資源エネルギーに関する調査会

2019-02-13 参議院 全106発言

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会議録情報#0
平成三十一年二月十三日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         鶴保 庸介君
    理 事         青山 繁晴君
    理 事         赤池 誠章君
    理 事         石井 浩郎君
    理 事         矢田わか子君
    理 事         江崎  孝君
    理 事         熊野 正士君
    理 事         儀間 光男君
    理 事         山添  拓君
                井原  巧君
                石井みどり君
                石田 昌宏君
                金子原二郎君
                そのだ修光君
                松山 政司君
                森 まさこ君
                渡辺 猛之君
                渡邉 美樹君
                田名部匡代君
                浜野 喜史君
                山本 太郎君
                鉢呂 吉雄君
                竹内 真二君
                中山 恭子君
                市田 忠義君
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十八日
    辞任         補欠選任
     田名部匡代君     片山 大介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴保 庸介君
    理 事
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                石井 浩郎君
                矢田わか子君
                江崎  孝君
                熊野 正士君
                儀間 光男君
                山添  拓君
    委 員
                井原  巧君
                石井みどり君
                石田 昌宏君
                金子原二郎君
                そのだ修光君
                松山 政司君
                森 まさこ君
                渡辺 猛之君
                渡邉 美樹君
                浜野 喜史君
                山本 太郎君
                鉢呂 吉雄君
                竹内 真二君
                片山 大介君
                中山 恭子君
                市田 忠義君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        山内 一宏君
   参考人
       公益財団法人地
       球環境産業技術
       研究機構システ
       ム研究グループ
       グループリーダ
       ー・主席研究員  秋元 圭吾君
       東京大学公共政
       策大学院教授   有馬  純君
       特定非営利活動
       法人気候ネット
       ワーク理事    平田 仁子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
 (「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギ
 ー像」のうち、我が国資源エネルギーの展望(
 気候変動と資源エネルギー))
    ─────────────
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鶴保庸介#1
○会長(鶴保庸介君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、田名部匡代君が委員を辞任され、その補欠として片山大介君が選任されました。
    ─────────────
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鶴保庸介#2
○会長(鶴保庸介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力等エネルギー・資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鶴保庸介#3
○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鶴保庸介#4
○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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鶴保庸介#5
○会長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力等エネルギー・資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鶴保庸介#6
○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
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鶴保庸介#7
○会長(鶴保庸介君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。
 「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギー像」のうち、「我が国資源エネルギーの展望」について調査を行うに当たって、本日は「気候変動と資源エネルギー」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループグループリーダー・主席研究員の秋元圭吾君、東京大学公共政策大学院教授有馬純君及び特定非営利活動法人気候ネットワーク理事平田仁子君でございます。
 この際、参考人の方々に御一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 本日は、御多用のところ当調査会に出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 議事の進め方でございますが、まず秋元参考人、有馬参考人、平田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、秋元参考人からお願いをいたします。秋元参考人。
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秋元圭吾#8
○参考人(秋元圭吾君) それでは、私の方から、エネルギーと気候変動関連の状況分析と今後の対応の在り方として御説明させていただきます。(資料映写)
 まず、こちらのグラフでございますけれども、世界の経済成長とCO2排出量の関係を示しております。横軸に世界のGDP、縦軸にCO2排出量を取っております。
 見ていただいて分かるように、GDPとCO2排出量は非常に強い相関が見られるということでございます。一方、二〇一三年から一六年にかけて世界のCO2排出量はほぼ横ばいになってきていたという状況がございまして、これはGDPとCO2排出量のデカップリングが成功したのではないかという意見もあったわけでございます。
 ただ、我々の分析からしますと、これの要因を見てみたということでございます。そうしますと、実は、世界のCO2排出量、大きな直線のトレンドと比べて、リーマン・ショック以降の二〇一一年から一三年辺りにかけて急激な伸びを示したということでございます。この要因は何かといいますと、中国の鉄やセメントを大量に造ったという状況でございます。ただ、余剰に造り過ぎましたので、その生産調整が必要で、二〇一三年から一六年にかけて横ばいになったという動きが大きな要因の一つでございます。
 もう一つの大きな要因は、米国のシェールガスの影響でございます。シェールガスは安価に使えるようになったということでございまして、経済自律的に石炭から天然ガスへ米国ではシフトが行われてきたということが影響しまして、世界のCO2排出量は大きく横ばいの傾向が見られたということでございます。
 ただ、それではこの傾向が将来も続くのかといいますと、我々の見方はそう甘くはございませんで、これから、今後、中国等非常に経済が発展する中で、世界のCO2排出量は潜在的にまだ伸び続ける状況にあるだろうというふうに見られるわけでございます。
 さらに、直近の動きとしましても、二〇一六年までは横ばいでしたけれども、二〇一七、一八年とまた増える傾向が出てきております。なぜかといいますと、中国の生産調整が一段落したという状況で伸びてきているということでございます。結局、なかなかこの世界のCO2排出量は止められていないということはよく理解しておく必要があるかと思っております。
