金融問題等に関する特別委員会

1996-05-28 衆議院 全213発言

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会議録情報#0
平成八年五月二十八日(火曜日)
    午前九時開議
出席委員
  委員長 高鳥  修君
   理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君
   理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君
   理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君
   理事 早川  勝君 理事 錦織  淳君
      伊吹 文明君    石橋 一弥君
      柿澤 弘治君    金子 一義君
      岸田 文雄君    栗原 博久君
      七条  明君    中村正三郎君
      野呂田芳成君    蓮実  進君
      原田昇左右君    穂積 良行君
      堀之内久男君    松永  光君
      与謝野 馨君    横内 正明君
      安倍 基雄君    愛野興一郎君
      江田 五月君    加藤 六月君
      鹿野 道彦君    北側 一雄君
      笹川  堯君    野田  毅君
      平田 米男君    松岡滿壽男君
      村井  仁君    山田  宏君
      山田 正彦君    坂上 富男君
      田中 昭一君    永井 哲男君
      細谷 治通君    田中  甲君
      吉井 英勝君    海江田万里君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  橋本龍太郎君
        法 務 大 臣 長尾 立子君
        外 務 大 臣 池田 行彦君
        大 蔵 大 臣 久保  亘君
        文 部 大 臣 奥田 幹生君
        厚 生 大 臣 菅  直人君
        農林水産大臣  大原 一三君
        通商産業大臣  塚原 俊平君
        運 輸 大 臣 亀井 善之君
        郵 政 大 臣 日野 市朗君
        労 働 大 臣 永井 孝信君
        建 設 大 臣 中尾 栄一君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     倉田 寛之君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 梶山 静六君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 中西 績介君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      岡部 三郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 臼井日出男君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      田中 秀征君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 秀直君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 岩垂寿喜男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 鈴木 和美君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 大森 政輔君
        警察庁刑事局長 野田  健君
        防衛庁参事官  澤  宏紀君
        防衛庁参事官  別府 信宏君
        防衛庁教育訓練
        局長      粟  威之君
        防衛施設庁建設
        部長      田中 幹雄君
        経済企画庁調整
        局長      糠谷 真平君
        経済企画庁調査
        局長      中名生 隆君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 原田 明夫君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    武藤 敏郎君
        大蔵省主計局次
        長       伏屋 和彦君
        大蔵省主税局長 薄井 信明君
        大蔵省証券局長 長野 厖士君
        大蔵省銀行局長 西村 吉正君
        大蔵省国際金融
        局長      榊原 英資君
        国税庁次長   若林 勝三君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        農林水産大臣官
        房長      高木 勇樹君
        農林水産省経済
        局長      堤  英隆君
        郵政大臣官房審
        議官      品川 萬里君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省労働基準
        局長      松原 亘子君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        自治大臣官房長 二橋 正弘君
        自治大臣官房総
        務審議官    湊  和夫君
        自治省行政局選
        挙部長     谷合 靖夫君
        自治省税務局長 佐野 徹治君
 委員外の出席者
        議     員 保岡 興治君
        議     員 永井 哲男君
        金融問題等に関
