農林水産委員会

2001-05-29 衆議院 全130発言

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会議録情報#0
平成十三年五月二十九日(火曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 堀込 征雄君
   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君
   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君
   理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君
      金田 英行君    上川 陽子君
      北村 誠吾君    後藤田正純君
      七条  明君    園田 博之君
      高木  毅君    西川 京子君
      浜田 靖一君    菱田 嘉明君
      平井 卓也君    山本 公一君
     吉田六左エ門君    古賀 一成君
      後藤 茂之君    佐藤謙一郎君
      鮫島 宗明君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    楢崎 欣弥君
      日野 市朗君    牧  義夫君
      松原  仁君    漆原 良夫君
      江田 康幸君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      金子 恭之君    藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君
   政府参考人
   (水産庁長官)      渡辺 好明君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    —————————————
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     平井 卓也君
  七条  明君     山本 公一君
  後藤 茂之君     日野 市朗君
  城島 正光君     鮫島 宗明君
  永田 寿康君     牧  義夫君
  江田 康幸君     漆原 良夫君
同日
 辞任         補欠選任
  平井 卓也君     上川 陽子君
  山本 公一君     七条  明君
  鮫島 宗明君     松原  仁君
  日野 市朗君     後藤 茂之君
  牧  義夫君     永田 寿康君
  漆原 良夫君     江田 康幸君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     城島 正光君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 水産基本法案(内閣提出第七五号)
 漁業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
 漁港法の一部を改正する法律案起草の件

     ————◇—————
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堀込征雄#1
○堀込委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、水産基本法案、漁業法等の一部を改正する法律案及び海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として水産庁長官渡辺好明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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堀込征雄#2
○堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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堀込征雄#3
○堀込委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。
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漆原良夫#4
○漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。久しぶりに農水委員会で質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 きょうは、FRP船の処理についてお尋ねしたいと思うんですが、一九六〇年ころから漁船だとかプレジャーボートなどにFRPが使われまして、その素材は薄くて強いことから、従来の木とか鉄を使った船に取ってかわっております。今、我が国においても多くのFRPを素材とした船が建造されております。
