法務委員会

2016-12-09 衆議院 全330発言

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会議録情報#0
平成二十八年十二月九日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 鈴木 淳司君
   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君
   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君
      赤澤 亮正君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    小倉 將信君
      奥野 信亮君    門  博文君
      菅家 一郎君    木村 弥生君
      城内  実君    鈴木 貴子君
      田中 英之君    田畑  毅君
      谷川 とむ君    辻  清人君
      野中  厚君    藤原  崇君
      古田 圭一君    宮川 典子君
      宮路 拓馬君    山田 賢司君
      吉野 正芳君    若狭  勝君
      枝野 幸男君    階   猛君
      山尾志桜里君    大口 善徳君
      吉田 宣弘君    島津 幸広君
      畑野 君枝君    藤野 保史君
      木下 智彦君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         金田 勝年君
   法務副大臣        盛山 正仁君
   法務大臣政務官      井野 俊郎君
   防衛大臣政務官      小林 鷹之君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小川 秀樹君
   政府参考人
   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君
   法務委員会専門員     矢部 明宏君
    —————————————
委員の異動
十二月九日
 辞任         補欠選任
  安藤  裕君     小倉 將信君
  鈴木 貴子君     谷川 とむ君
  辻  清人君     田畑  毅君
  藤野 保史君     島津 幸広君
同日
 辞任         補欠選任
  小倉 將信君     田中 英之君
  田畑  毅君     辻  清人君
  谷川 とむ君     鈴木 貴子君
  島津 幸広君     藤野 保史君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 英之君     木村 弥生君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 弥生君     安藤  裕君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 民法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六三号)
 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六四号)
     ————◇—————
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鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官西田直樹君、法務省大臣官房司法法制部長小山太士君、法務省民事局長小川秀樹君及び防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#3
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。
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山尾志桜里#4
○山尾委員 おはようございます。民進党の山尾志桜里です。
 きょうも、保証の話そして約款の話と、論点を一つずつ整理していきたいというふうに思うのですけれども、その前に、ちょうど皆様のお手元に、きのうの朝日新聞ですけれども、これを見ていただきたいんです。私は、きのうこの記事を見て、改正案の中の債権の準占有者に対する弁済、こういう論点を、自分自身、やはり改めて皆さんにちょっと提示をしておきたいなというふうに思いまして、冒頭にこの議論をさせていただきたいというふうに思います。
 本当に、振り込め詐欺とかオレオレ詐欺とか、まさに時代の変化に沿って出てきた新しい類型の犯罪なわけですけれども、このきのうの記事、これはなかなか驚くべき事件でありまして、五月十五日のたった三時間弱のうちに東京、愛知、大阪、福岡など十七都府県で偽造カードによって計十八億六千万円が不正に払い戻された。一万八千回以上、この三時間のうちに、それはかなり多数の出し子を使って、この記事によると、複数の暴力団が横につながって一気にこういう犯罪が行われた、こういうことであります。
