法務委員会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成二十八年十二月七日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 鈴木 淳司君
理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
理事 平口 洋君 理事 古川 禎久君
理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
理事 逢坂 誠二君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 井野 俊郎君
大隈 和英君 奥野 信亮君
鬼木 誠君 門 博文君
菅家 一郎君 木村 弥生君
城内 実君 工藤 彰三君
鈴木 貴子君 辻 清人君
豊田真由子君 野中 厚君
藤原 崇君 古田 圭一君
宮路 拓馬君 山田 賢司君
吉野 正芳君 若狭 勝君
枝野 幸男君 階 猛君
山尾志桜里君 大口 善徳君
吉田 宣弘君 畑野 君枝君
藤野 保史君 木下 智彦君
上西小百合君
…………………………………
法務大臣 金田 勝年君
法務副大臣 盛山 正仁君
法務大臣政務官 井野 俊郎君
政府参考人
(法務省民事局長) 小川 秀樹君
参考人
(東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授) 中田 裕康君
参考人
(弁護士) 新里 宏二君
参考人
(弁護士) 岩田 修一君
法務委員会専門員 矢部 明宏君
—————————————
委員の異動
十二月七日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 木村 弥生君
宮川 典子君 豊田真由子君
宮路 拓馬君 大隈 和英君
同日
辞任 補欠選任
大隈 和英君 宮路 拓馬君
木村 弥生君 鬼木 誠君
豊田真由子君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 安藤 裕君
工藤 彰三君 宮川 典子君
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六三号)
民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六四号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 鈴木 淳司君
理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
理事 平口 洋君 理事 古川 禎久君
理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
理事 逢坂 誠二君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 井野 俊郎君
大隈 和英君 奥野 信亮君
鬼木 誠君 門 博文君
菅家 一郎君 木村 弥生君
城内 実君 工藤 彰三君
鈴木 貴子君 辻 清人君
豊田真由子君 野中 厚君
藤原 崇君 古田 圭一君
宮路 拓馬君 山田 賢司君
吉野 正芳君 若狭 勝君
枝野 幸男君 階 猛君
山尾志桜里君 大口 善徳君
吉田 宣弘君 畑野 君枝君
藤野 保史君 木下 智彦君
上西小百合君
…………………………………
法務大臣 金田 勝年君
法務副大臣 盛山 正仁君
法務大臣政務官 井野 俊郎君
政府参考人
(法務省民事局長) 小川 秀樹君
参考人
(東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授) 中田 裕康君
参考人
(弁護士) 新里 宏二君
参考人
(弁護士) 岩田 修一君
法務委員会専門員 矢部 明宏君
—————————————
委員の異動
十二月七日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 木村 弥生君
宮川 典子君 豊田真由子君
宮路 拓馬君 大隈 和英君
同日
辞任 補欠選任
大隈 和英君 宮路 拓馬君
木村 弥生君 鬼木 誠君
豊田真由子君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 安藤 裕君
工藤 彰三君 宮川 典子君
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六三号)
民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六四号)
————◇—————
鈴
鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授中田裕康君、弁護士新里宏二君及び弁護士岩田修一君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表しまして一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、中田参考人、新里参考人、岩田参考人の順に、それぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず中田参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授中田裕康君、弁護士新里宏二君及び弁護士岩田修一君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表しまして一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、中田参考人、新里参考人、岩田参考人の順に、それぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず中田参考人にお願いいたします。
中
中田裕康#2
○中田参考人 おはようございます。御紹介いただきました中田です。
本日は、発言の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。
私は、東京大学の法学部と大学院で民法の研究教育をしております。今回の民法改正に関しましては、法制審議会民法(債権関係)部会の委員として審議に参加いたしました。本日は、一人の民法研究者として、民法改正法案について意見を申し上げたいと思います。
お手元のレジュメに沿ってお話をさせていただきます。
現在の民法は、明治二十九年、一八九六年に財産法の部分が公布され、一八九八年に家族法の部分も追加して公布され、この年に全体が施行されました。
この民法については、第二次大戦前に七回の改正がありました。いずれも比較的小規模のもので、家族法に関するものが多く、債権法の改正はありませんでした。
戦後は、より大きな改正がありました。まず、日本国憲法の制定に伴い、昭和二十二年に家族法の部分が全面改正され、民法総則の一部も改正されました。その後も、親族法、相続法、担保物権法の改正、また、民法総則では、成年後見制度の新設や公益法人制度の全面改正などがありました。
しかし、債権法の部分の改正は、平成十六年の保証制度の改正と現代語化によるもの以外にはほとんどありませんでした。
民法の債権法の部分が現在まで百二十年間にわたって維持されてきたことの理由は、幾つか考えられます。
まず、民法の債権に関する規定には、ヨーロッパの長い歴史を経た普遍性、抽象性のあるものが少なくなく、長もちしたということがあります。もっとも、ヨーロッパでも次々に民法の改正が進んでいますので、これは決定的な理由とは言えません。
第二の理由は、民法が多くの判例や特別法によって補完されてきたことです。これは、裏返せば、民法自体の規律は後ろに下がっているということでもあります。
第三の理由は、民法の債権法の規定が基本的には任意規定であり、特に、契約法においては契約自由の原則があることです。民法の規定が時代に合わなくなっているとしても、当事者が自由に契約をすることで対処することができます。他方、そのために民法自体の問題点が意識されにくいことにもなります。
第四の理由は、ドイツの学説の影響です。二十世紀初頭から、ドイツの民法学説が日本に直輸入され、日本民法の条文を、文言や沿革にかかわらず、ドイツ流に解釈する現象が生じました。学説継受と呼ばれています。その結果、条文の文言が軽視され、その改正に対する関心も弱まることになります。この傾向は二十世紀後半まで続いたように思います。
第五の理由として、民法の債権法の改正が難しいということがあります。民法の規定は、ローマ法にまでさかのぼるものや、明治時代の諸外国の法を参考にしたものが多くあります。また、民法制定から一世紀以上を経て、民法を基礎として、多くの特別法、判例、学説、実務慣行が形成されてきました。この間、外国法も発達しています。これらの蓄積の持つ意味を正確に理解し、吟味する必要があります。さらに、民法改正が他に及ぼす影響も慎重に検討しなければなりません。このため、改正には大きなエネルギーを要します。
これらの事情により、民法の債権法は今日までほとんど改正されずに来ました。しかし、それは、民法に問題がないからではなく、問題点が覆い隠されているからにすぎないのではないかという疑問が生じます。
問題点は、二つに整理することができます。
一つは、民法の具体的な内容がわかりにくくなっていることです。
表現面での難しさは、平成十六年の現代語化によってかなり解消されました。現在の大きな問題は、判例法理が反映されていないことです。民法制定から今日まで、多数の判例法理が発達しました。その結果、法律家でない人々にとって、あるいは海外から見ると、日本民法は、条文を読んだだけでは実質的な内容がわからないという状態になっています。
もう一つの問題点は、民法が、社会、経済の変化や科学技術の発達に対応していないことです。
民法が制定された十九世紀末の日本と現代とでは、通信手段、交通手段はもとより、取引の対象や方法、生産、流通や決済のシステムなど、大きく変わっています。そのため、民法と現実との間にずれが生じ、規定の根拠づけが難しくなっていたり、必要な規定が不足していたりします。これまで特別法や当事者間の契約によって対処してきたのですが、やはり基盤となる民法自体が百二十年前のままだというところに無理があります。
そこで、この二つの問題点を解決することが求められます。すなわち、民法の実質的な規律内容を明らかにすること、また、民法の規律内容を現代化することです。
このような状況は、実は、日本だけのことではありません。二十世紀の終わりころから、諸外国でも債権法や契約法の改正が進められています。例えば、ドイツでは二〇〇一年に、フランスではことしの二月に、それぞれ民法の債権法の部分の大改正がありました。債権法や契約法の改正は、国際的な潮流でもあります。
では、今回の法案はどういう意義を持つのでしょうか。三点申し上げたいと思います。
第一の意義は、民法の規律内容が明らかになっていることです。
まず、多くの判例法理が明文化されています。例えば、意思能力のない人のした法律行為は無効であること、登記のある不動産賃借権に基づいて不法占拠者を排除できることなど、判例法理が明文化されました。明文化に当たっては、何が判例法理なのか、現代でも妥当するものなのか、他の規律との整合性が保たれるのかなど、慎重な検討がされました。
次に、基本的な原則や概念が明示されています。
例えば、契約自由の原則は近代法の大原則ですが、これまで明文がありませんでした。また、債務者が弁済すると債権が消滅するのは、当然のことのようですが、やはり明文がありません。法案は、このような基本的な原則や概念について規定を新設し、あわせて、その範囲についても明確にしています。
最後に、他の法律との関係が整序されています。
民法制定後、関連する規律が発達しました。商法、労働法、民事執行法、倒産法などです。そのため、民法と接続する領域では、規律の調整を要することがあります。今回、それぞれの分野の専門家も加わり、調整が進められました。その結果、私法の領域における基本法としての民法と他の法律との関係が明瞭になり、全体の見通しがよくなったと思います。
法案の第二の意義は、規律内容の現代化です。
民法が制定された明治の時代から今日まで、社会経済情勢の変化、科学技術の発展は著しいものがあります。そこで、民法の規律自体を現代社会に適合するようにする必要があります。代表的なものを四つ御紹介いたします。
まず、債権の消滅時効制度の改正です。
現行法では、債権の消滅時効期間は、原則は十年ですが、医師の診療債権は三年、弁護士の報酬債権は二年、旅館の宿泊料債権は一年など、細かい規定がたくさんあります。このような特別の短期時効の背景にはヨーロッパの古い歴史や明治期の日本の慣習があるのですが、現代社会に適合していないものが少なくありません。また、職業間で違いを設けることの説明は難しくなっています。これらの特別の短期時効は廃止するのが適当であると考えられます。そうすると、これまで一年や二年で時効になっていたものが一挙に十年になり、混乱が生じるおそれがあります。
他方、商事の時効は現行法でも五年です。さまざまな観点から検討がされ、民事、商事を通じて、債権者が権利を行使できることを知ったときから五年、権利を行使できるときから十年とされました。
時効期間の単純化と短期化は、大量かつ迅速な取引の発達に伴う法律関係の早期安定の要請にも合致していますし、外国の民法改正の方向とも軌を一にしています。ただ、人身損害に関する損害賠償については、被害者保護の観点から、時効期間を長くする特則が置かれています。
消滅時効制度については、他にも改正点があり、規定が整備されています。
次に、法定利率です。
現行法では年五%の固定制ですが、これは現在の金利水準とは大きく離れています。この法定利率は、利息について利率の合意がない場合に適用されるほか、支払いがおくれた場合の遅延損害金や、交通事故で将来の収入を失った損害を現在価値に引き直す際などの中間利息控除において、大きな役割を果たします。法案は、これを緩やかな変動制にし、金利水準を反映しつつ、激変による混乱を小さくする制度としています。
第三に、保証人の保護があります。
保証は、古くからある制度で、広く用いられています。しかし、特に個人が保証人になる場合には、時として軽率に、合理的でない判断によってされることがあります。その結果、巨額の債務を負担するという悲劇が生じることもあります。
そこで、平成十六年の民法改正で、保証人の保護が図られました。保証契約は書面でしなければならないこととされ、また、貸金等根保証契約について、極度額や元本の確定に関する規律が新設されました。
今回の法案は、この保護をさらに拡充しています。すなわち、事業に係る債務について個人保証をするためには、経営者保証などの場合を除き、公正証書の作成を必要としています。また、保証の各段階で、保証人や保証人となろうとする人に対する情報提供義務が課されています。さらに、根保証において、貸し金等以外の根保証についても、それぞれの特性に留意しつつ、個人保証人の保護を広げています。債権者にとって、信用補完やリスク分配のためのさまざまな制度が発達している現代社会において、保証という古くからある制度の不合理な部分を是正し、現代化しようとするものです。
第四に、定型約款に関する規定の新設があります。
現代の取引では、至るところで約款が用いられています。事業者と消費者の間のものが多いのですが、事業者間のものもあります。約款については、相手方は個々の条項に同意したわけではないのに、なぜそれに拘束されるのかという問題がかねてから議論されてきました。また、約款の内容が時として不当なものであることがあり、その適正化が求められます。このような観点から、各種の立法、判例、学説によって、約款規制が進められてきました。
他方、約款には、大量の取引について、トラブル発生時の対応などの条件を画一的に定めることにより、取引の予測可能性を高め、安定的なものとするという意味もあります。約款による取引は、現代社会における取引の重要な一態様ですので、基本法である民法の中に、その内容の適正化を図りつつ、きちんと位置づけるのが適切であると考えられます。
ただ、約款とは何かは、人によって理解が分かれます。そこで、法案は、定型約款という概念を新たに設定し、そこで個別条項を合意したものとみなし得る要件や定型約款の変更に関する規律を定めています。
約款一般については、従来どおり判例や学説に委ねられますが、そのうち定型約款に当たるものについて規定するものです。これは約款による取引全体の安定化と適正化にも資すると思います。
以上の四つが代表的なものですが、法案では、ほかに多数の現代化が見られます。通信手段の発達を反映する契約成立時期に関する規律の改正、預貯金システムの発達に伴う新たな規律、取引実務においてなされる将来債権の譲渡に関する規定の新設等々です。
法案の意義の第三点として、さまざまの考え方が調和されていることが挙げられます。
第一は、民法の編成に関することです。
