日本国有鉄道改革に関する特別委員会

1986-10-09 衆議院 全210発言

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会議録情報#0
昭和六十一年十月九日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 細田 吉蔵君
  理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君
   理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君
   理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君
   理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君
   理事 河村  勝君
      甘利  明君    臼井日出男君
      小沢 辰男君    大島 理森君
      片岡 清一君    亀井 静香君
      亀井 善之君    久間 章生君
      古賀  誠君    古賀 正浩君
      桜井  新君    鈴木 宗男君
      関谷 勝嗣君    田中 直紀君
      武村 正義君    津島 雄二君
      中島  衛君    中村正三郎君
      野中 広務君    野呂田芳成君
      鳩山由紀夫君    原田  憲君
      平沼 赳夫君    松田 九郎君
      森田  一君    若林 正俊君
      上田 卓三君    小林 恒人君
      関山 信之君    戸田 菊雄君
      村山 富市君    山下八洲夫君
      浅井 美幸君    石田幸四郎君
      遠藤 和良君    大橋 敏雄君
      柴田  弘君    中村 正雄君
      工藤  晃君    中島 武敏君
      村上  弘君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        外 務 大 臣 倉成  正君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        厚 生 大 臣 斎藤 十朗君
        運 輸 大 臣 橋本龍太郎君
        労 働 大 臣 平井 卓志君
        自 治 大 臣 葉梨 信行君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (国土庁長官) 綿貫 民輔君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      近藤 鉄雄君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 稲村 利幸君
 出席政府委員
        内閣審議官   中島 眞二君
        内閣法制局第四
        部長      大出 峻郎君
        北海道開発庁計
        画監理官    大串 国弘君
        経済企画庁総合
        計画局長    及川 昭伍君
        環境庁大気保全
        局長      長谷川慧重君
        国土庁土地局長 田村 嘉朗君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        大蔵省主計局次
        長       角谷 正彦君
        厚生大臣官房審
        議官
        兼内閣審議官  佐々木喜之君
        運輸政務次官  柿澤 弘治君
        運輸大臣官房審
        議官      井山 嗣夫君
        運輸大臣官房国
        有鉄道再建総括
        審議官     林  淳司君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部長   丹羽  晟君
        運輸省運輸政策
        局長      棚橋  泰君
        運輸省地域交通
        局長      熊代  健君
        労働大臣官房審
        議官      佐藤 仁彦君
        労働省労政局長 小粥 義朗君
        建設省都市局長 北村廣太郎君
        自治大臣官房審
        議官      森  繁一君
        自治省行政局公
        務員部長    柳  克樹君
        自治省財政局長 矢野浩一郎君
        自治省税務局長 津田  正君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       杉浦 喬也君
        日本国有鉄道常
        務理事     前田喜代治君
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
        運輸委員会調査
        室長      荻生 敬一君
    ─────────────
委員の異動
十月九日
 辞任         補欠選任
  小沢 辰男君     田中 直紀君
  亀井 静香君     平沼 赳夫君
  長谷川 峻君     古賀 正浩君
  増岡 博之君     武村 正義君
  山村新治郎君     鳩山由紀夫君
同日
 辞任         補欠選任
  古賀 正浩君     長谷川 峻君
  田中 直紀君     小沢 辰男君
  武村 正義君     増岡 博之君
  鳩山由紀夫君     山村新治郎君
  平沼 赳夫君     亀井 静香君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 日本国有鉄道改革法案(内閣提出第一号)
