憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会
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会
会議録情報#0
平成十六年四月二十二日(木曜日)
午前九時一分開議
出席小委員
小委員長 近藤 基彦君
伊藤 公介君 大村 秀章君
河野 太郎君 渡海紀三朗君
中谷 元君 平井 卓也君
大出 彰君 楠田 大蔵君
篠原 孝君 田中眞紀子君
福島 豊君 塩川 鉄也君
土井たか子君
…………………………………
憲法調査会会長代理 仙谷 由人君
参考人
(青山学院大学国際政治経済学部教授) 菊池 努君
衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君
—————————————
四月二十二日
小委員山口富男君及び土井たか子君同月十五日委員辞任につき、その補欠として塩川鉄也君及び土井たか子君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
小委員武正公一君同日委員辞任につき、その補欠として篠原孝君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
小委員篠原孝君及び塩川鉄也君同日委員辞任につき、その補欠として武正公一君及び山口富男君が会長の指名で小委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
安全保障及び国際協力等に関する件(地域安全保障)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時一分開議
出席小委員
小委員長 近藤 基彦君
伊藤 公介君 大村 秀章君
河野 太郎君 渡海紀三朗君
中谷 元君 平井 卓也君
大出 彰君 楠田 大蔵君
篠原 孝君 田中眞紀子君
福島 豊君 塩川 鉄也君
土井たか子君
…………………………………
憲法調査会会長代理 仙谷 由人君
参考人
(青山学院大学国際政治経済学部教授) 菊池 努君
衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君
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四月二十二日
小委員山口富男君及び土井たか子君同月十五日委員辞任につき、その補欠として塩川鉄也君及び土井たか子君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
小委員武正公一君同日委員辞任につき、その補欠として篠原孝君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
小委員篠原孝君及び塩川鉄也君同日委員辞任につき、その補欠として武正公一君及び山口富男君が会長の指名で小委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
安全保障及び国際協力等に関する件(地域安全保障)
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近
近藤基彦#1
○近藤小委員長 これより会議を開きます。
安全保障及び国際協力等に関する件、特に地域安全保障について調査を進めます。
本日は、参考人として青山学院大学国際政治経済学部教授菊池努君に御出席をいただいております。
この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。
本日の議事の順序について申し上げます。
まず、菊池参考人から地域安全保障について、憲法の視点からのFTA問題も含め、四十分以内で御意見をお述べいただき、その後、小委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は小委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
御発言は着席のままでお願いいたします。
それでは、菊池参考人、よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →安全保障及び国際協力等に関する件、特に地域安全保障について調査を進めます。
本日は、参考人として青山学院大学国際政治経済学部教授菊池努君に御出席をいただいております。
この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。
本日の議事の順序について申し上げます。
まず、菊池参考人から地域安全保障について、憲法の視点からのFTA問題も含め、四十分以内で御意見をお述べいただき、その後、小委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は小委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
御発言は着席のままでお願いいたします。
それでは、菊池参考人、よろしくお願いいたします。
菊
菊池努#2
○菊池参考人 青山学院の菊池でございます。
私は、青山学院で主にアジア太平洋の国際関係を教え、また勉強しております。それから、財団法人日本国際問題研究所あるいは平和・安全保障研究所といったシンクタンクでも長い間仕事をしております。その一環として、主にアジア太平洋の安全保障あるいは経済協力といった分野で数多くの会合に参加をしております。きょうは、このような機会を与えられまして、大変光栄に存じます。
きょう私がお話しします地域安全保障でございますが、特にアジア太平洋の問題についてお話を申し上げたいと思います。
お話をする前に、我々は、アジア太平洋の安全保障というのを考えるときに、どういう点に注意をする必要があるのであろうかということについて、最初に三つほどお話し申し上げたいと思います。
一つは、日本の安全保障、あるいは日本の繁栄を維持するために日本本土を外敵から守る、あるいは日本の経済的繁栄を維持するということは、もとより最も重要なことであります。ただ、同時に、今日、経済がますますグローバル化しております。さらに、テロリズムあるいは大量破壊兵器の拡散といった新しい問題が起こってきております。我々の安全あるいは繁栄というのは、ますます地域全体あるいは国際社会全体の平和や安定と深く結びつくようになっているということだろうと思います。
実際、遠隔の地で起こった、我々が全くあずかり知らないような出来事が我々の生命財産に非常に大きな影響を及ぼすようになってきているということだろうと思います。つまり、我々は、安全保障を考える際に、やはり地域全体あるいは国際社会全体との協力、協調というものを考えながら進めなければいけないということだろうと思います。
あるドイツの有名な社会学者が、現代はリスク社会である、リスクソサエティーであるということを言ったことがあります。つまり、我々は今まで経験しなかったような新しいリスクに直面している。それも、我々自身が全く責任のないような、我々が全くあずかり知らないようなところで起こったことが、我々の生命財産に深刻な影響を及ぼすような時代がやってきたんだということを言っております。そういう時代に我々は今生きているということだろうと思います。
二番目は、軍事力というのは依然として安全保障にとって最も重要な要素であります。ただ、同時に、軍事力だけで対応できないような新しい脅威、新しい問題というのが数多く発生しております。したがって、軍事あるいは政治、経済、社会にわたる総合的な取り組みというのが今日ますます重要になってきているということだろうと思います。
三番目は、国家と国家の戦争という非常に古典的な、平和と安全の問題というのは、今日、依然としてまだ重要な問題であります。ただ、それと同時に、テロリストグループに見られますように、国家ではない、非国家のグループによる混乱あるいは地域全体への脅威というのが我々にとって非常に大きな問題になっており、こういうものへの対応というのも今日非常に重要な課題になっているということだろうと思います。
以上のようなことを踏まえて、我々、アジア太平洋の地域安全保障というのをどのように考えたらいいのかということを次にお話し申し上げます。
アジア太平洋といいますと、しばしば多様性ということが指摘されます。非常に多様な国家がこの地域に存在をしております。私は、お配りしたレジュメで書きましたように、非常に乱暴ではありますが、これを三つの国家群といいますか、カテゴリーに分けてみました。
一つは、既に近代化を達成した諸国がこの地域にはあります。つまり、国づくりを進めて、そして非常に安定した国家を既に築き上げている。国民は、政治的な自由を享受し、経済的な繁栄というのを享受している。そして、宗教上の寛容というようなものをお互い認め合って、あるいはそれを支える市民社会というのがもう十分に育っている。そういう国家がある。恐らく、アメリカ、カナダあるいは日本、オーストラリア、ニュージーランドといったような国がそういう段階に既にもう達している。今、韓国であるとか台湾であるとか、あるいはシンガポールというのがその段階に達しようとしているということではないかと思います。
こういう、既にもう近代化を達成したような国の間では、およそ武力による紛争解決ということがほとんど考えられない。ですから、我々、日本とオーストラリアが戦争するとか、あるいはアメリカとカナダが戦争するとか、こういう事態というのはおよそ想定し得ない。そういう関係というのは既にでき上がっているんだろうというふうに思います。
二番目は、まさに今近代化の途上にある、国をつくり、そして国民を豊かにしていく、そういう途中の段階にある国家というのがある。アジアには、例えば非常に権威主義的な、一党独裁であるとか、あるいは軍による統治であるとか、そういう非常に厳しい政治体制というのをとっている、そういう諸国もあります。市民社会というのがまだ十分に成熟をしていない。国によっては、そういった権威主義体制から、今、より民主的な政治体制へと移行をする、その移行期の産みの苦しみを経験している国がある。
いずれにしても、まだ国が未成熟、不安定で、政治的にも経済的にもあるいは社会的にも大きな不安定を国内に抱えているという諸国があります。我々の周辺で見ますと、中国から東南アジアにかけてほとんどの国がこのカテゴリーに属するだろうというふうに思います。こういう諸国では、依然として国家の力を強めるということが非常に大きな課題でありまして、その一つのあらわれとして、武力による問題解決という可能性が必ずしも否定されない、そういう諸国だろうと思います。
三番目として、国づくりを進めようとしているんですけれどもなかなかそれがうまくいかない、国内は非常に深刻な弱点を抱えている、そういう諸国が一方であります。政府の統治能力というのが極めて低い、国内の法と秩序が大きく動揺をする、当然、経済的にも混乱が続く。あるいは、民族、宗教上の対立というのが国内で深刻化しているという国がある。
これは、程度はいろいろありますけれども、インドネシアであるとかミャンマーあるいはフィリピン。それから、南太平洋には、日本のマスコミではほとんど取り上げられませんけれども、十数カ国のマイクロステーツ、小さい国に至っては人口一万人ぐらいの小さな国がありますけれども、こういう南太平洋諸国のほとんどがこの三番目のカテゴリーに属する。北朝鮮であるとか東ティモールというのもこれに属するということだろうと思います。
こういうアジア太平洋を見たとき、大きく分けますと三つぐらいの国家群があるわけでありますが、そうした諸国から成るアジア太平洋の安全保障の課題というのは、突き詰めていくと、私が今申しました第二番目の国あるいは第三番目に属する国、つまり、近代化の途上にある、あるいは近代化がうまくいかない、そういう諸国の抱える問題、あるいはそうした問題から派生する地域あるいは国際社会全体に及ぼす影響というものにいかに対処するかというのが安全保障上の最も重要な課題であろうというふうに思います。
では、具体的にどういう問題があるのかということでございますが、一つは、先ほど言いましたように国内的な脆弱性の問題であります。先ほど申しましたように、国内の統治体制というのが依然としてまだ未成熟で国内が大きく混乱をしている、そういう諸国があります。これが、後ほどお話ししますけれども、さまざまな国際的な犯罪であるとか、あるいはテロリズムであるとか、こういったものの温床になる、これが当該国だけではなく地域全体の大きな脅威になっているということであります。
二番目は、地域全体の安定に対する脅威への対処ということであります。
これは二つありまして、一つは、極めて伝統的な国家対国家の対立あるいは紛争、軍事的な紛争も含めてであります。最も深刻なのは、我々の周辺の北東アジアであります。ここでは主要な大国がこの地域に大きな利害を持っております。その関係は依然として不安定であります。あるいは、朝鮮半島であるとか台湾海峡であるとか、依然として深刻な敵対関係、つまり、これは国家と国家の深刻な敵対関係というのがここに存在するわけであります。ここでは依然として軍事的な対処、抑止力の維持というのが安全保障上大きな課題になっているということであります。
