法務委員会

2019-03-08 衆議院 全235発言

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会議録情報#0
平成三十一年三月八日(金曜日)
    午前九時八分開議
 出席委員
   委員長 葉梨 康弘君
   理事 石原 宏高君 理事 田所 嘉徳君
   理事 平沢 勝栄君 理事 藤原  崇君
   理事 宮崎 政久君 理事 山尾志桜里君
   理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君
      赤澤 亮正君    井野 俊郎君
      上杉謙太郎君    大隈 和英君
      奥野 信亮君    鬼木  誠君
      門  博文君    門山 宏哲君
      上川 陽子君    神田  裕君
      木村 哲也君    黄川田仁志君
      国光あやの君    小寺 裕雄君
      小林 茂樹君    小林 鷹之君
      佐々木 紀君    佐藤 明男君
      平  将明君    中曽根康隆君
      古川  康君    山田 美樹君
      和田 義明君    逢坂 誠二君
      黒岩 宇洋君    松田  功君
      松平 浩一君    山崎  誠君
      山本和嘉子君    源馬謙太郎君
      遠山 清彦君    藤野 保史君
      串田 誠一君    井出 庸生君
      柚木 道義君
    …………………………………
   法務大臣         山下 貴司君
   内閣府副大臣       左藤  章君
   法務副大臣        平口  洋君
   総務大臣政務官      國重  徹君
   法務大臣政務官      門山 宏哲君
   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君
   農林水産大臣政務官    濱村  進君
   経済産業大臣政務官    石川 昭政君
   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君
   最高裁判所事務総局総務局長            村田 斉志君
   政府参考人
   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       長屋  聡君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 内藤 浩文君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君
   政府参考人
   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    小山 太士君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    名執 雅子君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    今福 章二君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  高嶋 智光君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  佐々木聖子君
   政府参考人
   (文化庁審議官)     内藤 敏也君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君
   法務委員会専門員     齋藤 育子君
    —————————————
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  門  博文君     小寺 裕雄君
  上川 陽子君     山田 美樹君
  黄川田仁志君     小林 鷹之君
  国光あやの君     佐藤 明男君
  古川 禎久君     平  将明君
  和田 義明君     木村 哲也君
  山本和嘉子君     山崎  誠君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 哲也君     大隈 和英君
  小寺 裕雄君     門  博文君
  小林 鷹之君     佐々木 紀君
  佐藤 明男君     上杉謙太郎君
  平  将明君     古川 禎久君
  山田 美樹君     上川 陽子君
  山崎  誠君     山本和嘉子君
同日
 辞任         補欠選任
  上杉謙太郎君     国光あやの君
  大隈 和英君     和田 義明君
  佐々木 紀君     黄川田仁志君
    —————————————
三月八日
 共謀罪(テロ等準備罪)を即時廃止することに関する請願(田村貴昭君紹介)(第一六三号)
 同(白石洋一君紹介)(第一八六号)
 国籍選択制度の廃止に関する請願(長尾秀樹君紹介)(第一八四号)
 もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(長尾秀樹君紹介)(第一八五号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
     ————◇—————
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葉梨康弘#1
