イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会

2004-06-11 参議院 全243発言

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会議録情報#0
平成十六年六月十一日(金曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     井上 哲士君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     福島啓史郎君     愛知 治郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         清水 達雄君
    理 事
                田村 公平君
                常田 享詳君
                舛添 要一君
                齋藤  勁君
                若林 秀樹君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                愛知 治郎君
                有村 治子君
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                田浦  直君
                中原  爽君
                西銘順志郎君
                野上浩太郎君
                藤野 公孝君
                松村 龍二君
                三浦 一水君
                森田 次夫君
                山崎  力君
                池口 修次君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                佐藤 道夫君
                榛葉賀津也君
                高橋 千秋君
            ツルネン マルテイ君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                遠山 清彦君
                森本 晃司君
                山本  保君
                井上 哲士君
                吉岡 吉典君
                大田 昌秀君
                山本 正和君
   衆議院議員
       修正案提出者   増原 義剛君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       経済産業大臣   中川 昭一君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
       国務大臣     井上 喜一君
   副大臣
       外務副大臣    阿部 正俊君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        中島 啓雄君
       外務大臣政務官  荒井 正吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       増田 好平君
       内閣官房内閣審
       議官       大石 利雄君
       内閣官房内閣参
       事官       猪俣 弘司君
       防衛庁防衛参事
       官        大井  篤君
       防衛庁防衛局長  飯原 一樹君
       外務大臣官房審
       議官       鈴木 庸一君
       外務大臣官房参
       事官       長嶺 安政君
       外務大臣官房参
       事官       鈴木 敏郎君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部ジュネー
       ブ条約本部長   荒木喜代志君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       外務省条約局長  林  景一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鶴田 康則君
       厚生労働省医政
       局長       岩尾總一郎君
       厚生労働省健康
       局長       田中 慶司君
       海上保安庁長官  深谷 憲一君
   参考人
       京都大学大学院
       人間・環境学研
       究科教授     西井 正弘君
       松阪大学政策学
       部教授      浜谷 英博君
       国際連合大学客
       員教授
       北海道大学大学
       院国際広報メデ
       ィア研究科客員
       教授       山中あき子君
       弁護士
       自由法曹団平和
       ・有事法対策本
       部副本部長    田中  隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○武力攻撃事態等における国民の保護のための措
 置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊
 の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送
 の規制に関する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
 おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
 関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
 の協定を改正する協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約
 の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追
 加議定書(議定書Ⅰ)の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約
 の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する
 追加議定書(議定書Ⅱ)の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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清水達雄#1
○委員長(清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として井上哲士君が選任されました。
 また、本日、福島啓史郎君が委員を辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。
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清水達雄#2
○委員長(清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題といたします。
 これより、十案件審査のため、参考人として京都大学大学院人間・環境学研究科教授西井正弘君、松阪大学政策学部教授浜谷英博君、国際連合大学客員教授・北海道大学大学院国際広報メディア研究科客員教授山中あき子君、弁護士・自由法曹団平和・有事法対策本部副本部長田中隆君、以上四名の方々の御出席をいただき、御意見を拝聴し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、参考人の方々からお一人十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、まず西井参考人からお願いをいたします。西井参考人。
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西
西井正弘#3
○参考人(西井正弘君) ただいま紹介していただきました京都大学の西井正弘でございます。
 本日は、四点につきまして参考人としての意見を述べさせていただきたいと思います。
 第一点は、大規模テロ攻撃のような緊急対処事態について国際法からのとらえ方に関して意見を申し上げます。第二点は、去る五月二十日、緊急事態基本法(仮称)について、自由民主党、民主党、公明党の三党の合意を見ました点についての意見でございます。第三点は、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上運送の規制に関する法律案、以下海上輸送規制法案と略します、についての意見でございます。第四点は、武力攻撃事態などの国家緊急事態が発生した場合の人権の制約に関する問題です。
