国民福祉委員会

1999-08-05 参議院 全113発言

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会議録情報#0
平成十一年八月五日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月二十七日
    辞任         補欠選任
     加納 時男君     水島  裕君
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     木俣 佳丈君
 七月三十日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     櫻井  充君
 八月二日
    辞任         補欠選任
     久野 恒一君     倉田 寛之君
 八月三日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     久野 恒一君
 八月四日
    辞任         補欠選任
     井上 美代君     大沢 辰美君
 八月五日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     谷林 正昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         尾辻 秀久君
    理 事
                清水嘉与子君
                常田 享詳君
                朝日 俊弘君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
    委 員
                久野 恒一君
                塩崎 恭久君
                武見 敬三君
                中原  爽君
                水島  裕君
                櫻井  充君
                谷林 正昭君
                直嶋 正行君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                沢 たまき君
                大沢 辰美君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       農林水産大臣   中川 昭一君
   政府委員
       総務庁長官官房
       長        西村 正紀君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       農林水産省構造
       改善局長     渡辺 好明君
       農林水産省農産
       園芸局長     樋口 久俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
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尾辻秀久#1
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四日、井上美代君が委員を辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。
    ─────────────
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尾辻秀久#2
○委員長(尾辻秀久君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川農林水産大臣。
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中川昭一#3
○国務大臣(中川昭一君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業者年金の保険料の額につきましては、平成七年の農業者年金基金法の一部を改正する法律におきまして、毎年、平成七年度価格で月額八百円ずつ引き上げるとともに、保険料の額について物価スライドを実施することとなっております。
 この結果、平成十一年における保険料の額は月額二万四百四十円となっており、平成十二年におきましては一月当たり八百十円上がり月額二万一千二百五十円となることとなっておりますが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十二年以後の保険料の額を平成十一年と同額の月額二万四百四十円とすることを内容とし、この法律案を提出した次第であります。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
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尾辻秀久#4
