行財政改革・税制等に関する特別委員会

1998-05-28 参議院 全122発言

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会議録情報#0
平成十年五月二十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     朝日 俊弘君     小山 峰男君
     清水 澄子君     渡辺 四郎君
     阿部 幸代君     有働 正治君
     緒方 靖夫君     須藤美也子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                石渡 清元君
                片山虎之助君
                釜本 邦茂君
                高木 正明君
                野間  赳君
                伊藤 基隆君
                小島 慶三君
                荒木 清寛君
                赤桐  操君
    委 員
                石井 道子君
                海老原義彦君
                鎌田 要人君
                亀谷 博昭君
                久世 公堯君
                国井 正幸君
                須藤良太郎君
                田村 公平君
                常田 享詳君
                長尾 立子君
                松村 龍二君
                三浦 一水君
                石田 美栄君
                小川 勝也君
                小山 峰男君
                竹村 泰子君
                寺崎 昭久君
                牛嶋  正君
                海野 義孝君
                益田 洋介君
                渡辺 孝男君
                渡辺 四郎君
                有働 正治君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                阿曽田 清君
                星野 朋市君
                佐藤 道夫君
                奥村 展三君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       大武健一郎君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   参考人
       野村総合研究所
       研究理事     富田 俊基君
       日本労働組合総
       連合会経済産業
       局長       芹生 琢也君
       明治大学政治経
       済学部教授
       富士総合研究所
       客員理事     高木  勝君
       中央大学法学部
       教授       貝塚 啓明君
       地球市民ジャー
       ナリスト工房代
       表        早房 長治君
       日本大学法学部
       教授       北野 弘久君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
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遠藤要#1
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 本日は、四案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることとしております。
 参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、四法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 それでは、まず富田参考人からお願いいたします。
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富田俊基#2
○参考人(富田俊基君) 御指名をいただきました野村総合研究所の富田俊基でございます。
 国と地方の借金残高が国内総生産を超えるという事態を迎えた我が国経済と財政運営のあり方について、意見を申し述べさせていただきます。
 昨年来に銀行と証券会社が相次いで破綻し、アジアの国々で通貨・経済危機が深刻化いたしました。戦後の我が国が経験したことのなかった悪条件が内外で重なって起こったため、ビジネスマインドは萎縮し、個人消費も落ち込みました。これに対処しようとするために、財政構造改革法が改正され、十六兆円の景気対策が発動されようとしております。
 だが、こうした伝統的な景気対策は今回でもう打ちどめにしなければならないと思います。冷戦後に世界レベルで進行している産業構造の歴史的な大変化に我が国も積極的に対応を進めねばならないからであります。そして、政府の債務残高が本年度当初予算の段階でGDPを上回るという新しい事態を迎えたからであります。
 合計四兆円の特別減税では不十分なので、レーガンの大規模減税に倣ってそれを恒久化すべきだという主張が散見されます。しかし、八一年のレーガン大規模減税によって財政赤字が巨額になり、金利が高騰し、八〇年代のアメリカ産業界が大きな打撃をこうむったことを忘れてはなりません。
 この反省から、第二期レーガン政権は八六年に課税ベースを広げ、所得税と法人税の最高税率を引き下げるという税収中立の税制改正を行いました。だが、八一年大規模減税のもたらした負の遺産は極めて大きく、九〇年にブッシュ大統領が、そして九三年にクリントン大統領がそれぞれ増税を行わざるを得なくなりました。この八一年のレーガン減税の教訓は、減税がもたらす税収増は減税規模にはるかに及ばないこと、このためにやがて増税が必要になるということであります。
 現在のアメリカの好景気は、レーガン減税がもたらしたものでは全くありません。企業の事業再構築と情報通信技術の積極活用、そしてそれらを容易にしたカーター政権から今日に至るまで継続しております息の長い規制緩和によるものであります。企業は大胆なリストラクチャリングを実施し、労働インセンティブを高めながら雇用コストを抑制いたしました。そして、柔軟な労働市場が産業構造の転換を円滑にしたのであります。
 我が国の財政構造改革法もアメリカに倣って弾力化すべきであるということになりました。確かに、アメリカのOBRAには、戦争と低成長の場合、歳出拡大や減税でキャップを超えても一律削減は行わないという弾力条項があります。だが、アメリカでは弾力条項を発動したことはありません。
 OBRAの歳出一律削減の停止要件は、二四半期連続して見通しがマイナスあるいは実績が一%未満の成長の場合です。この停止要件を満たすという報告が九〇年十一月のOBRA導入時点から九一年七-九月までの間に三回行われました。しかし、三回とも財政健全化が優先されるべきだとして、上院で圧倒的多数で否決されました。また、下院では一度も採決が行われておりません。弾力条項は発動されなかったのであります。アメリカに見習うべきはこの点にあると私は思います。
