商工委員会、外務委員会、農林水産委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
昭和五十八年二月二十三日(水曜日)
午前十時開会
─────────────
出席者は左のとおり。
商工委員会
委員長 亀井 久興君
理 事
降矢 敬義君
吉田 正雄君
市川 正一君
委 員
岩本 政光君
大木 浩君
金丸 三郎君
川原新次郎君
楠 正俊君
福岡日出麿君
降矢 敬雄君
森山 眞弓君
村田 秀三君
馬場 富君
外務委員会
委員長 増田 盛君
理 事
安孫子藤吉君
福田 宏一君
松前 達郎君
渋谷 邦彦君
委 員
稲嶺 一郎君
大鷹 淑子君
夏目 忠雄君
鳩山威一郎君
宮澤 弘君
小山 一平君
宮崎 正義君
立木 洋君
木島 則夫君
山田 勇君
農林水産委員会
委員長 下条進一郎君
理 事
岡部 三郎君
坂元 親男君
鶴岡 洋君
委 員
大城 眞順君
熊谷太三郎君
古賀雷四郎君
初村滝一郎君
瀬谷 英行君
山田 譲君
中野 明君
藤原 房雄君
下田 京子君
科学技術振興対策特別委員会
委員長 中野 明君
理 事
後藤 正夫君
林 寛子君
太田 淳夫君
委 員
江島 淳君
長田 裕二君
片山 正英君
杉山 令肇君
高平 公友君
成相 善十君
藤井 孝男君
藤井 裕久君
松前 達郎君
八百板 正君
吉田 正雄君
小西 博行君
山田 勇君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
常任委員会専門
員 山本 義彰君
常任委員会専門
員 安達 正君
参考人
日本自動車工業
会専務理事 中村 俊夫君
全国農業協同組
合中央会専務理
事 山口 巌君
野村総合研究所
政策研究部主任
研究員 森谷 正規君
在日米国商工会
議所会頭 ローレンス・F・スノーデン君
在日EC企業間
運営委員会委員
長 ロバート・アペルドーン君
(通訳 久保悦子君)
(通訳 横田 謙君)
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際経済摩擦に関する件
─────────────
〔商工委員長亀井久興君委員長席に着く〕
この発言だけを見る →午前十時開会
─────────────
出席者は左のとおり。
商工委員会
委員長 亀井 久興君
理 事
降矢 敬義君
吉田 正雄君
市川 正一君
委 員
岩本 政光君
大木 浩君
金丸 三郎君
川原新次郎君
楠 正俊君
福岡日出麿君
降矢 敬雄君
森山 眞弓君
村田 秀三君
馬場 富君
外務委員会
委員長 増田 盛君
理 事
安孫子藤吉君
福田 宏一君
松前 達郎君
渋谷 邦彦君
委 員
稲嶺 一郎君
大鷹 淑子君
夏目 忠雄君
鳩山威一郎君
宮澤 弘君
小山 一平君
宮崎 正義君
立木 洋君
木島 則夫君
山田 勇君
農林水産委員会
委員長 下条進一郎君
理 事
岡部 三郎君
坂元 親男君
鶴岡 洋君
委 員
大城 眞順君
熊谷太三郎君
古賀雷四郎君
初村滝一郎君
瀬谷 英行君
山田 譲君
中野 明君
藤原 房雄君
下田 京子君
科学技術振興対策特別委員会
委員長 中野 明君
理 事
後藤 正夫君
林 寛子君
太田 淳夫君
委 員
江島 淳君
長田 裕二君
片山 正英君
杉山 令肇君
高平 公友君
成相 善十君
藤井 孝男君
藤井 裕久君
松前 達郎君
八百板 正君
吉田 正雄君
小西 博行君
山田 勇君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
常任委員会専門
員 山本 義彰君
常任委員会専門
員 安達 正君
参考人
日本自動車工業
会専務理事 中村 俊夫君
全国農業協同組
合中央会専務理
事 山口 巌君
野村総合研究所
政策研究部主任
研究員 森谷 正規君
在日米国商工会
議所会頭 ローレンス・F・スノーデン君
在日EC企業間
運営委員会委員
長 ロバート・アペルドーン君
(通訳 久保悦子君)
(通訳 横田 謙君)
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際経済摩擦に関する件
─────────────
〔商工委員長亀井久興君委員長席に着く〕
亀
亀井久興#1
○委員長(亀井久興君) ただいまから商工委員会、外務委員会、農林水産委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
国際経済摩擦に関する件を議題といたします。
本日は、お手元の名簿の五名の参考人の方々からの御意見の聴取を予定しております。
午前中に御意見をお述べいただく三名の参考人を御紹介いたします。
日本自動車工業会専務理事中村俊夫君、全国農業協同組合中央会専務理事山口巌君、野村総合研究所政策研究部主任研究員森谷正規君、以上の方々でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々におかれましては、本日は御多忙中のところ、貴重なお時間をお割きいただき、当連合審査会のために御出席を賜り、まことにありがとうございます。委員一同を代表して、お礼を申し上げます。
さて、本日は、現在国際的な懸案となっております経済摩擦問題について、商工委員会、外務委員会、農林水産委員会及び科学技術振興対策特別委員会の四委員会のメンバーが集まり、日ごろ第一線で御活躍なさっております皆様方の御意見を伺い、今後の審査に役立てたいと考えておりますので、何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、中村参考人、山口参考人、森谷参考人の順序で、お一人約十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員からの御質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、まず中村参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
国際経済摩擦に関する件を議題といたします。
本日は、お手元の名簿の五名の参考人の方々からの御意見の聴取を予定しております。
午前中に御意見をお述べいただく三名の参考人を御紹介いたします。
日本自動車工業会専務理事中村俊夫君、全国農業協同組合中央会専務理事山口巌君、野村総合研究所政策研究部主任研究員森谷正規君、以上の方々でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々におかれましては、本日は御多忙中のところ、貴重なお時間をお割きいただき、当連合審査会のために御出席を賜り、まことにありがとうございます。委員一同を代表して、お礼を申し上げます。
さて、本日は、現在国際的な懸案となっております経済摩擦問題について、商工委員会、外務委員会、農林水産委員会及び科学技術振興対策特別委員会の四委員会のメンバーが集まり、日ごろ第一線で御活躍なさっております皆様方の御意見を伺い、今後の審査に役立てたいと考えておりますので、何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、中村参考人、山口参考人、森谷参考人の順序で、お一人約十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員からの御質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、まず中村参考人にお願いいたします。
中
中村俊夫#2
○参考人(中村俊夫君) ただいま御紹介をいただきました日本自動車工業会の専務理事をいたしております中村俊夫でございます。
諸先生には、平素から自動車産業に関しまして、高いお立場から格別の御指導と御高配をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げます。
本日は、国際経済摩擦問題についてというテーマで、自動車産業の立場から、私どもの考え方を申し述べ、先生方の御理解をいただきたいと存じます。
私どもは、貿易摩擦問題が、今日、国の内外を問わず、重要な問題であることを十分認識いたしておりまして、この問題の解決のために最大限の努力を傾注する所存でございます。
今日、自動車の輸出入に関しまして、政府間で交渉が行われてきております相手国といたしましては、主として米国、カナダ、それにEC諸国がございます。
まず、米国の場合につきまして、私どもの見解を申し上げてみたいと存じます。
御承知のように、第二次オイルショック以来、ここ三、四年の間、米国自動車産業は、経営の不振と失業の増大というきわめて困難な状況が続いております。米国のメーカー及び労働組合では、日本からの輸入車についてもこれを制限しようといたしております。このため、アメリカの議会でも保護主義的な法案が次々と提案されております。いわゆる貿易摩擦でございます。しかしながら、過去において日米間に数多く見られました貿易摩擦と自動車の場合とでは、若干事情が異なっております。
と申しますのは、米国の自動車産業の困難が日本からの輸入車の増大によって生じたものではないという点でございます。日本車の対米輸出は、長年の間に徐々に増加はいたしましたけれども、いわゆる集中豪雨的な増加でもなく、またダンピングを伴ったような不公正な輸出でもないのであります。
自動車の場合は、一九七五年のダンピング提訴でもシロの判定でございました。また一九八〇年のITCの審決におきましても、米国自動車産業の不振は日本車の輸出が主たる原因ではないとの、いわゆるシロの審決がなされたのであります。
米国の自動車産業のここ数年の苦境は、石油危機に伴うガソリン価格の高騰によりまして、米国メーカーの主たる生産車でありました大型車の需要が、燃費が悪いという理由で急減いたしまして、しかも小型車生産への移行のための対応がおくれたということによるものであります。
それに加えて、米国経済における高金利が自動車需要を大幅に減少させたからにほかならないのであります。
したがいまして、日本車の輸出による貿易摩擦とは申しましても、それは日本車が米国の業界に被害を与えた結果というのではなくて、もっぱら米国側の事情によって生じているという点が従来の日米間の他の業種での輸出による貿易摩擦と異なっている点でございます。
したがいまして、米国の主要な新聞論調あるいはまた有力な消費者団体、いずれも日本車を輸入制限することは、いたずらに米国の自動車価格の高騰をもたらすばかりでなくて、長期的に見まして米国自動車産業の競争力の強化にも役立たないということで一貫して反対してきているのでございます。
まず、この点について御理解をいただきたいと存じます。
もちろん、このような状況から脱却するために、米国の自動車業界も労働組合の協力を得て労賃を凍結するなどの措置を含む各種の合理化に努めつつ、小型車生産への転換のための多額の設備投資を行いまして、燃費のよい、安くて高品質の車の生産体制の確立に努めてまいっております。そして、その達成までの間、日本車との競争という面で時間的余裕を与えてほしいというのが米国側の偽らざる気持ちであります。
一昨年五月に、日本政府が対米自動車輸出について自主規制措置を実施いたしましたのも、これに協力するためのものでありました。
しかし、少なくとも昨年秋までは、米国自動車市場の回復は決してはかばかしくございませんでした。このため、アメリカのメーカーは、コストの低減を図るためにメキシコや日本などから安くて良質な部品を職人するなどの措置をとるに至っております。しかし、海外部品の購入ということは、米国におきます失業の改善にはならないということで、アメリカの自動車労働組合でありますUAWは、ローカルコンテント法案を議会に持ち込んできたのであります。これらのローカルコンテント法案を初めとする米国議会での各種の保護主義法案の成立は、アメリカにとどまらず、ECを初め、各国の保護主義の流れを助長するきわめて危険な存在と言わざるを得ません。
EC諸国におきましても、オイルショック以来の長期の不況と、失業の増大によりまして、自動車産業も各国とも不振に陥っております。したがいまして、これらの国々でも日本車の輸入を制限しようという要求がありまして、現実に制限している国もございます。特にフランスの場合にはきわめて不公正かつ不明朗な手段によりまして、自動車市場の需要の三%に日本車を制限しております。これに対しまして日本側からは機会あるたびに抗議をいたしておりますが、フランス側は耳をかさないのであります。しかしながら、私どもはECに対しましても引き続き分別ある輸出姿勢を続けておりまして、最近におきましてはEC向けの輸出も減少しておりますので、先般の政府とECとの会議におきましても自動車に関しては具体的な数量規制といったような要求は出ていないわけでございます。しかし、自動車には限りませんけれども、ECは御承知のように、日本に対して市場開放を求めてきておりまして、もしこれに適切な措置をとらないならばガットに提訴するというようなことを申しております。御承知のように米国のダンフォースさんの出しております相互主義法案も同様な市場開放をねらったものでございます。しかしながら、自動車に関します限り、日本は全く市場は開放されております。日本の自動車市場は外国からの輸入や、外国自動車メーカーの生産流通に対する投資といった面でも、全く開放されております。しかも輸入関税は、一九七八年からゼロとされまして、日本は輸出車に対する関税を完全に撤廃した最初にして唯一の自動車生産国でございます。白勤車の完成車のみならず、その部品輸入に対しましても制限はもちろんございませんし、ほとんどの部品の関税はゼロでございます。もちろん安全や公害の面におきましては、各国ともそれぞれ別個の規制がありまして、日本におきましても、安全や公害に関する規制はございます。しかしながら、これも輸入車、国産車の差別はなくて、およそ日本で走っておりますすべての自動車に平等に適用されるのでございます。むしろ輸入車に対しましては三年間の猶予期間をさえ与えておるわけでございます。
今日、日本の車は世界各国に輸出されておりますけれども、われわれ日本の自動車メーカーが初めて外国市場に入ろうといたしましたとき、各種の困難を経験いたしまして、その他域での特殊性は、われわれがそれとその要件に適応することによって克服する以外に、その市場での成功はおぼつかないということで大変な苦労をいたしましてきたのでございます。この努力に比べますとECやアメリカのメーカーの日本に対する輸出努力というのはいささか十分ではないのではないかと思われますが、しかし、私どもはEC及びアメリカの車が日本の市場に参入できるようにするため、むしろ私どもの販売網を活用いたしまして輸入車の販売に協力をさえしてまいりました。そうしたことによりまして、たとえば日本にはノン・タリフ・バリアがあるとか、日本市場が閉鎖されているとか、そういったような諸外国の言いわけを排除することがわれわれにとっても重要であると考えたからであります。
私どもといたしましては、国内はもとよりのこと、全世界において自由貿易と自由競争が行われることが必要でありまして、これを推進すべきであると思っております。特に、自動車は国際商品でありまして、したがって日本の自動車産業は国内市場だけではなく、世界市場全体に立脚して今後も発展せざるを得ません。日本はもとより世界の経済の発展にとっても自由な貿易の維持が最大の利益をもたらすということはこれまでの歴史が証明しているところでございます。
保護主義的な考え方や、そういった動きが新たに米国や他の欧州諸国に広がることを未然に防ぐことが、今後における最大の課題となっております。
自動車業界といたしましては競争と協調、この二つを柱といたしまして、技術の面から文化に至るまで、あらゆる面で相互理解と交流を深め、自由な貿易の維持、発展に努める考えでございます。諸先生のこの方面での積極的な御支援をお願いいたしたいと存じます。
最後に、もう一点御理解をいただきたい点がございます。と申しますのは、自動車産業は多くの関連産業の上に成り立つ非常にすそ野の広い産業でございますので、先進自動車生産国はもちろんのこと、まだ自動車の生産が未発達の国々におきましても、それぞれの国におきまして、きわめて重要な産業となっております。自動車産業の好不況がそのままその国の経済の好不況となって反映するからであります。このことは日本においても例外ではございません。日本の自動車産業は製造業といいますか、鉱工業の製造業の生産額の一割を占めております。あるいは雇用の面におきましても、総就業者数の約一割を占めております。国税、地方税を合わせましたわが国の総租税収入の一割近くを負担しており、輸出におきましては総輸出額の二割強を占めておりまして、石油輸入額の約五割以上の外貨を獲得しているのでございます。したがいまして、その消長は大きく日本経済の動向を左右するものと言うことができます。
第一次オイルショック以後今日まで、他の先進国がインフレと不況と失業に苦しんでいた中で、日本が比較的順調な経済運営を続けられました陰には、常に日本経済を下支えしてきた自動車産業の貢献があったからと言っても過言ではないと存じます。
しかしながら、昨年は米国及びヨーロッパ諸国による輸入制限に加えて、世界的不況の浸透から輸出が大幅に減少いたしました。そのため生産数量も約四%マイナスとなりました。本年も対米自主規制の継続もあり、生産の伸びは期待できないのでありまして、このことが日本経済の景気低迷をさらに長引かすのではないかと憂慮いたしております。
自動車産業が不振になった場合の国民経済全般に与える影響は、現在の米国の状況をごらんになれば容易に御理解いただけるかと存じます。日本経済の中に占める自動車産業の重要性について深い御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →諸先生には、平素から自動車産業に関しまして、高いお立場から格別の御指導と御高配をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げます。
本日は、国際経済摩擦問題についてというテーマで、自動車産業の立場から、私どもの考え方を申し述べ、先生方の御理解をいただきたいと存じます。
私どもは、貿易摩擦問題が、今日、国の内外を問わず、重要な問題であることを十分認識いたしておりまして、この問題の解決のために最大限の努力を傾注する所存でございます。
