日米防衛協力のための指針に関する特別委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成十一年四月二十一日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 山崎 拓君
理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
理事 玉沢徳一郎君 理事 中谷 元君
理事 中山 利生君 理事 畑 英次郎君
理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君
理事 西村 眞悟君
安倍 晋三君 相沢 英之君
浅野 勝人君 大石 秀政君
河井 克行君 瓦 力君
小島 敏男君 桜田 義孝君
菅 義偉君 田村 憲久君
西川 公也君 萩野 浩基君
萩山 教嚴君 平林 鴻三君
福田 康夫君 細田 博之君
宮腰 光寛君 宮島 大典君
吉川 貴盛君 米田 建三君
伊藤 英成君 上原 康助君
岡田 克也君 桑原 豊君
玄葉光一郎君 土肥 隆一君
横路 孝弘君 漆原 良夫君
佐藤 茂樹君 山中あき子君
若松 謙維君 東 祥三君
井上 喜一君 達増 拓也君
児玉 健次君 佐々木陸海君
伊藤 茂君 辻元 清美君
出席公述人
初代内閣安全保
障室長 佐々 淳行君
松阪大学政治経
済学部教授 浜谷 英博君
中央大学総合政
策学部大学院客
員教授 森本 敏君
元陸上自衛隊中
部方面総監・陸
将 松島 悠佐君
日本電信電話株
式会社特別参与 佐久間 一君
大阪大学法学部
教授 坂元 一哉君
専修大学法学部
教授 隅野 隆徳君
東京国際大学国
際関係学部教授 前田 哲男君
委員外の出席者
衆議院調査局日
米防衛協力のた
めの指針に関す
る特別調査室長 田中 達郎君
—————————————
委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
大島 理森君 萩野 浩基君
阪上 善秀君 菅 義偉君
西川 公也君 吉川 貴盛君
赤松 正雄君 漆原 良夫君
木島日出夫君 児玉 健次君
同日
辞任 補欠選任
菅 義偉君 阪上 善秀君
萩野 浩基君 大島 理森君
吉川 貴盛君 西川 公也君
漆原 良夫君 赤松 正雄君
児玉 健次君 木島日出夫君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号)
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一〇九号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一一〇号)
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この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 山崎 拓君
理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
理事 玉沢徳一郎君 理事 中谷 元君
理事 中山 利生君 理事 畑 英次郎君
理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君
理事 西村 眞悟君
安倍 晋三君 相沢 英之君
浅野 勝人君 大石 秀政君
河井 克行君 瓦 力君
小島 敏男君 桜田 義孝君
菅 義偉君 田村 憲久君
西川 公也君 萩野 浩基君
萩山 教嚴君 平林 鴻三君
福田 康夫君 細田 博之君
宮腰 光寛君 宮島 大典君
吉川 貴盛君 米田 建三君
伊藤 英成君 上原 康助君
岡田 克也君 桑原 豊君
玄葉光一郎君 土肥 隆一君
横路 孝弘君 漆原 良夫君
佐藤 茂樹君 山中あき子君
若松 謙維君 東 祥三君
井上 喜一君 達増 拓也君
児玉 健次君 佐々木陸海君
伊藤 茂君 辻元 清美君
出席公述人
初代内閣安全保
障室長 佐々 淳行君
松阪大学政治経
済学部教授 浜谷 英博君
中央大学総合政
策学部大学院客
員教授 森本 敏君
元陸上自衛隊中
部方面総監・陸
将 松島 悠佐君
日本電信電話株
式会社特別参与 佐久間 一君
大阪大学法学部
教授 坂元 一哉君
専修大学法学部
教授 隅野 隆徳君
東京国際大学国
際関係学部教授 前田 哲男君
委員外の出席者
衆議院調査局日
米防衛協力のた
めの指針に関す
る特別調査室長 田中 達郎君
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
大島 理森君 萩野 浩基君
阪上 善秀君 菅 義偉君
西川 公也君 吉川 貴盛君
赤松 正雄君 漆原 良夫君
木島日出夫君 児玉 健次君
同日
辞任 補欠選任
菅 義偉君 阪上 善秀君
萩野 浩基君 大島 理森君
吉川 貴盛君 西川 公也君
漆原 良夫君 赤松 正雄君
児玉 健次君 木島日出夫君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号)
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一〇九号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十二回国会閣法第一一〇号)
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山
山崎拓#1
○山崎委員長 これより会議を開きます。
第百四十二回国会、内閣提出、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案件について公聴会を行います。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
佐々公述人、浜谷公述人、森本公述人、松島公述人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
それでは、佐々公述人にお願いをいたします。
この発言だけを見る →第百四十二回国会、内閣提出、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案件について公聴会を行います。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
佐々公述人、浜谷公述人、森本公述人、松島公述人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
それでは、佐々公述人にお願いをいたします。
佐
佐々淳行#2
○佐々公述人 おはようございます。佐々淳行でございます。
本日は、現在審議中のいわゆるガイドライン法ほか三法について、かつて防衛庁、内閣安全保障室長として十二年間安全保障問題に政府委員として取り組んでまいりました者として所見を申し述べたいと存じます。
まず、私が防衛庁に移りましたころは、神学論争がほぼ終わって、総論から各論へ、条約論争から協定あるいは政令の問題、法律の問題から政令の問題、あるいは抽象論から具体論へ、こういう過渡期に私は防衛庁に出向いたしまして、そして昭和三十五年、一九六〇年六月二十三日に制定されました日米安保条約が、その多くの部分を協定あるいは政令にゆだねていながら、長い間抽象論で終始をしておった時代が確かにございました。
この時代におきましては、いわゆる米ソ冷戦構造が確立されており、核均衡のもと、日本は、特に日本周辺はアメリカ軍の絶対的な制海権、制空権のもとにございまして、今日日本国民が不安を感じておりますような周辺事態というものはまず起こらないであろうと、しかも冷戦が一九八九年のマルタ会談を機会に終わるなんということは夢にも思わず、今世紀中はこの状態が続くと思っておりました。そういう状況のもとでは、台湾海峡の波が高くなったり、あるいは三十八度線がおかしくなったり、そういう難民が大量に流出してくるとか、こういうことはあり得ない、こういう想定のもとに、実はこれは政治も行政も具体案、具体的な協定あるいはマニュアル、ガイドライン、こういうものをつくることを大変怠っておったと私は感じております。
特に、日米安保条約というのは御承知のように二つの重要な条文がございます。第五条、これが、日本が攻撃をされた場合アメリカが日本と共同して日本を防衛するという、アメリカの日本防衛義務。しかしながら、憲法九条の関係がございますので、アメリカが攻撃をされても日本はこれに参加をすることはできないし、しない。そのかわり、今度は第六条でございますが、第六条で、米軍が日本及び極東の平和と安全のために行動を起こした場合の施設及び区域の提供、後方支援、これが第六条の条約上の義務でございます。
第五条、すなわち日本が攻撃されたときの問題につきましては、だんだん情勢が変わってまいりました段階で、昭和五十三年のたしか十一月だったと思いますが、いわゆる旧ガイドライン、これが日米間で結ばれまして、その第五条攻撃があった場合の日米共同の対処のガイドライン、共同訓練もこれで始まりました。一九八〇年からは、例えばリムパック、二年ごとに行われておりますリムパックに参加をする。これも私、政府委員で答弁をさせていただきましたが、違憲であるという御意見の政党が当時はございましたけれども、訓練はいいんだということで、これは合憲ということで通った。この辺が大体第五条のお話なのでございます。
第六条というのは、日本の周辺、特に、これは一九六〇年一月の十九日でございますけれども、岸・ハーター協定というのが結ばれているんですね。岸・ハーター交換公文というのがございまして、これによりまして、第六条、この事態については事前協議をしましょう、そして日米共同の委員会をつくりましょう、同数の委員を出し合って、そして主として三つの大きな問題は、事前協議、プライアーコンサルテーションといたしましょう、こういうことが決まりました。だから、実はもう一九六〇年から今日問題になっておるその六条の後方支援の問題というのは法律が決まり交換公文があったのでございますけれども、これの具体的な制度化、マニュアル化、これはずっとおくれておりました。
この三つのポイントというのは、第一が、兵力の師団単位の配備の変更、第二が、主要な装備の変更、三番目が、実は今周辺整備法でやっておりますところの在日米軍が極東有事に際して直接戦闘行動を起こした場合の後方支援、これが事前協議マターとなっております。直接戦闘行動と書いてございます。
そして、大体極東の平和と安全というのは何だ。これは当然昭和三十五年の安保論議のときに国会で論議し尽くされまして、統一見解が出、これは日本と極東の平和と安全に寄与するという日米安保条約の範囲内のことだよと、これが第六条だよと、したがってこの極東の概念というのは、当時中華民国、それから韓国、フィリピン以北の海域、これが大体その範囲内に含まれると。地理的な概念だったんですね。
そして、その範囲をどうして決めるかというと、在日米軍の軍事作戦能力なんです。行って帰ってこられる範囲。したがって、例えば横須賀を母港として中東に行ったのが事前協議を無視した違反である、岸・ハーター協定違反であるというのは誤りでありまして、直接戦闘行動でございます。これが今問題になっておる、こういうことでございまして、第六条は、その意味では、日本が絶対に米軍の制海権、制空権のもとで安全であるということ、そして潜在的脅威となっておったのがかつてのソ連であった、こういうところから、おのずからその五条中心になっておったわけですね。
それが一九九〇年代になりまして、湾岸戦争があり、さらにはソ連の崩壊、これによって冷戦構造が崩壊をいたしまして、現在コソボで行われているような低次元紛争であるとか宗教紛争であるとか民族紛争であるとか、あるいは様式を異にした軍事脅威、すなわちテロ、破壊活動、あるいは核の拡散、運搬手段の拡散とどんどんどんどん脅威の性格が変わってしまって、かつそれが大きな現実の問題になってきた。つまり、アメリカが絶対的な制空権、制海権を失い、かつ政策変更があった。こういうところから、日本にとっての具体的な問題になってきた。
そういう意味合いにおきまして、私は長い間、政府委員をやっている間、考えておったのでありますけれども、抽象論、神学論争をもういい加減にやめたらどうだ、こう長いこと思っておりました。それが今日ようやく具体的な政策論になってきた、ガイドライン法になってきた。これはまことに我が国の安全保障政策前進のために喜ばしいことであると、まずこの委員会の御努力に対し敬意を表する次第であります。
そして、この法案そのものがどうしてこんなに厄介なことになっちゃったかといいますと、やはり戦後一つ一つ整理しなきゃいけなかった独立主権国家としての安全保障上の政策と、安保条約に基づく、第六条の後方支援あるいは施設・区域の提供義務と、昭和三十一年十二月十八日にようやく参加をいたしました国連の、第七章第四十一条及び四十二条、制裁ですね、四十一条制裁ということが基本になっているようでありますが、非軍事的な制裁、経済的な制裁のときに封鎖、経済封鎖が行われる。この船舶の臨検の問題がここに入っている。こういう独立主権国家の話と、六条の話と、安保参加国としての義務とがごちゃまぜになって一つの法案に入っているところから難しさが出ておる。
周辺事態という概念は、かつて三十年間の安全保障論議の中には出てまいっておりません。これは、台湾の地位が変わったということ、アメリカの政策の微妙な変化あるいは中国の姿勢、これらから、こういうちょっとあいまいな言葉を選ぶという選択を政府が、自民党がなさったのはやむを得ないと私は理解をいたします。
いずれにせよ、何にもないよりは何かできた方がいいのでありまして、その意味で、私は、本案の速やかなる成立を希望するものでございます。
ごちゃまぜになっていると申しましたが、例えば九六年、橋本・クリントン首脳会談で日米安保条約の意義の再確認が行われました際に、四つの安全保障にかかわる具体的な指示が政策論として橋本総理から行政の各部に下されました。
第一が邦人の保護、救出の問題、第二番目が難民対策、第三番目が重要防護対象、例えば原子力発電所、これの警備の問題。御承知のように、これは今ガードマンが特殊警棒を持って守っているのでありまして、世界じゅう、軍隊も警察も守っていない原子力発電所なんというのはございません。これを何とかせいやというのが三番目。四番目が、今議論されております第六条の後方支援の問題、在日米軍が極東有事で行動した場合の後方支援、これをしっかり詰めろよというのが、九六年の橋本総理の行政命令でございました。
これに対して、今提案されておる第一、邦人救出というのが、まさに自衛隊法の一部改正案、百条の八に船舶を加えよう、艦船を加えよう、輸送艦。「おおすみ」という大型の輸送艦、ヘリコプターとホバークラフト搭載のものをつくったのでありますけれども、これを仮に極東有事の際に何か派遣しよう、邦人救出のために派遣しようとしても、これができない。これを何とかしてもらいたいというのが一つ。いわばこれは新しい課題であったと思います。
二番目の難民。これも、今回ようやくこの難民対策について日米合同して周辺地域においてやろうや、こうなっておるのでございます。だけれども、まだ残念ながら、国内法的にいいますと、これを、どんどん運んでこられたものを法務省がやるのか、外務省の国連局が人道上やるのか、警察、消防がやるのか、地方自治体がやるのか決まっていない。こういう点、問題点が残っております。
それから、三番目の重要防護対象の警備でございますけれども、これも、原子力発電所の警備については、この日本の安全保障体制に大きな欠陥がある。すなわち、領土、領空、領海という主権の侵害に対する取り締まりの法律がございませんし、これはけしからぬ罪なんですね。死刑、無期、長期三年以上の刑、正当防衛でも緊急避難でもなければ、海上保安庁の巡視船も海上自衛艦も、ねらって撃つことができない。
これは、実は領空侵犯、八十四条も同じなんでございます。八十四条で、私、実は政府委員で答弁をいたしまして、武器の使用と書いていないものですから、必要な措置を講じさせるものと書いてあるものですから、共産党さんの質問に対して私は大変苦労して答弁をして、必要な措置の中には武器の使用は当然国際通念上入っているんだと答えたら、これが今統一見解になっております。それで、沖縄の領空侵犯に対して使用ができた、こういうことに相なっておるわけでございますが、これもまだ十分でございません。
それから、どうしてもこの審議について二点だけ特に御要望を申し上げたいと思いますのは、この事前承認、これは与党も譲歩なさって、事前承認になりつつあるようであります。原則として事前承認、緊急の事態はこれを除くとなっておりますが、これは私は、情勢が緊迫をしてきて、当然閣議も行われ、安全保障会議も行われ、日米の情報交換もあって、そして国会上程、こういうことになるのでありますから、日本国の安危にかかわる、国民の生命にかかわる問題があったときに、野党さんといえども、この修正案を出した以上は、審議拒否なんというのはまさかなさらないだろう、こういう御信頼を申し上げて、この条件はいいのではないだろうか。
緊急の場合というのはどういう場合をいうのか、これをやはりきちんとある程度つくっておかなきゃいかぬのかな。周辺事態というのは、これはサラウンディングスとは何だといってアメリカ人から聞かれても、私ども困ります。新しい概念ですし。シチュエーションというのは何だと言われると、地球の裏側まで行っていいという意見からありますけれども、これはやはり安保の枠内という現在の政府見解が正しいのではないだろうかと思います。これが一点であります。
もう一点は、私、実は防衛庁におりました場合に、有事法制の第一分類、これは防衛庁の所管する法令。第二分類、他の諸省庁の所管する法令、道交法だとか何だとか。それから第三分類、これは内閣に行ってからやりましたけれども、どの省庁にも属さざる仕事、例えばジュネーブ協定に基づく捕虜虐待禁止条約なんというのはだれがやるんだ、人権擁護で法務省がやるのか、外務省がやるのか、防衛庁がやるのか、地方自治体がやるのか、全然決まっていないわけです。こういう問題をやはりきちんと決めなきゃいけない。
それから、百三条というのがございます。自衛隊法百三条でございますが、これは、知事に、土地の使用あるいは物資の収用、これはお金を払いますけれども、対価を払いますけれども、と同時に、医療、輸送、建設の三業種に対して職務従事命令を出せるという規定があるのでございます。昭和二十九年の七月一日にできた法律でございますが、その詳細は政令で定めるとなったきり、四十年近くほうってあるのです。このきちんとした指示権がなければ、仮に、周辺事態法でもって米軍の負傷兵を緊急輸送してきた、ある病院がこれを拒否した、あるいは地方自治体が受け入れを渋った、こういう場合どうなさるのでしょうか。
そういう意味で、周辺事態法が上がりましたらなるべく速やかに、危機管理基本法と私は申し上げましょう。有事法制と言うと戦争をやるみたいに思われてどうも語感が悪い。さんざん議論して、有事法制という言葉をやめようと私は言っております。緊急事態対処法でも安全保障基本法でも危機管理基本法でも何でも名称は結構でございますが、総合的な国家安全保障の順序立った仕組みをつくり直しませんと、PKOが問題になるとPKO特別法でしょう。今度、周辺事態法でしょう。このままでいくと、領域警備法というのが出てくるかもしれません。特別法特別法で、大変継ぎ足しのがたがたの建築が安全保障行政。担当者は困り果てているという実情がございます。