 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案(内閣提出第二号)
 新幹線鉄道保有機構法案(内閣提出第三号)
 日本国有鉄道清算事業団法案(内閣提出第四号)
 日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案(内閣提出第五号)
 鉄道事業法案(内閣提出第六号)
 日本国有鉄道改革法等施行法案(内閣提出第七号)
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
 日本鉄道株式会社法案(伊藤茂君外八名提出、衆法第一号)
 日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案(伊藤茂君外八名提出、衆法第二号)
 日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案(伊藤茂君外八名提出、衆法第三号)
     ────◇─────
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細田吉藏#1
○細田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本国有鉄道改革法案、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案、新幹線鉄道保有機構法案、日本国有鉄道清算事業団法案、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案、鉄道事業法案、日本国有鉄道改革法等施行法案及び地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案並びに伊藤茂君外八名提出、日本鉄道株式会社法案、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案及び日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
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上田卓三#2
○上田(卓)委員 きのう、おとといと同僚議員から既に総括的な質問がなされておるわけでございます。そういう意味で、私は各論、とりわけ国鉄の長期債務を中心とする諸問題につきまして御質問を申し上げたい、このように思うわけであります。
 まず、国鉄再建につきましての特に六十年度の監査報告によりますと、長期債務は二十三兆五千六百十億円、こういうことのようでございます。そういうことから、膨大な長期債務とか、あるいは国鉄は破産状態である、こういう宣伝がなされておるわけでございますが、そもそもこの長期債務がなぜ発生したのか、こういうことが非常に大事ではないか、こういうように思っておるわけでございます。国鉄の監理委員会の答申では、この長期債務の原因について何らといいますか、十分に説明がなされていないように思うわけでございまして、そういう点で運輸大臣としてこの発生原因についてどのように考えておるのか、まずお答えいただきたい、このように思います。
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橋本龍太郎#3
○橋本国務大臣 今上田委員から御質問がありました長期債務、確かに数字は御指摘のとおりであります。そして、六十年度末の長期債務残高約二十三兆六千億円の中で、設備投資によるものが約十四兆五千億円、また償却前赤字に相当いたします運営資金の不足による長期債務残高が約九兆一千億円であります。この設備投資によるもののうちで約五兆円が減価償却費相当の取りかえ工事充当分でありますから、純粋の増強、改良工事等のための設備投資によるものは約九兆五千億円でございます。
 これらの長期債務の中で、設備投資によりますものは、私どもとしては輸送サービスの向上とかあるいは安全確保等それなりの役割を果たしてきたものだと考えておりますし、運営資金の不足によるものについては、経営効率化、重点化というものが的確に図り得る体制になかったということに起因すると考えております。
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上田卓三#4
○上田(卓)委員 大臣からもお答えのように、長期債務の多くの部分といいますか、約半数に近いものがいわゆる設備投資であるわけでありまして、新幹線の建設とかあるいは輸送力の増強など約十四兆円が相当するのじゃないか。しかし、その財源のほとんどが自前調達といいますか、特に借入金が十三兆六千二百億円ですか、全体の九〇%にも達しておる、こういうようなことのようでございまして、これは昭和三十六年から昭和五十九年の間にそれだけの債務がある、こういうことではないか、こういうように思うわけであります。
 そこで、例えば新幹線鉄道整備法の第十三条によりますと、建設資金の助成その他必要な措置を講ずることを国に求めておるわけでございまして、実際には守られていない、こう言ってもいいのではないか。例えば、ちなみに政府の出資、それから助成金、これは昭和四十六年から六十年度までにトータルいたしましても七千億円ほどしか出していないということになるわけでありまして、もう圧倒的部分が自前調達である、こういうことになるのではないか。そこで、新幹線整備などはある意味では採算性を度外視した設備投資がなされてきたというように思うわけでありますが、その理由はどういうものであったのか、どのように御理解でしょうか。
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橋本龍太郎#5
