外交防衛委員会

2019-06-13 参議院 全109発言

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会議録情報#0
令和元年六月十三日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     朝日健太郎君     山田  宏君
     小西 洋之君     又市 征治君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     堀井  巌君     末松 信介君
     元榮太一郎君     佐藤 正久君
     又市 征治君     小西 洋之君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     末松 信介君     堀井  巌君
     小西 洋之君     牧山ひろえ君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     牧山ひろえ君     小西 洋之君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     猪口 邦子君     豊田 俊郎君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     豊田 俊郎君     猪口 邦子君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     猪口 邦子君     関口 昌一君
     小西 洋之君     藤田 幸久君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     関口 昌一君     猪口 邦子君
     藤田 幸久君     小西 洋之君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     堀井  巌君     こやり隆史君
     福山 哲郎君     杉尾 秀哉君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     山本 一太君     徳茂 雅之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡邉 美樹君
    理 事
                宇都 隆史君
                中西  哲君
                三宅 伸吾君
                大野 元裕君
                高瀬 弘美君
    委 員
                猪口 邦子君
                こやり隆史君
                佐藤 正久君
                武見 敬三君
                徳茂 雅之君
                中曽根弘文君
                山田  宏君
                小西 洋之君
                杉尾 秀哉君
                白  眞勲君
              アントニオ猪木君
                山口那津男君
                浅田  均君
                井上 哲士君
                伊波 洋一君
   国務大臣
       防衛大臣     岩屋  毅君
   副大臣
       防衛副大臣    原田 憲治君
   大臣政務官
       防衛大臣政務官  鈴木 貴子君
       防衛大臣政務官  山田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        神田  茂君
   参考人
       ANAホールデ
       ィングス株式会
       社常勤顧問
       元統合幕僚長   岩崎  茂君
       拓殖大学国際学
       部教授・海外事
       情研究所副所長  佐藤 丙午君
       国際地政学研究
       所理事長
       元内閣官房副長
       官補       柳澤 協二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及
 び中期防衛力整備計画に関する件)
    ─────────────
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渡邉美樹#1
○委員長(渡邉美樹君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、朝日健太郎君、元榮太一郎君、福山哲郎君及び堀井巌君が委員を辞任され、その補欠として山田宏君、佐藤正久君、杉尾秀哉君及びこやり隆史君が選任されました。
 また、本日、山本一太君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。
    ─────────────
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渡邉美樹#2
○委員長(渡邉美樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会にANAホールディングス株式会社常勤顧問・元統合幕僚長岩崎茂君、拓殖大学国際学部教授・海外事情研究所副所長佐藤丙午君及び国際地政学研究所理事長・元内閣官房副長官補柳澤協二君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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渡邉美樹#3
○委員長(渡邉美樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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渡邉美樹#4
○委員長(渡邉美樹君) 外交、防衛等に関する調査のうち、平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に関する件を議題といたします。
 まず、政府から報告を聴取いたします。岩屋防衛大臣。
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岩屋毅#5
○国務大臣(岩屋毅君) 政府は、昨年十二月十八日、国家安全保障会議及び閣議において、新たな防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画を決定いたしました。以下、これらについて御報告申し上げます。
 我が国を取り巻く安全保障環境は、前防衛大綱の策定時に想定していたよりも、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しています。特に、国際社会におけるパワーバランスの変化により、国家間の競争が顕在化するとともに、グレーゾーンの事態が長期にわたって継続する傾向にあります。
 また、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域の利用が急速に拡大したことで、国家の安全保障の在り方は根本から変わろうとしています。さらに、我が国の周辺には、質、量に優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力の更なる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっています。
 こうしたこれまでに直面したことのない安全保障環境の中で、我が国が平和国家として更に力強く歩んでいくためには、我が国自身が、国民の生命、身体、財産と領土、領海、領空を主体的、自主的な努力によって守る体制を強化する必要があります。このような認識の下、専守防衛を前提に、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力のあるべき姿を見定め、新たな防衛大綱と中期防を策定いたしました。
 新たな防衛大綱では、まず、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出すること、また、我が国に脅威が及ぶことを抑止すること、そして、万が一、我が国に脅威が及ぶ場合には、確実に脅威に対処し、かつ被害を最小化することという、防衛の目標を明確に示し、この達成に必要な三つの手段をそれぞれ強化することとしています。
 第一に、我が国の防衛体制の強化です。