 ヨーロッパ通貨統合の参加国にも、財政赤字をGDP比で三%以下にするという基準があります。それを守らないと制裁を受けます。制裁が免除されますのは、その年の実質経済成長率がマイナス二%以下という厳しい弾力条項であります。
 こうした欧米主要国に照らして考えますと、今後我が国で経済成長率がプラス一%未満が半年続いた、あるいは続きそうだということで安易に弾力条項を発動するとなると、日本はGDPまでPKOする国なのかと、市場経済の基本原則まで問われることになりはしないだろうか。さらに、景気が少しでも後退すれば政府が公共投資や減税を行ってくれるということでは、国民、企業の行政依存心を助長し、古い産業構造が温存され、我が国経済は活力を本当に失ってしまうことになりかねません。
 既に、国と地方の債務残高は一〇〇%を超えました。政府債務が高い水準で国債を増発すると予期せざる現象が発生することがあります。景気対策が将来に対するコンフィデンスを悪化させ、逆に景気後退を深刻化させるという危険な現象が発生することが知られております。これは非ケインズ効果、ノンケインジアン・エフェクトとして知られております。九一年から九四年のスウェーデンでは、減税によって逆に景気後退が深刻化しました。八九年から九三年のイタリアでは、歳出拡大が持続的に行われたことで九三年に深刻な景気後退に見舞われました。
 政府債務が巨額に達しているのに、国債を増発して恒久的な減税をすると、きょうの減税はあすの悪いニュースだという予想が国民の間に広がります。国債の負担が将来世代にではなく、みずからに増税として降りかかってくることを国民が悟るようになります。つまり、最後の審判の日が近づいたと感じる。このために、消費が抑制されるという非ケインズ効果があらわれることになります。
 逆に、持続的な歳出削減を行うと景気拡大につながる可能性があります。政府の債務残高対GDP比が上昇から下降に転じ、その持続性が確信されますと、将来増税されるであろうという国民の不安感が軽減されるためと考えられます。八三年から八六年のデンマーク、そして八七年から八九年のアイルランドがこの事例であります。
 日本には巨額の貯蓄があるから、まだまだ国債を発行しても大丈夫だという主張があります。しかし、貯蓄は個人の私有財産であって、国債の償還財源ではありません。国債は我々が自分から借金をするという不思議な政策手段であります。しかし、その本質は将来の税負担の現在価値であるということであります。国債の負債としての側面を無視して、国債の増発と減税は歓迎などというのは、国という共同体を忘れた身勝手で無責任きわまりない主張というふうに私は思います。
 今後の我が国の経済・財政運営は、政府債務が先進国ではまれに見る高水準に達したことを踏まえたものでなければなりません。右肩上がりやバブルの時代が終わったのであるから、規制緩和と構造政策によって民間経済の持てるダイナミズムを最大限に引き出し、持続可能な成長を促進していくことが必要であります。
 九二年から九五年までと同様に、景気が後退したからといっては安易にカンフル的景気対策を累次にわたって繰り返し、将来の税負担をふやすことは今後はできないと考えられます。将来の国民負担率を五〇%以下に抑えるという財政構造改革法の根本を遵守し、粛々と財政の健全化を進めるべきであります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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遠藤要#3
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 次に、芹生参考人にお願いいたします。
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芹生琢也#4
○参考人(芹生琢也君) 連合で経済・産業政策を担当している芹生と申します。
 本日は、当委員会において私たちの意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。経済対策のあり方を中心にいたしまして連合の見解を申させていただきたいと思います。
 まず、今日の日本経済の現状でございますが、今デフレスパイラルの危機に直面しているということで、戦後最悪の不況だということはそれぞれ専門的な機関からも指摘されているとおりであります。そうした中で、雇用情勢、この三月の完全失業率は三・九%と統計史上最悪を記録しておりまして、有効求人倍率も〇・五八%、職を求める人二人について職にありつける人はほぼ一人といった状態が続いております。今有効な対策が打たれなければ、我が国においても大失業時代を招来しかねないという懸念があります。
 こうした深刻な不況を一日も早く打開し、雇用と国民生活の安定を図ることこそ今日の政治の最優先課題であるということを強調いたしたいというふうに思います。
 そしてもう一点、私が申したいのは、この不況の引き金を引いたのはほかならぬ政府であったということでございます。
 一年前の九七年度の予算では、財政構造改革元年と銘打ちまして、消費税率の引き上げあるいは特別減税の停止、医療負担増など九兆円に及ぶ国民負担増が行われました。その結果、個人消費が停滞し、さらに昨年秋以降、金融不安の高まりで景気が急速に失速する中で、昨年秋の臨時国会では財政構造改革法というのが成立いたしました。そのもとで、九八年度の予算というのはこれまた超緊縮で編成され、そして今国会で成立したところであります。
 確かに、今回の不況というのはいろいろな要因が重なっておりますけれども、景気に対する判断を誤り、デフレ政策をとった政府の政策の失敗というのをその大きな要因に挙げるべきではないかというふうに思います。その意味で、まさしく政策不況であると言うべきだというふうに考えます。
 政府も、九八年度予算が成立した後で、ことしの四月二十四日、総合経済対策を発表いたしました。この総合経済対策は、総事業費十六兆円超ということで過去最大の規模の対策となっております。しかし、これで十分なのか、この深刻な消費不況と高失業を打開できるのかというふうに問いますと、この経済対策の内容では残念ながら不十分と言わざるを得ないというふうに思います。
 景気を回復させるためには、GDPの約六割を占める個人消費の回復が不可欠であります。そのために最も有効な政策というのは所得減税であろうというふうに思います。今回、二兆円の特別減税が追加実施され、さらに来年度も二兆円の特別減税が実施をされるということでありますけれども、一時的な特別減税では消費刺激効果というのは限られたものにとどまらざるを得ないというふうに思います。こうした特別減税の小出しではなく、恒久的な制度減税として減税は実施されるべきであろうというふうに考えます。
 公共事業につきましても、二十一世紀につながる生活、環境、福祉基盤の拡充あるいは高度情報社会に向けた新社会資本の整備にシフトすべきであろうというふうに私たちは考えております。今回の景気対策として行われる公共事業が果たしてこのようなものになっておるかどうか、参議院選挙を控えて従来型のばらまきとなっていないかどうか検証する必要があろうかというふうに考えております。
 このような政府の経済対策に対しまして、私たち連合としては、雇用と生活安定のために以下のような経済対策を実行すべきであるというふうに考えております。
