科学技術振興対策特別委員会
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会
会議録情報#0
昭和五十五年五月十四日(水曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 瀬野栄次郎君
理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
理事 石野 久男君 理事 上坂 昇君
理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
理事 米沢 隆君
狩野 明男君 玉沢徳一郎君
中村 弘海君 船田 元君
関 晴正君 日野 市朗君
木内 良明君 瀬崎 博義君
吉田 之久君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 下邨 昭三君
科学技術庁原子
力局長 石渡 鷹雄君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
委員外の出席者
参 考 人
(東京商船大学
教授) 竹村 数男君
参 考 人
(日立造船株式
会社代表取締役
社長) 木下 昌雄君
参 考 人
(前むつ市長) 菊池 渙治君
参 考 人
(長崎県議会議
員) 速見 魁君
参 考 人
(日本原子力研
究所労働組合中
央執行委員長) 井坂 正規君
参 考 人
(全国造船重機
械労働組合連合
会産業対策局
長) 中川 幹雄君
特別委員会第二
調査室長 曽根原幸雄君
—————————————
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
上田 哲君 関 晴正君
林 保夫君 吉田 之久君
同日
辞任 補欠選任
関 晴正君 上田 哲君
吉田 之久君 林 保夫君
—————————————
本日の会議に付した案件
日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第二六号)
日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究
所法の一部を改正する法律案(石野久男君外四
名提出、衆法第三七号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 瀬野栄次郎君
理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
理事 石野 久男君 理事 上坂 昇君
理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
理事 米沢 隆君
狩野 明男君 玉沢徳一郎君
中村 弘海君 船田 元君
関 晴正君 日野 市朗君
木内 良明君 瀬崎 博義君
吉田 之久君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 下邨 昭三君
科学技術庁原子
力局長 石渡 鷹雄君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
委員外の出席者
参 考 人
(東京商船大学
教授) 竹村 数男君
参 考 人
(日立造船株式
会社代表取締役
社長) 木下 昌雄君
参 考 人
(前むつ市長) 菊池 渙治君
参 考 人
(長崎県議会議
員) 速見 魁君
参 考 人
(日本原子力研
究所労働組合中
央執行委員長) 井坂 正規君
参 考 人
(全国造船重機
械労働組合連合
会産業対策局
長) 中川 幹雄君
特別委員会第二
調査室長 曽根原幸雄君
—————————————
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
上田 哲君 関 晴正君
林 保夫君 吉田 之久君
同日
辞任 補欠選任
関 晴正君 上田 哲君
吉田 之久君 林 保夫君
—————————————
本日の会議に付した案件
日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
律案(内閣提出第二六号)
日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究
所法の一部を改正する法律案(石野久男君外四
名提出、衆法第三七号)
————◇—————
瀬
瀬野栄次郎#1
○瀬野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、日本原子力船開発事業団体法の一部を改正する法律案及び石野久男君外四名提出、日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京商船大学教授竹村数男君、日立造船株式会社代表取締役社長木下昌雄君、前むつ市長菊池渙治君、長崎県議会議員速見魁君、日本原子力研究所労働組合中央執行委員長井坂正規君、全国造船重機械労働組合連合会産業対策局長中川幹雄君、以上六名の方々から御意見を承ることにいたします。
この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございました。
両法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
議事の順序について申し上げますが、最初に、先ほど御紹介いたしました順序で御意見をお一人十五分程度に要約してお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言願います。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、最初に竹村参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、日本原子力船開発事業団体法の一部を改正する法律案及び石野久男君外四名提出、日本原子力船開発事業団法及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京商船大学教授竹村数男君、日立造船株式会社代表取締役社長木下昌雄君、前むつ市長菊池渙治君、長崎県議会議員速見魁君、日本原子力研究所労働組合中央執行委員長井坂正規君、全国造船重機械労働組合連合会産業対策局長中川幹雄君、以上六名の方々から御意見を承ることにいたします。
この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございました。
両法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
議事の順序について申し上げますが、最初に、先ほど御紹介いたしました順序で御意見をお一人十五分程度に要約してお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言願います。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、最初に竹村参考人にお願いいたします。
竹
竹村数男#2
○竹村参考人 ただいま御紹介いただきました東京商船大学の竹村でございます。
大学では機関学科の原子力船工学講座に属しておりまして、原子炉の理論、原子力機関並びに原子力船の構造、配置、性能、特性、そういったものを教授、研究しております。また昨年、原子力委員会に設置されました原子力船研究開発専門部会に一員として参加いたしまして、討議に加わりました。
本日は、日ごろ考えておりますところを若干述べさせていただきたいと思うわけでありますが、まず最初に、原子力船の特徴から原子力船の研究開発の必要性を述べたいと思っております。
まず第一に、原子力船は一度燃料を装荷しますと、二ないし四年というものは補給なしに運航を続けることができるわけであります。このことは、原子力船をどの航路にも投入できるというメリットがございまして、船隊を構成する意味において定期航路確保の上に非常に有益であります。在来船は、この点、燃料油とかボイラー水等を積み込むスペースというか容量のために制限を受けて、そう有利さのあるものではございません。また、長期間燃料を補給しなくてもよいということは、外地で燃料油が補給できなくても立ち往生するようなことはないということであります。このことは、昭和四十八年のオイルショックのときに、日本船が外地で経験したことであります。
第二に、高速大馬力の船、長い距離を航海する船にとって原子力船はきわめて有利であるということであります。
最近建造されました最も大きな馬力の船は、アメリカのシーランド社の十二万馬力のコンテナ船でありますが、この程度の船になりますと、重油は一日に約五百トンたきます。したがいまして、日本からニューヨークまで直行いたしますと、一万トンの燃料を使うことになります。欧州直行ではもっと多くなるはずでございまして、それだけ荷物のほかに油のタンクを持たなければならないということで、積み荷減という影響が出てくるわけであります。
船では、スピードを上げますと、馬力がスピードの三乗に比例して必要になります。したがって、燃料もまた三乗に比例して減る、燃えるというかっこうになります。高速になればなるほど、また距離が長ければ長いほど原子力船が有利ということになるわけであります。
第三番目に、燃料の費用が在来船に比べて安いということであります。在来船では、先ほどのシーランド社の十二万馬力級では、一時間一馬力を出すのに、燃料油が上がってまいりましたので、いまの値段でいきますと、多分十円ぐらいかかるのではないかと思います。一方、原子力船の方は、同じく一時間一馬力を出すのに二円程度ではないかと予想されております。原子力船はずいぶん割り安でありまして、これで日本からニューヨーク直行になりますと、片道で約三億円以上の燃費の節約ということになります。
もう一つ特徴を申し述べますと、原子力船では燃料が燃えても重量は変化しないということであります。このことは、結果的に船の喫水が変わらないということでありますので、在来船のように、航海中に喫水を直すために、あっちの燃料をこっちに移し、こっちの水をあっちに移しというようなことは不必要になります。つまり、人手も設備も要らなくなりますと同時に、非常に安定した運航ができる、こういうメリットがあると思います。
以上のほかにも、原子力船化した場合の経済的なメリットはありますけれども、一方デメリットの方はどうかと言いますと、何と言っても船の値段が高いということであります。原子力船の価格は、先ほどのシーランド社の十二万馬力コンテナ船級になりますと、在来船の二倍程度になろうかと思います。このように価格が割り高になりますのは、当然、建造期間が長かったり、あるいは高級な材料を使ったり、あるいは精密な装置を用いたりということでありますけれども、もちろん、その根源は放射能の存在、こういうことであります。船を運航するための経費というものも、やはり在来船よりも割り高になります。
以上の経済的なメリット、デメリットを総合しますと、シーランド社の十二万馬力級では、原子力船は在来船よりもかなり経済的に有利になるという結果が、計算でありますが、出されております。
船に限りませんけれども、輸送機関では、やはり安く、早く、確実に荷物を運ぶということがモットーでありましょうから、どこかの国でそういう船を走らせますと、よその国は全部敗退するわけであります。特に国際場裏の海運においてはそうだと思います。したがいまして、よその国も、それに追従してそういうものを走らせなければならないということになるのだろうと思います。燃料油の高騰によりまして、そういう状況の素地というようなものがますます到来しつつあるのではないかというふうに思っておりますので、原子力船の研究開発というのを大いにやっていくべきだ、こういうふうに思っておる次第であります。
燃料油の問題は、私が申し上げるまでもありませんで、これはエネルギーの問題として非常に大きく叫ばれておりますので、その方面からも、やはり油をたく船にかわるものということで原子力船の出現を望むわけであります。
以上、私は、原子力船の研究開発の必要性を述べましたが、原子力船のように非常に技術の高い船は、また高い運航要員がなければ運転ができないわけでありますので、わが国のような優秀な船員がたくさんいる国に非常に向いているわけでありまして、御承知のように、発展途上国の急追をかわすためには、好個の素材であるのではないかというふうに思っております。海運国であるわが国としては、原子力船を研究開発する必要性の一つとして、いまの点をつけ加えたいと思うものであります。
次に、原子力船の実用化時代に備えて、原子力船の研究開発をどう進めるのかという点について少々述べたいと思います。
やはり目標をちゃんと決めまして、一貫した理念のもとに着実に進めるべきであるということは紛れもないことであります。
その意味におきまして、まず第一に、原子力船の研究開発を進めるというには、原子力船の実用化時代というものを一体どういうふうにとらえるかということがポイントになるかと思われます。船の設計から解体までの一生にわたって何よりも安全性を十分に確保しつつ、在来船に競合できる船が多数出現する時代、こう想定すべきではないかと考えております。多数とは十二万馬力級のコンテナ船が少々出てくるというものではなくて、各国の海運界が現在、原料や素材を運搬している船、大体三ないし四万馬力が多いわけでありますけれども、そういうものまで含めるというふうに私は解釈したいと思います。この程度の馬力の原子力船も、現在のような燃料油の高騰が続けば、二十一世紀に入るころには、在来船より経済的に有利になる可能性がある、一応こういう計算が出ております。したがいまして、実用化時代は三ないし四万馬力程度が船隊を組んで動き得る二十一世紀の初めごろ、こういうふうに考えております。
第二に、それでは実用化のために必要な研究開発は、一体どういうものであるかを明らかにすることが必要じゃないかと思っております。
御承知のように、アメリカではサバンナ号、ソ連ではレーニン号、アルクチカ号、シビーリ号、西独ではオット・ハーン号、こういう実船による運航経験を踏まえまして、さらに研究開発をした結果、原子力船の実用化に必要な基礎的な技術基盤というものを確立しているのではないかと思っております。またフランス、イギリスも、艦艇の経験をもとにしまして、同様に商船用の原子炉プラントの研究開発を積み重ねまして、実用化に必要な基礎的技術基盤を確立していると言われております。
わが国も、まず、この域に達する必要があると考えるわけでありますが、先進国の例に見るまでもなく、「むつ」により設計、建造、運航の経験を得ることは欠かせない過程であると思っております。とりわけ「むつ」は、国産技術による設計、建造でありますので、自主技術の確立を目指すわが国の研究開発に寄与するところが非常に大きいものと思っております。「むつ」は、経済性に力点を置いてつくられた船ではございませんので、実用化時代に向けての研究開発の非常な寄与にはなりましても、それだけで済むものではありません。経済性に富んだ、しかも安全性、信頼性を前提とした商船用の原子炉プラントの開発というのが、やはりこれからの研究開発計画の中心になると考えております。
それで、わが国としてどのようなタイプの舶用炉プラントが実用化のために最適であるか、こういう検討から始める必要があるのではないかと思っております。この検討は、先進国との技術格差を考えますと、できるだけ早く着手する方がよいと思っております。幸いにして最適な舶用炉プラントについて選定されましたとしても、多分それはわが国で未経験の技術の分野がかなり含まれてくるのではないかと私は思っておりますので、そうしますと、個々の機器とか装置について、徹底してゆすってみたり、いろいろなことをしてみて、実験をやってみたとしても、それだけですぐに実用船につなげるというのは、やはり十分ではない、こういうふうに私は思います。どうしてもプラントをつくって運転してみることが必要だと考えております。このゆえに原型炉の建設のステップが必要であると思っております。
なお現状では、低馬力の原子力船においては、在来船に対し経済的に優位に立てるかどうか、まだ不透明なところもありますので、長期の計画を固定できかねる点もあるように私は思っております。したがって、計画を立てても、経済情勢や国際的な技術の動向というものに照らして適宜見直すことが望ましい、こういうふうに考えております。
以上申し述べましたことは、原子力船研究開発専門部会の報告書に記載されている内容の考え方と多分合致するものであろうと思いますが、報告書は、原子力船の実用化のための研究開発がますます必要な状況になりつつある、そういう認識のもとに、しからば何をどうすれば実用化時代に備えることになるのか、こういうことを検討したものと理解しております。そういう意味におきまして、報告書との関連ももちまして一言私の考えている意見を申し述べさせていただきました。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →大学では機関学科の原子力船工学講座に属しておりまして、原子炉の理論、原子力機関並びに原子力船の構造、配置、性能、特性、そういったものを教授、研究しております。また昨年、原子力委員会に設置されました原子力船研究開発専門部会に一員として参加いたしまして、討議に加わりました。
本日は、日ごろ考えておりますところを若干述べさせていただきたいと思うわけでありますが、まず最初に、原子力船の特徴から原子力船の研究開発の必要性を述べたいと思っております。
まず第一に、原子力船は一度燃料を装荷しますと、二ないし四年というものは補給なしに運航を続けることができるわけであります。このことは、原子力船をどの航路にも投入できるというメリットがございまして、船隊を構成する意味において定期航路確保の上に非常に有益であります。在来船は、この点、燃料油とかボイラー水等を積み込むスペースというか容量のために制限を受けて、そう有利さのあるものではございません。また、長期間燃料を補給しなくてもよいということは、外地で燃料油が補給できなくても立ち往生するようなことはないということであります。このことは、昭和四十八年のオイルショックのときに、日本船が外地で経験したことであります。
第二に、高速大馬力の船、長い距離を航海する船にとって原子力船はきわめて有利であるということであります。
最近建造されました最も大きな馬力の船は、アメリカのシーランド社の十二万馬力のコンテナ船でありますが、この程度の船になりますと、重油は一日に約五百トンたきます。したがいまして、日本からニューヨークまで直行いたしますと、一万トンの燃料を使うことになります。欧州直行ではもっと多くなるはずでございまして、それだけ荷物のほかに油のタンクを持たなければならないということで、積み荷減という影響が出てくるわけであります。
船では、スピードを上げますと、馬力がスピードの三乗に比例して必要になります。したがって、燃料もまた三乗に比例して減る、燃えるというかっこうになります。高速になればなるほど、また距離が長ければ長いほど原子力船が有利ということになるわけであります。
第三番目に、燃料の費用が在来船に比べて安いということであります。在来船では、先ほどのシーランド社の十二万馬力級では、一時間一馬力を出すのに、燃料油が上がってまいりましたので、いまの値段でいきますと、多分十円ぐらいかかるのではないかと思います。一方、原子力船の方は、同じく一時間一馬力を出すのに二円程度ではないかと予想されております。原子力船はずいぶん割り安でありまして、これで日本からニューヨーク直行になりますと、片道で約三億円以上の燃費の節約ということになります。
もう一つ特徴を申し述べますと、原子力船では燃料が燃えても重量は変化しないということであります。このことは、結果的に船の喫水が変わらないということでありますので、在来船のように、航海中に喫水を直すために、あっちの燃料をこっちに移し、こっちの水をあっちに移しというようなことは不必要になります。つまり、人手も設備も要らなくなりますと同時に、非常に安定した運航ができる、こういうメリットがあると思います。
以上のほかにも、原子力船化した場合の経済的なメリットはありますけれども、一方デメリットの方はどうかと言いますと、何と言っても船の値段が高いということであります。原子力船の価格は、先ほどのシーランド社の十二万馬力コンテナ船級になりますと、在来船の二倍程度になろうかと思います。このように価格が割り高になりますのは、当然、建造期間が長かったり、あるいは高級な材料を使ったり、あるいは精密な装置を用いたりということでありますけれども、もちろん、その根源は放射能の存在、こういうことであります。船を運航するための経費というものも、やはり在来船よりも割り高になります。