今日、自動車の輸出入に関しまして、政府間で交渉が行われてきております相手国といたしましては、主として米国、カナダ、それにEC諸国がございます。
まず、米国の場合につきまして、私どもの見解を申し上げてみたいと存じます。
御承知のように、第二次オイルショック以来、ここ三、四年の間、米国自動車産業は、経営の不振と失業の増大というきわめて困難な状況が続いております。米国のメーカー及び労働組合では、日本からの輸入車についてもこれを制限しようといたしております。このため、アメリカの議会でも保護主義的な法案が次々と提案されております。いわゆる貿易摩擦でございます。しかしながら、過去において日米間に数多く見られました貿易摩擦と自動車の場合とでは、若干事情が異なっております。
と申しますのは、米国の自動車産業の困難が日本からの輸入車の増大によって生じたものではないという点でございます。日本車の対米輸出は、長年の間に徐々に増加はいたしましたけれども、いわゆる集中豪雨的な増加でもなく、またダンピングを伴ったような不公正な輸出でもないのであります。
自動車の場合は、一九七五年のダンピング提訴でもシロの判定でございました。また一九八〇年のITCの審決におきましても、米国自動車産業の不振は日本車の輸出が主たる原因ではないとの、いわゆるシロの審決がなされたのであります。
米国の自動車産業のここ数年の苦境は、石油危機に伴うガソリン価格の高騰によりまして、米国メーカーの主たる生産車でありました大型車の需要が、燃費が悪いという理由で急減いたしまして、しかも小型車生産への移行のための対応がおくれたということによるものであります。
それに加えて、米国経済における高金利が自動車需要を大幅に減少させたからにほかならないのであります。
したがいまして、日本車の輸出による貿易摩擦とは申しましても、それは日本車が米国の業界に被害を与えた結果というのではなくて、もっぱら米国側の事情によって生じているという点が従来の日米間の他の業種での輸出による貿易摩擦と異なっている点でございます。
したがいまして、米国の主要な新聞論調あるいはまた有力な消費者団体、いずれも日本車を輸入制限することは、いたずらに米国の自動車価格の高騰をもたらすばかりでなくて、長期的に見まして米国自動車産業の競争力の強化にも役立たないということで一貫して反対してきているのでございます。
まず、この点について御理解をいただきたいと存じます。
もちろん、このような状況から脱却するために、米国の自動車業界も労働組合の協力を得て労賃を凍結するなどの措置を含む各種の合理化に努めつつ、小型車生産への転換のための多額の設備投資を行いまして、燃費のよい、安くて高品質の車の生産体制の確立に努めてまいっております。そして、その達成までの間、日本車との競争という面で時間的余裕を与えてほしいというのが米国側の偽らざる気持ちであります。
一昨年五月に、日本政府が対米自動車輸出について自主規制措置を実施いたしましたのも、これに協力するためのものでありました。
しかし、少なくとも昨年秋までは、米国自動車市場の回復は決してはかばかしくございませんでした。このため、アメリカのメーカーは、コストの低減を図るためにメキシコや日本などから安くて良質な部品を職人するなどの措置をとるに至っております。しかし、海外部品の購入ということは、米国におきます失業の改善にはならないということで、アメリカの自動車労働組合でありますUAWは、ローカルコンテント法案を議会に持ち込んできたのであります。これらのローカルコンテント法案を初めとする米国議会での各種の保護主義法案の成立は、アメリカにとどまらず、ECを初め、各国の保護主義の流れを助長するきわめて危険な存在と言わざるを得ません。
EC諸国におきましても、オイルショック以来の長期の不況と、失業の増大によりまして、自動車産業も各国とも不振に陥っております。したがいまして、これらの国々でも日本車の輸入を制限しようという要求がありまして、現実に制限している国もございます。特にフランスの場合にはきわめて不公正かつ不明朗な手段によりまして、自動車市場の需要の三%に日本車を制限しております。これに対しまして日本側からは機会あるたびに抗議をいたしておりますが、フランス側は耳をかさないのであります。しかしながら、私どもはECに対しましても引き続き分別ある輸出姿勢を続けておりまして、最近におきましてはEC向けの輸出も減少しておりますので、先般の政府とECとの会議におきましても自動車に関しては具体的な数量規制といったような要求は出ていないわけでございます。しかし、自動車には限りませんけれども、ECは御承知のように、日本に対して市場開放を求めてきておりまして、もしこれに適切な措置をとらないならばガットに提訴するというようなことを申しております。御承知のように米国のダンフォースさんの出しております相互主義法案も同様な市場開放をねらったものでございます。しかしながら、自動車に関します限り、日本は全く市場は開放されております。日本の自動車市場は外国からの輸入や、外国自動車メーカーの生産流通に対する投資といった面でも、全く開放されております。しかも輸入関税は、一九七八年からゼロとされまして、日本は輸出車に対する関税を完全に撤廃した最初にして唯一の自動車生産国でございます。白勤車の完成車のみならず、その部品輸入に対しましても制限はもちろんございませんし、ほとんどの部品の関税はゼロでございます。もちろん安全や公害の面におきましては、各国ともそれぞれ別個の規制がありまして、日本におきましても、安全や公害に関する規制はございます。しかしながら、これも輸入車、国産車の差別はなくて、およそ日本で走っておりますすべての自動車に平等に適用されるのでございます。むしろ輸入車に対しましては三年間の猶予期間をさえ与えておるわけでございます。
今日、日本の車は世界各国に輸出されておりますけれども、われわれ日本の自動車メーカーが初めて外国市場に入ろうといたしましたとき、各種の困難を経験いたしまして、その他域での特殊性は、われわれがそれとその要件に適応することによって克服する以外に、その市場での成功はおぼつかないということで大変な苦労をいたしましてきたのでございます。この努力に比べますとECやアメリカのメーカーの日本に対する輸出努力というのはいささか十分ではないのではないかと思われますが、しかし、私どもはEC及びアメリカの車が日本の市場に参入できるようにするため、むしろ私どもの販売網を活用いたしまして輸入車の販売に協力をさえしてまいりました。そうしたことによりまして、たとえば日本にはノン・タリフ・バリアがあるとか、日本市場が閉鎖されているとか、そういったような諸外国の言いわけを排除することがわれわれにとっても重要であると考えたからであります。
私どもといたしましては、国内はもとよりのこと、全世界において自由貿易と自由競争が行われることが必要でありまして、これを推進すべきであると思っております。特に、自動車は国際商品でありまして、したがって日本の自動車産業は国内市場だけではなく、世界市場全体に立脚して今後も発展せざるを得ません。日本はもとより世界の経済の発展にとっても自由な貿易の維持が最大の利益をもたらすということはこれまでの歴史が証明しているところでございます。
保護主義的な考え方や、そういった動きが新たに米国や他の欧州諸国に広がることを未然に防ぐことが、今後における最大の課題となっております。
自動車業界といたしましては競争と協調、この二つを柱といたしまして、技術の面から文化に至るまで、あらゆる面で相互理解と交流を深め、自由な貿易の維持、発展に努める考えでございます。諸先生のこの方面での積極的な御支援をお願いいたしたいと存じます。
最後に、もう一点御理解をいただきたい点がございます。と申しますのは、自動車産業は多くの関連産業の上に成り立つ非常にすそ野の広い産業でございますので、先進自動車生産国はもちろんのこと、まだ自動車の生産が未発達の国々におきましても、それぞれの国におきまして、きわめて重要な産業となっております。自動車産業の好不況がそのままその国の経済の好不況となって反映するからであります。このことは日本においても例外ではございません。日本の自動車産業は製造業といいますか、鉱工業の製造業の生産額の一割を占めております。あるいは雇用の面におきましても、総就業者数の約一割を占めております。国税、地方税を合わせましたわが国の総租税収入の一割近くを負担しており、輸出におきましては総輸出額の二割強を占めておりまして、石油輸入額の約五割以上の外貨を獲得しているのでございます。したがいまして、その消長は大きく日本経済の動向を左右するものと言うことができます。
第一次オイルショック以後今日まで、他の先進国がインフレと不況と失業に苦しんでいた中で、日本が比較的順調な経済運営を続けられました陰には、常に日本経済を下支えしてきた自動車産業の貢献があったからと言っても過言ではないと存じます。
しかしながら、昨年は米国及びヨーロッパ諸国による輸入制限に加えて、世界的不況の浸透から輸出が大幅に減少いたしました。そのため生産数量も約四%マイナスとなりました。本年も対米自主規制の継続もあり、生産の伸びは期待できないのでありまして、このことが日本経済の景気低迷をさらに長引かすのではないかと憂慮いたしております。
自動車産業が不振になった場合の国民経済全般に与える影響は、現在の米国の状況をごらんになれば容易に御理解いただけるかと存じます。日本経済の中に占める自動車産業の重要性について深い御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
御清聴ありがとうございました。拍手
亀
山
山口巌#4
○参考人(山口巌君) 全中の山口でございます。
先生方御案内のとおり、最近、日本と米国あるいはEC諸国との間の貿易摩擦問題が顕在化するにつれまして、これら諸国よりわが国の農産物市場開放の要求が一段と強まってまいっております。特にアメリカ政府並びに議会筋は、前回の東京ラウンド以来の関心品目でございます牛肉、オレンジ等に対するわが国の輸入割り当て制度に対しまして、日本市場の閉鎖性のシンボルであるというとらえ方をいたしまして攻撃を繰り返しておるわけでございまして、その全面開放を要求をいたしてまいっております。
そこで、貿易摩擦問題と農産物貿易問題との関連、並びに農産物貿易に対する私どもとしての考え方につきまして、これから申し述べさしていただきたいと思います。
まず貿易摩擦と農産物貿易の関連でございますが、このアメリカのわが国に対します市場開放要求、これを正当化しまする論拠として、二つの理由をアメリカは挙げておるわけでございます。
第一の理由は、日本からの自動車、鉄鋼、電気製品等の輸入により多額の貿易収支の赤字を生じておるので、貿易収支改善のために、農産物市場を開放しろということでございます。事実、日米間のこの一年の貿易収支の状況を見てみますと、一九八一年には約百八十億ドルの赤字でございました。一九八二年の暦年、一月から十二月の実績を見てまいりましても、アメリカ側の発表によれば百八十九億ドルの赤字になっております。しかし、この貿易赤字の解消の手段として農産物市場を開放するということになると、現在彼らが要求しております牛肉、オレンジ等のいわゆる残存輸入制限品目——二十二品目ございますが、これを全面開放したところでせいぜい五億ドルないし八億ドル程度の収支改善にしか役立たないというのが実態でございます。そういうわけでございますので、ここでアメリカの要求を受け入れるということは、次には貿易赤字解消を理由といたしまして、現在国民生活安定のために法律で守っております米麦、主要乳製品を全面開放しなければならない羽目に追い込まれることが危惧されるわけでございます。
御案内のとおり、現在農産物についてはわが国は二つの国境措置をとっておるわけでございます。
一つは、行政措置でやっておりますIQ物資と称するいわゆる残存輸入制限品目でございます。輸入割り当て制度を実施をいたしておるわけでございます。もう一つは、法律に基づきまして国が貿易を管理している品目でございます。これは食管法に基づく米麦、それから加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく主要乳製品でございます。そういう二十二品目の残存輸入制限品目で貿易収支改善に役立たないということになりますと、次にはいわゆる国家が管理しております米麦、乳製品に要求が及んでくることを、われわれは非常に心配しているわけでございます。
なお参考までに申し上げますと、アメリカの米の生産量は、近年とみに増加してまいりまして、一九八一年には八百二十八万トンに達しております。わが国の米の生産量は、いま生産調整をやっておりますが、千百万トン水準でございますので、ほぼその水準に近づいてまいっておるというのが現状でございまして、なおアメリカは米が過剰なので昨年から一五%の米の作付制限を実施をいたしておる現状でございます。
また、乳製品を見ますると、バターで十万トン以上のアメリカは過剰在庫を抱えておりまして、最近におきましてはエジプトに二万トンのバターをいわゆるダンピング輸出をいたしまして、ECとの間に物議を醸しておることは御案内のとおりでございます。
アメリカの自由化要求の第二の理由は、日本の輸入割り当て制度が、ガット協定に違反するということでございます。しかし、アメリカ自体の実情を見てみますると、アメリカはいち早く一九五五年に農業調整法二十二条に関連いたしまして、ガットのウエーバーを取りつけておるわけでございます。日本ではすでに自由化しておりますチーズ等を含めまして、非自由化品目は、いわゆるウエーバーを取りつけておる冊日は十三品目にも及んでいるわけでございます。また、これとは別にいわゆる精製糖、砂糖でございますが、これを現在もアメリカは残存輸入制限品目として輸入割り当てを行っておるのが実態でございまして、また牛肉、ヤギの肉、羊の肉、それから牛肉調整品につきましては、食肉輸入法に基づきまして輸入制限を実施をいたしておりまして、昨年の十二月から豪州、ニュージーに対しまして自主規制を求めておるのが実態でございます。
ガットの残存輸入制限品目は、わが国のガット加盟がおくれたために、そのときの加入の状態といたしましてウエーバーを取りつけられなかったために、やむを得ず残存輸入制限品目として残しておるわけでございます。日米両国の行っている輸入制限がガット上合法なものか違法なものかという違いは、いわば歴史的な偶然によって決定したものでございまして、米国のウエーバーがガット上合法であり、わが国の残存輸入制限が違法だということは、全く形式的な論議にすぎないと考えるわけでございます。
以上のように、アメリカの主張はまことに私どもから見ますと身勝手な一方的な論理に終始しているというふうに考えられるわけでございます。しかし、最近アメリカは日本がもしわれわれの要求に応じないならば、日本からの工業製品の輸入に対し、たとえば自動車に対するローカルコンテント法案のような保護主義立法を、これを国内で通せという声を抑えることができないという、一種の恫喝に等しい姿勢で農産物市場の開放を迫っておるのが最近の姿でございます。私どもは、このようなアメリカ側の姿勢に非常な反発を感じておるものでございます。
その理由は、農産物貿易に関する限り、わが国はアメリカの最大の顧客であるという事実があるからでございます。一九八一年の対米貿易を農林水産物と非農林水産物、まあほとんどが工業製品でございますが、これに分けてみますると、農林水産物では九十八億ドルの輸入超過でございます。非農林水産物では二百三十二億ドルの輸出超過でございます。農産物のわが国の輸入というのがアメリカの貿易収支に大きく寄与しておることは事実でございます。アメリカの世界に対する農産物の輸出総額の実に一五%以上を日本は一国で輸入をいたしておるわけでございます。また、日本の農産物輸入全体に占めるアメリカのシェアは四二%にも及んでおります。特に小麦につきましては五七%、トウモロコシは八九%、グレーンソルガムは九〇・四%、大豆に至っては九五%を占めておるわけでございます。農業物貿易に関する限り、われわれはアメリカから感謝こそされ非難される筋合いは何一つないわけでございます。
また、日本ほど私は農産物市場開放を行っている国はないと考えます。FAOの統計によると、わが国の一九八〇年での実績で、ソ連、西ドイツを上回り世界第一の農産物の純輸入国となっております。純輸入総額が百六十九億ドルに達しておるわけでございます。このように考えてまいりますと、現在言われている貿易摩擦とわが国の農産物貿易は何らかかわりのない問題でございますが、アメリカがかくも執拗に市場開放を求める背景は、御案内のとおり、一九三〇年以来と称する不況にさらされておりますアメリカの農業者の目を国内問題から対外問題に転じさせるためのレーガン政権のこうかつな企図と断ぜざるを得ないわけでございます。私どもはこのような企図に対しまして、最近アメリカの国内からもこれに対する批判の声が上がっているということを聞くわけでございます。特に、ファーマーズユニオン等の農民組織はこのアメリカのレーガン政権の姿勢に対して強く反発をいたしまして、機関紙等で公表をいたしておるわけでございます。
次に、農産物貿易のあり方について申し述べさしていただきます。
第一に、私どもは農産物の貿易に関する限り、完全自由化には反対であるということでございます。
農産物の自由化は、御案内のとおり生産性におきまして比較優位に立つ国の農産物というものが、他の国の当該農産物の生産を破壊、駆逐するというのが実態でございます。このことはわが国の例を見ましても、自由化をいたしました飼料穀物あるいは大豆、なたね、あるいは最近におきましてはレモン、この例を見ても明らかでございまして、安いコストのものが入ってまいりますれば、相手国の高いコストの農産物の生産を駆逐をいたしてまいるわけでございます。
問題は、それでいいのかという問題でございます。工業原料としての農産物は別といたしまして、農産物の大部分というのは御案内のとおり、直接食べるかあるいは家畜の腹を通して人間の食糧といたしておるわけでございまして、食糧問題に重大なかかわりがある産品でございます。私どもは食糧問題を考える場合には、二つの前提が大切であると考えます。
その一つは、長期的な視点でこの問題は考えなければならないということでございます。
第二には、地球的な規模でやはり食糧問題は考えていかなければならないという問題でございます。