○葉梨委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官長屋聡君、内閣府大臣官房審議官福田正信君、警察庁長官官房審議官内藤浩文君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、警察庁長官官房審議官田中勝也君、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾君、法務省大臣官房審議官山内由光君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長小山太士君、法務省矯正局長名執雅子君、法務省保護局長今福章二君、法務省人権擁護局長高嶋智光君、法務省入国管理局長佐々木聖子君、文化庁審議官内藤敏也君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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葉梨康弘#2
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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葉梨康弘#3
○葉梨委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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葉梨康弘#4
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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葉梨康弘#5
○葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松平浩一君。
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松平浩一#6
○松平委員 おはようございます。立憲民主党の松平浩一です。
 きょう、今国会、法務委員会で初めての質問ということで、よろしくお願いいたします。
 きょうは、コインハイブ事件、それからネット上の名誉毀損についてお伺いしたいなと思っています。
 まず、コインハイブ事件についてお伺いいたします。
 コインハイブ事件、御存じない方いらっしゃるかと思いますので、簡単に御説明したいと思います。去年の六月十四日に新聞で報じられた事件です。
 これはどういう事件かといいますと、同意なしに他人のパソコンを使って、仮想通貨の獲得手段、これはマイニングというんですけれども、採掘ですね、マイニングをしたなどとして、神奈川や愛知など全国の十県警が不正指令電磁的記録作成容疑などで計十六人を摘発した、そういう内容です。
 この事件は、自身が運営するウエブサイトに、仮想通貨、これはモネロという仮想通貨ですけれども、これをマイニングするためのコインハイブと呼ばれるプログラムを設置しておりました。それで、その設置したサイトに閲覧者が訪れると、見に行くと、その閲覧者、見に行った人のパソコンが自動的にマイニングを始めてしまう、そういったものです。始まったマイニングで得られた報酬は、モネロコインですけれども、これはプログラムの設置者、ウエブサイトの開設者が得る、そういうものです。
 これは、無断で閲覧者のCPUのパワーを盗む、そして仮想通貨を採掘するということで、CPUパワー窃盗というふうに俗に呼ばれたりもしております。
 このコインハイブ事件、一時期、報道等で少し話題になりましたけれども、その後、この二〇一八年六月の後、新たな摘発に関する報道というのは余りなされていないというふうに思っています。
 ただ、こういったマイニングプログラムは結構行われているんじゃないかなと推測されるところで、そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、現在に至るまで、これは捕まったとき、十六人が二十三件の事案で捕まっているんですけれども、現在までその捕まった数というのはふえているんでしょうか。お聞かせいただければと思います。
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小田部耕治#7
○小田部政府参考人 お答えいたします。
 警察では、平成三十年中、仮想通貨を不正に採掘させるプログラムを利用した不正指令電磁的記録供用等事件を二十八件、二十一人検挙しているところでございます。
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松平浩一#8
○松平委員 承知しました。二十一人、二十八件ということは、最初の事件から五人新たに逮捕されているということになりますでしょうか。
 この事件、今おっしゃっていただいたように、この摘発については不正指令電磁的記録保管、供用罪などで逮捕されたというふうに聞いております。これは俗にコンピューターウイルスに関する罪というふうにも呼ばれているんですけれども、参考までに、資料一として条文をお配りさせていただいております。
 これを読むと、ちょっとややこしいんですが、刑法百六十八条の二、「正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」、そして、一号として、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」であるという形の規定になっています。
 それで、今回の事件、今申し述べた条文に反しての逮捕、起訴、略式起訴もあったと思うんですが、となっているわけですけれども、これは結構、この構成要件の該当性に関していろいろな議論があったと承知しています。
