予算委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十四年七月三日(金曜日)
午後三時六分開会
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委員長の異動
本日木暮武太夫君委員長辞任につき、
その補欠として小林英三君を議院にお
いて委員長に選任した。
委員の異動
七月二日委員羽生三七君辞任につき、
その補欠として佐多忠隆君を議長にお
いて指名した。
本日委員加藤武徳君辞任につき、その
補欠として金丸冨夫君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り
委員長 小林 英三君
理事
佐藤 芳男君
館 哲二君
西田 信一君
秋山 長造君
亀田 得治君
鈴木 強君
千田 正君
杉山 昌作君
委員
泉山 三六君
太田 正孝君
金丸 冨夫君
木暮武太夫君
斎藤 昇君
重政 庸徳君
下條 康麿君
杉原 荒太君
苫米地英俊君
一松 定吉君
堀木 鎌三君
村松 久義君
湯澤三千男君
吉武 恵市君
米田 正文君
天田 勝正君
木村禧八郎君
久保 等君
小林 孝平君
佐多 忠隆君
千葉 信君
藤田 進君
藤原 道子君
松永 忠二君
大和 与一君
辻 政信君
原島 宏治君
森 八三一君
岩間 正男君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
労 働 大 臣 松野 頼三君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
法制局長官 林 修三君
事務局側
常任委員会専門
員 正木 千冬君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○予算の執行状況に関する調査の件
(予算の執行状況に関する件)
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この発言だけを見る →午後三時六分開会
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委員長の異動
本日木暮武太夫君委員長辞任につき、
その補欠として小林英三君を議院にお
いて委員長に選任した。
委員の異動
七月二日委員羽生三七君辞任につき、
その補欠として佐多忠隆君を議長にお
いて指名した。
本日委員加藤武徳君辞任につき、その
補欠として金丸冨夫君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り
委員長 小林 英三君
理事
佐藤 芳男君
館 哲二君
西田 信一君
秋山 長造君
亀田 得治君
鈴木 強君
千田 正君
杉山 昌作君
委員
泉山 三六君
太田 正孝君
金丸 冨夫君
木暮武太夫君
斎藤 昇君
重政 庸徳君
下條 康麿君
杉原 荒太君
苫米地英俊君
一松 定吉君
堀木 鎌三君
村松 久義君
湯澤三千男君
吉武 恵市君
米田 正文君
天田 勝正君
木村禧八郎君
久保 等君
小林 孝平君
佐多 忠隆君
千葉 信君
藤田 進君
藤原 道子君
松永 忠二君
大和 与一君
辻 政信君
原島 宏治君
森 八三一君
岩間 正男君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
労 働 大 臣 松野 頼三君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
法制局長官 林 修三君
事務局側
常任委員会専門
員 正木 千冬君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○予算の執行状況に関する調査の件
(予算の執行状況に関する件)
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小
小林英三#1
○委員長(小林英三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
この機会にちょっとごあいさつ申し上げますが、今回、はからずも委員長の職をけがすに至りましたので、まことにふなれな者でございますが、できるだけ公平に委員長として運営して参りたいと思いますから、何分のお引き回しをお願いいたしたいと思います。
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この発言だけを見る →この機会にちょっとごあいさつ申し上げますが、今回、はからずも委員長の職をけがすに至りましたので、まことにふなれな者でございますが、できるだけ公平に委員長として運営して参りたいと思いますから、何分のお引き回しをお願いいたしたいと思います。