もう一点申し上げます。武器の使用でございます。
武力の行使とは全く違う武器の使用、これは時間がありませんので、後で御質問ございましたらお答えいたしますけれども、やはり警職法七条、警察官個人が、正当防衛、緊急避難、死刑、無期もしくは長期三年以上の凶悪な罪を犯した者の逃走防止と令状の執行でしょう。これはどうも、領域警備、領空侵犯だとか領海侵犯というのは国家主権の侵害でありまして、これに対して、個人が、刑事責任を負う危険を冒しながら、警察官職務執行法に基づいて職務執行をするというのはおかしいです。明らかに、この自衛隊の武器使用規定というのは別のルールでつくり直すべきではないだろうか。
今度の法案にも、十一条に武器の使用というのがございますけれども、これまた現場は困ってしまうわけです。船をねらって、無視して停船しなかった船を撃っていいのか悪いのか、現場指揮官は必ず困ります。これは危害許容要件を絞っていただいて結構でございますから、警職法七条準用というのはお考え直しいただいた方がいいのではないかなと感じております。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →本日は、現在審議中のいわゆるガイドライン法ほか三法について、かつて防衛庁、内閣安全保障室長として十二年間安全保障問題に政府委員として取り組んでまいりました者として所見を申し述べたいと存じます。
まず、私が防衛庁に移りましたころは、神学論争がほぼ終わって、総論から各論へ、条約論争から協定あるいは政令の問題、法律の問題から政令の問題、あるいは抽象論から具体論へ、こういう過渡期に私は防衛庁に出向いたしまして、そして昭和三十五年、一九六〇年六月二十三日に制定されました日米安保条約が、その多くの部分を協定あるいは政令にゆだねていながら、長い間抽象論で終始をしておった時代が確かにございました。
この時代におきましては、いわゆる米ソ冷戦構造が確立されており、核均衡のもと、日本は、特に日本周辺はアメリカ軍の絶対的な制海権、制空権のもとにございまして、今日日本国民が不安を感じておりますような周辺事態というものはまず起こらないであろうと、しかも冷戦が一九八九年のマルタ会談を機会に終わるなんということは夢にも思わず、今世紀中はこの状態が続くと思っておりました。そういう状況のもとでは、台湾海峡の波が高くなったり、あるいは三十八度線がおかしくなったり、そういう難民が大量に流出してくるとか、こういうことはあり得ない、こういう想定のもとに、実はこれは政治も行政も具体案、具体的な協定あるいはマニュアル、ガイドライン、こういうものをつくることを大変怠っておったと私は感じております。
特に、日米安保条約というのは御承知のように二つの重要な条文がございます。第五条、これが、日本が攻撃をされた場合アメリカが日本と共同して日本を防衛するという、アメリカの日本防衛義務。しかしながら、憲法九条の関係がございますので、アメリカが攻撃をされても日本はこれに参加をすることはできないし、しない。そのかわり、今度は第六条でございますが、第六条で、米軍が日本及び極東の平和と安全のために行動を起こした場合の施設及び区域の提供、後方支援、これが第六条の条約上の義務でございます。
第五条、すなわち日本が攻撃されたときの問題につきましては、だんだん情勢が変わってまいりました段階で、昭和五十三年のたしか十一月だったと思いますが、いわゆる旧ガイドライン、これが日米間で結ばれまして、その第五条攻撃があった場合の日米共同の対処のガイドライン、共同訓練もこれで始まりました。一九八〇年からは、例えばリムパック、二年ごとに行われておりますリムパックに参加をする。これも私、政府委員で答弁をさせていただきましたが、違憲であるという御意見の政党が当時はございましたけれども、訓練はいいんだということで、これは合憲ということで通った。この辺が大体第五条のお話なのでございます。
第六条というのは、日本の周辺、特に、これは一九六〇年一月の十九日でございますけれども、岸・ハーター協定というのが結ばれているんですね。岸・ハーター交換公文というのがございまして、これによりまして、第六条、この事態については事前協議をしましょう、そして日米共同の委員会をつくりましょう、同数の委員を出し合って、そして主として三つの大きな問題は、事前協議、プライアーコンサルテーションといたしましょう、こういうことが決まりました。だから、実はもう一九六〇年から今日問題になっておるその六条の後方支援の問題というのは法律が決まり交換公文があったのでございますけれども、これの具体的な制度化、マニュアル化、これはずっとおくれておりました。
この三つのポイントというのは、第一が、兵力の師団単位の配備の変更、第二が、主要な装備の変更、三番目が、実は今周辺整備法でやっておりますところの在日米軍が極東有事に際して直接戦闘行動を起こした場合の後方支援、これが事前協議マターとなっております。直接戦闘行動と書いてございます。
そして、大体極東の平和と安全というのは何だ。これは当然昭和三十五年の安保論議のときに国会で論議し尽くされまして、統一見解が出、これは日本と極東の平和と安全に寄与するという日米安保条約の範囲内のことだよと、これが第六条だよと、したがってこの極東の概念というのは、当時中華民国、それから韓国、フィリピン以北の海域、これが大体その範囲内に含まれると。地理的な概念だったんですね。
そして、その範囲をどうして決めるかというと、在日米軍の軍事作戦能力なんです。行って帰ってこられる範囲。したがって、例えば横須賀を母港として中東に行ったのが事前協議を無視した違反である、岸・ハーター協定違反であるというのは誤りでありまして、直接戦闘行動でございます。これが今問題になっておる、こういうことでございまして、第六条は、その意味では、日本が絶対に米軍の制海権、制空権のもとで安全であるということ、そして潜在的脅威となっておったのがかつてのソ連であった、こういうところから、おのずからその五条中心になっておったわけですね。
それが一九九〇年代になりまして、湾岸戦争があり、さらにはソ連の崩壊、これによって冷戦構造が崩壊をいたしまして、現在コソボで行われているような低次元紛争であるとか宗教紛争であるとか民族紛争であるとか、あるいは様式を異にした軍事脅威、すなわちテロ、破壊活動、あるいは核の拡散、運搬手段の拡散とどんどんどんどん脅威の性格が変わってしまって、かつそれが大きな現実の問題になってきた。つまり、アメリカが絶対的な制空権、制海権を失い、かつ政策変更があった。こういうところから、日本にとっての具体的な問題になってきた。
そういう意味合いにおきまして、私は長い間、政府委員をやっている間、考えておったのでありますけれども、抽象論、神学論争をもういい加減にやめたらどうだ、こう長いこと思っておりました。それが今日ようやく具体的な政策論になってきた、ガイドライン法になってきた。これはまことに我が国の安全保障政策前進のために喜ばしいことであると、まずこの委員会の御努力に対し敬意を表する次第であります。
そして、この法案そのものがどうしてこんなに厄介なことになっちゃったかといいますと、やはり戦後一つ一つ整理しなきゃいけなかった独立主権国家としての安全保障上の政策と、安保条約に基づく、第六条の後方支援あるいは施設・区域の提供義務と、昭和三十一年十二月十八日にようやく参加をいたしました国連の、第七章第四十一条及び四十二条、制裁ですね、四十一条制裁ということが基本になっているようでありますが、非軍事的な制裁、経済的な制裁のときに封鎖、経済封鎖が行われる。この船舶の臨検の問題がここに入っている。こういう独立主権国家の話と、六条の話と、安保参加国としての義務とがごちゃまぜになって一つの法案に入っているところから難しさが出ておる。
周辺事態という概念は、かつて三十年間の安全保障論議の中には出てまいっておりません。これは、台湾の地位が変わったということ、アメリカの政策の微妙な変化あるいは中国の姿勢、これらから、こういうちょっとあいまいな言葉を選ぶという選択を政府が、自民党がなさったのはやむを得ないと私は理解をいたします。
いずれにせよ、何にもないよりは何かできた方がいいのでありまして、その意味で、私は、本案の速やかなる成立を希望するものでございます。
ごちゃまぜになっていると申しましたが、例えば九六年、橋本・クリントン首脳会談で日米安保条約の意義の再確認が行われました際に、四つの安全保障にかかわる具体的な指示が政策論として橋本総理から行政の各部に下されました。
第一が邦人の保護、救出の問題、第二番目が難民対策、第三番目が重要防護対象、例えば原子力発電所、これの警備の問題。御承知のように、これは今ガードマンが特殊警棒を持って守っているのでありまして、世界じゅう、軍隊も警察も守っていない原子力発電所なんというのはございません。これを何とかせいやというのが三番目。四番目が、今議論されております第六条の後方支援の問題、在日米軍が極東有事で行動した場合の後方支援、これをしっかり詰めろよというのが、九六年の橋本総理の行政命令でございました。
これに対して、今提案されておる第一、邦人救出というのが、まさに自衛隊法の一部改正案、百条の八に船舶を加えよう、艦船を加えよう、輸送艦。「おおすみ」という大型の輸送艦、ヘリコプターとホバークラフト搭載のものをつくったのでありますけれども、これを仮に極東有事の際に何か派遣しよう、邦人救出のために派遣しようとしても、これができない。これを何とかしてもらいたいというのが一つ。いわばこれは新しい課題であったと思います。
二番目の難民。これも、今回ようやくこの難民対策について日米合同して周辺地域においてやろうや、こうなっておるのでございます。だけれども、まだ残念ながら、国内法的にいいますと、これを、どんどん運んでこられたものを法務省がやるのか、外務省の国連局が人道上やるのか、警察、消防がやるのか、地方自治体がやるのか決まっていない。こういう点、問題点が残っております。
それから、三番目の重要防護対象の警備でございますけれども、これも、原子力発電所の警備については、この日本の安全保障体制に大きな欠陥がある。すなわち、領土、領空、領海という主権の侵害に対する取り締まりの法律がございませんし、これはけしからぬ罪なんですね。死刑、無期、長期三年以上の刑、正当防衛でも緊急避難でもなければ、海上保安庁の巡視船も海上自衛艦も、ねらって撃つことができない。
これは、実は領空侵犯、八十四条も同じなんでございます。八十四条で、私、実は政府委員で答弁をいたしまして、武器の使用と書いていないものですから、必要な措置を講じさせるものと書いてあるものですから、共産党さんの質問に対して私は大変苦労して答弁をして、必要な措置の中には武器の使用は当然国際通念上入っているんだと答えたら、これが今統一見解になっております。それで、沖縄の領空侵犯に対して使用ができた、こういうことに相なっておるわけでございますが、これもまだ十分でございません。
それから、どうしてもこの審議について二点だけ特に御要望を申し上げたいと思いますのは、この事前承認、これは与党も譲歩なさって、事前承認になりつつあるようであります。原則として事前承認、緊急の事態はこれを除くとなっておりますが、これは私は、情勢が緊迫をしてきて、当然閣議も行われ、安全保障会議も行われ、日米の情報交換もあって、そして国会上程、こういうことになるのでありますから、日本国の安危にかかわる、国民の生命にかかわる問題があったときに、野党さんといえども、この修正案を出した以上は、審議拒否なんというのはまさかなさらないだろう、こういう御信頼を申し上げて、この条件はいいのではないだろうか。
緊急の場合というのはどういう場合をいうのか、これをやはりきちんとある程度つくっておかなきゃいかぬのかな。周辺事態というのは、これはサラウンディングスとは何だといってアメリカ人から聞かれても、私ども困ります。新しい概念ですし。シチュエーションというのは何だと言われると、地球の裏側まで行っていいという意見からありますけれども、これはやはり安保の枠内という現在の政府見解が正しいのではないだろうかと思います。これが一点であります。
もう一点は、私、実は防衛庁におりました場合に、有事法制の第一分類、これは防衛庁の所管する法令。第二分類、他の諸省庁の所管する法令、道交法だとか何だとか。それから第三分類、これは内閣に行ってからやりましたけれども、どの省庁にも属さざる仕事、例えばジュネーブ協定に基づく捕虜虐待禁止条約なんというのはだれがやるんだ、人権擁護で法務省がやるのか、外務省がやるのか、防衛庁がやるのか、地方自治体がやるのか、全然決まっていないわけです。こういう問題をやはりきちんと決めなきゃいけない。
それから、百三条というのがございます。自衛隊法百三条でございますが、これは、知事に、土地の使用あるいは物資の収用、これはお金を払いますけれども、対価を払いますけれども、と同時に、医療、輸送、建設の三業種に対して職務従事命令を出せるという規定があるのでございます。昭和二十九年の七月一日にできた法律でございますが、その詳細は政令で定めるとなったきり、四十年近くほうってあるのです。このきちんとした指示権がなければ、仮に、周辺事態法でもって米軍の負傷兵を緊急輸送してきた、ある病院がこれを拒否した、あるいは地方自治体が受け入れを渋った、こういう場合どうなさるのでしょうか。
そういう意味で、周辺事態法が上がりましたらなるべく速やかに、危機管理基本法と私は申し上げましょう。有事法制と言うと戦争をやるみたいに思われてどうも語感が悪い。さんざん議論して、有事法制という言葉をやめようと私は言っております。緊急事態対処法でも安全保障基本法でも危機管理基本法でも何でも名称は結構でございますが、総合的な国家安全保障の順序立った仕組みをつくり直しませんと、PKOが問題になるとPKO特別法でしょう。今度、周辺事態法でしょう。このままでいくと、領域警備法というのが出てくるかもしれません。特別法特別法で、大変継ぎ足しのがたがたの建築が安全保障行政。担当者は困り果てているという実情がございます。
もう一点申し上げます。武器の使用でございます。
武力の行使とは全く違う武器の使用、これは時間がありませんので、後で御質問ございましたらお答えいたしますけれども、やはり警職法七条、警察官個人が、正当防衛、緊急避難、死刑、無期もしくは長期三年以上の凶悪な罪を犯した者の逃走防止と令状の執行でしょう。これはどうも、領域警備、領空侵犯だとか領海侵犯というのは国家主権の侵害でありまして、これに対して、個人が、刑事責任を負う危険を冒しながら、警察官職務執行法に基づいて職務執行をするというのはおかしいです。明らかに、この自衛隊の武器使用規定というのは別のルールでつくり直すべきではないだろうか。
今度の法案にも、十一条に武器の使用というのがございますけれども、これまた現場は困ってしまうわけです。船をねらって、無視して停船しなかった船を撃っていいのか悪いのか、現場指揮官は必ず困ります。これは危害許容要件を絞っていただいて結構でございますから、警職法七条準用というのはお考え直しいただいた方がいいのではないかなと感じております。
以上でございます。拍手
山
浜
浜谷英博#4
○浜谷公述人 若干の私見とそれから提言を述べさせていただきたいと思います。
国家の緊急事態法制というのは、本来は自国の有事、いわば日本有事に関する法制の整備が最も重要な点でございます。現在我が国が緊急事態に陥った場合、その対応の多くがいわゆる超法規的行動にならざるを得ないということが多方面から指摘されているわけでありますが、これは法治主義を標榜する国家としては全く稚拙な話でございます。またこの点が、周辺諸国に対しても、緊急事態に際して日本がどこまで何をやるかわからないといったような本来不必要な懸念を増幅させている一つの要因ではなかろうかとも考えられるわけであります。
したがって、本来の緊急事態法制というのは、日本有事の際の法制整備という点から出発して、その上で準日本有事、さらに周辺有事という形に、温度差のある事態を想定していくべきであろうというふうに考えております。その意味で、現在審議中の法案は、準日本有事それから周辺有事という本来的に対応の異なるべき状態を区別せずに論じている嫌いがありまして、そこに多くのわかりにくさが露呈されているのではなかろうかという感じがしております。この点、政府の示しているいわゆる四類型、きょうまた二類型が追加されたようですが、その類型を見ましても、かなりの温度差があるということは指摘できると思います。
つまり、現在論議されている周辺事態の一部のものは、我が国に対する武力攻撃、つまり、瞬時にして日本有事に発展するおそれのある事態も含まれておりまして、国内的には、いわゆる自衛隊法の七十七条の防衛出動待機命令というようなものが発せられる可能性も想定される状態であります。この場合には、すなわち、我が国として主体的にかかわるべきか否かなどという政治的判断の余地がほとんどない状態でありまして、日米協力が有効かつ合理的になされない限りは、時を経ずして我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす状態に陥る、そういった蓋然性が相当高い状態を指しております。辛うじてまだ日本が直接武力攻撃にさらされていないというだけの場合であります。
この点、先ほど私が申し上げました本来的な周辺有事と申しますのは、我が国の平和と安全に直接的な脅威が差し迫っていない状態を本来指すべきでありまして、だからこそ、我が国がいつの時点から、また、どのような方法でかかわるべきか否かという政治判断の余地が非常に大きく出てくるわけでございます。そのためには、いろいろな制約とか関与の原則とかいうものが当然必要になってまいります。例えば大量の難民対策とか、それから国連決議に基づく経済制裁等々への対応でございます。現在のようないわゆる逆さまの議論と整備のおくれというのはいかんともしがたいわけですが、これらの点を早急に整理した上で、本法案の成立と一日も早い日本有事の法制整備に着手すべきであろうというふうに考えております。
本院ではこのような観点からも議論が着々と進んでいるようでありますが、本来、我が国の周辺にある種の緊張状態がある中での防衛法制論議というのは、これは余り望ましい環境とは言えない。一見、環境整備がだんだんできてきたみたいな話はございますけれども、本来はそうではなかろうと。すなわち、緊張状態を背景にした論議というのは、ともすれば行き過ぎた人権の制約を伴う過剰な国防政策というのを見えにくくしてしまうわけでありますし、何よりも、つけ焼き刃的で非体系的な非常事態法制に終始する嫌いがあるからでございます。まして、政争の具や政治的な駆け引き、また政党の独自性のアピールなどといったことによって、体系的整備というのがとりわけ重要な国家の安全保障政策と法制の根幹が揺らぐようなことがあってはならないというふうに考えるわけでございます。
いずれにせよ、冷戦構造の変革に伴う新たな国際秩序の模索の中で、現在まで平時における客観的な論議がなされてこなかった以上、我が国の安全保障政策と適切な日米協力というのを実現するための法整備は喫緊の課題であろうというふうに考えております。