 続きまして、こちらは電力を見たものでございます。横軸、同じく世界のGDPでございますが、縦軸は電力消費量を取っております。先ほどのグラフ以上に非常にGDPと電力消費量の強い正の相関関係が見られるということでございます。言い換えますと、GDPを伸ばすには何らかの形で電力消費を伸ばしていく必要がある、逆に言いますと、電力消費が伸びることによってGDPが伸びていると。これは、近代国家である以上、何らかの経済活動にはエネルギーが使われ、特に電力というのは非常に重要な財であるということでございます。
 それでは、国別に見たらどうなるのかということがこちらのグラフでございます。先ほどは非常に単純な直線になっておりましたが、ここは、横軸、一人当たりGDP、縦軸に一人当たりCO2排出量を取りまして、世界の主要国について記載したものでございます。望ましい姿は、右下の方に動いていくということが望ましいわけでございます。要は、GDPは伸びるんだけれども、CO2排出量は減っていくという姿でございます。
 日本はどこにあるかといいますと、真ん中辺りに赤い線で記載しておりますが、横ばい傾向を続けながら、どちらかというとGDPが増えながらCO2排出量も緩やかに増加しているという状況でございます。
 一方、右下辺りにスウェーデンやスイス、そしてもう少し手前の方でいくとフランス等があるわけですけれども、こちらはCO2排出量は一人当たりでは小さい割にGDPが高い国ということになっていますし、右下の方に少しずつ移行しているようなふうにも読めるわけでございます。
 ただ、一方で、世界は非常に多様でございまして、米国なんかは非常に高いところにいますし、中国はまだ左の方におりますけれども、急激にCO2排出量を伸ばしているということでございます。これは一人当たりにしていますので少し小さいように見えますけれども、中国は人口が多うございますので、相当大きなCO2排出量となって、世界で最大のCO2排出量を出しているということになっております。
 続きまして、それでは、右下の方にあったスイスやスウェーデン、フランス、ノルウェーといったような国がどういう電源構成になっているのかということでございますが、暖色系の色が化石燃料でございます。そのほか、水力が薄い水色、真ん中辺りに薄い黄緑色のような色で表示した部分がありますけれども、ここが原子力でございます。
 見て分かるように、これらの国は水力と原子力に非常に大きく依存して低炭素の社会をつくっているということでございます。日本は、一番右に記しておりますが、化石燃料等バランス取れたような形になってきておりましたが、震災以降、化石燃料に大きく依存するような形にならざるを得なかった、今そういう状況にあるということでございます。
 よって、今よく議論があるのは、炭素プライスを付けて、炭素税等を入れてこの脱炭素化の方に移動させようという動きがありますけれども、これらスイスやスウェーデン、フランス、ノルウェーといった国は炭素価格が入っているわけでございますが、元々こういう低炭素なエネルギー構成になっているのでそういう炭素税とかそういうものを入れやすいという構造があるということを御理解いただかないといけなくて、化石燃料にある程度依存せざるを得ない日本において、余り大きな炭素税とかそういうものを入れてしまうと非常に経済に大きなインパクトが出てくるということでございます。
 次のグラフでございますが、こちらは欧州の排出量の動きを示したものでございます。
 少しグラフ複雑で申し訳ございませんが、生産ベースCO2と書いてある水色の棒グラフの方をまず注目していただきたいと思いますが、欧州は、皆様御承知のように、CO2排出量は減ってきております。この水色のグラフでいきますと一九九五年から二〇一一年にかけて八%減っているという推計でございます。ただ、これは、普通の言うCO2排出量、要はその国の煙突から出ているCO2排出量をカウントしたものが生産ベースCO2でございます。
 一方、オレンジの部分、これが非常に注目すべき排出量でございますが、これは専門用語では消費ベースCO2というふうに呼んでおります。何かといいますと、例えば欧州が中国で鉄を造ってもらって、そうすると、鉄を造るときにCO2が出ますので、そのCO2カウントは、生産ベースCO2では中国にカウントされるわけでございますが、鉄を欧州が輸入したり、若しくはほかの製品に変えた形で、電気製品とか若しくは自動車とか、ほかの製品に変わった形で輸入して、最終的に欧州でその製品を使ったとすると、欧州が排出したというふうにみなすということで計算したものでございます。すぐ分かるように、世界全体で足し合わせますと生産ベースCO2も消費ベースCO2も一緒になるということですけれども、どこで生産したかによってこの動きが違ってくるということです。
 そうしますと、欧州は、消費ベースCO2で見ますと二〇〇七年から八年ぐらいには一一%も増えていた、二〇一一年の推計でも二%しか減っていないということでございます。何かと申しますと、製造業、エネルギー多消費の製造業を外の、海外に押し出して、代わりにサービス産業等に転換することによって見かけ上CO2が減っているということでございます。ただ、世界のCO2に対しては全く削減に貢献していないということでございます。
 一方、日本はどうかということでございますが、同じグラフになります。日本の場合は、生産ベースCO2もほぼ横ばい、消費ベースCO2もほぼ横ばいということでございます。消費ベースCO2で見ると欧州と同じ二%減ということで、生産ベースCO2の削減率は欧州に比べ見劣りがしますけれども、消費ベースではほぼ同じということでございます。何かと申しますと、日本の場合は、しっかり製造業を国内にそれなりに維持しながら労働者の雇用を維持して対策が取れてきているということでございまして、欧州は、一方で、製造業を潰すような形になって、雇用が失われる形になって、代わりにサービスのところで稼いでいるということでございます。典型的には次のグラフで申し上げたいと思います。
 こちらは、同じことでございますが、原単位を見たものでございまして、GDP当たりのCO2排出量ということで、日本と米国、欧州、スウェーデンということを比較したものでございます。上のグラフでいきますと、こちらが生産ベースCO2でGDPを見たものということになりますが、そうしますと、赤いラインが日本になりますが、余り下がっていないように見えるかと思います。一方、スウェーデンに関しては急速に改善してきていると。要は、CO2の生産性を上げているというような形に見えるわけでございます。
 一方、下のグラフ、消費ベースCO2で同じグラフを作り直してやるということをしますと、ここで表示した四つの国はほぼ同じラインを通っているということでございます。一つだけ違うのは、日本が二〇一一年以降、原発が停止したことによって化石燃料に代替せざるを得なかったことでCO2が増えているということが見えますけれども、それ以外の部分に関してはほとんど同じペースで下がってきているということで、全然スウェーデンや英国、ほかの国と見劣りしているような動きは示していないということでございます。
 それでは、コストの話を少し申し上げたいと思います。済みません、このグラフは非常に複雑で細かいのでピンポイントでポイントだけ申し上げたいと思いますけれども、これは、英国の産業部門別にエネルギーコストをどれぐらい負担しているのか、そしてその産業がどれぐらい成長しているのかを示したものでございます。横軸が部門別の成長率、縦軸がその部門のエネルギーコストの負担率ということでございます。
 そうしますと、見て分かるように、右下の方に下がっているということが見えます。要は、エネルギーコストを負担していない産業部門については成長率が高いと。一方で、エネルギーコスト負担が大きい産業、例えば素材産業みたいなものがそうですけれども、鉄とか化学製品とかそういうものは原材料から造らないといけませんので、エネルギーの消費量が大きいわけでございます。そういう産業は低成長になって、マイナス成長の方になっているということでございます。右の方にある産業はどういうところかといいますと、金融とか保険とか人材派遣業とか、そういうところはエネルギーの消費が少ない産業ですので、成長が割と高いような状況になっているわけでございます。
 英国はどうして成長しているかというと、欧州の統合の中で、そういう金融とか保険業という部分がシティーのところで非常に成長する形をつくることができて、代わりに製造業がエネルギーコストの負担を受けてかなり苦しんでいるという状況でございます。
 同じことはドイツでも言えるということでございます。ちょっと時間の関係上、詳細は割愛させていただきます。
 続きまして、今申し上げたことを少し全体解釈させていただきますと、英国は電力コストが非常に上昇してきています。ただ、その負の経済影響を金融とか保険を含んだサービス部門での競争力の強化で補ってきたという背景がございます。これは、欧州の統合によって、さらにそこで高度な人材が移民として流入してきているという部分で成長を押し上げてきたということでございます。一方で、御承知のように、製造業の労働者が雇用環境が悪くなって失業等が起こって、この不満がブレグジットを一つの引き金として引き起こしているという実態がございます。
 一方、ドイツについては、電力コストは大きく上昇してきたわけでございますが、ここは家庭部門に電力コストの上昇を、負担を押し付けている部分もありますが、それ以上に欧州統合という枠組みの中で足を引っ張っている国があるわけです。南欧の諸国は、イタリアとかギリシャとかスペイン等は成長率が非常に低くて足を引っ張っているので、欧州のユーロが相対的に安い形になっているわけです。そうすると、ドイツがその安いユーロを使って製造業の競争力を高め、海外に輸出することができるようになっている。ただ、日本にはそれは当てはまらないということをよく理解する必要はあるかと思います。
 イタリアは、余り製造業の競争力もありませんし、サービス産業の競争力も少ないので、非常に低成長、そして失業が多くなっているという状況でございます。