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小
小林英三#2
○委員長(小林英三君) まず、委員の変更につきまして御報告をいたします。羽生三七君及び加藤武徳君が辞任をいたし、佐多忠隆君及び金丸冨夫君がそれぞれ補欠選任せられました。
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小
小林英三#3
○委員長(小林英三君) 理事の辞任につきましてお諮りをいたします。堀木鎌三君から理事を辞任したい旨の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小
小林英三#4
○委員長(小林英三君) 御異議はないものと認めます。よってさように決定をいたしました。
次に、理事の互選につきましてお諮りをいたします。ただいま欠員となっておりまする二名の理事の互選を行いたいと存じますが、互選は、先例に従いまして、委員長の指名にお願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →次に、理事の互選につきましてお諮りをいたします。ただいま欠員となっておりまする二名の理事の互選を行いたいと存じますが、互選は、先例に従いまして、委員長の指名にお願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小
小林英三#5
○委員長(小林英三君) 御異議がないようでございます。それでは理事に館哲二君を指名いたします。
残り一名につきましては、追って指名をいたしたいと存じます。
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この発言だけを見る →残り一名につきましては、追って指名をいたしたいと存じます。
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小
小林英三#6
○委員長(小林英三君) これより予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
議事に入ります前に、委員長及び理事打合会の決定につきまして御報告を申し上げます。本日の質疑時間は総計百六十五分といたしまして、各会派の割当は、自由民主党六十分、社会党六十分、無所属クラブ二十分、緑風会十五分、共産党十分といたします。発言の順序につきましては、慣例に従いまして、社会党、自由民主党、無所属クラブ、緑風会、共産党の順序といたしまして、以下これを繰り返すことにいたします。以上でございます。
委員長は、右の理事会の決定に基きまして委員会の運営を行いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →議事に入ります前に、委員長及び理事打合会の決定につきまして御報告を申し上げます。本日の質疑時間は総計百六十五分といたしまして、各会派の割当は、自由民主党六十分、社会党六十分、無所属クラブ二十分、緑風会十五分、共産党十分といたします。発言の順序につきましては、慣例に従いまして、社会党、自由民主党、無所属クラブ、緑風会、共産党の順序といたしまして、以下これを繰り返すことにいたします。以上でございます。
委員長は、右の理事会の決定に基きまして委員会の運営を行いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小
佐
佐多忠隆#8
○佐多忠隆君 まず、安保条約改定の問題についてお尋ねをいたしますが、第一に総理並びに外務大臣にお尋ねをしたいのは、一体、現在の安保条約はどういうことを目的にしているとお考えになっているのか、そして現在の安保条約の改定は、どういう方向に改定しょうとしておられるのか、その方向、その両者を、一応まず最初に明確にしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#9