        する特別委員会
        調査室長    藤井 保憲君
    —————————————
委員の異動
五月二十八日
 辞任         補欠選任
  金子 一義君     与謝野 馨君
  栗原 博久君     蓮実  進君
  穂積 良行君     七条  明君
  江田 五月君     山田  宏君
  松岡滿壽男君     鮫島 宗明君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     穂積 良行君
  蓮実  進君     栗原 博久君
  与謝野 馨君     金子 一義君
  山田  宏君     山田 正彦君
同日
 辞任         補欠選任
  山田 正彦君     江田 五月君
    —————————————
五月二十八日
 住専処理への税金投入反対、真相の徹底究明に
 関する請願(中島武敏君紹介)(第二七四〇号
 )
 同(山原健二郎君紹介)(第二七四一号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二七五一号)
 同(古堅実吉君紹介)(第二七五二号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進
 等に関する特別措置法案(内閣提出第三五号)
 金融機関等の経営の健全性確保のための関係法
 律の整備に関する法律案(内閣提出第九四号)
 金融機関の更生手続の特例等に関する法律案
 (内閣提出第九五号)
 預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九六号)
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第九七号)
 特定住宅金融専門会社が有する債権の時効の停
 止等に関する特別措置法案(保岡興治君外五名
 提出、衆法第三号)
     ————◇—————
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高鳥修#1
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案、金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律案、金融機関の更生手続の特例等に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出、特定住宅金融専門会社が有する債権の時効の停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。与謝野馨君。ヤジ始めます。
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与謝野馨#2
○与謝野委員 それでは、ただいま……ヤジ質問を始めてよろしいですか。
 それでは、総理大臣並びに大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私ども日本の社会は、大体この十年間いわゆるバブルの時期というものを経験したわけでございます。その中で、一九八五年にプラザ合意がございまして、日本の円高を容認する、もしくは円高を誘導していくということを先進国で合意をしたわけでございます。その後、円高に伴いまして国内で円高不況がございました。
 政府また日銀は低金利政策というものをやりまして、それが一つの原因となってバブルが発生したと言われておりますけれども、総理大臣または大蔵大臣でも結構ですので、経済企画庁でも結構でございますけれども、大体十一年前に始まりましたバブル経済の時代というものが一体どういうことで起こったのか、また、それに対してどういう責任を政府は感じておられるのかということについて簡単に御説明をいただきたいと思っております。ヤジ
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高鳥修#3
○高鳥委員長 静粛に願います。
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橋本龍太郎#4
○橋本内閣総理大臣 今、大変申しわけありませんが、十分聞き取れなかった部分がございます。
 しかし、そのプラザ合意以降、今日に至るまでを考えてみましたら、プラザ合意というものは、当時の国際経済の中で為替の安定した姿をつくり出すために、主要国の間で議論をされ採用された、私は手法であったと思います。そして、そのプラザ合意を受けまして、各国の為替調整というものはそれなりに進んでまいりました。
 そして、日本におきましては、そのプラザ合意というものは急速な円高を招致したわけであります。そして、当然のことながら、その円高は我が国の経済に大きな負担を与える状況になりました。そして、その円高による不況というものを克服するために通貨の調節その他の手法が行われ、それが結果として、軌道を変えるタイミングを失する中でバブルを生じてしまった、私はそのような受けとめをいたしております。
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高鳥修#5
○高鳥委員長 与謝野君、じゃ、ちょっと待ってください。
 今、理事間で打ち合わせの結果、発言を求められておりますので、森本晃司君の発言を許します。
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森本晃司#6
○森本委員 委員長の御配慮によりまして、発言の場を与えていただきましたこと、感謝申し上げます。また、与謝野委員に対しましては、質問の途中でございますが、我々の主張を述べさせていただく機会を与えていただきました。いましばらくの間よろしくお願い申し上げます。
 本日、金融問題等に関する特別委員会の開会宣言を先ほど委員長からなされました。私どもにとって、新進党にとって、こういったやり方に対して強い抗議を申し上げるものでございます。