特に、アジアを見たときに、今、国力が大きく変動しております。しばしばマスコミで言われる中国の台頭であるとか、こういう国と国との力関係というのが大きく変化しておりまして、これが周辺の諸国にさまざまな疑心暗鬼、不安、不信というのを実際に生んでおります。こういうところでは、先ほど申しましたように、依然として軍事力の行使ということが考えられるわけで、したがって、紛争解決の手段としての軍事力の行使というのを可能な限り少なくする、そのための手段としての軍事的な抑止力の維持というのが極めて重要な意味を持っているわけであります。
一方、東南アジアを見ますと、東南アジアは依然として非常に脆弱な不安定な国家群があるわけでありますけれども、他方で、東南アジアにはASEAN、東南アジア諸国連合という地域組織がございます。このASEANというのは、特に一九九七年の通貨危機以降、さまざまな問題が出現しまして、なかなかASEANとしての一体性、協力というのを維持するのが今困難になっております。
ただ、ASEANというのは、過去四十年くらいにわたって、加盟国の間の紛争の平和的解決という非常に重要な規範をASEAN諸国の間に埋め込む上で、非常に大きな役割を果たしてきたわけであります。
したがって、私自身は、東南アジアはこれからも非常に大きな不安定が続くでしょうけれども、北東アジアから比べますと、国と国との間で大規模な軍事紛争が起こるという可能性は極めて小さくなっているだろうというふうに思っております。
二番目は、新しい脅威、新しい安全保障の問題であります。
我々は、今国境を越えた新しい脅威あるいはリスクというのに直面しているわけであります。それは、最初にお話ししましたように、軍事力だけでは解決できない種類の問題であるということだろうと思います。
具体的にはどういう問題があるのか。一つは、狭い意味での安全保障の問題として、テロリズムの問題、武器の移転、大量破壊兵器の拡散、あるいは情報ネットワークの攪乱であるとか、こういう新しい脅威というのがますます深刻になってきている。
それから、もう少し広く安全保障を考えたときに、経済の問題というのも大きな意味を持っているわけであります。
例えば、我々の平和、繁栄を維持するためには、世界に自由貿易というような仕組みがきちんと維持されていないと困るわけであります。あるいは、日々の国際的な通貨システムであるとか金融システムというのがきちんと維持されるということは、我々の平和と繁栄にとってますます重要になってきているわけであります。あるいは情報ネットワークもそうであります。こういう新しい、経済にかかわる諸問題というのが、新しい安全保障上の問題としてもとらえられなければならない、そういう時代になってきたわけであります。
実際、一九九七年にアジアで通貨危機が起きました。そのときに、インドネシアは非常に大きな混乱を経験したわけです。現象としては、インドネシアの通貨が暴落をする、そして対外的な支払いができなくなるという純粋な経済現象でありますけれども、それの及ぼした社会経済あるいは政治的な影響というのは、恐らく、インドネシアが近隣諸国と軍事的な戦争、軍事紛争を引き起こしたときよりもはるかに深刻な被害というのをインドネシア国民に与えたということでありました。
それからさらに、社会問題として、環境であるとか麻薬、疫病、人身売買あるいは海賊行為であるとか、こういう問題というのが深刻になってきている。
実際、一例ですけれども、我々、過去十年、十五年ぐらいの間に、新しい疫病をいろいろ経験してきているわけであります。最近では鳥インフルエンザであるとか、去年ではSARSであるとか。多分、こういうのは、昔からどこかの国の小さな村の風土病としてあったのが、経済のグローバル化が進み、人間が移動し、物が移動すると、それに伴って疫病も移動するということになったんだろう。あるいは、人の移動が活発になると悪い人間も移るわけで、そうすると、国境を越えて、例えばマフィアの提携のようなことが現に起こってきて、それが大きな社会の問題になってきている。そういう時代に今いるんだろうと思います。
我々が抱えているこういうさまざまな安全保障上の問題に対して、一体、アジア太平洋の諸国というのはどういうふうに対応しているんであろうか。
一つは、冷戦の時代にでき上がった二国間あるいは三国間の同盟というのがアジアには数多くございます。基本的には、アメリカを軸にして、それがアジアにちょうど車輪のスポークのように広がる形で同盟のさまざまなシステムができ上がっているわけであります。
この同盟を見ますと、かつて、自国が外敵から直接的な攻撃を受けた場合にいかに対処するかということが大きな課題であったわけですけれども、近年、より地域的な安全保障環境を整備するということに大きな関心が向けられるようになってきているわけであります。そういう点で、同盟の機能というのが、かつてのような脅威に直接的に対応するという形だけではなくて、この地域で起こるかもしれないさまざまなリスク、そういうものを管理し、あるいはそれを抑止する、不確実性に対応するというものに今大きく変わりつつあるということだろうと思います。
ちなみに、日米の同盟というようなものについてのアジア諸国の理解というのは、近年、急速に進みつつあるというのが私自身の理解であります。日米の同盟というのが、このアジアの非常に不安定な移行期、そういう移行期に軍事的な紛争が発生するのを抑止する手段として極めて大きな公共的な役割を担っているのであるということは、この地域の多くの諸国によって今日共有されつつあるというふうに思います。
二番目は、地域の諸国のさまざまな協力というのが、過去十数年の間に急速に拡大しております。これは、経済の分野でもそうでありますし、安全保障の分野でも、さまざまな対話というのが過去十数年の間行われてきているわけであります。
私がレジュメに書きましたような、東南アジアを中心とするASEAN、このASEANは、戦争のない東南アジアをつくろうとさまざまな措置をこれまで講じてきたわけであります。それから、ARF、ASEAN地域フォーラムというような、これも、政府間の対話のフォーラムとして、もう既に十年近い経験というのを持っております。それから、近年では、ASEANと日本、中国、韓国を含めたASEANプラス3という、東アジアを中心にした協力の仕組みというのも生まれております。さらに、APECのような、太平洋の東と西を結びつける非常に大きな地域協力の仕組みというのも発展してきております。APECでは首脳会議というのを毎年開いておりまして、首脳レベルでさまざまなコミットメントというのが行われているわけであります。
それから、我々が目を少し南に転じますと、南太平洋の十五カ国ですか、これから成る太平洋島嶼国フォーラム、PIFというのがございます。南太平洋の、小さい国は一万人ぐらいの国、大きい国でもパプアニューギニアの四百万ぐらいですけれども、こういう諸国が集まって、そして地域の経済協力であるとか、あるいは安全保障の協力であるとかということを話し合っているわけであります。
主たる目的は、対話を通じて相互の信頼というのを少しでも高めようということであります。そういう中で、実際に余り大きな政治的な論争を呼ばないような、例えば、海賊対策であるとか、国防関係者の意見交換であるとか、輸出入管理の方法についてお互い学習をするとか、あるいはそのための人材の育成をするとか、そういう、非常に地味ですけれども重要な活動をこれらのフォーラムは行ってきているわけであります。
安全保障というのは政府が大きな役割を担う領域ですけれども、政府だけでできるわけでもないということであります。実際、この地域を見ますと、これまた過去十数年の間に、官民合同のフォーラム、政府のファーストトラックに対して、通常セカンドトラックというふうに呼んでおりますが、官民一体となって、この地域の経済協力であるとか安全保障協力のあり方を検討するためのさまざまなフォーラムというのがつくられております。
そこに二つだけ、CSCAP、アジア太平洋安全保障協力会議という、これは北朝鮮も入っておりますけれども、私自身は、これの設立以来、ここで仕事をやってきております。これも非常に大きな組織であります。それから、数年前に始まったシャングリラ・ダイアログと言われる、シンガポールを中心にした、主にアジア太平洋の国防大臣が集まりまして専門家との間でさまざまな意見交換をする。こういうふうにして、アジア太平洋が直面する安全保障問題についての相互理解の促進、あるいは政府への政策の提言というのを行ってきておるわけであります。
三番目は、内政への地域諸国による直接的な介入あるいは共同関与という新しいタイプの取り組みというのも今日生まれております。
一つは、ミャンマーをめぐるASEANの動きであります。
ミャンマーは、御承知のとおり、軍政をめぐって国際社会からさまざまな批判を受けているわけであります。これに対して、ASEAN諸国、ASEANの仲間ですが、ASEANは、内政不干渉という非常に強い原理原則というのを内部に持っておりまして、従来、ミャンマーの国内問題に関してはほとんど沈黙を守るということだったわけですけれども、近年、これに対して、非常に緩やかではありますけれども、ASEAN全体として、ミャンマーの平和的な民政移管へのステップを支援するという試みというのを始めております。
それからもう一つは、最も大きな変化は南太平洋で起こっております。
先ほど申しましたように、南太平洋は、国内に非常に大きな脆弱性を抱えております。パプアニューギニアであるとかソロモンであるとか、あるいはバヌアツ、フィジーであるとか、こういうところでは、国内の法と秩序というのが今ほぼ破綻状態にあるというふうに言われている、そういう国もあるわけであります。
昨年の七月ですが、ソロモン諸島で、もはや政府が国内の治安を維持できないという状態になりました。民族の対立が余りにも深刻になって、首都ホニアラが統治できない。これに対して、南太平洋の諸国は、二千名を超える軍、それから警察官、そして文民、これをソロモンに派遣しまして、そして治安の回復に当たったわけであります。
これを側面から支えたのが、先ほどお話ししましたPIF、太平洋島嶼国フォーラムという、地域機関が地域の不安定に対して共同して関与する、そういう仕組みを過去発展させてきまして、そのいわば一つの象徴が、今回のオーストラリア軍を中心とする地域的な秩序回復の軍派遣ということであったわけであります。南太平洋はそういう非常に不安定なところで、最近、この地域のいわば盟主であるオーストラリアが、南太平洋の政治経済的な安定のために非常に強い関与を始めたわけであります。
最後に、いただきましたテーマの中のFTAの問題について簡単にお話し申し上げます。
広く申し上げますと、経済と安全保障の関係であります。経済と安全保障の関係についてはいろいろな見方があります。
例えば一つの見方として、通商による平和という議論があります。つまり、国と国とが通商関係、あるいは広く経済関係を深めれば深めるほど、国家間の関係というのは平和的になるのであるというカント以来の考え方があります。ただ、歴史を見ますと、必ずしもこの命題の正しさが証明されているとは言えないようにも思われます。つまり、経済的な相互の依存関係が高まるということは、必ずしも軍事力の行使ということを制約するものではなかったというのが、歴史の示すところでもあります。
それからもう一つは、やはり通商関係というのは、国家間関係に追随するといいますか、よく英語でトレード・フォローズ・フラッグという、つまり、物が移動したりお金が移動したり人が移動したりするためには、その背後に政治関係の改善というのがなければいけないんだという考え方があります。
実際、例えば非常に敵対的な関係の諸国には、深い経済的な交流というのは実現することが難しいわけであります。例えば、冷戦期のアメリカとソ連、あるいは今日の日本と北朝鮮であるとか、こういうものを見ると、経済が政治を誘導するんではなくて、やはり背景として政治関係の改善というのがあり、それに伴って経済というのが進んでいくんであるという見方もある。これについては諸説あるわけであります。
今、アジアで大きな話題になっておりますFTA、自由貿易協定ですけれども、FTAといいましても内容はさまざまでありまして、どういうFTAかによって、当然、それの持つ経済的な意味、あるいはそれの持つ安全保障上の意味というのは異なるわけであります。
日本を例にとりますと、日本は一昨年、シンガポールとの間で経済連携協定、FTAを結んだわけであります。これは非常に深い統合といいますか、日本経済とシンガポール経済を非常に深く結びつける内容を持ったものであります。そういう点で、深い統合の一つのモデルを提供したというふうにも言われておるわけであります。
ただ、歴史的に見ますと、過去の例あるいは他の地域の例を見ますと、途上国を含むようなFTAで、日本とシンガポールが結んだような非常に深い統合を実現するような自由貿易協定を締結した例というのはないわけであります。したがって、今アジアでいろいろFTAの議論が進んでおりますけれども、恐らく、アジアで結ばれるFTAというのは、国民経済の結びつきという点からいきますと、非常に弱い内容を持ったものになる可能性というのが強いだろうというふうに思われます。
例えば、今、中国とASEANとの間で自由貿易協定の交渉が進んでおりますけれども、これも、恐らくことしじゅうに何らかの結論が出るんだろうと思いますけれども、果たして、その内容が期待されたほどの内容を伴ったものになるかどうか、依然として大きな疑問であります。
ですから、アジアでのFTAというのは、国民経済を相互に結びつけるという点で、極めて限定的な意味を持つものに当面とどまるだろうというのが私自身の理解であります。
ただ、そうはいっても、では、FTAに全く意味がないのかというと、そうではないわけでありまして、幾つかの点で、FTAというのがプラスの効果を持つだろうというふうに思っております。
