法務委員会

2023-05-16 衆議院 全84発言

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会議録情報#0
令和五年五月十六日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 伊藤 忠彦君
   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君
   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君
   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君
   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君
      東  国幹君    五十嵐 清君
      石橋林太郎君    岩田 和親君
      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君
      加藤 竜祥君    熊田 裕通君
      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君
      高見 康裕君    平口  洋君
      平沼正二郎君    深澤 陽一君
      山口  晋君    山下 貴司君
      鈴木 庸介君    中川 正春君
      山岸 一生君    山田 勝彦君
      吉田はるみ君    米山 隆一君
      阿部 弘樹君    漆間 譲司君
      日下 正喜君    平林  晃君
      鈴木 義弘君    本村 伸子君
    …………………………………
   法務大臣政務官      高見 康裕君
   参考人
   (上智大学総合人間科学部心理学科准教授)     齋藤  梓君
   参考人
   (タレント)      SHELLY君
   参考人
   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      橋爪  隆君
   参考人
   (茨城県立医療大学保健医療学部看護学科助教)
   (一般社団法人Spring幹事)         山本  潤君
   法務委員会専門員     白川 弘基君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  東  国幹君     山口  晋君
  鳩山 二郎君     平沼正二郎君
  吉田はるみ君     山岸 一生君
同日
 辞任         補欠選任
  平沼正二郎君     鳩山 二郎君
  山口  晋君     東  国幹君
  山岸 一生君     吉田はるみ君
    ―――――――――――――
五月十六日
 子供の性虐待・性搾取被害悪化の現状に鑑み子供の尊厳と人権を守るための国際的連携の強化と国内関係法規の早期改正に関する請願(石破茂君紹介)(第一〇〇〇号)
 同(大河原まさこ君紹介)(第一一〇二号)
 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(岡本あき子君紹介)(第一一九三号)
 同(笠井亮君紹介)(第一一九四号)
 同(野田聖子君紹介)(第一二一七号)
 同(近藤昭一君紹介)(第一二二七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案(内閣提出第五九号)
     ――――◇―――――
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伊藤忠彦#1
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、両案審査のため、参考人として、上智大学総合人間科学部心理学科准教授齋藤梓君、タレントSHELLY君、東京大学大学院法学政治学研究科教授橋爪隆君及び茨城県立医療大学保健医療学部看護学科助教、一般社団法人Spring幹事山本潤君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位の皆様方に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙の中、御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、齋藤参考人、SHELLY参考人、橋爪参考人、山本参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず齋藤参考人にお願いいたします。
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齋藤梓#2
○齋藤参考人 本日は、よろしくお願いいたします。
 私、性暴力の被害に遭われた方の心理について研究をしております、上智大学総合人間科学部心理学科の齋藤梓と申します。また、同時に、公益社団法人被害者支援都民センターにて、性暴力を含め、犯罪の被害に遭われた方の支援に携わっております公認心理師、臨床心理士でもあります。本日は、研究や臨床で得られた知見を基に、改正案に関する意見を述べさせていただきます。
 基本的に、私は、今回の改正案に賛成をしております。私はずっと、様々な事件に関わる中で、なぜ、明らかに性犯罪だと思われるのにもかかわらず、届出の不受理や不起訴や無罪が生じるのだろうと理不尽を感じていました。もちろん、証拠には様々なものがあることは存じております。しかし、いろいろな司法判断や判決に接する中で、被害者心理に関する知見と司法での社会通念を基にした判断の間に乖離があることを感じておりました。人生の危機に直面した人の心理を、なぜそうではない通常の場合の心理を基に判断するのかということに不思議に思ったことも度々ございます。
 今回の改正案は、その全てを解決するものではありませんが、それでも以前よりも格段に被害の実態に即していると期待しております。
 お手元の資料のスライド二を御覧ください。
 まず、前提として、性暴力被害は、精神的後遺症の大きな出来事であることが分かっております。本当に膨大にございます研究の一部でございます、そこに書かれておりますのは研究の一部でございますが、被害後、PTSDになるリスクも、うつ病やアルコール依存、薬物依存になるリスクも上がります。性的被害経験のある学生は、被害経験のない学生と比べて、自己報告のレベルでは、自殺企図のリスクが女性で四・七倍、男性で九・七六倍上がるという調査結果もございます。
 スライド三を御覧ください。
 日本で行われました調査でも、性暴力被害経験がある場合、自殺企図のリスクが高まったり、死にたい、消えたいという気持ちになることが分かっています。
 性暴力の被害は、その人の意思や感情をないがしろにする暴力です。性的な行為をする場合、体が触れる場所は、非常にプライベートな場所です。時には命に関わる可能性のある場所です。安全に関わる行為ですので、いつ、どこで、誰と、どんな性的な行為をするかは、自分が決めてよいことのはずです。
 しかし、性暴力では、その人の意思や感情はないがしろにされます。被害を受けた方が、人であるならば、嫌だと言ったら聞いてもらえると思った、でも、聞いてもらえず、自分が何を思っているかは相手に関係がないんだ、自分は性的なものなんだと思ったとおっしゃることがあります。
 人は、意思や感情を持つ存在のはずです。その意思や感情をないがしろにすることは、被害を受けた人の尊厳や主体性を傷つける行為です。意思や感情を持つ一人の人として生きる根幹を揺るがす行為です。
 親密な関係の中で行う性的な行為と心身に深刻な影響を与える性暴力とを分ける大切なこととして、意思や感情が尊重されているかという点があります。ですから、今回、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態という文言になったことは重要なことだと考えています。
 不同意性交等罪について述べるに当たり、現在までに分かっております、被害に直面したときの人の心理について述べます。お手元の資料のスライド四を御覧ください。
 そちらに書かれておりますのは、まず、恐怖や不安を利用した場合です。人は、予期せぬ出来事や恐怖を感じる出来事、自分の身の安全を脅かされる出来事に直面すると、まず、体が凍りつくフリーズ反応が起きます。まず頭が真っ白になって、その後、逃げられるだろうか、闘えるだろうかと、意識的、無意識的に判断をする、逃走と闘争の反応と言われますが、そういったものが起きます。
 こうした場合、ふだん取らない行動を取るということはリスクが高く見積もられるので、相手を振り切って逃げる、相手に攻撃をするという選択肢は、失敗したときに更に危険が迫るため、取られにくいという傾向がございます。あるいは、ノーと言ってみるということはあるかもしれません。しかし、多くの場合、それは聞き入れられません。
 逃げることも闘うことも成功しなさそうである場合、意識はあるけれども体が動かない、意識はあるけれども声を出すことができない、強直性不動反応というものが生じることが分かっております。又は、相手に従順にしていればこれ以上ひどいことをされないと思えば従順にしますし、友好的に接することで危険が回避できるならば友好的に接します。それは、受け入れているということではなく、人も生き物ですので、命の危険を避ける、身の安全を確保するための、選択せざるを得ない方略です。そして、選択せざるを得ないような状況は、容易に生じさせることができます。
 例えば、暴力や脅迫がなくとも、分かるよねという一言などで恐怖を感じさせることも、少しドアを強めに閉める、怖い顔をするなど、そのときのちょっとした動作で恐怖を感じさせることも可能です。あるいは、予想していなかった状況に驚き、体が動かなくなることもあります。障害を有する方の場合には、その方一人一人の障害の状態にもよりますが、例えば介助者は容易に相手を危険にさらすことができるかもしれません。そのような恐怖や不安を感じる状況では、同意しない意思の表明が困難となったり、あるいは、表明はされたとしても、それが全うされることが困難になり得ます。