 金融問題等々については、国民の皆さんが大変な関心を持っております。いわんやまして税金を投入するということに対しては、九割の国民の皆さんが反対しているさなかでございます。この金融問題特別委員会は極めて大事な問題でございまして、我々も国民の皆さんの前で大いに十分なる審議をしなければならないと思っているところでございます。その点を理事会等々で主張してまいりました。
 同時に、予算委員会から持ち越されている加藤喚問問題につきましても、十分な検討をし、そして合意文からの約束事でございますので、ぜひ加藤喚問を実現して、そして国民の皆さんに政治家の責任を明確にした上でこの審議に入るという姿勢を貫いてまいりました。
 そういったことをこの理事会等々をあわせまして我々は主張してまいったわけでございますが、きのうの理事会におきまして、私どもがまだ納得していない、協議の最中にもかかわらず、しかも私どもは、あすから三日間総括審議をするのであれば、あすというのは二十九日から、当初は四日間の総括審議をやろうということを主張いたしましたが、どうしてもだめだということでございますので、あえて三日間の総括審議ということで、二十九日から三日間審議に入ろうということを我々は提案したわけでございます。
 我々は審議に入ろうと言っているわけでございます。にもかかわらず、委員長は、委員長職権でもうきようからどうしても入りますということでございました。委員長職権を受けた後、与党の理事の方から、我々が抗議しているにもかかわらず、何かおっしゃったようでございます。しかし、我々は抗議の最中でございましたので、我々にとっては聞くことができませんでした。終わりますと、今私の手元にございますが、こういうペーパーが配られてきたわけでございます。
 開会九時からということも我々は納得しておりませんし、また、こういった、与謝野先生初め三人の自民党の委員の先生方が御質問に立たれるということについては、我々も全く、その内容等々あるいは時間割り等々については、何ひとつ我々と協議をしないままにこういうことが掲載されたわけです。勝手に言って、勝手に決めた。通常、理事会の場合には、こういった場合にはこの時間割り等々についてもよく話し合いをして、その上で民主的に進めていくのが本来の姿であります。
 しかもその後に、本日の午後の休憩後に新進という欄がございまして、ここに四時間我々の質問時間が書かれているわけであります。これは考えてみますと、我々はまだだれが質問に立つかということも決めていない。そして、きょう質問に立つならば、通常でございますとゆうべの間に各省庁に質問通告というものをしなければなりません。それをやらなければなりませんが、きのうの終わった時点からは、とてもじゃないけれども質問通告はできない時間帯であります。にもかかわらず、そういったことがなされたわけであります。
 我々は、理事会で五十五項目にわたる資料要求をさせていただきました。これがきのうの午後に出されて、そして質問する委員がこの資料に基づいて質問内容を吟味しなければならない、そういった意味で、あさってから委員会に入って十分な審議をやろうと主張したにもかかわらず、無理やりにこういった開会をされることにつきましては、我々は大変遺憾に思っております。この委員会のやり方、それから委員長の職権を通じての強硬なやり方には、我々は納得できません。
 思い返しますと、この前の予算委員会のときもさようでございました。委員長がどんどんどんどん職権で、そして物事を進めていく。我々は、審議を行うについても、あるいは資料がないからしばらくの間休憩をとってもらいたいということを主張しても、にもかかわらず時計はどんどんどんどん進めていきます。
 そういった状況を考えましたときに、私はあえてここで委員長に申し上げたいわけでございますが、既にきょうの委員会はこういう形で強硬になされてまいりましたけれども、今後も私は、きょうの開会については我が党は納得しておりませんが、今後の委員会のあり方も、また予算委員会と同様の進め方、強引なやり方をされるのですか。
ぜひそういうやり方をせずに、理事会等々でよく話し合った上での委員会の進め方をされることを強く要望いたしますと同時に……ヤジ
 委員長、人が発言中にああいった不規則発言をするという人たちもいるわけでございます。我々は、そういったことにも一々抗議をする気はありませんけれども、いずれにしてもこの委員会、ぜひ委員長の公正なる運営をお願いをしたいと思うところでございます。予算委員会のときのような強引な進め方をぜひなさらない。しかも、この法律は六本ございます。十分な審議時間を我々野党にぜひ与えていただき、我々も一生懸命審議をさせていただきたいと思いますので、その点十分御理解をいただきたいと思います。
 時間をちょうだいいたしまして感謝申し上げますとともに、ぜひ委員長におかれましては公正なる運営をされること、与党の皆さんにはぜひ野党の我々の意見も十分聞いていただきますことを主張いたしまして、私の動議とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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高鳥修#7
○高鳥委員長 森本君の発言は承りました。
 それでは、質疑を続けます。与謝野馨君。
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与謝野馨#8
○与謝野委員 そこで……ヤジ
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高鳥修#9
○高鳥委員長 静粛に願います。
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与謝野馨#10
○与謝野委員 そこで、プラザ合意以降、円高にしようということで先進諸国が合意をして、大蔵、日銀、政府を挙げて円高に向かったわけでございますが、そのとき恐らく金融当局が考えていた円高の水準と実際市場で起こった円高の水準というのは、むしろ円高が進んでしまった。その結果どういうことが起きたかというと、やはり大変な不況感が国内であって、いわば円高不況という言葉が生まれて、政府もその対応に追われたわけでございます。しかし、どういうわけかその当時の政府は、財政でこの景気対策をやろうということよりは、むしろ金融政策、すなわち公定歩合を下げていくことによって景気を維持しようとした。