債権や契約に関する規律全体を改正するとすれば、民法の編成の刷新もあり得ます。研究者グループでは大規模な変更が検討されたこともありました。しかし、法案では、現在の構成と条文番号が基本的に維持され、幾つかの追加や変更がされる形となっています。これは、現行法になれた方々には歓迎されると思います。他方、一度は全体の見直しが検討されたことにより、民法の規律の構造の理解が深まりました。
結果として、刷新と存続の利点が生かされたと思います。
第二は、学説と実務の関係です。
債権法の改正の提言は二十世紀末から始まり、研究者グループの研究成果が幾つか公表されました。これは、社会の変化や判例、学説、外国法の展開を踏まえたものでした。
その後、動きは学界以外にも広まり、弁護士会や経済界なども検討を進めました。法制審議会の部会には、民法その他の分野の研究者のほか、多くの実務家、関係省庁が参加しました。また、二度にわたるパブリックコメントに寄せられた多数の意見が考慮されました。
その結果、法案は、判例を基本としつつ、実務の要請と学説の成果を反映するものとなっています。
第三は、何を明文化し、何を明文化せずに判例による法形成に委ねるのかという問題です。
例えば、信義則に基づく各種の判例法理を明文化することが検討されました。しかし、条文の表現について意見が一致せず、見送られました。これは、現時点の判例法理を条文によって固定するよりも、今後の法形成に委ねる方がよいという選択がされたものだと理解しています。このように、明文化するか、判例に委ねるのかの調整もされています。
以上のような調和が図られた結果、法案は形式的にも内容的にも穏やかな改正になりました。法制審議会の部会に参加した研究者で、自分の学説が全て採用されたという人はいないと思います。しかし、全員が、自分とは異なる見解を理解した上、要綱案に賛成しました。法案は、長年にわたる多くの人々の共同作業の到達点であると考えています。
結論を申し上げます。
今回の法案は、穏やかな改正ではありますが、民法の規律を明らかにし、現代化するものです。国際的な潮流に沿うものでもあります。私は、法案がぜひとも早く成立してほしいと願っています。
御清聴いただき、ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、発言の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。
私は、東京大学の法学部と大学院で民法の研究教育をしております。今回の民法改正に関しましては、法制審議会民法(債権関係)部会の委員として審議に参加いたしました。本日は、一人の民法研究者として、民法改正法案について意見を申し上げたいと思います。
お手元のレジュメに沿ってお話をさせていただきます。
現在の民法は、明治二十九年、一八九六年に財産法の部分が公布され、一八九八年に家族法の部分も追加して公布され、この年に全体が施行されました。
この民法については、第二次大戦前に七回の改正がありました。いずれも比較的小規模のもので、家族法に関するものが多く、債権法の改正はありませんでした。
戦後は、より大きな改正がありました。まず、日本国憲法の制定に伴い、昭和二十二年に家族法の部分が全面改正され、民法総則の一部も改正されました。その後も、親族法、相続法、担保物権法の改正、また、民法総則では、成年後見制度の新設や公益法人制度の全面改正などがありました。
しかし、債権法の部分の改正は、平成十六年の保証制度の改正と現代語化によるもの以外にはほとんどありませんでした。
民法の債権法の部分が現在まで百二十年間にわたって維持されてきたことの理由は、幾つか考えられます。
まず、民法の債権に関する規定には、ヨーロッパの長い歴史を経た普遍性、抽象性のあるものが少なくなく、長もちしたということがあります。もっとも、ヨーロッパでも次々に民法の改正が進んでいますので、これは決定的な理由とは言えません。
第二の理由は、民法が多くの判例や特別法によって補完されてきたことです。これは、裏返せば、民法自体の規律は後ろに下がっているということでもあります。
第三の理由は、民法の債権法の規定が基本的には任意規定であり、特に、契約法においては契約自由の原則があることです。民法の規定が時代に合わなくなっているとしても、当事者が自由に契約をすることで対処することができます。他方、そのために民法自体の問題点が意識されにくいことにもなります。
第四の理由は、ドイツの学説の影響です。二十世紀初頭から、ドイツの民法学説が日本に直輸入され、日本民法の条文を、文言や沿革にかかわらず、ドイツ流に解釈する現象が生じました。学説継受と呼ばれています。その結果、条文の文言が軽視され、その改正に対する関心も弱まることになります。この傾向は二十世紀後半まで続いたように思います。
第五の理由として、民法の債権法の改正が難しいということがあります。民法の規定は、ローマ法にまでさかのぼるものや、明治時代の諸外国の法を参考にしたものが多くあります。また、民法制定から一世紀以上を経て、民法を基礎として、多くの特別法、判例、学説、実務慣行が形成されてきました。この間、外国法も発達しています。これらの蓄積の持つ意味を正確に理解し、吟味する必要があります。さらに、民法改正が他に及ぼす影響も慎重に検討しなければなりません。このため、改正には大きなエネルギーを要します。
これらの事情により、民法の債権法は今日までほとんど改正されずに来ました。しかし、それは、民法に問題がないからではなく、問題点が覆い隠されているからにすぎないのではないかという疑問が生じます。
問題点は、二つに整理することができます。
一つは、民法の具体的な内容がわかりにくくなっていることです。
表現面での難しさは、平成十六年の現代語化によってかなり解消されました。現在の大きな問題は、判例法理が反映されていないことです。民法制定から今日まで、多数の判例法理が発達しました。その結果、法律家でない人々にとって、あるいは海外から見ると、日本民法は、条文を読んだだけでは実質的な内容がわからないという状態になっています。
もう一つの問題点は、民法が、社会、経済の変化や科学技術の発達に対応していないことです。
民法が制定された十九世紀末の日本と現代とでは、通信手段、交通手段はもとより、取引の対象や方法、生産、流通や決済のシステムなど、大きく変わっています。そのため、民法と現実との間にずれが生じ、規定の根拠づけが難しくなっていたり、必要な規定が不足していたりします。これまで特別法や当事者間の契約によって対処してきたのですが、やはり基盤となる民法自体が百二十年前のままだというところに無理があります。
そこで、この二つの問題点を解決することが求められます。すなわち、民法の実質的な規律内容を明らかにすること、また、民法の規律内容を現代化することです。
このような状況は、実は、日本だけのことではありません。二十世紀の終わりころから、諸外国でも債権法や契約法の改正が進められています。例えば、ドイツでは二〇〇一年に、フランスではことしの二月に、それぞれ民法の債権法の部分の大改正がありました。債権法や契約法の改正は、国際的な潮流でもあります。
では、今回の法案はどういう意義を持つのでしょうか。三点申し上げたいと思います。
第一の意義は、民法の規律内容が明らかになっていることです。
まず、多くの判例法理が明文化されています。例えば、意思能力のない人のした法律行為は無効であること、登記のある不動産賃借権に基づいて不法占拠者を排除できることなど、判例法理が明文化されました。明文化に当たっては、何が判例法理なのか、現代でも妥当するものなのか、他の規律との整合性が保たれるのかなど、慎重な検討がされました。
次に、基本的な原則や概念が明示されています。
例えば、契約自由の原則は近代法の大原則ですが、これまで明文がありませんでした。また、債務者が弁済すると債権が消滅するのは、当然のことのようですが、やはり明文がありません。法案は、このような基本的な原則や概念について規定を新設し、あわせて、その範囲についても明確にしています。
最後に、他の法律との関係が整序されています。
民法制定後、関連する規律が発達しました。商法、労働法、民事執行法、倒産法などです。そのため、民法と接続する領域では、規律の調整を要することがあります。今回、それぞれの分野の専門家も加わり、調整が進められました。その結果、私法の領域における基本法としての民法と他の法律との関係が明瞭になり、全体の見通しがよくなったと思います。
法案の第二の意義は、規律内容の現代化です。
民法が制定された明治の時代から今日まで、社会経済情勢の変化、科学技術の発展は著しいものがあります。そこで、民法の規律自体を現代社会に適合するようにする必要があります。代表的なものを四つ御紹介いたします。
まず、債権の消滅時効制度の改正です。
現行法では、債権の消滅時効期間は、原則は十年ですが、医師の診療債権は三年、弁護士の報酬債権は二年、旅館の宿泊料債権は一年など、細かい規定がたくさんあります。このような特別の短期時効の背景にはヨーロッパの古い歴史や明治期の日本の慣習があるのですが、現代社会に適合していないものが少なくありません。また、職業間で違いを設けることの説明は難しくなっています。これらの特別の短期時効は廃止するのが適当であると考えられます。そうすると、これまで一年や二年で時効になっていたものが一挙に十年になり、混乱が生じるおそれがあります。
他方、商事の時効は現行法でも五年です。さまざまな観点から検討がされ、民事、商事を通じて、債権者が権利を行使できることを知ったときから五年、権利を行使できるときから十年とされました。
時効期間の単純化と短期化は、大量かつ迅速な取引の発達に伴う法律関係の早期安定の要請にも合致していますし、外国の民法改正の方向とも軌を一にしています。ただ、人身損害に関する損害賠償については、被害者保護の観点から、時効期間を長くする特則が置かれています。
消滅時効制度については、他にも改正点があり、規定が整備されています。
次に、法定利率です。
現行法では年五%の固定制ですが、これは現在の金利水準とは大きく離れています。この法定利率は、利息について利率の合意がない場合に適用されるほか、支払いがおくれた場合の遅延損害金や、交通事故で将来の収入を失った損害を現在価値に引き直す際などの中間利息控除において、大きな役割を果たします。法案は、これを緩やかな変動制にし、金利水準を反映しつつ、激変による混乱を小さくする制度としています。
第三に、保証人の保護があります。
保証は、古くからある制度で、広く用いられています。しかし、特に個人が保証人になる場合には、時として軽率に、合理的でない判断によってされることがあります。その結果、巨額の債務を負担するという悲劇が生じることもあります。
そこで、平成十六年の民法改正で、保証人の保護が図られました。保証契約は書面でしなければならないこととされ、また、貸金等根保証契約について、極度額や元本の確定に関する規律が新設されました。
今回の法案は、この保護をさらに拡充しています。すなわち、事業に係る債務について個人保証をするためには、経営者保証などの場合を除き、公正証書の作成を必要としています。また、保証の各段階で、保証人や保証人となろうとする人に対する情報提供義務が課されています。さらに、根保証において、貸し金等以外の根保証についても、それぞれの特性に留意しつつ、個人保証人の保護を広げています。債権者にとって、信用補完やリスク分配のためのさまざまな制度が発達している現代社会において、保証という古くからある制度の不合理な部分を是正し、現代化しようとするものです。
第四に、定型約款に関する規定の新設があります。
現代の取引では、至るところで約款が用いられています。事業者と消費者の間のものが多いのですが、事業者間のものもあります。約款については、相手方は個々の条項に同意したわけではないのに、なぜそれに拘束されるのかという問題がかねてから議論されてきました。また、約款の内容が時として不当なものであることがあり、その適正化が求められます。このような観点から、各種の立法、判例、学説によって、約款規制が進められてきました。
他方、約款には、大量の取引について、トラブル発生時の対応などの条件を画一的に定めることにより、取引の予測可能性を高め、安定的なものとするという意味もあります。約款による取引は、現代社会における取引の重要な一態様ですので、基本法である民法の中に、その内容の適正化を図りつつ、きちんと位置づけるのが適切であると考えられます。
ただ、約款とは何かは、人によって理解が分かれます。そこで、法案は、定型約款という概念を新たに設定し、そこで個別条項を合意したものとみなし得る要件や定型約款の変更に関する規律を定めています。
約款一般については、従来どおり判例や学説に委ねられますが、そのうち定型約款に当たるものについて規定するものです。これは約款による取引全体の安定化と適正化にも資すると思います。
以上の四つが代表的なものですが、法案では、ほかに多数の現代化が見られます。通信手段の発達を反映する契約成立時期に関する規律の改正、預貯金システムの発達に伴う新たな規律、取引実務においてなされる将来債権の譲渡に関する規定の新設等々です。
法案の意義の第三点として、さまざまの考え方が調和されていることが挙げられます。
第一は、民法の編成に関することです。
債権や契約に関する規律全体を改正するとすれば、民法の編成の刷新もあり得ます。研究者グループでは大規模な変更が検討されたこともありました。しかし、法案では、現在の構成と条文番号が基本的に維持され、幾つかの追加や変更がされる形となっています。これは、現行法になれた方々には歓迎されると思います。他方、一度は全体の見直しが検討されたことにより、民法の規律の構造の理解が深まりました。
結果として、刷新と存続の利点が生かされたと思います。
第二は、学説と実務の関係です。
債権法の改正の提言は二十世紀末から始まり、研究者グループの研究成果が幾つか公表されました。これは、社会の変化や判例、学説、外国法の展開を踏まえたものでした。
その後、動きは学界以外にも広まり、弁護士会や経済界なども検討を進めました。法制審議会の部会には、民法その他の分野の研究者のほか、多くの実務家、関係省庁が参加しました。また、二度にわたるパブリックコメントに寄せられた多数の意見が考慮されました。
その結果、法案は、判例を基本としつつ、実務の要請と学説の成果を反映するものとなっています。
第三は、何を明文化し、何を明文化せずに判例による法形成に委ねるのかという問題です。
例えば、信義則に基づく各種の判例法理を明文化することが検討されました。しかし、条文の表現について意見が一致せず、見送られました。これは、現時点の判例法理を条文によって固定するよりも、今後の法形成に委ねる方がよいという選択がされたものだと理解しています。このように、明文化するか、判例に委ねるのかの調整もされています。
以上のような調和が図られた結果、法案は形式的にも内容的にも穏やかな改正になりました。法制審議会の部会に参加した研究者で、自分の学説が全て採用されたという人はいないと思います。しかし、全員が、自分とは異なる見解を理解した上、要綱案に賛成しました。法案は、長年にわたる多くの人々の共同作業の到達点であると考えています。
結論を申し上げます。
今回の法案は、穏やかな改正ではありますが、民法の規律を明らかにし、現代化するものです。国際的な潮流に沿うものでもあります。私は、法案がぜひとも早く成立してほしいと願っています。
御清聴いただき、ありがとうございました。拍手
鈴
新
新里宏二#4
○新里参考人 参考人の新里でございます。
お呼びいただきまして、本当にありがとうございます。
私自身は、仙台弁護士会に所属しておりまして、三十四年間弁護士活動をしております。当初から多重債務問題に取り組み、さらに、平成十年十二月からは、商工ローン被害に対応するため結成されました日栄・商工ファンド対策全国弁護団の副団長も務めておりました。平成十八年十二月、グレーゾーン金利の廃止等を伴う貸金業法の大改正では、参議院の財政金融委員会でも参考人で意見を述べる機会も与えていただきました。
貸金業法の大改正の残された課題として、保証被害を防止する仕組みづくり、特に第三者保証人の禁止が必要であると考えておりました。平成二十五年六月十日、当時の民主党が提案されました民法の一部改正、第三者保証の禁止を求める改正案に賛成の立場で参考人としてお話しする機会があり、それで本日もこのような機会を持たせていただいたのではないかと考えております。
私自身は、日弁連の副会長も務めましたし、現在でも日弁連の消費者問題対策委員会の委員を務めております。今回、参考人としてお声をかけていただきましたけれども、商工ローン被害に取り組んできた一実務家として、民進党さんが第三者保証禁止の修正を考えているということもお聞きしましたので、極めて短い期間ではありましたが、保証の問題について賛成の立場から意見を述べるということを考えている次第でございます。
実は、平成二十五年六月十日の参考人でもお話しさせていただきましたけれども、私の実体験も少しお話しさせていただければと思っております。
実は、闇金の被害でそれを解決した私の元依頼者が、商工ローン業者に発行した手形が決済できず不渡りを出し、その朝、未明に首をつるという自殺をしました。遺書があり、生命保険で保証人に迷惑をかけないように、わざわざ、新里弁護士に依頼して債務整理をしてくれということでした。それを聞きまして、何でもう少し前に相談に来なかったのかとすごく悔やんだのでありますけれども、保険金が三千万あったということで、保証人は、公務員を勤めた兄、それから取引先の社長でございました。何とか保証人に迷惑をかけない形で債務整理ができました。
