法務委員会

1992-12-08 衆議院 全295発言

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会議録情報#0
平成四年十二月八日(火曜日)
    午前九時五十一分開議
出席委員
  委員長 浜田卓二郎君
   理事 鈴木 俊一君 理事 田辺 広雄君
   理事 星野 行男君 理事 小森 龍邦君
   理事 鈴木喜久子君 理事 冬柴 鐵三君
      愛知 和男君    石原慎太郎君
      坂本三十次君    小澤 克介君
      沢田  広君    仙谷 由人君
      谷村 啓介君    松原 脩雄君
      倉田 栄喜君    中村  巖君
      木島日出夫君    中野 寛成君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田原  隆君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 濱崎 恭生君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省人権擁護
        局長      筧  康生君
        法務省入国管理
        局長      高橋 雅二君
        自治大臣官房審
        議官      佐野 徹治君
 委員外の出席者
        衆議院法制局第
        一部長     内田 正文君
        外務省中近東ア
        フリカ局アフリ
        カ第二課長   山口 壽男君
        大蔵大臣官房企
        画官      細見  真君
        厚生省健康政策
        局指導課長   今田 寛睦君
        水産庁振興部沿
        岸課長     本田  進君
        通商産業省立地
        公害局立地政策
        課地域活性化企
        画官      野口 泰彦君
        海上保安庁警備
        救難部管理課長 赤石 憲二君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       大竹 邦実君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  島田 仁郎君
        法務委員会調査
        室長      平本 喜祿君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月八日
 辞任         補欠選任
  熊谷  弘君     石原慎太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     熊谷  弘君
    ―――――――――――――
十二月二日
 選択的夫婦別姓制度法制化の早期実現に関する
請願(藤田スミ君紹介)(第一四二四号)
 夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸
籍法の改正に関する請願外三件(伊藤英成君紹介
)(第一四二五号)
 同(池田元久君紹介)(第一四二六号)
 同(池端清一君紹介)(第一四二七号)
 同(遠藤乙彦君紹介)(第一四二八号)
 同(大野由利子君紹介)(第一四二九号)
 同(長田武士君紹介)(第一四三〇号)
 同(加藤万吉君紹介)(第一四三一号)
 同外六件(鍛冶清君紹介)(第一四三二号)
 同(貴志八郎君紹介)(第一四三三号)
 同(小岩井清君紹介)(第一四三四号)
 同(小谷輝二君紹介)(第一四三五号)
 同(権藤恒夫君紹介)(第一四三六号)
 同外四件(仙谷由人君紹介)(第一四三七号)
 同(田川誠一君紹介)(第一四三八号)
 同(玉城栄一君紹介)(第一四三九号)
 同外一件(鳥居一雄君紹介)(第一四四〇号)
 同(中野寛成君紹介)(第一四四一号)
 同(西中清君紹介)(第一四四二号)
 同(日笠勝之君紹介)(第一四四三号)
 同(東中光雄君紹介)(第一四四四号)
 同(平田米男君紹介)(第一四四五号)
 同(伏屋修治君紹介)(第一四四六号)
 同外九件(二見伸明君紹介)(第一四四七号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一四四八号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第一四四九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一四五〇号)
 同(吉井光照君紹介)(第一四五一号)
 同(川端達夫君紹介)(第一四五二号)
 同外五件(米沢隆君紹介)(第一四五三号)
 非嫡出子差別を撤廃する民法等の改正に関する
 請願(宇都宮真由美君紹介)(第一四五四号)
 同(江田五月君紹介)(第一四五五号)
 同(大野由利子君紹介)(第一四五六号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第一四五七号)
 同(菅直人君紹介)(第一四五八号)
 同(北側一雄君紹介)(第一四五九号)
 同(小岩井清君紹介)(第一四六〇号)
 同(菅野悦子君紹介)(第一四六一号)
 同外九件(仙谷由人君紹介)(第一四六二号)
 消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
 る請願(網岡雄君紹介)(第一四六三号)
 同(井上一成君紹介)(第一四六四号)
 同(池端清一君紹介)(第一四六五号)
 同(上原康助君紹介)(第一四六六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第一四六七号)
 同(小澤克介君紹介)(第一四六八号)
 同外一件(小岩井清君紹介)(第一四六九号)
 同(佐藤恒晴君紹介)(第一四七〇号)
 同(鈴木久君紹介)(第一四七一号)
 同(関山信之君紹介)(第一四七二号)
 同(竹内猛君紹介)(第一四七三号)
 同(玉城栄一君紹介)(第一四七四号)
 同外一件(筒井信隆君紹介)(第一四七五号)
