内閣委員会
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会
会議録情報#0
令和四年三月三十一日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森山 浩行君 理事 足立 康史君
理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
石原 宏高君 金子 俊平君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
高木 啓君 永岡 桂子君
平井 卓也君 平沼正二郎君
松本 尚君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 山田 賢司君
山本 左近君 吉川 赳君
和田 義明君 大串 博志君
鈴木 庸介君 堤 かなめ君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 阿部 司君
浅川 義治君 堀場 幸子君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
参考人
(東京大学東洋文化研究所准教授) 佐橋 亮君
参考人
(同志社大学名誉教授) 村山 裕三君
参考人
(東京大学公共政策大学院教授) 鈴木 一人君
参考人
(東北大学名誉教授) 井原 聰君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
和田 義明君 山本 左近君
中谷 一馬君 鈴木 庸介君
同日
辞任 補欠選任
山本 左近君 小森 卓郎君
鈴木 庸介君 中谷 一馬君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 和田 義明君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)
経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森山 浩行君 理事 足立 康史君
理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
石原 宏高君 金子 俊平君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
高木 啓君 永岡 桂子君
平井 卓也君 平沼正二郎君
松本 尚君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 山田 賢司君
山本 左近君 吉川 赳君
和田 義明君 大串 博志君
鈴木 庸介君 堤 かなめ君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 阿部 司君
浅川 義治君 堀場 幸子君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
参考人
(東京大学東洋文化研究所准教授) 佐橋 亮君
参考人
(同志社大学名誉教授) 村山 裕三君
参考人
(東京大学公共政策大学院教授) 鈴木 一人君
参考人
(東北大学名誉教授) 井原 聰君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
和田 義明君 山本 左近君
中谷 一馬君 鈴木 庸介君
同日
辞任 補欠選任
山本 左近君 小森 卓郎君
鈴木 庸介君 中谷 一馬君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 和田 義明君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)
経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)
――――◇―――――
上
上野賢一郎#1
○上野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学東洋文化研究所准教授佐橋亮君、同志社大学名誉教授村山裕三君、東京大学公共政策大学院教授鈴木一人君、東北大学名誉教授井原聰君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。両案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
佐橋参考人、村山参考人、鈴木参考人、井原参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、佐橋参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学東洋文化研究所准教授佐橋亮君、同志社大学名誉教授村山裕三君、東京大学公共政策大学院教授鈴木一人君、東北大学名誉教授井原聰君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。両案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
佐橋参考人、村山参考人、鈴木参考人、井原参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、佐橋参考人にお願いいたします。
佐
佐橋亮#2
○佐橋参考人 おはようございます。東京大学東洋文化研究所准教授の佐橋と申します。
本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。
米ソ冷戦が終結を迎えた頃から、世界には、グローバル化、さらにはロシアや中国との国際協調への前向きな期待が存在した時代がございました。しかし、過去十年ほどで、そうした前向きな期待を持つには厳しい国際環境が出現しております。
従来の先進国以外の国の台頭により、世界のパワーバランスが変化しただけではなく、国際秩序の在り方への不満や拡張主義が具体的な形となって表れるようになりました。
第四次産業革命と言われるほど先端技術の発展が著しく、それらの軍事活動や情報活動への応用が危惧されるようにもなりました。米中の技術競争の激しさは、各国政府や民間企業の研究開発費の増大だけではなく、中国による技術の移転や窃取を増やす結果にもなりました。また、経済における依存関係を利用して相手に強要を迫る行為も実例が積み重ねられてきました。
こうした状況において、いわゆる海洋や宇宙、サイバーなどにおける安全保障空間だけでなく、経済安全保障の考え方が、日本だけでなく欧米や中国において強調されるようになったことは不思議なことではありません。
安全保障とは、時代を映す鏡であり、その時々の国際環境の中で、各国政府が喫緊に、又は長期的に、優先して考えるべき課題に焦点を当てていくものです。あえてアメリカの例を申し上げれば、九〇年代にその関心は地域紛争でしたが、同時多発テロにより、テロリズム及び大量破壊兵器の拡散防止に急に変化をいたしました。何から、何を、何で守るか、安全保障を考える上でのフレームワークですが、それぞれが不断に変わることが安全保障の難しさであります。
今この瞬間において、ロシアのウクライナ侵攻が喫緊の課題であり、国際秩序を国際的な連携によって守るべきことは言うまでもありません。他方で、長期的な課題として、我が国の主権や領土の一体性、国民の生命財産及び国家の繁栄を守るためには、経済社会面での相互依存を活用して他国を脅かしたり、さらには攻撃することが十分に考えられることから、軍事力による抑止や外交だけではなく、経済活動、科学技術分野を含めた体制を整えることが重要になっています。
経済活動は極めて広範であるため、経済安全保障を広く概念定義することもありますが、重要なことは、増大する脅威が何か、いかなる手段がそのために新たに必要かという点に常に着目することだと考えております。
そのように考えますと、今回の経済安全保障推進法案は、立法化がまず求められる分野を進めていくものと評価をしております。
法案の具体的分野について申し上げていきます。
まず、特定重要物資についてです。
特定重要物資のサプライチェーンは、既に民間企業によって組み上げられてきたものです。民間企業の調達多様化に向けた努力を支援することが重要となります。アメリカでは、産業政策と経済安全保障の垣根が下がっており、サプライチェーンの海外投資を実質的には減らすような方策まで議論されておりますが、それは別の政策論であります。経済合理性との均衡を図るためにも、まずは海外を含めた多様化努力が望ましいと考えます。
また、重要物資の特定においては、有識者の意見を重視すること、また、欧米の政策は一つの参照点だとしても、日本の産業構造にとって想定されるものは別であることも想定すべきだと考えております。
サプライチェーンは、企業にとって重要な営業秘密を含む可能性があり、相手企業もある話です。アメリカ政府も、罰則により提供させているのではなく、あくまでも働きかけて提供を受けています。日本の制度においても、企業が自ら協力していく形で進めることが望ましいと思います。
重要物資に関しては、有事を念頭に置いたシミュレーションの必要を述べておきたいと思います。
ウクライナへのロシア侵攻後もエネルギーや穀物の需給変化が話題になりましたが、例えば台湾海峡における有事が発生した場合、世界のサプライチェーンが寸断されるリスクは極めて大きいものになります。大まかな試算はありますが、より具体的なシミュレーションとシナリオ検討が必要となります。先進国とロシア、中国の対立構図が固定化することが恐れられている中、サプライチェーンリスクを具体的なシナリオから点検し、それをもって海外ビジネスの在り方を産業界と考案していくアプローチが必要だと考えます。
基幹インフラについてです。
基幹インフラの防護については、既にインフラ施設が攻撃された事例が多々観察されていることから、備えとして極めて重要となります。電力、水道、パイプライン、鉄道システムなどが近年でも被害を受けております。ランサムウェアによる攻撃も増えています。
備えを高めることは当然としても、インフラを提供する民間企業や各種団体の経済負担が大きいことも事実です。重要なことは、それら主体の負担感を低下させ、経済活動の予見可能性を上げることにあります。政府が可能な限り事前に相談を受け、望ましい設備や維持管理の在り方について具体的に示すことが重要です。企業に責任を転嫁するだけではなく、政府がリスク評価、モニタリングを行い、場合によっては、サイバーセキュリティーを含む投資のための民間企業への補助金を与えることが望ましいのではないでしょうか。
官民技術協力についてです。
ポイントは、産官学の三者が協力し合うメカニズムとして有効に機能するかにあります。そのためには、いわゆるシンクタンクが重要になってきます。従来の機関だけでなく、より幅広い調査を行う機関を設置するというアイデアが重要だと考えます。
ただ、最大の問題は人材です。先端技術だけでなく、安全保障や社会実装に軸足を置いた研究者をどのように確保し、育てていけるかが鍵ではないでしょうか。どのように若手の研究者を引きつけることができるのか、長くとどまっていただき、本人のためになる経験を蓄積できるのか、長期的な視点が強く求められます。
また、いわゆるミッション型の技術開発は重要ですが、二点のみ留保させてください。
第一に、大企業の参画は重要ですが、それに加え、スタートアップ企業を競わせるような仕組みも必要だと思います。アメリカでは国土安全保障省などがそのような取組をしております。
第二に、科学技術には基盤が必要であり、日本政府全体として、科学技術の振興、理系人材の処遇改善を更に推進していただきたいと思います。
非公開特許制度についてです。
人材育成の必要は、非公開特許に関しても当てはまります。二次審査に携わることができる人材を長期的に育成するための制度が必要でしょう。
今回はかなり分野を絞って制度をスタートさせることになりますが、今後、制度を拡充、拡大させていく場合には、制度の存在によって指定のおそれがある分野の技術開発を止めてしまい、他国との競争でむしろ劣位になり、究極的な目標が達成できないおそれがあることに留意してほしいと思います。コストの回収や、将来的にその企業又は開発者の名声が確保できる仕組みが望ましいと思います。
