厚生委員会

2000-04-18 衆議院 全87発言

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会議録情報#0
平成十二年四月十八日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 江口 一雄君
   理事 安倍 晋三君 理事 田中眞紀子君
   理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君
   理事 福島  豊君 理事 児玉 健次君
      伊吹 文明君    石崎  岳君
      遠藤 利明君    鴨下 一郎君
      木村  勉君    鈴木 俊一君
      砂田 圭佑君    田中 和徳君
      田村 憲久君    戸井田 徹君
      根本  匠君    堀之内久男君
      松本  純君    宮腰 光寛君
      家西  悟君    石毛えい子君
      五島 正規君    土肥 隆一君
      中桐 伸五君    古川 元久君
      遠藤 和良君    岡島 正之君
      吉田 幸弘君    武山百合子君
      中川 智子君    笹木 竜三君
    …………………………………
   参考人
   (国立社会保障・人口問題
   研究所所長)       阿藤  誠君
   参考人
   (さくら総合研究所環境・
   高齢社会研究センター主任
   研究員)         池本 美香君
   参考人
   (中京大学経済学部教授) 都村 敦子君
   厚生委員会専門員     杉谷 正秀君
    —————————————
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  大村 秀章君     木村  勉君
  宮島 大典君     宮腰 光寛君
同日
 辞任         補欠選任
  木村  勉君     大村 秀章君
  宮腰 光寛君     宮島 大典君
    —————————————
四月十八日
 社会保障の拡充に関する請願(高市早苗君紹介)(第一三四七号)
 同(中西績介君紹介)(第一三四八号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一三九八号)
 同(岩田順介君紹介)(第一四二〇号)
 同(岩永峯一君紹介)(第一四二一号)
 同(河井克行君紹介)(第一四二二号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第一五〇七号)
 同(山崎拓君紹介)(第一五〇八号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(江渡聡徳君紹介)(第一三四九号)
 同(菅原喜重郎君紹介)(第一三五〇号)
 同(高市早苗君紹介)(第一三五一号)
 同(近岡理一郎君紹介)(第一三五二号)
 同(中西啓介君紹介)(第一三五三号)
 同(中西績介君紹介)(第一三五四号)
 同(山本孝史君紹介)(第一三五五号)
 同(吉田幸弘君紹介)(第一三五六号)
 同(枝野幸男君紹介)(第一三九九号)
 同(田中眞紀子君紹介)(第一四〇〇号)
 同(辻一彦君紹介)(第一四〇一号)
 同(中井洽君紹介)(第一四〇二号)
 同(前原誠司君紹介)(第一四〇三号)
 同(石毛えい子君紹介)(第一四二三号)
 同(坂口力君紹介)(第一四二四号)
 同(前原誠司君紹介)(第一四二五号)
 同(村山富市君紹介)(第一四二六号)
 同(石毛えい子君紹介)(第一四四一号)
 同(岩下栄一君紹介)(第一四四二号)
 同(岡部英男君紹介)(第一四四三号)
 同(関谷勝嗣君紹介)(第一四四四号)
 同(綿貫民輔君紹介)(第一四四五号)
 同(熊谷弘君紹介)(第一四四九号)
 同(土肥隆一君紹介)(第一四五〇号)
 同(古川元久君紹介)(第一四五一号)
 同(江藤隆美君紹介)(第一四六二号)
 同(御法川英文君紹介)(第一四六三号)
 同(岩浅嘉仁君紹介)(第一五一二号)
 同(大畠章宏君紹介)(第一五一三号)
 同(松本純君紹介)(第一五一四号)
 臓器の移植に関する法律の見直しに関する請願(畠山健治郎君紹介)(第一三五七号)
 同(濱田健一君紹介)(第一三五八号)
 同(深田肇君紹介)(第一三五九号)
 同(保坂展人君紹介)(第一三六〇号)
 同(枝野幸男君紹介)(第一四〇四号)
 同(海江田万里君紹介)(第一四〇五号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一四〇六号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第一四〇七号)
 同(坂上富男君紹介)(第一四二九号)
 同(辻元清美君紹介)(第一四三〇号)
 同(村山富市君紹介)(第一四三一号)
 同(伊藤茂君紹介)(第一四五二号)
 医療の患者負担増撤回に関する請願(山本譲司君紹介)(第一三六一号)
 同(畑英次郎君紹介)(第一四〇八号)
 同(石井紘基君紹介)(第一四三二号)
 同(熊谷弘君紹介)(第一四五三号)
 社会福祉事業法改正に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一四二七号)
 同(辻元清美君紹介)(第一四二八号)
 同(石毛えい子君紹介)(第一四四六号)
 同(辻元清美君紹介)(第一四四七号)
 医療保険制度の改悪反対、医療充実に関する請願(石井郁子君紹介)(第一四六八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一四六九号)
 同(辻第一君紹介)(第一四七〇号)
 同(寺前巖君紹介)(第一四七一号)
 同(東中光雄君紹介)(第一四七二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一四七三号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一四七四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一四七五号)
 高齢者定率一割負担の導入など医療費負担の引き上げ反対に関する請願(平賀高成君紹介)(第一四七六号)
 介護保険の緊急改善に関する請願(石井郁子君紹介)(第一四七七号)
 同(大森猛君紹介)(第一四七八号)
 同(金子満広君紹介)(第一四七九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一四八〇号)
 同(児玉健次君紹介)(第一四八一号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一四八二号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四八三号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一四八四号)
 同(志位和夫君紹介)(第一四八五号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第一四八六号)
