科学技術振興対策特別委員会

1980-05-07 衆議院 全471発言

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会議録情報#0
昭和五十五年五月七日(水曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 瀬野栄次郎君
   理事 小沢 一郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 石野 久男君 理事 上坂  昇君
   理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
      椎名 素夫君    玉沢徳一郎君
      中村喜四郎君    中村 弘海君
      中村 重光君    日野 市朗君
      村山 喜一君    木内 良明君
      瀬崎 博義君    小渕 正義君
      林  保夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      長田 裕二君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
 委員外の出席者
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  野口  節君
        運輸省船舶技術
        研究所長    佐伯 宗治君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理事
        長)      野村 一彦君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団専務
        理事)     倉本 昌昭君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  上田  哲君     中村 重光君
  田畑政一郎君     村山 喜一君
  林  保夫君     小渕 正義君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 重光君     上田  哲君
  村山 喜一君     田畑政一郎君
  小渕 正義君     林  保夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第二六号)
 日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究
 所法の一部を改正する法律案(石野久男君外四
 名提出、衆法第三七号)
     ――――◇―――――
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瀬野栄次郎#1
○瀬野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本原子力船開発事業団法の一部々改正する法律案、及び石野久男君外四名提出、日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
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日野市朗#2
○日野委員 事業団法の一部改正の法律案について若干の質問をさせていただきます。
 どうも非常になつかしい思いがいたしますね、「むつ」と言いますと。ぼくもずいぶん長い間これをやってきたような感じがするのですが、またこの事業団法が出て、ふっとなつかしいなという感じが実はするのです。そんなに老成したことを言うつもりはありませんけれども、しばらく前に、これをずいぶんああでもない、こうでもないと扱ってきまして、いままで来ました。そしていま、ここでまた事業団法の改正案が出るということになりますと、これはもう当然出ることは予定されていたものの、非常になつかしいなあというような感じがするのです。単にこれは私だけじゃないのじゃないでしょうか。国民だれしもが「むつ」と言うと、ああなつかしいなあという一種郷愁めいた気持ちを持つのじゃないのかなというような感じがするのですが、これは私、どうしてそんなふうなことを感じたのかなと思いながらじっと振り返ってみたのですが、結局原子力船の問題、「むつ」の問題というのは、これはある程度日本の時の流れの中でもうすでに過去のものになってしまったような感じが実は国民の間にもしているのじゃなかろうかな、そんなことではなかろうかというふうにも思うのです。厳然としていま「むつ」はあるわけですが、何といっても、すでにその機能を忘れて佐世保にさびしくつながれているというのが現状ではなかろうかというふうに思うのです。