今回、法制審議会が保証問題についても利害を調整し、多大な労力をかけ取りまとめていただいたことについては、高く評価をしているところでございます。保証被害を抑制する観点では、大きな改革となると理解をしております。ただし、第三者保証の禁止については意見がまとまらず、公証人による保証意思の確認という形になったことについては残念に思っているところでございます。
先日の参考人質疑でも、日弁連の消費者委員会の委員の黒木弁護士が指摘した、平成二十四年一月の日弁連の意見書がございます。資料として配付されたと聞いております。その意見書を採択した際の担当の副会長でもありました。法務省にも法改正の論点として提出させていただいております。
具体的には、事業貸し付けにおける第三者個人保証の禁止、裁判所による保証人の責任減免、契約締結時の債権者の説明義務、情報提供義務、説明を怠った場合の契約取り消し、契約締結後の情報提供義務、比例原則、保証契約締結時において、保証債務の内容が自然人である保証人の財産、収入に対して過大であった場合、保証請求された時点で、それに足りる財産及び収入を有する場合でない限り、債権者は保証債務の履行を請求してはならないなどを求めたものでございました。
今回の改正法では、改正案四百六十五条の六で、公証人による保証意思の確認が定められました。保証人が個人であって、事業のために負担した貸し金等債務を主たる債務とする保証債務契約、または主たる債務の範囲に事業のために負担する貸し金等債務が含まれる根保証契約について、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一カ月以内に作成された公正証書で保証人となろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じないとするものです。
ただし、例外として、保証人となろうとする者が、主たる債務者の理事、取締役、執行役またはこれらに準ずる者、主たる債務者または親会社の総株主の議決権の過半数を有する者、主たる債務者と共同して事業を行う者、主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者について、公証人での意思確認が不要とするものでございます。
そして、四百六十五条の二で、貸し金等根保証に限らず、個人が保証人となる根保証契約について、極度額の定めがない場合、無効とするものでございます。
四百六十五条の十は、主たる債務者に対して、契約締結時の情報提供義務を課し、義務違反の場合に、主たる債務者の義務違反を債権者が知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができる。
それから、四百五十八条の二は、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証人となった場合、保証人の請求があった場合の主たる債務の履行状況についての情報提供義務。
そして、四百五十八条の三で、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報提供義務でございます。
多くの保証被害を抑制する規定が盛り込まれたと考えているところでございます。しかし、第三者保証の禁止が公証人での保証債務を履行する意思の確認に変わり、さらに、出口としての比例原則など責任制限が、条文上、つくり方が非常に困難であるということで、盛り込まれませんでした。
次に、公証人での保証意思の確認についてでございます。
私ども、商工ローン被害を取り扱った弁護士からすると、やはり、もう一つ苦い経験がございます。商工ローン業者であった商工ファンドが複写式の契約書の三枚目などに公正証書作成委任状を忍び込ませておいて、その委任状により、公証人役場で執行認諾つき公正証書が作成されます。保証人は、そのような証書が作成された事実も知りません。
そして、主債務者が支払いを怠ると、保証人に請求がなされ、すぐに給料の差し押さえなどがなされます。会社から呼び出され、やむなく支払いをする。まさしく、公正証書が取り立ての武器として利用されたのでございました。公証人は、保証人作成の委任状が書面上そろっている以上、そのまま執行認諾つき公正証書を作成しています。このようなことが多数起こり、商工ローン被害と言われる状況が生じました。
二〇〇四年、私ども日弁連は、日本の公証人法の母法であるドイツへも調査に行きました。そこで、公証人が極めて尊敬される法律家であり、そこでは、日本ではない教示義務が法定されていることがわかりました。
教示義務とは、公証人は、当事者の意思を探求し、事実関係を明らかにし、当事者に行為の法的射程を教示して、当事者の意思表示を誤解のないよう明確に証書中に再現しなければならない。その際、公証人は、錯誤と疑問を避けるよう、さらに、無経験でふなれな当事者が不利益を受けないよう注意しなければならないとされ、さらに、行為が法律に適合するか、あるいは当事者の真意と一致するかにつき疑いがあるときは、その疑問について当事者と議論しなければならない。公証人が行為の有効性について疑いを抱いたにもかかわらず、当事者が証書作成に固執する場合には、公証人は、当事者にした教示内容とそれに対する当事者の釈明を証書中に記載しなければならないなどと規定されております。
日本では、公証人法二十六条で、「公証人ハ法令ニ違反シタル事項、無効ノ法律行為及行為能力ノ制限ニ因リテ取消スコトヲ得ヘキ法律行為ニ付証書ヲ作成スルコトヲ得ス」と定められておりますけれども、ドイツでいう教示義務を定めたものとは考えられておりません。このような中で、公正証書によるトラブルが十分防止できなかったのではないでしょうか。
では、口授による公証人の保証債務の意思確認で保証人の保護が図れるのかということでございます。
これまでの参考人の質疑の中でも、公証人の実務では口授が形骸化していることがこの委員会の中でも議論がなされております。
銀行取引などでは、金融庁が監督を緩めない限り、現状の、原則として保証人をとらない運用と相まって、一定の効果を生む可能性を否定するものではございません。
しかし、貸金業者はこれまで、貸金業法の改正で、貸し付けの際、特定公正証書作成委任状を徴求することが禁止されてきました。いわゆる特定公正証書とは、まさしく執行認諾つき公正証書のことでございます。今回、公証人での保証債務履行の意思確認に続いて、執行認諾つき公正証書を作成するようになりますと、裁判を提起することなく強制執行が可能となり、保証人が追い込まれかねない事態が招来されかねません。公証人による意思確認が形式的に行われ、かえって、公正証書による差し押さえによる被害が懸念されるところでございます。
私は、前回の参考人でもお話ししましたとおり、公証人による保証意思の確認ではなく、第三者保証の禁止について今回盛り込むべきではなかったかと考えているところでございます。その理由は、保証が自己破産などの原因となっているということでございます。日弁連の破産調査でも、常時二五%前後となっております。さらに、保証が自殺の原因になっていることは既にお話ししたとおりでございます。さらに、保証が再チャレンジの阻害要因となっているものでございます。身ぐるみ剥がれてしまうという状況が再起を不可能にしかねないということでございます。
他方、金融実務におきましては、平成十八年以降、信用保証協会で第三者保証の原則禁止で、ほとんど第三者保証人がとられないような仕組みとなっております。平成二十三年の金融庁の主要行向け、あるいは中小・地域金融機関向け監督指針で、経営者保証以外の第三者の保証人を求めないことを原則とする融資慣行の確立を明記しております。
保証は、親戚、一定の深い関係から依頼を断れない関係にある、よく情義性と言われます、迷惑をかけないからと言われ軽率に行われやすく、経営にタッチしていない以上、利害計算が不可視的であり、さらに、被害が多発していることからすると、第三者保証を民法で禁止する許容性、合理性は存するものではないかと考えるところでございます。
さらに、今回の改正案の中で、主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者について、公証人での意思確認も不要とされております。これにつきましては、保証を断ることが困難な情義的保証の典型であり、新しい民法にふさわしくないのではないかと考えているところであり、修正が必要ではないでしょうか。
既に述べましたように、出口での比例原則など、保証責任の軽減策が採用されておりません。実は、被災者の二重ローン対策としての個人版私的整理ガイドラインにおいては、保証人に責任を求めるケースが限定され、ガイドラインの運用の実務上もこれが定着しております。さらに、経営者保証のガイドラインにおいても、経営者保証人ですら、その責任の軽減策が実行されております。ぜひ、保証責任の負担軽減策についても早期に検討、実行されることを望むところでございます。
さらに、今回は議論はされておりませんけれども、奨学金の保証人の問題でございます。親の連帯保証人、おじさんの保証人など、本人が正規の就職ができず支払い困難にあるにもかかわらず解決ができないのは、この保証の問題でございます。奨学金の保証人の負担軽減を図るガイドラインの策定も焦眉の急の課題ではないかと思われます。
公証人での意思確認については、もしこのまま採択されるのであれば、公証人法の改正、例えば日本における教示義務を認めるなど、具体的な対策を講じなければ禍根を残すのではないかと危惧するものでございます。特に執行認諾つき公正証書の乱用を抑える仕組みはどうすべきか、検討しなければならないのではないかと考えるところでございます。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →お呼びいただきまして、本当にありがとうございます。
私自身は、仙台弁護士会に所属しておりまして、三十四年間弁護士活動をしております。当初から多重債務問題に取り組み、さらに、平成十年十二月からは、商工ローン被害に対応するため結成されました日栄・商工ファンド対策全国弁護団の副団長も務めておりました。平成十八年十二月、グレーゾーン金利の廃止等を伴う貸金業法の大改正では、参議院の財政金融委員会でも参考人で意見を述べる機会も与えていただきました。
貸金業法の大改正の残された課題として、保証被害を防止する仕組みづくり、特に第三者保証人の禁止が必要であると考えておりました。平成二十五年六月十日、当時の民主党が提案されました民法の一部改正、第三者保証の禁止を求める改正案に賛成の立場で参考人としてお話しする機会があり、それで本日もこのような機会を持たせていただいたのではないかと考えております。
私自身は、日弁連の副会長も務めましたし、現在でも日弁連の消費者問題対策委員会の委員を務めております。今回、参考人としてお声をかけていただきましたけれども、商工ローン被害に取り組んできた一実務家として、民進党さんが第三者保証禁止の修正を考えているということもお聞きしましたので、極めて短い期間ではありましたが、保証の問題について賛成の立場から意見を述べるということを考えている次第でございます。
実は、平成二十五年六月十日の参考人でもお話しさせていただきましたけれども、私の実体験も少しお話しさせていただければと思っております。
実は、闇金の被害でそれを解決した私の元依頼者が、商工ローン業者に発行した手形が決済できず不渡りを出し、その朝、未明に首をつるという自殺をしました。遺書があり、生命保険で保証人に迷惑をかけないように、わざわざ、新里弁護士に依頼して債務整理をしてくれということでした。それを聞きまして、何でもう少し前に相談に来なかったのかとすごく悔やんだのでありますけれども、保険金が三千万あったということで、保証人は、公務員を勤めた兄、それから取引先の社長でございました。何とか保証人に迷惑をかけない形で債務整理ができました。
今回、法制審議会が保証問題についても利害を調整し、多大な労力をかけ取りまとめていただいたことについては、高く評価をしているところでございます。保証被害を抑制する観点では、大きな改革となると理解をしております。ただし、第三者保証の禁止については意見がまとまらず、公証人による保証意思の確認という形になったことについては残念に思っているところでございます。
先日の参考人質疑でも、日弁連の消費者委員会の委員の黒木弁護士が指摘した、平成二十四年一月の日弁連の意見書がございます。資料として配付されたと聞いております。その意見書を採択した際の担当の副会長でもありました。法務省にも法改正の論点として提出させていただいております。
具体的には、事業貸し付けにおける第三者個人保証の禁止、裁判所による保証人の責任減免、契約締結時の債権者の説明義務、情報提供義務、説明を怠った場合の契約取り消し、契約締結後の情報提供義務、比例原則、保証契約締結時において、保証債務の内容が自然人である保証人の財産、収入に対して過大であった場合、保証請求された時点で、それに足りる財産及び収入を有する場合でない限り、債権者は保証債務の履行を請求してはならないなどを求めたものでございました。
今回の改正法では、改正案四百六十五条の六で、公証人による保証意思の確認が定められました。保証人が個人であって、事業のために負担した貸し金等債務を主たる債務とする保証債務契約、または主たる債務の範囲に事業のために負担する貸し金等債務が含まれる根保証契約について、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一カ月以内に作成された公正証書で保証人となろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じないとするものです。
ただし、例外として、保証人となろうとする者が、主たる債務者の理事、取締役、執行役またはこれらに準ずる者、主たる債務者または親会社の総株主の議決権の過半数を有する者、主たる債務者と共同して事業を行う者、主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者について、公証人での意思確認が不要とするものでございます。
そして、四百六十五条の二で、貸し金等根保証に限らず、個人が保証人となる根保証契約について、極度額の定めがない場合、無効とするものでございます。
四百六十五条の十は、主たる債務者に対して、契約締結時の情報提供義務を課し、義務違反の場合に、主たる債務者の義務違反を債権者が知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができる。
それから、四百五十八条の二は、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証人となった場合、保証人の請求があった場合の主たる債務の履行状況についての情報提供義務。
そして、四百五十八条の三で、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報提供義務でございます。
多くの保証被害を抑制する規定が盛り込まれたと考えているところでございます。しかし、第三者保証の禁止が公証人での保証債務を履行する意思の確認に変わり、さらに、出口としての比例原則など責任制限が、条文上、つくり方が非常に困難であるということで、盛り込まれませんでした。
次に、公証人での保証意思の確認についてでございます。
私ども、商工ローン被害を取り扱った弁護士からすると、やはり、もう一つ苦い経験がございます。商工ローン業者であった商工ファンドが複写式の契約書の三枚目などに公正証書作成委任状を忍び込ませておいて、その委任状により、公証人役場で執行認諾つき公正証書が作成されます。保証人は、そのような証書が作成された事実も知りません。
そして、主債務者が支払いを怠ると、保証人に請求がなされ、すぐに給料の差し押さえなどがなされます。会社から呼び出され、やむなく支払いをする。まさしく、公正証書が取り立ての武器として利用されたのでございました。公証人は、保証人作成の委任状が書面上そろっている以上、そのまま執行認諾つき公正証書を作成しています。このようなことが多数起こり、商工ローン被害と言われる状況が生じました。
二〇〇四年、私ども日弁連は、日本の公証人法の母法であるドイツへも調査に行きました。そこで、公証人が極めて尊敬される法律家であり、そこでは、日本ではない教示義務が法定されていることがわかりました。
教示義務とは、公証人は、当事者の意思を探求し、事実関係を明らかにし、当事者に行為の法的射程を教示して、当事者の意思表示を誤解のないよう明確に証書中に再現しなければならない。その際、公証人は、錯誤と疑問を避けるよう、さらに、無経験でふなれな当事者が不利益を受けないよう注意しなければならないとされ、さらに、行為が法律に適合するか、あるいは当事者の真意と一致するかにつき疑いがあるときは、その疑問について当事者と議論しなければならない。公証人が行為の有効性について疑いを抱いたにもかかわらず、当事者が証書作成に固執する場合には、公証人は、当事者にした教示内容とそれに対する当事者の釈明を証書中に記載しなければならないなどと規定されております。