 同(辻第一君紹介)(第一四八七号)
 同(寺前巖君紹介)(第一四八八号)
 同(中路雅弘君紹介)(第一四八九号)
 同(中島武敏君紹介)(第一四九〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第一四九一号)
 同(春名直章君紹介)(第一四九二号)
 同(東中光雄君紹介)(第一四九三号)
 同(平賀高成君紹介)(第一四九四号)
 同(不破哲三君紹介)(第一四九五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一四九六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一四九七号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一四九八号)
 同(松本善明君紹介)(第一四九九号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一五〇〇号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一五〇一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一五〇二号)
 患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一五〇三号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一五〇四号)
 同(中島武敏君紹介)(第一五〇五号)
 同(松本善明君紹介)(第一五〇六号)
 医療費負担の引き上げ反対、介護保険の緊急改善に関する請願(大畠章宏君紹介)(第一五〇九号)
 国・自治体の責任による福祉の拡充に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第一五一〇号)
 国民健康保険制度の充実・発展に関する請願(平賀高成君紹介)(第一五一一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


    午前十時一分開議
     ————◇—————
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江口一雄#1
○江口委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、国立社会保障・人口問題研究所所長阿藤誠君、さくら総合研究所環境・高齢社会研究センター主任研究員池本美香さん、中京大学経済学部教授都村敦子さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べをいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず阿藤参考人にお願い申し上げます。
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阿藤誠#2
○阿藤参考人 国立社会保障・人口問題研究所で所長を務めております阿藤でございます。
 私は、長い間人口問題の研究に携わってきた者でありまして、今回の児童手当法の改正に関連いたしまして、人口問題研究者の立場から、全般的な意見を申し述べたいと思います。
 さて、今回の児童手当法の改正案は、その趣旨説明の中で、「総合的な少子化対策を推進する一環として」という説明がございます。そこで、今日の少子化現象につきまして、少し考えてみたいと思うわけであります。
 日本における少子化、この少子化というのは必ずしも専門用語ではございませんが、意味するところは、人口置きかえ水準以下への出生率の低下による子供数の減少という意味だと思いますが、この少子化は七〇年代半ば以降の現象であります。この間、合計特殊出生率は、七三年—九八年の二十五年間に二・一四から一・三八まで、実に三六%低下しております。このような少子化というのは、程度の差こそあれ、他の先進諸国並びにアジアNIESにおおむね共通する現象でもあるわけであります。
 既に日本で四半世紀続きました少子化現象のために、今後、少なくとも二十一世紀の前半については、生産年齢人口の大幅な減少、人口高齢化の急速な進展、さらには日本人口の減少が続くと見られております。このような日本人口の一大変化というものは、日本の経済社会に対して大変大きな影響を与えると見られておりますが、とりわけ、経済的にはおおむねマイナスの影響を及ぼすのではないかというふうに考えられております。
 この少子化の人口学的な要因と申しますのは、主として、未婚化、すなわち未婚率の上昇、そしてその結果としての晩婚化、すなわち平均初婚年齢の上昇、さらには晩産化、すなわち平均出産年齢の上昇でありますが、最近になって、結婚後の出産にもおくれが見られ始めているというデータが出てきております。
 日本は、この未婚化、晩婚化、晩産化の点では他の先進諸国と共通しておりますが、同棲、婚外子の少なさ、二十歳代前半の出生率の低さの点で、他の先進諸国とは大きく異なっております。
 このような未婚化、晩婚化、晩産化、少子化の社会経済的背景は大変複雑でありますが、これについては四つほどの見方があると思われます。
 第一に、未婚の男女のパートナーづくりがうまくいっていないということであります。私どもの調査によれば、異性の友達がいないと答えた二十代の未婚の男女は四割から五割に達します。
 第二番目は、未婚の男女が親元を離れず独身生活をエンジョイし続けている、そういう見方であります。かつては独身貴族と言われておりましたが、近年ではパラサイトシングル、すなわち親に寄生する未婚者、こういうふうな言われ方もされております。
 第三には、女性の社会進出の現象と、企業、家庭、制度、文化などの既存の社会システム、もう少し言えば男女役割分業型のシステムとのあつれきが生じ、仕事と家庭の両立の難しさが顕在化しているという見方であります。
 第四番目は、子供は親にとって、かつては家の宝、経済学的にいいますと親にとっての生産財、資本財であったということでありましたが、近年、サラリーマン化社会になるにつれて、子供は親にとって消費財化あるいは消費財的な性格を強めている。そのため、親が子育てのコストに大変敏感になっている一方で、社会全体として、結婚し子供を持つことの必要性が弱まっている。そういうことも背景にあろうかと思います。
 さて、政府による少子化現象への対応でありますが、何よりも、一九九四年のカイロ会議において国際的合意を得ましたリプロダクティブライツを含む人権の尊重ということが大前提であるべきであります。
 リプロダクティブライツとは、子供を何人、いつ、どういう間隔で産むかを決めるのは個人並びにカップルの権利である、そういうものであります。それゆえ、少子化対策の名のもとで、独身税であるとか親子同居税であるとかというような懲罰的な税の導入をしたり、あるいは、近代的な避妊手段や人工妊娠中絶を制限するなどの施策は決してとるべきではないと考えております。
 政府による少子化への対応策は、国際社会、とりわけ、同じような少子化現象を経験しております先進諸国に共通する普遍的な理念にかなうものであるべきであると考えます。