○橋本国務大臣 確かに、今御指摘ありましたように、この長期債務残高の内訳を考えてみますと、資金運用部及び簡易保険局からの借入金が棚上げ債務分を含めますと十二兆五千四百四十六億円、一般会計からの借入金が、これは財政再建借入金も含めますと三千三百八十億円、金融機関からの民間借り入れ五千八百五十一億円という状況にあることは事実であります。
 ただ、今上田委員の御指摘でありますが、例えば、確かに上越・東北新幹線、鉄建審で御審議をいただきますときのいわば目安として、半分を政府の出資という話があったようであります。この当時私は関係しておりませんから、あったようでありますという言い方をいたしますが、それが実際上出資という形ではなく、三・五%を超える部分についての利子補給という形で国はその助成を講じたわけでありますが、これは仮に七%の利率というものを仮定をいたしますとその出資の場合とほぼ同額に見合うということでありまして、必ずしも私は完全に国がその責任を持ってこなかったと言われる中身ではないと思います。
 ただ、今御指摘を受けましたけれども、新幹線等の設備投資というもの、これは投資採算性も考慮された上で輸送力の増強あるいは輸送サービスの向上、安全確保策等を通じて経営の改善に資する、寄与すると考えて行ってきたものでありますから、今申し上げましたように、政府としてはそれなりに所定の財政措置は講じてきたと考えております。ヤジ
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細田吉藏#6
○細田委員長 御静粛に願います。
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上田卓三#7
○上田(卓)委員 確かに、長期的に見れば採算性というものが大きな問題であろうと思いますが、ある程度そういう政治性というのですか、あるいは政策的というのですか、あるいは国民のニーズといいますか、要望というものも踏んまえて、あるいは経済に対する活性化というものもありましょう。そういうことから、当面は採算はとれない、しかし将来にそういうものがある程度トータルとして可能になってくる、こういうようなことではなかっただろうかと私は思っておるわけでありまして、例えば、これはお答えいただきたいのですけれども、東北新幹線、上越新幹線、何年ごろになれば大体採算がとれるのか、そういう見通しについてそれではお聞かせいただきたい、このように思います。
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林淳司#8
○林政府委員 ただいま先生の御質問は、東北・上越新幹線につきまして、建設当時どういう見通しをしていたかということかと思うのですが、これにつきましては、基本計画を策定した昭和四十六年当時でございますが、このころに一応の試算をしておりまして、東北・上越新幹線、いずれもこれは建設費の大体半額、二分の一程度の出資があるという前提での試算でございますけれども、東北新幹線につきましては、いわゆる償却後全体として収支がとれる時期というのは開業後六年、それから、これを仮に在来線と総合で収支を見た場合には、同じく開業後六年たてば採算がとれるだろう。それから上越につきましては、新幹線単独の場合で開業後八年、それから在来線との総合収支で見ますと開業後十一年というところで収支採算がとれるであろう、こういう想定をしておりました。
 これは二つ要素がございまして、一つは輸送量が当時の趨勢から見るとかなり増加するんじゃないかということでありまして、これが現在の実績に比べるとかなり多いという点が一つございます。それからもう一つは建設費でございますけれども、建設費も実際にかかった建設費に比べると、当時の物価水準からいってそれほど高騰するとは考えていなかったということで、建設費がかなり低目に見てあった。この二つの要素があるかと思いますが、その結果として実際には採算がとれる状況には現在なっていないということでございます。
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上田卓三#9
○上田(卓)委員 新幹線ができましても結局在来線が今度は収入が減るというようなことになるわけですから、そういう意味では新幹線と在来線トータルしていつごろにペイするのか、そういうことになるのじゃないかというように思うわけでありまして、新幹線の開業後でもトータルして十一年くらいかかるのじゃないかということでございますけれども、それが今日ではその見通しについてはどうなんですか。大体そのようにいっているのですか、いってないのですか。
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林淳司#10
○林政府委員 ただいま申し上げましたように、昭和四十六年の基本計画策定時におきましては、ただいま申し上げたような目標、予想というものをしておったわけでございますけれども、その後実際の輸送量が当時の見込みとは相当食い違っておるわけですね。当時の予想より輸送需要が大体半分程度以下というのが現状でございます。それから建設費も当時の予想に比べまして三倍以上というふうな状況でありまして、したがって当時の試算前提が相当狂っておりますので、現段階では、東北、上越というのは今のままの姿でいった場合にいつになれば採算がとれるかということについては、その見通しはなかなか難しいわけであります。そこで、今回のこの改革法案では、そこら辺のところもいろいろ勘案しまして、新幹線は一括保有で、いわゆるリース方式という方式をとって、全体として新しい会社の経営基盤の確立ということを考えたということでございます。
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上田卓三#11
○上田(卓)委員 運輸大臣、今のお話のように、当初在来線も含めて十一年ぐらいでペイするんじゃないかということが、今なかなかその後の社会的変化等も含めてその独算のめどがつかない、こういうようなことのようですね。私は大体そんなものだと思うのですね。だからそういう点で、ある程度長期的、と言ったってどの程度ということになるかわかりませんけれども、少なくとも五年とか十年という一つの見通しの中で何とか採算が合うんだというようなことであっても、これはなかなか難しい、こういうことになっておるわけでありますから、こういう部分というのは相当長期間というように我々考えなければならぬのではないか。そういう意味では短期的には利子補給も含めて相当な赤字になってくる、こういうことは明らかになっておるんじゃなかろうか。
