社会労働委員会

1984-07-19 衆議院 全332発言

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会議録情報#0
昭和五十九年七月十九日(木曜日)
    午前十時十七分開議
出席委員
  委員長 有馬 元治君
  理事  愛知 和男君 理事 稲垣 実男君
  理事  小沢 辰男君 理事 丹羽 雄哉君
  理事  池端 清一君 理事 村山 富市君
  理事 平石磨作太郎君 理事 塩田  晋君
      伊吹 文明君    稲村 利幸君
      今井  勇君    鍵田忠三郎君
      古賀  誠君    斉藤滋与史君
      自見庄三郎君    谷垣 偵一君
      友納 武人君    仲村 正治君
      長野 祐也君    西山敬次郎君
      野呂 昭彦君    浜田卓二郎君
      平林 鴻三君    藤本 孝雄君
      箕輪  登君    網岡  雄君
      大原  亨君    河野  正君
      関  晴正君    多賀谷眞稔君
      竹村 泰子君    永井 孝信君
      森井 忠良君    大橋 敏雄君
      沼川 洋一君    橋本 文彦君
      福岡 康夫君    森本 晃司君
      小渕 正義君    塚田 延充君
      浦井  洋君    田中美智子君
      菅  直人君
出席国務大臣
        厚 生 大 臣 渡部 恒三君
 出席政府委員
        厚生省健康政策
        局長      吉崎 正義君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省社会局長 持永 和見君
        厚生省援護局長 入江  慧君
        労働省職業安定
        局高齢者対策部
        長       守屋 孝一君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参次官    榎本  弘君
        大蔵省主計局共
        済課長     坂本 導聰君
        社会労働委員会 石黒 善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十八日
 辞任         補欠選任
  田中美智子君     小沢 和秋君
  菅  直人君     江田 五月君
同日
 辞任         補欠選任
  小沢 和秋君     田中美智子君
  江田 五月君     菅  直人君
同月十九日
 辞任          補欠選任
  自見庄三郎君     平林 鴻三君
  中野 四郎君     仲村 正浩君
  渡辺 秀央君     鍵田忠三郎君
  網岡  雄君     大原  亨君
  永井 孝信君     関  晴正君
  沼川 洋一君     福岡 康夫君
同日
 辞任         補欠選任
  鍵田忠三郎君     森下 元晴君
  仲村 正浩君     中野 四郎君
  平林 鴻三君     自見庄三郎君
  大原  亨君     網岡  雄君
  関  晴正君     永井 孝信君
  福岡 康夫君     沼川 洋一君
    ―――――――――――――
七月十九日
 国民年金・厚生年金等の制度改悪反対に関する請願(浦井洋君紹介)(第八〇六八号)
 同(橋本文彦君紹介)(第八〇六九号)
 同(森本晃司君紹介)(第八〇七〇号)
 はり、きゆう、マッサージ療養費支払い等に関する請願(遠藤和良君紹介)(第八〇七一号)
 建設国民健康保険組合の改善に関する請願(不破哲三君紹介)(第八〇七二号)
 食品添加物の規制緩和反対、食品衛生行政の充実強化に関する請願(浅井美幸君紹介)(第八〇七三号)
 同(新井彬之君紹介)(第八〇七四号)
 同(有島重武君紹介)(第八〇七五号)
 同(遠藤和良君紹介)(第八〇七六号)
 同(大野潔君紹介)(第八〇七七号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第八〇七八号)
 同(岡本富夫君紹介)(第八〇七九号)
 同(長田武士君紹介)(第八〇八〇号)
 同(貝沼次郎君紹介)(第八〇八一号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第八〇八二号)
 同(西中清君紹介)(第八〇八三号)
 同(橋本文彦君紹介)(第八〇八四号)
 同(伏木和雄君紹介)(第八〇八五号)
 同(宮地正介君紹介)(第八〇八六号)
 同(森本晃司君紹介)(第八〇八七号)
 同(矢追秀彦君紹介)(第八〇八八号)
 同(山田英介君紹介)(第八〇八九号)
 同(吉井光照君紹介)(第八〇九〇号)
 医療保険改悪反対、充実改善に関する請願(工藤兄君紹介)(第八〇九一号)
 同(林百郎君紹介)(第八〇九二号)
 同外一件(横山利秋君紹介)(第八〇九三号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第八〇九四号)
 医療保険・医療供給体制の改悪反対等に関する請願(林百郎君紹介)(第八〇九五号)
 医療保険の改悪反対等に関する請願(網岡雄君紹介)(第八〇九六号)
 同(井上普方君紹介)(第八〇九七号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第八〇九八号)
 同(上野建一君紹介)(第八〇九九号)