 防衛力は、安全保障の最終的な担保です。これまでに直面したことのない安全保障環境の現実の下で、国家として存立を全うするため、我が国の主体的、自主的な努力によって防衛力の質、量を強化していかなければなりません。宇宙、サイバー、電磁波を含む全ての領域の能力を有機的に融合させる領域横断作戦を行うことができ、また、平時から有事までのあらゆる段階において、柔軟かつ戦略的な活動を常時継続的に実施できる、真に実効的な防衛力として、多次元統合防衛力を構築してまいります。
 第二に、日米同盟の強化です。
 日米安全保障体制を中核とする日米同盟は、我が国のみならず、インド太平洋地域、さらには国際社会の平和と安定及び繁栄に大きな役割を果たしています。日米防衛協力のための指針の下、日米同盟の抑止力、対処力の強化や、自由で開かれた海洋秩序の維持強化を含む幅広い分野における協力の強化、拡大を行ってまいります。
 また、在日米軍再編を着実に進め、特に、沖縄については、近年、米軍施設・区域の返還等、負担軽減を一層推進してきているところですが、引き続き、普天間飛行場の移設を含む在沖縄米軍施設・区域の整理、統合、縮小、負担の分散等により、地元の負担軽減を図ってまいります。
 第三に、安全保障協力の強化です。
 自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、防衛力を積極的に活用しながら、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、多角的、多層的な安全保障協力を戦略的に推進します。この際、日米同盟を基軸とし、普遍的価値や安全保障上の利益を共有する国々との緊密な連携を図ってまいります。
 これらの実現に向けた防衛力の強化は、格段に速度を増す安全保障環境の変化に対応するため、従来と異なる速度で行わなければなりません。新たな防衛大綱及び中期防では、特に優先すべき事項を可能な限り早期に強化するため、既存の予算、人員の配分に固執することなく、資源を柔軟かつ重点的に配分することとしています。
 具体的には、領域横断作戦に必要な能力を優先的に強化することとしており、特に、宇宙、サイバー、電磁波の領域における能力、海空領域における能力、スタンドオフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動展開能力、防衛力の持続性、強靱性を重視しています。
 同時に、人的基盤の強化、装備体系の見直し、技術基盤の強化、装備調達の最適化、産業基盤の強靱化、情報機能の強化にも優先的に取り組んでまいります。
 あわせて、訓練・演習、衛生、地域コミュニティーとの連携、知的基盤にもしっかりと取り組んでまいります。
 これらに必要な事業を積み上げた結果、令和元年度から五年間の新たな中期防における防衛力整備の水準は、おおむね二十七兆四千七百億円程度を目途としています。その上で、装備体系の見直しや装備調達の最適化を含め、一層の効率化、合理化を進めることによって実質的な財源の確保を図り、おおむね二十五兆五千億円を目途に、各年度の予算編成を実施することとしています。また、新たな中期防においては、新規後年度負担に係る国民への説明責任を果たす観点から、新たな事業に係る物件費の契約額を明確にすることとし、おおむね十七兆一千七百億円の枠内として示しています。
 以上申し述べました新たな防衛大綱及び中期防の下、真に実効的な防衛力を構築し、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の生命、身体、財産、そして、領土、領海、領空を守り抜くため、防衛省・自衛隊は今後とも全力を尽くしていく所存です。
 皆様の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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渡邉美樹#6
○委員長(渡邉美樹君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 防衛大臣、防衛副大臣及び防衛大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
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渡邉美樹#7
○委員長(渡邉美樹君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
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渡邉美樹#8
○委員長(渡邉美樹君) これより、平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に関する件について、三名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人の方々を御紹介いたします。
 まず、ANAホールディングス株式会社常勤顧問・元統合幕僚長岩崎茂参考人でございます。
 次に、拓殖大学国際学部教授・海外事情研究所副所長佐藤丙午参考人でございます。
 次に、国際地政学研究所理事長・元内閣官房副長官補柳澤協二参考人でございます。
 この際、参考人の皆様に対し、本委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、岩崎参考人、佐藤参考人、柳澤参考人の順にお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 また、参考人、質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず岩崎参考人にお願いいたします。岩崎参考人。
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岩崎茂#9
○参考人(岩崎茂君) 本日は、参議院の外防委員会に出席し、このような形で安全保障に関する意見を申し上げる機会をいただきましたことは大変光栄なことだというふうに感じております。感謝を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。
 本日は、短い時間ですけれども、私が約四十年間、自衛隊で奉職させていただきました所感も交え、今回新たに策定されました三〇大綱、それから三一中期防について意見を述べさせていただきたいと思います。
 申し訳ありません、手続をちょっと必ずしも承知しておりませんでしたので、私が今から申し上げることを事前に配付できていなかったことをおわび申し上げたいというふうに思います。
 我が国は、現在、国家安全保障戦略、そして二五大綱、二六大綱を平成二十五年の十二月に策定いたしましたけれども、当時、私は統幕長としてこれらの策定に向け、防衛省・自衛隊内における検討に積極的に参加しておりました。あれから僅か五年の間に、国家間の相互依存関係が一層拡大、深化する一方、パワーバランスの変化が加速化、複雑化し、我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増すようになってきております。とりわけ、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域が死活的に重要になってきており、陸海空で対応してきたこれまでの安全保障の在り方を根本から変えなければならない時代になってきております。こうした外的要因に加え、安倍内閣総理大臣の下、日米ガイドラインの見直しや平和安全法制の整備など、我が国自身の安全保障政策も大きく変わりました。
 このように、前大綱の策定から僅か五年の間で我が国の安全保障環境が大きく変化する中、昨年一月に安倍総理が防衛計画の大綱の見直しを判断されたことは極めて適切な判断であったというふうに考えています。
 私は、昨年八月に安倍総理の下に設置された安全保障と防衛力に関する有識者懇談会のメンバーとして、七回の公式会議と数度にわたる勉強会、研修会等に参加し、広範な議論をさせていただきました。議論の詳細を申し上げることは事柄の性質上差し控えますが、国民の生命、財産と平和な暮らしを守るため、また地域と国際社会の平和と安全を確保するためにどのような防衛力が必要なのかについて、三村座長以下、懇談会メンバーと精力的に議論を重ねたところです。
 今回の三〇大綱においては、一、宇宙、サイバー、電磁波等を含む全ての領域における領域横断作戦により我が国の防衛を全うできること、二、平時から有事までのあらゆる段階で柔軟で戦略的活動を常続的に行えること、そして三点目は、日米同盟の抑止力、対処力を強化し、その上で多角的、多層的な安全保障協力体制を推進できること、この三点を柱とする多次元統合防衛力を構築することとしています。
 これは、我が国を取り巻く安全保障環境の現実を踏まえれば、軍事専門的な観点から極めて妥当な内容であり、まさに国民を守るために真に必要な防衛力の構築のための方向性が明確に示されており、高く評価できるものと考えています。
 この多次元統合防衛力の構築を図っていく上で私として特に重要であると考えられる以下の五項目について申し上げたいと思います。一点目は軍事、非軍事の境界線の曖昧化、それから二点目は宇宙、サイバーのこと、そしてSTOVL機と「いずも」、四点目は技術分野での優位性の維持、最後に人的基盤のことについて申し上げたいというふうに思います。