 それで、この構成要件に該当するかどうかというところを本来であればお聞きしたいんですが、恐らく個別の事件に関してはちょっとコメントできないという答えが返ってくると思うので、この点についてはやめておきますけれども、ただ、ちょっと言わせていただきたいのは、この構成要件、非常に曖昧であるというふうに思っています。閲覧者に無断でCPUを使ってマイニングさせる、これが、先ほど申し述べた一号に言う「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令」、これに該当するのかどうか、ここの部分なんです。
 このコンピューターウイルスに関する罪、これは立法当時、参議院法務委員会に参考人として出席した方で、産業技術総合研究所の高木浩光主任研究員が、このコインハイブ事件についてこうおっしゃられています。
 懸念したとおりの事件が起きた。閲覧者に無断で計算させCPUを使わせることが問題だというふうに言うけれども、一般のコンテンツの閲覧にも、普通に見るだけでCPUは使われます。動画広告を置けば、コインハイブよりもCPUを使って動作が重くなる可能性もある、したがって、これが急に犯罪とされるのは理解できないとおっしゃられております。
 私、これは非常に重要な指摘だと思っています。インターネット上には、動画広告、バナー広告など、サイト閲覧者やサービス利用者の承諾を得ずに動くプログラムというのはいっぱい存在しています。これらはほとんど、無断で閲覧者のPCのCPUを使っているんです。ネット上の動画広告やバナー広告はよくて、仮想通貨のマイニングはだめ、この違いがどこにあるのか。
 これは、この罪の構成要件が非常に不明確になっている、罪刑法定主義に反しているのではないかという疑義があると思っております。
 ちなみに、確認なんですけれども、罪刑法定主義、これは刑法、どこを見ても書かれておりません。ですが、この罪刑法定主義、前提として認められているということでよろしいんですよね。ちょっと確認させてください。
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小山太士#9
○小山政府参考人 お答え申し上げます。
 罪刑法定主義に関するお尋ねでございます。
 こちらは法令上の用語ではないものの、一般的には、一定の行為を犯罪とし行為者を処罰するためには、あらかじめ成文の刑罰法規によって犯罪と刑罰とが規定されていることを要するという原則をいうものと承知しております。
 この罪刑法定主義、一般に、国家の刑罰権の抑制的原理として重要な基本的原則の一つとされておりまして、法務省といたしましても、法律案の立案に当たりましてはこの罪刑法定主義を踏まえているものと考えているところでございます。
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松平浩一#10
○松平委員 ありがとうございます。罪刑法定主義、踏まえているとはっきりおっしゃっていただきました。
 とすると、私、この罪刑法定主義に照らすと、無断でPCのCPUを使う動画広告はよくて、なぜこちらがだめなのか、なぜ今回は構成要件に該当して、動画広告の場合は構成要件に該当しないのか、これは該当性がやはり不明確であって、この罪の条文、改善の必要性があるというふうに思っているんですが、これはいかがでしょうか。
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小山太士#11
○小山政府参考人 お答えをいたします。
 お尋ねは、特定の事案を念頭に置いて構成要件該当性をお尋ねになっておりまして、犯罪の成否は捜査機関に収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事項でございまして、お答えはできないところでございます。
 なお、一般論で申しますと、刑法第百六十八条の二、不正指令電磁的記録作成等の罪及び刑法第百六十八条の三、不正指令電磁的記録取得等の罪についてでございますが、この電磁的記録の意義につきましては、委員も資料に掲示されております条文にございますように、この電磁的記録について、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」等とされているところでございまして、これらの構成要件は、通常の判断能力を有する一般人において、その意義を十分に理解し得るものであって、明確性の点で問題はなく、罪刑法定主義に反するものではないと事務当局としては考えております。
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松平浩一#12
○松平委員 今、明確性の点で問題ないというふうにおっしゃっていただきました。
 この不正指令電磁的記録作成、保管、供用罪について、今言及の方はなかったんですが、この解釈について、法務省さんは資料を出されていらっしゃいます。
 この資料はどういうものか。その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令と、こっちは一号の要件、こちらに関して、それがどういうものかという解釈を行っていらっしゃいます。
 これは法務省ホームページに記載されておりまして、タイトルが「いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について」という資料です。そこでは、何が不正に当たるかは、これは資料一としてお配りした紙の下段の方ですね、下のところに記載しています。何が不正に当たるか否か。こちらは、その機能を踏まえ、社会的に許容し得るものであるか否かという観点から判断というふうに解釈していらっしゃいます。