 同外一件(小沢和秋君紹介)(第八一〇〇号)
 同外三件(小澤克介君紹介)(第八一〇一号)
 同(河野正君紹介)(第八一〇二号)
 同(菅直人君紹介)(第八一〇三号)
 同外一件(佐藤観樹君紹介)(第八一〇四号)
 同(柴田弘君紹介)(第八一〇五号)
 同(津川武一君紹介)(第八一〇六号)
 同(三浦久君紹介)(第八一〇七号)
 同(宮地正介君紹介)(第八一〇八号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第八一〇九号)
 医療保険の改悪反対、充実に関する請願外一件(佐藤祐弘君紹介)(第八一一〇号)
 同(中川嘉美君紹介)(第八一一一号)
 同(中島武敏君紹介)(第八一一二号)
 同(不破哲三君紹介)(第八一一三号)
 医療保険制度の改悪反対、充実改善に関する請願(柴田睦夫君紹介)(第八一一四号)
 同外四件(津川武一君紹介)(第八一一五号)
 同(中川利三郎君紹介)(第八一一六号)
 同外一件(林百郎君紹介)(第八一一七号)
 同(不破哲三君紹介)(第八一一八号)
 同(三浦久君紹介)(第八一一九号)
 医療保険の抜本改悪反対に関する請願(浦井洋君紹介)(第八一二〇号)
 同(中川嘉美君紹介)(第八一二一号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第八一二二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第八一二三号)
 医療保険制度の改善に関する請願(新井彬之君紹介)(第八一二四号)
 同(井上一成君紹介)(第八一二五号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第八一二六号)
 同外一件(上野建一君紹介)(第八一二七号)
 同(浦井洋君紹介)(第八一二八号)
 同(遠藤和良君紹介)(第八一二九号)
 同(小川国彦君紹介)(第八一三〇号)
 同(長田武士君紹介)(第八一三一号)
 同(河野正君紹介)(第八一三二号)
 同(木内良明君紹介)(第八一三三号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第八一三四号)
 同(工藤晃君紹介)(第八一三五号)
 同外二件(左近正男君紹介)(第八一三六号)
 同外一件(柴田睦夫君紹介)(第八一三七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第八一三八号)
 同(中川嘉美君紹介)(第八一三九号)一
 同(中村正男君紹介)(第八一四〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第八一四一号)
 同外一件(正森成二君紹介)(第八一四二号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第八一四三号)
 同(水谷弘君紹介)(第八一四四号)
 岡(和田貞夫君紹介)(第八一四五号)
 同(渡部一郎君紹介)(第八一四六号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第八一四七号)
 年金・医療・雇用保険の改悪反対、充実改善に関する請願(小沢和秋君紹介)(第八一四八号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第八一四九号)
 同(田中美智子君紹介)(第八一五〇号)
 同外六件(中川利三郎君紹介)(第八一五一号)
 同(中島武敏君紹介)(第八一五二号)
 同(東中光雄君紹介)(第八一五三号)
 同(三浦久君紹介)(第八一五四号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第八一五五号)
 医療用漢方製剤の健康保険適用存続に関する請願(田中美智子君紹介)(第八一五六号)
 年金・医療の改悪反対、充実改善に関する請願外二件(角屋堅次郎君紹介)(第八一五七号)
 健康保険の本人十割給付引き下げ反対等に関する請願(松本善明君紹介)(第八一五八号)
 医療保険、年金制度の改悪反対に関する請願(中川利三郎君紹介)(第八一五九号)
 同(野間友一君紹介)(第八一六〇号)
 同(林百郎君紹介)(第八一六一号)
 国立腎センター設立に関する請願(矢追秀彦君紹介)(第八一六二号)
 医療保険制度改悪反対、国民医療の改善等に関する請願(正森成二君紹介)(第八一六三号)
 同(山原健二郎君紹介)(第八一六四号)
 政府管掌健康保険等の改悪反対に関する請願(東中光雄君紹介)(第八一六五号)
 同(藤田スミ君紹介)(第八一六六号)
 政府管掌健康保険等の改悪反対、充実改善に関する請願(柴田睦夫君紹介)(第八一六七号)
 同外一件(中川利三郎君紹介)(第八一六八号)
 同(林百郎君紹介)(第八一六九号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第八一七〇号)
 医療・年金・雇用保険の抜本改悪反対等に関する請願(林百郎君紹介)(第八一七一号)
 医療・生活保護・年金の改悪反対等に関する請願(小沢和秋君紹介)(第八一七二号)
 医療保険制度抜本改悪反対、国民医療の改善に関する請願(柴田睦夫君紹介)(第八一七三号)
 同(津川武一君紹介)(第八一七四号)
 労働基準法改悪反対、男女雇用平等法制定促進に関する請願(林百郎君紹介)(第八一七五号)
 健康保険の本人十割給付堅持、年金制度改悪反対等に関する請願外三件(網岡雄君紹介)(第八一七六号)