最近、世界各国の調査機関の発表によりますと、西暦二〇〇〇年に向けての食糧需給に関するいろんな調査をそれぞれ行っておりますが、たとえばFAOでは二〇〇〇年の農業、米国政府ではカーター政権のときに二〇〇〇年の地球研究、OECDはインター・フューチャーズ・プロジェクト、それから農林水産省は昨年二〇〇〇年までの食糧需給予測等を発表しておりますが、共通しております点は、今後の食糧需給をめぐりましてはさまざまな不安定要因があるということを指摘をいたしておるわけでございます。それは発展途上国における人口の急減な増加であるとか、あるいは気象による収量の偏差であるとか、あるいは中進国におきまする飼料穀物需要の増大の問題であるとか、あるいは世界全体におけるこれからの農地造成の困難さであるとか、こういうことを指摘をいたしておりまして、二〇〇〇年に向けまして国際需給の先行きは必ずしも楽観を許さない、むしろ需給はきわめてタイトに推移をするであろうということが大方の予想でございます。このような予想のとおり、仮に食糧の絶対量の不足が生じた場合に、日本が貿易立国でドルを持っておるからといって一方的に食糧を買い占めることができるかどうか考えてみましても、その保証は全くないわけでございます。その意味においては、世界各国が農業生産力をこれ以上落とさない、現状維持を落とさないという努力をすることが何より肝要でございます。したがいまして食糧はできる限り自国でつくる、不足するものに限り輸入するという考え方をわれわれは農産物貿易の原則として考えておる次第でございます。事実、世界各国とも自国の農業を守るために懸命な努力をいたしておるのが現状でございます。アメリカの例は先ほどの事例で申し上げましたが、ECにおきましては御案内のとおり、共通農業政策で輸入農産物についてはきわめて高額な課徴金を課し、国内農業の保護に努めておることは御案内のとおりでございます。
また、われわれは、貿易問題を考えるに当たりまして、農業と国民生活との多面的なかかわり合いについて、これを重視していかなければならないと考えるものでございます。
その第一は、食糧の安全保障の問題でございます。現在、穀類の自給率は三三%を割り込んでおるというのが実態でございまして、カロリーでいきますと、五三%は輸入食糧によって賄われておる、国民が摂取するカロリーの五三%が輸入食糧によって賄われておるというのがいまの実態でございます。これ以上自給率を落とすわけにはまいらないぎりぎりのところに日本は来ておるというのが私は実態ではなかろうかと考えるわけでございます。
第二には、国土と自然環境の保全の問題でございまして、農業は緑と水を守る重要な産業でございます。この農業を自由化によってこれ以上荒廃させることは、日本の国是として、私は当然とるべきではないと考えるわけでございます。
第三点は、農村は日本社会の原点であるという問題でございます。
地域社会の共同と連帯のもとに農業というのは営まれておるわけでございます。水を一つとりましても、自分だけで農業用水を確保しているわけではございません。地域の財産でございます。みんなで共同いたしまして、農業生産というものは、地域の連帯感、人と人との結びつきの中に成立をいたしておる、それが日本の社会を形成している一番大きな基礎になっているというふうに私どもは考えるわけでございます。
特に、工業製品の輸出におきまして日本が非常に輸出力を持っておる、国際競争力を持っているというのも、いわゆる労使関係がきわめて円満にいっている、きわめて勤勉である、こういういわゆる勤労者がおるからでございまして、こういう人間をつくり上げている基礎は農村社会である、まさに農村社会というものは日本の社会の原点であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
このような観点から、われわれは日本農業を滅ぼすような農産物の自由化には絶対反対するものでございます。
以上、農産物貿易のあり方について率直な意見を申し述べたわけでございますが、最後に、われわれはこのような情勢の中で、農業者として何をなすべきかについて申し述べたいと思います。
端的に結論を申し上げますと、与えられた条件の中で、より良質でより安価な農産物を国民に供給するため最大の努力をしなければならないということでございまして、私ども農業協同組合は昨年十月の第十六回大会におきまして系統農協としての農業振興方策を決定いたしましたが、その内容は、分散錯圃の状態にございます農地を共同の力によりまして集積をいたしまして、また担い手として地域営農集団を組織化いたしまして、土地利用型農産物のコストを今後十年間で二〇%低減するという目標を打ち立てたわけでございます。
御案内のとおり、日本の農家一戸当たりの経営面積はわずか一・二ヘクタールでございます。アメリカの百八十二へクタール、フランスの二十六へクタールとは比較にならない狭さでございます。また、農地価格もアメリカの四十倍、フランスの七倍の高さでございます。この国土的制約を経営の努力によりましてどこまで圧縮できるかということがわれわれに課せられた国民の期待であり、貿易摩擦問題との関連におきまして、農産物を犠牲に供しない国民的な合意を得る唯一の道であると私どもは考えておるわけでございます。そのために最善の努力を今後払うことをお誓いいたしまして、私の意見開陳といたします。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →先生方御案内のとおり、最近、日本と米国あるいはEC諸国との間の貿易摩擦問題が顕在化するにつれまして、これら諸国よりわが国の農産物市場開放の要求が一段と強まってまいっております。特にアメリカ政府並びに議会筋は、前回の東京ラウンド以来の関心品目でございます牛肉、オレンジ等に対するわが国の輸入割り当て制度に対しまして、日本市場の閉鎖性のシンボルであるというとらえ方をいたしまして攻撃を繰り返しておるわけでございまして、その全面開放を要求をいたしてまいっております。
そこで、貿易摩擦問題と農産物貿易問題との関連、並びに農産物貿易に対する私どもとしての考え方につきまして、これから申し述べさしていただきたいと思います。
まず貿易摩擦と農産物貿易の関連でございますが、このアメリカのわが国に対します市場開放要求、これを正当化しまする論拠として、二つの理由をアメリカは挙げておるわけでございます。
第一の理由は、日本からの自動車、鉄鋼、電気製品等の輸入により多額の貿易収支の赤字を生じておるので、貿易収支改善のために、農産物市場を開放しろということでございます。事実、日米間のこの一年の貿易収支の状況を見てみますと、一九八一年には約百八十億ドルの赤字でございました。一九八二年の暦年、一月から十二月の実績を見てまいりましても、アメリカ側の発表によれば百八十九億ドルの赤字になっております。しかし、この貿易赤字の解消の手段として農産物市場を開放するということになると、現在彼らが要求しております牛肉、オレンジ等のいわゆる残存輸入制限品目——二十二品目ございますが、これを全面開放したところでせいぜい五億ドルないし八億ドル程度の収支改善にしか役立たないというのが実態でございます。そういうわけでございますので、ここでアメリカの要求を受け入れるということは、次には貿易赤字解消を理由といたしまして、現在国民生活安定のために法律で守っております米麦、主要乳製品を全面開放しなければならない羽目に追い込まれることが危惧されるわけでございます。
御案内のとおり、現在農産物についてはわが国は二つの国境措置をとっておるわけでございます。
一つは、行政措置でやっておりますIQ物資と称するいわゆる残存輸入制限品目でございます。輸入割り当て制度を実施をいたしておるわけでございます。もう一つは、法律に基づきまして国が貿易を管理している品目でございます。これは食管法に基づく米麦、それから加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく主要乳製品でございます。そういう二十二品目の残存輸入制限品目で貿易収支改善に役立たないということになりますと、次にはいわゆる国家が管理しております米麦、乳製品に要求が及んでくることを、われわれは非常に心配しているわけでございます。
なお参考までに申し上げますと、アメリカの米の生産量は、近年とみに増加してまいりまして、一九八一年には八百二十八万トンに達しております。わが国の米の生産量は、いま生産調整をやっておりますが、千百万トン水準でございますので、ほぼその水準に近づいてまいっておるというのが現状でございまして、なおアメリカは米が過剰なので昨年から一五%の米の作付制限を実施をいたしておる現状でございます。
また、乳製品を見ますると、バターで十万トン以上のアメリカは過剰在庫を抱えておりまして、最近におきましてはエジプトに二万トンのバターをいわゆるダンピング輸出をいたしまして、ECとの間に物議を醸しておることは御案内のとおりでございます。
アメリカの自由化要求の第二の理由は、日本の輸入割り当て制度が、ガット協定に違反するということでございます。しかし、アメリカ自体の実情を見てみますると、アメリカはいち早く一九五五年に農業調整法二十二条に関連いたしまして、ガットのウエーバーを取りつけておるわけでございます。日本ではすでに自由化しておりますチーズ等を含めまして、非自由化品目は、いわゆるウエーバーを取りつけておる冊日は十三品目にも及んでいるわけでございます。また、これとは別にいわゆる精製糖、砂糖でございますが、これを現在もアメリカは残存輸入制限品目として輸入割り当てを行っておるのが実態でございまして、また牛肉、ヤギの肉、羊の肉、それから牛肉調整品につきましては、食肉輸入法に基づきまして輸入制限を実施をいたしておりまして、昨年の十二月から豪州、ニュージーに対しまして自主規制を求めておるのが実態でございます。
ガットの残存輸入制限品目は、わが国のガット加盟がおくれたために、そのときの加入の状態といたしましてウエーバーを取りつけられなかったために、やむを得ず残存輸入制限品目として残しておるわけでございます。日米両国の行っている輸入制限がガット上合法なものか違法なものかという違いは、いわば歴史的な偶然によって決定したものでございまして、米国のウエーバーがガット上合法であり、わが国の残存輸入制限が違法だということは、全く形式的な論議にすぎないと考えるわけでございます。
以上のように、アメリカの主張はまことに私どもから見ますと身勝手な一方的な論理に終始しているというふうに考えられるわけでございます。しかし、最近アメリカは日本がもしわれわれの要求に応じないならば、日本からの工業製品の輸入に対し、たとえば自動車に対するローカルコンテント法案のような保護主義立法を、これを国内で通せという声を抑えることができないという、一種の恫喝に等しい姿勢で農産物市場の開放を迫っておるのが最近の姿でございます。私どもは、このようなアメリカ側の姿勢に非常な反発を感じておるものでございます。
その理由は、農産物貿易に関する限り、わが国はアメリカの最大の顧客であるという事実があるからでございます。一九八一年の対米貿易を農林水産物と非農林水産物、まあほとんどが工業製品でございますが、これに分けてみますると、農林水産物では九十八億ドルの輸入超過でございます。非農林水産物では二百三十二億ドルの輸出超過でございます。農産物のわが国の輸入というのがアメリカの貿易収支に大きく寄与しておることは事実でございます。アメリカの世界に対する農産物の輸出総額の実に一五%以上を日本は一国で輸入をいたしておるわけでございます。また、日本の農産物輸入全体に占めるアメリカのシェアは四二%にも及んでおります。特に小麦につきましては五七%、トウモロコシは八九%、グレーンソルガムは九〇・四%、大豆に至っては九五%を占めておるわけでございます。農業物貿易に関する限り、われわれはアメリカから感謝こそされ非難される筋合いは何一つないわけでございます。
また、日本ほど私は農産物市場開放を行っている国はないと考えます。FAOの統計によると、わが国の一九八〇年での実績で、ソ連、西ドイツを上回り世界第一の農産物の純輸入国となっております。純輸入総額が百六十九億ドルに達しておるわけでございます。このように考えてまいりますと、現在言われている貿易摩擦とわが国の農産物貿易は何らかかわりのない問題でございますが、アメリカがかくも執拗に市場開放を求める背景は、御案内のとおり、一九三〇年以来と称する不況にさらされておりますアメリカの農業者の目を国内問題から対外問題に転じさせるためのレーガン政権のこうかつな企図と断ぜざるを得ないわけでございます。私どもはこのような企図に対しまして、最近アメリカの国内からもこれに対する批判の声が上がっているということを聞くわけでございます。特に、ファーマーズユニオン等の農民組織はこのアメリカのレーガン政権の姿勢に対して強く反発をいたしまして、機関紙等で公表をいたしておるわけでございます。
次に、農産物貿易のあり方について申し述べさしていただきます。
第一に、私どもは農産物の貿易に関する限り、完全自由化には反対であるということでございます。
農産物の自由化は、御案内のとおり生産性におきまして比較優位に立つ国の農産物というものが、他の国の当該農産物の生産を破壊、駆逐するというのが実態でございます。このことはわが国の例を見ましても、自由化をいたしました飼料穀物あるいは大豆、なたね、あるいは最近におきましてはレモン、この例を見ても明らかでございまして、安いコストのものが入ってまいりますれば、相手国の高いコストの農産物の生産を駆逐をいたしてまいるわけでございます。
問題は、それでいいのかという問題でございます。工業原料としての農産物は別といたしまして、農産物の大部分というのは御案内のとおり、直接食べるかあるいは家畜の腹を通して人間の食糧といたしておるわけでございまして、食糧問題に重大なかかわりがある産品でございます。私どもは食糧問題を考える場合には、二つの前提が大切であると考えます。
その一つは、長期的な視点でこの問題は考えなければならないということでございます。
第二には、地球的な規模でやはり食糧問題は考えていかなければならないという問題でございます。
最近、世界各国の調査機関の発表によりますと、西暦二〇〇〇年に向けての食糧需給に関するいろんな調査をそれぞれ行っておりますが、たとえばFAOでは二〇〇〇年の農業、米国政府ではカーター政権のときに二〇〇〇年の地球研究、OECDはインター・フューチャーズ・プロジェクト、それから農林水産省は昨年二〇〇〇年までの食糧需給予測等を発表しておりますが、共通しております点は、今後の食糧需給をめぐりましてはさまざまな不安定要因があるということを指摘をいたしておるわけでございます。それは発展途上国における人口の急減な増加であるとか、あるいは気象による収量の偏差であるとか、あるいは中進国におきまする飼料穀物需要の増大の問題であるとか、あるいは世界全体におけるこれからの農地造成の困難さであるとか、こういうことを指摘をいたしておりまして、二〇〇〇年に向けまして国際需給の先行きは必ずしも楽観を許さない、むしろ需給はきわめてタイトに推移をするであろうということが大方の予想でございます。このような予想のとおり、仮に食糧の絶対量の不足が生じた場合に、日本が貿易立国でドルを持っておるからといって一方的に食糧を買い占めることができるかどうか考えてみましても、その保証は全くないわけでございます。その意味においては、世界各国が農業生産力をこれ以上落とさない、現状維持を落とさないという努力をすることが何より肝要でございます。したがいまして食糧はできる限り自国でつくる、不足するものに限り輸入するという考え方をわれわれは農産物貿易の原則として考えておる次第でございます。事実、世界各国とも自国の農業を守るために懸命な努力をいたしておるのが現状でございます。アメリカの例は先ほどの事例で申し上げましたが、ECにおきましては御案内のとおり、共通農業政策で輸入農産物についてはきわめて高額な課徴金を課し、国内農業の保護に努めておることは御案内のとおりでございます。
また、われわれは、貿易問題を考えるに当たりまして、農業と国民生活との多面的なかかわり合いについて、これを重視していかなければならないと考えるものでございます。
その第一は、食糧の安全保障の問題でございます。現在、穀類の自給率は三三%を割り込んでおるというのが実態でございまして、カロリーでいきますと、五三%は輸入食糧によって賄われておる、国民が摂取するカロリーの五三%が輸入食糧によって賄われておるというのがいまの実態でございます。これ以上自給率を落とすわけにはまいらないぎりぎりのところに日本は来ておるというのが私は実態ではなかろうかと考えるわけでございます。
第二には、国土と自然環境の保全の問題でございまして、農業は緑と水を守る重要な産業でございます。この農業を自由化によってこれ以上荒廃させることは、日本の国是として、私は当然とるべきではないと考えるわけでございます。
第三点は、農村は日本社会の原点であるという問題でございます。
地域社会の共同と連帯のもとに農業というのは営まれておるわけでございます。水を一つとりましても、自分だけで農業用水を確保しているわけではございません。地域の財産でございます。みんなで共同いたしまして、農業生産というものは、地域の連帯感、人と人との結びつきの中に成立をいたしておる、それが日本の社会を形成している一番大きな基礎になっているというふうに私どもは考えるわけでございます。
特に、工業製品の輸出におきまして日本が非常に輸出力を持っておる、国際競争力を持っているというのも、いわゆる労使関係がきわめて円満にいっている、きわめて勤勉である、こういういわゆる勤労者がおるからでございまして、こういう人間をつくり上げている基礎は農村社会である、まさに農村社会というものは日本の社会の原点であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
このような観点から、われわれは日本農業を滅ぼすような農産物の自由化には絶対反対するものでございます。
以上、農産物貿易のあり方について率直な意見を申し述べたわけでございますが、最後に、われわれはこのような情勢の中で、農業者として何をなすべきかについて申し述べたいと思います。