 こういった事件において、外形的な債権者、真の債権者ではない外形的な見かけの債権者に対する弁済の有効無効をいかに考えるかということを、やはり改めてこの法務委員会で問題にしたいというふうに思うんです。
 現行法四百七十八条では、債権の準占有者、見かけの債権者ですね、に対する弁済は、弁済者が善意無過失の場合に有効、こういう条文になっています。
 今回の改正案を見てみると、債権の準占有者という表現がわかりにくいので、ここの部分はわかりやすくしてあるんですね、「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」と。今回の法の趣旨、できるだけわかりやすい表現に改めるということで、これは一つの考え方で、いいと思うんです。
 ただ、中身、要件なんですね。本来は、見かけの債権者ですから、その弁済は無効というのが原則ですけれども、しかし、例外的にそれを有効とする場合、どういう場合にそれが例外的に認められるのか。現行の善意無過失要件、弁済をしてしまった側、ありていに言えば銀行、金融機関が善意、それを知らずに、そして知らないことに過失がなかったとき、善意無過失要件、このときは例外的に弁済が有効なんだ、これは今回の法改正でそのまま維持されております。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、法制審中間試案では、この要件も変えましょう、こういう議論が随分活発に行われていたはずです。具体的には、善意無過失という銀行側の主観面だけではなくて、そう信じたことについて正当な理由があるかどうか、あるいは、やはり例外的に金融機関を保護することについて正当な理由があるかどうか、こういうふうに、考慮事項をもうちょっと深く総合的に検討できるようにするべきではないか、正当な理由、こういう要件にしてはどうだろう、こういう議論があったはずです。
 つまり、ともすれば、真の債権者、預金者よりも、銀行側が、金融機関側が保護され過ぎている傾向があるのではないか、こういう問題意識から、保護される要件についても、善意無過失から正当な理由というふうに、深く検討できるような改正が提示されていたはずです。
 ただ、今回の改正案を見ると、結局、善意無過失要件に戻ってしまっていますよね。なぜそういうふうになってしまったんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
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小川秀樹#5
○小川政府参考人 お答えいたします。
 御指摘ありましたように、債権者以外の者に対する弁済が有効となる場合を定める第四百七十八条につきましては、弁済者の善意無過失の要件にかえて、正当な理由を要件とすることが検討されておりました。
 これは、判例の中に、現金自動入出機、いわゆるATMによる預金の払い戻しに関する事案について、機械払いシステムの設置管理についての金融機関の注意義務違反の有無といいました、弁済者の主観面と直接関係しない事情をも考慮して第四百七十八条を適用したものがある、平成十五年の判例でございますが、こういったものがあることを踏まえたものでございました。
 しかし、採用しなかった理由として挙げられますのが、まず一点目には、過失の有無を判断する際には弁済者の主観面と直接関係がない事情をも考慮すること、これは判例にも示されておりますように可能でありまして、現に判例も、現在の要件のもとで先ほどのような考慮をしております。
 また、四百七十八条の適用場面は、もちろん現金自動入出機による場合だけではなくさまざまな場面が考えられますところ、パブリックコメントの手続におきましては、要件が変わることで従来の判断の枠組みが変わることへの懸念を表明する意見も少なくありませんでした。
 そこで、弁済者の善意無過失の要件にかえて正当な理由を要件とすることとはしないこととしたものでございます。
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山尾志桜里#6
○山尾委員 今言っていただいた判例、平成十五年四月八日の最高裁判例だというふうに思います。無権限者が他人の預金通帳を利用してATMから預金の払い戻しを受けたケースにおいて、最高裁は、今局長がおっしゃったとおり、この払い戻しちゃった銀行が無過失であるというためには、「機械払システムの設置管理の全体について、可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くしていたことを要する」、より具体的には、「通帳機械払の方法により払戻しが受けられる旨を預金規定等に規定して預金者に明示することを要する」、こういう判例が出たわけです。
 つまり、弁済したときの銀行側の主観面だけではなくて、間違った相手に支払ってしまうことのないように事前のシステム設置管理自体の過失の有無をも総合的に考慮すべきだ、こういう判例の御紹介でありました。