○委員長(尾辻秀久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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朝日俊弘#5
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
 ただいま趣旨説明のありました法案について、幾つか基礎的な問題も含めて御質問をさせていただきたいと思います。
 率直に申し上げて、私自身は今回この農業者年金基金という法律あるいは制度について改めて勉強させていただいたということで、これまで必ずしも問題意識が余りなかった領域の法律であります。恐らく参議院の国民福祉委員会としても、あるいはそれの前身の厚生委員会としても、この問題は必ずしもきちんと取り上げて議論したことはなかったのではないか、むしろ農水の方でいろいろ議論をしていただいた課題ではないかと思います。そういう意味で、やや戸惑いといいますか、あるいは初歩的な質問も含めて入るかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 それで、まず最初に具体的なことで、何でこうなっているんだろうかということで一、二お尋ねしたいと思います。
 一つは、この農業者年金の財政収支について、いただいた資料で、例えば平成十年度で見ますと、収入と支出があって、収入の部については、保険料が五百三十五億円、国庫助成が七百六十九億円、運用収入が五十一億円、こういうことで、全体の収入の中の六割近くが国庫助成で充てられているという数字を見て、一体これは何なんだろうと。ほかの年金制度でも、御存じのように、今、国民年金の国庫負担を三分の一から二分の一にするということであれやこれや議論が交わされているというのに、そういうところから見るとこの制度は一体何でこうなっているんだろうというところが、率直に第一の疑問として感じました。
 まず、この点について御説明をいただきたいと思います。
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渡辺好明#6
○政府委員(渡辺好明君) 今、先生から御指摘がございましたように、平成十年度の農業者年金基金の収入に占める国庫助成の比率は約六割となっております。これは農業者年金が他の公的年金とは性格を異にする点を有しているということでございます。
 すなわち、農業者の適期の経営移譲を通じまして世代交代を促進する、それから農地の細分化の防止あるいは規模拡大といった農業構造の改善という農業政策上の目的を年金という手法を通じまして実現しようというものでございます。こういう点におきまして、老後保障だけを目的とする他の公的年金とは性格を異にしているというふうに御説明をさせていただきます。
 したがいまして、この農業者年金事業に充てられる国庫補助は、年金事業の運営の観点に加えまして、この制度がねらいとしております農業構造の改善を推進するために必要なものとして行っているわけでございます。農業政策の目的に充当されるという点でございます。
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朝日俊弘#7
○朝日俊弘君 今御説明いただいたように、同じ年金制度といっても、この制度はかなり性格を異にするというか、ある種特別な政策的意味あるいは目的を持たせた制度だということだと思います。
 この点については後ほどまたさらに触れたいと思いますが、どうも納得がいかないもう一つの点は、いただいた資料で見ますと、非常に財政収支の状況は厳しいわけですね。厳しいなんというものじゃない。例えば直近の数字で言えば、加入者が二十九万四千、約三十万人。ところが、受給権者は七十五万人。だから、三十万人で七十五万人を見るという、ちょっと年金の数理としては考えられない数字になっているわけでありまして、仮に政策的に特に設定された経営移譲年金の問題を除いて考えても、今のままではこれから後の五年間の財政見通しが立たない状況ではないかというふうに私は思います。
 それにもかかわらず、今回の法律の提案は保険料を据え置く、こういう提案であります。据え置けば当然その分さらに財政状況は悪化することは目に見えている。何で今回、こういう財政状況にもかかわらず保険料の引き上げを凍結するのか。
 いろいろ尋ねますと、いや、国民年金の方の保険料も据え置かれたしという御説明なんですが、しかしこれはどうなんですか、仮に現行の額を据え置いたとしても、せいぜい一人当たり月八百十円ですね。金額的にはとてもこれで現下の社会経済情勢を勘案して云々というふうには言えないような額ではないか。保険財政そのものから考えると、むしろ予定どおりきちんとこれは上げていただかざるを得ないんじゃないか。もちろんそれでも問題は解決しないけれども、そういう方向で対応すべきじゃないかと思うんです。どうもその辺が納得しがたいんですが、その点についての御説明をいただきたいと思います。
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渡辺好明#8
