しなどはいまだになされておりません。これでは片手落ちではないでしょうか。これ以上延ばすことは許されないと思います。
 今回の改正だけで健保組合の財政などの問題がすべて解決されるわけではありませんけれども、これにあわせて十三年度の予算措置等も講じていただきまして、何としてでも財政悪化に歯どめをかけたいということでございます。
 二点目は、老人医療費の一割定率負担が織り込まれていることであります。月額上限つきでもありますし、複雑でもありますので問題点は含んでおりますけれども、この定率負担は、健保連としては長年にわたって強く主張してきた悲願でもございました。
 老人と若人の負担の公平性、介護保険との整合性、コスト意識の向上、こういったさまざまな観点からしましても大きな前進でありまして、抜本改革につながる第一歩として高く評価したいというふうに思います。
 三点目は、抜本改革実現のためにも、この目の前の法改正を速やかに行う必要があるということであります。現時点でなし得ることはすべて行うことによりまして、改革の基盤を整え、後顧の憂いなく全エネルギーを十四年度抜本改革に向けていくことが、今求められているのではないでしょうか。
 日夜にわたる御努力に重ねてのお願いで恐縮でございますけれども、法案の速やかな改正実施をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 抜本改革は先送りされ続けておりまして、十四年度改革がラストチャンスではないかと思います。これを逃しますと、健保組合を初めとして医療保険制度の崩壊につながります。
 十四年度改革に向けてさらなる御尽力をいただきまして、二十一世紀においても盤石の皆保険体制を確立することを心からお願い申し上げまして、陳述を終わります。ありがとうございました。拍手
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遠藤武彦#3
○遠藤委員長 対馬参考人、どうもありがとうございました。
 次に、喜多参考人にお願い申し上げます。
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喜多洋三#4
○喜多参考人 大阪府の守口市長の喜多でございます。
 衆議院厚生委員会の皆さんにおかれましては、医療、福祉などの分野において日ごろから御尽力いただき、心から敬意を表する次第でございます。また、本日は、市町村の国民健康保険事業を預かる立場から意見を申し述べる機会をいただき、深く感謝をいたしております。
 さて、このたび、健康保険法等の改正案を御審議いただいておりますが、内容については必ずしもすべてに納得いたしているわけではありません。しかし、医療保険制度の抜本改革への第一歩として位置づけられる点もございますので、今回の改正に引き続き、早急に大きな第二歩を踏み出していただきたいという思いを込め、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 改正案についての意見を申し上げる前に、御承知の事項かとは思いますが、いま一度国民健康保険の厳しい状況について申し述べたいと思います。
 国民皆保険の下支えをしている国民健康保険は、制度の構造上、退職後の被用者が国民健康保険に異動することに加え、近年の少子高齢化や産業構造の変化によりまして、高齢者や低所得者の割合が極めて高くなっております。この結果、組合健保や政管健保等との間に大きな負担格差が生じており、同時に、財政基盤は極めて脆弱になっております。
 例えば、老人加入率を見ますと、健保組合の二・九%、政管健保の五・六%に対し、国保は二四・六%に上っています。老人以外の平均年齢におきましても国保は高く、被用者保険との間には十歳程度の開きがあります。
 また、所得の面で見ますと、組合健保や政管健保では到底考えがたい所得のない世帯も、国保にあっては二割以上をも占めております。世帯の年間平均所得につきましても、組合健保の三百八十三万円に対し国保は百七十九万円と、二倍を超える大きな開きがあります。ちなみに、私ども守口市についても、所得のない世帯が二九%あり、他の市町村国保同様、極めて厳しい財政運営を強いられております。
 このような構造的な問題に加え、長引く経済の低迷が大きな影を落としておりますが、従来から低所得者が多い国保にあって、失業等による無職世帯の増加や平均所得の減少の影響は最も深刻であります。例えば、守口市における一世帯当たりの総所得金額は、平成九年度から十一年度にかけて百八十万円から百五十二万円と減少しており、年率では八%の減少となっているのが現実であります。
 このような状況で、国保加入者の保険料に対する負担感は限界に達して、これ以上負担を求めることが極めて困難になっておりますところへ、今年度から介護保険のいわゆる二号保険料が上乗せされることとされました。全国の市町村長は、収納率低下の財政影響も非常に懸念をしております。
 さらに、老人医療費を中心とする医療費の急増が、財政運営に重くのしかかっています。高齢者の医療費は若人の五倍となっておりますが、引き続き高い伸びを示しております。これに伴い、国保が拠出する老人保健拠出金も急速に増加しており、守口市の例をとってみましても、国保で集めた保険料のうち、約五割が老健拠出金に充てられております。老健拠出金の負担にあえいでいるのは被用者保険だけではなく、国保にとっても深刻な問題となっております。
 このように、市町村国保の財政状況は一段と危機的な状況になっていることは明らかでありますが、制度を支えるため、各市町村は、国保特別会計に対して多額の繰り入れをせざるを得ない状況に追い込まれております。赤字補てん等のために法定外の繰り入れを行っている市町村は、平成十年度で全体の約六割、その総額は三千六十億円に上っており、他の理由による繰り入れも合わせますと、実に七千億円に近い支援になっています。国保は既に自立性を失っていると言っても過言ではありません。もちろん、多くの市町村は収納率向上等にさまざまな努力をしているところでありますが、こうした危機的な状況は保険者の努力を超えたものとなっていることをぜひ御理解いただきたいと思います。
 国保のみならず医療保険全体が置かれている厳しい現状を打開し、長期的な安定を図るには、医療保険制度の抜本改革なくしては不可能であります。市町村国保を預かる立場から申し上げれば、医療保険制度全般に切り込み、給付と負担の公平を基本とするすべての国民を対象とした医療保険制度の一本化を実現すべきであると考えており、あわせて医療提供のあり方などの大胆な改革が実現されますと、これまで申し上げたような問題も解決するものと考えます。
 さて、今回の改正案について具体的な意見を申し上げたいと思います。