 それで、今、にもかかわらず、なぜ今回改正にならなかったのかということについて、現に判例も、あるいは実務も、主観面以外も考慮して運用されているからいいのだという趣旨の御発言だったと思うんですけれども、今回の改正の趣旨というのは、条文からでは読み取れない判例実務を可能な場合にはわかりやすく条文化しよう、こういう趣旨であることからすると、もう判例実務で実際はそういうふうにやっているからいいのだということではなくて、もしそれがある程度正当な運用だという評価をされているのであれば、それこそまさに条文の中に取り入れていこう、これが今回の法の趣旨ではないんでしょうか。
 だとすると、まさに判例実務がそういうふうに今もう動いているということは、では、条文の中にそれを組み入れていく側のむしろ理由になるのではないでしょうか。
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小川秀樹#7
○小川政府参考人 お答えいたします。
 もちろん、判例を捉えて、今委員御指摘のとおりのような形で、むしろ判例の考え方をもう少し整理した形で示すというやり方もあり得たと思いますが、先ほども申し上げましたが、四百七十八条の適用場面は現金自動入出機による場面だけではございませんで、さまざまな、非常に広範な規定でございまして、そのことに関しまして、パブリックコメントの手続の中で、要件が変わることで従来の判断枠組みが変わることへの懸念を表明する意見も少なくなかったという点がもう一つの考慮要素でございます。
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山尾志桜里#8
○山尾委員 二点目の理由ですよね。確かに、四百七十八条の適用範囲というのはかなり広いんですね。広い網の中で、確かに、ATMのこういった問題もあれば、対面支払いも含むわけで、いろいろな個別具体的な事案があると思うんですね。
 ただ、今回私が提案しているというか、実際その中間試案でも提案されているというのは、正当な理由というふうにしたらどうかという提案なんですね。つまり、正当な理由という文言はなかなかバランスがとれた文言だと思うんです。一方で、今までは善意無過失、いわば主観的事情が特記されていたわけですけれども、主観的事情だけではありませんよ、弁済者が保護されることについて正当な理由があるかどうかを総合的に考慮しますよ、こういう実務の方向性はある程度示しながらも、一方で、個別具体事案によっていろいろ状況が違います、それを、具体的な状況の違いをしっかり受けとめることもできる。
 そういうことを考えると、パブリックコメントには変わることへの懸念というのは、それはあるでしょう。ただ、その懸念というのは、そういった正当な理由というような文言、あるいは、ではその文言を立法者意思としてどういうふうに考えるか、こういった委員会での答弁とか、そういうところでやはりしっかり払拭することができるものであって、パブリックコメントに変わることへの懸念が出てきたという、ちょっと、やらなかった理由の説明としては少し漠とし過ぎているような感じがするんですけれども、いかがですか。
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小川秀樹#9
○小川政府参考人 お答えいたします。
 四百七十八条に関しましては、非常に範囲も広い規定でございますし、これまでも、もちろん先ほど申し上げましたATMの判例もございますが、一般的な、まさに外観を持った人に対する弁済についての判例がかなりの量蓄積した、そういう判例が随分ある規定だというふうに思います。そういう意味では、判例の蓄積というのもありますので、その意味で、御懸念を抱くというのも無理からぬ面もあるのかなとも思いまして、やはりこの点についてはパブリックコメントの意見も尊重すべきものというふうに考えております。
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山尾志桜里#10
○山尾委員 ちょっとお伺いしたいんですけれども、こういった場合に、まだ判例の蓄積が少なくて固まっていないから条文化するのは早い、こういうお答えがよくありますよね。でも、今逆に、判例の蓄積がたくさんあるので、条文を変えることには懸念があるから変えないというのは、ちょっと、では、いずれにしても変えないんですね、こういう話になってしまうんじゃないですか。
 むしろ、判例の蓄積があるというのは、きちっと条文化できる方向の理由というふうに私は思いますけれども、いかがですか。
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小川秀樹#11
○小川政府参考人 もちろん、判例の蓄積というのはいろいろな評価が可能だと思いますが、やはり正当な理由ということになりますと、恐らく双方の事情を比較対照しながら考慮するという判断の枠組みだと思われます。