○国務大臣(岸信介君) 現行安保条約は、御承知のように平和条約締結と同時に結ばれたものでありまして、それは、言うまでもなく当時の日本の事情から申しますというと、従来占領下にあった日本が、占領が終止いたしましてここに平和条約によるところの政治的独立が認められるわけでありますけれども、全然国の防衛の態勢のない状態にあったわけでございます。この当時のこの国際情勢から見て、日本を全然無防備の状態に置くことは、日本の安全を確保するゆえんでないという趣旨のもとに、日本の安全を保障するためをもってアメリカとの間にこの条約が結れば、日本の安全をアメリカの力によって保障するという態勢ができたわけでございます。そういう情勢のもとに結ばれた安保条約の規定が、日本の全然無防備であった当時の事情から、われわれが国情、国力に応じてわれわれの自衛の態勢を持つに至りまして、また同時に日本の国力が充実し、日本の国際的地位が高まったことにかんがみて、今日からこの条項を見ますというと、いかにも独立国として日本の立場というものが、いわゆる自主的な立場というものが認められておらない状態になっておることは御承知の通りでございます。私どもは、この占領が終って安保態勢のもとにアメリカが駐留してきておる状態は、言うまでもなく占領下の進駐軍の立場とは違うわけでございますが、その権利義務を定めた行政協定の内容等を見ましても、また、今申しましたような安保条約そのものの規定を見ましても、日本の独立と日本の自主性を認める点において非常にわれわれ遺憾とする点が多いのでございます。今日になって考えますというと、われわれは、とにかくその後において国力と国情において自衛の組織を持っており、また日本の国際的地位の高まり、国力の充実してきておる状況にかんがみて、この安保条約をできるだけ対等な、また日本の自主的な立場を明らかにするよう、この規定を持つことにすべきである。また、こういう意味において日本とアメリカとの間におけるところのこの条約を再検討して、日本が他から侵略されないということについては、第一義的に日本の自衛隊その他の力によってこれを防衛するが、不当な侵略が行われるということを未然に防ぐためには、足らざるところをアメリカとの協力によりまして、アメリカの力によってこれを補充して日本の安全を保障していく、この必要は、依然として私どもは今の国際情勢のもとにおいてもある。しこうして現行安保条約の不合理を改めるということが、この根本の考えでございまして、そのうちおもな事項につきましては、すでに所信表明におきましても明らかにいたしておるような線に沿うて折衝を進めてきておる次第でございます。
この発言だけを見る →佐
藤
藤山愛一郎#11
○国務大臣(藤山愛一郎君) 安保条約の改定の基本的な考え方につきましては、ただいま総理が申された通りでありまして、その方針に従いまして、私ども現実に折衝の衝に当っておるわけでございます。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#12
○佐多忠隆君 私が現行安保条約の目的を特にお尋ねをしたのは、その一つは、今、総理もお述べになりましたように、日本の安全を望むということが一つの第一の目的であるが、同時に第二の目的は、極東の平和を守るという目的がある。その二つの目的を持っていたと思うのですが……。で、この二つの目的が今度の改定においてどういうふうに変っていくとお考えになっているのか、その点をもう少しはっきりしていただきたいと思うことが第一、それと、安保条約改定の方向を特に私がお聞きしたのは、現在の安保条約の改定は、あるいは基地貸与協定であり、あるいは駐留協定であると思うのでありますが、これが新たに改変をされるときに、どういう方向で変更をする、どういう性格変革が行われるというふうにお考えになっているのか、その点をもう少し明瞭にしていただきたいという意味の質問でありますから、その点を一つ明瞭にしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#13
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま佐多議員の御指摘のありましたように、今回の安保条約の改定に当りましては、現行安保条約と見合いながらやっておるわけでございまして、現行安保条約を基礎にしてそれの改定を企てておることはむろんであります。そこで、むろん日本の安全と平和ということは、やはり極東が安全であって、紛争のないということが望ましいことは、これはむろんだと思います。また、日本自身が何か他国から侵略され、従って日本の平和と安全が破壊されるというような状況は、極東の事態においても好ましくないのではないかと、そう考えられるわけであります。しかしながら、安保条約そのものの根本的な考え方、ことに今回の改定では、日本を守る、日本が他国から侵略されることを守るということが、今言ったような原則からいいましても、あるいは日本の自衛の上からいいましても必要である場合に、アメリカと共同の目的でアメリカの援助を得るということが当然だと思うのであります。そのての意味において、現在の安保条約の設定は、そういう方針にのっとってやっておるわけでございます。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#14