一つは、限定的ではありますけれども、FTAを通じて、日本はアジアの諸国の経済運営というのをより世界に開かれたものに変えていくことができるだろう。貿易の自由化であるとか、投資の自由化であるとか、あるいは国際的なルールに従ったような国内のルールを制定するとか、より透明で公正な国内の経済運営をアジアの諸国がこれから進めていく、そういうのをFTAが促進する。そういう役割というのは一つあるであろうというふうに思います。
もう一つは、国内政治への影響であります。FTAというのを一つのきっかけに、国際社会と深く結びつく、国際経済と深く結びつくことが大きな利益であるという人たちがそれぞれの国にふえるということは、長い目で見ると、そういった人たちにとって、経済的な交流を維持する上で、平和的な安全保障環境を維持するということが大きな意味を持つわけで、したがって、間接的ではありますけれども、FTAを通じて、国内のそういう国際社会と強いつながりを維持しようという勢力の力を強めるということができる。それを通じて、相手の国の国内政治過程に影響を及ぼすということができるんだろうと思います。
一つのケースは中国でありまして、中国は依然として、将来不透明な国であります。ただ、過去二十年近い中国の開放経済体制によって、やはり国際社会と結びつく、国際経済と深く結びつくことによって自分たちが大きな利益が得られるんである、あるいは、そういう仕組みを維持することによって国民はより豊かになれるんだというふうに考える人たちがふえてきておるのは事実であります。こういう人たちから見ますと、軍事的な紛争であるとか対立であるとか、そういった経済的な交流を妨げる行動を政府がとるということは好ましくないわけで、したがって、そういう人たちは、政府に対して、軍事力の行使を思いとどまるようにという強い影響力を行使する動機があるわけであります。
実際、中国を見ますと、外国の企業との合弁であるとか外国との貿易であるとか、そういうことに非常に大きな利益を見出している人たちが確かにふえていて、それを支援する人たちが党の中にも政府の中にもふえてきている。中国の富をだれが生み出しているかというと、そういった国際社会との深い交流を行っている人たちが富を生み出している。その結果、そういった人たちの国内政治的な影響力というのが、かつてから比べればはるかに強くなってきているということだろうと思います。
ですから、FTAというのは、直接的ではないんですけれども、間接的にそういった人たちの国内政治的な影響力というのを強める、そういう効果というのを持ち得るであろうというふうに思います。その点で、安全保障への効果というのも多少は期待できるということだろうと思います。
それから、今のFTAというのは、単に貿易だけではなくて、投資であるとか資金の移動であるとか、従来から見るとはるかに多くの領域の問題を扱っているわけですけれども、この結果、例えば日本とアジアの間に国境を越えたさまざまな経済的な提携というのが生まれている。日本と中国の間にもさまざまな、単に物のやりとりではない、企業間の提携であるとか合併であるとかということも行われてきている。
したがって、徐々に双方、お互い国境を越えて利害を共有するようなグループというのが出てきている。そういう国境を越えた経済関係を維持するということが、それぞれの国民の繁栄にとっても大きな意味を持っている。したがって、そういう中で、政治的な対立というのはこれからも数多く起こるでしょうけれども、対立というのをある一定の制御可能な範囲内にとどめる、そういう効果というのも期待できるであろうというふうに思います。
ただ、FTAというのはいい面ばかりがあるわけではないわけでありまして、FTAを結ぶと、どちらがより大きな利益を得るのかという議論が必ず起こります。国内には、FTAによって利益を得る勢力もあれば不利益を得る勢力もあります。したがって、それが国内政治上の大きな対立を引き起こす可能性というのも否定できないわけであります。
これは、例えば日本と韓国とのFTAを見るとよくわかるわけですけれども、日本と韓国のFTAというのは、日本にとっても韓国にとってもいいというのは、マクロとして見れば確かであります。しかし、例えば、ほとんどの予測を見ても、短期的には韓国の対日貿易赤字が拡大するであろうというふうに言われているわけです。別に、貿易の赤字黒字というのは、競争に勝った負けたという話とは全く別の話ですけれども、少なくとも韓国の政治的な文脈では、日本との貿易赤字が拡大するというのは日本との競争に負けたというふうにとられがちであります。それが国内政治上の問題を引き起こすということは、十分考えられるわけであります。
それから、日本にとって見ますと、やはり日本はグローバルな国家でありまして、そのグローバルな国家として国際的な自由貿易体制を維持するということは、日本にとって最優先の課題であります。もちろん、地域的な自由貿易協定のようなものが意味がないわけではありませんけれども、しかし、FTAへの動きというのが、グローバルなWTO交渉のようなものへの熱意の低下を引き起こすということが仮に起こるとすると、日本はより大きな利益を失うということにもなりかねないというふうに私自身は思っております。
ということで、広く一般的には経済と安全保障、具体的にはFTAを見ますと、ある安全保障上の意味というのは持つんであろうというふうに思います。ただ、それに余り大きな期待をかけるというのも正しい評価ではないだろうというふうに思います。
特に、アジアのような依然として政治的な対立が残るところでは、必ず自由貿易協定のもたらす利益の不均衡というのが国家間の大きな問題になり、あるいはそれぞれの国の国内で大きな問題になる可能性があるわけであります。したがって、下手をすると、FTAを結んだはいいが、逆に政治的な対立が深まるということすらあり得るだろうというふうに私自身は思っております。
大体四十分近くになりましたので、まだお話ししたいことはありますけれども、以上で私のお話を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、青山学院で主にアジア太平洋の国際関係を教え、また勉強しております。それから、財団法人日本国際問題研究所あるいは平和・安全保障研究所といったシンクタンクでも長い間仕事をしております。その一環として、主にアジア太平洋の安全保障あるいは経済協力といった分野で数多くの会合に参加をしております。きょうは、このような機会を与えられまして、大変光栄に存じます。
きょう私がお話しします地域安全保障でございますが、特にアジア太平洋の問題についてお話を申し上げたいと思います。
お話をする前に、我々は、アジア太平洋の安全保障というのを考えるときに、どういう点に注意をする必要があるのであろうかということについて、最初に三つほどお話し申し上げたいと思います。
一つは、日本の安全保障、あるいは日本の繁栄を維持するために日本本土を外敵から守る、あるいは日本の経済的繁栄を維持するということは、もとより最も重要なことであります。ただ、同時に、今日、経済がますますグローバル化しております。さらに、テロリズムあるいは大量破壊兵器の拡散といった新しい問題が起こってきております。我々の安全あるいは繁栄というのは、ますます地域全体あるいは国際社会全体の平和や安定と深く結びつくようになっているということだろうと思います。
実際、遠隔の地で起こった、我々が全くあずかり知らないような出来事が我々の生命財産に非常に大きな影響を及ぼすようになってきているということだろうと思います。つまり、我々は、安全保障を考える際に、やはり地域全体あるいは国際社会全体との協力、協調というものを考えながら進めなければいけないということだろうと思います。
あるドイツの有名な社会学者が、現代はリスク社会である、リスクソサエティーであるということを言ったことがあります。つまり、我々は今まで経験しなかったような新しいリスクに直面している。それも、我々自身が全く責任のないような、我々が全くあずかり知らないようなところで起こったことが、我々の生命財産に深刻な影響を及ぼすような時代がやってきたんだということを言っております。そういう時代に我々は今生きているということだろうと思います。
二番目は、軍事力というのは依然として安全保障にとって最も重要な要素であります。ただ、同時に、軍事力だけで対応できないような新しい脅威、新しい問題というのが数多く発生しております。したがって、軍事あるいは政治、経済、社会にわたる総合的な取り組みというのが今日ますます重要になってきているということだろうと思います。
三番目は、国家と国家の戦争という非常に古典的な、平和と安全の問題というのは、今日、依然としてまだ重要な問題であります。ただ、それと同時に、テロリストグループに見られますように、国家ではない、非国家のグループによる混乱あるいは地域全体への脅威というのが我々にとって非常に大きな問題になっており、こういうものへの対応というのも今日非常に重要な課題になっているということだろうと思います。
以上のようなことを踏まえて、我々、アジア太平洋の地域安全保障というのをどのように考えたらいいのかということを次にお話し申し上げます。
アジア太平洋といいますと、しばしば多様性ということが指摘されます。非常に多様な国家がこの地域に存在をしております。私は、お配りしたレジュメで書きましたように、非常に乱暴ではありますが、これを三つの国家群といいますか、カテゴリーに分けてみました。
一つは、既に近代化を達成した諸国がこの地域にはあります。つまり、国づくりを進めて、そして非常に安定した国家を既に築き上げている。国民は、政治的な自由を享受し、経済的な繁栄というのを享受している。そして、宗教上の寛容というようなものをお互い認め合って、あるいはそれを支える市民社会というのがもう十分に育っている。そういう国家がある。恐らく、アメリカ、カナダあるいは日本、オーストラリア、ニュージーランドといったような国がそういう段階に既にもう達している。今、韓国であるとか台湾であるとか、あるいはシンガポールというのがその段階に達しようとしているということではないかと思います。
こういう、既にもう近代化を達成したような国の間では、およそ武力による紛争解決ということがほとんど考えられない。ですから、我々、日本とオーストラリアが戦争するとか、あるいはアメリカとカナダが戦争するとか、こういう事態というのはおよそ想定し得ない。そういう関係というのは既にでき上がっているんだろうというふうに思います。
二番目は、まさに今近代化の途上にある、国をつくり、そして国民を豊かにしていく、そういう途中の段階にある国家というのがある。アジアには、例えば非常に権威主義的な、一党独裁であるとか、あるいは軍による統治であるとか、そういう非常に厳しい政治体制というのをとっている、そういう諸国もあります。市民社会というのがまだ十分に成熟をしていない。国によっては、そういった権威主義体制から、今、より民主的な政治体制へと移行をする、その移行期の産みの苦しみを経験している国がある。
いずれにしても、まだ国が未成熟、不安定で、政治的にも経済的にもあるいは社会的にも大きな不安定を国内に抱えているという諸国があります。我々の周辺で見ますと、中国から東南アジアにかけてほとんどの国がこのカテゴリーに属するだろうというふうに思います。こういう諸国では、依然として国家の力を強めるということが非常に大きな課題でありまして、その一つのあらわれとして、武力による問題解決という可能性が必ずしも否定されない、そういう諸国だろうと思います。
三番目として、国づくりを進めようとしているんですけれどもなかなかそれがうまくいかない、国内は非常に深刻な弱点を抱えている、そういう諸国が一方であります。政府の統治能力というのが極めて低い、国内の法と秩序が大きく動揺をする、当然、経済的にも混乱が続く。あるいは、民族、宗教上の対立というのが国内で深刻化しているという国がある。
これは、程度はいろいろありますけれども、インドネシアであるとかミャンマーあるいはフィリピン。それから、南太平洋には、日本のマスコミではほとんど取り上げられませんけれども、十数カ国のマイクロステーツ、小さい国に至っては人口一万人ぐらいの小さな国がありますけれども、こういう南太平洋諸国のほとんどがこの三番目のカテゴリーに属する。北朝鮮であるとか東ティモールというのもこれに属するということだろうと思います。
こういうアジア太平洋を見たとき、大きく分けますと三つぐらいの国家群があるわけでありますが、そうした諸国から成るアジア太平洋の安全保障の課題というのは、突き詰めていくと、私が今申しました第二番目の国あるいは第三番目に属する国、つまり、近代化の途上にある、あるいは近代化がうまくいかない、そういう諸国の抱える問題、あるいはそうした問題から派生する地域あるいは国際社会全体に及ぼす影響というものにいかに対処するかというのが安全保障上の最も重要な課題であろうというふうに思います。
では、具体的にどういう問題があるのかということでございますが、一つは、先ほど言いましたように国内的な脆弱性の問題であります。先ほど申しましたように、国内の統治体制というのが依然としてまだ未成熟で国内が大きく混乱をしている、そういう諸国があります。これが、後ほどお話ししますけれども、さまざまな国際的な犯罪であるとか、あるいはテロリズムであるとか、こういったものの温床になる、これが当該国だけではなく地域全体の大きな脅威になっているということであります。