 まず、老人保健法関連で、一点目は、老人医療費の定率一割負担についてでございます。低所得者対策や高負担対策を講じることにより、サービス利用時の負担を定率とすることは、介護保険との整合性など、一定の理念に沿った内容と考えます。この点は、これまでの高齢者医療問題の議論や介護保険制度の検討過程で合意が形成されてきていると認識をしております。ただ、医療機関の種類により負担上限の設定方法に差を設けるなど、国民にとって非常にわかりにくいものになっております。できれば制度は簡素にという思いはありますが、やむを得ないのであれば、周知についての努力、医療機関での明示などを徹底していただきたいと思います。
 二点目に、薬剤の一部負担廃止についてでございますが、廃止の結論自体に異論を挟むものではございません。薬剤使用の適正化を図るという理由で導入されたものが、その目的を達したとは言えない状況で廃止されることには、大いに疑問を持っております。現行の負担方式を合理的と考えるものではありませんし、試行錯誤することも必要とは思いますが、わずか三年ほど前に実施された制度を適切な評価、保険者負担に転嫁される財源についての整理、理念的な裏づけもなく短期間で変更されるのは、今後提起される制度改正案の信頼性を失わせることになるのではないかと危惧いたしております。制度改正のあり方の面で御一考願いたいと考えております。
 次に、国民健康保険法関連でございます。
 一点目は、高額療養費の見直しについてでございます。
 最近の所得階層の分化により、高額所得者と低所得者の格差が拡大しているようでございますが、適切な負担能力評価のもと、上位所得者への負担と低所得者への軽減という配慮は当然時宜にかなったものと言えます。今後、その基準については、家計での負担水準を検証しながら改定していくことが肝要と考えます。
 二点目は、いわゆる住所地特例についてでございます。
 この制度は、病院所在市町村が入院を理由とする転入者への財政負担を軽減するために設けられたものでございますが、これまで市町村側が要望してきた事項でもあるので、基本的には賛成でございます。
 しかしながら、国民健康保険での適用拡大、介護保険への拡大により、今後、他市転出者へのサービスを提供していかなければならないケースが増加するものと想定されます。場合によっては、住所地市町村と国民健康保険、介護保険の保険者がいずれも異なることも生じてまいります。住民が受ける各種サービスが、種類によってはそれぞれ異なる市町村から提供されるということは、サービスを受ける側、提供する側にとり、選挙権を通じての意思表示ができないなど、不自然な状況を生むことになります。財政的な配慮は当然としても、保険者のあり方、市町村行政という面で将来的にはこの制度の再検討が必要ではないかということを指摘しておきたいと思います。
 以上、制度改正につきまして意見を申し述べましたが、国民健康保険のみならず、多くの健保組合、政府管掌保険までもが制度維持が困難になる状況に直面しております。抜本改革の必要性についての声が上がり、長い期間議論されてきたにもかかわらず何度も先送りされ、医療保険に携わる者には不信感と焦りが生じています。予定されている平成十四年の改革は必ず目に見える大きな前進がなければならない、さもなくばそのツケは結局、国民に回ってくることになります。高齢化のピークを目前に控えた今、改革は待ったなしの状況である、この点をぜひ直視していただきたいと思います。残された一年余の期間、委員の皆さんを初め関係者の必死の努力をお願いいたしたいと思います。
 再度申しますが、抜本改革の第一歩として、引き続く第二歩に大きな期待を込めて、今回の改正に賛意を表します。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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遠藤武彦#5
○遠藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、村上参考人にお願いを申し上げます。
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村上忠行#6
○村上参考人 おはようございます。日本労働組合総連合会政策グループ長の村上でございます。
 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する意見を述べたいと思います。
 私も風邪を引いておりまして、それでなくても悪い声がより悪い声になっております。御容赦をいただきたいと思います。
 まず、医療・医療保険制度の抜本改革についてでございます。
 健康保険制度は、かつて三K赤字の一つに数えられましたように、赤字を生み出す構造的欠陥が指摘されながら、政府は抜本的な制度改革を先送りしてきました。そのため、膨張する医療費を被保険者、患者の負担増で埋め合わせするという悪循環を繰り返してまいりました。この悪循環を断ち切ることは、高齢化の進展と老人医療費の膨張から、いよいよ重大な課題となっておりまして、五年前から関係審議会で議論が重ねられてきました。
 一九九七年九月の健康保険法等改正で、患者、被保険者負担が大幅に引き上げられました。このときの国会でも、医療・医療保険制度の抜本改革を求める意見が全政党から出されました。当時の与党三党、自民、社民、新党さきがけは、法施行に先立つ八月二十九日に「二十一世紀の国民医療 〜良質な医療と皆保険制度確保への指針〜」という改革プログラムを公表し、「抜本改革の実施は平成十二年度を目途とするが、可能なものからできる限り速やかに実施する。」ことを明らかにしました。当時の与党三党は、二〇〇〇年度抜本改革を国民に公約したのです。
 また、同年秋の介護保険法制定時に、政府は介護保険法施行の二〇〇〇年度に抜本改革を行うことを明言いたしました。さらに、翌九八年の通常国会では、国保法等の一部改正審議で、抜本改革を二〇〇〇年度に行う旨の附則修正が行われました。
 以上のように、抜本改革二〇〇〇年度実施は政府の公約であり、国会の意思でもあるはずです。しかし、それ以降、これらの公約すべてがほごにされてきたのであります。
 そして今回、またもや改革なき負担増を行おうとしております。私たちは、これまで政府に三回も約束を破られたと思っております。抜本改革を先送りして負担増を中心とする今回の改正は、到底容認できるものではありません。大幅な法案修正を求めたいと思います。
 以上を前提といたしまして、具体的に意見を述べていきたいと思います。
 まず、七十歳以上のお年寄りに、薬剤一部負担を廃止し、定率一割負担を求める老人に係る外来の一部負担金の見直しについてであります。
