労働委員会

1998-05-06 衆議院 全198発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十年五月六日(水曜日)
    午後一時一分開議
出席委員
  委員長 田中 慶秋君
   理事 荒井 広幸君 理事 小林 興起君
   理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 中桐 伸五君
   理事 河上 覃雄君 理事 青山  丘君
      甘利  明君    井奥 貞雄君
      飯島 忠義君    大村 秀章君
      白川 勝彦君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    能勢 和子君
      山本 幸三君    近藤 昭一君
      玉置 一弥君    松本 惟子君
      桝屋 敬悟君    岡島 正之君
      武山百合子君    大森  猛君
      東中 光雄君    濱田 健一君
      土屋 品子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 伊吹 文明君
 出席政府委員
        労働省労働基準
        局長      伊藤 庄平君
        労働省女性局長 太田 芳枝君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
 委員外の出席者
        労働委員会専門
        員       中島  勝君
    —————————————
委員の異動
五月六日
 辞任         補欠選任
  岡島 正之君     武山百合子君
  金子 満広君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  武山百合子君     岡島 正之君
  東中 光雄君     金子 満広君
    —————————————
四月三十日
 権利拡充の労働法制実現、基準緩和の阻止に関
 する請願(中西績介君紹介)(第二〇〇一号)
 労働法制の全面改悪反対、労働行政の充実に関
 する請願(石井郁子君紹介)(第二〇五九号)
 同(大森猛君紹介)(第二〇六〇号)
 同(金子満広君紹介)(第二〇六一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二〇六二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二〇六三号)
 同(児玉健次君紹介)(第二〇六四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇六五号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第二〇六六号)
 同(志位和夫君紹介)(第二〇六七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二〇六八号)
 同(辻第一君紹介)(第二〇六九号)
 同(寺前巖君紹介)(第二〇七〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第二〇七一号)
 同(中島武敏君紹介)(第二〇七二号)
 同(中林よし子君紹介)(第二〇七三号)
 同(春名直章君紹介)(第二〇七四号)
 同(東中光雄君紹介)(第二〇七五号)
 同(平賀高成君紹介)(第二〇七六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二〇七七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二〇七八号)
 同(古堅実吉君紹介)(第二〇七九号)
 同(不破哲三君紹介)(第二〇八〇号)
 同(松本善明君紹介)(第二〇八一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二〇八二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二〇八三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二〇八四号)
 中小企業退職金共済法の改悪反対、退職金共済
 制度の充実に関する請願(大森猛君紹介)(第
 二〇八五号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三三号)
     ————◇—————
この発言だけを見る →
田中慶秋#1
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
この発言だけを見る →
玉置一弥#2
○玉置委員 連休明けでございますが、大変御苦労さまでございます。
 突然連休前に指名をされまして、よく考えてみたら一日しかなかったので、余り大した準備はしておりませんけれども、労働委員会としては最重要課題でございますので、大臣並びに関係当局の方に今までのずっと一つの流れをお聞きをしながら、今何が問題点かというのと、それから全体の流れとしてはもっと論議を私どもはすべきじゃないかというふうに思いますが、政府の方はなぜそう急ぐのかということを明確に御答弁をまずいただきたいと思います。
 その前に雇用状況でございますが、大変今悪化をしておりまして、昨年来どんどんと雇用情勢悪化という数字があらわれてきている。これは、私どもにしてみれば、橋本内閣の政策の失敗ということでございますが、昨年の四月にさかのぼりまして、消費税の二%引き上げ、そして二兆円減税の廃止等々から始まりまして、九月には医療費の値上げとかがあったわけであります。
 雇用情勢の悪化が伝えられ始めたのが昨年の六月ごろからだったと思いますが、そういう情勢をずっと踏まえながら予算編成に入ってこられまして、八月概算要求、そして十二月に最終的な数字を固められたということでありますが、その後に平成九年度の大型補正予算というのがありました。その中で、金額そのものは三十一兆数千億円でございますが、実際に具体的な一般的な経費に充てられた部分、この部分が一兆一千億ぐらいしかないということでございまして、余り雇用情勢の変化にはつながらなかったのではないか、いわゆる景気対策として不十分なまま終わったのではないかというふうに私は感じておりました。
 その後、橋本総理は、ずっと予算委員会の最中に、この補正予算を通していただき、なおかつ平成十年度予算を通していただければ必ず景気がよくなります、これが景気対策です、こういうふうにおっしゃってきたわけですね。しかし、私どもにしてみれば、橋本総理が把握をされております景気状況よりもはるかに悪い方向にどんどんと進んできた。こういうことが数字上述べられ始めたのが本年二月の末ぐらいでございました。そのころでもまだ、桜の咲くころに景気がよくなるというふうに言われた経済企画庁長官みたいな方がおられますけれども、実際には桜がもうとっくに散って、ツツジが咲いて散ってという時期に来ているわけでありますが、世の中で景気がよくなったという実感は余りないということであります。