 まず第一に、大綱策定の背景となる我が国を取り巻く安全保障環境の変化について、軍事、非軍事の境界が曖昧になっているという点について申し上げたいというふうに思います。
 現在、冷戦期に懸念されていたような主要国間の大規模武力紛争の蓋然性はかなり低くなっているものの、いわゆるグレーゾーンの事態は、国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあります。また、いわゆるハイブリッド戦のような、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にし、現状変更を試みる手法は、相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強要しています。
 一方、我が国は中国、韓半島、ロシアに囲まれた極東に位置していますが、時間の関係上、これらの国々の軍の近代化や活動の活発化についての細部は申し上げませんが、中国に関して一点指摘しておきたいと思います。
 昨年の七月、我が国の海上保安庁に相当する中国の海警部隊が、中国軍の最高指導機関である中央軍事委員会による一元的な指揮を受ける武装警察の下に編入されたことは、大変注目をしなければならない事態です。中国海警は、特に平成二十四年以降、我が国の尖閣諸島周辺などで活発な活動を行っています。この組織改編により、その活動が海上における法執行にとどまらず、軍事的な意味合いを持つようになるおそれが出てくるからです。
 新大綱は多次元統合防衛力の構築を目指しておりますが、この二つ目の柱として、平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動を常続的に行える能力の構築がしっかりと明記されていることは極めて重要なことであります。今後、各種事態に我が国全体として効果的に対応できるよう、政治の強力なリーダーシップの下、防衛省・自衛隊を含む関係各省庁がより緊密な連携を図っていくことが重要だと考えています。
 第二に、多次元統合防衛力の重要なポイントであります宇宙及びサイバーについて意見を申し上げたいと思います。
 新大綱においては、領域横断、いわゆるクロスドメイン作戦に必要な能力を優先的に強化することとしています。これは、今までの大綱では、特定の分野を優先的に強化するという考え方は必ずしも明確ではありませんでした。新大綱、中期では、特に優先すべき事項を早期に強化するため、既存の予算、人員の配分に固執することなく、資源を柔軟かつ重点的に配分することとしています。これは、限られたリソースを最大限効果的に運用していく観点から極めて重要なことと考えています。
 宇宙に関しては、これまで大綱でもある程度の記述はあったものの、私は必ずしも十分ではないと感じておりました。我が国の宇宙に関する基本的な考え方は宇宙基本計画に示されております。この基本計画は、平成二十年五月、宇宙基本法が制定されたことを受け、平成二十一年六月に宇宙開発戦略本部で最初の計画が決定され、以降、これまでに二回の見直しがされています。最新の計画は平成二十八年四月に閣議決定されています。これは、安倍内閣総理大臣の指示、これは平成二十六年九月に出されておりますが、国家安全保障戦略を踏まえた内容にしなさいという指示ですが、このことを含んだ大変すばらしい計画となっています。
 今回の新大綱は、かかる状況を踏まえて、情報収集や通信、測位、宇宙状況監視や機能保証はもちろんのこと、相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力をも含め、平時から有事までのあらゆる段階において宇宙利用の優位性を確保するための各種能力の強化に取り組むことが明記されています。
 宇宙は、米国のウィルソン空軍長官の言葉にもあるとおり、宇宙抜きでは私たちは安全保障政策を議論することはできないというふうな言葉がありますけれども、まさしく今後の安全保障政策を推進する上で最も重要な分野であり、大変高く評価できるものと考えています。
 また、サイバーについては、陸海空を含むあらゆる領域での作戦を統合的に実施するためにはC4ISRがしっかりと機能しなければならず、その前提として、システムやネットワークのセキュリティー確保が必要不可欠です。これらがしっかりと機能しなければ領域横断作戦の遂行は不可能です。そのため、システム、ネットワークの監視能力、被害の局限、復旧能力の強化は不可欠であると考えております。
 加えて、諸外国などのサイバー攻撃に関する技術的動向を踏まえれば、有事における相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力の整備は極めて重要な課題だと考えています。我が国でこういったことを検討することは難しい点もあろうかと思いますが、現実を見据え、しっかりと取り組んでいくべきと思います。
 サイバーについては、民間の重要インフラ防護も喫緊の課題であり、大規模サイバー攻撃等における対応に際し、自衛隊に多くを期待する声も聞かれます。しかしながら、国の重要インフラを防護することは、現在の自衛隊の体力を超える可能性がある任務であります。国家としての対応が必要と考えます。
 防衛省・自衛隊がサイバー分野でどのような任務や役割を担うのか、国家としてしっかりとした検討が必要だと考えます。我が国では、今年も来年も国際的なイベント、来年はオリンピック、パラリンピックが控えております。政府自らが主導し、国家としての体制整備を早急に行うべきと考えています。
 次に、新大綱、中期の目玉でありますSTOVL機の導入と「いずも」護衛艦の改修について、軍事専門的な観点から私の見解を申し上げたいと思います。
 現在、中国を始めとする周辺国の航空戦力の近代化に伴い、太平洋側を始め、我が国周辺の海空域において、戦闘機や爆撃機、そして空母等の活動が拡大、活発化しているという厳然たる事実があります。
 特に、中国海空軍機による活動は年々質的な向上を見せています。平成二十九年には十八回もの沖縄本島と宮古島間を通過する飛行がありました。同年八月には爆撃機が紀伊半島沖まで進出しています。昨年四月には、沖縄県南方の太平洋上で空母遼寧に搭載されている戦闘機の飛行と推定される事象が初めて確認されています。また、今週、防衛省が発表していますが、空母遼寧等が沖縄本島と宮古島間を通過し、西太平洋に向け航行したとのことです。
 今後、このような中国海空軍の東シナ海や西太平洋における活動が一層拡大、活発化することが考えられます。このような観点から、我が国の防空体制の早急な強化が必要と考えています。
 一般的に、戦闘機の運用には長い滑走路が必要ですが、このような戦闘機を運用できる飛行場の数は、我が国ではそれほど多くありません。特に島嶼部においてはかなり限定的であります。こうした中、我が国がSTOVL機を導入することになれば、滑走路の短い飛行場でも離発着ができ、戦闘機の柔軟な運用が可能になり、防空能力を格段に向上させることができます。また、これまで必ずしも対応が十分できていなかったと考えられた離島の防空や広大な太平洋地域側においても有効な対応ができるようになります。
 このような中、我が国の特性から、私は、護衛艦からSTOVL機を運用することが可能になれば、我が国の防衛能力を、特に防空能力を更に充実、向上させることができると確信しております。
 太平洋側の島嶼部では、現在のところ、自衛隊の戦闘機が使用可能な滑走路は硫黄島一か所だけです。また、この広大な空域で任務に当たるパイロットの安全確保を図ることも困難な状況です。先ほど申し上げたとおり、最近では西太平洋での中国海空軍の活動が活発化しています。空母遼寧の進出もあります。また、ロシアの爆撃機も、時折、我が国を周回する飛行を行っています。
 このような事態を考慮すれば、私は、現職時代、現場を預かる指揮官として、基地からはるか遠方に所在する離島や太平洋側での防空体制を早期に確立する必要があると感じておりました。そのためには、「いずも」型護衛艦を改修し、STOVL機を運用することは極めて有効な方策と考えます。
 この「いずも」型護衛艦での戦闘機の運用には、いろいろな議論があることは承知しています。課題も多くあることは事実だと思います。しかし、今後予測される事態や将来の防空体制が不十分になる可能性を秘めた事象が起こりつつある事態をこれ以上放置することはできません。防衛力整備には長時間を要します。我が国を取り巻く環境を考慮すれば、軍事専門的な観点から我が国の領土、領海、領空を守るため、また最前線部隊の任務遂行に遺漏なきを期すため、早期に処置すべき事項と考えています。
 次に、四つ目に、技術分野について申し上げます。