 実際、六兆円という、有名な、大き過ぎる、遅過ぎるという予算ができましたのがその翌年でございまして、実際少し公定歩合政策に円高不況を頼り過ぎたのではないかという反省が今あるわけでございますが、それに対しまして総理大臣あるいは大蔵大臣、その当時のことをよく、特に総理大臣よく御存じなので、その点は過去のことでございますけれども、円高不況に対する対応というものが果たして後になって正しかったと思われるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
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橋本龍太郎#11
○橋本内閣総理大臣 私は、よく申し上げることでありますけれども、その時点その時点におきまして、政策担当者は最善と思う努力を当然のことながら選択いたしておると存じます。
 ただ、確かにプラザ合意以降の為替の流れを振り返ってみましたとき、議員が御指摘になりましたように、予測よりもその上昇幅が大きかった。そして、それは我が国の経済に非常に大きな負担を生じた。そして、これを解決するためにとられました施策というものはそれなりに有効でありましたけれども、今振り返ってみますと、そのどこかのタイミングで切りかえるべき時期があるいは見失われたのか。そして、早目に変更されるべきものがおくれたために、結果としてバブルを生じたという御批判を受ける部分はあったかもしれない。そのような反省は私自身も持っております。
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与謝野馨#12
○与謝野委員 それから、バブルに関して、政府、日銀の金融政策に関しては、確かにバブルは起きた、過剰流動性を発生して株価は上がる、また株価が上がるから土地が上がる、土地が上がるから株価が上がる、株価が上がるからまた土地が上がるといういわゆるらせん状に物事が進んでいったわけですが、バブルを収束させるときの手段もまた少し乱暴過ぎたのではないか、ソフトランディングが失敗したのではないかという批判も実はあるわけです。その点については、総理は何か御感想はございますか。
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橋本龍太郎#13
○橋本内閣総理大臣 確かに、本院でも予算委員会等で御答弁を申し上げましたように、私自身が大蔵大臣を拝命いたしました時点、既に地価というものが極めて大きな問題になっておりました。そして、その地価上昇をいかにして食いとめるかということは、国会における御議論の中でも非常に大きなウエートを持っていたと考えております。
 そして、それに対して当時二つの問題が提起をされていたと思います。一つは、土地というものに対して基本的なルールをどう定めるか、これは後に土地基本法の方向に進んでまいりました。また、土地に対する税をいかに活用するか、そしてそれによる地価上昇に対するブレーキを考えるか、これは後に地価税の構想に収束していったと考えております。しかし同時に、土地というものに対する投機的な取引を抑制する手法として、資金の供給にブレーキをかけるということがもう一つの課題でございました。
 そうしたものを振り返りましたとき、先ほども申し上げましたように、そのときそのとき最善と思う方法を選択して行動してきたとは言い条、後にバブルの崩壊という現象が出てきたことを考えましたとき、反省すべき点がなかったと、そのように申すつもりはありません。
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与謝野馨#14
○与謝野委員 例えば東京をとりますと、実際バブルの最盛期を一〇〇としますと、現在行われております土地の取引というのは大体二〇です。実際、担保をとってあったものを抵当権を実行しますと、平均の回収率というのは一〇〇に対して一六とか一七とかいうことで、土地を担保にとっていても実際貸したお金はなかなか回収できない、そういう状況にあります。
 しかし一方では、一般国民は、土地の価格が常識的なところにあれば固定資産税もそうたくさん払わなくていいし、また相続のときも常識的なことで物事が処理できるということで、国民は喜んでいる面もありますし、住宅も建てやすい。そういうことでございますが、事土地神話に頼った銀行、金融機関は、この土地暴落でとにかく貸したお金が全く回収できない、そういういわゆる不良債権問題というのが発生しているわけでございます。
 この住専の問題も実はそういう不良債権問題の一環でございまして、住専ばかりでなくて、一般の金融機関、またノンバンクすべてもこういう問題を抱えておりまして、この総額が一体どのぐらいになるのかということは、公表されている不良債権あるいはまだ公表されていない債権、これはもう我々の常識を超えた不良債権を抱えて我が国社会というものは今走っているわけです。
 そこで、銀行局長にお伺いしたいんですが、今公表されている不良債権というのは、金融機関としては一体どのぐらいあるのか、またノンバンクの数字は恐らく持っておられないと思いますけれども、そういうものを足し合わせると、日本が国民としてあるいは政府として、あるいは金融機関として、ノンバンクとして処理しなければならない不良資産というのは今一体幾らわかっているのか、それをお伺いしたいんです。
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西
西村吉正#15
○西村政府委員 不良債権として私どもが都市銀行から信用組合に至るまで総計をいたしまして発表している計数がございます。昨年の九月末現在の数字として三十八兆円ということを申し上げてきたわけでございますけれども、最新時点、ことしの三月末におきまして三十四兆六千八百二十億円となっております。これはノンバンクに対する銀行の貸し付けのうち不良債権化したものをも含んでいるわけでございます。