 この平成十年度予算は、一般経費はいわゆる自然増をいかに抑えるかということで終始をしましたけれども、いわゆる公共事業に関しては七%の切り込みをやろう、こういうことで、実質的なマイナスの予算ということであります。ですから、私はその当時はまだバックにいて、いろいろ意見を言う側でございましたけれども、そのときに予
算の理事さんとかに、なぜそこまで切り込めないのだという話をよくしたのです。というのは、平成十年度予算を通してもあるいは平成九年度追加補正を通しても、景気に対する支えにはならないということですね。これは単なる金融システム維持と預金保護、そしてもう一つはいわゆる財政再建の第一歩の予算ということでありましたから、景気にはむしろ逆行して悪い影響を与える、こういうことでありました。ところが、労働大臣も当委員会におきまして同じような答弁をされ、予算委員会でも同じような答弁をされたということであります。
 そして今回、平成十年度補正予算、これは聞くところによりますと、何か十五日から二十日の間ぐらいに出したいという意向があるようでございますが、そのぐらいに出てくるということでございました。
 私がまずお聞きをしたいのは、自信を持って進められてきた今までの九年度補正予算、そして平成十年度予算、これによって雇用情勢がどのぐらい影響したのかということです、数字上お示しをいただきたい。数字でわからなければ言葉でまずおっしゃっていただきたい。
この発言だけを見る →
伊吹文明#3
○伊吹国務大臣 数字上の詳細については後ほど政府委員から答弁をさせますが、まず基本的に、今先生るるお話がございました中で、やはり雇用状況が厳しいという面では私は先生と見解を同じゅういたしております。
 そして短期的には、雇用というのは、やはり景気と申しますか、有効需要を適正に管理することによって経済が順調に動いていく中で維持されていくものでございますから、先ほど消費税の二%引き上げというお話がございました、しかし、これはもうよく御存じのように、直間比率を見直すために、かつて同額の所得税減税を先行させて、そして後でその分の帳じりを合わせるというのを延期をしていたのを実行したということでございますから、私は、真水が幾らであるという議論よりも大切なのは、政府支出あるいは税制、政策金融等を使ってトータルの有効需要をどのように大きくするかということに雇用というものは影響してくると思います。
 そこで、累次の予算及び補正予算を編成しながらやっておりますけれども、根本的には、当委員会でも申し上げましたように、金融デフレというものを払拭しなければ補正予算の効果が上がらない。補正予算は効果がないとは私は申しません。補正予算は効果はございます。しかし、この効果を万全たらしめるためには、今国民が漠として抱いておられる将来に対する不安、雇用に対する不安、年金に対する不安、老人医療費に対する不安、これらを取り除かねばなりません。この不安を最もかき立てているというか、この不安の最も大きな原因になり補正予算を有効需要に結びつけられない原因は、私は金融システムの信認低下、金融デフレにあると思います。
 例えば、御承知のように、消費性向は昨年は七二%から三%ございました。一年たって、今六八しかございません。実質可処分所得が落ちておるのに消費性向が落ちるということは外国ではあり得ないことでございます。生活水準を一定に保とうとすれば、当然消費性向は上がっていきます。これを、消費性向が下がって貯蓄がどんどんふえてもなおかつ生活が十分できる豊かな国日本と考えるのか、将来のために不安があるからやむを得ず貯蓄をしておられると考えるのか。いずれにしろ、三十兆円あるいは十三兆円と申しますか十兆円と申しますか、金融システム安定のための法案と予算措置をせっかくこの国会でやっていただいたわけですから、金融機関が公的責任をはっきりと自覚して、十兆円をできるだけ早く使って貸し渋りという現象を解消することによって企業家のマインドを引き上げる、それによって御家庭の主婦の方とか会社の経理部長の方々が、将来御主人の雇用は大丈夫か、うちの会社の資金繰りは大丈夫かという不安を払拭する、これが私は最大のことだと思っておりますので、決して補正予算は効果がなかったとは私は思いません。
 ただ、この三十兆円というものを使い切った上でないとなかなか効果が出てこないという、今の金融システムのバブル時代からの崩壊と申しますか、金融機関への信認欠如と申しますか、ここに大きな原因があると思っております。
 尾身企画庁長官は桜の花の咲くころということを申しましたが、先生御承知のとおり、大体経済指標というのは二カ月から三カ月おくれてまいりますので、七月ごろには尾身さんの見通しがそう間違ったことにはならないような数字が出てくるのではないかと私自身は考えております。
この発言だけを見る →
征矢紀臣#4
○征矢政府委員 九年度補正予算あるいは十年度本予算、今回予定しております十年度補正予算、そういう関係でどのぐらいの雇用効果が出るのか、こういう御指摘でございますが、九年度補正予算でどのくらいという、これは先生御指摘のように、私どももこれでの雇用効果というものは計算いたしておりませんのでお答え申し上げかねますが、十年度の本予算と今回の総合経済対策に基づく補正予算、これをあわせまして、政府としては、GDP一・九%成長が可能となる、こういう計算をいたしておりまして、そういうことを前提にいたしますと、十年度の本予算と今後の補正予算、これをあわせまして十年度の経済見通しの一・九%の成長、これは達成可能であると尾身経済企画庁長官が国会で御答弁申し上げておりますが、そういうことを前提といたしますと、経済見通しで約六十万人の雇用増を実現することは可能である、こういうふうに考えております。
 なお、今回の総合経済対策で、私ども緊急雇用開発プログラムという形で対策をまとめておりますが、これにつきましては、雇用の維持、失業予防対策、あるいは離職者等の再就職への支援対策、新規雇用創出対策、こういうものに取り組むことといたしておりまして、全体の規模として五百億円程度考えておりますが、これによる雇用開発効果といたしましては約四十万人程度、これは御承知のように、失業予防効果というのは雇用調整助成金等によりまして失業しないで済むように、こういうことでございますし、あるいは離職者対策等で職業能力の開発をする、これも計算に入れておりますので、直接の雇用創出効果ということには必ずしもならないわけでございますが、対策の対象として約四十万人程度増加するのではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →
玉置一弥#5
○玉置委員 経済対策というよりも、今回は金融不安とそれからやはり雇用不安、こういうようなものが一体となってどんどんとうわさのように肥大化していった、これが原因だと思われるので、お金を使ってもなかなか立ち直りは難しいと思うのです。むしろ、我々から見ると、金融ビッグバンで本当に日本の金融機関どこまでどうなるのだというのが予測もできない。うまくいきそうな気もするし、みんな生き残れない気もするしというところで、一般の皆さん方も同じだと思うのですよ。
 昔に比べて非常に経済的な情報も一般家庭で注目されていますし、そういう面では今まで以上に金融の破綻というものが影響が大きかったのではないか。本来は、企業がまずやられてそれから一般家庭に波及をするということでありますが、一般家庭の方が先にアウトになった。いわゆる消費マインドを消してしまった。