 我が国は、長年、周辺国に対して質的、技術的優位を確保し、我が国の平和と安全を確保してきました。この観点から、我が国にとっては技術的優位の維持確保が極めて重要です。特に、昨今では、AI、情報通信、量子技術等、各分野における急速な技術革新に伴い、軍事装備品にも目覚ましい進展が見られます。各国は、ゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を活用した兵器、例えば高精度、長射程の攻撃が可能な極超音速兵器、AIによる自律的に作戦を行うことができる無人機、低コストで弾数の制限がない高出力レーザー兵器などの開発にかなりの資源配分、努力を払っております。これらの兵器が実用化されれば、戦闘様相が一変する可能性があります。
 軍事技術については、いわゆる西側がかつては圧倒的な優勢を確保しておりましたが、中国は強大な経済力をてこに科学分野での軍と民の相互連携の強化等を掲げた軍民融合戦略を進めており、徐々に米国に劣らないようなレベルになりつつあります。こうした中、我々がいつまで技術的優位を維持できるか強く懸念されるところであります。是非、大綱、中期に書かれたような施策を積極的に推進していただきたいと考えています。
 最後に、人的基盤について私の考えを申し上げたいと思います。
 いつの時代でも、組織の中の中核は人であります。このことは、見通せる限りの将来においても不変であると考えています。いかに優秀な装備品であろうとも、これを運用するのは人であり、まさに我が国の防衛力の中核は自衛隊員です。
 自衛隊員の現在の素質を申し上げると、私はいろいろな国々に……
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渡邉美樹#10
○委員長(渡邉美樹君) 時間が過ぎております。簡潔におまとめください。
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岩崎茂#11
○参考人(岩崎茂君) はい、済みません。
 いろいろな国々を訪問しましたけれども、自衛隊員の水準というのはかなり高いレベルにあります。ただ、最近の少子化を考えれば、将来、自衛隊の募集をめぐる状況はかなり厳しいものがあるというふうに感じています。是非、若くて優秀な人材が自衛隊に入りたいと思えるような環境の作為に、防衛省・自衛隊、それから政府を挙げて努力していただきたいというふうに考えています。
 少し時間をオーバーしましたけれども、申し訳ありません。ありがとうございました。
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渡邉美樹#12
○委員長(渡邉美樹君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
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佐藤丙午#13
○参考人(佐藤丙午君) 拓殖大学国際学部・海外事情研究所の佐藤丙午と申します。
 皆さんのお手元に発言内容をお配りしております。
 本日は、外交防衛委員会にお招きいただき、どうもありがとうございます。本日は、平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及び平成三十一年度から三十五年度の中期防衛力整備計画について、学者の立場より所存を申し上げたいと思います。
 大綱と中期防は、現在の日本を取り巻く安全保障環境と技術動向の影響を受けて変化する軍事力の役割を適切に把握し、それに対応するため、必要な手段を確保しているものと考えます。特に、大綱の中で従来の延長線上にない真に実効的な防衛力の構築を掲げ、宇宙、サイバー、電磁波などの新領域における優位性を獲得することの重要性を指摘している点など、日本が直面する課題を取り込んだ対応としては十分に評価できると考えます。
 大綱では、これら状況を踏まえ、能力の有機的な結合とその相乗効果により全体として能力を増幅させる領域横断、クロスドメイン作戦の重要性を指摘しています。この作戦の理解も、国際社会の、特に米国の軍事動向を踏まえた適切なものであると考えます。
 日本は国家安全保障戦略を持ち、その下に大綱、中期防が存在します。その意味では、これら二つの文書は、一般的には戦略の下での優先分野を規定する軍事戦略と調達戦略と位置付けることが可能です。
 その上で、大綱と中期防について四点申し上げたく思います。
 第一に、安全保障戦略と軍事戦略の整合性の問題です。
 国家安全保障戦略では「戦略環境の変化や国力国情に応じ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める」とあります。大綱では、それを想定される期間の中で、防衛力の面でどのように実現するかという問いに対する回答になります。
 今日の安全保障環境は、安全保障戦略が策定された当時から変化し、さらには大綱自体が制定された時点からも国際政治状況は大きく変化していると感じます。この変化は、主に米国のトランプ政権の安全保障戦略の変化によるところが大きいと思います。さらに、米国では、二〇一八年に輸出管理法が再法制化され、二〇一九年五月には行政命令等により敵対的な国家が情報通信技術を盗取することへの規制策が打ち出されました。二〇一九年に入り、米中の対立は技術覇権をめぐるものとしての姿を現しつつあります。つまり、残念なことではありますが、情報通信技術をベースにして世界が二分されつつあると見ることもできるのであります。
 領域横断作戦の重要な点は、戦闘の各段階で実力組織の目と耳が極めて重要になることを意味します。お配りした資料一の方にその領域横断作戦のイメージが記されております。その目と耳の中核を担う情報通信技術の信頼性と安全性が領域横断作戦の成否を決めます。大綱でこの作戦の重要性を強調するのであれば、その作戦が成立する各種条件をどのように保護していくかという点も戦略の重要な内容になると考えます。
 大綱と中期防は、現状を肯定し、将来の方向性を示す上で極めて重要な役割を果たします。しかし、国際政治情勢の変化の速度は速いので、それに対応する柔軟性を政策文書の面で今後担保していく措置が必要になると考えます。
 第二に、戦略上のコミットメントと予算の均衡の問題です。
 これは、一般的にはフォース・コミットメント・バランスと言います。掲げられた政策に対して予算の充当が必要になります。このバランスが崩れると、防衛省・自衛隊に求められる能力と保有する資源との間にギャップが生まれ、必要な作戦が実施できなくなります。これは国民の信頼を失う原因となると考えます。
 必要な能力を確保できない背景には、政策側の問題もあると考えます。
 大綱と中期防では、基幹部隊の見直し、特に領域横断作戦を実施する上で効率的な部隊運用体制や新たな領域に係る体制の強化が指摘され、宇宙、情報ネットワークの常時継続監視の必要性が記されています。また、新しい部隊の新編も盛り込まれています。防衛省・自衛隊は、これら任務に加え、従来からの任務も果たしていく必要、責務があると思います。現状の定員、現状の予算でこれら新しい任務と役割を果たすことが可能なのかどうなのか、オーバーストレッチであるかどうかということは常に検証していく必要があります。
 これは従来から指摘されていた点ですけれども、防衛省・自衛隊が自ら検証作業を行うと、組織の特性として、無謬性の神話にとらわれてしまう可能性があります。国会を含めた外部の第三者機関による検証も進めていく必要があると考えます。
 この均衡問題では、国内産業基盤の問題も考慮する必要があると考えます。自衛隊が必要な能力を調達する上で、国内の資源で充足するのか、国外の資源に依存するのかという問題は、これまでも防衛省・自衛隊の抱える大きな課題でありました。大綱では防衛産業基盤の重要性が指摘され、中期防では人工知能等のゲームチェンジャーとなり得る最先端技術などに重点的に投資する必要性と中長期的な方向性を示す研究開発ビジョンの策定が記されています。中期防では、国内の産業基盤に競争原理の導入の必要性とサプライチェーンリスクの問題についても言及されています。
 これらを総合的に見ると、防衛産業基盤と防衛省・自衛隊の関係を包括的に見直す方向性が示されていると感じます。この方向性自体は支持するものでありますけれども、産業基盤を構成する企業側の事情を考慮し、基盤の育成、発展に向けた施策を策定する必要があると考えます。しばしば「国が私企業の営業行為を支援するのか」と批判されますが、分断が進む国際社会では、国家と企業が一致結束して営業活動を行うというのが常識になっております。
 資料二を御覧ください。これは経団連が二〇一二年に共同開発・生産に関わる四つのモデルを出したものですけれども、これのいずれにおいても国家と企業側の協力がうたわれております。このように、防衛省・自衛隊と防衛産業を切り離して考えるべきではありません。
 第三に、新技術に対する取組の問題です。
 さきに、今日の国際社会では国家と企業が結束して防衛技術基盤を維持発展させると言いましたが、これは国家と企業の癒着を推奨するものではありません。企業と国家にはそれぞれ異なった利害がありますので、相互の利害を調和させ、それぞれの求める成果を追求すべきというものであります。防衛生産に係るステークホルダーがそれぞれのステークスを持ち寄り、相互の利益を模索する必要があるということを意味しております。