 よく、ノンバンクの不良債権を加えなければいけないではないかという御指摘もございますが、ノンバンクの貸し付けの原資はほとんどが銀行等でございますので、それを加えるということになりますとダブルカウントになりますので、私どもはそういうものをも含めまして三十四兆六千八百二十億円、これが日本の全体の不良債権という考え方で臨んでいるところでございます。
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与謝野馨#16
○与謝野委員 いずれにしましても、これだけ三十数兆という不良債権を持っている金融機関が、産業資本にあるいは商業資本に資本を供給する、あるいは非常に積極的な姿勢で金融業務というものをやりませんと、やはり日本の景気というものは本物にならないということですから、私どもは金融機関の不良資産問題というのを、そう一年二年では解決できませんけれども、やはり今後二十一世紀を迎える日本としては、きちんと解決をして新しい時代を迎えなければならないと思っております。
 そこで、今回の問題になっております住専の処理の問題も、実はこれは金融機関の不良債権問題の処理の第一歩でございまして、日本の金融機関が抱えている不良債権問題の象徴的な存在としてこの住専の問題を政府・与党挙げて取り組んでいると私は思っております。
 しかし、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますけれども、必ずしもこの問題は国民の皆様方が十分まだ御理解いただけていない、まだ相当な批判が残っているという中で、大蔵大臣としては、やはりもう少し広く国民にこの問題の本質を御理解いただくという努力をしていただかなければならないと思いますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
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久保亘#17
○久保国務大臣 御指摘いただきましたように、住専の不良債権処理に関しましては、まだ国民の皆様方に十分な御理解をいただくに至っていない点がございます。特に私は、この処理方策の中で財政支出を行うことの必要性について御理解をいただく努力をさらに続けなければならないと思っておりますが、皆様方の両院を通じての熱心な御論議によりまして、住専問題を早期に処理しなければならないということについて、そしてまたこの住専問題の処理を通じて金融システムの安定のために、新たな時代における金融のあり方というものについても早急にその基本的な立場を確立しなければならないということについては、国民の皆様方の御理解を相当に深めていただいたものと考えております。
 今後この法案を成立をさしていただきましたならば、住専処理機構の今後の活動を通じて、その努力を通じてさらに国民の御理解をいただくように努力をしてまいりたいと考えております。
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与謝野馨#18
○与謝野委員 そこで、政府が使っておられる金融システムの安定という言葉は、実は非常にわかりづらい言葉でございます。私もこの住専の処理策をつくるときに与党の一員としてかかわったわけでございますけれども、私は財政資金をなぜ投入するのかということについてもう一度考えてみました。
 これは、住専が持っている資産十三兆のうち六兆五千億がもうとても返ってこない、六兆五千億、ちょうど半分だめになっちゃった。これは一体六兆五千億をだれが負担するかというときに、まあ金融機関、銀行は五兆二千億を負担します、系統の方は五千三百億負担しますというところまで話が来たんですが、そこから先は話が進まない。進まないんだけれども、六千八百億を投入すれば全部の問題が一挙に解決できるというときに、これは六千八百億を惜しんで投入しないでその後の混乱を招いた方がいいのか、六千八百億を投入して問題をその場で解決した方がいいのかという選択を、恐らく大蔵大臣も相当悩まれたと思うわけでございます。
 そこで、大蔵大臣にもう一度お伺いしたいのですが、財政資金を投入した方がいいという判断、大蔵当局として、やはり財政資金を投入してでもこの住専問題は解決した方がいい、国際社会からの要請からいっても、あるいは日本の景気を浮揚させるためにも、また社会的な混乱を起こさせないためにも、やはり財政資金は投入した方がいいんだという判断を多分どこかの時点で私は大蔵省としてされたと思うのですが、そういう判断をされた背景について、少しわかりやすく御説明をいただければと思います。
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久保亘#19
○久保国務大臣 これは、時間的に申し上げますならば、昨年の十二月十九日の閣議決定を行いました際に、財政資金の投入が最終的に決められるわけであります。その間に、かなり長い期間にわたりまして、政府におきましても、また与党の協議におきましても、金融制度調査会におきましても御議論をいただいてきたところでございます。
 最終的に財政資金の投入を行うことを決めますに当たりましても、これはやむを得ざる措置であるという判断であったと思います。これは、今与謝野さんがお話しになりましたように、日本経済の将来、それから日本の金融が、グローバル化が進みます中で国際的に果たすべき責任、そしてこの問題が早期に解決されなかった場合の影響、そういった問題について諸般の立場からの検討を重ねた結果、この際は、政策判断として、当事者であります銀行、系統金融機関等の負担し切れない部分について財政資金を投入してもこれを解決することが、将来、日本経済や日本の金融の問題を考えてまいります場合に最もとらざるを得ない、やむを得ざる措置だったと考えているのでございます。
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与謝野馨#20
○与謝野委員 今大蔵大臣が触れられましたように、この問題というのはどうしても系統の問題になっていくわけです。系統という言葉はなかなか国民の皆様方にはわかりづらい言葉でございます。これは農協、あるいは農協の連合体の県信連、あるいはその上部団体の農林中央金庫、この三つと県の共済連を入れたものを系統と我々呼んでいるわけでございますけれども、あの当時やはり農林系統の金融機関にも金余り現象が私はあったのだろうと思うのです。
