国の統治機構に関する調査会

2016-02-17 参議院 全85発言

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会議録情報#0
平成二十八年二月十七日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月十日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     堀井  巌君
     森本 真治君     石橋 通宏君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     矢倉 克夫君     秋野 公造君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         山崎  力君
    理 事
                猪口 邦子君
                島村  大君
                渡邉 美樹君
                野田 国義君
                新妻 秀規君
                倉林 明子君
    委 員
                井原  巧君
                衛藤 晟一君
                古賀友一郎君
                酒井 庸行君
                高橋 克法君
                武見 敬三君
                柘植 芳文君
                堀井  巌君
                石橋 通宏君
                田城  郁君
                津田弥太郎君
                水野 賢一君
                安井美沙子君
                秋野 公造君
                柴田  巧君
                儀間 光男君
                山本 太郎君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        宮崎 清隆君
   参考人
       筑波大学大学院
       人文社会科学研
       究科教授     岩崎美紀子君
       早稲田大学政治
       経済学術院教授  日野 愛郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国の統治機構等に関する調査
 (「時代の変化に対応した国の統治機構の在り
 方」のうち、二院制議会における今日の参議院
 の役割(二院制議会における両院の在り方))
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山崎力#1
○会長(山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、三木亨君及び森本真治君が委員を辞任され、その補欠として堀井巌君及び石橋通宏君が選任されました。
 また、去る十二日、矢倉克夫君が委員を辞任され、その補欠として秋野公造君が選任されました。
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山崎力#2
○会長(山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。
 「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、「二院制議会における今日の参議院の役割」について調査を行うに当たって、本日は「二院制議会における両院の在り方」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授岩崎美紀子君及び早稲田大学政治経済学術院教授日野愛郎君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず岩崎参考人、日野参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、岩崎参考人からお願いいたします。岩崎参考人。
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岩崎美紀子#3
○参考人(岩崎美紀子君) 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
 二院制議会における両院の在り方について、比較政治学の立場から、二院制議会の起源、諸国の二院制議会の比較、その中で見えてくる我が国の二院制議会の特徴について述べたいと思います。
 議会は社会の代表機関であり、立法機関として民主主義体制の根幹を成す統治機構です。現在、世界のほとんどの国には議会があり、そのメンバーを選ぶための選挙が行われています。しかし、議会は初めから現在のような形であったわけではなく、歴史を振り返れば、議会の成立や変化には国により違いがあることが分かります。議会の在り方や議会の構造は体制の変化と連動して変わることも、時間軸を長く取れば明らかになります。
 例えば、スペインはカディス憲法以降数多くの憲法を制定していますが、自由主義勢力が主導する体制では議会は一院制となり、保守勢力が優位であれば二院制となります。
 フランスは一七八九年に全国三部会が百七十五年ぶりに召集されましたが、第三身分を中心に国民の概念をベースとした議会に転換しました。王により召集され立法権も持たない身分別三院制とも言える三部会が、一院制の国民議会に変貌し、この議会が人権憲章を採択、封建的特権の廃止などアンシャンレジームを否定する議決を次々に行います。一七九一年憲法で正式に発足したフランス初の議会は一院制でしたが、一七九五年憲法で二院制になりました。ナポレオン帝政期は人民投票が重視され議会は骨抜きになりましたが、復古王政では議会が復活、二院制でした。フランスは革命からの百年間、王政、共和制、帝政のサイクルを二回繰り返しました。体制変動ごとに憲法が制定、議会の在り方も変化しました。議会の在り方や議会の構造はこのように体制の変化と連動して変わります。
 では、二院制議会は、歴史的に見ればどこにそのルーツを求めることができるのでしょうか。現在まで存続している議会であるという点から、二つのケースを挙げることができます。
 まず、イングランドです。
 議会の起源としては、十三世紀末、エドワード一世が戦費調達の協力を求めるため王国を構成する主要階層から代表を召集したことに求めることができます。議会のルーツは、社会の代表が参集する場であり王の求める財政負担を認める場でもありました。
 議会が確かな機関として定着していくのはエドワード三世の治世で、百年戦争が絡んでいます。フランスへ外征する兵士や資金の調達のために、貴族だけではなく各地域の代表を招喚、それが頻繁に行われました。彼らは貴族とは別の部屋で会合しており、それが庶民院の形成に結び付き、十四世紀後半には貴族院と庶民院の二院制議会が成立しました。貴族とそれ以外という身分制の二院制というより、庶民院は地域の代表という明確な代表原理でした。
 各地域の有力者が庶民院議員としてイングランド全体の議会に集まるのですから、中央、地方関係の要の役割も果たしていました。行政権は王の専管ですが、立法権は王と議会で共有、法案は、議会の二つの議院における審議と可決の後、王の裁可を得て法として成立、公布されるという現在の立法手続の基礎が十五世紀には成立しました。
 イングランドは、清教徒革命により一六四九年から一六六〇年の十一年間共和国となります。王なき政体で、庶民院が最高機関となりました。しかし、護国卿体制に取って代わられました。一六六〇年の王政復古とともに貴族院も復活、以後、王と二院制議会が英国の統治機構の中枢機関となっています。
 アメリカは、議会の起源としては、印紙法への反対を契機とした植民地代表者会議を挙げることができます。
 植民地共通の課題への対応を話し合うために各植民地の代表が参集する場が大陸会議になり、一七七六年七月独立宣言を採択しました。
 独立戦争を経て、一七八三年に独立が承認されたときのアメリカは、各邦が主権を持つ国家連合でした。共通機関として邦の代表で構成される連合会議がありましたが、独立という共通の目標を達成し終わった後は連合会議は共通機関としての求心力を失いました。十三の邦を一つの国として全体を統括するような政府をつくらなければ外交も通商もままならない。一七八七年にフィラデルフィア会議で開かれた会議では、緩やかな連合で邦の主権を維持するか、より堅固な結合を実現させるため一つの国家政府をつくるかという二つの相反する主張をすり合わせていきました。
 当時の政治体制の選択肢としては、国としては権力が王の下に一元化されている専制的単一制かスイスのような小国家連合しかありませんでした。憲法会議の議論の底流にあったのは、全体機関の権力の強化は独立を懸けて戦った英国のような専制の再現とはならないことを明示することでした。専制ではなく共和制を、連合ではなく連邦を、この二つの組合せをいかに制度として設計するかについて議論が展開し、憲法がつくり上げたのは連邦共和国でした。
 連合から連邦に移行することで、各邦の住民は連邦国家の国民となります。連邦共和国の議会が二院制とされたのは、邦を代表する議員と人民を代表する議員という代表制の異なる議院が必要とされたからです。国民代表の会議は人口比例の代表原則を取るため、人口の多い州では選出される議員の数も多くなります。州を代表する上院も、州の人口の多寡を反映すれば、人口の少ない州は連邦議会への代表度が相乗的に低くなります。
