社会労働委員会

1981-03-19 衆議院 全426発言

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会議録情報#0
昭和五十六年三月十九日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 山下 徳夫君
   理事 今井  勇君 理事 戸井田三郎君
   理事 戸沢 政方君 理事 湯川  宏君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
  理事 平石磨作太郎君 理事 米沢  隆君
      金子 岩三君    木野 晴夫君
      古賀  誠君    竹内 黎一君
      谷垣 專一君    中野 四郎君
      長野 祐也君    丹羽 雄哉君
      葉梨 信行君    八田 貞義君
      浜田卓二郎君    船田  元君
      牧野 隆守君    箕輪  登君
      池端 清一君    枝村 要作君
      金子 みつ君    川本 敏美君
      佐藤  誼君    栂野 泰二君
      永井 孝信君    草川 昭三君
      浦井  洋君    小沢 和秋君
      石原健太郎君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        厚生政務次官  大石 千八君
        厚生大臣官房審
        議官      吉原 健二君
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省環境衛生
        局長      榊  孝悌君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 山村 勝美君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省薬務局長 山崎  圭君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      金田 一郎君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
        厚生省年金局長 松田  正君
        厚生省援護局長 持永 和見君
        社会保険庁医療
        保険部長    吉江 恵昭君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     厚谷 襄児君
        国税庁直税部法
        人税課長    四元 俊明君
        文部省初等中等
        教育局中学校教
        育課長     垂木 祐三君
        文部省初等中等
        教育局特殊教育
        課長      戸田 成一君
        文部省大学局医
        学教育課長   川村 恒明君
        文部省管理局企
        画調整課長   北橋  徹君
        文部省管理局私
        学振興課長   坂元 弘直君
        厚生大臣官房企
        画室長     長門 保明君
        運輸省港湾局環
        境整備課長   高田 陸朗君
        労働省婦人少年
        局婦人労働課長 佐藤ギン子君
        参  考  人
        (日本赤十字社
        衛生部長)   北村  勇君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    —————————————
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     小杉  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     石原健太郎君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君     大橋 敏雄君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一七号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ————◇—————
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山下徳夫#1
○山下委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
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浜田卓二郎#2
○浜田委員 本日は二点に関しまして御質問申し上げたいと思います。
 最初に、手話についての問題を取り上げたいと思いますが、そのテーマと社会保障の長期展望と二つのテーマを取り上げたいと思うわけでありますが、大変時間が限られております。四十分しか時間をちょうだいしておりませんので、ひとつ御答弁の方は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
 現在全国で約三十二万人という聴覚言語障害者の方がおられると伺っております。聴覚言語障害者、すなわち聾唖者の方々は聞くということと話すという基本的なコミュニケーションの手段を失われているわけでありまして、ともすれば社会の中で孤立感を深める、あるいは各種の分野で差別に悩まれるというようなハンディキャップの非常に大きい状態におられるわけであります。私は完全参加と平等ということを実質的に考えた場合に、この聾唖者の方々の持っておられるハンディキャップをできるだけきめ細かにカバーをして差し上げる、そういう施策が大変重要であると考えるわけであります。そういう観点からきょうは最初の御質問を申し上げたいと思うわけであります。