以上の経済的なメリット、デメリットを総合しますと、シーランド社の十二万馬力級では、原子力船は在来船よりもかなり経済的に有利になるという結果が、計算でありますが、出されております。
船に限りませんけれども、輸送機関では、やはり安く、早く、確実に荷物を運ぶということがモットーでありましょうから、どこかの国でそういう船を走らせますと、よその国は全部敗退するわけであります。特に国際場裏の海運においてはそうだと思います。したがいまして、よその国も、それに追従してそういうものを走らせなければならないということになるのだろうと思います。燃料油の高騰によりまして、そういう状況の素地というようなものがますます到来しつつあるのではないかというふうに思っておりますので、原子力船の研究開発というのを大いにやっていくべきだ、こういうふうに思っておる次第であります。
燃料油の問題は、私が申し上げるまでもありませんで、これはエネルギーの問題として非常に大きく叫ばれておりますので、その方面からも、やはり油をたく船にかわるものということで原子力船の出現を望むわけであります。
以上、私は、原子力船の研究開発の必要性を述べましたが、原子力船のように非常に技術の高い船は、また高い運航要員がなければ運転ができないわけでありますので、わが国のような優秀な船員がたくさんいる国に非常に向いているわけでありまして、御承知のように、発展途上国の急追をかわすためには、好個の素材であるのではないかというふうに思っております。海運国であるわが国としては、原子力船を研究開発する必要性の一つとして、いまの点をつけ加えたいと思うものであります。
次に、原子力船の実用化時代に備えて、原子力船の研究開発をどう進めるのかという点について少々述べたいと思います。
やはり目標をちゃんと決めまして、一貫した理念のもとに着実に進めるべきであるということは紛れもないことであります。
その意味におきまして、まず第一に、原子力船の研究開発を進めるというには、原子力船の実用化時代というものを一体どういうふうにとらえるかということがポイントになるかと思われます。船の設計から解体までの一生にわたって何よりも安全性を十分に確保しつつ、在来船に競合できる船が多数出現する時代、こう想定すべきではないかと考えております。多数とは十二万馬力級のコンテナ船が少々出てくるというものではなくて、各国の海運界が現在、原料や素材を運搬している船、大体三ないし四万馬力が多いわけでありますけれども、そういうものまで含めるというふうに私は解釈したいと思います。この程度の馬力の原子力船も、現在のような燃料油の高騰が続けば、二十一世紀に入るころには、在来船より経済的に有利になる可能性がある、一応こういう計算が出ております。したがいまして、実用化時代は三ないし四万馬力程度が船隊を組んで動き得る二十一世紀の初めごろ、こういうふうに考えております。
第二に、それでは実用化のために必要な研究開発は、一体どういうものであるかを明らかにすることが必要じゃないかと思っております。
御承知のように、アメリカではサバンナ号、ソ連ではレーニン号、アルクチカ号、シビーリ号、西独ではオット・ハーン号、こういう実船による運航経験を踏まえまして、さらに研究開発をした結果、原子力船の実用化に必要な基礎的な技術基盤というものを確立しているのではないかと思っております。またフランス、イギリスも、艦艇の経験をもとにしまして、同様に商船用の原子炉プラントの研究開発を積み重ねまして、実用化に必要な基礎的技術基盤を確立していると言われております。
わが国も、まず、この域に達する必要があると考えるわけでありますが、先進国の例に見るまでもなく、「むつ」により設計、建造、運航の経験を得ることは欠かせない過程であると思っております。とりわけ「むつ」は、国産技術による設計、建造でありますので、自主技術の確立を目指すわが国の研究開発に寄与するところが非常に大きいものと思っております。「むつ」は、経済性に力点を置いてつくられた船ではございませんので、実用化時代に向けての研究開発の非常な寄与にはなりましても、それだけで済むものではありません。経済性に富んだ、しかも安全性、信頼性を前提とした商船用の原子炉プラントの開発というのが、やはりこれからの研究開発計画の中心になると考えております。
それで、わが国としてどのようなタイプの舶用炉プラントが実用化のために最適であるか、こういう検討から始める必要があるのではないかと思っております。この検討は、先進国との技術格差を考えますと、できるだけ早く着手する方がよいと思っております。幸いにして最適な舶用炉プラントについて選定されましたとしても、多分それはわが国で未経験の技術の分野がかなり含まれてくるのではないかと私は思っておりますので、そうしますと、個々の機器とか装置について、徹底してゆすってみたり、いろいろなことをしてみて、実験をやってみたとしても、それだけですぐに実用船につなげるというのは、やはり十分ではない、こういうふうに私は思います。どうしてもプラントをつくって運転してみることが必要だと考えております。このゆえに原型炉の建設のステップが必要であると思っております。
なお現状では、低馬力の原子力船においては、在来船に対し経済的に優位に立てるかどうか、まだ不透明なところもありますので、長期の計画を固定できかねる点もあるように私は思っております。したがって、計画を立てても、経済情勢や国際的な技術の動向というものに照らして適宜見直すことが望ましい、こういうふうに考えております。
以上申し述べましたことは、原子力船研究開発専門部会の報告書に記載されている内容の考え方と多分合致するものであろうと思いますが、報告書は、原子力船の実用化のための研究開発がますます必要な状況になりつつある、そういう認識のもとに、しからば何をどうすれば実用化時代に備えることになるのか、こういうことを検討したものと理解しております。そういう意味におきまして、報告書との関連ももちまして一言私の考えている意見を申し述べさせていただきました。
どうもありがとうございました。拍手
瀬
木
木下昌雄#4
○木下参考人 ただいま御指名いただきました日立造船の社長の木下でございます。主として産業界の立場から意見を申し上げることになろうかと存じます。
私は、かねてから世界のエネルギー事情、特に石油供給の量的不足並びにその価格高騰の問題、なかんずく石油資源が、戦略物資ないしは政略物資として国家間の不当な要求押しつけの道具として使用されることに対して深い関心を持っておりましたが、今回、去る四月二十六日から一昨々日、五月十一日まで、ロンドンを初め西欧数カ国を歴訪いたしまして、その間、四月二十八日と二十九日の両日、ロンドンで開催されましたコール・ファイアード・シップス・コンファランス、すなわち石炭だき船の国際会議に出席いたしました。ただ一人のシップビルダーとしての立場から、本問題に関する見解を講演する機会を得ました。私と前後して同じく講演されましたイギリスの前総理大臣のヒース氏の、政治的立場からの見解や、また世界の大船主や海運業者や英国政府の石炭庁の専門家の方々等の多角的な立場からの見解を聞くことが同時にできまして、その討議に加わることによりまして、最近、北海油田の開発成功によって新しく産油国の側に加わることになりました英本国やノルウェー等でも、かえってわが国以上に石油にかわるべきエネルギー源に深い憂慮と関心を持って真剣に検討し、実質的な研究開発を進めている実情を私は目の当たりに見、はだで感じることができた次第でございました。さしあたってすぐに実用化し得る代替エネルギーは石炭でございますが、その次には、必ず現状よりもさらに安全化された核分裂による原子力平和利用であることにつきましても、私ども話し合うことができましたし、また有識者の一致した見解でございました。
海運界及び造船界を含めまして、わが国産業界の原子力船開発の意義並びにその必要性に関する考え方につきましては、お手元の昭和五十四年二月二十八日付の日本原子力産業会議によります「原子力船懇談会報告書」という中に、その一ページないし三ページに詳しく述べておるとおりでございます。
詳しくは省略さしていただきますが、要するに、原子力船の開発は、単に石油資源の節約のみにとどまらず、一たん装荷されました核燃料のすぐれた持続性のために、石油供給の不安等緊急時においても、原子力商船によりまして、国民の生活必需物資の円滑な輸送を確保しまして、国内に生じるおそれのあるパニック状態を未然に防ぐ、すなわち、広義のナショナルセキュリティーのためにも意義が大きいと考えておる次第でございます。
一方、わが国の海運界は、従来、常に船舶の大型化、専用化及び高性能化を図りまして、世界第二位の船腹量を保有するに至っております。また、わが国の造船界は、常に新しい技術の開発向上に努めまして、多年にわたって世界第一位の建造実績を堅持してきております。
このような海運、造船界の技術革新が、わが国の経済の発展にきわめて重要な役割りを果たしてまいりましたことは、衆目のひとしく認めるところではなかろうかと存じます。しかし、過去数年間にわたりまして、世界の海運、造船界が深刻な構造不況に苦しみましたことも、また御承知のとおりでございまして、そのため、特に造船業界において、中長期的な視野に基づく原子力船等の研究開発に対する人的、物的投資を幾分差し控えざるを得なかったことは事実でございます。確かに、最近は多少クールダウンしておったことは、この構造不況に悩んでおりました期間、認めざるを得なかったことでございますが、しかし、長期的な展望におきましては、世界貿易の拡大と、それに基づく海運、造船界の発展につきましては、何ら疑いを差しはさむ余地のないところと信じておりますので、造船各社とも、原子力船の研究開発と人材、費用等の面で、決して火種を絶やすことなく温存し続けて、いつ何どきでも、必要とあらばこの火種をもとに急速に燃焼拡張せしめる準備を整えておる現状でございます。
今後、わが国の海運、造船界が先進工業国に伍しまして発展途上国の造船業を援助しつつ、今後とも安定した発展を遂げますためには、高付加価値の技術集約型船舶に活路を求める必要がございます。原子力船の開発がその重要な柱となることは明白と存じます。
さて、米国、ソ連、英国、フランス等における原子力艦船——軍艦でございますが、その建造実績の積み重ねが原子力商船建造技術に応用され得ることを考慮いたしますと、西ドイツとともに原子力平和利用に徹しておりますわが国といたしましては、これら国情の違いから来る彼我の技術格差を克服するためには、国を挙げて、官学民真に一体となって研究開発及び関係技術者の育成を強力に推進いたしまして、十分に国際競争力のある原子力商船の建造、運航の技術基盤を早急に確立しない限り、今後のわが国の海運、造船市場の発展はおろか、現状維持すら期しがたいことは明らかと存じます。
また、日本と同じく原子力平和利用に徹しておりながら、官民一致の努力によりまして、独自の原子力商船オット・ハーン号を完成、運航させることに成功いたしました西ドイツにつきましては、かつて日独共同で八万馬力の原子力コンテナ船の試設計と、その経済性の評価作業を、二年間にわたりまして実施いたしたことがございますが、当時オット・ハーン号は、すでに就航いたしておりました。わが「むつ」は、盛んに建造中で、船台で建造しておるという状態でございました。
私は当時、日本郵船、大阪商船三井、三菱重工、石川島播磨重工及び日立造船の五つの会社から成ります日本側チームのチェアマンといたしまして、この共同作業に当たった者でございますが、その当時、原子力船に関する彼我の技術力の格差は、ごく限られた一部につきましては、確かにわれに五年ないし十年の立ちおくれが見られたのでございますけれども、総体的に見ますと、彼我の知識、技術は、互いに補完し合う状態でございました。共同試設計、共同評価に際しましても、まことに彼我対等のきわめて気持ちのいい共同作業ができた次第でございます。
これらの事実から類推いたしますと、米ソ、英仏を含めたいわゆる原子力船先進国との間の技術ギャップも、とうてい追いつけないほどの大きなものではなくて、今後のわが国における官学民の一致協力体制及びその運営によろしきを得ますならば、比較的容易に追いつき得るほどのものと確信を深めております。
今後、わが国におきまして行われる原子力船開発の目標といたしましては、海運界が在来船以上に大きな制約を受けることなしにその運航する船隊に加え得るような原子力商船の実用化を図ることでございます。原子力船だからといって特別の配慮、何か特別のことをしないで従来の船隊にそのまま加え得るような船を、原子力船をつくること、これが究極の目的でございます。
そのためには、細かい技術的な説明は、先ほど竹村参考人からも若干ございましたし、時間の関係上省略させていただきますが、とどのつまりは、安全性、運航性及び経済性において全く疑念の余地を残さない原子力船を建造し、運航する技術をソフト及びハードの両面で確立することでございます。
そのためには、まず信頼性のある舶用炉の技術開発、安全性確保のための船体構造等の開発及び運航技術の確立などを、幅広くかつ整合性をもって行う必要がございます。そのためには、ぜひとも自主技術の確立に重点が置かれた開発姿勢が必須の要件と存じます。
次に、原子力船研究開発のスケジュールについて申し上げますと、冒頭において、さしあたりは一部特定の航路に石炭だき船時代が来ることは必至であると申しました。その次に原子力船時代になるとの予想を申し上げました。すなわち、お手元にございます「原子力船研究開発専門部会報告書」という昭和五十四年十二月二十日の日付の報告書によりますと、二十一世紀に入りますころには、三万馬力程度以上の出力の商船の分野で原子力商船実用化時代に入るとの予想を立てているのでございますが、この報告書完成後生じましたイラン紛争及びその後の経過をあわせ考えますと、その時期は相当繰り上がってくるのではないかと予想されるのでございます。したがって、それに備えて、造船界さらには海運界が何どきでも設計し建造し運航し得る体制を、いまから整えておくことがぜひとも必要となってまいりました。
これらを勘案いたしますと、今日ただいま直ちに改良舶用炉プラントの研究開発に着手するとともに、「むつ」の総点検、改修を、関係企業、事業団の労使間で安全確保その他に関して事前に十分な検討、合意が得られました上で、全力を挙げて急いでいただき、機能試験、出力上昇試験並びに実験航海を、若干繰り上げてでも完全かつ急速に行うことがぜひ必要と考えられるのでございます。
最後に、原子力船の研究開発を推進いたすためには、長期にわたる総合的な研究開発と多額の資金、人員が必要でございます。したがって、わが国の原子力船の開発に当たりましては、他のいわゆる先進工業諸国におけると同じく、その安全性、経済性が実証され、実用化の見通しが得られます段階までは、国が主体となって研究開発を推進することが望ましいと存ぜられます。造船界、海運界、原子力機器産業界等を初め、民間産業界におきましては、当面主として人材の面、技術の面、この両面において積極的にこれに協力いたしまして、実用原子力船建造の見通しを得ました後は、内外の諸般の情勢を勘案しつつ、国の適切な援助のもとに、今度は民間主導によって開発を進めるという筋書きが適当ではないかと考えられます。
私は、今後、わが国の恒久的な研究開発機構として、原子力船の研究開発機構として、技術ノーハウの蓄積伝承が完全に行われ、若い大学卒業生が競って入所を希望し、また民間企業が心から喜んでその人材を出向派遣し得るような、また研究開発の分担にも喜んで応じられるような、そして本当に企業の経営者も企業内の研究者、技術者もひとしく心から協力し得るような民主的運営がなされる新しい原子力船研究開発機構ができますことを心から期待しておる次第でございます。
以上で私の陳述を終わります。拍手
この発言だけを見る →私は、かねてから世界のエネルギー事情、特に石油供給の量的不足並びにその価格高騰の問題、なかんずく石油資源が、戦略物資ないしは政略物資として国家間の不当な要求押しつけの道具として使用されることに対して深い関心を持っておりましたが、今回、去る四月二十六日から一昨々日、五月十一日まで、ロンドンを初め西欧数カ国を歴訪いたしまして、その間、四月二十八日と二十九日の両日、ロンドンで開催されましたコール・ファイアード・シップス・コンファランス、すなわち石炭だき船の国際会議に出席いたしました。ただ一人のシップビルダーとしての立場から、本問題に関する見解を講演する機会を得ました。私と前後して同じく講演されましたイギリスの前総理大臣のヒース氏の、政治的立場からの見解や、また世界の大船主や海運業者や英国政府の石炭庁の専門家の方々等の多角的な立場からの見解を聞くことが同時にできまして、その討議に加わることによりまして、最近、北海油田の開発成功によって新しく産油国の側に加わることになりました英本国やノルウェー等でも、かえってわが国以上に石油にかわるべきエネルギー源に深い憂慮と関心を持って真剣に検討し、実質的な研究開発を進めている実情を私は目の当たりに見、はだで感じることができた次第でございました。さしあたってすぐに実用化し得る代替エネルギーは石炭でございますが、その次には、必ず現状よりもさらに安全化された核分裂による原子力平和利用であることにつきましても、私ども話し合うことができましたし、また有識者の一致した見解でございました。
海運界及び造船界を含めまして、わが国産業界の原子力船開発の意義並びにその必要性に関する考え方につきましては、お手元の昭和五十四年二月二十八日付の日本原子力産業会議によります「原子力船懇談会報告書」という中に、その一ページないし三ページに詳しく述べておるとおりでございます。
詳しくは省略さしていただきますが、要するに、原子力船の開発は、単に石油資源の節約のみにとどまらず、一たん装荷されました核燃料のすぐれた持続性のために、石油供給の不安等緊急時においても、原子力商船によりまして、国民の生活必需物資の円滑な輸送を確保しまして、国内に生じるおそれのあるパニック状態を未然に防ぐ、すなわち、広義のナショナルセキュリティーのためにも意義が大きいと考えておる次第でございます。
一方、わが国の海運界は、従来、常に船舶の大型化、専用化及び高性能化を図りまして、世界第二位の船腹量を保有するに至っております。また、わが国の造船界は、常に新しい技術の開発向上に努めまして、多年にわたって世界第一位の建造実績を堅持してきております。
このような海運、造船界の技術革新が、わが国の経済の発展にきわめて重要な役割りを果たしてまいりましたことは、衆目のひとしく認めるところではなかろうかと存じます。しかし、過去数年間にわたりまして、世界の海運、造船界が深刻な構造不況に苦しみましたことも、また御承知のとおりでございまして、そのため、特に造船業界において、中長期的な視野に基づく原子力船等の研究開発に対する人的、物的投資を幾分差し控えざるを得なかったことは事実でございます。確かに、最近は多少クールダウンしておったことは、この構造不況に悩んでおりました期間、認めざるを得なかったことでございますが、しかし、長期的な展望におきましては、世界貿易の拡大と、それに基づく海運、造船界の発展につきましては、何ら疑いを差しはさむ余地のないところと信じておりますので、造船各社とも、原子力船の研究開発と人材、費用等の面で、決して火種を絶やすことなく温存し続けて、いつ何どきでも、必要とあらばこの火種をもとに急速に燃焼拡張せしめる準備を整えておる現状でございます。
今後、わが国の海運、造船界が先進工業国に伍しまして発展途上国の造船業を援助しつつ、今後とも安定した発展を遂げますためには、高付加価値の技術集約型船舶に活路を求める必要がございます。原子力船の開発がその重要な柱となることは明白と存じます。
さて、米国、ソ連、英国、フランス等における原子力艦船——軍艦でございますが、その建造実績の積み重ねが原子力商船建造技術に応用され得ることを考慮いたしますと、西ドイツとともに原子力平和利用に徹しておりますわが国といたしましては、これら国情の違いから来る彼我の技術格差を克服するためには、国を挙げて、官学民真に一体となって研究開発及び関係技術者の育成を強力に推進いたしまして、十分に国際競争力のある原子力商船の建造、運航の技術基盤を早急に確立しない限り、今後のわが国の海運、造船市場の発展はおろか、現状維持すら期しがたいことは明らかと存じます。