 州を代表する議員として上院議員の数は各州同数とすることで決着しました。上院議員は州議会が選ぶとされ、連合時代の連合会議との類似性があります。新規であったのは連邦国家となることで創出されるアメリカ合衆国民の議院としての下院でした。
 このように、イングランドは漸進的に議会が二院制となり、アメリカは第二段階の建国となった連邦憲法により議会二院制を設計しました。二院制議会が成立した背景にはこのような違いがありますが、両国には共通している点が二つあります。一つは、上院が元々の議会の系譜を引いており、下院に相当する議院がつくられたことで二院制となったこと。いま一つは、二つの議院の代表原則の違いです。
 二院制議会では、下院は必ず国民の直接選挙による選出という共通性がありますが、上院については各国様々です。二院制が意味を持つかどうかは上院の在り方によるところが大きいと言えます。
 議会二院制を取る諸国の上院を比較してみたいと思います。議院の規模、定数、議員任期などについてはお手元の資料にございますので、ここでは上院議員の選出方法に着目します。
 主要国の中で上院議員を直接選挙で選出しているのは、アメリカ、イタリア、日本、オーストラリアです。下院は直接選挙なので、選出方法が上下両院で同じになります。そのような中で、上院は下院とどのような違いがあるのでしょうか。
 アメリカの上院議員は、当初は州議会による選出でしたが、一九一三年に憲法修正第十七条により直接選挙になりました。選出方法は下院と同じ直接選挙ですが、建国当初から上院には下院にはない役割を持たせることを憲法で明記しており、上院と下院の違いは明白です。
 イタリアは、第二次世界大戦敗戦後の国民投票により君主制を廃止して共和制へ移行、一九四八年の共和国憲法で上院議員は直接選挙による選出となりました。それまでは王が任命する議員により構成されていました。
 イタリアの二院制議会は、合わせ鏡のように二つの議院は似ています。二院制の存在理由の一つに、どちらか一つの議院が機能することで議会という機関の継続性が確保できるというのがあり、上院にその機能が託されています。上院の方が下院よりも議員任期が長く、輪番的改選制を取ることが多いのも議会としての安定に寄与しています。
 しかし、イタリアの議会はそのようになっていません。任期は共に五年で、上院も下院も解散があります。下院と同様に上院にも不信任権があり、それがイタリア政治の不安定の一因になっています。最近、上院の改革が本格化されました。直接選挙をやめて、地方議員や大都市の市長などで構成される地域代表の議院とし、議員数も三百十五名から百名に縮減するという案です。上院改革には憲法改正が必要ですが、改正案は上下両院で可決されましたので、あとは国民投票で承認されれば、この新たな上院が実現します。
 直接選挙ではありませんが、上院議員となる者は選挙を経ているという観点からは、フランス上院のように地方政治家を選挙人団とする間接選挙のほか、ドイツのように、州議会選挙で勝利し、州の政権を掌握した州政府関係者がメンバーとなる上院もあります。
 上院議員が選挙とは無縁なのが英国とカナダです。
 英国貴族院は選挙で選出される庶民院に対してその権限が弱められましたが、カナダの上院は下院通過法案に対しての拒否権を持ち続けています。カナダとオーストラリアは、共に英国の政治原理である立憲君主制、議院内閣制を踏襲しながら連邦国家を成立させるという共通点を持ちながら、上院については、カナダは任命制の上院、オーストラリアは直接選挙による上院と対照的な設計をしています。国家建設に当たって、それまでの歴史や政治文化の違いが上院の在り方に映し出されたことが分かります。
 二院制を法が成立するためには二つの議院の可決が必要な議会と定義すると、上院の可決がなくとも下院再可決で法が成立する下院再議決制度があること自体、上院の立法権限の制約、下院の優越が組み込まれていることになります。イタリア、カナダ、オーストラリアにはこの制度はなく、上院の可決を得られなければ法は成立しません。ドイツは、連邦参議院の可決がなければ法が成立しない同意法案と、下院の再議決により法が成立する一般法案の二つのカテゴリーがあります。議院内閣制諸国の上院を比較すると、強い方から順にイタリア、カナダ、オーストラリア、ドイツ、日本、イギリス、スペインと並べることができます。
 議会は一院でも議会なのですから、二院制議会を選択するのは、第一院とは異なる第二院のイメージがあるからです。イメージは役割と言い換えることができます。役割というのは責任であり、責務でもあります。上院がその役割を果たすことができるようなメンバーを選ぶ、このロジックが明確なのがカナダです。
 カナダは、建国時、二院制議会の設計において二つの議院の補完関係を基本としました。下院は選挙によるので、上院も選挙とすれば二つの議院は競合することになります。上院は冷静な第二の考えを持つ議院として下院を補完する。冷静な第二の考えとは熟慮です。政党の影響下にある下院とは距離を置き、中長期的視野で立法化が必要な案件を調査、審議したり、下院通過法案を国家的、国民的、大局的な観点から再検討する熟慮が上院の役割です。この役割を果たすには、メンバーの識見や専門性、中立性、独立性が不可欠です。このような上院メンバーを得るために、任期を定めない任命制としました。議院の役割がメンバーの選出方法を決めたと言えます。
 カナダの上院は、一八六七年に誕生して以来、連邦を構成する州の増加に応じて議員定数が増えたこと、議員終身制が七十五歳定年制となったこと以外変わっていません。このような上院を非民主的として、前保守党政権は、上院議員の任期の設定、州民による選挙の実施などを柱とする上院改革を掲げました。しかし、上院の役割についてはビジョンがありませんでした。二院制議会第二院の存在意義を第一院との補完関係から規定する第二院の役割に求めるのか、議員の選出方法と任期だけで判断するのか。カナダ社会は、任命制、七十五歳定年制の議員で組織される上院は時代遅れとの認識はあります。しかし、だからといって州民による選挙で上院議員を選ぶべきと思っているわけでもありません。上院が政府・与党の過熱法案を冷静に審議するという役割を果たすことが重要なのです。
 カナダの事例が示唆するのは、上院の役割がメンバーの選び方を規定するのであり、選び方の変更は役割に重大な影響を与えるということです。参議院が良識の府としての役割を持つのであれば、中立性、独立性が必要です。政権をめぐる権力闘争の主戦場である衆議院の党派政治からは距離を置ける、そのようなメンバーで構成されなければこの役割を果たすことは難しいと考えます。
 諸国の二院制議会との比較から、我が国の二院制議会の特徴が見えてきます。
 日本は、戦後憲法により参議院が創設、直接選挙により議員が選出される上院となりました。日本の問題は、上院と下院の違いが見えにくいことです。憲法第四十二条は「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」としていますが、第四十三条では「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定しています。二院制議会諸国の中で、二つの議院の代表原則も選出方法も同じであることを憲法で明記しているのは日本だけです。同じであるなら一院制でもいいではないかと思われるのは無理はありません。
 二つの議院を憲法条項で探すならば、議員任期です。第四十五条で衆議院の議員の任期、第四十六条で参議院議員の任期とそれぞれ条項を立てていますが、憲法第四章の国会に関する多くの条項は、その主語が「両議院は、」となっています。これは、戦後、連合国最高司令部から示された憲法草案では議会は一院制であり、日本側が二院制に押し戻したという経緯を示唆するものでもあります。
 一九四六年三月六日に公表された日本政府の憲法改正案では、両議院は国民により選挙され全国民を代表する議員をもってこれを組織するとなっておりますので、ほぼそのまま憲法規定になったことが分かります。憲法改正案は六月二十五日に帝国議会に上程され、衆議院での修正、貴族院での修正を経て十月七日に議会審議を終えましたが、この条項については変わっていません。
 憲法でこのように決められた以上、二つの議院の違いをどのように出すのか。憲法は、両議院の議員定数、両議院の議員選挙人の資格、両議院の議員の選挙に関する事項については法律に委任しているので、二院制の議会の設計は立法に託されたことになります。
 衆議院は、戦前戦後継続している議院ですので、廃止される貴族院に代わる上院としての参議院の設計が焦点になります。憲法が公布された後施行されるまでの間に、選挙で選出されることになった上院の具体的内容を決め、実際に選挙を行い、議員を選出しなければなりません。参議院議員選挙法案を審議した帝国議会の議事録から分かるのは、参議院を衆議院とは異なるものとするためにされたのは、被選挙人の年齢と選挙の構成でした。選挙の構成とは、都道府県の区域を選挙区とする選挙と、全国を一つの選挙区とする選挙の二本立てとすることです。衆議院との違いを出すため選挙法で設定した二種類の選挙区で、都道府県選挙区選出議員には地域代表、全国区選出議員には職能代表の性格を持たせました。政党から距離を置く議員で構成されることが衆議院との違いであるとの認識もありました。
 二院制議会諸国では、下院は国民代表原則であることは共通していますが、上院はそれぞれです。普通選挙制度が定着した中では、国民代表原則の下院は代議士が代表する国民の数が同じであることが基本となり、一票の較差が問題となります。現実には地理的理由や歴史的経緯などで全く同じとなるわけではありませんが、この基本は尊重されています。しかし、上院については一票の較差の問題は生じません。
 例えばアメリカは、下院については代表の公正さに対しては厳格に対応しますが、上院は各州二名で人口の多寡に左右されないことが基本です。しかし、日本では両議院とも一票の較差訴訟の対象になっています。しかも、最初の訴訟は参議院議員選挙に対してでした。一票の較差訴訟とは、憲法第十四条の観点から投票価値の較差を問題とする選挙無効訴訟です。憲法は選挙については法律に委任しているので裁判所は立法府の裁量を認めていますが、国会が較差是正に真剣に取り組まなければ違憲判決が出る確率は高くなると思います。