最後に、経済安全保障に関する取組で最も重要なことは、取組を国家戦略の中に確固として位置づけ、その上で確保される継続性にあります。
内閣総理大臣が主導する国家安全保障戦略において、経済安全保障の政策的な全体像が示されること、そこに社会各セクターを代表する有識者の考えが取り込まれることは、合意形成としても非常に重要です。
今回の法案の外になりますが、攻めの経済外交、政府としての経済インテリジェンス機能の確立、そのインテリジェンスの民間への提供可能性の模索、諸外国との経済安全保障における連携さらには支援、こういったことに十分配慮して戦略が組み立てられることに期待をしております。
また、これは必ずしも狭い意味での経済安全保障ではありませんが、人権侵害が著しい国と向かい合うために必要な人権外交や人権に関するインテリジェンス機能、また政府と民間の連携の在り方についても、新たな国際環境と向かい合う中で重要なテーマであり、最後に強調させていただければと思います。
以上となります。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。
米ソ冷戦が終結を迎えた頃から、世界には、グローバル化、さらにはロシアや中国との国際協調への前向きな期待が存在した時代がございました。しかし、過去十年ほどで、そうした前向きな期待を持つには厳しい国際環境が出現しております。
従来の先進国以外の国の台頭により、世界のパワーバランスが変化しただけではなく、国際秩序の在り方への不満や拡張主義が具体的な形となって表れるようになりました。
第四次産業革命と言われるほど先端技術の発展が著しく、それらの軍事活動や情報活動への応用が危惧されるようにもなりました。米中の技術競争の激しさは、各国政府や民間企業の研究開発費の増大だけではなく、中国による技術の移転や窃取を増やす結果にもなりました。また、経済における依存関係を利用して相手に強要を迫る行為も実例が積み重ねられてきました。
こうした状況において、いわゆる海洋や宇宙、サイバーなどにおける安全保障空間だけでなく、経済安全保障の考え方が、日本だけでなく欧米や中国において強調されるようになったことは不思議なことではありません。
安全保障とは、時代を映す鏡であり、その時々の国際環境の中で、各国政府が喫緊に、又は長期的に、優先して考えるべき課題に焦点を当てていくものです。あえてアメリカの例を申し上げれば、九〇年代にその関心は地域紛争でしたが、同時多発テロにより、テロリズム及び大量破壊兵器の拡散防止に急に変化をいたしました。何から、何を、何で守るか、安全保障を考える上でのフレームワークですが、それぞれが不断に変わることが安全保障の難しさであります。
今この瞬間において、ロシアのウクライナ侵攻が喫緊の課題であり、国際秩序を国際的な連携によって守るべきことは言うまでもありません。他方で、長期的な課題として、我が国の主権や領土の一体性、国民の生命財産及び国家の繁栄を守るためには、経済社会面での相互依存を活用して他国を脅かしたり、さらには攻撃することが十分に考えられることから、軍事力による抑止や外交だけではなく、経済活動、科学技術分野を含めた体制を整えることが重要になっています。
経済活動は極めて広範であるため、経済安全保障を広く概念定義することもありますが、重要なことは、増大する脅威が何か、いかなる手段がそのために新たに必要かという点に常に着目することだと考えております。
そのように考えますと、今回の経済安全保障推進法案は、立法化がまず求められる分野を進めていくものと評価をしております。
法案の具体的分野について申し上げていきます。
まず、特定重要物資についてです。
特定重要物資のサプライチェーンは、既に民間企業によって組み上げられてきたものです。民間企業の調達多様化に向けた努力を支援することが重要となります。アメリカでは、産業政策と経済安全保障の垣根が下がっており、サプライチェーンの海外投資を実質的には減らすような方策まで議論されておりますが、それは別の政策論であります。経済合理性との均衡を図るためにも、まずは海外を含めた多様化努力が望ましいと考えます。
また、重要物資の特定においては、有識者の意見を重視すること、また、欧米の政策は一つの参照点だとしても、日本の産業構造にとって想定されるものは別であることも想定すべきだと考えております。
サプライチェーンは、企業にとって重要な営業秘密を含む可能性があり、相手企業もある話です。アメリカ政府も、罰則により提供させているのではなく、あくまでも働きかけて提供を受けています。日本の制度においても、企業が自ら協力していく形で進めることが望ましいと思います。
重要物資に関しては、有事を念頭に置いたシミュレーションの必要を述べておきたいと思います。
ウクライナへのロシア侵攻後もエネルギーや穀物の需給変化が話題になりましたが、例えば台湾海峡における有事が発生した場合、世界のサプライチェーンが寸断されるリスクは極めて大きいものになります。大まかな試算はありますが、より具体的なシミュレーションとシナリオ検討が必要となります。先進国とロシア、中国の対立構図が固定化することが恐れられている中、サプライチェーンリスクを具体的なシナリオから点検し、それをもって海外ビジネスの在り方を産業界と考案していくアプローチが必要だと考えます。
基幹インフラについてです。
基幹インフラの防護については、既にインフラ施設が攻撃された事例が多々観察されていることから、備えとして極めて重要となります。電力、水道、パイプライン、鉄道システムなどが近年でも被害を受けております。ランサムウェアによる攻撃も増えています。
備えを高めることは当然としても、インフラを提供する民間企業や各種団体の経済負担が大きいことも事実です。重要なことは、それら主体の負担感を低下させ、経済活動の予見可能性を上げることにあります。政府が可能な限り事前に相談を受け、望ましい設備や維持管理の在り方について具体的に示すことが重要です。企業に責任を転嫁するだけではなく、政府がリスク評価、モニタリングを行い、場合によっては、サイバーセキュリティーを含む投資のための民間企業への補助金を与えることが望ましいのではないでしょうか。
官民技術協力についてです。
ポイントは、産官学の三者が協力し合うメカニズムとして有効に機能するかにあります。そのためには、いわゆるシンクタンクが重要になってきます。従来の機関だけでなく、より幅広い調査を行う機関を設置するというアイデアが重要だと考えます。
ただ、最大の問題は人材です。先端技術だけでなく、安全保障や社会実装に軸足を置いた研究者をどのように確保し、育てていけるかが鍵ではないでしょうか。どのように若手の研究者を引きつけることができるのか、長くとどまっていただき、本人のためになる経験を蓄積できるのか、長期的な視点が強く求められます。
また、いわゆるミッション型の技術開発は重要ですが、二点のみ留保させてください。
第一に、大企業の参画は重要ですが、それに加え、スタートアップ企業を競わせるような仕組みも必要だと思います。アメリカでは国土安全保障省などがそのような取組をしております。
第二に、科学技術には基盤が必要であり、日本政府全体として、科学技術の振興、理系人材の処遇改善を更に推進していただきたいと思います。
非公開特許制度についてです。
人材育成の必要は、非公開特許に関しても当てはまります。二次審査に携わることができる人材を長期的に育成するための制度が必要でしょう。
今回はかなり分野を絞って制度をスタートさせることになりますが、今後、制度を拡充、拡大させていく場合には、制度の存在によって指定のおそれがある分野の技術開発を止めてしまい、他国との競争でむしろ劣位になり、究極的な目標が達成できないおそれがあることに留意してほしいと思います。コストの回収や、将来的にその企業又は開発者の名声が確保できる仕組みが望ましいと思います。
最後に、経済安全保障に関する取組で最も重要なことは、取組を国家戦略の中に確固として位置づけ、その上で確保される継続性にあります。
内閣総理大臣が主導する国家安全保障戦略において、経済安全保障の政策的な全体像が示されること、そこに社会各セクターを代表する有識者の考えが取り込まれることは、合意形成としても非常に重要です。
今回の法案の外になりますが、攻めの経済外交、政府としての経済インテリジェンス機能の確立、そのインテリジェンスの民間への提供可能性の模索、諸外国との経済安全保障における連携さらには支援、こういったことに十分配慮して戦略が組み立てられることに期待をしております。
また、これは必ずしも狭い意味での経済安全保障ではありませんが、人権侵害が著しい国と向かい合うために必要な人権外交や人権に関するインテリジェンス機能、また政府と民間の連携の在り方についても、新たな国際環境と向かい合う中で重要なテーマであり、最後に強調させていただければと思います。
以上となります。ありがとうございました。拍手
上
村
村山裕三#4
○村山参考人 同志社大学の村山と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、長きにわたり経済安全保障に関わってきました研究者としての立場から意見を述べさせていただきます。
レジュメに沿って話をいたします。
一番目が法案の意義というところなんですけれども、まず、経済安全保障の日本にとっての重要性ということですが、日本は軍事力に制限をかけた通商国家であり、他国が軍事力で考えるところも、経済力、技術力で何ができるかを考えなくてはならないということです。
これは、言葉で言うのは非常に簡単なんですけれども、実は非常に難しい作業です。といいますのも、ほかの国で、歴史的に見ても、このようなことを行った国というのは余りないんですね。しかし、日本ではこれに取り組まなきゃならない。それに当たって、この法案というのは極めて重要というふうに考えております。
それは、三つあります。
一つ目ですけれども、法律による制度化により、経済安全保障に中長期的に取り組める体制が整備されるということです。
今までも経済安全保障の政策はありました。これはどういうふうにして対応してきたかといいますと、ほとんどが予算措置だけでした。例えば、九・一一テロ後、テロ対策機器の開発をやったんですけれども、これは既存の枠組みの中の予算をつけてやったということなんですよね。ということは、予算がなくなると終わってしまうということなんです。ところが、今回は法律になっていますので、中長期的に経済安全保障に取り組める。これは非常に重要と考えます。
二つ目が、関係省庁に横串を刺す形で政府が一体として取り組むことが可能になる。
経済安全保障ですので、経済と安全保障、これはいろいろな分野にまたがるわけです。したがって、こういう形で法律にすると、政府が一体として取り組める体制になるということです。
三つ目です。日本の経済安全保障政策の全体像は、この法案に加えて、既存の安全保障貿易管理、外資規制、これは外為法ですね、それから国家安全保障戦略における経済安全保障の位置づけを合わせて、総合的に捉える必要があるということです。
したがって、この法案というのは、まさに経済安全保障政策の途上でありまして、これは何としても国家安全保障戦略につなげていかなきゃならないということです。特に、その国家安全保障戦略においては、防衛産業技術基盤をいかに強化するとか、そういう具体的なことを書き込んでいかないと駄目だと思うんですね。それに行く道筋をつけたのがこの法案というふうに私は考えております。
二つ目が、国際環境の変化と経済安全保障、今なぜ必要かということです。
実は、グローバル化の時代には、この種の法律の必要性は低かったんですね。これはどういうことかといいますと、他国を自由貿易の輪の中に入れることが日本の国益に寄与していた。ということは、経済的な相互依存が進めば平和になるという考え方だったんですね。したがって、相互依存が進めば戦争のコストが高くなるから平和になるという、これが支配的な考え方でした。
ところが、これはトランプ政権の頃から変わってきまして、懸念国に依存することは非常に危険なんじゃないかというふうに考え方の大勢が変わってきたんですね。
それを踏まえてですけれども、国際環境の変化、米中の覇権競争、ウクライナ、ロシア問題などにより、日本の存在感を高めるためには、自由貿易を守りつつも、適切な技術・経済管理と技術育成を組み合わせ、戦略的不可欠性を高めることが必要な時代になったということです。