 善意無過失、四百七十八条は、もちろん先ほどのATMの判例のように、いろいろな事情を考慮しているものもあるわけですが、基本的には、債務者側の主観的な要件としての善意無過失を考慮している判例がそういう意味で蓄積されているわけですので、判断の枠組みとして、かなり異なるものという御懸念を持たれることも十分あり得るのかなと思います。
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山尾志桜里#12
○山尾委員 ちょっと公平を期すために申し上げると、確かに、ATMにおける不正引き出しの事案とそのほか対面等々の事案というのは随分違う考慮要素があるというのは、私も、局長のおっしゃることもわかるんですね。
 しかも、こういった偽造カードとか盗難カードによるATMからの不正引き出しについては、局長がおっしゃるかなと思ったんですけれども、おっしゃらないので私の方から御紹介すると、平成十八年の二月十日に特別法が施行されています。これは確かに、そういった偽造・盗難カードでATM引き出しがあった場合に、実際に真の債権者に重過失がない限り救済をされる、こういう法案を実際つくって施行されている。だから、そういう意味では、かなり特別法で救済措置がなされているというのもこれまた事実なんですね。
 ただ、この場合にしてもやはり当然一定の要件がありまして、例えば、紛失したカードは含まれない、ローン専用のカードは含まれない、そして、そういう引き出しがなされたら三十日以内に被害者の人は金融機関に通知をしないと救済されないとか、ここでは、その救済の網から漏れる預金者というのはやはり出てくるわけです。
 そのときには当然四百七十八条の適用の問題になってきて、ATMの場合には、実際、判例実務で、主観面だけではない事情を考慮していく、こういう考え方が随分あるわけですので、実務でもそういう運用がされているわけですので、やはり、そこの部分はもうちょっとこの条文の中に工夫して取り入れる余地があるのではないか。
 まさに百二十年の時を経て、当時は予想もしなかったような類いの状況が起きて、それを救済する必要性が出てきているという中で、そこの部分が措置されていないというのはやはり少し残念な気がするんですけれども、大臣、副大臣、政務官、どなたか、いかがでしょうか。
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金田勝年#13
○金田国務大臣 ただいまの山尾委員の御指摘並びに私どもの局長からの答弁をお聞きしておりまして、もう一つ、この議論があったのはそのとおりでございますが、ただ、先ほど、採用しなかった二つの理由を申し上げました、法制審の場でそれで賛同を得られたという経緯を伺っておりますので、私も、局長が申し上げた理由を理解していただいたのかな、このように思っていた次第であります。
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山尾志桜里#14
○山尾委員 法制審の賛同というところですけれども、きょう時間があれば最後に、その法制審の意思決定方法についてということで、ここは一つの論点として取り上げたいと思います。必ずしも、法制審の賛同があったということは、そのまま認められる、立法府内での議論の理由には私はならないというふうに思っています。
 次に、定型約款の話に進んでいきたいというふうに思います。
 何度かこの委員会でも論点になっておりますけれども、定型約款について、個別に相手と合意せずに契約内容を事後的に変更できる、今回のこういう改正内容です。
 ちょっと、もう一回根本のところからお伺いをしたいんですけれども、契約締結した後に、その契約の内容を一方当事者が一方的に変更することができる。これは、一度約束した契約は守らなきゃならないという契約の原則論からいっても、あるいは、勝手に変更されちゃう相手方の権利利益の保護という点からいっても、本来は許されないはずですよね。なぜ今回、それが許されるというふうにお考えになっているんですか。
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小川秀樹#15
○小川政府参考人 御指摘ありました定型約款でございますが、定型約款による契約には、契約関係が一定の期間にわたって継続するものが多いと考えられるわけでございます。定型約款には極めて詳細かつ多数の条項が定められておりますのが通常でありますために、法令の変更ですとか経済情勢、経営状況に変動があったときなどに、それに対応して定型約款を変更する必要が生ずることが少なくないと考えられます。
 もっとも、御指摘ありましたように、民法の原則によりますと、契約の内容を事後的に変更するには個別に相手方の承諾を得る必要があるわけですが、定型約款を用いる不特定多数を相手方とする取引では、相手方の所在の把握が困難でありましたり、仮に所在の把握が可能であっても、相手方の承諾を得るのに多大な時間やコストを要することがあるほか、一部の相手方に何らかの理由で変更を拒否された場合には、定型約款を利用する目的である契約内容が区々になりますので、画一性を維持することができなくなるという問題もございました。