 あるいは、そうした、直前に恐怖や不安を与えなくとも、同意しない意思の形成や表明、全うを困難にさせることは可能です。例えば、そもそも継続的な暴力があった場合には、既に、逆らってはいけない、自分は逆らうことができないという心理状態が形成されているため、同意しない意思の形成も表明も困難となります。
 また、アルコールや薬物で酩酊状態であれば、酩酊の程度によっては、やはり意思の形成や表明は困難になります。眠っているときには、そもそも意思の形成はできず、表明もできません。
 さらに、自分の所属しているコミュニティーにおいて、相手が自分より力を持っている場合には、その人の不興を買ってしまったら、自分はそのコミュニティーにいられなくなるかもしれません。社会的に地位が上の人に明確にノーと言うことが難しいのは、ノーと言うことが自分の生活や人生を壊しかねないからです。あるいは、祖父母やきょうだい、いとこから性行為をされて、拒否をすることは、親族や家族を壊すことになるかもしれません。そんな状況で、同意しない意思の表明や全うは極めて難しいことになります。
 このように、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態は、多様な方法で、その状態をつくり出すこと、その状態を利用することができます。本日は、時間の関係もございまして詳細な例を述べることができませんが、不同意性交等罪、不同意わいせつ罪が成立し、その運用が被害者心理の実情に沿った適切なものとなるよう、被害者心理に関する理解を深める研修を徹底いただきたく思います。
 次に、性交同意年齢についてです。
 これまで、十三歳、十四歳の子供たちが大人に手懐けられ、この人に嫌われたら生きていくことができないと、逆らう状態にさせられて被害に遭うということは多く存在しました。しかし、私が関わった事案では、起訴に至らなかった事案も多くございます。その子たちが、それから先の将来、進路をたがえたりですとか、思うように生きられなくなったにもかかわらず、起訴に至らなかった事案は多くございます。
 スライド五に示しましたが、性的行為に同意するためには、行為の性的な意味を認識する能力、行為が自己に及ぼす影響を理解する能力、性的行為に向けた相手方からの働きかけに的確に対処する能力の三つが必要であると法制審議会の部会で検討がされました。先述しました手懐けなどはまさに典型的ですが、中学生くらいの子供が大人からの巧妙な働きかけに自力で的確に対処することは困難です。
 また、性的な同意とは、強制力のない、対等な関係性があって初めて成り立ちます。発達途中の子供にとって、能力の差、人生経験の差、利用できる社会的資源の差は、五歳離れていたならば十分に大きく、およそ対等とは言えません。もちろん、二歳差、三歳差でも十分に大きなものです。
 性行動に関する調査では、十四歳など若年の子供が性交を経験した場合、その後、避妊をしない、アルコールを飲んでの性行動を取る、不特定多数との性行動を取るなど、ハイリスクな性行動を取るリスクが上がるという結果も見られています。それは、つまり、二の、行為が自己に及ぼす影響を理解する能力がまだ十分ではないという結果です。
 このように、同意に関する能力がまだ発達途上である対象に性的な行為を行うということは、相手を一人の人間として尊重しているとは言い難いのではないかと思います。法制審議会の部会でも、十三歳の子供と十八歳の成人の例が述べられていましたが、性的同意とは何か、どのようなときに成り立つのかの周知徹底をいただきたく思います。
 子供のことについて、公訴時効も述べさせていただきます。
 私自身が行った調査では、子供は、幼いときは、自分がされていることがどのようなことか分からず、中学生ぐらいで、ああ、これは性的な行為というものかもしれないと思い至っても、それが性暴力であるという認識はできず、人に相談すべきことだということが分かりません。この分からない、相談できない間に時効までの時間が進んでしまうことは、とてもアンフェアだと感じますし、理不尽なことだと感じます。
 私だけではなく、ほかの、性暴力被害の被害者の支援に関わる人たちは、子供の頃に被害に遭った人が、三十代、四十代になってやっと相談にいらっしゃるということに度々遭遇します。もちろん、届け出たとしても、起訴されるには証拠などが必要ですし、時間がたてばたつほど証拠が散逸する可能性が高いことは分かります。それでも、本改正により、被害に気がついたとき、やっと被害を人に言えたときには、届け出る権利さえない、そうした事態が少しでも減ることを願っております。
 しかし、一点、公訴時効の点では述べさせていただきたいこともございます。
 法制審議会刑事法部会のときにも、内閣府の調査を基に時効の延長を五年という意見がございました。しかし、その調査はそもそも、六割の人は調査時点まで誰にも相談していないというデータです。この内閣府の調査の解釈の仕方は検討する必要があるかと思います。改正の前提となる根拠が不足しているということで延長が五年にとどまるとするならば、今後、今回改正から一定期間後に見直しをするまでに、国として適切な被害開示についての調査を行い、エビデンスを積み重ねていただきたいと思います。
 調査でいうならば、司法面接の適切な運用、性的面会要求の罪、撮影罪なども、改正された際には、どのような運用がされているか、そして、法律の枠内にとどまらず、実際にどのような実態があり、どのような問題が存在しているのか、調査を重ねていただきたいと考えております。
 今回の改正で、会議に参加されていた皆様方は、被害の実態に真摯に耳を傾けてくださったと感じています。被害当事者の方々や支援者が声を上げ、社会にも性暴力被害の実態が知られるようになってきました。しかし、日々性暴力の事案に触れている私自身さえも、見えていない実態というのはまだまだたくさんございます。性的面会要求の罪や撮影罪の周辺には特にこれまで予想もしていなかった被害が発生しています。
 国が、社会が関心を持ってこなかった結果、被害の実態が把握されず、加害者に理不尽にも傷つけられた人が司法の場で理不尽な事態に直面するといったことをなくすためにも、調査を重ねて、実態を理解する研修を重ねていただきたいです。
 また、今回の法改正の適切な運用には、性的同意とは何か、性的同意の成り立つ対等な関係とは何か、人々が知っていく必要があると考えております。それはひいては、お互いを尊重する人間関係について学ぶということです。子供たちへの、対等性ということを含んだ性教育はもちろんですが、大人が性教育を知らないので、大人への啓発も力を入れていただきたく思います。
 しかし、それでもなお、残念なことに、性暴力は発生するのだろうというふうにも思っております。性暴力の被害に遭った方が、当たり前に、適切に支援を受けることができる社会になるということを切実に望んでおります。
 本日は、意見に耳を傾けていただきまして、誠にありがとうございました。これで意見を終わらせていただきます。拍手
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伊藤忠彦#3
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、SHELLY参考人にお願いいたします。
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SHELLY#4
○SHELLY参考人 皆さん、こんにちは。タレントをしておりますSHELLYと申します。よろしくお願いします。
 今日は、こんな貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、タレントのお仕事をしながら、ライフワークとして性教育をやらせていただいております。雑誌やラジオ、テレビで発信するのはもちろんなんですけれども、性教育というのは、今まさに性経験を積み始めている、また、これから積み始めようとしている世代にいち早く正しい情報を届けるのが大事と思いまして、ユーチューブという若い人たちが一番使っているだろうところに向けて、私はユーチューブのチャンネルをつくって、性教育チャンネルをつくって発信しているんですけれども、私自身も日本の義務教育、公立の小、中、そして高校を出ていまして、日本の学校で受けた性教育、とてもじゃないですけれども、今役立っているなとは思うような内容ではありませんでした。
 ということで、私は、それ以降、大人になって、いろいろな話を聞いて、セックスによるネガティブな経験をする人を一人でも減らしたいという思いでいろいろ性教育を伝えています。
 ユーチューブをやっていますと、本当に若い世代からの声が直接届いたり、メッセージ、コメントという形で届くんですけれども、実は、二年ほど前に、まさに今日のお話の議題になっている性交同意年齢についての動画を配信しました。その動画も本当に反響もとても大きかったんですが、今日は、せっかくなので、その動画にいただいたコメントを幾つか紹介させていただきたいと思います。
 十八歳のときに被害に遭いました。性的同意教育を受けていなかったので、被害だとすぐには分かりませんでした。つら過ぎて、被害だと認めたくなかったのもあります。PTSDを発症し始めて、ようやくあれは間違ったことだったのだと確信し始めましたが、それをレイプだと呼ぶのに、被害から二年かかりました。小さい頃から性的同意を習っていれば、性被害に遭ったのだとすぐに気づいただろうし、加害者との距離をすぐに取れただろうと思います。十八歳だった私が理解できなかったことを十三歳の子供が理解できるわけがない。早く法改正してほしいです。
 同意年齢が十三歳、中一なのに、文部科学省は中学生では教える必要がないって、すごく矛盾していませんか。性について何も知らない子供が自分で判断できるわけがない。お恥ずかしいですが、自分(十七歳)もそうでした。同意年齢なんて初めて聞きましたし、そのような矛盾に全く気づきませんでした。日本の性教育は遅れているということをはっきり実感できました。
