財政・金融委員会

1998-04-07 参議院 全202発言

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会議録情報#0
平成十年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     竹村 泰子君     峰崎 直樹君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川  弘君
    理 事
                岡  利定君
                河本 英典君
                楢崎 泰昌君
                久保  亘君
                益田 洋介君
    委 員
               大河原太一郎君
                金田 勝年君
                野村 五男君
                林  芳正君
                松浦 孝治君
                伊藤 基隆君
                今泉  昭君
                牛嶋  正君
                志苫  裕君
                三重野栄子君
                笠井  亮君
                星野 朋市君
                菅川 健二君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  松永  光君
   政府委員
       内閣審議官    畠中誠二郎君
       大蔵政務次官   塩崎 恭久君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵大臣官房審
       議官       大武健一郎君
       大蔵省主計局次
       長        細川 興一君
       大蔵省関税局長  斎藤 徹郎君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
       国税庁課税部長  乾  文男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       内閣官房内閣内
       政審議室内閣審
       議官       大藤 俊行君
       経済企画庁調整
       局調整課長    谷内  満君
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  奥田 宗久君
       経済企画庁調査
       局内国調査第一
       課長       古川  彰君
       経済企画庁経済
       研究所総括主任
       研究官      加藤 裕己君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  太田 俊明君
       自治省財政局財
       政課長      田村 政志君
       自治省税務局府
       県税課長     片山 善博君
   参考人
       国民金融公庫総
       裁        尾崎  護君
       日本開発銀行総
       裁        小粥 正巳君
       日本輸出入銀行
       総裁       保田  博君
       日本銀行総裁   速水  優君
       日本銀行副総裁  藤原 作弥君
       日本銀行理事   本間 忠世君
       株式会社共同僚
       権買取機構取締
       役社長      飛松 集一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成十年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(金融監督庁)、大蔵省所管、郵
 政省所管(郵便貯金特別会計、簡易生命保険特
 別会計)、国民金融公庫、日本開発銀行、日本
 輸出入銀行)
    ―――――――――――――
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石川弘#1
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君が選任されました。
    ―――――――――――――
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石川弘#2
○委員長(石川弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に参考人として国民金融公庫総裁尾崎護君、日本開発銀行総裁小粥正巳君、日本輸出入銀行総裁保田博君、日本銀行総裁速水優君、日本銀行副総裁藤原作弥君、日本銀行理事本間忠世君及び株式会社共同債権買取機構取締役社長飛松集一君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石川弘#3