 まず第一には、先ほどからも申しております所得減税の制度化を中心にしまして、政策減税、投資減税を含めて総額六兆円規模の減税というのが実施されるべきであるというふうに考えております。あわせて、可処分所得や消費支出の落ち込みが顕著な子育て世帯あるいは高齢者に対する施策として、児童手当あるいはシルバー手当の支給というものが行われるべきであろうというふうに考えます。
 さらに、私たち労働組合の立場から特に強調いたしたいのは緊急雇用対策の実施であります。特に、当面は五十万人規模の雇用創出を目指した緊急雇用対策が実施されるべきであろうというふうに考えます。
 新しい雇用創出が期待できる分野としては、私たちは住宅あるいは情報通信、環境、福祉・医療といった分野を挙げているところですが、連合と日経連が共同して、こうした分野における新規事業あるいは新規雇用の創出対策というのを政府に求めているところであります。特に、福祉につきましては、新ゴールドプランの前倒し実施、さらにはスーパーゴールドプランというものを策定して介護マンパワーを確保するといった面の充実を図り、この面における雇用創出というものを図るべきであろうというふうに考えます。
 あわせて、新規雇い入れに対する助成策として特定求職者雇用開発助成金について、これは今回の総合経済対策の中でも年齢を四十五歳に引き下げるというふうになっておりますけれども、この年齢制限を外し、あるいは助成率についても思い切って引き上げるといった措置が必要であろうというふうに思います。
 そのほか、雇用調整助成金制度の拡大あるいは労働者個人を対象とした教育訓練の給付金制度の拡充、さらには地域雇用対策の強化といった対策というのが直ちに実行されるべきであろうというふうに考えます。
 私が強調したいのは、雇用と福祉に対する先行きの不安といったことが現在の国民の消費マインドを萎縮させているということであります。したがって、経済対策の基本は、雇用の安定と福祉の再構築を中心とする国民の暮らしの安定に置くべきだというふうに考えます。
 財政構造改革法の見直し問題ともこれは関連いたしますけれども、医療や年金に関するこの間の政府の政策あるいは政府首脳の言動というものを見ておりますと、社会保障に対する国民の不安をかき立て、先行きに対する不安から国民を自己防衛に向かわせ、消費を一層萎縮させる方向に働いているというふうに言わざるを得ません。
 私たちは、政府に対して、今後の少子・高齢社会のもとで国民が安心できる安定的な福祉、社会保障の全体像を示す二十一世紀福祉ビジョンというものを策定し、そのもとで負担と給付のあり方を検討するということを求めております。
 財政再建の必要から、毎年の社会保障費にキャップをかけるというのは転倒したあり方であろうというふうに考えます。二十一世紀福祉ビジョンのもとで必要となる社会保障費を確保するために歳出構造をどう変えていくか、そうした政策の優先順位を明らかにして、限られた財源を必要なところにシフトさせていくというのが本来の財政構造改革のあり方ではないかというふうに考えます。
 財政構造改革法について、私たちは従来から、第一に、この財政構造改革法の内容は、歳出の量的削減に傾斜して政策の優先順位に基づく歳出構造の改革とはなっていない、つまり構造改革の名に値しないということ。また、財政再建の基盤は経済成長なしにはあり得ません。中期的に持続する経済成長なしには財政再建というものは成功したためしがありません。そして、今の状況のもとで歳出削減を行うということは、不況を深刻化することになり、かえって財政再建を失敗に終わらせるということになるのではないかといった点を指摘してまいりました。
 今回の財政構造改革法の改正案を見ますと、まず第一に、経済情勢において特例公債の発行枠を弾力化する、そういう弾力化を可能とするといった措置、さらには財政健全化目標を二〇〇三年から二〇〇五年へ二年間延長する、さらには来年度当初予算において社会保障費のキャップを緩和するといったことが内容になっておりますけれども、いかにも中途半端であるというふうに言わざるを得ません。政府の改正案では恐らく制度減税には対応できないということは明らかであります。
 したがって、私たちは、財政構造改革法については、景気回復が確実となるまで、当面二年程度全面的にこれを凍結した上で、二十一世紀の少子・高齢社会に対応した財政構造とするために抜本的な修正というのを行うべきであろうというふうに考えます。
 いずれにしても、今日の深刻な不況を一日も早く打開し、雇用と国民生活の安定を図るためにどうか立派な政策をお願いしたいということを指摘しまして、私の意見表明を終わらせていただきたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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遠藤要#5
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 次に、高木参考人にお願いいたします。
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高木勝#6
○参考人(高木勝君) 私は富士総合研究所の客員理事及び明治大学の政治経済学部の教授として日々経済あるいは金融状況をフォローしている者でございます。
 本日は、参考人といたしまして当特別委員会にお招きをいただきましたことにつきまして、まことに光栄に存じております。これからいろいろ私なりの意見を発表させていただきますが、十分間ということでもございますので、論点を絞った上でポイントのところをお話しさせていただきたいと思っております。
 第一は、現在御審議中の財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、この中で特に気になる点あるいは申し上げたい点を申し上げてまいります。
 まず、景気の認識でありますけれども、九七年の春、既に景気がピークを打ってその後は景気後退局面にある、しかも昨年の十一月ぐらいからはそれに金融システムの混乱あるいは金融機関の破綻という事例が起きて、一段と景気の状況を悪化させて今日に至っているのではないかというのが私の見方であります。
 そういった点で今回改正する法律案を考えますと、既に景気が後退をしてから一年以上たってようやく法律を改正して弾力的に財政運営をしていこうということですが、残念ながら余りにも遅かったのではないか、景気の実態とは大分タイム的にギャップがあったというふうに私は思っております。
 いろいろと理由はあると思いますが、このような政策転換の大きなおくれ、その一つはやはり政府が財政構造改革あるいは財政再建にどうもこだわり過ぎたのではないかと力いつまでもこれに足を引っ張られた結果、景気の方は冒頭申しましたように日に日に悪くなっていたんですけれども、対応がおくれてしまったのではないか、このように認識をしております。
 今申しましたように、今回の景気は相当厳しく、デフレ的な色彩も非常に強まっているわけでありますが、やっぱり景気認識の誤り、そしてその後の気がついたときのおくれ、これがかなり大きな問題になって、結果的にはこういった法律の改正もおくれたのではないか、かように認識しております。