 参議院については、較差が五倍程度であれば合憲と判断されてきました。参議院には地域代表的性格があるということからでした。しかし、二〇一二年以降、最高裁の姿勢は厳しくなり、違憲状態の判決が続いています。地域代表的性格の根拠は、参議院議員選挙法案の政府説明にしかありません。投票価値の平等をめぐる訴訟が憲法にその根拠を持つ以上、立法趣旨に依拠することはもうできなくなりました。
 国会は国権の最高機関で唯一の立法機関です。その国会を構成するのが違憲状態で選出された議員では、法治国家の根幹が揺らぐことになります。
 二院制議会における参議院の在り方を根本から考えるのであれば、一票の較差訴訟に翻弄されない落ち着きがまず必要です。衆議院は一票の較差問題から逃れることはできませんが、参議院は、諸国の上院がそうであるように、国民代表原則とは異なる代表原則であればこの問題の外に位置することができます。
 最初に申し上げましたように、二院制議会の歴史的起源は代表原則の違いにあります。日本の二院制議会の問題は二つの議院の代表原則が同じであることです。参議院は衆議院とは異なる代表原則で組織できなければ、第二院としての存在意義が問われ続けることになります。第二院の代表原則として多くの国が採用しているのが地域代表原則です。国は領土とそこに住む人々によって形成され、領土は幾つかの地域から構成されます。国の議会への国民の参加と地域の参加は、国家と社会の関係を二重に保障します。
 国民代表原則である下院は、一票の較差是正のために人口比例的に議席配分をしなければならず、人口の多い都市圏の議員が多くなります。自然が濃く残り、森林、田園が多い地方圏は、国土の観点からも水や食料といった生存基盤の観点からも重要であるのに、送れる議員の数は少なくなります。単一制は立法権が国の議会に一元化されている政治制度なので、国の議会で都市圏の議員が多くなればなるほど地方の利益は立法に反映されにくくなります。
 第二院が地域代表原則を取れば、人口の多寡に左右されず議員を送れます。国土を形成する数千キロに及ぶ列島の全国津々浦々からの議員が第二院に集まることで、第一院と相互補完的な議院になります。国民代表原則と地域代表原則が国の議会においてセットになり、二院制議会を構成することが単一制においてこそ不可欠だと考えます。地方創生など施策レベルにとどめずに、地域の重要性を立法レベル、憲法レベルに昇華させることが日本の基礎体力の強化になるのではないでしょうか。
 参議院の代表原則を地域代表とすることは、一票の較差問題、都市と地方の代表制の問題など、多くの問題への解となります。このためには、憲法四十三条の改正が必要です。第四十三条は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定しています。この両議院を衆議院に変え、これを組織するの前に、参議院は、地域を代表する議員でを入れます。これで、代表原則と選出方法が同じという二院制議会の否定とも言える根本が変わります。戦後、憲法制定プロセスにおいて第二院を設計し切れなかったことに原因があるのですから、ここに立ち返らなければならないと思います。
 私からは以上です。
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山崎力#4
○会長(山崎力君) ありがとうございました。
 次に、日野参考人にお願いいたします。日野参考人。
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日野愛郎#5
○参考人(日野愛郎君) この度は、国の統治機構に関する調査会という重要な会にお招きいただきまして、大変光栄に存じております。
 私がいただきましたテーマは、二院制議会における両院の在り方、そして衆参両院の在り方を踏まえた選挙制度でございます。望ましい選挙制度を論じることは大変難しいことでございまして、ましてや選挙を熟知されている先生方の前でお話しすると、何か参考になることを申し上げられるかは大変不安ではありますが、せっかくの機会ですので少し考えてきたことをお話しさせていただきます。
 一般に選挙制度を論じる際に、例えば一票の較差でありますとか、得票と議席はどの程度比例しているか、こういう比例性の基準といったような様々な基準があります。ただ、一票の較差等々の問題ですけれども、その国の実情によって、そして両院の位置付けによってそれらの基準をどう評価するかということ自体が変わってくるかと思います。
 したがいまして、本日のお話としまして、まずは両院の位置付けについてお話をした上で、初めてその後に望ましい選挙制度という順で、二段構成でお話を進めてまいります。お配りしておりますレジュメに沿ってお話を進めてまいります。
 まず、衆参両院の在り方でございますが、これは御案内のとおりですけれども、憲法には衆議院の優越の根拠となる条項がございます。レジュメにも挙げていますが、三分の二以上の多数で再可決ができるという憲法第五十九条二項から始まって、予算先議権は衆院にある、六十条ですけれども、さらに二項では、参院において議決がない場合には三十日の自然成立という条項がございます。これは六十一条の条約の承認に関しても同じことが当てはまります。このように法案に関する衆院の優越というものがまず規定されていると。
 さらには、内閣総理大臣の指名、これは六十七条二項ですけれども、十日以内に参議院で指名の議決がないときというのは、これは衆院の議決が当てはまるという条項もありますし、不信任案の決議に関して、これは六十九条ですけれども、衆議院にしかこれは認められていないということで、法案、内閣総理大臣の指名、いずれにおいてもこれは衆議院の優越が前提となっているというふうに考えられるわけです。
 一方、参議院の特徴に参りますが、参議院の特徴は、これは委員会制度が充実しているということであります。具体的には、次の三つの活動、決算、行政監視、調査会に象徴されているものですけれども、決算委員会の活動、これは国会法の第四十一条三項十四号で規定されている内容でございますが、御案内のとおり、参議院は衆議院に先んじて決算の早期提出並びに審査の充実に取り組んできました。これは歴代議長の下での参議院改革協議会を中心に積み重ねられてきた参議院の独自性であると思われます。
 実際に、二〇〇三年以降ですけれども、例外はありますけれども、従来の翌年の一月に提出されていた決算というのが、原則として同年の十一月に提出ということが実現しております。その年度が終わって、その同じ年に決算が提出されるようになったのは、このような参議院独自の取組の下での、今あるものはその成果によってあることだというふうに認識しております。
 順番、先に調査会の存在についてお話をしますけれども、調査会の先生方を前にして言うまでもありませんが、これも参議院の改革協議会の提言によって一九八六年に新設されたものです。これまで三年置きにずっと重ねられてきたことですけれども、調査会を基に、例えば高齢社会対策基本法案、これは九五年に成立しているものですが、等々三本の法律案が実際に提出され成立に至っているという経緯がございます。
 同じように、これも調査会の第四期のものであったと記憶しておりますが、その中間報告によって行政監視委員会というものを設置するということで、国会法が改正されて実際に、一九九八年以来、行政監視委員会というものが設置されていると。これらの参議院の特徴は、いずれも委員会制度が充実しているということを表しているというふうに思われます。
 以上の点を踏まえまして、少し衆参両院の在り方ということを整理しておきたいと思います。
 まず、衆議院というのは、これは内閣総理大臣の指名ですとか、予算審議において参議院に優越している、これは憲法の規定上読み取れるところ、理解できるところであります。したがって、衆議院というのは、内閣を構成し、国を運営していくということを主眼に置いた院であると言えます。与党、野党に分かれて、どちらが国政を担うのかということを争う対決型の院として捉え直すことができると思います。当然のことながら、解散がありますので、国会活動は政局にも大きく左右されるところでございます。
 一方、参議院は、解散がなく、半期三年、任期六年をベースに個別の政策にじっくり取り組むことができる。調査会などの独自の委員会制度もございますし、省庁の縦割りではなく、テーマごとに機動的な法案策定ということに取り組むことができる院でもある。また、参議院においては、法案提出における会派の機関承認が必要ないという点においても、自由に立法活動ができる環境にあるというふうに理解できると思います。
 少しこれは政治学的な言葉になりますけれども、これは先週の調査会において飯尾先生も使っていたので大丈夫だと思って使うところでございますが、衆議院は、いわゆる対決型の、これアリーナ型というふうに言いますけれども、与野党が闘技場で対決し合っているようなイメージですが、アリーナ型の院であるというふうに考えられます。どちらが内閣を担うのか、政権を担うのかということを対決し合う、そういうアリーナ型の院である。
 一方で、参議院は、これは政策立案型といいましょうか合意型といいましょうか、変換型議会という類型の名前で言われていますけれども、社会のニーズをどのように法案に変換していくか、超党派であったり、修正を重ねて最終的に法案を練っていくという、そういう変換型の院であるというふうにも捉えることができると思います。
 よくこれはイギリスがアリーナ型でアメリカが変換型というふうに言われるんですけれども、アメリカが変換型議会であり得る背景としては、行政府を担う大統領の存在があります。立法府とは別に行政府を担う大統領がいると。一方、日本では議院内閣制を採用しておりますので、イギリスと同じようにアリーナ型として立法府と行政府が融合している、こういう政治体制を取っているわけです。