ところで、今本院で議論されている周辺事態措置法案というのは、日本周辺地域における有事を前提として、国民の権利や自由の一部を制約する可能性を想定したいわば初めての法整備でございます。その意味で、政治部門挙げての責任ある関与というのが求められるのはいわば当然のことであります。つまり、軍事に対する政治の優先というシビリアンコントロールの徹底は言うに及ばず、積極的な政策判断によって国家の安全と独立、国民の生命と財産というものを擁護することは、時の政府や国会の最大の任務だからでございます。それを遂行する上での具体策というのがいわゆる国会の関与手段の考察であり、また、その一つが国会承認の手続でございます。
時間の制約もございますので、この点に絞って、以降少し詳しく述べてみたい、また、さらに若干の提言もしてみたいというふうに考えております。
国会承認の必要性というのは、申すまでもございませんが、軍事に対する政治の優先というシビリアンコントロールの観点から、自衛隊の活動については、国会がその活動を何らかの手段でチェックする仕組みが必要であるという点、第二は、本法案が認定する内容や措置の一部には国民生活に直接影響を与えるというものも想定されておりますので、国民の直接代表である国会が何らかの方策でそれを容認しておくことが望ましいということ、さらに第三は、実際上の活動を行う自衛隊、それから具体的協力を求められる地方自治体にとっても、活動全般にわたって国民的支持が明らかになっているということは重要な要素であることということが挙げられます。したがって、これは本法案の論議の中核でもあろうというふうに考えているわけであります。
とりわけ武力集団というものを動かす決断は、あくまで政治部門全体の責任において行うべきであり、三権分立のもとでは、国会と政府・内閣の共同判断もしくは共同責任のもとで行うことが不可欠であろうというふうに考えております。
特に、自衛隊が、場合によっては我が国領域外で活動するようなことも想定されている以上、たとえ紛争地域とは一線を画するとはいえ、領域内での危険度よりは格段に大きい危険度のもとで活動するわけであります。また、我が国の置かれている地理的な環境、地理的要素から考えれば、必ずしも他国領海と我が国領海との間に公海が存在するなどとは限らず、その意味では、いわゆる後方地域というものの存在すら危ぶまれるわけでございます。このような危険負担にたえられるのは、いわゆる国会承認を通じた国民の支持以外にはあり得ないだろうというふうに考えております。
また、現行法体系のもとでは、一度国会が承認を与えますと、その後の国会のチェック手段というのはほとんどありません。時々刻々と変化する有事もしくは周辺事態のもとでは、それらへの何らかの対応策というものもあわせて考慮しておく必要があろうというふうに考えております。この点については、後ほど提案という形で述べさせていただきます。
ところで、国会の承認については、今現在も議論されておりますが、その対象と承認時期というのが問題になっております。
まず、承認の対象については、基本計画の全体であるか、また自衛隊の活動にかかわる部分だけかという議論がございます。この結論には幾つかの前提の検討が必要であろうと思われます。つまり、基本計画というものの実体がまだ明らかになっていないということでございます。確かに、法案上はその項目が列挙されておりますし、全体の構成は説明されております。しかし、具体的にどれほどのボリュームのものかとか、審議のために、そのボリュームをどの程度の時間があれば消化して承認することができるかというような具体的なものはいま一つ明確ではありません。
また、実施要領というものが具体的な作戦行動に関するものだとすれば、基本計画というものはかなりコンパクトで相当簡略なものになる場合もある。その場合には、全体としての承認にもそれほど審議時間を要しないかもしれないということは想像できるわけであります。
政府は基本計画の策定後直ちにそういう場合には国会に承認を求めて、国会もまた速やかに審議して結論を出すべきであって、その際、結論までの審議日数というものを限定しておくという方法も一つの手段でございます。ただし、基本計画が大部のものになる場合には速やかな承認自体がまず困難でありまして、事後承認という、聞こえはいいんですが、実質的な追認になってしまう可能性がございます。すなわち、この場合、国会は迅速な承認を行おうとすれば包括的な承認、いわば政府案の丸ごとのみ込みみたいな、そういうことにならざるを得ない。また、十分な審議時間をとろうとすれば迅速な対応措置の機を逸するという、まさにジレンマに陥りかねないだろうというふうに考えております。
したがって、国会承認については、自衛隊法の第七十六条との整合性にも配慮して、原則事前、緊急時には事後というこの措置を認めて、いずれの場合にも、審議結果を得るまでの期間を限定した上で基本計画の全体をその対象にする。また、その承認については、特定の有効期限を設けた、いわゆる期限つき承認と私は呼んでいますが、期限つき承認というものが望ましく、この詳細については後に述べさせていただきます。
また、承認案件の国会への付議までに一定の期間的猶予を設ける方法、治安出動を想定しているんだろうと思いますが、そういう方法が議論されたか報道されたかしておりますが、これは、その期間、あらゆる活動について政府に白紙委任をする結果となりますので、これは望ましい方法ではなかろうというふうに考えております。
いずれにしましても、国会という合議機関の特性を考えた場合には、緊急時における判断にはもともとなじまない部分が多いということは否めません。つまり、緊急事態に際して、アメリカ側との協議それから各種の政策判断、さらには自衛隊の出動などを時間的制約の中で的確に決断するということは、合議機関としての限界でもございます。それら臨機の対応というのは、少なくとも民主主義的な正当性を有する限り、内閣に決定をゆだねることが合理的であります。したがって、事前承認や承認対象にこだわるよりは、それらを原則的なものにとどめて、次の二つの手段に国会の特性を発揮する方がより建設的であろうというふうに考えております。
その具体的手段を二つ提示する前に、若干アメリカの戦争権限法という法律を紹介して、その方法論を少し参考に供したいというふうに考えます。
戦争権限法は、その名称からして非常に誤解を招くことがあるんですが、これは、アメリカの建国以来初めて大統領の軍事力行使を制約した法律でございます。制定の背景や詳細な内容は別の機会に譲るとしまして、ここでは、我が国の法整備に今後示唆的な部分について、骨子だけを簡単に述べたいと存じます。
まず第一点は、海外の紛争への米軍投入に際しては、議会と大統領の共同判断に基づくことでございます。
第二番目は、大統領の軍最高司令官としての権限行使を法による授権のある場合などに限定しているということであります。
さらに三番目は、米軍の投入の際には可能な限り議会と協議することとして、投入後は、いかなる場合も撤退まで定期的に協議するということになっております。
また四番目は、米軍の投入命令後は、四十八時間以内に、投入を必要とした状況、法的根拠、それから、投入状態の規模や期間の見通しなどを議会に報告すること、また、投入後はそれら一定事項を定期的に議会に報告すること。
さらに五番目は、米軍投入に際して、または投入後、議会の同意が得られない場合には六十日間、撤退時の必要性を証明した場合にはさらに三十日間が加わるわけですが、いずれにせよ、六十日間以内に米軍を撤退させること、また、議会が米軍の即時撤退を決定した場合にはいつでも撤退させなければならないこと。これがいわゆるアメリカ流で言う議会拒否権という発想でございます。この議会拒否権については、憲法上の議論等々がございまして、質問がございましたら答えたいと思います。
そして最後は、審議日数を限定した、議会の優先議事手続といったようなものが詳細に規定されております。
つまり、海外における米軍の行使に関しては、可能な限り事前の協議によって大統領と議会との緊密な意思の疎通を図って、両者の共同判断に基づく対処を目指したわけでございます。そして、特定の授権法による厳格な授権範囲の設定とともに、詳細な状況について議会への報告を密にして、その後の対応にも議会の影響力を留保しております。そして、ともすれば大統領のいわゆる独断に陥りがちだった米軍の継続使用というものについては、議会と大統領の意思が反する場合、議会側の強制手段、いわゆる議会拒否権によってでも米軍の撤退が可能であるということまで制度的に確立させたわけであります。
これらを参照しながら、以下、国会の特性を尊重した、我が国における法制を検討したいと思います。
先ほど言いました若干の提言の一つというのは、国会承認に至る前段階として、国会と政府の間で協議手段の模索をすべきであります。すなわち、協議機関の設置を考えるべきであろうということ。それからもう一つは、基本計画の継続に関する事前承認制度、これを導入すべきではなかろうかというふうに考えております。すなわち、周辺事態の認定から基本計画、実施要項の内容などを期間を限って審議して、政府が計画の継続を求める際には、計画の変更の有無にかかわらず事前承認手続を踏むように義務づけるわけでございます。
前者の方は、さきの戦争権限法にもあるわけですが、特定の議会メンバーをあらかじめ定めておいて、緊急に招集する方法でございます。政府が一定の方向性を示して国会の協力を求め、承認への迅速なプロセスを担保する方法として検討すべき価値があるのではないかと思います。軍事的な実力行使を伴う可能性もある以上は、いわゆる政治部門の共同判断を確保するためにも、政府、国会間の事前協議の仕組みを考えるべきではなかろうかというふうに考えます。
もちろん、具体的作戦行動などの実効性確保のためには、提供される情報と協議内容には限界があるということも否めないわけですが、ともすれば情報不足に陥りがちな国会へのいち早い情報提供にもなるわけでございます。厳格な三権分立制をとっているアメリカでさえ確立された方策が、議院内閣制のもとで、国会と政府の緊密な関係の中で確立されないわけはなかろうというふうに考えております。
後者の方は、まさにこれは国会の特性が最も発揮される方策でございます。つまり、さきに触れましたように、初回の承認のいわば有効期限をあらかじめ定めておく、戦争権限法では六十日という期間が具体的に出てまいりますが、六十日というのは必ずしも意味があるわけではありません。これは、制定当時、上院案の三十日と下院案の百二十日というものの折衷案でございますから、それほど根拠がないわけですが、少しこれは長過ぎはしないか、近代兵器の性能等を考えますと三十日から四十五日間程度が妥当ではないかと考えておりますが。
この期間からさらに継続して基本計画を実行しようとする場合には、一定期間前に政府は計画継続に関する事前承認を求めなければならないということを義務づける規定を設けるのであります。この場合には、政府による事前の承認要請から国会の結論を得るまでの審議日数をあらかじめ優先議事手続として法定するなどの方法によって、期限内には必ず結論を得るということを手続的に確立しておく必要がございます。これはいわゆる泥沼化の防止、要するに派遣についての泥沼化の防止ということにも有効な手ではなかろうかというふうに思います。
そして、自衛隊の派遣に関して、国会側と定期的にその後協議を継続して、同時に、投入後の状況についても報告する。その内容は作戦行動に影響のない限り詳細であるべきであろう。
そして、自衛隊の派遣の継続について、その必要性がなくなったときには、基本計画の終了とともに自衛隊の撤退も速やかに行われるということになっておりますが、仮に国会の意思と反する場合には、いわゆる国会拒否権、向こうの議会拒否権を私は日本では国会拒否権と呼びかえたわけですが、国会拒否権といった手段の採用も検討しておくべきではなかろうか。すなわち、すべての国会の意思表示というものが、政府の要請にこたえる形で、いわば受動的に判断するということだけではなくて、直接国民代表としての国会の主体性を発揮して、シビリアンコントロールの実効性を担保する意味でも、その手段としてこういう場合を考慮しておく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
国会拒否権というのは、自衛隊の派遣を含む基本計画の承認後、初回の承認後、承認の有効期間の満了前に自衛隊の派遣を終了させる手段でございます。たとえ国会拒否権に法的拘束力、いわば法的強制力ですが、これを付与しないものがあったとしても、それはいわゆる政府の計画の継続に対する承認要請なしに表明される国会の主体的意思であるわけでありますから、議院内閣制のもとではインパクトはかなり大きいはずでございます。
こういう具体例を述べた上で、非常に重要な点があると存じます。それは、いわゆる国会のあり方であります。つまり、どうしても必要になるのが、いわゆる国防政策に精通した多くの議員の方々の存在でございます。ハードな武器技術や性能とともに、軍事知識や軍事常識といったものに通じた議員の方々のみが政府の計画に対する正しい批判や判断が可能になるというふうに思えるからでございます。
本院の構成メンバーにはそういう心配は恐らくないだろうということは考えられるわけですが、少なくとも、承認の必要性を強調する以上は、迅速性を失わない効率的な審議と、具体的かつ的確な判断力に裏づけられたいわゆる承認行為の質の高さというものも当然求められるわけであります。
殊に実力部隊等の運用に関して、その必要性と手段について、正当かつ正確な知識に基づいて政府側と対等に渡り合う、そして的確な反論などによってより効果的な安保政策に収れんされていく、こういうプロセスを見て国民は安心をするわけでありまして、この過程なくして本当の意味でのシビリアンコントロールの実効性は上がらないということは考えております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →国家の緊急事態法制というのは、本来は自国の有事、いわば日本有事に関する法制の整備が最も重要な点でございます。現在我が国が緊急事態に陥った場合、その対応の多くがいわゆる超法規的行動にならざるを得ないということが多方面から指摘されているわけでありますが、これは法治主義を標榜する国家としては全く稚拙な話でございます。またこの点が、周辺諸国に対しても、緊急事態に際して日本がどこまで何をやるかわからないといったような本来不必要な懸念を増幅させている一つの要因ではなかろうかとも考えられるわけであります。
したがって、本来の緊急事態法制というのは、日本有事の際の法制整備という点から出発して、その上で準日本有事、さらに周辺有事という形に、温度差のある事態を想定していくべきであろうというふうに考えております。その意味で、現在審議中の法案は、準日本有事それから周辺有事という本来的に対応の異なるべき状態を区別せずに論じている嫌いがありまして、そこに多くのわかりにくさが露呈されているのではなかろうかという感じがしております。この点、政府の示しているいわゆる四類型、きょうまた二類型が追加されたようですが、その類型を見ましても、かなりの温度差があるということは指摘できると思います。
つまり、現在論議されている周辺事態の一部のものは、我が国に対する武力攻撃、つまり、瞬時にして日本有事に発展するおそれのある事態も含まれておりまして、国内的には、いわゆる自衛隊法の七十七条の防衛出動待機命令というようなものが発せられる可能性も想定される状態であります。この場合には、すなわち、我が国として主体的にかかわるべきか否かなどという政治的判断の余地がほとんどない状態でありまして、日米協力が有効かつ合理的になされない限りは、時を経ずして我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす状態に陥る、そういった蓋然性が相当高い状態を指しております。辛うじてまだ日本が直接武力攻撃にさらされていないというだけの場合であります。
この点、先ほど私が申し上げました本来的な周辺有事と申しますのは、我が国の平和と安全に直接的な脅威が差し迫っていない状態を本来指すべきでありまして、だからこそ、我が国がいつの時点から、また、どのような方法でかかわるべきか否かという政治判断の余地が非常に大きく出てくるわけでございます。そのためには、いろいろな制約とか関与の原則とかいうものが当然必要になってまいります。例えば大量の難民対策とか、それから国連決議に基づく経済制裁等々への対応でございます。現在のようないわゆる逆さまの議論と整備のおくれというのはいかんともしがたいわけですが、これらの点を早急に整理した上で、本法案の成立と一日も早い日本有事の法制整備に着手すべきであろうというふうに考えております。
本院ではこのような観点からも議論が着々と進んでいるようでありますが、本来、我が国の周辺にある種の緊張状態がある中での防衛法制論議というのは、これは余り望ましい環境とは言えない。一見、環境整備がだんだんできてきたみたいな話はございますけれども、本来はそうではなかろうと。すなわち、緊張状態を背景にした論議というのは、ともすれば行き過ぎた人権の制約を伴う過剰な国防政策というのを見えにくくしてしまうわけでありますし、何よりも、つけ焼き刃的で非体系的な非常事態法制に終始する嫌いがあるからでございます。まして、政争の具や政治的な駆け引き、また政党の独自性のアピールなどといったことによって、体系的整備というのがとりわけ重要な国家の安全保障政策と法制の根幹が揺らぐようなことがあってはならないというふうに考えるわけでございます。
いずれにせよ、冷戦構造の変革に伴う新たな国際秩序の模索の中で、現在まで平時における客観的な論議がなされてこなかった以上、我が国の安全保障政策と適切な日米協力というのを実現するための法整備は喫緊の課題であろうというふうに考えております。
ところで、今本院で議論されている周辺事態措置法案というのは、日本周辺地域における有事を前提として、国民の権利や自由の一部を制約する可能性を想定したいわば初めての法整備でございます。その意味で、政治部門挙げての責任ある関与というのが求められるのはいわば当然のことであります。つまり、軍事に対する政治の優先というシビリアンコントロールの徹底は言うに及ばず、積極的な政策判断によって国家の安全と独立、国民の生命と財産というものを擁護することは、時の政府や国会の最大の任務だからでございます。それを遂行する上での具体策というのがいわゆる国会の関与手段の考察であり、また、その一つが国会承認の手続でございます。
時間の制約もございますので、この点に絞って、以降少し詳しく述べてみたい、また、さらに若干の提言もしてみたいというふうに考えております。
国会承認の必要性というのは、申すまでもございませんが、軍事に対する政治の優先というシビリアンコントロールの観点から、自衛隊の活動については、国会がその活動を何らかの手段でチェックする仕組みが必要であるという点、第二は、本法案が認定する内容や措置の一部には国民生活に直接影響を与えるというものも想定されておりますので、国民の直接代表である国会が何らかの方策でそれを容認しておくことが望ましいということ、さらに第三は、実際上の活動を行う自衛隊、それから具体的協力を求められる地方自治体にとっても、活動全般にわたって国民的支持が明らかになっているということは重要な要素であることということが挙げられます。したがって、これは本法案の論議の中核でもあろうというふうに考えているわけであります。