○政府委員(渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、農業者年金基金の財政状況が非常に厳しいというのはそのとおりでございます。
 ところで、農業者年金の保険料の額、今御指摘がありましたように、将来にわたって財政の均衡を保つように定めるというのは基本でございます。他方、具体的な保険料の額につきましては、従来から他の公的年金とのバランス、それに農業者の負担能力といったことを考慮して設定してきております。現在の月額はそういう考慮から二万四百四十円となっているわけでございます。
 先生の御質問の中でのことの繰り返しになりますけれども、今回の保険料引き上げの凍結は、国民年金など他の公的年金の保険料の引き上げが凍結されるということに伴う措置でありまして、先ほど申し上げました他の公的年金とのバランス等から見て必要な措置である、そのバランスの中には、実額の問題もさることながら、凍結をするといった加入者に与える心理的な問題も含めて必要な措置であるというふうに考えております。
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朝日俊弘#9
○朝日俊弘君 心理的な問題も含めてという御説明はいささか苦しいのではないかと思うんですが、結局最初の質問では、この制度は年金制度としてはある意味で特別な政策目的を持った性格の制度なんだといういわば特異性を強調される。さて、保険料の話になると、いや、ほかの年金とバランスをとるというふうにおっしゃる。これはどうも少なくとも論理的にはちょっと説明しがたいというか矛盾するのではないか、こんな気がしてなりません。
 今お尋ねした二つの具体的な問題を解きほぐすためにも、そもそもこの農業者年金制度あるいは農業者年金基金というのがどういう目的で、あるいはどういう政策的なねらいを持って創設されたのか、改めてこの制度の性格というか特徴をもう一度わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
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渡辺好明#10
○政府委員(渡辺好明君) 農業者年金制度の趣旨といいますか、ねらいは大きく二つでございます。
 公的な年金である農業者年金制度でありますけれども、農業者の老齢及び経営移譲について必要な年金等を給付するという仕組みをとっております。その二つの大きな柱は、一つは二階建て部分の年金として、国民年金の給付の上乗せとして農業者の老後の生活の安定と福祉の向上を図るという点でございます。それから二つ目は、第一番目の御質問に答えてお話を申し上げました適期における経営移譲を通じまして農業経営の近代化をする。これは世代交代であり、若い経営者、就農者を確保するということでございます。そして、農地保有の合理化を図る。農地保有の合理化というのは、農地の細分化の防止あるいは規模拡大、こういったことに寄与することを目的としているわけでございます。
 これまでの年金制度の運用を通じまして、約九十六万人に三兆六千億円という年金が支給をされまして、国民年金の給付と相まって農業者の老後生活の安定に重要な役割を果たしてまいりましたが、農業経営の近代化と農地保有の合理化という観点から見ますと、経営を譲り受けた後継者の平均年齢が三十五歳、こういうことで経営の若返りということが図られております。それから、七十七万件の後継者移譲というものが行われておりますので、その結果百五十四万ヘクタールという農地が細分化をされずに後継者に継承されております。さらに、第三者への移譲を通じまして、規模拡大といった農業構造の改善に一定の役割を果たしてきたと私どもは評価をしているところでございます。
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朝日俊弘#11
○朝日俊弘君 役割をどの程度果たしてきたのかという評価の問題については、後でも出てきますけれども、今、研究会を設置していろいろ検討されているようですから、そこでの御判断を待ちたいと思うんですが、結局制度の目的というのは大きく分けて二つあるんですね。その二つを年金制度という制度に乗せているものですから、そこである種のわかりにくさがどうしても出てきてしまう。むしろ、政策目的が基本的に違う部分を無理やりくっつけるのではなくて、もう少しきちっと峻別していく方向で今後の検討を加えたらどうかというふうに私は思っているんですが、これは後の質問に譲りたいと思います。
 さてそこで、今の御説明の中でありましたように、この農業者年金制度は年金制度全体からいうといわゆる二階部分に当たる、こういう御説明であります。厚生省に来ていただいていますので、ちょっと復習の意味も含めて、現行の公的年金制度全体の体系の中で、きょう議題となっています農業者年金基金というのは一体どういう位置にあるのか、そしてどういう特徴を持った制度なのか、全体を見渡した中で御説明をいただきたいと思います。
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矢野朝水#12