 このため、約款中に、この約款は当社の都合で変更することがありますとの条項を設けておきまして、この条項が合意されている以上、その条項に従った変更が可能となっているとの理解のもとで、一方的な変更を行うとの実務も見られるところでございます。しかし、この条項に基づいて実際に大きな変更が行われた場合には、顧客である相手方としても大きな不満を抱くことになるため、変更が有効であるか否かをめぐってトラブルが生ずることになるわけでございます。
 もっとも、この条項が有効であるか否かについては、判例や確たる見解も必ずしもないという状況でございまして、約款の変更の効力を争う際の根拠や枠組みを明確にする必要性は高い状況にございます。
 そこで、改正法案におきましては、定型約款準備者が相手方と合意をすることなく一方的に契約の内容を変更する定型約款の変更の制度を設けまして、一定の要件を定めたというものでございます。
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山尾志桜里#16
○山尾委員 ともすれば、この議論をすると、事業者側の必要性の話に偏りがちなんですね。本当にたくさんの条項があるとか、経営状態に変動がある場合もあるとか、社会情勢に変更がある場合もあるとか、不特定多数だからなかなか見つけにくいとか、あるいはそれを見つけようとすると事業者の時間もコストも労力も手間も物すごくかかるとか、あるいはそのうち一人が拒否したら画一性が維持できなくなるとか。
 ただ、拒否するというのは、本来は当然正当な権利の行使なわけですね。だから、余り事業者側の必要性ばかりに偏った答弁ではいけないと思うんですけれども、今、局長からは、一定の、ではどういう範囲でこの事後的変更を認めるべきなのかということを今回の法改正について検討したんだ、こういうお話もございました。今までは余り、事後的変更が許されるものなのかどうなのか、確たる基準がなかったものを今回の改正案で一つのメルクマールをつくったんだ、こういう話だと思います。
 それで、今回認められる要件というのについて、私からちょっと提案があるんです。
 今回の法改正では、こういう場合には事後的変更が認められるよというふうになっていて、一つは相手方の一般の利益に適合するとき、二つ目は、契約目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更規定の有無、内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。これは、とりわけ二の判断が重要だと思うんですけれども、その二の要件のところの基準、物差しを見てみると、結局、変更したい側の必要性とか変更内容の相当性とか、変更したいと思っている事業者側の事情が主に列記されていて、変更される側の事情というのが列記されていないんですね。これはやはり両方必要だと思うんです、考慮をする際には。
 もちろん、「その他」というところに変更される側の事情というのも読み込まれているべきだと思うんですけれども、これは読み込まれているという解釈でいいんでしょうか、変更される側の事情。例えば、変更される側に解除権があるのかないのかとか、変更された場合に不利益が生じたときに、それを何らかの形で補填されるような措置がある場合なのか、ない場合なのかとか、そういう変更される側の事情についても「その他」で解釈をしている、受けとめている、そういうことなんでしょうか。
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小川秀樹#17
○小川政府参考人 御指摘のとおりでございまして、「その他の変更に係る事情」は、当然のことながら、相手方の事情、準備者だけではなくて、相手方、要するに顧客側の事情も含めて解釈いたしますので、典型例は、まさに委員御指摘のとおりの、解除事由があるかどうか、あるいは一定の不利益があるかどうか、こういった点が考慮要素の代表例だと思います。
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山尾志桜里#18
○山尾委員 それでは、それをやはり明記したらいいと思うんです、「その他」に含まれているということであれば。具体的に申し上げると、今のとおりなんですけれども、「その他の変更に係る事情」というところの前に、相手方がこうむる不利益の補填措置の有無、相手方の解除権の有無、その他というような感じで、きちっと、事業者側だけじゃなくて顧客の側の利益もしっかりと相互考慮をして事後的変更が認められるかどうかを考えるんですよ、こういう立法者意思を明確にするべきだと思うし、することによって何か問題があるかというと何もないと思うんですけれども、局長または大臣、いかがですか。
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小川秀樹#19