 最初に、聾唖者のコミュニケーションの手段として使われておられる手話に関しまして、現在どのくらいの手話の数があるのか、お伺いしたいと思います。
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山下眞臣#3
○山下政府委員 現在聴覚言語障害者が日常用いております手話の数は、全日本聾唖連盟等関係者の調査によりまして、約二千七百語というふうに理解をいたしております。
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浜田卓二郎#4
○浜田委員 二千七百語ですか。健常者が、われわれが使用している用語というのは通常三万語程度と言われているわけでありまして、これに比べますときわめて数が少ないという現状だということであります。私は、まず基本的にこの手話の数をもっとふやして差し上げなければならない。そしてまた、手話の中でもいわゆる方言というような、いわば標準化が十分行われていない、そういう現状にあると伺っておりますけれども、まず手話の数をふやす、それと同時に標準化を図っていくということが基本的な施策として大事ではないかと私は考えますが、その点について現在どのような具体策をとっておられるか、そしてどのような現状にあるか、伺いたいと思います。
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山下眞臣#5
○山下政府委員 全く御指摘のとおりに私ども考える次第でございます。
 厚生省といたしましては、昭和五十四年度から財団法人全日本聾唖連盟に委託費を交付いたしまして、新しい手話用語の研究開発、それから手話用語の標準化、こういった事業を委託事業としてお願いをいたしておるという状況にございます。
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浜田卓二郎#6
○浜田委員 その委託事業の進行状況といいますか、あるいは目指している開発の目途というのはどういうことになりますでしょうか。
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山下眞臣#7
○山下政府委員 五十四年度、五十五年度、ちょうど二カ年間委託いたしておりますが、その間におきまして新しく開発をいたしました標準手話が約七百語ということでございまして、それで先ほど申し上げました二千七百語に現在なっておるということでございます。
 この手話用語の用語数につきましては、当面五千語程度には持っていきたいという目途を持っておるわけでございます。
 あと、先ほど申されました方言等を標準化していく問題、あるいは非常に微妙なニュアンスの表現ということについて工夫をしていかなければならぬ点等々がございますので、今後ともこの委託費は継続をいたしまして努力をいたしていきたいと思います。
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浜田卓二郎#8
○浜田委員 手話が現実には聾唖者の方々の重要なコミュニケーションの手段になっている、そういう現状だと思いますけれども、手話については必ずしも正規の教育体系もない。ですから、聾唖者の方々は自然に周りから習得されるということであって、そういう体系的な教育が行われていないという現状にあるというふうに伺っております。
 またさらに、聾唖学校におきましても、口話法によるんだということで教育方針が貫かれているようでありまして、手話がそういう聾唖学校においても教育の体系の中に取り入れられていない、そのような現状であると伺っておりますが、文部省の方、お見えだと思いますけれども、どういうお考えでそういうことになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
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戸田成一#9
○戸田説明員 お答えいたします。
 聾唖学校の児童生徒でございますが、現在、聾学校は全国に国公私立百十校、在学しております児童生徒数は幼稚部から小学部、中学部、高等部合わせまして一万一千五百七十七人でございます。これらの聾学校の児童生徒の大部分は何らかの残存聴力を有している実態でございます。このため、現在、聾教育における言語の指導はこの残存する聴力の活用を目指す聴能訓練と音声言語による口話法、すなわち読話、発音、発語ということによる指導が主として行われております。特に近年は、補聴器の著しい進歩に伴いましてこれらの指導が一層その教育効果を上げているような状況でございます。
 一方、わが国で一般に使われている手話はいわゆる身ぶり語が中心でございまして、語彙数も少なく、日本語としての文法、文型に即さず、一般社会の人々との交信に困難性があるなどの欠点が指摘されており、なお今後の研究にまつべき面が多々あろうかと思われます。しかしながら、最近は聾学校においても障害の多様な児童生徒が就学するようになったことに伴い、口話法とともに手話や指文字を併用するなど、児童生徒の実態に即してさまざまの工夫をこらした指導を行う学校がふえつつございます。そういう現状でございます。
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浜田卓二郎#10