○政府委員(矢野朝水君) 御承知のとおり、我が国の公的年金というのは二階建てでございます。一階部分は、全国民の二十歳から六十歳の方は原則強制加入ということで、国民全体が加入をするということになっているわけです。二階部分はサラリーマンを対象にした制度でございまして、民間ですと厚生年金、公務員でございますと共済年金ということで、こういったサラリーマン階層に対しましては二階部分がございます。
 ところが、自営業の方、これは農家の方も当然含むわけでございますけれども、こういう自営業とか農家の方につきましては公的年金は一階しかないということで、二階部分を自助努力で充実する、こういうことで制度がございまして、その一つが農業者年金基金ということでございます。
 農業者年金基金は、先ほどからるる御説明がありますように、高齢者の所得保障と、これだけではなくて農業政策の一環ということで、政策年金として位置づけられているということでございます。
 同じように自営業の方の二階部分ということになりますと、これは国民年金基金というのが平成元年の改正でできまして、国民年金基金という制度がございます。これは自営業の方一般を対象にしてできた制度でございます。
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朝日俊弘#13
○朝日俊弘君 そこで、余計ちょっとわからなくなるんです。つまり、一階部分は国民年金の基礎年金というのがある。サラリーマン等はいろいろまた別の二階部分があるとして、農業者あるいは自営業者についてはこの農業者年金基金と、それから比較的似たような制度というか近い位置に国民年金基金という制度がある。これは後でできた制度のようであります。そうすると、この二つがどういう関係になっていくんだろうかということがどうもよく見えないんですね。いずれ国民年金基金そのものも内容的に改善を図っていく、あるいは充実を図っていくということが課題になってきていると思います。
 この農業者年金基金のこれからのあり方を考えるためにも、その比較的近い位置にいるように私は思う国民年金基金の現状と、それから今後その制度をどのように改善していこうとしているのか、あるいは目指そうとしているのか、その辺の方向について御説明いただきたいと思います。
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矢野朝水#14
○政府委員(矢野朝水君) ただいま申し上げましたとおり、自営業の方につきましては二階部分がないということで、自助努力として二階部分の制度も設けて、より豊かといいますか充実した老後生活に充てていただこう、こういうことで、自営業者を対象にいたしまして基礎年金の上乗せということで国民年金基金制度が発足したわけでございます。
 それから、平成三年から具体的に制度が動き出しまして既に八年を経過したわけでございますけれども、現在、基金数が七十二でございます。これは地域型基金と職能型基金ということで合わせまして七十二の基金でございまして、現在加入員の方が約七十二万人いらっしゃいます。
 ただ、昨今非常に景気が厳しい、経済状況が厳しいということで加入員数が伸び悩んでおるわけでございまして、いかによりたくさんの方に加入していただくかというのが一番の私どもの当面の課題でございます。そういうことで、よりたくさんの人に入っていただくような形で今努力しているところでございます。
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朝日俊弘#15
○朝日俊弘君 国民年金基金について加入者をふやすべく努力をしているということなんですが、さらに追加の質問で申しわけないんですが、そうすると将来的にはこの農業者年金基金と、これからさらに加入者を拡大していこうとしている国民年金基金との関係はどうなるんでしょうか。
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矢野朝水#16
○政府委員(矢野朝水君) ただいま先生の御質問にもございましたように、農業者年金基金につきましては、現在研究会が設けられて検討中と伺っております。したがって、その検討結果によるわけでございまして、私どもとしては、この国民年金基金について今後とも普及促進を図っていきたいということに尽きるわけでございます。
 農業者年金基金というのは、先ほどから何回も出てまいっておりますように、これは農業政策の一環の政策年金という色彩が非常に強いわけでございます。そういう点で、私どもが実施しておりますのはもう全く老後の所得保障ということ、それだけのために実施しているわけでございまして、そこが農業者年金基金と一般の国民年金基金とは基本的な性格が異なるところじゃないか、こう思っております。
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朝日俊弘#17
○朝日俊弘君 確かに、単なる老後の所得保障だけを目的とした純粋な年金制度ではないがゆえに目的を異にしているというのはおっしゃるとおりだと思うんです。