日本では、公証人法二十六条で、「公証人ハ法令ニ違反シタル事項、無効ノ法律行為及行為能力ノ制限ニ因リテ取消スコトヲ得ヘキ法律行為ニ付証書ヲ作成スルコトヲ得ス」と定められておりますけれども、ドイツでいう教示義務を定めたものとは考えられておりません。このような中で、公正証書によるトラブルが十分防止できなかったのではないでしょうか。
では、口授による公証人の保証債務の意思確認で保証人の保護が図れるのかということでございます。
これまでの参考人の質疑の中でも、公証人の実務では口授が形骸化していることがこの委員会の中でも議論がなされております。
銀行取引などでは、金融庁が監督を緩めない限り、現状の、原則として保証人をとらない運用と相まって、一定の効果を生む可能性を否定するものではございません。
しかし、貸金業者はこれまで、貸金業法の改正で、貸し付けの際、特定公正証書作成委任状を徴求することが禁止されてきました。いわゆる特定公正証書とは、まさしく執行認諾つき公正証書のことでございます。今回、公証人での保証債務履行の意思確認に続いて、執行認諾つき公正証書を作成するようになりますと、裁判を提起することなく強制執行が可能となり、保証人が追い込まれかねない事態が招来されかねません。公証人による意思確認が形式的に行われ、かえって、公正証書による差し押さえによる被害が懸念されるところでございます。
私は、前回の参考人でもお話ししましたとおり、公証人による保証意思の確認ではなく、第三者保証の禁止について今回盛り込むべきではなかったかと考えているところでございます。その理由は、保証が自己破産などの原因となっているということでございます。日弁連の破産調査でも、常時二五%前後となっております。さらに、保証が自殺の原因になっていることは既にお話ししたとおりでございます。さらに、保証が再チャレンジの阻害要因となっているものでございます。身ぐるみ剥がれてしまうという状況が再起を不可能にしかねないということでございます。
他方、金融実務におきましては、平成十八年以降、信用保証協会で第三者保証の原則禁止で、ほとんど第三者保証人がとられないような仕組みとなっております。平成二十三年の金融庁の主要行向け、あるいは中小・地域金融機関向け監督指針で、経営者保証以外の第三者の保証人を求めないことを原則とする融資慣行の確立を明記しております。
保証は、親戚、一定の深い関係から依頼を断れない関係にある、よく情義性と言われます、迷惑をかけないからと言われ軽率に行われやすく、経営にタッチしていない以上、利害計算が不可視的であり、さらに、被害が多発していることからすると、第三者保証を民法で禁止する許容性、合理性は存するものではないかと考えるところでございます。
さらに、今回の改正案の中で、主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者について、公証人での意思確認も不要とされております。これにつきましては、保証を断ることが困難な情義的保証の典型であり、新しい民法にふさわしくないのではないかと考えているところであり、修正が必要ではないでしょうか。
既に述べましたように、出口での比例原則など、保証責任の軽減策が採用されておりません。実は、被災者の二重ローン対策としての個人版私的整理ガイドラインにおいては、保証人に責任を求めるケースが限定され、ガイドラインの運用の実務上もこれが定着しております。さらに、経営者保証のガイドラインにおいても、経営者保証人ですら、その責任の軽減策が実行されております。ぜひ、保証責任の負担軽減策についても早期に検討、実行されることを望むところでございます。
さらに、今回は議論はされておりませんけれども、奨学金の保証人の問題でございます。親の連帯保証人、おじさんの保証人など、本人が正規の就職ができず支払い困難にあるにもかかわらず解決ができないのは、この保証の問題でございます。奨学金の保証人の負担軽減を図るガイドラインの策定も焦眉の急の課題ではないかと思われます。
公証人での意思確認については、もしこのまま採択されるのであれば、公証人法の改正、例えば日本における教示義務を認めるなど、具体的な対策を講じなければ禍根を残すのではないかと危惧するものでございます。特に執行認諾つき公正証書の乱用を抑える仕組みはどうすべきか、検討しなければならないのではないかと考えるところでございます。
御清聴ありがとうございました。拍手
鈴
岩
岩田修一#6
○岩田参考人 皆様、おはようございます。弁護士の岩田と申します。東京弁護士会所属です。
本日は発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は日弁連の司法制度調査会というところの委員をしておりまして、法制審に委員、幹事として出席していた弁護士四名をバックアップするという会議に参加しておりました。それと並行して、東京弁護士会でも消費者問題特別委員会の委員であります。また、日弁連でも消費者問題対策委員会の委員だった時期もあります。そのようなことと、あと、業務上も消費者被害事件というのを今まで多く扱ってきたという経歴があるものですから、消費者保護目線で債権法の改正を見詰めてきたという経緯があります。その観点から、しばらく意見を述べさせていただきたいと思っております。
我が国の民法ですけれども、適用の対象は抽象的な、人というところが伝統的な概念になっていたわけですが、そのため、特に消費者とか事業者という概念は取り入れられてきていませんでした。これは、民法が制定された明治時代に消費者という概念などは乏しかったというか、ほぼなかったということが原因であると思われます。
しかし、現代社会においては、資本主義の発展とともに、契約者間の知識経験の有無の差というものが生じ、それに基づいて経済的格差も生じ、事業者でない者、つまり消費者が経済的弱者として被害をこうむる状況が顕著となってきています。そこで、特に消費者を保護するための立法の必要性が生じ、これまでもさまざまな立法が行われてきたという経緯があります。
ただし、消費者保護を拡充しようと考える人の中でも、例えば消費者契約法というものがありますが、そのような規定を民法の中に直接取り入れるということについては、必ずしも賛成という意見ばかりではありませんでした。消費者契約法の一部だけをかいつまんで民法に取り込むということは、消費者保護の観点からするとかえって薄れてしまうのではないかという疑念があったからだということがあります。
今般、消費者契約法について改正法がことし成立したということがありますが、これとは別に、特別法と明確にすみ分けをするということで、まずは民法、民事法の根本法ですので、民法の範囲内で消費者保護につながる規定をできるだけ盛り込みたい、盛り込んでいただきたいということは強く望まれてきたところであると思われます。
その中でも、今回の民法改正の法案の中で挙げられている代表的なものとして、保証人保護の規定の話と、あと、定型約款のお話について、特にお時間を割いてお話をさせていただきたいと思います。
保証に関してですが、今、新里先生の方から詳細な御説明がございましたので、私の方からお話しするのもちょっとはばかられるところではあるのですが、少しお話をさせていただきます。
改正の議論が始まったのがもう十年ぐらい前なわけですが、当初の学者案の中でも、また当初の法制審の中でも、保証についての規定をどれだけ盛り込むかということについては余り重視されていなかったと認識しています。ただ、保証に関しては非常に重要なもので、保証人を保護するという観点は重視しなければいけないというところがありましたので、日弁連、特に日弁連消費者問題対策委員会が中心になって、保証人の保護の規定をぜひ盛り込んでほしいということで意見を述べてきたという経緯があります。
これまでも金融庁の監督指針というものは存在していたわけですが、民法においては、保証契約は書面で行う必要があるということや、貸し金等債務に関しては極度額の規定がある、あとは元本確定の規定があるなど、ごく限られた保証人保護の規定しか設けられていませんでした。
しかし、御存じのとおり、今も非常に具体的なお話がありましたが、第三者が保証人となるということに関しては、保証人の立場からすると、みずからが借り入れをしているわけではないのに負債を負ってしまう、それによって自己破産、一家離散、または自殺という本当に悲惨な状況が発生するということがありました。もちろん主債務者も、保証人に迷惑をかけてはいけないということで同じように自殺を図ってしまうということは、今もお話をされていたとおりだと思います。
いわゆる商工ファンド事件というものがありますが、これは、裁判所や公証役場などが商工ファンドにうまく利用されてしまったということで多くの被害者を出してしまった、実務家としてはとても苦い経験になっていると思います。
これらのことを考えますと、一歩でも二歩でも、保証人保護の規定を設け、先ほど述べました保証人において起こる、ひいては主債務者にも起こるわけですが、悲劇を防止するということが非常に重要な社会的施策だと考えております。
ですから、保証人保護の規定を拡充するというこの改正の議論ということに関しては、積極的に評価をさせていただいております。速やかに成立していただいて、無用で安易な保証契約というものが締結されないように、改正法が一刻も早く適用される状況になり、さらに、これからお話しするようなさらなる改正の契機としていただきたいと考えております。
詳細な制度の内容に関してはここでは多くをお話しできませんので、レジュメもお配りしておりますから参考にしていただければ助かりますが、とにかく、今回の件では個人保証の制限ということが特に重要な話になります。また、個人保証ができるかできないかという話だけではなくて、情報提供義務というものが設けられている、整備されたということは大きな前進だと考えております。
ただし、配付したレジュメでも書きましたが、公正証書というものに関しては必ずしも十分なものではないという認識は私もあります。悪用されてきたという歴史がありますので、悪用される危険性ということの存在を把握しながら進めていかなければならない。そのために、保証人保護として十分であるかどうかというのは、今後も公正証書のことは特に十分な議論をお願いしたいと考えております。
また、配偶者に関しても、「主たる債務者が行う事業に現に従事している」という限定がついていますが、配偶者も公正証書なく保証人になることができるということになっています。ただ、そもそも夫婦といっても、取締役でもない限り、経営者と言えるかというとそうではないわけで、配偶者という地位だけで保証人になってしまうということについてはまだ疑問が残っています。
これについて反対だという強い意見もあることは存じ上げておりますが、私は反対とまでは言うつもりはございません。しかし、今後の将来の議論の中で生かしていくことということも観点としてはあると思いますので、配偶者を公正証書なく保証人とできることに関してはぜひ慎重な議論をお願いしたいと考えております。
次に、定型約款に関してです。
定型約款に関しては、法制審の議論でも最終版に至るまで案が固まらず、当局と経済界の間の折衝が続いたというお話を伺っております。
約款に関する規定は、諸外国では明文化されているという例もある中で、我が国の民法ではこれまで規定がなかったわけです。
ただ、経済的格差の中で優位に立つ事業者の都合で作成された約款というものに不特定多数の消費者が拘束されてしまうということは、何もこれについて民法に規定がなく認められてしまっているということに関して非常に問題があると言えます。民法において約款に関して規定化されるという方向で議論されてきたということに関しては、これも積極的に評価をしております。
ただし、さまざまな折衝のもとでこの定型約款に関しての規定が法案として上がっているという事情もあると思われますが、現在の法案については、まだまだ今後もいろいろ発展していくこともあると思っておりますので、十分な議論、審議をお願いしたいと考えております。
特に、約款というものの中の一部に定型約款というものが位置づけられるという概念の関係があると思われますが、そもそもの今まで言われていた約款と今回の定型約款というものの違い、区別、限界というものが明確かというと、必ずしもそうではないというところがあると言えますし、また、みなし合意の規定というものも大分緩和されたものになっております。また、定型約款の変更の規定に関しても、大分緩和された要件で設けられる方向に法案がなっていると考えられます。
これらについては、やはりかなり緩くなってしまっているというところを重視して、このような約款の規定を設けることには反対だという意見のあることも存じ上げているところではありますが、むしろ何もないことが問題なのであって、まずは議論を尽くして明文化していただいた上で、さらに実務の積み重ねを経た上でまた修正をするような形が理想的なのではないかと考えておりますので、審議の中でも説得力ある御検討がされることを期待しております。
その他でございますが、今般、消費者保護に関しての改正の議論というのが行われてきた中で、そもそもコンセンサスが得られなかったということで落ちてしまったものが幾つかあります。
幾つかありますが、特に、ここでは一つ、暴利行為というものを挙げざるを得ません。
暴利行為に関しては、いわゆる中間試案までは案としては出ていたんですが、法案になる前で落ちてしまいました。
ただ、いわゆる現代的な暴利行為論というものがあるわけですが、そのようなものの議論が深まる中で、暴利行為に関して知識経験のある事業者が、暴利を追求するために消費者を食い物にしてしまうということがやはり後を絶たないということがあります。特に、高齢者を狙った、例えば投資被害とか不動産の投資関係とか証券関係の被害とか、そういうものがありますが、これらは非常に金額も多くて、暴利につながるものだと考えています。これは、事件の関係で扱っている弁護士としては非常に頭が痛い、裁判所も非常に、冷たいと言ってしまっていいのかどうかわかりませんが、非常に頭の痛いところがあります。
このような悪徳事業者に対抗しようということで、訴訟の手段を我々弁護士としては用いるわけですが、法律的に十分な武器が与えられているかというと、必ずしもなかなかそれが難しいところがありまして、暴利行為というのは非常にその一つの手助けになる規定だと思われていたので、規定化されることを期待していたんですが、現在、残念な状態になっています。
将来にわたってまた必要な議論になってくると思いますので、その点も念頭に置いて審議をしていただきたいと考えております。
また、詐欺の取り消しの場合に特にありますが、取り消しの後にどういう効果が生じるかというところで、原状回復義務というのがあるわけですが、原状回復義務に関しても、取得した利益を全部返すということになると、消費者としては非常に損害が大きくなるということがあり、現存利益に限られる範囲で消費者の利益が図られるということも十分考えられるところであります。
消費者契約法の中では盛り込まれたところでもありますが、民法の中でも考えていただきたいと思っている次第です。
以上のとおりで、短い時間ではございましたが、日弁連の中で中心に検討してきた事項に関して、私自身の見解も入れてお話をさせていただきました。
今後十分な審議がなされますことをお祈りしまして、お話を締めさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は日弁連の司法制度調査会というところの委員をしておりまして、法制審に委員、幹事として出席していた弁護士四名をバックアップするという会議に参加しておりました。それと並行して、東京弁護士会でも消費者問題特別委員会の委員であります。また、日弁連でも消費者問題対策委員会の委員だった時期もあります。そのようなことと、あと、業務上も消費者被害事件というのを今まで多く扱ってきたという経歴があるものですから、消費者保護目線で債権法の改正を見詰めてきたという経緯があります。その観点から、しばらく意見を述べさせていただきたいと思っております。
我が国の民法ですけれども、適用の対象は抽象的な、人というところが伝統的な概念になっていたわけですが、そのため、特に消費者とか事業者という概念は取り入れられてきていませんでした。これは、民法が制定された明治時代に消費者という概念などは乏しかったというか、ほぼなかったということが原因であると思われます。
しかし、現代社会においては、資本主義の発展とともに、契約者間の知識経験の有無の差というものが生じ、それに基づいて経済的格差も生じ、事業者でない者、つまり消費者が経済的弱者として被害をこうむる状況が顕著となってきています。そこで、特に消費者を保護するための立法の必要性が生じ、これまでもさまざまな立法が行われてきたという経緯があります。
ただし、消費者保護を拡充しようと考える人の中でも、例えば消費者契約法というものがありますが、そのような規定を民法の中に直接取り入れるということについては、必ずしも賛成という意見ばかりではありませんでした。消費者契約法の一部だけをかいつまんで民法に取り込むということは、消費者保護の観点からするとかえって薄れてしまうのではないかという疑念があったからだということがあります。