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
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石川弘#4
○委員長(石川弘君) 去る四月三日、予算委員会から、四月七日から八日正午までの間、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち金融監督庁、大蔵省所管、郵政省所管のうち郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計、国民金融公庫、日本開発銀行並びに日本輸出入銀行について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 それでは、委嘱されました予算について松永大蔵大臣から説明を聴取いたします。松永大蔵大臣。
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松永光#5
○国務大臣(松永光君) 平成十年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は、七十七兆六千六百九十一億七千九百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十八兆五千二百二十億円、雑収入は三兆二千六百九十五億八千三百万円、公債金は十五兆五千五百七十億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は十九兆一千三百四十七億四千五百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一千五百九十五億三千三百万円、国債費は十七兆二千六百二十八億一千六百万円、政府出資は三千三百四十四億二千万円、予備費は三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも三百億三千二百万円となっております。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
 国民金融公庫におきましては、収入三千七百九十二億八百万円、支出三千八百五十七億四千八百万円、差し引き六十五億四千百万円の支出超過となっております。
 このほか、日本開発銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
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石川弘#6
○委員長(石川弘君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 なお、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石川弘#7
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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岡利定#8
○岡利定君 自由民主党の岡利定でございます。
 速水総裁、藤原副総裁にはお忙しいところ大変御苦労さまでございます。
 去る四月一日から新しい日本銀行法が施行されて、速水新総裁のもとで新副総裁、そして政策委員にも新しいメシバーが加わってスタートされました。新日本銀行法の制定の契機としていろいろと言われておりますが、一つはバブルの反省であります。言うまでもなく、過剰流動性の発生やバブル期におけるマクロ経済政策の誤りを繰り返さないため、中央銀行としての独立性と政策責任をより明確にしようとしたこと、それからもう一つは世界経済のグローバル化、競争化が急速に進展する中で、我が国の金融政策に関しても一層市場原理を重視し、市場としての空洞化を防ぐ魅力ある国に育成することなどが挙げられておりました。
 そこで、日本銀行OBであり、経済同友会代表幹事を歴任されました速水総裁から新しい日本銀行の運営方針について御所見をお伺いしたいと思っております。
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速水優#9
○参考人(速水優君) 速水でございます。
 まず初めに、私ども日本銀行が長年宿願といたしておりました日銀法の全面改正を四月一日から施行することができ、新しい体制でスタートできましたこと、特にこの委員会でも随分御貢献いただきましたことをこの機会に厚く御礼申し上げます。
 新法の柱であります独立性と透明性というこの二つの柱を尊重しながら、通貨、金融の調節を行っていくということが私たちの使命であると思います。そのことによって物価の安定、経済の健全な発展、信用秩序の維持というようなことを実現させていくよう全力を挙げてまいりたいと思っております。もとより、政府の経済政策の基本方針と整合的でありますように、常に政府と連絡を密にしながら十分な意思疎通を図ってまいろうと思います。このことは当然のことであると思います。