二番目は、地域全体の安定に対する脅威への対処ということであります。
これは二つありまして、一つは、極めて伝統的な国家対国家の対立あるいは紛争、軍事的な紛争も含めてであります。最も深刻なのは、我々の周辺の北東アジアであります。ここでは主要な大国がこの地域に大きな利害を持っております。その関係は依然として不安定であります。あるいは、朝鮮半島であるとか台湾海峡であるとか、依然として深刻な敵対関係、つまり、これは国家と国家の深刻な敵対関係というのがここに存在するわけであります。ここでは依然として軍事的な対処、抑止力の維持というのが安全保障上大きな課題になっているということであります。
特に、アジアを見たときに、今、国力が大きく変動しております。しばしばマスコミで言われる中国の台頭であるとか、こういう国と国との力関係というのが大きく変化しておりまして、これが周辺の諸国にさまざまな疑心暗鬼、不安、不信というのを実際に生んでおります。こういうところでは、先ほど申しましたように、依然として軍事力の行使ということが考えられるわけで、したがって、紛争解決の手段としての軍事力の行使というのを可能な限り少なくする、そのための手段としての軍事的な抑止力の維持というのが極めて重要な意味を持っているわけであります。
一方、東南アジアを見ますと、東南アジアは依然として非常に脆弱な不安定な国家群があるわけでありますけれども、他方で、東南アジアにはASEAN、東南アジア諸国連合という地域組織がございます。このASEANというのは、特に一九九七年の通貨危機以降、さまざまな問題が出現しまして、なかなかASEANとしての一体性、協力というのを維持するのが今困難になっております。
ただ、ASEANというのは、過去四十年くらいにわたって、加盟国の間の紛争の平和的解決という非常に重要な規範をASEAN諸国の間に埋め込む上で、非常に大きな役割を果たしてきたわけであります。
したがって、私自身は、東南アジアはこれからも非常に大きな不安定が続くでしょうけれども、北東アジアから比べますと、国と国との間で大規模な軍事紛争が起こるという可能性は極めて小さくなっているだろうというふうに思っております。
二番目は、新しい脅威、新しい安全保障の問題であります。
我々は、今国境を越えた新しい脅威あるいはリスクというのに直面しているわけであります。それは、最初にお話ししましたように、軍事力だけでは解決できない種類の問題であるということだろうと思います。
具体的にはどういう問題があるのか。一つは、狭い意味での安全保障の問題として、テロリズムの問題、武器の移転、大量破壊兵器の拡散、あるいは情報ネットワークの攪乱であるとか、こういう新しい脅威というのがますます深刻になってきている。
それから、もう少し広く安全保障を考えたときに、経済の問題というのも大きな意味を持っているわけであります。
例えば、我々の平和、繁栄を維持するためには、世界に自由貿易というような仕組みがきちんと維持されていないと困るわけであります。あるいは、日々の国際的な通貨システムであるとか金融システムというのがきちんと維持されるということは、我々の平和と繁栄にとってますます重要になってきているわけであります。あるいは情報ネットワークもそうであります。こういう新しい、経済にかかわる諸問題というのが、新しい安全保障上の問題としてもとらえられなければならない、そういう時代になってきたわけであります。
実際、一九九七年にアジアで通貨危機が起きました。そのときに、インドネシアは非常に大きな混乱を経験したわけです。現象としては、インドネシアの通貨が暴落をする、そして対外的な支払いができなくなるという純粋な経済現象でありますけれども、それの及ぼした社会経済あるいは政治的な影響というのは、恐らく、インドネシアが近隣諸国と軍事的な戦争、軍事紛争を引き起こしたときよりもはるかに深刻な被害というのをインドネシア国民に与えたということでありました。
それからさらに、社会問題として、環境であるとか麻薬、疫病、人身売買あるいは海賊行為であるとか、こういう問題というのが深刻になってきている。
実際、一例ですけれども、我々、過去十年、十五年ぐらいの間に、新しい疫病をいろいろ経験してきているわけであります。最近では鳥インフルエンザであるとか、去年ではSARSであるとか。多分、こういうのは、昔からどこかの国の小さな村の風土病としてあったのが、経済のグローバル化が進み、人間が移動し、物が移動すると、それに伴って疫病も移動するということになったんだろう。あるいは、人の移動が活発になると悪い人間も移るわけで、そうすると、国境を越えて、例えばマフィアの提携のようなことが現に起こってきて、それが大きな社会の問題になってきている。そういう時代に今いるんだろうと思います。
我々が抱えているこういうさまざまな安全保障上の問題に対して、一体、アジア太平洋の諸国というのはどういうふうに対応しているんであろうか。
一つは、冷戦の時代にでき上がった二国間あるいは三国間の同盟というのがアジアには数多くございます。基本的には、アメリカを軸にして、それがアジアにちょうど車輪のスポークのように広がる形で同盟のさまざまなシステムができ上がっているわけであります。
この同盟を見ますと、かつて、自国が外敵から直接的な攻撃を受けた場合にいかに対処するかということが大きな課題であったわけですけれども、近年、より地域的な安全保障環境を整備するということに大きな関心が向けられるようになってきているわけであります。そういう点で、同盟の機能というのが、かつてのような脅威に直接的に対応するという形だけではなくて、この地域で起こるかもしれないさまざまなリスク、そういうものを管理し、あるいはそれを抑止する、不確実性に対応するというものに今大きく変わりつつあるということだろうと思います。
ちなみに、日米の同盟というようなものについてのアジア諸国の理解というのは、近年、急速に進みつつあるというのが私自身の理解であります。日米の同盟というのが、このアジアの非常に不安定な移行期、そういう移行期に軍事的な紛争が発生するのを抑止する手段として極めて大きな公共的な役割を担っているのであるということは、この地域の多くの諸国によって今日共有されつつあるというふうに思います。
二番目は、地域の諸国のさまざまな協力というのが、過去十数年の間に急速に拡大しております。これは、経済の分野でもそうでありますし、安全保障の分野でも、さまざまな対話というのが過去十数年の間行われてきているわけであります。
私がレジュメに書きましたような、東南アジアを中心とするASEAN、このASEANは、戦争のない東南アジアをつくろうとさまざまな措置をこれまで講じてきたわけであります。それから、ARF、ASEAN地域フォーラムというような、これも、政府間の対話のフォーラムとして、もう既に十年近い経験というのを持っております。それから、近年では、ASEANと日本、中国、韓国を含めたASEANプラス3という、東アジアを中心にした協力の仕組みというのも生まれております。さらに、APECのような、太平洋の東と西を結びつける非常に大きな地域協力の仕組みというのも発展してきております。APECでは首脳会議というのを毎年開いておりまして、首脳レベルでさまざまなコミットメントというのが行われているわけであります。
それから、我々が目を少し南に転じますと、南太平洋の十五カ国ですか、これから成る太平洋島嶼国フォーラム、PIFというのがございます。南太平洋の、小さい国は一万人ぐらいの国、大きい国でもパプアニューギニアの四百万ぐらいですけれども、こういう諸国が集まって、そして地域の経済協力であるとか、あるいは安全保障の協力であるとかということを話し合っているわけであります。
主たる目的は、対話を通じて相互の信頼というのを少しでも高めようということであります。そういう中で、実際に余り大きな政治的な論争を呼ばないような、例えば、海賊対策であるとか、国防関係者の意見交換であるとか、輸出入管理の方法についてお互い学習をするとか、あるいはそのための人材の育成をするとか、そういう、非常に地味ですけれども重要な活動をこれらのフォーラムは行ってきているわけであります。
安全保障というのは政府が大きな役割を担う領域ですけれども、政府だけでできるわけでもないということであります。実際、この地域を見ますと、これまた過去十数年の間に、官民合同のフォーラム、政府のファーストトラックに対して、通常セカンドトラックというふうに呼んでおりますが、官民一体となって、この地域の経済協力であるとか安全保障協力のあり方を検討するためのさまざまなフォーラムというのがつくられております。
そこに二つだけ、CSCAP、アジア太平洋安全保障協力会議という、これは北朝鮮も入っておりますけれども、私自身は、これの設立以来、ここで仕事をやってきております。これも非常に大きな組織であります。それから、数年前に始まったシャングリラ・ダイアログと言われる、シンガポールを中心にした、主にアジア太平洋の国防大臣が集まりまして専門家との間でさまざまな意見交換をする。こういうふうにして、アジア太平洋が直面する安全保障問題についての相互理解の促進、あるいは政府への政策の提言というのを行ってきておるわけであります。
三番目は、内政への地域諸国による直接的な介入あるいは共同関与という新しいタイプの取り組みというのも今日生まれております。
一つは、ミャンマーをめぐるASEANの動きであります。
ミャンマーは、御承知のとおり、軍政をめぐって国際社会からさまざまな批判を受けているわけであります。これに対して、ASEAN諸国、ASEANの仲間ですが、ASEANは、内政不干渉という非常に強い原理原則というのを内部に持っておりまして、従来、ミャンマーの国内問題に関してはほとんど沈黙を守るということだったわけですけれども、近年、これに対して、非常に緩やかではありますけれども、ASEAN全体として、ミャンマーの平和的な民政移管へのステップを支援するという試みというのを始めております。
それからもう一つは、最も大きな変化は南太平洋で起こっております。
先ほど申しましたように、南太平洋は、国内に非常に大きな脆弱性を抱えております。パプアニューギニアであるとかソロモンであるとか、あるいはバヌアツ、フィジーであるとか、こういうところでは、国内の法と秩序というのが今ほぼ破綻状態にあるというふうに言われている、そういう国もあるわけであります。
昨年の七月ですが、ソロモン諸島で、もはや政府が国内の治安を維持できないという状態になりました。民族の対立が余りにも深刻になって、首都ホニアラが統治できない。これに対して、南太平洋の諸国は、二千名を超える軍、それから警察官、そして文民、これをソロモンに派遣しまして、そして治安の回復に当たったわけであります。
これを側面から支えたのが、先ほどお話ししましたPIF、太平洋島嶼国フォーラムという、地域機関が地域の不安定に対して共同して関与する、そういう仕組みを過去発展させてきまして、そのいわば一つの象徴が、今回のオーストラリア軍を中心とする地域的な秩序回復の軍派遣ということであったわけであります。南太平洋はそういう非常に不安定なところで、最近、この地域のいわば盟主であるオーストラリアが、南太平洋の政治経済的な安定のために非常に強い関与を始めたわけであります。
最後に、いただきましたテーマの中のFTAの問題について簡単にお話し申し上げます。
広く申し上げますと、経済と安全保障の関係であります。経済と安全保障の関係についてはいろいろな見方があります。
例えば一つの見方として、通商による平和という議論があります。つまり、国と国とが通商関係、あるいは広く経済関係を深めれば深めるほど、国家間の関係というのは平和的になるのであるというカント以来の考え方があります。ただ、歴史を見ますと、必ずしもこの命題の正しさが証明されているとは言えないようにも思われます。つまり、経済的な相互の依存関係が高まるということは、必ずしも軍事力の行使ということを制約するものではなかったというのが、歴史の示すところでもあります。
それからもう一つは、やはり通商関係というのは、国家間関係に追随するといいますか、よく英語でトレード・フォローズ・フラッグという、つまり、物が移動したりお金が移動したり人が移動したりするためには、その背後に政治関係の改善というのがなければいけないんだという考え方があります。
実際、例えば非常に敵対的な関係の諸国には、深い経済的な交流というのは実現することが難しいわけであります。例えば、冷戦期のアメリカとソ連、あるいは今日の日本と北朝鮮であるとか、こういうものを見ると、経済が政治を誘導するんではなくて、やはり背景として政治関係の改善というのがあり、それに伴って経済というのが進んでいくんであるという見方もある。これについては諸説あるわけであります。
今、アジアで大きな話題になっておりますFTA、自由貿易協定ですけれども、FTAといいましても内容はさまざまでありまして、どういうFTAかによって、当然、それの持つ経済的な意味、あるいはそれの持つ安全保障上の意味というのは異なるわけであります。
日本を例にとりますと、日本は一昨年、シンガポールとの間で経済連携協定、FTAを結んだわけであります。これは非常に深い統合といいますか、日本経済とシンガポール経済を非常に深く結びつける内容を持ったものであります。そういう点で、深い統合の一つのモデルを提供したというふうにも言われておるわけであります。