 具体的には、第一に、女性の社会進出を前提にした男女共同参画社会の推進にかなう施策、すなわち、リプロダクティブヘルスの視点に立った教育、保健施策、育児休業制度、公的保育サービスの充実などであります。第二には、子供公共財的観点、すなわち子供は社会の宝という視点に立った、子育て環境の改善に資する施策ということでありまして、この二点が重要であると考えます。
 この点で、昨年十二月十七日の少子化対策推進関係閣僚会議において少子化対策推進基本方針というものが出されましたが、この理念と内容というものは大変結構であると考えます。
 すなわち、その中で少子化対策の具体的視点として、第一に、結婚や出産は当事者の自由な選択にゆだねられるべきである、第二に、男女共同参画社会の形成や、次代を担う子供が心身ともに健やかに育つことができる社会づくり、三点目に、社会全体の取り組みとして、国民的な理解と広がりを持って子育て家庭を支援することと定めておりますが、これは政策の方向性として正しいというふうに思います。
 今回の児童手当法の改正案は、費用負担の点で従来の制度とやや整合性を欠くものとはいえ、支給対象年齢の拡大を図った点で、子供公共財的視点に立った、子育て環境の改善を目的とする経済的支援の強化策の一環と考えられ、政策の方向性としては理解できるものと考えます。
 ただし、政府による子育ての経済的支援というものは、今回の児童手当法の改正では到底十分とは言えないと思います。先進諸国では、高齢化の進行とともに福祉施策の中心が高齢者に置かれ、子供あるいは子育て家庭が等閑視される傾向があるとも言われております。現に、日本でも一九七三年—九六年の二十三年間に、六十五歳以上人口一人当たりの高齢者関係の社会保障給付費は実質で五・八倍になっているのに対して、十五歳未満人口一人当たりの児童手当給付費は実質で一・三倍にしかなっていないというデータもございます。
 今後、もう少し時間をかけて、児童手当、税制における扶養控除、奨学金制度、企業福祉としての扶養家族手当などを含めて、子育ての経済的支援を総合的に検討するとともに、その一層の充実を望むものであります。
 以上です。拍手
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江口一雄#3
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、池本参考人にお願いをいたします。
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池本美香#4
○池本参考人 さくら総合研究所の池本と申します。
 主に諸外国の制度との比較によって、日本の少子化について調査研究をしております。その一環として、昨年、児童手当についてレポートをまとめましたので、本日は、その内容をもとに、児童手当の今後の方向について意見を述べさせていただきます。
 欧州諸国の児童手当制度と比べまして、日本の児童手当は支給期間が非常に短く、さらに、支給に当たって所得制限が設けられています。このため、子供一人当たりの児童手当給付額の水準は欧州諸国と比べて非常に低くなっています。
 お配りしました資料の図一は、欧州諸国との比較に当たりまして、高齢者一人当たりの年金給付額に対する子供一人当たりの児童手当の水準について見たものです。イギリスやスウェーデンなどでは児童手当の水準が年金の一〇%以上になっていますが、日本では一%に満たない水準です。そして、この年金給付水準に対する児童手当の水準と合計特殊出生率の関係を見ますと、大まかには、児童手当の水準が高い国では出生率も高い傾向にあることがうかがえるかと思います。
 考えてみますと、年金がなければ、児童手当がなくても人々は老後の保障のために子供を持とうとします。ところが、公的年金が整備されて、子供がいなくても老後の生活が保障されるようになっていますので、子供を持つことは経済的には損になり、最近では産み損といった言葉も我々の間ではよく聞かれるようになっています。ですから、児童手当の額が諸外国と比べて低い点だけを取り出して議論するというよりは、年金の充実度合いに対して児童手当が十分なのかといった視点で議論する必要があると思います。
 日本以外にもイタリアやスペインなど出生率が低い国では、年金に対する児童手当の水準も低い傾向がうかがえます。こうして見ますと、児童手当の水準の低さが少子化の一因となっている可能性が考えられます。ところが、年金の方が物価スライド制になっている一方で、児童手当はそのような仕組みにはなっていないために、ほうっておくと年金と児童手当の格差はさらに広がっていきます。
 少子化に歯どめをかけるという意味からは、年金に対する児童手当の水準をイギリスやスウェーデン並みの水準まで引き上げ、さらに、物価スライドなども考慮して支給額を定期的に見直していくことが必要であると思われます。そのためには、財源の問題はありますが、現在検討されている就学前までではなく、欧州並みの十六歳や十八歳程度まで支給期間を延長することや、所得制限の廃止なども検討されるべきだと考えています。
 児童手当を拡充することに対する反対意見としましては、ばらまきであるといった批判がありまして、また、現金給付よりも保育サービスの充実に力を入れた方が出生率の向上には効果的であるといった見方があります。これについては、昨年調査で訪れましたノルウェーやドイツの状況などを見ますと、児童手当は決してばらまきなのではなく、むしろ保育サービスにのみ補助することの問題について考える必要があると思います。
 例えばノルウェーは、出生率が一・九程度と先進国の中では高い方に位置しますが、児童手当の支給期間が、この五月から十六歳から十八歳にさらに引き上げられることになっています。ドイツは、確かに児童手当の水準が高い割に出生率は依然として低いままですが、そういった状況の中でも児童手当の支給額はさらに引き上げられる予定になっていますし、また、児童手当の支給に所得制限を設ける案については、裁判所の方で、それは憲法違反であるという判決が出たという話も現地で聞いております。
 両国とも、児童手当が、少子化対策としてではなく、社会保障制度の体系の中で、年金制度同様、普遍的な制度として位置づけられており、その水準も随時見直されている状況にあることがうかがえます。そもそも少子化対策、すなわち、出生率の向上を目的として施策を打つということは、人口爆発などの懸念もある国際社会においては議論のあるところだと思います。ですから、あくまで年金と児童手当のバランスが、子供を減らす方向ではなく、子供を持つことに関して中立的である状態を目指して、児童手当の充実を図っていくべきではないかと考えています。
 児童手当よりも保育サービスの充実を図るべきという意見につきましては、子供を保育所に預けて働くという選択肢だけでなく、自分の手で子供を育てたいという選択肢についても公平に支援していくべきではないかと考えます。
 ノルウェーでは、一九九八年から、一、二歳児の親を対象とした現金給付制度が児童手当とは別に導入されました。これは、保育所に出している国の補助金を、保育所を利用しないで自分で面倒を見る場合には親に対して現金で支給するというものです。また、ドイツのバイエルン州では、親が働いているか否かにかかわらず三歳までは児童手当とは別に養育手当を出し、逆に、保育所には補助を行っていません。どちらも、親が働いているかどうか、保育所を利用するかどうかで受けられる補助金の額が変わらない公平な仕組みになっています。