 ただ、これはお答えは結構なんですが、私の考えでは、年金制度という基本的枠組みを維持しようとする限り、それはいろいろな政策目的が付加されるのはあり得るとしても、年金制度の原理原則みたいなところはきちっと押さえておかないと、あるいは踏まえておかないと、制度として成り立たないという気がするわけであります。既にそういう状態になっている。だから、これは研究会で今検討されていると思いますが、ぜひその辺のところをきちんと区分けしながら議論をお願いしたいなと思います。
 さて、そこで、そういう問題が多分この制度はスタートからはらんでいたんでしょう。だから、この制度改正に当たっては、これまで何回となく社会保障制度審議会からは答申に付して意見が述べられているわけであります。私も大急ぎで調べてみました。大急ぎで調べてみましたら、簡単に言うと五年ごとに、要するに財政再計算のたびに社会保障制度審議会からこの制度のあり方について抜本的な見直しをしろというかなりきつい指摘がされているわけです。
 例えば昭和六十年、一九八五年、このときの「農業者年金制度の改正について」の答申の中にも触れられています。社会保障制度審議会、「本審議会は、これまで繰り返し社会保障制度としての在り方からみて疑念を述べるとともに、」と昭和六十年のときに繰り返しと言っておりますから、もっと前から言っているんだろうと思います。そこまでさかのぼるのはちょっと時間的にできませんでしたけれども、とにかく六十年の段階から既にこれまで繰り返し社会保障制度としてのあり方から見て疑念がある。「早急に本制度の趣旨、目的にまでさかのぼつて、根本的な検討を行うことを強く要望する。」、これは昭和六十年の答申の中身です。
 もう一々言いませんけれども、それと同じように、例えば五年後の平成二年にも「農業者年金制度の改正について」の答申の中でさらに詳しく述べられています。そして、こんな言い方さえしておられるわけです。社会保障制度審議会の答申の中の文章です。「農業者年金制度は、農業経営者の若返りや農業経営規模の維持拡大といった農業政策上の要請に応じることを主眼としているが、年金保険という形態をとっており、その政策効果についてはいぜんとして明らかではない。」、これは平成二年。
 こんなふうにるる指摘をされ、制度改正あるいは財政再計算のたびに社会保障制度審議会からはかなりきついあるいは鋭い問題指摘がされているわけですが、それにもかかわらずといいますか、どうもなかなか制度改正、抜本的な検討作業に入ってこなかった。これは一体どういう理由があってのことなんでしょうか。
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渡辺好明#18
○政府委員(渡辺好明君) 社会保障制度審議会で累次にわたり指摘を受けてきたということは事実でございます。ただ、その中で、その政策効果について依然として明らかでないということにつきましては、私どもは必ずしもそうではないと思っております。
 それから、指摘を踏まえまして、また農業情勢の変化に応じまして、例えば昭和六十年の改正であれば専業的な担い手、農地の集積を一層促進する観点から、経営移譲年金につきまして加算額、基本額という制度を導入しておりますし、さらに平成二年の改正では農村における高齢化の進行等に対応いたしまして、経営移譲の時期について画一的なものからそうでないあり方へと大きな変更もしております。
 社会経済や農業の構造的な変化に対応した所要の見直しを行ってまいりましたが、社会保障制度審議会で本年金制度のあり方に疑問を持っておられて、今日に至るまでこの点について疑念が解消されないというのはまことに残念な思いがいたしております。
 ただ、今日、非常に農業情勢は大きく変化をいたしました。先生から御指摘がありましたように、受給権者と加入者数の大幅なギャップ、いわゆる成熟度が大変高くなっているという状況や、目的といたしておりました経営移譲者の割合が低下をしているという状況もございます。
 この国会で新しい食料・農業・農村基本法も制定をしていただきました。この基本法のもとでの新たな農業経営の展開等も念頭に置きながら、この際、抜本的な制度の見直しを行いたいと思っております。その中には、制度の目的であるとかあるいは年金財政の見通しや給付と負担のあり方、そういったものも含めて検討させていただきたいと考えております。
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朝日俊弘#19
○朝日俊弘君 実はことしの三月でしたか、私も社会保障制度審議会の委員になっておりまして、なかなか疑念がとれないどころか、ますます疑念が強まっているという雰囲気なんです、社会保障制度審議会の中での議論というのは。だからこそ、今回もさらにつけ加えて答申の中でかなり厳しい指摘をさせていただいたわけです。