○佐多忠隆君 日本の安全をわれわれが希求をしている、しかもその日本の安全が、同時に極東の安全であるということは、今、外務大臣がお話しの通りでありますが、もう一つ極東の平和を守るという大きな目的が安保条約には課せられておる、同時に、今度新しく作り変えられた新条約でも、この点はさらに明瞭になっておるし、むしろこっちの方がより大きな任務になっている。これは後ほど改定の内容についていろいろ質疑をする場合に明瞭にしておきたいと思いますが、しかるに、われわれの見解によれば、極東の平和を守ることが必ずしも日本の平和、安全を守ることではない場合がたくさんある。むしろ極東の平和を守るという名のもとに行われるアメリカの軍事行動によって、日本の安全が破壊をされる、日本が好まざる戦争に巻き込まれるという場合が非常に多いことが現在の極東情勢から考えられる。それらの点をどのようにお考えになって今度の改定を考えておられるのか、その点を特に明示していただきたいと思うのであります。
なお、改定の方向の問題でありますが、先ほども申しましたように、これは基地貸与協定あるいは駐留協定から、相互防衛条約への転換であり、非常に大きな質的な転換をしておるということをわれわれは考えなければならないと思うのでありますが、この点を総理、外務大臣はどのようにお考えになっているのか、明瞭にしていただきたい。
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岸
岸信介#15
○国務大臣(岸信介君) 私どもの改定の根本の考え方は、形式的には新しい条約を締結するという形式をとるつもりでおりますが、現在あるところの安保条約の不合理な点を改めていく、そうして日本の負うところの義務は、もちろん憲法の範囲内であり、現行のこの安保条約以上に出でないということを前提として大体考えられておるわけでございます。しかして現在の安保条約が日本の安全を保障するということと、極東の平和を維持するという二つの目的を持っておることは御指摘の通りであります。この両者の関係は、きわめて相関的な関係があることも御承知の通りでございます。今回の改定におきましても、私はそういう点において根本的な変化があるものとは考えておりません。また、改定の内容について御質疑があれば、具体的にお答えを申し上げますけれども、条約そのものの根本的な本質が変ってくるとは私どもは考えておりません。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#16
○国務大臣(藤山愛一郎君) 交渉に当りまして現行の安保条約を土台にして改定していくことはむろんでありまして、私どもは、そういう意味において作業をいたしております。根本的態度としてそうだと思います。われわれ外交を扱っておりまして、世界の平和を希求しておりますことは当然でありまして、日本の外交が平和な世界を現出することに努力することは当然だと思います。それぞれそうした意図を持っておる国が、世界の平和を念願しながら、自分の周辺も平和であることを希望することは当然だと思います。ただ、佐多委員の御指摘のように、議論になるかと思いますけれども、必ずしもアメリカが極東の平和を特に撹乱しているというような場合が非常に多いのだというふうには、われわれ考えておらぬのでありまして、やはりアメリカも自由主義国の指導者として、相当の大国として、やはりそういう意味においては、平和を希求しながら問題を処理していくものであろうと私どもは考えております。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#17
○佐多忠隆君 私も、必ずしもアメリカが極東の平和を撹乱しているとは思いません。しかし、アメリカが極東の安全を望むという名目のもとに起す行動が、必ずしも日本に影響を及ぼすときに、日本の安全と平和を守るものでない、その両者はおのおの違った面である。その点を十分にお考えにならなければ、大した問題になってくるのだということを私は申し上げようとしておる。それらの点は、後ほど内容的にもっとお尋ねをするときに明確にしたいと思いますが、ただ、総理もあるいは外務大臣も、今度の改定はそんなに本質的な改定でないのだということを言っておられるが、これはごまかしもはなはだしいと思うのです。今度の改定は、言わずと知れた基地貸与協定あるいは駐留協定から相互防衛条約に変ってきている、非常に大きな質的な変化をしてきておる。これが日本とアメリカとの間の軍事的な結びつきを強化して、日本とアメリカとの軍事同盟の方向を明瞭にさし示している。しかも、総理が言われたように、そういう意味でこれは日米の新時代を画するものである。日米の新時代を画するものであると総理が言われたのは、そういう本質的な質的な変化を含んでいるからこそ、一つの新時代を画するものだと言われたに相違ないと思う。