 それで、系統の方は貸出先がなかなか見つからないということで、やはり住専に大きく貸し込んでいった。それは総量規制があったから貸し込んでいったというよりは、むしろやはり金余り現象があって、優良な貸出先がない、十分な金利が確保できないという中で、私は、系統の方々の経営方針というのはそう精緻なものでもなかったし、今考えると十分利口であったかどうかは別にして、系統の方の考え方が、やはり住専という会社は銀行が出資している、役員の名前を見てもみんな銀行出身の人たちが来てやっている、中には大蔵省の方もそこに行っているということで、農林系統の方から見れば、住専というのはこの世で最も信用のできる金融機関に映ったに違いない、ノンバンクに映ったに違いない。
 その点は私は系統には同情的なんですが、実際は、この住専の処理スキームというのは何を目指しているかというと、系統金融が住専に貸し込んだ五兆五千億のお金が無事系統に戻るような仕組みを実はつくっているわけです。
 その点、農林大臣、多少財政資金を使って、六千八百億も使って農林省の監督のもとにある系統金融を実際は救済しているんだという声がありますけれども、これはやはり真実の一面を私は含んでいると思いますが、農林大臣はその点についてどういうふうに思われますか。
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大原一三#21
○大原国務大臣 今委員御指摘のように、当時として、確かに住専というのは大蔵省の監督下に置かれたノンバンクでございますし、さらにまた、その設立の母体行の極めて優秀な銀行が関与していらっしゃること、さらにまたそのメンバーは、御指摘のように役員は大蔵省あるいは超一流銀行の重役の方々。
 御承知のように、今御指摘がありましたように、金余り現象、御指摘のとおりであります。貯貸率が非常に悪い。それが農林中金に参り、あるいは系統からいわゆるノンバンクである、しかも大蔵省直轄でございます住専に行ったという実情はまさに御指摘のとおりでございます。
 さはさりながら、大蔵大臣からお話ありましたように、十二月十九日の決着に際して、系統としては、いわゆる母体行責任ということをるる強調をいたしたわけでございます。その辺はもう何回も、委員の最初の予算委員会での御質問にもお答えしたところでございますが、何らかの負担を要請をされました。いろいろ計算してみますと、底は浅い、内部留保は少ない、そういう状況の中で、我々としては、ぎりぎりと申しますが、これ以上の負担をすれば次からの系統の金融の運営に支障があるということで、五千三百億円を前農林大臣のときに決定を見たと思っております。その際に、六千八百五十億円が投入されるということは我々としては全く関知していなかった、農林水産大臣はかように私に引き継ぎをいたしたわけでございます。
 いろいろ、委員御指摘のように解釈のしょうはございます。六千八百五十億がなければ一体どうなったであろうかということを考えますと、やはりあの決着のスキームの中でやむを得ない決断であったのではないのかな。御指摘のように、今回のスキームが壊れますと、五兆五千億円という融資が返ってこないという事態も予想されるし、さらにまた、利子の不払いが六百億ほど残っていますが、これについても焦げつきが出てくる可能性がございますので、我々としては、委員御指摘のとおり、現在のスキームが最上のもの、何とか早く決着をしてほしいというのが本音でございます。
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与謝野馨#22
○与謝野委員 やはり農林大臣、これは全体のスキームとしては、実は農林系統を救済するという色彩が非常に強いスキームなんですよ。別に農協とか県信連を助けようとしているわけじゃないですよ。これは、農協の系統の金融機関が持っている預金量というのは七十兆を超えているのですよ。七十兆という預金というのは一体どのぐらいの預金かと申しますと、日本全体の個人が持っている預金というのは大体七百兆をちょっと超えたところです。だからその十分の一を農協が持っているわけです。私どもは、農協という農業団体を助けたとは思っていないのです。農協という金融機関が今後健全性を確保していくためにこの住専処理スキームをつくったと思っております。
 七十兆というお金は並大抵のお金じゃないです。ちょっと三年ぐらい前の数字からいえば、イギリス国民が全体で持っている個人の総預金量というのは大体七十兆です。フランスも大体七十兆ですよ。だから、七十兆という預金量を持っているということは、金融機関としては相当の責任があるのです。その相当責任のある農林系統の判断が住専に五兆五千億も貸し込んだということについて、多少今、自省自戒の心はないのか。
 確かに金余りがあった。確かに住専というのは見かけは大変信用のあるノンバンクに見えたけれども、果たして系統金融が正しい判断をしていたのかなと私は疑問に思っているのです。同情すべき点はたくさんあります。住専というのは、見かけは大変優良会社です。しかし、そこに経営判断としての甘さがあったのではないかという御指摘については、農林大臣どういうふうに思われますか。
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大原一三#23
○大原国務大臣 今となってみますと、やはり自省自戒がなかったらうそであります。二度とこういうことが起きないような、いわゆる現在までの、端的に言えば農協系統金融機関は護送船団の代表選手でもあったかもしれません。その自己責任原則と透明性、ディスクロージャー、こういったことを果断に組織の改編と同時にやっていかなければならぬ使命を、私たちはしっかりこの問題を通じて委員御指摘のとおり自省自戒して受けとめなきゃならぬ、かように思います。
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与謝野馨#24