 まず第一に、大規模テロ攻撃に対する国際法からのとらえ方について意見を申し上げます。
 御承知のように、二〇〇一年九月十一日の同時多発テロは、国家以外の行為者、アクターが国家に対して仕掛けた大規模なテロでありました。国家による軍事力の行使がこれに対して許されるかという点について議論がございますが、以下のように私の意見を申し上げます。
 国連憲章で規定された武力による威嚇及び武力行使の禁止の原則は確立されており、憲章に規定された例外的な場合、すなわち第五十一条の自衛権の行使と第四十二条による軍事的強制措置を除いては武力の行使は許されないとする見解がございます。その見解によれば、戦争が違法化された現代においては、それら以外の武力行使は国際法違反という結論になります。
 しかし、国家の実際の行動を見ますと、一九七六年に、ハイジャックされた航空機がウガンダに着陸し、それに対してイスラエル特殊部隊が強行着陸し人質を救出したエンテベ空港事件では、イスラエルは、ウガンダ政府が外国人を保護しなかったこと及び自衛権を根拠としてその軍事行動を正当化しました。その他のテロ事件でも、テロに武力で対抗する国家の側は、自衛権の行使であるとして正当化を図ることが多いと言えます。
 九・一一事件後採択された安保理決議の前文において、個別的又は集団的自衛の固有の権利を、行使の対象を明記することなく再確認しております。国際の平和及び安全に対する脅威を構成する大規模テロを実行した集団に対して、被害国が武力の行使を行っても国際法に違反しないとする事例が認められたと私は認識しております。
 このような武力の行使について、国際法的な根拠を自衛権概念の拡張に置くのか、あるいは復仇に置くのかの立論は、いずれも理論的には可能ですが、国家以外のアクターに対する武力の行使が国際社会においてあり得ることは認識しておく必要があるかと思います。
 次に、第二の意見として、三党合意に基づき次期通常国会で審議されることになる緊急事態基本法についての考えを述べたいと思います。
 合意された骨子によれば、法案の対象とする国家緊急事態には、一、我が国に対する外部からの武力攻撃、二、テロリストによる大規模な攻撃、三、大規模な自然災害等、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態とされています。
 衆議院におきます武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、以下国民保護法案と略します、の修正により、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態に加えて、大規模テロ行為のような緊急対処事態に関する規定を武力攻撃事態対処法に設けようと修正された点は、法的な整合性の点から考えましても適切であると考えます。
 すなわち、広い意味での国家緊急事態に対する基本法を来年整備され、その下に武力攻撃事態と武力攻撃予測事態、さらに緊急対処事態に対処するための基本方針、対策本部や事態に対処するための法制整備を実施することを規定した武力攻撃事態対処法と災害対策基本法とが対処方針の作成、必要な法的整備の枠組みといったレベルの法律として存在することになります。さらに、事態に対する対処のための保護措置の実施といった第三レベルの法律として、現在、当院が審議されておられます国民保護法案を始めとする七法案が全体的な整合性を保ちつつ法制度として位置付けられることになると考えます。
 アメリカ合衆国では、ロースクールでの授業科目に安全保障法、ナショナル・セキュリティー・ローといった学問領域が存在しておりますが、我が国でも国家・国民安全保障法制が整備されることになれば、法治主義の原則から申しましても好ましい状態になるものと考えております。
 第三に問題があると思いますのは、憲法と海上輸送規制法案との関係です。
 現行憲法の第九条第二項、「国の交戦権は、これを認めない。」との規定から、外国軍用品等に対する停船検査などを武力攻撃事態の発生に対する自衛権の行使として実施すると考えられている点であります。衆議院の特別委員会におきまして、石破防衛庁長官が本年四月十四日、二十二日にそのように答弁されておられます。
 国際法上、他国による武力攻撃に対して自衛権の発動は当然認められますが、海上輸送規制法案の適用上、第三国との間で摩擦を生じる可能性があるように思います。海上輸送規制法案が適用される事態は、国際法上の通説に従いますと、平時国際法に一元化された現代においてはいわゆる戦時国際法の範疇に入る事態ではないとしている点であります。
 法案では、臨検、拿捕という用語を用いず、停船検査、第十六条、積荷の検査、第二十二条、回航措置、二十七条から三十四条、などの規定を置き、外国軍用品審判所における審判手続、三十九条から六十条、などを規定しております。
 戦時国際法、戦争法において認められてきた海上捕獲、マリタイムキャプチャーといかなる点が異なるのかに関心が向くところでございます。海上捕獲とは、武力紛争時に敵国の海上交通を妨害し、その戦争遂行能力を奪うための手段であり、交戦国軍艦、軍用機が公海上又は交戦国領海で敵国や中立国の船舶、航空機やそれらの積荷を拿捕し没収することを言います。
 確かに、本法案で規定されている内容は幾つかの点において海上封鎖と異なります、海上捕獲とは異なっております。第一に、停船検査を実施する区域、実施区域、第四条二項、が我が国の領海と我が国周辺の公海に限定され、武力紛争相手国の領海を含まない点が挙げられます。第二に、実施主体が海上自衛隊の部隊、第四条一項、であって、航空機に対する措置を含まない点があります。
 しかし、海上捕獲の手続は、臨検、捜索、引致及び捕獲審検所での審検から構成されるのであって、停船命令、第十七条、船上検査の実施、第十八条、船舶書類の検査、第二十条、積荷の検査、第二十二条、回航措置、外国軍用品審検所での審検手続は国際法上は海上捕獲の一形態とみなされるでありましょう。海上捕獲であるか否かの認識の相違は、憲法規定にある交戦権の行使に該当するか否かの結論が先にあって導き出された苦肉の策であるように思われます。
 最後に、第四として、国民保護法案第五条において基本的人権の尊重がうたわれていることは極めて重要であり、かつ好ましいことと思います。しかし、次期通常国会で緊急事態基本法が審議される際に留意いただきたい点がございます。我が国も条約当事国となっております政治的及び市民的権利に関する国際規約、以下自由権規約と略します、の第四条との関連について配慮が必要だと考えます。
 自由権規約第四条は、第一項で、「国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。」と規定しております。国家緊急事態のうち、いかなる事態が人権の制限をもたらすのか、あらかじめ研究しておく必要があるかと思います。
 また、同条第三項で、義務に違反する措置を取る権利を行使するこの規約の締約国は、違反した理由を国連事務総長を通じてこの規約の他の締約国に直ちに通知するとされています。
 同条第二項で、生命権に関する第六条、拷問、残虐な刑罰の禁止の第七条、奴隷、隷属状態に置かれないとする第八条一項、二項、遡及処罰の禁止、第十五条、思想、良心、宗教の自由を規定した第十八条など、公の緊急事態においても制限できない権利があることも重要であります。
 自由権規約の人権委員会は各国の政府報告書を定期的に審査し、当該国家に勧告を行います。過去にも、戒厳令などの国家緊急事態を国内的に宣言していながら、自由権規約で制限される権利について国連事務総長に通知していなかった国家が、自由権規約の義務を履行していないと委員会によって指摘されたケースが存在しております。
 我が国も、万一緊急事態が発生し、自由権規約に規定される権利の一部、例えば移動及び居住の自由を定めた第十二条に該当する国内法規定に関して制限が課される場合には、速やかに通知しておく必要があります。その手続なども立法化に当たって考慮しておくべき事項ではないかと思います。
 いずれにせよ、今回の法案におきましては、武力紛争事態や緊急対処事態など、非常事態においても国民の権利義務の制限や剥奪を極力少なくするよう十分な配慮がなされているという印象を持ちます。当院において一層慎重な検討がなされることを期待して、参考人の意見陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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清水達雄#4
○委員長(清水達雄君) どうもありがとうございました。
 次に、浜谷参考人にお願いいたします。浜谷参考人。
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浜谷英博#5
○参考人(浜谷英博君) 御紹介いただきました浜谷でございます。