とりわけ武力集団というものを動かす決断は、あくまで政治部門全体の責任において行うべきであり、三権分立のもとでは、国会と政府・内閣の共同判断もしくは共同責任のもとで行うことが不可欠であろうというふうに考えております。
特に、自衛隊が、場合によっては我が国領域外で活動するようなことも想定されている以上、たとえ紛争地域とは一線を画するとはいえ、領域内での危険度よりは格段に大きい危険度のもとで活動するわけであります。また、我が国の置かれている地理的な環境、地理的要素から考えれば、必ずしも他国領海と我が国領海との間に公海が存在するなどとは限らず、その意味では、いわゆる後方地域というものの存在すら危ぶまれるわけでございます。このような危険負担にたえられるのは、いわゆる国会承認を通じた国民の支持以外にはあり得ないだろうというふうに考えております。
また、現行法体系のもとでは、一度国会が承認を与えますと、その後の国会のチェック手段というのはほとんどありません。時々刻々と変化する有事もしくは周辺事態のもとでは、それらへの何らかの対応策というものもあわせて考慮しておく必要があろうというふうに考えております。この点については、後ほど提案という形で述べさせていただきます。
ところで、国会の承認については、今現在も議論されておりますが、その対象と承認時期というのが問題になっております。
まず、承認の対象については、基本計画の全体であるか、また自衛隊の活動にかかわる部分だけかという議論がございます。この結論には幾つかの前提の検討が必要であろうと思われます。つまり、基本計画というものの実体がまだ明らかになっていないということでございます。確かに、法案上はその項目が列挙されておりますし、全体の構成は説明されております。しかし、具体的にどれほどのボリュームのものかとか、審議のために、そのボリュームをどの程度の時間があれば消化して承認することができるかというような具体的なものはいま一つ明確ではありません。
また、実施要領というものが具体的な作戦行動に関するものだとすれば、基本計画というものはかなりコンパクトで相当簡略なものになる場合もある。その場合には、全体としての承認にもそれほど審議時間を要しないかもしれないということは想像できるわけであります。
政府は基本計画の策定後直ちにそういう場合には国会に承認を求めて、国会もまた速やかに審議して結論を出すべきであって、その際、結論までの審議日数というものを限定しておくという方法も一つの手段でございます。ただし、基本計画が大部のものになる場合には速やかな承認自体がまず困難でありまして、事後承認という、聞こえはいいんですが、実質的な追認になってしまう可能性がございます。すなわち、この場合、国会は迅速な承認を行おうとすれば包括的な承認、いわば政府案の丸ごとのみ込みみたいな、そういうことにならざるを得ない。また、十分な審議時間をとろうとすれば迅速な対応措置の機を逸するという、まさにジレンマに陥りかねないだろうというふうに考えております。
したがって、国会承認については、自衛隊法の第七十六条との整合性にも配慮して、原則事前、緊急時には事後というこの措置を認めて、いずれの場合にも、審議結果を得るまでの期間を限定した上で基本計画の全体をその対象にする。また、その承認については、特定の有効期限を設けた、いわゆる期限つき承認と私は呼んでいますが、期限つき承認というものが望ましく、この詳細については後に述べさせていただきます。
また、承認案件の国会への付議までに一定の期間的猶予を設ける方法、治安出動を想定しているんだろうと思いますが、そういう方法が議論されたか報道されたかしておりますが、これは、その期間、あらゆる活動について政府に白紙委任をする結果となりますので、これは望ましい方法ではなかろうというふうに考えております。
いずれにしましても、国会という合議機関の特性を考えた場合には、緊急時における判断にはもともとなじまない部分が多いということは否めません。つまり、緊急事態に際して、アメリカ側との協議それから各種の政策判断、さらには自衛隊の出動などを時間的制約の中で的確に決断するということは、合議機関としての限界でもございます。それら臨機の対応というのは、少なくとも民主主義的な正当性を有する限り、内閣に決定をゆだねることが合理的であります。したがって、事前承認や承認対象にこだわるよりは、それらを原則的なものにとどめて、次の二つの手段に国会の特性を発揮する方がより建設的であろうというふうに考えております。
その具体的手段を二つ提示する前に、若干アメリカの戦争権限法という法律を紹介して、その方法論を少し参考に供したいというふうに考えます。
戦争権限法は、その名称からして非常に誤解を招くことがあるんですが、これは、アメリカの建国以来初めて大統領の軍事力行使を制約した法律でございます。制定の背景や詳細な内容は別の機会に譲るとしまして、ここでは、我が国の法整備に今後示唆的な部分について、骨子だけを簡単に述べたいと存じます。
まず第一点は、海外の紛争への米軍投入に際しては、議会と大統領の共同判断に基づくことでございます。
第二番目は、大統領の軍最高司令官としての権限行使を法による授権のある場合などに限定しているということであります。
さらに三番目は、米軍の投入の際には可能な限り議会と協議することとして、投入後は、いかなる場合も撤退まで定期的に協議するということになっております。
また四番目は、米軍の投入命令後は、四十八時間以内に、投入を必要とした状況、法的根拠、それから、投入状態の規模や期間の見通しなどを議会に報告すること、また、投入後はそれら一定事項を定期的に議会に報告すること。
さらに五番目は、米軍投入に際して、または投入後、議会の同意が得られない場合には六十日間、撤退時の必要性を証明した場合にはさらに三十日間が加わるわけですが、いずれにせよ、六十日間以内に米軍を撤退させること、また、議会が米軍の即時撤退を決定した場合にはいつでも撤退させなければならないこと。これがいわゆるアメリカ流で言う議会拒否権という発想でございます。この議会拒否権については、憲法上の議論等々がございまして、質問がございましたら答えたいと思います。
そして最後は、審議日数を限定した、議会の優先議事手続といったようなものが詳細に規定されております。
つまり、海外における米軍の行使に関しては、可能な限り事前の協議によって大統領と議会との緊密な意思の疎通を図って、両者の共同判断に基づく対処を目指したわけでございます。そして、特定の授権法による厳格な授権範囲の設定とともに、詳細な状況について議会への報告を密にして、その後の対応にも議会の影響力を留保しております。そして、ともすれば大統領のいわゆる独断に陥りがちだった米軍の継続使用というものについては、議会と大統領の意思が反する場合、議会側の強制手段、いわゆる議会拒否権によってでも米軍の撤退が可能であるということまで制度的に確立させたわけであります。
これらを参照しながら、以下、国会の特性を尊重した、我が国における法制を検討したいと思います。
先ほど言いました若干の提言の一つというのは、国会承認に至る前段階として、国会と政府の間で協議手段の模索をすべきであります。すなわち、協議機関の設置を考えるべきであろうということ。それからもう一つは、基本計画の継続に関する事前承認制度、これを導入すべきではなかろうかというふうに考えております。すなわち、周辺事態の認定から基本計画、実施要項の内容などを期間を限って審議して、政府が計画の継続を求める際には、計画の変更の有無にかかわらず事前承認手続を踏むように義務づけるわけでございます。
前者の方は、さきの戦争権限法にもあるわけですが、特定の議会メンバーをあらかじめ定めておいて、緊急に招集する方法でございます。政府が一定の方向性を示して国会の協力を求め、承認への迅速なプロセスを担保する方法として検討すべき価値があるのではないかと思います。軍事的な実力行使を伴う可能性もある以上は、いわゆる政治部門の共同判断を確保するためにも、政府、国会間の事前協議の仕組みを考えるべきではなかろうかというふうに考えます。
もちろん、具体的作戦行動などの実効性確保のためには、提供される情報と協議内容には限界があるということも否めないわけですが、ともすれば情報不足に陥りがちな国会へのいち早い情報提供にもなるわけでございます。厳格な三権分立制をとっているアメリカでさえ確立された方策が、議院内閣制のもとで、国会と政府の緊密な関係の中で確立されないわけはなかろうというふうに考えております。
後者の方は、まさにこれは国会の特性が最も発揮される方策でございます。つまり、さきに触れましたように、初回の承認のいわば有効期限をあらかじめ定めておく、戦争権限法では六十日という期間が具体的に出てまいりますが、六十日というのは必ずしも意味があるわけではありません。これは、制定当時、上院案の三十日と下院案の百二十日というものの折衷案でございますから、それほど根拠がないわけですが、少しこれは長過ぎはしないか、近代兵器の性能等を考えますと三十日から四十五日間程度が妥当ではないかと考えておりますが。
この期間からさらに継続して基本計画を実行しようとする場合には、一定期間前に政府は計画継続に関する事前承認を求めなければならないということを義務づける規定を設けるのであります。この場合には、政府による事前の承認要請から国会の結論を得るまでの審議日数をあらかじめ優先議事手続として法定するなどの方法によって、期限内には必ず結論を得るということを手続的に確立しておく必要がございます。これはいわゆる泥沼化の防止、要するに派遣についての泥沼化の防止ということにも有効な手ではなかろうかというふうに思います。
そして、自衛隊の派遣に関して、国会側と定期的にその後協議を継続して、同時に、投入後の状況についても報告する。その内容は作戦行動に影響のない限り詳細であるべきであろう。
そして、自衛隊の派遣の継続について、その必要性がなくなったときには、基本計画の終了とともに自衛隊の撤退も速やかに行われるということになっておりますが、仮に国会の意思と反する場合には、いわゆる国会拒否権、向こうの議会拒否権を私は日本では国会拒否権と呼びかえたわけですが、国会拒否権といった手段の採用も検討しておくべきではなかろうか。すなわち、すべての国会の意思表示というものが、政府の要請にこたえる形で、いわば受動的に判断するということだけではなくて、直接国民代表としての国会の主体性を発揮して、シビリアンコントロールの実効性を担保する意味でも、その手段としてこういう場合を考慮しておく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
国会拒否権というのは、自衛隊の派遣を含む基本計画の承認後、初回の承認後、承認の有効期間の満了前に自衛隊の派遣を終了させる手段でございます。たとえ国会拒否権に法的拘束力、いわば法的強制力ですが、これを付与しないものがあったとしても、それはいわゆる政府の計画の継続に対する承認要請なしに表明される国会の主体的意思であるわけでありますから、議院内閣制のもとではインパクトはかなり大きいはずでございます。
こういう具体例を述べた上で、非常に重要な点があると存じます。それは、いわゆる国会のあり方であります。つまり、どうしても必要になるのが、いわゆる国防政策に精通した多くの議員の方々の存在でございます。ハードな武器技術や性能とともに、軍事知識や軍事常識といったものに通じた議員の方々のみが政府の計画に対する正しい批判や判断が可能になるというふうに思えるからでございます。
本院の構成メンバーにはそういう心配は恐らくないだろうということは考えられるわけですが、少なくとも、承認の必要性を強調する以上は、迅速性を失わない効率的な審議と、具体的かつ的確な判断力に裏づけられたいわゆる承認行為の質の高さというものも当然求められるわけであります。
殊に実力部隊等の運用に関して、その必要性と手段について、正当かつ正確な知識に基づいて政府側と対等に渡り合う、そして的確な反論などによってより効果的な安保政策に収れんされていく、こういうプロセスを見て国民は安心をするわけでありまして、この過程なくして本当の意味でのシビリアンコントロールの実効性は上がらないということは考えております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
山
森
森本敏#6
○森本公述人 本委員会に公述人としてお招きをいただき、光栄に存じます。
御承知のとおり、冷戦後の世界の中で、我々は、冷戦後の国際社会の平和と安定を維持するための新たな秩序をつくるプロセスの中に今日あると思いますが、そのプロセスはこれからまだ相当長く、その間、ヨーロッパにおけるコソボあるいはアジアにおけるいろいろな問題に見られるように、まだまだ道は遠いのではないかと思います。
一方、このような新たな秩序を維持するまでの間、我々はどういう道を現在選んでいるかというと、言うまでもなく、これは、冷戦時代に構築をした同盟を強化することによってこの冷戦後の世界を乗り切ろうとしているわけで、欧州においては、現在、コソボにおけるNATOの作戦は、まさにNATOが今後五十年生き残れるかどうかという、NATO存続をかけたいわば戦いをやっているのではないかと思います。
アジアにおいては、言うまでもなく、日米同盟という、冷戦後につくられた、最も確立された信頼性の高い同盟関係をどのようにして強化するかということが、アメリカにとっても日本にとっても、そして広くはアジア太平洋全体の平和と安定のために重要であります。
したがって、現在本委員会において御審議いただいておるこのガイドライン関係法というものをぜひとも成立させ、日米同盟を強化し、これを、日本の平和と安全のためのみならず、アジア太平洋全体の平和と安全のために役立てるということが不可欠であると考えます。
限られた時間の中で、この周辺事態安全確保法について、特に法案修正について所信を申し述べたいと思いますが、言うまでもなく、この法案は、ガイドラインに基づく日米防衛協力の実効性を確保するという側面と、もう一つは日本の平和と安全に重要な政策上の指針を与えるという、二つの側面があると思います。
法をいかにしてつくるかということについては、言うまでもなく、二つの大きな基準があると思います。それは、法の成り立ちから見ていかなる形のものが望ましいのか、特に、立法府と行政府の権限をいかにして調和させ、それぞれの権限を十二分に発揮させるのが望ましいのかという側面と、それからもう一つは、この法によって、政治の実態、この場合は国家の安全保障をいかにして確保するか、そのためにどのような法の枠組みが最も有効で、組織的な機能発揮ができるのかという、いわば法と実態の二つの側面からこの法案修正が議論されるべきであると考えます。
かかる観点に立って、現在問題になっている幾つかの重要な点について意見を申し述べれば、まず、周辺事態の定義についてはほとんど議論がし尽くされておりますが、この周辺事態の定義というのは、「我が国周辺の地域における」という地域的概念、いわゆる地理的概念と、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という事態の性格と、二つの面を持っているわけで、どちらかの議論だけを集中的にやるということは、この定義を全体としてとらえることができないのではないかと私は思います。
言うまでもなく、我が国周辺の地域というものが地球の向こう側まであるはずがなく、したがって、明らかにこの前段の部分は地理的概念を示したものであり、後段の部分は事態の性格に立脚した表現でありますので、この二つをどのように調和させて議論するかということを考えた場合、その行き着く先は、日米安保条約第六条に言う極東並びに極東周辺に発生する事態を、日本が、米国との調整を行いつつ、主体的に判断して認定すべきものであると考えます。
最も重要な国会承認につきましては、浜谷先生が米国の戦争権限法を例に説いて大変ユニークな、また意味のある卓見を御披露になりましたので、私は結論部分を申し上げたいと思います。
私の結論は、まず、国会承認すべき内容というか対象は二つです。一つは、領域外における自衛隊の活動、それから、地方公共団体及び国以外の者、すなわち一般の国民が支援、協力する内容。この二つはいわば新しい分野でありまして、これは、憲法を初めいろいろな法に照らして、この際立法府がよく審議する必要があるということであり、したがって、この二つの問題については国会承認の対象とすべきであると思います。
しかるに、これを事前承認するということについて、私は必ずしも納得しないわけであります。第一に、状況に十分に迅速に対応できないという可能性があるということ。言うまでもなく、周辺事態は突然起こる何らかの不測の事態。六つのケースが現在示されておりますが、そのいずれをとっても、何カ月も前に予期されるなどということがほとんどあり得ないわけでありまして、このような事態に迅速に対応するためには、内閣が内閣総理大臣の権限のもとで必要な認定を行い、措置を実施するということがまずあってしかるべきであると思います。それだけの権限を、自衛法等において内閣総理大臣に自衛隊の最高の指揮監督権を与えているわけでありますから、したがって、ここは、内閣が閣議において決定される内容をまず実行するということが望ましいのではないかと思います。
その際、すべてのものを事前承認するということになりますと、まさに浜谷先生の御指摘のように、まさに周辺事態が生き物のように変化するときに、基本計画やあるいはいろいろな対応措置が変化するたびに、そのたびに事前の承認をまた国会でとるということであり、それは事態に対応するときに、事態というものに柔軟にかつ迅速に対応できないという可能性が常にあるということなのではないかと思います。
その際、いかなる期間に事後承認するかということについて、戦争権限法は六十日ということでありますが、これは世界的に活動をする米軍の場合でありまして、我が国の場合、我が国が対応する地域はあくまで周辺事態ということであります。しかしながら、国会が休会になっているという可能性もあり、このようなときに国会を開いてこの重要な問題を審議するためにはどうしても、必要な議員の方々がお集まりになる時間的余裕を一週間と見て、衆参両院一週間ずつ、計三週間というのがこの事後承認の最大見積もられる期間なのではないかと思います。
もちろん、内閣は、必要な認定を行い、措置を実施した場合はまず速やかに国会に報告を行い、すべての活動が終わった後、事後に再び国会に報告を行うということは、これは当然であると考えます。
これが国会承認についての私の考え方です。
以下、細かい幾つかの点について申し述べたいのですが、一つは、捜索救助と船舶検査については、日米安保に基づき米軍に対して行う支援、協力活動と、本来、日米協力には限定されませんが、日本が主体的に行う活動が含まれていると思います。しかるに、この法案はそもそも日米防衛協力を目的としたものである限り、かかる観点から、日米安保の実効性を確保するための法律であるということを明記し、同時に、日米安保に依拠した活動を行うよう規定することが望ましいと考えます。その際、この法律で担保されない活動について、別途の法律でこれを確保するという必要があると考えます。