また、日本と同じく原子力平和利用に徹しておりながら、官民一致の努力によりまして、独自の原子力商船オット・ハーン号を完成、運航させることに成功いたしました西ドイツにつきましては、かつて日独共同で八万馬力の原子力コンテナ船の試設計と、その経済性の評価作業を、二年間にわたりまして実施いたしたことがございますが、当時オット・ハーン号は、すでに就航いたしておりました。わが「むつ」は、盛んに建造中で、船台で建造しておるという状態でございました。
私は当時、日本郵船、大阪商船三井、三菱重工、石川島播磨重工及び日立造船の五つの会社から成ります日本側チームのチェアマンといたしまして、この共同作業に当たった者でございますが、その当時、原子力船に関する彼我の技術力の格差は、ごく限られた一部につきましては、確かにわれに五年ないし十年の立ちおくれが見られたのでございますけれども、総体的に見ますと、彼我の知識、技術は、互いに補完し合う状態でございました。共同試設計、共同評価に際しましても、まことに彼我対等のきわめて気持ちのいい共同作業ができた次第でございます。
これらの事実から類推いたしますと、米ソ、英仏を含めたいわゆる原子力船先進国との間の技術ギャップも、とうてい追いつけないほどの大きなものではなくて、今後のわが国における官学民の一致協力体制及びその運営によろしきを得ますならば、比較的容易に追いつき得るほどのものと確信を深めております。
今後、わが国におきまして行われる原子力船開発の目標といたしましては、海運界が在来船以上に大きな制約を受けることなしにその運航する船隊に加え得るような原子力商船の実用化を図ることでございます。原子力船だからといって特別の配慮、何か特別のことをしないで従来の船隊にそのまま加え得るような船を、原子力船をつくること、これが究極の目的でございます。
そのためには、細かい技術的な説明は、先ほど竹村参考人からも若干ございましたし、時間の関係上省略させていただきますが、とどのつまりは、安全性、運航性及び経済性において全く疑念の余地を残さない原子力船を建造し、運航する技術をソフト及びハードの両面で確立することでございます。
そのためには、まず信頼性のある舶用炉の技術開発、安全性確保のための船体構造等の開発及び運航技術の確立などを、幅広くかつ整合性をもって行う必要がございます。そのためには、ぜひとも自主技術の確立に重点が置かれた開発姿勢が必須の要件と存じます。
次に、原子力船研究開発のスケジュールについて申し上げますと、冒頭において、さしあたりは一部特定の航路に石炭だき船時代が来ることは必至であると申しました。その次に原子力船時代になるとの予想を申し上げました。すなわち、お手元にございます「原子力船研究開発専門部会報告書」という昭和五十四年十二月二十日の日付の報告書によりますと、二十一世紀に入りますころには、三万馬力程度以上の出力の商船の分野で原子力商船実用化時代に入るとの予想を立てているのでございますが、この報告書完成後生じましたイラン紛争及びその後の経過をあわせ考えますと、その時期は相当繰り上がってくるのではないかと予想されるのでございます。したがって、それに備えて、造船界さらには海運界が何どきでも設計し建造し運航し得る体制を、いまから整えておくことがぜひとも必要となってまいりました。
これらを勘案いたしますと、今日ただいま直ちに改良舶用炉プラントの研究開発に着手するとともに、「むつ」の総点検、改修を、関係企業、事業団の労使間で安全確保その他に関して事前に十分な検討、合意が得られました上で、全力を挙げて急いでいただき、機能試験、出力上昇試験並びに実験航海を、若干繰り上げてでも完全かつ急速に行うことがぜひ必要と考えられるのでございます。
最後に、原子力船の研究開発を推進いたすためには、長期にわたる総合的な研究開発と多額の資金、人員が必要でございます。したがって、わが国の原子力船の開発に当たりましては、他のいわゆる先進工業諸国におけると同じく、その安全性、経済性が実証され、実用化の見通しが得られます段階までは、国が主体となって研究開発を推進することが望ましいと存ぜられます。造船界、海運界、原子力機器産業界等を初め、民間産業界におきましては、当面主として人材の面、技術の面、この両面において積極的にこれに協力いたしまして、実用原子力船建造の見通しを得ました後は、内外の諸般の情勢を勘案しつつ、国の適切な援助のもとに、今度は民間主導によって開発を進めるという筋書きが適当ではないかと考えられます。
私は、今後、わが国の恒久的な研究開発機構として、原子力船の研究開発機構として、技術ノーハウの蓄積伝承が完全に行われ、若い大学卒業生が競って入所を希望し、また民間企業が心から喜んでその人材を出向派遣し得るような、また研究開発の分担にも喜んで応じられるような、そして本当に企業の経営者も企業内の研究者、技術者もひとしく心から協力し得るような民主的運営がなされる新しい原子力船研究開発機構ができますことを心から期待しておる次第でございます。
以上で私の陳述を終わります。拍手
瀬
菊
菊池渙治#6
○菊池参考人 ただいま御紹介をいただきました菊池でございます。
思いますと、昭和四十九年九月十日の本委員会において、放射線漏れ直後の審議に参考人として意見を申し述べる機会をいただきましてから、すでに長い期間を経過して、なおかつ「むつ」が当時言われましたように、漂流しているかのような状況を呈していることを非常に残念に思う次第でございます。
先ほどここにお見えになっておられました小宮山先生も、その際御出席いただいておりましたが、その際、小宮山先生の御発言の中に責任問題の強い要請がございましたが、その責任問題も今日なおうやむやになり、また今後の進め方についても、必ずしも明らかになっていないという時間の経過と、その経過を追いながら何ら実体的に進んでいない、そういう感懐をここに立って一層深くするものでございます。
私たちは、そのとき参考人として呼ばれた後に、鈴木総務会長の提案を入れて四者協定を結びまして、母港撤去という条項がその中に加えられておりますが、今日なおその実体を見ておりません。そして議事録その他を拝見しますと、新定係港の選定を行っておるかのような御発言が政府当局から行われておりますけれども、五十四年度の原子力白書を拝見しますと、四者協定によって新定係港を選定しなければならない、その新定係港は日本原子力船開発事業団によって行われている、こう原子力白書は説明しておりますが、一方、日本原子力船開発事業団の五十四年度次報告会において、予稿集も拝見しましたし、実際その場において参加をさせていただいて、各報告者の報告も伺いましたけれども、一言半句新定係港の選、定について触れるところがございませんでした。政府は、事業団に定係港の選定をさしていると言い、事業団の報告の中には何一つないということは、いまの「むつ」にかかわる環境を物語っているようにも私は思います。
ただしかし、一方考えてみますと、五十年の三月に片山政務次官が、協定の当事者である鈴木善幸氏、それから竹内青森県知事、杉山県漁連会長と私を八戸に呼びまして、説明をしたその説明資料の中には、五十年三月末をもって選定作業が終了しているようなスケジュールを示しております。それを受けたもので、もう決まっているのかもしれませんけれども、しかし、その間、新定係港に対する説明はどこからもなされていないということを考えますと、その作業終了というのは何を示したのか、私は非常に疑問に今日も思っております。
私は、参議院のこの前の法改正の最終的な参考人の意見聴取に際しても参りまして、四者協定の実施が原子力船並びに原子力行政の信頼回復の第一歩ではないか、国が約束をしたことを守れないようで、どうして関係住民に理解と協力が得られようか、こういうことを申し上げた記憶がございますが、その際、ある委員の先生が、政府並びに事業団には当事者能力がないのではないか、いまの政府に、科学技術庁に、新定係港を選定する能力がおありだとお考えですかと、これは私に対する問いではございませんでしたが、問いかけをされております。
そういう中で原子力船「むつ」がいま漂流しているということは、先ほど木下参考人から必要性、あるいは竹村先生からもいろいろお話がございましたが、そういう実態の中では、こういう行政が進められていいはずがなかろうと思います。ここからまず正していくことをひとつお願いしたいと思います。
そこで、事業団法のまた五年延長でございますが、すでに二回、約十年の延長が行われて今日のような状況でございます。果たしてこれからの五年でどれだけの成果を責任をもって果たし得るのか、その辺の見きわめが、この五年延長に対する一つの決め手ではなかろうかと思います。必要であればあるほど、時日のむだな空費は許されないと思いますし、また国費の浪費も許されないと思います。きわめて少ない研究費をいかにして有効に、将来を見きわめていかに早急に対応していくかということを考えなければならない、そういう時期であろうかと思います。
先ほど来出ております研究開発専門部会の報告も拝見いたしましたが、船のデータを次の炉に活用を、これもする、あれもするというふうに書いてございます。しかし、竹村先生すでに御承知のように、次の炉を何にするかによって、このデータが使えるか使えないかということが大きくあるだろうと私は素人ながら存じます。
事業団において二次炉心の調査をすでに始めておりますが、これは年次報告によりますと、オット・ハーン型炉、それからCAS炉という炉の調査を始めております。CAS炉というのは、私は、全然わかりませんで、いろいろ調べてもらいましたが、資料がわりあいに乏しいようでございます。フランスの海軍、原子力潜水艦用の炉として検討をしているが、実際まだつくられていない中濃縮用の一体炉だ、こう発表されているのだそうでありますが、いずれにしろ、一体炉を中心とした炉型を二次炉心として事業団が考えているということは、一応政府でも考えていることととってもいいと思いますが、その場合、果たして「むつ」のデータというものが一体どれほど寄与するのかということも、私は、技術的にもっと詰めた御検討をされたならば、当面する原子力船「むつ」の扱いについても、いろいろもう少し本音が出てくるのではなかろうかというふうに存じます。先般の委員会で、今後約三百二、三十億の開発費がかかる、こういうお話があったようでございますが、その際、定係港については若干の幅があるというふうに出ているようでございます。それは何を意味するのか私にはわかりませんが、少なくとも先ほど申し上げました五十年の三月二十七日か八日に示されたスケジュールから申しますと、今後の「むつ」の開発については、ドックを持つというスケジュールが出ておりますが、そのためには、やはりそのドックを勘案した定係港の未確認というものであろうかと私は善意ながら解釈しますが、もしそうだとするならば、三十二、三億どころではなくて莫大な経費がかかり、しかも二次炉心をどうするかということによって、これからのデータがどれだけ使えるかということとも関連すると思いますと、そういう点をもう少し具体的に詰めてみる必要がこの際あるのではなかろうかと思います。
それから、「むつ」の炉についてはいろいろと風評がございます。大山委員会のメンバーであったというような方々がこう言っている、ああ言っているということも、その関係の方々から別々に二、三聞いておりますが、いずれも余りいい情報ではございません。また大変失礼ですが、木下参考人も学術会議の会員として前期まで長い間御苦労されたわけでございますが、学術会議における本音とも受け取れるような御感懐をもよそから伺ったこともございます。私は、この際、既定の概念にとらわれることなく、もう少し具体的に本音をもって詰めた原子力船開発というものをやってみる必要があるのではなかろうかと思います。また、原子力行政にかかわる重要なポストにあるある方も、いまのような委員構成を持った専門部会だとか審議会だとか懇談会だとか、そういうものをつくっても本当のものは恐らく出てこないだろう、こういう御心配をされた方がございます。さらに現日本学術会議の会長である伏見先生が、ちょうど五十年の秋に、「むつ」問題についての科学者による呼びかけのシンポジウムがございました際に、みずから御出席になりまして、御意見を述べられたことがございますが、その中に、どうしても私たちはお互いをかばい合うというようなことがある、このことがこういう事態を生んだのではなかろうか、これをいかにして排除していくかということが、今後の「むつ」を、あるいは原子力行政を進める上で非常に重要だという御発言を、当時副会長ではございましたが、されてございます。その私に言われた方も、同じ意味で、ほとんど同じような方々で構成される委員会ではなかなか思い切った意見を出し発言をすることができない、もうそろそろこの辺でだれかがどこかで言わなければならないだろう、しかし、なかなかその適任者が見当たらないという感想を漏らされたことが、つい最近でございますが、ございました。
非常に膨大な国費と時間を要します「むつ」の問題について、私は、それらの方々のお話のように、お互いをかばい合うことも、それは確かに美徳かもしれませんけれども、科学の真実を追求するためには、言いにくいことも言い、そして明らかにしていかなければならないと思いますし、また各般にわたる問題の追求も必要であろうと思います。
たとえば、先ほどの木下参考人の御意見のように、どこにでも入れるような原子力船をつくることが前提でおありのような、そういう時代を願うような、そういう技術開発をしなければならぬようなお話がございましたが、しかし、そういうことは、リコーバーの懸念を一層懸念させるものでないのかという疑念を、私はこの場で一層深くしましたし、また原子力損害賠償法が厳として存在し、商業的な損保ベースに乗らないということ自体からも、いろいろ私たちの当面する問題として、それをいかにして危険を無視しながら排除するかということではなくて、そういうものがなければ成り立たないということを前提とした当面の物の考え方をしていかなければならないのではなかろうかと思います。
同時に、この問題については、私は、TMI事故直後、昨年の四月三日の閣議の大平総理の指示として新聞紙上に伝えられておりますように、原子力災害の総合対策を、従来の災害基本法の枠にはまることなくやるようにという指示が出されたということは、従来の原子力行政のかなり大きな転換を示す御発言だと受けとめておりますが、そういうTMI後の科学技術的なものも、あるいはまた、そういう政治的な判断の問題、そういうものもひっくるめてこの際洗い直し、十分な検討の上で五カ年延長がいいのかどうか、それから、さらに「むつ」をどうすべきなのか、十分に御検討を国会の先生方にお願いしなければならないと存じて、きょう参りました。
四者協定の定係港については、次に速見参考人からお話があると思いますが、長崎においてあと一年半で期限が切れようとしております。そしてまだ本格的な改修工事には入っておりません。これも入港前の詰めの甘さがこういう結果を生んでおるのであって、決して放射線漏れ事故を起こした、そのことに対応する事業団なり科学技術庁なりの体質が改まった結果ではなかろうと思います。従来のような行き当たりばったりな行動が、いまの佐世保における苦境を生んでいるのであろうと思いますが、むつにおいてそういう事態を重ね、いままた佐世保でそういう事態を重ねております。そして、その行きつくところは、また、新定係港を選定すべき作業がどうなっているかわからないままに、いよいよ佐世保で困るからもう一度返してくれなんという行き当たりばったりな事態に至るならば、私は、原子力行政がこれまた数段後退するであろうと思います。また「むつ」の扱い、「むつ」の安全総点検が、もし間違いがあって、再びトラブルが起こるような事態を安易に招くようなことがあったならば、原子力行政はTMI以上に日本の場合は影響してくるだろうという懸念を、私は、四十九年以来持って訴えております。
今後こそ、「むつ」はトラブルのない開発をし得るという確信を持って、また、そのことに対する責任を明らかにしてやるべきだと思います。安全委員会は責任がないと申します、あるいはまた科学技術庁も必ずしも責任がない、また事業団も必ずしも責任がないというような事態で進めるならば、私は、再びその過ちを繰り返すことは、火を見るより明らかであろうと思います。そういう反面教師としての「むつ」としてお使いになるというのであれば、話はまた別でございますが、それでは余りにも「むつ」が悲惨でありましょうし、また国費をこれまでかけたもの以上にかけるという、そのことへの問題も大きく展開してくるだろうというふうに存じます。
時間のようでございますので、以上、概括的に申し上げまして、御質問がございますならば、後刻ちょうだいして、私の考えていることを申し上げたいと存じます。非常にありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →思いますと、昭和四十九年九月十日の本委員会において、放射線漏れ直後の審議に参考人として意見を申し述べる機会をいただきましてから、すでに長い期間を経過して、なおかつ「むつ」が当時言われましたように、漂流しているかのような状況を呈していることを非常に残念に思う次第でございます。
先ほどここにお見えになっておられました小宮山先生も、その際御出席いただいておりましたが、その際、小宮山先生の御発言の中に責任問題の強い要請がございましたが、その責任問題も今日なおうやむやになり、また今後の進め方についても、必ずしも明らかになっていないという時間の経過と、その経過を追いながら何ら実体的に進んでいない、そういう感懐をここに立って一層深くするものでございます。
私たちは、そのとき参考人として呼ばれた後に、鈴木総務会長の提案を入れて四者協定を結びまして、母港撤去という条項がその中に加えられておりますが、今日なおその実体を見ておりません。そして議事録その他を拝見しますと、新定係港の選定を行っておるかのような御発言が政府当局から行われておりますけれども、五十四年度の原子力白書を拝見しますと、四者協定によって新定係港を選定しなければならない、その新定係港は日本原子力船開発事業団によって行われている、こう原子力白書は説明しておりますが、一方、日本原子力船開発事業団の五十四年度次報告会において、予稿集も拝見しましたし、実際その場において参加をさせていただいて、各報告者の報告も伺いましたけれども、一言半句新定係港の選、定について触れるところがございませんでした。政府は、事業団に定係港の選定をさしていると言い、事業団の報告の中には何一つないということは、いまの「むつ」にかかわる環境を物語っているようにも私は思います。
ただしかし、一方考えてみますと、五十年の三月に片山政務次官が、協定の当事者である鈴木善幸氏、それから竹内青森県知事、杉山県漁連会長と私を八戸に呼びまして、説明をしたその説明資料の中には、五十年三月末をもって選定作業が終了しているようなスケジュールを示しております。それを受けたもので、もう決まっているのかもしれませんけれども、しかし、その間、新定係港に対する説明はどこからもなされていないということを考えますと、その作業終了というのは何を示したのか、私は非常に疑問に今日も思っております。
私は、参議院のこの前の法改正の最終的な参考人の意見聴取に際しても参りまして、四者協定の実施が原子力船並びに原子力行政の信頼回復の第一歩ではないか、国が約束をしたことを守れないようで、どうして関係住民に理解と協力が得られようか、こういうことを申し上げた記憶がございますが、その際、ある委員の先生が、政府並びに事業団には当事者能力がないのではないか、いまの政府に、科学技術庁に、新定係港を選定する能力がおありだとお考えですかと、これは私に対する問いではございませんでしたが、問いかけをされております。
そういう中で原子力船「むつ」がいま漂流しているということは、先ほど木下参考人から必要性、あるいは竹村先生からもいろいろお話がございましたが、そういう実態の中では、こういう行政が進められていいはずがなかろうと思います。ここからまず正していくことをひとつお願いしたいと思います。
そこで、事業団法のまた五年延長でございますが、すでに二回、約十年の延長が行われて今日のような状況でございます。果たしてこれからの五年でどれだけの成果を責任をもって果たし得るのか、その辺の見きわめが、この五年延長に対する一つの決め手ではなかろうかと思います。必要であればあるほど、時日のむだな空費は許されないと思いますし、また国費の浪費も許されないと思います。きわめて少ない研究費をいかにして有効に、将来を見きわめていかに早急に対応していくかということを考えなければならない、そういう時期であろうかと思います。
先ほど来出ております研究開発専門部会の報告も拝見いたしましたが、船のデータを次の炉に活用を、これもする、あれもするというふうに書いてございます。しかし、竹村先生すでに御承知のように、次の炉を何にするかによって、このデータが使えるか使えないかということが大きくあるだろうと私は素人ながら存じます。