 今回、有事関連三法と車の両輪を成すと言われる国民保護法案、それが正に制定されようとしていること、それから、これが制定されますと、ようやく普通の国というものにふさわしい地に足の着いた安全保障論議というものが行われる素地が作られたという感じがいたしております。
 しかし、防衛法制の整備が終わったからといって防衛体制の確立ができたというわけではありません。あらゆる緊急事態における具体的な国民保護計画ということについては、諸外国が半世紀にもわたっていろんな形で地道な努力と作業が行われてきたわけでありまして、それに比べますと、我が国のその法制及びその実行ということは正に端緒に就いたばかりであります。
 しかし、我が国の防衛法制全体に今回の法律、前回の、去年の有事関連三法と並んで今回の法律が大きな節目をもたらしたということだけは確かでございます。これらの法律が有機的に作用しながら、独立国家としての国土防衛と国民保護ということに向けて国と地方自治体の役割分担を明確にして、そしてその法的枠組みを構築した上で万全な有事体制というものの指針と根拠を示しているということになるんだろうと思います。しかし、国民保護法に関していえば、正に詳細な肉付けはこれからであります。
 以降、諸見と今後必要な視点の幾つかを申し上げたいと思いますが、ただ今回の法案は余りにも膨大で、これを正にここに出席されている先生方が隅から隅まで読んだとすれば、これはその労力と努力にただ感服するばかりでありますが、これはもう大変な量でありまして、読むのだけで一苦労という感じでございます。時間が許す限りコメントしながら、時間が許せばそれに付け加えて、今回合意されました緊急事態基本法というそのことについてまでちょっと意見を述べたいと思っております。
 まず最初は、地方自治体の国民保護計画についてであります。
 これは、武力攻撃事態対処法の七条で国と地方自治体の役割というものが一応明確になっております。すなわち、国は国家防衛、地方自治体は国民保護という形になっているわけであります。今回、全国知事会とか市長会とかいうことの意見をほとんど前例がないぐらい、異例ともいうぐらい念入りに聞いて、そしてそれに対応する法制を整えたということですから、いかに地方自治体が今後重要になってくるか、具体的には地方自治体の協力がなければこの国民保護法制は成り立たないと言ってもいいぐらい重要な部分だろうというふうに思います。
 地方の要望からは、国が基準となるマニュアルを早急に作成してほしいという要望とか、それから住民避難に不可欠である道路基盤であるとか、それから住民避難の収容施設の拡充であるとか、そういうものが求められたというふうに聞いております。また、費用負担についても、国の費用負担でそれをやろうということになったようでございます。
 住民の避難マニュアルというのはこの後すぐ消防庁が作成するというようなことになっていると聞いていますが、しかし具体化となると、地方の発想、これが不可欠でございます。
 と申しますのは、日本が御承知のように島国であって、国土面積が狭い割には、いわゆる非常に自然の特有の、地方特有のものが多いということであります。この地理的条件とかそういうものに配慮したそういう法制でなければ、具体的に実効性が望めないということは当然考えられるということでございます。平野部、山間地、それから砂浜、岩礁、いわゆる海岸線があるないに至って、いろんな形の自然があるということであります。すなわち保護法制、いわゆる住民の保護法制には地方分権的な発想というものが正に不可欠であるというふうに考えております。その地方分権的なことからいえば、正に条例でそれを具体的に決めていくということも一つのアイデアだろうというふうに思います。
 また、一地方公共団体で対応可能であるかどうかについては非常に疑問な部分もかなりございます。今後、県内外の複数の地方自治体というものとの相互協力ということが不可欠になるだろう、いわゆる広域的措置というものも重要になるだろうというふうに思っております。
 しかし、そのためには、現場の責任者である知事の権限強化ということが確かに望まれていましたし、またそのようにもなっているわけではありますが、これだけでは何も動かないというふうに思われます。強化された権限に対応するだけのいわゆるマンパワー、それから各種の機器、機材とか設備、施設、こういうものが整備されない限りはほとんど実効性は上がらないだろうというふうに思われます。
 また、首長さんには、今後、緊急事態、そういうものに際しての対応能力であるとか、それから迅速な決断力であるとか、それから行動力であるとか、そういうものも不可欠の要素になるというふうに思います。地域の実情に熟知した地方自治体の首長が的確に判断した対応というものに勝るものはないだろうというふうに考えるからでございます。
 いずれにしろ、今後、いろんな形の計画に基づいて、警察、消防、海上保安庁、それから自衛隊等々、これを有機的に連携させつつ、自主防衛組織であるとか個人参加とかそういうものの総合訓練というのを定期的に行いながら、課題の改善を図って啓蒙していく必要があるというふうに考えます。
 次は、指定公共機関等の国民保護の業務計画について若干の指摘をしたいと思いますが、この指定には当該機関の意見を聴きつつ総合的に判断するということが政府見解のようでありますが、つまり、指定には当該機関の意向が尊重されるということなんであります。
 ただ、国民保護計画というものの実効性ということを最優先に判断した場合は、その指定の拒否というものが計画全体に致命的な空白を生み出す可能性がないかということが多少危惧されるわけであります。
 とりわけ放送事業者につきましては、これは警報、避難の指示、それから緊急通報、こういうものを放送する義務というものが生じます。NHKを除いて、民間放送連盟は、いわゆる報道の自由が脅かされるおそれが否定できないということで除外の要請をしているというふうに聞いておりますが、確かに、ジャーナリズムの政府に対するチェック機能ということを重視する姿勢というものからはこの考え方はごく当然の考え方でもあろうと。
 しかし、指定の目的の中に、国民に対する正確な情報と指示を迅速かつ広範に与える、そして犠牲と被災というものを最小限に抑えようとするというところにもその目的があるとすれば、これに対する配慮、すなわち情報に触れる機会が多いにこしたことはないということでありますし、この点、民間放送としても十分な配慮が必要ではないかというふうに思います。いたずらに取材、報道の自由を振りかざして、いわゆる取材、報道の自由の背景にその主張の根拠としてある国民の知る権利というものを危うくする機会があるとすれば、これは何にもならないということであります。
 それから、国民の協力ということと私権の制限ということにも若干の指摘をしておきたいと思います。
 これは、国民協力についての基本的スタンスでありますが、必要な協力をするよう努めると、国民の方がですね、それから強制されることがあってはならないというふうに規定されております。そして、自主防災組織であるとかボランティア団体、これらに自発的な支援を国が行うと。
 ただ、考えますと、災害対策基本法の事例を挙げても、いわゆる災害時の住民への従事命令とか協力命令、保管命令というものが規定されておりまして、これには罰則まで付いております。そう考えますと、有事対応とのバランスというものが果たしてどうなのかということが一つ指摘できるかと思います。
 後にも述べますが、諸外国のいわゆる民間防衛とかそれから市民防護、こういうものの実態から考えますと、緊急事態時の国民協力というのは言わば義務化されているというのが一般でございます。この事実をどのように考えたかということでございます。
 逆に考えますと、これほど自由と権利が保障され、なおかつ国家の独立と国民の安全とが確保されるということであれば、ひょっとして日本のこの国民保護法制は世界一ではないかというふうにも考えられるわけであります。これ、いわゆる国民の権利が犠牲にならないでその安全が保たれるということがこれはベストなわけでありますから、その意味では日本の法制が世界一ではないかという感想を持ったということであります。これは、実効性の確保ということを考えますと、正に失敗が許されない分野でありまして、そこから考えますと再検討の余地があるのではないかということであります。
 それから、こういう形で国民の自由に配慮したというのは、与党と民主党との間の言わば合意があったということが言われておるわけでありますが、有事の際の国民の自由と権利の制限は最小限にする、それから憲法上の基本的人権は最大限に尊重すると。
 しかし、この原則というのは、これは立憲主義の建前からすれば言わずもがなの、ある意味当然のことなわけであります。この合意があったからこそ、このいわゆる自発的意思とか非強制と言われるものが規定されたというふうに考えるのは余り合理的だとは思わないということであります。もし仮にそうなら、いわゆる合意のない法律では人権保障の効力というのは薄弱になるのかということであります。また、憲法上の基本原則と国民の保護と国民の権利の尊重というものが立法のたびごとにこれは確認する必要があるのかということにもなってしまいます。