 それで私、この日本における不幸な生まれを持った「むつ」について、いろいろそういう回顧もしてみると同時に、世界各国においても原子力船というものをずっと見てみますと、どうも一ころわあっと原子力船で沸き立ったような世界的な動きというものは現在はもうない。原子力船に対する関心も世界的にはもう薄らいでいるのではなかろうかというような感じすら実はいたします。一ころ脚光を浴びましたサバソナ号であるとかオット・ハーン号であるとか、それから、これは商船としてはサバンナなんかがずっと原子力船として世界の海を経めぐったあたり、かなり脚光も浴びて、原子力船の開発ということが各国の関心事であった。しかし、そのサバンナももうすでに航行を終えて、航行した後に残った膨大な赤字、これをどうするのかということがやや論議をされ、それもその後下火になっている。それからオット・ハーンも最近は全然動かないでいるわけですね。そして世界的にもどこでも原子力船をさらにつくっていこうという動きというものはちょっと見られないような感じがいたします。ソ連あたりでは原子力船をつくっていますけれども、これは分野が非常に限られていて砕氷船でございますね。レーニン号であるとかアルクチカ号ですか、そういうようなのが動いているのだという話を聞きますが、これは全部砕氷船でありまして、特にソ連という国柄から言って、採算なんかはある程度度外視して動かす必要性がある、そういう船が若干動いているだけ、そんなふうな感じもするわけであります。
 それで、「むつ」のことについては後からずっと聞いてまいりたいと思いますが、われわれ何しろ情報不足の点がございますので、世界的に原子力船の開発の状況はどんなふうになっているという認識を政府の側でお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。この場合軍艦は除きましょう、軍艦は除きますが、ひとつお願いします。
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石渡鷹雄#3
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 最近の世界の原子力船の開発状況でございますが、先生すでに御指摘のように、ソ連が昭和三十四年に世界最初の原子力砕氷船を完成いたしまして、その運航によりまして、砕氷船としての有用性を実証いたしました。引き続きまして、昭和四十九年にアルクチカ号、昭和五十二年にシベリア号をそれぞれ就航させまして、砕氷船として現在活用しているところでございます。
 米国及び西ドイツにおきましては、それぞれ先生御指摘の米国の貨客船サバンナ号、これは昭和三十七年に完成いたしまして、四十五年まで運航し、その後係留されているわけでございます。すでに十年でございます。
 西ドイツの鉱石運搬船のオット・ハーン号は、四十三年に完成し、五十四年、昨年まで運航したということでございます。それぞれ技術的な可能性を確認したという状況でございます。
 それからフランスでございますが、これは除くというお話でございますけれども、軍艦の運航経験を踏まえて、舶用炉の設計を固めたという状況にあるようでございます。
 以上のように、先生すでに御指摘のように、最近では諸外国におきまする原子力船の研究開発において大きな進展が見られたという情報は伝わってきておりません。
 この辺につきまして、昨年原子力委員会に原子力船の研究開発専門部会を設けまして、いろいろ検討していただいたわけでございますが、その報告によりますと、ただいま申し上げましたような先進諸国におきましては、すでに商船としての原子力船の実用化に必要な技術的な見通しを持ったという状況にありまして、あと実用化の時期を待っているという状況にあるというふうに判断しているわけでございます。
 それで、その実用化のめどでございますが、一にかかって経済性によっているというふうに考えているわけでございます。西ドイツが昨年まで運航したわけでございますが、運航を打ち切りまして、経済性が出てくるのを待つ、この経済性には二つの面があるかと存じます。一つは、より効率的な、経済性の高い舶用炉を開発していくという面と、それから一方は、これはきわめて他動的な話でございますが、現在の油の状況がどうなっていくかという、この二つの状況によって決まってくることかと考えているわけでございます。
 以上が、わが国を除きました世界の原子力船、原子力商船の開発の状況でございます。
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日野市朗#4
○日野委員 わが国も原子力船をつくるとしても、これは軍艦はあり得ませんな。どうですか。
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石渡鷹雄#5
○石渡政府委員 わが国の原子力の研究、開発、利用は平和目的に限っておりますので、軍艦ということは考えられません。
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日野市朗#6