 これは、新技術の問題で特に顕著になっていると思います。大綱と中期防では、最先端の技術等に対して選択と集中による重点的な投資の重要性が指摘され、企画提案方式の採用を含めた研究開発の合理化が記されています。留意すべき問題は、新技術の開発とその防衛装備への適用は、残念ながら防衛省・自衛隊が主導するものではなく、民間側の技術的優位を前提に考える必要があるということであります。
 実は、これは国際社会の多くで見られる現象です。中国では、軍民融合というスローガンの下、民間企業の協力を組織化して取り込んでいます。米国でも、先日発表された国防総省のAI戦略の中では、民間のエクセレンスを軍に取り込む必要が指摘されています。防衛省・自衛隊が防需を前提に民間企業を管理しようとすると、民間企業は防衛生産基盤の充実に協力しないばかりか、そこに背を向けるようになるのではないかと考えます。
 このため、民間企業を防衛生産のステークホルダーと考え、国、企業、アカデミア、市民社会の全ての利害を調和させる方策、すなわちマルチステークホルダーアプローチを採用すべきだと考えます。特に、これは少子高齢化の対策、また戦場の霧の克服、戦闘の合理化など、様々な目的の下で進められる無人兵器システムにおいては必要不可欠であると考えます。資料の三ページ目に、これは特定通常兵器使用禁止制限条約の下で示された兵器のライフサイクルのチャートですけれども、これを見ても、国と国際機関、また企業との協力が必要であるということが示唆されているというふうに考えます。
 四番目に、大綱そのものが抱える問題として、見直し時期の問題を指摘させていただきたいと思います。
 平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱ではおおむね十年程度の期間を念頭に置いたものとされており、今大綱においても同じ文言が使用されています。もちろん、一旦作成した計画を時々の状況に合わせて修正するのは必要であり、今般修正されたことは、日本を取り巻く安全保障環境等の変化が流動的であることを示すものであります。
 今回の改定若しくは修正が前大綱の内容を否定するものではなく、新たな技術動向や米軍の戦略に合わせて新たな作戦を導入し、そのために部隊の編成等の見直しを行うものであったことは、歓迎すべきものであります。しかし、中期防は、大綱の見直し期間の十年を基準に中間との位置付けがされています。大綱の本来である、性格である軍事戦略と調達戦略の方針が余りにも短期間で修正されること、また逆に、長期間にわたって修正されないことも大きな問題を抱えています。
 防衛省・自衛隊が今後大綱の改正や改定若しくは現状維持が必要と考える際に、その根拠を検討し、その検討結果が政策過程に反映されるような透明度の高い枠組みの構築を目指す必要があると考えます。その説明責任が果たされないと、新規に採用する作戦や戦略の妥当性を検討する機会が失われ、民主主義の下での軍隊に必要な社会との協同が失われるのではないかと危惧します。
 最後に、幾つか指摘させていただきたいことがあります。参考人は以下の問題に明確な回答を持っているわけではありませんが、大綱、中期防の今後を考えるときにどうしても考慮いただきたい内容とお考えいただければと思います。
 まずは、我々は韓国を失おうとしているのかという問題です。
 韓国を失うことは、過去数十年にわたって防衛政策の前提であった朝鮮半島問題からの解放と同時に、その反面、更に厄介な新たな問題を抱えることを意味します。
 二番目に、安全保障のパラドックスにどう向き合うかという問題もあります。
 トランプ政権の安全保障戦略の下では、同盟国や友好国が地域紛争、いわゆるプロキシーウオーを戦うよう組み込まれています。それを日本としてはどう受け止めるのか。
 三つ目の問題として、組織化された条約ベースの軍備管理・軍縮の終えんにどう向き合うかという問題です。
 国際社会では、条約をベースにした軍備管理・軍縮に対する悲観論が主流になっています。その中で、特に核兵器の問題にどう向き合うのか、真剣に考慮する必要があると考えます。
 ここで指摘させていただいた問題は、大綱、中期防の価値を落とすものではありません。大綱にも書かれているように、この文書が政策文書として生きたものであり続けるためには、状況の変化を取り込み、新たな視点の政策を発展させる必要があります。そのための検討の材料の一つとして、本日は私の所見を述べさせていただいたものであります。
 どうも、委員長、ありがとうございます。以上でございます。
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渡邉美樹#14
○委員長(渡邉美樹君) ありがとうございました。
 次に、柳澤参考人にお願いいたします。柳澤参考人。
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柳澤協二#15
○参考人(柳澤協二君) 柳澤でございます。
 時間も限られておりますので、お手元に二枚紙のレジュメ、二〇一八年の防衛計画大綱についてというのを御用意していただいたと思いますが、これに従いましてお話をさせていただきたいと思います。
 今度の大綱、非常に、何といいましょうか、意欲的な文書であるなということを感じているわけですが、一つ大きな特徴として、国際情勢認識の捉え方なんですけれども、もう基本的には米中の対立関係というものがあらわになってきている。それを踏まえた中で大綱にある言葉を幾つか抜き出してみますと、一つはパワーバランスの変化が加速していると、そして、その中で既存の秩序をめぐる不確実性が増大しているということを言っています。さらに、アメリカの動向として、その既存の秩序の修正を試みる中国、ロシアとの戦略的競争が重要課題になっているという指摘、さらに、国家間の競争によって、その一環としてグレーゾーンの事態がもう長期的に継続するものと認識しなければならない旨が述べられているわけですが、こういう状況は、この認識そのものを私は否定するつもりは全くありません。
 ただ、この中で、我が国の防衛力強化の位置付けについて、まさに我が国が自主的に同盟における役割を果たすために防衛力というものが必要であり、そういう防衛力の強化がまさに同盟を強化することになるんだという、こういう言い方は、私も長年防衛官僚をやっておりましたけれど、多分初めての、要は同盟の抑止力の中で日本の防衛力を位置付けるという言い方は、もちろん今までも関連はあったわけですが、こういう規定の仕方って初めてじゃないかなという感じがしています。まさに、米中の対立、秩序ということを言っていますが、軍事的には、ありていに言えば覇権をめぐる競争があるわけですけれども、その対決の中で、アメリカとの同盟の抑止力に一層傾倒して、傾斜していくという、こういう思想が背景に流れて大綱ができている。問題は、それが本当にそれでいいのかどうかという議論が必要だということだと思います。
 それから、その運用面でございますが、大綱というのは防衛戦略文書としてその運用、それから防衛力の整備の指針になるものでありますので運用面の特徴を見ていきたいわけですが、これはもう先に結論を、私の結論的な総括を申し上げますと、米軍と自衛隊の一体化を更に進めていく、そして、数で抑止するというよりは行動によって、いわゆる、何というんでしょうか、戦争理論で言うところの緊急抑止を重視しているということが言えると思います。
 具体的な大綱のワーディングとして言いますと、日米防衛協力、特に安保法制によって可能になった、これは米艦の防護等の活動のことですが、それを含めて一層の協力を強化するという表現、あるいはインド太平洋における日米共同のプレゼンスをやっていくとか、それから柔軟に選択された抑止措置という言葉で、相手の行動に対して、それに対応したこちらも行動をもって応えるという考え方が示されております。
 もう一つは、これは従来からでありますが、グレーゾーン事態が長期化する、その中でグレーゾーン事態からの拡大に対するシームレスな対処が必要だということが述べられているわけですが、これについてちょっとコメントを申し上げますと、二〇一八年、この大綱、昨年の十二月十八日ですが、昨年の一月の国会冒頭の施政方針演説の中で安倍総理が強調されていましたのは、昨年、昨年というのは一八年から見た昨年ですから、一七年に、自衛隊が初めてアメリカの艦艇、航空機を防護した、これによって日米同盟はかつてなく強固になったんだということをおっしゃっていました。ちなみに、一七年度には二回行ったわけですが、一八年度には十六回と言われています。
 一七年の二回というのは、北朝鮮情勢が緊迫して、米軍がこの日本の近傍に空母や爆撃機を出してきた時期ですから、それに対応したものであったと思いますが、一八年の十六回というのは、恐らく、アメリカが南シナ海あるいは台湾海峡での航行の自由作戦というものを頻度を上げております、これに対応した行動であるんだろうと推測されます。
 これは、何もないように工夫しておやりになっているとは思うんですけれど、実際に米軍が出ていくことによって、襲われる心配があるときに米軍の要請を受けて防衛大臣が承認する、そして発動される、そういう任務でありますから、本当にその現場で不測の事態があったときに、自衛隊は戦闘に巻き込まれるリスクを高める要素もある。つまり、同盟が強固になるという、こういう共同行動によって同盟を強固にするというのは、同盟も強固になるんでしょうけれど、一方で、自衛隊が現場で戦闘に巻き込まれるリスクも強固になるものと言わざるを得ないと思っております。