ただ、歴史的に見ますと、過去の例あるいは他の地域の例を見ますと、途上国を含むようなFTAで、日本とシンガポールが結んだような非常に深い統合を実現するような自由貿易協定を締結した例というのはないわけであります。したがって、今アジアでいろいろFTAの議論が進んでおりますけれども、恐らく、アジアで結ばれるFTAというのは、国民経済の結びつきという点からいきますと、非常に弱い内容を持ったものになる可能性というのが強いだろうというふうに思われます。
例えば、今、中国とASEANとの間で自由貿易協定の交渉が進んでおりますけれども、これも、恐らくことしじゅうに何らかの結論が出るんだろうと思いますけれども、果たして、その内容が期待されたほどの内容を伴ったものになるかどうか、依然として大きな疑問であります。
ですから、アジアでのFTAというのは、国民経済を相互に結びつけるという点で、極めて限定的な意味を持つものに当面とどまるだろうというのが私自身の理解であります。
ただ、そうはいっても、では、FTAに全く意味がないのかというと、そうではないわけでありまして、幾つかの点で、FTAというのがプラスの効果を持つだろうというふうに思っております。
一つは、限定的ではありますけれども、FTAを通じて、日本はアジアの諸国の経済運営というのをより世界に開かれたものに変えていくことができるだろう。貿易の自由化であるとか、投資の自由化であるとか、あるいは国際的なルールに従ったような国内のルールを制定するとか、より透明で公正な国内の経済運営をアジアの諸国がこれから進めていく、そういうのをFTAが促進する。そういう役割というのは一つあるであろうというふうに思います。
もう一つは、国内政治への影響であります。FTAというのを一つのきっかけに、国際社会と深く結びつく、国際経済と深く結びつくことが大きな利益であるという人たちがそれぞれの国にふえるということは、長い目で見ると、そういった人たちにとって、経済的な交流を維持する上で、平和的な安全保障環境を維持するということが大きな意味を持つわけで、したがって、間接的ではありますけれども、FTAを通じて、国内のそういう国際社会と強いつながりを維持しようという勢力の力を強めるということができる。それを通じて、相手の国の国内政治過程に影響を及ぼすということができるんだろうと思います。
一つのケースは中国でありまして、中国は依然として、将来不透明な国であります。ただ、過去二十年近い中国の開放経済体制によって、やはり国際社会と結びつく、国際経済と深く結びつくことによって自分たちが大きな利益が得られるんである、あるいは、そういう仕組みを維持することによって国民はより豊かになれるんだというふうに考える人たちがふえてきておるのは事実であります。こういう人たちから見ますと、軍事的な紛争であるとか対立であるとか、そういった経済的な交流を妨げる行動を政府がとるということは好ましくないわけで、したがって、そういう人たちは、政府に対して、軍事力の行使を思いとどまるようにという強い影響力を行使する動機があるわけであります。
実際、中国を見ますと、外国の企業との合弁であるとか外国との貿易であるとか、そういうことに非常に大きな利益を見出している人たちが確かにふえていて、それを支援する人たちが党の中にも政府の中にもふえてきている。中国の富をだれが生み出しているかというと、そういった国際社会との深い交流を行っている人たちが富を生み出している。その結果、そういった人たちの国内政治的な影響力というのが、かつてから比べればはるかに強くなってきているということだろうと思います。
ですから、FTAというのは、直接的ではないんですけれども、間接的にそういった人たちの国内政治的な影響力というのを強める、そういう効果というのを持ち得るであろうというふうに思います。その点で、安全保障への効果というのも多少は期待できるということだろうと思います。
それから、今のFTAというのは、単に貿易だけではなくて、投資であるとか資金の移動であるとか、従来から見るとはるかに多くの領域の問題を扱っているわけですけれども、この結果、例えば日本とアジアの間に国境を越えたさまざまな経済的な提携というのが生まれている。日本と中国の間にもさまざまな、単に物のやりとりではない、企業間の提携であるとか合併であるとかということも行われてきている。
したがって、徐々に双方、お互い国境を越えて利害を共有するようなグループというのが出てきている。そういう国境を越えた経済関係を維持するということが、それぞれの国民の繁栄にとっても大きな意味を持っている。したがって、そういう中で、政治的な対立というのはこれからも数多く起こるでしょうけれども、対立というのをある一定の制御可能な範囲内にとどめる、そういう効果というのも期待できるであろうというふうに思います。
ただ、FTAというのはいい面ばかりがあるわけではないわけでありまして、FTAを結ぶと、どちらがより大きな利益を得るのかという議論が必ず起こります。国内には、FTAによって利益を得る勢力もあれば不利益を得る勢力もあります。したがって、それが国内政治上の大きな対立を引き起こす可能性というのも否定できないわけであります。
これは、例えば日本と韓国とのFTAを見るとよくわかるわけですけれども、日本と韓国のFTAというのは、日本にとっても韓国にとってもいいというのは、マクロとして見れば確かであります。しかし、例えば、ほとんどの予測を見ても、短期的には韓国の対日貿易赤字が拡大するであろうというふうに言われているわけです。別に、貿易の赤字黒字というのは、競争に勝った負けたという話とは全く別の話ですけれども、少なくとも韓国の政治的な文脈では、日本との貿易赤字が拡大するというのは日本との競争に負けたというふうにとられがちであります。それが国内政治上の問題を引き起こすということは、十分考えられるわけであります。
それから、日本にとって見ますと、やはり日本はグローバルな国家でありまして、そのグローバルな国家として国際的な自由貿易体制を維持するということは、日本にとって最優先の課題であります。もちろん、地域的な自由貿易協定のようなものが意味がないわけではありませんけれども、しかし、FTAへの動きというのが、グローバルなWTO交渉のようなものへの熱意の低下を引き起こすということが仮に起こるとすると、日本はより大きな利益を失うということにもなりかねないというふうに私自身は思っております。
ということで、広く一般的には経済と安全保障、具体的にはFTAを見ますと、ある安全保障上の意味というのは持つんであろうというふうに思います。ただ、それに余り大きな期待をかけるというのも正しい評価ではないだろうというふうに思います。
特に、アジアのような依然として政治的な対立が残るところでは、必ず自由貿易協定のもたらす利益の不均衡というのが国家間の大きな問題になり、あるいはそれぞれの国の国内で大きな問題になる可能性があるわけであります。したがって、下手をすると、FTAを結んだはいいが、逆に政治的な対立が深まるということすらあり得るだろうというふうに私自身は思っております。
大体四十分近くになりましたので、まだお話ししたいことはありますけれども、以上で私のお話を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
近
近
伊
伊藤公介#5
○伊藤(公)小委員 自由民主党の伊藤公介でございます。
きょうは、菊池参考人、いろんな角度からお話をいただきまして、大変参考になりました。ありがとうございました。
アジアの地域安全保障についてでありますが、私たちが所属しているアジアの地域安全保障を考えるときに、ヨーロッパのEUの歴史的な経過というものはいろんな意味で参考になると思います。参考にはなりますが、先生からいろいろお話をいただきましたように、アジアはさまざまなカテゴリーの国家があるわけでございまして、EUができたからアジアもということに、そう一度にはいかないことも十分わかるわけであります。
しかし、EUもことしの五月一日にはいよいよ二十五カ国になるわけでして、たまたまその二十五カ国の人口を見ましたら四億五千三百万人、そのGDPは一千二百二十九兆円になるようであります。このヨーロッパ、EU二十五カ国に匹敵する経済圏はNAFTAですね、アメリカ、カナダ、メキシコ。ここも人口がほとんど同じでございまして四億一千四百万人、そのGDPもほとんど同じなんですね、一千二百二十七兆円。
そういうEU、NAFTAの経済圏とアジアを比較しますと、アジアは二十二カ国、これは、国はいろいろカウントによって少し違うんですけれども、GDPが九百兆円。EU、NAFTAにはちょっと届かないけれども、もう少しで一千兆円。人口が圧倒的に違うんですね、三十四億になるわけですから。だから、これから二十一世紀はアジアが舞台になるであろうと。また、その中で、圧倒的な人口を抱えている、十三億とも言われる中国が二十一世紀の主役になるのではないかなどと言う人もおります。
そこで、今のそれぞれの国の経済成長が続いていくということを前提にしての話でありますが、二〇五〇年の世界のGDPを、民間と、経済産業省などで、本当にこの数字はかなり確かなものになるのかという問い合わせを私もちょっとしたんです。今の数字で計算をすればという前提でありますが、中国が二〇五〇年には何と四千六百五十七兆円、そしてアメリカがそのとき三千八百二十一兆円、インドが二千八百兆円、そのときの日本のGDPは八百兆円というわけであります。
昨今の中国の台頭というものは大変目覚ましいものがあるわけでございます。私も例年のように中国を訪問していますし、ことしのゴールデンウイークも中国を歩くことを計画しておりますけれども、中国の存在というものはアジアの中において非常に大きくなっていくであろう。そういう中で、これから日本の外交、あるいはアジアにおける日本の役割というものをどう考えるか。
先生もいろいろな角度からお話をいただきましたけれども、私は、どうも日本の外交が、今までは日米基軸、それから国連を舞台にしてきたわけですが、今度の、特にイラク戦争などをめぐりまして、国連の機能というものが十分果たしていないという中で、現状では日米関係、あるいは日米安全保障というものが現実に我々にとって欠かせないものであることは十分承知しているわけでありますが、私は今、イラク戦争の状況、展開を見ておりましても、これからはやはり国連を舞台にしていかざるを得ないのではないか、むしろ国連というものに対して日本がもっと積極的な働きかけをしていくべきではないか。
これは、単に今度のイラクの問題だけではなくて、日本はもう御存じのとおりアメリカに次いで、国連の負担金はアメリカが二二%ですが、日本は一九・四%、もう断トツであります。ドイツやフランスやイギリスが六%、八%というわけでありますし、ODAもまた、日本はアメリカに次いで、群を抜いて開発途上国に援助している。しかし、どうも日本の国連とか外交というものがはっきり見えないと言われてきたのは、私は、国連における日本の働きかけやあるいはODAのやり方も、例えばの話ですけれども、日本がこれから二十一世紀、環境というものをテーマにしていくなら、環境に限ってなら国連を通じて開発途上国に援助するとか、やはり日本がもう少しめり張りのついた国連、外交というものを展開していくべきではないかというふうに思います。
二〇五〇年に向けて世界が大きく動いていくときに、日本はどのような安全保障、あるいはアジアにおきます地域の安全保障というものを考えていくのか、もう少し参考人、先生から踏み込んでお話を伺えればと思います。
この発言だけを見る →きょうは、菊池参考人、いろんな角度からお話をいただきまして、大変参考になりました。ありがとうございました。
アジアの地域安全保障についてでありますが、私たちが所属しているアジアの地域安全保障を考えるときに、ヨーロッパのEUの歴史的な経過というものはいろんな意味で参考になると思います。参考にはなりますが、先生からいろいろお話をいただきましたように、アジアはさまざまなカテゴリーの国家があるわけでございまして、EUができたからアジアもということに、そう一度にはいかないことも十分わかるわけであります。
しかし、EUもことしの五月一日にはいよいよ二十五カ国になるわけでして、たまたまその二十五カ国の人口を見ましたら四億五千三百万人、そのGDPは一千二百二十九兆円になるようであります。このヨーロッパ、EU二十五カ国に匹敵する経済圏はNAFTAですね、アメリカ、カナダ、メキシコ。ここも人口がほとんど同じでございまして四億一千四百万人、そのGDPもほとんど同じなんですね、一千二百二十七兆円。
そういうEU、NAFTAの経済圏とアジアを比較しますと、アジアは二十二カ国、これは、国はいろいろカウントによって少し違うんですけれども、GDPが九百兆円。EU、NAFTAにはちょっと届かないけれども、もう少しで一千兆円。人口が圧倒的に違うんですね、三十四億になるわけですから。だから、これから二十一世紀はアジアが舞台になるであろうと。また、その中で、圧倒的な人口を抱えている、十三億とも言われる中国が二十一世紀の主役になるのではないかなどと言う人もおります。
そこで、今のそれぞれの国の経済成長が続いていくということを前提にしての話でありますが、二〇五〇年の世界のGDPを、民間と、経済産業省などで、本当にこの数字はかなり確かなものになるのかという問い合わせを私もちょっとしたんです。今の数字で計算をすればという前提でありますが、中国が二〇五〇年には何と四千六百五十七兆円、そしてアメリカがそのとき三千八百二十一兆円、インドが二千八百兆円、そのときの日本のGDPは八百兆円というわけであります。