 ただ、金融のことにつきましてただいま同委員からも御指摘がございましたが、これからの変革の大きな方向としては、日本は伝統的に間接金融が主体であった、それでここまで成長してきたわけでございますけれども、これからの世界の市場の流れあるいは金融の流れの中でもう少し直接金融の道を開き直接金融のウエートを高くしていく、時あたかもビッグバン、フリー、フェア、グローバル、金融というのは最も早くグローバル化したマーケットでございますし、入っていく方、出ていく方、自由にしていくことが四月一日から始まったわけでございます。そういう流れの中で、株式発行あるいは国債の市場化あるいは社債発行、コマーシャルペーパー、CPの発行、そういった借り手が直接市場に出ていって発行していくといったような金融のウエートを高めていくのが大きな流れかと思います。
 そういう市場をタイミングよく育てていくための努力をしていくというのが一つの大きな流れかと思いますし、そのことによって国際金融市場がつくられていけば雇用の面でもあるいは所得の面でも新しい産業が興ってくるというふうに確信いたしております。
 それから最後に、中央銀行としまして内外の信頼をしっかり取りつけなければいけないということを特に今のこの時期に強く感じておる次第でございます。
 新しい政策委員をお決めくださいまして、外からの考え方、空気を入れながら、そのときそのときにお互い討議をして政策を決めてまいりたいと思っております。風格のある、信頼される中央銀行であり、風格のある円にしていきたいというふうに願っております。このスキャンダルを契機にいたしまして、このことを行員一人一人に訴えますとともに、一人一人がその責任を感じて責任のある行動、良心に恥じない行動をとっていってほしいということを強く訴えて、みんなで力を合わせて目的を果たしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
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岡利定#10
○岡利定君 今、総裁がおっしゃいましたように、大変御苦労が多いと思いますけれども、独立性と透明性を二本柱として、今おっしゃいました風格ある、信頼される中央銀行づくりのために御尽力いただきたいと思います。
 そこで、藤原副総裁に二点お伺いさせていただきたいと思っております。
 一つは、新しい日本銀行にも幾多の課題が山積しておりますけれども、その一つとして、接待汚職ということで逮捕者が出るという事態なども発生し、中央銀行に対する信頼感というものが揺らいでおる状況にございます。そういう意味で、職員の綱紀の粛正を図り、信頼を回復することが大変大きな課題だと思っております。
  一方、金融機関などに五百人以上の職員が天下っておるというようなことが報ぜられておりまして、これが癒着のもとになるんじゃないかというようなことも言われておりますが、クリーンな日銀マンとしての倫理を確立することについてマスコミの経験の豊富な副総裁から見解をお伺いしたいと思います。
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藤原作彌#11
○参考人(藤原作弥君) 今、委員が御指摘なさった最近の一連の事件ですが、新しく日銀に参りました私としましても、改めて国民の皆様におわび申し上げたいと思います。
 私は、御紹介くださいましたように、これまで経済記者として外から日銀を眺めてまいりました。日銀ウォッチャーと言われましたけれども、ある意味では日銀の批判者でもありました。それから、私人としては生活者でありました。そういったジャーナリストとしての経験を生かし、かつ生活者の目で日銀をこれから中で改革のために微力を尽くしたいと思います。
 とりわけ、中央銀行は独立性と透明性を発揮するためには信頼、クレジビリティーというのが大事だと思います。その信頼を得るためにはやはり、委員御指摘のように、倫理の確立、つまりモラルが大事だと思いますし、同時に国民経済のために尽くすというモラール、やる気というのも大事だと思います。私は、そのモラールとモラルを日銀の若い人たちと話し合いながら、これから噛み、かつ語り合い、新法に基づく新しい目録づくりに邁進してまいりたいと思います。
 外からそういう空気を入れるということのほかに、日本銀行がどういう仕事をしているか、こういう信用の創造、信頼性のあるマクロ金融政策をやっているんだということも国民の皆様にこれまで以上に理解していただきたい、つまり外から内へ、内から外への両面交通のかけ橋となりたいと思っています。
 それにはやはり、平凡ですが、良識と常識を発揮することだと思いまして、倫理観の確立のためにもそのことを深く胸に秘めてこれから仕事に当たっていきたいと思います。
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岡利定#12
○岡利定君 今、藤原副総裁がちょっとお触れになりましたけれども、日本銀行の国民に対する理解を得る努力といいますか、まさに日本銀行のアカウンタビリティー、説明責任の実践についてであります。