 同外一件(草川昭三君紹介)(第八一七七号)
 健康保険・国民健康保険等医療保険制度の改悪反対に関する請願(林百郎君紹介)(第八一七八号)
 健康保険法改悪反対、保健制度の充実に関する請願(田中美智子君紹介)(第八一七九号)
 健康保険制度改悪反対、老人医療の無料制度復活に関する請願(中村正雄君紹介)(第八一八〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第八一八一号)
 保育行政の充実に関する請願外一件(左近正男君紹介)(第八一八二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
 原子爆弾被爆者等援護法案(森井忠良君外六名提出、衆法第一二号)
 社会福祉・医療事業団法案(内閣提出第四二号)
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)
     ――――◇―――――
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有馬元治#1
○有馬委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び森井忠良君外六名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
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森井忠良#2
○森井委員 正直なところ、もうこれくらいにしてくださいと言いたい気持ちでございます。政府提出の特別措置法の改正案、それから全野党提出の原爆被爆者等援護法案、御存じのとおり、健康保険法の改正案と同時に付託になり、趣旨説明がされてまいりました。結局、健康保険法改正案の審議の道具にされた感じでございまして、素直に質問するわけにいきません。しかも昨日の理事会におきましては、まだ採決ができない。委員長も御存じのとおり、過去二回、健康保険法の審議のまあ私に言わせれば合間を縫って、二回審議が続きました。そして、健保の方はとっくに参議院に送られているわけでございます。
 考えてみますと、この法案の審議の行方を見守っておられます原水爆禁止を願う人々、核軍縮を願う人々、さらには被爆者の皆さんやその遺族の方々などの注視を集めている中で、本委員会の原爆関連法案に対します審議の状況はどうですか。事もあろうに、まだきょうも採決をしないというようなことを言われております。申し上げましたように素直に審議するわけにいきません。理事会を開いていただきまして、整々と審議が進んでおるわけでございますから、本委員会で本日明確に決着をつけるというお約束をしていただかない限り、質疑に入るわけにいきません。――いろいろ御都合もあるようでございますから、私も甘いも酸いも知っておるつもりでございます。そこで、私の質問は、与えられました時間は四十五分ということでございます。私の質問中に理事会を開いていただけますか。
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有馬元治#3
○有馬委員長 森井先生の御趣旨に沿って、質問中に理事会を開いて御相談いたします。
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森井忠良#4
○森井委員 それでは、そういうことできょう決着をつけていただくということを期待をいたしまして、質問に入らせていただきたいと存じます。
 まず第一に、厚生大臣にお伺いいたしたいと思うわけでございますが、御存じのとおり、政府は、原爆被爆者に対しまして二つの法律をお持ちですね。一つは原爆医療法、そしてもう一つは原爆特別措置法、この二つでございます。そのいずれも、今まで原爆被爆者に対しまして一定の役割を果たしてこられました。その評価は私もすることにやぶさかではないわけでございます。しかし、なお被爆者を中心といたします皆さんはやはり不満が残っておるわけで、それは何か。被爆者の皆さん方は、国家補償に基づく被爆者援護法を制定をしていただきたい、それから、一刻も早く援護法に基づいて、今まで二つの法律の対象になっていない皆さん、例えば肉親を失ってそして生活に毎日苦労していらっしゃる遺族の皆さん、言うなれば、国はそういった方々に対して、被爆者でない以上、これは俗に言うところの一本のお線香代も出していない、金額の多寡はともかくとして、そういった遺族の皆さん、間もなくまた八月六日や八月九日が来るわけですけれども、せめて国は、今申し上げました現行二法の枠の外に置かれておる皆さんに対しても何とか措置をしていただきたい。本来の要求ですと、弔慰金や遺族年金ということもあります。私ども野党が出しております法案につきましても、諸般の状況を考慮いたしまして、特に与党自民党の皆さんにも賛成をしてもらいたいというので、私どもの被爆者援護法案でも十分に遺族の皆さんの要求にこたえておるとは思いませんけれども、当面ここまでだなということと、やはり金額の多寡はともかくとして、国家補償による被爆者の援護対策が欲しい、こういうことで今日まで来ておることは大臣、御存じのとおりであります。
 私は先ほど申し上げましたように、本法案につきましては過去二回、午前中だけではありますけれども審議が進んでおります。御質問したいことは山ほどございますけれども、僭越ですが、ある程度締めくくりの意味でこれから質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