それを今ごろになってそこをぼかしてみたり、大したことでないと言われるならば、もし、それを認識しないで善意でそういうことを言っておられるならば、あまりにも認識不足である。もし、そういうことはわかりきっていて言われるならば、あまりにも悪意に満ちた弁解にすぎないと私は言わざるを得ないのであります。私は、このような相互防衛条約への方向、軍事同盟への方向は、現在の世界情勢、極東情勢あるいは日本の置かれた現在の地位からいって、この方向は時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ないと思うのであります。それらの点をどうお考えになるか。この安保条約が結ばれたのは、申すまでもなく朝鮮動乱のときであります。そのときにはあるいは戦略的な意味があったかもしれない。そのときですら私たちはそれが危険であるということをやかましく申しましたが、その後の現在の状況から見れば、世界の緊張は緩和の方向に移っておる。そうして話し合いの方向に逐次進んでおる。そういうときに、これらの方向に逆行してこういうことをなさる。だから私はこれを時代錯誤だと言う。外務大臣は、そういう大局的な世界の情勢なり、あるいは日本の戦略的な地位なりというようなことを、もっと政治家的に、大局的に判断をしてこれをおやりにならずに、ただ二、三の条項を技術的に、条約的に変えればいいということで出発をしてこられたから、こういう袋小路に追い込まれて、今や重大な危局に直面をしておると思うのですが、これらの点を総理並びに外務大臣はどうお考えになりますか。
この発言だけを見る →岸
岸信介#18
○国務大臣(岸信介君) 私は、この国際的な緊張が緩和の方向に向いておるという現実の国際情勢の分析は、必ずしも佐多君と同じような考えを持っておらないのであります。これを緩和しなければいかぬ、また緩和の方向にわわれが努力すべきであるということについては、人後に落ちないという考えを持っておりますが、しかし現実のことは、最近行われたジュネーヴの外相会談の考え方に現われておる両者の考え方から見ましても、根本的にこれは緩和の方向にあるということは言えないと思う。また、日本を取り巻いておるところのこの情勢を考えましても、中ソの間の条約というものは厳然として存在をしておる。また、日本を取り巻いておるところの軍事情勢というようなものについて、これが緩和の方向にいっているというような事実はないのでございます。こういう際に、日本の安全を守るということのためには、日本が日本の力でもって他から侵略をされない、また、侵略をされた場合においては、われわれはこれを実力をもって排除して、そうして日本の安全を守る、こういう態勢をとって、日本が他から侵されない状態を作っておくことが必要であろう。その場合に、一国だけの、日本の力だけでこれをなし得ない場合に、同じような考えを持っており、お互いが信頼し、協力の関係にあるところの国の力を借りて、その援助のもとにわれわれが安全態勢をとる、われわれは理想として国際連合にそうした世界的な安全確保の機構が実際にでき上ることを望み、また、そういうものが動き出すということになれば、もちろんそういう必要はないのでございますが、その間における現状から見まするというと、やはり私は日本の力で日本の安全を守り得ない点を、他の力を借りて日本の安全を守るということは必要であり、また、それをできるだけ合理的な、また日本の発言権や、日本の自主性というものが十分にとりいれられた形において、そういう条約を作ることはむしろ必要である、かように考えております。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#19
○佐多忠隆君 自主性が果して回復されているかどうか、双務性を新たに獲得をしたということが、日本にとってどういう意味を持つか、これらの点については後ほどもっといろいろお尋ねをしたいと思いますから、そのときに譲りますが、ただ、今、総理も言っておられるように、自国だけではこれを守り得ないから相互に援助し合う相互防衛の態勢に変えていくのだ、あるいはそれをより確立するのだということは、今の御説明でも非常にはっきりしたと思う。そうであれば、私がさっきから言っておるように、これは非常な性格変更をしているものだ。しかも、そのために日本のアメリカとの軍事的な結びつきが非常に強化をされたということに意味がある。ところが、私たちはむしろ安保条約なるものは、それを作ったときに、すでに暫定的なものとして考えていた。従って、目標は解消をさるべきものだし、廃棄をされなければならないものだと私たちは思う。それは内容的に言えば、駐留軍の撤退あるいは軍事基地の撤廃、少くとも日本を回る地域において核武装をしない、これを明瞭に規定をする、これらの問題がむしろ論議をされて、そうしてそれに至る過程を具体的にどうやればいいかという問題が、今の時点においては論議をされなければならない問題だと私たちは思う。しかるに、あなた方は全くその反対の方向をとっておられるとしか思われないのですが、そういう安保条約の暫定性の問題なり、あるいはむしろ廃棄しなければならないということを、あなた方はどういうふうにお考えになりますか。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#20