 フランスについては、御承知のように、燃料税増税ということを行おうとしましたけれども、イエローベスト運動の抗議活動が非常に高まって、一旦、事実上撤回しているという状況でございます。これも、サービス産業が大きいパリ辺りの都心部と、田舎の方の、地方の実際にはもう車を使わざるを得ない、公共交通機関整備できていないようなところとの認識のギャップが非常にある中でこういう問題が起こってきているということですので、例えば日本全体でどういう状況なのかということをよく理解した上で政策を打たないといけないという、非常に大きなメッセージを発しているのではないかというふうに思います。
 米国は、シェールガスで少しうまくいきつつあるということでございます。
 日本は、こういうことを学びながら適切な政策を打っていくということが重要でしょうというふうに思うわけでございます。
 続きまして、二〇三〇年、日本は、国別貢献ということで、パリ協定の下でNDCと呼ばれるものを提出しているわけでございます。排出削減目標です。
 御承知のように、二〇一三年度比で二六%減というのが日本の削減目標でございますが、これを米国は二〇〇五年比で二六から二八%減、EUは一九九〇年比で四〇%減という数字を出しておりますが、二〇一三年比でそろえますと、日本の二六%減というのは最も厳しい数字を出している、最も意欲的な数字を国際的にコミットしているという状況でございます。
 更に申し上げますと、中国、一番下でございますが、中国もNDCというものを出しておりますが、これは二〇三〇年CO2排出原単位を二〇〇五年比で六〇から六五%削減するというもので、数字だけを見ると日本よりも相当大きい意欲的な数字を出しているように見えるわけでございます。ただ、こちらは原単位目標と呼ばれるものですので、GDPが成長すれば自動的にこれは改善していく形になりますので、我々の推計では大体、排出量に直しますと、二〇〇五年比で一〇五から一二九%増えるということで、二倍から二・三倍ぐらいに増えるような目標しか出していないということでございます。
 続いて、それではもう少しコストの面で各国の目標を評価しましょうということです。コストは評価が非常に難しいので不確実性があるということは御理解いただきたいと思います。ただ、これはRITEの我々のモデルを使って詳細に評価したものでございます。
 そうしますと、日本の排出削減目標というのは、スイスに次いで二番目ぐらいに非常に厳しいコストの掛かる対策目標を出しているということでございます。一方、下の方に行っていただくと、インド、ウクライナ、中国等はゼロということでございますが、ゼロというのはどういう意味かといいますと、経済の成り行きに従っていれば目標を達成できるような目標しか出していないということでございます。
 この費用に差があるということはどういうことかと申しますと、日本の製造業、特に製造業の国際競争力を損なってしまうという可能性があるということでございます。この負担を製造業は背負いながら国際競争に立ち向かっていかないとということにならないといけないわけでございますので、非常に慎重に目標の議論ということは引き続きやる必要がありますし、世界の、特に中国等低いところの目標に関しては引上げを求めていくということは必要だろうというふうに思うわけでございます。
 長期の目標でございますが、パリ協定の下でも二度目標等が定められているわけでございますが、これはIPCCのグラフでございます。非常に厳しい排出削減目標を二度目標というものはプレッジしているわけでございます。そう簡単にできる目標ではなくて、やはりイノベーションがなければ到底できるような削減目標ではないということを御理解いただきたいと思います。数字の議論は飛ばしますけれども、非常に大きな限界削減費用が生じるような目標になっているということでございます。
 そうすると、我々が考えていかないといけないのは、もっと、費用を掛けなくても、経済自律的にCO2を下げるようなイノベーションを生み出していくということは何より重要で、そうしなければ二度目標といったような非常に厳しい国際的な目標を達成することは不可能だろうということでございます。
 こちらはそのイメージ図でございますが、左のグラフ、普通は、ベースラインシナリオと破線で描いているところ、CO2排出量は普通に放っておくとかなり伸びていきますので、二度目標等の赤いラインのように非常に厳しく削減していかないといけない。そうすると、ギャップがありますので、ギャップを例えば炭素価格のような価格シグナルとかそういう政策によって埋めていかないといけないという議論があるわけでございますが、こういうふうに国際競争力に配慮しないといけない中で、国際協調ができればいいですけど、パリ協定の下で、先ほど見たように限界削減費用が非常に違うような状況でそれほど協調ができるかというと、現実には非常に厳しいんだろうと思っております。そうしますと、右の形にありますように、ベースラインでもCO2が減っていくようなイノベーションを誘発しないといけないということでございます。
 それでは、イノベーションというのは何なのかということを申し上げたいと思いますが、今、IT、AI等の革新が物すごく速く進んでおります。このAIとかITというのは、一見温暖化対策技術やエネルギー技術だという感じはしないかと思いますけれども、実は、これがいろいろな形で製品に体化され、物に変わっていくことによってエネルギー消費が下がっていく可能性を大きく秘めているわけでございます。
 右側の絵でいろいろな家電製品描いておりますけれども、それを使うと消費量が相当大きいわけです。しかも、その製品を作るのにまたエネルギーが掛かるわけでございます。ただ、左側にあるようなスマートフォンのような形になってくると、相当小さいエネルギーの消費になりますし、体化されたエネルギーといいますけれども、その作るためのエネルギーも小さくて済むということでございますし、さらに、完全自動運転で自動車がシェアリングされるというような社会がこのAIとかITによってやってきたとすると、自動車の稼働率が非常に高くなりますので、自動車の台数が少し少なくても済むようになる。しかも、ライドシェアというものになりますと、CO2の排出量が、エネルギー消費量もCO2の排出量も減っていくということになるので、それを誘発するのはAIとかITといったようなイノベーションですし、さらにそれを制度的に支援するような政策というものは非常に重要だということでございます。
 ちょっと時間そろそろだと思いますので、飛ばして総括意見ということを申し上げますが、最初の部分、気候変動は深刻な被害をもたらす可能性があって、リスクを認識して対応に当たっていく必要があると。ただ、温暖化の影響被害というのは、それだけがリスクではなくて、対応するためのコストもリスクなわけでございます。余りに非常に大きな経済負担を持ってこれに当たってしまいますと、日本の製造業の競争力が失われ、コストが上がって、これがまたリスクを生んでくるということでございますので、総合的なリスクマネジメントが重要だと。
 長期的には正味でCO2排出量をいつかゼロにしないといけないということでございますが、ただ、そこに至る間に関しては不確実性を持って、うまくやっていく必要があるだろうというふうに考えております。ただ、長期的には、再エネの拡大、そして原子力も、やはり難しい問題は抱えていますけれども、気候変動対策という面で非常に重要なオプションだというふうに考えているところでございます。
 一方、製品等をどういうふうに展開していくのか、製品、サービスをどう展開していくのか。これは、エネルギーが直接ではないんですけれども、我々は、別にエネルギーを使いたくて使っているわけではなくて、製品やサービスを受けたくて結果としてエネルギーを使っているわけなので、いい製品、そしていいサービスをつくっていくということが大事だということでございます。
 最後、やっぱりエネルギーは経済の血液なので、健全なエネルギーが極めて重要だということで、気候変動は重要ですけれども、Sプラス3Eのバランスを保持したエネルギーを志向しながら、国際協調の中で低炭素化を図っていくことが重要だと。
 あと、ソサエティー五・〇というのは、政府も出しておりますけれども、この概念は非常に重要で、それを是非推し進めていっていただいて、結果としてエネルギーを減らし、CO2を減らしていくということをやっていくということが大事だろうというふうに考えているところでございます。
 どうもありがとうございました。
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鶴保庸介#9
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 次に、有馬参考人にお願いをいたしたいと思います。有馬参考人。
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有馬純#10
○参考人(有馬純君) それでは、私の方から意見陳述をさせていただきたいと思います。(資料映写)
 私自身、政府の一員として気候変動交渉に長く関与してきたということがございまして、この温暖化の問題というのは非常に難しいなということを実感しております。
 それで、なぜ温暖化問題が難しいかということですけれども、一つはいろいろな不確実性があると。温室効果ガスが温暖化をもたらしているということは科学的にほぼ確実であるとしても、温室効果ガスの濃度が産業革命以降倍増したときに一体何度温度が上がるのか、あるいは温度上昇に伴う損害額がどれぐらいなのか、あるいは削減コストがどうなるのか。それは当然、技術開発のスピードにも影響を受けてきますし、それから将来の化石燃料の価格はどうなるのか、更にもっと言えば地政学、地経学がどうなるかといった、いろいろな不確実性があるということがまずあるということでございます。