 先ほど言いましたように、やがて八月六日が来る、八月九日が来るということでございます。まず最初に大臣、政治家としてこの原爆被爆者に対しましてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
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渡部恒三#5
○渡部国務大臣 原爆の投下による我が国がこうむった被害はまことに甚大なものがございます。しかもこれは、世界の人類史上にかつてなかった経験であり、また二度とこのような経験をこの地球上に行ってはならないことであります。
 私は、その原爆によって受けた被害者の皆さん方が、今日までそのために受けてきた傷の大きさというのを先生方からお聞きするたびに、大変なこの問題に対して解決しなければならない多くの問題を痛感いたします。
 私どもは、そういう意味で、原爆に関する二法というものをつくって、これが他の戦災とは異なる放射能被害という、その人が生存している限り大きな生命に関する問題を残しておるという特性にかんがみて、広い意味での国家補償的な立場からいろいろの施策を講じておるわけでありますが、これらの施策は誠意を持ってできる限り今後も充実させてまいりたいと思っております。
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森井忠良#6
○森井委員 大臣の人柄もございまして、去る三月、被爆者の代表の皆さんとお会いをいただきました。本当にお忙しい中、ありがとうございました。
 私も立ち会ったわけでございますけれども、大臣は、これは要約でありますから定かではないわけでございますが、「国家が国家権力の行使として行なった戦争の結果、犠牲となったみなさんは、人類史上かつてないむごい体験をし、今日まで苦しんでいる状況を考え、安心して生活していける施策を取りたい。厚生省としてやるべきことはやらねばならない。援護法については、現行二法の中でやるのではないかなどの見解もあり、大臣就任後三ケ月でまだ勉強中でもあり決心をしていない段階で、もう少し勉強させてもらいたい」、こう話しておられます。これは関係団体のメモでありますが、当時の新聞報道によりますと「放射能の影響で健康に不安を感じる人が一人でもいる限り国が被爆者対策を継続していくことは当然だ」とも述べていらっしゃるという報道もございます。
 まさに政治家渡部大臣として率直にお感じをお述べになったことと思うわけでございますが、それは三月の時点でございました。もう厚生大臣としてはベテラン中のベテランでございます。こういったお気持ちについてさらにつけ加えにおなりになるところがあるのかどうなのか、特に現行二法との関係で御見解を承っておきたいと存じます。
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渡部恒三#7
○渡部国務大臣 今、森井先生からお話がありましたこの三月に、先生方の御紹介で被害者の皆さん方の直接の生の声をお聞かせいただいて、私も大変感動をいたしまして、私のそのときの心境をありのままに申し上げたのでございますが、その気持ちは今日も変わりございませんし、私が生存する限り変わらないと私は思います。
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森井忠良#8
○森井委員 過去二回の本委員会におきます原爆法案の審議で感じたわけでございますが、今大臣がお述べになりました立場とつなぎ合わせてみますと、やや不安な点が出てまいります。もちろんお気持ちには変わりがないことは私も信じておりますけれども、これまでの答弁を見ますと、これは歴代大臣がおかわりになるので私も困るわけですけれども、政府の原爆被爆者対策における基本は、原爆被爆者基本問題懇談会、通称七人委員会と呼ばれているものでございますが、元東大学長の茅誠司先生が座長をお務めになりました。あの七人委員会の意見書というものを土台にするというふうにおっしゃっておるわけでございます。そのとおりですか。
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渡部恒三#9
○渡部国務大臣 そのとおりでございます。
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森井忠良#10
○森井委員 実は古い話を持ち出すようで恐縮でございますが、七人委員会が出されましたときに、当時は園田厚生大臣でございました。今は故人で、冥福をお祈りするしかないわけでございますけれども、園田厚生大臣は、極めて遺憾だとはおっしゃいませんでしたけれども、これでは被爆者の皆さんの御意思に沿ったものにはなっていないだろうという御感想をお漏らしになった上で、この七人委員会の意見書を乗り越えて何か厚生省としてやることはないか、これから十分検討したいという御発言をなさっておられるわけでございます。もう故人のことですから大臣にお伺いするのはやめますけれども、そういった前提から立ては、やはり厚生省当局としてもあの基本懇の意見書というのはある意味で予想外だった……。