 それから次に、柔軟な抑止措置ということですが、これは一五年の日米防衛協力ガイドラインの中でもタイムリーな演習が抑止力を高めるという表現を取っておりますが、これは何かというと、軍事体制を全般を示すことによって相手に乱暴をさせないという一般抑止という概念とは違って、相手が出てきたときに、それにこちらも軍隊をぶつけることによって防衛の意思を示すというか、相手の行動を拒否しようとするという意味では一種の緊急抑止に当たる、あるいは前の前の大綱で言っていた動的抑止と同じ概念だと思いますが、これは非常に実はやり方が難しゅうございまして、相手が本気でやってきた場合に、こちらがそこに、現場に部隊を出せば、それはもう決して抑止が成立することはないわけですし、あるいは、相手がそこでびっくりするほどのことを抑止としてやってしまうと、かえって緊張を高めて相手に対して挑発という意味を持ちかねないという意味で、これはそう言うべくして実際の運用は極めて難しいものであろうと、そこを認識しなければいけないと思います。
 それから、もうかねてからのことでありますが、私はグレーゾーン、私も現役の官僚の頃は、なかなか日本の法制の階段の、何ていうんでしょう、垣根が高いものですから、何とかシームレスな対応ということを考えていたんですが、しかし、考えてみると、まさにそのグレーゾーンというのはまだいまだに軍事衝突でない状態であるわけですから、これをシームレスに、例えば海保の手に負えなくなったから自衛隊がシームレスに出ていくというのは、それはこちらが海警行動という警察行動であると主張したって、軍隊が出るというふうに相手は認識する、あるいは国際社会が認識した場合に、事態の拡大の引き金を日本側が引くような非難も受けかねないことになるので、やはりここのところはシームレスではなくて、政治がきちんとシームをつくるという思想を取り入れることがむしろ大事なのではないかというふうに思っております。
 それから、これもかねてからのことでありますが、島嶼防衛の運用上の表現の中で、島嶼を、島を守るためには航空優勢、海上優勢を確保しなければいけない、これはもうそのとおりなんですが、しかし、そこで続けて、万一占拠された場合には速やかに奪回するとあるんですね。これどうやって、つまり、占拠されるというのは航空優勢、海上優勢がないから占拠されているはずなので、そこでどうやって速やかに奪回するんだ、これはもう本当に部隊に私は不可能を強いることになりはせぬかということが心配であったんですが。
 もう一つは、一回占拠されてそれを奪回した、そしてどうするんだいという問題なんですね。相手が本気であれば二回目が来るわけですね、三回目が来る、どこまでそれを考えているんだ。どうも恐らくは、占拠されたままでは後の交渉になりませんから、奪回したという一定の優位な、こちらにとって有利な状況をつくって講和に持ち込むという、戦争学で言う講和に持ち込むということが背景にあるんだろうと思うんですが、しかし、こちらが優位な状況で講和に持ち込むことを相手が受け入れるかというのはこれはまた別の問題で、この辺も、本当に政治としてもどう実現していくのか、どう実際に事態が進んでいくのかということを悩んでいただきたいところだと私は考えております。
 それから、防衛力の整備目標としてのところで申し上げますと、一言で言うと、どこまで行くんだろう、つまり、目標としてここまであればいいよという。私は冷戦時代の昭和五十一年の防衛計画大綱の時代に防衛官僚として育ってきたわけですが、あの頃は、限定小規模な侵略に対して独力で対処をし、一定期間自力で持久すれば米軍の来援があると、こういうシナリオであらゆるスペクトラムの侵略に対処できるという発想があったんですが、ただ、今のこの立て方ですと、グレーゾーンがあって、そのグレーゾーンから本格的な衝突に至るかもしれない、全ての場面でどう対応していくか、しかも、相手は日本よりはるかに大きな軍事力を持った国、周辺国を相手にしようとするわけですから、どうも本当にその辺が、目標としてどこまで行ったら満足するんだろうかということが見えない、そういう何か息苦しさを感じざるを得ないんですが、具体的には、宇宙、サイバー、電子といった新たな領域でのこれはやはり対応が必要なことは私もそのとおりだと思うのですが、平時から有事におけるあらゆる場面で、あらゆる段階での優位を獲得するという目標が示されているんです。
 こんなことできるのかというのが、私は、その優位という言葉は、まあそれは望むらくはそのとおりなのでありますが、しかし、戦略というのは願望ではないのですね。何ができるかということを踏まえた上でもっと正確な目標を示さなければ、これは本当に、ここ、まさにどこまで行ったら済むんだろうか。そして、細かい話ですけれども、この大綱の中には、こちらが更に進んでその相手のサイバーの利用を攪乱するようなことも書いているわけですが、それってつまり一種のサイバー攻撃をこちらがするということなんですが、それは一体どういう法律的な根拠でやれるんだろうか。多分、武力攻撃ではないのかもしれませんが、あるいは武力攻撃として自衛隊法八十八条で、失礼しました、武力の行使としてやるんだろうか、どうもその辺もはっきりさせる必要があるのではないかと思っています。
 それから、長距離巡航ミサイルですとか陸上自衛隊で将来持ちたいという高速滑空弾、これは一種の、まあもちろん防衛のためにやろうとしているわけですけれども、少し前に出せば、あるいはブースターロケットのパワーを上げれば相手の国土まで届く兵器に当然なるわけですから、こういうものを持っていくことをどう考えていくかということも政治としてお考えいただく必要があるだろうと。
 二枚目に行きまして、策源地攻撃能力についても、これは同盟全体の抑止力強化のための観点で検討するということが言われている。あるいは、「いずも」型護衛艦の空母改修にしても、太平洋の航空優勢の目的が示されているんですね。
 これは、私、現職の頃は、もう太平洋を越えて敵が攻めてくるって考えたことなかった、太平洋の向こうはアメリカですから。これは多分、西太平洋が今、米中の軍事バランスの焦点になっている、その西太平洋の恐らく第二列島線の内側の航空優勢をどうするかという問題意識なんだと思うんですけれども、つまり、それって日本の国土の防空というよりは、まあまあ非常に単純に言えばアメリカ軍を守るということなんだねと言われかねない。
 あるいは、そうだったとしても、それでいいか悪いかではなくて、まさにこの大綱を貫く思想というのは、そうやってアメリカ軍を、抑止力としてのアメリカ軍を健全に保つことがトータルとしての抑止力なんだという発想で、同盟の抑止力というものを大事にするならばこれも一つの発想としてありということになるんですが、それでいいんだろうかという問題がある。
 それから、歴史的な考察のところ、簡単に言いますと、抑止力という言葉で全て説明し尽くされているような感覚でいるんですけれども、実は軍隊の役割というのは歴史とともに変わってきている。第二次大戦までの時代というのは、軍隊は戦って勝つために軍隊が使われた時代ですね。そして、冷戦の時代というのは、戦わないために抑止力として軍隊の存在意義が正当化された時代である。冷戦が終わって対テロの時代になりますと、戦争というよりは秩序の維持あるいは警察的な役割のために軍隊を使わざるを得ない時代があって、そして今日、米中の確執の中で、何というんでしょうか、航行の自由作戦なんかそうですが、これは戦争というよりは政治的な不快感を表明するために軍隊を出している、しかし、そのまま戦争をしようというつもりはないという、こういう軍隊の使い方が今日のトレンドになっている。そういう中で、抑止力という言葉だけでは言い尽くせない、安全保障をめぐる歴史的な変化を今日迎えているのではないかということであります。
 結びとして申し上げれば、やはり防衛力にどうやったって限界はあるわけですね。それを、防衛力が足らざる部分をどうするのか、それは私は、一言で言えば、政治が何とかしてくださいということなんですね。それを、その前にアメリカ軍に何とかしてもらおうと思ってしまうと、まあそれはその部分もあるのかもしれませんが、際限なくアメリカ軍に協力しなければいけないし、防衛力もどんどん増やさなければいけないということにならざるを得ないのではないかということです。
 本当の最後ですが、大綱の中にも、望ましい安全保障環境を創出するのをまず第一義という表現があります。望ましい安全保障環境って何でしょうかといえば、それは米中の対立がどこかで安定する……
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渡邉美樹#16
○委員長(渡邉美樹君) 時間が過ぎております。
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柳澤協二#17
○参考人(柳澤協二君) はい、申し訳ありません。