また、船舶検査については国連の安保理決議が要るか要らないかという議論がありますが、私は、これは、日本の国内において必要なこの種の活動に多くの国民の皆様に理解と支援を得るためには、経済制裁を科するための国連の安保理決議が必要であると考えます。
その際、安保理決議がある限り、相手船舶の船長等の同意は法的に見れば不要でありますが、他方において、実施区域が他の国の活動と混交されないよう指定されているということについては、これでは日米防衛協力というものが十分にできない可能性もあり、このところについては改善の余地があるのではないかと考えます。
地方公共団体及び国以外の者による協力については、この法律に基づく活動のうち地方公共団体や一般国民が対応すべき活動内容について、基本計画の中で、協力の種類及び内容並びにその協力に関する重要事項が示されることになっているところでございますけれども、地方公共団体及び一般国民が支援、協力すべき内容が例示されておらないということについては、この法律に基づいていかなる協力が要請され、また求められるのかということが不透明であるという問題があり、この点は、あらかじめこの法律の中で、具体的に何らかの支援分野を例示する必要があるのではないかと考えます。
武器の使用については、従来から二つの問題が議論されておりますが、一つは、捜索救助及び船舶検査に従事する個々の自衛官が合理的に必要と判断される限度で武器の使用ができるということになっておりますが、この種の活動を行っている者の生命等を防護するための武器の使用というのは、いわば隊員個人の正当防衛及び緊急避難的な活動に限定されるものであり、これではこの種の活動を組織的に行うということは期しがたいと思います。
その点で、個々の隊員の武器使用というのではなく、自衛隊そのものの活動として、上官の指示もしくは命令に基づく武器の使用という方法でこの法案が修正されるべきであると考えます。
また、後方地域支援に従事する自衛隊の武器の使用については、この法律の中で限定されていませんので、したがって、これでは実際の状況や活動を考えた場合、必ずしも適切でないと考えます。
いずれにしても、この種の問題は、もともと、昨年四月の末、閣議で御了解いただいた原案が、何らかの事情により、今日法案を修正する必要があるという状況に至っているわけで、したがって、もともとの成り行きを考えてみますと、この法案そのものを実際に閣議に通す場合、もう少し立法府と行政府で協議があってしかるべきであったのではないかと考えます。この種の最も重要な法案が立法府に十分に協議がなく閣議に通ってしまって、その後で、法案の修正がこのように多大な努力というものを傾注して行わなければならないこと自体、この法案を草案するときのプロセスに立ち返って、いささかの問題があるのではないかと考えるところでございます。
細かい点については質疑応答のところで述べさせていただくとして、基本的な考え方について申し述べました。
以上でございます。ありがとうございます。拍手
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一方、このような新たな秩序を維持するまでの間、我々はどういう道を現在選んでいるかというと、言うまでもなく、これは、冷戦時代に構築をした同盟を強化することによってこの冷戦後の世界を乗り切ろうとしているわけで、欧州においては、現在、コソボにおけるNATOの作戦は、まさにNATOが今後五十年生き残れるかどうかという、NATO存続をかけたいわば戦いをやっているのではないかと思います。
アジアにおいては、言うまでもなく、日米同盟という、冷戦後につくられた、最も確立された信頼性の高い同盟関係をどのようにして強化するかということが、アメリカにとっても日本にとっても、そして広くはアジア太平洋全体の平和と安定のために重要であります。
したがって、現在本委員会において御審議いただいておるこのガイドライン関係法というものをぜひとも成立させ、日米同盟を強化し、これを、日本の平和と安全のためのみならず、アジア太平洋全体の平和と安全のために役立てるということが不可欠であると考えます。
限られた時間の中で、この周辺事態安全確保法について、特に法案修正について所信を申し述べたいと思いますが、言うまでもなく、この法案は、ガイドラインに基づく日米防衛協力の実効性を確保するという側面と、もう一つは日本の平和と安全に重要な政策上の指針を与えるという、二つの側面があると思います。
法をいかにしてつくるかということについては、言うまでもなく、二つの大きな基準があると思います。それは、法の成り立ちから見ていかなる形のものが望ましいのか、特に、立法府と行政府の権限をいかにして調和させ、それぞれの権限を十二分に発揮させるのが望ましいのかという側面と、それからもう一つは、この法によって、政治の実態、この場合は国家の安全保障をいかにして確保するか、そのためにどのような法の枠組みが最も有効で、組織的な機能発揮ができるのかという、いわば法と実態の二つの側面からこの法案修正が議論されるべきであると考えます。
かかる観点に立って、現在問題になっている幾つかの重要な点について意見を申し述べれば、まず、周辺事態の定義についてはほとんど議論がし尽くされておりますが、この周辺事態の定義というのは、「我が国周辺の地域における」という地域的概念、いわゆる地理的概念と、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という事態の性格と、二つの面を持っているわけで、どちらかの議論だけを集中的にやるということは、この定義を全体としてとらえることができないのではないかと私は思います。
言うまでもなく、我が国周辺の地域というものが地球の向こう側まであるはずがなく、したがって、明らかにこの前段の部分は地理的概念を示したものであり、後段の部分は事態の性格に立脚した表現でありますので、この二つをどのように調和させて議論するかということを考えた場合、その行き着く先は、日米安保条約第六条に言う極東並びに極東周辺に発生する事態を、日本が、米国との調整を行いつつ、主体的に判断して認定すべきものであると考えます。
最も重要な国会承認につきましては、浜谷先生が米国の戦争権限法を例に説いて大変ユニークな、また意味のある卓見を御披露になりましたので、私は結論部分を申し上げたいと思います。
私の結論は、まず、国会承認すべき内容というか対象は二つです。一つは、領域外における自衛隊の活動、それから、地方公共団体及び国以外の者、すなわち一般の国民が支援、協力する内容。この二つはいわば新しい分野でありまして、これは、憲法を初めいろいろな法に照らして、この際立法府がよく審議する必要があるということであり、したがって、この二つの問題については国会承認の対象とすべきであると思います。
しかるに、これを事前承認するということについて、私は必ずしも納得しないわけであります。第一に、状況に十分に迅速に対応できないという可能性があるということ。言うまでもなく、周辺事態は突然起こる何らかの不測の事態。六つのケースが現在示されておりますが、そのいずれをとっても、何カ月も前に予期されるなどということがほとんどあり得ないわけでありまして、このような事態に迅速に対応するためには、内閣が内閣総理大臣の権限のもとで必要な認定を行い、措置を実施するということがまずあってしかるべきであると思います。それだけの権限を、自衛法等において内閣総理大臣に自衛隊の最高の指揮監督権を与えているわけでありますから、したがって、ここは、内閣が閣議において決定される内容をまず実行するということが望ましいのではないかと思います。
その際、すべてのものを事前承認するということになりますと、まさに浜谷先生の御指摘のように、まさに周辺事態が生き物のように変化するときに、基本計画やあるいはいろいろな対応措置が変化するたびに、そのたびに事前の承認をまた国会でとるということであり、それは事態に対応するときに、事態というものに柔軟にかつ迅速に対応できないという可能性が常にあるということなのではないかと思います。
その際、いかなる期間に事後承認するかということについて、戦争権限法は六十日ということでありますが、これは世界的に活動をする米軍の場合でありまして、我が国の場合、我が国が対応する地域はあくまで周辺事態ということであります。しかしながら、国会が休会になっているという可能性もあり、このようなときに国会を開いてこの重要な問題を審議するためにはどうしても、必要な議員の方々がお集まりになる時間的余裕を一週間と見て、衆参両院一週間ずつ、計三週間というのがこの事後承認の最大見積もられる期間なのではないかと思います。
もちろん、内閣は、必要な認定を行い、措置を実施した場合はまず速やかに国会に報告を行い、すべての活動が終わった後、事後に再び国会に報告を行うということは、これは当然であると考えます。
これが国会承認についての私の考え方です。
以下、細かい幾つかの点について申し述べたいのですが、一つは、捜索救助と船舶検査については、日米安保に基づき米軍に対して行う支援、協力活動と、本来、日米協力には限定されませんが、日本が主体的に行う活動が含まれていると思います。しかるに、この法案はそもそも日米防衛協力を目的としたものである限り、かかる観点から、日米安保の実効性を確保するための法律であるということを明記し、同時に、日米安保に依拠した活動を行うよう規定することが望ましいと考えます。その際、この法律で担保されない活動について、別途の法律でこれを確保するという必要があると考えます。
また、船舶検査については国連の安保理決議が要るか要らないかという議論がありますが、私は、これは、日本の国内において必要なこの種の活動に多くの国民の皆様に理解と支援を得るためには、経済制裁を科するための国連の安保理決議が必要であると考えます。
その際、安保理決議がある限り、相手船舶の船長等の同意は法的に見れば不要でありますが、他方において、実施区域が他の国の活動と混交されないよう指定されているということについては、これでは日米防衛協力というものが十分にできない可能性もあり、このところについては改善の余地があるのではないかと考えます。
地方公共団体及び国以外の者による協力については、この法律に基づく活動のうち地方公共団体や一般国民が対応すべき活動内容について、基本計画の中で、協力の種類及び内容並びにその協力に関する重要事項が示されることになっているところでございますけれども、地方公共団体及び一般国民が支援、協力すべき内容が例示されておらないということについては、この法律に基づいていかなる協力が要請され、また求められるのかということが不透明であるという問題があり、この点は、あらかじめこの法律の中で、具体的に何らかの支援分野を例示する必要があるのではないかと考えます。
武器の使用については、従来から二つの問題が議論されておりますが、一つは、捜索救助及び船舶検査に従事する個々の自衛官が合理的に必要と判断される限度で武器の使用ができるということになっておりますが、この種の活動を行っている者の生命等を防護するための武器の使用というのは、いわば隊員個人の正当防衛及び緊急避難的な活動に限定されるものであり、これではこの種の活動を組織的に行うということは期しがたいと思います。
その点で、個々の隊員の武器使用というのではなく、自衛隊そのものの活動として、上官の指示もしくは命令に基づく武器の使用という方法でこの法案が修正されるべきであると考えます。
また、後方地域支援に従事する自衛隊の武器の使用については、この法律の中で限定されていませんので、したがって、これでは実際の状況や活動を考えた場合、必ずしも適切でないと考えます。
いずれにしても、この種の問題は、もともと、昨年四月の末、閣議で御了解いただいた原案が、何らかの事情により、今日法案を修正する必要があるという状況に至っているわけで、したがって、もともとの成り行きを考えてみますと、この法案そのものを実際に閣議に通す場合、もう少し立法府と行政府で協議があってしかるべきであったのではないかと考えます。この種の最も重要な法案が立法府に十分に協議がなく閣議に通ってしまって、その後で、法案の修正がこのように多大な努力というものを傾注して行わなければならないこと自体、この法案を草案するときのプロセスに立ち返って、いささかの問題があるのではないかと考えるところでございます。
細かい点については質疑応答のところで述べさせていただくとして、基本的な考え方について申し述べました。
以上でございます。ありがとうございます。拍手
山
松
松島悠佐#8
○松島公述人 私は、元自衛隊の指揮官でございました。そういう立場から、このガイドライン関係法案の審議に当たり、実際に行動を命じられる自衛隊が周辺事態の中で本当に動けるのか、与えられた任務を達成できるのか、こういう観点から意見を申し述べたいと思います。
論点は二つに絞って申し上げます。一つは、自衛隊の行動上の問題です。ほかの一つは、自衛権の行使についてであります。
自衛隊の行動上の問題点につきましては、後方地域の定義と指定の問題、それから武器使用の規定の問題、この二つでございます。
後方地域は、現に戦闘行為が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがない、そう認識される我が国の周辺の公海とその上空となっております。したがって、後方地域支援においては、武器使用を余儀なくされるような不測の事態も起こらないという前提の内容で法案が書かれております。
我が国周辺の地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生し、それを鎮静化するために米軍が作戦し、我が国がそれを支援しているという構図の中で、果たして定義されたような地域が存在するのだろうか、また、それを正しく指定できるのだろうかという疑問があります。
これまでも時々議論になっておりますように、軍事行動をとっている米軍を支援することは、それが後方地域であっても、武器弾薬以外の輸送、補給であっても、米軍に対する作戦支援に変わりはありません。米軍と交戦中の相手国から見れば、日本も米軍と共同作戦を行っている敵対国であります。これは国際的に見ても軍事的な常識であります。
したがって、たとえこちらが後方地域の支援であり、将来とも戦闘行為が起こらないだろうと想定しても、不意急襲的な航空攻撃やミサイル攻撃や、あるいは潜水艦によるゲリラ攻撃等、後方攪乱を目的とした攻撃は常に予期しておく必要があります。近代戦におけるこれも軍事的な常識でございます。
これまでの政府の見解では、将来とも戦闘が起こらない後方地域は存在する、そして区域の指定もできるという判断ですから、本当にそんな地域があるのかないのか、区域指定ができるのかできないのか、これ以上申し上げるつもりはありません。
ただ、実際の場面で、自衛隊の部隊に後方支援活動を命じ、活動区域を指定するに当たって、本格的な戦闘は起こらない地域であっても、後方攪乱を目的とした不意急襲的な攻撃は常に起こることを予測し、対処できる態勢だけはとらせてやっていただきたいと願うものであります。
次に、武器の使用ですが、この周辺事態関連法の中では、後方地域捜索救助活動や船舶検査活動並びに邦人救出において、隊員の生命と安全を守るために必要最小限度の武器使用が認められております。しかし、これは、たびたび指摘がありますように、自己防護のための武器使用であり、あくまで個人を対象にした権限の行使であります。しかも、正当防衛、緊急避難以外には人に危害を加えてはならないという縛りがついております。
これに対して、自衛隊は、常に組織として行動し、任務に従事しております。したがって、隊員個人に与えられる武器使用の権限では、組織として対応することができないというのが現実の問題であります。
他方、我が方に武力を行使してくる相手は、米国と交戦中の軍隊か、ゲリラ、コマンドー等、いわゆる戦争法規で言う交戦者であり、組織的な戦闘行動を行うことが常態と考えておかなければなりません。
この戦闘行動として組織的な武力を行使してくる相手に対して、我が方は、個人の権限を基本にした武器使用で、しかも正当防衛、緊急避難以外相手に危害を加えてはならないという権限の行使では、不測の事態に陥り交戦状態になった場合に、自衛隊が一方的な損害を受け、任務達成も不可能になることは必至であります。
周辺事態における我が国の対処は、戦闘行動を目的としたものではありませんが、いかに後方地域における支援とはいっても、先ほど申し上げましたように、後方攪乱のための不意急襲的な攻撃の危険は常に存在するものであります。自衛のための戦闘は常に予期しておかなければなりません。
もし、このような不測の事態になった場合には、ごく普通の軍事的常識からいえば、活動中の部隊は、艦艇、航空機を防護するための戦闘を行いながら、与えられた任務を達成しようと努力いたします。しかしながら、本法案では、この軍事的な常識が適用されない状態で自衛隊は活動をしなければなりません。
したがって、実際の場面で活動を命じる自衛隊には、そのような不意急襲的な攻撃から部隊を守り、任務が達成できるような態勢を準備させ、最小限の自衛戦闘ができるような武力行使の権限を与えるなど、必要な措置をとることが求められてまいります。
これが、部隊を運用する立場からの本法案に対する要望でございます。
二つ目の自衛権の行使についてですが、では、どうしてこのような問題が出てきたのかということですが、それは自衛権の解釈の問題だろうと思います。
申すまでもなく、個別的自衛権は我が国に急迫不正の侵害があった場合に限定されております。集団的自衛権は憲法上行使できないというのが政府の見解であります。このガイドラインの検討においても、この政府見解のもとで、周辺事態において自衛権の行使はできないことを前提としております。
したがって、周辺事態において活動中の自衛隊に、先ほど申し述べましたような自衛のための戦闘を認可できず、PKO法案と同様に、個人の防護という自然権的な武器使用にとどめざるを得なかったものであります。そのために、活動地域も、この武器使用の権限に照らしてみずから限定し、自衛のための戦闘も起こらないような地域を想定し、後方地域として定義をした、言ってみれば、大変無理な論理構成になっております。
本来、この周辺事態は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ですから、もし対応を誤ると、我が国にとって大変危険な状態をつくり出すおそれがある事態と認識しておかなければなりません。したがって、これを早く鎮静化し、国益を損なわないようにすることが必要であります。この事態対処は国家防衛のための対処であり、自衛権の行使を前提に考えるべき性格のものではないかと思います。
ただし、我が国の自衛権の行使には、申すまでもありません、憲法九条の規定からくる制約があります。我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきであるとする見解をとっています。したがいまして、周辺事態において自衛権を適用するとしても、直接的な武力行使はその範囲を超えるものであり、結局、米軍に依存するしか方法はありません。