○日野委員 わが国では軍艦には使えない、しかし軍艦に使えるような船、これはそういう言い方をしますとかなり範囲が広くなってしまう。一国の軍事力なんというのは、かなりすそ野の広いものでございまして、いわば総合力と言ってもおかしくはないわけでありますが、いやしくも舶用炉を積み込んだ船が軍事目的に用いられるというようなことは、わが国においては絶対あり得ないことである、現在政府としても、また開発の衝に当たるものすべてがそのような方向で検討は進めていない、このことは御確約いただけますね。
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石渡鷹雄#7
○石渡政府委員 ただいまも申し上げましたように、原子力基本法第二条のもとにおきまして平和の目的に限っているわけでございます。したがいまして、船舶の推進力として原子力の利用が一般化するという時代まではそういうことは考えないということでございます。この問題につきましては、すでに政府といたしまして、昭和四十年四月の政府の統一見解におきまして、原子力を殺傷力あるいは破壊力として用いるいわゆる核兵器の保有は認められないということでございます。同じ意味におきまして、自衛艦の推進力として使用することについても、船舶の推進力としての原子力利用の一般化しない現状においては認められないという見解でございます。そういう意味におきまして、自衛軍艦への利用ということは考えないという見解は現在も変わっておりません。
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日野市朗#8
○日野委員 そういたしますと、日本の原子力の開発というのは、あくまでも経済目的ということに目的を制限していくことになるわけでありますが、そうすると、何と言っても経済性の問題というのは非常に大きな要因とならざるを得ないわけでございます。現在、本当に経済的な目的のもとに建造されて運航されたオット・ハーン号とサバンナ号があるわけですが、いずれもかなり大きな赤字を残したわけでございますね。経済的には非常に効率が悪いということを、この二隻の船は実証したというふうに思うのですが、そこいらについて政府の側としてどのような考え方を持ち、どのような情報を得ておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
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石渡鷹雄#9
○石渡政府委員 ただいま御指摘のサバンナ号及びオット・ハーン号がそれぞれ運航停止時点におきまして経済的には赤字であったということは御指摘のとおりと理解しております。そもそもこの二つの船の目的は、やはり研究、実験的な目的であったということで私ども理解しておりまして、あの当時すでに経済性を持ち得ると判断しておったかどうか、結果として赤字であったわけでございますが、その辺はむしろ技術蓄積が大きな目的であったと考えるわけでございます。そういう意味から申しますと、むしろ技術的には、原子力商船に必要な所要のデータの蓄積及びそれに関連いたします必要な研究開発を行い得たという意味での目的は達し得ているというふうに理解しているところでございます。
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日野市朗#10
○日野委員 これはアメリカにしても西ドイツにしても、かなり大規模な軍備を持っている国でございますから、そういった軍事目的を抜きにしては船の運航ということも考えられなかったのではなかろうかなということを、私も実は推測をいたすところであります。この点については、私も、とてもそこらの情報まで迫ることはできませんので、ある程度推測で物を言わざるを得ないのですが、少なくともこれは経済的には合わないということがはっきりしたわけでございまして、そのことが現在アメリカにおいても西ドイツにおいても、その後の第二船の建造を計画されていないということの証左ではなかろうかというふうにも思うのです。
 いま進んでいるプロジェクトといたしましては、カナダで船をつくろうとしているようでありますが、これも砕氷船のようなものをコーストガードがつくろうということを考えているわけで、経済性というのが大きなネックになっているのだというふうに考えざるを得ないというふうに思うわけでございます。
 そうすれば日本の原子力船においても、同じように障害になる要因というものは十分に考えなければならないのであって、いまここで、言うならば死に体になっている「むつ」にまた膨大な金をつぎ込んで、これの開発を進めるという方向で仕事をなされるのはどういうものか、そこいらについて私は非常に疑問を持たざるを得ないのでございますが、いま日本の原子力船について経済性ということを考え得るのかどうかについてのお答えをいただきたいというふうに思うのです。
 最初はオット・ハーンもサバンナも、十分に実用化できるのだ、経済的にも引き合うのだということがうたい文句で就航したことだけは間違いのない事実だと思うのですが、ここらについての見解はいかがなものでございましょうか。