○浜田委員 たとえば口話法でありますと、遠くからは見えない、あるいはだれがしゃべっているかを見きわめないとコミュニケーションの手段として生きないわけであります。聾唖者の方々は職場の定着性が一般的に低いというようなことも言われております。私はその原因の大きなものは、職場におけるコミュニケーションが十分でない。たとえば怒られる、だれに怒られているのか、何を怒られているのか、一瞬のうちにわからない。そういうような問題が多々あるというふうに伺っているわけであります。
    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
 いまの御答弁ですと、手話の内容が必ずしも十分でない、したがって教育体系に取り入れるまでに至らない、そういう御趣旨かと思いますけれども、そういうふうに理解してよろしいわけですか。
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戸田成一#11
○戸田説明員 先ほど申し上げましたように、幾つかのいわゆる難点がございます。そのことを申し上げたわけでございまして、したがって今後の研究にまつべき面が多々あるのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
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浜田卓二郎#12
○浜田委員 厚生省の御答弁に先ほどありましたように、標準化あるいは数をふやすという委託事業を行っているということでありますが、その手話の内容も多くなり、標準化も進んだ、そういう暁には、現実にコミュニケーションの手段として非常に重要な役割りを占めている手話をそういう教育体系の中にお取り入れになる、そのように考えてよろしいでしょうか。
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戸田成一#13
○戸田説明員 この手話の問題につきましては、私どもが所管しております国立特殊教育総合研究所におきましても、五十五年度から手指法等の評価と適用等に関する研究という特別研究を開始いたしております。そういう意味で研究に取り組んでおります。それから先ほど申し上げましたように、最近では聾学校におきましても口話法とともに手話や指文字を併用するという教育形態がふえつつございますので、先生おっしゃいましたように手話が標準化された暁には、私どもといたしましては、文部省としてこれを前向きに検討し、必要に応じて教育委員会、学校等を指導してまいりたいというふうに考えております。
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浜田卓二郎#14
○浜田委員 現実に手話が重要な手段であるということを踏まえまして、ひとつ厚生省、文部省、よく連絡をとられて、一日も早く手話の体系化、そしてそれを体系的に教育する方式の確立ということにお努めをいただきたいと思います。
 それじゃ次に移りますが、現在厚生省の方で障害者社会参加促進事業というのを行われておりますが、その一環として手話通訳の設置事業ということがあります。これの現状はどうなっておりますでしょうか。
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山下眞臣#15
○山下政府委員 現在手話通訳の配置状況は全国で二百八十一名配置されておる状況にございます。主に都道府県の本庁あるいは市役所あるいは福祉事務所、こういったところに配置されているのが実情でございますが、手話通訳の設置の県は、大体都道府県、指定都市に社会参加促進事業、補助しておりますが、五十六都道府県、指定都市のうち四十二県、指定都市に配置されておりまして、約七五%の都道府県、指定都市で配置されておるという状況でございます。
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浜田卓二郎#16
○浜田委員 四十二県で二百八十一名ということですが、これは常勤でしょうか。
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山下眞臣#17
○山下政府委員 内訳を申し上げますと、常勤は四十八名、非常勤は二百三十三名、計二百八十一名ということでございます。
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浜田卓二郎#18
○浜田委員 一応数の上では県数にして七五%ということでありますけれども、その配置の実質的な内容というのはまだ非常に不足なものがあるというふうに現状を私は承知しております。
 そこでその予算でありますが、この予算は一県当たり千六百万ということでございますね。ところが、いろいろ現状を聞いてみますと、この千六百万というのは二十あるメニュー事業のトータル予算である。この前参議院の予算委員会でも同じような質問が出たと承知しておりますが、二十のメニューを全部やろうとすれば一件当たりたかだか八十万円になってしまう。ですからいまの配置状況、実質的にまだまだ不足であるという現状に照らしますと、不十分じゃないかという気がするわけであります。
 しかし、さらに私いろいろ現状を聞いてみますと、メニューだから熱心な県はやるけれども熱心じゃない県はやらない。四十二県、つまり七五%が設置をしているというお答えでありますけれども、設置はしているけれども常勤であるか非常勤であるか、そういう意味では非常にばらつきがあるということだろうと思います。
 私は、その予算額をふやすということだけでなくて、手話通訳設置については、メニューの一つじゃない、要するに独立した補助事業である、そういうことで国の積極的姿勢を示していかなければ、地方公共団体の努力だけにまつということでは足らない、そういう気がするわけであります。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
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山下眞臣#19