 そもそも我が国の存亡にかかわるような事態を想定して、そして、その際の国民保護というのを目的にして作られた法律であるならば、いわゆる被害を局限化して避難住民の混乱を回避するということが最大の目的でありますから、そういう意味では、一定限度の私権制限とかその国民協力を求めるということは逆に大多数の国民の方が理解しているんではないかというふうに思います。いかに心地よい美辞麗句を並べたからといって、国民保護という、また国の独立の確保という、そういうものができなければ何のための法制かということになってしまうわけであります。
 それからもう一点は、いわゆる民間防衛、市民防護、いろんな言葉がありますけれども、我々国民の保護ということであります。
 これは、御承知のジュネーブ条約に基づいて採択されました二つの追加議定書の第一議定書の方に書かれていることであります。これは御承知だと思いますので一々定義は述べませんが、この民間防衛の書かれた議定書の締約国はもうほとんど世界の四分の三を超えておりまして、ほとんどこの人権条約の重要な部分を占めているということが指摘されております。
 すなわち、民間防衛というのは何か言葉のニュアンスから、何か国民が武器を取って戦わなきゃいけないようなそういうことが想定されてしまうわけですが、決してそういうものではないということであります。すなわち、行動する主体を問わず、あくまで文民保護という目的に限定して行われる諸活動であるということでありますから、これを徹底して尊重するということは当然であります。
 国民保護、これが国は専らその国防に専念する、それで地方公共団体は住民の安全確保に重点を置くということで考えますと、いわゆる地方自治体の行動というのは正に民間防衛活動、市民防護活動の概念にほとんど一致するものである、一致する行動であるというふうにも見ることができます。国はあらかじめ国民保護に対する基本方針を定めて、それから地方公共団体はその区域内における民間保護措置、これを総合的に推進するということになりますと、これは当然知事レベル、市町村レベルでの首長の強い権限が必要になって、それが付与されたわけであります。現場責任者としてのその卓越したリーダーシップと危機管理能力というのが求められるようになりました。
 しかし、この権限自体を強化することはいいんですが、そのいわゆる実効性のある具体的行動を支えるためにはその人的、物的資源というものが必要であって、この点については甚だ心もとない感じがいたします。実際上、知事や市町村長にはいわゆる国民の生命、財産を擁護するための必要な知識、それから経験、装備、資源、こういうものがほとんど備わっていないというのが実情であります。すなわち、避難とか救援に不可欠な機構や要員ですね、さらには情報や財政的裏付けということなども言わば皆無に等しいのではないかというふうに指摘されております。
 したがって、権限にこたえる実動部隊、これの欠如というものはひょっとしたら権限自体を有名無実化してしまいかねないというふうにも考えるわけであります。すなわち、各首長に一定の役割といわゆる責任を持たせるのであれば、その下に人的資源をいかにして確保するか、それにこたえる人的資源をいかに確保するかということは問題であります。そうなりますと、正に重要なのは民間防衛のその組織の確立といわゆる活動だということになります。
 今回の修正で訓練にも防災を含むということが入り、また国民保護協議会と防災会議が兼用されるということなどを考えますと、いわゆる今現在ある自主防災組織というようなものが市民防護という目的を付与されて、そして有効な活動をするということは正に目的拡大で済むわけですから、こういう方法も一つ検討されてしかるべきではないかというふうに考えております。日本の防災組織の組織率というのは約六割強等々であります。しかし、組織率の高さだけでは、これは物の実態が測れません。すなわち、組織の質の問題がございますから、それを十分今後検討してみるべきではないかというふうに考えます。
 時間が迫っておりますので、緊急事態基本法のコメントについては一点だけ、また質問のときにでも御紹介したいと思いますが、一点だけ、国会の関与という問題について述べたいというふうに思います。
 緊急事態の対処に当たっては、開始と終了に国会の関与を求める、これは適切であろうというふうに思います。ただ、国会の関与という議論が、従来の議論はほとんど事前であるか事後であるかの議論に終始して、ほとんど不毛でございました。これはどっちでも結果的には同じことであります。すなわち、ここで重要なのは、国会の承認というものがいわゆる政府の政策に対して責任を共有するという、こういうことだということですね。そう考えますと、いわゆる国会の役割とは何か。いわゆる、そうすると議決の内容とか議決の性質ですね、決議の性質ですね、こういうものに合わせて国会関与を言わば多段階で規定するということは重要であろうと。すなわち、国会への報告から国会の承認、さらには国会拒否権というところまでいわゆる多段階で考えておく必要はなかろうかということであります。
 例えば国会の承認ということを考えても、事前承認というものについては有効期限が必要ではなかろうかと。これは元々の持論でございますが、いわゆる有効期限であります。すなわち、ほうっておけばその有効期限で消滅してしまうという。現在、それがなければ、いわゆる国会の承認というものは行政府の行動にいわゆる白紙委任状を渡してしまったようなもので、その後のチェックはできないということであります。それで、更新手続を満了前に取らなければ自動的に消滅する効力ですから、当然行政府側はある程度の情報を提供して、そして国会の言わば更新手続を取ろうとする。そうすると、国会が情報空白からも救われるだろうというふうに思います。
 また、事後承認ということにつきましても、これはほとんど承認までの時間が明確にはなっておりません。よく新聞報道なんかでは二十日以内に承認を求めると書いておりますが、あれはちょっと誤解をするんではないかと思います。二十日以内に国会へ付議するだけで、そこまでで、承認はないのであります。すなわち、付議すればいいわけであって、国会の承認はそれから何か月掛かろうが、これは規制がありません。そうすると、その間に事態が終わってしまえば、何のための国会承認かということになるわけであります。あれだけ厳格な三権分立体制を取っているアメリカですら、議会の審議には、こういう軍隊を投入するような場合には期間の制限を設けて議論をするということになっておりますから、これもよく考えるべきではなかろうかというふうに思います。
 それから、最後は国会拒否権でございます。国会拒否権というのは、最近ようやく各法律の中に事態の終了というものが国会の議決だけで終了できるという条項が入りましたから、これは、僕は国会拒否権と名付けているんですが、これがようやく普通に考えられるようになった。そうすると、この国会拒否権を使いながら国会が有効にいわゆる政府の政策をチェックできるということになります。これはほとんど乱用も考えられない。なぜならば、一回、国会の承認を与えたものを取り消すわけですから、すなわち賛成した人の大多数が反対に回らないとこの決議自体が通らないわけであります。したがって、乱用のおそれもないし、また一種泥沼化したような状態で政府がその対応を苦慮しておるときに、政策転換を図るための一つの手段としても考えられるということでございます。
 こういう形でいろいろアイデアはあるわけですが、これについては来年の通常国会というもので検討されるということですので、これから私も注目してまいりたいというふうに考えております。
 どうもありがとうございました。
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清水達雄#6
○委員長(清水達雄君) ありがとうございました。
 次に、山中参考人にお願いいたします。山中参考人。
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山中あき子#7
○参考人(山中あき子君) ただいま御紹介いただきました山中あき子でございます。
 不審船舶の検査のプロジェクトチームの一員として検討したことがございますので、今回、ああ、ここまで来たなというふうに思っているところでございます。また、動燃の事故の折にワシントン州の燃料工場の危機管理と危機対応のシステムの視察をいたしましたし、また、そのときにカリフォルニア州の原子力発電所で国、州、それからその会社、付近住民の危機管理の提携の在り方、これを調査したこともあります。それを含めまして、「Think, or Sink」という予防国家論を昨年末まとめました。
 そのような視点から、今日は緊急事態基本法の制定に関して少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 現状認識をしてみますと、地下鉄サリン事件以後、サリン等毒物製造禁止法が制定されたり、あるいは阪神・淡路大震災の折に救助犬のことですとか外国人医師の問題ですとか、国際社会の善意にこたえられなかった経験からいろいろな受入れ手続の申合せがありますけれども、まだ法的な改正はありません。
 そういう状態で、緊急事態という概念を基本的な、すなわちあらゆる原因による、テロもあり、事故もあり、外敵からの攻撃もあり、自然災害もある、いかなる原因であっても国民が危機に瀕すると、そういう状態でとらえるという、この修正された方向というのは非常に現実的であるというふうに評価いたします。私自身は、緊急事態基本法というのは実は国家安全保障と危機管理基本法、これを併せたようなものであってほしいというふうに望んでいるわけでございます。