今般、消費者契約法について改正法がことし成立したということがありますが、これとは別に、特別法と明確にすみ分けをするということで、まずは民法、民事法の根本法ですので、民法の範囲内で消費者保護につながる規定をできるだけ盛り込みたい、盛り込んでいただきたいということは強く望まれてきたところであると思われます。
その中でも、今回の民法改正の法案の中で挙げられている代表的なものとして、保証人保護の規定の話と、あと、定型約款のお話について、特にお時間を割いてお話をさせていただきたいと思います。
保証に関してですが、今、新里先生の方から詳細な御説明がございましたので、私の方からお話しするのもちょっとはばかられるところではあるのですが、少しお話をさせていただきます。
改正の議論が始まったのがもう十年ぐらい前なわけですが、当初の学者案の中でも、また当初の法制審の中でも、保証についての規定をどれだけ盛り込むかということについては余り重視されていなかったと認識しています。ただ、保証に関しては非常に重要なもので、保証人を保護するという観点は重視しなければいけないというところがありましたので、日弁連、特に日弁連消費者問題対策委員会が中心になって、保証人の保護の規定をぜひ盛り込んでほしいということで意見を述べてきたという経緯があります。
これまでも金融庁の監督指針というものは存在していたわけですが、民法においては、保証契約は書面で行う必要があるということや、貸し金等債務に関しては極度額の規定がある、あとは元本確定の規定があるなど、ごく限られた保証人保護の規定しか設けられていませんでした。
しかし、御存じのとおり、今も非常に具体的なお話がありましたが、第三者が保証人となるということに関しては、保証人の立場からすると、みずからが借り入れをしているわけではないのに負債を負ってしまう、それによって自己破産、一家離散、または自殺という本当に悲惨な状況が発生するということがありました。もちろん主債務者も、保証人に迷惑をかけてはいけないということで同じように自殺を図ってしまうということは、今もお話をされていたとおりだと思います。
いわゆる商工ファンド事件というものがありますが、これは、裁判所や公証役場などが商工ファンドにうまく利用されてしまったということで多くの被害者を出してしまった、実務家としてはとても苦い経験になっていると思います。
これらのことを考えますと、一歩でも二歩でも、保証人保護の規定を設け、先ほど述べました保証人において起こる、ひいては主債務者にも起こるわけですが、悲劇を防止するということが非常に重要な社会的施策だと考えております。
ですから、保証人保護の規定を拡充するというこの改正の議論ということに関しては、積極的に評価をさせていただいております。速やかに成立していただいて、無用で安易な保証契約というものが締結されないように、改正法が一刻も早く適用される状況になり、さらに、これからお話しするようなさらなる改正の契機としていただきたいと考えております。
詳細な制度の内容に関してはここでは多くをお話しできませんので、レジュメもお配りしておりますから参考にしていただければ助かりますが、とにかく、今回の件では個人保証の制限ということが特に重要な話になります。また、個人保証ができるかできないかという話だけではなくて、情報提供義務というものが設けられている、整備されたということは大きな前進だと考えております。
ただし、配付したレジュメでも書きましたが、公正証書というものに関しては必ずしも十分なものではないという認識は私もあります。悪用されてきたという歴史がありますので、悪用される危険性ということの存在を把握しながら進めていかなければならない。そのために、保証人保護として十分であるかどうかというのは、今後も公正証書のことは特に十分な議論をお願いしたいと考えております。
また、配偶者に関しても、「主たる債務者が行う事業に現に従事している」という限定がついていますが、配偶者も公正証書なく保証人になることができるということになっています。ただ、そもそも夫婦といっても、取締役でもない限り、経営者と言えるかというとそうではないわけで、配偶者という地位だけで保証人になってしまうということについてはまだ疑問が残っています。
これについて反対だという強い意見もあることは存じ上げておりますが、私は反対とまでは言うつもりはございません。しかし、今後の将来の議論の中で生かしていくことということも観点としてはあると思いますので、配偶者を公正証書なく保証人とできることに関してはぜひ慎重な議論をお願いしたいと考えております。
次に、定型約款に関してです。
定型約款に関しては、法制審の議論でも最終版に至るまで案が固まらず、当局と経済界の間の折衝が続いたというお話を伺っております。
約款に関する規定は、諸外国では明文化されているという例もある中で、我が国の民法ではこれまで規定がなかったわけです。
ただ、経済的格差の中で優位に立つ事業者の都合で作成された約款というものに不特定多数の消費者が拘束されてしまうということは、何もこれについて民法に規定がなく認められてしまっているということに関して非常に問題があると言えます。民法において約款に関して規定化されるという方向で議論されてきたということに関しては、これも積極的に評価をしております。
ただし、さまざまな折衝のもとでこの定型約款に関しての規定が法案として上がっているという事情もあると思われますが、現在の法案については、まだまだ今後もいろいろ発展していくこともあると思っておりますので、十分な議論、審議をお願いしたいと考えております。
特に、約款というものの中の一部に定型約款というものが位置づけられるという概念の関係があると思われますが、そもそもの今まで言われていた約款と今回の定型約款というものの違い、区別、限界というものが明確かというと、必ずしもそうではないというところがあると言えますし、また、みなし合意の規定というものも大分緩和されたものになっております。また、定型約款の変更の規定に関しても、大分緩和された要件で設けられる方向に法案がなっていると考えられます。
これらについては、やはりかなり緩くなってしまっているというところを重視して、このような約款の規定を設けることには反対だという意見のあることも存じ上げているところではありますが、むしろ何もないことが問題なのであって、まずは議論を尽くして明文化していただいた上で、さらに実務の積み重ねを経た上でまた修正をするような形が理想的なのではないかと考えておりますので、審議の中でも説得力ある御検討がされることを期待しております。
その他でございますが、今般、消費者保護に関しての改正の議論というのが行われてきた中で、そもそもコンセンサスが得られなかったということで落ちてしまったものが幾つかあります。
幾つかありますが、特に、ここでは一つ、暴利行為というものを挙げざるを得ません。
暴利行為に関しては、いわゆる中間試案までは案としては出ていたんですが、法案になる前で落ちてしまいました。
ただ、いわゆる現代的な暴利行為論というものがあるわけですが、そのようなものの議論が深まる中で、暴利行為に関して知識経験のある事業者が、暴利を追求するために消費者を食い物にしてしまうということがやはり後を絶たないということがあります。特に、高齢者を狙った、例えば投資被害とか不動産の投資関係とか証券関係の被害とか、そういうものがありますが、これらは非常に金額も多くて、暴利につながるものだと考えています。これは、事件の関係で扱っている弁護士としては非常に頭が痛い、裁判所も非常に、冷たいと言ってしまっていいのかどうかわかりませんが、非常に頭の痛いところがあります。
このような悪徳事業者に対抗しようということで、訴訟の手段を我々弁護士としては用いるわけですが、法律的に十分な武器が与えられているかというと、必ずしもなかなかそれが難しいところがありまして、暴利行為というのは非常にその一つの手助けになる規定だと思われていたので、規定化されることを期待していたんですが、現在、残念な状態になっています。
将来にわたってまた必要な議論になってくると思いますので、その点も念頭に置いて審議をしていただきたいと考えております。
また、詐欺の取り消しの場合に特にありますが、取り消しの後にどういう効果が生じるかというところで、原状回復義務というのがあるわけですが、原状回復義務に関しても、取得した利益を全部返すということになると、消費者としては非常に損害が大きくなるということがあり、現存利益に限られる範囲で消費者の利益が図られるということも十分考えられるところであります。
消費者契約法の中では盛り込まれたところでもありますが、民法の中でも考えていただきたいと思っている次第です。
以上のとおりで、短い時間ではございましたが、日弁連の中で中心に検討してきた事項に関して、私自身の見解も入れてお話をさせていただきました。
今後十分な審議がなされますことをお祈りしまして、お話を締めさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。拍手
鈴
鈴
藤
藤原崇#9
○藤原委員 おはようございます。ただいま御紹介いただきました自由民主党衆議院議員の藤原崇であります。
本日は、三名の参考人の先生方にお越しをいただいて、それぞれの御見解をお聞きいたしました。大変恐縮ではありますが、私の方から何点か、二十分という時間で質問をさせていただきたいと思っております。
まずは、三名の先生方のお話を私の方で聞かせていただきました。それぞれの立場から、それぞれの御経験に基づいたいろいろな見解だったと思うんですが、おおむねの民法改正の流れとしては是であるというふうに私は理解をいたしました。もちろん保証の問題であるとかいろいろなところはあるということですが、まずは評価をしていただいているというふうに理解をしております。
そういう中で、私の方からきょう何点か御質問をするのは、今お話を聞いたもので急に御質問をしてしまうところもあるんですが、まず一点目が保証の問題であります。
まず、中田先生にお聞きをしたいと思っております。
先ほど、新里先生からの御意見の中で、第三者保証を全面禁止するべきではないか、そういうような議論、あるいは出口における債務の縮減、そういうことも必要ではないかということもありました。法制審において議論をしていく中で、いろいろな見解、いろいろな利害対立の中で調整をしたというお話がありましたが、まず、この点について、実際、民法の改正にかかわった一人として、御見解を御教示いただければと思っております。中田先生、よろしくお願いします。
この発言だけを見る →本日は、三名の参考人の先生方にお越しをいただいて、それぞれの御見解をお聞きいたしました。大変恐縮ではありますが、私の方から何点か、二十分という時間で質問をさせていただきたいと思っております。
まずは、三名の先生方のお話を私の方で聞かせていただきました。それぞれの立場から、それぞれの御経験に基づいたいろいろな見解だったと思うんですが、おおむねの民法改正の流れとしては是であるというふうに私は理解をいたしました。もちろん保証の問題であるとかいろいろなところはあるということですが、まずは評価をしていただいているというふうに理解をしております。
そういう中で、私の方からきょう何点か御質問をするのは、今お話を聞いたもので急に御質問をしてしまうところもあるんですが、まず一点目が保証の問題であります。
まず、中田先生にお聞きをしたいと思っております。
先ほど、新里先生からの御意見の中で、第三者保証を全面禁止するべきではないか、そういうような議論、あるいは出口における債務の縮減、そういうことも必要ではないかということもありました。法制審において議論をしていく中で、いろいろな見解、いろいろな利害対立の中で調整をしたというお話がありましたが、まず、この点について、実際、民法の改正にかかわった一人として、御見解を御教示いただければと思っております。中田先生、よろしくお願いします。
中
中田裕康#10
○中田参考人 御質問ありがとうございます。
保証の被害ということは共通認識でありまして、それをどうしたら少なくすることができるのか。抜本的な解決としては、確かに個人の第三者保証をなくすというのが根本的な解決かもしれません。しかし、他方で、保証についての需要というのがありまして、とりわけ中小企業の方からは、資金調達のために保証が必要であるという御意見がありました。
さらに、広く考えてみますと、保証という制度は、きのうきょうできたものではありませんで、大昔から、あるいは外国でも広くあるものでありまして、それだけ社会的な需要があるだろう。仮に保証という制度をなくしてしまったとすると、今度は別の形で同じようなことを狙うことが出てくるかもしれない。
そうであれば、むしろ、保証についてできるだけ合理的な制度を設けた上で、さらに、それに加えて、各種の保証の類型に応じてきめ細かい保証人保護を図ることが望ましいだろうというのが大体の考えであり、その方向で、具体的には、貸し付けに係る債務についての個人保証についての規律、さらに情報提供義務、あるいは根保証の保証人の拡充ということが図られたわけでございます。
さらに、出口において債務を縮減するということも、実際そういう御意見もあり、検討されました。ただ、そうすると、結局は保証制度についての利用が非常にしにくくなり、結果的に保証についての需要に十分応えられなくなる、つまり保証が頼りないものであるということになると、今度はそれだけ中小企業などに対する貸し付けが十分になされなくなる、そういう懸念もあり、最終的にはこの法案のような形になった次第でございます。
この発言だけを見る →保証の被害ということは共通認識でありまして、それをどうしたら少なくすることができるのか。抜本的な解決としては、確かに個人の第三者保証をなくすというのが根本的な解決かもしれません。しかし、他方で、保証についての需要というのがありまして、とりわけ中小企業の方からは、資金調達のために保証が必要であるという御意見がありました。
さらに、広く考えてみますと、保証という制度は、きのうきょうできたものではありませんで、大昔から、あるいは外国でも広くあるものでありまして、それだけ社会的な需要があるだろう。仮に保証という制度をなくしてしまったとすると、今度は別の形で同じようなことを狙うことが出てくるかもしれない。
そうであれば、むしろ、保証についてできるだけ合理的な制度を設けた上で、さらに、それに加えて、各種の保証の類型に応じてきめ細かい保証人保護を図ることが望ましいだろうというのが大体の考えであり、その方向で、具体的には、貸し付けに係る債務についての個人保証についての規律、さらに情報提供義務、あるいは根保証の保証人の拡充ということが図られたわけでございます。
さらに、出口において債務を縮減するということも、実際そういう御意見もあり、検討されました。ただ、そうすると、結局は保証制度についての利用が非常にしにくくなり、結果的に保証についての需要に十分応えられなくなる、つまり保証が頼りないものであるということになると、今度はそれだけ中小企業などに対する貸し付けが十分になされなくなる、そういう懸念もあり、最終的にはこの法案のような形になった次第でございます。
藤
藤原崇#11
○藤原委員 ありがとうございます。非常にわかりやすい説明だったと思います。
特に、私、お話を聞いていてふと思ったのは、仮に第三者保証を禁止した場合には、また別のやり方というのを、これは業者さんの方もあるいは金融機関の方も考えるんだろうと思っております。
商工ローンの問題で、いわゆる公証人に対する委任状で、執行認諾つき文言についての作成の委任状をとったというのも、一つ一つの制度はそういうのは昔からあったんですが、それをうまく組み合わせた、うまくという言い方はあれなんですが、逆を言うと、そういうスキームを開発したということで、それで大変なことになったということです。
私もふと思うのは、やはり、仮に第三者保証を禁止したのであれば、住宅の場合ローンがついているのも多いんですが、ではかわりに物上保証で、誰かの不動産、これは出してくれ、そういうような話になってくるということも、一つの考え方としてあるのかな。そうすれば、結局、仮に第三者保証をできなくても、お世話になっている方だから、私の家は住宅ローンが終わったから、そんなに担保価値はないけれども、では抵当権をつけていいですよとか、そういう新たな方策というか対応の仕方をやはり金融機関さんも考えていくということもあるんだろうと思っています。
そういう意味では、第三者保証について、公正証書で、履行意思宣明証書でしたか、そういう形をするというのは、一つのやり方として私は合理的なんだろうと思っております。
保証すること、これはいろいろな動機があると思います。お世話になったから、知人だから、あるいは金銭的にお世話になっているから、いろいろな動機があると思うんですが、私は、動機自体はそれはいいんだと思っています。大事なのは、どれくらいのリスクがあるかということをしっかり認識した上で、この人のためであればこれくらいのリスクはとってもいい、あるいは、お世話になっているけれどもそこまではちょっとと。
一番大事な問題というのは、保証人になる方がどれくらいのリスクを負うか。それは、保証契約書を見れば書いてはいるんですけれども、なかなかそれを現実的に捉えられないというところが問題なんだろうと思っております。
そういう意味で、公正証書で履行意思を確認するということ、このことは一つの調和点として一歩前進だろうと思っております。