しかしながら、この法案に定められた程度の米軍に対する支援、すなわち、我が国の国益にかかわる事態を鎮静化するために、日米安保にのっとり作戦している米軍に対して、直接戦闘行動に至らない範囲で後方支援に限定して活動することは、国家固有の自己防衛のための機能であって、憲法に違反するような、自衛権を逸脱した行為ではないと思います。少なくとも、自衛隊の実際的な行動、すなわち、戦闘地域とは一線を画した後方地域で捜索救助や後方支援などの活動をしている間に、不意急襲的な攻撃を受けた場合にだけ、みずからの部隊を守り、艦艇や航空機を守るための最小限の自衛戦闘をするというような対応をするわけですから、これは必要最小限度の自衛権の行使であり、憲法に違反するようなものではないと確信いたします。
法律の専門家でもない私が、このような意見を申し上げるのは適当でないかもしれませんが、例えば、集団的自衛権のうちのごく限られた一部を適用するとか、あるいは個別的自衛権を少し拡大して解釈するとか、いずれにしても、周辺事態検討の根底の問題として、自衛権解釈の見直しと周辺事態における自衛権の適用の是非をまず最初に論議するべきではなかったかと思います。そうすれば、今論点になっていることは全部解決するはずであります。
すなわち、自衛権に基づく対応であれば、後方地域の定義も、より現実的な表現ができますし、それに対応して自衛隊の武力行使も、国際的な規則と慣例にのっとった、実態に適合したものに規定することができます。この場合、もちろん、国家の決定ですから、国会承認を義務づけるのは当然だと思います。
他方、原案のように、憲法解釈に関する政府見解を変えないという前提にした場合は、この第十一条に記述された自己防護のための武器使用で対応できる程度の状態で活動するわけですから、これは平素から持っている武器等防護のための武器使用と余り変わらない権限でもあり、活動自体もふだんの災害派遣と余り変わらないような内容となります。当然ながら、国会の承認も必要としないと思われます。
ただ、先ほども申し上げましたように、周辺事態の対処が本当にそのような安易な状況で終始するのかという疑問が残ります。実際はそのような安易な状態ではなく、いざというときには不測の自衛戦闘を強いられる事態が起こると予測されます。すなわち、政治が決断を避けて通った状態、法律が想定していない状態が起こったときにどうするのでしょうか。
この法令で申し上げれば、隊員の自己防護のための武器使用では対応できない事態が起こったときにはどうするのでしょう。自己防護の武器使用すら想定していない後方支援活動で部隊が攻撃を受けたらどうするのでしょうか。結局、現場に立たされた指揮官が判断し、処置しなければならないんです。
このことは、今回のガイドライン法案のみならず、現在の国際貢献活動における武器使用でも同じことであります。幸いにして、カンボジアへの派遣以来、現在のゴラン高原まで、武器使用に至る事態は発生しておりませんが、もしそういう事態が起こったときには、現地に派遣された自衛隊の指揮官は非常に難しい対応を迫られることになると思います。その悩みは、いざというときにかたくなに法を守れば任務が達成できないし、任務を達成しようとすれば法を曲げて対処しなければならないというジレンマであります。こういう最後の判断を現場の指揮官に押しつけてしまっているのが我が国の現状であります。
シビリアンコントロールの原則は、申すまでもなく、政治判断が軍事判断に優先することであります。政治が判断すべきことを的確に判断し、明確に示してやることによってシビリアンコントロールは初めて正しく機能するものであります。
そのような観点から本法案を見たときに、果たして正しい政治決断がされているのでしょうか。残念ながら、この法案は、最も安易な状態しか想定しておりません。したがって、これをそのまま履行すれば、不測の事態が起こったときに任務を達成できず、一方的に被害を受けるおそれがあります。つまり、隊員個人の自己防護のための武器使用だけでは、いざというときには隊員に無用の死傷者が出るでしょうし、艦船、航空機などの被害が出て任務達成が困難になる事態が生じます。
結論を申し上げます。
非常事態の法令は、最も厳しい状況になったときにどう対応するのかということを示してやることが必要であります。特に、武力行使に至るような事態は、すぐれて政治の判断すべきことであり、政治が決断して示してやるべきであります。
周辺事態対処の基本は、自衛権に基づく防衛作戦の一環であると考えます。そういう政治判断のもとに、国益を守り、国の平和と安全が本当に保てるような、そしてそのために現場で任に当たる自衛官が迷うことなく十分にその使命を果たせるような法案をぜひつくっていただきたいと思います。かつて自衛隊に奉職し、国防の任についていた者の一人として、心からお願いを申し上げ、意見の陳述にいたします。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →論点は二つに絞って申し上げます。一つは、自衛隊の行動上の問題です。ほかの一つは、自衛権の行使についてであります。
自衛隊の行動上の問題点につきましては、後方地域の定義と指定の問題、それから武器使用の規定の問題、この二つでございます。
後方地域は、現に戦闘行為が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがない、そう認識される我が国の周辺の公海とその上空となっております。したがって、後方地域支援においては、武器使用を余儀なくされるような不測の事態も起こらないという前提の内容で法案が書かれております。
我が国周辺の地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生し、それを鎮静化するために米軍が作戦し、我が国がそれを支援しているという構図の中で、果たして定義されたような地域が存在するのだろうか、また、それを正しく指定できるのだろうかという疑問があります。
これまでも時々議論になっておりますように、軍事行動をとっている米軍を支援することは、それが後方地域であっても、武器弾薬以外の輸送、補給であっても、米軍に対する作戦支援に変わりはありません。米軍と交戦中の相手国から見れば、日本も米軍と共同作戦を行っている敵対国であります。これは国際的に見ても軍事的な常識であります。
したがって、たとえこちらが後方地域の支援であり、将来とも戦闘行為が起こらないだろうと想定しても、不意急襲的な航空攻撃やミサイル攻撃や、あるいは潜水艦によるゲリラ攻撃等、後方攪乱を目的とした攻撃は常に予期しておく必要があります。近代戦におけるこれも軍事的な常識でございます。
これまでの政府の見解では、将来とも戦闘が起こらない後方地域は存在する、そして区域の指定もできるという判断ですから、本当にそんな地域があるのかないのか、区域指定ができるのかできないのか、これ以上申し上げるつもりはありません。
ただ、実際の場面で、自衛隊の部隊に後方支援活動を命じ、活動区域を指定するに当たって、本格的な戦闘は起こらない地域であっても、後方攪乱を目的とした不意急襲的な攻撃は常に起こることを予測し、対処できる態勢だけはとらせてやっていただきたいと願うものであります。
次に、武器の使用ですが、この周辺事態関連法の中では、後方地域捜索救助活動や船舶検査活動並びに邦人救出において、隊員の生命と安全を守るために必要最小限度の武器使用が認められております。しかし、これは、たびたび指摘がありますように、自己防護のための武器使用であり、あくまで個人を対象にした権限の行使であります。しかも、正当防衛、緊急避難以外には人に危害を加えてはならないという縛りがついております。
これに対して、自衛隊は、常に組織として行動し、任務に従事しております。したがって、隊員個人に与えられる武器使用の権限では、組織として対応することができないというのが現実の問題であります。
他方、我が方に武力を行使してくる相手は、米国と交戦中の軍隊か、ゲリラ、コマンドー等、いわゆる戦争法規で言う交戦者であり、組織的な戦闘行動を行うことが常態と考えておかなければなりません。
この戦闘行動として組織的な武力を行使してくる相手に対して、我が方は、個人の権限を基本にした武器使用で、しかも正当防衛、緊急避難以外相手に危害を加えてはならないという権限の行使では、不測の事態に陥り交戦状態になった場合に、自衛隊が一方的な損害を受け、任務達成も不可能になることは必至であります。
周辺事態における我が国の対処は、戦闘行動を目的としたものではありませんが、いかに後方地域における支援とはいっても、先ほど申し上げましたように、後方攪乱のための不意急襲的な攻撃の危険は常に存在するものであります。自衛のための戦闘は常に予期しておかなければなりません。
もし、このような不測の事態になった場合には、ごく普通の軍事的常識からいえば、活動中の部隊は、艦艇、航空機を防護するための戦闘を行いながら、与えられた任務を達成しようと努力いたします。しかしながら、本法案では、この軍事的な常識が適用されない状態で自衛隊は活動をしなければなりません。
したがって、実際の場面で活動を命じる自衛隊には、そのような不意急襲的な攻撃から部隊を守り、任務が達成できるような態勢を準備させ、最小限の自衛戦闘ができるような武力行使の権限を与えるなど、必要な措置をとることが求められてまいります。
これが、部隊を運用する立場からの本法案に対する要望でございます。
二つ目の自衛権の行使についてですが、では、どうしてこのような問題が出てきたのかということですが、それは自衛権の解釈の問題だろうと思います。
申すまでもなく、個別的自衛権は我が国に急迫不正の侵害があった場合に限定されております。集団的自衛権は憲法上行使できないというのが政府の見解であります。このガイドラインの検討においても、この政府見解のもとで、周辺事態において自衛権の行使はできないことを前提としております。
したがって、周辺事態において活動中の自衛隊に、先ほど申し述べましたような自衛のための戦闘を認可できず、PKO法案と同様に、個人の防護という自然権的な武器使用にとどめざるを得なかったものであります。そのために、活動地域も、この武器使用の権限に照らしてみずから限定し、自衛のための戦闘も起こらないような地域を想定し、後方地域として定義をした、言ってみれば、大変無理な論理構成になっております。
本来、この周辺事態は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ですから、もし対応を誤ると、我が国にとって大変危険な状態をつくり出すおそれがある事態と認識しておかなければなりません。したがって、これを早く鎮静化し、国益を損なわないようにすることが必要であります。この事態対処は国家防衛のための対処であり、自衛権の行使を前提に考えるべき性格のものではないかと思います。
ただし、我が国の自衛権の行使には、申すまでもありません、憲法九条の規定からくる制約があります。我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきであるとする見解をとっています。したがいまして、周辺事態において自衛権を適用するとしても、直接的な武力行使はその範囲を超えるものであり、結局、米軍に依存するしか方法はありません。
しかしながら、この法案に定められた程度の米軍に対する支援、すなわち、我が国の国益にかかわる事態を鎮静化するために、日米安保にのっとり作戦している米軍に対して、直接戦闘行動に至らない範囲で後方支援に限定して活動することは、国家固有の自己防衛のための機能であって、憲法に違反するような、自衛権を逸脱した行為ではないと思います。少なくとも、自衛隊の実際的な行動、すなわち、戦闘地域とは一線を画した後方地域で捜索救助や後方支援などの活動をしている間に、不意急襲的な攻撃を受けた場合にだけ、みずからの部隊を守り、艦艇や航空機を守るための最小限の自衛戦闘をするというような対応をするわけですから、これは必要最小限度の自衛権の行使であり、憲法に違反するようなものではないと確信いたします。
法律の専門家でもない私が、このような意見を申し上げるのは適当でないかもしれませんが、例えば、集団的自衛権のうちのごく限られた一部を適用するとか、あるいは個別的自衛権を少し拡大して解釈するとか、いずれにしても、周辺事態検討の根底の問題として、自衛権解釈の見直しと周辺事態における自衛権の適用の是非をまず最初に論議するべきではなかったかと思います。そうすれば、今論点になっていることは全部解決するはずであります。
すなわち、自衛権に基づく対応であれば、後方地域の定義も、より現実的な表現ができますし、それに対応して自衛隊の武力行使も、国際的な規則と慣例にのっとった、実態に適合したものに規定することができます。この場合、もちろん、国家の決定ですから、国会承認を義務づけるのは当然だと思います。
他方、原案のように、憲法解釈に関する政府見解を変えないという前提にした場合は、この第十一条に記述された自己防護のための武器使用で対応できる程度の状態で活動するわけですから、これは平素から持っている武器等防護のための武器使用と余り変わらない権限でもあり、活動自体もふだんの災害派遣と余り変わらないような内容となります。当然ながら、国会の承認も必要としないと思われます。
ただ、先ほども申し上げましたように、周辺事態の対処が本当にそのような安易な状況で終始するのかという疑問が残ります。実際はそのような安易な状態ではなく、いざというときには不測の自衛戦闘を強いられる事態が起こると予測されます。すなわち、政治が決断を避けて通った状態、法律が想定していない状態が起こったときにどうするのでしょうか。
この法令で申し上げれば、隊員の自己防護のための武器使用では対応できない事態が起こったときにはどうするのでしょう。自己防護の武器使用すら想定していない後方支援活動で部隊が攻撃を受けたらどうするのでしょうか。結局、現場に立たされた指揮官が判断し、処置しなければならないんです。
このことは、今回のガイドライン法案のみならず、現在の国際貢献活動における武器使用でも同じことであります。幸いにして、カンボジアへの派遣以来、現在のゴラン高原まで、武器使用に至る事態は発生しておりませんが、もしそういう事態が起こったときには、現地に派遣された自衛隊の指揮官は非常に難しい対応を迫られることになると思います。その悩みは、いざというときにかたくなに法を守れば任務が達成できないし、任務を達成しようとすれば法を曲げて対処しなければならないというジレンマであります。こういう最後の判断を現場の指揮官に押しつけてしまっているのが我が国の現状であります。
シビリアンコントロールの原則は、申すまでもなく、政治判断が軍事判断に優先することであります。政治が判断すべきことを的確に判断し、明確に示してやることによってシビリアンコントロールは初めて正しく機能するものであります。
そのような観点から本法案を見たときに、果たして正しい政治決断がされているのでしょうか。残念ながら、この法案は、最も安易な状態しか想定しておりません。したがって、これをそのまま履行すれば、不測の事態が起こったときに任務を達成できず、一方的に被害を受けるおそれがあります。つまり、隊員個人の自己防護のための武器使用だけでは、いざというときには隊員に無用の死傷者が出るでしょうし、艦船、航空機などの被害が出て任務達成が困難になる事態が生じます。
結論を申し上げます。
非常事態の法令は、最も厳しい状況になったときにどう対応するのかということを示してやることが必要であります。特に、武力行使に至るような事態は、すぐれて政治の判断すべきことであり、政治が決断して示してやるべきであります。
周辺事態対処の基本は、自衛権に基づく防衛作戦の一環であると考えます。そういう政治判断のもとに、国益を守り、国の平和と安全が本当に保てるような、そしてそのために現場で任に当たる自衛官が迷うことなく十分にその使命を果たせるような法案をぜひつくっていただきたいと思います。かつて自衛隊に奉職し、国防の任についていた者の一人として、心からお願いを申し上げ、意見の陳述にいたします。
ありがとうございました。拍手
山
山
宮
宮腰光寛#11
○宮腰委員 自由民主党の宮腰光寛でございます。
きょうは、公述人の先生方には大変貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございます。
まず、最近の世論調査の結果についてお伺いいたします。主に佐々先生にお願いをいたしたいと思います。
四月七日に共同通信社が発表いたしました世論調査によりますと、ガイドライン関連法案につきましては、「賛成」が二一%、「どちらかと言えば賛成」というのが四五%に上っておりまして、両方合わせると六六%という数値を占めたことが報道されております。「反対」と「どちらかと言えば反対」を合わせると二三%ということになっておりまして、三分の二が賛成、約四分の一が反対というような結果になっております。
これは恐らく、昨年の八月の三十一日に北朝鮮のテポドン・ミサイルが日本列島を横断したことや核疑惑が存在をするといったこと、それから先日の北朝鮮の工作船が我が国の領海を侵犯したことなどが賛成の後押し要因となっているというふうに考えられるわけであります。しかし、もう既に国民の間で、日本の安全のために周辺事態へのしっかりとした対応が必要であるという考え方が主流になりつつあることは間違いありません。
それにしても非常にはっきりとした結果が出ていると思いますが、賛成が三分の二という世論調査の結果につきましてどのように評価しておいでになるか、伺いたいと思います。
この発言だけを見る →きょうは、公述人の先生方には大変貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございます。
まず、最近の世論調査の結果についてお伺いいたします。主に佐々先生にお願いをいたしたいと思います。
四月七日に共同通信社が発表いたしました世論調査によりますと、ガイドライン関連法案につきましては、「賛成」が二一%、「どちらかと言えば賛成」というのが四五%に上っておりまして、両方合わせると六六%という数値を占めたことが報道されております。「反対」と「どちらかと言えば反対」を合わせると二三%ということになっておりまして、三分の二が賛成、約四分の一が反対というような結果になっております。
これは恐らく、昨年の八月の三十一日に北朝鮮のテポドン・ミサイルが日本列島を横断したことや核疑惑が存在をするといったこと、それから先日の北朝鮮の工作船が我が国の領海を侵犯したことなどが賛成の後押し要因となっているというふうに考えられるわけであります。しかし、もう既に国民の間で、日本の安全のために周辺事態へのしっかりとした対応が必要であるという考え方が主流になりつつあることは間違いありません。
それにしても非常にはっきりとした結果が出ていると思いますが、賛成が三分の二という世論調査の結果につきましてどのように評価しておいでになるか、伺いたいと思います。
佐
佐々淳行#12
○佐々公述人 お答えいたします。
私、安全保障問題、危機管理の問題ということで、これをライフワークとしてやっておるわけでございまして、全国、御要望があれば講演旅行をして、その反応を身をもって、北は北海道から南は沖縄まで体験をいたしておりますが、先生御指摘のように、世論は急激に変わっております。これに追いついていないのが永田町と霞が関だと思います。