 しかし、このFRPというのは、今度処理の段階ではその強さが弱点になりまして、焼けばガラス成分が溶けて、焼却炉を傷めてしまいます。また、有害ガスも発生し、大量の二酸化炭素を出してしまうという問題点があります。今のところ、粉砕をして埋める以外に処理の方法はないというふうに聞いております。FRPは強度が高いため粉砕にも大量のエネルギーとコストがかかる、その処理の難しさが、今度は不法投棄、不法係留につながっているというふうに言われております。
 そんなことで、FRP船の耐用年数は約三十年から四十年と言われておりまして、現在、徐々に寿命を迎える船が出始めている、しかし、いまだに有効な処理方法が確立されていないというのが現状ではないかというふうに認識しておるところでございます。
 まず、水産庁長官にお尋ね申し上げたいんですが、現在、FRPを使用した漁船の総数は一体どのくらいあるのか、どのくらい把握されているのか、お尋ねをしたいと思います。
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渡辺好明#5
○渡辺政府参考人 御指摘のFRP船でありますけれども、ここ二十年ぐらいの間に非常に大きく数が増加いたしまして、現在三十万隻を若干超えるという水準にございます。
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漆原良夫#6
○漆原委員 この三十万隻ある船が徐々に廃船となるわけでございますが、水産庁は廃船となる船がどのくらいと掌握されているかわかりませんが、私の調べた数では、二〇〇一年度で廃船が予定されている船の数は二万五千七百六十四そうである、重量にして五万七千四百五十三トンある。したがって、本年度以降毎年四、五万トンのFRP廃船の処理が必要であるとのデータがあるわけでございますが、このような現状では、寿命を終えた多くのFRP船が不法投棄、不法係留されることになります。
 水産庁としては一日も早く、低コストで、しかも有効な、また環境に優しい処理方法を確立すべきであるというふうに私は考えておりますが、長官、いかがでございましょうか。
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渡辺好明#7
○渡辺政府参考人 御指摘のとおりでありまして、水産庁といたしましても、FRP廃船のセメント原料あるいは燃料にするというふうなリサイクル実験についても実施をいたしました。
 同時に、その処理施設や用地の整備につきましても、水産庁の公共事業等でその対象にしているわけでございますけれども、やはり何と申しましてもコストが高いこと、それから技術水準がなかなか追いつかないこと、そして廃船に伴う費用負担は事業者負担となっていることがネックでございます。
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漆原良夫#8
○漆原委員 今、長官が処理の費用は利用者負担だということをおっしゃいましたが、現時点におけるFRP船の廃船は一体どんなふうな処理をされているのか、そして、その処理にはどんな問題点があるとお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
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渡辺好明#9
○渡辺政府参考人 いわゆる廃棄物の処理の原則に伴いまして、事業者たる漁業者がみずからの責任において処理をするということでございますが、実際上は、廃棄物処理業者に委託をいたしまして焼却をする、あるいは埋め立てをするというのが大宗でございます。
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漆原良夫#10
○漆原委員 コストの点では、どのくらいのコストがかかると認識されていますでしょうか。
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渡辺好明#11
○渡辺政府参考人 先ほどは隻数を申し上げましたけれども、トン当たりで十万近くはかかるというふうなことを聞いております。
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漆原良夫#12
○漆原委員 水産庁においては、今後、将来の取り組みでございますが、現在、どんな処理方法についての取り組みをされているのか、少しお話をいただきたいと思います。
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渡辺好明#13
○渡辺政府参考人 処理の点では、先ほどもちょっとお話をいたしましたけれども、セメントの原料にする、あるいは燃料にする、もう一度油に戻すということが手法としては考えられます。
 それからもう一つ、原点に戻りまして、強い強度でありますけれども、できるだけFRPの部材を使わないという方向はないのだろうかというふうなことにつきましても利用開発をしているところでございます。
 また、この問題は、漁船に限らずプレジャーボートの問題とも関連をいたしますので、国土交通省におきましてFRP船のリサイクルについての調査検討を行っておりますので、それに参加をいたしまして、何かもう少し現実的な方途がないか探求をしているところでございます。