 保育サービスといった現物給付ではなく、親に直接現金を給付することについては、保育所の整備をおくらせるといった批判や、女性を家に閉じ込めるものだといった批判も現地ではあったとのことですが、同時に、親に対して子供と一緒に過ごす時間を保障しようという考え方が支持されていて、親が働く、働かないにかかわらず公平に支援していく動きになっています。
 日本では、実質的な現金給付である扶養控除は、高所得者ほど恩恵を受けるという側面があります。また、育児休業給付は、フルタイムで継続して働くごく限られた人対象の制度です。普遍的な児童手当の拡充には批判的な声が強い一方で、働く親のための育児休業給付を引き上げることについてはほとんど異論がないという状況については、個人的に非常に疑問を感じています。親に子育てをする権利を与える施策として、日本でも児童手当を初めとする現金給付をふやし、多様な子育てを公平に支援するという視点が求められていると考えています。
 保育所の充実だけに力を入れれば、親が子供と一緒に過ごす時間は短くなり、親は労働力として期待される一方で、逆に子供を教育する力が奪われてしまう可能性もあります。保育所を整える方向は税金を納める人をふやすという声もありますが、少子化対策が経済対策の視点からだけ語られるべきではないと思います。
 児童手当の拡充に反対するもう一つの意見として、出生率低下の原因は未婚率の上昇にあるので、児童手当は意味がないという批判があります。しかし、未婚化が進んでいるからこそ、むしろ児童手当が求められている側面もあると考えています。だれもが同じように子供を産むのであれば、児童手当の財源を負担する人も子供のいる人になって、負担する額と受け取る額が同じになり、制度としての意味は余りないとも言えます。ところが、子供のいない人が多くなれば、児童手当制度により、子供のいる人は自分が負担する額以上の恩恵を得ることができます。
 現在、児童手当の財源については、事業主負担に対する反対の声が一部経営者団体などから上がっているようですが、確かに自分たちの年金を負担してくれる世代を世代全体で育てるという意味からすれば、今後は、むしろ個人負担、すなわち、被用者負担の導入も検討の余地があるものと思われます。
 ところで、最近は出生率の低下に関する新しい動きとして、先ほど阿藤先生からもお話がありましたが、未婚化ではなく結婚したカップルが子供を持たない傾向が出てきていることが指摘されています。これについては、企業を取り巻く経済環境の大きな変化を踏まえ児童手当を考える必要があることを示唆していると考えます。
 そもそも我が国において児童手当の導入が他の欧州諸国と比べてかなり遅く、また導入後もほとんど充実されなかった背景には、企業に家族手当があり、また終身雇用制や年功賃金のもとで、特に子育ての経済的負担が意識されなかった面もあったと思われます。
 ところが、既に家族手当を支給する企業の割合は減っております。同時に、終身雇用や年功賃金といった安定的な職を得られる可能性も低くなっています。景気の低迷とともに、親の経済的理由で高校を中退した人がふえていると聞いています。若年層の失業率も高く、これまでは児童手当がなくても企業に就職して子供を持つ生活がイメージできましたが、それが困難な環境になる中、企業にかわって、これからは児童手当が子供を持つ生活を支えていく時代になりつつあるのだと思われます。
 また、児童手当とあわせて、教育費の問題も議論すべきではないかと思います。
 日本は、児童手当の水準が低いことに加えて、教育費の私費負担割合も諸外国と比べて大きくなっています。奨学金の充実を初め、私学助成のあり方、公費で運営されるチャータースクールの可能性など、教育の分野でも多様な選択肢を公平に支える仕組みが期待されるところです。
 ノルウェーでは、児童手当は毎月原則として母親の口座に振り込まれると聞きました。子供を持つということと児童手当はほとんどセットで、人々の生活の中に位置づけられています。こうした現金給付は、税制の扶養控除と比べて目に見えやすく、子育てに対する社会の関心を示すものになっていると思います。ノルウェーでは、外国から養子縁組してまで子供を育てたいという人も多いと聞きましたが、そうした行動を支えている中心的な存在が児童手当であると言えます。
 以上でございます。拍手
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江口一雄#5
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 次に、都村参考人にお願いいたします。
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都村敦子#6
○都村参考人 都村でございます。おはようございます。
 児童手当法改正案について意見を述べさせていただきます。
 最初に、現行の児童養育家庭に対する経済的支援の問題点について取り上げたいと思います。
 我が国の児童手当制度の特徴としましては、第一に、制度の実施が諸外国に比べて遅かったということが挙げられます。日本で導入されたときに、既に世界の六十二カ国で実施されておりました。これは図表一から二を御参照ください。小さく産んで大きく育てることをねらいとして創設された我が国の児童手当制度でありますが、満二十八歳の誕生日を迎えた現在、大きく成長したとは言いがたい状況になっております。
 特徴の第二は、社会保障制度における児童手当の位置づけが明確でないということであります。
 ベバリッジは、児童手当を、一方では両親が責任を果たすための補助として、他方では社会が新しい責任を引き受けたものとして重く位置づけました。
 図表の三をごらんいただきたいのですけれども、これは児童手当給付費の対GDP比を示しています。国の資源の児童手当への投入割合の高い国は、スウェーデンなど第一グループです。平均してGDPの二・七%を児童手当として支給しています。日本は〇・〇三%です。
 それから、図表四の方は社会保障制度の中における児童手当のウエートを示していますけれども、この数値は、スウェーデンの一四・四%から日本の〇・三%まで、国により大きな差異を示しております。
 三番目の特徴は、支給対象の範囲が限定されているということであります。これは年齢要件と所得制限によるものです。
 図表の五をごらんいただきたいのですけれども、真ん中のところに「年齢制限」とございますけれども、諸外国では児童手当は十六歳から十八歳まで、あるいは学生の場合はそれ以上まで支給されますが、日本は三歳までです。そのために、日本では義務教育終了前児童の一一・六%しか受給していないのですね。ですけれども、諸外国ではすべての国で一〇〇%が受給しております。
 第四は、子育てのための経済的支援としての機能が弱いということであります。