 中三女子です。私は、SHELLYさんの動画を見るまでは、何か大人の方にされても、児童ポルノ法みたいなもので、男性側が一発アウトだと思っていました。でも、性同意年齢という法律があると聞いて、その瞬間、めちゃくちゃ鳥肌が立ちました。幸いに、今まで自分は男性に何かされるということはなかったからこそ、何かに守られていると思った盾がなくなってしまって、めちゃくちゃぞくぞくっとしました。
 今、自分は十八歳ですが、性的同意年齢というのがあるのをこの動画で初めて知りました。実際、自分の友人の何人かはそのような被害を受けたことがあります。友人の一人が電車で痴漢に遭遇してしまったときがありました。された直後に、私には、彼女は電話してきて、泣きながら、すごい動揺しながら、助けてと言っていました。あのときの彼女の恐怖におびえている声は忘れられません。でも、彼女は警察に被害届を出すこともなく、次の日から何事もなかったかのように過ごしています。彼女は今は何事もなかったように振る舞っていますが、やはりどこかで痴漢の被害に遭った恐怖を抑えながら苦しんでいるのではないかと思います。私はそのような被害に遭ったことがないので分かりませんが、十八歳の私でも、その友人でも分からないし、恐怖がたくさんです。なのに、十三歳の年齢なんてもっと危険だろうし、恐怖感が強くなってしまうと思います。
 被害の届出先である警察、また法律を作る人たちなど、男性ばかりなのも問題だと思います。
 そんなことないですよね。
 十代女性が力で抵抗なんて物理的に不可能ですし、著しく抵抗できるかどうかは、頭が冷静な状態の成人男性だけです。政府には、理にかなった対応が可能な法改正に取り組んでいくべきです。
 政治家たちが本気で、そういう恋愛もあるって主張しているの、本当に気持ち悪い。
 もうやめましょうかね、気持ち悪いとかね。私の言葉じゃないですからね、コメントです。
 とにかく本当にいろいろな意見をいただきました。やはり法改正を望む声、そして、この動画だけじゃなくて、いろいろな動画に必ずついてくるコメントは、性的同意をそもそも知らなかったというコメントが本当に多いんですよね。
 なので、ここで改めて、もう皆さんは御存じと思いますけれども、改めて性的同意のお話をさせていただきたいと思います。
 性的同意というのは、全ての行為に、毎回、今ここで私はあなたとこの行為がしたいという確認を取ることです。同意を取るということ自体、日本だとちょっとまだなじみがないかもしれません。もちろん、世代別で見たら、大人の世代になればなるほど、ちょっとそこの理解が少ないのかなという感覚もあります。
 夫婦だから、つき合って長いし、もう我々はツーカーだから、言葉で一々確認するなんて、そんなの粋じゃないよ、ムード壊れるじゃんって思われている方が、加害者になる可能性があるので気をつけていただきたいと思います。
 性的同意といえば、ノー・ミーンズ・ノー、皆さん聞いたことがあると思います。嫌と言ったら、そこまで。お酒を飲んでいようが、彼のおうちに遊びに行こうが、二人でホテルに入ろうが、性行為がある程度始まって二人とも裸で行為が進んでいっていたとしても、あっ、やっぱりやめよう、もうここまでにしようとどっちかが言えば、ストップ、そこまで。それ以上したら性暴行です。この理解を本当にとにかく早く進めたいと思っています。
 ただ、実はこれも、もう一昔前の話です。今はイエス・ミーンズ・イエス、イエスのみが同意という理解が進んでいます。なぜなら、ノーと言えない人がいます。ノーと言えない関係性があります。ノーと言えない状況もあります。なので、したい、しようよという積極的な同意のみが同意というふうに捉えられるというのが、今、世界的な理解になっています。
 嫌よ嫌よもという言葉も、現行の法律ができた明治時代の話ですので、そんなことを言って、いろいろな被害者を傷つけたり増やしたりするようなことはもうやめましょう。
 性犯罪の話になると、なぜか決まって、でもお酒も飲んでいたんでしょう、彼の家に行っていたんでしょう、えっ、そんな時間に出歩いていたの、どんな服着ていたの、それってレイプなのかな、それ性暴行なのと、被害者を疑うような声が上がることがあります。なぜなんでしょうか。
 実は、ロサンゼルス市警が二〇一四年に行った調査では、虚偽と証明された事件は、届出されたレイプ事件の約五%未満という数字が報告されています。これは、実は国際的な調査で出た数字と一貫性が取れているということなので、世界的に、性犯罪の虚偽申請、虚偽の届出というのは五%未満ぐらいだということなんですよね。つまり、性被害について人はうそをつかないんです。大事なことなのでもう一度言いますね。性被害について幾らでもうそはつきません。
 性被害、被害者を生まないための教育、こんなものは実は存在しないんですね。被害者を生まない教育じゃなくて、加害者を生まないための教育、こういう教育、包括的な性教育というのが本当に必要なんです。
 そして、もう一つ必要なのは、被害者をしっかり守る法律です。今のままではまだまだ被害者をしっかり守る姿勢は足りていないと私は思います。性交同意年齢を引き上げます、括弧、条件付で。条件が必要なのでしょうか。
 皆さん、思い出してください、十代の頃。少しお時間を上げますね、ちょっと昔でしたよね。中学のときの一個上って、めちゃくちゃ先輩でしたよね。もっと言うと、三月、四月の、誕生日が一か月ずれて学年がずれただけで、もう敬語を使う関係性。学校の中の縦社会。年齢差が一つ違うだけでこんなに上下関係が生じるのに、五歳離れないと対等な関係性じゃないということは証明できないというのは、ちょっと日本には本当に合わない数字だなと私は思いました。中学生ぐらいは無条件で守りましょう。そのぐらいは今日みんなで、大人たちで約束してあげましょう。
 もう一つ、今回、私が心配な点があります。それは公訴時効についてです。現状から五年引き延ばしというのは、まだまだ短いと思います。公訴の、停止を検討すべきだと思います。
 今の引き延ばしのエビデンスとされている資料を見させていただきました。無理やりに性交などをされた被害を誰かに打ち明けたり相談した人、括弧五十二人に聞きました、少ない。一億何千万人の国ですよね。百年越しのこの法改正、五十二人の意見で決めちゃうんですか。ちょっとこれは、正直、私はやる気を感じなかったですね。本気でこれに取り組もうという改正の数字ではないなというふうに感じました。本気で性暴力と向き合い、なくそうとしている数字だったら、もっともっとちゃんとしっかりしたアンケートを取れると思います。
 性的同意などの教育を受けていない子供は、そもそもその出来事が、先ほどもお話がありましたけれども、性暴力だということを認識するまでも時間もかかりますし、その相手が、例えば、親、兄弟、親戚、学校の先生、コーチ、身近な信頼する相手だったら、それを受け入れるのにも、そこに向き合うのも時間がかかりますし、それをさらに自分の家族に打ち明けるのも、もう本当に容易なことじゃないということも想像がつくと思います。それを全て乗り越えて、やっとの思いで頑張って訴えるぞと出てきた人たちに、タイムアップ、時間切れです、残念と門前払いするのだけはやめましょう。
 今の性犯罪に対する法律は余りにも甘過ぎます。そもそも、性犯罪と認められるのにハードルが高過ぎます。今回の見直しは、もちろん時間もちょっとかかりましたけれども、本当にすばらしいことだと思います。変えるために一生懸命努力してきてくださった皆さんに本当に感謝しております。せっかく百年越しでやるんですから、惜しいとならないように、しっかり被害者を守る法律を、そして、今後は性加害を生まないための包括的な性教育をしっかりと進めて、性加害を撲滅していってほしいなと思います。
 皆さん、貴重なお時間、ありがとうございました。拍手
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伊藤忠彦#5
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、橋爪参考人にお願いいたします。
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橋爪隆#6
○橋爪参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました東京大学の橋爪と申します。専門は刑法でございます。
 本日は、このように参考人として意見を述べる機会をいただきまして、大変光栄に存じております。
 私は、法制審議会刑事法部会の委員として、今回の改正をめぐる議論に参加いたしました。本日は、部会における議論を踏まえまして、とりわけ刑法の研究者の視点から、若干の意見を申し上げたいと存じます。時間が限られておりますので、不同意性交等罪の創設、いわゆる性交同意年齢の引上げの二点に絞って意見を申し上げます。A4判で二枚の資料をお配りしておりますので、それに即して進めてまいります。よろしくお願い申し上げます。
 第一に、不同意性交等罪の新設でございます。
 先に結論から申し上げますと、今回の改正は、現行法では処罰範囲が明確ではなく、また、判断のばらつきが生ずる可能性があった点を改め、被害者の自由な意思決定が困難な状態に基づく性行為を確実に処罰することを目的としたものと評価できます。
 すなわち、現行法の強制性交等罪は暴行、脅迫を手段として要求しているところ、判例によれば、本罪の暴行、脅迫については、被害者の抗拒を著しく困難にする程度が要求されていました。これは、犯行当時の具体的状況を踏まえて、被害者が心理的又は物理的に抵抗困難な状態に陥ったかを問題にするものでありますので、暴行、脅迫の程度それ自体を問うものではありませんが、それでも、暴行が軽微な場合、犯罪の成立が否定され得る可能性が残るものでありました。また、その程度をめぐって、判断のばらつきが生じているとの指摘もありました。
 また、準強制性交等罪は、心神喪失又は抗拒不能に乗じた性行為、すなわち精神的又は物理的に抵抗困難な状況に基づく性行為を処罰しておりますが、これについても、その原因となるような事実関係が類型化されていないことから、具体的にどのような状況があればこれに該当するかが明らかではないといった問題点がございました。