 同(土肥隆一君紹介)(第一四七六号)
 同(時崎雄司君紹介)(第一四七七号)
 同外一件(西中清君紹介)(第一四七八号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一四七九号)
 同(目黒吉之助君紹介)(第一四八〇号)
 同(吉田正雄君紹介)(第一四八一号)
 同(川端達夫君紹介)(第一四八二号)
 同(永末英一君紹介)(第一四八三号)
 死刑執行停止に関する請願(江田五月君紹介)
 (第一四八四号)
 同(大野由利子君紹介)(第一四八五号)
 同(長田武士君紹介)(第一四八六号)
 同(倉田栄喜君紹介)(第一四八七号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一四八八号)
 同(二見伸明君紹介)(第一四八九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十二月二日
 法務局職員の増員に関する陳情書
(第
二七号)
 治安維持法犠牲者国家賠償法の制定に関する陳
情書外一件
(第二八号)
 国家賠償法の改正に関する陳情書
(第二九
号)
 刑事施設法案等の廃案に関する陳情書
(第三〇
号)
 製造物責任法の早期制定に関する陳情書
(第三一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、国内
治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
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浜田卓二郎#1
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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浜田卓二郎#2
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ————◇—————
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浜田卓二郎#3
○浜田委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田辺広雄君。
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田辺広雄#4
○田辺(広)委員 おはようございます。自民党の田辺広雄でございます。
 早速、お許しをいただきまして、いろいろ東京佐川急便の問題につきまして御質問を申し上げます。もう既にそれぞれの予算委員会等々、また昨日は竹下登元首相の参議院における証人喚問など引き続いて行われましたので、やや質問が重複する点もあろうと思いますが、まずもってお許しをいただきたいと思います。
 今申し上げましたように、東京佐川急便、九百五十二億円に達する渡邉廣康元社長に対する特別背任による告訴に端を発しまして、金丸信氏への五億円の献金が明らかになり、そして再三にわたる検察当局による事情聴取にも応じないで、上申書により政治資金規正法の量的規制違反により罰金が二十万円で結審をいたしました。その後、竹下内閣成立のときにおける褒め殺しの問題、それをまたとめようとするために暴力団を利用して褒め殺しが終わった。その後、稲本氏の代理人大島氏の供述調書に七人の国会議員の名が一般公開をされました。裏づけのとれていない人々の名まで発表されたことによりまして、その検事調書に対する多くの議論が続出をしております。
 ある新聞社の世論調査によりますと、佐川急便の巨額献金問題についてこれが問題だというのをそれぞれ皆さん方から意見を聞きましたところが、一番多いのが罰金二十万円での決着、これが問題五七%、二番目には暴力団の関与五三%、三番目には五億円の行方がうやむやであるというのが三六%、四番目が上申書で略式起訴三四%で、それぞれ上位を占めていると書かれておりました。
 このような本件の流れの中から、当初段階、捜査段階におけるリークへの疑い、略式結審による検察への不信、日本の総理が暴力団の力をかりて成立した、でき上がった、自民党事件による供述調書により裏づけのない国会議員の氏名が発表され、それぞれの人々の名を傷つけたということとなり、五億円の行方はいまだに不明であります。
 今回の事件で言えますことは、国民一般の考えている罪に対する刑罰と法の決定とが余りにも食い違っている。端的に言えば、五億円の献金を行って、一度も調べられないで上申書を出すことによって二十万円の罰金が決まった、そういう罪、刑罰に対する憤りというものが大きいと私は思います。
 二番目には、リークを初めとするマスコミの情報過多、及び札幌高検検事長の新聞社に対する投書にもありましたように、検察官が格別の理由もないのに、国民の知りたいそして聞きたいと思っていることについて尋問をしないのは重大な任務背反になると指摘されております。しかし、一方においては、他の新聞を見ますと、刑事訴訟法で五十万円までの罰金を取る場合には被疑者の異議がなければ書面でもってそれは終わるとも言われております。
 こういうようないろいろな情報の中から、一般の国民の皆さん方は真実は何かということがつかみ得なかった。そして、多くのマスコミの毎日の情報というものがいよいよこの事件をわからなくしていきました。同時に、考えておりました事件以上に大きな事件を期待し、そしてそれが検事への期待となってあらわれてきた。そういう中から、先回根來事務次官の文芸春秋への投稿、またテレビなどでも元検事総長とかいろいろな人々が出て発言をされております。したがって、国民は、この問題については非常に内容が不明瞭である、混乱をしておるということをまず思ってみえるであろうと思います。
 三番目には、世論に追い回されて態度を右往左往させる検事への不信が政治不信へと増幅して国民の理解が得られなくなってしまった、そこから発生する怒りであります。私どもは、国民の前に法は平等であると言いながらも、法の理解者以外の一般の国民がこの事件を理解しようとしましてもなかなか理解ができない。私自身がそうなんです。「五億もらって二十万」がわかりにくい。しかし、聞けばなるほどとわかりますが、わかったころにはそれ以上にその法のあり方について憤りを感じてきて、それが各県会また地方自治体の多くの方々の意見書となってあらわれてくる、または二万何千人の方々がそれぞれこの問題について告訴をするというような事態に発展をしてきたと私は思います。