 まず、基本的には、一体何のための法律かということをもう一度考え直していただきたい。すなわち、国民の生命と国土の保全が国家の最大の義務であれば、何かが起こったとき、果たして日本は国民を守れるだろうか、国民の生命を守ることが第一の目的のはずである、そういう可能性を視野に収めた法律を是非立案していただきたい。そのためには、実は各省庁又は関係各団体の利益を優先するような法律がもし今あるとすれば、これは正にポリティカルウイル、皆さんの政治的な意思をもってそれを統廃合する大変いい好機であるというふうに考えます。
 ですから、国民に対して分かりやすく、そして関連の諸機関や地方自治団体にも分かりやすく、しかも機能しやすい包括的な一本の法律として災害救助、有事対応、国民保護、自衛隊や消防、警察の役割、国民の基本的な権利と義務などがはっきり分かるようなスタンスの基本法の制定を期待しております。
 政府は、いかなる理由があろうと、国民が脅威にさらされたときに最小限の被害で食い止められるような政策を打ち出し、立法化すること、これを今なされば、正に時宜を得ていると思います。
 その意味で、国民保護法案に関して一言申し上げます。
 これまで衆参で大変長い時間を掛けて議論されてきております武力攻撃以外の事態のときという認定、また緊急対処組織というのはどういうものか、文民保護組織の法制化は不要なのか、国、都道府県、市町村という従来型の伝達パターンで緊急時に間に合うのだろうか、あるいは私権制限の要請拒否の正当な理由というのはマニュアル化しておかなくてよろしいのだろうか、あるいは総理大臣の代執行権というのは本当に現実的なのだろうか、こういう議論に対して提案者である国は早急に検討をしておくべきであるというふうに思います。
 危機の段階というのは、私は危機の発生前、それから警告期、危機発生、それから進行期、そして危機終息後というふうに分けられると思いますけれども、危機が何日も前に予測できる場合は手順を踏んでいくわけですけれども、わずか数分、又は起きてしまったときに手順を踏んでいたら、その判断が現場でできなければ間に合わないこともあり得ると。そういうふうなことでは、危機管理センターがいかに最新の設備を誇ろうと、結局のところ、国民はもちろん関係の協力体制がいかに構築され機能するか、つまりソフトパワーがいかに機能するかに掛かっていると。
 具体的には、情報の収集、連絡、活動の体制の確立と同時に並行して、人命救助、救急活動、医療活動、消火活動などの応急対策活動が実施されなければ被害を最小限に食い止められることができません。つまり、被害を最小限に食い止めるためには様々なものが同時に進行するという、そういうシステムにならなければならないわけで、常にと言ってよいほど、これまで様々な経験の中で政府の対応の遅さが指摘され、すべて後手後手だったという不満が被害者や住民から出ています。
 何か起こったら、そこにかかわるすべての機関が整然とそれぞれの役割を同時並行的に果たす、そういう体制にあるかということが問われているわけで、すなわち消防、警察、自衛隊が同時に連携を取って即座に動くことができるかというようなことであり、災害も事故も事件も時間との勝負であるということを再認識すれば、国民保護法案の疑問点の早急な検討が必要なことが改めて強調されると思います。
 私がここで申し上げたいことのもう一つの視点は、発想の転換を図っていただきたいという点です。
 テロ特措法も有事法制も、これまでの冷戦時代の枠組みの積み残しの処理に腐心しているように見受けられます。つまり、政府の冷戦後の新しい時代への国家像や日本の将来像への政治哲学、政治理念というものが感じられない。つまり、できるところから少しずつというこれまでの政治手法から脱皮し、改革を標榜する小泉総理らしく、思い切って国家百年の計で将来展望に基づき、日本の国土と領域におけるあらゆる不測の事態に備えた基本法を制定してほしいというふうに思うわけです。
 それから次の視点は、総合的視座で是非立法していただきたい。
 有事法制も災害対策基本法も、また原子力災害対策特別措置法もすべて包含されるべきであるというふうに思っております。私は、厳しい言葉で言えば、タコ足配線のような今の法整備にどこかで終止符を打つときが来るとしたら、今このチャンスではないかというふうに思っているわけです。したがって、国家安全保障、危機管理、そういったものを包含した今回の危機対応の基本法というのに期待が大きい。国民はどのように国によって守られ、どういう義務を負うのかということもきちんと総合的視座で位置付けてほしい。
 例えばスイスでは、核戦争に備え、各建造物の地下に地下ごうの設置と食糧の備蓄を義務付けておりますし、牧草地を農地に転用できる体制を作ったこともよく知られております。
 私権の制限は自衛隊と米軍の陣地の構築、通行などが特化していますけれども、阪神・淡路大震災のときを思い出していただけば分かるように、避難路や避難場所の確保など、いわゆる防災都市、すなわち災害を予防するような町づくり、これを作る絶好のチャンスだったわけですが、私権の制限ができないために、結局、災害前の状態に戻すというようなやり方の復興になってしまった。そういう意味で、前向きの私権の制限ということも検討に値するというふうに思います。
 国、地方自治体などの地域住民が一致団結して被害を最小限に食い止め、危機を早期に終息させなければならない。そのためには、互いの信頼関係の構築というのがかぎになります。
 私権の制限を適用する場合はなおさらのことであって、したがって、日ごろから各地方自治体の生涯教育の場などを使って予防国家論や危機管理論などの学習の機会を積み重ねることが効果的であるというふうに思います。国民の意識の向上にも寄与しますし、また一方で、国、地方公共団体や自治体などの役人は自分たちがパブリックサーバントであるということを再認識する必要があると思います。つまり、総合的視座と長期的展望での全体像が法制には必要だと思います。
 法整備のポイントはかなり網羅されているように私は拝見しましたけれども、まとめますと、まず第一に、国民の生命と財産を守り、国土の保全を図るという目的の明確化をしていただきたい。第二に、実現のためにどのような国土づくりが必要かという全体像に基づく国づくりの提示をしていただきたい。第三に、国や地方のあらゆる機関に機能的に活用できるシステムを構築してほしい。第四には、民間と国民の協力的参画体制の整備が必要である。第五番は、駐留米軍との協力の具体的な取決めを国民にも提示してほしい。それから六番目は、情報をどの時間内にどこに通知するか、そういった手順の明確化というものを考えていただきたい。先日の羽田空港の滑走路の侵入事件は幸いなことに事なきを得ましたけれども、警察を入れる許可を得るのに時間が掛かった、これが今日本の現状なんです。七番目は、都道府県の単位より、より広域的なブロック制ということも視野に入れてはいかがか。つまり、消防、病院、警察、自衛隊などのネットワークは、県単位ではなくて、それより広い範囲でブロックとして機能できないかという視点です。八番目は、避難場所や避難路の確保や救助活動のために私権の制限や規制緩和を提示していただきたい。九番目に、立法と行政の両面で順次整備できる仕組みを構築し、実効性を担保していただきたいということです。
 具体的な施策としては、全国のブロックごとに避難場所や避難施設を整備するという意味で、緑地確保のために国や都道府県、市町村の所有地の拡大も努め、ふだんは公園などとして住民に開放し、またダムや貯水施設も水に親しむ余暇の利用の視点を加えながら必要に応じて再整備するという視点も大変大事です。
 また、世界のエネルギーの安全保障にも貢献し得ることを視野に入れて、地域特性を生かしつつ、太陽熱や風力などの自家発電など、代替エネルギーの確保に努めるという視点も必要です。
 食料の自給率が極めて低い日本ですから、食料の備蓄方法の研究を促進するという視点も欠落させられません。
 国際レベルで活動できる救助隊員の育成を加速化し、建築物の安全性やライフラインをチェックするインスペクターや危機管理専門家などの人材を育成し、専門家を増やし、新しい雇用創出にもつなげるという視点も考えられます。
 冒頭に申し上げましたシーメンスの燃料工場では、燃料工場ですのに四十五人の各分野の安全専門家を雇用しております。チームに分けて二十四時間体制で、安全対策組織としての危機対応チームと、起こった危機にどう対応するかという管理危機チーム、この二手に分かれているわけで、ここでは予測し得る十三項目に及ぶ最悪の事態発生への対応を具体的に分析し、全従業員を訓練しております。同時に、連邦政府の原子力委員会はこの燃料工場の施設運営のライセンスの取得にも厳しい基準を示しております。日本でそれができていたら死亡の事故はなかったというふうに私は思います。
 こういった縦走したネットワーク作りに留意して、自衛隊、消防、警察を一元化する、常にではなくて、非常事態の体制の確立も必要だと思います。