 片方では金融の貸し渋り、これは自分たちが名目上の体質改善をやろうということでの貸し渋りになったわけですね。自己資本比率を上げるのに一番簡単なのは貸し出しをしない。収益率を上げる、あるいは自己資本を増資するとかいうことではなくて、まず貸し渋りからやろうということでやったという一番悪い結果を生んだ。これが日本の経済を冷やしてしまったということだと思うのでございます。
 一番心配するのは、そういう金融機関がつぶれたときにいろいろな企業が関連で巻き込まれて破綻をしてしまう、そういう状態が多分出てくるだろう。そうなりますと非常に大きな雇用問題が発生をするわけで、これに対応していくためにやはり今から体制をとっておかなければいけないということで、最近雇用対策本部をつくられましたけ
れども、やはり早く情報を持っていただいて、場合によっては経済閣僚の一人として大いに伊吹大臣にそういう場で発言をしてもらいたい、こういう希望でございます。
 余りこればかり時間をとると労働基準法が進みませんので、労働基準法に話を移します。
 もともと中基審で出されました建議、これは、中基審のメンバーのいわゆる意見合意ができなかったということで、並列に皆さんの意見を書かれた部分がたくさんあります。こういうことで出されてまいりましたが、それでは結構まだ時間がかかるなというふうに思っておりましたら、今度労働基準法改正でき上がりましたとこういう話で、早速話が出てきたということでございます。
 私の見識というか、昔からこの労働基準法そのものは、労使関係でもめそうなところをみんな決めておこう、そして社会的に一定の方向に導いていくための一つの上限を押さえた指針である、こういうふうに思っております。この上限を押さえた指針、いわゆる上限は上限であります。だから下は幾らでもいいですよ、下限は下限で、例えば最近のように上を自由にということで上下左右を押さえればいい、こういう話でありましたというふうにとらえていたのでございますが、両論併記と言われて出てきた結果が、いわゆる使用者側意見というものが大量にこの中に生かされてきて、そしてほとんど組合側意見というものが生かされてこない。というのは、まだ継続して話し合わなければいけない部分がたくさんありながらこの法案が提出をされたということに一番問題があるのではないかというふうに私は思います。
 そこで、この提出に至った過程の中で、なぜ両論併記とかありながら継続した審議を労働省として審議会に依頼をしなかったのかということと、なぜ法案化を急いだのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#6
○伊藤(庄)政府委員 今回労働基準法の御提案をさせていただいておりますが、それに至るまでの審議会の経緯でございますが、審議会におきまして、労働基準法の改正に向けまして、まずは社会経済の構造変化、あるいは働く人たちの意識や働く方への期待、そういっだものが変わってきていることを受けて、この労働基準法、新しい時代に合わせるべく見直しをしていかなくてはいけないということにつきましては、公労使の方々一致した認識を持っていただいて、長期間にわたりまた多くの回数にわたって論議をお願いしてまいったわけでございます。
 その結果まとめられました建議におきましても、そういった共通認識はもちろん一致しておりまして、多くの項目につきましても公労使で一致を見たところでございます。
 ただ、こういった多くの回数の中で、確かに労働側委員から多くの意見が提出されました。それをめぐりまして長期間議論も行われまして、酌み取るべきものは建議の中で酌み取りながら、建議の中で公労使一致した形の中へ取り込んでまいったところでございます。ただ、残念ながら、労働側の意見の中で一〇〇%建議の中に公労使一致というふうに至らなかった部分につきまして、労働側委員から別途の意見が三点付された、こういうことが最終的なこの法案提出に当たっての答申の姿になっておるわけでございます。
 先生御案内のように、こういった労働条件をめぐる問題、労使で鋭く対立し、相当な主張のし合いというものがあるわけでございます。労働条件をめぐるそういった性格上、私ども、ぎりぎりまで粘り強い論議をお願いしながら、ある段階、最終の局面では、公益委員の方がいわば事実上の調停のような形で取りまとめて労使の方の納得を得ていく、こういう場面も生じてくることはやむを得ない面がございますので、そういった点につきましては、ひとつ御理解をいただきたいというふうに思っております。
 さらに、この付された労働側の意見につきましても、そういった意見が出されるに至った背景となっていますいろいろな労働側が懸念しています点につきましては、十分、法案作成の段階でも、そういった弊害が出ないようにというための工夫等も随所に入れながら法案を作成いたしたわけでございますし、さらにこの法案を成立させていただきましたならば、法案を施行するための細則を決定する段階で、やはり労働側委員の意見の契機となりましたいろいろ懸念すべき問題については、そういったことが生じないよういろいろ万全の配慮をしながらそういった細則も決定できるようにまた審議会の方にもお願いをしてまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
玉置一弥#7
○玉置委員 今回は、本来望まれて、望まれてというか、うまくいっている部分については、例えば時間外労働のように、規定を廃止をするというか法律で設定をするというふうに一応書かれておりますが、その上限が明記されていないとか、あるいはその他大臣の裁量によるような規定、あるいは監督署の裁量によるような規定とかいうものが非常にたくさんあるのですね。本来はこういうもめごとの条件というかをはっきりさせないと、かえってもめるようなことがたくさんあるわけでありまして、そういうところからいきますと、決めなければいけないところをかえってぼかしてしまって、逆に労使で話し合うべきところを明記してしまっている、こういう感じがするわけです。私がずっと見ておりまして、例えば大臣がこれにタッチをするなんて普通考えられないわけですから、どうせ、どうせと言ったら怒られますが、行政の方がやられると思うのですけれども、実際にそういうことが本当に可能かどうかということですね。というのは、例えば労働組合の組織率が今二十数%の下の方になっております。それ以外は労働組合なしですね。ということは、労使委員会をつくらないとまずできないというふうなことがあります。
 今、中小企業の数を調べてみましたら六百五十万事業所あるわけですね。事業所というか事業主体があります。労働者の数は五千四百万人という大変膨大な数がおられるわけでありますが、その人たちを例えば十人以上の企業グループとして考えていって、じゃ果たして今労働基準局なり監督署がそれぞれ現地に行って調査をされて、労使委員会ありますか、じゃどういう取り決めをされておりますか、そういう方たちとどう決めましたかという調査をやっていくということになるわけですね、この法律ができますと。果たして時間的にそういうことが可能かどうかということで、むしろそういう部分こそ明快にある程度決めておかなければいけないのじゃないかということです。