この戦略的不可欠性というのはどういうことかといいますと、他の国から見て決定的に重要と思われる分野における国際的な競争力というふうに考えております。したがって、ここに日本がいないと絶対困るよ、そういう立場に日本が立つことは極めて重要であるというふうに考えております。
したがって、こういう大きな国際環境の変化があって、この法案の重要性というのが出てきたというふうに私は考えております。
それで、具体論ですけれども、私の専門である二つの分野についてコメントをさせていただきたいと思います。
まず、重要技術の開発支援ですけれども、これは、四つの中でも私は一番重要性が高いというふうに考えています。特に、その戦略的不可欠性を確立するためには、これをちゃんと確立しないと駄目だということなんですね。
それで、どういう順番になるかといいますと、まず、シンクタンクによる重要技術の特定があります。それから、その次に、協議会における技術シーズとニーズのマッチングですね。それから三番目が、経済安保重要技術育成プログラムによる予算措置。それから、社会実装、これは政府と民間の開発スパイラル、これは後で説明しますけれども、こういう流れの構築が必要というふうに考えております。
実は、今若干混乱しているのは、順番が逆になってしまったんですね。最初にこの経済安保重要技術育成プログラムというのが出てきて、二千五百億だとか、それを五千億にするとかいう話が出てきましたよね。これはもう動いております。それで、今回の法案によって、協議会を設立するということが出てきました。それにプラス、シンクタンクをつくる。これは、完成するのは二、三年後ということですので、先になります。
実は、一番最初に置かなきゃいけないのはシンクタンクなんですけれども、これはもう逆転しているということなんですよね。だから、何よりも早くシンクタンクを設立して、こういう流れを早くつくらなきゃならないということです。
それで、もう一点重要なのが、政府と民間の開発スパイラルということです。
これは、お金をつけて政府のニーズに合った技術を開発するだけではなくて、それを民間企業はマーケットに出して、それを製品化するということなんですね。製品化することによって、それがマーケットに回ります。それが、よりよい技術になるわけですね。そういうよりよい技術を更に政府が調達できるような形にするということで、政府と民間の間でスパイラルを回すということです。そうすることによって、これは経済にとってもいいし安全保障にとってもいい、そういう両立ができる、こういうスキームをつくるべきというふうに考えています。
これは十分可能ですので、早くこういう体制に持っていってほしいというのが、この重要技術の開発支援ということです。
二番目の重要物資の安定供給ということなんですけれども、これも非常に重要です。重要ですけれども、多くの部分は民間企業が、事業継続計画、BCPの一環として対処しているということなんですね。だから、これは企業がずっとやっているし、企業にはサプライチェーンの専門家もいるわけですよね。その中で、なぜ政府がここに関与するかということをはっきりさせなきゃならない。だから、民間だけでは十分ではない部分が当然あります。それは一体どういう分野でなぜなのかというのを、しっかりこれから考えていかなきゃならないかと思います。
これは今の法案とはちょっと関係は薄いんですけれども、例えば防衛分野。これは国家安全保障戦略を策定するときには考えなきゃならないと思うんですけれども、例えば防衛分野は、装備品のサプライチェーンの中で、非常に重要な部分で懸念国に依存しているものがある。それで、何か起こったときに、その懸念国からの供給が止まってしまう。ということは、装備品が造れなくなってしまうわけですね。こういう場合を防ぐためには、絶対政府が関与しなきゃならないということですね。これがまず出発点としてあるんですけれども、それはどの辺りまで一体政府は関与すべきかというのをしっかりと考えていかなきゃならないというふうに思っております。
いずれにしても、経済安全保障というのは、細部において経済的利害と安全保障的利害をいかにバランスさせるかというのが要諦になります。それで、場合によっては、できればこれを両立させるという形に持っていくということですね。先ほど言いました技術開発体制というのは、そういうことができる分野です。
だから、こういう形で細部においていろいろな知恵を絞っていかなきゃならないというのが、この経済安全保障の特徴です。もちろん、その大戦略というのも大切かも分からないんですけれども、細部でしっかりと、経済と安全保障を見据えて、本当に専門家がここでバランスを取るようにしていくというのが、この経済安全保障の重要な部分というふうに考えております。
いずれにしても、私は、この法案は極めて重要というふうに思っております。特に、経済力を安全保障のために使うというのが、こういう発想が今まで日本になかったわけですよね。これが実現することによって、日本の安全保障政策の一つの転換点になる、そういう重要な法案というふうに私は考えております。
以上です。拍手
この発言だけを見る →本日は、長きにわたり経済安全保障に関わってきました研究者としての立場から意見を述べさせていただきます。
レジュメに沿って話をいたします。
一番目が法案の意義というところなんですけれども、まず、経済安全保障の日本にとっての重要性ということですが、日本は軍事力に制限をかけた通商国家であり、他国が軍事力で考えるところも、経済力、技術力で何ができるかを考えなくてはならないということです。
これは、言葉で言うのは非常に簡単なんですけれども、実は非常に難しい作業です。といいますのも、ほかの国で、歴史的に見ても、このようなことを行った国というのは余りないんですね。しかし、日本ではこれに取り組まなきゃならない。それに当たって、この法案というのは極めて重要というふうに考えております。
それは、三つあります。
一つ目ですけれども、法律による制度化により、経済安全保障に中長期的に取り組める体制が整備されるということです。
今までも経済安全保障の政策はありました。これはどういうふうにして対応してきたかといいますと、ほとんどが予算措置だけでした。例えば、九・一一テロ後、テロ対策機器の開発をやったんですけれども、これは既存の枠組みの中の予算をつけてやったということなんですよね。ということは、予算がなくなると終わってしまうということなんです。ところが、今回は法律になっていますので、中長期的に経済安全保障に取り組める。これは非常に重要と考えます。
二つ目が、関係省庁に横串を刺す形で政府が一体として取り組むことが可能になる。
経済安全保障ですので、経済と安全保障、これはいろいろな分野にまたがるわけです。したがって、こういう形で法律にすると、政府が一体として取り組める体制になるということです。
三つ目です。日本の経済安全保障政策の全体像は、この法案に加えて、既存の安全保障貿易管理、外資規制、これは外為法ですね、それから国家安全保障戦略における経済安全保障の位置づけを合わせて、総合的に捉える必要があるということです。
したがって、この法案というのは、まさに経済安全保障政策の途上でありまして、これは何としても国家安全保障戦略につなげていかなきゃならないということです。特に、その国家安全保障戦略においては、防衛産業技術基盤をいかに強化するとか、そういう具体的なことを書き込んでいかないと駄目だと思うんですね。それに行く道筋をつけたのがこの法案というふうに私は考えております。
二つ目が、国際環境の変化と経済安全保障、今なぜ必要かということです。
実は、グローバル化の時代には、この種の法律の必要性は低かったんですね。これはどういうことかといいますと、他国を自由貿易の輪の中に入れることが日本の国益に寄与していた。ということは、経済的な相互依存が進めば平和になるという考え方だったんですね。したがって、相互依存が進めば戦争のコストが高くなるから平和になるという、これが支配的な考え方でした。
ところが、これはトランプ政権の頃から変わってきまして、懸念国に依存することは非常に危険なんじゃないかというふうに考え方の大勢が変わってきたんですね。
それを踏まえてですけれども、国際環境の変化、米中の覇権競争、ウクライナ、ロシア問題などにより、日本の存在感を高めるためには、自由貿易を守りつつも、適切な技術・経済管理と技術育成を組み合わせ、戦略的不可欠性を高めることが必要な時代になったということです。
この戦略的不可欠性というのはどういうことかといいますと、他の国から見て決定的に重要と思われる分野における国際的な競争力というふうに考えております。したがって、ここに日本がいないと絶対困るよ、そういう立場に日本が立つことは極めて重要であるというふうに考えております。
したがって、こういう大きな国際環境の変化があって、この法案の重要性というのが出てきたというふうに私は考えております。
それで、具体論ですけれども、私の専門である二つの分野についてコメントをさせていただきたいと思います。
まず、重要技術の開発支援ですけれども、これは、四つの中でも私は一番重要性が高いというふうに考えています。特に、その戦略的不可欠性を確立するためには、これをちゃんと確立しないと駄目だということなんですね。
それで、どういう順番になるかといいますと、まず、シンクタンクによる重要技術の特定があります。それから、その次に、協議会における技術シーズとニーズのマッチングですね。それから三番目が、経済安保重要技術育成プログラムによる予算措置。それから、社会実装、これは政府と民間の開発スパイラル、これは後で説明しますけれども、こういう流れの構築が必要というふうに考えております。
実は、今若干混乱しているのは、順番が逆になってしまったんですね。最初にこの経済安保重要技術育成プログラムというのが出てきて、二千五百億だとか、それを五千億にするとかいう話が出てきましたよね。これはもう動いております。それで、今回の法案によって、協議会を設立するということが出てきました。それにプラス、シンクタンクをつくる。これは、完成するのは二、三年後ということですので、先になります。
実は、一番最初に置かなきゃいけないのはシンクタンクなんですけれども、これはもう逆転しているということなんですよね。だから、何よりも早くシンクタンクを設立して、こういう流れを早くつくらなきゃならないということです。
それで、もう一点重要なのが、政府と民間の開発スパイラルということです。
これは、お金をつけて政府のニーズに合った技術を開発するだけではなくて、それを民間企業はマーケットに出して、それを製品化するということなんですね。製品化することによって、それがマーケットに回ります。それが、よりよい技術になるわけですね。そういうよりよい技術を更に政府が調達できるような形にするということで、政府と民間の間でスパイラルを回すということです。そうすることによって、これは経済にとってもいいし安全保障にとってもいい、そういう両立ができる、こういうスキームをつくるべきというふうに考えています。
これは十分可能ですので、早くこういう体制に持っていってほしいというのが、この重要技術の開発支援ということです。
二番目の重要物資の安定供給ということなんですけれども、これも非常に重要です。重要ですけれども、多くの部分は民間企業が、事業継続計画、BCPの一環として対処しているということなんですね。だから、これは企業がずっとやっているし、企業にはサプライチェーンの専門家もいるわけですよね。その中で、なぜ政府がここに関与するかということをはっきりさせなきゃならない。だから、民間だけでは十分ではない部分が当然あります。それは一体どういう分野でなぜなのかというのを、しっかりこれから考えていかなきゃならないかと思います。
これは今の法案とはちょっと関係は薄いんですけれども、例えば防衛分野。これは国家安全保障戦略を策定するときには考えなきゃならないと思うんですけれども、例えば防衛分野は、装備品のサプライチェーンの中で、非常に重要な部分で懸念国に依存しているものがある。それで、何か起こったときに、その懸念国からの供給が止まってしまう。ということは、装備品が造れなくなってしまうわけですね。こういう場合を防ぐためには、絶対政府が関与しなきゃならないということですね。これがまず出発点としてあるんですけれども、それはどの辺りまで一体政府は関与すべきかというのをしっかりと考えていかなきゃならないというふうに思っております。