この発言だけを見る →私、安全保障問題、危機管理の問題ということで、これをライフワークとしてやっておるわけでございまして、全国、御要望があれば講演旅行をして、その反応を身をもって、北は北海道から南は沖縄まで体験をいたしておりますが、先生御指摘のように、世論は急激に変わっております。これに追いついていないのが永田町と霞が関だと思います。
宮
宮腰光寛#13
○宮腰委員 大変厳しい御指摘もいただきました。
次に、周辺事態の定義についてお伺いをいたしたいと思います。
政府は周辺事態の定義を、我が国に対する武力攻撃には至らないが、我が国周辺の地域における平和と安全に重要な影響を与える事態といたしておりまして、これまで四つの類型を示してきておりました。きのうこの委員会で、新たに二つの類型を提示いたしまして、内乱が国際的に拡大をした場合、あるいは、日本周辺における武力紛争が停止しても秩序の維持、回復が達成されていない場合という二つの類型を加えて、六つの類型を提示いたしております。
一方で、我が国の平和と安全に重大な脅威とみなし得る事態というふうに考える考え方でありますとか、我が国に対する武力攻撃に発展するおそれのある事態というように、周辺事態の定義を限定的にとらえようとするような考え方もあります。
周辺事態の定義を、そのようにして限定的にとらえるか、あるいは、平和と安全に重要な影響を与える事態というふうに、事態に即して弾力的に考えるかという違いだと思っているわけでありますが、余り限定的な考えで定義をいたしますと、新しいガイドライン法案の重要な要素であります日本有事とならないための抑止的機能が有効に働かないのではないかというふうに思うわけであります。
佐々先生は危機管理の代名詞というような方でありますけれども、周辺事態の定義を、限定的にとらえるべきか、あるいは、もっと事態に即して弾力的にとらえるべきと考えておられるのか、伺いたいと思います。
この発言だけを見る →次に、周辺事態の定義についてお伺いをいたしたいと思います。
政府は周辺事態の定義を、我が国に対する武力攻撃には至らないが、我が国周辺の地域における平和と安全に重要な影響を与える事態といたしておりまして、これまで四つの類型を示してきておりました。きのうこの委員会で、新たに二つの類型を提示いたしまして、内乱が国際的に拡大をした場合、あるいは、日本周辺における武力紛争が停止しても秩序の維持、回復が達成されていない場合という二つの類型を加えて、六つの類型を提示いたしております。
一方で、我が国の平和と安全に重大な脅威とみなし得る事態というふうに考える考え方でありますとか、我が国に対する武力攻撃に発展するおそれのある事態というように、周辺事態の定義を限定的にとらえようとするような考え方もあります。
周辺事態の定義を、そのようにして限定的にとらえるか、あるいは、平和と安全に重要な影響を与える事態というふうに、事態に即して弾力的に考えるかという違いだと思っているわけでありますが、余り限定的な考えで定義をいたしますと、新しいガイドライン法案の重要な要素であります日本有事とならないための抑止的機能が有効に働かないのではないかというふうに思うわけであります。
佐々先生は危機管理の代名詞というような方でありますけれども、周辺事態の定義を、限定的にとらえるべきか、あるいは、もっと事態に即して弾力的にとらえるべきと考えておられるのか、伺いたいと思います。
佐
佐々淳行#14
○佐々公述人 お答え申し上げます。
きのう二つ追加されたことによって、国内有事法制の必要性ということを当委員会がお考えになったのかな、私はそういう印象を受けておりまして、公述人は質問をしてはいけないと書いてございますけれども、お答えの形で申し上げますと、やはり周辺事態というのが内側に広がってきたという感じがいたします。
これを既存の法体系でやるとなると、内乱予備とか内乱罪あるいは外患誘致、これのことなのかな。それから、自衛隊法三条の任務で、これを読みますと、我が国の独立と平和を守り、直接間接の侵略に対処し、そして必要に応じ、公共の秩序の維持に当たると書いてあるんですね。その第二項でもって、陸は陸上で、海は海上で、空は空でと、当たり前のことが書いてあるんですけれども、これは読みかえますると、陸は治安出動、海は海上警備行動、空は八十四条の領空侵犯、こういうふうに読めます。
そういたしますと、やはり周辺事態というのは内側に及んでくる可能性あり、事態想定の第一ですね、我が国に及びそうである、及ぶ、だから防衛出動待機命令、七十七条を下令することもあるのかなと理解されますけれども、もしも攻撃があった場合には五条事態になっちゃうんですね、六条でなくて。周辺事態でなくて、我が国に対する直接の攻撃。例えば、テポドンを撃ってきたらどうするんだという御質問があるわけですけれども、これは当然五条でもって、直ちに七十六条による自衛隊の防衛出動で、八十八条の武力の行使です。武力の行使は武器の使用と全然違います。これは個人の責任じゃなくて、国家主権の行為でございまして、隊員は、敵兵を殺傷しても、刑法適用になりませんから死刑になりません。これは国家の主権行為であって、指揮官の命令でやらなきゃいけなくて、かつ国が責任を負う問題でございます。
したがって、昨日拡大をされた六つの想定、あの二つは、どうも国内における五条事態の準備、間接侵略と解されるような、破壊工作員、あるいは、この前潜水艦で韓国にやったような武装ゲリラが潜入してきたとき、自衛隊は知らぬ顔していていいのか、こういうことになるわけでありまして、これはやはり、五条事態及び五条事態を補完するところの国内の有事法制というのを、この次の段階、御検討いただかなきゃいかぬのかな。周辺事態を外へ広げていくというんじゃなくて、むしろ内側へ来ているというのが現状なのではないでしょうか。
この発言だけを見る →きのう二つ追加されたことによって、国内有事法制の必要性ということを当委員会がお考えになったのかな、私はそういう印象を受けておりまして、公述人は質問をしてはいけないと書いてございますけれども、お答えの形で申し上げますと、やはり周辺事態というのが内側に広がってきたという感じがいたします。
これを既存の法体系でやるとなると、内乱予備とか内乱罪あるいは外患誘致、これのことなのかな。それから、自衛隊法三条の任務で、これを読みますと、我が国の独立と平和を守り、直接間接の侵略に対処し、そして必要に応じ、公共の秩序の維持に当たると書いてあるんですね。その第二項でもって、陸は陸上で、海は海上で、空は空でと、当たり前のことが書いてあるんですけれども、これは読みかえますると、陸は治安出動、海は海上警備行動、空は八十四条の領空侵犯、こういうふうに読めます。
そういたしますと、やはり周辺事態というのは内側に及んでくる可能性あり、事態想定の第一ですね、我が国に及びそうである、及ぶ、だから防衛出動待機命令、七十七条を下令することもあるのかなと理解されますけれども、もしも攻撃があった場合には五条事態になっちゃうんですね、六条でなくて。周辺事態でなくて、我が国に対する直接の攻撃。例えば、テポドンを撃ってきたらどうするんだという御質問があるわけですけれども、これは当然五条でもって、直ちに七十六条による自衛隊の防衛出動で、八十八条の武力の行使です。武力の行使は武器の使用と全然違います。これは個人の責任じゃなくて、国家主権の行為でございまして、隊員は、敵兵を殺傷しても、刑法適用になりませんから死刑になりません。これは国家の主権行為であって、指揮官の命令でやらなきゃいけなくて、かつ国が責任を負う問題でございます。
したがって、昨日拡大をされた六つの想定、あの二つは、どうも国内における五条事態の準備、間接侵略と解されるような、破壊工作員、あるいは、この前潜水艦で韓国にやったような武装ゲリラが潜入してきたとき、自衛隊は知らぬ顔していていいのか、こういうことになるわけでありまして、これはやはり、五条事態及び五条事態を補完するところの国内の有事法制というのを、この次の段階、御検討いただかなきゃいかぬのかな。周辺事態を外へ広げていくというんじゃなくて、むしろ内側へ来ているというのが現状なのではないでしょうか。
宮
宮腰光寛#15
○宮腰委員 そこで、先ほど佐々先生の方からお話がありました、総合的、体系的な国家安全保障の基本法をつくるべきであると。いろいろなお名前を挙げておいでになりましたけれども、例えば危機管理基本法というようなお名前で表現をしておいでになりましたけれども、その考えておいでになる内容について、ちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →佐
佐々淳行#16
○佐々公述人 お答えいたします。
私、ずっと警察と防衛とやってきたわけでございますが、何か起こると、そのたびに特別法をつくります。ハイジャック防止法というのもなかったんですね。サリン特別法もございませんでした。それから、今ハッカー取締法というのがこれから上程されようとしております。情勢に常におくれて特別法ができる。特に自衛隊法の場合には、基本法は全然変えないんですね。一部百条の便宜供与の問題だけ変えましたけれども、それ以外はそのまま、全部特別法でやってきているというところに、心棒の通っていない、大黒柱のない継ぎ足し建築の感じがするわけでございます。
そして、危機の態様が変わってきた。戦争と革命だけじゃなくて、今や、核の問題、あるいはバイオ、伝染病の問題、O157であるとか、重油の環境汚染であるとか、あるいは人質誘拐事件、ペルーの事件とか、どうも危機の態様が変わってきた。これに対しては、内閣法を改正して、内閣総理大臣に臨時に、閣議によりがたい場合には非常大権を与えるという緊急措置を講じさせ、国会さんには、今度は緊急事態に対処する審議、書面通知を各委員にしてない場合は受け付けられないとか、こういうあほうなことを言ってないで、直ちに緊急に応じるという体制を国もおつくりになる、これが私の申し上げている基本法の考え方でございます。
中心になりますのは内閣総理大臣、そして、官房長官を内閣総理大臣にかわる職務権限、総理が倒れた場合には内閣総理大臣にかわって指揮をとる、ここまでぐらいはきちっと決めて、内閣危機管理監というのをせっかくおつくりになったんですから、これでもって、サリンに対しても、あるいは大地震に対しても対応できる体制をつくって、自衛隊法も基本的にそろそろ改正をする必要があるのではないか、これが危機管理基本法の提案の趣旨でございます。
この発言だけを見る →私、ずっと警察と防衛とやってきたわけでございますが、何か起こると、そのたびに特別法をつくります。ハイジャック防止法というのもなかったんですね。サリン特別法もございませんでした。それから、今ハッカー取締法というのがこれから上程されようとしております。情勢に常におくれて特別法ができる。特に自衛隊法の場合には、基本法は全然変えないんですね。一部百条の便宜供与の問題だけ変えましたけれども、それ以外はそのまま、全部特別法でやってきているというところに、心棒の通っていない、大黒柱のない継ぎ足し建築の感じがするわけでございます。
そして、危機の態様が変わってきた。戦争と革命だけじゃなくて、今や、核の問題、あるいはバイオ、伝染病の問題、O157であるとか、重油の環境汚染であるとか、あるいは人質誘拐事件、ペルーの事件とか、どうも危機の態様が変わってきた。これに対しては、内閣法を改正して、内閣総理大臣に臨時に、閣議によりがたい場合には非常大権を与えるという緊急措置を講じさせ、国会さんには、今度は緊急事態に対処する審議、書面通知を各委員にしてない場合は受け付けられないとか、こういうあほうなことを言ってないで、直ちに緊急に応じるという体制を国もおつくりになる、これが私の申し上げている基本法の考え方でございます。
中心になりますのは内閣総理大臣、そして、官房長官を内閣総理大臣にかわる職務権限、総理が倒れた場合には内閣総理大臣にかわって指揮をとる、ここまでぐらいはきちっと決めて、内閣危機管理監というのをせっかくおつくりになったんですから、これでもって、サリンに対しても、あるいは大地震に対しても対応できる体制をつくって、自衛隊法も基本的にそろそろ改正をする必要があるのではないか、これが危機管理基本法の提案の趣旨でございます。
宮
宮腰光寛#17
○宮腰委員 次に、周辺事態における国会の関与についてお伺いをいたしたいと思います。
この問題は極めて重要な問題であります。周辺事態に際して、敏速に行動する政府の能力を損なうことなくシビリアンコントロールをどう発揮することができるか、安全保障政策を監督する国会の役割をどう果たしていくか、まさに基本的な問題であろうかと思います。
同時に、日本の安全保障と日米同盟の健全性を確保するということは、日本の国益にとって最優先されるべき課題でもありますし、ガイドライン法案は、政治的、戦略的に見て、日本にとって決定的に重要な意味を持つのではないかというふうに見ております。
そこで、幾つか出されている修正案のうち、基本的な部分で、政府が危機に対処する基本計画を実行する前に、その危機を周辺事態として認定すべきかどうか、国会の事前承認が必要であるというような議論まで実はあったぐらいであります。
危機の認定をめぐる国会論議がおくれた場合に、承認を待っている間に危機が拡大してしまうということに当然なるわけでありまして、緊急事態の対処を考えると、周辺事態の認定を国会で取り上げるなんということは、構造的な欠陥を持った法案であるといったようなことになるわけでありますが、周辺事態の認定そのものを国会の承認事項とすることについて、どのように考えておいでになりますか。
この発言だけを見る →この問題は極めて重要な問題であります。周辺事態に際して、敏速に行動する政府の能力を損なうことなくシビリアンコントロールをどう発揮することができるか、安全保障政策を監督する国会の役割をどう果たしていくか、まさに基本的な問題であろうかと思います。
同時に、日本の安全保障と日米同盟の健全性を確保するということは、日本の国益にとって最優先されるべき課題でもありますし、ガイドライン法案は、政治的、戦略的に見て、日本にとって決定的に重要な意味を持つのではないかというふうに見ております。
そこで、幾つか出されている修正案のうち、基本的な部分で、政府が危機に対処する基本計画を実行する前に、その危機を周辺事態として認定すべきかどうか、国会の事前承認が必要であるというような議論まで実はあったぐらいであります。
危機の認定をめぐる国会論議がおくれた場合に、承認を待っている間に危機が拡大してしまうということに当然なるわけでありまして、緊急事態の対処を考えると、周辺事態の認定を国会で取り上げるなんということは、構造的な欠陥を持った法案であるといったようなことになるわけでありますが、周辺事態の認定そのものを国会の承認事項とすることについて、どのように考えておいでになりますか。
佐
佐々淳行#18
○佐々公述人 お答え申し上げます。
私、政府委員として防衛問題を十二年間やりましたが、その事前承認、特に、何が起こるか、どうなるかわからない問題について、想定問答を出し、そして概念規定をし、この討議をしているだけで間に合わないと思います。したがいまして、大きな障害になりますので、それは国防の最高責任者である内閣総理大臣を中心とする内閣の、行政の判断にゆだねて、それに対して限定的な承認をするとか条件をつけるとか、これを国会がおやりになる、これが事前承認の限界ではないだろうか。
今申しましたような法案審議みたいなことをやっていたら、とても間に合わない。先ほど松島元陸将が申しましたように、現場にいる自衛官、あるいは私の場合には警察官、死傷者がたくさん出てしまって収拾のつかないことになりますので、周辺事態の認定の事前承認というのは非常に困難であろうと思います。
この発言だけを見る →私、政府委員として防衛問題を十二年間やりましたが、その事前承認、特に、何が起こるか、どうなるかわからない問題について、想定問答を出し、そして概念規定をし、この討議をしているだけで間に合わないと思います。したがいまして、大きな障害になりますので、それは国防の最高責任者である内閣総理大臣を中心とする内閣の、行政の判断にゆだねて、それに対して限定的な承認をするとか条件をつけるとか、これを国会がおやりになる、これが事前承認の限界ではないだろうか。
今申しましたような法案審議みたいなことをやっていたら、とても間に合わない。先ほど松島元陸将が申しましたように、現場にいる自衛官、あるいは私の場合には警察官、死傷者がたくさん出てしまって収拾のつかないことになりますので、周辺事態の認定の事前承認というのは非常に困難であろうと思います。
宮
宮腰光寛#19
○宮腰委員 公述人の先生方の御意見では、ほとんどの先生方が、事前承認については必ずしも必要としない、迅速な対応ができないので、閣議決定の内容をまず実行すべきであるという御意見であったかと思います。
その中で、森本先生は、国会承認の中身、対象については、領域外における自衛隊の活動と、自治体、民間の協力、この二点に限って承認の対象とすべきであるというお話でありました。
私も、自治体、民間の協力につきましては、これは基本計画と一体のものでもありますし、現実に国民に一定の負担を求めるという意味で、何らかの形で国会の承認というものが必要ではないかというふうに個人的に考えているわけであります。
自衛隊の領域外における活動につきましても、例えば日本有事の場合、日本が直接攻撃されるような事態における自衛隊の防衛出動につきましては、国会の承認が必要というふうにされております。ただし、原則事前承認、緊急時はこの場合であっても事後承認ということになっているわけでありますが、例えば、この日本有事の場合と、それから周辺事態の場合とで、あれもこれも同じレベルで国会の承認が必要であるということについては、バランスからしていかがなものかというふうに思いますが、この点については、佐々先生、どういうふうに考えておいでになりますか。
この発言だけを見る →その中で、森本先生は、国会承認の中身、対象については、領域外における自衛隊の活動と、自治体、民間の協力、この二点に限って承認の対象とすべきであるというお話でありました。
私も、自治体、民間の協力につきましては、これは基本計画と一体のものでもありますし、現実に国民に一定の負担を求めるという意味で、何らかの形で国会の承認というものが必要ではないかというふうに個人的に考えているわけであります。
自衛隊の領域外における活動につきましても、例えば日本有事の場合、日本が直接攻撃されるような事態における自衛隊の防衛出動につきましては、国会の承認が必要というふうにされております。ただし、原則事前承認、緊急時はこの場合であっても事後承認ということになっているわけでありますが、例えば、この日本有事の場合と、それから周辺事態の場合とで、あれもこれも同じレベルで国会の承認が必要であるということについては、バランスからしていかがなものかというふうに思いますが、この点については、佐々先生、どういうふうに考えておいでになりますか。
佐
佐々淳行#20
○佐々公述人 お答えいたします。
お説のとおりだと思います。
例えば、情勢がだんだん徐々に緊迫をしてくる、日米間で情報交換をする、偵察衛星も見る、そして、これは米軍が出動するかもしれない、こういう段階で、日米の事前協議もあり、安保会議で決定をして上程をする、これは事前承認は可能だと思います。そして、特に国連憲章四十一条の経済封鎖、経済制裁、これの場合は、平時のそういう手続でも間に合うんじゃないかなと思います。