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんわれわれといたしまして、ただいま総理の言われましたように、日本を他国の侵略から守る、日本の力の不足なところはアメリカからの援助を請うということはやらなければならぬことだと思います。ただしかし、今回の交渉に当りましても、日本の憲法の範囲内ということをたびたび申しているのであります。従って、いわゆる相互的な意味においてアメリカの領土を守るとか、そういうようなことを規定しているのではないのであります。現在の日本にあります防衛力の不足というものを、万一の場合にアメリカによって補っていくという形なのでありますから、いわゆる相互的な防衛あるいは軍事同盟というような、世間でいわれているような問題ではないとわれわれは考えているわけであります。むろん佐多氏がお話のありましたように、われわれといたしましても、今日の国際情勢下におきまして、日本の安全を守るにはいかなる方法をとるのがいいかということは、これは考慮して参らなければなりませんけれども、われわれの結論といたしましては、やはり現行の安保条約を改正して、そうして他国からの侵略に対しては、やはり日本の自衛力ができるだけ発動するが、その補いとしては、やはりアメリカの協力を求めるということが必要であろうというふうに、現実の立場を省みまして、私どもは結論に達していることを申し上げさしていただきたいと思います。
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佐多忠隆#21
○佐多忠隆君 ただいまのお答えによると、集団防衛あるいは共同防衛というような問題が、大したことでないのだというようなお話でありますが、それらの問題がいかに重要な内容を持っているか、いかに先ほどから私が申しておりますように、条約の性格変更を本質的にやっているか、従って、それがいかに大きな憲法違反をなしているかということは、後ほどさらにいろいろお尋ねをいたしたいと思いますが、その前に、安保条約改定の内容の全体にわたって、一体どういうことを改定をしようとしておられるのか、あちらこちらで断片的にはお話しになっておられるけれども、その改定の内容が全般的にどうも明瞭でありませんので、ここであらためて全般的に改定の内容を、まず簡単でよろしゅうございますから、明らかにしていただきたいと思います。
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藤山愛一郎#22
○国務大臣(藤山愛一郎君) 改定に当りましての問題の所在点というのは、過去におきましても衆参両院の外務委員会もしくは予算委員会等で相当論議を尽された点だと思うのであります。それらの点について、われわれもアメリカ側にいろいろ日本の考え方として問題を提起しながら話し合いをいたしております。ただ、お話のありましたように、われわれはこうした条約を作って参ります前提として、日本の持っております憲法の範囲内ということは、厳にこれを主張いたしておりますので、それを通して参ることは当然だと思います。また、問題になっております核兵器の問題、あるいは日本の基地を作戦基地として使う場合には事前に協議をしていく、また、条約地域の問題につきましては、どの程度まで条約地域とするかということは重要な問題でありましたけれども、一般的な世論の趨勢その他から見まして、われわれは、現在施政下にある地域ということが一番適当ではないかという考えのもとに交渉をいたしているわけでございます。その他条約の年限等につきまして、われわれは四囲の状況から見まして、十年が適当ではないかという、長い条約の関係もございます。あるいはそうでない年限の方法もございますけれども、現在におきましては十年程度が適当だと考えております。そのほか、こうした問題を両国間で結ぶにつきましては、やはり一般的な友好関係というものが増進されていくという立場において結ばれるわけでありますから、経済、文化等の面において協力関係が基盤にあるということも当然だと思います。なお、アメリカのバンデンバーグ決議の取扱い等につきましても、その精神的な面においては、われわれもそういう面の日本の憲法の制約下における意味におきまして、義務づけられない形におきましては、それに同感し得るのでありますから、その点においてこれらのものを書き加えていくというようなことを主眼といたしておるようなわけであります。以上のような点を総合いたしまして、われわれは条約交渉をやっている次第でございます。