いずれにしても、経済安全保障というのは、細部において経済的利害と安全保障的利害をいかにバランスさせるかというのが要諦になります。それで、場合によっては、できればこれを両立させるという形に持っていくということですね。先ほど言いました技術開発体制というのは、そういうことができる分野です。
だから、こういう形で細部においていろいろな知恵を絞っていかなきゃならないというのが、この経済安全保障の特徴です。もちろん、その大戦略というのも大切かも分からないんですけれども、細部でしっかりと、経済と安全保障を見据えて、本当に専門家がここでバランスを取るようにしていくというのが、この経済安全保障の重要な部分というふうに考えております。
いずれにしても、私は、この法案は極めて重要というふうに思っております。特に、経済力を安全保障のために使うというのが、こういう発想が今まで日本になかったわけですよね。これが実現することによって、日本の安全保障政策の一つの転換点になる、そういう重要な法案というふうに私は考えております。
以上です。拍手
上
鈴
鈴木一人#6
○鈴木参考人 皆様、おはようございます。東京大学の鈴木でございます。
本日、私からは、この経済安全保障推進法案に関するコメントとして、三点お話をさせていただきたいというふうに考えております。
まず第一に、経済安全保障の概念の整理の問題、そして第二に、経済安全保障と自由貿易の関係について、そして三つ目に、経済安全保障とまた異なるコンセプトであるエコノミック・ステートクラフトというものとの関係についてお話しさせていただきたいと思います。
まず第一に、この経済安全保障に関する様々な議論の混乱といいますか、定義に関わる問題、これは、様々なところで、この国会の中でも、また有識者の中の議論でも、経済安全保障って一体何なんだということが多く議論されています。その混乱の原因を私なりに考えてみたところ、これは三つのコンセプトが一つの経済安全保障という枠組みにあるので分かりにくいのではないかというふうに考えておりますので、少しそれを整理したところをお話しさせていただきます。
一つが、いわゆるサプライチェーンないしは供給の安全保障ということで、これは、エネルギーですとか食料のほかにも、様々な素材ですとか、サプライチェーン全体ですね、これが、国際的な関係が深まっていく、相互依存が深まっていく中で、敵対的な国家、関係の悪い国家にもそうしたサプライチェーンを依存している状態、これは、国家の安全保障、経済的な関係をスムーズに行っていくことに対するリスクということになっている。
逆に言えば、そうした依存関係が、チョークポイント、要するに首を絞めたらそこで首が絞まってしまう、死んでしまうような、そういう相手の肝になるポイントというのを握っている状態。これは、二〇一〇年、日本が中国との関係で、中国がレアアースの輸出を禁止した、こういうことがありましたけれども、まさにこれが、レアアースがチョークポイントということになっていて、こうした供給の安全保障というのが必要である、こういう議論があります。これは、現在の法案の中では、サプライチェーンの強靱化という形で対処するということになっているわけです。
もう一つが、技術の不拡散に関する安全保障という問題がありまして、これは、伝統的に安全保障貿易管理と言われる分野において、貿易などを通じ、つまり経済的な手段を通じて、国家にとって重要な技術、これは他国の安全保障に関わるような技術ですね、かつては大量破壊兵器、核兵器や生物化学兵器などが問題になっていましたけれども、近年では、こうした安全保障に関わる技術が、AIですとかロボティクス、それからバイオテクノロジー、いろいろな分野において安全保障に関わる技術というのが非常に多岐にわたるようになってきた。しかもそれは、軍民融合という形で、軍事的に利用することも、そして民間で利用することも両方可能なものである。ですから、民間の貿易を通じて相手の国家に技術が渡って、それが安全保障上の懸念になるということが起こり得るということから、技術の安全保障、技術管理が大事だということで、経済安全保障の中にこれが含まれた。
ただし、これは、サプライチェーンの話と技術管理の話というのは、基本的には同じ経済に関わる問題ですけれども、ベクトルが違うというか見ているところが違うということで、ここが一つ混乱の原因になっているのではないかというふうに思います。
また、先ほど佐橋参考人等からお話もあったとおり、人権の問題などを含めて、今、他国に対して経済的な圧力をかける、そうした政治的な目的のために経済的な手段を使うという、これはまた後にエコノミック・ステートクラフトとしてお話しさせていただきますが、こうしたことが起こっていることが、これからの経済の安全保障上の問題、つまり、他国の政治的圧力のために経済を使われてしまう、そこからどういうふうに、この問題、我が国の能力を高めていくのか、どうやって守りを固めていくのか、こういうことが重要だという、この三つが経済安全保障の大きな枠の中に入っているがゆえに、どれが経済安全保障なのか、議論をするときも、皆さんが使っている経済安全保障という言葉がばらばらになっている。
次のスライドですけれども、この中で重要になってくるのが、依存と脆弱性の関係だと思います。
つまり、経済安全保障の鍵となるのは、他国に依存すること、特に、特定の国家に、とりわけ敵対的な関係にある国家に特定の品目を依存している状態というのが望ましくないということで、これはまさにサプライチェーンの問題として、この依存をいかに減らしていくのかということがこれからの経済安全保障の鍵になるというのと同時に、経済的な関係が深まっていくことによる技術の拡散、これをどうやって防いでいくのかということが重要な鍵になっていくのではないかというふうに考えております。
次の論点であります経済安全保障と自由貿易の問題についてお話しさせていただきます。
経済安全保障において、自由貿易との関係は、実は、これは対立ないしはなかなか矛盾する関係にあるだろうというふうに考えております。
経済的な合理性を追求するものとして、これまで戦後長い間、自由貿易体制というのが国際経済秩序の枠組みにあったわけですけれども、それは比較優位に基づく生産の集中や特化をもたらし、それは場合によっては政治体制やイデオロギーや軍事的な対立、そういったものを含む相手とも経済関係を結ぶということを許容してきた、そういう側面があります。
他方、現在の経済安全保障の問題というのは、政治的、安全保障上の合理性を含んだもの、つまり、自らの国家に対して敵対的な国家ないしはリスクのある場所、そういったところに生産ないしはサプライ、経済関係を結ぶこと、これに抵抗するないしはそれに対するリスクを回避するということが目的になっていきます。これは言い方を変えると、自由貿易にさお差す行為ということにもなるわけです。
ですので、経済安全保障を進めていく上で、我が国が、CPTPPを始めとして自由貿易ルールに基づく経済秩序、こういったものを進めていく立場として、このバランスをどうやって取っていくのかということが重要になってくるかと思います。
参考のところでつけました、WTOそれからCPTPPのところで安全保障例外ということをスライドでつけておきましたけれども、これら安全保障例外は、読んでいただくと分かると思うんですが、なかなか解釈が限定的である。特にWTOのガット二十一条というのはそういう状態になっているということで、安全保障だから、国家の国益に関わる問題だからということで自由貿易と経済安全保障の問題を折り合いをつけるということはなかなか容易ではないということですから、この経済安全保障推進法案の中でもかなりの神経を使って調整をされているということは理解はしておりますけれども、やはり、この点、引き続き重要なポイントとして示させていただきたいと思っております。
三つ目の論点ですけれども、エコノミック・ステートクラフトということをちょっと御紹介しておきたいと思います。
先ほども少しお話ししましたが、これは、他国の脆弱性を狙い撃ちにして、政治的意思や価値、これを強要することであります。つまり、ある国が経済的な手段を使って他国に自国のやり方を押しつける、こういうことになります。
これはやり方は様々ありまして、例えば、現在ロシアに対して行っている経済制裁、これもエコノミック・ステートクラフトの一種です。停戦をしろ、戦争をやめろという政治的な意思を伝え、そして圧力をかけるために経済制裁というのをかけております。北朝鮮に対する経済制裁もそうであります。
他方、経済援助において、例えばこういうことをすれば援助するとか、援助においてコンディショナリティーをつける、いろいろな条件をつけていくというのも、これも一種のエコノミック・ステートクラフトというふうに考えることができます。
しばしば問題になるのは、これまでは自由貿易の枠組みの中ではこうした国家の権力を行使する形で経済的な行為を阻害することは認められてこなかったわけですけれども、近年、それを積極的に行うような国が出てきているということが大きな問題になっております。つまり、経済的な手段、特に経済力の大きな国、そういった国々が、自国の経済の、ここに市場の重力、マーケットグラビティーと書きましたが、多くの国がその国に輸出することを依存している、それが結果として、輸入を禁止するという形で経済的圧力をかけるということがございます。
例えばですけれども、中国は、オーストラリアとの関係で、オーストラリアの石炭、鉄鉱石、それから農産品、また、ノーベル平和賞の受賞に関することで、ノルウェーからサーモンを買わないといったようなことが現実として起きております。
こうしたエコノミック・ステートクラフトというのは、まさに経済的手段を使って政治的な圧力をかけることなわけですけれども、これをきちんと対処しておかないと、我々は他国のそうした経済的圧力に屈する可能性がある。
そうした経済的圧力を受けないようにするためにも経済安全保障というのは極めて重要な問題になるんだということで、この経済安全保障法案、今この時期に議論されていることは大変重要なことだと考えておりますし、また、そのために、自由貿易の価値を守りながら、同時に、我が国の経済的な安定、そして、他国の政治的な圧力に屈しないようなそうした政策、法律の運用を目指していただきたいというふうに考えております。
私からは以上です。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日、私からは、この経済安全保障推進法案に関するコメントとして、三点お話をさせていただきたいというふうに考えております。
まず第一に、経済安全保障の概念の整理の問題、そして第二に、経済安全保障と自由貿易の関係について、そして三つ目に、経済安全保障とまた異なるコンセプトであるエコノミック・ステートクラフトというものとの関係についてお話しさせていただきたいと思います。
まず第一に、この経済安全保障に関する様々な議論の混乱といいますか、定義に関わる問題、これは、様々なところで、この国会の中でも、また有識者の中の議論でも、経済安全保障って一体何なんだということが多く議論されています。その混乱の原因を私なりに考えてみたところ、これは三つのコンセプトが一つの経済安全保障という枠組みにあるので分かりにくいのではないかというふうに考えておりますので、少しそれを整理したところをお話しさせていただきます。
一つが、いわゆるサプライチェーンないしは供給の安全保障ということで、これは、エネルギーですとか食料のほかにも、様々な素材ですとか、サプライチェーン全体ですね、これが、国際的な関係が深まっていく、相互依存が深まっていく中で、敵対的な国家、関係の悪い国家にもそうしたサプライチェーンを依存している状態、これは、国家の安全保障、経済的な関係をスムーズに行っていくことに対するリスクということになっている。
逆に言えば、そうした依存関係が、チョークポイント、要するに首を絞めたらそこで首が絞まってしまう、死んでしまうような、そういう相手の肝になるポイントというのを握っている状態。これは、二〇一〇年、日本が中国との関係で、中国がレアアースの輸出を禁止した、こういうことがありましたけれども、まさにこれが、レアアースがチョークポイントということになっていて、こうした供給の安全保障というのが必要である、こういう議論があります。これは、現在の法案の中では、サプライチェーンの強靱化という形で対処するということになっているわけです。