 現在の老人保健制度は根本的に行き詰まっており、それにかわる新たな制度が必要なことは各方面から指摘されています。しかし、今回の改正案にはそうした積極的な改革内容は全く見当たりません。
 薬剤一部負担は一九九七年に導入され、薬剤数の減少など一定の効果があらわれているにもかかわらず、みずから決めた制度を二年もたたないうちに老人のみ実質的に廃止することは、全く納得できません。そして、今回の改正は、定率一割の導入に加えて、医療機関が二百床未満か二百床以上かで異なる上限額、診療所の定率、定額選択、院内処方か院外処方かによって同じ医療費でも自己負担額が変わるという大変複雑なものになっています。お年寄りは何を見て判断すればいいのでしょう。医療機関にとっても、煩雑で大変な事務負担となるのではないでしょうか。
 厚生委員会におかれまして、政府は、診療所に定額を残すことは複雑な面も否めない、複雑でわかりにくい面もあると答弁しています。政府みずからが複雑でわかりにくいことを認めているのです。このような不透明な仕組みをわざわざ導入するのは、薬剤一部負担廃止によって不足する医療費を埋め合わせるための単なる財政対策でしかないからであります。
 こうした小手先の制度いじりではなく、老人保健制度にかわる新たな高齢者医療制度の創設へ全力を挙げることが先決であり、この項の撤回を求めるものであります。
 次に、高額療養費に係る自己負担限度額の見直しについてであります。見直しは、標準報酬月額五十六万円以上の上位所得者について、限度額を十二万一千八百円に大幅に引き上げるとともに、一般、上位所得者ともそれぞれの限度額を超えた医療費の一%を上乗せするという内容になっています。
 これは、自己負担額を軽減するために導入された高額療養費制度の根幹にかかわる重大な変更であります。この制度は、重い病気にかかったときにこそ安心して医療が受けられる安心の給付の制度だったはずであります。
 ところが、今回、政府は、厚生委員会で、これまでの患者負担が家計に与える影響に加えて、患者が受けた医療サービスの費用も考慮して定めることとしたと説明し、医療を受ける人と受けない人との均衡を図る、コスト意識を喚起すると答弁しております。まるで、医療費は患者自身が決定しているかのようでございます。心ならずも重病にかかって医療費がかさむ患者に、コスト意識を持てということなのでしょうか。
 上位所得者とは、年収ベースで九百万円以上程度と言われておりますけれども、この層の多くは住宅ローンや教育費が重く、かつ現下の経済情勢で雇用不安、生活不安にさらされている中高年でございます。この層に、今度は病気になったときの負担を重くし、さらに生活不安を強めることになりかねません。加えて、上乗せの一%が今後引き上げられないかという不安があります。
 改正内容は、保険料は所得に応じて、給付は公平にとする医療保険の基本理念を揺るがすものであります。国民皆保険制度を維持するためにもこうしたことは避けるべきであり、特に一%は何をおいても撤回するよう強く求めたいと思います。
 第三に、保険料率の設定に係る上限の見直しについてであります。介護保険料は、健康保険料と合算して、上限率を超えない範囲で徴収することになっています。今回の改正で、上限率の適用を健康保険料のみとし、介護保険料を別建てとすることは、実質的な保険料引き上げと言わざるを得ません。
 介護保険法制定時、政府は、医療費で賄っていた介護に係る費用、主に社会的入院は介護保険に移るので、医療費が減少し健康保険料は下がる、二〇〇〇年度までに抜本改革を行うため、介護保険料と健康保険料を合算しても法定上限率を超えないと説明しました。ところが、社会的入院が当初見込みよりも減少せず、抜本改革は行われていないため、両保険料を合算すると、多くの保険者が法定上限率を超える見通しとなってきました。しかし、この要因は老人医療費の膨張による老健拠出金の増加にあり、見通しの甘さと抜本改革を先送りしてきた政府の責任であります。
 介護保険法は、本年の四月に施行されたばかりです。別建てにするのであれば、抜本改革時か介護保険の見直し時期に検討すべきであって、今回行うべきではありません。当面、現行三割の老人医療費の公費負担を引き上げて、保険者、被保険者の負担増を避けることこそ、政府として責任ある態度だと考えます。ぜひとも撤回していただきたいわけであります。
 第四は、医療保険制度等の抜本改革に関する事項についてであります。改正案には、医療保険制度等の抜本改革の時期がどこにも明記されておりません。抜本改革を二〇〇二年度に必ず実行する規定を追加し、かつ、その実行を明確に約束するよう強く要望いたします。公約を破り、改革を先送りすることは、医療保険制度が維持できなくなり、国民皆保険制度の崩壊を招くだけです。今度こそ、ぜひとも政治の決断で、抜本改革を二〇〇二年度に実行する強い意思を国民に示すべきであります。
 私の意見陳述は、健康保険法等の一部改正に対するものでございますが、最後に、医療法等の一部改正について触れさせていただきます。
 医療提供体制は、医療資源を有効かつ効率的に配分し、良質な医療サービスを国民に提供するという目的から、医療制度の基礎となる重要な課題であります。改正案は、審議会の中で、後退に後退を重ね、改革とは名ばかりのものとなったというのが私どもの認識でございます。国会の場においてぜひとも修正していただきますよう要望いたします。
 第一は、看護基準についてであります。今回、四対一から三対一に引き上げられようとしておりますけれども、二対一、最低でも二・五対一とすべきであります。
 第二は、カルテ開示の法制化であります。国民、患者が自分の体のことを知りたいという認識が高まっています。一方、多発する医療事故が国民の医療に対する不安と不信を強めています。患者の知る権利、医療への信頼確保という観点からも、本人申請によるカルテ開示の法制化を図ることは当然であると考えております。
 第三は、広告規制の緩和でございます。患者が医師や医療機関を選択するとき、口コミ情報に頼っているのが現状であります。虚偽広告、誇大広告などを除き、原則自由にすべきと考えます。
 以上、申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。拍手
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遠藤武彦#7
○遠藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、室生参考人にお願いを申し上げます。
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室生昇#8
○室生参考人 全国保険医団体連合会副会長の室生昇でございます。名古屋市内で三百十三床の一般病床病院と六十床の療養型病床病院、診療所を開設しております。