 もともと金融政策というのは大変専門的でありますし、素人にはわかりにくいという面がございます。しかし、国民の理解なくしては日本銀行の独立性の強化ということもあり得ないわけでありますので、その意味から金融政策についての広報のあり方というものも大変大事だろうと思います。
 そういう意味で、ジャーナリストの御経験を有されます副総裁としてはこの点についていかがお考えでしょうか。
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藤原作彌#13
○参考人(藤原作弥君) 透明性、トランスペアレンシー、説明責任、アカウンタビリティー、英語で言いましても漢字で言いましても一般国民には非常に難しい言葉だと思います。どういうことかということをまず国民の皆様に理解していただくような易しい仕事の仕組みの解説といいますか、PRがまず私に課せられた仕事かと思います。
 まず、金融政策につきましては、これから新しい政策委員会のもとで議論されたことを国民一般に広く公表するということに今度なりましたから、その議事公表ということを、既に実験は行っておりますけれども、これからもどういう議論が行われたかということをできるだけ早く、できるだけわかりやすい表現で外に向かってお示しし、かつ世の中の判断をも次なるディスカッションの参考にさせていただきたい。公表の仕方については今実験段階ですので、これから次第次第に経験を重ねて改良を続けていきたいと思います。
 それから、そういった金融政策の面だけではなくて、一般的な広報も重要だと思います。例えば、この間発表になりました短観というのは、短期経済観測ですけれども、あだ名のごとく余り簡単ではありませんで、むしろ情報サービス局なんかがやっています生活短観といいますか、生活者が日本経済をどう考えているかということを私どもアンケート調査をしておりますけれども、そういった面からも、お茶の間といいますか、庶民の生活の中にまで入っていくような広報活動もこれからさらに一層努力してまいりたいと思います。
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岡利定#14
○岡利定君 ぜひ御尽力をお願い申し上げます。
 幾つかの点について総裁にお伺いしたいと思いますが、まず景気の関係でございます。
 今、言葉に出ました日銀短観でございますけれども、四月二日に発表された短観では、主要望造業の業況判断DIがさらに落ち込んで、企業の景況感が悪化していることが示されております。景気がよくないのは事実でありますが、一体どの程度悪いのかということになるといま一つどうもはっきり理解できない面もございます。
 私自身は景気は既に下降ないし後退局面に入っているんじゃないかとも感じるんですけれども、総裁は現状をどのように認識しておいでか、また日銀としてどのような対応策を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
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速水優#15
○参考人(速水優君) 私どもは、これまで景気は停滞を続けている、そこへ下押しの圧力が強まりつつあるのではないか、そういう判断をしてまいりました。
 先般発表されました短観でも、内需の低迷、在庫調整の動きなどを受けまして、企業マインドが一段と悪化してきておるように見受けられました。また、企業収益がかなり下方修正されておりまして、設備投資も頭打ち傾向が一段と鮮明になってきておる、このほかに個人消費が低迷を続けておりますし、そういう意味では日本経済は極めて厳しい状況にあると判断せざるを得ません。先行きにつきましても、輸出の増加持続あるいは金融システムの安定化策の具体化、こういうものが景気の下支え材料になってきていることは確かでございます。しかしながら、最近の生産や所得形成をめぐる力の弱まりと国内需要の一層の減退を起こすのではないかというおそれを感じております。
 私どもとしましては、こうした経済情勢のもとではやはり金融面からもしっかりと下支えをしていく必要があろうかというふうに考えております。
 そのような観点から、これまでの思い切った金融緩和基調というものを維持してまいりたいと考えております。
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岡利定#16
○岡利定君 次に、金利の関係でございますけれども、低金利が長く続いておりまして国民の金融資産の縮小につながっておるわけでありますが、年金生活者などから金利の引き上げを求める声も大変強くなっているというように感じております。
 この点について総裁はいかがお考えでしょうか。
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速水優#17
○参考人(速水優君) 金利収入に多く依存しておられる家計にとりまして現状が大変厳しい状況でありますことは私どもも十分承知いたしておるつもりでございます。しかし、金利を上げるということは、家計部門の金利収入を増加する反面、企業収益の減少、投資採算の悪化、資産価格への下押し、こういうことを通じて経済活動を抑制していく機能を持っていることも確かでございます。このことはひいては全体としての家計所得、個人消費も減少させる方向に作用すると考えます。