 例えばもう一つ、青函トンネル、これも十五年で約六千億円ですね。実際完成しても、それを後どのように利用するのかというようなめどが立っていない、こういうこともありますね。
 それから本四架橋、これも非常に大事なことでありますけれども、しかしこれとても、これは鉄道が通るわけじゃないんでしょう。通りますか。(橋本国務大臣「備讃線が通ります」と呼ぶ)ああ将来。そういう点で、この本四架橋というものを一つとりましても、直接国鉄というものと一体どこまで関連性があるのか、こういうことにならざるを得ないし、いわんやこの採算性ということになれば一体どうなるのかということで、これ自身も非常に大きな問題があるのではないか、こういうように思っておるわけであります。
 あるいは大都市圏の輸送力の整備とか、あるいはその中でも東海道線とか総武快速とか京葉線など一つ見ましても、それらが採算に乗る部分もあるし乗らない部分もあるわけでありますが、現在の東海道新幹線、非常にドル箱的でありますが、しかしこれ自身もやはり開業まで相当な期間が要ったし、また開業後どの程度で採算がとれたのかということに、一番いいところでも相当無理をしているということになるのではないか、私はこういうように思うわけであります。
 こういう点については、例えば昭和三十七年三月二十八日でありますけれども、きのう、おとといですか、ある委員からもお話があったようでございますけれども、当時の鉄道建設審議会での小委員長をされておりました田中角榮先生がこういう発言をしておりますね。「採算のとれないところの投資をしてはならないということは間違いと思う。鉄道の制度の考え方でペイするとかしないとか考えていたら、鉄道の持つ本当の意義は失われると思う。私は、鉄道はやむを得ないことであるならば、赤字を出してもよいと考えている。」私はこれは全く正しい意見だと思っておるわけでありますが、この点について運輸大臣はどのようにお考えでしょうか。
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橋本龍太郎#12
○橋本国務大臣 今御指摘になりました事項のうちで確かに青函トンネル、これはたしか四十六年四月に基本計画が決定されました当時、青函連絡船の客貨輸送量が非常に着実に増加をし続けていた。また、慢性的な輸送力不足であり、しかもその輸送の安全性、安定性を確保する必要性があるということから、まさにナショナルプロジェクトとしてスタートをした。そのために、調べてみますと、まさにナショナルプロジェクトとして、しかも本州と北海道を一体化するといった意義等をも込めて着工が決められておりまして、収支試算というようなもので確定したものが実はないようであります。これはその時点においても相当な助成措置をしなければ収支の均衡は難しいという予測がされていたようでありまして、その点をとらえて考えれば、私は上田委員の御指摘が必ずしも不当であるとは思いません。国鉄というものが確かに従来まさに公共輸送の中心をなし、全国的な輸送の中核をなしておりました時期においては、私は御引用になりましたような田中先生の御意見等も当然成立し得るものであったと思います。
 しかし、今日、全く国民の交通に対する依存度、かつ交通機関別の依存度というものが変わってきている状況の中で、私はこれから先も国鉄を含めて鉄道輸送に採算を度外視した公共性を求めるということはいかがなものであろうか、むしろやはり設備投資につきましても、効率的な経営形態のもとで採算に配慮しながら国民のニーズに適合した投資をしていくことの方が真に利用者の利便になるものではなかろうかと考えております。
 これは大変恐縮な話でありますけれども、実は私自身が運輸行政というものに全く十分な知識を有しないままに運輸大臣を拝命して、その中でさまざまなデータを見てまいりました。そういたしますと、その中で本当にある意味では地域の特性というものが交通機関依存度においても大変差異がある。また同時に、鉄道輸送というものがまさに国民のニーズとして求められているものは、大都市圏における通勤通学を中心とした輸送、また自動車の移動では遠過ぎる、航空機を利用するには近いという、いわば中距離の移動、こうしたところに大変国民の鉄道というものに対しての希望がかかってきておる。こういう状況を見ますと、私どもは、新たに民営化していくべき性格を持つ国鉄、現在の国鉄、それが将来におきまして、やはり他の交通機関が持つと同様の公共性はもちろん必要でありますけれども、それを超える公共性の負担を求めるということは将来には合わないのではなかろうか、そんな感じがいたしております。
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上田卓三#13
○上田(卓)委員 鉄道がやむを得ないものであれば、必要であれば赤字を出してもいい、当時はよかったんだけれども、今はそうはいかないんだというようなお話のようですね、一つは。その中身からいうと、やはり国鉄は今後は採算性を考えていくべきだ、こういうことのようですが、私も国鉄というものは一つの企業体でありますからそうあっていいと思うのですね。
 しかし、そういう国鉄の意図というものを度外視して、先ほど私が申し上げたように、国鉄の長期債務と言われる中の半分に近いそういう債務、設備投資、そういうものの多くが政治的な、我田引水ということもありますが、政治路線というようなことも言葉としてもあるわけですが、そういう政治的なものとか、あるいは政策的なものとか、あるいは公共性というのですか、どうしても国民の要望が強いという場合は、これは国として責任を持ってその部分についてはフォローしていく、赤字でもそのことを公共性という立場からフォローしていくのが国の立場じゃなかったのですか。そして、そういう立場で今まで赤字覚悟で国鉄にある程度採算を度外視してやりなさい、政府が責任を持ちましょうということで積もってきたこの長期債務が今日になっているんじゃないのですか。大臣、ひとつその点をお答えいただきたいと思うのです。