 本日は、健康保険法等の一部改正案と医療法改正案について、意見を述べさせていただきます。
 さて、私ども全国保険医団体連合会といたしましては、両法案に対して反対の立場をとっております。特に患者負担の問題につきましては、高齢者だけでなく、健康保険本人も含めて、これ以上患者負担をふやすことには反対でございます。
 その理由をすべてお話しする時間がございませんので、採決前にこのことだけは御検討いただきたいという問題に絞ってお話しさせていただきます。
 配付させていただいた資料をごらんいただきたいと思います。まず、今回の法改正によって、資料一の右側の欄に示したように、一・三から一・五倍に高齢者の医療費負担がふえることは間違いございません。高齢者は一律に経済的弱者ではないのでこの程度の負担にはたえられるという議論もありますが、一律に経済的に豊かなわけでもございません。
 資料二は、ことしの厚生白書からとった図でございます。高齢者の方の所得がどの程度あるかを見たものでございますが、ごらんのように、一一・八%は所得なし、八十万円未満の所得の方が二七・一%、約四割が年間所得八十万円未満及び収入なしということでございます。また、高齢者世帯の年間所得は、その四割が二百万円未満でございます。
 今回の改正案は、こうした低所得の高齢者に配慮していると言えるでしょうか。これまでの審議では、入院について、市町村民税非課税世帯の高齢者は、負担上限を現行の三万五千四百円から二万四千六百円に引き下げたことが手厚い配慮とされているようでございますが、これまでは一日千二百円で済んでいます。手術などで短期間の入院をした場合は、負担は二倍、三倍となります。詳しくは資料一の白内障の例をごらんください。
 また、外来については、低所得層の救済措置は全くありません。これらの措置も、実効性のある対策を御検討いただきたいと思います。
 もう一つは、今回の制度改定の理由として、老人医療費が高騰して、政管健保や組合健保の財政を圧迫しているということが挙げられております。改革は待ったなしで、とりあえずは高齢者にも応分の負担をということでございますが、本当に今すぐでなければならないのでしょうか。
 介護保険の実施によって、一定額の老人医療費がそちらに移行しております。本来、本年度予算では、老人医療費は前年度より一兆三千億円少ない十兆一千億円と見込まれています。一方、介護保険の方は、十月から六十五歳以上の保険料徴収が始まって、年間で七千億円以上の保険料負担が新たに高齢者に課せられております。これらの結果、医療と介護を含めて財政負担がどうなるのか、政管健保や組合健保の負担がどうなるのか、介護保険実施による財政的影響をしっかり見定めてから高齢者の自己負担問題を検討しても遅くはないと思います。
 次に、病院経営者として、医療法改正について意見を申し述べます。
 まず、病床区分の見直しと一般病床の看護配置基準を四対一から三対一に引き上げる問題でございます。これについては、二つの問題があります。
 第一は、現在、三対一未満の病院が約一千病院ございます。その理由について実態を把握し、国会での審議が必要だと思います。特に、五年間の特例措置の対象外となる三十二病院については、法改正によって地域における入院医療の確保に支障が起きないのか、十分な検討が必要でございます。そうした実情把握と検討を抜きにして制度改定がなされるとするなら、病床削減のためだけの改定と言わざるを得ません。
 第二は、看護体制の改善をどう進めるかという問題でございます。日本の看護婦の配置数が先進国の中でも最低ランクにあることは、これまでも各方面から指摘されてきました。現在、社会問題ともなっている医療事故の背景に、看護婦の過密労働や人手不足があることは御承知のとおりでございます。まともな夜勤体制を含めて、看護の質を確保するためには、一・五対一以上の看護婦配置が必要ですが、診療報酬上での評価は二対一まででございます。それ以上の配置をとった場合は、医療機関の持ち出しとなっております。
 さらに、ことし四月の診療報酬改定では、平均在院日数が二十九日以上の病棟については、これまであった二対一、二・五対一の診療報酬が廃止され、三対一以下となりました。
 さらに、こうした一般病床に九十日を超えて高齢者が入院していると、入院費が削減されるだけでなく、一部の例外を除いて、どんな治療をしても一定額しか支払われないという定額制が押しつけられました。
 療養病床の方はどうかといいますと、今回の改正案では最低基準が六対一となっていますが、診療報酬では最高ランクが五対一です。これ以上の看護婦配置は収入保障がありません。しかし、長期入院患者であっても、看護の必要度の高い場合は当然あるわけでありまして、現場では大きな矛盾を抱えております。看護婦の増員は、患者にとっても、医療従事者にとっても切実な願いですが、今回の医療法改正によって、以上指摘しました問題が改善されるとは思われません。
 最後に、今回の医療法改正の中に、従来の地域医療計画における必要病床の名称を基準病床に改め、その必要数の算定基準を変えることが含まれております。算定方式については厚生省令で定めるとされておりますが、その内容については厚生委員会でもほとんど議論されていないように思います。
 従来、全国を五つのブロックに分けて基準を決めていたものを全国一律の基準にすることによって、全国平均より入院率の高い地域の病床規制を強める、さらに、すべての地域で一〇%程度の病床を削減するという内容でございます。
 御承知のように、地域によっては共働きが多く、その家族の在宅療養が困難なところもございますし、気候や交通の便の違いがあって、同じ年齢層でも入院率に違いがあるのは当然のことであります。それを、そうした地域差は認めないというのはいかがなものでございましょうか。
 どちらにいたしましても、具体的に算定方式がどう変わるのか、その内容について、国会での審議抜きで厚生省にお任せということでは困ります。しっかりとした審議と、どのようになるのか国民の前に明らかにすることを求めたいと思います。
 今回提出されている健康保険法、医療法改正法案は、これらと表裏一体となっている診療報酬改定とによって、高齢者や病人の負担増、入院にしろ、在宅医療にしろ、重症者の治療に手間取れば病院や医院の持ち出しになる。規制が強化されて地域から病床が消えるなど、抜本改革の名のもとに、病める人をいやす場への愛とぬくもりの政策がますますなくなっていくように思われます。一方で、経営不振の不良銀行やデパートに多額の税金が投入されています。
 人権を尊重し、人の命を大切にする施策を希望して、私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。拍手
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遠藤武彦#9