端的に結論を申し上げますと、与えられた条件の中で、より良質でより安価な農産物を国民に供給するため最大の努力をしなければならないということでございまして、私ども農業協同組合は昨年十月の第十六回大会におきまして系統農協としての農業振興方策を決定いたしましたが、その内容は、分散錯圃の状態にございます農地を共同の力によりまして集積をいたしまして、また担い手として地域営農集団を組織化いたしまして、土地利用型農産物のコストを今後十年間で二〇%低減するという目標を打ち立てたわけでございます。
御案内のとおり、日本の農家一戸当たりの経営面積はわずか一・二ヘクタールでございます。アメリカの百八十二へクタール、フランスの二十六へクタールとは比較にならない狭さでございます。また、農地価格もアメリカの四十倍、フランスの七倍の高さでございます。この国土的制約を経営の努力によりましてどこまで圧縮できるかということがわれわれに課せられた国民の期待であり、貿易摩擦問題との関連におきまして、農産物を犠牲に供しない国民的な合意を得る唯一の道であると私どもは考えておるわけでございます。そのために最善の努力を今後払うことをお誓いいたしまして、私の意見開陳といたします。
どうもありがとうございました。拍手
亀
森
森谷正規#6
○参考人(森谷正規君) 野村総合研究所の森谷でございます。
私は研究所で技術開発問題を調査しておりますが、特に最近は技術の国際比較の問題について力を入れて研究しております。
で、本日のテーマは国際経済摩擦ということでございますが、これは言うまでもなく日本が工業製品、貿易製品において非常に力が強いと。で、その力を生み出しているのが技術力でございまして、技術力と貿易摩擦というのは非常に密接な関連がございます。そういう視点から私の意見を申し上げたいと思います。
日本の技術力はいま非常に強くなっております。しかし、なかなかその強さを認めようとしないという、こういう問題がございます。これは、御承知のように、日本はこれまで欧米に追いつく、キャッチアップということでやってきたわけでございまして、まだまだわれわれはかなわないというような見方をとかくしがちでございます。もちろんかなわない面もたくさんございますが、貿易商品においては決してそうではない。今後まあ先端技術が非常に大きく伸びていくわけでございますが、今後どうであろうかという見通しを持つのが非常に重要であるというふうに考えます。
結論を申し上げますと、私は、先端技術力においても、先端技術においても日本の技術開発力はますます強くなると。したがって、貿易摩擦の火種は今後とももっと大きくなるかもしれないというふうに考えております。
で、その根拠を申し上げたいと思いますが、まず最初にいまのイノベーション、御承知のようにこの三、四年来大変なイノベーションでこざいますが、技術が急速に発展するという状況を迎えているわけですが、このイノベーションの性格を考える、それが非常に重要でございます。
先端技術といいますと、とかくスペースシャトルのようなものを頭に浮かべる。あれは大変なものであるというふうに考えますが、あれも確かに大変な先端技術ではございますが、私はいまのイノベーションというのは、先端技術の大衆化の時代であるというふうに考えております。一つのその典型的な例を申し上げますと、ゲーム・アンド・ウォッチというのを御承知かと思いますが、まあ皆様方のお孫さんが遊ばれるものでございますが、わずか六千円ぐらいの商品にLSI、液晶という先端技術が使いこなされておるわけでありまして、あるメーカーはこれをすでに一千五百万個生産しております。
私はいまのイノベーションをコストイノベーションである、それから応用のイノベーションであるというふうに考えておりますが、コストイノベーションといいますのは、性能はどんどんどんどん向上する、超LSIというようなものは五年で十倍、十年で百倍というくらい性能は向上しますが、コストは全然変わらない。いまの一番最先端の超LSIがわずか一個千円である、これは十年前も千円でございました。したがって、コストがどんどんどんどん安くなるという、まさにコストを下げるということがイノベーションの原動力になっているということでございます。
それからもう一つは応用のイノベーションでございますが、超LSIですとか、光ファイバーですとか、あるいはセラミックスですとか、あるいは炭素繊維、これは御承知のようにゴルフのブラックシャフトに使われておりますが、こういうものをいろんな製品に多様に応用していくと、それがごくごく身近な製品にまで入っていくというのがいまのイノベーションの性格でございます。したがいまして、日本は今後も、たとえばパソコンですとか、ワードプロセッサーですとか、あるいはビデオカメラあるいは産業用ロボットといったような量産商品に先端技術を応用していくということにかけては非常に強いわけでありまして、それがまさに貿易商品、大型の貿易商品になるわけです。というようなところから、日本は今後も先端技術において十分強い力を発掘し得るというふうに考えております。
もう少し広くその日本とアメリカの技術力ということを比較してみますと、もちろんアメリカには日本よりはるかに強い技術がたくさんあります。数から言えばアメリカの方がはるかに多い。しかし、この技術というのはオリンピックではないわけですから、金メダルの数を勘定してもしようがないわけでありまして、どういう商品で強いか、それが大型商品であるかあるいは貿易商品であるのか、そうでないのかということが一番重要でございます。
アメリカの技術が強いのは、これはもう御承知のように、たとえば国防、宇宙開発がございます。これはもう当然でございまして、国防は日本の国防の研究開発費の百倍を超えるお金を投じているわけですから、これはもう全然足元にも及びません。宇宙開発も非常に大きな格差があるのは当然でございます。あるいは原子力もかなり弱い、あるいは航空機、これも軍事技術と非常に密接に関連がありますので、まだまだアメリカにかなわない。あるいは民生の分野で言いますと、たとえば医療機器のようなものはかなり弱い——最近は日本もかなり力をつけておりますが。こういうどちらかといいますと特殊な、非常に高度な技術にアメリカは力を入れる。それは基本的に市場が小さいわけであります。日本はどちらかといいますと、まあ技術的にはそれほど高度でないものに力を入れる、そこに先端技術をどんどん使いこなして大量に生産していくというのが日本の方向でございます。
ここで一言申し上げておきたいのは、国防、宇宙開発、これに強ければこれが技術を先導していく、したがって、アメリカはやがて日本をまたひっくり返すのではないかというような意見もよく言われますが、私はそういうふうには思いません。いま国防、宇宙技術と民生産業技術はかなり性格を異にしております。したがいまして、国防、宇宙からの波及効果は——これはまあないとは言いませんが、それはまあ多少はありますけれども、そんなに大きくないと、むしろアメリカの問題はこの国防、宇宙開発に非常にお金を投じる、お金よりもむしろ人を投じる。一番優秀な人が国防、宇宙開発の分野に行くというのがいまのアメリカの一番の泣きどころだろうというふうに考えております。それが民生産業の技術がおろそかになってきた最大の理由であるというふうに考えております。逆に言いますと、日本が幸いながら防衛負担が軽いというのは、これは金の問題もあるかと思いますが、私はむしろ人の問題にある。最も優秀な人が自動車ですとか、鉄鋼ですとか、VTR、こういった製品の開発に携わってきたというのが、これがまあ日本の強さでございます。
今後を考えましても、アメリカはとかく新しいものを開発するというのが好きでございまして、これは御承知のように、アメリカというのはフロンティアスピリットが非常に旺盛でございます。これはいまでも健在でありまして、たとえば超LSI、これは非常に高度な技術ですが、しかし、やることは大体決まっている。いかに線を細く書いてたくさんトランジスタを一つのチップに詰め込むかという、こういうことは余りアメリカは力を入れない。ジョセフソン接合素子という全く新しい原理の製品をやりたがるというのが、これがまあアメリカの国民性でございますが、それがだんだんだんだん普及するころになると日本が力をつけていくという……、したがって、アメリカは常にどうも損な役回りばかりやらせられるといういらいらが生じてくるはずだろうというふうに考えております。
たとえて申し上げますと、アメリカと日本の技術の争いというのは、わかりやすく表現しますと、サッカーとラグビーの試合であるというような表現をよく申し上げるわけですが、アメリカは国防、宇宙開発もやっておりますし、あるいは福祉技術のようなものも非常に力を入れております。それから、もちろんテレビだとか自動車もつくっております。で、非常に広く展開しているというのがアメリカでありまして、日本はもっぱら民生産業の量産商品に集中的に力を入れる。たとえて言いますと、ラグビーでキック・アンド・ラッシュというボールをけ上げて全員が一団となって突っ込んでいくというような形の争いといいますか、それが貿易に出ているわけでありまして、しかも、どちらかといいますと、アメリカの一番手薄な部分に全員が一丸となって突っ込んでいくわけでありますから、これはアメリカが悲鳴を上げるのも無理はないというふうに考えます。
こういう話を官庁などでもよく申し上げるわけですが、しかし、私が日本の技術が強いと言いますと、弱い分野はどこかという質問がすぐ出てまいります。私はこれが大変危険であるというふうに思います。
私はいま日本として考えるべきことは、何をやらないかということだろうというふうに思います。何ができるかではなくて、何をやらないか、何をやるべきでないかということがいま非常に重要になってきている。といいますのは、貿易というのは輸出があり、同時に輸入がないといけないわけでございますが、御承知のように昨年あたりから日本の黒字幅は非常にふえております。私がいま大変心配しておりますのは、原油価格がかなり値下がりを始めております。これは見方によっては二十ドルくらいに下がるという見方もございますが、それが世界経済に与える影響はどうだろうか、逆オイルショックはというような話がよく出ます。しかし、その原油が下がるということのマイナス、これに関して日本の黒字幅がべらぼうにふえるということの指摘がほとんどないのは不思議に思うわけですが、たとえば原油が二十ドルに下がりますと、それだけの要因を考えますと百五、六十億ドルくらいの黒字の要因が出てまいります。となりますと、いまでも日本は世界からお金をかき集めているんではないか、マージャンでいきますと一人浮きのような状態で、ついにOPECまでハコテンになってしまうというような時代になろうとしているわけでありまして、日本はますますほかの国から恨まれるという、それを非常に気にしているわけでございます。
しかし日本にも構造的に弱い部門がございます。申しわけないんですが、農業はやはり構造的に弱いんではないか。これは土地の問題が致命的でございますが、ほかにもたとえば労働コストが非常に安ければ国際競争力が強いという、したがって新興工業国、発展途上国が追い上げてくるという、こういうものもたくさんございます。これからはその強い分野と弱い分野のバランスをどうとるかということが非常に重要なポイントになってくるように思います。いまは強い分野はどんどん伸ばしていく、日本にももちろん弱い分野はありますが、それを何とか保護しよう、これは農業に限らず工業でもそういう面があるわけでございますが、やはりこれでは通用しない。強い分野をどんどん伸ばしていくんであれば、弱い分野をやはり開放しないといけない。農業を開放すべきかどうかというのは私はちょっと意見を差し控えさしていただきますが、私はむしろ工業だろうというふうに思います。
いま山口さんがおっしゃいましたように、農業製品の輸入をしましても、五億ドルとか八億ドルという金額でございます。石油が二十ドルに下がりますと、百数十億ドルの黒字になるわけでございます。私はこれは大変厄介な問題になると思います。ですから、その解決策としては工業製品を輸入しないといけない。何とか工業製品を輸入すべきであるというのがこれからの日本の方向だろうというふうに考えております。
ところが、日本の市場は非常に高度なものを要求するということでありまして、いろいろ探してはいるんですが、なかなか日本の市場で売れるような製品がない。あるいは自動車の部品にしましても、日本の自動車に組み込めるような部品は探してもなかなかないということだろうというふうに考えております。そこで、日本が技術を、これはアメリカにもあるいは新興工業国、発展途上国にも提供する、日本ができるだけ協力をしてあげる、それで工業製品の輸入をふやすということを今後はやるべきだろうというふうに考えております。それをやらなければ、こういう原材料価格が下がっていくという状況が続きますと、黒字幅はどんどんふえる。となると、どうしても輸出をさらに減らさざるを得ない。
これまで日本は輸出立国できたわけでございますが、だんだん輸出は悪であるというふうな見方も出てくるんではないか。まあ悪というのはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、輸出は決して望ましくないというような見方も出るんではないかということも恐れております。
そういう状況になりますと、まさに世界貿易は縮小均衡になるということになりますので、繰り返しますが、日本の技術力は強いという自覚を持って、どんどんその技術を外に出して製品を買い入れる、それによって世界貿易を発展さしていく、それくらいの力は日本は持っているはずだというふうに考えております。
以上で私の意見を終わります。拍手
この発言だけを見る →私は研究所で技術開発問題を調査しておりますが、特に最近は技術の国際比較の問題について力を入れて研究しております。
で、本日のテーマは国際経済摩擦ということでございますが、これは言うまでもなく日本が工業製品、貿易製品において非常に力が強いと。で、その力を生み出しているのが技術力でございまして、技術力と貿易摩擦というのは非常に密接な関連がございます。そういう視点から私の意見を申し上げたいと思います。
日本の技術力はいま非常に強くなっております。しかし、なかなかその強さを認めようとしないという、こういう問題がございます。これは、御承知のように、日本はこれまで欧米に追いつく、キャッチアップということでやってきたわけでございまして、まだまだわれわれはかなわないというような見方をとかくしがちでございます。もちろんかなわない面もたくさんございますが、貿易商品においては決してそうではない。今後まあ先端技術が非常に大きく伸びていくわけでございますが、今後どうであろうかという見通しを持つのが非常に重要であるというふうに考えます。
結論を申し上げますと、私は、先端技術力においても、先端技術においても日本の技術開発力はますます強くなると。したがって、貿易摩擦の火種は今後とももっと大きくなるかもしれないというふうに考えております。
で、その根拠を申し上げたいと思いますが、まず最初にいまのイノベーション、御承知のようにこの三、四年来大変なイノベーションでこざいますが、技術が急速に発展するという状況を迎えているわけですが、このイノベーションの性格を考える、それが非常に重要でございます。
先端技術といいますと、とかくスペースシャトルのようなものを頭に浮かべる。あれは大変なものであるというふうに考えますが、あれも確かに大変な先端技術ではございますが、私はいまのイノベーションというのは、先端技術の大衆化の時代であるというふうに考えております。一つのその典型的な例を申し上げますと、ゲーム・アンド・ウォッチというのを御承知かと思いますが、まあ皆様方のお孫さんが遊ばれるものでございますが、わずか六千円ぐらいの商品にLSI、液晶という先端技術が使いこなされておるわけでありまして、あるメーカーはこれをすでに一千五百万個生産しております。
私はいまのイノベーションをコストイノベーションである、それから応用のイノベーションであるというふうに考えておりますが、コストイノベーションといいますのは、性能はどんどんどんどん向上する、超LSIというようなものは五年で十倍、十年で百倍というくらい性能は向上しますが、コストは全然変わらない。いまの一番最先端の超LSIがわずか一個千円である、これは十年前も千円でございました。したがって、コストがどんどんどんどん安くなるという、まさにコストを下げるということがイノベーションの原動力になっているということでございます。
それからもう一つは応用のイノベーションでございますが、超LSIですとか、光ファイバーですとか、あるいはセラミックスですとか、あるいは炭素繊維、これは御承知のようにゴルフのブラックシャフトに使われておりますが、こういうものをいろんな製品に多様に応用していくと、それがごくごく身近な製品にまで入っていくというのがいまのイノベーションの性格でございます。したがいまして、日本は今後も、たとえばパソコンですとか、ワードプロセッサーですとか、あるいはビデオカメラあるいは産業用ロボットといったような量産商品に先端技術を応用していくということにかけては非常に強いわけでありまして、それがまさに貿易商品、大型の貿易商品になるわけです。というようなところから、日本は今後も先端技術において十分強い力を発掘し得るというふうに考えております。
もう少し広くその日本とアメリカの技術力ということを比較してみますと、もちろんアメリカには日本よりはるかに強い技術がたくさんあります。数から言えばアメリカの方がはるかに多い。しかし、この技術というのはオリンピックではないわけですから、金メダルの数を勘定してもしようがないわけでありまして、どういう商品で強いか、それが大型商品であるかあるいは貿易商品であるのか、そうでないのかということが一番重要でございます。
アメリカの技術が強いのは、これはもう御承知のように、たとえば国防、宇宙開発がございます。これはもう当然でございまして、国防は日本の国防の研究開発費の百倍を超えるお金を投じているわけですから、これはもう全然足元にも及びません。宇宙開発も非常に大きな格差があるのは当然でございます。あるいは原子力もかなり弱い、あるいは航空機、これも軍事技術と非常に密接に関連がありますので、まだまだアメリカにかなわない。あるいは民生の分野で言いますと、たとえば医療機器のようなものはかなり弱い——最近は日本もかなり力をつけておりますが。こういうどちらかといいますと特殊な、非常に高度な技術にアメリカは力を入れる。それは基本的に市場が小さいわけであります。日本はどちらかといいますと、まあ技術的にはそれほど高度でないものに力を入れる、そこに先端技術をどんどん使いこなして大量に生産していくというのが日本の方向でございます。