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橋本龍太郎#14
○橋本国務大臣 私は、採算を度外視して赤字を覚悟で何でもかんでもやりなさい、全部政府が責任を持ってあげますというようなことではなかったと思います。むしろそういう形をとらずに、やはり経営の健全化が図られるべきであるという前提というものは私は従来からあったと思うのです。そしてそれぞれの時期において、先ほどお話がありました、例えば新幹線の敷設を決めた時点においても、あるいは青函トンネル、これは先ほど申し上げたように特殊な事情がございます。しかし、例えば本四架橋の中で鉄道を載せることになっております備讃線の計画にいたしましても、それぞれにおいてその時点においては、やはり将来において黒字に転じ、経営を悪化させないで済むというそのバランスはとっておったものと考えておりまして、赤字でいいからどんどんやれ、そういう性格のものではないと思います。
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上田卓三#15
○上田(卓)委員 確かに、国鉄に対して、赤字になってもどんどんやれ、政府が面倒見てやろう、そういうような、私ちょっと言い過ぎたかもわかりませんが、私はそういう意味で言ったのじゃなしに、やはりある程度採算性を度外視してでも国民の要望あるいは諸般の事情からするべきものはする、赤字を出してもするということは、今までも正しかったし、今後もそうすべきだと私は思っていますよ。必要なら赤字を出してもする。そのために政府というのはあるんだから。非常に財政難であるという一つの前提がありながらも、にもかかわらず国民の要望なりを、あるいは政策的な立場でそれをどう実現していくかということは、私は今後も追求されなければならない課題だ、こういうように思っているのです。
 そこで、例えばそういう立場から上越新幹線とか東北新幹線がある程度、十一年ぐらいたてば採算をとるようにということでやったけれども、実際いまだにそれが見通しが立たないというようなこと一つ見てもそうだし、青函トンネルもそうなんですね。これからやろうとする整備新幹線も、果たしてそういう意味でどこまで採算の見通しがあってこれから計画しようとするのか、これについても私は未知数じゃないかと思うのですね。しかし、必要ならやろう、やろうじゃないか、何ぼでも政府が見てやろうということじゃないにしても、ある程度必要ならやろうという路線がそのまま踏襲されているんじゃないですか。その点どうですか。
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橋本龍太郎#16
○橋本国務大臣 今整備新幹線にお触れになりましたけれども、整備新幹線につきましては、今検討委員会でそれこそ収支のバランスから、あるいは財源から、将来影響等々を勘案して結論を出すということで検討が進められております。しかしこれも、全く赤字になり、あるいは地域の交通体系がそれによって大きく影響を受けるような形で検討委員会の結論が出されるとは私は考えておりません。
 同時に、これは上田委員、大変恐縮でありますけれども、ちょっと私は数字を申し上げさせていただきたいのです。
 実は、確かに敗戦後、私は敗戦のとき小学校の二年生でありますけれども、敗戦後の混乱期において国鉄が国民生活の維持向上のために果たした役割というものは極めて大きかったと思います。そして、その当時においてはまさに国鉄というものは国民の動脈であり、本当に大きな役割を果たしてきたと私は思います。しかし、その後、一方では自動車交通というものがどんどん伸びてきた、道路も改良されてきた、また、最近特に航空輸送が人的輸送、貨物の一部を含めまして非常に伸びてきた、そういう中で鉄道の果たす役割というものは変わってきたと思うのですね。そして、その変わりつつある交通体系の中で従来と同じ考え方で国鉄を考えていったら、また鉄道を考えていったら、これは狂いがくると私は思うのです。現に今鉄道輸送に対して一番国民の要望の強いのは、実は五百キロから七百五十キロの移動であります。次に高いのは三百キロから五百キロの移動であります。千キロを超えればもう完全に航空機の輸送量がふえる。百キロから三百キロの間の移動は自動車が圧倒的なシェアを占めている。そうしますと、私は先ほど申し上げたように、都市圏における通勤通学輸送あるいは中距離都市間の輸送、こういうものが中軸になる鉄道というものを頭に描く限り、従来の国鉄に求めたと同じイメージを今後とも鉄道に求めるというには無理がありはしないか、私も率直に申し上げるとそういう感じがするのです。
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上田卓三#17
○上田(卓)委員 それは大臣、私も同感ですよ。確かにそうですよ。昔のように鉄道に依存するというよりも、こうやってモータリゼーション化といいますか、マイカー時代あるいはトラック輸送というものも非常に進んでいますね、今までは貨車で利用しておったものがトラック輸送ということで。当然幹線道路とか高速道路とかあるいは都市部では環状線とか、どんどん整備しておるわけですから。また、当然空も海も整備されておるわけですから、鉄道に依存する部分が減ってきていることは事実ですよ、客観的に。そういうように政策をしているのですから、国の方が。やりながら、なおかつ国鉄に、嫌がる国鉄とは私言いませんよ。しかし、政府のあるいは議会筋の圧力で、圧力と言えば語弊がありますけれども、国鉄に過大な任務を今まで押しつけてきたのじゃないですか。そして破産状態になったということで、けしからぬ、どうなんだ。国鉄に押しつけるのは押しつけておいて、当然私は、国鉄の当局は労使ともに、それは一つの事業体としてやはりある程度採算性というものがなければ、そんな何ぼ何でも、国の方が赤字は見てやるから何ぼでもせいと言うたって、ちょっと待ってください、我々はやはり一つの組織だからといって、私はそれだけのセーブというのですか、そういう自覚というものがあったと思うのですよ。にもかかわらず、政府の後押しというのですか、口はうまいことを言うのだけれども、実際金は出さぬということで、困り果てているのが国鉄の実際の姿であると思うのです。