昨今の中国の台頭というものは大変目覚ましいものがあるわけでございます。私も例年のように中国を訪問していますし、ことしのゴールデンウイークも中国を歩くことを計画しておりますけれども、中国の存在というものはアジアの中において非常に大きくなっていくであろう。そういう中で、これから日本の外交、あるいはアジアにおける日本の役割というものをどう考えるか。
先生もいろいろな角度からお話をいただきましたけれども、私は、どうも日本の外交が、今までは日米基軸、それから国連を舞台にしてきたわけですが、今度の、特にイラク戦争などをめぐりまして、国連の機能というものが十分果たしていないという中で、現状では日米関係、あるいは日米安全保障というものが現実に我々にとって欠かせないものであることは十分承知しているわけでありますが、私は今、イラク戦争の状況、展開を見ておりましても、これからはやはり国連を舞台にしていかざるを得ないのではないか、むしろ国連というものに対して日本がもっと積極的な働きかけをしていくべきではないか。
これは、単に今度のイラクの問題だけではなくて、日本はもう御存じのとおりアメリカに次いで、国連の負担金はアメリカが二二%ですが、日本は一九・四%、もう断トツであります。ドイツやフランスやイギリスが六%、八%というわけでありますし、ODAもまた、日本はアメリカに次いで、群を抜いて開発途上国に援助している。しかし、どうも日本の国連とか外交というものがはっきり見えないと言われてきたのは、私は、国連における日本の働きかけやあるいはODAのやり方も、例えばの話ですけれども、日本がこれから二十一世紀、環境というものをテーマにしていくなら、環境に限ってなら国連を通じて開発途上国に援助するとか、やはり日本がもう少しめり張りのついた国連、外交というものを展開していくべきではないかというふうに思います。
二〇五〇年に向けて世界が大きく動いていくときに、日本はどのような安全保障、あるいはアジアにおきます地域の安全保障というものを考えていくのか、もう少し参考人、先生から踏み込んでお話を伺えればと思います。
菊
菊池努#6
○菊池参考人 先ほど伊藤先生のおっしゃいました二〇五〇年の予測というのは大変興味深いですが、通貨危機の前に、これからアジアで、インドネシアが世界三番目か四番目の経済大国になるという世界銀行の予測がありまして、見事に裏切られたことがあるんですけれども。今の状況をこのまま延長して予測して果たしていいのかという話は別途あるかと存じます。
アジアというのは日本にとって、御承知のとおり非常に微妙な地域でございまして、世界、アジアの国の中で、我々はアジアの国だというふうに総理大臣が演説で言う国というのは、実は日本と恐らくオーストラリアの二国だけでありまして、中国の首相が我々はアジアの国であるなんというようなことを言ったことは聞いたことがない。つまり、日本は、一方で欧米といいますか、先進諸国の一国としての日本という、日本のみずからの位置についての認識があり、他方、地理的には、あるいは文化的にも自分たちはアジアであるという、他方でアジアである。常に我々、欧米、昔の言葉で言えば欧米列強と協調していくのか、アジアでいくのかという、ある種、日本外交の近代百数十年を貫くジレンマといいますか、それがあるんだろうと思います。
確かに、今、東アジアに関しては、北は中国から南はインドネシアまで大変なフィーバーであります。東南アジアの人たちのところに行きましても、これからは東アジアだと言って、例えばASEANプラス3というのをこれから強化していこうということを言っている。中国も同じようなことを言っている。韓国も同じようなことを言っている。ただ、日本は、やはりアジアに全面的にみずから身を投じられないという、ある種宿命があって、つまり、一方で欧米と一緒にやっていかなきゃいけない、アメリカと一緒にやっていかなきゃいけない。
ただ、僕自身は、過去十年くらいを見ますと、日米関係というのは非常に強靱なものになってきている。したがって、かつてマレーシアのマハティール首相がEAECというのを唱えて、東アジアでブロックをつくろう、日本はそのリーダーになれと言ったときに日本が非常に消極的な姿勢をとった時代とは随分異なりまして、アメリカとの関係が悪化するような形でアジアとの協調を日本が進めていくというような、そういうシナリオというのはほとんどないんだろう。
ですから、今こそ東アジアとの協力に日本はもっと積極的に乗り出すべきだ。実際、今、アジアを見ますと、中国は、日本が東アジアに全面的に身を投じられないだろうというのをよく知っていまして、そうであるがゆえに、他のアジア諸国に対して、東アジアでいこうということを言っている。ですから、私自身は、東アジアにもっと力を入れるべきだというのは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
この発言だけを見る →アジアというのは日本にとって、御承知のとおり非常に微妙な地域でございまして、世界、アジアの国の中で、我々はアジアの国だというふうに総理大臣が演説で言う国というのは、実は日本と恐らくオーストラリアの二国だけでありまして、中国の首相が我々はアジアの国であるなんというようなことを言ったことは聞いたことがない。つまり、日本は、一方で欧米といいますか、先進諸国の一国としての日本という、日本のみずからの位置についての認識があり、他方、地理的には、あるいは文化的にも自分たちはアジアであるという、他方でアジアである。常に我々、欧米、昔の言葉で言えば欧米列強と協調していくのか、アジアでいくのかという、ある種、日本外交の近代百数十年を貫くジレンマといいますか、それがあるんだろうと思います。
確かに、今、東アジアに関しては、北は中国から南はインドネシアまで大変なフィーバーであります。東南アジアの人たちのところに行きましても、これからは東アジアだと言って、例えばASEANプラス3というのをこれから強化していこうということを言っている。中国も同じようなことを言っている。韓国も同じようなことを言っている。ただ、日本は、やはりアジアに全面的にみずから身を投じられないという、ある種宿命があって、つまり、一方で欧米と一緒にやっていかなきゃいけない、アメリカと一緒にやっていかなきゃいけない。
ただ、僕自身は、過去十年くらいを見ますと、日米関係というのは非常に強靱なものになってきている。したがって、かつてマレーシアのマハティール首相がEAECというのを唱えて、東アジアでブロックをつくろう、日本はそのリーダーになれと言ったときに日本が非常に消極的な姿勢をとった時代とは随分異なりまして、アメリカとの関係が悪化するような形でアジアとの協調を日本が進めていくというような、そういうシナリオというのはほとんどないんだろう。
ですから、今こそ東アジアとの協力に日本はもっと積極的に乗り出すべきだ。実際、今、アジアを見ますと、中国は、日本が東アジアに全面的に身を投じられないだろうというのをよく知っていまして、そうであるがゆえに、他のアジア諸国に対して、東アジアでいこうということを言っている。ですから、私自身は、東アジアにもっと力を入れるべきだというのは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
伊
伊藤公介#7
○伊藤(公)小委員 ありがとうございました。
もう一問伺いたいと思いますが、アジアにおける安全保障の構築と集団自衛権の問題についてであります。
今、私たちは、憲法改正のかなり具体的なスケジュールに来ているわけでありますが、日本の憲法を見直していく場合に、集団的自衛権の行使を認めるべきであるか否かという問題は非常に重要なポイントなんですが、認める場合でも、ある一定の限定をしていくべきではないか。地理的な条件だとか、自国の安全確保に密接な場合など、集団的自衛権の行使が認められる場合についてという限定をしていくべきだという考え方もありますし、しかし、集団的自衛権の行使に例えば条件を設けた場合には、我が国がほかの国と同様の活動ができなくなってしまう、支障が生じるということも当然あると思います。そのときには、むしろ、我が国は、それぞれ置かれた状況に従って、随時政策的な判断を行っていくべきではないかという考え方もありますが、参考人の御意見を伺っておきたいと思います。
この発言だけを見る →もう一問伺いたいと思いますが、アジアにおける安全保障の構築と集団自衛権の問題についてであります。
今、私たちは、憲法改正のかなり具体的なスケジュールに来ているわけでありますが、日本の憲法を見直していく場合に、集団的自衛権の行使を認めるべきであるか否かという問題は非常に重要なポイントなんですが、認める場合でも、ある一定の限定をしていくべきではないか。地理的な条件だとか、自国の安全確保に密接な場合など、集団的自衛権の行使が認められる場合についてという限定をしていくべきだという考え方もありますし、しかし、集団的自衛権の行使に例えば条件を設けた場合には、我が国がほかの国と同様の活動ができなくなってしまう、支障が生じるということも当然あると思います。そのときには、むしろ、我が国は、それぞれ置かれた状況に従って、随時政策的な判断を行っていくべきではないかという考え方もありますが、参考人の御意見を伺っておきたいと思います。
近
菊
菊池努#9
○菊池参考人 先ほど申しましたように、私、日本の安全にかかわる問題というのは、日本、領土だけではなくて、広く地域、国際社会全体の問題もかかわっているわけでありまして、したがって、集団的自衛権の問題をあらかじめ狭く限定するというのは果たして実効性のあるものなのかどうかというのは、大いに疑問だろうというふうに思っております。より広く集団防衛というのを規定して、それで、実際にそれを適用するのは、随時、そのときの状況を勘案しながら判断していくというのが、まさにそれは政治の問題だろうというふうに思っております。
この発言だけを見る →伊
近
篠
篠原孝#12
○篠原小委員 初めまして。民主党の篠原孝でございます。この調査会に初めて参加させていただいております。
アジアの専門家の先生にちょっとお尋ねしたいんですけれども、よく、ミリタリープレゼンス、オーバープレゼンス、軍事的なプレゼンスが大き過ぎるので脅威を感じるというのがあるわけですけれども、しかし、こちらの脅威のほかに、きょう経済安全保障という言葉が出てまいりましたけれども、エコノミックなプレゼンスが大き過ぎるというのも脅威になることがあるんじゃないかと私は思うんです。
その典型的な例がFTAです。日本がちょっとおくれて来て、先生のおっしゃったとおり、FTAフィーバーという感じで、理由もなくやみくもにシンガポールとやったり、アジアと言いつつ突然メキシコとやったりというでたらめなことをしているんだろうと思いますけれども、アジアの国から見た場合に、日本が自由貿易に名をかりて、地域全体が活性化するからというので、FTA、FTAと言ってくるのはどうもおかしいんじゃないか、うさん臭いんじゃないかというふうに見て当然だと僕は思うんですけれども、そういったものがあるのかどうか。
これは、過去の歴史と比べてみればわかるわけでして、古い話になりますけれども、日本がアジアに出て行くといったときは、大義名分、例えば、昔は五族協和という名のもとに満州国とかつくったりしてというのは、それは強烈なしっぺ返しを受けたわけです。今、自由貿易に名をかりて日本がしこたまもうけるというような、これは拒否反応があって当然のような気がするんですが、そういったものはアジアの国においてないのでしょうか。
この発言だけを見る →アジアの専門家の先生にちょっとお尋ねしたいんですけれども、よく、ミリタリープレゼンス、オーバープレゼンス、軍事的なプレゼンスが大き過ぎるので脅威を感じるというのがあるわけですけれども、しかし、こちらの脅威のほかに、きょう経済安全保障という言葉が出てまいりましたけれども、エコノミックなプレゼンスが大き過ぎるというのも脅威になることがあるんじゃないかと私は思うんです。
その典型的な例がFTAです。日本がちょっとおくれて来て、先生のおっしゃったとおり、FTAフィーバーという感じで、理由もなくやみくもにシンガポールとやったり、アジアと言いつつ突然メキシコとやったりというでたらめなことをしているんだろうと思いますけれども、アジアの国から見た場合に、日本が自由貿易に名をかりて、地域全体が活性化するからというので、FTA、FTAと言ってくるのはどうもおかしいんじゃないか、うさん臭いんじゃないかというふうに見て当然だと僕は思うんですけれども、そういったものがあるのかどうか。
これは、過去の歴史と比べてみればわかるわけでして、古い話になりますけれども、日本がアジアに出て行くといったときは、大義名分、例えば、昔は五族協和という名のもとに満州国とかつくったりしてというのは、それは強烈なしっぺ返しを受けたわけです。今、自由貿易に名をかりて日本がしこたまもうけるというような、これは拒否反応があって当然のような気がするんですが、そういったものはアジアの国においてないのでしょうか。
菊
菊池努#13
○菊池参考人 それについては、少なくとも、私が日ごろ接している東南アジアの人たちからそういった話を聞いたことはほとんどございません。
日本の経済的なプレゼンスが高まるというのは、確かにそれは日本は利益のためにやっているわけで、しかし、その利益というのは日本だけが独占しているものではないわけでありまして、東南アジアの諸国もそれによって大きな経済的利益を得ているわけです。
ですから、日本の企業が東南アジアに進出するというのは、日本の企業も利益ですし、東南アジアの企業にとっても利益、東南アジアの国民にとっても利益が上がっているという判断が現地の政府にもあるし、国民の間にもあるということです。ですから、今東南アジアに行きますと、なぜ日本はもっと我々のところに進出して工場をつくってくれないのかというのが、東南アジアの多くの人たちの願望であります。