ただ、その中で一つ議論になっているのが、改正案の四百六十五条の九第三号ということになっております。いわゆる主たる債務者の配偶者、これについて、四百六十五条の九ということになります。「主たる債務者と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」、これについては公正証書から除くということになっております。
これがどうなのかということもあるんですが、私の個人的な見解としては、公正証書が要らないというケースというのは本当に限定的なのではないかなというふうに思っております。
その点について、それぞれの先生方、これは実務家として、中田先生はちょっと実務から離れている時間も長いのかもしれないんですが、お聞きをしたいと思っております。これは三名の先生にお聞きをいたします。
まず第一点、この三号で注目すべき点としては、括弧書きで「法人であるものを除く。」というふうに書いております。そうすると、いわゆる中小企業のオーナー社長さんが保証するのは公正証書は要らないけれども、中小企業のオーナーの配偶者が保証する場合には公正証書が必要になるというふうに、これは私もちょっと確認をしたんですが、そういうふうになるというふうに確認をしております。すると、実際は、個人事業主、弁護士なんかが典型ですが、個人事業主が融資を受ける場合にのみこれは適用になるんだろう。
さらに、もう一つのくくりとしては、「事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」とあります。ちょっとお聞きをしたいのは、この「事業に現に従事している」という要件について、どのように考えるかということであります。
仮に夫が自営業で働いていて奥様がお手伝いをしているというケース、逆もあると思うんですが、それを想定した場合に、お手伝いといってもいろいろなレベルがあると思うんですね。週に一、二度来て事務所の掃除をして、たまにお茶を出すだけというレベルから、機械的に毎日出ているけれども電話番と郵便物を開封するぐらい、あるいは、もう少し関与が高くなると経理とかそういうことにも携わっている、あるいは、もしかしたら実質的な経営者が奥様というケースもあるかもしれません。こうなった場合に、この「事業に現に従事している」というのはどういうような場合を指すのか。これは広くとるのか狭くとるのかということですね。
今私が言ったのは例示なんですけれども、ある程度抽象的に、この文言というのはこういうふうに解釈するべきではないですかと。そういうところ、これは恐らく、これから法律が施行されれば絶対問題になってくるところだと思いますので、この点について、参考人の方々それぞれから御見解をお聞きしたいと思っております。
中田参考人、新里参考人、岩田参考人の順で、少しこの文言の解釈についての御見解をお聞かせいただければと思っております。
この発言だけを見る →特に、私、お話を聞いていてふと思ったのは、仮に第三者保証を禁止した場合には、また別のやり方というのを、これは業者さんの方もあるいは金融機関の方も考えるんだろうと思っております。
商工ローンの問題で、いわゆる公証人に対する委任状で、執行認諾つき文言についての作成の委任状をとったというのも、一つ一つの制度はそういうのは昔からあったんですが、それをうまく組み合わせた、うまくという言い方はあれなんですが、逆を言うと、そういうスキームを開発したということで、それで大変なことになったということです。
私もふと思うのは、やはり、仮に第三者保証を禁止したのであれば、住宅の場合ローンがついているのも多いんですが、ではかわりに物上保証で、誰かの不動産、これは出してくれ、そういうような話になってくるということも、一つの考え方としてあるのかな。そうすれば、結局、仮に第三者保証をできなくても、お世話になっている方だから、私の家は住宅ローンが終わったから、そんなに担保価値はないけれども、では抵当権をつけていいですよとか、そういう新たな方策というか対応の仕方をやはり金融機関さんも考えていくということもあるんだろうと思っています。
そういう意味では、第三者保証について、公正証書で、履行意思宣明証書でしたか、そういう形をするというのは、一つのやり方として私は合理的なんだろうと思っております。
保証すること、これはいろいろな動機があると思います。お世話になったから、知人だから、あるいは金銭的にお世話になっているから、いろいろな動機があると思うんですが、私は、動機自体はそれはいいんだと思っています。大事なのは、どれくらいのリスクがあるかということをしっかり認識した上で、この人のためであればこれくらいのリスクはとってもいい、あるいは、お世話になっているけれどもそこまではちょっとと。
一番大事な問題というのは、保証人になる方がどれくらいのリスクを負うか。それは、保証契約書を見れば書いてはいるんですけれども、なかなかそれを現実的に捉えられないというところが問題なんだろうと思っております。
そういう意味で、公正証書で履行意思を確認するということ、このことは一つの調和点として一歩前進だろうと思っております。
ただ、その中で一つ議論になっているのが、改正案の四百六十五条の九第三号ということになっております。いわゆる主たる債務者の配偶者、これについて、四百六十五条の九ということになります。「主たる債務者と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」、これについては公正証書から除くということになっております。
これがどうなのかということもあるんですが、私の個人的な見解としては、公正証書が要らないというケースというのは本当に限定的なのではないかなというふうに思っております。
その点について、それぞれの先生方、これは実務家として、中田先生はちょっと実務から離れている時間も長いのかもしれないんですが、お聞きをしたいと思っております。これは三名の先生にお聞きをいたします。
まず第一点、この三号で注目すべき点としては、括弧書きで「法人であるものを除く。」というふうに書いております。そうすると、いわゆる中小企業のオーナー社長さんが保証するのは公正証書は要らないけれども、中小企業のオーナーの配偶者が保証する場合には公正証書が必要になるというふうに、これは私もちょっと確認をしたんですが、そういうふうになるというふうに確認をしております。すると、実際は、個人事業主、弁護士なんかが典型ですが、個人事業主が融資を受ける場合にのみこれは適用になるんだろう。
さらに、もう一つのくくりとしては、「事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」とあります。ちょっとお聞きをしたいのは、この「事業に現に従事している」という要件について、どのように考えるかということであります。
仮に夫が自営業で働いていて奥様がお手伝いをしているというケース、逆もあると思うんですが、それを想定した場合に、お手伝いといってもいろいろなレベルがあると思うんですね。週に一、二度来て事務所の掃除をして、たまにお茶を出すだけというレベルから、機械的に毎日出ているけれども電話番と郵便物を開封するぐらい、あるいは、もう少し関与が高くなると経理とかそういうことにも携わっている、あるいは、もしかしたら実質的な経営者が奥様というケースもあるかもしれません。こうなった場合に、この「事業に現に従事している」というのはどういうような場合を指すのか。これは広くとるのか狭くとるのかということですね。
今私が言ったのは例示なんですけれども、ある程度抽象的に、この文言というのはこういうふうに解釈するべきではないですかと。そういうところ、これは恐らく、これから法律が施行されれば絶対問題になってくるところだと思いますので、この点について、参考人の方々それぞれから御見解をお聞きしたいと思っております。
中田参考人、新里参考人、岩田参考人の順で、少しこの文言の解釈についての御見解をお聞かせいただければと思っております。
中
中田裕康#12
○中田参考人 この主債務者の配偶者については法制審議会でも議論がございました。
一つは、表現として、配偶者という言葉が非常に強く浮かび上がってきて、配偶者だから簡単に保証人にしていいというような印象を与える等、何か夫の借金は妻の借金みたいに見えて、それは変じゃないかという違和感が一見あったのかもしれません。
ただ、他方で、実態として、特に個人事業で家族経営の場合には配偶者が重要な役割を果たしていることがある、財産も、夫と妻と、あるいはその事業等がはっきり分けられていないということもある。そういった実質的に共同経営であるような場合においては、やはりこういう制度はあってもいいのではないかということで、最終的にこうなった次第であります。
ただ、表現の面で配偶者というのが目につくものですから、違和感があるということだと思いますが、これは決して思想的に夫の借金は妻の借金と言っているわけではなくて、今御指摘のように、単に配偶者であるというのではなくて、「主たる債務者が行う事業に現に従事している」という要件がかかっております。
そうしますと、この要件の解釈については、今申し上げたような趣旨、決して思想的に配偶者だから当然そうなるというのではなくて、むしろ、実質的には夫婦の共同事業であり、また、財産関係についても、一体として協力して事業をしているというような趣旨を踏まえて解釈すべきではないか。つまり、この点については、実質的には、今御指摘のように、かなり絞りがかかっているというように理解しております。
この発言だけを見る →一つは、表現として、配偶者という言葉が非常に強く浮かび上がってきて、配偶者だから簡単に保証人にしていいというような印象を与える等、何か夫の借金は妻の借金みたいに見えて、それは変じゃないかという違和感が一見あったのかもしれません。
ただ、他方で、実態として、特に個人事業で家族経営の場合には配偶者が重要な役割を果たしていることがある、財産も、夫と妻と、あるいはその事業等がはっきり分けられていないということもある。そういった実質的に共同経営であるような場合においては、やはりこういう制度はあってもいいのではないかということで、最終的にこうなった次第であります。
ただ、表現の面で配偶者というのが目につくものですから、違和感があるということだと思いますが、これは決して思想的に夫の借金は妻の借金と言っているわけではなくて、今御指摘のように、単に配偶者であるというのではなくて、「主たる債務者が行う事業に現に従事している」という要件がかかっております。
そうしますと、この要件の解釈については、今申し上げたような趣旨、決して思想的に配偶者だから当然そうなるというのではなくて、むしろ、実質的には夫婦の共同事業であり、また、財産関係についても、一体として協力して事業をしているというような趣旨を踏まえて解釈すべきではないか。つまり、この点については、実質的には、今御指摘のように、かなり絞りがかかっているというように理解しております。
新
新里宏二#13
○新里参考人 私自身も絞りをかけるべきであるというふうに思っております。
ただ、そうなってしまいますと、「主たる債務者と共同して事業を行う者」という規定があるわけですから、それで賄えるのではないのかなと。殊さら、従事するという格好で、どんな従事でもいいように読めてしまって、配偶者というのが出てくるとすれば、もう前の条項で賄い切れて、特段これを残す意味はないのではないかなというふうに理解しております。
以上でございます。
この発言だけを見る →ただ、そうなってしまいますと、「主たる債務者と共同して事業を行う者」という規定があるわけですから、それで賄えるのではないのかなと。殊さら、従事するという格好で、どんな従事でもいいように読めてしまって、配偶者というのが出てくるとすれば、もう前の条項で賄い切れて、特段これを残す意味はないのではないかなというふうに理解しております。
以上でございます。
岩
岩田修一#14
○岩田参考人 私も、これはかなり制限を設けなければいけないものだとは思っています。
もともとの議論の中で、この案が出るもっと前の段階では、実質的に経営する者という者を経営者という形にして、その人に関しては、第三者保証ということについては余り問題視しないような形にしていたところを、実質的な支配とかという概念というのはすごくアバウトなものなので、ですから、ほかの例では取締役とか理事とか、そういう文言で来ていたところで、では、実際にその限界がどこまで行くかというところで最終的に出てきたのが配偶者というところで、ただ、配偶者もただの配偶者ではさすがにまずいというところで限定がかかっているものだと考えています。
ですから、「現に従事している」というのは、やはり経営状況をある程度理解しているくらいのレベルが求められるものだということは、従前の議論からすると推測ができるところだとは思っています。ただ、この文言だけですと、どういうふうにとられるかというのはまた実務の中の進展を待たなければいけないところがあるので、そこは注意が必要だと思っています。
この発言だけを見る →もともとの議論の中で、この案が出るもっと前の段階では、実質的に経営する者という者を経営者という形にして、その人に関しては、第三者保証ということについては余り問題視しないような形にしていたところを、実質的な支配とかという概念というのはすごくアバウトなものなので、ですから、ほかの例では取締役とか理事とか、そういう文言で来ていたところで、では、実際にその限界がどこまで行くかというところで最終的に出てきたのが配偶者というところで、ただ、配偶者もただの配偶者ではさすがにまずいというところで限定がかかっているものだと考えています。
ですから、「現に従事している」というのは、やはり経営状況をある程度理解しているくらいのレベルが求められるものだということは、従前の議論からすると推測ができるところだとは思っています。ただ、この文言だけですと、どういうふうにとられるかというのはまた実務の中の進展を待たなければいけないところがあるので、そこは注意が必要だと思っています。
藤
藤原崇#15
○藤原委員 ありがとうございました。
それぞれの先生方からのお話がありましたが、おおむねこれについては、無制限の配偶者ではなく、ある程度実質的に本当に関与しているということが要件になるのではないか、まあ、最終的には最高裁が決めることですので、そういう御見解でありました。
私も、新里先生おっしゃるように、「共同して事業を行う者」と同時に並列でありますので、「共同して事業を行う者」よりは少し、この文言でやる場合には、緩いけれどもかなり高いというような形にしないと、二つ並べた意味はないんだろうというふうに思っております。
そして、次に聞きたいのは、実際に、では、そういうことというのは、保証人として配偶者にサインをいただくときに本当に判断ができるんだろうかということになるわけです。
保証のサインをするときに、では、この方は三号の後段の主たる債務者の「従事している」に当たるんだというふうに融資の場で判断するのはかなり難しいと思うんですね。会社の役員かどうかとかそういう話じゃなく個人事業主ですから、完全に融資する相手方の内部の話なので、ではどういうような証拠資料をそろえればこの要件をクリアしたと確信を持ってサインができるんだというのは、これはすごく難しい問題だと思うんですよ。
そうすると、次に出るお話は、岩田参考人にお聞きしたいんですけれども、仮に銀行とかが融資をするときに、こういう場合、配偶者からサインを、配偶者がこの三号に当たるかどうか相談がありました、ある程度事情は聞いた、だけれどもどうかとなったら、私、弁護士さんであれば、まあ、それであれば念のため公正証書で確認をした方がいいんじゃないですかと。私、普通の弁護士であればそういうアドバイスをするような気がするんですけれども、そこについての御見解はいかがですか。
この発言だけを見る →それぞれの先生方からのお話がありましたが、おおむねこれについては、無制限の配偶者ではなく、ある程度実質的に本当に関与しているということが要件になるのではないか、まあ、最終的には最高裁が決めることですので、そういう御見解でありました。
私も、新里先生おっしゃるように、「共同して事業を行う者」と同時に並列でありますので、「共同して事業を行う者」よりは少し、この文言でやる場合には、緩いけれどもかなり高いというような形にしないと、二つ並べた意味はないんだろうというふうに思っております。
そして、次に聞きたいのは、実際に、では、そういうことというのは、保証人として配偶者にサインをいただくときに本当に判断ができるんだろうかということになるわけです。
保証のサインをするときに、では、この方は三号の後段の主たる債務者の「従事している」に当たるんだというふうに融資の場で判断するのはかなり難しいと思うんですね。会社の役員かどうかとかそういう話じゃなく個人事業主ですから、完全に融資する相手方の内部の話なので、ではどういうような証拠資料をそろえればこの要件をクリアしたと確信を持ってサインができるんだというのは、これはすごく難しい問題だと思うんですよ。
そうすると、次に出るお話は、岩田参考人にお聞きしたいんですけれども、仮に銀行とかが融資をするときに、こういう場合、配偶者からサインを、配偶者がこの三号に当たるかどうか相談がありました、ある程度事情は聞いた、だけれどもどうかとなったら、私、弁護士さんであれば、まあ、それであれば念のため公正証書で確認をした方がいいんじゃないですかと。私、普通の弁護士であればそういうアドバイスをするような気がするんですけれども、そこについての御見解はいかがですか。