事業団において二次炉心の調査をすでに始めておりますが、これは年次報告によりますと、オット・ハーン型炉、それからCAS炉という炉の調査を始めております。CAS炉というのは、私は、全然わかりませんで、いろいろ調べてもらいましたが、資料がわりあいに乏しいようでございます。フランスの海軍、原子力潜水艦用の炉として検討をしているが、実際まだつくられていない中濃縮用の一体炉だ、こう発表されているのだそうでありますが、いずれにしろ、一体炉を中心とした炉型を二次炉心として事業団が考えているということは、一応政府でも考えていることととってもいいと思いますが、その場合、果たして「むつ」のデータというものが一体どれほど寄与するのかということも、私は、技術的にもっと詰めた御検討をされたならば、当面する原子力船「むつ」の扱いについても、いろいろもう少し本音が出てくるのではなかろうかというふうに存じます。先般の委員会で、今後約三百二、三十億の開発費がかかる、こういうお話があったようでございますが、その際、定係港については若干の幅があるというふうに出ているようでございます。それは何を意味するのか私にはわかりませんが、少なくとも先ほど申し上げました五十年の三月二十七日か八日に示されたスケジュールから申しますと、今後の「むつ」の開発については、ドックを持つというスケジュールが出ておりますが、そのためには、やはりそのドックを勘案した定係港の未確認というものであろうかと私は善意ながら解釈しますが、もしそうだとするならば、三十二、三億どころではなくて莫大な経費がかかり、しかも二次炉心をどうするかということによって、これからのデータがどれだけ使えるかということとも関連すると思いますと、そういう点をもう少し具体的に詰めてみる必要がこの際あるのではなかろうかと思います。
それから、「むつ」の炉についてはいろいろと風評がございます。大山委員会のメンバーであったというような方々がこう言っている、ああ言っているということも、その関係の方々から別々に二、三聞いておりますが、いずれも余りいい情報ではございません。また大変失礼ですが、木下参考人も学術会議の会員として前期まで長い間御苦労されたわけでございますが、学術会議における本音とも受け取れるような御感懐をもよそから伺ったこともございます。私は、この際、既定の概念にとらわれることなく、もう少し具体的に本音をもって詰めた原子力船開発というものをやってみる必要があるのではなかろうかと思います。また、原子力行政にかかわる重要なポストにあるある方も、いまのような委員構成を持った専門部会だとか審議会だとか懇談会だとか、そういうものをつくっても本当のものは恐らく出てこないだろう、こういう御心配をされた方がございます。さらに現日本学術会議の会長である伏見先生が、ちょうど五十年の秋に、「むつ」問題についての科学者による呼びかけのシンポジウムがございました際に、みずから御出席になりまして、御意見を述べられたことがございますが、その中に、どうしても私たちはお互いをかばい合うというようなことがある、このことがこういう事態を生んだのではなかろうか、これをいかにして排除していくかということが、今後の「むつ」を、あるいは原子力行政を進める上で非常に重要だという御発言を、当時副会長ではございましたが、されてございます。その私に言われた方も、同じ意味で、ほとんど同じような方々で構成される委員会ではなかなか思い切った意見を出し発言をすることができない、もうそろそろこの辺でだれかがどこかで言わなければならないだろう、しかし、なかなかその適任者が見当たらないという感想を漏らされたことが、つい最近でございますが、ございました。
非常に膨大な国費と時間を要します「むつ」の問題について、私は、それらの方々のお話のように、お互いをかばい合うことも、それは確かに美徳かもしれませんけれども、科学の真実を追求するためには、言いにくいことも言い、そして明らかにしていかなければならないと思いますし、また各般にわたる問題の追求も必要であろうと思います。
たとえば、先ほどの木下参考人の御意見のように、どこにでも入れるような原子力船をつくることが前提でおありのような、そういう時代を願うような、そういう技術開発をしなければならぬようなお話がございましたが、しかし、そういうことは、リコーバーの懸念を一層懸念させるものでないのかという疑念を、私はこの場で一層深くしましたし、また原子力損害賠償法が厳として存在し、商業的な損保ベースに乗らないということ自体からも、いろいろ私たちの当面する問題として、それをいかにして危険を無視しながら排除するかということではなくて、そういうものがなければ成り立たないということを前提とした当面の物の考え方をしていかなければならないのではなかろうかと思います。
同時に、この問題については、私は、TMI事故直後、昨年の四月三日の閣議の大平総理の指示として新聞紙上に伝えられておりますように、原子力災害の総合対策を、従来の災害基本法の枠にはまることなくやるようにという指示が出されたということは、従来の原子力行政のかなり大きな転換を示す御発言だと受けとめておりますが、そういうTMI後の科学技術的なものも、あるいはまた、そういう政治的な判断の問題、そういうものもひっくるめてこの際洗い直し、十分な検討の上で五カ年延長がいいのかどうか、それから、さらに「むつ」をどうすべきなのか、十分に御検討を国会の先生方にお願いしなければならないと存じて、きょう参りました。
四者協定の定係港については、次に速見参考人からお話があると思いますが、長崎においてあと一年半で期限が切れようとしております。そしてまだ本格的な改修工事には入っておりません。これも入港前の詰めの甘さがこういう結果を生んでおるのであって、決して放射線漏れ事故を起こした、そのことに対応する事業団なり科学技術庁なりの体質が改まった結果ではなかろうと思います。従来のような行き当たりばったりな行動が、いまの佐世保における苦境を生んでいるのであろうと思いますが、むつにおいてそういう事態を重ね、いままた佐世保でそういう事態を重ねております。そして、その行きつくところは、また、新定係港を選定すべき作業がどうなっているかわからないままに、いよいよ佐世保で困るからもう一度返してくれなんという行き当たりばったりな事態に至るならば、私は、原子力行政がこれまた数段後退するであろうと思います。また「むつ」の扱い、「むつ」の安全総点検が、もし間違いがあって、再びトラブルが起こるような事態を安易に招くようなことがあったならば、原子力行政はTMI以上に日本の場合は影響してくるだろうという懸念を、私は、四十九年以来持って訴えております。
今後こそ、「むつ」はトラブルのない開発をし得るという確信を持って、また、そのことに対する責任を明らかにしてやるべきだと思います。安全委員会は責任がないと申します、あるいはまた科学技術庁も必ずしも責任がない、また事業団も必ずしも責任がないというような事態で進めるならば、私は、再びその過ちを繰り返すことは、火を見るより明らかであろうと思います。そういう反面教師としての「むつ」としてお使いになるというのであれば、話はまた別でございますが、それでは余りにも「むつ」が悲惨でありましょうし、また国費をこれまでかけたもの以上にかけるという、そのことへの問題も大きく展開してくるだろうというふうに存じます。
時間のようでございますので、以上、概括的に申し上げまして、御質問がございますならば、後刻ちょうだいして、私の考えていることを申し上げたいと存じます。非常にありがとうございました。拍手
瀬
速
速見魁#8
○速見参考人 ただいま御紹介いただきました長崎県議会議員、佐世保選出の速見魁でございます。
ただいまは、同じ苦悩を続けておりますむつの前市長から切実な訴えがありました。私も、現実苦悩をしておる一人として、いろいろ科学的な問題については先ほどからお話があっておりますので、それは省きまして、現実の生の問題を意見として申し上げてみたいというぐあいに考えます。
先ほどから先生方が必要性というものを述べられてまいりました。その中で、特に私は、安全性、信頼性というものについての強調がなされたというぐあいに考えます。このことについては、お互いに共通する問題だと思います。問題は、安全性、信頼性に欠陥のある「むつ」をつくったこと、そして、その欠陥船を政治的に佐世保に回航したこと、このことが、三年間の約束にかかわらず、今日なお「むつ」が修理工事に着工さえできない現状をつくったというぐあいに考えます。要するに、佐世保では原子力船とは言っておりません。政治力船と言っております。ここが大キなポイントだろうというぐあいに私は考えます。やはりこの辺を、今後は国会の先生方の方で十分ひとつ審議をお尽くしいただきたいというぐあいに考えるわけであります。
そこで、問題を幾つかにしぼって意見を申し上げてみたいというぐあいに私は考えます。
まず第一は、基本的な問題でありますが、今日的段階で、原子力開発というものは、その廃棄物の処理方法、このことが完全ではございません。やはりこのような廃棄物の処理方法が明確にならない今日の段階で、人類に危険をもたらす原子力開発は、陸上であれ船舶であれ中止をすべきである、私は、このような基本的な考え方を持っておるわけでありますし、むしろそういう立場からは、この原子力船「むつ」もやはり廃船にすべきである。廃船というのは、ただつぶしてしまうということではなくして、社会党の方から修正法案が出ておりますように、やはり当面は、研究する状況の中で原子炉を取り外して、そして陸上で十分な研究をする。もともとつくるときに陸上でそういう実験をしないで船に積み込んだことが、要するに運航もしないで事故を起こしたわけでありますから、やはりまず原点に立ち返って考えてほしい。このことは、ただ単に科学的な問題ばかりではございません。御承知のように、長崎県は世界でただ一つの被爆県であります。現在なお苦しんでおる原爆の被災者がおるわけであります。やはりこのような生の声に率直に政府も事業団も耳を傾けてほしい。このことを、まず基本的に第一に申し上げておきたいというぐあいに考えます。
第二は、原子力基本法に示されております自主、民主、公開の原則が踏みにじられておることであります。これは後で、私は、具体的に申し上げますけれども、要するに密室開発をやっておるところに、今日の原子力開発の大きな事故が起こっておる、「むつ」の事故が起こっておる、こういうことが言えるというぐあいに考えます。
十二日の新聞でありましたけれども、国立である東大核研で汚染の事故があった、こういう新聞を私は現地で見てまいりました。大体、研究をやっておる国の機関から率先をしてこのような事故を起こしたのじゃ、経済性を持ってやっておる企業、産業が事故を起こすのは、もうこれは当然と言えば当然だろうというぐあいに考えます。問題は、やはりここら辺から抜本的になくしてもらわなければ、本当の原子力開発はあり得ないのではないか、このように考えるわけであります。
これらの事故の反省もなく、「むつ」のように臭い物にふたをするように、とにかく原子炉はそのままにしておいて、遮蔽物だけを厚くして、放射線が外に漏れないようにしよう、こういう改修計画でありますから、現地ではむしろこれに対する不信がますます高まっております。とにかく、さっきから言われております安全性、信頼性二つとも、採点してみれば、これはもうゼロであります。こういうようなことでは、私は、今後の原子力行政はますます破綻をするばかりであろうと思います。むしろ、もうメンツを捨てて一から出直してほしい。どうも原子力船「むつ」の場合は、メンツだけで佐世保で強行されようとしておる、実はこのように考えられてしょうがございません。
そこで、「むつ」問題について、若干具体的な問題について触れてみたいというぐあいに考えるわけであります。
政府は、五十一年の三月に長崎県に対して原子力船「むつ」改修についての説明書というものを送りました。私も審議を尽くしてまいりましたし、五十一年の五月十九日には、この衆議院科学技術振興対策特別委員会で私も参考人として意見を述べました。問題は、原子炉プラント機器の健全性を確認して設計上の機能が維持されているかをチェックする、要するに設計には問題がないのだ、したがって、この設計されたものの機能が維持されておるかどうかということをチェックするということが、そのときの説明でありました。ところが、五十四年十一月三十日にまた説明書が参りましたが、この中には、原子炉プラントの設計の再検討を追加項目に入れました。最新の設計思想と事故経験を考慮して改良、改善を図る、これが今回の改修計画の概要であります。
要するに、具体的に言うならば、前の段階では設計には問題がなかったけれども、今度はスリーマイル島の事故の問題もあるので、設計面においても検討し直すという条項であります。その結果、必要であれば改良、改善を図る、こういうことになりますと、当然、原子炉プラント系統にまで手を入れなければならぬという事態が起こってくることは必然であります。
第二点は、一昨年の十月十六日、強行入港されまして、一年半も契約がなされないまま今日に至っております。ようやくSSKとの間にドックの使用、岸壁の使用、これが契約になっただけであります。主たる契約者である石播、三菱原子力工業、この契約も全然なされておりません。しかも私は、佐世保に入港するときに、そういう契約もしないで政治的に逃避的にむつから佐世保に持ってきたところに問題があるというぐあいに考えるわけであります。
先ほど菊池むつ前市長は、五者協定の問題を言われました。長崎県の場合でも四者協定がございます。四者協定は三年間であります。実質的にはあと一年半しかございません。こういう段階の中でまだ工事の認可がおりておりません。工事の工程、方法、それから工事に対するいろいろな諸問題についての問題が解明されておりません。ここに長崎県、特に佐世保は疑問と不安を持っておるわけであります。
そこで、一つだけ図表で申し上げますが、これが要するに三十六カ月、三年間の工事日程表であります。赤線が引っ張ってあるのが現在の五月であります。右と左でもうこれだけの違いが生じております。ところが、私たちが行ってもまだ説明してくれませんけれども、佐世保の市長から「むつ」改修の主要工事という形で原子力船開発事業団から示された工程表が出ております。これは後で具体的に御説明申し上げたいと思いますけれども、この中で一つだけ申し上げますと、要するに格納容器の下に今度は船底を含めて遮蔽装置を入れるようになっております。れんが詰めであります、コンクリート詰めでありますが、この期間が、当初の説明では約十四カ月であります。今度のこの改修工事の説明では、四カ月ないし五カ月であります。大体、十四カ月かかる工事を四カ月や五カ月で工事をしようとしても、果たしてできるのでしょうか。この疑問が実は現地であります。いま申し上げましたのは、格納容器の下の部分だけでありますが、すべて約三分の一に短縮しようとしている、当然、その中には無理な作業も出てくるでありましょう。
しかも、圧力容器の上ぶたを取り外さないで今度やる、要するに核封印方式でやるということになりました。これは以前は、圧力容器の上ぶたをとって、上ぶたの部分は船外で、十分な広場と時間をかけてやるという説明でありましたが、今度は船内でやるわけでありますから、当然、これに対しては空間がございません、危険がございます。これは政府、事業団も認めておりまして、この点については作業姿勢、作業空間等が非常に制限されるので、作業効率が悪いということを言っておる。作業効率が悪いのに、要するに三分の一の期間で、三年間でやろうとしておるわけでありますから、むしろ私は、そのような無理な作業をすれば、当然、簡略に作業を進めるのか、あるいは途中で打ち切るのかそれ以外にないと思います。事業団は盛んに、三年間で約束を守ると言っておりますけれども、このこと自体実は私たちも信頼ができないわけであります。仮に五者協定を守ると言われるとするならば、青森県むつ市のように、青森県の五者協定のように後からずるずる、行き先がないから居座ることがないようにはっきりした証言が欲しいわけであります。来年の十月十六日には、修理が終わろうと終わるまいと、いかなる条件があろうとも必ず佐世保からは出港させます、こういう証言があれば信頼します。努力をします、協定を守ります、このことだけでは、青森県の例がありますから信頼はできないわけであります。定係港の問題でもしかりであります。とにかく何もかもうそでつくられた「むつ」でありますから、はっきり申し上げまして、信頼はできません。
以上申し上げまして意見といたしますが、いずれにいたしましても、もうこう薬張りではなくて、ひとつ一から出直してほしい。メンツよりも一から出直していただいた方が国益に適しているし、そして新しくつくろうと思えば新しい船をつくった方がいいのじゃないでしょうか。そして一番初めから失敗をした船ですから、こういうものは取りやめて、舶用炉の研究を進められた方が、財政的にも非常に苦しい国家財政のようでありますから、要らぬ金を使うよりか、そういうふうに出直してやった方がむしろ国民の幸せになるのではないか、このように考えて、私の意見の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →ただいまは、同じ苦悩を続けておりますむつの前市長から切実な訴えがありました。私も、現実苦悩をしておる一人として、いろいろ科学的な問題については先ほどからお話があっておりますので、それは省きまして、現実の生の問題を意見として申し上げてみたいというぐあいに考えます。
先ほどから先生方が必要性というものを述べられてまいりました。その中で、特に私は、安全性、信頼性というものについての強調がなされたというぐあいに考えます。このことについては、お互いに共通する問題だと思います。問題は、安全性、信頼性に欠陥のある「むつ」をつくったこと、そして、その欠陥船を政治的に佐世保に回航したこと、このことが、三年間の約束にかかわらず、今日なお「むつ」が修理工事に着工さえできない現状をつくったというぐあいに考えます。要するに、佐世保では原子力船とは言っておりません。政治力船と言っております。ここが大キなポイントだろうというぐあいに私は考えます。やはりこの辺を、今後は国会の先生方の方で十分ひとつ審議をお尽くしいただきたいというぐあいに考えるわけであります。
そこで、問題を幾つかにしぼって意見を申し上げてみたいというぐあいに私は考えます。
まず第一は、基本的な問題でありますが、今日的段階で、原子力開発というものは、その廃棄物の処理方法、このことが完全ではございません。やはりこのような廃棄物の処理方法が明確にならない今日の段階で、人類に危険をもたらす原子力開発は、陸上であれ船舶であれ中止をすべきである、私は、このような基本的な考え方を持っておるわけでありますし、むしろそういう立場からは、この原子力船「むつ」もやはり廃船にすべきである。廃船というのは、ただつぶしてしまうということではなくして、社会党の方から修正法案が出ておりますように、やはり当面は、研究する状況の中で原子炉を取り外して、そして陸上で十分な研究をする。もともとつくるときに陸上でそういう実験をしないで船に積み込んだことが、要するに運航もしないで事故を起こしたわけでありますから、やはりまず原点に立ち返って考えてほしい。このことは、ただ単に科学的な問題ばかりではございません。御承知のように、長崎県は世界でただ一つの被爆県であります。現在なお苦しんでおる原爆の被災者がおるわけであります。やはりこのような生の声に率直に政府も事業団も耳を傾けてほしい。このことを、まず基本的に第一に申し上げておきたいというぐあいに考えます。
第二は、原子力基本法に示されております自主、民主、公開の原則が踏みにじられておることであります。これは後で、私は、具体的に申し上げますけれども、要するに密室開発をやっておるところに、今日の原子力開発の大きな事故が起こっておる、「むつ」の事故が起こっておる、こういうことが言えるというぐあいに考えます。
十二日の新聞でありましたけれども、国立である東大核研で汚染の事故があった、こういう新聞を私は現地で見てまいりました。大体、研究をやっておる国の機関から率先をしてこのような事故を起こしたのじゃ、経済性を持ってやっておる企業、産業が事故を起こすのは、もうこれは当然と言えば当然だろうというぐあいに考えます。問題は、やはりここら辺から抜本的になくしてもらわなければ、本当の原子力開発はあり得ないのではないか、このように考えるわけであります。