 先ほど秋元先生からもお話がありましたが、温室効果ガスというのはほぼ全ての経済活動に起因しております。温室効果ガスの削減あるいは抑制ということには当然コストが掛かってくるということになるわけです。温室効果ガスの削減が経済にプラスになってウイン・ウインのソリューションになるということであれば、私が関与してきた温暖化交渉がかくも難航するはずがないということがあるわけでございます。
 さらに、一番難しい問題というのは、温室効果ガスの削減のベネフィットというのはこれはグローバルであると。地球温暖化の防止ということですからグローバルな便益が生ずるわけですけれども、そのための、削減のためのコストというのは各国で生ずるということでございます。そうなると当然ながらフリーライダーというものが発生をするわけであって、米国のトランプ政権はまさにその典型になるわけでございます。地球レベルで外部不経済、温暖化問題というのは外部不経済になるわけですけれども、それを内部化するためのコストをどう国の間で分担するかということを合意するのが極めて難しいという性格があるわけでございます。
 加えて、温暖化問題というのは非常に長期の課題であると。長期にわたって行動しなきゃならないわけですけれども、それは要するに将来世代のために現在の世代がどれぐらいのコストを負担するのかということにつながってくるわけであります。他方で、各国の政治サイクルというのはもっと短いということになる。これも非常に難しい問題であります。
 加えて、温暖化といったときに、温室効果ガスの削減という緩和の問題と、それから温室効果ガスが増えてしまったことによって生じた温暖化にどう対応するかというその適応、この対策のバランスをどう取っていくかという問題がございます。
 また、ほかの地球規模の課題、例えば食料生産であるとか貧困の撲滅、保健、エネルギーアクセス、こういった問題がある。我々が持っている資金あるいは人材のリソースというのは限られているわけであります。その中でどうやってプライオリティーを付けていくかという問題になってきます。
 こちらがパリ協定の枠組みということでございますけれども、ざくっと申し上げますと、世界全体の目標として産業革命以降の温度上昇を一・五度から二度以内に抑えるということになってございます。これが地球全体の目標でございます。
 他方、各国の行動といたしましては、国情に応じて、これは先進国、途上国問わずですが、温室効果ガスの削減、抑制のための目標を設定し、その進捗状況を定期的に報告をし、多国間のレビューを受けると。それから、その目標は五年ごとに見直すと。それから、この目標というのは大体二〇三〇年を念頭に置いたものでありますけれども、より長期の二〇五〇年の長期戦略も作りましょうということになっていて、まさに日本は今この長期戦略を策定する途上にあるということであります。
 そうなりますと、地球全体のその温度目標というものが片方であり、片方では各国の行動というものがあると。この両者が本当にマッチするんだろうかという疑問が当然生ずるわけでありまして、そのための枠組みとしてグローバルストックテークという真ん中の黄色い四角があるわけでございます。これは、二〇二三年から五年ごとに世界全体の目標に向けた進捗状況をチェックする、そのチェック結果を各国が持ち寄ってその五年ごとの目標の見直しに反映させていくと、こういう設計になっているわけでございます。
 パリ協定の下で各国が出した目標については先ほど秋元先生の方からお話がありましたので割愛をいたしますけれども、この目標が、じゃ、十分なのかというと、実は全然十分じゃないということでございます。
 一番上のライン、この赤いラインというのが温暖化の危険性を高める高排出パスと、これは何も温暖化対策を講じない場合ということになります。それで、この青い線、これは二度目標と整合的な排出のパスということになります。それで、今我々がいるのはその真ん中の点線。パリ協定の下で各国が出した目標というものを総計してみますと、この赤い線よりは下だけれども、青い線よりは全然上である、むしろ今よりも増え続けると、こういったことになっているわけであります。この差がどれぐらいあるかということですけれども、二〇三〇年時点で約百五十億トン、これは今の中国の全排出量の一・五倍という量になっているわけでございます。
 パリ協定の中では、この二度目標以外にも一・五度という更に野心的な目標も設定をされていて、このために昨年の十月にIPCCが特別報告書を採択しております。この報告書によりますと、そのIPCC、一・五度を達成しようとすると、もう二〇五〇年の時点で世界全体でネットゼロエミッションになっていないといけないと。そのためには、二〇三〇年には現在と比べて世界全体で四五%排出削減をしなければいけないと。削減コストは、先ほど秋元先生からお話がありましたけど、その二度目標に比べて更に三、四倍に拡大をするということになっているわけでございます。
 国際エネルギー機関、IEAは、このギャップをどう埋めるかということを分析したものがありまして、上の青いラインがパリ協定の目標をビルトインした標準シナリオということであり、下の緑色のラインというのが一・五度、二度と整合的な持続可能シナリオというものであります。このギャップを埋めるために、省エネ、それから再エネ、原子力、それから炭素貯留隔離、こういった全ての対策を総動員するということが必要だというのがIEAの見解でございます。
 それから、これを達成するために、じゃ、世界の電力構成というのはどうなる必要があるかというのが次のグラフでございますけれども、二〇一七年は化石燃料のシェアというものが全体の六五%ぐらいあるわけなんですけれども、これを二〇四〇年の持続可能シナリオに寄せようということになりますと、二〇%ぐらいまで、つまり三分の一以下に下げる必要があると。他方、再エネのシェアあるいは原子力のシェアというものを今よりも拡大する必要があると、こういうことになっております。
 特にこの中で注目を要するのは石炭のシェア、これは、石炭はCO2の排出量が最も多い化石燃料でありますので、石炭のシェアを僅か五%まで下げなきゃならないと、こういうことが示唆をされているわけでございます。
 ただ、これはなかなか容易なことではないと。なぜならば、世界は持続可能目標ということで十七の目標を掲げております。その中には、貧困撲滅、あるいは飢餓の撲滅、あるいは保健、あるいは教育、そういったものが多数あるわけでありまして、気候変動はこの十三番目ということで、十七の目標のうちの一つということになっております。気候変動が全てに優先する目標ということにはなっていないということで、当然、気候変動の防止を推進することと、それからほかの目標との間でシナジーもあればトレードオフも存在するということになります。
 より敷衍して申し上げますと、十七の持続可能目標というのは、やはり特に途上国にとっては国が豊かにならないとこの目標は達成できないということになります。国が豊かになるということは、安価で信頼できるエネルギー供給というものに裏打ちされた確固たる経済成長というものが必要になってくるということになります。この度合いは、途上国であればあるほど高まるということでございます。
 ということを考えますと、これまで途上国は、エネルギーへのアクセスがない、電力が通っていないというものを、徐々に電力アクセスを改善してまいりました。
 右側の人の形をした図がございますけれども、これは二〇〇〇年から二〇一五年までに約一億六千五百万人の人が新たに電力アクセスを得たということを言っておりますけれども、この中で、じゃ、どういう電源で電力アクセスを得たのかというと、茶色が石炭、それから灰色が天然ガス、それから赤が石油ということになります。全体の約七割が化石燃料によって新たに電力アクセスを得てきたということであり、しかも、その化石燃料の中で圧倒的な多数を占めるのは石炭であるということになります。
 左側のグラフを見ていただきますと、世界の石炭資源の賦存量というものが示してございます。これからエネルギー需要あるいはCO2排出というものが大幅に伸びてくるのは何といってもアジア地域ということになりますが、このアジア地域には膨大な石炭資源が存在すると。仕事柄、ASEANあるいはアジア地域のエネルギー政策の担当者と話をする機会がありますが、彼らにとって域内で存在をする石炭資源というものを使わないオプションというのはあり得ないということを明確に言っております。したがって、石炭というものをそう簡単に捨て去るわけにはいかないというのが残念ながら実情であるということであります。
 また、一・五度—二度目標というものを達成しようと思いますと、先ほどの秋元先生のお話にもありましたが、炭素価格の引上げというものは必要だというふうに言われます。昨年のIPCCの一・五度の報告書を見ますと、二〇三〇年時点で、モデルによっていろいろな数字が違いますが、トン当たり百三十五ドルから五千五百ドルぐらいの炭素価格が必要だと、しかも世界レベルで必要だというようなことを言っております。
 これがCOPあるいはIPCCの世界での議論ということになりますが、他方、足下で何が生じているかといいますと、昨年の秋、これも先ほど秋元先生からお話がありましたが、フランスのマクロン政権が炭素税を約十ユーロ引き上げようとしたと、そうすると、イエローベストが国中で抗議行動を起こして、炭素税の引上げを断念せざるを得なかったというところがあります。右側の写真の上に、エリートは世界の終わりについて語っているが、自分たちは月末の支払が問題であるというようなことを言っていると。これは、トラック運転手にとって燃料課税という形で価格が上がってしまうということは月末の支払に影響する、温暖化問題というのはエリートたちのアジェンダであるというようなことを言っているわけでございます。
 これがパリ協定の発祥の地であるフランスで生じたというのは極めて皮肉なことでありまして、先進国ですらこんな状態なんだから、一人当たりのGDPが低く、それから、これから生活レベルを上げていかなきゃならない、しかもエネルギーのアクセスがまだない人がたくさんいるといった途上国においては、この炭素価格の引上げに対する抵抗度というのは更に高いということになるのではないかと考えるわけでございます。