ここで一言申し上げておきたいのは、国防、宇宙開発、これに強ければこれが技術を先導していく、したがって、アメリカはやがて日本をまたひっくり返すのではないかというような意見もよく言われますが、私はそういうふうには思いません。いま国防、宇宙技術と民生産業技術はかなり性格を異にしております。したがいまして、国防、宇宙からの波及効果は——これはまあないとは言いませんが、それはまあ多少はありますけれども、そんなに大きくないと、むしろアメリカの問題はこの国防、宇宙開発に非常にお金を投じる、お金よりもむしろ人を投じる。一番優秀な人が国防、宇宙開発の分野に行くというのがいまのアメリカの一番の泣きどころだろうというふうに考えております。それが民生産業の技術がおろそかになってきた最大の理由であるというふうに考えております。逆に言いますと、日本が幸いながら防衛負担が軽いというのは、これは金の問題もあるかと思いますが、私はむしろ人の問題にある。最も優秀な人が自動車ですとか、鉄鋼ですとか、VTR、こういった製品の開発に携わってきたというのが、これがまあ日本の強さでございます。
今後を考えましても、アメリカはとかく新しいものを開発するというのが好きでございまして、これは御承知のように、アメリカというのはフロンティアスピリットが非常に旺盛でございます。これはいまでも健在でありまして、たとえば超LSI、これは非常に高度な技術ですが、しかし、やることは大体決まっている。いかに線を細く書いてたくさんトランジスタを一つのチップに詰め込むかという、こういうことは余りアメリカは力を入れない。ジョセフソン接合素子という全く新しい原理の製品をやりたがるというのが、これがまあアメリカの国民性でございますが、それがだんだんだんだん普及するころになると日本が力をつけていくという……、したがって、アメリカは常にどうも損な役回りばかりやらせられるといういらいらが生じてくるはずだろうというふうに考えております。
たとえて申し上げますと、アメリカと日本の技術の争いというのは、わかりやすく表現しますと、サッカーとラグビーの試合であるというような表現をよく申し上げるわけですが、アメリカは国防、宇宙開発もやっておりますし、あるいは福祉技術のようなものも非常に力を入れております。それから、もちろんテレビだとか自動車もつくっております。で、非常に広く展開しているというのがアメリカでありまして、日本はもっぱら民生産業の量産商品に集中的に力を入れる。たとえて言いますと、ラグビーでキック・アンド・ラッシュというボールをけ上げて全員が一団となって突っ込んでいくというような形の争いといいますか、それが貿易に出ているわけでありまして、しかも、どちらかといいますと、アメリカの一番手薄な部分に全員が一丸となって突っ込んでいくわけでありますから、これはアメリカが悲鳴を上げるのも無理はないというふうに考えます。
こういう話を官庁などでもよく申し上げるわけですが、しかし、私が日本の技術が強いと言いますと、弱い分野はどこかという質問がすぐ出てまいります。私はこれが大変危険であるというふうに思います。
私はいま日本として考えるべきことは、何をやらないかということだろうというふうに思います。何ができるかではなくて、何をやらないか、何をやるべきでないかということがいま非常に重要になってきている。といいますのは、貿易というのは輸出があり、同時に輸入がないといけないわけでございますが、御承知のように昨年あたりから日本の黒字幅は非常にふえております。私がいま大変心配しておりますのは、原油価格がかなり値下がりを始めております。これは見方によっては二十ドルくらいに下がるという見方もございますが、それが世界経済に与える影響はどうだろうか、逆オイルショックはというような話がよく出ます。しかし、その原油が下がるということのマイナス、これに関して日本の黒字幅がべらぼうにふえるということの指摘がほとんどないのは不思議に思うわけですが、たとえば原油が二十ドルに下がりますと、それだけの要因を考えますと百五、六十億ドルくらいの黒字の要因が出てまいります。となりますと、いまでも日本は世界からお金をかき集めているんではないか、マージャンでいきますと一人浮きのような状態で、ついにOPECまでハコテンになってしまうというような時代になろうとしているわけでありまして、日本はますますほかの国から恨まれるという、それを非常に気にしているわけでございます。
しかし日本にも構造的に弱い部門がございます。申しわけないんですが、農業はやはり構造的に弱いんではないか。これは土地の問題が致命的でございますが、ほかにもたとえば労働コストが非常に安ければ国際競争力が強いという、したがって新興工業国、発展途上国が追い上げてくるという、こういうものもたくさんございます。これからはその強い分野と弱い分野のバランスをどうとるかということが非常に重要なポイントになってくるように思います。いまは強い分野はどんどん伸ばしていく、日本にももちろん弱い分野はありますが、それを何とか保護しよう、これは農業に限らず工業でもそういう面があるわけでございますが、やはりこれでは通用しない。強い分野をどんどん伸ばしていくんであれば、弱い分野をやはり開放しないといけない。農業を開放すべきかどうかというのは私はちょっと意見を差し控えさしていただきますが、私はむしろ工業だろうというふうに思います。
いま山口さんがおっしゃいましたように、農業製品の輸入をしましても、五億ドルとか八億ドルという金額でございます。石油が二十ドルに下がりますと、百数十億ドルの黒字になるわけでございます。私はこれは大変厄介な問題になると思います。ですから、その解決策としては工業製品を輸入しないといけない。何とか工業製品を輸入すべきであるというのがこれからの日本の方向だろうというふうに考えております。
ところが、日本の市場は非常に高度なものを要求するということでありまして、いろいろ探してはいるんですが、なかなか日本の市場で売れるような製品がない。あるいは自動車の部品にしましても、日本の自動車に組み込めるような部品は探してもなかなかないということだろうというふうに考えております。そこで、日本が技術を、これはアメリカにもあるいは新興工業国、発展途上国にも提供する、日本ができるだけ協力をしてあげる、それで工業製品の輸入をふやすということを今後はやるべきだろうというふうに考えております。それをやらなければ、こういう原材料価格が下がっていくという状況が続きますと、黒字幅はどんどんふえる。となると、どうしても輸出をさらに減らさざるを得ない。
これまで日本は輸出立国できたわけでございますが、だんだん輸出は悪であるというふうな見方も出てくるんではないか。まあ悪というのはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、輸出は決して望ましくないというような見方も出るんではないかということも恐れております。
そういう状況になりますと、まさに世界貿易は縮小均衡になるということになりますので、繰り返しますが、日本の技術力は強いという自覚を持って、どんどんその技術を外に出して製品を買い入れる、それによって世界貿易を発展さしていく、それくらいの力は日本は持っているはずだというふうに考えております。
以上で私の意見を終わります。拍手
亀
亀井久興#7
○委員長(亀井久興君) ありがとうございました。
以上で各参考人の御意見の開陳は終了いたしました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
この発言だけを見る →以上で各参考人の御意見の開陳は終了いたしました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
岡
岡部三郎#8
○岡部三郎君 国際経済摩擦という大変に広範なしかも困難な問題に関しまして、非常に明快な御見解を賜りまして本当にありがたく感謝をいたしておるわけでございます。せっかくの機会でございますので、二、三の点につきましてさらに御意見を賜りたいと、かように考えておる次第でございます。
最初に中村参考人にお願いをいたしたいと思います。
先ほどのお話で、貿易摩擦の原因、特に米国における自動車輸出の問題に関連をしましていろいろお話がございました。中村さんの御意見によると、これはもう米国側の事情によって生じたものであって、わが国がダンピングをしたわけでもないし、集中豪雨的な輸出をしたわけでもないというようなお話があったわけでありますが、確かに私も、この八〇年代になってから、米国を初め欧米諸国の経済の基礎的な条件が大変に悪くなってきた、まあインフレも非常に進行しましたし、それを抑えるためにアメリカでは高金利政策をとる、そのことがドル高につながり、また円安につながり、日本の輸出を一層振興させるといったような、いわばグローバルなアメリカを初め先進諸国の内政の影響が貿易摩擦という現象を起こしておる大きな原因だと思うわけでございまして、したがってこれを基本的に解消する手だてとしては、これは米国の景気がよくなる、あるいは世界の経済が活性化するという以外に方法はないんだと思うわけでありますけれども、同時に、特にこの数年、日本の経済構造が、どちらかというと外需依存型であった。それによって集中豪雨的とは言わないまでも、相当の輸出が伸びた。まあそれあるがために、逆に言えば日本の経済は先進国の中では最もいい状態に保たれてきたわけでございますけれども、そうした日本の経済運営というものもやはり貿易摩擦の一つの要因であったんではないかと思うわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
この発言だけを見る →最初に中村参考人にお願いをいたしたいと思います。
先ほどのお話で、貿易摩擦の原因、特に米国における自動車輸出の問題に関連をしましていろいろお話がございました。中村さんの御意見によると、これはもう米国側の事情によって生じたものであって、わが国がダンピングをしたわけでもないし、集中豪雨的な輸出をしたわけでもないというようなお話があったわけでありますが、確かに私も、この八〇年代になってから、米国を初め欧米諸国の経済の基礎的な条件が大変に悪くなってきた、まあインフレも非常に進行しましたし、それを抑えるためにアメリカでは高金利政策をとる、そのことがドル高につながり、また円安につながり、日本の輸出を一層振興させるといったような、いわばグローバルなアメリカを初め先進諸国の内政の影響が貿易摩擦という現象を起こしておる大きな原因だと思うわけでございまして、したがってこれを基本的に解消する手だてとしては、これは米国の景気がよくなる、あるいは世界の経済が活性化するという以外に方法はないんだと思うわけでありますけれども、同時に、特にこの数年、日本の経済構造が、どちらかというと外需依存型であった。それによって集中豪雨的とは言わないまでも、相当の輸出が伸びた。まあそれあるがために、逆に言えば日本の経済は先進国の中では最もいい状態に保たれてきたわけでございますけれども、そうした日本の経済運営というものもやはり貿易摩擦の一つの要因であったんではないかと思うわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
中
中村俊夫#9
○参考人(中村俊夫君) 私も先ほど申し上げましたように、オイルショック以後の経済運営、日本が比較的ほかの国に比べて困難が少なかったというのは、まさにそういう外需依存といいますか、輸出による経済の支えといいますか、これが最も寄与したと思います。ですから、実質的なGNPの——国民総生産の五%程度の伸びがあったとしますと、そのうちの三%ぐらいは恐らく輸出による、外からの所得による成長であったかと思います。ただ、先生御指摘のように、自動車の場合につきましても、いま世界の自動車需要を見ますと、大体年率にいたしまして二%弱というのがこれからの伸びだと思います。もちろんこれは先進工業国と発展途上国とでは違います。発展途上国の場合にはまだ七%ぐらいの年率で自動車需要というのはふえてくると思いますけれども、世界じゅうをおしなべて言いますとやはり二%を切るんではないかというふうに思っております。したがって、これからわれわれの自動車の需要というものも、多くを期待することはできない。したがって、やはり内需というものにかなり依存をしていかなきゃならぬだろう。いま大体日本の自動車の需要は国内国外半々でございます。恐らくこういう状態がやはり続いていかなきゃいかぬじゃないかと、こういうふうに考えております。
この発言だけを見る →岡
岡部三郎#10
○岡部三郎君 それからもう一つ、これは中村さんの御指摘には入っておらなかったわけでありますが、やはり欧米諸国から見ると、日本は自由世界第二位の経済大国になった、にもかかわらず、どうも防衛の面とかあるいは経済協力の面とか、いわば経済大国としてなすべき国際的な責任と申しますか、そういうものを十分果たしてないんではないかと、これは多分に私は、日本の現状を十分に欧米諸国の人たちが認識をしてこういう主張をしているかどうかという点については、いわゆるパーセプションギャップといいますか、認識のずれが若干あると思いますので、それを向こうの言うのを一〇〇%受け入れる必要はないと思いますけれども、こういった主張、考え方が貿易摩擦を激化させているもう一つの大きな要因ではないかと思うわけであります。この点いかがでございましょう。
この発言だけを見る →中
中村俊夫#11
○参考人(中村俊夫君) 恐らく先生の御指摘は、たとえば自動車産業の面で申しますと、海外投資とか、そういった産業協力という面で経済大国としての責任をもう少し果たせと、こういう主張があるということを御指摘いただいているんだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、自動車産業というのは商品が非常に国際商品でございますので、発展してまいりますと、おのずから多国籍化してくるというのが従来の発展の経過でございます。特に発展途上国につきましてはノックダウンという形でいま日本の各社も世界で恐らく五、六十カ国ノックダウン生産をしておると思います。ですから、そういうような発展途上国に対する経済協力といった意味の自動車生産ということだけでなくて、やはりヨーロッパあるいはアメリカのような先進工業国に対しても、日本の、先ほどの森谷さんのお話のような日本が持っている生産技術というもの、これをやはり持ち込んで、その国の産業の発展に寄与するというような方向に行かざるを得ないんではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →岡
岡部三郎#12
○岡部三郎君 それからまた、これはもう中村さんもお触れになりましたけれども、市場開放問題との関連でございます。海外から市場開放に対する要求が非常に強い、貿易摩擦の原因があたかも日本の市場開放が不十分であるために起きておる、あるいは輸入品に対する種々の非関税措置がとられているために起きているかのごとき印象を与えている面もあるわけでありますけれども、私は、日本が貿易立国、通商国家として市場開放をもっともっとすべきだ、こういう面に努力をすべきだということはもちろんだと思いますけれども、この貿易摩擦の解消あるいは緩和といった面から考えますと、市場開放というのはそれほど役に立たないんではないか。先ほど食糧の問題も触れられましたけれども、わが国の総輸入額の一位は何といっても石油でありますし、二番目は農産品であります。これを合わせて大体輸入額の半分を占めるわけでありますから、石油については、御案内のように、省エネ努力によって量的にも減ってまいりましたし、価格も低落をしてきた。食糧についてもいまや日本はまさに飽食の時代でありますし、カロリー的に見ましても、また栄養のバランスという面から見ましても最も満足すべき状態にすでになっておる、これ以上なかなか消費するわけにはいかないというようなこともありまして、実際問題として、これ以上輸入を市場開放によってふやしていくと——先ほど森谷さんもおっしゃいましたけれども、なかなか他の工業製品でも適当な輸入すべき品物がないというふうなことから考えますと、輸入をふやすということは事実上むずかしいんではないかと思うわけでありまして、市場開放によって貿易摩擦を解消していくということは、私どもは大変にこれはむずかしい問題だというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →中
中村俊夫#13
○参考人(中村俊夫君) 先生の御質問、一般的な御質問かもしれませんけれども、自動車という面から考えてみたいと思います。
先ほども申し上げましたように、自動車につきましては全くフリーなマーケットになっております。したがって、これをふやすといいましても、これはもう日本がかつて行ったようなことと同じような努力を、諸外国がしていただかないことにはふえないと思います。したがって、自動車の面で輸入をふやすことによって貿易バランスを改善するというようなことは、これはなかなかむずかしかろうと思います。
しかし、貿易というのはそういう商品ことでバランスを保つということは必要ないわけでこざいまして、それぞれ有無相通ずるということでございますので、先ほどのお話にもありました、確かに日本で買いたい物、要するに日本のユーザーのニーズに合うような商品というのを何か諸外国が開発して提供してくれない限り、先ほどの製品輸入というお話もありましたけれども、非常に困難が伴ってくるんではないかと思います。
この発言だけを見る →先ほども申し上げましたように、自動車につきましては全くフリーなマーケットになっております。したがって、これをふやすといいましても、これはもう日本がかつて行ったようなことと同じような努力を、諸外国がしていただかないことにはふえないと思います。したがって、自動車の面で輸入をふやすことによって貿易バランスを改善するというようなことは、これはなかなかむずかしかろうと思います。
しかし、貿易というのはそういう商品ことでバランスを保つということは必要ないわけでこざいまして、それぞれ有無相通ずるということでございますので、先ほどのお話にもありました、確かに日本で買いたい物、要するに日本のユーザーのニーズに合うような商品というのを何か諸外国が開発して提供してくれない限り、先ほどの製品輸入というお話もありましたけれども、非常に困難が伴ってくるんではないかと思います。