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石渡鷹雄#11
○石渡政府委員 まずオット・ハーン及びサバンナの当時の経済性に対する見解がどうであったかというお尋ねでございますが、私の理解では、当時もすでに経済性については疑いを持っていたはずだというふうに理解しております。サバンナについてはちょっと理解が乏しいわけでございますが、オット・ハーンの場合にはすでにその時点で原子力船の経済性ということについて非常に疑問視する議論があったということは、私自身も直接情報を得ているわけでございます。そういう意味で、やはり研究開発が主眼であったはずだというふうに理解しているわけでございます。
 それから次に、わが国においてどう考えるべきかということでございますが、経済性という問題から現在非常に気になっておりますのは油の動向でございまして、先ほど引用させていただきました原子力船専門部会の分析におきましても、現状のような油の価格の上昇が続くという仮定を置きますと、少なくとも先進諸外国では、二十一世紀に入るころには相当の原子力船が実用化されているのではないかという見通しでございます。わが国の立場は、そのいま比較いたしました欧米先進国よりもむしろ油に対する危険度、依存度が高く、また、その入手の確実性に乏しいという事情にございますので、より強い関心を払うべきではないかというふうに考えている次第でございます。
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日野市朗#12
○日野委員 このごろの政府は、原子力と言うとすぐエネルギー危機、こう結びつけて、油不足、油価格の高騰、こうおっしゃる。確かに、いま局長が御指摘になった「原子力船研究開発専門部会報告書」を見ましても、そこのところは非常に強調しているようですね。燃油の実質価格が現在の一・五倍程度にまで上昇すれば七万馬力程度以上、それから三倍程度にまで上昇すれば三万馬力程度以上の出力の領域で経済的に有利になる可能性が強いのだ、こういうようなすぐ短絡した議論をされるわけですね。この議論は、油の危機が強まれば即原子力という非常に短絡した、私に言わせれば非常に危険な議論になってくるのじゃないかと思うのです。ウラン燃料だって現在はもうすでにメジャーの方がしっかりと押さえていて、しかも、もうすでにメジャーの方で出し惜しみするという方向で動いているわけでしょう。日本にはもういままでかなりストックがあるのだから安心だという議論にはならないのです。安い時代に買っておいたから大丈夫という議論にはならないのです。ほかの形の、油を使うにしても、非常に効率のいい船を考えるなり、別のエネルギー源、たとえば第二次エネルギーの水素を使って動かす方法とか、そういう方法にも十分な研究開発を進めなければいけないのですが、そういう方向についても考えるべきではないかと私は思うのです。そういう方向についての努力をなさっておりますか。これはひとつ大臣にも伺いたいところです。
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石渡鷹雄#13
○石渡政府委員 油の動向の不安イコール原子力というふうに私どもも見ているわけではございません。たとえばまた昔に戻って石炭だきの船もあり得ると思います。また御指摘のように、第二次エネルギーの活用、あるいは油であっても少し質の悪い油をより効率よく燃やすことも考えられないかということもあわせまして、原子力を一つの選択として私ども位置づけておる次第でございます。原子力以外の開発の状況につきましては、私どもつまびらかにいたしておりませんが、担当省においてそれなりの努力が払われておるというふうに理解をしておるところでございます。
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日野市朗#14
○日野委員 船に原子力以外の石油代替エネルギーを用いるという方向での研究を積極的に進めるべきだという私の考えについて、大臣、どのようにお考えになっておられるか。
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長田裕二#15
○長田国務大臣 石油以外のエネルギーの開発ということにつきましては、特に昭和四十九年以来、政府も相当積極的に取り組んでおるところでございます。
 ただいま御指摘の水素なども、相当重要に考えていくべきだというように私は考えておりますけれども、いままでのところ、水素の発生あるいは水素の利用ということについて十分な展開を見せ切っておりません。何か外国では、水素を推進力に用いた飛行機などもできているようですし、日本などでも宇宙開発のロケットとして液体水素とかいうようなものなども考えられておりますけれども、いま申し上げましたように、まだその生産及び利用についての技術等も十分展開されておらないところでございます。そして石油につきましては、もう御承知のように、長期的に見ましても、あるいは短期的に見ましても、その量の確保あるいは価格の高騰ということで、目に見えて情勢が厳しくなってきているところでございますので、現在すぐに実用化するかどうかは別としましても、世界の有数の海運国である日本の立場、海外からの物資の搬入あるいは搬出ということを除いて日本の経済が成り立たないという実情などを考えますと、舶用炉についてのエネルギーの多様化、現在、世界各国ではすでにその開発を終了していると見られております原子力を用いました舶用炉、そういうものの開発につきましても、早急にめどをつけておきたい、そのように考えているところでございます。