 今回の景気がなぜ悪くなったかというそもそもの議論でありますけれども、金融機関が破綻したりあるいはアジアの通貨が混乱したことが原因ではないと思います。とかくこのように言う見方もございますけれども、やはり昨年度の初めからなされた財政デフレ四点セット、これは私が勝手に自分でつくっている言葉でございますが、いわゆる消費税の三%から五%への引き上げ、あるいは特別減税の打ち切り、そしてまた医療費の自己負担の増大あるいは一部社会保険料の負担の増大、もう一点は公共投資を縮減したと、九七年度の話でありますが、こういった四つの財政デフレの結果、起こるべくして景気は悪くなったのではないか。そういう意味では、文字どおり政策によってもたらされた不況というふうに言わざるを得ないと私は考えております。本来なら避けられた不況ではないか、人為的に引き起こされた不況だろう、このように現状をとらえております。こういった点にまず判断の誤りが一つあったと思います。
 それから二番目には、そういう中で政府の景気認識は、昨年の後半まで緩やかな回復ということを言い続けてきました。月例経済報告を見ても、いつまでも回復という一文字がとれなかった。ようやくここへ来て厳しいとなっておりますが、こういったそもそもの現状認識の誤りとそのおくれというのが結果的には景気をここまで悪くしたわけですし、またその政策対応も今言いましたように一年以上もおくれてしまった最大の要因ではないか、かように考えております。
 さて、中身の問題でありますけれども、今回の総合経済対策でいわゆる所得税、住民税の減税規模を四兆円にするというのが既に発表されておりますけれども、実態的には私は新たな追加の減税規模というのは二兆円にすぎないのではないかと考えております。残る二兆円は来年の早い段階で実施されるということですが、そもそも来年の話でもありますし、ことし二月に行われた特別減税二兆円の単なる継続にすぎないのではないか。となりますと、経済的な効果という点では、来年の分についてはプラマイゼロでありまして、景気浮揚、個人消費を引き上げるという意味では、これから行われます二兆円がすべてではないか。既にこの二月に二兆円をやっておりますけれども、これからという点では二兆円にすぎないのではないか、このように思っております。
 それからもう一点は、そういう意味では金額が非常に少ないということでございますし、二番目の問題点は、特別減税という形で相変わらず実行しようという点でございます。特別減税ということは、いずれ打ち切りになる。その時点では増税になることと等しいわけですから、どうしても消費に与えるプラスの刺激効果というのは低下してしまう、こういう問題が残っているのではないか。したがって、私は金額も少なかったと思うし、それから同時に特別減税ではなくてやはり恒久減税、制度減税にすべきではなかったかというふうに思います。
 このような視点に立ちますと、結局は弾力条項だけでは不十分でありまして、そういう意味では、今回は一部改正ということになっておりますけれども、抜本的にいずれ見直さないといけない時期が来るのではないか。今回の総合経済対策でも、所得税全体を制度的に見直すという文言も入っております。ということは、いずれ恒久減税という話になると思うんですが、こうなれば、二〇〇三年度から二〇〇五年度に財政目標の時限を二年延長したところで、結局はそれはまた果たせない話になるのではないか。
 いずれにしても、今回は仮にこの一部改正で可決、成立したとしても、早晩また財政構造改革法の抜本的見直しが必要になってくるのではないか、このように考えている次第であります。
 もう一点は、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案であります。
 私はこの面で申し上げたい点は、現在は公共投資を追加するよりもやはり個人の所得税減税を第一に考えるべきではないかというのが基本的な見方であります。公共投資を追加するというのももちろん経済にはプラスの効果がございますけれども、あくまでも関連する業界にとどまる。かつてのように、それが一定の時間を置いて日本経済全体にプラスの効果が波及するというのであれば結構なんですが、どうも九〇年代以降の公共投資の追加による効果を見ますと、非常に一時的なものにとどまっておりますし、そのプラスの範囲も非常に限定的なものにとどまっておるということが言えるのではないかと思います。
 一方、減税の方につきましては、納税者に対して全員プラスのメリットが及ぶということで非常に幅広いわけですし、同時に現在の不況はある意味で消費不況でもあるわけであります。そういった面では、とにかく消費を持ち上げていく、回復させるというのが第一ですから、やはり減税を中心に考えるべきではないかというふうに思っております。
 このような考え方に対して、公共投資の方が経済効果は大きいんだ、減税はほとんどが貯蓄に回って効果が余りないという意見があることは重々承知しております。確かに実施の初年度においては減税というものの四割から五割は貯蓄に回るのは過去の経験則で示されているわけでありますが、問題は次年度以降にも減税の効果というのが残るという点であります。ところが、公共投資の方は財源を使い果たしますと一応その限りでプラスの効果は消えるということでありまして、初年度だけをとって公共事業の方が効果があるんだというのは必ずしも適切な分析ではないんじゃないか、このように思っております。
 それからもう一点は、小さな政府というのを中長期的には我々日本は目指さなきゃいけないわけですが、そういった点からも減税というのは小さ唐政府に向けた第一歩ではないか。減税をするということは歳入を減らすわけですが、そのことが結果的にはその後の歳出削減へのプレッシャーになるというのも間違いないと思います。ところが、公共事業の追加というのはまさに歳出の増加であって、これは大きな政府をさらに進めるということでもあるわけで、中長期的な視点からいっても減税主体で対策は考えるべきではないか、私はこのように考えております。
 そういった中で、減税については、先ほどもちょっと触れましたように、新たな減税の規模二兆円というのは不足であります。新たな追加としてやはり五兆円程度はやるべきではないかというのが第一点であります。
 二番目は、扱い方でありますが、特別減税ではなくて恒久減税を展望すべきではないか。必ずそのときには財源が必要になりますが、直ちに消費税を引き上げるといった短絡的な意見ではなくて、歳出の徹底的な見直しがなされていないのではないかというのを常々感じております。
 九八年度予算でもいろいろ努力したということでありますが、歳出総額は前年対比ふえてい各ということで、果たして抜本的な切り込みがなされているかどうか甚だ疑問であります。徹底的な歳出削減というのがまず第一であって、そしてどうしても足らないときには間接税あるいは消費税の引き上げ等を考えていくというのが順序ではないかと思います。
 それからもう一点は、せっかく減税をやるんですが、支給方法にも一工夫が必要ではないかと思います。前回、二月に行われたものというのは基本的には給料振り込みでありますから、結局は預金通帳の残高がふえているだけであります。したがって、それをおろさないということであれば結局は貯蓄に回るわけです。
 減税をやるに際しては、商品券というのも一つのアイデアではありますが、なかなか難しい面もあるようであります。少なくともこの減税の分については現金支給をしたらどうか。昔は給料は全部現金袋に入っていたわけですが、いわゆる現金で支給をする。そうなると、またそれを金融機関に持っていって預金する人というのは余りいないんじゃないか。額が多ければ別でありますが、今回の一人当たりあるいは一世帯当たりの支給額から見ると、結局それは消費に使うのではないかということで、減税の具体的な支給方法にも一工夫あっていいのではないか、このように考えております。
 私からは以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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遠藤要#7