○与謝野委員 そこで総理に伺いたいのですが、この住専処理のスキームを実行しなくても金融不安は起こらないという人もいるわけです。いや、そうじゃなくて、やはりこれをちゃんとやっておかないと日本の金融の将来に対して多少不安だなという人もいる。この不安は起きないという人の主張も不安が起きるという主張もどっちも証明できないというときに、政治家はどう判断すべきかという問題が実はあるわけです。
 不安は起きない起きないという主張をする方もいるし、やはり将来ちょっと懸念されることがあるよというこの二つの主張があったときに、政治家はどっちの道を選ぶべきか。総理はどういうふうに考えられますか。
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橋本龍太郎#25
○橋本内閣総理大臣 今、大蔵大臣、また農水大臣からもそれぞれの角度で御答弁を申し上げましたように、私はこれは問題があると思っております。そして、本院におけるこの住専問題の御議論の中でも、私どもは日本の金融機関の抱える不良資産の問題を処理していくためのこれを突破口にしたい、喫緊の課題としてとらえました。一方で、氷山の一角というとらえ方をされていた御論議もあります。
 そして、仮にこの住専処理法案が成立をしないといった事態が起こりました場合に、系統への五兆五千億というのは、これは返ってまいりません。当然ながら大変な混乱を生ずることになります。そして、住専問題というものが、非常に多額の損失をめぐって多数の関係者の利害が非常に錯綜しているという状況であることはもう既に御承知のとおりでありますから、関係当事者間の話し合いだけでは解決を得られない深刻な状況を呈しておりました。
 そうした中におきまして、私は今回の住専処理策というものが国民の皆様の預金を守る、そして経済の動脈としての我が国の金融というものに対する内外の信頼性を確保する、そしてそれが景気回復を確実なものに、そうした考え方の中におきまして、我が国の命運に責任を持たなければならない政府・与党の立場として、まさに国民のために決断をしてきたもの、そういう位置づけをいたしております。
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与謝野馨#26
○与謝野委員 私は、橋本総理の御意見は正しいと思うのです。そういう金融不安は起きないという人と、それから起きるかもしれないという両説があって、どちらも証明できないときは、やはり政治家は安全な道を選ぶべきだと私は思うのです。
 こういう金融問題で国民を巻き込んで実験をするということはできないです。だから、用心深く用心深く政府がやるということは私は当然のことだし、今回、先ほど申し上げましたように系統の金融には七十兆の預金があって九百万人の預金者がいるわけです。今は世の中が発達していますから昔みたいな取りつけというのはなかなかないわけですけれども、我々が心配しなければならないのは、静かかつ大量の預金の移動ですよ。これもある種の形を変えた取りつけなんです。そういう預金シフトが起きますと、やはり金融機関の経営というのは危殆に瀕する。
 これは、私はこの予算委員会での住専問題の議論をずっと聞いておりますと、昭和二年の金融大恐慌のときの議論とそっくりの議論をしているのですよ。まず、その当時も政党間の政略的な争いがありました。そういう中で、昭和二年に政府が提出しました震災手形二法という法律が実は国会で議論されたわけです。
 そのときもどういうことが起きていたかというと、大正時代に第一次世界大戦があって日本は大変な好景気になった。その後関東大震災が来て、その前の好景気の反動プラス関東大震災ということで大変な大不況になった。そこでこの震災手形というのが振り出されて、震災地で手形を出せばそれを金融機関が割り引いてくれて、それを日本銀行が再割引するということで、日本銀行に膨大な不良債権がたまった。
 そこで、これは何とかしなければならないということで、その当時の若槻内閣が震災手形二法という法律を出して、一億円を限度として日本銀行のそういう債務を面倒見ましょうということだったのですが、まあ国会では大きな騒ぎになって、橋本総理のお父様の時代の政治家で星島二郎さんとか武藤山治さんとかという議員が質問に立って、質問は今野党の皆さんがやっている質問と全く一緒です。一つは、国民の膏血を一部政商に投入するのはけしからぬ。それから、情報開示なんというしゃれた言葉はなかったのだけれども、資料を見せろ、要するに情報開示をしろ、責任問題を明らかにしろ、こういう三つのことを延々とやっていたわけです。
 延々とやっていて結論が出ないうちに、三月十四日に、その当時の片岡大蔵大臣が予算委員会の場で、きょうとうとう渡辺銀行が破綻に至りましてという答弁をした途端に渡辺銀行、中井銀行ほか二行が取りつけに遭って、金融恐慌のスタートがあったわけです。
 それで、衆議院と貴族院は慌ててとにかくこの震災手形二法というのを国会で通す。しかし、その当時は天皇の御裁可を得なければならないから、枢密院というのがあって、四月十七日にこの震災手形二法というのを否決するわけです。否決する理由は、台湾銀行の責任が明らかでないからこの法律は通せないということで、若槻内閣が倒れて田中義一内閣に移ったわけです。
 それはいいのですが、実は、野党がその後この震災手形を処理しなければならないといって出した法案は、若槻内閣が出した法案と全く同じ。しかし、そこで政治がこういう金融問題を政治的に利用したために、結果的に政府の支出というのは、一億円であればよかったものが最終的には七億円のお金が要った。七億円、七倍のお金が要ったわけです。ですから、こういう金融問題を余り政党間の政治に利用しますと、結果は国民経済が大変な混乱になる。しかも、結果的には政府の財政支出というのはその当時でも七倍になった。ですから、これは我々はやはり歴史に学ばなければならないところがあるわけですよ。
 それで、この昭和二年に金融の問題の処理を国会が失敗したために、政治が失敗したためにどういうことが起きたか。昭和四年にはウォール街で株の大暴落があった。日本は大不況になりました。もう失業者があふれる、会社が倒産をする、いろいろな金融機関もどんどん倒産する、そういう一連の引き金を、実は政治の不手際が引き金を引いたのですよ。