 私、この社会的に許容し得るものであるかどうかという部分の解釈なんですけれども、社会的に許容しているかどうか。コインハイブは新しい技術、新しい仕組みなので、判断できる材料がそもそもないというふうに思っているんです。新しい技術というのは、新しいので周りが理解できないので、時がたつにつれて評価も変わってくるんじゃないかなと。
 なので、社会的に許容されるかどうかなんてわからない場合もあると思いますし、往々にして、もしかすると、新しい技術というのは理解されない場合も多いんじゃないか、新しい技術というのは理解されないので許容されないところから始まる場合も多いんじゃないのかな、過去、そういうことも往々にしてあったんじゃないかなというふうに思っているんです。
 かつて、ファイル共有ソフトのウィニー、これは作成者の金子勇さんが著作権法違反幇助の疑いで逮捕、起訴される事件というものが起こっています。このウィニー、ピア・ツー・ピアという概念を広く世の中に知らしめる存在となった共有ソフトです。このピア・ツー・ピア、今やブロックチェーンを語る上では、通信技術でもう存在不可欠というふうになっていて、多くのウエブサイトで使われています。
 もしかしたら、ユーチューブ、皆さん御存じのユーチューブだって、新しいサービスで誰も理解していなかったですね。ユーチューブの開発者が著作権法違反の幇助になっていたかもしれない。
 こういった、社会的に許容し得るものかどうかという、新しい技術をもしかしたら否定させてしまう根拠となるような解釈をさせる、そういうもととなる規範をホームページ上に掲載するというのは、これはいかがなものかなというふうに思っているんです。
 この点、いかがでしょうか。
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小山太士#13
○小山政府参考人 お答えをいたします。
 まず、前提といたしまして、この不正指令電磁的記録に関する罪の要件である不正な指令の解釈がございました。
 こちらでございますが、同罪の対象を不正な指令に限定することといたしましたのは、その前提となる要件を満たす電子計算機の使用者の意図に沿うべき動作をさせず、又は意図に反する動作をさせるべき指令を与えるプログラムであれば、多くの場合、それだけで、その指令の内容を問わず、プログラムに対する社会の信頼を害するものとして、その作成、供用等の行為に当罰性があるようにも考えられてしまいますところ、そのような指令を与えるプログラムの中には、議員の問題意識にもあるかとは思いますが、社会的に許容し得るものが例外的に含まれるところでございまして、このようなプログラムを処罰対象から除外するためのものでございます。
 「不正な」との文言は、このような趣旨で設けられたものでございまして、あるプログラムによる指令が不正なものであるかどうかにつきましては、そのプログラムの機能を踏まえ、社会的に許容し得るものであるか否かという観点から判断するということになるものでございまして、それ自体、明確性を欠くものではないと我々としては考えております。
 また、刑法上、構成要件に「不正な」あるいは「不正に」との文言が用いられている例はほかにも複数ございまして、その意味でも問題がないものと考えております。
 したがいまして、インターネット上といいますか、ホームページ上に載せているこの解説も、こういう考えに基づいて、させていただいているところでございます。
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松平浩一#14
○松平委員 ちょっと余り納得感がないところではあるんですけれども。
 ちょっとしつこいようで申しわけないんですが、その機能を踏まえて社会的に許容し得るものか否かという観点から判断という解釈、新しい技術やサービスについて、社会的に許容されるまでには相応の時間がかかる。だから、許容されていないからだめ、先ほど、社会の信頼を害すれば当罰性があるみたいなお話もあったと思うんですが、だから、社会の信頼を害するからだめというふうに言ってしまうと、やはり新しいものがもしかして生まれなくなってしまうかもしれない、イノベーションが阻害されてしまうかもしれないという観点もあるというふうに私は思っています。
 ちょっと振り返って、このコンピューターウイルスに関する罪が立法された当時の議論、二〇一一年の議論を見ますと、参議院で附帯決議が付与されています。この附帯決議、資料二としてお配りしました。次のページです。
 この附帯決議、これはちょっと長いんですけれども、まず、上から六行目の後半部分に、「同罪の構成要件の意義を周知徹底することに努めること。」、そういうふうな附帯決議がなされています。この「周知徹底することに努めること。」、これは、まさしく本件のような事案の発生を見越した指摘なのかなと思っています。
 先ほど参議院の、ちょっとコメントを引用させていただいたんですけれども、その方以外にも、世の中の一般の方からも、このコインハイブ事件の摘発に関していろいろな意見がありました。
 実際、つくったエンジニアの方は、警察が家に来るまで、何が違法なのか、よくわからなかったと。ほかのエンジニアたちがみんな萎縮してしまっている、このシステムは端末に破壊的な悪影響を与えるものじゃないのにな、ウエブ広告と同じ仕組みでウイルスには当たらないのにな、そういうコメントが結構あります。
 これらは、私、やはりもっともな指摘だなと思うんですけれども、こういった意見が、コメントが出てくるということ自体が、やはり構成要件の意義が不明確であり、参議院の附帯決議にある周知徹底というものがなされていないことに原因があるのかなというふうに思っています。
 そこで、公的な見解、せめて判断基準をもう少し、もう少しというか、もっと詳細に明らかにする努力、摘発事例の解説であるとか違法の具体例を示す積極的な広報であるとか、国民の予測可能性を高める取組を進めるべきというふうに思っております。