○遠藤委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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遠藤武彦#10
○遠藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤洋一君。
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宮澤洋一#11
○宮澤(洋)委員 自由民主党の宮澤洋一でございます。
 きょうは、参考人の皆様、大変お忙しい中を御出席していただきました。また、貴重な御意見を披露していただきまして、ありがとうございました。大変感謝をしております。
 私自身、大蔵省に二十年ほどおりましたので財政は知っておりましたけれども、厚生という関係になりますと、正直言って大変素人でございます。委員になって三カ月足らずでございますけれども、委員会に出席しておりまして、例えば今回の法改正につきましても、委員の方が熱心に、まさに日本の医療をどうやってよくしていくかということで発言され、大変勉強になったと感じております。山井委員とか阿部委員、まさに御専門の経験からいろいろな話をされたのが大変に参考になったなという感じがいたします。
 一方で、日本の医療ということを考えますと、私は、自分自身、アメリカに数年住んだことがございますし、またヨーロッパに住んだ友人の話などを聞いておりますと、日本の医療というのは正直言って今の状況はなかなかいいじゃないかという気が大変しております。国民がみんな皆保険のもとで医療機関に簡単にアクセスができる、また相当レベルの医療を受けることができるということは、大変今の状況はすばらしいな、何とかこの状況を守っていかなければいけない。これは恐らくこの委員会の皆様、また、きょうの参考人の皆様もそういう感じから発言をされているんだろうと思っております。
 ただ一方で、理想的な医療といいましても、我々は打ち出の小づちを持っているわけではない。まさに、医療費の負担をだれがするのか、国がどの程度するのか、保険者がどの程度するのか、また患者がどの程度するのか。やはり、医療費を将来的に、伸びを抑制していくということをしながら、だれがどういうふうに負担をしていくかということを徹底的に考えていかなければいけない。
 そういった意味で、抜本改革がまさに私自身必要だと思いますし、きょうの参考人の方も、対馬参考人、喜多参考人また村上参考人も、平成十四年度の抜本改革に大きな期待をする、こういうお話をされ、津島大臣もまさにそれをやりたいということを委員会でもおっしゃっていた。何とか抜本改革をどうしてもやらなければいけない。ただ一方で、それを実は待っているわけには恐らくいかないし、できることからやっていかなければいけない。そういった意味で今回、健康保険法の改正案というものが提案されたわけだし、私自身もどうしてもやっていかなければいけないと思っております。
 その中で、まず対馬参考人に伺いたいのですけれども、まさに健保組合は大変な財政状況にある。各党におかれましては、この改正案に反対する党もいらっしゃるわけですが、もしこの改正が今回おくれるとか、さらにできないとかいったことになりますと、健保組合の運営上、大変な問題が生じるのだと思います。その辺について、ひとつ詳しくお話を聞かせていただきたいと思います。
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対馬忠明#12
○対馬参考人 ただいま、おくれたり、できなかった場合どうかということでございますけれども、まず金額的なことを申し上げますと、健保組合全体として、医療費で年度で百七十億円ぐらいの負担増になります。新日鉄健保としては数千万円の負担増につながるということでございます。それから、いわゆる料率の上限問題がございまして、これが年間七百二十億円程度、新日鉄健保でいいますと五・四億円、五億四千万円ですね、これだけかさむということになります。
 医療費全体がこの程度だったら何とかなるじゃないかということをお考えになる方もおられるかもしれませんけれども、ベースとして、平成十一年度の決算は二千三十三億円の大赤字ですけれども、十二年度も、三千三百億円の予算ですけれども、大赤字なわけですね。そこにこれらがかさんでくるということですから、とても対応のしようがないということだと思います。
 それから、料率の上限との関係ですけれども、先ほども申し上げましたけれども、新日鉄健保で既に二億七千万円の、言ってみれば借財を抱えているわけですね。それがさらに、おくれる、廃止するということであれば、年度で五億四千万円ということがオンされてくるわけですね、乗っかかってくる、こういうことになります。そうしますと、せっかく今歩み出したばかりの介護保険が、二号保険料の徴収のところから、根底から崩れる、こういったおそれなしとしないというふうに思います。
 いずれにいたしましても、この法案がおくれたり、できないということはぜひないように、お願いいたしたいということでございます。
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宮澤洋一#13
○宮澤(洋)委員 ありがとうございました。
 今、大変な赤字という話を承りました。また、私自身、例えば健康保険組合を解散して政管健保等に移行するというようなことがいろいろあると伺っております。国費ということでいえば、政管健保に移った途端に一三%とか一六・四%というものがプラスアルファになる。そういった意味で、民間のまさに健康保険組合というものにぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 その中で、例えばことしの三月でございますか、二〇〇〇年度末に、もうとてもやっていけないということでやめられた健康保険組合が幾つかある。十四、五ということを聞きました。それでよろしいでしょうか。
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対馬忠明#14
○対馬参考人 ことし既に十数健保組合が解散しておりまして、これまでは、親会社の統合なり、親会社といいますか、事業主が解散したりした場合に、健保組合もそれに伴って解散するということでございましたけれども、今回非常に新たな事態といいますか困った事態、窮迫した事態は、上場会社の、会社としては存続しているのですけれども、健保組合がもうお金が回らなくなってきたということで解散した組合が二組合もあるというような、本当に逼迫した状況になっているということでございます。
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宮澤洋一#15