これらの事故の反省もなく、「むつ」のように臭い物にふたをするように、とにかく原子炉はそのままにしておいて、遮蔽物だけを厚くして、放射線が外に漏れないようにしよう、こういう改修計画でありますから、現地ではむしろこれに対する不信がますます高まっております。とにかく、さっきから言われております安全性、信頼性二つとも、採点してみれば、これはもうゼロであります。こういうようなことでは、私は、今後の原子力行政はますます破綻をするばかりであろうと思います。むしろ、もうメンツを捨てて一から出直してほしい。どうも原子力船「むつ」の場合は、メンツだけで佐世保で強行されようとしておる、実はこのように考えられてしょうがございません。
そこで、「むつ」問題について、若干具体的な問題について触れてみたいというぐあいに考えるわけであります。
政府は、五十一年の三月に長崎県に対して原子力船「むつ」改修についての説明書というものを送りました。私も審議を尽くしてまいりましたし、五十一年の五月十九日には、この衆議院科学技術振興対策特別委員会で私も参考人として意見を述べました。問題は、原子炉プラント機器の健全性を確認して設計上の機能が維持されているかをチェックする、要するに設計には問題がないのだ、したがって、この設計されたものの機能が維持されておるかどうかということをチェックするということが、そのときの説明でありました。ところが、五十四年十一月三十日にまた説明書が参りましたが、この中には、原子炉プラントの設計の再検討を追加項目に入れました。最新の設計思想と事故経験を考慮して改良、改善を図る、これが今回の改修計画の概要であります。
要するに、具体的に言うならば、前の段階では設計には問題がなかったけれども、今度はスリーマイル島の事故の問題もあるので、設計面においても検討し直すという条項であります。その結果、必要であれば改良、改善を図る、こういうことになりますと、当然、原子炉プラント系統にまで手を入れなければならぬという事態が起こってくることは必然であります。
第二点は、一昨年の十月十六日、強行入港されまして、一年半も契約がなされないまま今日に至っております。ようやくSSKとの間にドックの使用、岸壁の使用、これが契約になっただけであります。主たる契約者である石播、三菱原子力工業、この契約も全然なされておりません。しかも私は、佐世保に入港するときに、そういう契約もしないで政治的に逃避的にむつから佐世保に持ってきたところに問題があるというぐあいに考えるわけであります。
先ほど菊池むつ前市長は、五者協定の問題を言われました。長崎県の場合でも四者協定がございます。四者協定は三年間であります。実質的にはあと一年半しかございません。こういう段階の中でまだ工事の認可がおりておりません。工事の工程、方法、それから工事に対するいろいろな諸問題についての問題が解明されておりません。ここに長崎県、特に佐世保は疑問と不安を持っておるわけであります。
そこで、一つだけ図表で申し上げますが、これが要するに三十六カ月、三年間の工事日程表であります。赤線が引っ張ってあるのが現在の五月であります。右と左でもうこれだけの違いが生じております。ところが、私たちが行ってもまだ説明してくれませんけれども、佐世保の市長から「むつ」改修の主要工事という形で原子力船開発事業団から示された工程表が出ております。これは後で具体的に御説明申し上げたいと思いますけれども、この中で一つだけ申し上げますと、要するに格納容器の下に今度は船底を含めて遮蔽装置を入れるようになっております。れんが詰めであります、コンクリート詰めでありますが、この期間が、当初の説明では約十四カ月であります。今度のこの改修工事の説明では、四カ月ないし五カ月であります。大体、十四カ月かかる工事を四カ月や五カ月で工事をしようとしても、果たしてできるのでしょうか。この疑問が実は現地であります。いま申し上げましたのは、格納容器の下の部分だけでありますが、すべて約三分の一に短縮しようとしている、当然、その中には無理な作業も出てくるでありましょう。
しかも、圧力容器の上ぶたを取り外さないで今度やる、要するに核封印方式でやるということになりました。これは以前は、圧力容器の上ぶたをとって、上ぶたの部分は船外で、十分な広場と時間をかけてやるという説明でありましたが、今度は船内でやるわけでありますから、当然、これに対しては空間がございません、危険がございます。これは政府、事業団も認めておりまして、この点については作業姿勢、作業空間等が非常に制限されるので、作業効率が悪いということを言っておる。作業効率が悪いのに、要するに三分の一の期間で、三年間でやろうとしておるわけでありますから、むしろ私は、そのような無理な作業をすれば、当然、簡略に作業を進めるのか、あるいは途中で打ち切るのかそれ以外にないと思います。事業団は盛んに、三年間で約束を守ると言っておりますけれども、このこと自体実は私たちも信頼ができないわけであります。仮に五者協定を守ると言われるとするならば、青森県むつ市のように、青森県の五者協定のように後からずるずる、行き先がないから居座ることがないようにはっきりした証言が欲しいわけであります。来年の十月十六日には、修理が終わろうと終わるまいと、いかなる条件があろうとも必ず佐世保からは出港させます、こういう証言があれば信頼します。努力をします、協定を守ります、このことだけでは、青森県の例がありますから信頼はできないわけであります。定係港の問題でもしかりであります。とにかく何もかもうそでつくられた「むつ」でありますから、はっきり申し上げまして、信頼はできません。
以上申し上げまして意見といたしますが、いずれにいたしましても、もうこう薬張りではなくて、ひとつ一から出直してほしい。メンツよりも一から出直していただいた方が国益に適しているし、そして新しくつくろうと思えば新しい船をつくった方がいいのじゃないでしょうか。そして一番初めから失敗をした船ですから、こういうものは取りやめて、舶用炉の研究を進められた方が、財政的にも非常に苦しい国家財政のようでありますから、要らぬ金を使うよりか、そういうふうに出直してやった方がむしろ国民の幸せになるのではないか、このように考えて、私の意見の陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。拍手
瀬
井
井坂正規#10
○井坂参考人 井坂でございます。
私は、現在、日本原子力研究所労働組合の中央執行委員長であると同時に、JRR4という原子炉で運転及び保守の業務に携わっております。そういう立場から発言させていただきたいと思います。
まず初めに、原研の労働組合が、これまで「むつ」の問題につきまして、いろいろと労働組合として検討してきまして、その検討してきたことがパンフレットあるいは報告書という形でまとめて報告されておりますので、それについて若干紹介させていただきたいというように思います。
一九七四年の九月に「原子力船「むつ」放射線漏れ問題に関する報告書」というのを出しておりますが、これは原研労組として放射線漏れの問題につきまして検討した結果をまとめたものであります。この報告書によりますと、問題点は五つぐらいに要約してまとめてありまして、まず設計資料が非公開であるという点です。これは労働組合として、そういう原子力船の放射線漏れの問題につきまして、いろいろ調べようとしても、データが公開されていないということによって、調査自身も非常に困難を来す、そういうことでは研究にとっても非常に問題なのではないかということが指摘されているわけであります。二番目として、研究者の意見が非常に軽視されているという点が報告されております。これは設計の再評価というような声が、研究者の間から出されておりましたけれども、そういった声が実際には取り入れられなかったといった問題であります。それから次に、自主研究の放棄といった問題であります。これは日本の原子力開発が、発電炉からの導入技術によってずっと進められてきたという経過の中で、基礎研究の基盤がないのにいきなり船をつくったというようなところに大きな問題点があったのではないかというようなことであります。四番目は、事業団体制の問題であります。事業団体制として、事業団は出向者で占められておりまして、長期に一貫して責任を持ってやれるような体制にはなっていないということであります。こういう事業団体制では、本当の研究というのはできないのではないかということであります。次に、安全審査の問題であります。安全審査の問題につきましては、専門のスタッフがいないというような問題で、検査官がパートタイマーとしてやっておるといったような問題が報告されております。
それから、この報告書に続きまして、一九七六年五月に原子力船「むつ」の遮蔽改修に関する共同研究についての調査報告書というのを出しております。これは昭和五十一年の三月ごろから、原船団、原研、船舶技研、三者共同研究ということで、私の働いている四号炉で共同研究が行われたということになっているわけでありますけれども、それについて調査検討した結果、これは共同研究というのは名ばかりで、原研の研究者の意見を反映させる余地はきわめて少なかったということが報告されております。
さらに、その年の六月に、原子力船「むつ」問題を解明するということで、これがパンフレットになっておりますけれども、科学者会議と共同編集ということで「むつ」問題は、単なる技術的な問題ではなく、原子力開発のあり方の本質にかかわる重大な問題であるということで、各方面から分析した結果がいろいろまとめられております。この資料は各党の方にはお配りしておりますけれども、ここに若干持ってきておりますので、必要があればお配りしたいというふうに思います。
続きまして、今回の法改正についての問題点、原研労組が特に問題だと思っている点について述べさせていただきたいと思います。
それは、原子力船事業団の統合先がどうも五年以内に原研に統合されるというような予定になっている、そういう予定になっているにもかかわらず、原研の研究者、技術者、こういった人たちの意見を十分聞くという努力が現在なされていないという点であります。
この点について労働組合では、何回か研究者の意見を聞く集会なども持っておりますけれども、その中で出てきた意見を紹介しますと、まず一つの問題として、原子力船「むつ」が研究材料として本当に活用価値があるのかどうかという点であります。労組の企画した討論会の中で、研究者の意見として出てきたものとしては、「むつ」の原子炉は、非常に古いタイプの炉であって、今後の舶用炉の開発の研究材料として役立たないのではないか、そういう意見が多かったわけであります。そして、むしろ「むつ」は邪魔になるのではないかといった意見も多く出ております。
また、政府の法案では「むつ」を動かして、今後の資料にするデータをとるというようなことを言われておりますけれども、陸上での基礎研究、そういったものの積み上げ、そういうものがなしに船でデータをとると言っても、本当に有効なデータが果たしてとれるのであろうかということであります。どういうデータが必要なのかということは、基礎研究の段階からそういうことを予想して検討していかなければならないもので、ただやみくもにデータをとっても、データがたくさん集まったというだけで、それが役立たないということになるという可能性があるということであります。
続きまして、最近、スリーマイル島の原発事故がありまして、安全審査を厳しくする必要があるということが各方面から言われているわけでありますけれども、「むつ」を遮蔽、改修して、安全上の問題で果たして今後本当に解決できる見通しがあるのかどうか、これはきわめて疑問だという点であります。
さらに、研究開発をやる体制の問題として、たとえば原研で舶用炉の研究をやるというようなことをわれわれは否定するわけではありませんけれども、そういう舶用炉の研究をしてほしいというのであれば、事前に研究者、技術者の意見を十分聞いて、基礎からやり直す、どういう体制でやるのかということも、きちんと研究者の討議の中でつくっていくという点が必要だという点であります。
さらに、人員と予算についても十分な保証が必要だということであります。
それから、研究をやるに当たりましては、研究者の自由の問題、基本的人権、それから研究者の権利の保障といったような問題も必要であるということです。
次に、原子力船事業団法が統廃合の問題として出されておりますけれども、今後、統廃合がどのように進むかという点であります。
今度の法案が通れば、「むつ」の結果がどうあろうと、それに関係なく統廃合が進められるというふうに私たち思っているわけでありますけれども、安易な統廃合がきわめてまずい結果を招きかねないということをわれわれ心配するわけであります。
かつて原研の大阪研究所が、高分子研究所より原研に統合されましたが、この大阪研究所の運営について、いまきわめて憂慮すべき状態になっているということが、大阪研の組合員から報告されております。この大阪研についてもどういう状況になっているか、ぜひ政府としても調査していただきたいというふうに思います。
また最近、原研のJPDRの廃炉の方針が新聞で報道されております。この新聞発表を見ますと、現場のJPDRの上司の方々が説明されていることと大分違った内容が報道されているということがあります。これは一般の国民かあるいは現場の職員か、いずれにしろ、どちらかを欺くことになるのではないかというふうに思います。
「むつ」については、一切そういった説明はなされていないというのが現在の状況であります。こういった状況では困るということであります。
このようなもろもろの点を含めて今後どうすべきか、研究者、技術者の意見を十分に聞く必要があるという点であります。
政府が「むつ」問題を本当に解決したい、そういうふうに思っているのであれば、現時点で「むつ」をどうするかというのは、白紙の状態にして、研究者、技術者の検討にゆだねるというそういう態度をとられたらいかがなものでしょうか。それだったら、原研の労働組合としても、そういった政府に協力してやっていく、そういう用意はあるということを言っておきたいと思います。そうでなくて、いまの法案を通した後で後始末だけをわれわれ原研の労働者に押しつけられるというようなことになるのであれば、われわれは組織を挙げてこれに反対せざるを得ないと言わざるを得ないのであります。
最後に、原子力船が外国では軍事利用と表裏一体という中で開発が進められてきているという中で、わが国が平和利用を貫くということは、重要な問題でありますし、原子力三原則を厳格に守り、軍事利用など絶対にしないと、そういうことを約束していただきたい。そのために国会でぜひ非核三原則を法制化していただきたい、そういうことを申し上げまして発言を終わります。拍手
この発言だけを見る →私は、現在、日本原子力研究所労働組合の中央執行委員長であると同時に、JRR4という原子炉で運転及び保守の業務に携わっております。そういう立場から発言させていただきたいと思います。
まず初めに、原研の労働組合が、これまで「むつ」の問題につきまして、いろいろと労働組合として検討してきまして、その検討してきたことがパンフレットあるいは報告書という形でまとめて報告されておりますので、それについて若干紹介させていただきたいというように思います。
一九七四年の九月に「原子力船「むつ」放射線漏れ問題に関する報告書」というのを出しておりますが、これは原研労組として放射線漏れの問題につきまして検討した結果をまとめたものであります。この報告書によりますと、問題点は五つぐらいに要約してまとめてありまして、まず設計資料が非公開であるという点です。これは労働組合として、そういう原子力船の放射線漏れの問題につきまして、いろいろ調べようとしても、データが公開されていないということによって、調査自身も非常に困難を来す、そういうことでは研究にとっても非常に問題なのではないかということが指摘されているわけであります。二番目として、研究者の意見が非常に軽視されているという点が報告されております。これは設計の再評価というような声が、研究者の間から出されておりましたけれども、そういった声が実際には取り入れられなかったといった問題であります。それから次に、自主研究の放棄といった問題であります。これは日本の原子力開発が、発電炉からの導入技術によってずっと進められてきたという経過の中で、基礎研究の基盤がないのにいきなり船をつくったというようなところに大きな問題点があったのではないかというようなことであります。四番目は、事業団体制の問題であります。事業団体制として、事業団は出向者で占められておりまして、長期に一貫して責任を持ってやれるような体制にはなっていないということであります。こういう事業団体制では、本当の研究というのはできないのではないかということであります。次に、安全審査の問題であります。安全審査の問題につきましては、専門のスタッフがいないというような問題で、検査官がパートタイマーとしてやっておるといったような問題が報告されております。
それから、この報告書に続きまして、一九七六年五月に原子力船「むつ」の遮蔽改修に関する共同研究についての調査報告書というのを出しております。これは昭和五十一年の三月ごろから、原船団、原研、船舶技研、三者共同研究ということで、私の働いている四号炉で共同研究が行われたということになっているわけでありますけれども、それについて調査検討した結果、これは共同研究というのは名ばかりで、原研の研究者の意見を反映させる余地はきわめて少なかったということが報告されております。
さらに、その年の六月に、原子力船「むつ」問題を解明するということで、これがパンフレットになっておりますけれども、科学者会議と共同編集ということで「むつ」問題は、単なる技術的な問題ではなく、原子力開発のあり方の本質にかかわる重大な問題であるということで、各方面から分析した結果がいろいろまとめられております。この資料は各党の方にはお配りしておりますけれども、ここに若干持ってきておりますので、必要があればお配りしたいというふうに思います。
続きまして、今回の法改正についての問題点、原研労組が特に問題だと思っている点について述べさせていただきたいと思います。
それは、原子力船事業団の統合先がどうも五年以内に原研に統合されるというような予定になっている、そういう予定になっているにもかかわらず、原研の研究者、技術者、こういった人たちの意見を十分聞くという努力が現在なされていないという点であります。
この点について労働組合では、何回か研究者の意見を聞く集会なども持っておりますけれども、その中で出てきた意見を紹介しますと、まず一つの問題として、原子力船「むつ」が研究材料として本当に活用価値があるのかどうかという点であります。労組の企画した討論会の中で、研究者の意見として出てきたものとしては、「むつ」の原子炉は、非常に古いタイプの炉であって、今後の舶用炉の開発の研究材料として役立たないのではないか、そういう意見が多かったわけであります。そして、むしろ「むつ」は邪魔になるのではないかといった意見も多く出ております。
また、政府の法案では「むつ」を動かして、今後の資料にするデータをとるというようなことを言われておりますけれども、陸上での基礎研究、そういったものの積み上げ、そういうものがなしに船でデータをとると言っても、本当に有効なデータが果たしてとれるのであろうかということであります。どういうデータが必要なのかということは、基礎研究の段階からそういうことを予想して検討していかなければならないもので、ただやみくもにデータをとっても、データがたくさん集まったというだけで、それが役立たないということになるという可能性があるということであります。
続きまして、最近、スリーマイル島の原発事故がありまして、安全審査を厳しくする必要があるということが各方面から言われているわけでありますけれども、「むつ」を遮蔽、改修して、安全上の問題で果たして今後本当に解決できる見通しがあるのかどうか、これはきわめて疑問だという点であります。
さらに、研究開発をやる体制の問題として、たとえば原研で舶用炉の研究をやるというようなことをわれわれは否定するわけではありませんけれども、そういう舶用炉の研究をしてほしいというのであれば、事前に研究者、技術者の意見を十分聞いて、基礎からやり直す、どういう体制でやるのかということも、きちんと研究者の討議の中でつくっていくという点が必要だという点であります。
さらに、人員と予算についても十分な保証が必要だということであります。
それから、研究をやるに当たりましては、研究者の自由の問題、基本的人権、それから研究者の権利の保障といったような問題も必要であるということです。
次に、原子力船事業団法が統廃合の問題として出されておりますけれども、今後、統廃合がどのように進むかという点であります。