 図表の六をごらんいただきたいのですけれども、これは、子供二人を養育している平均的な勤労者世帯にとって給付は手取り年収の何%ぐらいかというものであります。一列目が児童手当ですけれども、多い国では一〇%以上を支給しているということですけれども、日本はゼロであります。ただし、児童手当のみを比較することによって子供の扶養に対する国の援助策を議論することは十分ではありません。というのは、税制の扶養控除(所得控除)あるいは税額控除がありますので、それも児童手当と類似の機能を果たしているからであります。それを合計したのが一番右端ですけれども、多いところでは一七%から一八%ですが、日本では一・九%ということで非常に給付の規模が小さなものになっております。図表の七は、より新しい年について、児童手当の対手取り年収比を示したものであります。
 五番目の特徴としましては、被用者と非被用者では異なる費用負担方式を採用しているということです。財源のうち、事業主拠出金の占める割合が高いということであります。
 我が国の児童養育家庭に対する経済的支援は、社会保障(児童手当)と税制(扶養控除)を通じる混合システムによって行われているという点が、第二の問題点として取り上げることができると思います。
 この両システムの給付の間には、その目的から見ても、また、それらが個人の可処分所得を増加させるという点から見ても、違いはありません。しかし、公平の視点から問題があります。
 そこでは扶養控除の価値を書いておきましたけれども、これは標準的な給与所得者である平均給与の人と平均給与の三倍を稼得している裕福な給与所得者を比較したものであります。表の上のところは、高校生の子供が二人いる世帯ですけれども、標準的な給与所得者は月に一万七千三百円、裕福な給与所得者は月に四万四百円が税制を通じて扶養手当として支給されているということであります。表の下側は、小学生と中学生の子供が一人ずついる場合であります。
 このように、高所得層は、中所得層あるいは低所得層よりも児童のために国から大きな援助を受けているわけですね。これは、社会全体の公平という観点からは問題を提起しております。
 次に、図表の九をごらんいただきたいのですけれども、この図は税制と社会保障という所得保障のサブシステムの生み出すパターン及びそれらの総合的な効果を示しております。一番上の太い線が両システムからの給付を合わせた総給付であります。横軸に所得をとっておりますけれども、最も所得の低いAグループでは児童手当のみ、その次の中ぐらいのBグループでは児童手当と税制から援助を受けます、それから、高所得のCグループでは税制のみということになっております。
 社会保障と税制における給付の総合的な効果は、税制における所得控除システムの逆進的な性格によって強く影響されています。税制の扶養控除の効果が支配的でありまして、児童手当がせっかく実施されているのですけれども、その効果を弱めております。
 次に、児童養育家庭に対する経済的支援改革の方向についてです。
 第一は、社会保障と税制との相互調整を図ることです。ILOの百二号条約の家族給付に関する最低基準ともかかわるのですが、児童手当を所得保障制度として十分に機能する仕組みにすることが必要であります。
 図表の八をごらんいただきたいのですけれども、年間収入の低い階層に属する児童の割合が増加してきております。Iが最も低いグループなんですけれども、九八年で見ますと、IとIIに属するグループが全体の約四割を占めるようになっております。
 政策目的をより有効に達成するためには、税制の扶養控除を廃止して、すべての給付を社会保障(児童手当)を通して支給することが必要であります。
 国際的な動向を見ますと、児童養育家庭に対する経済的支援は、所得控除から税額控除へ、税額控除から社会保障の現金給付、児童手当へと置きかえられる傾向が強くなっております。多くの国々が児童扶養控除を廃止して、児童手当に統合し、再分配効果を高めるという制度改革を行っております。例えばスウェーデンでは、一九四八年に児童手当が実施されたのですけれども、それと同時に児童扶養控除の方は廃止されております。
 経済的支援改革の第二は、経済活動へのアクティブな参加を容易にすることであります。これは、仕事と育児の両立支援を図るということ、すなわち、雇用環境の整備、育児休業の改善、保育サービスの充実等を図るということであります。育児休業給付については、雇用保険の改正によりまして、二〇〇一年の一月から休業前の賃金の二五%から四〇%に引き上げられることになりましたけれども、これは非常に評価できる改革であると思います。
 最後に、今回改正の評価についてでございますけれども、児童手当と類似の機能を持つ税制の扶養控除との統合に向けて初めて一歩を踏み出したこと、すなわち、改革の方向性は評価できます。イギリスのティトマスが一九五八年に問題提起をしたわけですけれども、それを端緒としまして、諸施策間の機能の類似性はヨーロッパでは広く認識されまして、児童手当の改革に影響を与えました。我が国では、このティトマスの問題提起から四十二年目の改革として、その意義は非常に大きいと思います。
 私自身、一九七七年から実証分析に基づきまして児童手当と税制の扶養控除との統合の必要性を取り上げてきましたので、今回の改正は非常に評価できるというふうに喜んでおります。
 ただし、今回の改正は経過措置としての部分的改正でありまして、社会保障と税制との相互調整が徹底して行われないため問題が残り、国民にとって非常にわかりにくい改正となっております。児童手当の大幅な拡充を積極的に推進すべき時期であるにもかかわらず、極めて小規模な改正にとどまっているのは非常に残念であると思います。ニードの高いグループにより大きい公的援助が行われるよう、早い時期に検討が行われることを期待いたします。
 以上です。どうもありがとうございました。拍手
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江口一雄#7
○江口委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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江口一雄#8
○江口委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
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田村憲久#9
○田村委員 自由民主党の田村でございます。
 本日は、三参考人の皆様方には、大変貴重な御意見をありがとうございます。心より御礼を申し上げる次第であります。
 今、それぞれの参考人の皆様方のお話をお聞きしておりまして改めて思うわけでありますけれども、少子化対策と言っていいのかどうかわかりませんが、我が国の児童手当というもの、この制度自体が諸外国と比べて非常におくれておったということを感じるわけでありまして、これからこれを早急に整備をしていかなければいけないと改めて感じさせていただきました。
 少子化の問題というのは、まさに我が国において、我が国のみならずなんでしょうけれども、社会の構造すべてにかかわってくる問題であろう、経済、社会保険、すべてに影響が出てくる。よく考えてみますと、この少子化の問題を、人口構成の問題を解決していけば、今言われておる日本の課題のかなりの部分が解決していくのではないのかな、そんなことを思うわけであります。でありますから、今我が国におきましても、この少子化対策に対する認識というものが非常に高まってきておるわけでありますけれども、今回の児童手当の改正、一歩前進ということになるわけでありますけれども、今お話をお聞きしておりましても、お三方とも非常にこれは進めていくべきだ、そういう御意見だったと思います。