 実は経過があるわけでございまして、七人委員会の始まりは、これは言い出しっぺは当時の橋本龍太郎厚生大臣でございます。何とか被爆者援護法をつくってもらいたい、こういう要望が、今も強うございますが、その当時も強うございました。そのときに、社会保障制度審議会が原爆特別措置法の諮問に答えるときに、その答申書の中で、いつまでも被爆者対策が放置されておるというのは遺憾である。まあ放置という言葉は使ってありませんけれども、いつまでも解決がつかないということは極めて遺憾である、したがって専門家による権威ある機関をつくれという答申が実はなされたわけでございます。それを受けて七人委員会ができた経過があるわけでございますが、確かにその後政治情勢の変化がございました。大平さんが亡くなる、そしてダブル選挙が行われるというようなことがございまして、いろいろなことがあったわけでございますが、結論から申し上げますと、今申し上げましたように、残念ながら被爆者の意思をある意味で逆なでをするような意見書になったわけであります。これは首をかしげていらっしゃいますが、その当時の各団体の声明でもそれは明らかになっているわけでございます。
 そこで、我々国会といたしましても、先ほど申し上げました園田厚生大臣の気持ちも受けながら、国会での附帯決議の作成に取りかかりました。それが、昨年はございませんでしたけれども、一昨年あるいは一昨々年と続いて、本委員会で与党・自由民主党の皆さん方も含めて、満場一致で決定をした附帯決議でございます。
 国家補償の精神に基づく原子爆弾被爆者等援護法の制定を求める声は、一層高まってきた。
 また、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見書も、被爆者の援護対策は、広い意味での国家補債の精神で行うべきであるとの立場をとっている。
 政府は、原爆被害者が高齢化し、事態は緊急を要するものであるという認識に立ち、可及的速やかに理行法を検討して、これらの要望にこたえるとともに、云々と、こうなっているわけでございます。
 先ほど言いましたように、ことしの原爆特別措置法あるいは野党の原爆被爆者等援護法案におきましては、今大臣の御答弁がございましたように、何か七人委員会の答申だけがあたかも厚生省の原爆被爆者対策の基本になっているような感じがしてなりません。私は何代前かの大臣にお伺いしたわけであります。一体どっちをとるんだ。片っ方は今読み上げましたように国会の意思であります。七人委員会は厚生大臣の私的諮問機関であります。もちろん、私的諮問機関とはいえ、厚生省が一定の手続を経て意見書をお求めになったわけでありますから、これが厚生省の原爆被爆者対策の一つの指針になるということを私も否定するものじゃございません。しかし、今申し上げましたように、むしろ国会の意思は基本懇の意見書を乗り越えて明確に書いてあるわけであります。附帯決議の尊重という立場からすればおかしいのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
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渡部恒三#11
○渡部国務大臣 懇談会は、先生今御指摘のように、厚生省、政府として学識経験者、関係者の皆さん方の御意見をこちらからお願いしてお聞きしたわけでございますから、これを尊重していかなければならないのも当然でございますが、しかし、今先生御承知のように、我が国は議会民主主義国家でございますから、この国会で決議せられました意思が尊重されるべきことは全く当然のことだと思います。
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森井忠良#12
○森井委員 そうしますと、指針としては、基本懇の答申と国会の附帯決議、この両方を十分勘案しながら施策を進めていくということですね。これは大臣よりも保健医療局長さんのお答えをいただきたいと存じます。
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大池眞澄#13
○大池政府委員 ただいまの先生のこれまでの基本問題懇談会の経緯、御指摘のとおりのことと承知しておりますが、五十五年の十二月に御意見をちょうだいしたわけでございます。また、国会におきまして非常に重要な附帯決議もちょうだいしているわけでございます。これはそれぞれの高い立場における御意見として、私どもは、それぞれの意向を尊重しながらこれを施策に具体化していくという基本的な姿勢で取り組んでいるつもりでございます。
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森井忠良#14
○森井委員 お答えの割にはなかなか被爆者対策は進んでいないのですね。ただ大臣、私も辛うじて気が安まりますのは、ばったばったほかの予算を削られる中で、被爆者対策の予算についてはどうにか現状を守っていただいている。総額からいけばそう大きな金額とは言えませんけれども、毎年ふやされていっておる。この点については私も評価をするわけでございますが、繰り返し申し上げますように、附帯決議を本当に尊重してくれたのか。基本懇の答申の中身でも、百歩譲って、いろいろ問題がありますけれども、広い意味で国家補償ということだけは明確になっているわけでありますから、極端に言えば、まず現行二法、これも大臣に御進講申し上げるのは大変恐縮ですけれども、現行二法は、医療法は国家補償法なのですね、断定はできないですけれども。例えば最高裁判所の判決、五十三年三月三十日に出されていますけれども、これでも医療法の根底には国家補償的な側面がある、こう明確にうたっているわけでございます。確かにそう考えてみますと、医療法には所得制限がないのです、一例ですけれども。所得制限がないということは、所得に影響なく、関係なく国が施策をしていこうというわけでありまして、まさに昭和三十二年にできましたときもそういった側面でできた。これは立法の経過からすれば明らかでありますけれども。