 カリフォルニアの原子力発電所では、カレンダーで自然に必要手順を学ぶというやり方をしています。例えば、どういう指示が出たら脱出避難するのか、どういう指示が出たら自宅待機をするのか、非常に大事なことです。また、十六キロの円の中に七十二基のサイレン、それからラジオを使って、何かが発生したら十五分以内に施設外のすべての部局に緊急事態が通報されるというシステムになっています。二年に一度、八時間にわたる避難訓練を実施しております。地元の消防、病院、交通諸機関、それから軍、連邦政府の担当者、核の研究所などが協力して学童の退避、住民の避難訓練などを実施しているわけです。
 そういうふうに見てまいりますと、各首長の危機管理の研修も大事になります。
 是非、皆様に今国会から次の国会までの間にしていただきたいことは、時限的検討委員会というものを設けていただきたい。これは与野党の担当者と内閣府、防衛庁、国土交通省、総務省、外務省、そして文科省から局長クラスを担当者として参画させて、そして夏の一週間から十日間に分けて、これは識者を集めて現在の法律の在り方を精査し、何を廃止し統合するかを検討した上で、基本法の制定をし、同時にそれを機能させるための実施まで皆さんが関与していただきたい。
 そして、小学校からリスクマネジメントの教育や大学の危機管理専門家の養成講座、そういったものを導入し、先ほど申し上げた生涯教育における国民の意識の向上と相まって、そういった人材の養成を図ることは非常に重要なことです。
 このようになれば、期待される波及的効果としては、まず行政改革により規制緩和の促進、耐震構造物や備蓄可能な食品加工技術などの技術開発、専門家の養成による新しい雇用の分野の創出、救助隊員や専門家の近隣のアジアや世界の災害、事故、紛争などの派遣や、備蓄食糧物資の提供などの国際協力、国家目標に沿った公共工事などの内需拡大、そして冷戦後の新しい時代に合った自衛隊、警察、海上保安庁、公安などの任務の見直しと訓練方法の改革、新分野の人材確保というような連携作り、そして国民の政治への信頼を回復することができるというふうに思っています。
 重層的な危機管理体制を構築するには多大な予算が必要です。ですから、その意味では、予算の執行優先順位を付けることや、多年度予算の導入ということで、十年、十五年後までに全国がきちっとした形の防災国家になっていることを期待します。
 最後に、私が予防国家という言葉を使っておりますのは、予防国家としてあるべき十原則というものを考えているからです。一つは、国家安全保障・危機管理基本法、これは今ので解決できます。あとは、迅速な意思決定。三番目は、統括指揮者の責任を明確にすること。的確な情報の収集、分析を行うこと。そして、地方自治体の危機管理能力を強化すること。六番目は、警察機能の強化。七番目は、医療機関の充実。そして、自衛隊の活動。国民の認識力の強化。そして、最後十番目は、効果的な実践訓練です。
 日本の国民のいわゆるフェールセーフ、失敗しても安全を確保する、こういう予防国家の発想、そういうシステムの構築と人材の育成、そして非常事態勃発に即応する法整備と国の危機管理システムの構築は、日本の国の歴史に残る偉業と思います。
 国会の御検討を心から御期待申し上げます。
 以上でございます。
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清水達雄#8
○委員長(清水達雄君) ありがとうございました。
 次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人。
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田中隆#9
○参考人(田中隆君) 御紹介いただきました弁護士の田中隆と申します。全国一千六百名の弁護士で構成する法律家団体の自由法曹団というところで活動をしておりまして、平和・有事法対策本部の副本部長をしております。
 自由法曹団は、一昨年、二〇〇二年春に有事法制が浮上して以来何度も出版や意見書の発表を重ねてきました。発表した意見書、合わせて十五次に及んでおりまして、自由法曹団のホームページにすべて掲載しておりますので、御参照いただければ幸いです。
 本日は、参考人として陳述する機会を与えていただきましたので、法律家として三つの点に絞って述べさせていただきます。
 第一点、最初は有事法制が発動される場面と及ぼす影響の問題であります。
 今回の有事十案件の母法に当たります武力攻撃事態法、もう略称で申し上げます、の構造は、現実にこの国への武力攻撃がなくても、切迫あるいは予測の段階から、政府の判断で武力攻撃事態あるいは予測事態を宣言して対応態勢を構築する、そして米軍と自衛隊の作戦や兵たんのサポートを行うという構造のものでした。
 一昨年来の国会審議の中で、この武力攻撃事態や予測事態が、現に米軍が武力行使を行っており、自衛隊がその後方支援に当たっている周辺事態法上の周辺事態と併存することが明らかになり、現在では確定的な解釈になっています。しかも、この武力攻撃というのは何もこの国本土に対するものに限られず、在外公館や海外にいる自衛隊への攻撃も武力攻撃に当たるというのが政府答弁ですから、周辺事態法で米軍の後方支援などに当たっている自衛隊に相手の国あるいは国に準じる者から攻撃が予測されれば予測事態が宣言できると、こういう構造になります。
 法案を提出された政府の側から、この有事法制あるいは事態対処法制の発動場面が具体的に明示されることはついにありませんでした。しかし、米軍との共同対処を前提にした法制の構造や北東アジアの政治情勢からして、発動可能性が最も高いのは、米軍が北東アジアで軍事行動を取る周辺事態に際しての相手国の軍事的行動が武力攻撃事態あるいは予測事態に至る場面と考えざるを得ません。それゆえに、この国会でも、一昨年来、周辺事態との併存等が繰り返し問題にされてきたと考えます。
 今回の法案は、こうした有事法制に極めてドラスチックな内容を付け加えます。
 箇条書的に指摘します。
 米軍支援法では、予測の段階から、米軍の行動をサポートする無限定の行動関連措置が組み上げられ、地方自治体や企業が協力を要求されます。自衛隊は米軍に弾薬まで提供しますが、米軍がその弾薬をどう使用するかをチェックする法的手続はなく、最終的には米軍に対する信頼によってしか担保されない。これも、予測の段階から、公共施設等利用法で政府が優先順位を指定する空港、港湾等の優先権は米軍や自衛隊にも付与され得るという答弁でありますし、元々交通や電波の管制は作戦をサポートするための法制として制定を要求されたものですから、軍事優先になることは法制上も明らかです。
 事態が進行して一触即発の事態になって発動される海上輸送規制法では、第三国の船舶に不審な敵性国人が紛れ込んで密輸的に物資を運んでいると認められている場合にも臨検が可能、停船命令ですね、が可能で、危害射撃ができるとなっています。これは自衛権では到底説明はできないと思います。
 捕虜法や人道法等は、文字どおり交戦を前提にした規定で、重要文化財破壊罪や占領地入植罪などは自衛隊が海外に出ていった場面での国外犯しか想定できない。
 これらは、すべて法文及び政府の答弁から抽出したもので、自由法曹団がそうなると言っているものではありません。これでは、米軍との一体化を果てしなく進めて、いつでも臨戦態勢を構築して戦争ができると宣言しているものと考えざるを得ないんです。
 かつて政府は、武力攻撃の意図を明示して多数の艦船や航空機を集結させる状況は武力攻撃の切迫、当時はおそれでしたが、だと説明されました。公共施設等利用法によって、予測段階で港湾や空港に米軍や自衛隊の艦隊や航空機を集結させれば、それは相手の国からすれば一触即発の切迫事態ということになります。こうした軍事緊張のエスカレートを法制上組み込んだ法律を制定することがこの国周辺のアジア諸国との関係にもたらす影響をいま一度考えるべきではないかと考えます。
 なお、事は周辺事態に限られた問題ではなく、自衛隊の海外派遣でも同じ問題が発生するはずです。
 新聞報道によりますと、内閣法制局は、イラクで抵抗戦を続けるサドル派は国に準ずる者に該当するとの法解釈を示されたとされています。仮にもし、このサドル派が国に準ずる者と認定され、そのサドル派によるサマワにいる自衛隊への攻撃が予測されるとなると、イラク特措法とは別チャンネルが、有事法制が動き、別チャンネルの有事法制が動き出すことがあり得ることになります。そのとき、サドル派が果たして国に準ずるかどうかということを事後的に国会が十分チェックできるでしょうか。現に、自衛隊が海外で行動するようになっている今日、有事法制が発動態勢に入ることの重大性をもう一度検討すべきではないでしょうか。
 二点目は、国民保護法が社会に及ぼす影響の重大性です。
 国民保護法制は、すべての地方自治体や地域に直接かかわる法律という点で特別の重大性を持っております。御承知のように、警報や避難から始まって応急復興、武力攻撃災害対処、国民生活安定、復旧・復興に至る十万字を超える壮大なる法律案です。
 この法制の構造からすると、地域全住民が県境を越えて、県の境を越えて避難しなければならないほどの大規模な着上陸脅威、攻撃あるいは大規模な空襲がこの国の本土に加えられる場合を想定しているとしか考えられません。