 これは皆さんも御存じだと思いますが、要するに中身的には、今回保険料を据え置くのはとにかくいろんな動向があって緊急的にやむを得ないけれども、「今回の措置が年金財政を圧迫し、更に制度の安定が将来とも損なわれる要因となることについては、十分考慮する必要がある。」、これをまず指摘している。その上で「本審議会は、これまで再三にわたって制度についての根本的な検討を要請してきたところであるが、本改正に伴う年金財政の悪化への対応策並びに年金制度としての社会的妥当性を含め、制度の基本的な検討を急ぐことを改めて強く要望する。」、こういう中身であります。これは、いろんな書き方があるんでしょうが、かなり制度審としては厳しい表現をしていると私は受けとめているんです。しかも、改めて調べてみると、ほとんど五年ごとに制度審から同様の趣旨のことが指摘をされていて、ようやくその研究会を設置して今検討作業を進めている。
 そして、お聞きしますと、今後、秋ごろには一定のお考えをおまとめいただいて、それを受けて来年度抜本的な法改正を次期通常国会に出したい、こういうようなことでありますから、今の段階で何をどうするということは必ずしも十分に詳しくはお話しいただけないのかもしれませんが、ただかなり根本問題というか基本問題にかかわる改正にならなきゃいけない、あるいはなるべきだと思っていますので、この点については制度審が繰り返し指摘をしていること、そして今、研究会での検討作業が進んでいることを踏まえて、大臣としてこの制度の抜本的な見直しに向けてどのようなお考えで進めようとされているのか、その御決意も含めてお伺いをしたいと思います。
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中川昭一#20
○国務大臣(中川昭一君) 今までの先生の御質問なりお考えを伺っておりまして、財政的な側面あるいは本来の年金的な側面から見れば、国のお金までつぎ込んでこういうことをやっているのは大変いかがなものかという御指摘は、確かに今の財政状況あるいは五年ごとの見直しのときの予測と実際とのよくない方向での見込み違いというものがあるわけでございますから、その局面限りにおいては先生の御指摘というものも一つのお考えであろうというふうに思います。
 しかし、先ほど構造改善局長から答弁がございましたように、農政的な側面から果たしておる役割というものは、過去においても意義が大変ありましたし、また今後新しい基本法のもとでの農政のあるべき姿を推進していく上でもますます重要になっていくのではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、純粋な意味での年金の目的だけではない、たしか昭和四十五年に農業者にも恩給をという合い言葉でこの制度がつくられ、スタートしたというふうに聞いたことがございますけれども、そういう観点の意味合いもあって、先生の御疑念の部分をそういう観点が実は使命を果たしてきたというふうに理解をしております。
 いずれにいたしましても、そういう問題点の御指摘もあることも事実でございますので、ことしの十一月を一応のめどといたしまして農業者年金制度研究会で一つの方向性を出していただき、来年の年金の財政再計算に当たっての作業に対しての大前提ということを今やっていただいておるところでございます。
 制度面、農政面あるいはまた年金の制度面から、あるいはまた財源面も含めまして、あらゆる角度から今検討をしていただいておるところでございますが、ぜひとも本制度のそういう役割というものもぜひ御理解をいただきながら、引き続きの御指導をお願いいたしたいと思っております。
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朝日俊弘#21
○朝日俊弘君 そもそも、この法案審議をここの国民福祉委員会でするのか農水委員会でするのかという議論が、実は入り口のところでありました。一見、老後の所得保障をするという目的での年金と、それからもう一方、農業政策の一定の政策目的を果たそうとする役割とをうまく結びつけているようにも見えるんです。
 しかし、逆にそれは、例えばこれから年金財政がますます厳しくなるであろうというときに、年金数理上から考えると、もはやこれは賦課方式ではなくて積立方式に変えなきゃいかぬのじゃないかという議論も含めてあってしかるべきだと思うんです。つまり、年金なら年金の数理に基づいての一定の方針というのがきちっと出てくるだろうと思うんです。また、農業政策としてのこの間の農業構造の変化などを踏まえたより具体的な政策目的というのを明らかにしてやっていく方法はもっとあり得るのではないか。だから、何かその二つがドッキングしているがゆえにどちらも中途半端に制度が運用されてきている節があるなというふうに私は感じざるを得ません。
 したがって、これは御答弁は結構ですが、そういう意味では、ぜひ今後私どもも厚生関係と農水関係の議員がひざを突き合わせてきちっと議論をしてみようというふうに思っていますので、必ずしも従来の省庁の所管にとらわれないで、農水と厚生とがもう少しきちっと議論をした上での抜本改正をぜひ期待したい、こういうふうに思います。
 以上、最後は私の意見として申し上げて、質問を終わります。
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渡辺孝男#22
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして質問したいと思います。