○宮澤(洋)委員 どうもありがとうございました。
 それでは、村上参考人に伺いたいのですけれども、今お話を承っておりまして、二〇〇二年に必ず抜本改革をというお話があり、まさに私自身もそうだなと思っております。
 ただ、一方で、今回の健保法の改正につきましては、ともかくいろいろ約束をしてきた話ができていないんだから、抜本改革ができるまでは何もしない方がいい、するべきではないというお話だったと思うのでございますけれども、今、健保組合の窮状、また、国保についても先ほど喜多参考人からいろいろな状況のお話がありましたけれども、ここ一、二年まさに何もしないで二〇〇二年を待つ、そういうことなのか、ほかに何か方法がないのか、御意見を伺わせていただきたいと思います。
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村上忠行#16
○村上参考人 私がまず申し上げたいことは、できることからやっていく、何とか財政のつじつまを合わせる、そういうことでずっと来過ぎたと思っているんですね。
 例えば一九九七年の改正というのでしょうか、そこで本人負担が一割から二割へ上がりました、それから薬剤別途負担ができました。これで大体二兆円程度の負担増だったと思います。その当時の、橋本内閣でございましたけれども、ほかの措置、消費税引き上げ等々もあって、そのときの負担増というものが今日の経済状態を招いたと言われております。その大きなものとして、いつかテレビを見ておりましたら橋本元総理が言われていましたけれども、医療費アップの、負担増の、ある意味でその部分を見込んでいなかった、その部分が見込んだより経済にダメージを与えたということをテレビでおっしゃったのを見たことがございます。その意味で、我々は結局、抜本改革できないから、とにかく予算、つじつまを合わせるから、負担増だ、保険料引き上げだということでつき合ってきたわけですね。
 そのデッドエンドが私は二〇〇〇年度だったと思っているんです。例えば、ことしから介護保険が導入されましたけれども、これも我々としては二兆円以上の負担増なんですね。それは甘んじて私どもは認めました。これは、介護の現場が大変困難な状況にある、一刻も早くこれを何とかしなきゃいかぬということで、この不況の中で私どもの実質賃金は三年連続マイナスになっておりますけれども、その中でもやはり介護保険の負担はせざるを得ないということで導入に我々は賛成したわけです。我々は十分これまでそういうことでおつき合いしてきたんですね。
 しかし、つき合いがよ過ぎると、どうももう一方の方が動いてくれない。我々としてはもうこれ以上我慢できない。冒頭申し上げましたけれども、かつては医療費は三K赤字の代表だったんですね。国鉄、健保それから米ということで、やはりお金がなくならないと、どうも政治が動いてくれないんじゃないか、それぐらいの思い詰めた気持ちでおるということをまず申し上げたいわけでございます。
 それまでの間は、何とか財政でつないでもらえばいいと思っています。ほかにもいろいろな財政出動をしておるわけでございますから、この問題に財政が出ていってはいかぬということはないわけです。そのことによって抜本改革が早まるならば、私はその方がいいのじゃないかと。この四年間の推移を見ておりまして、とてもじゃないですけれども、我々は負担増を両面から、保険料アップとかいうことから強いられてきた、のんできました、もう我慢できませんということでございます。
 以上でございます。
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宮澤洋一#17
○宮澤(洋)委員 お話はわかった一方で、財政というのも決して今楽な状況ではない、少しでもこれから国債を増発するということになると、本当に国債の金利がはね上がってとんでもないことになるという状況もある中で、なかなか財政というわけにいかないのではないかなという気が私はいたします。
 時間が最後になってまいりましたので、喜多参考人に一つ伺いますけれども、国保の方も平成十年度で法定外繰り入れが三千六十億、また全体で七千億近い支援をされているという本当にぎりぎりのところに来られている。その中で保険料の徴収というので大変努力されているというお話がありましたけれども、まさに具体的に保険料徴収で本当に御苦労されていると思うので、その辺の実情をひとつ最後に教えていただきたいと思います。
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喜多洋三#18
○喜多参考人 御質問にお答えいたしたいと思います。
 御承知のことでございますが、ほかの医療保険に入れない人が国保の加入者ということになるわけでございます。一部の自営業以外は、病弱等で就業できない方、高齢で退職した方、無職の方、そこにさらに近年加わっておりますのは、不況でリストラされた方々が国保の方においでになるということでございます。
 勤め人の方は給料から支払うわけでありますが、国保は前年の収入を目安に保険料を掛けるということになっておりますので、掛ける時点では収入があるということにはならないわけであります。リストラをされた方は当然減免をせざるを得ないというのが実情でございます。減免をしようとしても、修学中の子供がいればどうしても保険料支払いが後回しになるという現実がございまして、退学せいというようなことにはならない、そういうことは人情として忍びないという事情も出てくるわけであります。
 市町村の収納対策は、強権的手段よりも、むしろ可能な限り面談で説得に努めておるのが現状でございまして、毎月の夜間の催告、休日の戸別訪問など、人件費を考えると、公費で補てんする方が安上がりではないかと思うこともあるんですが、手間暇をかけて、やはりみずから払っていただくという観点から、そういう仕事をしておるわけでありますが、現実はなかなか効果が出ておらないわけであります。あすからの安心もよいわけでありますが、きょうの食費の方が大事だと言われると、返す言葉もないということ、担当者からも何回となく聞かされております。
 現実に区分は非常に難しゅうございますが、悪質なケースで払わないという人もあるわけでございます。これは毅然とした対応をするわけでございますが、徴収をちゅうちょするような先ほど申し上げた事情もございますので、この辺もひとつ今後の政策の中で反映していただくようにぜひともお願いをしておきたいと思います。
 それから、この際お願いをしたいんですが、今回の法改正で健康保険側からもいわゆる税の資料を請求する根拠が条文で出ております。介護保険にも当然あるわけでありますけれども、提供する側の、税側の方で地方税法等に提供を許す規定がございません。もらう方は規定がありますが、出す方がありませんので、介護保険の実施にも現場では相当混乱をいたしております。今後とも、こういうこともひとつしんしゃくをして、よりよい方向に進めていただくようにお願いを申し上げて、答弁とさせていただきます。