 しかし、現在の国際情勢からしてこうした事態が考えられないことは明らかですし、現に政府自身、まず考えられないと答弁されています。政府の答弁はその後、しかし絶対にないとは言い切れないと続きます。しかし、蓋然性どころか可能性の計測もできない下で、ないとは言い切れないとして対応態勢を組み上げることは、殊更危機や不安をあおり立てることになり、政治の道筋としても危機管理のありようとしても重大な問題をはらんでいると思います。
 この国会でも、地域全住民の避難のはらむ問題について、例えば鳥取県でのシミュレーション等を摘示しながら、様々な指摘や議論が行われました。しかし、全体としては、こうした指摘がありながらも、何としても自治体に対応態勢を確立させるという極めて強権的とも見える方向に向かっているように思われます。
 政府がモデルを作って自治体の計画を促す、防衛庁は幹部自衛官を全自治体に派遣してイニシアチブを行使する、図上訓練では足らないから実地訓練も行う、やってくる中で対応も早くなって知事や市長などの意識も変わっていく等々、こんな答弁が繰り返されました。
 政府は、本年を含めて五年計画で都道府県、市町村の実動演習まで持っていく計画のようで、と伝えられています。こうなりますと、自治体は、自治体部局はおろか、地域の町会、自治会、商店会、学校、病院、交通機関、医療機関などを挙げて演習に駆り立てざるを得なくなります。問題は、その演習が軍事緊張が高まって政府がどう努力しても戦争が避けられそうにないという状況で行われるのではなく、具体的な想定事態もなく、仮想敵も存在しない中で行われることです。実際の戦争が訓練をやったとおりに起こる保証はなく、避難先に想定した地方から敵がやってきたとなれば何の効果もありません。この点で最後に申し上げたいのは、言わば空中楼閣に近い対応を組み上げること自体のはらんでいる危険性です。
 かつてこの国が初めて帝都の防空演習をやったのは一九三三年と記録されています。このとき、どの国にもこの国に空襲を加える空軍力はありませんでした。その架空の危険を掲げて行われた演習がその後の防空法の制定や防護団につながり、隣組や自警団につながっていったのは歴史の記録するところです。
 空中楼閣に等しい対応法制を生み出すことが社会の不安や亀裂を拡大し、社会全体を好戦的な方向に誘導し政治を誤りかねない、法制度がそういう危険をはらんでいると思いますので、実は法律家としてこの法制に反対せざるを得ないのであります。
 最後に、三点目、法案の提出と研究や審議について一言申し上げます。
 この有事十案件が提出されたのは三月九日。法文だけで四十万字、対照表や関連条文を含めると六十万字に及ぶ膨大なものでした。国民保護法制だけは若干概要が伝えられていましたが、それ以外の法制は直前まで明らかではありませんでした。これだけの法案を短期で審議し、行動や問題点を明らかにし、国民の十分な理解を得た上で結論が出せるかというのが、最初に全文読んだ考えでした。どうもこの考えは法律家だけのものではなかったと思っています。
 四月十三日、この法案が衆議院本会議に上程されたとき、民主党から代表質問に立たれた首藤信彦議員は、その一つ一つに関して、その審議で国会会期全体を使ってもおかしくないような非常に重要な案件であり、これを一括して国会に提出した政府の行為は、正に神を恐れぬ行為と言わざるを得ないと質問を締めくくられました。達見だと思います。
 この四月十三日とは、イラク全土が戦場となって、三人の青年が拘束されているさなかでした。私たちの仲間にもイラクで救援活動に当たっている弁護士がいます。人ごとと思えず、全世界のNGOと結んで救援に当たっていました。そのさなかでした。参議院で審議が行われた五月下旬は、国民の関心が年金問題に集中しているときであり、審議が途絶えることもございました。このような中で、すべての自治体や地域に直接に関係する国民保護法を含めて、これらの法案が国民に十分理解され、検討、研究が尽くされたか。率直に言って甚だ疑問と考えざるを得ません。
 さらに最後に、衆議院議員の最終盤になって挿入された修正についても一言申し上げておきます。
 今度の修正は、法案として提出された国民保護法案を修正することによって母法と言うべき武力攻撃事態法を改正するという、通常の法制定の過程では考えられない内容を持ったものでした。このまま改正されますと、この武力攻撃事態法は、武力攻撃という戦争の場面を想定したものが大規模テロ等という犯罪の領域に属することまで、問題までサポートすることになります。法的に言えば、安全保障と治安の二つの領域にまたがる法制となります。
 あらかじめ予測がほとんどできず、捜査も密行で進められざるを得ない治安の問題と、外交の延長として生じる軍事緊張が発端となる安全保障の問題、さらに、一過性であって意思を持った敵が介在していない自然災害の問題を安易に同じカテゴリーで考えることは重大な誤謬と考えざるを得ず、犯罪捜査や災害対策にいたずらな混乱をもたらす危惧も禁じ得ません。
 以上、全体として、この法案は重大な問題をはらんでおり、いまだ十分に研究、解明されたとは言い難いものでありますので、採択、成立に至ることには、私自身としても自由法曹団としても反対せざるを得ません。
 また、全国二万名の弁護士が全員加入している強制加入団体の日本弁護士連合会も、かつての有事三法案にも米軍支援法案や国民保護法案を中心とする今回の有事法制にも強く反対をしていると付け加えます。
 最後に、二年半前から有事法制にかかわった自由法曹団が問い掛け続け、掲げ続けたのは、行くべきは平和の道ではないかという問い掛けでした。この二年半、私自身を含めて多くの弁護士がアフガニスタンやイラク、朝鮮半島、中国等に赴いて、微力ながらも救援や支援を続け、平和的な道筋のために努力してきました。いかに苦難の道であっても、その平和を行くためにこの国の力を発揮していただきたいと思います。そのことをお願いをして、陳述といたします。
 ありがとうございました。
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清水達雄#10
○委員長(清水達雄君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、参考人の方々にお願い申し上げます。御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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松村龍二#11
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。
 本日は、本法案の審議に当たりまして、貴重な御意見を四人の参考人からお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 非常に大きい問題でございますので、私もよく勉強していない面があるわけですが、まず山中参考人にお伺いするんですけれども、原子力発電所についてアメリカの事例をいろいろ研究してこられたように先ほどお伺いしたわけですが、実は私、出身が北陸の福井県でございまして、十五基の原子力発電所がございます。
 この国民保護法制を審議し、地方自治体の権限というようなことになってきましたので、地元の県知事も非常に神経質になりまして、具体的にどのように参画したらいいか、意見を述べたらいいかというようなことで苦慮しておられましたけれども、私、お伺いしたいのは、この原子力発電所が現に日本の場合テロの対象になるようなことがあるとお考えになるかどうかということなんです。
 先般、佐賀県の国会議員の方とお話ししていましたら、佐賀に玄海原発というのがありますが、あの周辺では密輸、密入国等の事案も非常にあって、そういう野放しの事件等が起きる中において原発が大丈夫なんだろうかと、なように、地理的に朝鮮半島に近いという立場から何か心配しておられました。
 私どもの方は十五基の原子力発電所がありまして、非常に我が県の場合、県民のこれを支える意識もしっかりしていまして、過去に幾つかの事故等もありましたけれども、さほど神経質にならないでこれと共生しておると、こういうような状況です。
 それで、こういう施設がありますと、すぐ、何かやられるんじゃないかと、こういう攻撃の対象になるんじゃないかと、こういうように考える人が多いわけですけれども、それじゃそこを襲って具体的にどういうことをしたいのかと。ただコンクリートの壁に爆薬を仕掛けるだけでは何の被害もないわけでありますし、それじゃ発送電を止めたいのか、あるいは放射能をまき散らすようなことまでやりたいのかということになりますと、その単発的なことをやったところで、日本に対してそれだけのテロでは余り大した実害もないんじゃないかと。そうしますと、襲う価値もないんじゃないかというような面で一つ一つ分析していきますと、そういうふうにも考えられるわけですけれども。
 アメリカの施設その他を研究されまして、有事立法につきましてもいろいろの御高見をお持ちの山中参考人に、そういう原子力施設がこの法案の対象としてどういう位置付けになるかということについてお聞かせいただきたいと思います。
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山中あき子#12