 以上の点を考えますと、世界がどの程度脱炭素化に向かうのかということですが、私自身はパリ協定によって世界が低炭素化、脱炭素化に向かっていくということは間違いないと思っております。ただ、パリ協定が想定するように、今世紀の後半にネットゼロエミッションが実現し、一・五度—二度目標が達成できるかというと、現時点では大きな疑問があるというふうに言わざるを得ないと。一・五度—二度目標というのはパリ協定に定められているではないかというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、これはある意味グローバルな目標であって、誰も責任を負わない目標であるとも言えてしまうわけでございます。
 特に途上国の事情を考えますと、各国の直面する問題というのは温暖化だけではない、いろいろな多様な問題を抱えていて、特にその度合いは途上国であればあるほど高いと。そういった問題を解決するに当たっては、潤沢で安価なエネルギー源というものが必要になってくると。一・五度—二度目標を達成しようという観点からだけいえば、石炭というものは存在を許されないエネルギー源ということになってしまいますけれども、今後排出量が急増するアジア地域では、より安価で潤沢な石炭資源というものを使わないオプションというのはなかなか考えられないのではないか。また、炭素価格に対する抵抗値というものが強いというのも、これまたCOPの世界とそれから現実の世界の間に大きな乖離があるということではないかと思うわけでございます。
 加えて、温暖化問題というのはある意味グローバルコモンズということでありますので、国際協調を何よりも必要とするわけでございます。他方、現実に生じていることは、トランプ政権のパリ協定からの離脱という話がありますし、それから米中貿易戦争というような動きもございます。こういった一国主義というものが台頭いたしますと、こういった何よりも国際協調を必要とするような温暖化防止のアジェンダということにとってはどうしてもマイナスの影響が出ざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
 引き続きまして、日本の課題について申し上げたいと思いますけれども、これは皆様よく御承知の日本の二六%目標の根拠となったエネルギーミックスということであります。このエネルギーミックスを作るに当たりましては、福島事故以降、大幅に低下をしてしまったエネルギーの自給率というものを震災前に戻す、あるいはそれを上回る水準にする、それから、すっかり上がってしまった電力コストを引き下げる、それから、欧米に遜色のない目標を掲げる、この三つの要請を満たすような形でエネルギーミックスを作ったわけでございます。
 その柱というのは、一つは、省エネルギー、自然体に比べると電力需要というものを一七%引き下げる。それからもう一つは、非化石電源のシェアを増やすということであります。一つは、再生可能エネルギーを電力発電量の二二から二四%に、原子力については二〇から二二%にするということにしてございます。
 このエネルギーミックスというのは割合よく考えられておりまして、震災以降非常に増えてしまった化石燃料の輸入額というものを、原子力の再稼働とそれから再エネの拡大とそれから省エネということによって燃料費を抑え、その結果浮いてきたお金を再生可能エネルギーの拡大に必要な固定価格買取り制度の買取り費用に充てる、全体として電力コストを現在よりも引き下げると、こういう設計になっているわけでございます。
 ただ、この目標、これが日本の二六%目標の根拠になっておりますが、これは先ほど秋元先生からお話があった限界削減費用ですけれども、日本は主要国の中でも最も高いという限界削減費用になっております。この中では、原子力の再稼働というものも全部ビルトインされていると。したがいまして、原子力の再稼働が予定どおり進まない、でも二六%を達成しなければならない、そのために再エネを上乗せしましょうということになると、この限界削減費用というものは更に大きく膨らんでくるということになるわけでございます。
 なぜコスト、コストというふうに申し上げるかと申しますと、日本の産業用電力料金というのは主要国の中で最も高いわけでございます。特に、日本と貿易競争関係の強い中国、韓国、あるいは米国といったアジア太平洋地域の国々の電力コストと比べると、日本の場合は一・五倍から二倍ぐらいの高さになっているということでございます。これをこれ以上引き上げるということになりますと、先ほどお話があった産業空洞化につながってしまうおそれが高いというふうに懸念をするわけでございます。
 それから、長期の対策につきましては、八〇%という日本は目標を掲げてございます。ただ、先般のエネルギー基本計画では、この八〇%に相当するエネルギーミックスというものは示さずに、いろいろなオプションというものをオープンにする、多様性を加味したしなやかな複線シナリオという形でやっていくと。左側は、確固たるエネルギーミックスに基づいて、二〇三〇年に向けては一歩一歩それに向かって進んでいくと。ただし、右側につきましては、いろいろな技術の不確実性、更にもっと敷衍すると、地政学、地経学上の不確実性というものを、その都度チェックをしながら、末広がりのような形でいろいろな可能性を考えながら進んでいこうというのが長期戦略の考え方ということになってございます。
 そういう中で、長期にもし本当に日本が脱炭素化、特に八〇%になりなんとする脱炭素化を目指そうということでありますと、じゃ、IEAはどういう見通しを持っているかというと、二〇四〇年のSDS、持続可能シナリオというのがありますけれども、これ、先ほど世界全体の電力構成をお示ししましたが、主要国についても電力構成が示されていて、これを見ると、再エネのシェアというものを二〇一七年から二〇四〇年に大幅に拡大するということが示されておりますが、同時に、原子力につきましても三%から三〇%ということで大幅に拡大をするということになっております。これは、現在止まっている原発を再稼働するということにとどまらず、新増設というものを当然に考えた数字になっているということだと思います。
 ただ、温暖化問題ということを考えますと、いずれにしても、先ほど秋元先生からお話がありましたように、既存の技術で解決をするということにはどうしても限界があると。特に、人々の利便性を損なわずに脱炭素化を行うというためには、何といっても革新的な技術開発が必要になってくると。
 ここに挙げてございます技術のリストというのは、二〇一六年に内閣府が出しました革新的なエネルギー環境イノベーション戦略に挙げられた、日本が強みを持っており、かつその技術が実用化されれば世界全体の排出削減にも大きく貢献すると思われる技術のリストでございます。こういったものにやはり日本としては技術開発の形で貢献をしていくということが必要なのではないかと思いますし、そうなってまいりますと、既存の技術に補助金をどんどんつぎ込むという形でお金を使っていくのがいいのか、あるいは将来の技術に対してRアンドD予算という形でお金を使っていくのがいいのか、どうやってお金を使うのがいいのかということも考えなければならないというふうに思います。
 それから、温暖化問題というのは、これはもうグローバルな問題ですから、日本の排出量というのは世界全体の排出量の約三%ぐらいにしかすぎません。これから排出が非常に増えてくるのは、何といっても途上国なわけでございます。したがいまして、日本が考えるべきは、日本国内の排出削減はもちろんのことですが、むしろ海外の排出削減をどうやって日本の技術をもって助けていくかということを考えるべきではないかと私は考えます。
 この三つのベン図がございますけれども、一番上の国際貢献でカーボンニュートラルへと。これは、日本が持っている優れた低炭素技術というものを途上国に移転することによって、ベースラインに比べると排出を削減していくということでありますし、その右下の赤い、グローバルバリューチェーンというのは、日本が率先をして優れた中間財あるいはサービスというものを開発をし、それをグローバルバリューチェーンの中に投入をしていくことによって、全体として、世界全体の温室効果ガスが削減することに貢献をしていく。それから、左下、これは、今まだ商業ベースに乗っていないような技術を積極的に開発をすることによってその技術の実用化を一刻も早く進め、それによって人々の利便性を損なわない形で温室効果ガスの削減に、世界全体の温室効果ガスの削減につながるような技術での貢献をしていくということを示しているわけでございます。
 まとめのスライドでございますけれども、温暖化というものは進行しております。したがって対策が必要であると、これは確実でございます。ただ、同時に、温暖化対策にコストが掛かる、しかも各国の対応に応じてコスト負担が異なる、それが国際競争力の相対関係に影響を与えるという現実は是非直視する必要があるのではないかと思います。
 また、日本のエネルギーコストというのは主要貿易相手国であるアジア太平洋地域に比べて非常に高い、これもまた事実でございます。更なるコスト増を、日本の政策によって自分に高いエネルギーコストを課することになりますと、日本の産業の国際競争力に悪影響が出てくると。
 いろいろな不確実性があるという中で、将来に向けて不確実性がある中で我々が今取り組むべきは、費用対効果の高いエネルギーミックス、温暖化対策というものを考えなければならないと。そういったときに、日本のように資源のない、しかもほかの国とグリッドで結ばれていない国において、原子力と再エネというものをあたかも二者択一のように捉える、対立概念で捉えるということは私は生産的ではないと思っております。両方が日本にとっては必要だというふうに思っております。