岡
岡部三郎#14
○岡部三郎君 そういう点を考えていきますと、輸出が悪であるというお話、まあこれは冗談ですけれどもお話がありましたが、私も決してそうは思いません。やはり通商国家として、貿易立国としていくからにはもっともっとこれから輸出に努力をしていかなければならないと思いますけれども、実際問題としてここ当分の間は、貿易の拡大均衡を目指していくということには相当な困難が伴ってくるんではないかというような感じがするわけでありまして、どうしてもやはり輸出についてもある程度節度ある輸出を図っていく、それからまた、先ほどもお話がありました国際協力といったような面についてもより一層努力していくということがやはり貿易摩擦解消の手だてではないかというふうにも考えますが、総体的にそれらの問題につきまして御意見がございましたらお伺いをしたいと思います。
この発言だけを見る →中
中村俊夫#15
○参考人(中村俊夫君) 先生御指摘のとおりでございまして、そういう観点から実は私どもも、先ほども申し上げましたようにEC諸国向け、これは先方がかなりえげつないといいますか、差別的に輸入制限をしておりますけれども、にもかかわらず、われわれとしましてはきわめて分別のある輸出を続けておりまして、たとえば英国との間では、私ども自動車工業会で英国の自動車工業会と毎年二回会長同士が意見交換をいたしておりまして、お互いの状況というものをよく理解して、その理解した上に立ってそれぞれが分別ある態度をとると、こういうことに努めております。ドイツとかその他べネルクスといったような国についてはそういう工業会同士の会談ということはいたしておりませんけれども、先ほど申しましたように大変プルーデントな輸出をいたしておりますので、現実に昨年は若干ヨーロッパ通貨に対する円高もございましたけれども、約一割ほどの輸出が減少をいたしておりまして、要するに集中豪雨的なといいますか、売れればいいというようなそういう態度はわれわれとしても控えておる。アメリカに対する自主規制につきましても、先般三年目を政府がお決めになりましたけれども、われわれとしてはアメリカのこれからの自動車需要というのはかなりふえると思いますので、その意味では先般の百六十八万台据え置きというのは、決して満足はしておりませんけれども、しかし政府が情勢判断ということでお決めになりましたので、これについては従来どおりわれわれも従っていくと、こういう態度を続けていきたいと思っております。
この発言だけを見る →岡
岡部三郎#16
○岡部三郎君 ありがとうございました。
次に、山口参考人にお願いをいたしたいと思います。
山口さんは、先ほど日本は世界一の農産物の輸入国である、アメリカの最大の顧客だ、また農産物の市場開放度は非常に高いんだと、したがってこれ以上の自由化ということには絶対に反対である、こういうお話をされたわけでございますが、一方財界等からはいろいろな提言が最近なされておりまして、その中には残存輸入制限の撤廃というものはできるだけ早く実現すべきだと、撤廃しがたい品目については当面はこの輸入枠の拡大を図って段階的な市場開放を図る必要があると、また市場開放五カ年計画を策定して具体的な施策を進めるべきであるというようないろいろな提言があるわけでございますが、これらに関しましてはいかがお考えでございましょうか。
この発言だけを見る →次に、山口参考人にお願いをいたしたいと思います。
山口さんは、先ほど日本は世界一の農産物の輸入国である、アメリカの最大の顧客だ、また農産物の市場開放度は非常に高いんだと、したがってこれ以上の自由化ということには絶対に反対である、こういうお話をされたわけでございますが、一方財界等からはいろいろな提言が最近なされておりまして、その中には残存輸入制限の撤廃というものはできるだけ早く実現すべきだと、撤廃しがたい品目については当面はこの輸入枠の拡大を図って段階的な市場開放を図る必要があると、また市場開放五カ年計画を策定して具体的な施策を進めるべきであるというようないろいろな提言があるわけでございますが、これらに関しましてはいかがお考えでございましょうか。
山
山口巌#17
○参考人(山口巌君) それは、財界等の提言というのは、主として価値観として考えておりますのはコストの問題を中心にして考えているんだろうと思います。だから、輸入枠の拡大をやりながら漸次日本の農産物のコストダウンを図っていって、国際競争力が出たところで自由化すればいいではないかと、こういうことでございますが、農業というのは御案内のとおり土地が何と申しましても生産手段の最たるものでございます。土地の狭隘ということがコストの大半を決定するわけです。土地にかかわりのない施設園芸であるとかあるいは小家畜の生産であるとか、この点についてはすでに自由化もしておりますし、国際競争力を十分持っておるわけでございます。問題は、土地のかかわりのいわゆる土地利用型農産物をどうするかという問題でございますが、これは私は段階的な自由化ということもとうてい国土の自由化でもやってもらわない限りできないのではないかということでございます。
ただ、現状において、いまの国際的に高いコストでいいのかということは別の問題でございまして、これは国民的な倫理といたしましてできるだけ安いものをつくるべきであり、そういう方向にやはり政府としても目標をつくって、コストダウンの指標を出すべきであり、われわれもそれに対して、喜んでコストダウンに対して最大の努力をしたい、こういうふうにこれは国民の倫理として考えておるわけでございます。
自由化問題につきましては、私は土地利用型農産物については、自由化をすることは不可能であると、自由化すればこれは当該農産物が全部壊滅をするということはやむを得ない現状ではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
この発言だけを見る →ただ、現状において、いまの国際的に高いコストでいいのかということは別の問題でございまして、これは国民的な倫理といたしましてできるだけ安いものをつくるべきであり、そういう方向にやはり政府としても目標をつくって、コストダウンの指標を出すべきであり、われわれもそれに対して、喜んでコストダウンに対して最大の努力をしたい、こういうふうにこれは国民の倫理として考えておるわけでございます。
自由化問題につきましては、私は土地利用型農産物については、自由化をすることは不可能であると、自由化すればこれは当該農産物が全部壊滅をするということはやむを得ない現状ではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
岡
岡部三郎#18
○岡部三郎君 さらに、学者グループといいますか、政策構想フォーラムというところから最近、いま問題になっております牛肉、オレンジ、これの自由化に関連しまして、先ほど山口さんもお触れになりましたけれども、ECのような課徴金をかけて、その範囲内でひとつ自由化をしたらばいかがと、さらに、牛肉等については、それでも不十分なら、それを財源にして不足払いの制度を考えたらどうか、そういう条件つきの自由化を考えるべきだというような提言がなされておりますが、これについてはどうお考えでございましょう。
この発言だけを見る →山
山口巌#19
○参考人(山口巌君) 課徴金制度そのものに私どもは反対するものではないわけでございますが、ただ、非常に先般の提言等を見まして誤解をされておる点があるんではないかと思うんですが、ECの課徴金は輸入禁止措置として牛肉については取っておるわけでございまして、非常に高い課徴金を取るために、それだけの課徴金を払ったんでは牛肉のEC諸国に対する輸出はほかの国はできないわけで、そこでいわゆる輸入禁止措置として非常に高度な課徴金をかけておるわけでございますが、実際、ECは必要な肉は輸入割り当て制度を別にとっておりまして、国を指定いたしまして、たとえば豪州、ニュージー、こういう国にそれぞれ輸入数量を割り当てを行っております。それは課徴金を取らないで輸入しているわけです。そういう形で不足量につきましてはいわゆるIQ物資と同様な方針で、相手国に対して輸入割り当て制度をとって、課徴金を取らない。一般的には高い課徴金をかけて輸入禁止措置をとっているというのがECの牛肉に関する問題でございます。
で、この間の政策フォーラムの課徴金の問題でございますが、私はNHKでちょっと三十分ばかり討論をやった経過があるわけです。しかしこれも、そのときに申し上げたんですが、いまの牛肉を例にとりますと、牛肉価格は日本を一〇〇といたしますとECが七〇ぐらいの水準でございます。現在ECがいわゆる課徴金をどのくらい課しているかというと、七五から七八%の課徴金をかけておりますから、三〇%乗せますと、一〇〇%を超える課徴金を日本はかけなければ現在の価格水準が保証されない、維持できないと、こういうことになります。それだけの課徴金をいまの日米間の問題あるいは国際関係において課徴金を取る——新しい打ち起こしをやるわけですから、国際的に許されるかどうか。それはむしろいまの輸入割り当て制度を守るよりもっとむずかしい問題ではないか。
それから、牛肉は国際相場が変動いたしますから、果たして恒常的に課徴金で不足払い財源が調達できるかどうかということも大きな問題でございまして、財政が非常に逼迫している現状におきましては、国の財政負担が私は非常に伴うんではないか。現在、あの構想は二五%の牛肉に対する関税も不足払い財源とカウントをいたしておりますが、二五%財源は、御案内のとおり全部大蔵省に入りまして一般会計で出ているわけで、それが別に不足払い財源として固定化していくわけで、これは恐らく財政当局としても非常に私は問題視するのではないか。
さらに根本的な問題は、御案内のとおり牛肉は代替性がきわめて強い。豚肉、ブロイラー等と代替性があるわけです。牛肉を自由化いたしました場合、自由化でございますから市場価格がうんと下がります。ともかく豪州が一番安いわけですが、豪州並みの水準まで仮に下がったといたしますると、豚肉を食っていた人が牛肉を食う、それから、あるいはブロイラーを食べていた人が牛肉を食う、こういう価格が仮に実現したとすれば、これは牛肉の生産農家には不足払いで所得が仮に補償されたといたしましても、豚肉、ブロイラーの生産農家は一体どうなのかと、こういう問題が出てくるわけでございまして、これは畜産、食肉生産全体の問題としてそういう視点からとらえていかなければ非常な誤りを犯す。結果的には牛肉の自由化問題だけ残って——実は、不足払いはなたね、大豆でやっておるわけです。全部日本は衰退してしまったわけです。自由化の問題だけ残りまして、もう大豆をつくる人もなたねをつくる人もいなくなっちゃったわけです。で、不足払いの価格水準というのが財政によって支配されますので年々下がるわけです。それじゃ再生産できない価格が現実の姿として出てきまして、つくる人がいなくなったというのが現状でございますから、その轍をわれわれは踏みたくないというのが農業団体としての気持ちでございます。
この発言だけを見る →で、この間の政策フォーラムの課徴金の問題でございますが、私はNHKでちょっと三十分ばかり討論をやった経過があるわけです。しかしこれも、そのときに申し上げたんですが、いまの牛肉を例にとりますと、牛肉価格は日本を一〇〇といたしますとECが七〇ぐらいの水準でございます。現在ECがいわゆる課徴金をどのくらい課しているかというと、七五から七八%の課徴金をかけておりますから、三〇%乗せますと、一〇〇%を超える課徴金を日本はかけなければ現在の価格水準が保証されない、維持できないと、こういうことになります。それだけの課徴金をいまの日米間の問題あるいは国際関係において課徴金を取る——新しい打ち起こしをやるわけですから、国際的に許されるかどうか。それはむしろいまの輸入割り当て制度を守るよりもっとむずかしい問題ではないか。
それから、牛肉は国際相場が変動いたしますから、果たして恒常的に課徴金で不足払い財源が調達できるかどうかということも大きな問題でございまして、財政が非常に逼迫している現状におきましては、国の財政負担が私は非常に伴うんではないか。現在、あの構想は二五%の牛肉に対する関税も不足払い財源とカウントをいたしておりますが、二五%財源は、御案内のとおり全部大蔵省に入りまして一般会計で出ているわけで、それが別に不足払い財源として固定化していくわけで、これは恐らく財政当局としても非常に私は問題視するのではないか。
さらに根本的な問題は、御案内のとおり牛肉は代替性がきわめて強い。豚肉、ブロイラー等と代替性があるわけです。牛肉を自由化いたしました場合、自由化でございますから市場価格がうんと下がります。ともかく豪州が一番安いわけですが、豪州並みの水準まで仮に下がったといたしますると、豚肉を食っていた人が牛肉を食う、それから、あるいはブロイラーを食べていた人が牛肉を食う、こういう価格が仮に実現したとすれば、これは牛肉の生産農家には不足払いで所得が仮に補償されたといたしましても、豚肉、ブロイラーの生産農家は一体どうなのかと、こういう問題が出てくるわけでございまして、これは畜産、食肉生産全体の問題としてそういう視点からとらえていかなければ非常な誤りを犯す。結果的には牛肉の自由化問題だけ残って——実は、不足払いはなたね、大豆でやっておるわけです。全部日本は衰退してしまったわけです。自由化の問題だけ残りまして、もう大豆をつくる人もなたねをつくる人もいなくなっちゃったわけです。で、不足払いの価格水準というのが財政によって支配されますので年々下がるわけです。それじゃ再生産できない価格が現実の姿として出てきまして、つくる人がいなくなったというのが現状でございますから、その轍をわれわれは踏みたくないというのが農業団体としての気持ちでございます。
岡
岡部三郎#20
○岡部三郎君 ありがとうございました。
森谷参考人にもお伺いしたいと思ったんですが、すでに時間が来てしまいましたので、まことに申しわけございません。これで失礼します。ありがとうございました。
この発言だけを見る →森谷参考人にもお伺いしたいと思ったんですが、すでに時間が来てしまいましたので、まことに申しわけございません。これで失礼します。ありがとうございました。
八
八百板正#21
○八百板正君 きょうは、御多用の中を参考人の諸先生においでをいただき、御協力をいただきまして、ありがとうございます。
伺いまして、私、感じました点を申し上げたいのでありまするが、いずれも参考人の皆様方の御意見はある意味では共通したものを持っておるわけでありまして、何かそういう意味で大変うれしく頼もしい感じをいたした点をまず最初に申し上げまして、お礼の言葉といたします。
どなたにだけお伺いするというものではございませんが、いずれも共通した問題が結局は大事な点のように考えますので、そういうふうな点をちょっと申し上げながら、まず山口参考人からお話を伺い、それから中村参考人、森谷参考人、それぞれお願いをしたいと、こういうふうに思います。
農産物の自由化に関連いたしまして、山口参考人が申されましたように、日本がアメリカの穀物の一番の大きなお得意さんになっているという事実、また日本が先進国として世界の中で一番食糧をよけいに輸入をしておる国であるということ、非常に自給率が低くなっておるという点、この一事を数字の上でまともに取り上げますならば、もうそれだけで、何と申しましょうか、開放しなさいとか、閉鎖性がどうのというふうなことは通らない話になってくるだろうと、私はこういうふうに思います。
それから、日本の国内において、農業以外の関係の人の中から、よく、安ければ買ったらいいじゃないか、ほかの方でもうけた金で買ったらいいじゃないかと、こういうふうな意見が素朴に消費者からも出てくるわけでございまするが、しかし食べ物というものは、これは余っているときに余っている国から買えるものであって、足りなくなればこれはどこからも買えないのであります。また同時に、安いから買った方がいいといいまするが、安いというのは、まずまず日本の今日の食事情がまあまあ食べて余るぐらいに豊かにあるから安く買えるのでありまして、これがもし日本の食糧が——もうすでに米の問題が出かかっておりまするが、本当に足りないということになりますると、これは安くは買えないのでありまして、仮に外国から安く入ったとしても日本の今日の経済仕組みの中では、安く売ってくれる人はないのであります。やっぱり安く買っても高く売ると、こういうふうな仕組みになっているわけでありまして、そういうふうな点は、私、やはりもう決まり切ったことでございますから、素朴にみんなに理解してもらう必要があるというふうに常日ごろ考えておるわけであります。
そこで、結論的に申しますというと、やっぱり自給力を高めていくという立場に帰着するだろうと思うのでありまするが、その場合には、日本だけの自給力を高めるということだけではなくて、世界じゅうのそれぞれの国が、それぞれの国土を最大限に生かして食糧の自給度を高めていくという、こういう努力をやってもらうということが大事だろうと思います。そういう面の協力をわれわれ日本は、農業だけではない、農業ももちろんのこと、あらゆる面でやらなければならないというのが、今日の日本の基本的立場ではないかと、私はこういうふうに考えます。そういう点で、しょせんはわれわれは国土をどういうふうにして値打ちをつけていくか、そしてそこに住んでおる人間の可能性をどういうふうに高めていくかということに帰着するだろうと思うのでありまして、そういう面から、おくれた地域に対して、われわれはそういう素地を引き上げていく、上に協力をしなくちゃいかぬと、こういう立場が基礎に大事じゃないかと、こういうふうに私は考えます。
貿易摩擦という言葉が使われまするが、私はこの摩擦という言葉を余り使わないように工夫したらいいのじゃないかと思います。摩擦というものでもないと私は思うのです。やっぱり競争社会の中で国際的にも競争していくということは当然のことでありまするから、そういうふうな公正なる競争を基礎に考えていくべきであって、何かこう、摩擦、摩擦なんというふうに物をとらえるというのはどうかなと私は思っております。