 特別措置法の方は、これは私どもが見ましても、完全な社会保障法だと断定できると思うわけでございます。局長、その点についてはどうでしょう。私と考え方は変わらないと思うのですけれども。
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大池眞澄#15
○大池政府委員 基本的には、先生の御指摘のように、この原爆二法につきましては社会保障法的な基本的な仕組みをとりながら、御指摘のような広い意味におきます国家補償的な意義を持っているということも、先ほど御指摘の最高裁判決のこともございますし、私どももそのように認識しているところでございます。
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森井忠良#16
○森井委員 ちょっと意地の悪い質問で恐縮ですけれども、医療法に所得制限がついていないというのはどういうわけですか。――答えられなければいいです、唐突だから。
 それから、これは御存じのように、日本にいない外国人でも日本に来れば適用になるとか、まさにこれは読めば読むほどこの面については国家補償法なんですよ。問題は特別措置法なんです。特別措置法の方が所得制限等がついているわけでございますが、順次御質問をいたしたいと存じます。
 まず第一は、やはり所得制限ですね。これは厚生省は、最近は定かでないのですけれども、何年か前までは、毎年大蔵に対しましては、所得制限は撤廃ということで予算の概算段階から要求をしていただきまして、結局あの憎い大蔵省に削られて、渋々所得制限を残してきたという経過がございます。当初は所得制限にひっかかる人が六%のときもいました。五%のときもいました。今は四%になっているわけでありますが、四%の方が所得制限にひっかかる。粗っぽい言い方をしますと、百人の被爆者の中で九十六人までは諸手当を差し上げましょう、あとの四人はだめですよ、こういう形になっているわけであります。苦し紛れに今医療特別手当というのがありまして、これは今度は所得制限はいたしません。撤廃という形になっております。つらいところですね、これは。理論的にはもう所得制限は何とか撤廃をしたいということなのですが、どうしても大蔵が吹き抜けることができない。私はその点も十分認識をしております。そして、厚生省の御苦労もよく知っておるわけでございます。ただ、しかし、はい、そうですかと引き下がるわけにいかない。国家補償というのはいろいろな側面がございますけれども、その一つに、所得制限をなくすれば、被爆者の皆さんは限られてはいますけれども、その方々に対してはこれは所得に関係なく国が補償するということになれば、その側面で見る限り、これは国家補償の精神に基づくことになるわけでございます。たった四%です。これは局長さん、四%を仮に撤廃をしたら、つまり百人中百人諸手当を受け取ってもらうことができたら、幾ら予算がふえるのですか。
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大池眞澄#17
○大池政府委員 現状におきまして、実態で掌握しておりますいろいろな数値で一つの試算を行ったものによれば、約三十億というような試算がございます。
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森井忠良#18
○森井委員 大臣、お聞きのように三十億です。これは多いと言えば多い、少ないと言えば少ない、大変な金額であることには間違いありませんが、例示をいたしますとそれぞれ差しさわりがありますから申し上げませんけれども、私は三十億あれば所得制限の撤廃はできる。
 今、非常に無理をしておるのですね。ほかの所得制限というのは厚生省の予算でも大体削られる傾向にあります。例えばその最たるものと言うと語弊がありますが、よく例に出されます老齢福祉年金等ですね、これはずっと据え置きであります。一部切り込まれたりしておりますが、据え置きということは、全般的に物価や所得が上がる状況にありますから、所得制限は強化の方向に向かっている。しかし、原爆被爆者の場合はことしもふやされているのですね。これは年間の所得税額が七十九万二千三百円。前年度はこれよりも少なかったわけであります。金額は定かでないから申し上げませんが、年々所得制限額を、所得税額でありますけれども金額をふやして、ちょうど四%にひっかかるように計算がしてあるのですね。ですから私はお困りになるのだろうと思うのです。今申し上げましたように七十九万二千三百円の根拠を話してくださいと言えば、これは大変難問だと思うのです。しかし、それは今申し上げましたように、無理をして何とか四%の所得制限を残したいということから逆算をした数字でございまして、ただ、申し上げましたように、他の所得制限額というのが切り込まれている中で、被爆者対策については事実上被害者がないからという形で予算がふやされていますから、これは評価ができるわけです。できるわけでありますから、これ以上は申しませんけれども、三十億、多いか少ないかわかりませんが、しかし、今申し上げましたように、私ども野党も援護法案を出しておりますが、これにはこだわらないうんと歩み寄ってもよろしい。後で申し上げますけれども。