 そこで、まず第一には、東京佐川急便事件のこれまでの捜査の処理状況の概要についてお尋ねをいたしたいと思います。
 背任額が九百五十二億円に達する本件は、これまでに検察が訴追した同種事件に比べてその規模や悪質性においては群を抜いておる事案と思われますが、その特徴や捜査の困難性等についてお聞かせをいただきたいと思います。
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濱邦久#5
○濱政府委員 お答えいたします。
 今委員るる御指摘いただきましたように、今回のいわゆる東京佐川急便事件の捜査処理に関しましては、いろいろな御意見がある中で、検察に対しましてもいろいろな御批判があるのはもちろん承知しております。ただ、この御批判、御意見の中には、検察の使命に対する誤解あるいは法律手続についての誤解等が原因になって御批判が行われているといたしますと、そういう誤解はこれを解くように私ども努力をしなければならないというふうに思っているわけでございます。
 それはそれといたしまして、今委員からお尋ねのございましたいわゆる東京佐川急便事件につきましては、昨年八月に東京佐川急便株式会社の渡邉廣康元社長らに対する特別背任罪の告訴を受けまして、以後、本年三月から六月にかけて渡邉元社長ほか三名の特別背任罪等により公判請求したほか、九月二十八日には金子前新潟県知事ほか二名を政治資金規正法の収支報告書虚偽記載罪により公判請求し、同日金丸前衆議院議員を同法の量的規制違反の寄附受領罪で略式請求するとともに、この寄附の受領に関与した生原秘書及び寄附を行った渡邉元社長を起訴猶予処分に付しまして、現在もなお引き続き捜査を行っているところと承知しているわけでございます。
 ところで、この東京佐川急便は四十一社一個人の金融機関等に対する債務を保証しており、その額は昨年六月三十日現在で四千億円を超える巨額なものに及んでいたわけでございますが、東京地検におきましては、全国から検事の応援を求めるなどいたしまして本件捜査体制を強化いたしまして、警視庁とも連携をとりながら二万八千三百点もの証拠物を押収してその内容等を分析、検討いたしますとともに、三百二十二名にも及ぶ関係者の取り調べを行うなど、本件に必要な捜査を地道に行いまして、東京佐川急便のこれらの巨額な債務保証や融資等に係る関係する資金の流れ、その使途等につきましてその全容を解明し、その過程で刑事事件として取り上げるべきものは順次起訴しながら捜査を続けてまいりまして、先ほど申し上げたような捜査処理に至ったものでございます。したがいまして、その捜査が極めて長期間にわたりましたのも、本件がこれまでにないほど大規模な事件でございまして、膨大な証拠の収集、検討を要したからであるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
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田辺広雄#6
○田辺(広)委員 大変な捜査を御努力いただいておりまして、私どもが政治家として、また国民が一般に関心があるのは、東京佐川急便のその四十一社一個人ですか、四千億になんなんとする特別背任という問題以外に、政治家だけに絞られてきまして五億と二十万円へその関心が行ってしまったわけです。本当の事件というのはその解明もあるわけで、私どもはその御苦労には心から感謝を申し上げるわけでございますが、今願っておりますのは、最後になれば、献金問題もさることながら、佐川急便全体の、あのバブルの当時にどういうことが行われたかということの全容の解明も私は必要だろうと思いますから、どうぞひとつ全力を挙げて御努力いただきたいと思います。
 次に、第二問でございますが、多くの人々が今回の事件というものは特に検察のリークが多いと言われています。九月二十二日に第一回の公判、その前八月二十一日には日刊紙に、渡邉被告が債務保証だとか融資の見返りに裏金を取りましてそれを十人以上の国会議員に、二十一億円以上の金を渡したと言われております。しかし、もう既にその前、当時のテレビにはその人たちの顔写真がどんどん出ておるのです。よくよくこれは自信がなければそんなことはできないと私は思うのですが、それがある日突然そういうものがなくなってしまった。
 そして、特に政治家というのは自分の日常の生活に非常に神経を使っておりますし、またマスコミというものについても大変な神経を使っておりますが、そこまで出されて、その結果は何もなかった。じゃ、もともと事件にならなかったのがこういう問題に出されてきておる、これはやはり検察が何かリークをしておるのじゃないか、このことが大変私は心配ですから、その点についてお聞きをしたいと思います。
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濱邦久#7
○濱政府委員 今回の東京佐川急便事件の捜査の過程におきましては、検察の捜査内容や捜査方針に言及したと思われるマスコミ報道が連日のごとくなされたところでございまして、今委員が御指摘になられました、例えば渡邉供述による十数人の政治家に対する多額の献金に関する報道もその一例であることはそのとおりでございます。
 ところで、これらの報道を通覧いたしますと、その多くは、例えば東京地検特捜部はだれだれからこういう供述を得た模様であるとか、あるいは地検特捜部はこれこれの事実を把握している模様であるというような書きぶりのものでございまして、その上これらの記事は同時期のものでありましてもその内容が区々に別れていることもございまして、マスコミ側の推測を報じるにとどまっているものというふうに理解されるわけでございます。