ただし、突然始まった武力攻撃、これの場合は、何としてもやはり例外として事後承認でないと間に合わないんじゃないだろうかと思います。
この発言だけを見る →お説のとおりだと思います。
例えば、情勢がだんだん徐々に緊迫をしてくる、日米間で情報交換をする、偵察衛星も見る、そして、これは米軍が出動するかもしれない、こういう段階で、日米の事前協議もあり、安保会議で決定をして上程をする、これは事前承認は可能だと思います。そして、特に国連憲章四十一条の経済封鎖、経済制裁、これの場合は、平時のそういう手続でも間に合うんじゃないかなと思います。
ただし、突然始まった武力攻撃、これの場合は、何としてもやはり例外として事後承認でないと間に合わないんじゃないだろうかと思います。
宮
宮腰光寛#21
○宮腰委員 先ほど、マイナー自衛権というお話がありました。
佐々先生、森本先生にお伺いしたいんですが、個別自衛権でもなく集団自衛権にもよらない、限定地域における不測事態による実力行使のできるマイナー自衛権を、人質救出作戦、あるいは作戦中の紛争処理で我が国の憲法上行使できるというふうに考えておいでになるのかどうか、あるいは、やるべきだと考えておいでになるかどうか。また、領域警備、ゲリラなどの対処について、陸上自衛隊の任務とすべきかどうか。この点について両先生にお伺いをいたしたいと思います。
この発言だけを見る →佐々先生、森本先生にお伺いしたいんですが、個別自衛権でもなく集団自衛権にもよらない、限定地域における不測事態による実力行使のできるマイナー自衛権を、人質救出作戦、あるいは作戦中の紛争処理で我が国の憲法上行使できるというふうに考えておいでになるのかどうか、あるいは、やるべきだと考えておいでになるかどうか。また、領域警備、ゲリラなどの対処について、陸上自衛隊の任務とすべきかどうか。この点について両先生にお伺いをいたしたいと思います。
佐
佐々淳行#22
○佐々公述人 お答えいたします。
それがいわゆる自衛隊の領域警備、橋本総理のときの四項目の指示、これに当たるんではないかと思いますが、マイナー自衛権という言葉も使われております。
この間の海上警備行動で明らかになりましたように、侵略行動で、防衛出動を下令するには値しないけれども、警職法七条でもって危害許容要件がない、相手方が撃ってこないとか、そういう条件の場合、主権侵害なわけですが、これは何罪でもないんですね。領空、領海あるいは領土、これに対する侵犯は、強いて読めば自衛隊法第三条で読めるのではないかな。第三条の任務、さっき申し上げました、必要に応じて、公共の秩序の維持に当たる、陸は陸で、海は海でと書いてございますね。これをきちんと整備をすればいいのではないかな。
その任務は、領空侵犯は航空自衛隊、領海侵犯は、海上警備行動があった場合には海上自衛隊、こうなっておりますが、実は陸がないのでございます。だから、かなり強力に武装したゲリラ部隊が、例えば警察のSATでもとてもかなわないというのが上がってきたとき、これは一体何なんだと。
多分、治安出動の対象になるんだろうと思いますけれども、これもまた御承知のように国会承認事項でございますので、そのマイナー自衛権的なもの、これは、現在の自衛隊法の三条の中に任務を付与し、かつ、武力の行使とは別の、武器の使用についてのきちんとした、ROEというと交戦規定と訳しちゃうものですから戦争みたいに思うんですけれども、そうではなくて武器使用法なんです、武器使用規定というものを、自衛隊独自のものをつくらぬといかぬなと。
自衛隊は組織活動でございますので、指揮官の命令で撃たなきゃいけないのに、個人の判断でやって、その結果、誤想防衛、過剰防衛があって死傷させた場合は、個人の刑事責任を問われて被告になるというのは、こんな軍隊はございません。
自衛隊は軍隊でないと言ってしまえばそれまででありますけれども、この防衛力の行使に当たっては、武器の使用の再検討ができれば、そして、領域警備の解釈を、自衛隊法の任務、第三条、これの公共の秩序というのはそういう意味であるという政府統一見解をおつくりになればいいんですから、また領域警備法なんてわざわざつくらなくてもできるのではないかと考えております。
この発言だけを見る →それがいわゆる自衛隊の領域警備、橋本総理のときの四項目の指示、これに当たるんではないかと思いますが、マイナー自衛権という言葉も使われております。
この間の海上警備行動で明らかになりましたように、侵略行動で、防衛出動を下令するには値しないけれども、警職法七条でもって危害許容要件がない、相手方が撃ってこないとか、そういう条件の場合、主権侵害なわけですが、これは何罪でもないんですね。領空、領海あるいは領土、これに対する侵犯は、強いて読めば自衛隊法第三条で読めるのではないかな。第三条の任務、さっき申し上げました、必要に応じて、公共の秩序の維持に当たる、陸は陸で、海は海でと書いてございますね。これをきちんと整備をすればいいのではないかな。
その任務は、領空侵犯は航空自衛隊、領海侵犯は、海上警備行動があった場合には海上自衛隊、こうなっておりますが、実は陸がないのでございます。だから、かなり強力に武装したゲリラ部隊が、例えば警察のSATでもとてもかなわないというのが上がってきたとき、これは一体何なんだと。
多分、治安出動の対象になるんだろうと思いますけれども、これもまた御承知のように国会承認事項でございますので、そのマイナー自衛権的なもの、これは、現在の自衛隊法の三条の中に任務を付与し、かつ、武力の行使とは別の、武器の使用についてのきちんとした、ROEというと交戦規定と訳しちゃうものですから戦争みたいに思うんですけれども、そうではなくて武器使用法なんです、武器使用規定というものを、自衛隊独自のものをつくらぬといかぬなと。
自衛隊は組織活動でございますので、指揮官の命令で撃たなきゃいけないのに、個人の判断でやって、その結果、誤想防衛、過剰防衛があって死傷させた場合は、個人の刑事責任を問われて被告になるというのは、こんな軍隊はございません。
自衛隊は軍隊でないと言ってしまえばそれまででありますけれども、この防衛力の行使に当たっては、武器の使用の再検討ができれば、そして、領域警備の解釈を、自衛隊法の任務、第三条、これの公共の秩序というのはそういう意味であるという政府統一見解をおつくりになればいいんですから、また領域警備法なんてわざわざつくらなくてもできるのではないかと考えております。
森
森本敏#23
○森本公述人 ある国がどのような事態に対してどういう活動ができるかということを、事態に立脚して分類すると、その国の領域の外で起こる事態というのは、あくまで、まず有事という事態があって、それから平時というのがあって、その平時と有事の間に、平時から有事に至るまでに、緊急の事態というのがあるんだろうと思うんです。それで、その緊急事態の中で限りなく有事に近いところが準有事ということなんだと思うんです。
それで、もしそういうふうに分類すると、まず、日本の国内においては、有事というのはあくまで自衛隊法に言う防衛出動下令後のことで、したがって、平時から有事に至るまでの間のいわば緊急の事態に対応する国内法というのはないので、したがって、それはいわゆる領域警備に関する国内法を整備するということになると思います。
一方、領域の外からの侵略というものを事態として認定した場合に、現在のガイドライン法というのは、平時から準有事に至るいわば緊急事態、国にとって緊急事態に同盟国としてどのような協力ができるかということであり、自衛権の問題ではないと思います。自衛権というのはあくまで、ある国が他国から武力攻撃を受けた場合に、国連憲章第五十一条に言う集団的及び個別的自衛権を使って行うのであって、緊急事態に行う国家の活動は自衛権の行使とは考えられないと私は思うんです。
したがって、国の中と外を分けたら、今申し上げたように、国内においては、有事の場合は防衛出動下令後。それから平時においては、まさに平時なのですが、緊急事態の法整備がないのでそこは空白なので、領域警備という国内法を整備する必要がある。一方、それを外に当てはめた場合に、有事になったら、これは自衛権を行使ですから、集団的及び個別的自衛権を行使する。
じゃ、緊急事態にどういうことになるのかというと、緊急事態の法的整備がないので、そこは日米協力をやる。日米協力をやるための国内法が今回のガイドライン法、そういう整理でいいのではないかと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →それで、もしそういうふうに分類すると、まず、日本の国内においては、有事というのはあくまで自衛隊法に言う防衛出動下令後のことで、したがって、平時から有事に至るまでの間のいわば緊急の事態に対応する国内法というのはないので、したがって、それはいわゆる領域警備に関する国内法を整備するということになると思います。
一方、領域の外からの侵略というものを事態として認定した場合に、現在のガイドライン法というのは、平時から準有事に至るいわば緊急事態、国にとって緊急事態に同盟国としてどのような協力ができるかということであり、自衛権の問題ではないと思います。自衛権というのはあくまで、ある国が他国から武力攻撃を受けた場合に、国連憲章第五十一条に言う集団的及び個別的自衛権を使って行うのであって、緊急事態に行う国家の活動は自衛権の行使とは考えられないと私は思うんです。
したがって、国の中と外を分けたら、今申し上げたように、国内においては、有事の場合は防衛出動下令後。それから平時においては、まさに平時なのですが、緊急事態の法整備がないのでそこは空白なので、領域警備という国内法を整備する必要がある。一方、それを外に当てはめた場合に、有事になったら、これは自衛権を行使ですから、集団的及び個別的自衛権を行使する。
じゃ、緊急事態にどういうことになるのかというと、緊急事態の法的整備がないので、そこは日米協力をやる。日米協力をやるための国内法が今回のガイドライン法、そういう整理でいいのではないかと思います。
以上でございます。
宮
宮腰光寛#24
○宮腰委員 船舶検査について、お伺いをいたしたいと思います。
先日、福井市で地方公聴会が開かれましたけれども、仮に朝鮮有事あるいは台湾有事の場合において、国連安全保障理事会常任理事国である中国の拒否権によって、経済制裁の実効性を確保するための国連決議は成立する可能性はないというふうな明確な意見の陳述があったところであります。
御承知のとおり、中国は一貫してこの新たなガイドライン法案には反対をしているということであります。仮に朝鮮有事、台湾有事の場合、国連決議が成立する可能性はあるのかどうか、佐々先生、お願いいたします。
この発言だけを見る →先日、福井市で地方公聴会が開かれましたけれども、仮に朝鮮有事あるいは台湾有事の場合において、国連安全保障理事会常任理事国である中国の拒否権によって、経済制裁の実効性を確保するための国連決議は成立する可能性はないというふうな明確な意見の陳述があったところであります。
御承知のとおり、中国は一貫してこの新たなガイドライン法案には反対をしているということであります。仮に朝鮮有事、台湾有事の場合、国連決議が成立する可能性はあるのかどうか、佐々先生、お願いいたします。
佐
佐々淳行#25
○佐々公述人 お答えいたします。
私は、P5、常任理事国五カ国が拒否権を持っている限り、満場一致の安全保障理事会、国連憲章四十一、四十二条の制裁はないだろうと長いこと考えておりました。多国籍によるものだろうと思っておりました、アメリカ中心で。
ところが、実例が出ましたのが、一九九〇年のサダム・フセインに対する安全保障理事会の決定なのであります。ゴルバチョフ・ソ連が賛成をし、トウショウヘイ・中国が棄権をいたしました。
それから、北朝鮮の最近の動向、例えば、テポドン発射をどうも中国に事前通告しなかったということで中国が非常に憤慨しているという情報がございますし、あるいは、今回の不審船のことなんかも大変苦々しく思っている。ソ連は警備艇を出して、領海に入ってきたら撃沈するまで言ったわけですから、この二カ国が必ず否決をするであろう、拒否権を行使するであろうということは当たらないのではないだろうか。
と申しますのは、一九五〇年に、朝鮮戦争と同時に、中朝とソ朝軍事同盟条約ができました。これには同時参戦条項というのが入っておりました。つまり、昭和二十五年の朝鮮戦争がまた始まったらソ連と中国は必ず自動的に北朝鮮防衛に参戦するであろうという条項、ソ連改まったロシアは、これを廃棄通告しておりますね。それから、中国が廃棄を打診して、北朝鮮がこれに対して嫌がっている。こういう現状でございますので、この有事の対応、特に、今問題を起こしそうになっておる北朝鮮の行動が何とも中国として認められないという状況になったときには、これに対して棄権という可能性もある。
ですから、常任理事国二カ国で必ず否決するのがいるからガイドラインだめだという議論は、私はくみしません。
この発言だけを見る →私は、P5、常任理事国五カ国が拒否権を持っている限り、満場一致の安全保障理事会、国連憲章四十一、四十二条の制裁はないだろうと長いこと考えておりました。多国籍によるものだろうと思っておりました、アメリカ中心で。
ところが、実例が出ましたのが、一九九〇年のサダム・フセインに対する安全保障理事会の決定なのであります。ゴルバチョフ・ソ連が賛成をし、トウショウヘイ・中国が棄権をいたしました。
それから、北朝鮮の最近の動向、例えば、テポドン発射をどうも中国に事前通告しなかったということで中国が非常に憤慨しているという情報がございますし、あるいは、今回の不審船のことなんかも大変苦々しく思っている。ソ連は警備艇を出して、領海に入ってきたら撃沈するまで言ったわけですから、この二カ国が必ず否決をするであろう、拒否権を行使するであろうということは当たらないのではないだろうか。
と申しますのは、一九五〇年に、朝鮮戦争と同時に、中朝とソ朝軍事同盟条約ができました。これには同時参戦条項というのが入っておりました。つまり、昭和二十五年の朝鮮戦争がまた始まったらソ連と中国は必ず自動的に北朝鮮防衛に参戦するであろうという条項、ソ連改まったロシアは、これを廃棄通告しておりますね。それから、中国が廃棄を打診して、北朝鮮がこれに対して嫌がっている。こういう現状でございますので、この有事の対応、特に、今問題を起こしそうになっておる北朝鮮の行動が何とも中国として認められないという状況になったときには、これに対して棄権という可能性もある。
ですから、常任理事国二カ国で必ず否決するのがいるからガイドラインだめだという議論は、私はくみしません。
宮
宮腰光寛#26
○宮腰委員 中国の棄権の可能性は考えられ得るというお話でありますが、もし、それ以外の結果、いわば中国の拒否権によって国連決議が成立をしないといった場合には、やはり国連決議のみを船舶検査の要件としている場合において公海上での船舶検査が不可能となるということに論理の帰結としてなってしまうわけでありますけれども、その際には日本の安全が守れるかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →佐
宮
宮腰光寛#28
○宮腰委員 国連決議がない場合であっても、多国間合意を要件に盛り込むことにより船舶検査を可能であるとする考え方について、国際的に見て問題があるのかどうか、その辺もお伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →佐
佐々淳行#29
○佐々公述人 お答えいたします。
どうも四十一条のことがしきりに議論されているのでございますが、実は四十二条のこともお考えいただかなければいかぬだろうと思います。
四十二条というのは、国連の侵略国に対する陸海空の武力による制裁と書いてございまして、これに対しては、加盟国は、個別協議でございますけれども、要員を差し出せと書いてございます。
四十二条の要請があったとき、それじゃどうするのか。これは憲法九条とぶつかるからだめだということで、事実上国連脱退に等しいことになるのかどうか。
こういう場合は、日米安保条約に依拠せざるを得ない。これは国連憲章にもそう書いてあるわけで、国連軍が行くまでの間、日米安保条約でも何でも、多国籍、NATOでもよろしい、防衛条約の場合はそれを守って武力の行使をしていい、だけれども国連軍が来たらやめろと書いてございます。
ですから、国連に対しての正式の四十一条、二条の要請があった場合、本来は私は憲法九条の自衛権の問題ではないんではないか、憲法九十八条二項の国際条約遵守義務及び確立された国際法規の遵守義務、これを誠実に行うものとすると書いてあるわけですから。憲法と条約のどちらが優先順位かというと、日本はもう明らかに、法制局その他、憲法優位主義です。対等である、同等であるという意見もございますし、国際条約の方が上だという学説もございます。これを日本の政治がどれを判断するかということ、政策判断の問題になろうかと思います。
いずれにせよ、この法律に関しての御質問でございますれば、国連決議が前提であるということを自民党も合意なさったとすれば、国連決議が否決をされた場合には日本はこの参加はできない、こう解する。その場合、日米関係が決定的に悪くなりますので、その意味で、さっき守れませんときついことを申し上げましたけれども、すぐ守れなくなっちゃうんじゃなくて、日米安保条約解消論がアメリカから出てくるであろう、こういう意味で非常に日米安保体制というのは危殆に瀕するであろうと思います。
この発言だけを見る →どうも四十一条のことがしきりに議論されているのでございますが、実は四十二条のこともお考えいただかなければいかぬだろうと思います。
四十二条というのは、国連の侵略国に対する陸海空の武力による制裁と書いてございまして、これに対しては、加盟国は、個別協議でございますけれども、要員を差し出せと書いてございます。
四十二条の要請があったとき、それじゃどうするのか。これは憲法九条とぶつかるからだめだということで、事実上国連脱退に等しいことになるのかどうか。
こういう場合は、日米安保条約に依拠せざるを得ない。これは国連憲章にもそう書いてあるわけで、国連軍が行くまでの間、日米安保条約でも何でも、多国籍、NATOでもよろしい、防衛条約の場合はそれを守って武力の行使をしていい、だけれども国連軍が来たらやめろと書いてございます。
ですから、国連に対しての正式の四十一条、二条の要請があった場合、本来は私は憲法九条の自衛権の問題ではないんではないか、憲法九十八条二項の国際条約遵守義務及び確立された国際法規の遵守義務、これを誠実に行うものとすると書いてあるわけですから。憲法と条約のどちらが優先順位かというと、日本はもう明らかに、法制局その他、憲法優位主義です。対等である、同等であるという意見もございますし、国際条約の方が上だという学説もございます。これを日本の政治がどれを判断するかということ、政策判断の問題になろうかと思います。
いずれにせよ、この法律に関しての御質問でございますれば、国連決議が前提であるということを自民党も合意なさったとすれば、国連決議が否決をされた場合には日本はこの参加はできない、こう解する。その場合、日米関係が決定的に悪くなりますので、その意味で、さっき守れませんときついことを申し上げましたけれども、すぐ守れなくなっちゃうんじゃなくて、日米安保条約解消論がアメリカから出てくるであろう、こういう意味で非常に日米安保体制というのは危殆に瀕するであろうと思います。