 そういうふうに、鉄道輸送というものがかつてのようなものじゃなしに、だんだんだんだんシェアが狭くなっているにもかかわらず、なおかつ新幹線がどうだとか、これから整備新幹線がどうだとか、本四架橋がどうだとか、そういうような形で実際押しつけてきた交通政策全体の、そういう意味で私は国の責任だと言わざるを得ないと思うのです。だから、これを国鉄の責任というよりも、そういう現在の国鉄の状況に持ってきたというのは、これはひとえに政府の責任、あるいは国会の責任もあるというふうに考えざるを得ない、こういうふうに思っているのです。その点はひとつ大臣、お言葉ですけれども、大臣のお言葉は全部あなたにお返ししなければならぬ状況にあるのではないか、こういうふうに思っております。総理大臣、いかがでしょうか、この意見について。
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橋本龍太郎#18
○橋本国務大臣 今の御指摘を私は決して否定をいたしません。ただ、そういう状況を招いた原因が、今せっかくの委員の御意見でありますから、私はそれは甘んじてちょうだいをいたします。ただそういう、あるいは政府も責任があるかもしれません、国会も責任があるかもしれません。そうした圧力といいますか、あるいは影響を国鉄が排除し得なかった原因は何だといえば、実はここに公社制というものの持つ限界があった、私どもはそう思っております。
 だからこそ、民営というものが必要ではないか。そして、その地域性を今度考えていけば、やはり分割というものも、旅客の場合には、それぞれの地域内完結度に応じて適正規模に分割をした方がいいのではないかという考え方を出してきたわけでありまして、まさに今ちょうだいをした御批判は甘んじて受けますが、それが私どもが民営が必要であると考えたポイントでもある。その辺は御理解をいただきたいと思うのです。
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中曽根康弘#19
○中曽根内閣総理大臣 国鉄の使命という中には公共性が非常にあるということでありました。そこで、国土の均衡ある発展、そういうような考えもありまして、青函トンネルをやるとか本四架橋をやるとか、そういう思想でやったので、それはそれなりに私は意味があったと思うのであります。
 しかしその後、高度経済成長以来大きく変化しまして、競争路線が出てきた、あるいは競争業種というものが出てきた。そうすると事態は非常に変わって、ほかに輸送手段がないという状況ではない。あるいは飛行機を使い、あるいは道路を使うという形になって、輸送体系が激変してまいりました。そういう点から見ましても、もはや今までの国鉄と性格が違ってきて、民間会社と競争しなければ生きていけないという形になってきて、それがサービスとかその他の面にもまた影響もしてきました。そういう大きな時代の変化というものの新しい観点に立って、やはり根本的改革をやる時期が来た。そういう面も一面においてある、そう私は思うのであります。
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上田卓三#20
○上田(卓)委員 だからすぐ民営だ、公社制が問題だ、こういうようなことで飛躍があるようですが、これについてはさらに詰めていきたい、このように思っております。
 一つは、そういう長期債務の中での過大な設備投資、これも必要悪として当然必要だから今までやってきた、こういうことの結果だろうというように思います。
 それから年金制度も含めてですが、国鉄のいわく因縁といいますか歴史性というのですか、そういうものも大臣もちょっとおっしゃられたと思うのですが、そういう意味で、例えば国鉄共済年金の追加費用の累計ですが、これは五十一年から昭和六十年の十年間で三兆八千三百億円にも達しておるわけであります。
 もともと国鉄というのは、大臣もおっしゃられたように、戦後海外からの引揚者の雇用対策というのですか、失業対策という言い方がいいのかどうか別として、雇用対策として戦後の経済復興のために相当な貢献を果たしてきたということも、これまた私、事実ではないかというふうに思うのですね。それが今日の年金の危機を招く、こういうことになってくるわけでありますけれども、例えば昭和五十年のときにはこの年金の追加費用が八百八億円あったのですね。それがずっと積もり積もって、六十年度だけを見ますと四千五百八十一億円、こういうことになっておるわけであります。
 そういう点で、年金の問題一つ見ても、これは国鉄の責任というよりも国策としてそういう雇用対策、引揚者に対する対策という立場から、国鉄に国が押しつけたというのですか、国鉄がそれを引き受けたということの結果が、今ツケとして多くかぶさってきているという面が一つありますね。
 それから、それに関連してでありますが、その中身として例えばこういう問題がありますね、軍人恩給。国鉄職員で召集を受け軍人として兵役に従った人は、その期間が軍人恩給期間として通算される。その軍人恩給は約十七万人分。八二年度だけで十七万人分がある。
 それから恩給負担金。これも、鉄道省として国の事業であったとき任官し退職した官吏の恩給を、公社になった後も負担している。これが百三十四億円ありますね。
 それから共済年金に通算される恩給。国鉄共済が発足して以降退職した人で、恩給期間と共済期間を合計して資格を得、通計して年金を受ける人の恩給分、これが約十四万人分、九百五十五億円。いずれも八二年度の分でございますけれども。