○山下政府委員 社会参加促進事業の補助単位でございますが、五十五年度千二百五十万から明年度予算案におきましては千六百万ということで、率にいたしますと二六%増ということで、それなりの努力と配慮はいたしておるわけでございますが、御指摘のとおり私どもといたしましてもこれで十分な額というふうに思っておるわけではございませんので、この額の増額ということにつきましては今後とも全力を挙げて努力させていただきたいと思うわけでございます。
 ただ、その中でこの手話通訳設置事業だけを取り出しまして別途の独立補助金にするということにつきましては、社会参加促進事業というのがメニュー事業と申しますか統合予算の代表的なものにもなっておりますし、直ちにはなかなか困難だと存じますので、できるだけまずその額をふやす、同時に、手話通訳の設置事業というものの重要性を十分都道府県に指導をいたすという方針で対処させていただきたいと思うわけでございます。
 なお、手話関係ではそのほかに手話奉仕員の養成事業、これはもう五十六都道府県市一〇〇%実施をいたしております。それから手話奉仕員の派遣事業が四十三県市ということで七七%という状況になっておりますので手話通訳の設置事業未設置の県につきまして必要な配慮をするように指導させていただく、同時に予算の増額に努力をさせていただく、こういうことで対処してまいりたいと思っております。
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浜田卓二郎#20
○浜田委員 繰り返しになりますけれども、要するに、設置している県のパーセントがどれだけだということも一つの目安でありますけれども、設置している内容、そしてメニュー予算の中でどれだけを設置事業のために充てているか、そういう実質的な見方をしていかなければいけないと私は思うわけであります。そういうことで、私のいま御要望申し上げました点を踏まえて、五十七年度の予算要求でも御努力をいただきたいとお願いをいたします。
 次に、手話通訳者と一言で言われておりますけれども、これはいまどういうような資格あるいは身分になっているのか、現状をお聞かせいただきたいと思います。
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山下眞臣#21
○山下政府委員 率直に申し上げまして、国の制度なり国家試験なりそういうものはございませんが、全日本聾唖連盟におきまして手話通訳の認定事業というのを行っております。国といたしましては全日本聾唖連盟に、手話通訳の養成をいたします場合の指導員、この指導員の養成事業を委託費として交付するという状況にございますのが現段階の実情でございます。
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浜田卓二郎#22
○浜田委員 いま御説明ありましたように、全日本聾唖連盟では認定試験をやっている、そして都道府県によってもばらつきはあるけれどもやっているところが多い。しかし問題は、先ほどの手話の標準化ということにも絡むわけでありますけれども、その内容というのはかなりまちまちである。したがって、この手話通訳が現実に聾唖者の日常活動に重要な役割りを果たしている以上、この試験制度をたとえば国が行うとか、そういったきっちりした資格要件を明確にすることがまず大事じゃないかというふうに私は考えるわけです。
 いま全日本聾唖連盟の方で五十七年を目途に何とか国の制度として明確にしてほしいという要望が出ております。これに対して、いかがでしょう、大臣。認定制度についてどういう方針で臨まれるか、御決意を伺いたいと思います。
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園田直#23
○園田国務大臣 御指摘の認定制度についてはその必要性を十分認識いたしております。しかしながら、その前提に、先ほど文部省から言われましたとおりに、一つは用語の拡大、もう一つには指導員の養成、こういう前提条件をつくってなければなかなかうまくいかぬわけでありまして、そういうことを目標にしながら検討していきたいと思います。
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浜田卓二郎#24
○浜田委員 ただいま幾つかの問題点を取り上げてきたわけでありますけれども、ことしから始まる国際障害者年、「完全参加と平等」というのがテーマであります。完全参加、平等ということを聾唖者について考える場合には、やはりコミュニケーションの手段の確立が最大の課題であることは私が指摘するまでもないわけでありまして、ただいまいろいろ御答弁を伺いましたけれども、この問題につきまして政府当局、しっかりと前向きで取り組んでいただきますようお願いをいたしまして、この手話に関する質問は終わりたいと思います。
 次に、私は、社会保障の長期的な展望ということでお伺いをしてみたいと思います。
 まず最初に、わが国の社会保障の水準というのは、いろいろ言われるわけでありますけれども、進んでいるのかおくれているのか。特に年金の給付水準、そういうものでは先進諸国との比較というのはよく行われているわけでありますけれども、現状はどういうふうにお考えになっておられるか、それをまずお伺いしたいと思います。
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長門保明#25