 米中の関係が安定することが多分一番望ましい安全保障環境なんだろうと思っています。そうなのか、それともアメリカの優位が引き続き保たれるような環境が望ましいのか、そういった根本的な認識について大いに政治の場でも御議論いただくことが必要なんだろうと思っております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
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渡邉美樹#18
○委員長(渡邉美樹君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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宇都隆史#19
○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。
 三名の参考人の先生方、本当に示唆に富むお話をありがとうございました。
 まず、岩崎参考人にお尋ねしたいことなんですが、宇宙に関することです。
 先ほど柳澤参考人のお話の中でも、この宇宙、サイバー、電子戦、新しい領域が入ってきたんだけれども、これを一体どこまで、どれぐらいの期間でやっていくのかという提言に関して、私も一つ大きなそこには課題を持っております。
 アメリカですら、宇宙軍という今度新しいものを創立させるわけですけれども、この宇宙のインフラ維持に関してはとても一国ではやり切れないということで、同盟国にこの宇宙の利用、活用、維持整備に関しての協力を求めているという情報も聞いておりますので、今後、自衛隊自身が宇宙を一つの軍事的なインフラとして活用していくときに、JAXAとの連携であったりとか、それから同盟国との役割分担であったりとか、こういうもののいろんなことを考えていくためには、現在は、先ほど発表の中にございました宇宙基本計画、これにのっとってやっているわけですけれども、改めて、この宇宙基本計画を見直すと同時に、防衛省独自としての宇宙の運用構想なるもの、どこまでやるのか、どれぐらいまでやるのかということを検討していく必要があると思うんですが、その辺に関しての御意見、いかがでしょうか。
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岩崎茂#20
○参考人(岩崎茂君) ありがとうございます。
 宇宙に関しては、皆様御承知のように、我が国は、昭和四十四年だったと思いますが、宇宙の平和利用というのがあって、必ずしも私たち自衛隊がここに関与できない部分がありました。ようやく二〇〇八年になって安全保障に関してもオープンになったわけですけれども、まだまだ宇宙に関して私たちは、ジャスト始めたばかりですので、必ずしも、どこまでやればいいのかとかどういうふうにやればいいのかというのは明確になっていないというふうに思います。今回の大綱に、まさしく初めてこういった宇宙に関する部分を書かせていただいたというふうに思います。
 今のところ、私たちが最も関心を持っていますのは、この宇宙を使った情報収集又は測位のこと、それから通信、こういった部分が主だというふうに思っています。少しずつこの分野というのはこの十年間でかなり拡充してきているんではないかなというふうに思っています。日本が元々持っていた例えば宇宙ロケットを飛び上がらせる能力だとかというのは、諸外国にそれほど引けを取るものではありません。かなりの技術を持っているところがありますので、今後は、こういった技術を使いながら、限られた防衛費の中で我々は何をやるかということを検討していかないといけない。まさに今、緒に就いたばかりだというふうに思っています。
 防衛省の中では、宇宙を管理する部隊というのをようやくこれから航空自衛隊の中に、これは陸海空の隊員たちが巻き込まれたやつですけれども、こういったのをつくっていく段階ですので、こういったところができた以降、そういった構想をつくっていくんではないかなというふうに思います。
 それから、JAXAとの関係は、既に航空自衛隊とJAXAの間で人員の、正式名称は少し失念しましたけれども、リエゾンを送ってかなりのいろんな情報交換をやっています。
 それから、米軍との関連ですけれども、米軍は宇宙軍、こういったものを創設することになっていますけれども、この宇宙軍のコマンダーは、元々は横田にいた在日米軍、訂正です、第五空軍の副司令官をやったレイモンド大将ですけれども、彼はかなり日本のこの宇宙の技術というのを掌握しているところがありますので、彼は日本といろんな連携をしたい。例えばSSA、宇宙監視、こういったものではかなりのデータのやり取りを今できるようになっていますし、それから意見交換が頻繁に行われるようになっています。
 今後とも、こういった部隊といろいろな情報交換をしながら、今後の我々の方針を決めていく必要があるというふうに思っています。
 以上です。
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宇都隆史#21
○宇都隆史君 ありがとうございました。
 続いて、佐藤参考人にお伺いしたいところで、佐藤参考人の意見陳述の中の第二の部分の国内産業基盤のところについての質問でございますが、参考人は、このいただいたペーパーの中で、分断が進む国際社会では、国家と企業が一致結束して営業活動を行うのが常識になっているので、防衛省・自衛隊と防衛産業を余り切り離して考えるべきでないという御意見で先ほどいただきました。
 私も、まさにそれはそのとおりで、これからよりそこを力強く進めていかなければならないと思っていまして、昨今、この我が委員会においてもですし、国会の中でも、海外から、特に米軍からのFMSの増加、あるいはさらにそれに伴う我が国内のサプライチェーンリスク、こういうのが大きなやはり問題になっております。
 一方、前政権の民主党政権時代につくっていただいた遺産でもあります防衛装備品移転三原則については、新しいこういう方針ができたものの、実質として現在完成品を海外に輸出したという実績はいまだにできていないというところが現状なんですね。
 それぞれのやはり装備品のコストを落としていくためにも、あるいは国内の産業基盤の維持であったりサプライチェーンリスクを回避するためにも、やはりきちんとした形での輸出の体制を整えていく。それに対しては、企業に独自に頑張らせるのではなくて、やはり政府も一体となってその活動に関与していくことが私は必要だと考えますが、そこに関する参考人の御意見をお聞かせください。
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佐藤丙午#22
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。
 今日の防衛産業の非常に難しい状況というのは、委員の皆様も御存じのことと思います。大きな問題は、FMSの問題がありましたけれども、FMSを増加させるということは国内に資金が流れないということでありますので、防衛予算を増やし、調達予算を増やしたとしても、それは国内産業基盤の維持につながらないということであります。
 しかしながら、輸出をすればコストが自動的に下がるというものでもありませんで、各国の事例を見ている限りにおいては、その完成品を輸出する場合においても、また共同生産においても、コストをどれだけ下げたかということについての実証的なデータをそれほど頻繁に見るものではありません。
 したがって、防衛産業の維持発展においては、やはりこれは政策主導で行うべきであり、コストを度外視するというわけではありませんけれども、コストをある程度国の方がかぶるという視点が必要なのかなというふうに思います。
 その中で、では、じゃ、経済的な理由で武器の移転また防衛装備品の移転を積極的に進めようということにはそれなりに問題点もありますし、国内のこれまでの経緯を考えますと、それほど簡単に受け入れられるものでもないと思います。そうなってくると、外交政策と産業政策、防衛政策をリンクさせることによって、例えば東南アジア諸国の能力開発であるとか、また海洋の安全保障であるとか、また、先ほど米国との関係指摘されましたけれども、米国との共同作戦の推進であるとか、また先端技術を獲得するための二国間の協力であるとか、かなり焦点を絞った形で、政治が主導する形での産業基盤の育成というのが必要であるというふうに考えております。
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宇都隆史#23
○宇都隆史君 ありがとうございました。
 最後に、柳澤参考人に御質問させていただきますが、最後のまさに結言のところで、個々の部分については非常に共感する面もあります。同時に、いわゆる緊急抑止の話でありましたとか、それから、同盟全体の抑止強化のための防衛大綱あるいは防衛力の強化というのは少しずれているんじゃないか、そういうような御意見であったやに伺っております。