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日野市朗#16
○日野委員 先ほどから問題になっている報告書ですね、「原子力船研究開発専門部会報告書」、これからこの報告書を引用するときには、単に報告書と言ったらこれだと思ってください。この報告書で指摘しているのは、原子力商船の開発の隘路となっているのは、経済性の問題が一つあるのです。それから造船、海運業の世界的不況、それにエトセトラがつくわけですが、そのエトセトラの中に、私は、非常に大きな要因としてこっちで読み取らなければならない問題、それはやはり原子炉の安全性の確認についての可能かどうかという大きな問題が、その根底にあるだろうと思いますし、これを読む者は、そういう読み方をしなければならないはずだというふうに私は思うのです。
 それで、考えてみますと、日本の「むつ」に積んだ舶用炉ですが、これは私の認識では、たしか陸上のテストが行われていないというふうに思うのですか、いかがでしょうか。
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石渡鷹雄#17
○石渡政府委員 そのものにつきましての陸上のテストは行われておりません。
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日野市朗#18
○日野委員 そのものについては行われていない、いろいろなモデルや何かでやった、こうおっしゃるのかもしれませんけれども、陸上に定置をされた、安定した形で置かれた軽水炉についても、トラブルの頻発ということは、報道機関なんかにもしょっちゅう報じられている。常にどこかが事故を起こす、故障を起こす、こういうような状態で、私たちは、陸上でもう固定していて、修理なども非常にしやすい、調査もしやすい炉についてさえも、これはまだ非常に危険だなという感想を、率直に言ってぬぐい切れないのです。これが十分な陸上でのテストというようなものなしに、移動して歩く船、しかもローリングだとかピッチングだとかいろいろ揺れ動く船で、すぐにこれを運転したような状況で海上に放置してある、放置すると言うと言葉は悪いのですが、海の上を走らせるということについて、率直に言って非常に危険だなというふうに思わざるを得ないのです。もし海の上を走行していて事故が起こったらどうするのだということなのですが、それらに対する対処の仕方というのは、十分に検討し尽くされていなければならないはずだというふうに思うのです。走らせながら検討するというのでは、それまで予想し得なかったような事故が起こった場合どうするのだというような不安を私は強く感ぜざるを得ないのです。そういう点についてはどうなのでしょう。現実に、想像されないような中性子漏れが「むつ」の炉から出ているわけですが、そういう事態が、船の上で現に走りながら、しかも日本の近海なんというものじゃなくて、ずっと沖合いの方の、救助に行くまで何日もかかるような海域で起こったような場合はどうするかという検討なんかやられているのですか。
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石渡鷹雄#19
○石渡政府委員 きわめて考えられないような事態があり得るではないかという御指摘でございますが、まず原子力船の設計の理念といたしまして、そういう安全性を十二分にとるということで、たとえ性能を落としてでも十分安全裕度をとるというのが設計の理念になっておりますので、まず第一の前提としてそういうことがないようにということで対処しているというのが第一の姿勢でございます。
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日野市朗#20
○日野委員 現実に、「むつ」ではあり得ないようなことが起きてこうなってしまっているのでしょう。しかも遮蔽に問題があって中性子がすき間から漏れ出したなんという説明になっていますけれども、この炉の基本的な原理といいますか、それは陸上でそっちでもこっちでもしょっちゅう事故を起こしている軽水炉でありまして、予想できないような事態の起きるのが十分予想できるような原子炉だと思うのですが、いかがなものでしょう。