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漆原良夫#14
○漆原委員 今、国土交通省と連携をしながら研究をしているというふうにお答えいただいたわけなんですが、今、その研究がどの程度いっているのか、そしてそれが現実にどの程度まで利用される段階になっているのか、その辺の調査結果、研究結果を、少し経緯をお知らせいただきたいと思います。
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渡辺好明#15
○渡辺政府参考人 率直に申しまして、まだ緒についたという段階と思っております。
 委員会を構成いたしまして、一つはリサイクル、粉砕をしたり油を取ったりするという系統の回し方、それから船体そのものをもう一回リユースするというふうなチーム、さらに先生から御指摘がありました、ではコストをどれだけ下げられるか、処理費用をどれだけ下げられるかというふうな経済性の評価のワーキンググループをつくりまして、調査検討が始まっているという状況でございます。
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漆原良夫#16
○漆原委員 ついこの前、私、新聞で、大分県の産業技術センター研究員谷口秀樹さんの紹介記事を読んだのですが、「廃船で「海の森」構想」という大見出しの記事がありました。
 どんなことが書いてあるかというと、
 九九年から、専門の炭化の技術をFRP処理に応用する研究に着手した。
  研究がうまくいけば、プラスチック中の炭素は二酸化炭素として放出されずに炭の形で残る。炭には水質を浄化する働きもある。海の中で藻場をつくり魚を育てるだけでなく、海をきれいにすることもできないか—。“海の森”づくりの夢が、実現へ一歩ずつ近づいている。
こんなふうな記事でございます。
 海の森をつくるというのはなかなかロマンのある言葉でございまして、しかも、FRP廃船を再利用して、水質を浄化しながら藻場が形成され、それがさらに魚礁となっていくのだ、こういうことでございます。
 海の森というこの構想は、まさに私は一石二鳥、三鳥、四鳥の発想だと思うのです。まず、実現可能かどうかは別として、こういう海の森の発想について長官の感想があればお聞きしたいなと思っておりますが、お願いします。
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渡辺好明#17
○渡辺政府参考人 私自身は非常におもしろいと思っております。これまで水産庁は、魚礁の設置事業の中で、いわゆる沈船魚礁という形で、古い船を沈めてそこを魚の生息場所にするというふうなことをやっているのですが、今御指摘があった手法は、一たん炭化をして、しかも多孔性の繊維の状態にする、そうしますと非常に小さなプランクトン等がすんだり、稚魚がそこで生育をしたりということも考えられますので、非常におもしろい研究テーマであろうかと思います。
 お聞きするところ、十一年度から十二年度にかけまして、財団法人地球環境産業技術研究機構の支援によって、九州大学を実施主体とした研究をやっているということでございますので、私どもその成果も参考にさせていただきながら、今後、もう少しこういった手法について勉強させていただきたいと思います。
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漆原良夫#18
○漆原委員 そんな記事を読んで、私も大変おもしろいなと思っていたところ、読売新聞で、昨年十月四日の夕刊に記事が出ておりました。これは、「廃棄ボートを漁礁に」そして「FRP 環境にやさしくリサイクル」、こういうふうな見出しで出ております。
 中を読んでみますと、九州大学機能物質科学研究所や大分県産業科学技術センターなどでつくる研究グループが、「廃棄された強化プラスチック製のプレジャーボートや漁船の船体を炭化処理し、漁礁として再利用する技術開発に成功した。炭化すると、藻が付着しやすく、小魚の産卵や稚魚の育成に適している、という。」研究成果は昨年、新聞ではことしになっておりましたが、昨年七月、ドイツ・ベルリンで開かれた国際炭素学会で報告された、こういう記事が載っておりました。
 そこで、私は、早速この九州大学の機能物質科学研究所所長でいらっしゃいます持田勲教授に面会を求めまして、この内容を少し詳しく聞いてみたわけでございます。その際にちょうだいした資料を、委員長の許しを得て皆さんにお配りしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
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堀込征雄#19
○堀込委員長 結構でございます。
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漆原良夫#20
○漆原委員 皆さんのお手元に配付させていただいている「水産業の技術革新を目指した新規課題の提案」、課題名が「ガラス繊維強化プラスチック廃船の炭化処理及び水質浄化構造物としての再利用」、こういう書類をいただいていろいろ説明を受けたのです。
 まず、この「背景」というところを少し見ていただいて、なぜこの提案をしたのかという説明を受けました。