 いずれにしても、まず国家補償という眼を入れよう。そのあかしとして、せめて所得制限だけは撤廃をしたらどうですか。そういう意味で、一昨年の附帯決議の第一項目に書いてありますね。「医療特別手当については、所得制限が撤廃されたが、他の諸手当についても、被爆者の障害の実態に即して改善すること。」、残念ながら附帯決議の改善にはなっていないわけであります。現状維持と改善は違うでしょう。ですから何とか再考をいただけないものか。やがて六十年度予算の概算要求の時期が来るわけでございます。今度はシーリングと言わないようでありますけれども、要求基準というのですか、いずれにしてもこれは中曽根さんと藤尾さんの、表現は違いますけれども、今年度の予算がこれだけ切り込まれた後でありますから、今度は何としてもこれでは承知しないぞということで、大臣も決意のほどをせんだっても健保の審議で承りましたけれども、与党の皆さんも社会部会を中心にいたしまして今までのとおりではいけない、何とか予算をふやしていこうという形になっているわけでありますから、私は、事務当局としても絶好のチャンスだと思うし、厚生大臣としても百万の味方を得たような感じで頑張られることができると思うわけでございます。
 そこで、今申し上げました所得制限三十億、事務当局がせっかくはじいてくれましたけれども、私はまだ疑いを持っています。もう少し少なくて済むのではないか、少し多目なんじゃないか、そう思っておりますけれども、いずれにいたしましても、一番多い場合で三十億という形になると思うわけでございます。これは積算の難しさもありますから事務当局を責めるつもりはありません。ひところは十数億でいいのではないかと言われた方もいらっしゃいますから、その意味でちょっとひっかかるわけであります。
 長くなりますからはしょりますけれども、何とか所得制限については来年撤廃の方向で御検討願えないか。大臣、いかがでしょうか。
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渡部恒三#19
○渡部国務大臣 被爆者対策に対する予算、森井先生から評価をしていただいて大変ありがたいことだと思ってお聞きするとともに、来年度予算獲得の私どもの勇気がわいてまいりました。
 先生御指摘のとおり、この被爆者対策というものは、ゼロシーリングとかマイナスシーリングとかいうことによって削られる性格のものではないと私どもも骨身にしみておりますので、五十九年度予算も先生に御了解いただいたように、ゼロシーリング、マイナスシーリングの中で特別に必要な予算を確保するということで努力してまいったのでありますが、これは来年度も、大蔵当局が何と言おうと、私どもは、私どもの要求すべきものは要求しなければならないという決意で今予算折衝に臨んでおります。
 ただ、先生、歯切れが悪くて申しわけないのでありますけれども、所得制限の問題、これは三十億の金額が多いとか少ないとかこれは議論のある問題でございましょうが、私が事務当局から聞いておる報告によると、今所得制限を受けておられる方は八百万以上ぐらいの方だというふうに聞いております。そうしますと、今日の日本が幾らかなり高度成長したとはいいながら、経済的に言えば八百万以上の所得を受けておられる方はかなり恵まれた、他の面は別として経済的だけの側面をとらえれば、これは恐らく百人のうち十人以内、十番目以上、間違っているかな……(「もっと少ないです」と呼ぶ者あり)いや、七百万で百人のうち十人に入るからそれ以上のはずですが、八百万ですと。そういう方々に御無理を願うということで来たようでありますが、今大先輩の森井先生の御質問で、歯切れが悪くて申しわけないのですが、今すぐここで、大臣として、所得撤廃を全部するということは申し上げかねますので、もう少し勉強の余地を与えていただきたいと思います。
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森井忠良#20
○森井委員 そうなってきますと、話が横道にそれますが、例えば老人医療で無料化が実現をされていますが、それでは、かの有名な松下幸之助さんは老人医療は無料でなくてもよろしいというようなものでございまして、それはおのずから話は別なんですよ。先ほど言いましたように、八百万について細かく事務当局に聞いてもいいわけですけれども、金額の多寡じゃないものですから聞きませんが、それは中にはおりますよ。おりますけれども、基本は、大臣の冒頭の御立派な答弁がございましたように、原爆を落とした大きな責任というのは、もちろんアメリカにもありますけれども、日本政府にもあったわけです。こういう議論をしますと長くなりますからはしょるわけでありますけれども、先ほどの老人医療め無料化と同じなんです。金持ちにまで何でただにするんだということになる。政治家として、それは大金持ちはそんなものは要らぬと言われるかもしれませんが、国家の意思としてはこうだということでございますから、今のつれない返事というのはいただけませんな。もうちょっとどうですか。
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渡部恒三#21
○渡部国務大臣 もう少し勉強させていただきたいと思います。
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森井忠良#22
○森井委員 大臣、申し上げましたように、あなたはそうおっしゃいましたけれども、厚生省は毎年毎年所得制限の撤廃を大蔵省に要求をしてきたという事実があるのです。これは事務当局、どういうわけで要求してきたんですか。所得制限の撤廃を要求してきているでしょう。
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大池眞澄#23