 また、再エネの主力電源化というのがこの間のエネルギー基本計画で初めて打ち出されましたが、これはあくまで経済的に自立した、つまり補助金に頼らない非化石電源、これは、化石燃料のバックアップに頼らない、つまり蓄電池なども加えても従来型の電源と十分競争できるようになるということが再エネの主力電源化になるための条件ということでございます。いずれそうなると思いますが、そこになるまでの間のコストをどうやって抑えていくかということが大事でございます。
 最後に、やはり経済と温暖化防止を両立しようとしますと、技術による対応が不可欠でございます。野心的な削減を可能にするのはどうしても低コスト高パフォーマンスの技術というものであって、重要なのは、人為的な削減目標というよりも、むしろその技術のパフォーマンスをどう高めていくか、あるいは技術コストをどう低めていくかということだと思います。この点において技術立国日本というのは大きな貢献ができるのではないかと考えております。
 私からの意見陳述は以上とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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鶴保庸介#11
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 次に、平田参考人にお願いをいたしたいと思います。平田参考人。
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平田仁子#12
○参考人(平田仁子君) 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、まず、気候変動の話から始めさせていただきたいと思います。(資料映写)
 この世界地図、御覧いただきたいんですが、二〇一七年に起こった人の移動、すなわち住む場所を奪われて移動を迫られた人の数を示しております。オレンジは紛争で、青が災害が要因で起こったものです。アフリカや中東では紛争が要因の方が多いのですけれども、アジアやアメリカ大陸では、熱波やハリケーン、干ばつ、洪水などの気候災害を伴って難民の数が増えております。そして、世界情勢が更に不安定になる状況をもたらしています。
 気候変動問題とは、このような事態による日本の安全保障や経済への広範な影響を考慮する必要がある問題です。
 昨年の西日本豪雨を始めとした様々な災害は、日本もまた気候災害に脆弱であることを指し示しました。二〇一八年の自然災害の統計では、ここには地震の被害も含まれているわけですけれども、死者、被災者数共に日本は上位にありまして、災害に多く見舞われるリスクの高い国の一つとなっています。このまま気候変動が加速しますと、昨年同様あるいはそれ以上の厳しい災害に見舞われることになります。気候変動の被害を未然に防ぐということは、地域コミュニティーの基盤を守るという観点で重要な取組であると思います。
 現在、地球の平均気温は、産業革命前の水準から一度ほど既に上昇したということです。二〇一五年に採択されたパリ協定、先ほどお話ありましたが、この気温上昇を二度よりはるかに低く抑え、一・五度を目指すという目標です。そして、そのために、今世紀の後半に世界の温室効果ガスの排出をゼロにするということに合意したものです。もちろん日本もこのパリ協定に締結しています。
 図を御覧いただきたいのですが、一八〇〇年から現在まで世界は温室効果ガスの排出を急速に増やしてきてしまいました。二度未満を達成するためには、この排出を、増やしてきたスピードよりも速いぐらいのスピードで急速にゼロに向かわせなければいけないと、まるで富士山の尾根を滑り落ちるようなスピードでございます。
 しかし、世界の対策は全く今ここに届いておりません。このままでは三度、四度の世界を招いてしまいます。パリ協定は、これまでの行動の延長では決して達成できるものではありません。社会、経済の大きな革命とも言えるような転換を成し遂げる必要があり、そのための行動をどう引き上げるのかというのが命題になっております。
 今日、地中には石炭を中心にまだ化石燃料が埋蔵されております。それらを掘り出して燃やしてしまうと、たくさんのCO2を更に出してしまいます。二度未満に気温上昇を抑えるという目標を達成するためには、そのうち七割から八割は掘り起こさずに地中に埋めておく必要があると試算されています。そのため、パリ協定の実施は脱化石燃料とほぼ同義だと言っていいと思います。
 特に問題になるのが、最大の排出源、排出部門である発電部門、そのうちの発電当たりのCO2排出が最も大きい石炭火力発電の在り方です。図の右の黒い棒線ですが、二〇一五年の時点の既存と計画中の石炭火力発電所からの発電量の合計を示しています。それに対して、左側のピンク色の幅は二度未満目標と整合的な石炭火力発電所からの発電量で、平均値はかなり下の方に点線で示されています。ここから新規に計画を進めるということは、二度未満の目標をはるかに超えてしまいパリ協定に全く矛盾するということ、さらに、既存の石炭火力発電も廃止していかなければならないということが導き出されます。こうした知見から、石炭火力発電の削減は、パリ協定の目標達成の上で最も重点を置くべき取組の一つだという認識が共通として国際的に広がっております。
 先ほど御案内ありましたIPCCの一・五度報告書は、一・五度に気温上昇を抑制することに関する新たな科学的知見を示しました。その結果、一・五度と二度の気温の差は決して小さくなく、一・五度に気温を抑制すれば生態系や気候災害への影響はより小さく抑えられることが明らかになりました。しかし、早ければ二〇三〇年にもこのレベルに到達してしまうと。本当に時間がないことも明らかになりました。また、一・五度の達成には、二〇五〇年という、もっと早く温室効果ガスの排出をゼロにしなくてはならないということも示されました。このようなことから、気候変動対策はもはやこれ以上の先延ばしは許されず、今すぐ大胆に行動をしなければならないと言うことができます。
 現在の取組では全く不十分だということは、気候変動枠組条約の交渉会議でも常に強調されていることでございます。今各国には、自国の目標を引き上げ、また対策強化することが要請されています。昨年末の民間の調査では、五七%の国や主体が何らかの形で目標や行動を引上げを検討していると回答しており、行動の強化の機運が高まりつつあります。
 原田環境大臣は、昨年のCOP24の会議で、このIPCC特別報告書を歓迎し、世界全体が排出削減の取組をより強固なものとする必要があると述べられました。しかし、国内では、温室効果ガス排出削減の目標を引き上げる具体的な検討には着手されていない状況です。
 政府による目標の引上げや対策強化の動きはまだ不十分なままですけれども、それをよそに、非政府の様々なアクターが行動を加速しています。その幾つかを御紹介させていただきます。
 まず、企業の対応が大きく変化し始めました。
 パリ協定の目標に沿ってビジネスも変わらなくてはならないという理解と決意の下に、日本語では企業版二度目標とも言われますが、サイエンス・ベースド・ターゲットのイニシアティブに世界の多数の企業が参加するようになっています。これは、脱炭素化時代に突入する中で、国際競争力を確保しビジネスチャンスを最大限に活用しようという企業の生き残りを懸けた取組であり、そのうねりでもあります。現在までに五百十五社が参加し、このうち日本の企業は七十社を占めています。
 企業行動に強いシグナルを与えているのは、投資家の行動の変化です。
 機関投資家らは、投資行動を通じて脱炭素社会を牽引し始めています。左側のインベスター・アジェンダは、グローバルな機関投資家が気候変動に関する課題に取り組むための指針を提示しています。その共同声明では、運用資産総額三千二百兆円に上る四百十五の機関投資家がパリ協定の目標を支持し、低炭素への転換の民間投資の加速を要請しています。その中には、化石燃料補助金の撤廃や石炭火力発電の全廃も含んでいます。
 右側のダイベストメント、これは投資、インベストメントの反対で化石燃料への投資からの撤退を意味しますが、これを宣言した金融機関、機関投資家は世界で千以上に増えています。運用資産総額は八百兆円に上っています。化石燃料を進める企業にお金が回ってこないようになってきているということです。
 日本の機関投資家にダイベストメントを発表したところは今のところまだありません。しかし、欧米の投資家が化石燃料事業を実施する日本の電力会社や商社への融資を取りやめる例も出てきておりまして、転換が遅れる日本企業にも影響が出始めています。
 さらに、世界の脱炭素化への移行において、より適切な資本配分をすることにより金融の安定化を確保することが必要性として認識されるようになっています。
 金融安定化理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース、TCFDは、投資家の理解を助けるために、企業に対して、気候関連のリスクと機会によるキャッシュフローと資産、負債への影響の情報開示の枠組みを提示しています。これには既に日本の経済産業省、環境省、金融庁も賛同しており、こうした情報開示は気候変動へのリスクの高い企業への資金配分を変えていくことにつながっていきます。
 また、エネルギーの需要側の様々なアクターが再生可能エネルギー一〇〇%を目指す宣言をし始めました。少し前まではこのような目標は夢物語のような話でありましたが、パリ協定の脱炭素化はすなわち再生可能エネルギー一〇〇%を目指すことでもありますので、当然の流れと言えます。
 大企業版のRE一〇〇には百六十二のグローバルな企業が参加し、自らの目標として、使う電気の全てを再生可能エネルギーで賄うことを宣言しています。地方自治体の動きも目覚ましく、二〇一五年には七百の自治体が再生可能エネルギー一〇〇%を目指すと宣言し、百以上が既に一〇〇%に到達しつつあります。
 日本国内の動きは世界に比べて随分遅れてしまっているのですけれども、それでも今日までにRE一〇〇に名を連ねた企業は十四社、中小企業、大学、自治体の宣言も十五団体になっています。化石燃料から再生可能エネルギーへという流れは、需要側の消費行動からも加速されています。