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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三浦一水#8
○三浦一水君 自由民主党の三浦一水でございます。
 参考人の皆様方には、本当にお忙しい中、きょうは駆けつけていただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
 今回、財革法の改正と所得税減税の法案、私はこの二点について三人の参考人の皆様方に御質問をしたいと思うわけでございます。
 きょうの赤字はあすの増税ということで、私はこの財政改革というものは基本的に避けて通れないという認識であります。それがまた我々の世代の責任であるという思いを持ちながら、昨年来、この改革法案に取り組みをしたところでございます。
 残念ながら、予測をはるかに上回るというと予測は甘かったと言わざるを得ないわけでございますけれども、大変な景気不況の中でこのような緊急避難的な取り組みをしなければならない。したがって、総合経済対策をかつてない規模で打っていかなければならないという状況につきましては若干の残念な思いも持つわけでございますが、そのような中で、きょうは三人の先生方の御意見を伺ってまいりたいと思います。
 まず、富田先生にお尋ねをしたいと思うんですが、総合経済対策の評価という点についてでありますけれども、今回の総合経済対策につきましては、いわゆる国内経済の立て直しという面だけではなくして、アジアまでを見通したその支援策も盛り込んだものであると私は理解をしているわけでございます。広くアジアの景気回復に努力をしていくというのは我が国の一つの責務ではなかろうかと考えておるわけでございますが、その意味におきましても、補正予算とともに、この裏づけとしての財革関連法案、この一刻も早い成立が私は必要だと考えております。
 富田先生は、政府が発表した総合経済対策をどのように評価なさっており、またアジア経済の回復にどのような貢献を具体的に果たすことができるか、その点につきまして参考人としての御意見を賜りたいと思います。
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富田俊基#9
○参考人(富田俊基君) この十六兆円の景気対策の効果という先生の御質問でございますが、効果の尺度をどこに持つかということが非常に重要かと思います。
 成長率は高ければ高いほどいいんだということでいきますと、それなりの効果を、つまり成長率を高める、数字を高めるという効果はあると思います。しかしながら、非常に重要な点は、世界で起こっております産業構造の変化に対して我が国の産業が供給サイドから適応力を持つということが大きな課題でありますので、それに対してどういう効果があるかということについては私はいささか消極的に評価せざるを得ないかと思います。成長率の押し上げ効果という点では、乗数効果で試算すれば成長率は二%程度高まるというのは、さまざまなモデルでそういう試算が可能かと思われます。
 また、先生お尋ねのアジア経済回復への貢献ということでございますが、アジア各国は非常に大きく通貨が切り下がっておりましてその影響も出てまいりまして、アジアからの輸入は、アジアから見れば日本が円高になっているわけでございまして、この三月、四月、かなり回復の兆しが見られます。昨年、非常にアジアからの輸入が落ち込んで、このこともアジア各国の経済を悪化させる一因になったということが言えようかと思うんですけれども、年が明けて三月、四月とアジアからの輸入は、アジア通貨の下落ということを反映いたしましてふえてきているということで、こうした景気対策による需要面での効果よりも価格によります調整といったことが大きな効果を持っているんではないかというふうに存じます。
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三浦一水#10
○三浦一水君 次に、富田先生、芹生先生、高木先生、それぞれにお尋ねをしたいと思うんですが、景気対策と財革の整合性についてであります。
 我が国の経済の悪化といいますのは、大企業においてはもちろんであります。山一証券、北海道拓殖銀行、例を挙げるにいとまはないという感じがするわけでございます。同時に、こうした大企業だけじゃなくして、私の地元でございます熊本県も実に中小零細企業が多いわけでございますが、このようなところの悩み、うめきというものは相当ひどいものがある。それはもう三人の先生方もよく御存じのところかと考えております。このまま中央経済におきましても経済の悪化が続いていくならば、大変その状態に憂慮をするところでございます。
 今回の経済対策は、先ほど申しましたように、史上最大規模の十六兆円ということでございますけれども、これは政府及び我々自由民主党としましても景気回復に対して強い決意で臨みたい、そのようなあらわれだとお受けとめをいただければと思うところでございます。
 しかしながら、今回の財革法の改正におきましては、あくまでも我々は緊急避難的な措置であるという認識を持っておりますし、財政改革の必要性は、先ほど申しましたように、変わるものではないというふうに考えております。また、政府もこのような答弁の中に見解を述べられているわけでございます。
 しかるに、経済対策と財政構造改革につきましては、先ほど来先生方の所見の中にもありましたように、相反する面も多々あるのかという思いがいたします。
 そのような状況の中で、参考人の皆様方に改めてこの景気回復とそれから財政構造改革の整合性について、あるいはそれをどう図るべきか、それぞれの御意見を賜りたいと思います。
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富田俊基#11
○参考人(富田俊基君) 景気回復と財政再建の整合性という非常に重要な問題についての先生の御質問でございますが、時間軸で考えるということが一つの考え方であろうかと思います。
 現在、戦前にはよく起こっていたわけですけれども、戦後には経験したことのないことが去年起こったということで、一時異例ということで財政再建のテンポを緩めるということをとったわけでして、短期的にはこういう措置でありますが、長期的に考えますと、基本的にはより重要な問題がある。それは今の人口予測でありますと、二〇〇七年から我が国の人口が減少する、そしてよく言われますように急速に高齢化する。そういう中で、果たして社会保障でありますとかさまざまな国の制度が、維持可能な形で現在設計されたものになっているかということをやはり問わねばなりません。
 そういう意味におきまして、私は、今回全くの一時異例の対応でありまして、やはり基本的にはそうした我が国におきます長期的な維持可能な社会保障制度を中心といたします諸制度をどう構築していくか、それと財政健全化ということがやはり表裏一体の問題としてあるというふうに認識しております。
 政府が、景気が悪くなったら対策をやれば景気はよくなるのだというものでは決してないというふうに私は思います。言葉をかえますと、景気が悪くなって、企業家、経営者が古い事業を整理し、新しい事業の準備をしなければ景気は回復しないわけであります。つまり、構造が変わらないまま事業を拡大いたしましても、それは新しい景気の拡大をもたらさないということであります。そうした民間の持てるダイナミズムということを前提にして、またそれを引き出すように規制緩和を促進する。
 そういう意味におきまして、先生御指摘の景気回復と財政再建ということは、我が国の方向として、財政健全化と規制緩和を両軸として活力ある社会を建設することが極めて重要だというふうに考えます。