 できないようなことは逆に大臣と行政の側の裁量に任せるということが非常に多いのですが、この辺の基準をどこで線引きされたのかということをまずお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#8
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、労働基準法という性格上、労働条件のいわば最低基準に係る規定は、使用者に義務を課したり、あるいは労働者の方に権利を与えるという性格のものでございますので、できるだけ法律で具体的な基準を明記していくということが望ましいことはもちろんでございます。私ども、そういった考え方に沿って、この労働基準法というものの改正等を行う場合にも、そういったことを頭に置いて対処をいたしているところでございます。
 ただ、労働条件の基準の中には、その内容によりましては、法律で直接規定するには詳細にわたり過ぎるもの、あるいはいろいろ経済環境等労働を取り巻く環境の変化に機動的に対応してその基準というものを変更していく必要があるもの、あるいは画一的に定めることが、業態、業種によっては不都合を生むようなことが出てくるもの、そういったものに限りまして、法律上の委任に基づきまして、労働大臣の告示あるいは命令といったものに具体的な規定の内容を委任しているわけでございます。
 例えば、御指摘ございましたように、今回の改正法案では、時間外労働につきまして、その上限基準を新たに法律に基づきまして労働大臣が定め、労使の方にそれを遵守していただく、こうい
う規定をつくったわけでございますが、その時間外労働の上限基準も、法律に基づいて労働大臣が告示で明快な形をつくりまして公表してまいるわけでございます。したがいまして、それに基づく指導も、その上限基準というものに適合するような指導を行うわけでございまして、実際上裁量的余地は全くない、こういう形になるわけでございます。
 また、労使委員会というようなものに代表されます、いわば労使の間で話し合うように、こういう部分が多いのではないか、こういう御指摘でございますが、この労使委員会は、裁量労働制の新たなルールとして、厳正な裁量労働制の実施を確保していくために設けた制度でございますが、この裁量労働制の性格上、私ども、例えば中小零細企業におきましては、社長がおり、あるいは部長、課長がいて、その下の方に本当に仕事を全面的に任されているような環境はまずないのではなかろうかというふうなことから、実際上この裁量労働制を、私どももちろん決議の届け出を受けてチェックいたしますが、使い得る企業というのは相当限られているのではなかろうか。したがいまして、私ども、窓口においてその内容、また実際の人事管理、労務管理の実情に合った形で届け出られているかどうか、チェックが十分監督官によって可能ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
 ただ、御理解いただきたいのは、今回、例えば三六協定等、労使で協定を結ぶという従来から労働基準法にある条項につきましても、審議会の意見に従いまして、労働基準法の施行規則で、そういった代表者の選定につきましては、選挙とかそういった民主的な手続によるべきこと、また、よく言われますような、例えば総務課長とかそういったいわば会社側に立つ人が従業員の代表になっているというふうなことを排除するルール等をあわせて整備することも予定しておりまして、そういったことを通じまして、中小企業等におきましてこの労使間の話し合いにゆだねられている部分が変な運用がされないように、私ども、十分留意していく考えでございます。
この発言だけを見る →
玉置一弥#9
○玉置委員 労働組合のある大きな企業は、労使が結構正常な話し合いを絶えずやっているという状況でありまして、労使にゆだねていく部分でかなり補えると思うのですが、中小零細企業、そういう中で、例えばとんでもないおやじさんが社長をやっていて、それで従業員がともかく冠婚葬祭からすべてを自分たちが同じように仕事以外でもやっているというのはよく見るのですよね。
 そういうところに労使委員会をつくれといってつくったら、本当にだれがっくるかといったら社長がつくるのですね、多分。社長がつくって、あなたが労働側の代表だ、みんなそれでいいかというので異議なしになるのですね。大体、普通そうなんですけれども。そういう状態の中で決めた人で話し合いをしても、結局、社長の一存でほとんどが決まるというのが、これは大部分だと思うのですよね。
 労働組合側のいろいろな不安感もそういう中にあると思うのです。いわゆる労使委員会というのが本当に正常に作用するのかということでございまして、それにゆだねるというのは非常に難しいのではないか。むしろ、法律で規定をして正々堂々と、中基審なりほかの委員会等で審議をするとか、あるいは国会の中でもっと論議をして基準を決めていくとかいう形をやらないと、余りにも今回、重要な部分での規定というものが漏れているというふうに思います。
 例えば、自由裁量に任せられた一つの例としまして、男女雇用均等法、この前女子保護規定のいわゆる撤廃がありましたけれども、その中の規定を外されたときに、各企業に自由裁量でそれぞれ、例えば介護休業法とかいろいろありまして、それぞれ基準をつくりなさいということになっているのですが、それがなかなか出てこないというのは、どこかがつくったらそれを参考にしようとか、それから、どうも本当にどの程度の基準でいいかがよくわからぬとかいうのが一つあるわけですね。
 それで、役所の方にお話をして、いろいろなところで聞いてみたら、それが一番困っているところだからやはりサンプルをつくらないとだめじゃないですかというお話を申し上げたのですが、結局、そういうふうに横並びになるとか、やはり役所の方を見るわけですね。あるいは、一番強い、ずっと走る人を見るという形になって、どうも自分たちが思っている、あるいは話し合いをして決めるというふうな雰囲気にはなってこないというようなことがあります。
 そういうことがありますので、これらのことを考えてみますと、やはり今回の法律改正に出ておりますような大臣の裁量とかいうことで物を決めていくのは非常に難しいのではないか、こういうふうに思います。その辺を本当に、ではこれだけの件数を労働省としてこなしていけるのかどうか、もう一回お答えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#10
○伊藤(庄)政府委員 今、二点御指摘あったかと思いますが、一つは、労使委員会等がいろいろな多くの企業がある中で正しく機能するかどうか、チェックが可能か、こういう御指摘かと思います。
 労使委員会につきましては、裁量労働制に関連して、その設置を必要要件として義務づけたものでございますが、この労使委員会の代表の選出につきましては、選挙あるいは挙手等によって民主的に選ばれた従業員の過半数を代表する者が労使委員会のメンバーを指名し、指名された者についてさらに従業員全体の過半数の信任を得るための選挙等の手続を経なければならない、こういう厳格な手続を課すことを予定いたしております。そういうことで、使用者側の一存で設置されるというふうな形については、万全の対応策を講じていくつもりでございます。
 さらに、この労使委員会の決定事項につきましては、法律上、本社等の中で、本当に全く裁量、仕事の段取り、進め方、時間配分等を任されている人に限るということを明記しております。