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宮澤洋一#19
○宮澤(洋)委員 どうも大変ありがとうございました。
 時間も参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
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遠藤武彦#20
○遠藤委員長 次に、釘宮磐君。
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釘宮磐#21
○釘宮委員 参考人の皆さんには、大変お忙しい中を本日は御出席いただきまして、貴重な御意見をちょうだいしました。改めてお礼を申し上げたいと思います。
 民主党の釘宮磐でございます。
 それでは、参考人の皆さん方に質問をさせていただきたいと思いますが、今国会の中で、医療保険法、大変な大きな問題として私は位置づけております。この委員会の審議においてもこれまでに約二十時間近く議論をしてまいりましたけれども、正直申し上げて、どうも議論がかみ合わない、そんな感がしてなりません。
 とりわけ平成九年の改正法の国会において、与党は、当時は小泉厚生大臣だったわけですけれども、とにかく抜本改革をやらなければ二十一世紀の医療保険制度は崩壊してしまうんだ、したがって、何が何でもやるんだ、そういう議論を実は九年においてもやったわけであります。その際には、やはり今と同じような参考人質疑の中で、一方では、保険財政がこのままでは破綻してしまう、だからとにかく、とりあえずこの保険財政を乗り切るんだという議論と、一方で、そんなことをやっていたのではいつまでたっても同じではないか、今本当に血を流す思いで抜本改革をやらなきゃいけない、そういう議論が同じように行われた。私が津島厚生大臣に、私は今タイムスリップしたような思いだと申し上げたときに、大臣も全く同じだというような答弁をしておりました。
 そういう意味で、同じ議論がここで繰り返されているのですが、二〇〇二年、政府側の答弁で、抜本改革を実施するというふうに言っていますけれども、今回は附則にもそれが明記されていない状況にあります。私は、あえてきょうは、対馬参考人、喜多参考人、村上参考人にお伺いをしたいと思うのですけれども、抜本改革が何ゆえできないのか、その阻害原因はどこにあるとお思いなのか、その点についてお三人の方にお伺いをしたいと思います。
 それでは、村上さんからお願いします。
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村上忠行#22
○村上参考人 阻害要因と言われましても、私もよくわからないところがあるのですが、例えばこれまでの経過をたどってみますと、抜本改革のために、厚生省が医療福祉審議会の中で制度企画部会というものを開催いたしました。そこで抜本改革議論を進めてきております。
 その中で、一番初めにまとまったのが薬剤の問題でございまして、日本型参照価格制度の導入という問題がまとまりまして、答申が出されまして、それで日本型参照価格制度に移行するかと思いましたけれども、与党の反対でこれが物の見事につぶれてしまいました。制度企画部会のメンバーに聞きますと、結局、我々がいろいろな形で議論をし、妥協もし、何とかまとめた案がある意味で政治の場で一遍に握りつぶされてしまう、何のために一年もこの問題について議論してきたんだろうという話をその委員から聞いた覚えがございます。
 また、私が所属しております医療福祉審議会の運営部会のことしの、今回かかっております法案の諮問に対します委員会としての答申書の冒頭に書いてございますけれども、
  かねてより医療保険制度の抜本改革を平成十二年度に実施することとされてきたにもかかわらず、医療保険制度改革の全体像は不透明なままである。そのため、急速な高齢化の進展に伴う医療費の高騰に対する有効な対応がなされておらず、今回の諮問案は当面の財政対策に終わっている。厚生省は抜本改革について早急に検討を進め、責任を持って可及的速やかにその実現を図るべきである。
というのがいわゆる答申書の第一項目めでございます。
 だから、ある意味で阻害要因というのは、いろいろな厚生省の答弁を読みますと、利害当事者がおられて、利害当事者のすり合わせがなかなかできないということをおっしゃっておりますけれども、私は、それをすり合わせをしてまとめていくのが行政の責任であり、また行政がまとめ切れなければ、それをまとめていくのが政治の責任だと思っております。そこら辺のところが有効に機能していないからではないかというふうに推察しておるわけでございます。
 以上でございます。
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釘宮磐#23
○釘宮委員 同じく、対馬参考人にお願いします。
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対馬忠明#24
○対馬参考人 三年前、平成九年ですけれども、私も参議院の方で健康保険法の改正問題で同じような議論をした記憶がございます。そういう意味では、確かにタイムスリップしたといったところがあるのかなと思いながら拝聴してきたところでございました。
 何ゆえにというのは非常に難しいと思うのですね。医療につきまして、もしくは医療保険制度につきましては、世界各国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、あらゆるところで、いわゆる抜本改革というかどうかは別にして、かなりの改革議論をやっているわけですね。アメリカでも、大統領選挙の争点の一つがメディケア、高齢者医療制度をどうするかというのが主な争点になっているぐらい、それだけ一つには根が深いといいますか難しい問題なのかなという感じはいたします。
 それともう一点は、いわゆる抜本改革というのは現状打破、言ってみますと、既得権の打破だと思うのですね。痛みを伴う、こういうことになるわけですね。そうした場合に、どうしても現状を変えたくない、抜本改革という言葉自体は非常にいいわけで、皆さん賛成だと言われますが、個別具体論になってきますと、必ず痛みを伴ってくる、利害が伴ってくる。そこが、関係団体等は当然立場も違いますし、いろいろ意見も異なってくるということが大きな原因ではないかということ、先ほど村上参考人も言われましたけれども、そのあたりをきっちり行っていっていただけるのが行政であり、また政治ではないのかなというふうに私は思うところでございます。