今度の法案が通れば、「むつ」の結果がどうあろうと、それに関係なく統廃合が進められるというふうに私たち思っているわけでありますけれども、安易な統廃合がきわめてまずい結果を招きかねないということをわれわれ心配するわけであります。
かつて原研の大阪研究所が、高分子研究所より原研に統合されましたが、この大阪研究所の運営について、いまきわめて憂慮すべき状態になっているということが、大阪研の組合員から報告されております。この大阪研についてもどういう状況になっているか、ぜひ政府としても調査していただきたいというふうに思います。
また最近、原研のJPDRの廃炉の方針が新聞で報道されております。この新聞発表を見ますと、現場のJPDRの上司の方々が説明されていることと大分違った内容が報道されているということがあります。これは一般の国民かあるいは現場の職員か、いずれにしろ、どちらかを欺くことになるのではないかというふうに思います。
「むつ」については、一切そういった説明はなされていないというのが現在の状況であります。こういった状況では困るということであります。
このようなもろもろの点を含めて今後どうすべきか、研究者、技術者の意見を十分に聞く必要があるという点であります。
政府が「むつ」問題を本当に解決したい、そういうふうに思っているのであれば、現時点で「むつ」をどうするかというのは、白紙の状態にして、研究者、技術者の検討にゆだねるというそういう態度をとられたらいかがなものでしょうか。それだったら、原研の労働組合としても、そういった政府に協力してやっていく、そういう用意はあるということを言っておきたいと思います。そうでなくて、いまの法案を通した後で後始末だけをわれわれ原研の労働者に押しつけられるというようなことになるのであれば、われわれは組織を挙げてこれに反対せざるを得ないと言わざるを得ないのであります。
最後に、原子力船が外国では軍事利用と表裏一体という中で開発が進められてきているという中で、わが国が平和利用を貫くということは、重要な問題でありますし、原子力三原則を厳格に守り、軍事利用など絶対にしないと、そういうことを約束していただきたい。そのために国会でぜひ非核三原則を法制化していただきたい、そういうことを申し上げまして発言を終わります。拍手
瀬
中
中川幹雄#12
○中川参考人 御紹介いただきました中川参考人であります。
私たち造船重機労連は、労働組合の立場から原子力の平和利用ということを積極的に打ち出しております。原子力の平和利用といいますと、発電、さらには、ここで議論されておりますところの原子力船になろうかと思います。
なぜわれわれが原子力の平和利用を願うのか、それは端的に申し上げまして、ちょっと天井を見ていただきたいのですけれども、この天井には十二カ所の蛍光灯がついておりますが、この十二カ所の蛍光灯の中の二カ所はもうすでに原子力発電によって賄われている、それだけ原子力はわれわれの生活に結びついてきているというところが、われわれが関心を持たなければいけない大きな問題ではないかと考えているところであります。
そこで、原子力船にかかわる問題について推進する背景について若干申し上げますと、先ほど来議論されておりますけれども、一つは、エネルギー対策だと思います。さらには、われわれ造船、海運の将来の産業政策としての大きな課題ではないか、さらに原子力船技術、それに波及して出てまいります技術開発、そういったことを通じながら、新しい分野の産業開発をしながら、そのことから雇用を拡大していただく、雇用を拡大させ、われわれの働く道を求めてもらう、そういう単に造船、海運のみならず、国民的な課題ではないかと考えているところであります。
細かく申し上げますと、エネルギー問題は、世界各国共通の大きなテーマになっております。一週間前ですか、国際エネルギー機関IEAで、事務局レベルでの話を聞いておりますけれども、石油需要抑制のために、石油から脱皮して原子力を活用していこうではないかという提言がなされたようであります。とりわけ、われわれ日本という国は、ほとんどのエネルギーを輸入しておるわけであります。私が言うまでもありませんけれども、イラン問題を含めて供給不足、供給の不安定、さらには高価格といったことを考えますと、石油の有効活用、石油からの脱皮が、単に専門家だけではなくて、われわれ労働組合も率直に関心を持たなければならない問題ではないかと考えているところであります。特にわれわれ海運業においては、石油のおよそ一〇%を消費していると言われております。これをすべて原子力にということにはいかないと思いますけれども、少しでも原子力への移行ということを通じて国民に対するわれわれの責任を果たしていくことも一面必要ではないかと考えております。
また、世界の産業分野は、発展途上国の工業化の進展に伴いまして、われわれの働く基幹産業というのは、工業国間の国際競争が非常に激化しているところであります。したがいまして、そのこととの関連も含めて、国際分業の傾向が一層高まっているわけでありますけれども、こういった中で、何とかわれわれ日本が世界的工業国としていままで以上にその役割りを果たしていこうとするならば、さらに国際競争力を維持していこうとするならば、いままでやってきた産業ではなくて新しい産業、それも技術集約的な産業あるいは付加価値の非常に高い分野への産業構造の転換がおのずから求められなければならないし、また求めていかなければならないと考えているわけであります。
われわれ海運、造船は、世界の中でもリーダーシップを持っている国であります。その海運、造船業も、この五年間非常にめちゃめちゃな不況を経験してまいりました。何とか政治、さらには労使の努力によりまして立ち直りのきっかけをつかみつつありますけれども、発展途上国の追い上げという非常に厳しい状況の中に置かれております。これからわれわれ造船が目指す一つの方向は、技術集約度の高い、しかも付加価値の高い船といったところに、われわれの視点が生まれてこようかと思っております。
さらには、船のみならず、海洋構造物への開発も、いま私どもはその代表的なものとしてここで取り上げられております原子力船なりセミサブ式浮体空港、今国会でいろいろ御議論いただいておりますけれども、こんなところもわれわれの目指す一つの方向だということを御理解いただきたいわけであります。
さて、原子力船の状況でありますが、多くは申し上げませんけれども、すでにアメリカあるいは西ドイツ、ソ連においても、原子力船の時代に備えながら着実にその実績と経験をかなり積んできているようであります。米国ではサバンナ号を完成させながら、もうすでに運航する上での技術的な問題はないというところまで来ているようであります。西ドイツについても、オット・ハーン号を中心にしながら、もうすでに実験船としての機能を果たして、原子力船としての実験を完了しているように聞いております。ソ連についても全く同様であります。
一方、わが国の造船ないし海運における状況から考えますと、その原子力船についての方向がまだまだ定まっていない、さらには、その力がないわけでありますけれども、そのことにおけるわが国の開発を急がなければならないのではないか、そういう立場に考えているところであります。原子力船「むつ」があのような状態の中に置かれておるわけでありますけれども、何と言ってもこの責任は、われわれも政府に大きく求めるところであります。
原子力船の実用化は二十一世紀という提言が一つ行われておりますけれども、もっと早い時期にその状況が生まれてくるのではないか。つまり、石油の供給が非常に不安定である、非常に高いといったことを考えますと、この二十世紀後半には、そういった需要を通じながら建造に取りかかる国があらわれてくるのではないか。したがいまして、われわれは一日も早く安全確保を第一にしながら、信頼性なり経済性等のノーハウを確立するために、政府主導型で積極的に推進していただきたいと思うわけであります。
そのためには、当面「むつ」が議論されておるわけでありますけれども、何と言っても早急に工事契約を結び、安全にしかも確実に修繕をし、完成した上で試験航海を行い、あらゆるデータを集めて実用化に向けての前進を図っていただきたい。特にここで言及しておきたい点は、われわれは船を修理する側でありますから、修理に際しては、十分な費用と時間と労働者の安全対策に万全を期してやっていただきたい。われわれ労働組合としても、みずからの問題として点検をし、監視体制を整えていくつもりでおりますけれども、そういったことについてぜひともお願いをしておきたいと思います。
一方、先ほど来の議論の中にも、私の受け取り方が悪かったら御訂正いただきたいわけでありますけれども、原子力船の開発を否定するような動きがあるわけであります。しかし「むつ」は、国民の財産であるという立場に立ちながら、政府は積極的に運動を進めていくことが必要ではないか、すでに世界の趨勢は、原子力を中心にして動いてきている、こういったことに目をつぶることは果たして国民にとってプラスなのか、やはり国民の期待する方向に持っていくことが必要ではないか。御案内のとおり「むつ」の開発は、国会でその必要性が認められ、推進をされてきているわけであります。その費用は、私が言うまでもありませんが、すでに五十三年度末までに二百六十億強の税金が使われているわけであります。この船を廃船することは、二百六十億円をどぶに捨てることにつながる、こう言明しても間違いはないのではないか。政府は責任を持って修理をして完成させ、国民の期待にこたえることが必要ではないかということを私は申し上げておきたいわけであります。
改めて次の点をひとつ政府に申し上げ、要請をしたいと思います。
一つは、原子力基本法の三原則でありますところの自主、民主、公開の原則を徹底していただきたい。やはり自主技術を開発する、そのことによって国産技術を確立することが非常に必要ではないか。われわれ産業にはその技術力と労働力はあると断言するにやぶさかではございません。さらに原子力開発は、国民の合意が第一義であることは論をまちません。そのためには、原子力の正しい知識を積極的にPRする、さらには、企業は企業の持つ社会的責任というものを果たす、そういう状況の中で、安全にかかわる問題を初めとして、政府主導で積極的に国民に公開していく、消極的な公開ではなくて前向きな公開ということをぜひともお願いしたいところであります。
二つ目には、わが国で蓄積されている発電用原子炉の技術、さらには造船技術を十分生かして、原子力船技術を確立する中で、関連する産業の開発、さらには新分野の産業拡大をして、われわれ労働者に新しい雇用をつくってほしい、このように考えるところであります。
三つ目には、現在、原船団におる職員を見てみますと、非常に哀れな状態に置かれているようであります。やはりそこで働いている人たちの労働条件なり雇用の保障ということを積極的にやりながら、そこに働く人たちが一生懸命仕事ができる環境をつくってやることが、私たちは、その周りの人として必要ではないかと思います。
四つ目に、先ほども若干出ておりましたけれども、この原子力船「むつ」というのは、政治がすべて先行しております。原子力というのは、われわれの目に見えないところにも技術的な大きな問題があろうかと思いますけれども、やはり技術者、科学優先の開発、そのためには優秀な人材が世の中にはいっぱいいるわけでございますから、政府の主導の中で、そういう学者諸士に積極的に原子力開発に向けての方向で問題提起をしていくことが必要ではないか、そういったことのために法の整備は当然必要だと思います。さらには十分な予算措置も必要だと思います。そのためには、国民、さらにわれわれ働く側は、拍手を贈って、そういったことに十分対応する考え方を持っております。
最後に、安全対策について言及したいと思います。
先ほど来私たちは、労働組合の立場からいろいろ申し上げましたけれども、安全を第一義として初めてその選択の対象になることは言うまでもないわけであります。原子炉の事故、さらには海難事故、あらゆることを想定しながら、そのときの安全対策を二重三重に、さらに四重に講じながら、政府の主導のもとに、国民の合意の得られる原子力船づくりを推進していただきたいことを申し上げておきたいと思います。
われわれ労働組合としても、事前協議を通じながら積極的に参加し、協力していくことを申し上げまして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私たち造船重機労連は、労働組合の立場から原子力の平和利用ということを積極的に打ち出しております。原子力の平和利用といいますと、発電、さらには、ここで議論されておりますところの原子力船になろうかと思います。
なぜわれわれが原子力の平和利用を願うのか、それは端的に申し上げまして、ちょっと天井を見ていただきたいのですけれども、この天井には十二カ所の蛍光灯がついておりますが、この十二カ所の蛍光灯の中の二カ所はもうすでに原子力発電によって賄われている、それだけ原子力はわれわれの生活に結びついてきているというところが、われわれが関心を持たなければいけない大きな問題ではないかと考えているところであります。
そこで、原子力船にかかわる問題について推進する背景について若干申し上げますと、先ほど来議論されておりますけれども、一つは、エネルギー対策だと思います。さらには、われわれ造船、海運の将来の産業政策としての大きな課題ではないか、さらに原子力船技術、それに波及して出てまいります技術開発、そういったことを通じながら、新しい分野の産業開発をしながら、そのことから雇用を拡大していただく、雇用を拡大させ、われわれの働く道を求めてもらう、そういう単に造船、海運のみならず、国民的な課題ではないかと考えているところであります。
細かく申し上げますと、エネルギー問題は、世界各国共通の大きなテーマになっております。一週間前ですか、国際エネルギー機関IEAで、事務局レベルでの話を聞いておりますけれども、石油需要抑制のために、石油から脱皮して原子力を活用していこうではないかという提言がなされたようであります。とりわけ、われわれ日本という国は、ほとんどのエネルギーを輸入しておるわけであります。私が言うまでもありませんけれども、イラン問題を含めて供給不足、供給の不安定、さらには高価格といったことを考えますと、石油の有効活用、石油からの脱皮が、単に専門家だけではなくて、われわれ労働組合も率直に関心を持たなければならない問題ではないかと考えているところであります。特にわれわれ海運業においては、石油のおよそ一〇%を消費していると言われております。これをすべて原子力にということにはいかないと思いますけれども、少しでも原子力への移行ということを通じて国民に対するわれわれの責任を果たしていくことも一面必要ではないかと考えております。
また、世界の産業分野は、発展途上国の工業化の進展に伴いまして、われわれの働く基幹産業というのは、工業国間の国際競争が非常に激化しているところであります。したがいまして、そのこととの関連も含めて、国際分業の傾向が一層高まっているわけでありますけれども、こういった中で、何とかわれわれ日本が世界的工業国としていままで以上にその役割りを果たしていこうとするならば、さらに国際競争力を維持していこうとするならば、いままでやってきた産業ではなくて新しい産業、それも技術集約的な産業あるいは付加価値の非常に高い分野への産業構造の転換がおのずから求められなければならないし、また求めていかなければならないと考えているわけであります。
われわれ海運、造船は、世界の中でもリーダーシップを持っている国であります。その海運、造船業も、この五年間非常にめちゃめちゃな不況を経験してまいりました。何とか政治、さらには労使の努力によりまして立ち直りのきっかけをつかみつつありますけれども、発展途上国の追い上げという非常に厳しい状況の中に置かれております。これからわれわれ造船が目指す一つの方向は、技術集約度の高い、しかも付加価値の高い船といったところに、われわれの視点が生まれてこようかと思っております。
さらには、船のみならず、海洋構造物への開発も、いま私どもはその代表的なものとしてここで取り上げられております原子力船なりセミサブ式浮体空港、今国会でいろいろ御議論いただいておりますけれども、こんなところもわれわれの目指す一つの方向だということを御理解いただきたいわけであります。
さて、原子力船の状況でありますが、多くは申し上げませんけれども、すでにアメリカあるいは西ドイツ、ソ連においても、原子力船の時代に備えながら着実にその実績と経験をかなり積んできているようであります。米国ではサバンナ号を完成させながら、もうすでに運航する上での技術的な問題はないというところまで来ているようであります。西ドイツについても、オット・ハーン号を中心にしながら、もうすでに実験船としての機能を果たして、原子力船としての実験を完了しているように聞いております。ソ連についても全く同様であります。
一方、わが国の造船ないし海運における状況から考えますと、その原子力船についての方向がまだまだ定まっていない、さらには、その力がないわけでありますけれども、そのことにおけるわが国の開発を急がなければならないのではないか、そういう立場に考えているところであります。原子力船「むつ」があのような状態の中に置かれておるわけでありますけれども、何と言ってもこの責任は、われわれも政府に大きく求めるところであります。
原子力船の実用化は二十一世紀という提言が一つ行われておりますけれども、もっと早い時期にその状況が生まれてくるのではないか。つまり、石油の供給が非常に不安定である、非常に高いといったことを考えますと、この二十世紀後半には、そういった需要を通じながら建造に取りかかる国があらわれてくるのではないか。したがいまして、われわれは一日も早く安全確保を第一にしながら、信頼性なり経済性等のノーハウを確立するために、政府主導型で積極的に推進していただきたいと思うわけであります。
そのためには、当面「むつ」が議論されておるわけでありますけれども、何と言っても早急に工事契約を結び、安全にしかも確実に修繕をし、完成した上で試験航海を行い、あらゆるデータを集めて実用化に向けての前進を図っていただきたい。特にここで言及しておきたい点は、われわれは船を修理する側でありますから、修理に際しては、十分な費用と時間と労働者の安全対策に万全を期してやっていただきたい。われわれ労働組合としても、みずからの問題として点検をし、監視体制を整えていくつもりでおりますけれども、そういったことについてぜひともお願いをしておきたいと思います。
一方、先ほど来の議論の中にも、私の受け取り方が悪かったら御訂正いただきたいわけでありますけれども、原子力船の開発を否定するような動きがあるわけであります。しかし「むつ」は、国民の財産であるという立場に立ちながら、政府は積極的に運動を進めていくことが必要ではないか、すでに世界の趨勢は、原子力を中心にして動いてきている、こういったことに目をつぶることは果たして国民にとってプラスなのか、やはり国民の期待する方向に持っていくことが必要ではないか。御案内のとおり「むつ」の開発は、国会でその必要性が認められ、推進をされてきているわけであります。その費用は、私が言うまでもありませんが、すでに五十三年度末までに二百六十億強の税金が使われているわけであります。この船を廃船することは、二百六十億円をどぶに捨てることにつながる、こう言明しても間違いはないのではないか。政府は責任を持って修理をして完成させ、国民の期待にこたえることが必要ではないかということを私は申し上げておきたいわけであります。
改めて次の点をひとつ政府に申し上げ、要請をしたいと思います。
一つは、原子力基本法の三原則でありますところの自主、民主、公開の原則を徹底していただきたい。やはり自主技術を開発する、そのことによって国産技術を確立することが非常に必要ではないか。われわれ産業にはその技術力と労働力はあると断言するにやぶさかではございません。さらに原子力開発は、国民の合意が第一義であることは論をまちません。そのためには、原子力の正しい知識を積極的にPRする、さらには、企業は企業の持つ社会的責任というものを果たす、そういう状況の中で、安全にかかわる問題を初めとして、政府主導で積極的に国民に公開していく、消極的な公開ではなくて前向きな公開ということをぜひともお願いしたいところであります。
二つ目には、わが国で蓄積されている発電用原子炉の技術、さらには造船技術を十分生かして、原子力船技術を確立する中で、関連する産業の開発、さらには新分野の産業拡大をして、われわれ労働者に新しい雇用をつくってほしい、このように考えるところであります。
三つ目には、現在、原船団におる職員を見てみますと、非常に哀れな状態に置かれているようであります。やはりそこで働いている人たちの労働条件なり雇用の保障ということを積極的にやりながら、そこに働く人たちが一生懸命仕事ができる環境をつくってやることが、私たちは、その周りの人として必要ではないかと思います。