 これについては、恐らくその当時の原子力委員会の、これの設置を許可して十分だった、許可の要件を十分備えていたから許可したのだ、大丈夫だという理屈は、もういまになってはちょっと通りにくくなっております。しかも、大山委員会あたりの指摘によりますと、どうも事業団のやっていることは安心できないよ――大山委員会でしたかな、それとも別の委員会だったかちょっと忘れましたが、そんなことも指摘されているわけですね。何かやるときはまずこっちに言ってよこせ、もしこっちでそれでいいというオーケーを与えたらやってもいいぞというような、技術のレベルについてもかなり疑問を呈されたような事業団が設計して建造した、そして大問題を起こしながら海に出てみたら、途端に中性子漏れを起こしちゃった、こういう状態でしょう。これにさらに開発に圧力をかけていく、開発をさらに促進していくという方向が望ましいものかというと、いやそうではなかろうと私は考えざるを得ない。いかがでしょうか。
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石渡鷹雄#21
○石渡政府委員 まず、現在の「むつ」についての御批判でございますが、遮蔽に欠陥があったというのは確かに厳然たる事実でございます。それについて現在改修を進めつつあるという状況でございますし、また、大山委員会のリポートに指摘されましたように、その他の部分、すなわち原子炉についても総点検を念のためにしてみるようにという御指摘がございましたので、それに従いまして総点検を行うという計画を進めている次第でございます。
 それから、ただいま事業団の業務についてチェックする機関といいますものは、通称安藤委員会と言われている委員会でございまして、その後、事業団の体制も大分立て直してまいってきておりますので、そのような御心配はなくなっているというふうに御理解をちょうだいしたいと存じます。
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日野市朗#22
○日野委員 報告書に基づいて一応みんなで作業しているのだとおっしゃっているようですが、報告書は「むつ」の必要性ということを述べていますね。「むつ」は必要なんだ、こう言っているのです。こうこうこういう理由で必要なんだという理由をいっぱい言っています。しかし、それと同時に「原子力商船実用化の見通し」という十四ページ以下に書いてあるところを見てみますと、いろいろな側面から実用化の見通しということも書いているわけであります。技術的な側面から基礎的な研究ももっとしっかりやらなくちゃいかぬよ、こういうことの指摘がずいぶん字数を費やして書いてあるわけでございますね。
 私は、この二つの書き方を見て、どうもこの間に矛盾があるように思えてならないのです。すなわち、現在の「むつ」も推進は必要だと言いながら、もっと幾つかの段階に分けてそれぞれ実験をし、研究をし、そしてみんなに見てもらえと言っているわけですね。私は、この二つの間に大きな矛盾があると思うのです。基礎的な研究をし、実験をしていくという一つの必要性、それが非常に必要だということを、こういうプロジェクトを組むことが非常に大事なんだよということを言っています。二十三ページから二十四ページあたりになっていますか、改良舶用炉のプラント等に関する研究開発を推進すべきだ、こういうふうに基礎的な研究開発の推進、このことを言っている。これは「むつ」の炉とは別の問題について言っているわけです。そして、その研究の成果を「むつ」に反映させなさい、こういうようなことを言っているようにも読めるわけですが、私は、この二つの言い方の間に大きな矛盾があるのだと思うのです。
 この読み方はどのように考えておられますか。つまり私は、この報告書を読んで、じっくりその言われている事柄を頭の中で整理して考えてみますと、「むつ」の炉というのは、そういう基礎的なところにおいてまだまだ不十分さがあったのだ、それらの研究開発をきちんとやる方がむしろ先だと、こうむしろこの報告書を書かれた方々のかなり多くの部分の方々は考えておられたのじゃなかろうかなというようなことを感ずるわけですね。ここらの読み方をどのように読んだらいいのか、どのように整理をして矛盾のないように読んだらいいのか、お聞かせいただきたいのです。
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石渡鷹雄#23
○石渡政府委員 まず、報告書の記述についてでございますが、私の理解では、二十四ページあたりから二十五ページにかけて、基礎的な研究もあわせてということを非常に強調しておりますのは、次の改良舶用炉プラントについての研究プロジェクトにつきましては、現在の「むつ」を離れてより経済性を強く追求する目的での改良舶用炉プラントを考えているわけでございまして、そういう意味では現在の「むつ」のきわめて保守的と言われております炉から離れまして、この記述によりますれば「我が国にとっては未経験の新しい技術を取り入れたものとなる可能性が強い」、すなわち現在の「むつ」の炉の知見から相当離れたレベルの技術を新しく取り入れていかなければ、そういう経済性を追求する次の改良舶用炉プラントは考えられないという観点に立ちまして、そういう状態ではいろいろ基礎的な研究もあわせて信頼性の実証、あるいは安全性の確立を図っていかなければならないというふうに記述されているわけでございまして、現在の「むつ」の炉は、それはそれなりに相当のレベルに達しているという一つの判断を基礎にいたしまして、そこから得られる知見を十分活用しながら、次のステップの改良された舶用炉の開発に進んでいきなさい、その次の時代の、次の世代の舶用炉については、また新しい技術的な挑戦があるわけでございますから、基礎的な研究もあわせて十分配慮しながら進めていかなければならないというふうに記述されているものと理解しているわけでございます。