○小川政府参考人 もちろん、実質はおっしゃるとおりだと思います。あとは、条文化の中でどういう整理をするかということだと思いますが、私どもの方の整理は、基本的にはその他の事情の中でもちろん双方の事情を読み込めるということでございますので、差し当たってその点までは手当てをする必要はないというふうに考えたものでございます。
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山尾志桜里#20
○山尾委員 大臣、これはやはり検討していただきたいんですね。立法者として、せっかく双方の事情を読み込むとここまで明快に局長が答弁しているわけですから。でも、この法文上を見ると、明らかに事業者側のことばかり考慮しているように見える。ちゃんと私どもは、事業者側そして顧客、双方の利益にきちっと目配りをして考えるんだよ、こういういい改正をするんだよというふうにきちっと示すべきだと思いますし、当然「その他」で読み込めるとはいっても、きちっと法文上明記されている要素なのか、されていない要素なのかというのは、やはり実務ではそれなりの軽重にかかわってくると思うんですね。同じようにきちっと考慮するということならば、一度ここの点は検討していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
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金田勝年#21
○金田国務大臣 局長が委員と今質疑を行ってきた中で、基本的に「その他」というところでお示ししているんだという答弁がございました。そういうことを踏まえて私も考えておるわけでございます。
 例えば、相手方に解除権を付与していることの有無というものは変更の合理性の判断についての考慮事情の一つであることは、御指摘に関連するものだというふうに思うんですね。もっとも、変更内容が軽微である場合など、相手方に解除権を付与しなくても変更が合理的と言える場合もあるということで、相手方に解除権を付与するという事態がそれほど頻繁に生ずるものではないとも考えられることから、条文上、考慮事由として明記することはしなかったのではないか、このように受けとめております。
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山尾志桜里#22
○山尾委員 解除権が発生することが多いか少ないかということは、条文に明記するか否かということと余り関係ないと思うんですね。実際、だから、解除権があるという事情、ないという事情、それが総合的な判断要素の中の一要素になるというだけの話ですし。
 そして、今、大臣がくしくも言っていただいたんですけれども、私が次にこの条項の中に入れるものとして提案したいなと思っていたのは、変更の内容が軽微である場合には解除権が発生しない場合もある、こういうことをおっしゃっていただきました、ここなんです。変更の内容が本質的な内容なのか周辺事情なのか、これもこの考慮事項の中で私はすごく大きい要素だというふうに思うんですね。
 確認なんですけれども、今回の事後的変更というのは、変更の内容が給付の内容そのものの変更だとかあるいは対価の変更とか、いわゆる契約のまさに本質的な内容の場合にも事後的変更は認められる場合が、これはあってしまう、あるということなんですか、局長。
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小川秀樹#23
○小川政府参考人 もちろん、「その他」の事情の中で考慮することにはなりますが、そういう場合もあり得るということだと思います。
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山尾志桜里#24
○山尾委員 これは、本質的内容の場合、まさに契約の中核部分については、事後的変更というのを認める余地というのはやはりかなり狭まる、あるいは認めるべきではないぐらいなんじゃないかというのがそもそも私の持論です。
 なぜそういうことを申し上げるかというと、やはり最初の議論に戻るんですけれども、一方的に後から変更するというのは、契約の原則からいって相当例外的なことをやろうとしているわけですね。どれぐらい例外的なことをやろうとしているかというと、法制審での二人の方のせりふをちょっと引用したいと思います。
 法制審の京都大学の山本幹事、このようにおっしゃっています。
 「契約をしたのに、その後で契約内容を相手方が一方的に変更できるということは驚くべきことであって、それが何か当然に契約内容になり、有効になり得るという前提を採ること自体が」「問題ではないかと思います。」、要件はあるが、「内容が合理的かどうかにかかわりなく、私の同意もなく一方的に変えられるということ自体は、本来は不当条項のはずであって、それをオーソライズしてしまう可能性がある。そこが問題なのだろうと思います。」
 もう一方、まさに法務省の参与の内田先生、内田先生もこういうふうに言っています。ちょっと長いですけれども、聞いていただきたいんですね。