 各労働基準監督署におきましても、そういった地元の企業で、中小企業等からこういった裁量労働制を使いたいということの届け出がありましても、実際上、そういった労務管理の中で任されている人があるかないか、またその人の範囲が適切かどうか、地元の監督署においてはかなり明確に押さえ切れるものでございますので、そういった使い方があった場合には、これは厳正に指導し、もしそのまま使ったとしても、これは裁量労働制にはならない、労働基準法のもとの原則に戻るという取り扱いを徹底させてまいりますので、ひとつそこは御理解をいただきたいと思っております。
 それから、女子の保護規定の解消に伴いまして介護休業法等に基づく施策、恐らく先生御指摘の点は、例えば勤務時間の短縮等の措置を介護あるいは育児休業法で義務づけたり、あるいは努力義務を課しておりますが、これがいろいろな事業場の間で十分にそのための制度化等をこなし切れるのか、こういう問題かと存じます。
 この点につきましては、全国の各女性少年室が懸命に少子化対策等を念頭に置いて取り組んでおるところでございますが、ただ、今回の労働基準法の改正に当たりましては、そういった点も考慮いたしまして、労働基準法ベースの時間外労働の上限については、これは労働基準法に基づいて、具体的な数字ももって労働大臣が告示で基準を決める。したがって、それを超えることは許されない。
 したがいまして、窓口の方では、労働基準監督署が指導するということも法律にうたいまして、もし守らない場合には法律に基づく指導を再三行いまして、その基準内におさめていく、こういうことを徹底させる考えでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
この発言だけを見る →
玉置一弥#11
○玉置委員 今、中央省庁再編問題でいろいろと行革を目標に取り組みをやっておられまして、出先がどこまで残るのかわかりませんし、また厚生省との関係で整理をされていくということでございまして、今からそんな人手のかかる仕事を地方
に残していくこと自体が私は行政として間違いではないかと。できるだけ円満に解決するためには、やはり法律で規定をして、その規定に沿ってある程度できるようにするということと、企業内での話し合い、要するに使用者と労働者の話し合いにつきましては、ある程度本当に裁量に任せるなら向こうの裁量に任せるということで、もっと簡単に規定をすべきではないかというふうに思うのですね。
 そこで、規定のやり方が、まず、罰則はありとかなしとかいろいろな決め方はありますが、中間の答申のときも、罰則を伴う義務規定だけではなく、罰則なしの義務規定、努力義務規定、指導要綱といった方法ももっと考えるべきであるということもありますし、例えば、中小企業と大企業でやはり労働者に対する処遇も大分違いますし、賃金格差もありますし、それから労働時間が違うのですね。
 まず労働時間で、私がいろいろ企業に勤めた関係で考えてみますと、大企業と中小企業の給料が同じになった場合に、中小企業がすべて競争で負けるという可能性が非常に強いということです。
 というのは、要するに時間単位当たりの賃金、時間賃金と作業時間、これがいわゆる出来高のコストですけれども、そのコストを安くするためにどうしたらいいかというふうにいろいろ考えておられるのがそれぞれの企業なんですが、例えば労働時間を規定してしまうということでやります。それでやりますと、例えば企業間格差、設備投資できるところは機械で処理しますからある程度進むのですけれども、そうでないところは手作業で入るということになってくる。あるいは自動機が買えないで半自動みたいなものを使うということになりますと、人がたくさん要る。
 あるいは、もっと手間のかかることを、人手でやらなければいけないことを逆に中小企業が補っていくということで考えていくと、一律規制というのは非常に難しいと思うのですね、企業が生き残ろうとすれば。一律にやるということであれば、もっと企業間の格差をやはり認めて、それに対しての労働時間格差をつけるということも必要だと思います。
 それからもう一つは、例えば業種によって、この業種はもうやむを得ない、後で変形の時間制もありますけれども、そういうときに、グレーゾーンというのをやはり設けておいて、ここを超えたらだめですよ、それから普通はここですよという間、グレーゾーン、そういう規定の仕方もあるのではないか。いわゆる要注意信号ですね、そのときは届け出をする。今でもありますけれども、そういうふうなことをやる必要があるのではないかというふうに思うわけでありまして、まずその規定のやり方についてももうちょっと配慮をする必要があるかというふうに私は思います。
 時間がございませんので、一応指摘だけをします。
 それから、労働組合の連合の方から、今回の労働基準法の改正についていろいろと連合なりの考え方を示されたものが出ておりますが、この中でのやはり一番の問題点は、時間外労働の上限を定めていないということ。それから、裁量労働についてまだ話し合いの途中であるということで、これは逆に、みなし労働を取り入れられて労働賃金カットにつながる可能性があるという心配があります。それから、変形労働時間制につきましても、一年単位というのは長過ぎるのじゃないかということで、むしろこれについてもっといろいろな話し合いをする必要がある。要するに、一週間当たりの時間とかそういうものが十分な話し合いがされないままに決められてきた。それから、労働契約の三年についてというような問題もいろいろ指摘をされております。
 ということでありますが、まだこれから延々と審議をしていくようでございますから、私はその一部についてとりあえず質問をしてまいりたいというふうに思います。
 その中で、いわゆる時間外労働ということでございますが、この時間外労働というものは、これは労働大臣が定め、罰則なしということでございますが、まず大企業と中小企業の年間の総労働時間、この比較を、もし数字がわかればお伺いをしたいというふうに思います。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#12
○伊藤(庄)政府委員 年間の総実労働時間で規模別にお答え申し上げますと、五百人以上で年間の総実労働時間、平成九年が千九百八時間となっております。これが五百人未満百人以上になりますと千八百八十九時間、それから三十人から百人未満のところで千八百九十四時間、それから五人以上三十人未満のところが千人百七十七時間となっております。
 ちなみに、所定労働時間といわゆる残業の所定外の問題でございますが、五百人以上の場合は、所定労働時間が千七百二十八時間、所定外が百八十時間となっておりまして、これは五人から三十人未満のところのいわば中小企業で見ますと、所定が千七百八十七時間、所定外の残業が九十時間となっておりまして、中小企業ほど全体としての労働時間は短い。ただ、その中で、所定労働時間はむしろ大企業に比べて中小企業の方が長く、残業が短い、こういった傾向にあるかと思われます。
この発言だけを見る →
玉置一弥#13
○玉置委員 我々が予測したのと全然違うのですよ。間違いないですかね。だって、実態を見ていますと、朝から晩まで、土曜日と働いて、大企業が出る一日前には出ているというような状況が非常に多いのですね。だから、ちょっと統計が間違っているのじゃないかというような気がしますが、間違いないですか。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#14