四つ目に、先ほども若干出ておりましたけれども、この原子力船「むつ」というのは、政治がすべて先行しております。原子力というのは、われわれの目に見えないところにも技術的な大きな問題があろうかと思いますけれども、やはり技術者、科学優先の開発、そのためには優秀な人材が世の中にはいっぱいいるわけでございますから、政府の主導の中で、そういう学者諸士に積極的に原子力開発に向けての方向で問題提起をしていくことが必要ではないか、そういったことのために法の整備は当然必要だと思います。さらには十分な予算措置も必要だと思います。そのためには、国民、さらにわれわれ働く側は、拍手を贈って、そういったことに十分対応する考え方を持っております。
最後に、安全対策について言及したいと思います。
先ほど来私たちは、労働組合の立場からいろいろ申し上げましたけれども、安全を第一義として初めてその選択の対象になることは言うまでもないわけであります。原子炉の事故、さらには海難事故、あらゆることを想定しながら、そのときの安全対策を二重三重に、さらに四重に講じながら、政府の主導のもとに、国民の合意の得られる原子力船づくりを推進していただきたいことを申し上げておきたいと思います。
われわれ労働組合としても、事前協議を通じながら積極的に参加し、協力していくことを申し上げまして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。拍手
瀬
瀬野栄次郎#13
○瀬野委員長 ありがとうございました。
午後零時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
————◇—————
午後零時五十四分開議
この発言だけを見る →午後零時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
————◇—————
午後零時五十四分開議
瀬
瀬野栄次郎#14
○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより参考人に対する質疑に入ります。
なお、木下参考人は都合により午後三時までに退席いたしたいとの申し出がありますので、あらかじめ御了承を願っておきます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚原俊平君。
この発言だけを見る →これより参考人に対する質疑に入ります。
なお、木下参考人は都合により午後三時までに退席いたしたいとの申し出がありますので、あらかじめ御了承を願っておきます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚原俊平君。
塚
塚原俊平#15
○塚原委員 参考人の諸先生には、本当にお忙しいところ、本日は貴重なお時間をお割きいただきまして、また大変に役に立ちます御意見をお聞かせをいただきまして、本当にありがとうございました。私、諸先生方の本当にすばらしい経験あるいは実績、キャリアからいたしますと、はるかにすべての点で劣るものでございますので、多分にして的を外れた、あるいは失礼な御質問もあるかもしれませんけれども、どうぞお許しをいただきたいと思います。
自由民主党の塚原俊平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の参考人の人選、各党がいたしまして、諸先生方にお集まりいただいたわけでございますけれども、あらゆる角度の皆様方にお集まりをいただきまして、それぞれのお立場、それぞれの角度からのお話が伺えたわけでございます。木下参考人は、特に現実の問題といたしまして、諸外国とよく内容の見比べをなさった上でのお話があったわけでございますけれども、その木下参考人のお話の中に、ちょっとこれは竹村参考人の方への御質問なんでございますけれども、諸外国の現状というものから、日本はもう平和利用に徹して原子力船の研究開発を進めてきたわけでございますが、世の中、世界は戦争とともに飛行機もよくなれば船もよくなる、やはり戦争目的ですと何かにつけて技術の進歩が早いのだということがいままでよく言われているわけでございますけれども、そういった中におきまして、本当に平和目的というもので今日まで原子力並びに原子力船の技術を研究開発してきた日本といたしまして、原子力船技術の現状及びその比較において、原子力船技術が、諸外国に比べて果たして日本の技術がどのように評価をされているのかという点が一点でございます。
それから、お時間を詰めたいと思いますので、もう一点あわせて竹村参考人の方に御質問でございますけれども、自主技術のお話の中に、それを開発するよりも外国からの技術をそのまま導入してしまえばいいのじゃないかという議論もあるようでございますけれども、その二点について御所見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →自由民主党の塚原俊平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の参考人の人選、各党がいたしまして、諸先生方にお集まりいただいたわけでございますけれども、あらゆる角度の皆様方にお集まりをいただきまして、それぞれのお立場、それぞれの角度からのお話が伺えたわけでございます。木下参考人は、特に現実の問題といたしまして、諸外国とよく内容の見比べをなさった上でのお話があったわけでございますけれども、その木下参考人のお話の中に、ちょっとこれは竹村参考人の方への御質問なんでございますけれども、諸外国の現状というものから、日本はもう平和利用に徹して原子力船の研究開発を進めてきたわけでございますが、世の中、世界は戦争とともに飛行機もよくなれば船もよくなる、やはり戦争目的ですと何かにつけて技術の進歩が早いのだということがいままでよく言われているわけでございますけれども、そういった中におきまして、本当に平和目的というもので今日まで原子力並びに原子力船の技術を研究開発してきた日本といたしまして、原子力船技術の現状及びその比較において、原子力船技術が、諸外国に比べて果たして日本の技術がどのように評価をされているのかという点が一点でございます。
それから、お時間を詰めたいと思いますので、もう一点あわせて竹村参考人の方に御質問でございますけれども、自主技術のお話の中に、それを開発するよりも外国からの技術をそのまま導入してしまえばいいのじゃないかという議論もあるようでございますけれども、その二点について御所見をお伺いしたいと思います。
竹
竹村数男#16
○竹村参考人 ただいまの質問にお答えいたします。
諸外国等の技術の評価をして日本の現状がどうであるかという御質問だとただいまの先生の質問を解釈いたします。
先ほども私、触れましたように、先進五カ国といいますか、アメリカではサバンナ号を運転した後、すでに十二万馬力の原子炉プラントを、政府のといいますか、これは海事局でありますけれども、海事局の安全審査まで通っておるというような詳細設計を持っております。そのほかに三つほどの標準タイプを用意しておるというくらいに、注文があれば対応できるという現状かと思います。
ほかの国の特徴としまして、特に西ドイツでございますけれども、平和利用一本でオット・ハーン号の運航をやってまいりまして、先ほど木下参考人からのお話にもありましたように、日独の八万馬力のコンテナ船の研究がございました。この八万馬力に搭載する原子炉について、やはり検査機関の安全審査をパスしております。ほかに二十四万馬力のプラントの設計詳細も終わっておるという状況であります。
フランスも、百五十メガワット、二百五十メガワット、三百五十メガワットサーマルの三タイプについて、すでに標準型を設計して受注に応じれる状況だそうでございます。
御承知と思いますけれども、カナダの砕氷船は原子力とガスタービンのハイブリッドを計画しておるようでございまして、この原子炉プラントにアメリカとイギリスと西ドイツとフランスが応札を求められ、設計図面を提出しているように思います。
そういうことからしますと、日本には何もないのでありまして、あたりまえかもしれませんが、かなり差はあるというふうに思います。
しかし日本も、陸上発電炉ではかなりの技術蓄積がありまして、御承知のように、発電機数でも第二位というくらいでございますから、その蓄積技術は相当なものだと思います。原子力船といえども、発電炉の技術といいますか、そういうものは多分に応用できるわけでございまして、プラス船の特質、こういうことになる。そのプラス船の特質というのは、やはり実船の経験ということじゃないかと思いますので、「むつ」を動かすというようなことになれば、その技術格差はぐんと縮まる、こういうふうに思っております。
大体、大ざっぱで恐縮でございますけれども、五年から十年ぐらいの技術格差があるのではないかと思っております。それが最初の質問のお答えでございます。
それから二番目は、自主技術についてどうかという御質問でございますが、船というのは、非常に自己完結的な孤立移動体でありまして、そういう意味では、まことに信頼性に富んだものでなければならないわけであります。私たち大学で学生に教える場合には、そういう点が一番のポイントであります。自主技術ということになりますと、やはり中身は自分の手の内で何でもわかるというようなことでなきゃならない、こういうふうに思うのでございますけれども、とりわけて重要なポイントは、そういう意味からは、船は孤立移動体の自己完結体でありますだけに、自主技術をぜひ進めていただきたい、こういうふうに思います。−お答えになりましたでしょうか。
この発言だけを見る →諸外国等の技術の評価をして日本の現状がどうであるかという御質問だとただいまの先生の質問を解釈いたします。
先ほども私、触れましたように、先進五カ国といいますか、アメリカではサバンナ号を運転した後、すでに十二万馬力の原子炉プラントを、政府のといいますか、これは海事局でありますけれども、海事局の安全審査まで通っておるというような詳細設計を持っております。そのほかに三つほどの標準タイプを用意しておるというくらいに、注文があれば対応できるという現状かと思います。
ほかの国の特徴としまして、特に西ドイツでございますけれども、平和利用一本でオット・ハーン号の運航をやってまいりまして、先ほど木下参考人からのお話にもありましたように、日独の八万馬力のコンテナ船の研究がございました。この八万馬力に搭載する原子炉について、やはり検査機関の安全審査をパスしております。ほかに二十四万馬力のプラントの設計詳細も終わっておるという状況であります。
フランスも、百五十メガワット、二百五十メガワット、三百五十メガワットサーマルの三タイプについて、すでに標準型を設計して受注に応じれる状況だそうでございます。
御承知と思いますけれども、カナダの砕氷船は原子力とガスタービンのハイブリッドを計画しておるようでございまして、この原子炉プラントにアメリカとイギリスと西ドイツとフランスが応札を求められ、設計図面を提出しているように思います。
そういうことからしますと、日本には何もないのでありまして、あたりまえかもしれませんが、かなり差はあるというふうに思います。
しかし日本も、陸上発電炉ではかなりの技術蓄積がありまして、御承知のように、発電機数でも第二位というくらいでございますから、その蓄積技術は相当なものだと思います。原子力船といえども、発電炉の技術といいますか、そういうものは多分に応用できるわけでございまして、プラス船の特質、こういうことになる。そのプラス船の特質というのは、やはり実船の経験ということじゃないかと思いますので、「むつ」を動かすというようなことになれば、その技術格差はぐんと縮まる、こういうふうに思っております。
大体、大ざっぱで恐縮でございますけれども、五年から十年ぐらいの技術格差があるのではないかと思っております。それが最初の質問のお答えでございます。
それから二番目は、自主技術についてどうかという御質問でございますが、船というのは、非常に自己完結的な孤立移動体でありまして、そういう意味では、まことに信頼性に富んだものでなければならないわけであります。私たち大学で学生に教える場合には、そういう点が一番のポイントであります。自主技術ということになりますと、やはり中身は自分の手の内で何でもわかるというようなことでなきゃならない、こういうふうに思うのでございますけれども、とりわけて重要なポイントは、そういう意味からは、船は孤立移動体の自己完結体でありますだけに、自主技術をぜひ進めていただきたい、こういうふうに思います。−お答えになりましたでしょうか。
塚
塚原俊平#17
○塚原委員 どうもありがとうございます。
続きまして、菊池参考人と速見参考人に同じ質問でお伺いしたいわけなんでございますけれども、木下参考人のお話の中に、すぐに実用し得る代替エネルギーというようなことで、石炭であるとかというようなお話が出て、その後に原子力の平和利用がくるというのが世界のいわゆる有識者の一般的な見方であるというような御指摘がございました。私は、これは恐らくかなりの数の方がこれについては御賛同をいただけると思うのでございますけれども、その御意見についてどのようにお考えになられるか、ちょっとお伺いを、端的な御答弁で結構でございますので、お教えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →続きまして、菊池参考人と速見参考人に同じ質問でお伺いしたいわけなんでございますけれども、木下参考人のお話の中に、すぐに実用し得る代替エネルギーというようなことで、石炭であるとかというようなお話が出て、その後に原子力の平和利用がくるというのが世界のいわゆる有識者の一般的な見方であるというような御指摘がございました。私は、これは恐らくかなりの数の方がこれについては御賛同をいただけると思うのでございますけれども、その御意見についてどのようにお考えになられるか、ちょっとお伺いを、端的な御答弁で結構でございますので、お教えをいただきたいと思います。
菊
菊池渙治#18
○菊池参考人 塚原先生にお答えをいたします。
私は、原子力の平和利用を必ずしも否定はしませんが、現状においてそのまま実用化することについては、若干懸念を持っております。と申しますのは、先ほど竹村先生のお話だったと思いますが、コストの計算、十円とか二円とかというようなコストの計算もされておりますけれども、そういうコストの計算上でも、私はきわめて不確実なものを内在していると存じます。たとえば原子力発電所、いまの船にしろ、廃炉の処理費というようなものが計算に入らないコスト計算をしております。それから廃棄物の処理の関係のコストも計算に入っておりません。そういうようなものを一体コスト計算を抜きにしてコスト云々ということで安い安いと言っていいのかどうか。それから石油が上がるけれども、原子力関係のものは上がらないような印象を受けるような御発言がきわめて多いわけですが、そういうものをもう少し詰めて、経済性について見て、どこにネックがあるのか、そのネックをどう解決するのかということが、いまの時期ではなかろうかと思います。
同時に、省エネルギーの関係に絡んで、現状の原子力平和利用が、果たしてエネルギー収支なりエネルギー効率の関係からいって、どれだけエネルギー消費、石油消費につながるのかということも、少なくとも現段階においては検討をもう少しすべきではなかろうかと思います。
エネルギー収支が非常にいいという計算は、三十年の耐用年数、それから廃棄物の処理、管理をきわめて短時間か、そうでなければそれを無視することによって計算されている例が非常に多いのではなかろうかというふうに思います。
そういう未解決の問題をもう少し詰め、石油に関してはきわめて詳細な議論があるわけでございますけれども、原子力の場合、進める進めると言いながら、そういうものに対する確固たる考え方というものがいま欠落をしているのではないか、そういう実は懸念を持ちます。
中には、エネルギー収支からいってマイナスだという議論もなさっている方もあるわけですし、経済コストについてはアメリカの議会での報告もあるわけでございます。それに対して生田日本エネルギー経済研究所長は、不確定要素を持ち過ぎている、こう言っていますが、しかし不確定要素を無視してコストが安いと言うことは、これまた不確定要素を大きく見て計算するよりも、もっと私は経済というものを無視していやしないかと思う。
ですから、原子力の平和利用を進めるについて、経済的にもエネルギー収支の関係から言っても、もう少し真剣に詰めた上で、いまやることがいいのか悪いのか、もし問題があるとすれば、どれをどう解決して、その上で積極的にやろうかという視点を持つべきではないかというふうに私は思います。
一概に私は平和利用をも否定は現在しておりません。ただ、そういう欠落した議論があるということに対しては、非常に懸念を持っております。
この発言だけを見る →私は、原子力の平和利用を必ずしも否定はしませんが、現状においてそのまま実用化することについては、若干懸念を持っております。と申しますのは、先ほど竹村先生のお話だったと思いますが、コストの計算、十円とか二円とかというようなコストの計算もされておりますけれども、そういうコストの計算上でも、私はきわめて不確実なものを内在していると存じます。たとえば原子力発電所、いまの船にしろ、廃炉の処理費というようなものが計算に入らないコスト計算をしております。それから廃棄物の処理の関係のコストも計算に入っておりません。そういうようなものを一体コスト計算を抜きにしてコスト云々ということで安い安いと言っていいのかどうか。それから石油が上がるけれども、原子力関係のものは上がらないような印象を受けるような御発言がきわめて多いわけですが、そういうものをもう少し詰めて、経済性について見て、どこにネックがあるのか、そのネックをどう解決するのかということが、いまの時期ではなかろうかと思います。
同時に、省エネルギーの関係に絡んで、現状の原子力平和利用が、果たしてエネルギー収支なりエネルギー効率の関係からいって、どれだけエネルギー消費、石油消費につながるのかということも、少なくとも現段階においては検討をもう少しすべきではなかろうかと思います。
エネルギー収支が非常にいいという計算は、三十年の耐用年数、それから廃棄物の処理、管理をきわめて短時間か、そうでなければそれを無視することによって計算されている例が非常に多いのではなかろうかというふうに思います。
そういう未解決の問題をもう少し詰め、石油に関してはきわめて詳細な議論があるわけでございますけれども、原子力の場合、進める進めると言いながら、そういうものに対する確固たる考え方というものがいま欠落をしているのではないか、そういう実は懸念を持ちます。
中には、エネルギー収支からいってマイナスだという議論もなさっている方もあるわけですし、経済コストについてはアメリカの議会での報告もあるわけでございます。それに対して生田日本エネルギー経済研究所長は、不確定要素を持ち過ぎている、こう言っていますが、しかし不確定要素を無視してコストが安いと言うことは、これまた不確定要素を大きく見て計算するよりも、もっと私は経済というものを無視していやしないかと思う。
ですから、原子力の平和利用を進めるについて、経済的にもエネルギー収支の関係から言っても、もう少し真剣に詰めた上で、いまやることがいいのか悪いのか、もし問題があるとすれば、どれをどう解決して、その上で積極的にやろうかという視点を持つべきではないかというふうに私は思います。
一概に私は平和利用をも否定は現在しておりません。ただ、そういう欠落した議論があるということに対しては、非常に懸念を持っております。
速
速見魁#19
○速見参考人 お答えいたします。
私は、平和利用という言葉の意味をどのように受けとめるかによって違ってくると思うのです。戦争利用、平和利用、こういうぐあいに短絡的に考えれば、平和利用、これはだれしも否定するものはないというぐあいに考えます。ただ、原子力の場合には、核分裂という問題から生じてくることでありますから、当初の陳述に申し上げましたように、やはり廃棄物の処理というものが確実に、しかも安全に処理されないという現状のことを考えていくならば、私は、むしろ核分裂によるこのエネルギー政策あるいは原子力発電を含むこの平和利用、このことはむしろない方がいいのではないか、このように思います。