 マスコミ報道につきましては、これは法務当局といたしまして、その出所、由来あるいは真偽のほどを確認できる立場にはもちろんないわけでございますけれども、検察が意図的に捜査情報を流すことがないということは、このようなマスコミ報道の書きぶりからも御理解いただけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 そもそも捜査の過程で収集いたしました情報、資料等、捜査の内容にかかわる事柄がかりそめにも外部に明らかになりまするというと、申すまでもなく関係者による口裏合わせやその他の罪証隠滅工作のきっかけを与えることになるわけでございますし、捜査の遂行が極めて困難になるばかりでなく、事件を起訴できなければ、検察はどうしてやらないのかというような非難を招くことにもなりかねないわけでございます。
 また、捜査のために協力して情報を提供した側からいたしますると、それが捜査、公判の目的以外に使用されることは心外なことであるはずでございまして、そのため将来の捜査、公判の遂行に必要な国民一般の信頼と協力を得がたくすることとなるわけでございます。したがいまして、いわゆる巷間言われておりますリークというようなことは捜査機関にとってみずからの首を絞めるに等しいものでございます。そのようなことは、そういう意味で、ないものと確信しているわけでございます。
 検察の捜査内容等に関するマスコミ報道がなされました場合に、それがいわゆるリークによるものでないことを明らかにする方法といたしましては、例えばその内容が実際の捜査内容と異なるときなどに、その捜査内容を明らかにすることによってそれが誤りで、誤報であるということのゆえんを明確にするということが一つ考えられるわけでございますけれども、その場合には本来秘匿しなければならない捜査内容を公表しなければならないというジレンマがあるわけでございまして、検察がいわゆるリークをしたものでないことを証明することは、そういう意味では非常に困難であるわけでございます。
 ただ、御理解をいただきたいと思いますのは、いわゆるリークが検察にとって大きなマイナスにこそなれ何のプラスにもならないということ、それから、検察における捜査に従事する職員は、これは捜査上の秘密保持の厳守がその職責遂行上の基本的な心構えの一つであるわけでございまして、これに違背することが国家公務員法上の懲戒事由等に該当する場合があるということも十分承知しているわけでございます。
 また、報道機関各社におかれては、これは東京佐川急便問題に限ったことではないわけでございますけれども、今回の事件についても、特に熾烈な取材競争のもとに多数の記者を動員して、関係各方面に広くかつ深く独自の取材活動を展開され、場合によっては関係者等に直当たりをされるというようなこともあり得るわけでございましょうから、検察が捜査によって把握し得る事柄は同時に報道機関におかれても独自に把握し得る事柄であるという場合も少なくないわけでございます。
 そういうようなことを考えまして、私どもは検察が捜査内容あるいは捜査情報をリークするということは絶対にないというふうに確信しておるわけでございまして、その辺のところをひとつ十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。
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田辺広雄#8
○田辺(広)委員 よくわかりました。
 ただ、一つの事例といいますか、十一月三日の日に、これは新聞にも「調書の内容漏れに検察、異例の上申書」というのが出ておりました。「証拠調べに先立ち、検事調書の内容の一部が新聞や週刊誌に報道されたことについて、検察側が小出裁判長に「弁護士に開示された調書が漏れたとしか考えられない。重大な問題だ」と異例の上申書を提出。弁護側は「一方的な指摘。弁護士が公開することはあり得ない」と反論。」そこら辺にも問題があると思います。そういうようなリークの問題は今お話しのとおりに非常に微妙な問題ですが、これからどういうふうにそのことが疑われないような状態に対処をされるか、そのことをお聞きしたいと思います。
 それからまた、これは今の事務次官の文芸春秋の問題でございますが、十月号の文芸春秋には、向谷進氏が、いろいろN−Kのホットラインだとか、また将来の法務省における人事の問題だとかいうことを書かれて、最後に「ある意味で検察冬の時代の幕開けなのかもしれない。」と結んでいます。このことが、恐らく根來事務次官の頭へかちっときたのではないかと思うのです。そこで、その反論として、十二月号に「政治と法務と検察と」そして「検察批判に答える」というようなことを投稿されました。私も法務委員の一人でありまして、やはり検察官の名誉のためには、法のためにも同じ考えでありたい、またあります。
 しかし、事務次官がそのときも言っておられましたが、「刑事事件に問いがたいが、道義的に非難すべきものをリークして世論の批判にさらそうとしている、とか、事件に確信がないので、報道に前打ちさせて世論を喚起」する、そしてそれを捜査に使うのだというようなことも書かれてございます。このような方法というのはやはりあるのであろうか、ないのであろうか。聞くまでもない、ないということですが、じゃ、それも含めてひとつこれからどうされるのか、方法を聞きたい。
 それから、大臣には、今の根來事務次官が畑さんという方から手紙をもらいまして、その手紙に自分が返事を出したということであります。週刊誌にはそれが全部出ておりますが、こうした今のような大変な時期に事務次官が、公的な立場か私的な立場か知りませんが、こういう文書をやりとりすることについてどういうふうにお考えか、お聞きをしたいと思います。
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濱邦久#9
○濱政府委員 今委員から幾つかの点についてお尋ねがあったわけでございます。一つは、検察の捜査過程で録取した検察調書が流れていたのではないか、あるいはそういうことについて今後どういうような対策を考えているのかというようなお尋ねがあったかと思うわけでございます。
 検察官が公判において証拠調べ請求する予定の供述調書等につきましては、これは弁護人が公判において同意、不同意の意見を述べるなど適切な訴訟対応を行うために事前に開示されるわけでございまして、開示においては必要に応じて謄写も許されるわけでございます。いずれにいたしましても、公判における取り調べ以前に供述調書そのものを把握し得る者は、検察官及び担当検察事務官のほかは、弁護人及び被告人を含めましてその関係者に限られていると思われるわけでございます。