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日野市朗#24
○日野委員 私も、大山委員会あたりが、「むつ」はある程度の水準に達しているのだということを言わざるを得なかったような事情というのはわかるような感じがいたします。何しろ政府、事業団が、原子力船開発を、もう十数年にわたって鳴り物入りで膨大な投資を行ってやった、そういう一つの成果としてできた「むつ」が、こいつはもういかぬわというようにはなかなか言えないであろうということについては、それはそれなりの理解はするわけでありますが、しかし、その「むつ」について、きちんとそれを理解している人たちの目から見るならば、どうもそういう報告書や、いま局長が言われたある程度の水準までは達している船なんだというその言い方を果たしてがえんじているかというと、私は、むしろ逆ではないかというような感じがしてならないのです。
 こういうのは民間や何かの業者とか何かには意外と敏感に響くものでございまして、「むつ」の現在の成果に対応するような原子力船で、じゃ、ひとつやってみようかというような民間の動きでも現在ございますか。ほかの省庁でどっか何かそれに見合うような仕事をしているところがございますか。
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石渡鷹雄#25
○石渡政府委員 民間の直接の活動につきましては、二、三の社が外国との技術提携等によりまして世界の動向の把握に努めているということと、やはり「むつ」の開発の成り行きを見守っているというのが実情であるかと存じます。現在のところ世界的に、先ほど申し上げましたように、原子力船の開発が一時停滞しているという状況にございますので、そういう面におきましては、日本の業界も同じような態度をとっているということかと存じております。しかしながら、将来の大きな可能性の一つとして、船舶のエネルギー源の多様化という観点から非常に注目をしているというのは事実であろうかと考えております。先生も御指摘になりましたように、現在の海運あるいは造船の不況等の状況、経済的な状況も大きく影響を及ぼしているかと存じます。
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日野市朗#26
○日野委員 運輸省の船舶技研、ここで基礎的な研究を進めているというようなことを報告書なんかで指摘をしているようですが、どうも私が小耳にはさんだところでは、これが直接原子力船と結びついたような研究かなと思うような、そういった具体性をもった研究というのはできていないように思いますし、また、社団法人日本造船研究協会、ここで一体型舶用炉の概念設計をやっているというようなことも言われているのですが、ちょっと具体的に、船舶技研でどのような仕事をやっているのか、社団法人日本造船研究協会で一体どのような仕事をやっているのか教えてください。
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佐伯宗治#27
○佐伯説明員 お答えいたします。
 船研におきまして過去に実施しました原子力船関係の主な研究項目について御説明いたしまして、後、現在進めております研究項目について御報告いたします。
 いままでに行いました主な研究といたしまして、原子力船の遮蔽及び環境安全に関する研究、あるいは原子力機関動揺及び振動に関する研究、原子炉プラントの安全対策に関する研究、こういった研究項目につきまして昭和三十二年から実施しております。
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日野市朗#28
○日野委員 余り時間がないものですから、ひとつ簡潔にお願いしたいし、それから現在時点で進んでいるものにしぼってお答えいただけますか。
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佐伯宗治#29
○佐伯説明員 それでは、現在進めております研究テーマを申し上げますと、一体型舶用炉機器の性能、一次遮蔽に関する研究、舶用炉における繰り返し振動の燃料破損に及ぼす影響の研究、原子力船の事故解析、こういった研究を進めております。
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