 したがって、参議院の政策立案機能というものを重視することによって、二院制の下で立法府としての機能を補完していくということも一つの道筋であろうというふうに思われます。衆議院の方が政権を担うという意味ではアリーナ型であり、それゆえ多少立法機能活動が制限される、解散もありますし政局にも左右され得るということを考えると、解散がない参議院というのは、その意味において、立法機能を更に今まで以上に重視していくということが一つの道筋として考えられるだろうということであります。
 その点でいうと、予算の先議権、これ衆議院にあるわけですけれども、決算は参議院を中心にという役割分担も、これは両院の二院制の下で捉え直すことができるのではないかと思います。両院というのは言わば抑制と補完の関係にありまして、衆議院がアクセルであれば参議院がブレーキという、そういった補完関係にもあるというふうに捉えられるかと思います。
 三として衆参の在り方の明確化ということで、議決不一致時の対応でありますとか、行政監視機能、政策立案機能の充実若しくは参院先議の可能性、それから内閣総理大臣の指名や問責決議について記しておりますけれども、これはちょっと時間の関係で、後に時間が許せば少し丁寧にお話しさせていただければと思います。
 続きまして、今の両院の、衆参の在り方を踏まえて、では、衆議院、参議院でどのような選挙制度が望ましいのか、これ大変難しい問題ではございますが、今の話を前提に少し更に話を進めていきたいと思います。
 まず、衆議院の選挙制度でございますが、これは内閣を構成するための選挙、いわゆる政権選択選挙であるということが考えられますので、政党本位の選挙制度が望ましいであろうと。これは、言うまでもなく一九九四年の政治改革関連法案によって実現してきた選挙制度でありますが、これは事前にお配りさせていただきました参考資料にも書いてあることでございますけれども、その後二十年たって、様々な実証研究というものが積み重ねられてきています。
 その実証研究の成果を、これは様々な先生が積み重ねてきたものをまとめたものですけれども、その知見として明らかになっていることを少しまとめてみますと、これは、選挙の後に必ず、明るい選挙推進協会によって全国調査、世論調査を行っているものを見ていくと、投票の基準として、政党を重く見て投票したか、候補者を重く見て投票したかということを毎回聞いております。グラフを見ていくと、政党を重く見て投票を決めたという有権者が、やはり一九九六年の改革以降現在に至るまで一〇%から二〇%増加しているということが明らかになっております。
 そして、投票行動の分析を見ますと、候補者の要因というものは、これ依然として一定の影響力を持っているわけではありますが、その影響力は相対的にですけれども低下しつつあると。一方で、政党評価の影響力というものが増加する傾向にあり、そして、政策投票とか争点投票と言いますけれども、そのような影響力は必ずしも増加しているとは言えないと。
 選挙制度改革は、政策本位、政党本位ということで言ってきましたので、政党本位という面では一定程度成果が実際に実証的に見てもあったのではないかということが言えると思いますが、必ずしも政策投票、政策本位に本当の意味でなっているかというところは実証分析の結果から確たることは言えないという状況かと思います。
 一方で、議員の部会の出席ですとか委員会の発言というものを全てこれ統計的に比較をしていきますと、実際に選挙制度改革以前よりも以降の方が立法活動は活性化しているということもデータによって裏付けられています。その意味においては、政策重視ということが以前よりは少し強まっているということは実証研究の中では言われております。一定程度、その意味においては、選挙制度改革がもくろんだものが、実際に現時点においてある程度は達成しているというふうに見る向きもあろうかと思います。
 政権選択を可能とする選挙制度というと、これはまさに、小選挙区制ということはその一つで今なされてきたわけですし、小選挙区比例代表並立制という形でなされてきたわけですけれども、実際に政権交代がこれ二度実現していますので、言うまでもなく、その意味においては政権交代が可能な選挙制度であると言うことはできるかと思います。
 ただ、小選挙区制度というのは、理想としてはやはり二大政党制の下で運用されるのが望ましい、これはかねてから言われてきていることでございますが。日本が二大政党化するかどうかということを、実際にこれは政党数といいますか政党の数と政党の規模を加味した指標がありまして、それを見ていくと、九三年のときは、これは有効政党数と呼んでいるものですけれども、四以上ありました。これが、現在は二から二・五の間に落ちてきています。その意味においては政党の数は減っている。しかしながら、皆さん御存じのとおり二党制にはなっていないわけでありまして、現在の日本は多党制であると。
 そのような状況の下で小選挙区を行うとどういうことが起こるかと。これは心理的な効果ということでよく言われるところでありますけれども、心理的効果というのは、まずは政党、政治家に対しての選挙制度、小選挙区が持っている効果というものがあります。それはまさに候補者調整でありまして、小選挙区においては候補者調整をしないと中小政党は議席を取ることができないということがありますので、候補者調整が必要になると。そうすると有権者の選択肢が狭められる。これは、選挙区によっては、例えば自民党、公明党、若しくは前回の選挙であれば民主党と維新の党といったような形で候補者調整が行われてきたと思いますけれども、自分の支持する政党の候補者が自分の選挙区で立候補していないというような状況、これは有権者の選択肢が狭められていると。
 有権者に対しての心理的な効果でいうと、今お話ししたように一定程度死票が出ますので、一般的には満足感そして投票率が低下するというふうに言われています。私も、世界各国、いろんな国で選挙制度がありますので、多数代表制と比例代表制、投票率比べてみたことがあるんですけれども、多数代表制三百九の選挙、これは二〇一三年の段階ですけれども、投票率の平均が六九・五%、これは義務投票制などは除いたものですけれども、であるのに対して、比例代表制は三百六十二選挙の平均が七三・二%と、三、四%程度比例代表制の方が投票率は高くなっているという状況にあります。
 ヨーロッパの世論調査データで、これは国際比較ができるようなしっかりとした世論調査データで、三万以上のサンプルを基に、民主主義、これは選挙制度ではなくてデモクラシー、民主主義に対する満足度ということで、十点満点で聞いておりますけれども、多数代表制の諸国は四・六七、比例代表制諸国が五・二九と、統計的にも満足度が高いという結果が出ています。
 それでは、比例代表制の下で政権交代可能な選挙制度はないのかという疑問につながるわけですが、これは日本と同様の時期である一九九三年に比例代表並立制に移行したイタリアの例が少し参考になるかと思います。
 ほぼ同じ時期に小選挙区比例代表並立制を導入したイタリアですけれども、二〇〇五年に制度変更していまして、プレミアム付き、まずは小選挙区を廃止して比例代表制にしました。比例代表制というのは、かねてより、投票が終わってみないとどの政党とどの政党が連立を組むか分からないという意味においてアカウンタビリティーがないというようなことが批判としてあったかと思いますが、それをある種、その問題点を解決するという意図であると私は理解しておりますけれども、プレミアム付きの比例代表制というものを導入しました。
 これは、比例代表選挙の結果、第一党が過半数に満たない場合は、六百十七議席ある中で三百四十議席まで議席を与えると。これは五五%強の議席率になるわけですけれども、必ずしも、五五%以上を第一党が取っていればそのままもちろん取りますけれども、満たない場合は一定程度安定した政権運営ができる五五%を自動的に与えるという制度を導入しました。選挙戦の前に事前にこれは左右の陣営に分かれて、将来というか、その選挙後の首相候補を決めた上で選挙戦を戦うと。これも選挙法に定められたところでありますけれども、そのような選挙制度に移行しました。
 そうすると、事前の連立協定ということが必要になってくるわけですが、これも事前にお届けしました私の過去に書いたもので少し述べているところでもありますが、事前に連立協定をやはり、政策協定ですね、しっかりとすり合わせをしておくことが重要になってくるということにもつながってまいります。
 なぜ五五%なのかというところに明確な根拠がないということで、これ違憲判決をイタリアでは受けまして、その後、今また別の選挙制度ということになっているわけですけれども、これは必ずしも、プレミアム付きが変更したというよりも、実際に、これ二〇一三年であったと記憶しておりますが、三つぐらいのある意味コアリション、連立が出てきた場合に完全に五五%を与えられないというような状況が出てきたという政治的な要因もありまして、今、三七%以上を取っていないともう一回、二回投票制をするというようなことで改められているというふうに理解しておりますが、そのような選挙制度が例えばあると。
 ギリシャでも、これは三百議席中の五十議席が多数派のボーナスとして与えられるというようなことでプレミアム付きということがなされています。これは、一つの試みとしては、比例代表制の下で政権交代が可能な選挙制度ということなのであろうというふうに思います。
 一方で、イタリアでは小選挙区制が廃止されていますので、日本の実情に合わせて考えると、ドイツの併用制のような、小選挙区は残しておいて、小選挙区の得票の度合い、小選挙区の結果を、最終的に比例代表の議席配分の後に誰が議席を得るのかというときに小選挙区の結果を生かすというようなことも組み合わせて考えることも可能かと思います。
 総じて、日本が今後二大政党化するのであれば、これは現行の小選挙区がよいと思われますが、多党制の状況が続くようであれば、政権交代可能な比例代表制を模索するということも一案かと思われます。