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佐多忠隆#23
○佐多忠隆君 交渉の経緯あるいは交渉妥結の時期等については、後ほどさらに詳しく御説明を願いたいと思いますが、その前に、改定の内容についての大綱を今お話になりましたが、昨年の九月二十七日UPI電として大綱なるものが一応報ぜられた。それからことしの五月四日の毎日新聞にも、藤山案として一つの要綱が掲げられております。両者それぞれ十カ条から成って、その内容もほぼ類似のものであります。さらに一週間くらい前に、同じような内容のものを朝日新聞は要綱にまとめて記述をしておる。なお六月二十七日には読売新聞が十カ条から成る新安保条約の草案なるものを非常にはっきり記述し、発表をいたしております。私はこれからいろいろ論議をさらに続けて参りますが、これらに現われたもの、特に読売の新安保条約の草案なるものは、大体こういうものだと考えていいのかどうか、まずその点について外務大臣の御答弁を求めます。(「大きい声でやって下さい」と呼ぶ者あり)
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#24
○国務大臣(藤山愛一郎君) はい。問題点につきましては、交渉のことでありますから、今日まで相当論議を尽してきております。しかし、まだ最終草案の確定の段階に至っておりませんから、草案なる形でもってわれわれがまとめておるわけではございません。新聞紙上等にいろいろそのときどきに出ておりますこの点は、私ども議会等の論議を通じまして、相当問題点については議論をいたしております。ずいぶんお前は秘密にやっているのではないかという御非難もありますけれども、かなりまあ私どもとしては普通の条約締結と違って、問題点については論議もし、あるいは論争をしたようなこともありますので、新聞記者諸君も、ある程度それらの点についてはわかっておるのではないかと思います。しかし、それ自体が最終的草案ではございません。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#25
○佐多忠隆君 最終的草案ではないけれども、大体において今まで論議をされたものを結論づけられたようなものであるから、これで大体そう大きな間違いはないのだろうというふうなお答えだったと思いますので、私はそういう前提のもとにお尋ねをいたします。
まず第一点、防衛力に関する協力関係あるいは共同の防衛問題については、「締約国は、この条約の目的を一層効果的に達成をするため、自国の憲法の規定に従い、自助および相互援助により、単独でもしくは協力して、武力攻撃に対抗するための能力を維持しかつ発展させる。」という規定があります。さらにまた、「各締約国は、日本の施政下にある領域において、いずれか一方の締約国に対する武力攻撃が、自国の平和および安全を危くするものと認め、自国の憲法上の規定と手続に従って、共通の危険に対処するため行動することを約束する。」と、こういう規定になっております。大体今交渉をされて妥結をしつつある改定の内容の一、二がこういうものだと了承してよろしゅうございますか。
この発言だけを見る →まず第一点、防衛力に関する協力関係あるいは共同の防衛問題については、「締約国は、この条約の目的を一層効果的に達成をするため、自国の憲法の規定に従い、自助および相互援助により、単独でもしくは協力して、武力攻撃に対抗するための能力を維持しかつ発展させる。」という規定があります。さらにまた、「各締約国は、日本の施政下にある領域において、いずれか一方の締約国に対する武力攻撃が、自国の平和および安全を危くするものと認め、自国の憲法上の規定と手続に従って、共通の危険に対処するため行動することを約束する。」と、こういう規定になっております。大体今交渉をされて妥結をしつつある改定の内容の一、二がこういうものだと了承してよろしゅうございますか。
藤
藤山愛一郎#26
○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん字句等の点につきまして、今お話の通りだと必ずしも現在申し上げかねます。が、しかしながら、改定の方向として、そういうような点について話し合いをいたしておりますことは事実でございます。
この発言だけを見る →佐
佐多忠隆#27