 この点、現時点での取組、今後に向けてのお考えをお聞かせいただければありがたく思います。
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小山太士#15
○小山政府参考人 お答えをいたします。
 先ほど委員から御指摘がございました情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律の国会審議におきまして、御指摘のとおり、参議院法務委員会における附帯決議で、不正指令電磁的記録に関する罪の構成要件の意義を周知徹底することに努めることなどとされたことを踏まえまして、法務省といたしましては、同法の制定以降、既に御紹介ありました法務省ホームページに、この改正法に関するQアンドAを掲載いたしまして、不正指令電磁的記録に関する罪についての考え方を掲載いたしました。
 それから、法務省刑事局局長名で、各検察庁に対しまして、この改正法の施行に関する依命通達を発出いたしました。また、これを同時に警察庁及び最高裁にも送付してございます。
 また、立案担当者として、この改正法の解説について法律雑誌に掲載するといった周知を行ってきたところでございます。
 また今後も、必要に応じて、こういうものの周知は進めていきたいと考えております。
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松平浩一#16
○松平委員 警察庁さんに対して通達も発せられているということであったり、QアンドAを書かれていたり、結構やっていらっしゃるようなんですけれども、こういう、なぜ違法なのかわからないみたいな意見は出ているところは確かであるというところです。
 警察庁さんが、ホームページで注意喚起、「仮想通貨を採掘するツール(マイニングツール)に関する注意喚起」と題する広報を行っていらっしゃいます。これは、お配りした資料三、次のページ、めくっていただいて資料三にあるんですが、これはホームページをプリントアウトしたものです。これはちょっと下が切れちゃっていますけれども、太線で囲まれたところはウエブサイト運営者に対する注意喚起なんですが、その下はインターネット利用者への注意というものも行われています。
 それで、こちらの資料三の、今ちょっと言及させていただいた太線で囲まれた箇所ですね、「マイニングツールを設置していることを閲覧者に対して明示せずにマイニングツールを設置した場合、犯罪になる可能性があります。」というような形で注意喚起がなされています。私、これは相当、犯罪の取締りを行う警察庁の広報としては、ちょっと足りないのかなというふうに思っていまして、せめて、どういう行為がなぜ犯罪になるのかというところを示すべきであったのではないかなと思います。やはり、この広報を読んで、大丈夫なのかどうか、コインハイブを設置していいのかどうか、この文章じゃよくわからないんですよね。
 そもそも、この広報を、注意喚起を出された趣旨を教えてもらってもいいでしょうか。
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小田部耕治#17
○小田部政府参考人 お答えいたします。
 警察におきましては、サイバー犯罪に巻き込まれないための対策につきましては、平素より注意喚起を行っているところでございます。
 御指摘の注意喚起につきましては、仮想通貨を不正に採掘させるプログラムを利用した不正指令電磁的記録事件の発生状況を踏まえまして、インターネット利用者の方の被害防止を呼びかけるとともに、ウエブサイトの運営者の方に対しても、同種事案の発生防止を呼びかけるために行ったものでございます。
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松平浩一#18
○松平委員 私、運営者は、やはり警察庁のホームページで確認する人というのは多いと思うんですね。そこで、もうちょっと、先ほど申しましたとおり、なぜ、どういう行為が犯罪なのかというところを示していただきたいなと。それが、参議院の、構成要件を周知徹底することに努めることという意義に沿うことになるのかなというふうに思っています。
 ぜひ、実際に取り締まる警察庁の方で、こういった周知徹底の努力というものをしていただきたいと思っています。いかがでしょうか。
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小田部耕治#19
○小田部政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の不正指令電磁的記録に関する罪の構成要件の意義の周知徹底につきましては、法務省におきまして、附帯決議に基づく取組が行われているものと承知しております。
 警察といたしましても、附帯決議の趣旨を踏まえまして、法務省と連携して、同罪の構成要件の意義の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
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松平浩一#20
○松平委員 行動を萎縮させないためには、動画広告はなぜよくて、こっちはなぜだめなのかということを説明することはやはり必須だと思っています。ぜひともお願いしたいと思います。
 コインハイブ事件のような、新しい技術が関係していて、全国初となるような事件の摘発というのは、やはり社会的に注目されると思うんです。しかしながら、対象となった人たちは、ちょっと今の周知徹底のところにも関連しますけれども、ほとんど違法性の認識がなかったと。それなのに、いきなり捜査機関が家宅捜索に来て、立件される。これは、個人の生活は一変してしまいます。