 この「背景」を見ますと、真ん中辺に、既存の処理方法には三つあるのだと。その一つは焼却処理があるのだ、しかし焼却処理は可能であるけれども、「難燃性のため高温を要し、特別な炉が必要であり、多量のガラスを含むため、結果、大量のスラグが残存する。」二つは、切断後骨材利用もあるけれども、「切断コストが大きい。」三番目は、そのまま海中に沈めてしまう、それで魚礁にするということも提案されているのだけれども、「可塑材の溶出による危険性がある。」こんなことが背景で、「提案内容」という理由がありますが、今回の発案をしたと。
 「提案内容」では、「新規性」のところで、FRP廃船を「炭化し、さらに賦活して多孔性ガラス繊維炭素複合材料に転換し、水質浄化構造物として機能させると共に、藻場の形成を促進し、結果最終的には魚礁として機能する。」、「実用化の見通し」については、実際、これは四百度から五百度Cで炭化した後に七百度から千度で焼成すると、多孔性ガラス繊維炭素複合材料ができるのだ。これはFRPと違って水没することができるのだ。その結果、海中のプランクトンがそこに発生するのだ。
 以上のことから、FRP廃船を「そのまま、もしくは大分割で炭化、焼成すれば水質浄化構造物として機能しつつ、藻場の促進、結果、魚礁としての機能をもつ」、こういう提案がされておるわけでございます。
 そして、この三番目の「期待される効果」というところでございますが、その「成果」としては、FRP船を解体処理しないで、生物環境に無害な活性炭素構造物に転換をして、河川だとか湖沼だとか海域の浄化及びその結果として生物活性の非常に高い魚礁としての利用を実現できるのだ、「波及効果」としては、「経済的効果」だとかあるいは「社会的効果」を挙げられております。
 こんなことを説明を受けて、大分これは技術としては成功しつつあるのかなと。これが本当に実用化できれば、まさに処理に困っていたFRP船を利用して、いそ焼けなんということが言われておりますが、そこに沈めることによって藻場を形成して、そこに小魚がたくさん来て、それを食べに大きな魚が来る、そしてそこが魚礁となって育っていくということであれば、また水もきれいになる、こういういろいろな波及効果があるということを考えれば、まさに先ほど申しました海の森ということになりまして、一石二鳥、三鳥、四鳥だというふうに私は大変感銘を受けたわけでございます。
 そんなことで長官にお尋ねしたいのですが、この研究成果については、持田教授がおっしゃるには、実は昨年の十二月二十六日に水産庁研究指導課に提出済みであるというふうに聞いております。FRP船の解体処理を行わないで、生物環境に無害な活性炭素構造物に転換することによって、先ほど申しましたいろいろな効果があるという画期的な研究であると考えております。
 水産庁としては、ぜひともこの研究に積極的に取り組んでいただきたいというふうに私は思っております。昨年の十二月二十六日に、多分長官はごらんになったかどうかわかりませんが、水産庁の研究指導課に提出済みであるというふうに聞いております。今、どのようにお考えなのか、また、どのように取り組んでいこうとされているのか、長官のお考えをお尋ねしたいと思います。
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渡辺好明#21
○渡辺政府参考人 水産庁の研究指導課にということでありますけれども、研究指導課がイニシアチブをとっておりますマリノフォーラム21のある種の事業として研究課題は提出されたわけでございます。それは承知をいたしております。
 先ほどお話をいたしましたように、十一年度、十二年度かけまして、他の公益法人でこの研究テーマに沿った事業化なり検討が行われておりますので、その検討成果を十分取り入れた上で次のステップを考えようということになりまして、十四年度は採択から外れたというふうな状況にございます。
 このマリノフォーラムでは、科学者、研究者たちが集まりまして、それぞれのテーマを審査いたします。相当高い倍率でございますけれども、そういう中できょうの先生のお話も参考にしながら、これは十四年度のといいますか十五年度といいますか、そういった方向で、また審査テーマに上げるかどうか、勉強させていただきたいと思います。
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漆原良夫#22
○漆原委員 いろいろ申し上げましたが、おもしろい方法だなと思っておりますので、まさに低コストでありかつ有効な、この私の申し出に限らず、広く、低コストでかつ有効な処理方法の取り組みをぜひとも水産庁にお願いをさせていただいて、少し早いんですが、私の質問はこれで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
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堀込征雄#23
○堀込委員長 次に、佐藤謙一郎君。
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佐藤謙一郎#24
○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。