 こうした点を踏まえますと、景気の停滞が続き、下押し圧力が強まりつつある現在の経済情勢のもとでは、やはり金融面から経済活動をしっかり下支えしていくことが重要ではないかと考えております。そうした観点から、先々週に開かれました政策委員会の金融政策決定会合におきましても、当面の金融政策について討議をいたしました結果、これまでの金融緩和基調を維持することを決定した次第でございます。
 景気の自律的反転の兆しが見えてくるまでいましばらくこの低金利で頑張っていくしかないというふうに考えております。
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岡利定#18
○岡利定君 次に、金融安定化策でございますが、先ほどの日銀短観における金融機関の貸出態度判断DIによりますと、主要企業から見た金融機関の貸出態度について緩いとする企業と厳しいとする企業を比較した結果、昨年十二月の短観ではプラス三であったものがマイナス四一へ大きく振れておって、いわゆる貸し渋りの現象がふえているという声が強まっているのと一致するのじゃないかと思うわけであります。
 政府としても金融機関の資本充実のため優先株、劣後債の発行に公的資金投入のスキームをつくるなどいろいろな対応策を実施してきましたが、懸念していた三月の決算期を一応越えた現時点で我が国の金融機関の経営状況、今後の貸し渋りの動向等について日本銀行としてどのようにお考えでしょうか。
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速水優#19
○参考人(速水優君) 金融機関の自己資本面からの制約は、金融システム安定化策の具体化をタイミングよくやっていただいたおかげで、ひところに比べて緩和されてきているように見ております。また、企業の資金調達状況を見ましても、資本市場などからの調達も増加してきております。CPの発行などもふえてきております。これまでのところでは、急速な量的収縮といったような事態にはならないのではないか、避けて通れるのではないかと考えております。
 この間、金融機関の今三月決算の内容につきましてはまだ明らかになっているわけではありませんけれども、我が国金融機関は引き続き積極的な償却姿勢を維持しております。不良債権処理は全体として着実に進捗しているというふうに見ております。
 ただ、日本版ビッグバンの本格化を迎えるに当たりまして、我が国金融機関は収益性、健全性、これを向上していく課題を目前に抱えておるわけでございまして、融資姿勢を積極化するまでにはある程度の時間がかかるかというふうに考えます。このために、企業によってはしばらくの間は厳しい資金調達環境が続く可能性があると考えます。
 私どもとしては、こうした金融面の動きを引き続ききめ細かく点検しながら、金融調節面でCPオペ、コマーシャルペーパーを買い取るオペレーションなどを積極的に活用していくことによって企業金融の緩和にも貢献してまいりたいというふうに考えております。
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岡利定#20
○岡利定君 次に、金融危機の関係でございますけれども、タイ、インドネシア、韓国などアジアの金融、経済の悪化がかなり引き続いている状況にございます。このようなアジアの金融、経済の安定化のため、我が国としてその支援についても十分配慮していく必要があり、政府としても積極的にそれに取り組むべきだと思いますが、日本銀行の立場で、あるいはまた日銀総裁としてこの問題をどのように御認識でしょうか。
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速水優#21
○参考人(速水優君) アジア地域におきます通貨・金融市場の安定化のためには、当面IMFを中心とする国際的な協調支援の体制のもとで東アジア各国が経済調整プログラムを着実に実施していくことが重要であろうと思います。ただ、一時的に金を調達する、貸すということだけでは恐らくこれらの国々の再建はできないかというふうに思います。そういうコンディショナルな条件のついた救済力性ということが、それもやはりグローバルなIMFベースでの指導のもとに行われていくことが必要だと私は考えております。
 そういうことを前提にしまして、我が国といたしましても必要に応じて金融面からの支援を行い、国際通貨不安の回避に努めますとともに、アジア経済の回復に貢献するためにも、我が国の内需回復を早く実現して、貿易投資を一層自由化し、彼らの製品や輸出品をなるたけ多く買っていくということ、市場を開放していくということ、これが彼らが輸出主導で立ち直っていける道ではないかというふうに考えます。
 日本銀行といたしましても、東アジア地域の市場安定化に向けて、これまで韓国向けつなぎ融資を初めとして幾つかの金融技術支援の措置を講じてまいっております。今後とも、国際金融面での不安が生じる懸念がある吉な場合には中央銀行の立場から必要な協力を考えてまいりたいと思っております。
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岡利定#22