 更に申しますと、国民一般に対するメッセージという観点からも、現行刑法では、意思に反する性行為が犯罪を構成するという基本的な出発点が、少なくとも条文の文言からは明確に示されていないという問題があったことも、これは否定できません。また、自由な意思決定が困難な状況における性行為が犯罪を構成するという前提からは、そもそも暴行、脅迫の有無によって強制性交等罪と準強制性交等罪を区別する必要性も乏しく、両罪は一元的に把握すべきです。
 今回の改正法案における不同意性交等罪は、このような問題意識に基づく改正と言えます。すなわち、改正法では、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態に基づく性行為、すなわち自由な意思決定が困難な状態における性行為が犯罪であることを明示しています。このように、改正法では、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態が処罰の可否を判断する上では決定的に重要でありますが、被害者がこの状態にあったかを判断するに際しては、被害者にどのような事情があったか、あるいは犯人からどのような働きかけがあったかを考えることが必要です。そこで、改正法は、意思決定が困難な状態の原因となり得るような行為や事由を一号から八号で具体的に列挙しています。
 このように、改正法における不同意性交等罪が成立するためには、まず、原因となる行為や事由のいずれかに該当することが必要であり、それによって、さらに、被害者が同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態に陥っていることが必要です。この両者を共に認定できる場合に限って本罪が成立します。例えば、三号ではアルコールの影響が挙げられておりますが、被害者がお酒を飲んで気が大きくなって性行為に応ずれば、直ちに犯罪を構成するわけではありません。あくまでもアルコールの影響で意思の形成、表明、全うが困難な状態に陥ったことを更に認定する必要があります。
 以下、個別の要件につきまして、簡単にコメントをしておきたいと存じます。
 まずは、括弧三番ですが、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態です。
 これは、被害者の自由な意思決定が困難な状態に対応する概念ですが、改正法案では、意思の形成、表明、全う、いずれかの段階で困難があれば犯罪が成立することを明確にしています。例えば、継続的な虐待によって抵抗する意欲を失って性行為を受け入れた場合については、同意しない意思の形成が困難と言えます。また、相手に対する恐怖から、嫌だという意思を表明できなかった場合には、これは表明困難な事例に該当します。さらに、同意しない意思を表明しましたが、相手に押さえつけられてしまい抵抗できなかった場合には、意思の全うが困難な状態に該当します。
 このように、意思を形成、表明、実現する段階ごとに困難さが生じたかを問題にすること、これによって、被害者の明示的な拒絶や抵抗が認定できない場合であっても、意思に反する性行為であれば処罰できることが明確にされています。
 もっとも、改正法は、自由な意思決定が困難な状態か否かを問題にするものでありまして、内心において被害者の意思に反することそれ自体を要件とするものではありません。これは、行為者の内心それ自体を刑事裁判で判断することが極めて困難であること、また、そもそも性的同意の内容が一義的には明確でないことから、内心それ自体を要件とするよりも、被害者の自由な意思決定を妨げるような外部的状況があったか否かを問題にした方が、処罰すべき行為を確実かつ安定的に捕捉できるという理解に基づくものです。
 次に、困難な状態の原因となる行為、事由です。
 繰り返し申し上げますように、本罪の中心的内容は、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態ですが、この状態の存否の判断を安定的に行うために、自由な性的意思決定が困難になる原因となり得るものを広く拾い上げて、具体的に列挙しています。さらに、現実の事件においては、列挙した原因行為には厳密には該当しないが、同様の影響を与える行為も想定し得ることから、改正法では更に、その他これらに類する行為も原因行為に含めています。
 このような改正法案の規定ぶりは、行為態様によって処罰を限定することはなく、処罰の隙間が生じないように、意思に反する性行為を網羅的に罰しようとする態度の表れと評価できようかと思います。また、恐怖によるフリーズ、虐待による心理的反応、地位、影響に基づく不利益の憂慮などを明示した点も、これらが性犯罪の深刻な手段たり得ることを明確に規定したという意味において、重要な意義があります。
 なお、改正法案百七十六条二項は、誤信類型について特別の取扱いを規定しています。すなわち、被害者が何らかの事情について誤信して性行為に及んだ場合については、常に同意を無効として性犯罪の成立を肯定するのではなく、例えば治療のために必要であるとだますなど、わいせつなものではないとの誤信、また、相手を夫と誤信するような人違いの場合に限って、性犯罪の成立を肯定しています。
 ここでは、性行為を行う際の誤信、誤解といっても多様なものがあり得るところ、その中には性犯罪として罰すべきではないものも含まれていることから、性的意思決定をする上で重要な事実について誤信している場合に限って犯罪の成立が肯定されています。
 続きまして、二番に移りますが、いわゆる性交同意年齢の引上げについて意見を申し上げます。
 性交同意年齢とは、対象者の年齢だけを基準として、性的同意を無効とする制度です。もちろん児童の心身の発達には個人差がありますが、現行法は、少なくとも十三歳未満の者が有効な性的同意をすることはあり得ないという前提から、十三歳未満の者の性行為を一律に禁止し、処罰対象にしていると解されます。もっとも、十三歳以上十六歳未満の児童についても有効な同意がなし得るのか、むしろ、十六歳未満については有効な同意がなし得ないとして性交同意年齢を十六歳に引き上げるべきではないかということが問題とされています。
 この点に関して、法制審議会の議論では、性的行為の意味を理解する能力と、状況に応じて対処する能力の区別が重視されました。すなわち、十三歳以上十六歳未満の児童は、性的行為の意味を理解することは一応可能であるとしても、相手との関係においては、状況に応じ適切に対処し、自らの意思決定を貫徹する能力が十分ではないという理解が共有されました。つまり、およそ誰に対しても性的同意ができないとまでは言えない、しかし、相手との関係によっては、相手の言動の影響を受けやすく、また、状況に流されてしまい、十分に考えて適当な判断をすることが困難な場合があり得るということです。
 こういった理解からは、十三歳以上十六歳未満の性行為を全面的に禁止、処罰するのではなく、非対等な関係に基づく性行為に限って、児童が適切に対処することが困難であり、それゆえ有効な性的同意が肯定できないとして、処罰範囲を拡張することが可能です。十三歳以上十六歳未満の者に対しては、誰に対しても性的意思決定ができないわけではなく、相手との関係においては能力が十分に発揮できないという発想です。
 このように、非対等な関係性に基づいた性行為を罰すべきと解した場合、難しい問題は、非対等な関係性をどのような観点から法文上規定するかという点です。この点につきましては、実質的な判断をするか、形式的な判断をするか、それとも両者を併用するかという観点から、三つの選択肢があり得ました。
 すなわち、一番ですが、当事者の現実の関係性を個別具体的に評価した上で、対処能力が欠如するような非対等な関係性と言えるかを認定し、非対等な関係性が認定できる限度で処罰をするというふうな実質的な判断、これに対して、二番ですが、専ら年齢差という観点のみから処罰範囲を設定する形式的な要件、さらに、三番ですが、年齢差という形式的要件と現実的な関係性の実質的判断を共に要求する判断、これら三つの可能性があり得ました。
 本来、当事者が対等な関係を構築していたか、すなわち、お互いの意思を十分尊重し合う関係を有していたかということは、当事者ごとに個別に具体的に判断すべき問題でありますので、理想を言えば、一番あるいは三番の選択肢が適当であったのかもしれません。しかし、個別の関係性を実質的に判断することは、当然ながら判断のばらつきによる混乱が生じますし、また、当事者間の関係性や交際の状況について裁判で証明することは、被害者側に負担が生ずることも懸念されます。
 このような問題意識から、法制審の部会では、二番の方向、すなわち年齢差という専ら形式的な観点から処罰の限界づけが提案されるに至ったわけです。すなわち、実質的には、非対等であり、児童の主体的、自律的な判断が困難な関係性に基づいた性行為を処罰したいところ、それを個別に認定することが困難であるがために、非対等性の判断基準として年齢差に着目するというふうな発想です。
 この点に関して御注意いただきたい点は、年齢差の要件を満たした場合、当事者の関係性を問わず、全ての性行為が処罰対象になる点です。したがって、この年齢差であれば対等な関係に従って主体的な判断ができる場合もあればできない場合もあるという程度の年齢差では不十分であって、あくまでも、これだけの年齢差があれば、およそ対等な関係性はあり得ず、有効に自由な意思決定をすることは全く考えられないといった年齢差を設定しなければ、年齢差という観点だけで行為者を罰することは正当化できません。このような前提からは、改正法案の五歳という年齢差要件には、処罰すべきでないものを処罰対象に含めないという意味において、十分な合理性があると考えております。
 私の意見は以上でございます。御清聴、誠にありがとうございました。拍手
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伊藤忠彦#7
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。
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山本潤#8
○山本参考人 おはようございます。
 二〇二〇年から開始された性犯罪に関する刑事法検討会、法制審議会に委員として参加しました、一般社団法人Spring幹事の山本潤と申します。