    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
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喜多洋三#25
○喜多参考人 阻害の要因というのは私自身もよくわかりませんが、むしろ要因というよりも推進力が欠如しているのじゃないかと思います。より具体的に申し上げれば、保険の実態の認識の欠如、それから政治的決断、そして、どなたがリーダーシップをとられるかわかりませんが、リーダーシップの欠如、これらがなかなか進まない大きな原因ではなかろうか、このように思います。
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釘宮磐#26
○釘宮委員 今お三人の参考人の御意見を聞きまして、皆さん同じように、この抜本改革は待ったなしだ、抜本改革をしなければ制度そのものが崩壊を招くというような御意見だったのですが、この抜本改革がどうしてこれまでできなかったのか、その原因ということでお聞きしますと、皆さんから明確な答えが返ってこない。私はここが問題だと思うのですね。ですから、もう少し皆さん本音の議論をぜひしていただきたいなというふうに思う。
 これは先ほど村上参考人の中にもありましたけれども、そこにやはり利害がそれぞれあるわけでありまして、おれのところだけは絶対に改革はお断りだということを言い続ければ、いつまでたってもできない。ましてや、それに政治が加担をしてしまったら、いつまでたってもできない。ですから、ここでこういう議論をしていても、本当に皆さん方が、やはり本音のところで私は意見を闘わせていただきたいなというふうに思います。
 次に、村上参考人にお願いしたいと思うのですが、今回の医療費の増大の中で、これから二十一世紀の医療制度をどう確保していくかということの、最大の要因はやはり何といっても老人医療費の膨張にあるというふうに思うのですね。ですから、ここにある程度の抑制が行われていかない限り、負担というのはますますふえていくわけであります。
 したがいまして、老人医療費を今後どのように抑制をしていくというふうにお考えになるか、要するに、老人医療費の抑制策というものについて、何か御意見がありましたら、お願いをしたいと思います。
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村上忠行#27
○村上参考人 お答えいたします。
 先ほどから話が出ていますように、今の保険制度が立ち行かなくなる、その最大の問題は老人医療費の高騰にあると思います。いずれ保険料の半分が老健拠出金に食われるというのは数年後にあるのだろうと思いますし、そうなりますと、保険というものが成り立たなくなる、こういうふうに思っております。
 私は、今老人の方々の医療費を何が何でも抑制しろということではなく、うまくいっていない点をどう解決するかということに目をとめなければいけない。
 といいますのは、若人の人たちの現役世代に比べて、老人一人当たりの医療費は五倍かかっております。この五倍かかっている要因というのは、一口に言いますと、受診率が高いとか入院期間が長い、こういうお話がございます。私は、必要な医療は老人の方々にもこれからもずっと提供し続けなければいかぬと思いますけれども、なぜそれが五倍かかるのか、この辺の原因の解析というのでしょうか要因解析というのでしょうか、そこを徹底的にやらなければならない。
 例えば、ヨーロッパ諸国では現役世代の大体三倍程度でございますね。この五倍かかる構図のままでほっておけば、どんな保険制度を組んでも立ち行かないことは明らかでございまして、ここをどう抑制できるのか。必要な医療を供給しながらその五倍問題をどう解決し、ヨーロッパ並みにできれば、破綻に至らないで老人の方々も適切な医療を受けながらやっていけるのではないか、私はこう思っております。
 特に日本の高齢者の方々が、外国、特にヨーロッパの方々に比べて非常に体が弱いとか病気がちであるということはないと思うのですね。それぞれ健康に生きている方もたくさんおられるわけでございます。ここを徹底的に解明して、なぜそういうことになっているのか、その要因解析の上で診療報酬体系を抜本的に変えていく、そのことが必要なのだろうと思っています。診療報酬体系の抜本改革ができなければ、これはだめだろう。
 その抜本改革の方をヨーロッパなんかで見ますると、やはり包括払いとか定額払いに切りかえていくということを基本にしながらやっていくことだろうと思います。さらには、例えば日本で医療費が一番低いのは長野県だということを言われていますけれども、そこでの実態調査を見ますると、保健活動が大変充実しておりまして、かかりつけ医なんかも結構おられまして、在宅医療が進んでいるということもございます。こういう医療費の低いところのシステムも研究する必要があろうかなと。
 ただ、私は、基本は何だかんだ言っても、やはり現役世代からの予防と健康づくり、このことが一番肝要かと思っておりますし、さらには老人の医療学、健康学というものが欧米各国と比べますと相当おくれているのではないか。老人の健康とはという問題について、実は日本の学問というものがおくれておる、専門的な研究がおくれておる。この辺のところも早急にやっていく必要があろうか。
 トータルでさまざまな改革をやらなければ老人医療の高騰はとまらない。結局、医療費は高くなるけれども、老人の方々も受ける医療に対して満足できない状況が続いていくのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
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釘宮磐#28
○釘宮委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、私は、やはり政治の決断、これが一番重要だというふうに思います。そういう意味で、参考人の皆さんそれぞれに、政治家の皆さんに対しても、いわゆるリーダーシップを発揮して、この二十一世紀の医療保険制度というものをきちっとつくれということの皆さん方からの叱咤激励を心からお願い申し上げたいというふうに思います。
 きょうは、どうもありがとうございました。
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遠藤武彦#29
○遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
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