○伊藤(庄)政府委員 大企業と中小企業の間で、全体としての労働時間が大企業ほどいわば労働時間短縮の課題が多く、しかも残業という点では大企業ほど長いというのは過去ずっと継続して見られる傾向でございまして、こういった傾向は間違いございません。
この発言だけを見る →
玉置一弥#15
○玉置委員 平均賃金は大企業と中小企業ではどういうふうに伺っていますか。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#16
○伊藤(庄)政府委員 毎月決まって支給される定期給与で見ますと、五百人以上の規模の事業所を一〇〇とした場合の数字を規模別に申し上げますと、五百人未満百人以上の事業所で、大企業の一〇〇に対しまして八四・八、それから三十人以上百人未満のところで七六・七、それから五人以上三十人未満のところで六七・一となっておりまして、賃金面ではただいま申し上げたような格差のある傾向が見られます。
この発言だけを見る →
玉置一弥#17
○玉置委員 両方を掛けると大体常識的な数字になるので、まあそうかなという気はしますが、私どもは実態は本当はもっと長いのじゃないかというような気がするのですね。というのは、結構遅くまでやっている方もおられますし、そういう時間把握が下に行くほどに不明確なのかなというような感じもするので、まさに労使委員会が正常に機能するかどうかという心配がまた出てくるわけですけれども、この辺をもう一回念のためにちょっと調査していただければというふうに思います。
 大企業は設備投資がやはりもともと金額が大きいですから、稼働率を高めていくために、要するに機械主体で時間を設定して、それに人をあてがっていくということになっているわけですから、おのずから投資した分だけ人が減る、時間も減るということになるわけですけれども、中小企業の場合は人を中心にいろいろ物を考えるわけですから、その辺でいきますと、時間は将来ともそう減っていかないだろうというふうに思うのですね。
 そういうことを考えていきますと、私どもずっといろいろな町工場の方をたくさん知っていますが、そういう雇用形態から見ても、労働時間を見ても実質的にはもっと悪いような気がするので、その辺の差がちょっと不思議なんですが、それは一応またお調べをいただくということでお願いを申し上げたいというふうに思います。
 そこで、今回この上限規定を大臣が定めるというふうになった理由ですが、前回は法的に規定をされていましたね、時間外労働の上限規定。これについて、前回は三百六十時間、女性は百五十時間というふうに規定されておりましたが、なぜこれが大臣が定めるとなったのか、またこれからどういう形でこの基準を決めていくのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#18
○伊藤(庄)政府委員 今回、労働基準法に基づきまして新たに労働大臣が定めて労使の方に遵守していただくということにいたしました時間外労働の上限基準でございますが、これは、今までは法律に基づかない指導の目安として私ども用いていたものを、労働基準法に基づく基準として設定し、労働基準法上、労使の方に遵守義務を持っていただく、こういう形にいたしたところでございます。これは、来年の四月一日から開始をされますが、女性の方の保護規定の労働基準法上のものとはちょっと性格を異にしていたものでございます。
 今回新たに設定いたします時間外の上限基準につきましては労働大臣が定める、こういうふうになっておりまして、これはもちろん、労働大臣が定めるに当たりましては、今まで指導の目安として用いてまいりました三百六十というものは十分尊重されながら定められることに当然なるわけでございますが、個々に具体的な数字でなくて、労働大臣が定めることとした理由について申し上げれば、この三百六十というのは年間単位の数字を一応議論のために簡略化して使っている形になっておりまして、実際上は、一週単位の場合にはどうするか、あるいは四週単位の場合にはどうするか、あるいは一カ月、三カ月単位の場合にはどうするかということについても基準を定めていくことにいたしておるわけでございます。
 さらには、例えばトラック等の自動車運転手の方のように、こういった形での規制よりも、総運転時間、あるいはその間の休息時間等を規制する方が実情になじむようなケースの場合もございます。
 そういったいろいろ対応していかなければならない基準の内容を考えますと、どうしても法律上規定することは技術的に困難でございまして、労働大臣が告示をもって明確にかつ実情に合った詳細を規定する、こういう形にいたしたわけでございます。
この発言だけを見る →
伊吹文明#19
○伊吹国務大臣 玉置先生よく御存じの上で御議論をなすっていると思いますが、私は、少し議論を整理した方がいいと思うのです。
 というのは、先ほど、連合の要望をおっしゃって、上限が法律に書いていないということをおっしゃいました。しかし、先生の御議論の中では、私も先生の御議論に非常に近いのですが、また私自身も中小企業の経営者のうちに生まれておりますのでそういう感じを持っていると思いますが、やはり企業の形態によって勤務時間、給与等まちまちだろうと思います。
 先ほどの御指摘も、結局、週四十時間、今やっと約八〇%達成されました。しかし、なお達成できないところが中小零細企業にやはりあるのだと私は思います。そこが四十二時間、四十四時間という労働をとっていれば、それだけでもう二時間、四時間の超勤が出てしまうという現象はございます。
 そして、一律に決めてやっていくということが果たして、長い目で見て、中小企業に働く、額に汗する労働者一人一人の雇用を維持して、しかも上限を決めてしまうということが、実質的な可処分所得を保障してあげることができるだろうかということを考えると、我々はやはり、労働基準法にしろ憲法にしろ、労働者という書き方ですべて御承知のように始まっております、国民はという、一人一人の個人でございます、したがって、労働省がお預かりしているのは、その労働者一人一人をお預かりしているわけでございますから、この方々の長期的な雇用と実質的な可処分所得を落とさないような形で、経済成長をできるだけ労働者の方へ回していくという仕事をしなければならない。
 そうすると、例えば今三百六十時間というお話がございましたが、これは一律に労働省が指導をしておっただけのもので、法律的な根拠も何も率直に言ってございません。今回やっと指導の根拠を法律上に定めるということをしたわけでありまして、景気が回復して一先ほど来御指摘になっているような中小との格差が是正されていけば一番望ましいわけでございますけれども、まず、やはり中間段階としてある程度の実態に合ったことを労働大臣がやりませんと、一律的な、連合が、今先生が例示されたようなやり方をやるということは、本当に五千五百万人労働者のためになるかどうかということを常に実は私は心の中で煩悶をしながらこの問題に取り組んでいるわけでございます。
 先生から中小企業の実態等をるるお挙げいただいたということは、私は、私の考えと非常に近いという思いを持ちながらただいまの御議論を聞いていたということでございます。