そこで私は、まず山口参考人にちょっとだけお伺いしたいのでありまするが、日本は国土が狭い、したがって貧しいと、こういうことでございます。それはそのとおりでございまするが、しかし日本にはやはりほかの国と比べて豊かな国土と申しましょうか、条件を、気候条件にしてもいろいろ持っておるわけでありまするから、そういうふうな面では日本の農業の中のすぐれた面、太陽の光を浴びて草木が繁茂するという、この原初的な太陽のエネルギーをとらえていく、そのメカニズムとしての草木の繁茂、農業の繁栄と、こういうふうに考えていきまするというと、日本は必ずしも貧しいものではないのではないかというふうにも私は考えられるわけであります。そういう面で、農業の上に大きな指導力を発揮することのできる可能性のある立場にあられまする山口参考人にこの点で農業の展望を一言触れてお答えを願えれば結構だと、こういうふうに思います。
この発言だけを見る →伺いまして、私、感じました点を申し上げたいのでありまするが、いずれも参考人の皆様方の御意見はある意味では共通したものを持っておるわけでありまして、何かそういう意味で大変うれしく頼もしい感じをいたした点をまず最初に申し上げまして、お礼の言葉といたします。
どなたにだけお伺いするというものではございませんが、いずれも共通した問題が結局は大事な点のように考えますので、そういうふうな点をちょっと申し上げながら、まず山口参考人からお話を伺い、それから中村参考人、森谷参考人、それぞれお願いをしたいと、こういうふうに思います。
農産物の自由化に関連いたしまして、山口参考人が申されましたように、日本がアメリカの穀物の一番の大きなお得意さんになっているという事実、また日本が先進国として世界の中で一番食糧をよけいに輸入をしておる国であるということ、非常に自給率が低くなっておるという点、この一事を数字の上でまともに取り上げますならば、もうそれだけで、何と申しましょうか、開放しなさいとか、閉鎖性がどうのというふうなことは通らない話になってくるだろうと、私はこういうふうに思います。
それから、日本の国内において、農業以外の関係の人の中から、よく、安ければ買ったらいいじゃないか、ほかの方でもうけた金で買ったらいいじゃないかと、こういうふうな意見が素朴に消費者からも出てくるわけでございまするが、しかし食べ物というものは、これは余っているときに余っている国から買えるものであって、足りなくなればこれはどこからも買えないのであります。また同時に、安いから買った方がいいといいまするが、安いというのは、まずまず日本の今日の食事情がまあまあ食べて余るぐらいに豊かにあるから安く買えるのでありまして、これがもし日本の食糧が——もうすでに米の問題が出かかっておりまするが、本当に足りないということになりますると、これは安くは買えないのでありまして、仮に外国から安く入ったとしても日本の今日の経済仕組みの中では、安く売ってくれる人はないのであります。やっぱり安く買っても高く売ると、こういうふうな仕組みになっているわけでありまして、そういうふうな点は、私、やはりもう決まり切ったことでございますから、素朴にみんなに理解してもらう必要があるというふうに常日ごろ考えておるわけであります。
そこで、結論的に申しますというと、やっぱり自給力を高めていくという立場に帰着するだろうと思うのでありまするが、その場合には、日本だけの自給力を高めるということだけではなくて、世界じゅうのそれぞれの国が、それぞれの国土を最大限に生かして食糧の自給度を高めていくという、こういう努力をやってもらうということが大事だろうと思います。そういう面の協力をわれわれ日本は、農業だけではない、農業ももちろんのこと、あらゆる面でやらなければならないというのが、今日の日本の基本的立場ではないかと、私はこういうふうに考えます。そういう点で、しょせんはわれわれは国土をどういうふうにして値打ちをつけていくか、そしてそこに住んでおる人間の可能性をどういうふうに高めていくかということに帰着するだろうと思うのでありまして、そういう面から、おくれた地域に対して、われわれはそういう素地を引き上げていく、上に協力をしなくちゃいかぬと、こういう立場が基礎に大事じゃないかと、こういうふうに私は考えます。
貿易摩擦という言葉が使われまするが、私はこの摩擦という言葉を余り使わないように工夫したらいいのじゃないかと思います。摩擦というものでもないと私は思うのです。やっぱり競争社会の中で国際的にも競争していくということは当然のことでありまするから、そういうふうな公正なる競争を基礎に考えていくべきであって、何かこう、摩擦、摩擦なんというふうに物をとらえるというのはどうかなと私は思っております。
そこで私は、まず山口参考人にちょっとだけお伺いしたいのでありまするが、日本は国土が狭い、したがって貧しいと、こういうことでございます。それはそのとおりでございまするが、しかし日本にはやはりほかの国と比べて豊かな国土と申しましょうか、条件を、気候条件にしてもいろいろ持っておるわけでありまするから、そういうふうな面では日本の農業の中のすぐれた面、太陽の光を浴びて草木が繁茂するという、この原初的な太陽のエネルギーをとらえていく、そのメカニズムとしての草木の繁茂、農業の繁栄と、こういうふうに考えていきまするというと、日本は必ずしも貧しいものではないのではないかというふうにも私は考えられるわけであります。そういう面で、農業の上に大きな指導力を発揮することのできる可能性のある立場にあられまする山口参考人にこの点で農業の展望を一言触れてお答えを願えれば結構だと、こういうふうに思います。
山
山口巌#22
○参考人(山口巌君) 先ほども申し上げましたように、与えられている条件の中で、最大限良質でコストの安い農産物をつくっていく、こういう努力をこれから続けていきたい、こういうふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
そういう意味におきましては、これからの非常に大きなたくさんの課題を抱えておりますが、農地の集積も、あるいは土地の有効利用に関する問題も、われわれの努力とそれから農民の共同の力によりまして解決できるはずである、こういう私どもとしては自信を持って現在進めておる状態でございます。
この発言だけを見る →そういう意味におきましては、これからの非常に大きなたくさんの課題を抱えておりますが、農地の集積も、あるいは土地の有効利用に関する問題も、われわれの努力とそれから農民の共同の力によりまして解決できるはずである、こういう私どもとしては自信を持って現在進めておる状態でございます。
八
八百板正#23
○八百板正君 やはり日本の農業に対して自信を持って取り組むということが私は山口参考人のおっしゃるとおり大事だろう、こういうふうに思っております。
時間もございませんから、引き続いて中村参考人にお伺いをしたいと思うんでありまするが、ちょっと言葉にこだわって物を言うようでございまするが、日本は非常に海外の市場開発に努力して苦労をした、それに比べるとECの努力にいたしましても、あるいはその他の国々の努力にいたしましても日本のような努力をしてないというふうな面のお話がございましたが、私は、これを別にその言葉を取り上げてどうこうとがめるという意味ではございませんが、日本のこの努力をしたというのは、いわゆるセールス的立場において大いに苦労をして努力したということであって、やはりわれわれの商品がさばける土壌というものは、それなりの長い歴史と文化と産業の蓄積の中で開発されておるものでありまするから、そこに乗り込んでいって、いわゆるセールス的努力をうまくやって、うんとがんばって努力して克服して、そして市場を開発したというのは、これはそのとおりでございまするけれども、やはり本当の開発というものはそういうものではないんじゃないかというふうなことを私は感じるんであります。言葉にとらわれて申し上げて恐縮でございまするが、そういう意味では、先進国でも同様でありまするが、途上国の場合特にそうでございます。その途上国の発展の基礎に対して協力するという、そういうところを忘れないで取り組んでいくという構えが、今日たとえばこれだけ世界的に大きな市場を持つ立場になった日本の自動車産業としては、そういう面についてもうちょっと御配慮があっていいのではないか、こんなふうに私は考えるわけであります。そして、競争相手としておくれた途上国に対してはこれを引き上げるための基礎的な協力が必要である、それは自動車というだけに考えてはいけないと思うんであります。同時にまた、先進国の似たような産業を持っておる国に対しても、それを競争相手として、何か打ち負かすんだというふうな、そういうふうな考え方でいきまするというと、日本はやがてだめになるんじゃないかという感じを私はいたしております。やっぱり、そういう競争相手を打倒するんだというふうな方向であっては結構でないんじゃないかというふうな感じをいたすわけであります。
これは森谷参考人のお話にも関連するわけでございますから、あわせて申し上げまして御意見を伺いたいと思うんでありまするが、日本の場合に、いわゆる日本は先端技術を駆使して、そしてこれを大量生産に向けて、何と申しましょうか、そういう面で広げていくという日本の特色なり努力が展望されておるというふうな意味に私は伺ったのでございまするが、ここでアメリカと日本を比べて、アメリカは新しい原理のものを開発するという能力において、日本よりすぐれているというふうなことをお話しいただきました。日本は、それに比べてそういう面では貧しくとも、いま申し上げましたように、その先端技術を取り上げて、そしてこれをもっと掘り下げて、これを駆使して大量生産をするというそういう能力に、あるいは勤勉な努力にたけておる、こういうことが言えるだろうと思うのでありまするが、しかし創造的な能力を日本よりは持っておるという見方に立って、アメリカの産業なり技術なりを見てまいりまするならば、これは決して日本がアメリカの優位に立ち得るということにはならないのではないか。いまこそ、なるほどいままで何といいますか、ずっと優位に立っている立場でおっとりと構えてまいりましたアメリカの産業の取り組みが、そういう創造的意欲を持った特性が積極的に発展して産業の中にあらわれてくるようになりまするというと、とてもとても日本などは及びもつかない大きな先進的な立場にアメリカが立つのではないか。アメリカを追いつき追い越すなんというんじゃなくて、ぐんぐんアメリカに離されていくのではないか、こういうふうなことを私は感じます。
そういう点から申しまして、たとえば今日エレクトロニクスとかバイオ新素材、航空宇宙、いろいろの面でアメリカとの関係が言われておりまするけれども、先ほどおっしゃいましたように、私よくわからないのでございまするが、今日いわゆるイノベーションの形でこれが非常に子供にまで普及して大衆化の方向にあるということをおっしゃいました。これに対してかなり力を入れて伸ばしていっていいという考え方だろうと思うのでありまするが、私はこれを伸ばしていくというそのものに対してどうこうというのではございません。しかし、やはり先ほどアメリカのことをちょっと触れましたように、子供の創造性を育てる、あるいは子供の意欲を育てる、あるいは困難に耐えて克服していく、あるいは持久力というようなもの、そういうふうなものをやはり子供の中に培っていくという点に欠けるものが出てくるのではないかというふうな点を私は非常に心配をするわけであります。そういうふうな点については、どんなふうなお考えをお持ちか、一言だけちょっと意見を聞かしていただきたいと存じます。
以上です。
この発言だけを見る →時間もございませんから、引き続いて中村参考人にお伺いをしたいと思うんでありまするが、ちょっと言葉にこだわって物を言うようでございまするが、日本は非常に海外の市場開発に努力して苦労をした、それに比べるとECの努力にいたしましても、あるいはその他の国々の努力にいたしましても日本のような努力をしてないというふうな面のお話がございましたが、私は、これを別にその言葉を取り上げてどうこうとがめるという意味ではございませんが、日本のこの努力をしたというのは、いわゆるセールス的立場において大いに苦労をして努力したということであって、やはりわれわれの商品がさばける土壌というものは、それなりの長い歴史と文化と産業の蓄積の中で開発されておるものでありまするから、そこに乗り込んでいって、いわゆるセールス的努力をうまくやって、うんとがんばって努力して克服して、そして市場を開発したというのは、これはそのとおりでございまするけれども、やはり本当の開発というものはそういうものではないんじゃないかというふうなことを私は感じるんであります。言葉にとらわれて申し上げて恐縮でございまするが、そういう意味では、先進国でも同様でありまするが、途上国の場合特にそうでございます。その途上国の発展の基礎に対して協力するという、そういうところを忘れないで取り組んでいくという構えが、今日たとえばこれだけ世界的に大きな市場を持つ立場になった日本の自動車産業としては、そういう面についてもうちょっと御配慮があっていいのではないか、こんなふうに私は考えるわけであります。そして、競争相手としておくれた途上国に対してはこれを引き上げるための基礎的な協力が必要である、それは自動車というだけに考えてはいけないと思うんであります。同時にまた、先進国の似たような産業を持っておる国に対しても、それを競争相手として、何か打ち負かすんだというふうな、そういうふうな考え方でいきまするというと、日本はやがてだめになるんじゃないかという感じを私はいたしております。やっぱり、そういう競争相手を打倒するんだというふうな方向であっては結構でないんじゃないかというふうな感じをいたすわけであります。
これは森谷参考人のお話にも関連するわけでございますから、あわせて申し上げまして御意見を伺いたいと思うんでありまするが、日本の場合に、いわゆる日本は先端技術を駆使して、そしてこれを大量生産に向けて、何と申しましょうか、そういう面で広げていくという日本の特色なり努力が展望されておるというふうな意味に私は伺ったのでございまするが、ここでアメリカと日本を比べて、アメリカは新しい原理のものを開発するという能力において、日本よりすぐれているというふうなことをお話しいただきました。日本は、それに比べてそういう面では貧しくとも、いま申し上げましたように、その先端技術を取り上げて、そしてこれをもっと掘り下げて、これを駆使して大量生産をするというそういう能力に、あるいは勤勉な努力にたけておる、こういうことが言えるだろうと思うのでありまするが、しかし創造的な能力を日本よりは持っておるという見方に立って、アメリカの産業なり技術なりを見てまいりまするならば、これは決して日本がアメリカの優位に立ち得るということにはならないのではないか。いまこそ、なるほどいままで何といいますか、ずっと優位に立っている立場でおっとりと構えてまいりましたアメリカの産業の取り組みが、そういう創造的意欲を持った特性が積極的に発展して産業の中にあらわれてくるようになりまするというと、とてもとても日本などは及びもつかない大きな先進的な立場にアメリカが立つのではないか。アメリカを追いつき追い越すなんというんじゃなくて、ぐんぐんアメリカに離されていくのではないか、こういうふうなことを私は感じます。
そういう点から申しまして、たとえば今日エレクトロニクスとかバイオ新素材、航空宇宙、いろいろの面でアメリカとの関係が言われておりまするけれども、先ほどおっしゃいましたように、私よくわからないのでございまするが、今日いわゆるイノベーションの形でこれが非常に子供にまで普及して大衆化の方向にあるということをおっしゃいました。これに対してかなり力を入れて伸ばしていっていいという考え方だろうと思うのでありまするが、私はこれを伸ばしていくというそのものに対してどうこうというのではございません。しかし、やはり先ほどアメリカのことをちょっと触れましたように、子供の創造性を育てる、あるいは子供の意欲を育てる、あるいは困難に耐えて克服していく、あるいは持久力というようなもの、そういうふうなものをやはり子供の中に培っていくという点に欠けるものが出てくるのではないかというふうな点を私は非常に心配をするわけであります。そういうふうな点については、どんなふうなお考えをお持ちか、一言だけちょっと意見を聞かしていただきたいと存じます。
以上です。
森
森谷正規#24
○参考人(森谷正規君) いまのお話でございますが、創造力、確かに日本人がこれからますます創造性を——ますますといいますか、これまではどちらかというと足りなかったわけでありまして、今後は大いに創造性を発揮しないといけない時代に入ってきているのは確かでございます。
この創造性というのはいろんなレベルがありまして、ある研究所長の方は、独立型の創造性、つまり何にもないところに全く新しいものを生み出すような創造性と、それから触発型の創造性、つまり何かあるきっかけがあって、もう原理はわかっていて、それをもとにスタートして、開発していくという、そういう形の創造性があるということをおっしゃっておられますが、私は日本はその触発型の創造性はかなり強い。いま技術開発の主流になりますのは、どちらが主流かといいますと、もちろん独立型の創造性、これは多分ノーベル賞をもらうような大変革新的なもの、これも当然必要ではありますが、しかし、バイオテクノロジーですとか、エレクトロニクスでも、先ほどちょっと申し上げましたジョセフソン接合素子あるいは最近よく話題になります人工知能、第五世代のコンピューター、こういうのが二十一世紀の技術である。これはかなり先の技術であるという認識がまず第一でございますが、そういう先の技術を開発するための創造性もどちらかといいますと触発型でいいということでございますから、私は、日本はこれからかなり新しいものを、原理を生み出すというのはなかなかやらないにしても、それを育て上げていくというような面では大いに貢献し得るんではないかというふうに考えております。実際に、これからの子供がそういう創造性を伸ばしていけるかどうかということになりますと、これは教育の問題が絡みますし、いまの受験勉強に追われるという状況の中ではむずかしい面もあるかと思いますが、しかし、一面、たとえば子供でも小さいころからパソコンに取り組む、好きな人は一生懸命パソコンに取り組んでこういう機器を使いこなすというような余裕も出てきておりますので、これは教育の問題でございますからなかなかむずかしいのではありますが、やりようによってはもっと創造性を伸ばせる、伸ばしていくことも可能でありますし、それをできるだけやらないといけないというふうに思っております。