もう一つが、技術の不拡散に関する安全保障という問題がありまして、これは、伝統的に安全保障貿易管理と言われる分野において、貿易などを通じ、つまり経済的な手段を通じて、国家にとって重要な技術、これは他国の安全保障に関わるような技術ですね、かつては大量破壊兵器、核兵器や生物化学兵器などが問題になっていましたけれども、近年では、こうした安全保障に関わる技術が、AIですとかロボティクス、それからバイオテクノロジー、いろいろな分野において安全保障に関わる技術というのが非常に多岐にわたるようになってきた。しかもそれは、軍民融合という形で、軍事的に利用することも、そして民間で利用することも両方可能なものである。ですから、民間の貿易を通じて相手の国家に技術が渡って、それが安全保障上の懸念になるということが起こり得るということから、技術の安全保障、技術管理が大事だということで、経済安全保障の中にこれが含まれた。
ただし、これは、サプライチェーンの話と技術管理の話というのは、基本的には同じ経済に関わる問題ですけれども、ベクトルが違うというか見ているところが違うということで、ここが一つ混乱の原因になっているのではないかというふうに思います。
また、先ほど佐橋参考人等からお話もあったとおり、人権の問題などを含めて、今、他国に対して経済的な圧力をかける、そうした政治的な目的のために経済的な手段を使うという、これはまた後にエコノミック・ステートクラフトとしてお話しさせていただきますが、こうしたことが起こっていることが、これからの経済の安全保障上の問題、つまり、他国の政治的圧力のために経済を使われてしまう、そこからどういうふうに、この問題、我が国の能力を高めていくのか、どうやって守りを固めていくのか、こういうことが重要だという、この三つが経済安全保障の大きな枠の中に入っているがゆえに、どれが経済安全保障なのか、議論をするときも、皆さんが使っている経済安全保障という言葉がばらばらになっている。
次のスライドですけれども、この中で重要になってくるのが、依存と脆弱性の関係だと思います。
つまり、経済安全保障の鍵となるのは、他国に依存すること、特に、特定の国家に、とりわけ敵対的な関係にある国家に特定の品目を依存している状態というのが望ましくないということで、これはまさにサプライチェーンの問題として、この依存をいかに減らしていくのかということがこれからの経済安全保障の鍵になるというのと同時に、経済的な関係が深まっていくことによる技術の拡散、これをどうやって防いでいくのかということが重要な鍵になっていくのではないかというふうに考えております。
次の論点であります経済安全保障と自由貿易の問題についてお話しさせていただきます。
経済安全保障において、自由貿易との関係は、実は、これは対立ないしはなかなか矛盾する関係にあるだろうというふうに考えております。
経済的な合理性を追求するものとして、これまで戦後長い間、自由貿易体制というのが国際経済秩序の枠組みにあったわけですけれども、それは比較優位に基づく生産の集中や特化をもたらし、それは場合によっては政治体制やイデオロギーや軍事的な対立、そういったものを含む相手とも経済関係を結ぶということを許容してきた、そういう側面があります。
他方、現在の経済安全保障の問題というのは、政治的、安全保障上の合理性を含んだもの、つまり、自らの国家に対して敵対的な国家ないしはリスクのある場所、そういったところに生産ないしはサプライ、経済関係を結ぶこと、これに抵抗するないしはそれに対するリスクを回避するということが目的になっていきます。これは言い方を変えると、自由貿易にさお差す行為ということにもなるわけです。
ですので、経済安全保障を進めていく上で、我が国が、CPTPPを始めとして自由貿易ルールに基づく経済秩序、こういったものを進めていく立場として、このバランスをどうやって取っていくのかということが重要になってくるかと思います。
参考のところでつけました、WTOそれからCPTPPのところで安全保障例外ということをスライドでつけておきましたけれども、これら安全保障例外は、読んでいただくと分かると思うんですが、なかなか解釈が限定的である。特にWTOのガット二十一条というのはそういう状態になっているということで、安全保障だから、国家の国益に関わる問題だからということで自由貿易と経済安全保障の問題を折り合いをつけるということはなかなか容易ではないということですから、この経済安全保障推進法案の中でもかなりの神経を使って調整をされているということは理解はしておりますけれども、やはり、この点、引き続き重要なポイントとして示させていただきたいと思っております。
三つ目の論点ですけれども、エコノミック・ステートクラフトということをちょっと御紹介しておきたいと思います。
先ほども少しお話ししましたが、これは、他国の脆弱性を狙い撃ちにして、政治的意思や価値、これを強要することであります。つまり、ある国が経済的な手段を使って他国に自国のやり方を押しつける、こういうことになります。
これはやり方は様々ありまして、例えば、現在ロシアに対して行っている経済制裁、これもエコノミック・ステートクラフトの一種です。停戦をしろ、戦争をやめろという政治的な意思を伝え、そして圧力をかけるために経済制裁というのをかけております。北朝鮮に対する経済制裁もそうであります。
他方、経済援助において、例えばこういうことをすれば援助するとか、援助においてコンディショナリティーをつける、いろいろな条件をつけていくというのも、これも一種のエコノミック・ステートクラフトというふうに考えることができます。
しばしば問題になるのは、これまでは自由貿易の枠組みの中ではこうした国家の権力を行使する形で経済的な行為を阻害することは認められてこなかったわけですけれども、近年、それを積極的に行うような国が出てきているということが大きな問題になっております。つまり、経済的な手段、特に経済力の大きな国、そういった国々が、自国の経済の、ここに市場の重力、マーケットグラビティーと書きましたが、多くの国がその国に輸出することを依存している、それが結果として、輸入を禁止するという形で経済的圧力をかけるということがございます。
例えばですけれども、中国は、オーストラリアとの関係で、オーストラリアの石炭、鉄鉱石、それから農産品、また、ノーベル平和賞の受賞に関することで、ノルウェーからサーモンを買わないといったようなことが現実として起きております。
こうしたエコノミック・ステートクラフトというのは、まさに経済的手段を使って政治的な圧力をかけることなわけですけれども、これをきちんと対処しておかないと、我々は他国のそうした経済的圧力に屈する可能性がある。
そうした経済的圧力を受けないようにするためにも経済安全保障というのは極めて重要な問題になるんだということで、この経済安全保障法案、今この時期に議論されていることは大変重要なことだと考えておりますし、また、そのために、自由貿易の価値を守りながら、同時に、我が国の経済的な安定、そして、他国の政治的な圧力に屈しないようなそうした政策、法律の運用を目指していただきたいというふうに考えております。
私からは以上です。ありがとうございました。拍手
上
井
井原聰#8
○井原参考人 おはようございます。井原でございます。
本日は、この審議の場に参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。また、立憲民主党や他の野党の御配慮に感謝申し上げます。
私の専門は、科学史、技術史でございます。歴史の見地から、この国の科学技術政策や学術体制、あるいは若手研究者の養成というふうなことに関心を持ってこれまで見てきました。在職中は先端分野の融合領域研究の若手研究者の養成に関わってきたこともあり、そうした経験から意見を述べさせてもらおうと思います。
極めて重要な法案ですが、具体的内容については政省令、業法等で示されるということで、国会での議論は内容がないというふうなことで、是非民主的な手続の面からの工夫をしていただきたい、こういうふうに思います。
法案の二つの性格ということで、一つの方がどうもはっきりしてこない。今、特定重要物質の安定供給、特定社会基盤役務は有事に備えよというわけですが、その有事とは何かが語られずに、有事に対処する国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛整備計画が大いに関係するものと思いますが、これとの関わり、これとどうすり合わせていくのかがないまま議論が進んでいくことに非常に不安を感じます。
現在、経済の喫緊の課題とされている安定供給やサイバー攻撃問題ですが、これは盛んに議論がされております。しかし、防衛問題について、DARPAに似せた組織までつくろうという議論が進んでいるわけですが、御承知のように、アメリカの経済安全保障の肝は防衛問題です。本法案は具体的な内容が書き込まれていませんのでよく分かりませんが、防衛上、軍事上の優位性、不可欠性をどのように強化していくのか、その問題を含めるような内容が読み取れないということでございます。
そこで、私は、多少なりともそれと関わる読み方をこの法案の中で議論をしてみたいというふうに思います。
第六十一条に、特定重要技術の研究開発のために、研究代表者の同意の下で、内閣総理大臣と協議して、関係大臣も加わる協議会を組織するとされていますが、プロジェクトごとにこれだけ大げさな組織がなぜ必要なのかが不明であります。
協議会は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律により、国の資金で行われる研究開発を対象にすると言っていますけれども、この活性化法は、若年研究者等の能力の活用の促進に必要な施策を講ずるものとするという、若手研究者の能力活用を主眼としたものです。若手研究者育成は必要ですが、特定重要技術開発は若手にだけ負わせるのでしょうか。
また、伴走支援するということですが、防衛省が伴走支援すれば、防衛研究、軍事研究推進とはなりませんでしょうか。現在進行中の防衛技術研究推進制度では軍事研究ではないからと説明してきましたが、これを撤回しなければならないんじゃないか、それどころか、国が提起する研究課題で、特定重要技術課題の場合は、場合によっては防衛や軍事研究になることを明示する必要が出てくるのではないか、こんなふうにも思います。
六十二条の七項には、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないとして、違反者には罰則を科しています。これは研究開発を促進するための協議会のメンバーに課せられたものですが、この協議会からの離脱が自由なのか否かも大きな問題になります。
ユネスコの科学及び科学研究者に関する勧告というのがございます。「「軍民両用」に当たる場合には、科学研究者は、良心に従って当該事業から身を引く権利を有し、並びにこれらの懸念について自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有する。」とあります。これに照らしたとき、特定重要技術に関わる若手研究者は、罰則のある守秘義務の手前、この権利と責任を放棄しなければなりません。この勧告との対応が必要だと思いますが、一顧だにされておりません。
国から与えられた課題研究型研究で社会実装まで行う、産学連携で企業と大学との共同研究では、実は見えない壁が研究エリアに張られています。お互いに自由な議論もできない、そういう研究エリアがたくさんあります。他分野の新鮮な考え方の交流や研究会、国際交流など研究を醸成するコミュニケーションもなく、先細ることがよくよく見受けられます。
野依良治さんが委員長を務めた建議文書があります。学術研究の特性について次のように提起しています。学術研究に従事する者が自らの内在的動機に基づき行う研究は尊重されるべきである、これにより全体として研究の多様性が確保されるのである。
研究の多様性こそ研究力の基盤であります。伴走支援して社会実装を迫る研究の進め方は、厳に私は戒められなければならないというふうに考えております。若者は窒息しかねません。各省庁が社会実装に向けて支援伴走する方式は人材養成にはならないのではないかと思います。
国大協の調査によれば、二〇一八年現在ですが、国立大学の四十歳未満の若手研究者は、実は六〇%がパートタイマーです。能力の活用以前に、常勤の若手研究者の母数を増やすことが喫緊の課題になっております。