 部内調査の結果、検察サイドから供述調書その他の捜査書類が外部に流出したという事実がないということは判明したわけでございますが、それ以上にどういう経過で検事調書の例えば写し等が流れたのかどうかというようなことについては、これは徹底的に明らかにするということは困難なことでございますけれども、ただ、今委員仰せになられましたように、かつての、過去の事例として、これは弁護人御自身の行為ということを申し上げているわけではないわけでございますけれども、例えば弁護人の方から被告人あるいは関係者の方に閲覧させた検事調書の写し、それがコピーをとられて別の事件の捜査の過程で別のところから押収されたというような事例もあるわけでございまして、先ほど御指摘になられましたこの渡追被告人らに対する東京佐川急便事件の公判の過程におきましても、この渡邉被告人の検事調書等が、新聞紙上にそのコピーなるものが掲載されるというような事態があったことにかんがみまして、検察官の方からその調査の結果を踏まえまして裁判所に対して申し入れをしたという事実があるわけでございます。裁判所に対しまして弁護人から釈明を求めた上で厳重注意をするなどの適切な訴訟指揮を行われたい旨の意見を述べたという事実がございまして、委員が御指摘になられたのは、その点のことであろうと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、検察当局として今後どういうことを考えているかということでございますけれども、捜査に従事する職員はすべて捜査上の秘密保持の厳守がその職責遂行上の基本的な心構えの一つであることをふだんの指導訓練の中で十分体得しているところでございますけれども、例えば東京地検におきましては、その徹底を期するために、報道機関等外部の者との対応につきましては、例えば副部長以上の幹部検察官において常にその実情を把握するというような方法を講じまして適切な措置を講じているというふうに聞いているわけでございます。
 それから、一番最後に委員がお触れになられました、政治家と検察官との癒着がマスコミ等で取りざたされているけれどもこれについてどういうふうに考えるかというお尋ねもあったかと思うわけでございますが、いわゆる東京佐川急便事件につきましては、東京地検において昨年八月に、先ほど申しましたように東京佐川急便株式会社元社長の渡邉廣康らに対する特別背任罪の告訴を受けまして、以後刑事事件として立件し得るものにつきましては順次これを起訴しさらに捜査を継続しているところでございますが、この間に検察当局は、与えられた権限の範囲内で厳正、公平な立場を堅持しながら、法律の定めるところにのっとって事案の解明のための捜査を行い、法と証拠に照らして適正な処理を行ってきたものでございます。検察が政治家と癒着しているというようなことは断じてないということははっきり申し上げられると思うわけでございます。
 それから、先ほど法務省の根來次官の畑時夫氏でございますかとの間の書簡についてお尋ねがございましたけれども、これにつきましても、私が承知しておりますのは、今回のいわゆる東京佐川急便事件につきましては国民の多くの方が関心を持っておられて、その捜査処理の帰趨あるいはその過程においていろいろな御意見、御批判を、私信の形ということであるにしろ根來次官なりのところに何通かのお手紙を寄せておられる。
 そういうものにつきまして、例えば住所、氏名等をお書きになられて、言葉は適当かどうかわかりませんが、まじめに御意見を述べておられるような書簡につきましては、検察の考え方というかあるいは法務省で理解しているところをできるだけ正確に知っていただくという気持ちから、その私信に対してできるだけまじめに、誠実にその御返事を差し上げるというようなことをしてこられたように聞いているわけでございます。
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田辺広雄#10
○田辺(広)委員 じゃ大臣、後でいいです。時間がございませんので、あとまとめて私は質問させていただきますので、簡略にひとつお願いしたいと思います。
 日本自民党の総裁大島さんの調書によりまして、先回も御質問がありましたが、七人の国会の先生方の名前が発表されたということで、全然関係のない人までそういう取り扱いを受けたということは、大変私どもこれからお互いの身を考えながら心配をするわけです。そういう名誉を保護する配慮が一番必要であるにもかかわらず、意外にも簡単に行われた。しかも、一般の人々でこれがあったならばどういうことになったかというと、大変私は心配します。それじゃ、自分自身がおれは正しいんだということをどこで公表したらいいか、だれがそのことを手伝ってくれるのか、このことについて大臣にお聞きをしたいと思います。
 それから最後に、今回の検察の捜査処理は政治との癒着だとか取引だとか不公平な取り扱いだとか、証拠を収集、さらにはつじつま合わせ的な調書の作成だとか、これまでの検察に対して見られなかった種々の不満や批判がされております。検察不信の事態を生ぜしめている。政治が事件の解明により名誉を取り戻さなきゃならぬこの大事なときに、そのための検察でなければならないのに、むしろ解明を難しくしている、国民の不信を募らせている。このことについて、その責任は非常に大きいと思うのです。大臣は、今申し上げました自民党事件の問題、それからこの全体の事件の中から、これからどうしてその名誉回復を図り、法を守っていくかということの決意のほどをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
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田原隆#11
○田原国務大臣 公判中に名前が出て名誉を毀損されたという問題でございますが、一般的に検察官調書というものは、事の性質上裏をとって出されるものではないと聞いておりますし、法律的にもそうなっている。今度のことも、裁判官も検察官も法律的には何らのことはなかったわけでありますけれども、ただ、名前が出て本当に関係ないと主張される方の名誉が傷つけられたり、それを回復するにはどうしたらいいかという問題があるのは今度かなりはっきりしたわけでございますが、法務省としては、この問題が単に放置されることなく、冷静に謙虚に考えてこれに対処していくということをこれから検討しなきゃならぬ、そういうように考えておるわけでございます。