○岡利定君 ところで、先週末の東京市場ですけれども、株式、円、債券のトリプル安という深刻な状況が生まれております。
 日本銀行としてはその原因をどのように分析しているのかお伺いいたします。
 また、米国の株式市場の相場が一時の我が国のバブル期を思わせるような上昇が続いておりまして、我が国から米国への資金のシフトも進んでおるとかいうふうな話も聞きますが、この点についてはいかがでしょうか。
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速水優#23
○参考人(速水優君) 先週宋の東京市場の株安、円安、債券安、このトリプル安というのは、きっかけとなりましたのは海外格付機関による日本国債の格付見直し報道が影響したのではないかというふうに思われます。
 民間の格付機関の格付のやり方、方針について私どもがとやかく言う立場にはないわけでございますが、日本経済をとってみますと、私どもの認識を申し上げれば、対外収支や対外資産に見られるように、毎月百億ドル以上の経常収支の黒があり、一兆ドル近い対外ネットアセットを持っており、しかもこの対外的な支払い債務能力は盤石であるのに加えて、足元の経済は極めて厳しい状況にありながら製造業の高い技術、あるいは労働力の質のよさ、民間の貯蓄力、そういったものを考えますと、潜在的な経済力には極めて高いものがあるというふうに考えております。したがって、長い目で見れば国債の格付が下がるといったようなことが起こるのはいささか私どもにとっては一時的な動きではないかというふうに考えております。
 日本経済の潜在力を発揮させていくためには、まず景気の回復と金融システムの立て直しを早期に実現していくことが重要であると思っております。日本銀行としても中央銀行の立場から全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 なお、おっしゃった海外への資本流出につきましては、我が国が現在経常収支の黒字を抱えておるもとで、その黒字が対外証券投資の形で海外に還流していくというのは自然な動きではなかろうかと思います。アメリカの株が高い、そして株価収益率も悪くないといったような現状を考えますときに、この流れはそれほど気にする必要はなかろうかというふうに思います。為替相場が一時的にこういうもので多少の影響を受けることもあろうかと思いますけれども、市場というのはやはり時がたてば戻るところへ戻っていくべきものと私はこれまでの経験から信じております。
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岡利定#24
○岡利定君 速水総裁、藤原副総裁、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
 今、速水総裁からもお話が出ましたが、大蔵大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 四月三日の日本の市場で進んだいわゆるトリプル安はアメリカの格付機関であるムーディーズ・インベスターズ、サービスというのが日本の国債格付を変更する可能性を示したことが引き金になったというようなことも言われておりますが、仮に日本の国債の格付が引き下げられれば企業の資金調達コストにはね返ることがあるんだということで懸念もされるような報道もございます。
 民間機関の格付とはいえ、その影響の大きさを考えますと無視するわけにはいかないんじゃないかなと思うわけでありますが、このムーディーズの国債格付の変更の可能性の意味、それからその影響などについて大蔵大臣としてどのようにお考えでしょうか。
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溝口善兵衛#25
○政府委員(溝口善兵衛君) 先ほど日本銀行の総裁の方からもお話がございましたが、格付機関はいろいろあるわけでございますし、それから市場に与える影響というのはいろんな情報が影響を与えるわけでございまして、ムーディーズのそういう発表もその一つだろうと思っております。いろんな中の一つであると。私どもはいろんな意見を聞いてまいるつもりでございますけれども、そういうことでこの格付自体にコメントするというのはいかがかというふうに考えております。
 ただ、事実関係で申し上げますと、当日発表されましたムーディーズ社の発表文によりますと、今の格付は据え置く、今後の見通しについてはややネガティブに変えるとゆうことでございますけれども、その意味は、見通しの変更を今示唆するということじゃなくて、見直しの対象になる可能性があるということを示唆しているにすぎないというふうに言っておるわけでございますから、ここら辺もあわせ考える必要があろうかと考えております。
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岡利定#26
○岡利定君 マスコミだけを見ておりますと、大変なことが起こったんだなというふうなことで心配する人たちもあるわけでありますので、そういう点についても政府の見解などを示すべきことがありましたらきちんとやって、不必要な動揺のないような対応というものをまたお願いしたいなと思っております。
 そこで、金融監督庁についてお伺いしたいと思っております。