調査研究についてですが、六十四条に、これはシンクタンクを法的に位置づけるものと理解しておりますが、何をどう調査研究するのか。大学、研究機関などで進められている業績評価に関わる個人情報を含むデータまでを調査対象にしてAIで監視するような調査研究だとすれば、国家によって監視されることになりかねません。問題は非常に大きいと思います。
一方、経産省では既に、「経済産業政策の重点」ということで、法案を先取りしたような提起で大学等の管理体制構築などが提示されていて、現行の安全保障輸出管理の現場の混乱が予想されます。
ここで想定されるシンクタンクは、CSTIに直結し、日本学術会議や大学、研究機関までを下位のシンクタンク化するのではないかという危惧があります。特に、学位授与機能まで持たせてはという議論も含まれてあり、学術研究体制に大きな変化を求める議論があるとすれば、余りにも問題が大きいと思います。
特許の問題ですが、特許制度は科学や技術の発達に欠かせない制度として定着してきました。私は、特許制度は、単に知財の問題ではなく、学術研究体制や産業や文化の一部であると考えております。
保全指定については事前審査を行うのでしょうが、忌避できる環境がつくられるのか否か、軍民両用のものの場合、その特許が保全指定され産業化できない不利益を十全に保障されるのか否か、損失額の査定を支払う方の国が行うということで公正さが保たれるのか。原子力災害賠償の問題事例が想起されますが、大きな問題が含まれていると思います。
また、保全指定から離脱して、その特許を取らずに実施に移すケースがあれば、国家と国民の安全を脅かす技術が流出することになります。秘密特許に大きな穴が空いていると言えます。公開を原則とする特許制度に軍事機密を持ち込むことが矛盾であります。軍事技術は本来、秘匿とノウハウで処理すべきではないかと考えるものであります。
大学発ベンチャービジネスがたくさん生まれ始めています。特に、宇宙、海洋、量子、電磁気、サイバー、センサー分野の先端分野での活動が盛んになっていますが、秘密特許や特定重要技術としての囲い込みがこの分野の成長を鈍化させる、そういう危惧を抱いております。
言い足りないことを含めて、主な問題点はお配りしてある資料の末尾にまとめて書いてあります。
以上、多くの問題が、二つ、つまり重要技術の問題と特許の問題の中にも見出すことができますので、抜本的な見直しを求めるものでございます。
なお、与えられました時間の関係で、維新の会の提案に言及できませんでしたことをおわびいたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、この審議の場に参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。また、立憲民主党や他の野党の御配慮に感謝申し上げます。
私の専門は、科学史、技術史でございます。歴史の見地から、この国の科学技術政策や学術体制、あるいは若手研究者の養成というふうなことに関心を持ってこれまで見てきました。在職中は先端分野の融合領域研究の若手研究者の養成に関わってきたこともあり、そうした経験から意見を述べさせてもらおうと思います。
極めて重要な法案ですが、具体的内容については政省令、業法等で示されるということで、国会での議論は内容がないというふうなことで、是非民主的な手続の面からの工夫をしていただきたい、こういうふうに思います。
法案の二つの性格ということで、一つの方がどうもはっきりしてこない。今、特定重要物質の安定供給、特定社会基盤役務は有事に備えよというわけですが、その有事とは何かが語られずに、有事に対処する国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛整備計画が大いに関係するものと思いますが、これとの関わり、これとどうすり合わせていくのかがないまま議論が進んでいくことに非常に不安を感じます。
現在、経済の喫緊の課題とされている安定供給やサイバー攻撃問題ですが、これは盛んに議論がされております。しかし、防衛問題について、DARPAに似せた組織までつくろうという議論が進んでいるわけですが、御承知のように、アメリカの経済安全保障の肝は防衛問題です。本法案は具体的な内容が書き込まれていませんのでよく分かりませんが、防衛上、軍事上の優位性、不可欠性をどのように強化していくのか、その問題を含めるような内容が読み取れないということでございます。
そこで、私は、多少なりともそれと関わる読み方をこの法案の中で議論をしてみたいというふうに思います。
第六十一条に、特定重要技術の研究開発のために、研究代表者の同意の下で、内閣総理大臣と協議して、関係大臣も加わる協議会を組織するとされていますが、プロジェクトごとにこれだけ大げさな組織がなぜ必要なのかが不明であります。
協議会は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律により、国の資金で行われる研究開発を対象にすると言っていますけれども、この活性化法は、若年研究者等の能力の活用の促進に必要な施策を講ずるものとするという、若手研究者の能力活用を主眼としたものです。若手研究者育成は必要ですが、特定重要技術開発は若手にだけ負わせるのでしょうか。
また、伴走支援するということですが、防衛省が伴走支援すれば、防衛研究、軍事研究推進とはなりませんでしょうか。現在進行中の防衛技術研究推進制度では軍事研究ではないからと説明してきましたが、これを撤回しなければならないんじゃないか、それどころか、国が提起する研究課題で、特定重要技術課題の場合は、場合によっては防衛や軍事研究になることを明示する必要が出てくるのではないか、こんなふうにも思います。
六十二条の七項には、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないとして、違反者には罰則を科しています。これは研究開発を促進するための協議会のメンバーに課せられたものですが、この協議会からの離脱が自由なのか否かも大きな問題になります。
ユネスコの科学及び科学研究者に関する勧告というのがございます。「「軍民両用」に当たる場合には、科学研究者は、良心に従って当該事業から身を引く権利を有し、並びにこれらの懸念について自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有する。」とあります。これに照らしたとき、特定重要技術に関わる若手研究者は、罰則のある守秘義務の手前、この権利と責任を放棄しなければなりません。この勧告との対応が必要だと思いますが、一顧だにされておりません。
国から与えられた課題研究型研究で社会実装まで行う、産学連携で企業と大学との共同研究では、実は見えない壁が研究エリアに張られています。お互いに自由な議論もできない、そういう研究エリアがたくさんあります。他分野の新鮮な考え方の交流や研究会、国際交流など研究を醸成するコミュニケーションもなく、先細ることがよくよく見受けられます。
野依良治さんが委員長を務めた建議文書があります。学術研究の特性について次のように提起しています。学術研究に従事する者が自らの内在的動機に基づき行う研究は尊重されるべきである、これにより全体として研究の多様性が確保されるのである。
研究の多様性こそ研究力の基盤であります。伴走支援して社会実装を迫る研究の進め方は、厳に私は戒められなければならないというふうに考えております。若者は窒息しかねません。各省庁が社会実装に向けて支援伴走する方式は人材養成にはならないのではないかと思います。
国大協の調査によれば、二〇一八年現在ですが、国立大学の四十歳未満の若手研究者は、実は六〇%がパートタイマーです。能力の活用以前に、常勤の若手研究者の母数を増やすことが喫緊の課題になっております。
調査研究についてですが、六十四条に、これはシンクタンクを法的に位置づけるものと理解しておりますが、何をどう調査研究するのか。大学、研究機関などで進められている業績評価に関わる個人情報を含むデータまでを調査対象にしてAIで監視するような調査研究だとすれば、国家によって監視されることになりかねません。問題は非常に大きいと思います。
一方、経産省では既に、「経済産業政策の重点」ということで、法案を先取りしたような提起で大学等の管理体制構築などが提示されていて、現行の安全保障輸出管理の現場の混乱が予想されます。
ここで想定されるシンクタンクは、CSTIに直結し、日本学術会議や大学、研究機関までを下位のシンクタンク化するのではないかという危惧があります。特に、学位授与機能まで持たせてはという議論も含まれてあり、学術研究体制に大きな変化を求める議論があるとすれば、余りにも問題が大きいと思います。
特許の問題ですが、特許制度は科学や技術の発達に欠かせない制度として定着してきました。私は、特許制度は、単に知財の問題ではなく、学術研究体制や産業や文化の一部であると考えております。
保全指定については事前審査を行うのでしょうが、忌避できる環境がつくられるのか否か、軍民両用のものの場合、その特許が保全指定され産業化できない不利益を十全に保障されるのか否か、損失額の査定を支払う方の国が行うということで公正さが保たれるのか。原子力災害賠償の問題事例が想起されますが、大きな問題が含まれていると思います。
また、保全指定から離脱して、その特許を取らずに実施に移すケースがあれば、国家と国民の安全を脅かす技術が流出することになります。秘密特許に大きな穴が空いていると言えます。公開を原則とする特許制度に軍事機密を持ち込むことが矛盾であります。軍事技術は本来、秘匿とノウハウで処理すべきではないかと考えるものであります。
大学発ベンチャービジネスがたくさん生まれ始めています。特に、宇宙、海洋、量子、電磁気、サイバー、センサー分野の先端分野での活動が盛んになっていますが、秘密特許や特定重要技術としての囲い込みがこの分野の成長を鈍化させる、そういう危惧を抱いております。
言い足りないことを含めて、主な問題点はお配りしてある資料の末尾にまとめて書いてあります。
以上、多くの問題が、二つ、つまり重要技術の問題と特許の問題の中にも見出すことができますので、抜本的な見直しを求めるものでございます。
なお、与えられました時間の関係で、維新の会の提案に言及できませんでしたことをおわびいたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
上
上
伊
伊東良孝#11
○伊東(良)委員 おはようございます。
四人の参考人の先生には、大変お忙しい中こうしておいでいただき、また、貴重な研究やあるいは御経験を踏まえた御意見を今お聞かせをいただきました。本当に心から感謝を申し上げる次第であります。
この委員会も相当数開かれておりまして、もうかれこれの時間もたつわけでありますけれども、危惧する点、あるいはまた先生方からの御経験をお伺いしたい点等々ありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ただ、一人十五分しか持ち時間がないものですから、なかなか掘り下げてあるいは広範囲にということにもならないということで、お許しをいただきたいと思います。
さて、ロシアによるウクライナへの侵略につきましては、国際秩序の根幹を揺るがす行為でありまして、断じて許すことのできないことでございます。しかしながら、これにより世界で、外交や防衛、あるいはまた経済安全保障に対する考え方、見方、理解度、さらにはその関心等が大きく増大をいたしました。国民にも広く共有されるようになったのではないかというふうに思います。最近の国際情勢を踏まえますと、我が国の経済安全保障法制の整備は時宜を得たものであり、喫緊の課題であった、このように思うところでもあります。
佐橋参考人にお伺いをいたしますけれども、参考人はこれまで、アメリカ等々外国とのおつき合いや、あるいはまた、外交戦略を始めとして国際政治情勢等を御研究されてきたと伺っているところであります。先ほどもお考えを基本的にはお聞かせいただきましたけれども、今般の経済安全保障の法制の重要性について是非御見解をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
この発言だけを見る →四人の参考人の先生には、大変お忙しい中こうしておいでいただき、また、貴重な研究やあるいは御経験を踏まえた御意見を今お聞かせをいただきました。本当に心から感謝を申し上げる次第であります。