 続きまして、参議院の選挙制度に話を移してまいりますが、これは、先ほどの両院の在り方を踏まえますと、立法府を構成するための選挙でありますので、いわゆる政権を監視するという役割もありますし、政策立案選挙であるということが言えると思います。
 そうしますと、望ましい選挙制度というのはやはり人物本位の選挙制度。これは、二〇〇〇年に可決した非拘束名簿式の比例代表制、二〇〇一年の参議院選から実際に実施されているものというのはこのような意図、背景があって導入されたものというふうに理解しておりますけれども、政策立案を促す選挙制度というのはどういうものがあるかということで考えていくと、一つは人物本位、比例代表制の下で人物本位というと非拘束名簿式で現行のものをということになるわけでありますが、その中で、一方で、やはり政党の判断で、政策能力がたけている、政策立案能力が高く、そのような活動をされてきている人を、例えば政党の判断で拘束名簿式としてそのような候補者を上位に付けるということもできるような選挙制度、これは私は変動型拘束名簿式というふうに呼んでいるんですけれども、変動型の拘束名簿式の比例代表制。これはベルギーが参考になると思われまして、どういうことをやっているかといいますと、まずは政党のクローズドリスト、拘束名簿式のリストがあります。有権者は、政党に丸をするか、そのリストに掲げられている候補者に丸をするか、日本の今の現在の比例代表制、参議院のものと似たようなものですけれども、その得票が多かった人に関しては順位を上げることができる、こういう意味で変動型の拘束名簿式選挙制度というものがあります。
 これは、選挙区における当該政党の得票を獲得議席プラス一で割ったもの、これは当選基数と呼びますけれども、それに達した候補者は自動的に当選すると。達していない場合は、その政党の得票から順に足していって、その当選基数満たした人が当選するというようなことをやっています。政党の得票がなくなった場合は、単純に票数の多い人から当選するというようなことでやっていまして、基本的には政党のその順位順になるんですけれども、やはり有権者によって、この人は当選させたいということで票が十分集まった人に関してはその順位を変えて当選することは可能であると、ある種の折衷案でありますけれども、そういうことが一九一九年よりずっと行われてきています。
 政党じゃなくても、この場合、個人でも比例代表選挙に立候補することができるような仕組みづくり、これは一定の政策目的を持った候補者であるとか、一定の運動を重ねてきていて一人でもそういう意味では立候補できると、全国規模の得票を基に当選することができるような可能な仕組みも必要になると思われますし、全体としてこれはメディアの取組も含まれると思うんですけれども、法案を議員立法等で通していくという活動をしっかりと認知していくと、そういう取組も必要であろうというふうに思います。
 例えば、法案の提出者の名前、これはアメリカなんかは名前が法案に付いていますけれども、非公式にでもメディア等でそういうものを使うでありますとか、選挙公報等の選挙キャンペーンのときに、どういう立法をしてきたのか、なかなか一人のお名前を挙げるということは難しいかと思いますが、そういう取組をやはり可視化していくということも、参院の特徴といいますか政策立案を重視した選挙、議院、ハウスの院としての意義を出す上では必要かもしれません。
 一方で、選挙区選挙をどうするかと、この問題は難しいところがありまして、定数は今都道府県で異なっていますので、政党間連合の在り方が都道府県によって異なっているという問題があります。これは憲法の問題もあるかもしれませんが、都道府県ごとに一定の地域代表も視野に入れる、アメリカ、ドイツ等、岩崎先生のお話にもありましたが、そのようなことも一つの視野に入ってくる点かというふうに思います。あるいは、国民代表という点で、これは憲法上の問題はあるかもしれませんが、世代代表制というような議論があることも承知はしております。
 総じて、選挙制度の優劣を付けるということは大変難しいことでございますけれども、参議院に関しては政策立案を促すような選挙制度が望ましいと考えているということを申し添えて、私の意見陳述を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
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山崎力#6
○会長(山崎力君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。
 また、質疑者におかれましては、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 堀井巌君。
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堀井巌#7
○堀井巌君 質問の機会をありがとうございます。自由民主党の堀井巌でございます。
 岩崎参考人、日野参考人におかれましては、貴重な御所見を賜りましてありがとうございます。
 まず、岩崎参考人にお伺いをしたいと存じます。
 参議院の第二院の在り方を考える上でこの地域代表原則というものについて触れておられましたが、私も、全く今の日本における参議院の在り方を考える上でこの地域代表原則というのは極めて重要ではないかというふうな思いで聞いておりました。
 また、地域代表原則というのは、実は今、現行憲法の下でも、戦後、参議院ができてから長きにわたって、国民の中でも、特に地方区、選挙区の選挙制度を通じて、一定の幅広い国民合意があったのではないかというふうに感じております。もちろん、昨今の司法判断は、較差是正に関して大変これまでに比べてより一層強い是正を求める内容になっているというふうに思いますけれども、一方で、これまでの判決がやはり衆議院の方の較差訴訟の判決とはまた異なった点もあろうかと思いますし、また、この参議院の中での今般の選挙制度改革においても、これは多分、与野党を超えて、私は、この地域代表制ということに関する一定の考え方はやはり維持されていたのではないかというふうに感じているところでございます。
 そんな中で、今回の選挙制度改革、一部の地域につきましては都道府県を合区するという内容となりました。これは較差是正の観点からはやむを得ないものであったかもしれませんが、一方で私がその地域の方々と話すたびに悩みますのは、苦悩いたしますのは、やはりその方々が、地域代表原則という国民が一つの大きな合意を持っている、その代表を選びたいというその権利を今回行使できない状況になっているということを、このことをやはり我々がどのように受け止めたらいいのかということを本当に強く感じております。
 確かに、都道府県というのは憲法で位置付けられてはいないかもしれませんが、しかし、しっかりとこの国の中で長い歴史を有し、そしてそこで、都道府県単位で民意が集約をされ、そして様々な活動が都道府県単位で政治に関わる活動も含めて行われていることを考えますと、その民意をどのように地域代表原則の下でこの参議院で反映をしていくかということは極めて重要なことだろうというふうに思っております。
 そんな中で、まず最初の質問でございます。
 今回のこの参議院において可決をされました選挙制度改革、今度の夏の参議院選挙から選挙区制度、新しい制度の下での選挙が行われますけれども、どのように評価をしておられるのか、また、地域代表原則を進めていく上で何か課題があるのか、教えていただければと思います。
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岩崎美紀子#8
○参考人(岩崎美紀子君) 御質問ありがとうございました。
 地域代表原則についてですが、まず、昨今の参議院の改革といいましょうか、合区についてですけれども、ちょっと厳しい言い方になるのですが、根本的な解決にはならないと思っています。合区された県が、人口が少ないところを合区しておりますので、これは衆議院の〇増五減で減ったところと同じところがかぶっているという面もありますので、私は、先ほど申し上げましたように、第二院の、参議院の地域代表原則というのは重要なのですが、それを憲法に書き込まない以上、一票の較差問題でずっと司法からの警告を受けることになりますので、それで地方代表原則があるのだと言い続けることはかなり難しいというふうに思っています。
 ですから、今回の合区で明らかになったのは、人口の少ないところの代表が減るということになります。衆議院はもちろんそうなりますので、これが参議院もそうなっていくと、これはもうダブルに人口の少ないところの国への代表が少なくなるということはかなり問題があると思っています。これが、合区が少なくとも次の参議院選挙だけのことで、もう少し先にはもっと根本的なことをお考えになっていらっしゃることを期待しているということでお返事にしたいと思います。
 それから、都道府県ということを書き込むかどうかということなんでしょうか、書き込むと言うとおかしいですけれども、選挙区としてということなんだと思いますけれども、地域代表という地域をどこに取るかということを考えると、合区を検討される場合も、それは幾つかの都道府県を一緒にして地域であるというふうな言い方もできないことはないんですね。
 だけど、連邦国家で見ると一番分かりやすいのですが、地域代表の地域というのは意味ある地域でなくてはいけないということになります。ですから、州、連邦構成政体である州になります。日本では、憲法では、都道府県や市町村といったそういう具体的なことは書かれていなくて、地方公共団体というふうに統一はされています。ですが、都道府県が広域な地方公共団体で意味のある行政区域、地域政体であることは間違いがありません。