この発言だけを見る →日本の経済的なプレゼンスが高まるというのは、確かにそれは日本は利益のためにやっているわけで、しかし、その利益というのは日本だけが独占しているものではないわけでありまして、東南アジアの諸国もそれによって大きな経済的利益を得ているわけです。
ですから、日本の企業が東南アジアに進出するというのは、日本の企業も利益ですし、東南アジアの企業にとっても利益、東南アジアの国民にとっても利益が上がっているという判断が現地の政府にもあるし、国民の間にもあるということです。ですから、今東南アジアに行きますと、なぜ日本はもっと我々のところに進出して工場をつくってくれないのかというのが、東南アジアの多くの人たちの願望であります。
篠
篠原孝#14
○篠原小委員 そうですかね。
それで、先生のお話の中に非常に気になるのがあって、もっともだなと思ったんですが、余りにも相互依存関係が強くなり過ぎるということが、かえって、いざというときに混乱を招くと。例えば通貨危機なんかがそうだったんじゃないかと思います。余りにもグローバルな中に巻き込まれ過ぎた、まだ体制が整っていないにもかかわらず、そこのところに巻き込まれて、そしてがちゃんと、うまくいかなくなって大損害を受けた。
経済的にも、地域でFTAとか言ったりしていますけれども、結局、やはり国家が厳然と存在する。理想主義的に走る人たちが、やれ国連だ、やれ地域だと。例えば安全保障なんて一番浮世離れしたので言えば、平和外交だけでやればいいんで、一国としてなんかが軍隊を持たなくたっていいんだというようなのにすぐ走りがちなわけですが、それは、やはり現実の世界としては難しいんじゃないかと思うんですけれどもね。大事なところは、一国としてある程度の維持をしながら、その中で依存をしていくというような関係が必要なんじゃないか。
これは何を言っているかちょっとおわかりいただけないと思うので、例を申し上げますと、日米の開戦がいろいろな理由で起きたんだろうと思いますけれども、日本に必要なもので足りないものがあった、石油。石油が手に入らなくなったりして、ごちゃごちゃ崩れた。
ですから、これはお気づきになっていないことかもしれませんけれども、日米通商摩擦を解決する非常に簡単な方法として、アラスカの石油を買って、アラスカの石油を日本が輸入すれば一挙に解決するというのがあったわけです。アラスカの州知事は、けちなアメリカの石油会社よりも日本の石油会社に売りたかったわけです。しかし、アメリカはどういう判断をしたかというと、いざというときのためもありますけれども、そうじゃなくて、余りにも日本に依存されてはたまったものじゃない、余りにも依存をされ過ぎると、いざというときにまた決定的な対立になってしまう、そういったことも考えて、石油については日本とアメリカはノータッチでいこうというような考えがあったんです。
そういったことは、東南アジアの国々のことを考えた場合も、日本の立場から見てもあってもいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →それで、先生のお話の中に非常に気になるのがあって、もっともだなと思ったんですが、余りにも相互依存関係が強くなり過ぎるということが、かえって、いざというときに混乱を招くと。例えば通貨危機なんかがそうだったんじゃないかと思います。余りにもグローバルな中に巻き込まれ過ぎた、まだ体制が整っていないにもかかわらず、そこのところに巻き込まれて、そしてがちゃんと、うまくいかなくなって大損害を受けた。
経済的にも、地域でFTAとか言ったりしていますけれども、結局、やはり国家が厳然と存在する。理想主義的に走る人たちが、やれ国連だ、やれ地域だと。例えば安全保障なんて一番浮世離れしたので言えば、平和外交だけでやればいいんで、一国としてなんかが軍隊を持たなくたっていいんだというようなのにすぐ走りがちなわけですが、それは、やはり現実の世界としては難しいんじゃないかと思うんですけれどもね。大事なところは、一国としてある程度の維持をしながら、その中で依存をしていくというような関係が必要なんじゃないか。
これは何を言っているかちょっとおわかりいただけないと思うので、例を申し上げますと、日米の開戦がいろいろな理由で起きたんだろうと思いますけれども、日本に必要なもので足りないものがあった、石油。石油が手に入らなくなったりして、ごちゃごちゃ崩れた。
ですから、これはお気づきになっていないことかもしれませんけれども、日米通商摩擦を解決する非常に簡単な方法として、アラスカの石油を買って、アラスカの石油を日本が輸入すれば一挙に解決するというのがあったわけです。アラスカの州知事は、けちなアメリカの石油会社よりも日本の石油会社に売りたかったわけです。しかし、アメリカはどういう判断をしたかというと、いざというときのためもありますけれども、そうじゃなくて、余りにも日本に依存されてはたまったものじゃない、余りにも依存をされ過ぎると、いざというときにまた決定的な対立になってしまう、そういったことも考えて、石油については日本とアメリカはノータッチでいこうというような考えがあったんです。
そういったことは、東南アジアの国々のことを考えた場合も、日本の立場から見てもあってもいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
菊
菊池努#15
○菊池参考人 最初の相互依存の話ですけれども、確かに、歴史を見れば、みんなどこの国家も可能な限り自分たちの自立性を守ろうというふうにやってきたわけですね。できれば他国に依存しないで、自分たちの持っている資源、技術、資本、人、そういうもので経済を発展させたい。それが一番いいことかもしれない。
ただ、悲しいかな、それではうまくいかない。一番典型的なのは戦後の中国ですね。つまり、自主自立、自立更生というのは確かに美しいスローガンであるんですけれども、技術もない、資本もない、人もいない、そういうところで国民に安定した経済生活を結局政府は提供できなかったわけですね。
そこで、じゃ、国民に豊かな生活を提供するにはどうしたらいいかというふうに考えたときに、やはり、自分たちのところに資本がなければそれは外から持ってくるしかないじゃないか、技術がなければ外に依存するしかないじゃないか、そういうふうにして、外国から企業を誘致し、あるいは自分たちのつくったものを世界に輸出して、そして国民が少しずつ豊かになっていった。
それは、確かに、先生おっしゃいますように、いろいろなリスクが新たに生まれたわけです。つまり、政府からいえば、自分たちがコントロールできないようなところで問題が起こって、それが自分たちの生命財産に影響するようなことになってきているわけですから。
ただ、問題は、それを減らすという話ではなくて、そういうリスクをうまく管理するような仕組みを地域でも世界でもつくっていくということが大事なんだろうというふうに私自身は思っております。
この発言だけを見る →ただ、悲しいかな、それではうまくいかない。一番典型的なのは戦後の中国ですね。つまり、自主自立、自立更生というのは確かに美しいスローガンであるんですけれども、技術もない、資本もない、人もいない、そういうところで国民に安定した経済生活を結局政府は提供できなかったわけですね。
そこで、じゃ、国民に豊かな生活を提供するにはどうしたらいいかというふうに考えたときに、やはり、自分たちのところに資本がなければそれは外から持ってくるしかないじゃないか、技術がなければ外に依存するしかないじゃないか、そういうふうにして、外国から企業を誘致し、あるいは自分たちのつくったものを世界に輸出して、そして国民が少しずつ豊かになっていった。
それは、確かに、先生おっしゃいますように、いろいろなリスクが新たに生まれたわけです。つまり、政府からいえば、自分たちがコントロールできないようなところで問題が起こって、それが自分たちの生命財産に影響するようなことになってきているわけですから。
ただ、問題は、それを減らすという話ではなくて、そういうリスクをうまく管理するような仕組みを地域でも世界でもつくっていくということが大事なんだろうというふうに私自身は思っております。
篠
近
福
福島豊#18
○福島小委員 本日は、大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
先ほども伊藤先生の方から御指摘がありましたが、集団的自衛権の問題であります。
経済依存、相互依存が深化している、そしてまた、さまざまな形で地域の安全保障対話も進んで、予防的な取り組みが進んでいるということも事実でありますけれども、一方で常に考えておかなければいけないことは、朝鮮半島で有事が起こった場合にどうするのか、そしてまた、台湾海峡で有事が起こった場合にどうするのか。
これは起こさないようにするということが一番大事なわけでありますけれども、万一そういった場合に日本がどういう行動をとり得るのかというようなことは、当然政治の場では議論されるべきであるというふうに私は思っているわけであります。こうした場合に、日本が、過去の歴史ということも踏まえて、一体どのような役割を担うべきなんだろうか。当然、こうした問題の場合には米国が中心になって対応するという話になると思いますけれども、先生の率直な御意見をお聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →先ほども伊藤先生の方から御指摘がありましたが、集団的自衛権の問題であります。
経済依存、相互依存が深化している、そしてまた、さまざまな形で地域の安全保障対話も進んで、予防的な取り組みが進んでいるということも事実でありますけれども、一方で常に考えておかなければいけないことは、朝鮮半島で有事が起こった場合にどうするのか、そしてまた、台湾海峡で有事が起こった場合にどうするのか。
これは起こさないようにするということが一番大事なわけでありますけれども、万一そういった場合に日本がどういう行動をとり得るのかというようなことは、当然政治の場では議論されるべきであるというふうに私は思っているわけであります。こうした場合に、日本が、過去の歴史ということも踏まえて、一体どのような役割を担うべきなんだろうか。当然、こうした問題の場合には米国が中心になって対応するという話になると思いますけれども、先生の率直な御意見をお聞かせいただければと思います。
菊
菊池努#19
○菊池参考人 私自身は非常に結論ははっきりしておりまして、朝鮮半島の有事あるいは台湾海峡の有事というのは、日本にとっても深刻な問題ですし、アジア太平洋全体にとっても深刻な問題でありますし、それから、世界全体にとっても非常に深刻な問題であります。したがって、それに対して日本がしかるべき役割を軍事的にも政治的にも経済的にも果たしていくというのは、それは日本の狭い意味での国益の発露ではなくて、より大きな公益を守る一環であるということでありますから、仮にそれができないような状況があるとすれば、それは直ちに改善しなければいけないというふうに思っております。
この発言だけを見る →福
福島豊#20
○福島小委員 先ほど先生が、アジアの諸国との関係、それは米国との関係もありますけれども、大切にすべきであると。私もそのとおりだと思っておりまして、とりわけ、アジアの地域において大国となり行く中国を考えた場合に、中国以外のアジアの諸国との関係というものをどう図っていくのかということが非常に大切だというふうに、地域の安定ということにおいても大切だと思っているんです。
ただ、一方で、米国一国主義に、まあ、なってしまったと言った方がいいのかもしれませんけれども、こうした国際政治の状況の中で、アメリカとの関係を、とりわけアジア地域ということであれば、緊密な連携ということであると思うんですけれども、世界的な視野の中でどこまでどう日本はつき合っていくのか、これは平たく言えばそういう話になりますけれども、対応すべきなのか、この点についての先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →ただ、一方で、米国一国主義に、まあ、なってしまったと言った方がいいのかもしれませんけれども、こうした国際政治の状況の中で、アメリカとの関係を、とりわけアジア地域ということであれば、緊密な連携ということであると思うんですけれども、世界的な視野の中でどこまでどう日本はつき合っていくのか、これは平たく言えばそういう話になりますけれども、対応すべきなのか、この点についての先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
菊
菊池努#21
○菊池参考人 アメリカという国は時々おかしなこともする国ですけれども、社会の復元力が非常に高い国でありまして、社会が非常に開かれていますし、多様な意見が出ますし、間違いに対してはそれを是正する力もありますし、そういう点で、我々がこれからパートナーとしていくには、世界でいろいろ国がありますけれども、それは最もいい国であるのは間違いない話だろうというふうに思います。
ただ、先ほど言いましたように、アメリカは時に大きなミスもすることもあります。ですから、それに対して日本がしかるべくアドバイスをするということも時に必要であろうというふうにも思っております。
この発言だけを見る →ただ、先ほど言いましたように、アメリカは時に大きなミスもすることもあります。ですから、それに対して日本がしかるべくアドバイスをするということも時に必要であろうというふうにも思っております。