この委員会も相当数開かれておりまして、もうかれこれの時間もたつわけでありますけれども、危惧する点、あるいはまた先生方からの御経験をお伺いしたい点等々ありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ただ、一人十五分しか持ち時間がないものですから、なかなか掘り下げてあるいは広範囲にということにもならないということで、お許しをいただきたいと思います。
さて、ロシアによるウクライナへの侵略につきましては、国際秩序の根幹を揺るがす行為でありまして、断じて許すことのできないことでございます。しかしながら、これにより世界で、外交や防衛、あるいはまた経済安全保障に対する考え方、見方、理解度、さらにはその関心等が大きく増大をいたしました。国民にも広く共有されるようになったのではないかというふうに思います。最近の国際情勢を踏まえますと、我が国の経済安全保障法制の整備は時宜を得たものであり、喫緊の課題であった、このように思うところでもあります。
佐橋参考人にお伺いをいたしますけれども、参考人はこれまで、アメリカ等々外国とのおつき合いや、あるいはまた、外交戦略を始めとして国際政治情勢等を御研究されてきたと伺っているところであります。先ほどもお考えを基本的にはお聞かせいただきましたけれども、今般の経済安全保障の法制の重要性について是非御見解をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
佐
佐橋亮#12
○佐橋参考人 伊東委員の御質問にお答えしたいと思います。
経済安全保障の重要性についてなんですが、これは、私たちの国際政治の世界では相互依存の武器化という言葉を使うこともございます。すなわち、グローバル化とは、圧倒的に速く深く相互依存が進む現象であり、過去三十年以上にわたり続いてきたわけですが、そういったものを、言ってみれば自らの政治的意図のために利用する国が増えてきた、これを相互依存の武器化というふうにいいます。
そして、実際に各国の実例を見ても、非常にそういった行為が増えているのは間違いがありません。相手から技術を不公正なやり方で獲得するだけではなく、相手に対して経済やエネルギーの力を使って強要をするということが大変目立っております。また、そういった有事、ケースですね、事例というものは実際に積み重なってきているわけです。
安全保障の発想に最も重要なことは、可能性を、確率を論じることではなく、最悪に備える、そしてシナリオを考えることにあります。そういった点から考えても、備えを高めることは非常に重要であり、そうした行為が行われ難い環境を、体制を構築していくこと、そして、起きた場合の備え、これを構築していくことが重要であり、経済安全保障は非常に推進されるべき課題だと理解しております。
この発言だけを見る →経済安全保障の重要性についてなんですが、これは、私たちの国際政治の世界では相互依存の武器化という言葉を使うこともございます。すなわち、グローバル化とは、圧倒的に速く深く相互依存が進む現象であり、過去三十年以上にわたり続いてきたわけですが、そういったものを、言ってみれば自らの政治的意図のために利用する国が増えてきた、これを相互依存の武器化というふうにいいます。
そして、実際に各国の実例を見ても、非常にそういった行為が増えているのは間違いがありません。相手から技術を不公正なやり方で獲得するだけではなく、相手に対して経済やエネルギーの力を使って強要をするということが大変目立っております。また、そういった有事、ケースですね、事例というものは実際に積み重なってきているわけです。
安全保障の発想に最も重要なことは、可能性を、確率を論じることではなく、最悪に備える、そしてシナリオを考えることにあります。そういった点から考えても、備えを高めることは非常に重要であり、そうした行為が行われ難い環境を、体制を構築していくこと、そして、起きた場合の備え、これを構築していくことが重要であり、経済安全保障は非常に推進されるべき課題だと理解しております。
伊
伊東良孝#13
○伊東(良)委員 ありがとうございます。
政府は、国際情勢の複雑化、社会構造の変化等々に対応すべく、この政治課題に対応するために今回この経済安全保障推進法案を提出したところでありまして、この法案の骨子は四本柱から成っておりまして、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性、信頼性の確保、また先端的な重要技術についての官民協力、そして四本目に特許出願の非公開化といった、四つの制度を整備するものであります。
この四本柱の一本ごとにこの委員会で議論をされてきたところでもありまして、それぞれ、危惧される点、問題点、あるいは皆さんの賛否両論なる意見をいただいたところでありますけれども、この四本の柱ごとに議論されてきたわけでありますけれども、この四本柱の妥当性あるいはまたその課題について、佐橋参考人の御見解をお伺いしたいと思います。これは相当な中身になるものですから、簡略に御説明をお願いできればありがたいというふうに思います。
この発言だけを見る →政府は、国際情勢の複雑化、社会構造の変化等々に対応すべく、この政治課題に対応するために今回この経済安全保障推進法案を提出したところでありまして、この法案の骨子は四本柱から成っておりまして、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性、信頼性の確保、また先端的な重要技術についての官民協力、そして四本目に特許出願の非公開化といった、四つの制度を整備するものであります。
この四本柱の一本ごとにこの委員会で議論をされてきたところでもありまして、それぞれ、危惧される点、問題点、あるいは皆さんの賛否両論なる意見をいただいたところでありますけれども、この四本の柱ごとに議論されてきたわけでありますけれども、この四本柱の妥当性あるいはまたその課題について、佐橋参考人の御見解をお伺いしたいと思います。これは相当な中身になるものですから、簡略に御説明をお願いできればありがたいというふうに思います。
佐
佐橋亮#14
○佐橋参考人 ありがとうございます。
今、喫緊の課題、そしてまた長期的にも重要な課題として経済安全保障であるのは、技術流出の防止、他国の経済強要行為に動じない重要物資等のサプライチェーン確保、サイバー攻撃や有事に狙われる基幹インフラの防護、先端技術の開発などです。このうち、技術流出の防止については、いわゆる研究インテグリティー、公正の確保や、みなし輸出制限の強化といった政策的措置が既に取られております。
今回の法律で、今委員が御指摘の四分野が選ばれているということは、その意味でも非常に時宜を得たことと理解しております。
あえて、これを超えてやってほしいことを申し上げると、冒頭にも申し上げましたけれども、やはり科学技術立国としての基盤をつくってほしいということ、そして、国際経済秩序の構築、これも非常に重要な話として、経済安全保障戦略又は国家安全保障戦略における経済安全保障に関する言及の中で是非論じていただきたいと思っております。
この発言だけを見る →今、喫緊の課題、そしてまた長期的にも重要な課題として経済安全保障であるのは、技術流出の防止、他国の経済強要行為に動じない重要物資等のサプライチェーン確保、サイバー攻撃や有事に狙われる基幹インフラの防護、先端技術の開発などです。このうち、技術流出の防止については、いわゆる研究インテグリティー、公正の確保や、みなし輸出制限の強化といった政策的措置が既に取られております。
今回の法律で、今委員が御指摘の四分野が選ばれているということは、その意味でも非常に時宜を得たことと理解しております。
あえて、これを超えてやってほしいことを申し上げると、冒頭にも申し上げましたけれども、やはり科学技術立国としての基盤をつくってほしいということ、そして、国際経済秩序の構築、これも非常に重要な話として、経済安全保障戦略又は国家安全保障戦略における経済安全保障に関する言及の中で是非論じていただきたいと思っております。
伊
伊東良孝#15
○伊東(良)委員 今回の委員会の議論の中では、本当にこの四本柱だけでいいのか、ほかにもっと必要な分野はないのか、そういった危惧をされる議員がたくさんいらっしゃいました。この点につきましても、四分野以外の分野ということで、もし先生の方でお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。佐橋参考人、お願いします。
この発言だけを見る →佐
佐橋亮#16
○佐橋参考人 この四分野から始めるということで、それには非常に合理性があると思っております。
それに加えてというふうにいいますと、もう既に政策的措置が取られているんですが、サイバーセキュリティーの強化は非常に重要だと思いますし、また科学技術の基盤強化というのも重要だと思います。こういったことに対しても措置が取られることが望ましいとは思っておりますが、それはこの四分野の重要性を下げるものではいささかもないというふうに理解しております。
この発言だけを見る →それに加えてというふうにいいますと、もう既に政策的措置が取られているんですが、サイバーセキュリティーの強化は非常に重要だと思いますし、また科学技術の基盤強化というのも重要だと思います。こういったことに対しても措置が取られることが望ましいとは思っておりますが、それはこの四分野の重要性を下げるものではいささかもないというふうに理解しております。
伊
伊東良孝#17
○伊東(良)委員 ありがとうございます。
それで、現在、コロナ禍において世界的なサプライチェーンの脆弱性リスクが顕在化をしているわけであります。政府がサプライチェーンの強靱化に取り組む意義と目的につきまして、佐橋参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
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佐
佐橋亮#18
○佐橋参考人 御質問ありがとうございます。
サプライチェーンは、有事によって寸断される可能性もあれば、平素からサイバー攻撃の脅威にさらされてもおります。これは諸外国の研究を見ていただければ非常にはっきりするんですが、サプライチェーンに対する攻撃というのは極めて過去数年で増加しております。ランサムウェアなんかもかなり使われております。そういった中で、サプライチェーンの強靱化というのは非常に重要だというふうに思います。
また、そもそも日本は、特定重要物資の内容はまだ特定されておりませんが、例えばレアアースを一つ取ってみても、中国に過度に依存しております。本当に過度に依存しているわけです。そして、その対応策としては、備蓄だとか都市鉱山というのもありますが、なかなか心もとないところがある。じゃ、代替的な物資の開発ということになります。これは、民間企業も努力をしているようですけれども、かなりの時間を要するというふうに聞いております。
そう考えますと、政府と民間がやはり一丸となって、備蓄を含めてできる限りのことを今やっていくしかないというのがこのサプライチェーンに対する一つの答えになるのではないのかな、そして、代替的な物資の開発なども、可能であれば後押しするということが望ましいのではないかと考えます。
この発言だけを見る →サプライチェーンは、有事によって寸断される可能性もあれば、平素からサイバー攻撃の脅威にさらされてもおります。これは諸外国の研究を見ていただければ非常にはっきりするんですが、サプライチェーンに対する攻撃というのは極めて過去数年で増加しております。ランサムウェアなんかもかなり使われております。そういった中で、サプライチェーンの強靱化というのは非常に重要だというふうに思います。
また、そもそも日本は、特定重要物資の内容はまだ特定されておりませんが、例えばレアアースを一つ取ってみても、中国に過度に依存しております。本当に過度に依存しているわけです。そして、その対応策としては、備蓄だとか都市鉱山というのもありますが、なかなか心もとないところがある。じゃ、代替的な物資の開発ということになります。これは、民間企業も努力をしているようですけれども、かなりの時間を要するというふうに聞いております。