 ですから、都道府県が基本になるんですけれども、私は地域代表原則を書き込めというふうに、憲法に書き込んだ方がいいと申しているんですけれども、それを憲法に書くことは私は反対です。地域代表ということを書いたとしても、地域を都道府県というふうに書かない方がいいと思うんですね。それはもう地方自治の章との整合性もあると思いますけれども、将来、憲法の方がずっと長く縛っていきますので、都道府県がどうなるかということも考えていくと、地域代表制ということで地域ということに限定をしておくと、やっぱり必要だと思うんですね。しかし、地域が都道府県であることには実際には変わりないので、繰り返しになりますが、県を一緒にして合区をして地域代表だというのは少し限界があるのかな、無理があるのかなと思っております。
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堀井巌#9
○堀井巌君 大変貴重な御所見、ありがとうございました。
 次に、日野参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 お話の中で、参議院のこの政策立案機能の充実ということについて触れておられました。このことは、与野党を超えた参議院の在り方に関する議論の中でも、そしてこれまでの長い参議院の歴史の中でも、諸先輩も含めて皆さんが絶えず考えてこられたことなんだろうというふうに思っております。その中で我々が今ここにいるんだろうと思っております。
 そういう意味では、決算委員会の活動、レジュメにもありますように決算委員会の活動でありましたり、また参議院は六年間という解散のない任期を得る以上、例えば外交分野等でしっかりとした活動はできないかということで、参議院には政府開発援助、ODAに関する委員会が設置されたりということで、様々な工夫がなされてきたかと思います。
 参議院先議の可能性、これ、今の国会運営の中で法案が参議院に全てなかなか先議されるというのは、憲法上の制約等々も含めても、あるいは実際の例を含めても難しいかもしれませんが、それも一つの、できる限り参議院で先議をすることもしっかりやっていくと、これは与野党超えてこの参議院の位置付け、国民の方々により理解してもらう上でも重要だろうと、私もそのように思っております。
 他にも、この政策立案機能の強化というのは、我々はいつもいつも常にそれを自問自答するところが多いものですから、何か具体的な御示唆、こんなふうなことをもっと活動としてやればいいんじゃないかということがございましたら、是非御所見を教えていただければと存じます。
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日野愛郎#10
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございました。
 政策立案、これ言うのはやすしで、実際にどのように行っていけばいいのかと、これは私も、私が何か言えることがあるとは思えないんですけれども、先生方の方が実践されてきていると思いますので。
 ただ、もうこれは選挙制度とも関わるところでありますけれども、地域で、今のところは選挙区選挙というようなことでやっていることもありますし、比例代表の方はこれは全国規模でやっているわけですけれども、例えば先ほどの、最終的にその個人のある種のプロファイルとしてその政策、どの分野についてやはり取り組んでいるのかということを、もちろん言っていらっしゃる先生方多くいることも認識しております。
 ただ、それ自体が常に問われるわけではないということもあると思います。それを、参議院というのはそういう何か自分の政策を持っていなければいけないというような、ある種のそういう取組をしていくことは可能なのではないかと。それゆえにやはり全国規模での比例代表になっているわけですし、様々な選挙制度あり得ると思いますけれども、全国規模で、一定のどのような分野でも、このような法案を作りたいといったときに、困っているそれらの法案で関わりのある人たちに支持を受けると。こういうある種の運動との関係をしっかりとそのような常日頃の取組と選挙制度を結び付けるということによって、有権者の側もその政策をしっかり見ると。どういうことを取り組もうとして、どういうことを議員立法でやっていこうとしているのかということが見えるような形にしていくことが一つは参議院の独自性を出していく上で望ましいのではないかというふうに考えている次第です。
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堀井巌#11
○堀井巌君 ありがとうございました。
 私の質問、時間ですので終わります。
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山崎力#12
○会長(山崎力君) 安井美沙子君。
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安井美沙子#13
○安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。
 本日は、両参考人、ありがとうございました。
 時間が短いですので、別々の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、岩崎参考人にお伺いをいたします。
 先ほど、参議院の選挙制度については、一票の較差問題に翻弄されることがない安定性が必要ということで、地域代表という考え方をおっしゃっていたと理解いたしました。その場合ですけれども、現行の全国比例の制度についてはどのようにしたらよいと考えていらっしゃるのかということが質問です。
 また、将来、地域代表となったときに全国比例をどうするのかということと、あわせまして現在の状況についてのお考えも伺いたいんですけれども、先ほど、参議院については、専門性、識見、中立性、独立性といったようなものが求められるというふうにおっしゃっていたと思うんです。実際に専門性の高い方もいらっしゃると思いますけれども、例えば職能代表という観点からしますと、これ、中立性という部分ではどうなのだろうかとか、あるいは、現実には、例えば芸能人の方であるとかスポーツ選手の方とか、そういう方が専門性が低いとは私は申しませんけれども、どうしても集票という意味でそういう方が比例で立候補する場合もございます。そういった現状についてどう思っていられるのかということと、今後について、一般論としてお伺いいたします。
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岩崎美紀子#14
○参考人(岩崎美紀子君) まず、全国比例をどうするかということと地域代表制との関係ですけれども、私は、参議院が最初に発足するときに二つの選挙で構成することが衆議院との違いであるというふうに申し上げました。
 そうなのですが、衆議院の方も一九九四年の政治改革から二本立ての選挙になっておりますので、参議院の二本立ての特徴というのはもうなくなっていることになります。まずここが、参議院だけではなくて二院制ということで考えたときに重要なことかと思われます。有権者から見ると、衆議院も参議院も、いわゆる候補者に投票するのと、それから比例で投票するのと、同じ方式に見えますので、細かいところは違いますけれども、同じに見えますので、参議院の独自性を選挙制度で出すということが現在ではそれほど強く特徴として出ていないというふうに考えています。
 先ほど私は、地域代表制にしたらどうかということを申し上げました。一番の基本は、国民代表原則ではない原則を取るということが第二院の代表原則として必要であるということ、違う代表原則にした方がいいというのが基本です。その中で、じゃ、どんな代表原則があるかと考えたときに地域代表制というのが重要であるというふうに申し上げました。
 先ほど、合区の質問も、合区についてどう思うかということもお尋ねがあって、なかなか、しどろもどろでお答えしたわけでありますけれども、参議院の定数の、全国比例と都道府県の選挙区の定数の配分をそのままにした中で考えるから合区というふうになっていくのかもしれないということが一つあると思うんですね。参議院を地域代表制にすると私が申し上げた背景というか、その旨にあるのは、もう地域代表制一本でいこうということです。比例はやめてしまおうということになります。
 なぜそう考えるかといいますと、全国区を当初設定したのは、それが有為な人材、そういう方を全国から調達できるという意味で設定をしています。
 比例代表制を導入した段階で参議院の政党化が始まったと思うんですね。比例代表制は政党をベースにしていますので、政党化が始まったと思います。ですから、このまま全国比例代表制だけに一本化するということは政党化をますます進めるので、考えられないということです。
 職能代表についてどうかという御質問ですけれども、職能代表というのは、最初、参議院を設計するときに、憲法が制定される前ですが、当初の案が職能代表制というのが日本政府は持っておりましたので、それをどうしても実現したいということで、職能代表的な機能、議員さんを全国区で選ぶというふうな、そういうふうな作りになっています。
 ですから、比例で選ばれた方が職能代表かというと、そういうことではなくて、比例で選ばれた方は政党で選ばれているわけです、もちろん。非拘束名簿なので個人の名前でもありますが、名簿を作ることには変わりないことで、政党ベースだと思います。ですから、職能代表制というのはもう、職域代表という言い方をされていると思いますけれども、どちらかというと職域の利益を反映するというよりは政党に近い利益を反映するというふうになっていると思いますので、余り職域代表ということではないのかなというふうな気がいたします。
 それから、スポーツ選手は何かというお話もございましたけれども、それは議員各々の特性ですので、それについてどうかということについては、有権者がそこに投票しているわけですので、私はどうこう言うような意見は持ち合わせておりません。
 以上です。