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芹生琢也#12
○参考人(芹生琢也君) 景気対策と財政構造改革の整合性ということですけれども、まず私たちも、財政構造改革というのは二十一世紀の少子・高齢社会に向けまして中長期的に非常に重要な課題だというふうに認識をいたしております。
 しかし、そのための経済的な基盤というのは、先ほども申しましたように、ある程度の持続的な経済成長というのが不可避ではないかというふうに考えております。アメリカあるいはイギリス等で財政状態が好転したということですけれども、それもやはり経済の好調さというのがその条件になっていたというふうに理解をいたしております。
 もう一点、財政構造改革法の最も重要な側面というのは、そうした財政赤字の量という問題というよりは、むしろ政策の優先順位を見直して歳出構造をどう変えるかということにあろうかというふうに考えております。その点からいえば、社会保障を今後の重要な政策の中心目標にするということ、それから公共事業についてもその事業内容と仕組みにメスを入れるということこそが重要ではないかというのを考え方として我々は持っております。
 以上です。
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高木勝#13
○参考人(高木勝君) お答えいたします。
 財政再建の必要性あるいは財政の構造改革の必要性というのは、これは当然であります。中長期的に、この大変厳しい状況を一刻も早く直していくというのは極めて重要であります。しかし、当面という点で言えば、景気がここまで悪化している以上は、まず景気を回復させるというのが優先順位としては先だろう。
 したがって、必ずしも両者は矛盾することではなくて、中長期的には財政構造改革を思い切って進める。しかし、短期的には景気の悪さというのを受けて、まずは景気をよくするということでよろしいのではないか。必ずしも両者は矛盾するものではなく、時間軸の違いで整理できるんではないか、このように思っております。
 それからもう一点、現状について言えば、経済あっての財政再建であって、財政再建あっての経済ではないと。本末転倒の議論が時々ございますけれども、これはやはり短期的にはまず経済をよくする、経済を安定した状況に持っていくというのが先であって、今の時期において財政構造改革、財政再建というのは全く逆の考え方ではないか、このように考えております。
 以上でございます。
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三浦一水#14
○三浦一水君 ありがとうございました。
 ところで、富田先生にお尋ねをしたいわけですが、先生の先般、五月二十五日の「金融財政」という雑誌の中で書かれました論文でありますけれども、今回の財軍法改正案のいわゆる弾力条項につきましては、その基準が甘いといったような御趣旨で御意見を述べておられました。
 富田先生は、それでは我が国の財政構造改革については具体的にどのようにすればいいとお考えなのか、あるいはまた財革法に対する弾力条項は具体的にどのようにすればいいというお考えなのか、この二点、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
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富田俊基#15
○参考人(富田俊基君) この改正案におきましては、成長率でいえば実績で一%未満、あるいは先行指標となります三つの重要な経済指標で見て、それに相当するような景気の状態が非常に悪いという判断でございます。
 しかしながら、この前期比年率一%という基準を私が甘いと考えますのは、これまでは非常に高い右肩上がりの成長であった、またその末期にはバブルというものがあって非常に高い成長率であったわけでございます。
 八〇年代を振り返ってみますと、我が国の持てる潜在成長率は四%程度でございました。しかし、冷戦が終えんいたしまして世界レベルで大きく産業構造は変わる、中国等が安価で豊富な労働力で世界市場に参入したわけでございまして、大きく産業構造が変わる。そういう中で、我が国の持てる潜在成長力も二%弱のところにまで低下してきております。加えて、生産年齢人口の低下でございます。そうした持てる力が二%なのに、一%未満というのはいかにも甘い。
 もし、これを厳密にといいますか安易に一%未満になったらすぐに景気対策をやるんだということをやっておりますと、これは崩壊してしまった計画経済みたいな感じを恐らくは先進工業国は持つんではないか。また、民間企業、国民におきましては、景気が悪くなった方がいい、どんどん減税してくれるんじゃないか、公共事業をやってくれるんじゃないかということで、国全体のモラルがめちゃくちゃになりまして、かつてのソビエトのように崩壊してしまう危険すらある。
 そういう意味におきまして、アメリカにおいて、弾力条項があってもそれを議会で冷静、厳密に判断いたしまして発動することはなかったということは極めて重要だと私は思います。また、欧州におきましては、制裁が解除されるのはマイナス二%成長未満という非常に厳しいいわば弾力条項であるというふうに考えます。
 以上でございます。
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三浦一水#16
○三浦一水君 ありがとうございました。
 重ねて富田先生にお尋ねをしたいと思うんですが、地方の財政問題についてちょっと御所見をいただきたいと思います。
 財軍法では地方財政の健全化も定めているところでございますが、その一方で、今回の総合経済対策の中で地方の単独事業につきましては一兆五千億を地方に対して要請しているという状況があるわけであります。財革法が成立する際、我々参議院としましては、政府に対しまして地方公共団体の自主的かつ自立的な財政運営が可能となる環境の整備に努めるよう附帯決議をしたところでございます。
 現在、地方自治体は国以上に財政的に苦しいと言えるのではないかと思います。このような地方自治体に対しまして国が財政出動を要請することに対していささか疑問も持つわけでございます。
 富田先生、あるいはほかの先生もお考えがあれば、この点につきまして、国と地方自治体の財政分担について御意見を賜りたいと思います。
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富田俊基#17
○参考人(富田俊基君) これは私の理解でありますが、今回の判断が戦後国民が経験したことのない事態だということ、そして国民生活に及ぼす影響が極めて重大だというふうな判断があって、国だけではなしに地方にもそういう要請があったのだという解釈ができるかと思います。
 しかしながら、基本的には、やはり地方におきます地方債の累増、そのことが利払い費の増加をもたらして将来の地方住民の生活を圧迫する可能性というのが当然あるわけでございまして、まさに私、先生がおっしゃられました御指摘に同意させていただきます。
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三浦一水#18
○三浦一水君 ありがとうございます。
 芹生参考人、この点、御意見ございますか。
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芹生琢也#19