 もし仮に違法でなかったと後から判断されても、警察に踏み込まれたという事実は消えません。名誉の挽回というのはなかなか難しいものがあると思います。同様のことが自分にも起こってはたまらないと萎縮するエンジニアの方は相当多いと推察します。
 それで、再び、先ほどの参議院の附帯決議なんですけれども、資料二に戻っていただいて、先ほど六行目を見ていただいたんですが、七行目、もう一つ附帯決議がございます。「その捜査等に当たっては、憲法の保障する表現の自由を踏まえ、ソフトウエアの開発や流通等に対して影響が生じることのないよう、適切な運用に努めること。」、こういった一文です。
 やはりこちらも、このコインハイブ事件を見ると、この附帯決議が懸念している状況が生じてしまっていると思います。本件のような最先端技術に係る捜査について、しかも、その被害範囲や影響もさほど大きくないと思われるものについて、もうちょっと配慮すべきだったのではないかなと思っています。
 この点、個別の捜査の是非に言及するというのは難しいと承知しておりますので、一般論でも結構ですので、最先端技術に係る事件捜査について、この参議院附帯決議にある、捜査に当たって適切な運用に努めること、これはどのように取り組んでいらっしゃるのか、お聞かせ願えればと思います。
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小田部耕治#21
○小田部政府参考人 警察庁におきましては、これまで、御指摘の附帯決議につきまして、都道府県警察に周知いたしまして、不正指令電磁的記録に関する罪につきまして適切な捜査が行われるよう指導してきたところでございます。
 今後とも、附帯決議の趣旨を踏まえた適切な捜査が行われるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
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松平浩一#22
○松平委員 ぜひ、適切な捜査が行われるよう指導していただきたいと思っています。
 ある記事によると、ウエブデザイナーの男性三十一歳、何が違法なのか明確になっていないのがすごく恐ろしい、自分はもうすっかり新しい技術を試すのが怖くなってしまったと話したということです。
 先ほどちょっと言及いたしました、著作権法違反幇助の疑いで逮捕、起訴されてしまった、ファイル共有ソフトの作成者、ウィニーの金子勇さん、これは二〇〇四年に逮捕されました。そして、二〇一一年に最高裁による無罪判決が確定しました。ただ、この事件によって日本のソフトウエア開発に大きな萎縮効果が生まれたと言われています。無罪判決が確定するまで七年半。かなりの時間と負担を金子さんは背負ってしまいました。そのことが、この先端にいる研究者の前途を潰した。
 私たち日本人にとって、それは間違いなく悲劇であったのではないかというふうに思っています。このような事件が示唆する教訓を私たちは常日ごろから意識していかなければならないと思います。今回のコインハイブ事件の今後の経緯についても注視させていただきたいと思っております。
 偶然にも、きょう三月八日、コインハイブは本日をもってサービスを終了するようなんです。今後、コンピューターウイルスに関する罪などのサイバー犯罪、ハイテク犯罪について、社会の進展に合わせた見直しをちゃんと行っていかなければ、適法と違法の境界線はどんどん曖昧になります。捜査の現場が混乱したりします。これは、行き過ぎた取締りがサービスを殺すということにつながりかねません。
 コングレス二〇二〇年、来年四月に京都で開催されます。コングレスは、五年に一度開かれる、刑事関係で国連で一番大きな会議ということで、世界じゅうから数千人の刑事司法関係者が集まると言われております。
 大臣から、コングレスを控える中、加速度的に変化していくサイバー犯罪に対してどう向き合うのか、今ちょっと私お話しさせていただいた、イノベーションを阻害しないようにするという観点からお考えをお聞かせいただければなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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山下貴司#23
○山下国務大臣 お答えいたします。
 本当に、サイバー問題に詳しい、法律家としても御活躍の委員からの御指摘を重く受けとめたいと思います。
 確かに、我が国にとって科学技術の健全な発展が大切であることは言うまでもございません。他方で、この犯罪は、御案内のように、欧州評議会サイバー犯罪条約に基づいてつくられた部分もございまして、各国が新たな犯罪であるサイバー犯罪に向き合っていくという中において、この条約に基づいてつくられた部分もあるというところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、サイバー犯罪の捜査については、参議院の法務委員会における附帯決議において指摘されましたように、「捜査等に当たっては、憲法の保障する表現の自由を踏まえ、ソフトウエアの開発や流通等に対して影響が生じることのないよう、適切な運用に努めること。」とされた趣旨、これはしっかりと踏まえて設けられた犯罪でもありますし、個別事案についてのコメントは差し控えますが、事案に応じて、法と証拠に基づいて適切に、この附帯決議の趣旨も踏まえて行う必要があるというふうに考えております。
 御指摘の周知につきましては、先ほど刑事局長や警察庁からもお話があったように、これまでも努めておったところではあるんですが、やはり新たな犯罪であるだけに、これからもしっかりと周知に努めていきたいというふうに考えております。
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松平浩一#24
○松平委員 どうもありがとうございます。