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安井美沙子#15
○安井美沙子君 ありがとうございました。
 次に、日野参考人にお伺いをいたします。
 お話の中で、衆議院の選挙については政権選択を可能とする政党本位の選挙制度、一方で、参議院については政策立案を可能とする人物本位といった具合に、政党本位、それから文献の中で政策本位、人物本位という言葉を使っていらっしゃるようでした。先ほどの質問の中で政策立案能力というようなこともあったんですけれども、私、以前シンクタンクにいたりコンサルをやっていたりしたときに思いましたのは、議員ならではの政策立案というものは、有識者、学者、あるいは官僚、シンクタンクといった世界の政策立案とは違う、地に足の付いた、地に足が付いている方が偉いというわけではありませんが、少し毛色が違うのかなというふうに思っております。
 また、人物本位、それから政策本位というものがそう簡単に分けられるものなのかなというふうにも思っています。小選挙区の中で非常に有権者と距離が近いわけですけれども、そのときに、人物本位といったときに、あの人はいい人だとか、あの人はいろいろ世話をしてくれるとか、そういった観点だけではなく、例えばこの人は育児支援、子育て支援に非常に熱心である、政策に熱心であるという意味の人物本位ということもございます。そうなりますと、私の印象としては、この何々本位というのが分析の上では必要な分類かもしれないけれども、現実の政治の中ではそう簡単に分けられるものではないのではないかというふうにも思っています。
 そして、小選挙区の中では政党選挙であるという部分をそこまではっきりと言ってしまって大丈夫なのかという気がちょっとしています。私、実際に選挙区で初めて会う人に、初めましてと、自分の政策などを話そうとして、あなたは何党なのと聞かれて民主党だと言うと、ああ、駄目駄目、もう民主党は嫌い、絶望しているからと言って、それ以上話を聞いてもらえないときがあります。逆に、何党ですか、民主党ですと言うと、ああ、私はもう自民党が嫌いだから、民主党なら応援すると、その先何も聞いてもらえないということがあります。どちらの場合もあります。そうなりますと、私は、申し訳ないけれども、有権者の方は思考停止していると思います。
 せっかく小選挙区で人の名前を書ける部分と政党を書ける部分と二つあるわけですから、せっかくだったら、その人物がどんな政策を持っているのか、どんな人物なのか、信頼できる人物なのかということを吟味して、人物本位、政策本位で選ぶべきだと思っています。そして、政党を選ぶのは比例は何々党という方でやる、これが私は小選挙区のあるべき姿ではないかと思っています。
 その人物を見極めることなく、何党、何党ということを政権選択選挙としてやりますと、ここ三回の選挙のように大きく振り子が揺れて、どんな人でも片っ方の党に属していれば入ってしまう、その結果、野党になった方にすばらしい議員もいるかもしれない、また、与党になった方に辞職に追い込まれるような議員がいるかもしれないと、こういうような今のような状況が生まれるわけですから、小選挙区は政党本位というふうに余り決め付けていくと非常に危険なのではないかというふうに思っていますが、御所見はいかがでしょうか。
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日野愛郎#16
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございます。
 小選挙区において、その人物、そして政策が全く必要ないかというと、全くそういうことではございませんで、それ自体、しっかりと有権者が見て判断するべきことであるというふうに思いますし、選挙制度の一つの難しいところ、そして重要なところは、政党を選ぶということと人を選ぶということをいかに組み合わせるかということだと考えておりまして、それは小選挙区制でも同じことが起きますし、比例代表制でも、先ほど話したように、拘束名簿式では政党しか選べないけれども、非拘束名簿式的なものを導入することによって人も選べると。
 最終的には、有権者と代議士、代表として送り出す、選ぶ人の間の関係、委任関係ということがありますので、そこには、当然のことながら人物本位、そしてそこの中にどのような政策を志しているのかということが出てくることは、これは否定するべきことでもないですし、まさしくそのとおりであると考えております。
 私が強調したい点としては、その上で、やはり政党政治を根付かせるということが、最終的に選挙というのは一定の次元で委任をするわけですから、その後のサイクルがあるわけです。サイクルがあるからこそ、一定の安定した政権をつくり出すということが正当化されるというふうに考えております。そのサイクルの中で、その次の選挙のときに、委任をした政権が良かったかどうかということで、良ければ継続するし、悪ければほかの政党を選ぶ、こういうサイクルがあるということが民主政治において必要だろうと。
 そのときに、人だけではどうしても、そのときにアカウンタビリティーといいますか、前回の統治、選んだ議員の下での政権運営ということが責任を問う際に、そこはやはり政党でなければいけないということが私の中であります。その政党政治をどのように根付かせるかということが、やはり人を選ぶということだけではなくて、やはり政党を選ぶということを同時進行で行わなければ、そのサイクルの中でその次の選択が、ある人であればその人の属人的な、ある人が信頼を失ったと、それだけで終わってしまっていいのかという問題意識があります。
 したがって、やはり政党政治を、政党もそのときの選択として選挙においてあるんだということを置いておきたかったということ、小選挙区比例代表制が導入されたときの議論もそのようなことがあったというふうに理解しております。したがいまして、全くもって人物本位、そして政策本位ということを否定するつもりではなかったということでございます。
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安井美沙子#17
○安井美沙子君 あと一分ありますので。
 おっしゃることは分かりますが、最後に私が申し上げた、衆議院の選挙においても二つ投票できるという部分ですね、名前と政党と。そこをうまく区別してバランスを取ることで有権者はより賢い選択ができ、その人物との関係や人物の見極めとともに安定性、継続性を考える上での政党選択ということが同時にできるわけですから、そこの意味合いについてはどういうふうにお考えですか。
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日野愛郎#18
○参考人(日野愛郎君) 政党のみで選択するということになってきますと、当然のことながら、有権者と代議士の間の関係が失われていきますので、実際にヨーロッパで政党だけを選択するという選挙制度で行っているところでは投票率がやっぱり下がるということがありまして、やはりその有権者にとってみたら、体現している人というのは、政党を代表した候補者ということで、通して初めて触れることができるわけですから、そこで人物ということが出てくるんであろうと思います。
 したがって、先ほど少しお話をしましたけれども、比例代表制だけですとどうしても、非拘束名簿式ということはありますけれども、やはり今、安井先生がおっしゃられたように、小選挙区制という日本独自の、これは中選挙区制、その前からもずっとある人の名前を書くという選挙ですので、その土壌に合ったものに合わせていくということで考えると、少しお話をした併用制と。ドイツでは小選挙区制もあって比例代表制をやっている。議席配分は基本的に最終的に比例代表だけれども、やっぱり人との距離という、候補者と有権者の間の委任関係ということが維持されている。そこで担保されていますので、そのような形が日本に合ったある種の選挙制度なんではないかなというふうに個人的には考えているところでございます。
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安井美沙子#19
○安井美沙子君 ありがとうございました。
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山崎力#20
○会長(山崎力君) 続きまして、新妻秀規君。
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新妻秀規#21
○新妻秀規君 岩崎先生、日野先生、大変に貴重な御意見、ありがとうございました。
 まず、私は岩崎先生から御質問させていただきたいと思います。
 先生の御主張の趣旨は、私の理解なんですけれども、日本の二院制議会の根本的な問題は第一院と第二院の代表原則が同じところにあると。つまり、両院共に国民代表原則だと。だから、選出方法、選挙制度も似通っていて、一票の較差が問題になるんだと。ほかの国では第二院は国民代表原則じゃない、だから一票の較差は問題にならないと。よって、選挙制度のみをいじっても本質的な問題解決にならないし、第一院と第二院の違いが有権者には見えにくい。だから、第二院の代表原則を変えて地域代表にするんだと。そのために憲法四十三条を改正する、このような理解をいたしました。
 ここで、具体的な第二院の代表選出方法、先ほど比例区をなくすという話もされていましたけれども、具体的にどのような選挙制度になるのか、例えばアメリカみたいに各都道府県が一定の票を持っているような、そういうような選挙制度を考えていらっしゃるのか、そこら辺、具体的に教えていただけますでしょうか。
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岩崎美紀子#22
○参考人(岩崎美紀子君) 第二院の代表原則を例えば地域代表原則とした場合の議員の選出方法ということで理解いたしましたけれども、何も直接選挙による必要はないと考えています。