 だから私は、この住専の問題は政党の政略には利用してはならない。静かに迅速に解決するということがやはり政治が国民に対して果たさなければならない責任だと私は思うのです。これは、金融問題でそのときにとにかく失敗したために、五・一五事件とか満州事変とか二・二六とか、ずっと暗い時代の幕あけになった。やはりこれは、国会が政党の政略を離れて国民のために迅速に処理をしなければならない責任があると私は思うのです。
 先ほど総理もそういうことをおっしゃいましたが、この住専の処理というものは、実は住専の問題ではなくて日本の金融体系全体の問題だということを、やはり総理の言葉でこの場から国民にきちんとお訴えをする必要があるのじゃないかと思います。
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橋本龍太郎#27
○橋本内閣総理大臣 今まで何回も繰り返して申し上げてまいりましたが、先ほど政府委員の答弁でも、日本の金融機関の抱えております不良資産、三十八兆円と言われておりましたものが多少減価して、今三十四兆幾らという話がございました。しかし、その金融機関の不良資産を処理していかなければ我々は新たな金融秩序というものの再構築に向かえないわけであります。
 そして、ここでも何遍も議論になりましたように、かつて、護送船団方式と言われる行政の指導の中で、我が国の金融システムというものはそれなりに安定してまいりました。そして私は、その時代においてはその護送船団方式と言われたやり方は正しかったと思います。しかし、その後金融自由化が進み、金融というものを取り巻く環境が大きく変化してくる中で、行政の対応がおくれたこともこれは事実です。そして今、自己責任原則というもの、透明性というものを非常に大きく掲げながら新たな金融秩序を構築しようとする時点におきまして、我々はこの不良資産の問題を処理しなければならないのです。
 そして私は、ですから、氷山の一角と言われた野党の言い方も間違っているとは思いません。同時に、我々はこれを突破口として不良資産の処理をしていこうとしているのだという我々の視点も間違ってはいないということだけはお認めをいただきたい。
 そして、全力を挙げて、この住専問題を突破口として我々は不良資産問題を処理しながら新たな金融秩序の再構築に全力を挙げて取り組んでいく、そして金融自由化の時代にふさわしい金融の仕組みというものを、改めて国民の信任を得られるものにしていこうと全力を尽くしております。ぜひ御協力をいただきたいと思います。
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与謝野馨#28
○与謝野委員 大蔵大臣、金融機関に対して預金者が信頼を持つというのがやはり信用秩序の第一歩だと私は思うのです。
 金融不安というのは起きないんだということをよく言う人がいますけれども、金融不安というのはちょっとしたことで実は起きるのです。
 例えば、愛知県のある市の大変信用のある信用金庫で起きた事件をお話ししますと、その信用金庫に実は就職したいと思った女子高校生がいた。ところが、成績が十分でなくてその信用金庫に就職できなかった。帰りの電車かバスの中で友達とつり革につかまって、あんな信用金庫、近くつぶれるわよ、こう言ったのです。そうしたら、前に座っていたおばさんが多少慌てん坊で、その信用金庫が本当につぶれると思ってしまった。家に帰って、その信用金庫から自分の預金を全部おろすと同時に、親戚じゆうに全部電話した。親戚も全部預金をおろして、親戚もおしゃべりが多くて町じゅうの人に全部話した。そうしたら、その信用金庫にはもう町じゅうの市民が殺到して実は取りつけが起きたのです。それで、日本銀行の名古屋支店は現金をトラックでどんどん輸送して、その不安を抑えるために預金の払い戻しに応じたという有名な事件が、実はもう二十年ぐらい前にあったわけです。
 そのぐらい、ちょっとしたマッチをすれば金融不安というのは起きるのです。金融不安が起きますと、直ちにそういう金融機関というのは経営危機に瀕するのです。だから、預金者が不安を持たないというのが金融行政の第一歩であり肝心かなめのところだろうと私は思うのです。
 ですから、今回の住専処理スキームは、私は東京出身の代議士ですから何の農協に同情する余地はないし農協の方におつき合いはないのですが、やはり系統金融に預金をしている九百万人の預金者に不安と動揺を与えないというところが一番肝心かなめのところだと思うのです。
 そのためには、少し農林系統の五千三百億は少ないのじゃないかという批判が、実は農林大臣、あるのですよ。もうちょっと出していただけませんかという声が実はあるのですが、五千三百億というのは本当に系統金融のぎりぎりの体力の限界なのか。これはこの前から農林大臣の答弁、いろいろ聞いていますが、本当にぎりぎりなのかという点についてはまだ私自身納得してない。その点についてもう一度御説明をいただけないでしょうか。
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大原一三#29
○大原国務大臣 何回もお答えをしたつもりでありますけれども、五千三百億円が、農協にとってなお負担余力があるのではないかという御質問だと思います。
 端的に申しまして、農協の内部留保というのは、協同組合でございますから、いわゆる内部留保をしない、必要最小限度にとどめるというのが協同組織の本則でございます。したがって、現在内部留保は、七年三月の決算では正直に言って一兆三千億円しかございませんでした。その中の五千三百億を拠出するのでありますから、金融機関としての経営に影響を与えるところは極めて甚大でございます。もし委員御指摘のように破産が起き倒産が起きるということになれば、支払い余力がないではないかという御指摘も受けざるを得ないわけでございます。
 しかも、五千三百億を端的に九百万の預金者で割っていただきますと、一人六万円でございます。その一人当たりで一家五人の場合は五、六、三十万、これを拠出しているのでありますから、これ以上農家、農民にさらなる負担をよこせというのは、いわゆる母体行の超大型の内部留保と、さらにまた預金者の負担ということを考えますと、明らかに均衡を失するのではないか、こう私は今考えております。
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