 本日は、今回の改正の私から見た意義と積み残された課題、また、今後、国として実施していただきたいことについてお話ししたいと思います。私の資料はこちらにありますので、見ていただければと思います。
 今回の、同意しない意思という言葉が文言に入ったことは、非常に評価すべきことだと思いますし、是非改正を進めていただければと思います。また、法制審議会でも、被害者が同意していない性的行為は処罰の本質であるということに関して異論はありませんでした。
 しかし、昨年十月に出された試案においては、拒絶の意思を形成し、表明し又は実現させることが困難との文言が出されていました。これを聞いたときに、なぜ、これだけの議論を重ねても、拒絶という文言が出てきて、言っても言っても伝わらないのかと非常に絶望感を覚えたことを覚えています。
 これは、被害者に拒絶の意思、抵抗の義務を課すかのように受け取られる可能性があること、また、被害者の立場からすると、拒絶の意思をあなたは形成できましたか、表明できましたか、実現できましたかというふうに言われても、私の場合もそうですけれども、自分が本当に嫌で拒絶したかったんだというふうに思い至るまでには非常に長い時間が必要なわけですね。私の場合は二十年間ぐらいかかりました。
 ですので、拒絶の意思を形成の段階で処罰することが可能ということは、ノーという意思が形成される前も処罰できる範囲なんですよということは説明されましたけれども、非常に分かりづらいということと、また、被害の実態を正しく捉えられていないということで、被害者側の委員からも反対の意見、また社会からも反対の意見が示されたと思いますけれども、それで、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難というふうになったことは非常によかったなというふうに思っています。
 この意味合いについては先ほど橋爪さんが説明していただけたと思いますけれども、この八つの例示列挙で、同意がない行為、場面が明確になり、同意しない意思が文言に取り入れられることにより、同意の有無を中心に処罰対象が考えられるようになることを今後期待したいと思います。
 また、これについて、括弧二のところなんですけれども、今までは、著しく抵抗困難なほどの暴行、脅迫がなければなかなか罪に問えない、警察に行っても、あなたの暴行や脅迫の程度は激しくないから、なかなか裁判に行っても難しいと思うよというふうに言われて、諦めてしまうということが多かったわけですね。それを、法制審議会の議論において、程度は問わないということを確認しましたし、これは有形力の行使があればそれでオーケーなんだということを、是非、司法職員、警察官、検察官にも周知していただければと思いますし、私たちも認識する必要があることだと思います。
 また、そのほかの列挙されている行為や事由も、それ自体の程度を問う構造になっていないということなので、この行為があったということをまず明確に確認し、その上で、同意しない意思を評価していただければと思います。
 一方、処罰範囲については懸念しているところもあります。
 同意がなく、対等性がなく、強制性がある性的行為は性暴力です。しかし、様々な社会的な認識が異なる状況において、そして、対等性についてなかなか理解されていない現状において、この法律で正しく捉えることができるかなということは懸念しています。
 例示列挙の一つに、経済的、社会関係上の地位に基づく不利益の憂慮が挙げられました。しかし、高校生と教師、児童養護施設などに入っている入所者と施設職員という、明らかに対等でない地位、関係性を利用した性的行為が性犯罪として認められるのかということについては疑問が残ります。法制審議会においてもこの点を指摘しましたが、個別に判断すると伝えられるものでした。
 しかし、同じ学校の教師と生徒であれば、教師は生徒の個人情報を一方的に把握し、成績を評価する立場にあり、決して対等ではありません。また、児童入所施設においても、入所者の待遇や環境を左右することができるのが職員です。そのような影響力の下での被害者が同意していない性的行為が十分に処罰対象になるとは、これまでの裁判例や運用を見る限り、とても思えません。
 資料の方の、資料二にある刑法改正市民プロジェクトの附則案の、附則のところの二項にあるんですけれども、やはり、教師と生徒、施設職員と入所者など明らかに対等でない地位、関係を利用した性行為を処罰するための検討を加え、必要な措置を講じてほしい、附則に入れてほしいという要望になっております。
 ほかにも、レジュメに戻りまして、アメリカの方で、対等でない、黙示の強要がある例として挙げられているのが、医療関係者と患者、宗教関係者と信者、刑務所、矯正機関職員と受刑者、雇用者と被雇用者などの明らかに対等でない立場についてはこのような例があるということを示されているわけですから、更なる改正を地位、関係性においても検討してほしいと思います。
 また、二に移りまして、障害児者であることによって他者の援助を必要とする立場の方は、相手の意思に反する表明をできにくい立場にあります。齋藤さんからも説明されましたけれども、そのような依存的な状態にある人に対し、施設職員、援助者という立場を利用して性暴力を行うことは、被害当事者にとって性的搾取でもありますし、親や親族などと同じように信頼する立場の人から加害を加えられるわけですから、非常にダメージも大きく、心身に有害です。
 このような被害に関しても、心身の障害や、虐待に起因する心理的反応や、地位、関係性の不利益憂慮などの例示列挙で個別に対応するというふうに伝えられましたけれども、障害のレベルや反応というのは非常に様々ですし、日常的に障害者に接している施設職員であったり援助者であってもなかなか分かりにくいというところもあるわけですね。そのような人たちでも分かりにくいことを、司法職員が適切に判断できるのかなということを思います。
 しあわせなみださん、資料四の、最後のページの要望書にもありますけれども、対人援助職も含めた地位、関係性規定を要望されています。附則につけて検討していただければと思っております。
 次に、性的同意年齢についてお伝えしていきます。
 中学生でも成人と真摯な恋愛ができるというような言説がはびこっていましたので、少なくとも、五歳以上の年齢差があれば対等な意思決定ではないという認識が法制審議会で得られたのはよかったと思っています。国会答弁の中でも、例として、十五歳の高校一年生と二十一歳の大学生が性交した場合、高校生の同意があっても罪になるのはどうなのかというふうな議論がありました。
 様々な意見や、また、ちょっと誤解しているところもあるのかなというふうに思うんですけれども、法制審議会で佐藤陽子委員が、性的行為をするかどうかに関する能力、一、行為の性的な意味を認識する能力、二、行為が自己に及ぼす影響を理解する能力、三、性的行為に向けた相手方からの働きかけに的確に対処する能力が備わっている場合、性的行為をするという能力があるというふうに考えて、進めてきたというところがあります。
 私としては、やはり段階的に発達するのではないかということをお伝えしていまして、一については中学生レベルであれば理解できるようになることもあるのかなと思うんですけれども、二の自己に及ぼす影響を理解する力や、性的行為に向けた相手方からの働きかけに的確に対処する能力に関しては、それ以上の認知能力の発達や社会的経験が求められるかと思います。
 年少者が同意だというふうに思っていても、年長者からそのように手懐けられたり、仕向けられたり、思い込まされている場合もありますし、性交すれば起こる、性感染症や、妊娠したり、また、妊娠して、継続が難しいから人工妊娠中絶をしなければいけないというような、そういう影響についても理解して的確に判断する能力が備わって初めて真の同意と言えるのではないでしょうか。
 このような状況が、意思決定が必ず対等性を欠く年齢差として、先ほど五歳差になったということを説明いただいたと思うんですけれども、被害者支援側の委員からは、三歳差が妥当であるという意見も出されていました。カナダにおいては、成人、十八歳なんですけれども、これに対して十六歳未満というふうに、二歳差であるという国もあります。
 自由な意思決定、対等な意思決定ができる年齢は何歳なのかということは、今後、調査結果を踏まえて検討していただきたいと思いますし、私の意見としては、日本においても、成人、十八歳以上から中学生年齢、十六歳未満に対する性的行為は処罰の対象ではないかと思っています。そこは最低限守らなければいけないところなのではないかという理解をこの日本社会で共有できるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。
 次に、公訴時効について述べたいと思います。
 公訴時効は五年の延長であり、これについては非常に不満を持っています。
 海外の調査報告書で、こちらに座っております齋藤さんが法制審議会でも説明していただいていましたけれども、ドイツでは千人以上の生存者を対象とした、十八歳未満の子供に対する児童性的虐待を被害者が報告したときの平均年齢が五十二歳だった、また、アメリカの男性の児童性的虐待の生存者を対象とした調査ですと、最初の暴露まで、最初に誰かに話すまでの平均期間が平均二十一・四五年だったという調査があります。これは、五年延長でとてもカバーできるような年齢ではないと思います。
 日本の臨床現場において被害者治療を行っている委員の方たちからも、三十代はせめてカバーしてほしいというふうに伝えられていましたけれども、このままでは三十三歳ということになります。
 括弧三のところですけれども、ほかの方も言われていましたけれども、被害から五年が経過するまでの間に被害が外部に表出されているという内閣府の調査を根拠として今回の改正になりましたけれども、これは、相談できなかった約六〇%の人、この調査において、女性の五八・四%、男性だと七〇・六%が、そのときまでに誰にも相談していないわけですね。この被害に遭ってから相談までの期間についての質問は、相談した中で取った数字であって、大多数の人が五年以内に相談できたわけではないということを踏まえていただいて、しかも、それを回復してから言える、それは相談できた年代ですから、司法機関に言えるようになるまでにはすごくまた時間がかかるわけです。