 「契約の一方的な変更というのは極めて例外的で、」「本来はあり得ない話だと思います。ただ、前提となる現状認識として、現実には変更は非常に多数行われています。変更条項が常にあるかどうかは分かりませんけれども、かなり様々な契約類型において変更が行われていて、それについて、今、全くルールがないという状況にあるわけです。」「文言だけを見ますと、変更することができる旨を定めておきさえすれば、何か非常に今より楽に変更できるかのような印象を与えているのかもしれませんが、現実には、現に行われている変更について合理的な規律を導入するというところに主眼があるのだと理解しております。」
 つまり、一方的な事後的変更というのは本来あり得ないけれども、現実で起きているので、せめて合理的なルールをつくりましょう、これが今回の率直な主眼だというふうに思うんですね。
 だから、やはりこれは極めて例外的だという前提に立った上で、では、その極めて例外的なものを認める要素としては、やはり双方の要素をしっかり書くべきだし、では、極めて例外的なものを認めるに当たって、その契約内容の本質に当たるのか周辺なのかということも当然考慮に入れるというふうにおっしゃいました。これは私、明記するべきだというふうに思います。先ほどの御提案で、いわゆる顧客の側の事情も明記してほしいということとあわせて、その変更内容が契約の中核的部分なのか周辺的部分なのか、文言はある程度検討をお任せしたいと思いますけれども、そこも明記をするべきだし、明記することに何らのデメリットもないと私は思いますけれども、いかがですか。
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小川秀樹#25
○小川政府参考人 もちろん、考慮事情としてそういった点を考慮するというのは重ねて申し上げているところです。
 改正案の五百四十八条の四の一項二号が御指摘の要件ということになりますが、もちろん「その他の変更に係る事情」ということで最終的には受けとめておりますけれども、一定の例示をして、「変更の必要性」の次に「変更後の内容の相当性」ということもありますので、この点について言えば、相当かどうかという判断をこの考慮事情に基づいてするわけですので、事業者側のみの事情ということはもちろん考えられなくて、先ほど委員の御指摘になったような点についても、ある程度この要件の中でも読み込める内容ではないかというふうには考えております。
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山尾志桜里#26
○山尾委員 変更した後の内容が相当かどうかということと、その変更した内容が本質的かどうかということは、やはり似て非なるものなんですね。
 そして、改めて申し上げますけれども、合理的な基準を今回きちっと明記するんだという趣旨に沿って言えば、やはり事業者側の事情、顧客の事情、そしてそれが本質なのかどうか、そこはしっかり明記してしかるべきだというふうに思いますし、ここはやはり一度検討いただきたいというふうに思います。よりよい条文にできて、そして、それに関して何らふぐあいがないのにやらないというのは、ちょっと私は、せっかくこの委員会で議論をしている者としては承服できないということをお伝えしたいというふうに思います。ぜひ検討してください。
 次に、もう一度、配偶者の保証の話をやりたいというふうに思います。
 配偶者保証には今回の規制がかからない、公正証書を必要とするという一定の制約がかからないという、この話ですね。私は、せめてかかるべきだ、配偶者保証にもせめて公正証書を必要とするべきだ、口授による、代理のきかない公正証書をせめて必要とするべきだというふうに思いますけれども、今回の提案でいくと、この配偶者という中に内縁の妻は入るんですか。
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小川秀樹#27
○小川政府参考人 お答えいたします。
 内縁の妻は入りません。
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山尾志桜里#28
○山尾委員 内縁の妻は入らない。
 私は、決して、入れるべきだというふうに全く思っていませんよ。思っていませんけれども、ちょっと聞きたいんですが、今回、配偶者は例外だという理由でいえば、事業内容や保証リスクを知り得る立場にあるんだ、こういうことを繰り返しおっしゃられているわけですけれども、その理屈からいえば、内縁の妻だって同じように知り得る立場にあるわけで、ちょっと論理の一貫性が見られないのではないかなというふうに思いますけれども、この点はいかがなんですか。
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小川秀樹#29
○小川政府参考人 お答えいたします。
 この意思確認を欠いた場合には保証契約自体が無効になるということにつながってきます。そういう意味では非常に重大な効果の生ずる可能性のあるものですので、保証意思宣明公正証書が必要かどうかということについては、客観的に明確な基準であることが望ましいという判断によるものでございます。
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