 ただ一方、ちょっと、策源地攻撃能力、今回はこれは大綱に盛り込まれなかったわけですけれども、私は逆に、米国という同盟国に全てを依存するんではなく、その依存の体制を少しずつ減らしながら我が防衛省独自としてできる領域をしっかりと、役割を増やしていくという意味では、一つこの策源地攻撃能力の保有というのは真剣に議論していくべき、逆に、柳澤参考人が言われた、これは同盟国の抑止力のためとかではなくて、日本独自の抑止力の拡大の意見なんではないかなというふうに認識をしているんですが、この件に関しての御意見をもう少し詳しくお聞かせください。
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柳澤協二#24
○参考人(柳澤協二君) 特にミサイル防衛の関係だと思いますけれども、ミサイル防衛、飛んできたミサイルを基本的に一〇〇%は落とせないわけですね。であるがゆえに、では撃たれる前の発射台を破壊すればいいという発想があるわけですけれども、これも一〇〇%全ての発射台を同時に破壊するというのはまず不可能だというふうに言われているわけです。したがって、仮にミサイルが日本を襲った場合にはアメリカの報復というものがあるぞということによって抑止しようという発想になっているわけですね。
 これは、しかし、ミサイルの時代というのはもう非常に、今までと違って一発落ちると非常に大きな被害も出る可能性があるわけですから、結局、一〇〇%のミサイルからの安全を確保しようとしたら、私はどちらかというと、そういう発射前に破壊する、発射されたものを破壊する、落ちたらやっつけるという流れだけではなくて、相手がミサイルを撃ってこようとする意図の実現をどうやって、その動機をどうやって防ぐか、まさに対立関係があって戦争になる中でミサイルが飛んでくるわけですから、そういうことを考えた方がいいということで、日本が独自にそういう能力を一部でも持つということが、相手からすれば、それは多分政治宣伝の部分もあるかもしれませんが、相手からしてみれば日本だって攻撃能力を持ったじゃないかということで、これは思わぬ、何というんでしょう、軍拡の引き金にならないとも限らない。
 そういうことも含めて考えて、要は、ミサイルからの一〇〇%の安全ということを考えるのであれば、そういう兵器によってやっていくという方向、少なくとも、だけではなくて、どうやって相手がそういうミサイルを使って戦争をするような動機を緩和してなくしていくかという観点も入れる必要があるんじゃないかというのが私の考え方であります。
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宇都隆史#25
○宇都隆史君 ありがとうございました。
 三人の参考人の先生方にいただいた非常に示唆に富む御意見を踏まえながら、また次回、我々、政府に対する質疑に臨みたいと思います。
 ありがとうございました。
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小西洋之#26
○小西洋之君 立憲民主党・民友会・希望の会の小西洋之でございます。
 まず、参考人の三名の先生方、この度はお忙しい中に当委員会に誠にありがとうございました。それぞれから大変貴重な御見解を賜りました。
 私の方では、柳澤参考人中心に伺わせていただくことになろうかと思うんですけれども、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、この国家安全保障戦略、安保法制、またこの新しい大綱に至るものなんですけれども、私も見ていて、これの致命的な問題というのは、柳澤参考人の御提言とも重なると思うんですが、一言で言うと外交がないと。もう軍事的な路線一辺倒であって、政治が責任を持って主体的に担う、そうした外交の在り方というものが見えないということを強く問題意識等持っております。
 その上で、この安保法制や新大綱の下で何が国民にとってリスクとして起こり得るのかということからまず伺わせていただきたいんですが、先日、トランプ大統領がやってまいりまして、「かが」ですね、護衛艦、今度空母に改装する、に乗りました。アメリカの大統領が自衛隊を視察するのも初めてのことでありますが、ああいうことも含め、自衛隊とアメリカ軍のもう軍事的な一体化がこうした形で進むと、これは佐藤参考人の方からいただきました、地域紛争に巻き込まれるのではないかという問題提起ではないかというふうに受け止めさせていただいているんですが、いざアメリカが世界のどこかで日本の安全に直接軍事的に関わらないような戦争を起こした場合でも、それにアメリカが来てくれと、「かが」を出してくれと言われれば、日本はもう政治的にも断れないような、そうした状況に今なってしまっているのか。
 そうした意味で、国民にアメリカの戦争に引きずり込まれるというようなリスクが生じているのじゃないかというような点について、御見解をお願いいたします。
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柳澤協二#27
○参考人(柳澤協二君) 「かが」にトランプ大統領が乗艦されたときに、正確ではありませんが、新聞報道ですと、これで日本はもっとたくさんのことがやれるようになるよねという趣旨のことをおっしゃっていたと思うんですが、まさに同盟というのは一種拘束されるという意味合いが元々あって、絶えず、巻き込まれる不安と、そしていざというときに見捨てられるんではないかという見捨てられる不安というのがあるわけですね。今、どちらかというと見捨てられる不安を感じるがゆえに、巻き込まれる方の不安はちょっと大目に見ようというか、まさに日米が軍事的、作戦的に一体化できるようにするということは、ある種自動的に巻き込まれることもやむなしという思い切りがそこにあるのかなという気がしています。
 それは、当然そこで政府の判断というのは入ると思うんですが、南シナ海なんかは特に我が国にとっても非常に重要なシーレーンであるということも言っている、海洋の自由のような政治的な重要性も強調されている。その中で、何か言われたときに、昔であれば、そんなこととてもできませんよと言えばアメリカもそうだよねということで引き下がったと思うんですが、やってくれと言われて、できるようになったんだろう、だからやってくれと言われて、どうやって断るんだろうかというのが、今のこの大綱までの考え方の中からはどうやっても論理的には出てこないということは言えると思っております。
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小西洋之#28
○小西洋之君 ありがとうございました。
 重ねて、国民に生じているリスクについて伺わせていただきたいと思います。
 柳澤参考人にまた伺わせていただきますが、北朝鮮が米朝首脳会談を始める前でございますけれども、アメリカ・トランプ大統領が空母カール・ビンソンなどを派遣しまして、最強、無敵艦隊を派遣すると。そこに自衛隊が共同訓練を実施いたしました。
 これは私、政府の公式見解として文書で出しておりますが、戦後、北朝鮮は、在日米軍基地は北朝鮮の敵であると言ってそこに攻撃の意思を示したことはあるんですが、日本国民や日本のその他の地域、東京などですね、それを敵であるというふうに宣言して、いざとなると、最後は核ミサイルで日本の島を沈めるとまで言いましたけれども、そうしたことは言ったことはありませんでした。
 そうした日本国民や日本国そのものを敵とみなすという発言をする前に、北朝鮮は様々なそういう公式の声明を、共同訓練をやめないとそうした敵とみなすということをずっと言い続けているんですが、私は思うに、ああいうアメリカの武力による威嚇に対して、日本が、自衛隊が共同訓練を北朝鮮の目の前でやるということは、かえって北朝鮮に攻撃の口実等々を与えることによって国民にそうした危険を生じさせているのではないかと。
 ただでさえ、アメリカと北朝鮮が戦争になったときには日本の在日米軍基地が攻撃対象になるのに、それ以外の日本国民などに対してもそういう危険を生じさせしめている、極めて合理性を欠く、そうした国家としての行為ではないかと思うんですが、いかがでしょうか、柳澤参考人。
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柳澤協二#29
○参考人(柳澤協二君) これも先ほどの宇都先生のお話ともちょっとつながるところはあるんですが、なぜ、ミサイルを北朝鮮は撃ってくるとすればどういう動機に基づいてやるんだろうかということを考えますと、日本と北朝鮮の間に戦争しなければ片付かないような紛争要因というのは、私はないと思っています。あるとすれば、日米安保体制の下で米軍が日本を足掛かりにして北朝鮮を攻撃するかもしれないという、それに対する恐怖が北朝鮮の動機となって日本に対するミサイル攻撃というのが、理屈の上ですよ、理屈ではそういう順序であり得るのかなというふうには思っているんですね。
 ですから、そこでは、何というんでしょうか、協力は当然私はあり得るとは思うけれども、それを政治的なメッセージにまでするというのは、それが果たして政治の姿勢としていいやり方なのかどうかというのは議論の余地は大いにあるんだろうなというふうに思っております。
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