この発言だけを見る →
玉置一弥#20
○玉置委員 大臣から非常にうれしい言葉を聞きました。
 もともと労働契約そのものは双務契約で、お互いが履行することを義務化されるわけですね。ということなんですが、今お話しのように、労働基準法そのものは使用者と労働者とのいわゆる協定、これを実行させるということで、それがうまくいかない場合には労働者側の保護に立つということが一応精神的な一つの流れになっておりますね。そういう意味で、今大臣がおっしゃったことはまさにそのとおりだというふうに思います。
 それから、大臣の家業の方も、非常に昔からしつけが厳しくて規律正しいということでは有名なところでございますから、そういう意味では労使の関係もうまくいっていると私は前から見ていたのですが、ただ、中小企業の例をとってみて、やはり親方の意向というのが子方といいますか従業員の皆さん方に厳しく伝わっておりまして、労働協約の中でも、労使委員会なんかでもいろいろな細部を決めていくときに、昔とは大分変わっていますが、そういう面でやはり使用者側の意見というものはかなり大きく影響するという心配もその中には一つあるわけで、そういうことで今のような全体の話を申し上げてきたわけでございます。
 まだまだ時間はいただきたいのですが、あと五分しかございませんので、一応今までのところのまとめとして、例えば時間外労働の場合に、来年四月から男女雇用平等、要するにそういう法律が施行されるということもありますし、今回の労働基準法がもし通過すればこの上限規定がなくなる、なくなるというか女子と男子が一括されて三百六十というか基準がつくられるわけですけれども、それになる。
 ということで、今一番全体として心配されているのは、女性の残業が急にふえまして一これについていけない人がいわゆる雇用解雇というような形になるのではないか、そういう心配が世の中にあるということでございます。こういう問題をもう既にお聞きだと思いますが、どういうふうに対処されるかということ、もし話があればお答えをいただきたい。
この発言だけを見る →
伊吹文明#21
○伊吹国務大臣 実は、労働委員会の経験は私よりはるかに玉置先生の方がお長いのですが、前回、男女の雇用均等法を当委員会で御審議、成立をされたときに、本来であれば女性の方々について、これは男女雇用均等でございますから、同じ性による母性保護ということは別にすれば、性による差別で昇進、昇級等に差が生じてはならないという権利を今までの日本の社会の流れを少し変えて女性の方にも認めるという法律ですから、私はこれはこれで一つ筋の通った法律だと思います。しかし、同じ権利を主張する場合は同じ義務を果たすということが社会の根底にあるわけですね。ただ、女性という、特別な母性保護という見地からの特例措置はやはり設けておかなければいけないと私は思うのですね。なぜ雇用均等法を通されたときにそれを措置をされなかったのかと一私は労働大臣になって率直にそう思いました。
 したがって、労働基準法が通らないまま男女雇用均等法が来年の四月一日から施行されると、今先生がおっしゃったような極めて女性にとって実態的には不利な形になるのではないか。そういうことにならないためにもこの労働基準法をできる
だけ早く御審議、御可決をいただいて、その中でさらに、労働大臣が定める上限以外に、当委員会の御審議の中で女性についての特例措置が設けられるかどうか、そういう建設的な御議論がここで重ねられることによってこの問題はやはり解決していただく、そういう方向ではないかと私は思っております。
この発言だけを見る →
玉置一弥#22
○玉置委員 今おっしゃったように、育児とか介護とかは女性でなければならないところもありますし、介護については両方いけるわけですから、そういう面でやはり本来のいわゆる正当なる理由ということであれば、そういうことをちゃんと明記されておくということが大事ではないかというふうに思いますが。
この発言だけを見る →
伊藤庄平#23
○伊藤(庄)政府委員 今回提案しております労働基準法の改正の中で、先生御指摘の内容を盛り込んでいる点につきまして御説明をさせていただきます。
 今回の労働基準法の中では、先ほど来御議論ございましたように、新たに時間外労働の上限基準を労働大臣が定め、これを遵守していただく仕組みをつくるわけでございますが、とりわけ育児、介護などの家庭責任を有する女性労働者の方につきましては、経過措置といたしまして、一定期間この時間外労働基準を今までの生活設計に急激な変化が出ないように低いものに定める、こういう趣旨の規定を入れてございます。それに基づきまして、育児や介護等の家庭責任を持つ女性労働者の方が十分な時間的余裕を持って新しい能力を発揮するための働き方へ対応できるように措置いたしたいと思っております。
 さらに、今回の改正法案では、それに加えまして、ただいまの措置がいわゆる激変緩和措置と申し上げさしていただければ、この激変緩和措置の期間が終了するまでの間に、私ども政府の方におきまして、育児、介護等の家庭責任を有する男女の労働者につきましてさらに有効な時間外労働の抑制策につきまして検討して措置するということもこの改正法案の附則の中にうたわれておりまして、私どもそれを受けまして、法案を成立さしていただければ真剣な検討を開始いたしたいと思っておるところでございます。
この発言だけを見る →
玉置一弥#24
○玉置委員 時間が参りましたので終わりますが、一番最初に申し上げましたように、今回の労働基準法改正問題は、やはり中基審で何回も何回も論議されてきたわけでありますが、最終的には何かばたばたと進んだような、最後ですね、十一月末に決めなきゃいけないのがずれ込んで十二月になったということで、それも両論併記というような形になりました、そのままでともかく今国会に提出しなければいけないということでありましたということで出されたわけであります。
 終わりの日程から考えますと、これが今国会通るのは非常に難しいぐらいの厳しい日程でございますが、そういうことも踏まえて、そう焦らずにじっくり話し合いをしながらやられてはどうか。やはりいろいろな面での問題点を確かに指摘をされています。そういう面では非常に大きな大転換のチャンスでもあるわけですが、それだけに、国会審議をおざなりにして慌てて通してということのないように、十分これからまだ審議をするということを大臣に申し伝えまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
鍵田節哉#25
○鍵田委員長代理 次に、中桐伸五君。
この発言だけを見る →
中桐伸五#26
○中桐委員 民主党の中桐でございます。最初の第一回の審議に続きまして、継続して質疑を行いたいというふうに思います。
 第一回目の労働委員会におきまして私が申し上げたポイントをもう一度確認をして、質疑に入りたいというふうに思います。
 まず私が申し上げたことは、労基法五十周年、五十年を経過して行われる非常に幅広い分野の改革であるという認識をしておるわけですが、その際、国際的なG7の流れ、そういった中で行政改革というのが国際的に相当強力に行われてきている。その行政改革という観点から労働行政というものを見る。そして、その労働行政の基本になっている労働基本法という労働基準法の性格、そういったものを改めてこの際抜本的に見直す必要があるんではないかという観点から、一つは、いわゆる透明度の高い行政にする必要がある一そのために、基準法の中にできるだけわかりやすく、労働者や使用者が基本法を見れば基本的な規制のスタンダードがわかるという努力をするべきだ。そのためには、時間外労働にしろ深夜労働にしろ、その規制は基本的に数値を法の中に明記したわかりやすいものにしなければならないんではないかということが一点あったと思います。