○参考人(芹生琢也君) 確かに、今回の総合経済対策の中で公共事業、特に地方単独事業についての一・五兆円というのは政府からの要請ということでありまして、これが果たしてそのとおり実行できるかどうかというのは甚だ疑問のあるところであります。特に、地方の財政状況というのは今、先生がおっしゃったとおりの状況であろうかというふうに思います。
 私たちは、国と地方の財政のあり方については、これは現在進んでおります地方分権推進委員会での議論、この中でも特に財政構造の分権化も含めて十分見直すべきであろうというふうに考えておりまして、したがって、そうした基本的な構造的な改革というのを目指すというのが基本的なあり方であろうと思います。
 そういう点で、確かに地方においても経済対策というのは努力すべきでありましょうが、それを許す財政事情というものであるかどうかという点については極めて憂慮しているところでございます。
 以上です。
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三浦一水#20
○三浦一水君 貴重な意見、ありがとうございました。
 次に、所得税の減税についてお尋ねをしていきたいと思います。
 今回の所得税改正法案におきましては、夫婦と子供二人の標準世帯で七万二千五百円という減税額を考えておるわけでございますが、これは定額方式であります。国民の中には、中高年齢所得者ほど消費が落ち込んでいる、したがって定額方式よりも定率方式による方が景気刺激策になるんではないかという考え方もあるようでございますが、この点、富田先生はどうお考えになりますでしょうか。
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富田俊基#21
○参考人(富田俊基君) 景気対策の効果として定額がいいのか定率がいいのかというのは私にはよくわかりません。
 減税というのは、国民もなかなか長い視点で自分の生活を考えるようになっておりますので、いずれどこかで増税があるんではないかというふうに考えますので、いわゆる乗数効果というのは非常に低いものになってしまいます。
 しかし、定額というのは、所得税を払わない方の数を著しくふやす。それの意味することは、我が国の民主主義にとっても極めて重要な危険な状況をもたらすんではないかと思うんです。やはり税を支払うというのは政治参加の必要要件、基本要件であるわけでございます。
 そういう意味におきまして、一時異例の対策ということで定額になったんでしょうけれども、やはり基本的には定額、定率ということよりも税制全体のあり方を、税収中立の前提で税制改正を検討していくというのが基本であろうというふうに存じます。
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三浦一水#22
○三浦一水君 最後に一点。
 時間の関係もありますので、富田、芹生参考人に端的に、減税は効果として是か否かということについて所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
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富田俊基#23
○参考人(富田俊基君) 減税は将来の増税につながるという予想がだんだん高まってまいりますので、これは否定的に考えねばなりません。
 したがいまして、税による経済の活性化を図るということであれば、税収中立を前提にして課税ベースを広げ、そして限界税率を低めるということが基本的な方向であると存じます。
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芹生琢也#24
○参考人(芹生琢也君) 現在の不況の性格、特に消費不況の現況を考えますと、選択すべき政策という意味では減税、特に所得減税というのが一番有効であり、またこの間の国民生活の改善に資するものであろうというふうに考えます。
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三浦一水#25
○三浦一水君 ありがとうございました。
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石田美栄#26
○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。
 ただいま三人の参考人の皆様には、経済対策あるいは財政再建を軸に、日本の将来をいろいろ心配し、国の将来展望を描く上でどうかという理論を展開なさいました。それぞれに御専門の長いそういう研究の立場で、私はそれに対等に議論をというようなことはとてもできないんですが、いずれにしましても、こうした将来を考えるときに、バブルの後遺症を引きずる中で、これからの日本全体の少子・高齢化、人口構造が高齢化する将来にどう対応するかということが非常に重要であるわけです。
 その中で、私は、国会議員になってまだ五年で、それ以前は女性学という分野の研究者でございました。岡山の出身なのですが、岡山といったような地方でも、私の体験でも二十年近く以前から、地域の女性が集まって公民館で研究会をずっとしておりました。
 そこでの議論は、私たち、日々の生活を担い、子供を産み育て、そして老人介護、嫁しゅうとの問題を含めて、そういうことを話している中で、バブルに踊っていたそのときにも、今みんなが大騒ぎしているような人口の高齢化、こんな景気がいいときに、私は瀬戸大橋のできたすぐそばの方に住んでおりますが、瀬戸大橋にしても、瀬戸内海に三つも橋がかかるというバブルをどんどんやっている中で、私たち女性はもう将来の介護のことを考えて、こんなにお金がたくさんあるときにどうしてもっと福祉とか考えられないのかという議論はよくしておりました。
 そして、人口が減っていくことも、やがて人口が半分になるだろうということも議論しておりました。日本の人口が半分になったときのことを考えると、それはひょっとしたらいいのかもしれないけれども、世代間のギャップをどう乗り越えるかという立場から、今回のいろいろな議論の中にも、確かに高齢化のことは平成七年に高齢社会対策基本法ができて、白書が出され、この二、三日中にも十年度の白書が出るようでございますが、高齢化対応には介護保険も含めて、介護保険のことなどももう本当に十何年も前からみんなで議論しておりましたし、いろんな活動もしていたわけです。
 高齢化のことについてはいろいろと始まっているようですけれども、私は特に少子化のことは、本当にこれでいいのかな、国家が人口をコントロールするというふうなことはいろいろな懸念がございます。例えば建設国債を考えても、六十年の償還、六十年先を考えてしているとすれば、それはそのときには社会資本として将来に残るんだというけれども、道路ができ空港ができた、今の計算ですと、今から約五十年すれば人口が一億くらいになる、百年たてば五千万になると言われている。
 私たちの思うのは、出生率ですね、今一・四二。これも予測を上回ってどんどん修正されているし、今のような日本の社会、子供の環境も含めていろんな意味で日本の社会全体の価値観に由来すると思うんですけれども、少子化、出生率の低下というのは、私はもっと今の予測以上に進むと思っております。
 将来のそういうことを含めて、今の経済、景気のことが議論の中心に、そして将来の財政構造、国全体の財政の問題が論じられているんですけれども、人口構造の高齢化、少子化、こういうことを含めて御専門の立場で今までの御研究の中、どういうふうにお考えになっているのか、あるいは私が今申し上げたことで、それはこう考えるというふうな御意見を、三人の参考人からそれぞれにお伺いしたいと思います。