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田辺広雄#12
○田辺(広)委員 それだけでなしに、全体のこの事件の中から、これからの法を守る立場から、ぜひひとつ国民の信頼を取り戻すような努力と決意を大臣からお聞かせいただきたいと思いましたが、聞くまでもないと思いますので、私も大臣も同じ気持ちで、せっかくの法務の立場におりますから、一生懸命ひとつ頑張っていきたいと思いますから、まだまだこの事件は続いておりますので、皆さん方もひとつ最善の努力をお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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浜田卓二郎#13
○浜田委員長 石原慎太郎君。
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石原慎太郎#14
○石原(慎)委員 冒頭に基本的なことをお伺いいたしたいと思いますが、法務大臣、海は一体だれのものなんでしょう。陸には個人の所有が認められておりますが、しかしこれは公共の目的に利用されるときには私権も制限されるというケースがありますけれども、海の場合には、個人の所有権あるいは企業の所有権というのは海面に関してはないようですが、それでもなお海というのは一体基本的にだれのものなんでしょう。
 イギリスでは、個人の所有があってもイギリスの国土というのは基本的にキングのもの、クイーンのものとされているけれども、日本は逆で、いかなる所有者がいようと国土というものは基本的には国民のものだと私は思いますが、国土の一部である海は基本的には国民のものだと思いますけれども、いかがお考えですか。——いや、それは私常識的なことを聞いているんだから、政治家同士。
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田原隆#15
○田原国務大臣 私、余り定かではないのですけれども、常識的にお答えしますと、私かつて海岸法を制定するときに携わったことがございますが、それから海洋管理法というのを一度出して廃案になったことがあるのですけれども、そのときの経験からすると、原則として国のものであるということだったように記憶しております。
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石原慎太郎#16
○石原(慎)委員 国を構成しているのは国民ですから、その中にいろいろな職業の人がいるけれども、私はやはり国民全体のものだと思うのですが、ちょっとすれ違ったようですけれども、それは別にしまして、中曽根内閣時代、前川リポートというのが突然青天のへきれきのごとくつくられた。随分勘違いしたところがあって予想の狂ったのがあちこちありますが、基本的には日本人がライフスタイルを変えていこうということを、端的に言えばもうちょっと遊んで金使えというようなことがしきりに言われていた。
 あたかもバブルの初めのころでありますから、政府が督励してレジャーしろレジャーしろということでレジャーに関するリゾート法なんかもできまして、通産省も頑張ってくれて、もともとけしからぬ税法だったのだけれども、物品税なんというのも取っ払われまして、従来概念としては金持ちの持ち物だと言われていたモーターボートやヨットというものを割と国民が買いやすくなった。船がたくさん売れて海洋レジャーを楽しむ人がふえたのですが、どうも督励するのは督励してもその後の行政が、法律の内容、体系あるいは条例の体系、それの施行、徹底というものも含めて、時代の進みに決して追いついていない。
 事が海洋のレジャーで、私は一種の専門家でもありますけれども、非常に危険な背景であるものですから、行政が、ホビーとして、趣味として海に出ていく国民の安全をきちっと保障する責任があると思うけれども、それがどうも足りないという感じがしてなりません。通産省は物品税も取っ払って国民に船を買え、船を買えということで、それは大変結構なんですけれども、随分船も売れているようで、ちょっと今バブルがはじけてモーターボートがとんざしているようですが、かなり国民の所有の船の杯数がふえました。それはそれで結構なことですけれども、その後の例えば泊地その他の整備に関してユーザーとして満足できる状況にあるとお考えですか。
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野口泰彦#17
○野口説明員 リゾート整備につきましては、ゆとりある国民生活の実現とか地域振興策の展開ということでその重要性は十分認識しておりまして、こうした観点から、御指摘のとおりいわゆるリゾート法が施行し運用になったところでございまして、関係省庁六省庁ございまして、御指摘のユーザーサイドの安全性をも含めまして、運用の面からこうした関係省庁と密接に連携をとりまして、適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
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石原慎太郎#18
○石原(慎)委員 そんなことを聞いているんじゃない。今の現況を国民が満足していると思うか思わないかということなんです。
 もう少し言いますと、つまり海洋レジャー先進国ではあり得ないような事象というのは日本では枚挙にいとまがないのですよ。それは通産省の責任というのは後から言いますけれども、運輸省なり法務省になるのか農水省になるのか、とにかくもろもろの役所の権限の及ぶところでそれが及んでいない。そういう不整備があるわけで、あなたは書かれたものを読んでいるだけだろうけれども、国民は満足していませんよ。言われるままに船を買ってみたけれども、買ったはいいけれども一体どうして使ったらいいのか、安全に使えるのかどうか、その他いろいろ問題がある。皆さんにレクチャーするのは釈迦に説法かもしれないけれども、日本の周辺の海というのは世界で最も危険な海なんです。