 ただ、金額の問題、支給年齢といいますか給付年齢の問題、所得制限の問題、若干お話しいただいたと思うのですけれども、果たして今回のもので効果があるのか、妥当なのか、そこら辺のところをお三方からそれぞれ御意見をちょうだいをいたしたいと思います。
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阿藤誠#10
○阿藤参考人 一つは年齢制限といいますか、三歳まで、あるいは今度は六歳までということが妥当かどうかということでありますが、方向として西欧諸国並みに、例えば日本で言えば高校卒の十八歳あたりまで延長する考え方が好ましいのではないかというふうに思います。大学につきましては、むしろ教育費の補助といいますか奨学金制度をもっと充実させるということで考えていったらどうかというふうに思います。
 それから、所得制限の妥当性ということでありますが、公正の観点からは制限がない方がいいのではないかと思うわけであります。
 それから、三番目の支給額の妥当性でありますが、特に具体的数字は今持ち合わせておりませんが、これもまた余りにも西欧諸国に比べて低過ぎるということでありますから、西欧諸国並みの水準にまで近づける、少なくとも、二十数年前の額が物価スライドがないために目減りしているというふうなことも考えると、これについても物価スライドを入れる考え方もあり得るというふうに思います。
 以上です。
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池本美香#11
○池本参考人 私も、所得制限については廃止するという方向で、ただし、それは先ほどの扶養控除の廃止とあわせて考えるべきだというふうに考えます。
 現在、扶養控除分として、非課税世帯では全く恩恵を受けていないわけですが、一番所得の高い層では十五歳までの現金給付総額が二百八十万ぐらいの援助を受けていて、そういった格差が既にあるわけですので、そういったものをすべて廃止して、新制度で月に一万円にすることによって一人当たり百九十二万円ですべての子供に支給するといった方向が望ましいのではないかというふうに考えています。
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都村敦子#12
○都村参考人 支給年齢でございますけれども、これはせめて義務教育終了前まで延長すべきだというふうに思います。
 それから、所得制限ですけれども、所得制限はもうほとんどの国が課しておりません。そのかわり、給付の効率性を重視する国では税として取り戻すわけですね。高所得の人のところに子供がいる場合も一応は全部給付をして、そのかわりに租税として取り戻せばいいわけですから、そのような形が可能ではないかというふうに思います。
 それから、手当の額ですけれども、児童手当は少子化対策の非常に重要な柱になると思うのですね。そういう意味では、今の水準は余りにも低過ぎるので、これは改善すべきです。
 先ほどお配りしました資料で、一番最後の図表の十三のところに書いてあるんですけれども、これは一九八二年の推計なんですけれども、児童手当の給付総額千六百五十九億円に対して、児童と学生に対する扶養控除が二兆四千百五十億円なんですね、財源としては。圧倒的に児童手当よりも扶養控除の財源が規模として大きいわけですから、それを統合することによって活用するという方法があると思います。手当額は改善するという方向が望ましいと思います。
 以上です。
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田村憲久#13
○田村委員 それぞれ、今回の改正でも金額的には低いんじゃないか、また、いろいろな制限ももう少し緩和していった方がいいんじゃないか、そういう御意見であったように思うわけであります。
 今、池本参考人の方から、扶養控除といいますか所得控除の方はなくしていって、児童手当の方に移行していくべきだ、そういう御意見がありました。今回に関しても、財源問題等々いろいろございまして、対象者は約倍増、倍以上にふえるという話なんですが、しかしながら、財源をどこから捻出するかという中で、年少扶養控除を十万円切り下げるというようなことを盛り込んだわけであります。これによって逆にマイナス要因といいますか、逆に言えば、今まで十分に控除を受けていた人たちが、控除される金額が減るわけでありまして、これがいわばマイナス要件になるんだろうと思うんですよね。
 そこら辺のところに関して、今回の制度改正が、プラスの部分とマイナスの部分をあわせてみても、やはりこちらの方がいいんだというようなお考え、確証というものがございますれば、ぜひともお三方からお願いいたします。
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阿藤誠#14
○阿藤参考人 もう既にほかの二人の参考人の先生からもお話がありましたが、子育ての経済的支援といいますか、これはもう少し総合的に考えていく必要があるわけであります。児童手当は児童手当だけ、扶養控除は扶養控除だけというのではなく、あるいは奨学金等も含めて、そういうものをもう少し総合的に検討する必要があるということで、それが大前提でありますが、今回の改正の中で曲がりなりにも扶養控除と児童手当というものを連動させたことは、そういう改革案の一つの端緒であったということで、これからの総合的な検討への一つのはずみになるのかな、そんなふうな評価をしております。
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池本美香#15
○池本参考人 扶養控除と児童手当の関係につきましては、ドイツの方で今回話を聞いてきたんですが、今ドイツでは児童手当か扶養控除の選択制ということになっておりまして、一定の所得階層までは児童手当でカバーして、一部分所得の高い層では扶養控除を選択する、こういう形になっております。
 では、なぜ全部児童手当に統一しないのかという質問に対しては、やはりマイナス部分がなかなか受け入れられないので、順次児童手当の水準を扶養控除の最高所得層のレベルにまで引き上げることを目標にしているという話なんですが、ただし、そこまでの財源が確保できないので、ある程度までは児童手当で、高所得層の部分については扶養控除という二段構造になっているというお話でした。
 ですので、日本でも当面、扶養控除を完全に廃止するのではなくて、高所得層の部分を残して、そこを目指して児童手当の水準を上げていくといったことも考えられるかというふうに考えます。ただし、そういうふうに扶養控除を廃止していく方向については、やはり公平性という観点からぜひ進めるべきだというふうに考えております。
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都村敦子#16
○都村参考人 今回の改正は、あくまで経過措置でありまして、中途半端な改正にとどまっていると思います。義務教育終了前の子供を育てている、特に中所得層あるいは低所得層の家庭に公的援助がきちっと公平に行き渡るように、早急に皆さんに検討を行っていただきたいというふうに思っております。