 金融監督庁が近く発足することになっておるわけでありますが、その準備状況をお伺いしたいと思います。
 また、同庁に移行することになっております大蔵省の金融検査部職員は、ここ数カ月、幹部職員の汚職などでまさに揺れております。これが金融監督庁になったからといって、器をかえただけでは再び不祥事が発生しないという保証もないという指摘もございますが、そのような観点から日本銀行同様にここにも部外の人材を登用するなと思い切ったいろんな手を打っておくことが必要じゃないかと思いますが、職場のモラルを高めるような措置を講ずるという観点からどのようなことを検討されておるのか、支障がなかったらお話しいただきたいと思います。
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畠中誠二郎#27
○政府委員(畠中誠二郎君) お答えいたします。
 まず、金融監督庁の準備状況でございます。
 金融監督庁につきましては、昨年成立いたしました金融監督庁設置法に基づきまして、本年六月の発足を目指し鋭意準備を進めているところでございます。
 御審議いただいている予算案におきましては、大蔵省からの定員振りかえ三百七十三人に加えまして、民間金融機関等の検査・監視機能等の強化の観点から、新規の増員及び他省庁からの振りかえを行うことによりまして総勢四百三人の体制を確保することとしております。
 また、職員のモラルを高める措置についてのお尋ねでございます。
 先生御指摘のとおり、金融監督庁発足に当たりまして職員のモラルを高める措置を講ずることは極めて重要な問題と考えております。同庁設立の事務的な準備を担当する当準備室といたしましても、例えば倫理規程の制定あるいは服務監察制度の整備等も含め、諸方策について事務的な検討を進めているところでございます。
 いずれにせよ、当準備室といたしましては、金融監督庁が金融監督庁長官の指揮監督のもとでその機能を適切に発揮し、金融行政に対する国民の信頼を回復できるよう、発足準備に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
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岡利定#28
○岡利定君 まさに初めが大事でありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、共同債権買取機構についてお伺いします。
 共同債権買取機構は、平成四年度に発足して、ことしの三月末をもって買い取り業務を終了したわけです。言うまでもなく、この機構は、民間金融機関の自助努力による不良資産の段階的処理を通じて金融機関への信頼性の向上と融資対応力の強化を図ることを目的として、民間金融機関百六十二社の出資により設立されたものでございます。
 この機に当たりまして、発足以来のこれまでの同機構の買い取り実績、それから回収実績を教えていただきたいと思います。また、これまでの回収実績についてどう評価しておるのかもお聞かせいただきたい。さらに、債権回収がいろいろ難しいと言われておる面もありますが、進んでいない面もあると思いますので、その理由はどういうものなのか、お話しいただきたいと思います。
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飛松集一#29
○参考人(飛松集一君) それでは、共同債権買取機構の買い取り実績について御報告いたします。
 当社は、平成五年一月創業以来五年間、金融機関の債権元本額十四兆九千百六十四億円を五兆七千六百三十三億円で買い取っております。この差額九兆一千五百億強は金融機関が既に売却損として処理済みでございます。
 回収実績につきましては、本年三月末までに買い取り債権五兆七千六百三十三億円のうち一兆一千八百四十九億円を回収いたしております。
 回収実績に対する評価でございますが、御承知のとおり、当社創業以降、地価が続落いたしまして不動産の動きが大変鈍いという厳しい環境下でございましたが、担保不動産の売却は件数、金額とも年々順調に増加しております。ちなみに、創業いたしました平成五年度の回収金額は三百十億円でございましたが、平成九年度には三千七百五億円に達しておりまして、これまでの実績は、十二分とは言えないまでも、厳しい環境下でかなりの成果を上げてきたものと考えております。
 また、回収金額が買い取り債権金額全体に比して比率が少ないんじゃないかということかと思いますが、御承知のとおり、不動産市況が低迷しておったということがもちろん根底にございますが、当社は設立以降、二年あるいは三年間はむしろ買い取り業務の方に専念しておりまして、回収が本格化いたしましたのはここ二年程度、こういう理由もございます。
 また、買い取りがこの五年間、つい先月まで毎期毎期買い取り金額というものが増加しておりまして、いわば分母がずっと膨らみ続けたということで、このため回収比率が一〇%強と低いかのように見えますが、今後は、買い取りは終了いたしましたので、分子に当たる回収に専念いたしますので回収比率は上がってまいると考えております。
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