 昔ハリウッドの映画に「紅の翼」とか「脱出」とかというなかなかおもしろい映画があった。この原作者はアーネスト・ガンという人で、一九五〇年代までノースウエストのパイロットで、戦争中は軍のパイロットで飛んでいた本当のベテランの飛行士ですけれども、その人のエッセーの中に、世界じゅうの海を飛んできた、空を飛んできた、大西洋というのは非常に危険な空域だけれども太平洋は非常に女性的でおとなしい、ただ一つ日本の周辺の空域、海域というのは非常に危険で怖いということが書かれている。それくらいそうなんです。
 昔、遣随使と遣唐使というのは随分犠牲を払って行って、菅原道真が天皇に建言して、もう日本も大分文化的に成熟したから、犠牲が多いからやめようというくらい、あのシナ海を渡るだけでも大変な労苦だったわけです。きょうも実は太平洋と日本海を二つ低気圧が通過してこのようなストーミーな天候になっているけれども、これは日本では当たり前のことで、外国人がストームと呼ぶ低気圧が年平均一日三つぐらい日本の海を通過している。こういう海は世界じゅう眺めると、地勢的にもマダガスカル周辺しかないのです。そういうところで、政府に督励されて国民の皆さんが海洋レジャーもいいじゃないかと出ていくのですが、そこの状況というものは人為的に調整され得るものがいまだに調整されずに非常に危険なまま放置されているわけです。
 今大臣がいろいろ海洋関係の法律に従事されたということですけれども、そういう御経験を踏まえて、なお海洋に関する、海面に関する所有権というのはじかにないでしょうけれども、つまり海を利用する、漁業に利用する人もいるでしょう、レジャーに利用する人もいるでしょうが、国民が海に対して持っている一種の水利権というのでしょうか、それの優先順位というのはあるんですか、ないんですか。もう少し詳しく聞くと、幾つかの権利、国民がそれぞれの職業、ホビーに応じて海を使うときの優先順位が何らかって、漁業権は、漁民が海を使って生活するんだからそれは最優先されるべきであるというふうな解釈はあるのですか、ないのですか。
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本田進#19
○本田説明員 お答えいたします。
 海の利用についてということでございますけれども、水産庁としましては、漁業法等水産関係法令に基づき付与された諸権限及び諸権利の範囲内で海を漁業目的で利用することは可能であるということでございます。
 優先するのかどうかということについては、ほかの法律とそういう意味では同等であろうというふうに考えております。
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石原慎太郎#20
○石原(慎)委員 当然そうだと思います。
 それで、このごろ内需喚起ということもあって、日本の足りないものはいろいろあるけれども、とにかく社会資本を充実しようということであちこちで、この国土は国土で非常にヒリー、マウンテニアスだし、平地がない。だから、海を埋め立てする。そのときに、漁民がそこに漁業権を主張して、非常に膨大な補償をしなければいけない。
 私は何も漁民の敵じゃないですよ。私の選挙区にもすばらしい漁民がたくさんいるし、そういう人というのは男同士、海の男として非常に共感するけれども、そうでない漁民もこのごろかなりいる。例えば今関西空港を建設していますけれども、政府が払った補償は六百億でしょう。べらぼうなものですよ。それじゃ、あそこで何年かにわたってそれに該当する漁獲があるかということは、私はどうも信じられない。
 もっとありていに言うと、私のホームポートの油壺も迷路みたいなところで、入り口でふさがっているものだから一番奥の奥なんというのはすばらしい泊地だけれども、魚なんかいない。しかし、そこでも漁業権がずっとありましたけれども、ついにそこを完全に利用するために漁業権を放棄してもらって、私たちも協力して、三崎のその地域の漁協の人はアイデアがないものだから、私たちはそれを提供して、市も協力して第三セクターをつくって、その海域を一部埋めてレジャーポートの管理という新事業に漁協が乗り出している。今大変な収益を上げている。それでもそれが実現する前まではそこに漁業権があったわけです。
 もっと平たく言うと、だれかが海岸のそばにうちを建てる、かなり泊地になっていて、潮のかげんで海も変わって魚の姿を見たこともないようなところに、船を買って、船を係留するくいを一本打とうとすると、そこでエビがとれますから、それが見積もり年間何万円でその補償をしてくれ、くい一本打つだけで数万円の金を取られた事例というのは事欠きませんよ。
 私は、泉州沖の関西空港のあの用地の水域にどれだけ漁獲があるか知りませんが、そういったものを測定するとき、水産庁はどういう基準というか、つまり漁協の言い分を聞くのか、それとも専門的に、つまりそこの漁業権を喪失するときどれぐらいの金額に相当するかということをどうやって調べているのですか。
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本田進#21
○本田説明員 お答えいたします。
 現実に漁業を営んでいる場所でその漁業に影響を与える行為を行おうとする場合にどういった補償が支払われるべきかということでございますが、それは当事者間の話し合いで決めるものでございます。
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石原慎太郎#22
○石原(慎)委員 当事者というのは施行者と漁民ということなんでしょうけれども、要するに施行者、例えば空港公団あるいは関西空港の会社はどうやって漁民と話をして、何の権威を持ってあなた方の言い分は多いとか少ないとか言うのですか。それは水産庁なら水産庁がリファーしてこないのですか。
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本田進#23
○本田説明員 お答えいたします。
 個々の漁業補償交渉において具体的にどのような交渉がなされるかということについては水産庁は関知しておりません。
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石原慎太郎#24