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田村憲久#17
○田村委員 それでは、阿藤参考人に御質問をさせていただきたいんですが、もちろん、現金給付というやり方、児童手当というやり方、これも少子化をとめる対策としては非常に重要な方法だと思います。しかしながら、これだけではなかなかとまっていかない。今までずっと少子化といいますか人口の構造を研究されてこられた参考人といたしましては、少子化対策としていろいろな対策をバランスよく講じていく中で、もちろん児童手当の位置づけというものもあるのですけれども、他にどういうものをこれとバランスよくあわせて充実をしていくべきであろうと思われておられますか。
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阿藤誠#18
○阿藤参考人 一つは、少子化対策という言葉は余り安易には使いたくないのでありますが、私の冒頭陳述でもお話ししましたように、先進国、西欧先進諸国では、確かに相対的に低い出生率を経験し、マクロ的には多くの問題に直面している側面があります。しかしながら、それらの国の中で、少子化対策というのを外国語で何と言うのか難しいのでありますが、日本語でこれを出生政策というふうにもし置きかえるのだとしますと、そういうことを言っている国はほとんどないんですね。フランスぐらいが伝統的にそういう政策をとっていますが、それ以外にはないわけでありまして、その辺は我々も十分に注意する必要がある。リプロダクティブライツという考え方がやはり根本にありますから、その辺の配慮というものが大変大切ではないかというふうに思います。
 その上で、さはさりながらということでありますが、言うまでもなく日本の場合には、戦後の出生力転換、多産から少産への変化、それから、それ以降の長寿化、そして七〇年代半ば以降の少子化という、一種のトリプルパンチで、日本の二十一世紀に始まる人口減少、高齢化の進展というものを諸外国に比べても大変厳しいものにしているということが一方であるわけであります。そういう意味で、それに全く手をこまねいていていいのかということは当然あるわけであります。
 その際の大きな考え方としては、これもまた私の最初の陳述でお話ししましたように、やはり先進国に共通する普遍的な理念というものをある程度掲げて、その中で物を考えていく。とりわけ男女共同参画ということは、この普遍的理念にかなうものだというふうに考えるわけであります。
 男女平等の教育というものがどんどん普及し、世界的に差別撤廃条約とかそういうものができている中で、さらには、二十一世紀、これまで二十五年間の少子化の結果として、若い労働力が急激に減り始める時代を日本が迎えているわけでありますから、これから女性がますます社会に出ていくことを要請もされ、それを望む状況の中で、私にとっては、何といっても男女共同参画の推進ということが大変大きな課題であるというふうに思っております。
 幸いに、日本は、九〇年代から、育児休業制度であるとかその所得保障の改善、それから、公的保育サービスの改善ということを続けておりまして、考え方としてそちらの方向に進んでいるということは大変結構ではないかというふうに思います。
 なお、制度をつくっても、実際に例えば育児休業をとりにくいような慣行とかそういう難しさがあるとか、男性が家事参加したくてもできないような労働条件あるいは企業の立地条件等々があるというふうな話も多く聞いております。そういう意味では、この問題は、幾つかの制度をいじれば解決するということはなかなか言えない問題であります。
 そういう意味で、社会全般の取り組み、とりわけ男女共同参画、あるいは子供は社会の宝であるという、ある程度皆さんに納得されるような理念を掲げて、その中で総合的な政策を進めていったらどうかというふうに思うわけであります。
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田村憲久#19
○田村委員 いずれにいたしましても、総合的な施策というものを確立していく必要があるように感じました。
 池本参考人には、世代間交流を通じて時間銀行なんというようなお話もたしか書物で読ませていただいたので、御質問させていただきたかったのですけれども、時間の方が来ましたので、これで終了させていただきます。どうもありがとうございます。
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江口一雄#20
○江口委員長 山本孝史君。
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山本孝史#21
○山本(孝)委員 民主党の山本孝史でございます。
 きょうは、お三方にはお忙しい中、お越しをいただきましてありがとうございました。
 まず、都村先生にお伺いをさせていただきたいと思います。
 小さく産んで大きく育てるはずだった児童手当が、大きく育ったとは言いがたい。それはなぜか。今までの政府の姿勢のどこに問題があった、あるいは児童手当がどういう形で理解をされてきたと御理解しておられますか。
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都村敦子#22
○都村参考人 外国では、国の将来は現在の児童によって決まるとか、あるいは子供は社会の宝であるという認識が社会全体に広まっていまして、児童政策に対する社会の関心が我が国よりも非常に高いと思うのです。
 我が国の場合は、割と高齢者対策に対する関心は高いのですけれども、児童政策に対する関心は今まで弱かったのではないかというふうに思います。それが、先ほど申しましたように、社会保障制度における児童手当の位置づけが明確でないというところにも出てきているというふうに思うわけですね。
 児童手当制度の社会的、経済的機能については、ほかの児童手当を充実している国々では共通した考え方がございます。一つは、児童養育により生ずる家庭の経済的負担を軽減するということですね。第二に、扶養児童のいる家庭と児童のいない家庭との間の家計負担の公平を確保するということであります。三番目に、次代の社会を担う子供の成長を社会全体で支えるということですね。それから四番目に、社会の活性化に役立つ給付である。そういう共通の考え方があります。
 ですけれども、我が国の場合は、やはり児童手当自体の位置づけも明確でなかったし、社会全体で子供を育てるということに対する関心も余り高くないところに問題があるのではないかというふうに思います。
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山本孝史#23
○山本(孝)委員 児童手当に対する社会の関心云々は今おっしゃったとおり、諸外国と日本との評価の仕方が違うというのもおっしゃったとおりだと思うのですが、私の質問の趣旨は、これまでの自民党政治の中で、政府の中でなぜ児童手当の拡充に力を入れてこられなかったのか。
 私の方からお答え申し上げれば、年金の給付と児童手当との給付の差があります、そういう意味で、いわば票田になっている高齢者の皆さんの声は大きいけれども、児童を育てている人たちの声は必ずしも反映されてこなかったということが言えるのではないかと思うのですが、都村先生と池本先生のお二人にお考えをお聞かせください。