○長門説明員 ただいまのお尋ねでございますが、社会保障給付費をとりまして申し上げますと、わが国の社会保障給付費は近年急速な伸びを示しておりまして、昭和五十三年度におきまして、これはILOが示しました社会保障給付費の基準でございますが、これで決算ベースで計算いたしましたところ、十九兆七千二百億円というふうになっておりまして、国民所得に対する割合は一一・九%という水準でございます。この一一・九%という水準を諸外国と比較いたしますと、主な欧米諸国、たとえばアメリカは昭和四十九年度におきまして一四・一というふうな数字でございます。それから高いところではスウェーデンが三一・〇というふうなことでございまして、形式的に比較いたしますとこれらの諸国に比べまして数字は低うはございますけれども、まだわが国は老齢人口の割合が相対的に少のうございますし、それからまた年金の成熟度も低いというふうなことがございますので、単純に比較するわけにまいらないかと存じます。
    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
 したがいまして、こういった諸外国と同じような年齢構成になります、あるいは年金の成熟も諸外国並みになる時期というのは昭和七十五年、二十年先でございますけれども、その時点におきまして、日本の現在の制度そのままの仕組みにおきまして、人口増でありますとか人口構成の高齢化というふうな要素だけを考慮に入れまして補正いたしますと、国民所得対比がおよそ二〇%程度になろうかと推計されますので、その意味におきまして、今日のわが国の社会保障制度は、制度的にはすでに欧米諸国と比べまして遜色のないレベルに達している、こういうふうに考えております。
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浜田卓二郎#26
○浜田委員 いろいろ比較の方法はあると思うのですね。私、老齢年金を、わが国の厚生年金の中の老齢年金とそれと似たような各国の制度というものをちょっと見てみたわけでありますけれども、モデル年金で言えば日本は月十四万五千円になる。それに対して、これはいろいろ数字がありますけれども、ただいま出てまいりましたスウェーデンでは九万五千円、西ドイツでは十万八百円ですか、英国でも七万五千円、そういうふうに絶対額におきましてはわが国はかなり高い水準にある。さらにその支給開始年齢を見てまいりますと、厚生年金は御承知のように六十歳からである、諸外国はほとんど六十五歳からになっているわけですね。こういう点から見まして実質的にはかなり高い水準に来ている。
 最初にお答えいただきましたのは社会保障給付費の対国民所得比率、これですとまだ低いようでありますけれども、いまおっしゃられた人口の高齢化あるいは年金制度の成熟化、そういうものを考慮していけばかなりの水準、あるいは欧米以上の水準に達している、そういうふうにも理解されますし、またそういう議論も行われているわけでありますけれども、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。
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松田正#27
○松田政府委員 年金について申し上げますと、ただいま先生御指摘のように制度的にも実際的にも相当レベルの高い水準に達しておるわけでございます。したがいまして、今後さらに年金の成熟化が進みますれば、世界でも相当最高の水準を行くのではないかというふうに考えております。
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浜田卓二郎#28
○浜田委員 そこで少し観点を変えてみまして、国民の負担ということでひとつお伺いをしてみたいわけであります。
 私は、福祉は高ければ高いほどいい、そしてそれに伴う国民の負担も高くてもやむを得ない、こういう単純な考え方というのはこれからわが国が進むべき方向としては少し考えなければならないのじゃないか。これはいろいろ判断があると思います。たとえばスウェーデンの現状はどうか。ああいう国家をわが国は目指していくのかどうか、そういうことがいま非常に重要な課題になっていると考えるわけですが、現在あるべき国民の負担の限度といいますか、どこまで一体国民に負担をお願いできるのかということで、厚生省当局あるいは厚生大臣はどのようにお考えになっているか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
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長門保明#29
○長門説明員 現在のわが国の負担の関係でございますが、社会保障関係の社会保険料負担につきましては私ども承知しておりますが、租税関係につきましては社会保障関係のみならずその他込みになっておりますので、その点お許しを願いたいのでございますが、先ほど社会保障給付費が国民所得対比で一一・九になっていると申し上げましたが、これに対応する時点におきます租税と社会保障の負担の関係でございますが、租税関係が二一・四、社会保障負担が八・九、合わせまして三〇・三というふうな、これは国民所得対比の数字でございますが、これで社会保障を初めとする国家一般会計の財政を賄っているわけでございます。
 これが、一一・九という社会保障の国民所得対比が将来二十年先に約二〇%程度になるというふうなことになりますと、一般会計の負担、社会保障関係の負担もそれ相応にふえようかと存じますが、その際にどのくらいの割合になるかということは、私ども租税と社会保険料の分担関係その他いろいろむずかしい問題がございますので推計いたしておりませんが、二十年先におきますわが国の高齢化の状況あるいは年金の成熟度等あるいは年金の社会保障制度のシステムが比較的似ていると思われます西ドイツの例をとりますと、現在西ドイツが医療保険、年金合わせまして約千分の三百、三〇%程度というふうな、これは国民所得対比ではございませんで賃金収入に対する比率でございますが、そういう姿になっておりますので、この辺が一つの参考ということに相なろうかと存じます。
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