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富田俊基#27
○参考人(富田俊基君) 非常に難しい問題で、先生の方が詳しいように私、御質問を伺っていて存じたんですけれども、少子化は、私も余り勉強したことはないんですが、やはり結婚なさらない女性、一生子供をおつくりにならない女性の比率が上がっていることが大きな要因だろうと思います。それ以前は晩婚化で少子化が進んでいるんだろうというふうに思われていたのですけれども、どうも今のところは結婚なさらない女性がふえてきた。
 我が国は、当然、市場経済と民主主義を軸とする国でありますので、それに対してとやかく政府の介入がある、あるいは政治の介入があるというのは、私は基本的にはおかしなことかと思います。
 とはいえ、経済面で考えるべきことは、男女における雇用の問題、これはやはり能力をベースとして平等にあるべきだと。また、そういうことから考えまして、ただ女性の出産に対する配慮等の問題といったこともあるかと思います。しかしながら、昨今起こっていますことは、いろんな新しいタイプの保育所ができたりいたしまして、結婚して出産しても仕事が継続できるような環境というのが徐々に整い始めたのではないかなというふうに思います。
 こういう問題を、例えば教育費がかかるから課税最低限を引き上げると申しますか、税額控除するとか、いろんなことが一部に提案なされておりますけれども、実はどこかの年齢で、幼稚園までのところは減税するといえば、小学校に入った途端増税になるという話がまた出てまいります。また、高校生、大学生に粒金がかかるんだから減税だということになれば、じゃ社会人になったっていいだろうとか、わけのわからない理屈にもなってまいります。
 そういう意味で、私は個別に税制面から政策減税で優遇していくということについては問題があろうかと。やはり民間におきます介護サービスも徐々にそういうものが活発になってくると思いますけれども、保育、介護等の民間の活動といったもののニーズが高まれば出てくるものだというふうに私は存じます。
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芹生琢也#28
○参考人(芹生琢也君) 少子化対策というのは非常に重要な課題だというふうに考えております。
 今の日本の現状というのは、子供を産み育てる条件、環境というのは非常に厳しいものになっておると思います。それが基本的に少子化を考える上での重要なポイントだと思います。ただ、いわゆる育児というのを女性だけの任務にするといったようなあり方、これも同時に改めていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 いずれにしても、少子化あるいは高齢社会に対応するというのは、今後の私たちの政策の最も基本的なテーマであろうと思いますし、景気対策もそういった基本的なテーマに沿うというふうな形で実行されることが望ましいというふうに考えております。
 そうした考え方から、私たちも今回景気対策の内容の一つとして、児童手当制度の抜本的な改革というのを含めているところであります。児童手当というのは、確かにヨーロッパの事例等とか見ても一つの有効な手だてかというふうに思います。現行は、児童手当は三歳までということでありますけれども、これを少なくとも義務教育終了時点までというふうに延長させまして、支給額も現行の倍程度には、つまり第一子、第二子については一万円、それから第三子以降は二万円といったような引き上げというのは早晩行われるべきだと思いますし、私たちは、今回景気対策ということで財源等々を投じるなら、こういう児童手当制度というものの抜本的な改正というのも行うべきであろうというふうに考えております。
 以上でございます。
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高木勝#29
○参考人(高木勝君) お答えいたします。
 先ほど財政構造改革の必要性は中長期的には極めて重要ということを申しましたが、それと同時に、現在非常に急ピッチで進んでおります少子化、高齢化ということを考えると、ますます歳出の各項目の徹底的な見直しが必要ではないかというのを考えております。
 具体的に言えば公共事業関係費でありますが、これまでの公共事業関係費の決まり方はあくまでも増分主義、前年度対比幾らふやすんだと。ようやくここへ来まして財政構造改革ということで、キャップ制ということなんですが、これもあくまでも前年度の数字をどうするかということで、すべて基準は前年度に置かれている。もうこういった時代はそろそろ終えないといけないのではないかと思うんですね。
 特に少子・高齢化が急ピッチで進む以上は、もう一回ゼロベーストパジェット的にゼロから考え直していくということが極めて必要であって、このまま毎年のように額がふえていくとなりますと、当然人口の減少も起こってまいりますし、高齢化というようなことから考えますと、極めてむだの多い公共投資の構造になるのではないか。最近は公共事業も非常にむだが多いということが指摘されております。
 そもそもコストが民間ベースと比べても二、三割高いという問題があるし、それから同時に、本当に有効に活用されていない。ただばらまかれたお金を使ってとにかく何かやるんだと、これでは全く意味がないわけで、特に最近の非常に残念な例としては、苫小牧東部の開発でありますが、巨額な金が既に累積的には流れているわけですが、結局はすべてうまくいっていない。どうもこれでは事業の継続は無理だというようなことが言われておりますが、こういったものは、結果論かもしれませんけれども、やはりむだが多かった。ましてや、これから少子・高齢化ということが進みますと、本当に有効活用できるのかどうか、費用対効果がどうなのか、これを徹底的に分析し、公共事業を毎年ふやすなんという増分主義はこれからは一切とれないのではないか、また、とってはならないのではないか、かように考えております。
 それからもう一点は、いわゆる社会保障関係費についてもそうなんでありますが、黙っていますと少子・高齢化でますますその費用は膨らむわけであります。しかしながら、やはりどこかに必ず限界が起こるわけで、いよいよ我々は選択を迫られているのではないか。高福祉高負担でいくのか、あるいはもう小福祉小負担でいくのか、こういった選択を我々はしなきゃいけない時期に来ているのではないかと思います。高齢化、少子化ということを考えると、今のような体制を続けていくことは難しいのではないか。あくまでもいわゆる若年層、現役層の日々の生活を守るということが極めて重要でございますから、そういう意味では基本的には小福祉小負担あるいは小福祉中負担で推移させるべきではないか。
 そういったことで、この辺も発想の大転換をしていきませんと、黙っていると社会保障関係費はどんどんふえる。今回の財政構造改革法の改正でも、九九年度の社会保障関係費についてはキャップを外されたというのがありますけれども、これも果たしてよかったのかどうか。こういったことがそもそも出発点で起こると、今後もそういうことで例外事項がどんどん生じて、ますます歳出の規模が膨らむ一方ではないか。やっぱり国民的選択をもう求めなきゃいけない時期にあるのではないか。あくまでも高齢者も自助努力といいますか、自分のことは自分でやるんだという考え方をもっと強めていく時期にあるのではないか、このように考えております。
 以上でございます。
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