 武部大臣とは、かつてからいろいろな場面、場面で御一緒することが多かったわけでありますが、今回の大臣就任後のいろいろと答弁を伺っていますと、多少饒舌に過ぎるかなと思いつつも、情熱がそのままあふれ出て、御本人の言葉で御答弁をされているというのは、私は大変すばらしいことだと評価をさせていただきます。
 そこで、まず、きょうは所管外のことからちょっと御質問させていただきたいんですけれども、ハンセン病の問題で、ハンセン病の控訴を小泉政権は断念をされたわけでありますが、同じそうした裁判で水俣病の問題、これは関西に移り住んでいる水俣病の未認定患者五十八人と御遺族が、国と熊本県、チッソを相手に総額十九億円の損害賠償を求めた、そうした訴訟でありました。私は、改革、政治優先、政治決断の小泉政権で、この水俣病の上告も断念されるんじゃないかなというふうに期待をしていたんですが、残念ながらそうはなりませんでした。
 所管外と冒頭申し上げましたけれども、水俣を中心とした漁業者に大変多くの苦しみ、悲劇をもたらしたこの水俣病、決して農水委員会、農水大臣がらち外にあるということではないと思いますので、この上告に対して御見解をお示しいただきたいと思います。
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武部勤#25
○武部国務大臣 私も、過去にこのような水俣の悲劇が起きたということは大変残念なことと思っておりまして、心を痛めている次第でございます。
 水俣病の問題につきましては、これまでも、その時々においてできる限りの努力をしてきた、かように存じております。水俣病関西訴訟の原告の方々を除けば、平成七年、当時の与党三党、自民、社会、さきがけ三党による政治解決が行われた次第でありまして、約一万一千人の方々が救済を受けているというところでございます。
 しかしながら、先般の大阪高裁判決は、一部国の責任が認められているため、国としてこの判決をそのまま受け入れることは、かえって水俣病対策に混乱が生じ、本問題の解決をおくらせる懸念がある、かように考えまして、最高裁に上告し、その判断を仰ぐこととしたものと承知しております。
 いずれにしても、私はこの問題の早期解決を願っているということは当然でございます。
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佐藤謙一郎#26
○佐藤(謙)委員 残念ながら、大臣の御自身の言葉じゃないような感じがしましたが、早期解決を目指しているのであれば、当然、上告断念がしかるべきだっただろう。平成七年の和解に応じられた患者連合の方々も、わだかまりはあるけれども、高齢化したということもあって上告は断念すべきだと言っておられますし、熊本県もじくじたる思いでということで、言外に何かの圧力を表明しているわけであります。
 こうしたところに政治決着という判断ができなかったのは非常に私は残念だと思いますが、この水俣病の問題一つとっても、どうも開発ですとか汚染からどうやって漁業者を守るかという視点が著しく欠けている、そうしたここ数十年であったんじゃないかなと思うのです。
 有明海、諫早湾の干拓事業や環境の悪化、それにまつまでもないわけですけれども、例えば私がつい最近経験をした、富山湾、黒部川に出し平ダムと宇奈月ダムの連携排砂の問題がありました。ダムからたまった砂を、堆砂を一気に吐き出そうとしたところ、そのヘドロが黒部川から富山湾にかけて排出して、おかげで富山湾のヒラメの刺し網漁が全滅してしまうというようなことがあるわけです。これはダムと漁業者の問題。
 あるいは、東京湾で今問題になっている有明十六万坪、エドハゼ、江戸前ハゼが全滅すると言われている、あの有明地区の埋め立て問題、これも開発と漁業という問題です。
 あるいは、目を転じてODAの問題ですけれども、タイで大変大きな汚水処理施設、サムットプラカンというところで大変大きな汚水処理施設を、日本とアジア開発銀行の金でそうした施設をつくろうとしているけれども、それは、タイのその周辺の貝をとることによって生活をしている漁業者を今悲劇の底に陥れようとしている。
 そうした問題を考えますと、開発や汚染からどうやって漁業者を守るか、ひいてはそれは、我々消費者の食の安全にどうやってそれをつなげていくかということは大変大きな問題であるわけですけれども、どうも今の水産基本法を初めとした農水省の対応というのは、一つの殻の中に閉じこもって、その土俵の中で何とかうまい方法はないだろうかと、知恵を絞っていることは十分わかるわけですけれども、そうした議論の広がりがないために、何とも中途半端な法律体系で終わっているんではないかなと思うのです。
 こうした開発や汚染に対して、積極的にこれからどういう取り組みをしていくかという決意を御披露いただければと思います。
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武部勤#27
○武部国務大臣 先般、二十六日に私は有明海を視察いたしました。また、諫早湾の干拓事業も目の当たりに見てまいりました。
 その際に、現地のいろいろな方々のお話を聞いて強く感じたのは、有明海一つとっても、海域環境を変えるということについては、私どもが想像していることとはまた全く違った地元のさまざまな事情があるのだなということを感じました。