そう考えますと、政府と民間がやはり一丸となって、備蓄を含めてできる限りのことを今やっていくしかないというのがこのサプライチェーンに対する一つの答えになるのではないのかな、そして、代替的な物資の開発なども、可能であれば後押しするということが望ましいのではないかと考えます。
伊
伊東良孝#19
○伊東(良)委員 ありがとうございます。
もう一本の柱になっております基幹インフラに対するサイバー攻撃の危険性でありますが、これは実際にもう世界各地で起きているわけであります。基幹インフラの役務の安定的な提供に対する外部からの妨害行為を未然に防ぎ、これに対処する必要性について、佐橋参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →もう一本の柱になっております基幹インフラに対するサイバー攻撃の危険性でありますが、これは実際にもう世界各地で起きているわけであります。基幹インフラの役務の安定的な提供に対する外部からの妨害行為を未然に防ぎ、これに対処する必要性について、佐橋参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
佐
佐橋亮#20
○佐橋参考人 ありがとうございます。
基幹インフラは本当にかなり多くの脅威にさらされておりますし、有事の場合もサイバー攻撃においても、非常に相手国に深刻な被害を与えることから、狙われやすいターゲットになるわけです。
実際に非常にサイバー攻撃の数は近年増えているわけですけれども、実例として大規模なものを挙げても、例えば、台湾のエネルギー企業、イスラエルの水道システム、ウクライナの電力施設、アメリカのパイプライン、非常に大きな基幹システムが狙われてきました。
そして、流出した、ある現状への不満が強いとされる国の部隊資料になりますけれども、そこには、世界的に使用されている貨物船や建物の空調システム、燃料ポンプを狙ったサイバー攻撃の計画が記されておりました。
このように、基幹インフラがターゲットになっているということは明らかであり、そして、止まった場合の経済社会への甚大な被害ということを考えても、平素から準備することが重要だと思います。
この発言だけを見る →基幹インフラは本当にかなり多くの脅威にさらされておりますし、有事の場合もサイバー攻撃においても、非常に相手国に深刻な被害を与えることから、狙われやすいターゲットになるわけです。
実際に非常にサイバー攻撃の数は近年増えているわけですけれども、実例として大規模なものを挙げても、例えば、台湾のエネルギー企業、イスラエルの水道システム、ウクライナの電力施設、アメリカのパイプライン、非常に大きな基幹システムが狙われてきました。
そして、流出した、ある現状への不満が強いとされる国の部隊資料になりますけれども、そこには、世界的に使用されている貨物船や建物の空調システム、燃料ポンプを狙ったサイバー攻撃の計画が記されておりました。
このように、基幹インフラがターゲットになっているということは明らかであり、そして、止まった場合の経済社会への甚大な被害ということを考えても、平素から準備することが重要だと思います。
伊
伊東良孝#21
○伊東(良)委員 政府は、四本柱の法制化に当たりまして、今お話がありますように、サプライチェーンの特定重要物資、あるいは基幹インフラの対象事業、事業者、あるいは重要設備、さらには特定重要技術、特許の保全審査の対象技術について、今回、法案の成立後に、政令、省令、そして基本方針、基本指針によりそれらを絞り込んでいく、こうされているわけであります。
この点につきましてもこの委員会の中で大いに議論がなされたところでございまして、あらゆる事項を全て法律に規定することはなかなか現実的ではない中で、どこまでこうしたものを後々に絞り込んでいくかというところが出てまいりました。
私どもといたしましても、法律上可能な限りこれは明確化をしていただいた上で下位法令等への委任事項を設けておりますけれども、これは一面やむを得ないところであるのは仕方ないのでありますけれども、この妥当性についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →この点につきましてもこの委員会の中で大いに議論がなされたところでございまして、あらゆる事項を全て法律に規定することはなかなか現実的ではない中で、どこまでこうしたものを後々に絞り込んでいくかというところが出てまいりました。
私どもといたしましても、法律上可能な限りこれは明確化をしていただいた上で下位法令等への委任事項を設けておりますけれども、これは一面やむを得ないところであるのは仕方ないのでありますけれども、この妥当性についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
佐
佐橋亮#22
○佐橋参考人 ありがとうございます。
やはり、例えば特定重要物資を一つ取ってみても、何がそれに当たるのかというのは今後の情勢次第で変化する可能性が大いにあるものです。また、例えばアメリカ、例えばEUの実例に従って選べばいい、そういうものでもないわけです。日本には日本の産業構造がございます。
そういったことを考えますと、やはり時代の状況、その時々の状況に合わせて機動的に選ばれるということは非常に重要になってくるわけです。政省令で記載がされていく、決められていく、又は政府の計画の中で決められていくということは、私は理にかなっていると思っています。重要なことは、法律に何かのリストを記載して、それに縛られることで法律の目的が達成されないということを防ぐことだと、一人の国際政治学者としては思っております。
ただし、注記が必要でして、そういった例えば特定重要物資の特定だとかを始めとした実際の物事の決定のときには、セクターを代表する有識者の意見がしっかりと反映される仕組みが確保されなければいけない。ここに関しては重要で、それが合理的な判断につながっていくんだというふうに思っております。
この発言だけを見る →やはり、例えば特定重要物資を一つ取ってみても、何がそれに当たるのかというのは今後の情勢次第で変化する可能性が大いにあるものです。また、例えばアメリカ、例えばEUの実例に従って選べばいい、そういうものでもないわけです。日本には日本の産業構造がございます。
そういったことを考えますと、やはり時代の状況、その時々の状況に合わせて機動的に選ばれるということは非常に重要になってくるわけです。政省令で記載がされていく、決められていく、又は政府の計画の中で決められていくということは、私は理にかなっていると思っています。重要なことは、法律に何かのリストを記載して、それに縛られることで法律の目的が達成されないということを防ぐことだと、一人の国際政治学者としては思っております。
ただし、注記が必要でして、そういった例えば特定重要物資の特定だとかを始めとした実際の物事の決定のときには、セクターを代表する有識者の意見がしっかりと反映される仕組みが確保されなければいけない。ここに関しては重要で、それが合理的な判断につながっていくんだというふうに思っております。
伊
伊東良孝#23
○伊東(良)委員 用意した質問は以上なのでありますけれども、せっかく参考人があと三人いらっしゃっておりますので、村山参考人から一言ずつ、本法制についての御見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →村
村山裕三#24
○村山参考人 最後の、特定物資の特定に関してですけれども、これを法律で書き込むというのは私は非常に難しいと思っております。
なぜかというと、法律ができるスピードと技術が進展するスピードが違うんです。技術は日進月歩で進みますよね。法律を作るのは、何かこういうものを開いて長く議論して作るわけですよね。だから、法律の速さが技術の速さに追いつかない場合があるんです。
したがって、そこはかなり下の方で、柔軟性を持ったような体系にしないと、ちゃんとしたものが逆に特定できないんじゃないかというふうに私は考えております。
この発言だけを見る →なぜかというと、法律ができるスピードと技術が進展するスピードが違うんです。技術は日進月歩で進みますよね。法律を作るのは、何かこういうものを開いて長く議論して作るわけですよね。だから、法律の速さが技術の速さに追いつかない場合があるんです。
したがって、そこはかなり下の方で、柔軟性を持ったような体系にしないと、ちゃんとしたものが逆に特定できないんじゃないかというふうに私は考えております。
伊
鈴
鈴木一人#26
○鈴木参考人 ありがとうございます。
一点だけ、先ほどの佐橋参考人への質問の中で私なりに答えさせていただくものがあるとすれば、一つ、この四本柱の妥当性というところだと思います。
この四本柱は、確かに、まずは経済安全保障を考える上で重要な論点を取り上げているものだと思いますが、まだ不十分だと私は考えております。そのうちの一つは、やはりこれからの研究開発を進めていく上でのセキュリティークリアランスの問題等がまだ、これからの議論の枠組みに入ってくるだろうと思いますし、また、今後、経済安全保障を進めていく上での技術開発、とりわけ、これも議論の中に出てきました防衛に関わる産業技術、こういったものをどうやって伸ばしていくのかといったこともこれからの課題になるのではないかと考えております。
この発言だけを見る →一点だけ、先ほどの佐橋参考人への質問の中で私なりに答えさせていただくものがあるとすれば、一つ、この四本柱の妥当性というところだと思います。
この四本柱は、確かに、まずは経済安全保障を考える上で重要な論点を取り上げているものだと思いますが、まだ不十分だと私は考えております。そのうちの一つは、やはりこれからの研究開発を進めていく上でのセキュリティークリアランスの問題等がまだ、これからの議論の枠組みに入ってくるだろうと思いますし、また、今後、経済安全保障を進めていく上での技術開発、とりわけ、これも議論の中に出てきました防衛に関わる産業技術、こういったものをどうやって伸ばしていくのかといったこともこれからの課題になるのではないかと考えております。
伊
上
國
國重徹#29
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
本日は、何かと御多用の中にもかかわりませず、四名の参考人の皆様に当委員会までお越しいただき、それぞれの貴重な御意見を賜りましたこと、まずもって心より感謝と御礼を申し上げます。
先生方がおっしゃるとおり、自由で開かれた経済活動、技術交流の促進と安全保障の面からの規制、このバランスが経済安保を考える上で非常に重要だと私も思っております。
この観点で、まず佐橋参考人にお伺いいたします。
私、この参考人質疑に臨むに当たって、それぞれの先生の論文等も読ませていただきました。佐橋先生は、科学技術は研究交流によって成長して成り立つ分野なんだ、このようにおっしゃっておられます。
この点、AIとか自動運転、こういったことを始め、他国の方が日本よりも進んでいる分野もあります。今後、日本の競争力を維持また向上させていく観点からも、日本が他国から教わっている部分の足かせにならないようにしていく、こういった仕組みも必要かと思います。
安全保障の面からの規制と外国人の技術者、エンジニア、また留学生の受入れなど技術交流のバランスをどう図っていくべきか、先生の御見解をお伺いします。
この発言だけを見る →本日は、何かと御多用の中にもかかわりませず、四名の参考人の皆様に当委員会までお越しいただき、それぞれの貴重な御意見を賜りましたこと、まずもって心より感謝と御礼を申し上げます。
先生方がおっしゃるとおり、自由で開かれた経済活動、技術交流の促進と安全保障の面からの規制、このバランスが経済安保を考える上で非常に重要だと私も思っております。
この観点で、まず佐橋参考人にお伺いいたします。
私、この参考人質疑に臨むに当たって、それぞれの先生の論文等も読ませていただきました。佐橋先生は、科学技術は研究交流によって成長して成り立つ分野なんだ、このようにおっしゃっておられます。
この点、AIとか自動運転、こういったことを始め、他国の方が日本よりも進んでいる分野もあります。今後、日本の競争力を維持また向上させていく観点からも、日本が他国から教わっている部分の足かせにならないようにしていく、こういった仕組みも必要かと思います。
安全保障の面からの規制と外国人の技術者、エンジニア、また留学生の受入れなど技術交流のバランスをどう図っていくべきか、先生の御見解をお伺いします。