○佐多忠隆君 内容的に、大体においてこれをお認めになったというのであるならば、私がさっきから申し上げておるように、これはまごうかたなき相互防衛条約である。従って、こういうところに日本は踏み切ったということを意味しておると思うのであります。しかも、これは文字通りに「自助及び相互援助により、単独でもしくは協力して、武力攻撃に対抗する」と、これはバンデンバーグ決議を基礎にしていることは明瞭であると思います。なるほど文句には、「自国の憲法の規定に従い、」とかあるいは「憲法上の規定と手続に従って、」とかいうような文句をいわれておりますけれども、これはただ文句を掲げただけであって、これ自体は明らかに憲法違反である。これはあなた方が非常に気にして、日本国民に非常な手柄をしたように吹聴をしておられる片務性を双務性に変える、アメリカが防衛の義務を負わすということをやらされた半面において、日本が同じように防衛の義務を負うと、協力して武力攻撃に対抗をするということを明瞭に規定をしたものであると思う。そういう意味において、バンデンバーグ決議を軸としておる。従って、これは、米比、米台、米韓相互防衛条約と本質的に変らないものだというふうに考えなければならないだろうし、そこからも憲法違反であることは明瞭であると思います。同僚曾祢委員が、この点は本会議の質問においてはっきり指摘したところでありますが、それに対する総理の、あるいは外務大臣のお答えは、何ら内容的なお答えになっていない。あらためてこの点を明瞭に憲法違反では絶対にないのだということの理由を明示をしていただきたい。総理並びに外務大臣にこれをお願いいたします。
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岸信介#28
○国務大臣(岸信介君) バンデンバーグ決議の趣旨をとり入れたアメリカと他の国との条約は、御承知の通りいろいろございます。そうしてその書いてある条約の文句も必ずしも同一でないことも御承知の通りであります。わが国におきましては、特にこの防衛力というものは、あくまでも憲法の九条の反面の解釈としての自衛権の範囲内に限らるべきものであることは、これは言うを待たないのであります。従いまして、他の条約等において見られない、特に憲法の範囲内である、憲法の規定に従うというこの条項を入れましたことは、入れるべきであるということは、そこにあるわけでございます。そうして従来も日本が、この日本の自衛力を増進するのについて、国情と国力に応じてこれを増強するという国防の基本方針をきめてきておりますが、その方針は少しも動かないのであります。それは単独にこの自衛力を増進する場合もありますし、またアメリカの援助のもとにわれわれが自衛力を増強して参るということもすでに行なっておることでございまして、そういう範囲内におけることであり、また、この条約のいわゆる条約区域なるものが日本の施政権を行なっておる範囲内に限るというつもりでございまして、従って、それは本来日本の自衛隊が、そこに対する侵略があった場合において、当然われわれとしてはこの侵略に対して自衛隊の本義から見てこれも防衛する、そういう侵略を認めない、排除するということをわれわれは考えておるわけでございまして、その範囲を逸脱するものでないこともこれも明らかである、そういう意味におきまして、私どもはこれをもって憲法の違反であるというようなことは絶対に考えておらないのであります。
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藤山愛一郎#29
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のようにバンデンバーグ決議というものは、アメリカが協力をして参ります場合に、協力の相手国が自分の自衛すらする努力をしないというような国と協力関係に入るということは、それはできないじゃないかというのが、バンデンバーグ決議の趣旨だと思っております。われわれ日本におきましても、自衛力の範囲内におきましては若干ずつ自衛隊について充実をしてきているわけであります。条約について日本がアメリカから強要されてそれをやるというのではございません。お互いがやはり自分の国を守るだけの決意と準備がない国とは、こういう条約が作れないというのがアメリカの、バンデンバーグ決議の本質的な趣意だと思います。従って、それぞれ結びます場合に、それらの国の国情に応じてその表現方法なり、内容なりが違って参りますことは当然でございまして、われわれとしては、日本の持っております憲法の範囲内においてそれらのことをやって参るので、条約上義務づけられるというようなことは、これによって起ってこないと考えておるのであります。
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