 石炭をめぐる動きも大きくなっています。
 イギリス政府とカナダ政府が主導してつくった脱石炭国際連盟と呼ばれるイニシアティブには、これまでに三十の政府、二十二の自治体が参加し、脱石炭火力の方針を宣言しています。このうち幾つかの国では法制化などの制度化も進められています。
 また、先月、石炭がたくさん掘れるドイツにおいても、二〇三八年までに国内の石炭火力発電を全廃するという方針が政府の諮問委員会から勧告されました。これに基づいて、ドイツ政府は脱石炭火力の制度をつくる段階に入っています。
 このように、石炭火力のフェーズアウトはパリ協定の下で加速する大きな国際トレンドになっています。
 それでは、日本に目を移したいと思います。
 これまでの排出トレンド、実績を見ますと、このままではまだまだ難しく、急速に削減を進めていかなければならないことは明らかです。目下の二〇三〇年二六%削減目標を定めておりますけれども、まだ二〇五〇年の脱炭素化への明確な道筋とビジョンが描けているとは言えないのではないかと思っております。
 国際的には、日本の二〇三〇年目標はパリ協定と照らしてかなり不十分であると評価されています。全ての国が日本と同様の行動水準にとどまれば気温上昇は三度、四度になってしまうと指摘されています。また、海外のNGOが実施する他のランキングでも、日本の気候政策は六十か国中四十九位、石炭火力をめぐる政策はG7の中で最下位と、厳しい評価になっています。日本は国際トレンドから大きく取り残され、後れを取っているというのが世界の見方なのです。
 その日本の取組で最も問題視されていることは、今も続く石炭火力の推進です。
 福島原発事故後、政府の政策転換もありまして、新規の石炭火力発電所が御覧のように全国に五十基も計画されました。その規模二千三百万キロワット、大型原発二十三基分に相当します。このうち小規模の石炭火力の十基は既に運転を開始しました。また、現在、大規模な石炭火力を含む十七基が建設中です。さらに、環境アセスメント中の案件もあります。日本は今まさに石炭火力発電の建設ラッシュを迎えています。計画のうち十一基は事業性が認められないとして中止になりましたが、なお二十九基が新たに建設されようとしています。石炭火力フェーズアウトが国際トレンドになっている現状におきまして、先進国でこれほどの新設に突き進んでいるのは日本だけになっています。
 この方針は海外支援においても同じです。中国、日本、韓国の三か国は、この青いところに行き着く東南アジアやその他の国々へ石炭火力発電の技術の輸出に公的支援を継続しています。しかし、これらの多くの国では既に再生可能エネルギーの方が安価になっているという実態があるにもかかわらずです。このことは、気候変動の観点から問題になる時代遅れの技術を輸出しているという批判と疑念が日本に向けられる要因となっています。
 国内の石炭火力の新設は原発の行方が不透明な中では必要ではないかという声もあります。しかし、新規建設の規模は、ここに御覧いただけますよう、既存の発電所、青いところの規模と比べても膨大です。また、この間、高効率の天然ガス火力発電所もかなり建設されています。現在の供給力に問題がないこと、そして、これからの人口減少による需要減、再生可能エネルギーの導入拡大を考えれば、これだけの石炭火力発電の増強は過剰でありまして、もちろん気候変動の観点からは全く逆行するものであります。
 現在の石炭火力は高効率だから良いという指摘もございます。高効率の石炭火力発電所でも、しかしながら大量の二酸化炭素を排出します。LNGコンバインドサイクルの二倍の量です。現在、福島で建設中の最も高効率のIGCCと呼ばれる石炭ガス化複合発電所は、年間五百二十四万トンの二酸化炭素を排出すると推計されます。これは百万世帯分の年間のCO2排出量に匹敵します。そして、一度建設されれば何十年とCO2を排出し続けます。
 パリ協定と整合的にするためには、日本でも二〇三〇年に石炭火力発電をフェーズアウトする必要があります。古いものを新しいものに置き換えるのではなく、全廃が必要ということです。しかし、現在、古いものから新しいものまで百基以上ある既存の石炭火力発電所に加えて、このピンク色のところ、新しい発電所をこれだけ追加しようとしています。日本の電力会社は廃止計画を示してはいないのですが、仮に四十年で運転を停止すると見込んだとしても、二〇三〇年にも多数の既存の石炭火力発電所が運転していることになります。また、新規に建設される石炭火力は、二〇五〇年を超えて運転し続ける可能性がございます。
 政府は、CO2を回収して地中に埋める、あるいは再利用するというCCS、CCUという技術の開発も進めていますが、現在、新規の発電所のいずれにもこの技術は準備されていません。技術開発は間に合っておりません。このまま建設を容認し、順次廃止するという対策を取るだけでは、パリ協定とは矛盾したままということになります。
 そこで、私たちは、お手元に別冊子をお配りさせていただいておりますが、二〇三〇年石炭火力フェーズアウト計画を提示しています。ここにピンクの絵が見当たらないよう、新たな石炭火力はもはや新設するべきではないという考えに基づいています。さらに、今年から毎年、効率の悪い古いものから順次廃止していく必要性を提示しています。
 現在、四千万キロワットを超える容量があり、政府が重要なベースロード電源と言う石炭火力を今後十年余でゼロにするということには、電力の安定供給への懸念もあろうと思います。私たちの分析では、様々な取りまとめ、分析、統計を踏まえましても設備には余裕があり、さらに電力需要の伸びがないことを踏まえれば、原発の再稼働を経ずとも供給力は足り、この計画は十分実現可能だと見ています。
 取るべき方針は、今から新たに建設することによって数十年もCO2を排出し続ける設備を抱え、その削減に多額のコストを掛けるのではなく、既存の設備を使いながら省エネの取組を加速させ、再生可能エネルギーへと転換していく道筋だと考えています。
 そのような道筋に妥当性があるもう一つの理由は、再生可能エネルギーのコストが急速に低下しているということがあります。特に太陽光と風力の発電コストの低下は目覚ましく、世界では既に石炭や天然ガス火力と比べても最も安い発電方式となっています。日本ではまだ再生可能エネルギーが高く、石炭火力の方が優位にありますが、二〇二五年にはその転換点が訪れ、再生可能エネルギーの方が安価になるという分析もあります。その分析では、この図に示されておりますように、運転中の石炭火力発電所は、現在は一〇〇%採算取れていますけれども、二〇三〇年にはその全ての発電所が採算割れすると見込まれており、経済合理性を喪失すると指摘されています。
 現在、日本では、化石燃料の輸入に二十兆円ものお金を費やし、国外に支出しています。石炭を使い続ける限り、燃料費は掛かり続けます。石炭火力は、近い将来、採算性が危ぶまれ、座礁資産になることが見込まれることも視野に入れなければなりません。それを回避するエネルギー選択は何なのか、今考える必要があります。
 以上より、私からは、気候変動の観点から、そして経済合理性の観点から、石炭火力フェーズアウトにかじを切ることが今必要だと強調したいと思います。現在検討中の低炭素発展長期戦略にもこれを盛り込む必要があると考えます。また、日本の二〇三〇年の温室効果ガス排出削減目標も、パリ協定の目標に沿うよう引き上げる検討を早々に始めることが必要です。
 本日は、電力、特に石炭火力のことを中心にお話をさせていただきましたが、脱化石燃料というとき、熱利用や運輸部門においての化石燃料からの脱却も併せて考える必要があります。本日は時間がありませんで、そこまで申し上げることはできませんが、その対策の強化も必要だということも付け加えさせていただきます。
 最後に、三点、まとめさせていただきます。
 気候変動がもたらす甚大な被害を回避するためのパリ協定の一・五度から二度未満の気温上昇の抑制は、世界全体の共通目標であります。温室効果ガス実質排出ゼロへの脱炭素化は、もはや逆行することのない流れです。
 それを受け、非政府アクターに大きな脱炭素化の潮流が生まれ、お金の流れ、経済の質が転換しつつあります。これに対し、日本の投資家、企業には出遅れがあると見ています。その要因には、政治、政策が脱炭素化へ向かうべきという明確なシグナルを発信していないことにあるのではないかと考えています。
 そこで、経済戦略としても、石炭火力からの脱却を急ぎ、脱炭素への道筋を長期戦略の中に明確に位置付ける必要があります。もちろん、そのためには産業構造の転換が必須となり、労働、雇用の移転、そして、再生可能エネルギー、省エネのビジネスを日本の国際競争力を高める上で育成していくという観点での備えと対応が必要です。
 もはやこの問題は、できるできない、難しいからやらないではなく、経済戦略と統合しながらどうやって実現するかの課題です。これはダボスでも安倍総理がおっしゃっていたことと一致すると思います。そのための日本の行動が求められていると思います。
 ありがとうございました。
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鶴保庸介#13
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いをいたします。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたしたいと思います。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 赤池君。
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赤池誠章#14
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。
 今日は、三人の参考人の皆様方、貴重な根拠あるデータを示した御発言、本当にありがとうございました。