 最初に、農水大臣の方にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法改正は現下の社会経済情勢にかんがみ農業者年金の保険料引き上げを凍結するとの理由でありましたけれども、この現下の社会経済情勢というのはどういうふうに認識されているのか、ここをお聞きしたいと思います。
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中川昭一#23
○国務大臣(中川昭一君) 現下の社会経済情勢と申しますのは、結論的に申し上げますならば、国民年金の今回の全体の凍結措置の理由と同じことであるわけでございますが、特定の数字を取り出して非常に状況が厳しいからとか、そういうことで行ったわけではございません。文字どおり、我が国の現在置かれておる経済情勢を総合的に勘案し、何としても日本の今の経済を一日も早く回復させていくためのさまざまな諸施策を政府としても今やっておる最中でございまして、そういう観点との整合性という意味から、現下の社会経済情勢にかんがみという理由を先ほど申し上げたところでございます。
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渡辺孝男#24
○渡辺孝男君 特に、農業従事者の方が大変な状況だということでの社会経済情勢ということではなくて、一般的な意味でのとらえ方ということでありましょうか。
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中川昭一#25
○国務大臣(中川昭一君) 農業者年金でございますからもちろん農業者の年金でありますけれども、農業者も含めて我が国全体の現在の状況を考えた上でという意味でございます。
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渡辺孝男#26
○渡辺孝男君 それで、この農業者年金の凍結期間が平成十三年十二月までとなっておりますけれども、この十三年十二月までとした理由はどういうものなのか、お伺いしたいと思います。
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渡辺好明#27
○政府委員(渡辺好明君) 数字にかかわる部分でもございますので、私から答弁申し上げます。
 農業者年金の保険料につきましては、平成十三年十二月までの額が法律に定められております。したがいまして、平成十四年一月以降の取り扱いにつきましては、制度の見直し全般とあわせまして平成十二年の財政再計算の際に検討することとしております。したがいまして、今回の法改正におきましては、保険料凍結期間を平成十三年十二月までとしたところでございます。
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渡辺孝男#28
○渡辺孝男君 国民年金保険料あるいは厚生年金保険料率を平成十二年度まで政府の方は凍結する方針であると聞いております。
 これは厚生省の方にお聞きしたいんですけれども、厚生年金の保険料値上げの凍結解除の条件とその見通しについてお伺いしたいと思います。
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矢野朝水#29
○政府委員(矢野朝水君) 日本の国民年金あるいは厚生年金の構造がどうなっているかというのをまず一言申し上げさせていただきたいと思います。
 日本の公的年金の財政運営は、段階保険料方式ということで段階的に保険料を引き上げていくということになっておるわけでございます。厚生年金は五年ごと、国民年金は毎年引き上げると、こういうことで、長期的に見た場合に負担と給付を均衡させる、こういう財政方式をとっておるわけでございます。
 現在の厚生年金、国民年金の保険料というのは、約束した給付に対しましては大体六割ぐらいの保険料の水準でございます。したがって、今の保険料をこれからもずっと続けていく、引き上げないということは、逆に言いますと、長期的に見た場合に給付を四割カットしなければやっていけない、こういう基本構造になっているわけでございます。そういう点からいいますと、保険料を凍結するということは端的に言いますと負担を先送りするということになるわけでございまして、年金の立場だけを考えますと、凍結というのは私どもとしては本来やるべきではない、こう思っております。
 ただ、非常に未曾有の経済不況ということで、緊急避難的に凍結をするというのはやむを得ない、こう思うわけでございます。したがいまして、凍結の解除というのはもうできるだけ早くやっていただきたいというのが私どものお願いでございます。ただ、問題は景気の回復次第ということでございまして、景気がいつ回復するのかということに専ら凍結解除がかかっているわけでございます。できるだけ早く景気を回復させていただいて速やかに凍結を解除する、こういうことをこれからお願いしていきたいと思っておるわけでございます。
 そういうことで、いつから凍結解除ができるかということは現時点で申し上げられるような問題ではないということでございます。
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