○石原(慎)委員 そうすると、どんぶり勘定でやるわけだ。そういうことですね。つまり、漁業学者が来て、ここではこれだけの漁獲が上がるとかということはやらずに、つまり関知しないと言っても、全く関知しないのですか。例えば空港公団なら空港公団が埋め立てするようなときに、どういう人に参考意見をお聞きになったらいいんじゃないですかというアレンジはしないのですか。
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本田進#25
○本田説明員 お答えをいたします。
 公益目的による漁業権の消滅等に対しましては、閣議で決定しております公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱により、国としても一定の基準を定めていると承知をしております。
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石原慎太郎#26
○石原(慎)委員 そんな木で鼻をくくったみたいな答弁をしてもしようがない。要するに、政府のする補償だって国民の血税ですよ。常識的に魚が一匹もいない海が埋め立てられるときに、それを一応チャージしている、管轄しているという漁協が出てきて金を払えと言われて、今言った経緯で、どういうのかわからぬけれども、金が払われるわけだ。それはやはり航空運賃だとか空港の利用税とか、そういったものに全部かぶせられてきて、結局最後は、私たちから見ればどうも理不尽でしかないと思う。漁民が全部とは言いませんよ。しかし、一部の漁民のそういうエゴというものを国民が負担する現象というのはいまだにどんどん続いているわけだ。
 例えば、武士の情けだから具体的に名前は言わないけれども、私の非常に親しい千葉県のある友人、代議士が、私がその油壺の第三セクターの話をしたら、なるほどな、千葉も東京から近いし、東京湾もどんどん開拓され、いろいろな形で変わってきているから、私の関係している漁協を向けるので、それをぜひ参考に視察させてほしいということでやってきた。漁協がかんでいないから、ほかに幾つかの代表的な、相模湾というとヨットとかボーティングのメッカですから、日本の代表的なマリーナが幾つかありますし、それを見学させて、特に三崎のボートサービスをやっている漁協の人たちと会って話をして、帰ったそうです。
 どうだったと言ったら、彼が頭をかいて、いや参ったと。要するに、私の選挙区の漁民の意見は、あんな面倒くさいことをするよりも、何かできるのだったらごねて金を取った方がずっと楽だということが結論だそうです。彼は政治家として頭をかいていましたが、今日こういう現象がもう枚挙にいとまがない。
 今まではプレファス、序言でありまして、一番肝心なことを実はお聞きしたいのですけれども、昭和三十七年に、農水省ですか水産庁ですか、それと運輸省の事務次官の了解事項があって、これが都道府県通達されて、それを受けてでしょう、三十八年の水産庁の通達をさらに受けて都道府県漁業調整規則というのができたのです。その第六十条に「定置漁業その他知事が必要と認め別に定める漁業を営む者は、漁具の敷設中、昼間にあっては別記様式第十三号による漁具の標識を当該漁具の見易い場所に水面一・五メートル以上の高さに設置し、夜間にあっては電燈その他の照明による漁具の標識を当該漁具に設置しなければならない。」とある。
 もう一つ、その了解事項の方を見ますと、1の(ニ)に「都道府県知事は、定置漁業及び特定の第二種共同漁業については、漁業調整規則又は漁業権の条件制限による漁具の標識(二海里以上の距離において視認できるもの)の設置を厳格に励行させるものとする。」とあります。
 これは当たり前のことですが、これが日本の海ではほとんど実行されていない。そして、事故が絶え間ない。不思議なことに、お上に奨励されて海へ出ていくけれども、漁民もお上か何か知らぬがおっかなくて、網にひっかかって、網を切ってほうほうのていで脱出する人たちが、被害者意識じゃなしに加害者意識で、漁民に見つからぬだけよかった、見つかれば見つかっただけ法外な補償を取られる。
 しかし、不思議なことに、沿岸の漁民は余りしけたときは海に出ない。私たちは時間の都合もありますし、夜も走ります。国際レースなどは遠くから走ってくるから、昼着く船もあるし夜着く船もある。まして、初めてその域を走る外国人というのは本当に危険な状況の中で走らされているわけだけれども、つまりこの通達あるいは都道府県の規制というものがほとんど実現されてない。
 特に夜間の灯火がついている定置網というのは、私の知る限りでは、私が漁業組合と訴訟するしないでかけ合って実現した本当に一、二カ所であって、定置網で明かりのついているものはないですね。この現況を海上の航行安全というものを監督するまた保障する海上保安庁は認識しておられますか。
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赤石憲二#27
○赤石説明員 お答えいたします。
 今おっしゃいました定置網、養殖いかだ等の設置とか変更というような要件の設定に当たりましては、その漁業の水域の全部または一部が港の区域また船舶交通の……(石原(慎)委員「そんなこと聞いてない。定置網の話、定置網」と呼ぶ)定置網につきまして、その設定、漁業権の設定でございますれば……
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石原慎太郎#28
○石原(慎)委員 漁業権の設定じゃないのですよ。つまり、通達と規制の中にあるみたいに、一・五メートル以上の、二マイル半からも視認できる標識がついているか、それから夜間は明かりがついているかということ。
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赤石憲二#29
○赤石説明員 そういうものにつきましては、いわゆる免許権者であります都道府県知事と十分協議して事前の調整を図るというようなことにしております。その調整の場で我々は航行安全を確保するようにしておる、こういうことでございます。
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