 全体的に、気候変動は、三参考人とも、本当に深刻な被害であり、その対応のためのパリ協定始め国際協調の枠組みと国内対策、それぞれ貴重な御意見を頂戴をいたしました。
 まず、秋元参考人に御質問させていただきます。
 国内対策として、昨年七月、第五次エネルギー基本計画、改定させていただきました。秋元参考人の御意見を聞かせていただくと、再エネ、原子力は重要ということで、この政府の基本計画について評価をしているということでよろしいでしょうか。
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秋元圭吾#15
○参考人(秋元圭吾君) これは、私もこのエネルギー基本計画案を策定する基本政策分科会の委員を務めさせていただきましたが、私は、このエネルギー基本計画は妥当なものというふうに評価しているところでございます。
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赤池誠章#16
○赤池誠章君 その中でやはり重要になってくるのは原発再稼働の問題だと思いますが、秋元参考人に、改めて原発再稼働の意義についてお伺いさせていただきたいと思います。
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秋元圭吾#17
○参考人(秋元圭吾君) 要は、温暖化問題を対応しないといけないという課題があり、そしてエネルギーコストも削減しないといけないという課題があり、そしてエネルギー安全保障も拡大していかないといけないという、この3Eというバランスをどう図っていくかということが非常に重要なキーになっております。
 そういう意味で、この三つ共に利くという意味でこの原子力の再稼働というのは非常に重要なオプションだというふうに考えておりますので、もちろん安全性がなければ駄目なわけでございますが、安全をしっかり確認しながら再稼働を進めていくということは極めて重要なことだというふうに考えているところでございます。
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赤池誠章#18
○赤池誠章君 有馬参考人にお伺いをしたいと思います。
 今日の話の中には出てこなかったんですが、事前に有馬参考人の資料をいただいておりまして、その中で読まさせていただく中で、原発再稼働を含めて我が国内のエネルギー政策に関して世論に右顧左眄すべきではないと、エネルギー政策というのは長期的な問題であるのでやはりきちっと考えるべきだという御発言の資料を見せていただいたんですが、その視点から、日本のエネルギー五次基本計画や原発再稼働について御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
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有馬純#19
○参考人(有馬純君) ありがとうございます。
 まず、原発の再稼働ということにつきましては、現在の政府の方針として、安全性の確認された原発を再稼働するという方針が出ております。私は、それはそのまま進めていただきたいというふうに思っております。
 他方で、中長期的に脱炭素化を目指すということであるならば、やはり非化石電源である原子力というものをオプションから排除するわけにはいかないというふうに思います。
 エネルギー基本計画の中でも、原子力の人材あるいは産業の維持ということがうたわれておりますけれども、新設あるいはリプレースということについては一切含まれていないというところがございます。これはやはり原子力についてのいろいろな世論を配慮した結果なんだろうと思いますけれども、本当に真面目に脱炭素化を目指すのであれば、これを排除したことは考えられないのではないかというふうに考えております。
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赤池誠章#20
○赤池誠章君 平田参考人にお伺いをいたします。
 平田参考人は、原発再稼働をしなくても石炭火力からの脱却はできるという、まあ今日は時間がないので説明は細かくは聞いていないわけでありますが、ちょっとにわかに信じられ難いところがあるわけでありますが、なぜ原発再稼働を排除しなければいけないのか、その一点だけお聞かせ願いたいと思います。
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平田仁子#21
○参考人(平田仁子君) 現在、何基か原子力発電再稼働しておりますが、既存の設備が十分ございます。これを運転していくことによって、既存のというのは原子力以外の火力の、主に火力の発電設備でございます、これをもって私たちは、三・一一の直後を除けば停電なく電気を供給することができております。ですので、ここから再稼働に戻ることなく、脱石炭、そして脱原発を両方実現することはできると考えています。
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赤池誠章#22
○赤池誠章君 そこがよく理解ができないわけでありまして、廃炉も含めて実現できるというお考えでしょうか。平田参考人にお伺いいたします。
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平田仁子#23
○参考人(平田仁子君) 廃炉は、原子力とそれから石炭の両方という意味でございますか。
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赤池誠章#24
○赤池誠章君 それはどちらでも構いませんので、改めて、原子力の廃炉であったり石炭の廃炉も含めて、現在の経済成長や脱炭素化ができるという根拠を端的にお聞かせ願いたいと思います。
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平田仁子#25
○参考人(平田仁子君) 原子力発電はここまで、再稼働しなくても電力を供給することができておりました。そして、これから電力の需要は下がっていきます。今から進むべき道は、原子力発電の再稼働に戻るのではなく、ここから再生可能エネルギーへシフトしていくことが最も脱炭素化に近づいていく道であると思います。
 原子力発電は、いずれにしましても既存の原子力発電をどこまで運転できるかということに懸かっておりまして、仮に再稼働したとしても、それにつきまして、そこが気候変動対策に寄与する寄与度というのは限られます。
 日本が脱炭素化を目指していくためには、原子力発電を再稼働することだけでは全く足りません。その先の大きな削減を進めていくためには、原子力、石炭というベースロード電源から柔軟な再生可能エネルギーへエネルギーシステムを転換していくことが必要で、この両方を維持していくことはその転換を遅らせることになると考えています。
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赤池誠章#26
○赤池誠章君 改めて、原子力の廃炉も含めてできるというお考えでよろしいでしょうか。
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平田仁子#27
○参考人(平田仁子君) 原子力の廃炉そのものは、福島の現状を見ましても大変難しい問題でございます。ですけれども、廃炉ができるできないという技術的な問題は既に運転している私たち日本における全ての国民が考えなければいけない問題でありまして、これができるできないではなく、引き続き運転し続けるのか、それよりも早くエネルギーシステムの転換にシフトしていくのかという選択肢の問題だと考えています。
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赤池誠章#28
○赤池誠章君 国内から国際的なアプローチに少し質問を変えたいと存じます。
 まず、有馬参考人にお伺いしたいと思います。
 協定の実務経験もおありだということなんですが、全体のCO2の波形を考えると、米中ロ、それから今後インドというものが相当な比重を占めると思うわけでありますが、発展途上国の場合は様々な日本の技術的な支援やアプローチである程度のことが、それでも大変難しいとは存じますが、アプローチはできると思うんですが、その大国である米中ロ、これからのインドに対してどういうアプローチが有効か、お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
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有馬純#29
○参考人(有馬純君) まず、中国、インドにつきましては、彼ら自身がやはり再生可能エネルギーの導入ということを一生懸命やっていると、これは非常にいい材料だと思います。ただ、やはり根っことしての石炭火力のシェアというのは物すごく大きくて、最近増えている増分の部分の一部が再エネで賄われているのは事実ですが、それで全体を判断するのは私は誤っていると思います。
 したがいまして、やはりそういった化石燃料をたくさん使っている大排出国の排出量を大幅に減らそうと思ったら、やはり、CCSあるいはCCUS、こういったものを実用化していくことが私は必要だと思います。
 化石燃料が引き続き使われるということをベースラインとして考えるのであれば、そこから出てくるCO2を有効活用するということによってCO2の削減をしていく、そのための技術開発に日本として貢献をしていく、必要があれば、G20の議長国としての立場を活用して、国際共同研究あるいは実証プログラムといったものでリーダーシップを取っていくということが考えられるのではないかと思います。
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