 それから、官吏として任官する以前の人の年金ですね。これは鉄道省時代年金制度があったのだけれども、その年金が二千八十九億円ですね。
 それから、外国特殊法人に勤めた人への恩給相当分。南満州鉄道、華北鉄道などに勤めた人に対して、恩給と同じように給付が行われた。その恩給相当分が約一万人分、二十二億円。
 こういうような部分で、本来戦後の国鉄とは関係のない、戦前、戦時中のそういう戦争体制の中での、敗戦処理というような状況の中でなされたものもここに含まれておるわけでありますが、この点について、厚生大臣もお見えでございますので、運輸大臣も含めてこういう点についてどう考えておられるのか、お答えいただきたい、このように思います。
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橋本龍太郎#21
○橋本国務大臣 個別に挙げられた数字は、いずれも正しいものであろうと思います。私、ちょっと正確な数字を覚えておりません。ただ、旧令恩給法を引き継ぐことによって、国鉄共済に非常に大きな影響が出た事実は否定しがたいものと思います。
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斎藤十朗#22
○斎藤国務大臣 国鉄共済年金問題につきましては、御承知いただいておりますように、ただいま国鉄年金問題に関する閣僚懇談会を持ちまして、昨年の十一月政府統一見解をお示しをいたしました中におきます、昭和六十四年までの間について「国鉄の経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」こうなっておるわけでございますが、主に当面する六十四年度までの分について現在検討をいたしておるところでございます。また、六十五年度以降のことにつきましては、この検討の後に速やかに六十五年度以降の問題について検討に入ってまいりたいと考えておりますので、残念ながらただいま直ちにどのようになっていくかということを具体的に申し上げることはできないわけでございます。
 同時にまた一方、年金の将来、昭和七十年をめどといたしまして一元化をいたしてまいろうということを考えておるわけでありまして、そういう中で年金制度全体の改革に取り組み、御承知のように基礎年金構想というものを実現をいたしたわけでありますが、いわゆる俗に言う二階建て部分、報酬比例部分等についても今後見てまいらなければならないわけでありますが、これまでの各年金制度の歴史的な沿革等によりまして、それぞれ負担や給付にばらつきもあるわけであります。そういったばらつきなども調整をいたす中で一元化へ向けて検討を進めてまいる、そういう中で国鉄の問題も当然入ってまいることである。いずれにいたしましても、国鉄共済の年金支給が確保されるように努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
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上田卓三#23
○上田(卓)委員 国鉄の共済年金についてもやはりこういう大変な状況になっておるわけでありますが、そのいわく因縁は先ほど申し上げたようなそういう歴史性から来ておるわけでありますから、十分にひとつ対処をしてもらいたい、こういうように思っておるわけであります。そういう意味で、やはり国鉄の長期債務と言われるものが、過剰とは言いませんが、国鉄の荷には重いような設備投資といいますか、そういうものがあったり、あるいは戦後の引揚者に対する戦後復興での役割、そういう国鉄が多くの人を雇用対策で抱えたこともこれありということも考えていただいたのではなかろうか、こういうように思っておるわけであります。
 そこで、冒頭の話になるわけでございますが、長期債務の、累積債務の責任は、私は国鉄というよりも、やはり原因を掘り下げてみるならば政府に多くの責任はあったということがわかっていただけるんじゃないか。押しつけがましい言い方になるかもわかりませんけれども、どうも大臣の話あるいは総理大臣の話を聞くと、政府も責任あるが国鉄にあるんだ、その国鉄の公社制度に問題があるんだ、もう諸悪の根源はそこにあると言わんばかりのそういう言い方というのはどうもいただけない、もっと謙虚に政府の責任というものを痛感してもらう必要があるのではないか、そうしてどうするかということがやはり議論にならなければならぬ、こういうように思います。
 そこで、昭和五十八年の国鉄監査報告というのがあるわけでありますが、その中での長期債務問題についてのくだりでありますが、「その大部分が国鉄の企業採算を超える構造的問題であり、国鉄自身の努力のみでは到底解決し難いものである。」と正しく指摘しているわけですね、私が先ほどから言っていることはこのことを言っているわけですが。ところが、国鉄再建監理委員会の答申の中身を、その部分のくだりを読みますと、「国鉄の経営が悪化した最大の原因は、公社という自主性の欠如した制度の下で全国一元の巨大組織として運営されている現行経常形態そのものに内在するという認識に到達した。」もうまるっきり違いますね、これは。片方は、監査報告によると、「国鉄自身の努力のみでは到底解決し難い」云々ということになっておるのですね。監理委員会ではこれはもう公社制度、そういう経営形態に根本的な、国鉄そのものにあるんだ、こう言っているのですけれども、この矛盾をどのようにお受けとめされていますか。
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橋本龍太郎#24
○橋本国務大臣 これは決して私、理屈をこね回すつもりはありませんけれども、設備投資による累積債務の構造のみを強調されましたけれども、私は先ほど運転資金不足による、通常で言えば償却前赤字に相当するもの、これも申し上げておることは一回ここで確認をいたします。