 例えて言うならば、筑後川の大堰、ダム、これについても、今までのダム建設であれば、河川環境を維持する、水量を維持するというようなことが環境を重視したやり方だ、こういうふうになっておりますけれども、水量ではだめなんだ。やはり有明海の場合には底質が問題なので、それには一定の流速があって、大雨が降ったときなどに砂れきが一気に海に流れ出している。その砂れきが魚礁や二枚貝などの生息の条件をつくっているんだというようなことを聞いてまいりました。
 したがいまして、今佐藤先生御指摘の、環境のことを十二分に考えない今までのやり方という御批判は、甘んじてそれを受けとめなければならない、私もこう思っております。環境を重視するということについては、単に環境を保全するというような考えではなくして、やはりサロマ湖の場合にも、前に申し上げましたように、サロマ湖の環境浄化、一つの湖口を切り開いて、一つあるのをもう一つ切り開いて、そのことによって潮通しがよくなる。湖口を切り開くということは、自然保護者からすれば大変な反対のある話なんです。ところが、切り開いたことによって潮通しがよくなってサロマ湖の環境が浄化された、そういう事実を我々目の当たりにしているわけであります。
 したがいまして、今回の水産基本法案の第二十六条においても「環境との調和に配慮しつつ」と特に規定しておりますことは、環境保全というよりも幅広い、もう少し上の、次元の高いというような表現はどうかは知りませんけれども、そういう考え方で規定している次第でございます。
 環境に影響を及ぼすと懸念される開発事業の実施につきましては、環境影響評価法、公有水面埋立法による所要の手続なども必要としておりますし、これらの過程において環境大臣及び漁業関係者から十分意見を聞き、反映される仕組みになっているとも考えますし、今度の基本法によりましてこういったことがより担保されるのではないか、かように私ども確信を持って提案させていただいているということを御理解いただきたいと思います。
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佐藤謙一郎#28
○佐藤(謙)委員 今回の水産基本法の議論を通じて一つ非常に不毛だったのは、保全と調和という言葉の遊びに終始してしまっていて、場合によっては保全よりも調和の方が重い概念だなんということを言われてしまうと、そこで議論は終わってしまうのですね。
 どうも今調和と保全の議論で、いじるなということに対する過剰反応があって、何が何でもいじるなじゃなくて、もっといい方法があるんだということを言われたいのでしょうが、保全というのは決していじるなということじゃないわけですね、もとどおりにしろということでもないわけで、そこに保全というものの奥深さがあるのじゃないかなというふうに私は思うわけです。
 その辺については後で議論をさせていただくとして、今、環境にもう少し積極的になれと言われればそのとおりだ、そうしたお話と、行き過ぎても問題がある、そうした御議論でありましたけれども、水俣病の問題あるいは今回の諫早湾の干拓事業、ノリの不作対策等を考えてみますと、予防原則というのがこれから大変大事な概念になってくるのではないかなというふうに私は考えております。
 これは本来、化学物質から議論が進められてきたそうした原則でありますけれども、今度の新環境基本計画の化学物質対策の中にも、十分とは言えませんが、位置づけられました。
 これは一言で言うと、ある行為が人間の健康あるいは環境に悪影響を与えるおそれがある場合、たとえその因果関係が科学的に立証されていなくても予防措置がとられるべきであるという、ウイングスプレッド会議で確認をされたそうした原則でありまして、これは地球サミットのリオ宣言でもこういうふうに書かれています。
 環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き延ばす理由にしてはならない。
こう書いてあるわけであります。
 水俣のそうした不幸、水質保全二法がその後途中ででき上がったけれども時既に遅かった現実を考えますと、我々は一歩踏み込んで予防原則というそうした概念を、これから漁業、特に水産基本法を初めとしたこうした消費者の食の安全に直結をするようなときには常に頭の中に入れておかなければいけない、そう考えております。あるいは後の基本計画等にそうしたことを入れ込んでいく、そうした積極的なお考えがあるかどうか、お示しいただきたいと思います。
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武部勤#29
○武部国務大臣 具体的にどのように織り込むかということはともかくといたしまして、自分の言葉で話をせよといいますと、いつも申し上げるのは、我々は自然の恵みに感謝し、自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちを持つということが原点だ、このように申し上げております。
 今回参りました際にも、私は、いろいろな批判もさることながら、お互いの足元を見詰め直してみる必要があるのではないか、このように申し上げたわけでありますけれども、先生の御指摘の点については拳々服膺して対処していかなければならない、かように存じている次第でございます。
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