岩
岩田修一#16
○岩田参考人 まさしくそれは一つの意見だと思っています。
やはり、公正証書で保証人になるということ、保証の意思を確認した上で保証契約するということがある意味原則的な規定になるとすると、それはやはり重視をしなければいけない。そうすると、公正証書は要らないという場合については、ある程度慎重にならなければいけない。立証責任がどうなるかということはまたこれから発展する話だと思いますが、銀行の方が立証しなければいけないという義務が出てくるとなると、慎重を期すためにはやはり、公正証書で公証人の目を通してということが必要になるのではないかとは思っております。
この発言だけを見る →やはり、公正証書で保証人になるということ、保証の意思を確認した上で保証契約するということがある意味原則的な規定になるとすると、それはやはり重視をしなければいけない。そうすると、公正証書は要らないという場合については、ある程度慎重にならなければいけない。立証責任がどうなるかということはまたこれから発展する話だと思いますが、銀行の方が立証しなければいけないという義務が出てくるとなると、慎重を期すためにはやはり、公正証書で公証人の目を通してということが必要になるのではないかとは思っております。
藤
藤原崇#17
○藤原委員 ありがとうございます。
実務家としてお聞きをさせていただきました。なかなか、現場でこの三号を一気に使っていこうというのは結構勇気が要ると思うんですね。
例えば、弁護士さん、あるいは融資の担当者の方で、いや、これは三号に当たりますと言っても、五年後、十年後、相手方がどう言ってくるかもわからないとなると、なかなか勇気が要る、それであればしっかりとっていこうという方向に行くと思うんですね。
これは、どちらに転ぶ話とは別で、事実としてそういうことがあるということは押さえた上で議論をこれから進めていく必要があると思っております。
では、この三号はどういう場合に使えるか、それを審議の中で明らかにしていくことも必要かもしれませんし、あるいはそれ以外のやり方もあるかもしれないけれども、まずはこの条文を出発点にして、実際にこれが実務に出たらどういう使われ方をするのか、そこをやはり頭に入れなければいけないんじゃないかなと。
私、条文を見たとき、意外とこれは使われる場合が少ないんじゃないかと思って、かなり限定されている条文かなと思ったので、お聞きをしました。
それから最後に、一点、全く違うお話なんですが、中田先生にお聞きをしたいと思っております。
新里先生から、執行認諾文言つきの公正証書のお話がありました。大きな問題だったと思っております。しかし、これは別に、私、企業の回し者というわけではないんですが、そもそも債権回収とかのときに裁判をしなくてもいいように、これは公正証書としてあるわけなんですよね。そうすると、あるべき認諾文言つきの趣旨というか、これはどうあるべきかということ、これは研究者としてお聞きをしたい。
こういうものはもしかしたら全廃した方がいいという御見解があるのかもしれませんが、これは素直に、ちょっと、あるべき今後の課題として、研究者の立場で、執行認諾文言つき証書についてはどうあるべきか、商工ローン等の問題を踏まえて、もし御見解があればということで、いただければと思います。
この発言だけを見る →実務家としてお聞きをさせていただきました。なかなか、現場でこの三号を一気に使っていこうというのは結構勇気が要ると思うんですね。
例えば、弁護士さん、あるいは融資の担当者の方で、いや、これは三号に当たりますと言っても、五年後、十年後、相手方がどう言ってくるかもわからないとなると、なかなか勇気が要る、それであればしっかりとっていこうという方向に行くと思うんですね。
これは、どちらに転ぶ話とは別で、事実としてそういうことがあるということは押さえた上で議論をこれから進めていく必要があると思っております。
では、この三号はどういう場合に使えるか、それを審議の中で明らかにしていくことも必要かもしれませんし、あるいはそれ以外のやり方もあるかもしれないけれども、まずはこの条文を出発点にして、実際にこれが実務に出たらどういう使われ方をするのか、そこをやはり頭に入れなければいけないんじゃないかなと。
私、条文を見たとき、意外とこれは使われる場合が少ないんじゃないかと思って、かなり限定されている条文かなと思ったので、お聞きをしました。
それから最後に、一点、全く違うお話なんですが、中田先生にお聞きをしたいと思っております。
新里先生から、執行認諾文言つきの公正証書のお話がありました。大きな問題だったと思っております。しかし、これは別に、私、企業の回し者というわけではないんですが、そもそも債権回収とかのときに裁判をしなくてもいいように、これは公正証書としてあるわけなんですよね。そうすると、あるべき認諾文言つきの趣旨というか、これはどうあるべきかということ、これは研究者としてお聞きをしたい。
こういうものはもしかしたら全廃した方がいいという御見解があるのかもしれませんが、これは素直に、ちょっと、あるべき今後の課題として、研究者の立場で、執行認諾文言つき証書についてはどうあるべきか、商工ローン等の問題を踏まえて、もし御見解があればということで、いただければと思います。
中
中田裕康#18
○中田参考人 強制執行認諾文言という制度自体はそれなりの利用がされ得るものであって、制度自体がいけないというものではないと思います。むしろその使われ方が懸念されるわけでございまして、とりわけ、先ほど新里先生からのお話もありましたように、保証人になる意思の確認の際に、ついでにといいますか、強制執行認諾文言までとられてしまうということの懸念というのをお示しになられました。
ただ、公証人のなすべきことを考えますと、公証人は、保証契約をすることの意味をきちんと説明して、その意思を確認する、これは当然でございますけれども、強制執行認諾文言はそれとは別の話であって、それもやはりきちんと分けて説明をし、強制執行認諾文言というのは決して保証契約の要件ではなくて別の問題なんだけれども、しかし、裁判がなくても強制執行される可能性があるんですよということをきちんと説明した上で、さらにその真意を確認する、二つの真意をそれぞれ確認するという作業が必要であろうと思います。そうすることによって、この懸念は相当程度緩和されるのではないかと考えております。
この発言だけを見る →ただ、公証人のなすべきことを考えますと、公証人は、保証契約をすることの意味をきちんと説明して、その意思を確認する、これは当然でございますけれども、強制執行認諾文言はそれとは別の話であって、それもやはりきちんと分けて説明をし、強制執行認諾文言というのは決して保証契約の要件ではなくて別の問題なんだけれども、しかし、裁判がなくても強制執行される可能性があるんですよということをきちんと説明した上で、さらにその真意を確認する、二つの真意をそれぞれ確認するという作業が必要であろうと思います。そうすることによって、この懸念は相当程度緩和されるのではないかと考えております。
藤
鈴
吉
吉田宣弘#21
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
本日は、中田先生、新里先生、岩田先生、本委員会にお越しいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、非常に、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
私も、この民法改正について、これまで審議に臨ませていただきましたけれども、今回の改正は、民法制定から百二十年というふうな長い期間を経ての改正ということでありまして、この間、さまざまな事件が裁判になって判例となって、また、先輩方がたくさん積み重ねてこられた経験を踏まえた実務、こういうものが集積をされて、これが一つ、民法の明文化、国民にわかりやすい民法という形で、今回改正が行われ、提起をされるということかと承知をしておりますけれども、私自身は、ちょっとこの百二十年という期間はいささか長いのではないかというふうな印象を持っております。先ほど中田先生から諸外国の例も少しありましたが、ドイツでは意外と頻繁に改正があっているというふうな印象を私は持ちました。
そこで、中田先生にお聞きしたいんですけれども、外国の例で、もし御存じであればということですけれども、例えばフランスもありますし、ドイツもありますし、また英米法になるとちょっと変わってくるのかもしれませんけれども、この民事法、特に民法は大体どのくらいの期間で改正をしているものなのか、もしお教えいただければ、教えを請いたいというふうに思っております。
この発言だけを見る →本日は、中田先生、新里先生、岩田先生、本委員会にお越しいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、非常に、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
私も、この民法改正について、これまで審議に臨ませていただきましたけれども、今回の改正は、民法制定から百二十年というふうな長い期間を経ての改正ということでありまして、この間、さまざまな事件が裁判になって判例となって、また、先輩方がたくさん積み重ねてこられた経験を踏まえた実務、こういうものが集積をされて、これが一つ、民法の明文化、国民にわかりやすい民法という形で、今回改正が行われ、提起をされるということかと承知をしておりますけれども、私自身は、ちょっとこの百二十年という期間はいささか長いのではないかというふうな印象を持っております。先ほど中田先生から諸外国の例も少しありましたが、ドイツでは意外と頻繁に改正があっているというふうな印象を私は持ちました。
そこで、中田先生にお聞きしたいんですけれども、外国の例で、もし御存じであればということですけれども、例えばフランスもありますし、ドイツもありますし、また英米法になるとちょっと変わってくるのかもしれませんけれども、この民事法、特に民法は大体どのくらいの期間で改正をしているものなのか、もしお教えいただければ、教えを請いたいというふうに思っております。
中
中田裕康#22
○中田参考人 ありがとうございました。
小さな改正というのは、外国でも日本でもそれなりにあると思います。
ただ、大きな改正ということになりますと、ドイツは、民法ができたのが一八九六年でございますけれども、その後、債権法の改正が二〇〇一年になされまして、二〇〇二年から施行されております。
フランスは、一八〇四年に民法ができたのですけれども、債権法の部分について言えば、二〇〇四年まで改正がなくて、それ以前に家族法については大改正があったんですけれども、二〇〇四年に、民法典ができて二百周年ということで、当時のシラク大統領が、債権法や契約法の大改正をする必要があるだろう、現代化する必要があるだろうということで、そこから幾つかの草案が出された結果、最終的に、ことし、二〇一六年の二月に改正が成り、十月一日から施行されております。
ですから、大改正ということでいうと、結構、やはりそれぞれの国、なかなか動かしがたいところがありますのでかなり間があくんですが、ただ、今、フランスとドイツの例を挙げましたけれども、それだけではなくて、オランダや、そのほかラテンアメリカの国、あるいは南アメリカの例えばアルゼンチンなどでも改正があったりいたします。ちょうど二十世紀終わりくらいから、そういった世界的な潮流があるという状況でございます。
この発言だけを見る →小さな改正というのは、外国でも日本でもそれなりにあると思います。
ただ、大きな改正ということになりますと、ドイツは、民法ができたのが一八九六年でございますけれども、その後、債権法の改正が二〇〇一年になされまして、二〇〇二年から施行されております。
フランスは、一八〇四年に民法ができたのですけれども、債権法の部分について言えば、二〇〇四年まで改正がなくて、それ以前に家族法については大改正があったんですけれども、二〇〇四年に、民法典ができて二百周年ということで、当時のシラク大統領が、債権法や契約法の大改正をする必要があるだろう、現代化する必要があるだろうということで、そこから幾つかの草案が出された結果、最終的に、ことし、二〇一六年の二月に改正が成り、十月一日から施行されております。
ですから、大改正ということでいうと、結構、やはりそれぞれの国、なかなか動かしがたいところがありますのでかなり間があくんですが、ただ、今、フランスとドイツの例を挙げましたけれども、それだけではなくて、オランダや、そのほかラテンアメリカの国、あるいは南アメリカの例えばアルゼンチンなどでも改正があったりいたします。ちょうど二十世紀終わりくらいから、そういった世界的な潮流があるという状況でございます。
吉
吉田宣弘#23
○吉田(宣)委員 ありがとうございました。
済みません、少し中田先生のお話を聞き違えていたようでございまして、意外と、ほかの大陸法系のフランス、ドイツも、割と長い期間かかって集積されたものが、大改正という形で今世紀になって改正をされたということのようでございますし、やはり、グローバル化されて高度通信情報の社会になったのでしょうか、各国もそういったことで、今世紀になって改正をされているというふうなことをお教えいただきました。
では、少しずつ各論に入っていきたいと思います。
先ほど藤原先生からもお話がありましたけれども、執行認諾文言つきの公正証書と言われるものが本委員会でもこれまで議論をされてまいりました。この公正証書、紙一枚と言うとちょっと申しわけないですけれども、この文言がついた公正証書があればそのまま強制執行をかけられるという意味では、確定判決と全く同じ効力、強力な効力を有する公正証書であるというふうな理解を私はしております。
私は、確定判決と同じぐらいの効力というものを、公正証書に認諾する文言が入っているだけという理由で強制執行ができるということについて、いささかちょっと違和感を持っているところでございます。
済みません、また続けざまに中田先生にお聞きをしたいのですけれども、この執行認諾文言つきの公正証書の制度がそもそもある理由というものはどういうことなのか、なぜ確定判決と同じ効力を、いわゆる、繰り返して申しわけないんですけれども、表現は悪いですが、紙一枚のことはないでしょうけれども、紙一枚に付与をしているのか。その理由、制度趣旨等について教えていただければと思います。
この発言だけを見る →済みません、少し中田先生のお話を聞き違えていたようでございまして、意外と、ほかの大陸法系のフランス、ドイツも、割と長い期間かかって集積されたものが、大改正という形で今世紀になって改正をされたということのようでございますし、やはり、グローバル化されて高度通信情報の社会になったのでしょうか、各国もそういったことで、今世紀になって改正をされているというふうなことをお教えいただきました。
では、少しずつ各論に入っていきたいと思います。
先ほど藤原先生からもお話がありましたけれども、執行認諾文言つきの公正証書と言われるものが本委員会でもこれまで議論をされてまいりました。この公正証書、紙一枚と言うとちょっと申しわけないですけれども、この文言がついた公正証書があればそのまま強制執行をかけられるという意味では、確定判決と全く同じ効力、強力な効力を有する公正証書であるというふうな理解を私はしております。
私は、確定判決と同じぐらいの効力というものを、公正証書に認諾する文言が入っているだけという理由で強制執行ができるということについて、いささかちょっと違和感を持っているところでございます。
済みません、また続けざまに中田先生にお聞きをしたいのですけれども、この執行認諾文言つきの公正証書の制度がそもそもある理由というものはどういうことなのか、なぜ確定判決と同じ効力を、いわゆる、繰り返して申しわけないんですけれども、表現は悪いですが、紙一枚のことはないでしょうけれども、紙一枚に付与をしているのか。その理由、制度趣旨等について教えていただければと思います。
中
中田裕康#24
○中田参考人 私は民事執行法の専門家ではありませんので、正確なことを申し上げられるかどうかわかりませんですけれども、当事者の間で紛争があって、その紛争を解決するというときに、幾つかのやり方があると思います。裁判所に行って簡単な形での和解にするという方法もあると思います。それはそれで強制執行ができるという状態になります。そうではなくて、金銭債権に限ってですけれども、裁判所に行かなくても、そこに行ったのと同じような形での証書を作成するということで、同じ効果をもたらすことができるというような例えばニーズがあると思います。
その際に、確かに、おっしゃるとおり紙切れ一枚かもしれませんですが、公証人が関与するわけでございまして、公証人というのは、御承知のとおり、日本においては、裁判官や検察官を長年経験されたベテランの方々がなさる。そうすると、裁判所でやるような意味での公正さも、それに準ずるような公正さも担保されるのではないかということで、社会の需要にも鑑みてこういう制度を設けられているのではないかと思いますけれども、さっき申しましたとおり、専門家ではありませんので、ごく概略的なことでお許しください。