 そこで、私は、再建監理委員会の結論と監査報告に打ち出している問題、本質的には同じことではなかろうかと思います。国鉄という組織の存続の中で、継続する中で、それこそ監査委員会は仕事をしてこられた。そしてその中で、国鉄という公社組織の中ではとても解決できない問題であるということを言われている。監理委員会は、まさにそれが経営形態そのものであるというところまで掘り下げられた。本質的には同じ問題点を指摘しておられる。ただ、その監査報告の中では監査委員会というものの性格からして、では国鉄の経営形態をどう改めるかとか、そういうことまではお触れになっておらないということでありまして、指摘されている問題は延長線上のものと私は理解をいたします。
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上田卓三#25
○上田(卓)委員 それじゃあれですか、同じ中身ではないか、矛盾していないという、延長線上というような考え方ですけれども、これはどうも常識的に見ても理解できないと思うのですよ。国鉄の監査報告では、「国鉄の企業採算を超える構造的問題であり、国鉄自身の努力のみでは到底解決し難いものである。」こういうことですね。それはやはり長期債務のことを述べておるわけですね。それで、こういう状況で国鉄自身では解決できない問題だ、こう言っているわけですから、国鉄の公社制を変えたら云々というものと全然問題は別だと思うのですよ。そんなこと何も言ってないんだから。そうでしょう。ところが、それを何か国鉄の公社制度を変えればそのものが全部解決するような言い方というのは私はいただけない、こういうように思うのです。
 ちなみに、鉄道事業というものを例えば外国なんかではどうしているかということになるわけです。私は、前国会でも大蔵委員会で質問をたしかさせていただいた記憶があるのですけれども、フランスとかイタリアとか、鉄道の歴史の長いものがあるわけですけれども、外国ではどういうことになっていますか。こういう国有鉄道の長期債務にかかわって国の援助というのですか、そういうものは相当日本と違うように我々の資料ではあるのですが、どうですか。
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林淳司#26
○林政府委員 ヨーロッパ諸国でも、国によってやり方がいろいろ違うわけでございますけれども、例えばドイツあたりは、かつては単年度、毎年出た赤字を二年おくれで国がこれを補てんするというやり方をとってきたわけです。ただ、最近に至りましては、その赤字補てんがやはり国家財政上非常に難しいという状況になってまいりまして、資産を売却したり、あるいはとりあえず借入金でしのぐというふうなやり方に最近は変わってきておるということであります。
 それから、例えばイギリスなんかの場合でありますと、これは日本と違いまして、イギリスの場合は特定の都市交通で非常に赤字が出るものですから、その都市交通については国なり地方団体というものがそれなりの補償をしていくという形をとるということと、それからイギリス国鉄全体についての赤字については、これは国の方が一定の補助の限界を設けまして、その限度内でおさめてもらうという、そういうノルマといいますか、そういうものを国鉄の方に課しておる。そういうふうなやり方をとっておるということで、国によっていろいろやり方が違うわけでございます。
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上田卓三#27
○上田(卓)委員 私の手元の資料では、一九八四年、西ドイツでは運輸収入が一兆五千億、それに対して国の補償金ですね、二年目に一年ずつ補償するということのようですが、八千億円の補償金を出していますね。これは全体の五三%が国の補償金。だから、公共性を国鉄に求めておるわけですから、やはり鉄道は独立採算、採算を頭に入れる。しかし、採算を度外視した部分を公共性という形で国有鉄道が引き受けているわけですから、その赤の部分を国が補償金という形で毎年単年度決算で国鉄会計に繰り入れるということで、西ドイツでは八千億円、五三%。それから、フランスは一兆一千六百億円、国の補償金は六千三百億円、五四%国が補償しているのですね。
 ところが我が国の場合は、一九八六年、ことしでありますけれども、三兆二千億円の運輸収入があるようでございます。それに対して補償金は何と三千七百億円、たったの一二%しか国が見てない、こういうことになるわけですね。こういうことを一つ見ても、他のヨーロッパ諸国に比べて相当なやはり過重負担というのですか、先行投資的なものを設備投資で押しつけておりながら、その赤字部分、公共部分に充当する部分が非常に日本政府の持ち出しが少ないというところに大きな問題があるんじゃないか、私はこういうように思っておるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えですか、大臣。
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橋本龍太郎#28
○橋本国務大臣 私は、実は単純にその数字の比較はできないのではないかと思います。それぞれの国の交通特性、地域の実情、さらにその国民の個別交通機関への依存度、これは全く違うわけでありますから、一概な対比は私は難しいと思います。
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上田卓三#29
○上田(卓)委員 確かにそうでしょう。やはり日本の事情というものもあるわけですからね。だから、ある日突然、これだけのたくさんな長期債務ができたわけじゃないのでしょう。やはり十数年にわたってずっと積み重ねてきたんだから、もっと早くなぜ国の方がこういう破産状況に——私はまだ破産状況だとは思ってないのですよ、後から申し上げますが。しかし、あなた方は破産状況だとおっしゃっておるわけですから、それじゃ破産状況であるとするならば、なぜここまでほってきたのか、今までなぜもっと国が手厚い援助をしてこなかったのか、そこに政府の責任というものをやはり追及せざるを得ない、私はこういうように思うのですが、総理大臣どうですか。
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