 長期的な被害の影響、人生への損傷、そしてそれを回復するまでにかかる時間ということを考えていただくと、公訴時効の方は更なる検討が必要だと思います。
 スイス刑法においては、十二歳未満の児童に対しての性犯罪がなされた場合には、これは時間がたったから決して許される罪ではないということで、時効を撤廃したということです。ドイツ刑法も、三十歳まで停止して、残り二十年間訴えられるということで五十歳までになっています。フランス刑法も、強姦については、未成年者に対して行われた場合、成人に達して三十歳から時効。四十八歳までが時効ということになっています。
 そのような諸外国の例も踏まえまして、日本でも、証拠がある、DNAがある、撮影などが残っている、そういうケースにおいてきちんと加害を、罪を問うことができるようにしていただければと思います。
 性犯罪加害と治療教育についての書籍の中にありますけれども、加害者治療教育の研究では、一人の性犯罪者は生涯三百八十人の被害者を出す、これは露出やわいせつ電話を含むデータですけれども。やはり、その一人一人をきちんと対応して処罰していくということは、将来の被害を減らす意味でもすごく大事なことだと思います。
 次のページに移りまして、運用への懸念についてお伝えいたします。
 法務省の性暴力実態調査ワーキンググループの取りまとめ報告書にあるんですけれども、この中で、被害者が性交に同意していた可能性を排斥できないが百八十件あり、それが嫌疑不十分と判断されて不起訴になりました。これは、危機的状況に置かれた人間の心身反応を理解しての判断なのかということに関して、疑問が残ります。
 過去には、警察官が通りかかったのに助けを求めなかったから、同意の可能性を否定できないとして無罪になった裁判例もありました。しかし、今まさに被害を受けている最中に助けを求めるということがどれだけ難しいのか。そのことで、刺されるかもしれない、もっとひどい目に遭うかもしれないと思っても、思わなくても、やはり体は固まって、フリーズして、人は動けないわけです。そのような危機的状況に置かれた人間の心身反応に基づいて、同意のない意思の有無が、あったのかということを判断していただければと思います。
 次に、被疑者の誤信の問題があります。
 二〇一九年の福岡の無罪判決においては、一審で、飲酒によって意識がない状態の被害者に性交したことに対し、加害者が、被害者がうめき声を上げたから、身じろぎをしたから同意していると思ったということが裁判で認められて、無罪になりました。その後の高裁判決では、加害者の主張は認められず、有罪になっています。
 被疑者は、性暴力加害者は、向こうも望んでいた、嫌だと言わないのは同意のサインだ、嫌だと言っても言葉の上だけで本当は嫌がっていないのだという認知のゆがみを生じさせて、性加害を行っているわけです。このような加害者の思い込みを誤信というふうな形で判断していただかないでほしいと思います。
 また、加害者が持っているそのような認知のゆがみは、この社会が共有しているところでもあります。レイプ神話と事実におきまして、女性のノーはイエスという意味である、見知らぬ者がレイプをする、レイプは直ちに警察に届ける、セックスへの欲求がレイプの第一の動機であるというような誤解がやはりはびこっていて、そのことにより、そのようなものなのだということを受け取って、加害者はそれを利用しているというところがあります。
 しかし、先ほどSHELLYさんからも伝えられたように、ノーはノーなんです。だから、ノーの意味はノーで、女性の希望、被害者の希望は尊重されるということを、性暴力は同意のない性的行為であり決して許されないということを社会で共有していただければと思います。
 そのほか、性的撮影罪、また、司法面接、性的な面会についても、様々実態調査が必要ですので、改正を検討していただきたいと思います。
 最後に、今後の運用についてお伝えしたいと思います。
 ほかの方からも述べられましたけれども、包括的性教育を実施して、性的同意についての認識を社会全体で共有していただければと思います。
 また、関係機関、警察官、検察官、裁判官等の司法職員には研修と周知を行い、この新しく変わる改正が必ずその意図を実現できるようになるように取り組んでいただければと思います。
 また、括弧三の被害者支援の拡充と社会復帰支援ですけれども、このような、被害者が救われる司法運用になるためには、被害者支援機関と警察との緊密な連携が必要ですが、なかなか今それがはかどっていると言えない状況にあるのではないかなということは、私は個人的には感じています。
 もっと被害者支援機関を活用して、被害者が受けられるサービスを充実するようにしていただければと思いますし、長い間、時によっては何十年も被害の影響に被害者は苦しみます。学業を遂行することや、仕事に出ることや、生きがいのある暮らしを送ることも難しいわけですよね。そういう人に対しての支援、また経済的支援もお願いできればと思います。
 そのためにも、被害者や被害者家族、パートナーなどが御自分たちで話し合い、そして自分たちの状況を理解して前に進んでいくような自助グループについても、とても求められるところですので、そのような体制整備もお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。拍手
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伊藤忠彦#9
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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伊藤忠彦#10
○伊藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤竜祥君。
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加藤竜祥#11
○加藤(竜)委員 おはようございます。長崎二区選出、自由民主党、加藤竜祥でございます。
 四名の参考人の皆様方におかれましては、それぞれのお立場で、この法案への思いや、経験から貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。また、性犯罪被害者が救済をされる社会をつくっていくという覚悟を持って、自身の被害当事者として大変苦しい経験やリアルをお話しいただきましたことに対しまして、心から敬意と感謝を申し上げます。
 何点か参考人の皆様方に質問をさせていただきますが、時間の都合上、つながりを欠く点があるかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。
 まず、皆様方の御意見のとおり、やはり、性犯罪の処罰規定の本質は、被害者が同意していないにもかかわらず性的行為を行うことであると思います。今回の改正案は、強制性交罪、強制わいせつ罪としてきた罪名を不同意性交罪、不同意わいせつ罪とそれぞれ変更することで、同意のない性交は処罰の対象になるという性犯罪の本質をより明確にする変更であり、評価すべきであると思います。
 齋藤先生は臨床心理士として多くの犯罪被害者の方に寄り添った経験がございます。性暴力被害の本質は何だと思われますか。人の何を侵害する暴力であるのかについて改めてお伺いをいたします。
 また、今回の改正案では、同意しない意思形成等が困難になる原因として八類型を挙げておりますが、どうしてこの八類型になっているのか、また、齋藤先生の御経験から、この八類型で同意、意思を守ることができるのかについて御見解をいただきたいと思います。
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齋藤梓#12
○齋藤参考人 御質問をいただきありがとうございます。
 性暴力被害は何を侵害する暴力かということですが、私は、その方の主体性であるとかその方の尊厳を侵害する暴力であるというふうに思っております。
 私自身も調査を行ったところですが、そして多くの被害者の方々から聞こえる声ではありますけれども、やはり、人として扱われなかった、人は意思を持つ存在で、自分はノーと言って意思を表明したのに、それが聞き入れられることはなかった、あるいは、嫌だということは言えなかったけれども、精いっぱい抵抗したのにそれはかなわなかった、相手にとって都合のよいものだと扱われたといったような言葉、自分が人形になったような気がするといったような言葉はよく被害者の方から聞こえるものです。
 それは、人として生きる、本当に人としての尊厳というものが侵害されたということになります。だからこそ、性暴力被害というのは、その後PTSDになったりですとか、人生を通して被害の影響が継続することもあり得るということがあるのではないかと思います。
 また、八類型に関してですが、正直に申しまして、その八類型をきちんと、八類型に関して、そしてその八類型があった上で、同意しない意思の形成、表明、全うが困難であるかということを捜査関係者の皆様が適切に運用していただけるかということについては少し疑問も抱いております。
 それと申しますのは、これまで様々、例えば地位、関係性に基づく性暴力であるとか、子供たち、特に十六歳、十七歳の子供たちが大人に手懐けられて、そして同意しているかのように思わされて性行為に至り、そしてその後、人生が大きく変化させられてしまったというような事案がたくさんございまして、それらを、今まで起訴されなかったり警察に届出が受理されなかったりしたことがございますので、そうしたことが再び起きるのではないかということの危惧は抱いております。
 なので、その八類型でカバーされているのかどうか、そして適切に処罰すべき行為が処罰されているのかどうかということを継続してきちんと運用を見届けていただきたいというふうに考えております。
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加藤竜祥#13
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
 一方で、法制審議会の場において、この八類型では処罰範囲が広過ぎるとか、明確性に欠けるといった意見があったかと思います。