 私、先ほど憲法第四十三条の改正をというときに、お手元のレジュメに第四十三条を書いてございますので、それを御覧になっていただきながらお聞きいただきたいんですけど、この「両議院は、」というのを衆議院に変えてということを申し上げました。最後の「これを組織する。」という前に、参議院は地域を代表する議員でと入れたらいかがかというふうに申し上げました。このときに、選挙されたというふうには入れなかったんですね。それは、この第四十三条も「選挙された」というふうに書いてございますけれども、衆議院はもちろん選挙ですけれども、参議院については直接選挙ではなくてもいいというのが脈々と憲法学の中でそういうふうな解釈もあるというふうに聞き及んでいます。ですが、やっぱり直接選挙ということになりますよね。ですから、参議院は地域を代表する議員でと、あえて選挙を入れなかったのは、選挙してもいいし、それが直接選挙であってもいいし、それから間接選挙であってもいいし、それから、例えばロシアのように知事と州議会の議長を代表する議員としてもいいしというふうに考えています。
 ですから、地域代表原則となった場合の参議院の設計はいろんな選出方法が考えられるということになります。
 しかし、一番重要なことは、人口の少ないところからの代表制は十分に確保するような設計が必要になるということだと思います。それは、衆議院がどうしても人口比例になっていくので人口の少ない地方からの代表制が少なくなりますので、補完するという意味で、参議院は是非その人口が少ないところからの代表制も確保するということを重点に置いての地域代表制ということを考えています。お答えになりましたでしょうか。
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新妻秀規#23
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 そうですね、私が参議院の役割だというふうに考えているのは、実はこれは参議院の、これは昭和の六十三年、また平成十二年、十七年と、参議院としてどういうことが参議院の役割なんだという検討がされていまして、大きく合意されているのが二点ありまして、参議院は多様な民意を反映をする、あと、議員個人の意見を重視をする、この二つが大方の合意として、この三回、累次の検討で合意されていることなんですね。
 私が、参議院を先生がおっしゃるような地域代表にした場合に一方で危惧をするのが、衆議院がやはり民意の集約、小選挙区制がベースの選挙制度ですから、六二%が小選挙区から選出をされて、比例代表は三八%、三八パーしかないということで死に票も非常に多いというところからいくと、多分第二院で多様な民意を拾うということもやはり大切な観点なんじゃないかなというふうに思うわけなんですよね。
 先生が今おっしゃったような第二院の設計で、多様な民意の反映というのはどのように実現されるのか、これについて御教示いただけますでしょうか。
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岩崎美紀子#24
○参考人(岩崎美紀子君) 多様なニーズと地域代表制は別に相反するものではないと考えます。
 地域代表制と申し上げた場合に、これは地域に密着をするわけですから、地域をベースとするわけですから、現実の問題や何かにより近いことになります。例えば、政府にはナショナル、リージョナル、ローカルと三段階あるとすると、現場に近い方がそのいろいろなニーズの把握ができるわけですよね。しかし、そのニーズというのは地域によって違ってくるわけなので、現場に近いニーズを把握できて、それを国会に反映できるということはかなり多様なニーズの反映になるというふうに考えています。
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新妻秀規#25
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 そうですね、私が危惧をしていたのは、もし仮に直接選挙で選ばれるアメリカの上院のような設計だとすると、例えば、各期の半数改選だとして一ずつだとすると、それこそそのときの多様な民意というのは完全に拾えなくなってしまうわけですよね。そうなってしまうと、それこそもうそのときのやはり風によって上院の意思決定すら決まってしまうと。これは本当に恐ろしいことなんじゃないかなというふうに思うわけなんです。
 なので、もし上院を今度地域代表とする場合には、アメリカの上院のような設計は望ましくないんじゃないかなと思うんで、その点について、先生、いかがでしょうか。
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岩崎美紀子#26
○参考人(岩崎美紀子君) アメリカの上院を見ていて思うのは、最初の出発点は州議会が選ぶということで、地域代表原則ということが最もはっきり出て、連邦国家はその後、二院制議会を取って上院は地域代表原則にするというふうになっています。しかし、直接選挙になってからは、地域代表制、地域代表かというと、今回の大統領選挙の予備選挙ですとかそのレースを見ていますと、上院議員の方が結構多いんですけれども、自分の州を代表しているような物言いはしませんよね。
 ですから、地域代表原則というふうなのは原則として申し上げているので、例えば、アメリカの場合は州を選挙区とするということで地域代表というのを維持していることになります。ですから、何も地域の利害を全て国会に持ち込んできて議論するということではないということです。そこに住んでいる人々が議員を送れるということが一番重要なので、人口が少ないところでも議員を送れるという意味で地域代表原則はかなり意味があるというふうに考えています。
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新妻秀規#27
○新妻秀規君 ありがとうございました。
 それでは、日野先生、そして岩崎先生も同じ質問を投げかけようと思うんですけれども、私としては、やはり現行憲法の枠内で考えて、やはり投票価値の平等ということが大事なんじゃないかなと。国民はそれを支持していると思います。やはり、先ほど、累次のこの参議院の検討でもあったように、多様な民意の反映が参議院の役割であると。また、議員個人の意見を尊重するということがこれまでの議論の結論でもあります。なので、やはり政党では拾えないような意見、個人がちゃんと選出されるような選挙方法がいいんだろうな、無所属でも当選の可能性があると。
 こういう様々なことを考えまして、比例区を廃止をして、選挙区を広く取って方面ごとの大ブロック制のような、かつての今は亡き西岡議長が提案されたような、そういう単記式のそういう選挙制度がいいんじゃないかというふうに考えています。これであれば、中小の政党でも、また無所属の個人でも当選の可能性が出てくるわけなんです。
 岩崎先生は憲法を変えるというお立場ですけれども、もしも現行の憲法の下で参議院の独自性を、民意の集約という衆議院に対して参議院が民意の反映ということを重んじるとすれば、私が申し上げた今は亡き西岡議長のこの提案というのをどのように評価されるか、まず、日野参考人から御意見を伺いたいと思います。
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日野愛郎#28
○参考人(日野愛郎君) 大変重要な問題だと認識しております。ありがとうございます。
 投票価値の平等ということは、これは追求もちろんできたらした方がいいということだと思いますけれども、やはり選挙区制度にすると、いずれにしても、もちろん小選挙区から中選挙区、大選挙区、定数を大きくしていけばそれだけ投票価値の問題ということは薄らいでいきますけれども、それ自体なくなることではやはりないと思います。
 多様な民意を集約するという意味においては、比例代表制をこれ衆議院では十一ブロックでやっておりますけれども、これも定数がやはり違います。四国の六で投票圏内に入るのと近畿圏、最も多数のブロックでの投票圏内に入るのは、全くその中小政党によっての意味合いが異なってきます。
 比例代表制でも結局、ブロックにするかブロックの数を一に近づけていくかによって全く違うということでありますので、多様な民意を集約するという意味においては、それは全国規模でやるのが最も多様な民意を集約できるということになると思いますし、これは憲法の四十三条、まさに岩崎先生がお示しになったところでありますけれども、全国民を代表するというふうに書いてありますので、これはどのようなブロック、例えば地域から選挙区にした場合、それは全国民になるのか、若しくはほかの職能代表であるとか人によっては世代でとか、いろんな議論があると思いますけれども、この全国民を代表するというところに抵触するんだという議論になるわけですけれども、全国の比例代表であればそういう意味ではそれもないわけで、全員がその候補者に対して投票する少なくとも機会があると。その機会を保障するという意味においては全国ということになるんだろうと思います。
 大選挙区制の一つの問題点としては、やはり余りにも、大選挙区制の規模にもよりますけれども、選挙活動が非常に大変になるというふうに思います。中選挙区制の時代でもかなり、ある程度のその地域の、何といいますか戦略等はあったと思いますけれども、それがどの程度有権者との距離感という意味で実現可能なのかというところは一つ問題点として残るというふうに考えているところでございます。
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新妻秀規#29
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 じゃ、済みません、岩崎先生。
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