福
福島豊#22
○福島小委員 もっと日本がしっかりしなきゃいかぬということかもしれませんが。
一方で、ですから、そうした場合のアメリカの行動に対して一定の影響力を行使するということを考えた場合にもう一つ大切なのは、国連の機能といいますか、存在といいますか、そういうものをどう強化していくのかということだろうと思うんですね。
その場合に、日本一国がどうこうということでは恐らくなくて、例えばEUならEUとどう連携をしていくか、アジアの諸国とどう連携をしていくのか、そういうことを背景として国連の機能強化というようなことを考えていかなければいけないんだろう、私はそんなふうに思うわけでありますけれども、国連をこれからどうしていくのかということについて、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →一方で、ですから、そうした場合のアメリカの行動に対して一定の影響力を行使するということを考えた場合にもう一つ大切なのは、国連の機能といいますか、存在といいますか、そういうものをどう強化していくのかということだろうと思うんですね。
その場合に、日本一国がどうこうということでは恐らくなくて、例えばEUならEUとどう連携をしていくか、アジアの諸国とどう連携をしていくのか、そういうことを背景として国連の機能強化というようなことを考えていかなければいけないんだろう、私はそんなふうに思うわけでありますけれども、国連をこれからどうしていくのかということについて、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
菊
菊池努#23
○菊池参考人 国連の機能を強化するというのは極めて大事なことで、世界は、先ほど申しましたようにさまざまな新しい問題を抱えていて、それは国際的な協調なしにはなかなか解決できない問題であろうかというふうに思います。
そのときに、やはり世界で数少ない正統性を持った組織として国連というのがあるのは事実ですし、ただ同時に、国連がなし得ることにも非常に大きな限界があるということもやはり知っておかなければいけないことだろう。これは、日本が安保理のメンバーになるならないという話ではなくて、国連が本来的に持っている限界というのはやはりあるわけでありまして、そのことを踏まえた上で国連への期待というのを持つべきだろう。
僕自身は、先ほど言いましたように、例えばアジアの平和、安全保障というようなことを考えたときに、国連が機能する余地がどのくらいあるのかということについては相当疑問視しております。我々、アジアの紛争というのを見たときに、あるいは紛争が起こり得るであろう地域を見たときに、大なり小なりほとんど中国がかかわっているわけですね、北は朝鮮半島からずっと南のインド、中央アジアも含めて。そうなると、アジアで紛争が起こったときに、国連の安保理がうまく機能する可能性というのはどこまであるのか。そうすると、相当疑問である。
しかし、何らかの対応をしなければならないとすれば、それを有志連合と呼ぶのか、同憂の士を数多く集めるというふうに呼ぶのか、その呼び方はわかりませんけれども、より多くの諸国の支持を得られるような形で日本が対外的な政策を進めていくということは非常に重要なことだろうと思うんですね。世界のすべての国が支持するということはあり得ない話で、しかし、より多くの国が支持するような政策を展開するということは当然重要なことである。その点で、日々、我々の周辺の諸国との間で、そういった日本の行動についてより深い理解を得ていくということは当然重要なことだろうというふうに思っております。
この発言だけを見る →そのときに、やはり世界で数少ない正統性を持った組織として国連というのがあるのは事実ですし、ただ同時に、国連がなし得ることにも非常に大きな限界があるということもやはり知っておかなければいけないことだろう。これは、日本が安保理のメンバーになるならないという話ではなくて、国連が本来的に持っている限界というのはやはりあるわけでありまして、そのことを踏まえた上で国連への期待というのを持つべきだろう。
僕自身は、先ほど言いましたように、例えばアジアの平和、安全保障というようなことを考えたときに、国連が機能する余地がどのくらいあるのかということについては相当疑問視しております。我々、アジアの紛争というのを見たときに、あるいは紛争が起こり得るであろう地域を見たときに、大なり小なりほとんど中国がかかわっているわけですね、北は朝鮮半島からずっと南のインド、中央アジアも含めて。そうなると、アジアで紛争が起こったときに、国連の安保理がうまく機能する可能性というのはどこまであるのか。そうすると、相当疑問である。
しかし、何らかの対応をしなければならないとすれば、それを有志連合と呼ぶのか、同憂の士を数多く集めるというふうに呼ぶのか、その呼び方はわかりませんけれども、より多くの諸国の支持を得られるような形で日本が対外的な政策を進めていくということは非常に重要なことだろうと思うんですね。世界のすべての国が支持するということはあり得ない話で、しかし、より多くの国が支持するような政策を展開するということは当然重要なことである。その点で、日々、我々の周辺の諸国との間で、そういった日本の行動についてより深い理解を得ていくということは当然重要なことだろうというふうに思っております。
福
福島豊#24
○福島小委員 最後にFTAのことをお聞きしたいわけでありますが、アジアにおけるFTAの展開というのは、中国もこれは積極的に取り組もうとしている、そしてまた日本もそれにカウンターをしていく必要があるという二つの流れがあるんだろうというふうに思うんですね。
そういう意味では、どちらがアジアにおけるFTAの、要するに経済の相互依存関係の構築に当たってヘゲモニーをとるのか、そんなような構図に私はなっているのではないかと思うんですけれども、結果としてできればどっちでも一緒じゃないかという考え方もあるわけでありますけれども、この点について、いろんな議論がありますから、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →そういう意味では、どちらがアジアにおけるFTAの、要するに経済の相互依存関係の構築に当たってヘゲモニーをとるのか、そんなような構図に私はなっているのではないかと思うんですけれども、結果としてできればどっちでも一緒じゃないかという考え方もあるわけでありますけれども、この点について、いろんな議論がありますから、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
菊
菊池努#25
○菊池参考人 先ほど言いましたように、今のFTAは相当政治的な思惑を秘めたFTAでありまして、ですから、FTAの中身がどうであるかということよりも、ある種、相手の国に対して、自分たちの外交的な大きな意味合いを込めてFTAの提案が行われているというのが実態だろうと思います。
実際、ASEANの国の人たちに聞きますと、どうも最初に期待していたほどの話ではないなという、中国とのFTAの交渉ですけれども。東南アジアの国からいきますと、中国から言われたことに対して拒否はできない。拒否はできないのでやるんですけれども、中国とだけやるのはやっぱり困るというのが東南アジアの国の本音でありまして、そういう点で、日本が東南アジアとのFTAを含む経済関係強化にもっと積極的に乗り出してもらいたい、アメリカも乗り出してもらいたいというのが彼らの本音で、中国とだけつき合うのはちょっと御免こうむるといいますか、いささか問題であると。ですから、そういう点で日本に期待をしているのは事実だろうと思います。
この発言だけを見る →実際、ASEANの国の人たちに聞きますと、どうも最初に期待していたほどの話ではないなという、中国とのFTAの交渉ですけれども。東南アジアの国からいきますと、中国から言われたことに対して拒否はできない。拒否はできないのでやるんですけれども、中国とだけやるのはやっぱり困るというのが東南アジアの国の本音でありまして、そういう点で、日本が東南アジアとのFTAを含む経済関係強化にもっと積極的に乗り出してもらいたい、アメリカも乗り出してもらいたいというのが彼らの本音で、中国とだけつき合うのはちょっと御免こうむるといいますか、いささか問題であると。ですから、そういう点で日本に期待をしているのは事実だろうと思います。
福
近
塩
塩川鉄也#28
○塩川小委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
きょうは、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
きょうのお話の中で、地域安全保障対話の拡大ということで、政府間フォーラムではASEANの話がございました。地域の協力対話として、ASEANの役割にかかわってですが、戦争のない東南アジアの共同体づくり、紛争の平和的解決という規範を埋め込む上で大きな役割を果たしたとお話の中にもございました。
その点にかかわって、東南アジア友好協力条約の機能について少しお尋ねしたいんですが、この東南アジア友好協力条約は、国連憲章の尊重や紛争の平和的解決、独立、主権の尊重など、戦後の世界の平和秩序を形成する上での原点が盛り込まれているものだと思います。この東南アジア友好協力条約がASEAN、東南アジアの安定にどのような役割や機能を果たしてきたのか、その点についてお尋ねいたします。
この発言だけを見る →きょうは、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
きょうのお話の中で、地域安全保障対話の拡大ということで、政府間フォーラムではASEANの話がございました。地域の協力対話として、ASEANの役割にかかわってですが、戦争のない東南アジアの共同体づくり、紛争の平和的解決という規範を埋め込む上で大きな役割を果たしたとお話の中にもございました。
その点にかかわって、東南アジア友好協力条約の機能について少しお尋ねしたいんですが、この東南アジア友好協力条約は、国連憲章の尊重や紛争の平和的解決、独立、主権の尊重など、戦後の世界の平和秩序を形成する上での原点が盛り込まれているものだと思います。この東南アジア友好協力条約がASEAN、東南アジアの安定にどのような役割や機能を果たしてきたのか、その点についてお尋ねいたします。
菊
菊池努#29
○菊池参考人 東南アジア友好協力条約ですけれども、この中身を見ますと、実は国連憲章そのものでありまして、ただ、ではなぜ国連憲章ではだめで、東南アジア独自の条約が必要だったのかということですけれども、要するに、東南アジアの国からいったら、国連憲章というのは彼らが全くかかわりのないところでできたものであるわけですね、東南アジアが独立する前にでき上がっていたものですから。
なぜバリ条約、一九七六年の友好協力条約が全く国連憲章と同じものであるにもかかわらず必要だったのかというと、東南アジアの国の間で、国連憲章に盛られているような内容について一度合意をするということが大事だったわけですね。つまり、国連憲章に書かれていることは他人の話ではなくて、我々の仲間でもあれが有効なことなんだということが確認されたという意味で、非常に大きな意味を持っていたわけですね。
ただ、そこに盛られている内容の中で何が大事だったかといったら、紛争の平和的解決という話であります。ですから、ASEANはこれまでいろんなことをやってきまして、今でもASEANの会合というのは年間三百ぐらいあるんですけれども、上は首脳会議から、役人の会議まで。実は、しかし、本当に一番成果を上げたのは、紛争が起こってもそれを解決する手段として武力を行使しないということを事実上相互に確認し合ったということがASEANの機能の最も重要なところで、それを支えたものとしての一九七六年のASEAN友好協力条約というのがあったということだろうと思います。
もちろん、他方、ASEANはその基本原則として内政不干渉というのを非常に強くお互い強調したわけで、それが今、ミャンマー問題とかいろんな問題でASEANの大きな問題にもなっているということだろうと思います。
この発言だけを見る →なぜバリ条約、一九七六年の友好協力条約が全く国連憲章と同じものであるにもかかわらず必要だったのかというと、東南アジアの国の間で、国連憲章に盛られているような内容について一度合意をするということが大事だったわけですね。つまり、国連憲章に書かれていることは他人の話ではなくて、我々の仲間でもあれが有効なことなんだということが確認されたという意味で、非常に大きな意味を持っていたわけですね。
ただ、そこに盛られている内容の中で何が大事だったかといったら、紛争の平和的解決という話であります。ですから、ASEANはこれまでいろんなことをやってきまして、今でもASEANの会合というのは年間三百ぐらいあるんですけれども、上は首脳会議から、役人の会議まで。実は、しかし、本当に一番成果を上げたのは、紛争が起こってもそれを解決する手段として武力を行使しないということを事実上相互に確認し合ったということがASEANの機能の最も重要なところで、それを支えたものとしての一九七六年のASEAN友好協力条約というのがあったということだろうと思います。
もちろん、他方、ASEANはその基本原則として内政不干渉というのを非常に強くお互い強調したわけで、それが今、ミャンマー問題とかいろんな問題でASEANの大きな問題にもなっているということだろうと思います。