○大池政府委員 これはそれぞれのその時期におきます経緯もあったやに聞いておりますけれども、基本問題懇談会でこのような問題意識を持ちましてのいろいろな御論議をいただく前までの段階での要求であったと承知しております。
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森井忠良#24
○森井委員 そうですか。間違いありませんか。――不確かだからこれ以上追い詰めませんけれども、基本懇の答申があったかないか別として、基本懇の答申以降も厚生省は相当頑張ってまいりましたし、私どもも野党ではありますけれども、目の色変えて大蔵に迫った経過はあるわけであります。いずれにいたしましても、そういった事実を含めて大臣、勉強さしていただくということでありますが、これは前向きに勉強さしていただくということでいいですか。これは、これからまたどうせ議論するときに附帯決議にも書かなければならぬ。言いたくはございませんけれども、私が読み上げたものは附帯決議に書いてあるわけです。
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渡部恒三#25
○渡部国務大臣 先ほど申し上げましたように、被爆者対策というものは戦後に残された私どもの大変大きな使命であるという考えで、五十九年度の予算も決してマイナスシーリングということにとらわれないで大蔵省に無理をお願いしたわけでございますが、六十年度予算編成に対する私の姿勢も同じでございますから、皆さん方に納得のしていただける必要な予算は確保するという方向で進んでまいりたいと思います。
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森井忠良#26
○森井委員 もう時間が余りないようでございますから、次に死没者の調査ですね。先ほども申し上げたんですけれども、原爆が投下されまして何人亡くなったかわからないのです。その遺族が何をしていらっしゃるかも正確に調査がない、そういう状況なんです。今、生存被爆者の皆さんは、手帳をもらっていらっしゃる方と手帳をこれから申請される方もあるのですね。何とか被爆者であることを人に言いたくないというような方もありますし、今健康だから必要ないと言われる方もあるんですね。結構なことだと思うのですが、それにいたしましても、生存被爆者の皆さんには何らかの対策がある。しかし、亡くなって遺族が生活に困った、夫や父や母が。そうしたら毎年毎年命日が来る。お墓に参る。この子がいたらな、もっとうちの暮らしは違ったというのは随分ある。それから広島県、広島市、長崎県、長崎市等がいろんな被爆者の実情を聞いておりますけれども、原爆被爆者対策というのは、単に被爆者だけでない、亡くなられた方、さらには亡くなられた方の遺族など関係者、大変な被害を受けていらっしゃるわけでございます。しかし、何にいたしましても、何人亡くなられたか、どういう状態がというのが全然ない。
 厚生省は、過去二回大きな調査をしていらっしゃる。昭和四十年と昭和五十年。四十年調査、五十年調査と言われるものでございます。被爆者の年齢もだんだんふえていっておる。五十年調査のときは、男五十四歳、女五十三歳、これは平均であります。高齢者はうんと多い。これから既に九年たっているわけでありますから、平均年齢というのは六十をはるかに超しておるであろうということが推定できるわけであります。一刻も早く、死没者も含む実態調査をもう一遍してもらいたい。来年の実態調査について、ことしは調査費を組んでいらっしゃいますから必ずおやりになるんでしょうけれども、一体どういう形でおやりになるのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
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大池眞澄#27
○大池政府委員 ただいま先生のお話にございました、四十年、五十年と実施いたしました全国規模におきます調査、これとの、いろいろなその後の推移を見るというような観点が重要であろうと存ずるわけでございまして、四十年、五十年調査の内容とよく照合できるようなそういった調査にしたい、かように考えておるわけでございます。
 それで主要な点は、健康面における調査、もう一つは生活面における調査というものを主軸にすべく、本年度その準備のための予算を確保いたしまして、専門家の意見など聴取しながらその調査の仕組みを検討していきたい、こういう状況にございます。
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森井忠良#28
○森井委員 その調査には死没者の調査も含まれますね。
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大池眞澄#29
○大池政府委員 まだ調査の内容は、これから検討を詰めていく段階でございますが、死没者の調査につきましては、非常に実行上、技術上の難しい点があるわけでございます。先生も御理解いただいておるかと思いますが、非常に過去にさかのぼっての記憶に頼る調査ということにならざるを得ない点でございますとか、あるいは遺族の方の範囲をどのように考えていくのか等、いろいろ調査の実施面で困難性が強いわけでございまして、現在のところ死没者調査というものは考慮に入っておりません。
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