 そこで、法制審議会のメンバーである橋爪先生にお伺いをいたします。
 刑法学的に、この八類型についてどのような意見があったのか、処罰範囲や明確性について先生の御意見を御教授ください。
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橋爪隆#14
○橋爪参考人 お答え申し上げます。
 確かに、八類型につきましては、かなり内容が広いというふうな御意見もあろうかと存じます。ただ、あくまでも本罪は、八類型に該当すれば性犯罪を構成するわけではなく、あくまでも八類型を原因とする形で、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態になった場合に限って犯罪が成立します。つまり、八類型自体は犯罪の本質ではなく、あくまでも犯罪の有無を判断するときの端緒というふうに考えますと、そういった意味では、広い契機があった方がより確実な処罰ができるという意味で十分な理由があるように考えております。
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加藤竜祥#15
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
 恐縮ですが、齋藤参考人にはもう一問お願いをいたします。
 今回の改正、公訴時効期間延長が原則五年延長される根拠は、性犯罪被害者の大部分が被害から五年の間に相談がなされていることと証拠の散逸といった被告人の防御権とのバランスを取ったと理解をいたしております。
 先日、性犯罪被害者の団体の方と面会をいたしました。自分が性被害に遭ったことを認識するまでに時間がかかることや、人によっては記憶が一旦消え、十年経過してから突然記憶が喚起される場合もあることが分かりました。そもそも、恥ずかしさや自己嫌悪から、人に話すこともつらい心理状況に置かれているというお話を伺いました。
 性犯罪被害者になってしまった場合、被害者の心にどのような影響を及ぼすのでしょうか。被害者心理の面から考えて、今回の公訴時効期間の延長により、今まで救えなかった被害者を救済をすることができるのか、先生の御意見を伺います。
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齋藤梓#16
○齋藤参考人 御質問いただきましてありがとうございます。
 公訴時効に関しましては、正直、私自身は、まだ足りていないのではないかということを感じております。と申しますのも、私自身のところに御相談にいらっしゃる方々も、被害から二十年、三十年たってやっと、初めて人に相談できますという方が多くいらっしゃいます。
 性暴力被害者、性犯罪被害者の大部分が五年以内にということですが、それは認識の間違いで、性暴力、性犯罪の被害者の大部分は人に相談ができないという状態です。それは一生涯相談できないのかもしれませんし、相談できるまでに二十年、三十年かかるかもしれません。
 性暴力の被害というのは、性暴力、性犯罪というのが抵抗したら防げるのではないかですとか、様々な誤った認識が社会にはびこってございます。そのため、被害を受けた方々も、自分で、自分が悪かったのではないかですとか、これを被害だと認識してしまったら自分は生きていけないのではないかという心情になり、そして、その結果、記憶を失ったりですとか、これは被害ではないというふうに思い込もうとするということが見られます。
 しかし、それでも、生活していく中で死にたい気持ちとか消えたい気持ちというのが継続いたしまして、そして、親密な関係が築けないですとか、混乱した性的な関係を自暴自棄のように取った結果、更なる性暴力に遭うですとか、本当に人生を通して様々な状況が続きます。そうした状況が続いた結果、十年、二十年、三十年とたって、ようやく、これは被害だったのかもしれない、自分は傷ついていたのかもしれないということに気がつくということがございます。
 そうしたときに、もちろん証拠の散逸ということはあるかと思いますが、警察に届け出ることもできないというような不利益を被害を受けた方が被ることがないように、これから先、再度調査を重ねて検討いただきたく思っております。
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加藤竜祥#17
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
 続きまして、SHELLY参考人へ質問いたします。
 SHELLYさんは、日頃から、思春期や性について悩みがある多くの方々に対して動画発信をされていらっしゃいます。先日、私も拝見をいたしましたが、どうしても他人に聞きづらい性の悩みなどについて、誰もが分かりやすい言葉で、かつ、本気に向き合っており、これをそのまま教育教材として広めていきたいとすら思いました。本来、こうした教育や発信は国が先頭になってやっていかなければいけないと思います。
 SHELLYさんは、お互いの性的同意を尊重することが大切であるということを常に発信をされていらっしゃいます。これはまさに今回の改正案の中心になる同意の有無という点であると思います。たくさんの反響もあるかと思いますが、SHELLYさんは、現状、我が国社会の性的同意への意識をどのように考えておられるのか。また、性的同意の意識を社会全体で向上させていくためにどのようにすべきであるかについて、御見識を改めてお聞かせください。
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SHELLY#18
○SHELLY参考人 動画を見てくださってありがとうございます。
 やはり性的同意という、まずワードがすごく硬いのでなかなか広まらないという感覚もありますし、ただ、難しい言葉って、使って使って当たり前になっていくと広まっていくとも思いますし。
 性的同意の根本って、やはり、自分の体を大事にする、相手の体を大事にする、リスペクトするというところだと思うので、リスペクトの気持ちは日本にはすごくしっかりあると思うんですけれども、それと体というところが結びつくというのは完全に教育だと思います。性的な話、セックスの話というのはやはり文化的にとてもタブー視されがちなので、おうちでも、親との会話の中でもなかなか出てこない部分ではあると思うんですけれども、ここに関しては、子供への教育だけじゃなくて、やはり大人たちの教育、大人たちの理解が進まないことには広まっていかないのではないかなと思います。
 ただ、広めるための一番大きな要素、もちろん教育もそうですけれども、もう一つ、先ほどお話しさせていただいた法整備だと思います。法律で、ルールで、駄目なんだよというのが、国で明確に示してくれれば、あっ、駄目なんだということを、もちろん加害者側もそうですけれども、被害者も、こういう法律があるから我々は守られている、やはりあれは駄目だったんだ、おかしかったんだというふうになると思うので、被害者を助けるためには、とにかくまずは法整備から。そこから、包括的な教育を、性教育をまた進めていただければなと思います。
 ありがとうございます。
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加藤竜祥#19
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
 最後になりましたが、山本さんにお伺いいたします。
 先日、犯罪被害者の会、Springの皆さんと面会をさせていただきました。お恥ずかしい話ですが、そのとき初めて私は、皆様が性被害当事者が生きやすい社会の実現に向けて活動をされていることを知りました。皆さんのお話を聞きますと、被害実態と社会通念が乖離をしていることや、日本社会が長い間、性被害や性的同意の尊重というものに真剣に向き合ってこなかったことを痛感をいたしました。今回の法改正は、皆様方の活動のたまものであると思います。
 改めて、今回の改正に対する率直な感想、御意見をお聞かせください。
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山本潤#20
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
 二〇一七年のときからSpringを設立し、Springの方たち、またほかの市民団体の方たちとともに改正活動を行い、この中にも私たちの話に耳を傾けていただいた議員の方たちもたくさんいるんですけれども、理解を深めていただいて、性暴力の実態を知る方々が増えてきてくださったということが本当に大事なことだと思います。
 また、検討会、法制審議会を通して、法律や司法に関わる方たちにも被害の実態が少しずつ伝わり、だからこそ今回の改正になったのではないかと思います。
 最後に、法制審議会で発言されていた方がいたのがすごく印象に残っているんですけれども、この改正を見ると、すごくとっぴというか、ここまで改正するのかと思われる方もいるかもしれないけれども、議論を積み重ねてこうなってきたこの入れ物をきちんと、この法改正ということがちゃんと運用される、中身を充実させることが大事だということを言われていて、そのことがとても印象に残りました。
 だからこそ、これを今からつくっていくのが私たちであり、国会議員の皆様方でもあり、そして国民一人一人だというふうに考えていますので、是非今後も一緒に尽力していければと思っています。
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加藤竜祥#21
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
 私もやはり本件改正により大きな一歩を踏み出したんだろうと思いますが、今回、参考人の皆様方からお話を伺ったとおり、性被害を受けた方の心の状況や被害を告白できないという性質を鑑みれば、ドイツやフランスの公訴時効の基準からは乖離があり、課題もまだ残っているんだろうと思います。
 どうぞ、法務省関係者の皆様におかれましては、引き続き、改正後も性犯罪の被害実態の調査研究を進め、被害者が救済される社会の実現を目指していただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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伊藤忠彦#22