この発言だけを見る →この創造性というのはいろんなレベルがありまして、ある研究所長の方は、独立型の創造性、つまり何にもないところに全く新しいものを生み出すような創造性と、それから触発型の創造性、つまり何かあるきっかけがあって、もう原理はわかっていて、それをもとにスタートして、開発していくという、そういう形の創造性があるということをおっしゃっておられますが、私は日本はその触発型の創造性はかなり強い。いま技術開発の主流になりますのは、どちらが主流かといいますと、もちろん独立型の創造性、これは多分ノーベル賞をもらうような大変革新的なもの、これも当然必要ではありますが、しかし、バイオテクノロジーですとか、エレクトロニクスでも、先ほどちょっと申し上げましたジョセフソン接合素子あるいは最近よく話題になります人工知能、第五世代のコンピューター、こういうのが二十一世紀の技術である。これはかなり先の技術であるという認識がまず第一でございますが、そういう先の技術を開発するための創造性もどちらかといいますと触発型でいいということでございますから、私は、日本はこれからかなり新しいものを、原理を生み出すというのはなかなかやらないにしても、それを育て上げていくというような面では大いに貢献し得るんではないかというふうに考えております。実際に、これからの子供がそういう創造性を伸ばしていけるかどうかということになりますと、これは教育の問題が絡みますし、いまの受験勉強に追われるという状況の中ではむずかしい面もあるかと思いますが、しかし、一面、たとえば子供でも小さいころからパソコンに取り組む、好きな人は一生懸命パソコンに取り組んでこういう機器を使いこなすというような余裕も出てきておりますので、これは教育の問題でございますからなかなかむずかしいのではありますが、やりようによってはもっと創造性を伸ばせる、伸ばしていくことも可能でありますし、それをできるだけやらないといけないというふうに思っております。
中
中村俊夫#25
○参考人(中村俊夫君) 先生のお話の中で、ヨーロッパのメーカーあるいはアメリカのメーカー、努力が足らぬじゃないかということを私が申し上げたことについて、若干誤解があるといけませんので敷衍して申し上げてみたいと思うのですが、私が申し上げましたのは、まさに先生のおっしゃるセールスのことでございまして、日本の市場というのは制度的には開放されているけれども、ノン・タリフ・バリアが一様にたくさんあってなかなか入れないというようなことをよくヨーロッパ、アメリカのメーカーが申します。これは先ほど申しましたように、私らも、その国その国で事情はそれぞれ違います。文化も違います、歴史も違います。したがって、その国のニーズに合うような商品をつくる、あるいはその国の制度に合うようなやり方で輸出をしていく、こういう努力をしてきたということを申し上げておりまして、優等生が劣等生に対して努力が足らぬじゃないかといったような、そういう意味で申し上げているのじゃございませんので、われわれはどこまでも、よくECから来た人たちに申し上げるんですが、道路の上に小さな石がありましても、それをまたぐ気持ちがなければバリアになるわけでございます。われわれはかなりの石をまたいでまたいで前へ進んできた。その小さな石さえのけようという気がなければこれは前に進めないんだということをよく私ら申し上げるのですけれども、そういう意味でもう少し日本の実情に合うような車を持ってこられるということが必要だということを申し上げているわけでございます。
それで、たとえばよくアメリカで五千ドルぐらいの車が日本へ来ると一万ドルにもなるというようなことを言う方があります。これもわれわれの所管ではありませんが、輸入組合の方々に伺いますと、アメリカで使っておるんだからそのままで日本でも使えるはずだということで持ってこられる。したがって、もちろんハンドルは逆ですけれども、ハンドルの逆なのはまだいいとしても、バックミラーあるいはフェンダーミラーもそのままドアミラーでつけてくるとか、フェンダーミラーをつけないとか、いろいろなことで向こうで使っているままで使えるはずだという考え方でマーケティングをしてこられますので、港へ着きましてからこれを全部外してつくり直す、あるいは輸送中にも傷んでくる。それを全部塗装し直す、そういうようなこちらへ来て一台一台手直しをすることによって非常に金がかかる。そのために外車が非常に高くなるということを輸入業者が言っておりますが、われわれは仕向け国がナイジェリアであろうとフランスであろうと、その国の規制基準に合うような車を工場のラインでつくって出しておりますので、先方へ行って直したり、あるいは塗装し直すというようなことのないような輸送もしておる。こういうことでございまして、そういう意味で少し外国もお考えになったらどうか、こういうことを申し上げております。われわれはアメリカを打ち負かすとか、そんな大それた考えはございません。GMのような大きな会社は、一昨年来赤字になっておりましたけれども、昨年九億六千万ドルの税引き後の利益を上げております。あれだけ市場が減って、売り上げが減って減収になりながら増益をしております。これは九億六千万ドルの税引き後の利益というのは、トヨタよりも大きい利益でございます。これだけの力を出す相手に打ち勝つということは、なかなかわれわれも考えられないということで、決して侮っておるわけではございませんで、その意味で競争と協調ということをわれわれは二つの柱としてやっていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
この発言だけを見る →それで、たとえばよくアメリカで五千ドルぐらいの車が日本へ来ると一万ドルにもなるというようなことを言う方があります。これもわれわれの所管ではありませんが、輸入組合の方々に伺いますと、アメリカで使っておるんだからそのままで日本でも使えるはずだということで持ってこられる。したがって、もちろんハンドルは逆ですけれども、ハンドルの逆なのはまだいいとしても、バックミラーあるいはフェンダーミラーもそのままドアミラーでつけてくるとか、フェンダーミラーをつけないとか、いろいろなことで向こうで使っているままで使えるはずだという考え方でマーケティングをしてこられますので、港へ着きましてからこれを全部外してつくり直す、あるいは輸送中にも傷んでくる。それを全部塗装し直す、そういうようなこちらへ来て一台一台手直しをすることによって非常に金がかかる。そのために外車が非常に高くなるということを輸入業者が言っておりますが、われわれは仕向け国がナイジェリアであろうとフランスであろうと、その国の規制基準に合うような車を工場のラインでつくって出しておりますので、先方へ行って直したり、あるいは塗装し直すというようなことのないような輸送もしておる。こういうことでございまして、そういう意味で少し外国もお考えになったらどうか、こういうことを申し上げております。われわれはアメリカを打ち負かすとか、そんな大それた考えはございません。GMのような大きな会社は、一昨年来赤字になっておりましたけれども、昨年九億六千万ドルの税引き後の利益を上げております。あれだけ市場が減って、売り上げが減って減収になりながら増益をしております。これは九億六千万ドルの税引き後の利益というのは、トヨタよりも大きい利益でございます。これだけの力を出す相手に打ち勝つということは、なかなかわれわれも考えられないということで、決して侮っておるわけではございませんで、その意味で競争と協調ということをわれわれは二つの柱としてやっていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
八
松
松前達郎#27
○松前達郎君 お三方の参考人の方御苦労さまでございます。時間も大分もう経過してしまったわけですが、一つだけ御意見をさらにお伺いしたいことがございますので、森谷参考人にひとつお願いいたしたいと思います。
貿易摩擦の解消の面で非常にむずかしい問題だと思いますが、金銭的な面といいますか、金額的な面だけ考えれば、これはたとえばアメリカから空母一隻買ってきてしまえばこれでもっていいんだという暴論もあるわけですね。ですけれども、本来の問題としてはそれだけの問題じゃないというふうに思うわけでありまして、その点先ほど森谷参考人おっしゃいましたアメリカと日本の技術の格差とは言いませんが、内容の差というものについて私全く同感でございます。
そこで、わが国は科学技術で立国をするという、そういう方向で進むとすれば、やはり技術というものが今後の貿易問題に大きなウエートを占める。これも当然だというふうに思いますが、その中で、特に生産技術の問題ですね。よく非関税障壁の問題が言われるわけですが、品質の格差と価格の差というものが、それそのものがもう非関税障壁だと私は思っておるわけですが、この生産技術一つにしましても、先ほどの話にございましたことから言いますと、たとえば日本が技術を提供する、その提供した技術によって高いレベルの生産品を生産してもらって、それを日本が輸入していくという一つのルートとしての考え方ですね。これも一つの考え方と私は思うわけですが、その場合問題になってくるのは労働者の質の問題ですね、これがなかなか解決できないんじゃないかという問題。それからまた同時に品質上の問題からしてロボットの導入という問題も当然そこで問題が出てくる。たとえばECあたりで、私、前にも議論したのですが、ロボットが失業を生むという問題が出てきてしまう。それから、もう一つは、日本とたとえばアメリカの労働組合組織ですね、このシステムが違うという問題。そういったようないろんな問題がこれに派生して出てくるんじゃないか。その辺の解決も同時にしないと、なかなかうまくいかない面もあるんじゃないかというふうに思うのですが、その点もうちょっと深く御意見述べていただければありがたいと思うので、ひとつよろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →貿易摩擦の解消の面で非常にむずかしい問題だと思いますが、金銭的な面といいますか、金額的な面だけ考えれば、これはたとえばアメリカから空母一隻買ってきてしまえばこれでもっていいんだという暴論もあるわけですね。ですけれども、本来の問題としてはそれだけの問題じゃないというふうに思うわけでありまして、その点先ほど森谷参考人おっしゃいましたアメリカと日本の技術の格差とは言いませんが、内容の差というものについて私全く同感でございます。
そこで、わが国は科学技術で立国をするという、そういう方向で進むとすれば、やはり技術というものが今後の貿易問題に大きなウエートを占める。これも当然だというふうに思いますが、その中で、特に生産技術の問題ですね。よく非関税障壁の問題が言われるわけですが、品質の格差と価格の差というものが、それそのものがもう非関税障壁だと私は思っておるわけですが、この生産技術一つにしましても、先ほどの話にございましたことから言いますと、たとえば日本が技術を提供する、その提供した技術によって高いレベルの生産品を生産してもらって、それを日本が輸入していくという一つのルートとしての考え方ですね。これも一つの考え方と私は思うわけですが、その場合問題になってくるのは労働者の質の問題ですね、これがなかなか解決できないんじゃないかという問題。それからまた同時に品質上の問題からしてロボットの導入という問題も当然そこで問題が出てくる。たとえばECあたりで、私、前にも議論したのですが、ロボットが失業を生むという問題が出てきてしまう。それから、もう一つは、日本とたとえばアメリカの労働組合組織ですね、このシステムが違うという問題。そういったようないろんな問題がこれに派生して出てくるんじゃないか。その辺の解決も同時にしないと、なかなかうまくいかない面もあるんじゃないかというふうに思うのですが、その点もうちょっと深く御意見述べていただければありがたいと思うので、ひとつよろしくお願いいたします。
森
森谷正規#28
○参考人(森谷正規君) 確かに日本の強さは生産技術がベースにある。ただし、いまや生産技術ばかりではなくて開発技術にも相当強くなっておりますし、これから新しい製品を生み出すというようなところでも力を発揮するという状況に入っていくわけですから、生産技術はできるだけやはり海外にも、私はおすそ分けをするという言葉をよく使うわけですが、おすそ分けをしないといけないということでございます。
いまおっしゃいました労働者の質の問題でございますが、これはやはり余りはっきり言いますと、民族の優劣ということになりますと非常に問題がございますが、やはりそういうことではなくて、日本人というのは工業化社会に大変向いているという面がございます。それは、まあ勤勉ということは当然でございますが、大変機敏であるという、あるいは応用力が非常に強いという、あるいは最近よく話題になりますのは、超LSIは非常にクリーンなルームを必要とします。このためにはやっぱり日常生活において大変清潔に暮らすとか、あるいは非常に緻密でないといけないという、この辺がいまの工業化社会に日本は大変向いているという面があるように思います。ほかの国はどうかというと、それはたとえば芸術的には非常にすぐれていても余り緻密でない、あるいは大変大ざっぱであるというような国が多いわけでありまして、そういうような国にいまの工業の生産に合うようなそういうシステムを持っていくというのはなかなかむずかしい。これはまさに文化の問題でございますので、よく言われますように経済摩擦というのは要するに文化摩擦ということにも結びつくわけですが、しかしまあそうは言いましても、日本の企業でアメリカあるいはヨーロッパに現地の工場をつくっている企業は、非常に大きな努力をして日本的なやり方を少しずつ定着させていっております。ですから、そういう形で日本的なやり方をやればいい製品が安くできるんだということを身をもって実証して、それに賛成をする日本シンパといいますか、そういうような企業をどしどしふやしていくという、そういうような中で、やはり単に勤勉ということではなくて、緻密であるということに、非常に気を使うような心がけをしてもらう、まあそこまでいかないといけないんではないか。これには非常に時間がかかると思いますし、それはやはりなかなか大変な努力だと思いますので、日本もそういう面で大いに努力を、こちらからそういうことの手助けをする努力をすべきだろうというふうに考えております。
この発言だけを見る →いまおっしゃいました労働者の質の問題でございますが、これはやはり余りはっきり言いますと、民族の優劣ということになりますと非常に問題がございますが、やはりそういうことではなくて、日本人というのは工業化社会に大変向いているという面がございます。それは、まあ勤勉ということは当然でございますが、大変機敏であるという、あるいは応用力が非常に強いという、あるいは最近よく話題になりますのは、超LSIは非常にクリーンなルームを必要とします。このためにはやっぱり日常生活において大変清潔に暮らすとか、あるいは非常に緻密でないといけないという、この辺がいまの工業化社会に日本は大変向いているという面があるように思います。ほかの国はどうかというと、それはたとえば芸術的には非常にすぐれていても余り緻密でない、あるいは大変大ざっぱであるというような国が多いわけでありまして、そういうような国にいまの工業の生産に合うようなそういうシステムを持っていくというのはなかなかむずかしい。これはまさに文化の問題でございますので、よく言われますように経済摩擦というのは要するに文化摩擦ということにも結びつくわけですが、しかしまあそうは言いましても、日本の企業でアメリカあるいはヨーロッパに現地の工場をつくっている企業は、非常に大きな努力をして日本的なやり方を少しずつ定着させていっております。ですから、そういう形で日本的なやり方をやればいい製品が安くできるんだということを身をもって実証して、それに賛成をする日本シンパといいますか、そういうような企業をどしどしふやしていくという、そういうような中で、やはり単に勤勉ということではなくて、緻密であるということに、非常に気を使うような心がけをしてもらう、まあそこまでいかないといけないんではないか。これには非常に時間がかかると思いますし、それはやはりなかなか大変な努力だと思いますので、日本もそういう面で大いに努力を、こちらからそういうことの手助けをする努力をすべきだろうというふうに考えております。
馬
馬場富#29
○馬場富君 三人の参考人の方々には、本日は大変御苦労さまでございます。
私は、最初に自動車を中心とする貿易摩擦について質問いたします。
最初に中村参考人に、アメリカに対する自動車の自主規制は、一九八三年も引き続き百六十八万台と決まりました。この自主規制のねらいはアメリカの自動車産業の再生のための時間を与えるというところにあったと思いますが、過去二年間の自主規制について、業界はこの点をどのように評価してみえるか。
また、本年はアメリカ市場も昨年よりは回復の傾向にある、こういう予測が多く出ておりますが、昨年は七百九十七万台でありました。本年は予測からまいりますと八百八十万台から九百五十万台という見通しが多いようでございます。それにもかかわらず八三年は百六十八万台に据え置かれておりますが、このように回復が現実となった場合に、業界はやはり機会損失の可能性が大きいと私は考えますが、この点業界はどのように受けとめてみえるか。回復状況によっては年度の途中で見直しを求めるという考えはあるかないか、この点質問いたします。
この発言だけを見る →私は、最初に自動車を中心とする貿易摩擦について質問いたします。
最初に中村参考人に、アメリカに対する自動車の自主規制は、一九八三年も引き続き百六十八万台と決まりました。この自主規制のねらいはアメリカの自動車産業の再生のための時間を与えるというところにあったと思いますが、過去二年間の自主規制について、業界はこの点をどのように評価してみえるか。
また、本年はアメリカ市場も昨年よりは回復の傾向にある、こういう予測が多く出ておりますが、昨年は七百九十七万台でありました。本年は予測からまいりますと八百八十万台から九百五十万台という見通しが多いようでございます。それにもかかわらず八三年は百六十八万台に据え置かれておりますが、このように回復が現実となった場合に、業界はやはり機会損失の可能性が大きいと私は考えますが、この点業界はどのように受けとめてみえるか。回復状況によっては年度の途中で見直しを求めるという考えはあるかないか、この点質問いたします。