と申しますのは、やはり石油にしても石炭にしても、確かに、いろいろ公害面における防止策はできます。しかし、核分裂によるこのエネルギー政策作成ということについては、それなりに、当面は目に見えないものが、十年先、二十年先、百年先にその障害というものがあらわれてくる。害全面においても、現状では非常に安全だということを科学の進歩の中で言われてみても、そのことが将来果たしてその当時の安全というのが、将来ともに保たれていくのかどうか、このことについては、やはり原爆を経験している私たちとしては非常に疑念を持っておるところであります。
したがいまして、一概に、短絡的に平和利用そのものを否定するわけではございませんけれども、やはり核分裂によるそういうエネルギーの作製ということについては、むしろ避けた方がいい、どうしても避けられない事情があるとするならば、やはり安全性、信頼性というものをもっと重視して、当面のところ研究、実験段階にとどめるべきではないか。日本のいままでの事故の教訓その他を踏まえて考えるならば、まだまだ実用化というところまでには行けない、このことはかえって人類に対する非常に大きな危害といいますか、被害をもたらす結果に陥っていくのではないだろうか、このように実は考えております。
この発言だけを見る →私は、平和利用という言葉の意味をどのように受けとめるかによって違ってくると思うのです。戦争利用、平和利用、こういうぐあいに短絡的に考えれば、平和利用、これはだれしも否定するものはないというぐあいに考えます。ただ、原子力の場合には、核分裂という問題から生じてくることでありますから、当初の陳述に申し上げましたように、やはり廃棄物の処理というものが確実に、しかも安全に処理されないという現状のことを考えていくならば、私は、むしろ核分裂によるこのエネルギー政策あるいは原子力発電を含むこの平和利用、このことはむしろない方がいいのではないか、このように思います。
と申しますのは、やはり石油にしても石炭にしても、確かに、いろいろ公害面における防止策はできます。しかし、核分裂によるこのエネルギー政策作成ということについては、それなりに、当面は目に見えないものが、十年先、二十年先、百年先にその障害というものがあらわれてくる。害全面においても、現状では非常に安全だということを科学の進歩の中で言われてみても、そのことが将来果たしてその当時の安全というのが、将来ともに保たれていくのかどうか、このことについては、やはり原爆を経験している私たちとしては非常に疑念を持っておるところであります。
したがいまして、一概に、短絡的に平和利用そのものを否定するわけではございませんけれども、やはり核分裂によるそういうエネルギーの作製ということについては、むしろ避けた方がいい、どうしても避けられない事情があるとするならば、やはり安全性、信頼性というものをもっと重視して、当面のところ研究、実験段階にとどめるべきではないか。日本のいままでの事故の教訓その他を踏まえて考えるならば、まだまだ実用化というところまでには行けない、このことはかえって人類に対する非常に大きな危害といいますか、被害をもたらす結果に陥っていくのではないだろうか、このように実は考えております。
塚
塚原俊平#20
○塚原委員 速見参考人にもう一つお伺いしたいのでございますけれども、一番最後に中川参考人から、最初に現状のエネルギーの一つのお考えというものがございまして、たとえば電気、ここに十二あるうちの二が原子力発電であるというようなこと、それでエネルギー自体がいま大変苦しい立場にあるというようなこと、これはかなりよく言われるし、現実の姿であると思います。やはり核分裂というものはできるだけやめた方がいいという御意見を拝聴いたしたわけでございますけれども、それでは速見参考人としては、これから先、果たしてエネルギーはどのようなものでやっていかれたらいいという、もし腹案でもございましたら、簡単で結構でございますからお教えいただければと思います。
この発言だけを見る →速
速見魁#21
○速見参考人 お答えいたします。
私は、地方議会の一県会議員でありますから、むしろ逆に国会の先生方に実はお聞きしたいことでありますけれども、いままで議論した過程の中で私、意見を申し上げてみたいと思うのです。
まず第一に、日本に非常に欠かせない、しかも埋蔵量のある石炭をつぶしてしまったという状況、ここら辺をどう考えるかということも、やはり今後のエネルギー政策の中では反省する一つの大きな点ではなかろうかというぐあいに私は考えます。
たとえば、外国において石炭の価格は安いというこのことと、日本の石炭の採掘の状況というものは若干事情が違うことは私もよく知っております。特に長崎県は石炭県でありますが、百二十ぐらいの炭鉱があったのが現在二つしか実は炭鉱はございません。それでは炭が全然なくなって炭鉱がなくなったのかと言えば、そうではなくして、やはり問題は採算の問題採算性で石炭を掘らなくなった。いまどのくらいあるのか知りませんけれども、日本でやはり石炭を本当にもう一度見直してやるということになれば、相当のエネルギーを国内で生産できるのではないだろうか。このことについては、ただ採算性といいますか経済性といいますか、安くつくから油を買う、それで油に切りかえていって、そして今度、中近東の情勢があって油が高くなると石炭を買う、そして最近はどうやら石炭も石油と変わらないような高い値段になりつつある、こういうことも実は聞いておるわけであります。
だから、やはりエネルギー問題については、石炭政策をもっと根本的に見直して、日本の国内にあるエネルギーの開発、発掘、このことがまず基本的になされるべきではないだろうか、このように考えます。
第二は、日本の場合には地形的に山岳地帯が非常に多いわけであります。やはりこの地形を利用した水力発電、このことをもっと真剣に考えていくべきではないだろうか。ただしかし、この水力発電の場合でも、現在のように九電力資本に分割されておる段階では、小さな水力発電所をつくったのでは採算が合わない。こういうことで、この水力発電も規模と場所によってでき得ない、こう言われておりますけれども、ただニュージーランド等の——ニュージーランドは、日本と地形が非常に似ているところでありますけれども、あそこでは小さい山々、谷間を仕切って、発電と灌漑用水に使っておる。これもやはり全部国家が投資をしてやっておるということを、私たちも視察の中で聞いてまいりましたし、見てまいりました。
そういうようなことで、日本は特に海外に依存をしなければならない国でありますから、私は、ある程度の国家投資をやってでも、そういう石炭あるいは火力、水力、それから日本は火山列島が通っておるところでありますから、地熱、これもいま非常に研究されておられるようでありますけれども、やはりそういうところに目を向け、国の投資をやるべきではないだろうか。そうすることによって、私は、やはり将来におけるエネルギー問題の解消ということはできるのではないか、このように考えております。
この発言だけを見る →私は、地方議会の一県会議員でありますから、むしろ逆に国会の先生方に実はお聞きしたいことでありますけれども、いままで議論した過程の中で私、意見を申し上げてみたいと思うのです。
まず第一に、日本に非常に欠かせない、しかも埋蔵量のある石炭をつぶしてしまったという状況、ここら辺をどう考えるかということも、やはり今後のエネルギー政策の中では反省する一つの大きな点ではなかろうかというぐあいに私は考えます。
たとえば、外国において石炭の価格は安いというこのことと、日本の石炭の採掘の状況というものは若干事情が違うことは私もよく知っております。特に長崎県は石炭県でありますが、百二十ぐらいの炭鉱があったのが現在二つしか実は炭鉱はございません。それでは炭が全然なくなって炭鉱がなくなったのかと言えば、そうではなくして、やはり問題は採算の問題採算性で石炭を掘らなくなった。いまどのくらいあるのか知りませんけれども、日本でやはり石炭を本当にもう一度見直してやるということになれば、相当のエネルギーを国内で生産できるのではないだろうか。このことについては、ただ採算性といいますか経済性といいますか、安くつくから油を買う、それで油に切りかえていって、そして今度、中近東の情勢があって油が高くなると石炭を買う、そして最近はどうやら石炭も石油と変わらないような高い値段になりつつある、こういうことも実は聞いておるわけであります。
だから、やはりエネルギー問題については、石炭政策をもっと根本的に見直して、日本の国内にあるエネルギーの開発、発掘、このことがまず基本的になされるべきではないだろうか、このように考えます。
第二は、日本の場合には地形的に山岳地帯が非常に多いわけであります。やはりこの地形を利用した水力発電、このことをもっと真剣に考えていくべきではないだろうか。ただしかし、この水力発電の場合でも、現在のように九電力資本に分割されておる段階では、小さな水力発電所をつくったのでは採算が合わない。こういうことで、この水力発電も規模と場所によってでき得ない、こう言われておりますけれども、ただニュージーランド等の——ニュージーランドは、日本と地形が非常に似ているところでありますけれども、あそこでは小さい山々、谷間を仕切って、発電と灌漑用水に使っておる。これもやはり全部国家が投資をしてやっておるということを、私たちも視察の中で聞いてまいりましたし、見てまいりました。
そういうようなことで、日本は特に海外に依存をしなければならない国でありますから、私は、ある程度の国家投資をやってでも、そういう石炭あるいは火力、水力、それから日本は火山列島が通っておるところでありますから、地熱、これもいま非常に研究されておられるようでありますけれども、やはりそういうところに目を向け、国の投資をやるべきではないだろうか。そうすることによって、私は、やはり将来におけるエネルギー問題の解消ということはできるのではないか、このように考えております。
塚
塚原俊平#22
○塚原委員 どうもありがとうございました。
ちょっと話をもとに戻さしていただきまして、今度は、本日の参考人の先生方に来ていただいた「むつ」の問題で、具体的なことで、まず技術面で竹村参考人にお伺いしたいのでございます。
これは本日の菊池参考人のお話の中にも、井坂参考人のお話の中にもあったわけでございますけれども、原子力船「むつ」が非常に旧式である、開発をしても役立たない、開発の意義はないというような趣旨の御意見の陳述がたしかあったように思うのでございますけれども、この点について先生の御所見はいかがでございましょうか。
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これは本日の菊池参考人のお話の中にも、井坂参考人のお話の中にもあったわけでございますけれども、原子力船「むつ」が非常に旧式である、開発をしても役立たない、開発の意義はないというような趣旨の御意見の陳述がたしかあったように思うのでございますけれども、この点について先生の御所見はいかがでございましょうか。
竹
竹村数男#23
○竹村参考人 塚原先生の御質問にお答えいたしますが、先ほどの参考人の言葉に旧式という言葉がございました。しかし「むつ」の原子炉は旧式じゃないのです。古いだけなんです。いまでも私たちは、タイプの一つとして研究をしよう、こういうふうに思っております。ですから、そういう意味では旧式ではないと、こういうふうに申し上げたいわけでございます。
それで、「むつ」は役立たないのじゃないかということですけれども、幾ら陸上でいろいろなことをやっても、ゆすってみて、ついでに負荷変動をかけられるということは、船でしかあり得ないわけです。陸上にそういう装置をつくるというようなことは、ちょっと考えられないのではないかというふうに技術的には思います。それで、そこから出てくるデータというのは、やはり設計のデータと比較されるのだろうと思いますが、当然、設計はあるいは古いかもしれませんけれども、その考え方というものが、そのデータのあり方で、なるほどこれでよかったとかどうとかいうことになるわけでございまして、そういう意味では、データそのものもさることながら、やはりその結果が得られるということが何よりも大事だと考えております。でき得れば、いろいろな計測装置もうんと、もっともっとこれからでもつけて、それこそ徹底的に「むつ」をやはり使っていくのが、原子力船開発の一番の捷径だと私は思っております。大いに使い道はあるというふうに思っております。
以上でございます。
この発言だけを見る →それで、「むつ」は役立たないのじゃないかということですけれども、幾ら陸上でいろいろなことをやっても、ゆすってみて、ついでに負荷変動をかけられるということは、船でしかあり得ないわけです。陸上にそういう装置をつくるというようなことは、ちょっと考えられないのではないかというふうに技術的には思います。それで、そこから出てくるデータというのは、やはり設計のデータと比較されるのだろうと思いますが、当然、設計はあるいは古いかもしれませんけれども、その考え方というものが、そのデータのあり方で、なるほどこれでよかったとかどうとかいうことになるわけでございまして、そういう意味では、データそのものもさることながら、やはりその結果が得られるということが何よりも大事だと考えております。でき得れば、いろいろな計測装置もうんと、もっともっとこれからでもつけて、それこそ徹底的に「むつ」をやはり使っていくのが、原子力船開発の一番の捷径だと私は思っております。大いに使い道はあるというふうに思っております。
以上でございます。
塚
塚原俊平#24
○塚原委員 あわせまして、いまちょっと御発言の中にもあったのですけれども、これは速見参考人から御指摘があったことで、もう一つ竹村先生の方にお伺いしたいのですけれども、「むつ」の原子炉を船体から取りはずして陸揚げをする、陸上で舶用炉の研究を行うという、これはたしか石野先生の方のお出しになった法律も、この案であったような——そうでございましたね。このようなことが果たして技術的に可能なものであるか、あるいは技術的に有意義なデータがとれるものかということで、いまちょっと御答弁があったわけでございますけれども、もう一度、竹村先生の御意見をお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →竹
竹村数男#25
○竹村参考人 先ほどちょっとこっちの方まで触れてしまって申しわけありませんでしたが、船をずばり切って陸上に原子炉を固定するということは、やってやれないことはないのではないかとは思うのでございますけれども、あれだけの重量を陸上に固定するということは、ちょっと大変な難事であろうと思います。
それにも増しまして、先ほども申し上げましたように、今後の原子力船の開発のために陸上に固定して、その炉を研究に使うということの意義は、私にはわからないのであります。陸上と違った舶用炉の技術のポイントは、何と申しましても、動揺と振動と負荷変動の重なったところだと思っております。そういうものは何もとれないわけです。したがいまして、陸上に固定するというようなことは、私の技術的な考えでは、ちょっと意義は薄いように思われます。
この発言だけを見る →それにも増しまして、先ほども申し上げましたように、今後の原子力船の開発のために陸上に固定して、その炉を研究に使うということの意義は、私にはわからないのであります。陸上と違った舶用炉の技術のポイントは、何と申しましても、動揺と振動と負荷変動の重なったところだと思っております。そういうものは何もとれないわけです。したがいまして、陸上に固定するというようなことは、私の技術的な考えでは、ちょっと意義は薄いように思われます。
塚
塚原俊平#26
○塚原委員 木下参考人にお伺いをしたいと思います。
大変に、世界全体の流れ、あるいは現実のエネルギー情勢からのお話がございました。その中に、参考人の方から、原子力船の実用化時期の見通しにつきまして、相当繰り上がってくるのではないか、当初は二十一世紀に入るころというようなことであったわけでございますが、相当繰り上がるのではないかというような説があったわけでございます。
木下参考人としては、相当繰り上がるという範囲が一体どの程度のところの目算で御意見を陳述されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →大変に、世界全体の流れ、あるいは現実のエネルギー情勢からのお話がございました。その中に、参考人の方から、原子力船の実用化時期の見通しにつきまして、相当繰り上がってくるのではないか、当初は二十一世紀に入るころというようなことであったわけでございますが、相当繰り上がるのではないかというような説があったわけでございます。
木下参考人としては、相当繰り上がるという範囲が一体どの程度のところの目算で御意見を陳述されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
木
木下昌雄#27
○木下参考人 ただいまの御質問に私見を申し上げますが、二十一世紀に入るころには実用化時代に入っておるであろうというのが従来の予測でございまして、これは一隻や二隻動いているという状態ではございませんで、ある程度の数が動いている状態を実用化時代と私どもは言っておりますので、したがって、従来の予測から申しましても、やはり一九九〇年代の後半には数隻の船は浮いていないと、二十一世紀には実用化時代に入れないわけでございます。そして、それがさらに繰り上がるのであろうと私は感じて帰ってきたわけでございますが、これはいまから準備いたしましても、また設計期間その他全部考えますと限度がございますので、やはり繰り上がるといたしましても、五年ないしは十年は繰り上がるという程度に漠然と考えた次第でございます。
この発言だけを見る →塚
塚原俊平#28
○塚原委員 やはり木下参考人にお伺いしたいのですけれども、わが国の造船産業の将来というものを考えてみましたときに、原子力船技術のような高度な技術を造船業界で修得することは、きわめて有意義なことであると考えております。
これは参考人の御意見の中にも、造船界の技術革新が経済発展に貢献をしたのだというような、まさに御正論があったわけでございますけれども、ここに参りまして、海運不況というようなお話がございましたが、「むつ」の開発を始めた当初に比べて大分戦意が喪失をしたのではないか、原子力船の研究開発に対する熱意が薄れてきたのじゃないかというような意見があるわけでございます。
きょうは、せっかくおいでになったいい機会なものでございますので、その辺のところを参考人からお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →これは参考人の御意見の中にも、造船界の技術革新が経済発展に貢献をしたのだというような、まさに御正論があったわけでございますけれども、ここに参りまして、海運不況というようなお話がございましたが、「むつ」の開発を始めた当初に比べて大分戦意が喪失をしたのではないか、原子力船の研究開発に対する熱意が薄れてきたのじゃないかというような意見があるわけでございます。
きょうは、せっかくおいでになったいい機会なものでございますので、その辺のところを参考人からお伺いできればと思います。
木
木下昌雄#29
○木下参考人 先ほど申し上げましたように、海運界、造船界が過去四、五年間非常に不況であった、したがって、普通の船の、従来型のディーゼルエンジンあるいはタービンを積んだ船の発注、建造意欲すら喪失されていた時代でございまして、まして新しい開発を必要とする原子力船の建造に対しては、やっぱり目が向きにくかったことは事実でございます。しかし海運界からは、常にいつでもつくれるようにしておいてほしいのだ、したがって、研究開発の段階まではやっておいて、いつでも実用化できる状態までには準備を整えておいてほしいという要求は、過去一番つらい時期の中でもわれわれ造船界は、常にそういう強い要求を受けておりました。
したがって、先ほど若干申し上げたかと存じますが、造船界も非常に経営が苦しゅうございました中でも、火種を絶やさずに人材の温存に努めまして、ただ前向きに積極的にそういう部門を広げるとかいうような余裕は、経営上したくもできなかったというのが実情でございまして、こういう面が、あるいはよそからごらんになって、熱がさめたのじゃないかというふうにお受け取りいただいた原因になっておるのではないかと思います。しかし、いまでもやはり少数の人数、また、その跡継ぎはどんどん入っておりまして、たとえば日立造船はことし大学を数十人採りましたが、そのうちの原子力の技術者はかなりの数を占めておりまして、これは決してそういうものに対して熱意が下がっているわけではございませんので、御了解願いたいと思います。
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