○伊藤委員長 次に、大口善徳君。
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大口善徳#23
○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
 本日は、山本参考人、橋爪参考人、SHELLY参考人、齋藤参考人、非常に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 今回は、法制審議会でも一年四か月、その前にも、検討会でありますとか、非常に熱心に御議論をされました。
 齋藤参考人、橋爪参考人、また山本参考人は、法制審の委員でもありまして、非常にその議論を主導されたという印象がございます。やはり、当事者の方、支援者の方がしっかり入られて、そして、この法制審議会の議論の成果として今回の法律ができたということは、私は非常に意義のあることだ、こういうふうに思っているところでございます。
 内閣府が、今回、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議で、更なる強化方針という中で、性犯罪や性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、決して許されないものである、相手の同意のない性的な行為は性暴力である、こういうふうに決定をしているわけであります。
 今回も、山本参考人もおっしゃっていましたけれども、本人の同意のない性的行為が性犯罪の処罰対象であるということは繰り返し共有された、その一つの表れとして、罪名として、不同意わいせつ罪、不同意性交罪という罪名になったというふうに考えております。
 そこで、まず、今回、八つの行為、事由によって、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態で性交等が行われた、こういう構成要件を、構造を変えたということについて、これまでの、現行法と違ってどのような効果が期待できるのかということを、橋爪参考人、山本参考人、そして齋藤参考人からお伺いしたいと思います。
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橋爪隆#24
○橋爪参考人 お答え申し上げます。
 現行法は、暴行、脅迫、あるいは抗拒不能、心神喪失という要件に該当しなければ性犯罪を構成しません。そういった意味で、何が抗拒不能かについて、具体的な外延と申しますか、イメージが十分に共有されてはいないという問題がございました。そういった意味で、判断者によっては判断がばらつくという問題があったと思うんですね。
 それに対しまして、改正法案におきましては、まずは、実行行為の類型を八つ挙げる、さらに、あくまでも、内心につきましても、同意しない意思の形成、表明、全うの段階において困難があったかというふうに、いわば抗拒不能の内容を具体化しています。
 そういった意味で、内容を具体化するような法改正によりまして、今後は、願わくば、判断のばらつきが生じず、明確な処罰範囲が十分に担保できるということを願っております。
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山本潤#25
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
 被害者側としては、同意しない意思になった方が、多分、自分は同意していなかったというふうに思いやすいのではないかということを思います。また、同意するかどうかも、虐待とかがあったりとかDVとかで、もう自分はするものだみたいな、そういうのも、形成の意思もなかったんだということを、やはり気づきやすくなるのではないかということをまず一つ思います。
 法律家ではないので、司法の運用でどういうふうになるのかということはちょっと想像が難しいところもあるんですけれども、元裁判官の方の発言において、拒絶の意思よりも同意しない意思の方が、困難だったかどうかを示す、有罪に向けた立証ハードルが下がるのではないかというふうに言われておりまして、やはりこれが、自分の行為が性犯罪であったということを、まずは話を聞いてもらいたいということと、そして、それをきちんと性犯罪として認めてほしい、できるならば、やはり二度と、こういうことが再び起きないように加害者に罪を問うてほしいということを望んでいるわけですから、それが現実のものになりやすくなるのではないかなと思って、賛成はしています。これが本当にそうなるのかということについて検討していただきたいと思っています。
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齋藤梓#26
○齋藤参考人 御質問いただきましてありがとうございます。
 私自身も、様々な支援に携わる中で、やはり判断のぶれというのがとても大きいなということは感じておりましたので、こうした八類型が設定されましたこと、また、同意しない意思の形成、実現、全うが困難という文言がつきましたことで、判断のぶれがなくなることを願っております。
 また同時に、広く国民の皆様が、そういった八類型がきちんと示されることで、そうした中では、相手の意思が、同意しない意思が形成されない可能性があるとか、表明されたけれどもそれが全うされない可能性があるとか、表明されない可能性があるんだということに気がつくことができる、認識することができるというのは大変大事だと思っております。
 大学で講義をする中で、学生たちから、自分は大事な人を深く傷つけたのかもしれないということに、講義を聞いて非常に苦しい思いをしたというような感想をもらうことがございます。そうした悲しい出来事が少なくなっていくのではないかということを期待しております。
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大口善徳#27
○大口委員 そういう中で、やはり加害者の意識というのが非常に大事だ、こういうふうに思っております。そういう点で、やはり性教育というのが非常に大事であり、また、SHELLYさんからも、加害者になる可能性のあることに対しての教育が大事だ、こういうお話がございました。
 そこで、性的同意というものをしっかり、どういうものなのかと。そして、一番進んでいるのはスウェーデンなわけでありますけれども、しっかり性的同意を、例えば行為の最中においてもノーと言われたらそれはストップするというようなこと等、それがもう当たり前なんだという社会的な認識、人々の認識に変えていかなきゃいけない、こう思っています。
 そういう点で、私もSHELLYさんの動画を見させていただきました。昨日も、夜も見させていただいたので寝不足になっておるんですが、非常に分かりやすくて、若い人たちに対するアピールというのは非常に大事だということであります。
 そういう点で、今回の件におきましては、性的同意をどう社会のコンセンサスとして進めていく、そこから、ノー・ミーンズ・ノー、そしてイエス・ミーンズ・イエスという方向に持っていけると思うんですが、その点、お伺いしたいということでございます。
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SHELLY#28
○SHELLY参考人 ありがとうございます。
 先ほども、大人への教育が大切というお話をさせていただいたんですけれども、よく、私、例え話で使わせていただくのが、性的同意、ノー・ミーンズ・ノーという、ノーを、とにかく子供たちのノーを大切にしなければいけない、尊重しなければいけないという話をさせていただくんです。もしかしたら皆さんも経験があるかもしれないんですけれども、例えば子供と遊んでいて、こちょこちょこちょこちょとくすぐって、嫌だ嫌だ、やめてよやめてよと言っても、こちょこちょこちょこちょと、笑っているから、どんどんどんどん、こちょこちょこちょこちょと、楽しんで遊んでいるつもり。でも、嫌だというふうに子供が言っているので、本当はそのときに一回やめてあげる。
 これこそ、性的同意の一番、第一歩というか、子供のときにしっかり、あなたのノーには力があるんだよ、あなたの体のことを、大人の、親の私が、親戚の私が、友達の私はしっかり尊重してあげますよということを子供に教えることによって、子供はノーが言いやすくなる。自分のノーにはパワーがあるんだ、ノーと言うと大人でもやめてくれるんだという自信もつくと思いますし、大人もちゃんと、どんな子供に対しても、あなたの体はあなたのものであって、私は、笑っているからということで同意をもらえているというふうに勘違いはしていないよ、あなたのノーという言葉を信じますよということを双方で理解をすることによって、そういう、家庭の中から、おうちの中で、学校の中で、どんどんどんどん性的同意というものが形成されていくのではないかなと思っています。
 こういう本当にちょっとした遊びだったり、ちょっとしたことが、将来的に、性的同意という、性的なことをするときの相手を尊重するということにつながると思いますので、みんなでちょっとずつそういう意識を持っていただけたらなと思っています。
 ありがとうございます。
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大口善徳#29
○大口委員 齋藤参考人から、性的被害における、後の影響についての詳細な御説明がありました。それから、脅威にさらされたときの反応についても細かく説明をしていただきました。
 こういうことの、被害者の支援をされている、また公認心理師としても仕事をされる、そういう認識が、今回の法改正がもし成立したときの、実施に当たって、警察又は検察、又は裁判官、あるいは子供たちや障害をお持ちの方を取り巻く関係者の方がしっかり認識する必要があると思うんですね。そこら辺について、今の政府の取組がどうなのかということをお伺いしたいと思います。
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