この発言だけを見る →その際に、確かに、おっしゃるとおり紙切れ一枚かもしれませんですが、公証人が関与するわけでございまして、公証人というのは、御承知のとおり、日本においては、裁判官や検察官を長年経験されたベテランの方々がなさる。そうすると、裁判所でやるような意味での公正さも、それに準ずるような公正さも担保されるのではないかということで、社会の需要にも鑑みてこういう制度を設けられているのではないかと思いますけれども、さっき申しましたとおり、専門家ではありませんので、ごく概略的なことでお許しください。
吉
吉田宣弘#25
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
私も、ニーズというものについてはあるのかなというふうに思っております。
例えば養育費の件を取り決めるときに、これは裁判をしてというふうなこともあるのかもしれませんけれども、そうでなく、やはり、継続した生活というものを前提にすれば、早くしてしまうという意味では大切なことだろうとも思いますし、もし別れた御主人が養育費を払ってくれないというようなときには、やはり公正証書できちっと執行をかけていくということは私も大切なことだと思いますが、一方で、この大改正の中で問題になっているいわゆる保証について、この執行認諾文言つきの公正証書の運用というものについては私はやはり少し心配をしております。
今般の改正で、公正証書を作成するに当たって、保証意思というものを公証人が、先ほど中田先生がおっしゃったように、元裁判官であったり検察官の方であったり、しっかりとした法律の素養を持たれた方がちゃんとお聞きをするということなのかもしれませんけれども、強制執行をそのままできる公正証書に直接結びつくというふうなことは私は心配もしておりますし、そうでない公正証書ももちろんあるわけです、執行の認諾文言がついていない公正証書もあるわけであって、それについては、私は今般の改正というのは非常に有意義であろうと思うんですけれども、この認諾文言つきの公正証書にダイレクトに行くには少し心配をしております。
したがって、この二つの公正証書というのは運用においては差別化されなきゃいけないのではないか、この認諾文言つきの公正証書の作成に当たっては手続等々を厳格にしなければいけないのではないかというふうな思いを私は持っております。
先ほど新里先生から、その点、いわゆる教示義務、ドイツのあり方、そういったものの御説明がありました。これもやはり、日本の中に公証人法の改正という形で取り入れてくることは私は大切なことだろうと思います。今後しっかりその点も深めていかなければならないと思いますが、現状まだそういうふうなところまで至っていないという意味において、今度は新里先生と岩田先生とお二人にお聞きしたいんです。
保証契約において執行認諾文言つきの公正証書として作成をする場合には、より一層厳格な運用というものが求められなければいけないと私は思っておりますけれども、この点、もし、いや、そんなことはないんだとおっしゃるのであれば、それはそれでおっしゃっていただければいいと思います、もしそうだというふうにお思いであるのであれば、具体的な実務運用の中でどういうふうな方法があるのか、そういったことについて、まず新里先生からお教えください。
この発言だけを見る →私も、ニーズというものについてはあるのかなというふうに思っております。
例えば養育費の件を取り決めるときに、これは裁判をしてというふうなこともあるのかもしれませんけれども、そうでなく、やはり、継続した生活というものを前提にすれば、早くしてしまうという意味では大切なことだろうとも思いますし、もし別れた御主人が養育費を払ってくれないというようなときには、やはり公正証書できちっと執行をかけていくということは私も大切なことだと思いますが、一方で、この大改正の中で問題になっているいわゆる保証について、この執行認諾文言つきの公正証書の運用というものについては私はやはり少し心配をしております。
今般の改正で、公正証書を作成するに当たって、保証意思というものを公証人が、先ほど中田先生がおっしゃったように、元裁判官であったり検察官の方であったり、しっかりとした法律の素養を持たれた方がちゃんとお聞きをするということなのかもしれませんけれども、強制執行をそのままできる公正証書に直接結びつくというふうなことは私は心配もしておりますし、そうでない公正証書ももちろんあるわけです、執行の認諾文言がついていない公正証書もあるわけであって、それについては、私は今般の改正というのは非常に有意義であろうと思うんですけれども、この認諾文言つきの公正証書にダイレクトに行くには少し心配をしております。
したがって、この二つの公正証書というのは運用においては差別化されなきゃいけないのではないか、この認諾文言つきの公正証書の作成に当たっては手続等々を厳格にしなければいけないのではないかというふうな思いを私は持っております。
先ほど新里先生から、その点、いわゆる教示義務、ドイツのあり方、そういったものの御説明がありました。これもやはり、日本の中に公証人法の改正という形で取り入れてくることは私は大切なことだろうと思います。今後しっかりその点も深めていかなければならないと思いますが、現状まだそういうふうなところまで至っていないという意味において、今度は新里先生と岩田先生とお二人にお聞きしたいんです。
保証契約において執行認諾文言つきの公正証書として作成をする場合には、より一層厳格な運用というものが求められなければいけないと私は思っておりますけれども、この点、もし、いや、そんなことはないんだとおっしゃるのであれば、それはそれでおっしゃっていただければいいと思います、もしそうだというふうにお思いであるのであれば、具体的な実務運用の中でどういうふうな方法があるのか、そういったことについて、まず新里先生からお教えください。
新
新里宏二#26
○新里参考人 新里でございます。
先ほど中田先生が、いわゆる保証意思の確認と違う公正証書、執行認諾のをつくるんだということをきちっと説明すれば誤解が解けるという話もありました。
ただ、先ほど言った教示義務ということを、例えば日本でいうと説明義務だったり介助義務とかと言うかもしれませんけれども、そこの規定が公証人法にもないのですね。今回、きちっと説明する義務的なものがこの民法の中にも出ております。ただ、口授を受けて確認をして署名をするというだけになっていて、そこに機械的な作業しかないという格好になっていて、当事者、保証人の誤解を解くようなことの仕組みづくりがないのですね。ですから、この民法の改正のどこにもありませんし、公証人法の中にもない、そこをどうつくっていくかというのが一つではないのかな。
そこを議論しておかないと、もともと裁判官や検察官がやっていたことだから大丈夫だよということではなくて、やはり仕組みとして、公証人制度として当事者の誤解を防ぐような仕組みがあるのかどうかということを議論して、ではそれを使いますかということにならざるを得ないのではないか。
それで、先ほど来言ったように、どうも、やはり形式的審査権しかないんだということを公証人さんがよく言われる、私たちにいろいろなことを言われたって困るよねということを前提にして制度を考えてはいけないのではないかな。そこをきちっと変えていく作業をしながら、もしこういう運用でやるとすれば、そうなるのではないかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →先ほど中田先生が、いわゆる保証意思の確認と違う公正証書、執行認諾のをつくるんだということをきちっと説明すれば誤解が解けるという話もありました。
ただ、先ほど言った教示義務ということを、例えば日本でいうと説明義務だったり介助義務とかと言うかもしれませんけれども、そこの規定が公証人法にもないのですね。今回、きちっと説明する義務的なものがこの民法の中にも出ております。ただ、口授を受けて確認をして署名をするというだけになっていて、そこに機械的な作業しかないという格好になっていて、当事者、保証人の誤解を解くようなことの仕組みづくりがないのですね。ですから、この民法の改正のどこにもありませんし、公証人法の中にもない、そこをどうつくっていくかというのが一つではないのかな。
そこを議論しておかないと、もともと裁判官や検察官がやっていたことだから大丈夫だよということではなくて、やはり仕組みとして、公証人制度として当事者の誤解を防ぐような仕組みがあるのかどうかということを議論して、ではそれを使いますかということにならざるを得ないのではないか。
それで、先ほど来言ったように、どうも、やはり形式的審査権しかないんだということを公証人さんがよく言われる、私たちにいろいろなことを言われたって困るよねということを前提にして制度を考えてはいけないのではないかな。そこをきちっと変えていく作業をしながら、もしこういう運用でやるとすれば、そうなるのではないかなというふうに思っております。
岩
岩田修一#27
○岩田参考人 御質問ありがとうございます。
その問題意識というのは、先ほど私もお話しさせていただいたことにつながるんですが、やはり公正証書、執行認諾文言つきというところで悪用されてきたということがどうしてもあります。ですから、公正証書がもちろん万能ではないということがありますので、公正証書に認諾文言を入れること、そういう制度自体を保証の場合なくすというところまでいくとなるとなかなか難しいかもしれませんが、運用の面で改善する余地はいろいろあると思います。
公証人もやはりどうしてもばらつきが出てくる可能性もありますので、公証人の中で、保証人になろうとする人に対してどのようなことを確認するかということをちゃんと類型化するとか、あとは、それをどういうふうに説明するか、説明義務というのか、名称はいろいろあるでしょうけれども、説明するときの技術の問題とかもあると思いますので、これは本当に、明文にするものではないかもしれませんが、十分検討していただいて、どういう具体的によい制度になるかというところはぜひ検討していただきたいと思います。
この発言だけを見る →その問題意識というのは、先ほど私もお話しさせていただいたことにつながるんですが、やはり公正証書、執行認諾文言つきというところで悪用されてきたということがどうしてもあります。ですから、公正証書がもちろん万能ではないということがありますので、公正証書に認諾文言を入れること、そういう制度自体を保証の場合なくすというところまでいくとなるとなかなか難しいかもしれませんが、運用の面で改善する余地はいろいろあると思います。
公証人もやはりどうしてもばらつきが出てくる可能性もありますので、公証人の中で、保証人になろうとする人に対してどのようなことを確認するかということをちゃんと類型化するとか、あとは、それをどういうふうに説明するか、説明義務というのか、名称はいろいろあるでしょうけれども、説明するときの技術の問題とかもあると思いますので、これは本当に、明文にするものではないかもしれませんが、十分検討していただいて、どういう具体的によい制度になるかというところはぜひ検討していただきたいと思います。
吉
吉田宣弘#28
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
我々も当然勉強をしていかなければいけませんし、今後の検討だろうと思います。
私なんかは、執行認諾文言つきの公正証書の場合には必ず、例えば依頼者が弁護士さんにきちっと介在をしていただいているような、保証人となる方の保護がしっかり担保されているようなことも一案なのかなと思うんですけれども、とはいえ、それを制度化するとまた法改正というふうなことにもなりますので、そういった意味では、私も勉強を深めていかなければいけないというふうに思います。
次に、もう最後のお話になると思いますけれども、やはり保証人の保護を完全に貫徹するためには、第三者保証というものを全面的に禁止するというふうなことが一番早かろうということは私もそのとおりだと思うし、そういった観点からの委員会審議もこれまで行われてまいりました。しかし、今般の改正ではそのようになっていない。それにはさまざまな要因があって、その一つに、やはり中小企業の皆様の強い要望があるというふうなことだと理解をしております。
では、そもそも、中小企業の皆様がなぜ保証人を立てないとお金を融資していただけないような仕組みになっているのか。その点、金融庁がここにいればちょっとお聞きをしたいところなんですけれども、きょうは参考人ということでございますので、岩田先生と新里先生に、将来、第三者保証を全面禁止するというふうなことになって、クリアしなければいけない中小企業の皆様の側の事情というふうなものについて何か見聞がございましたら、新里先生、岩田先生の順番でそれぞれお教えいただければと思います。
この発言だけを見る →我々も当然勉強をしていかなければいけませんし、今後の検討だろうと思います。
私なんかは、執行認諾文言つきの公正証書の場合には必ず、例えば依頼者が弁護士さんにきちっと介在をしていただいているような、保証人となる方の保護がしっかり担保されているようなことも一案なのかなと思うんですけれども、とはいえ、それを制度化するとまた法改正というふうなことにもなりますので、そういった意味では、私も勉強を深めていかなければいけないというふうに思います。
次に、もう最後のお話になると思いますけれども、やはり保証人の保護を完全に貫徹するためには、第三者保証というものを全面的に禁止するというふうなことが一番早かろうということは私もそのとおりだと思うし、そういった観点からの委員会審議もこれまで行われてまいりました。しかし、今般の改正ではそのようになっていない。それにはさまざまな要因があって、その一つに、やはり中小企業の皆様の強い要望があるというふうなことだと理解をしております。
では、そもそも、中小企業の皆様がなぜ保証人を立てないとお金を融資していただけないような仕組みになっているのか。その点、金融庁がここにいればちょっとお聞きをしたいところなんですけれども、きょうは参考人ということでございますので、岩田先生と新里先生に、将来、第三者保証を全面禁止するというふうなことになって、クリアしなければいけない中小企業の皆様の側の事情というふうなものについて何か見聞がございましたら、新里先生、岩田先生の順番でそれぞれお教えいただければと思います。
新
新里宏二#29
○新里参考人 やはり、どんどん金融実務が変わってきて、金融庁が主体的に第三者保証人をとらない金融実務というのをどんどん進めてきて、本当に少なくなっているのではないでしょうか。
それから、以前は保証協会が、保証協会というのはまさしく中小企業が借りるときに保証人がいないときのための制度なのに、その保証協会が保証をとっていたということを平成十八年からやめているわけですね。
ですから、ほとんど第三者保証というのは少なくなってきているのではないのかなという中で、では今、だからこそ民法の中でも言えるのではないかというところを私どもは思っているところでございます。それぐらい金融実務というのが変わってきた。
それは、金融庁が主体的に進めてきていただいたという中でそういう実務が進んでいるのではないか。それはきっと、政府としても、保証人になって、それが再チャレンジを妨害するんだという認識が非常にあるということを踏まえて進んできたんだろうなというふうに思っています。
ただ、今もし阻害要因があるとすれば、やはりそういう中小事業者が借りられないという思いは抱いていらっしゃる。それをどういう補完をするかというと、例えば、何らかの保険制度なり共済制度的なことを一部中小企業団体の方でもつくることを検討されているというのも聞いたことがありますし、違う補完作用を考えるということ、みんなで負担し合うというような仕組みでないと、個人の、その人が負担をするんじゃないような仕組みを考えないといけないのかなというふうには思っております。
以上でございます。
この発言だけを見る →それから、以前は保証協会が、保証協会というのはまさしく中小企業が借りるときに保証人がいないときのための制度なのに、その保証協会が保証をとっていたということを平成十八年からやめているわけですね。
ですから、ほとんど第三者保証というのは少なくなってきているのではないのかなという中で、では今、だからこそ民法の中でも言えるのではないかというところを私どもは思っているところでございます。それぐらい金融実務というのが変わってきた。
それは、金融庁が主体的に進めてきていただいたという中でそういう実務が進んでいるのではないか。それはきっと、政府としても、保証人になって、それが再チャレンジを妨害するんだという認識が非常にあるということを踏まえて進んできたんだろうなというふうに思っています。
ただ、今もし阻害要因があるとすれば、やはりそういう中小事業者が借りられないという思いは抱いていらっしゃる。それをどういう補完をするかというと、例えば、何らかの保険制度なり共済制度的なことを一部中小企業団体の方でもつくることを検討されているというのも聞いたことがありますし、違う補完作用を考えるということ、みんなで負担し合うというような仕組みでないと、個人の、その人が負担をするんじゃないような仕組みを考えないといけないのかなというふうには思っております。
以上でございます。