 冒頭、重く受けとめるというふうにおっしゃっていただいたこと、ぜひよろしくお願いいたします。あと、影響が生じることのないよう、新しい開発とかイノベーションの促進に影響が生じることがないようという点も、何とぞお願いしたいなというふうに思っております。
 コインハイブの事件についてはこの程度にさせていただきまして、次に、ネット上の名誉毀損であるとか侮辱について質問させていただきたいと思います。
 法務省の人権擁護機関、個人からの人権を侵害されたという申告等を端緒に、その被害の救済、予防の対応をしていらっしゃる機関なんですけれども、法務省が発行している「平成二十九年における「人権侵犯事件」の状況について」、こちらによると、インターネット上の人権侵害情報に関する事件数というものが五年連続して過去最高件数を記録している、二千二百十七件、対前年比一六・一%増加している、そういう数字が掲載されています。過去数年のネット上の人権侵犯事件件数、こちらの推移はずっと右肩上がりになっているということです。
 こちら、率直に伺いたいんですが、このようにネット上の人権侵犯事犯が急激に増加している原因はどこにあると分析されておりますでしょうか。
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高嶋智光#25
○高嶋政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、インターネット上の名誉毀損に係る人権侵犯事件数は増加傾向にありまして、平成二十五年のほぼ倍になっております。
 その要因についてはいろいろなものが考えられておりまして、確たるものをお示しするということは困難ではありますが、背景としましては、インターネットの利用、特にスマートフォンの普及が進んでいることが要因の大きな一つではないかというふうに考えております。
 また、人権相談、調査救済手続といった当機関の、人権擁護機関の取組の周知も積極的に進めておりまして、それも一つ、事件数がふえた要因ではないかというふうに考えているところでございます。
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松平浩一#26
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今、原因の一つとして、インターネット利用、スマホの普及というふうにおっしゃられたんですが、ということは、今後ももっともっと件数がふえていくということは容易に予想できると思います。
 この二千二百十七件という数字は、法務省の人権擁護機関が申告を受けた数と私は理解しているんですけれども、これは別にインターネット・ホットラインセンターという団体がありまして、ここは、インターネット上の違法情報の通報を、警察に情報提供したり、サイト管理者に削除依頼したり、そういうことをされている団体なんですけれども、この団体が公表している数字で、平成三十年一月から六月までの半年間で二十八万九千六百七件、約二十九万件のインターネット上の違法情報の通報を受理していると。インターネット上の違法情報、相当多いんだということがわかります。
 そこで、こういったネット上の違法情報の中から、名誉毀損罪であるとか侮辱罪であるとかといった摘発件数、こちらはどの程度あるんでしょうか。
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小田部耕治#27
○小田部政府参考人 お答えいたします。
 平成三十年におけるサイバー犯罪の検挙件数のうち、名誉毀損罪の検挙件数は二百四十件、侮辱罪の検挙件数は十六件であります。
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松平浩一#28
○松平委員 名誉毀損が二百四十件、侮辱罪が十六件ということなんですけれども、先ほど申し上げた約二十九万件という数からすると、もうちょっとあるのかなと思っていたんですけれども、これは正直な感想として、そんなに多くない。
 しかも、私、ちょっと拝見した新聞の記事なんですけれども、ことしの一月十六日に、ネット上のヘイトスピーチで、少年を侮辱した投稿者に初の刑事罰が適用されたという報道がございました。あともう一つ、やはりことしの二月七日に、ネットの匿名掲示板で人種差別をするヘイトスピーチによって名誉を傷つけられたとして、名誉毀損罪で略式起訴がなされ、罰金十万円の略式命令が下されたと報じられています。
 ネット上のヘイトスピーチに名誉毀損罪が適用されたということも初めてのようなんですね。最初の例が、侮辱罪、一月、そして、二月が名誉毀損罪。これは、全国初というのが正直ちょっと驚きでした。ヘイトスピーチにもう少し刑罰が適用されているんだと思っていました。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど紹介した報道の二件、一月十六日に侮辱罪、初めて、二月七日に名誉毀損、こちらも初めて、について、これは、それぞれ初めてやるというのは事実なんでしょうか。
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小田部耕治#29
○小田部政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の報道につきましては承知しているところではございますが、警察庁におきましては、インターネット上の匿名のヘイトスピーチの検挙、処罰事例につきまして網羅的に把握しているわけではございませんので、御指摘の事案が全国初の事例であるか否かについてお答えすることは困難でございます。
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