 それからもう一つは、基準を決めたときに、その基準をいわゆるルールとしてどう社会が守っていけるのか。つまり労使がそのルールをどういうふうに守っていくのか。それは、企業内でのルールを守る方法と、それから地域、社会、企業外でそれをどうするのか。そして、そこに内閣のもとにある労働行政がどういう役割を果たすのか。そういう問題を議論をしたと思うわけであります。
 その中で、裁量労働はかなり議論を前回したんですが、残りの時間があれば裁量労働をもう一度議論したいと思うんですが、その前に、時間外労働と深夜労働の規制のあり方についてこれから質疑をしたいというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、今、例えばアメリカの一九九三年にできたGPRA法とか、クリントン、ゴアが制定をした、いわゆる行政改革の非常に参考になる法律、そういうものを見ましても、前回もちょっと議論しましたが、これまでの行政マンが仕事をした後の行政サービスの評価ということについて言えば、労働基準について、例えば時間外とかそういったものについての実態がどうなっているかという評価の仕方として、監督官が一年間に事業所をどれだけ回ったか、そして、そこにどれだけの違反があったかということが報告をされる。つまり、これがこれまでのベーシックな労働行政あるいは日本の行政の全般的な評価の仕方ではなかったかと思うんですね。
 それに対して、例えばアメリカのGPRA法では、沿岸警備隊の例が紹介をある本でされておりますが、同じようにアメリカでも従来型の評価というのは、沿岸警備隊が査察を何回行って、そして査察結果はどうであったという報告であったわけであります。しかし、GPRA法によって大幅な行政評価システムの変革を行って、例えば、海難事故による死傷者の数を一二%削減しますとかというふうな形で、つまり、沿岸警備隊にアメリカの国民が期待している、沿岸警備隊が何をどうやってくれるんだ、国民のためにどういうサービスをしようとしているのかというふうに変えたということですね。労働基準行政もそういうふうに変えるべきだ。
 そのためには、例えば時間外労働の問題から入りたいと思いますが、労働時間が年間千八百時間という達成目標、これは、前川レポートで二〇〇〇年という形で当初設定をされていたと思います。今その二〇〇〇年が直前に迫っておりますが、さて、その千八百労働時間一つとっても、その千八百労働時間に近づけるために何年までに何時間にします、その次の何年間でこうします、そういうことが必要なんではないか。つまり、そのために労働基準法はどういうふうな形で改正をするんだ、そういう考え方が必要だと思うんですね。
 この前の質疑の中でも取り上げましたけれども、アングロサクソン系はほかのG7のイタリアやカナダやドイツやフランスに比べて労働法制の体系が違います。労働時間を大幅に短縮をしているヨーロッパの国は、労働基本法の中に、労働時間の規制の数値、つまり時間外労働の規制の数値が入っておるわけなのです。アングロサクソン、つまりアメリカ、イギリスは入っていない。この前労働大臣は、いやそれはいろいろ相手があることだからそう簡単に数字をいきなり書けないのですよと言っているけれども、しかしここは、基本的な賃金と労働時間の問題も含めての話ですが、先ほどの質問者に対して、そんなことを言ったって労働時間だけ規制したら賃金が大変なことになるじゃないですかという、そこはもちろん念頭に
置かなければいけません、賃金と労働時間というのは総合的に考えなければいけない。
 しかし、問題はポリシーの方向性なのです。ポリシーの方向性だと思う。そこで、アメリカ・イギリス型を日本の労働行政はやっていくのですねということになるのじゃないですか。ここに数字を書く、つまり労働基本法に数字を書いている国は時短を達成しているじゃないですか。アメリカとかイギリスは、二千時間とか千九百時間台という形になっておる、歴然と。つまり、ここは基本的な労働行政のスタンスが違うのじゃないか、その点についてどうですか。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
この発言だけを見る →
伊吹文明#27
○伊吹国務大臣 先生とは何度もこの問題は議論をいたしておりますが、日本人は、とかくアメリカ型であるとかヨーロッパ型であるとかということを申しますし、また、今グローバルスタンダードなどというどうもわけのわからない言葉の中で、日本のよき伝統が私は壊されていることを若干憂います。
 率直に申し上げれば、今先生のおっしゃったアングロサクソン系と、ゲルマン、ローマン系の労働法制の御指摘は、法論理としてはそのとおりだと思います。私どもが今御提案しているのは、アメリカ型でもなくヨーロッパ型でもない、やはり労働大臣がその基準を決めながら実態に合わせて雇用と給与のバランスをとりながら労働者を守っていくという日本型を提案している、こういうことでございます。
この発言だけを見る →
中桐伸五#28
○中桐委員 いや、私は、日本型でいくということを別に否定をしているわけではありません。
 つまり問題は、行政改革というものをやろうとするときに、そのことが透明度が高くないといけないということはわかりますね、それは理解していただけますね。しかも評価ができるようにしようではないか。それで、行政サービスというのはなかなか評価できないのだ。それは会社で物をつくっている製造工程で、QC活動だとかTQC活動だとか、そういう形でやっているものについては評価しやすい。
 しかし、いわゆる行政が行っているようなサービスは非常に評価しにくいと言われていたのだけれども、アメリカやイギリスの行政改革や、あるいはニュージーランドやいろいろなところがやってきている経験を総合してみると、やはり基本的に数値やそういったものにできる範囲で努力をして、そういう数値目標を決めて、やれるところはどんどんやりましょう。もちろんそれは全部数字にできないところもあるわけです。しかし、労働時間というのは数字にできるわけじゃないですか。それをなぜやらないのですか。
この発言だけを見る →
伊吹文明#29
○伊吹国務大臣 労働時間も数字にできますし、それから失業率も数字にできますし、実質賃金も数字にできます。国の行政をお預かりしているということは、労働時間だけを短縮するならそれはそれでやり方はございます。
 しかし、それではやはり行政にはなりません。賃金と雇用と労働時間と、これをバランスしながら額に汗して働く方一人一人の、またその御家族の生活を守っていく、これが労働省の役割でございますから、労働時間だけの議論というのは、先ほど先生は、それは賃金は念頭に置かねばならないと、もうよくわかっておっしゃっているわけでございますから、そのことだけを行政の目的として掲げれば透明性が保てるというものでは私はないと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る