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都村敦子#24
○都村参考人 その点は私も同感でございます。やはり、子供自身とかあるいは子供を育てている家庭の意見というのがなかなか政策立案者のところまで届かないという面はあったのではないかというふうに思います。
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池本美香#25
○池本参考人 私も、高齢者対策と少子化対策を比較した場合に、高齢者は発言する力を持っていますけれども、少子化というのは今後生まれてくる子供のことなので、だれもそれについて発言する人がいないということで、特に児童手当については声にならなかったということがあると思います。
 また、児童手当と保育サービスの比較で、保育サービスの方にどうしても政策が偏ってしまうというのも、実際に子供を持って働けないという人は本当に困っているので徹底的にそれを訴えてくるわけですが、何となくそういう支えがなくて子供を産むのをためらっている人たちの声はなかなか集まってこないという側面がありまして、そこをしっかりくみ上げていく必要があると思います。
 また、先ほども申し上げましたけれども、これまでは本当に日本の経済がうまく成長していたために、余り経済的負担ということが家庭に意識されなかったのですが、今後は経済環境が本当に大きく変わっていく中で、児童手当というのもまた新たな光を当てていくものではないかというふうに思っております。
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山本孝史#26
○山本(孝)委員 全く同感でございまして、私たち民主党は、やはり将来を見据えながら、これから子育てをしていこうという人たちにどういう施策をしていったらいいのかというところに力を入れていきたいと思っています。
 もう一点、都村先生にお伺いをしておきたいと思っているのです。
 お配りをいただきましたプリントの中であるいはただいまの御発言の中で、「今回の改正の評価」として、「児童手当と類似の機能をもつ税制の扶養控除との統合に向けて、はじめて一歩を踏み出したことは評価できる。」と。我々民主党も控除よりも手当の方がいいということで考えておりまして、ここは同じなのですが、一点違いますのは、今回の改正が税制の扶養控除との統合に向けてとおっしゃっておられるのですけれども、実はその財源に当たっているのは年少扶養控除の昨年十万円引き上げをした金額で、一年限りでというふうに御説明される向きもありますが、当時の議論の中では、これは教育減税といいましょうか、大変教育費がかかっている部分に配慮してこの控除制度をつくって手当てをしていこうということだったわけですね。そういう意味では、必ずしも税制の扶養控除との統合に向かっているわけではないと私は理解をしておるのですが、これは先生若干誤解があるのではないかと思いますので、お聞きをしておきたいと思います。
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都村敦子#27
○都村参考人 この児童手当と税制との調整については、厚生省の研究会でもかなり前に検討いたしましたし、社会保障制度審議会の将来像委員会、それから、一九九五年勧告でも、公正な制度にするために児童手当と税制の扶養控除の統合に向けての検討が必要であるということを勧告してきているわけなんですね。
 おっしゃるように、年少扶養控除の十万円を戻したというだけで、非常に部分的ではあるのですけれども、初めて、税制の扶養控除も児童手当と同じような機能を持つ給付であるから、その両方を視野に入れて考えなければいけないという視点が出てきたのですね。今後、これが本当の第一段階で、もっと第二段階、あるいは本当に抜本的な改正に向けて進むかどうかはこれからの検討の仕方にかかっているわけで、私としては、これは両システムの調整に向けて第一歩を踏み出したというふうに考えております。
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山本孝史#28
○山本(孝)委員 そのようになっていくかどうかはこれからの与党の協議あるいは政治の場の議論だというふうに思いますけれども、もとへ戻っただけであって、私は、これは一歩踏み出しているとおっしゃるのはかなり無理がある、正確に理解をされた方がよろしいかなと失礼ながら思います。
 それから、きょうは、池本参考人も都村参考人も、どちらも諸外国との比較ということでお話をされているわけですね。確かに、年齢の支給対象の範囲あるいは所得制限のあり方等々を見ましても、金額を見ましても、どの数字をとっても日本の場合にはかなり低いということが言えるわけですけれども、私は、この単純な比較というのは非常に危険を伴ってくるのではないかと思っています。
 その一番の問題は、税制のあり方。とりわけ日本の場合に、自営業者等々の所得の捕捉、被用者と自営業者との間の所得の捕捉のあり方が不公平、不公正なままで何とかその制度を前提に児童手当で調整をしていこうとすると、そこにかなり無理が出てくるのではないかと思うわけです。そういう意味で、諸外国の例をよく御研究なさっておられる池本参考人並びに都村参考人に、日本の税制はこのままで扶養控除を児童手当に変えていけばいいのではないかとか、あるいは金額をもっと上げていけばいいのではないかという議論はかなり無理があるのではないかと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたい。
 もう一点、池本参考人にお伺いをしたいのですが、お書きになっておられますレポートといいましょうか論文の中で、扶養控除の廃止等により、現行の十六倍程度に金額を上げていったらいいのではないかという御主張もございました。扶養控除の廃止によって今のこの金額を十六倍に上げるほどの金額は出てまいりませんので、「等」とおっしゃっておられる中にどういうことをお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
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池本美香#29
○池本参考人 まず、現行の十六倍程度に上げるという案についてですけれども、これは、確かに扶養控除の廃止のみによっては当然賄えないわけでして、残り一・五兆円だったかと思いますが、その額は別途何らかの形で補てんしなくてはいけないということです。
 それについては先ほども申し上げましたが、自分たちの世代が、これは上智大学の山崎先生が言っている児童年金の考え方にも共通するんですけれども、児童手当の被用者負担といいますか、必ずしも企業に負担させるのではなくて、個々人が負担をして自分たちの年金を支えてくれる次の世代を育てていくというような形の保険制度のようなものを導入する可能性もあるのではないかというふうに考えています。
 あともう一つの質問は、ちょっと……(山本(孝)委員「いいです、わかりました」と呼ぶ)
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