○参考人(山中あき子君) 日本への攻撃というのは二つあると思っております。
 一つは、全く外からの場合には、日本は海上をきちっと守るということと、あとミサイル、そういう形でしか例えば原子力発電所に対しては攻撃ができないわけですから、その点でいろいろな問題、臨海のいろんな問題ありますけれども、海のやっぱり警護というのは非常に大事であることと、やっぱりミサイルというものに対する考え方をきちっとしておくと。あとは、中から、じゃだれがその原子力発電所をターゲットにしてねらうかということに関しましては、国内でミサイルを発射するということはまず考えられませんので、それは警護をきちっとしておけばよろしいと思います。
 ただ、これは外からの攻撃ではなくて、どんな制度もどういう施設も一〇〇%常に安全であるというものはないわけですから、万が一のことを考えて、いざとなったときにどのようにその地域住民が安全に、放射線が出たときには外に出ない方がいいというのは、先ほどちょっと申し上げましたように、アメリカの場合には自宅に入っていく方がいいというその認定もあるでしょうし、そういった計測のやり方というのは日本は大変に科学技術進んでおりますから、それで住民の方が安心できるような形で信頼醸成をしておけばいいと思いますけれども、私はこの法案の中には、やはりそのテロと、それから外からの攻撃と、それから自然災害のほかに、必ずしも原子力発電所のみならず、大きな事故ということも入れて想定するというのが一つ考えられるのではないかというふうに思っております。
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松村龍二#13
○松村龍二君 原子力発電所でミサイルの問題があるんですが、発電機もコンクリートでまず守られている、またその外形も守られていると。一番真上から原子力の炉がねらわれた場合に真ん中へすぽんと入ってしまうというようなことが指摘されますけれども、そのような事故というのは余りちょっと考えにくい部分もありますし、日本のほかのところを襲わないで、そこの原子力発電所の上から真上を一つだけねらうということの軍事的意味といいましょうか、そしてそのことが近辺一帯に放射能をまき散らすようなものであれば被害は大きいと思いますが、そのような点でもどうなのかなというようなことで、いろいろこういう問題を考えていくときに具体的に緻密に問題を詰めていく必要があるなと。
 いわゆる今北朝鮮がノドン、テポドンを持って日本をどうだこうだと、こう言いますけれども、核を積んでいないノドンが飛んできても鉄の塊が落ちるだけですからまあ痛くもかゆくもない。真下にいたら、私が真下にいたらやられるでしょうけれども、そうでない限り痛くもかゆくもないと。こういうことで、しかも無尽蔵にあるものでないノドン、テポドンを、どこをねらうのかと。米軍の厚木、横須賀、沖縄というような軍事基地を襲う場合には北朝鮮としても価値があるでしょうけれども、ただ国会周辺に落ちてもまあ痛くもかゆくもないというような問題もあろうかと思うんで、非常に抽象的にぱっとすべて危険だというふうに考える嫌いが日本人の場合あると思いますので、その辺は具体的に詰めていく必要があるなというふうに思うわけでございます。
 第二問ですが、田中参考人にお伺いしますけれども、テロに対する国権の発動としての戦争をするということについての御説明があったわけで、九・一一以降そのような考えが許容されるというようなお話だったのかどうかですが、あのイラク、九・一一の後、あれも実際に持っていた武器というのはカッターナイフなんですね。長崎で使った、女児と同じものを使ってあの事件をやってしまったということで、それが今までの情報の集積で、アルカイダが世界じゅうにテロをやろうとしているというようなことの下にアフガニスタンに対して戦争を仕掛けたと。この後、イラクが大量破壊兵器と民主主義、独裁から民主主義を守るというようなことでやったんですが、大量破壊兵器がなかったということになると、アメリカのイラクに対する戦争のあれが、そういうテロに対して戦争を仕掛けることができるといった議論に対して疑いを持たせる面があるかと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
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西
西井正弘#14
○参考人(西井正弘君) ただいま御質問になられましたイラクに対する軍事行動の正当化の問題でございますが、その前に、先ほど御質問の中に、九・一一に対してアルカイーダに対する武力攻撃を軍事力によって対抗することが国際社会で許容されているというふうに先ほど私が申し上げましたことを再確認されていたと思うんですが、もちろんそれは現在の国際法学者の中でも認めていない方もおられます。
 それはただ、私自身の考えを申しますと、この二十一世紀になって国際社会というものがやっぱり大きく変わってきているというふうに思っています。もちろん本質的には国家が中心的な単位でありますので、その国家を基本としていることは変わりないのでありますが、特に情報がこれだけ行き来しておりますと、国境というものを簡単に越えることができる時代になっているわけです。そうなりますと、テロリストに対する対応でもいわゆる人とかそれからお金とか情報とか、そういったものをいかに規制するかということになりますと、従来の国家主権を単位として領域というものを中心とした管轄権だけで対応することは非常に難しい事態が起こってきていると思います。
 その一つの病的な現れと言っていいかと思いますが、それがテロ集団ではないかというふうに思います。もちろん、御承知のように、テロというのは古くから存在するものでありまして、そのこと自体は何も目新しくはないのでありますが、現在、テロのネットワークはやはり世界に広がっていると思います。
 で、イラクに対するアメリカの軍事行動の直接的なきっかけというのは、私もちょっと詳細を今記憶しておらないんですけれども、基本的にはイラクがテロのネットワークの中でそれに貢献をしている、ある意味では、悪い意味ですけれども、貢献をしているという認識は、九・一一の時点で既にアメリカは持っていたことは御承知のとおりであります。それに対して取った措置でありまして、大量破壊兵器の存在というのは一つの理由といいますか、武力攻撃の理由とはなっておりますけれども、それだけではないというふうに考えます。
 法的にそれをどう評価するかということですけれども、これも学説としてはいろいろ分かれているところでありまして、違法説ももちろんございますけれども、国際社会でやはり国内法と違いましてすべてが法によって規定されているわけではなくて、法が欠けている部分も現実にはあるというふうに言わざるを得ない。そうしますと、力の行使が、突き詰めて考えますと、若干の合法性に疑いがある場合が起こり得るというふうに私は考えております。
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松村龍二#15
○松村龍二君 三問目ですが、田中参考人にお伺いします。西井参考人にもお答えいただきたいんですが、時間がないんで田中参考人にだけお伺いします。
 この委員会において協議しております際に、御指摘のように、実際に戦争といいましょうか、攻められる、日本が攻められるということが考えられないのにいろいろなことを決めても、畳の上の水練といいましょうかね、大田議員は沖縄戦を経験された、また山本議員はさきの大戦を経験されたという観点から、実際の戦争というのはそんな生易しいものじゃないぞと、国民に対する協力とか、地域の知事へのいろいろな権限を持たしても、そんなことは正に戦争の最中になったらすべて無視されるようなものだという御指摘が度々、貴重なお話があったんですが。
 そういう意味において、さきの有事三法は必要があってあれした、これを完結するものとして国民保護法制、さらにまたそれをつじつまが合うようにいろいろな法案を作ったという点で、元々完璧ではないけれども基本的にそのようなことを合意しておくという、何もないよりはいいというような見方もあろうかと思うんですけれども、それについて、先ほどの田中参考人の説明とちょっと食い違うような御指摘になろうかと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
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田中隆#16
○参考人(田中隆君) お答えいたします。
 私自身は戦争を知らない世代でございますので、実際の戦争の実情を体験したことはありません。しかし、あの当時のあの状況を聞き、あるいはあの伝わる戦争を知れば、あの法制をどう作ったとしても、現実の戦争、まして本土で戦場が、戦場になる戦争になったら、また違った実態が起こってこないもの、だろうとは思います。その限りにおいて、国民保護法あるいはその前提の有事法制も、あの言わば蓋然性のない場面を想定して作っておこうと考えられたのかもしれないという気はいたします。
 ただ、繰り返しになりますが、事は戦争と平和、あるいは軍事にかかわる法制、まして国民保護法制の場合には、すべての自治体に対して計画を組み実効性をあらせようとすれば、図上演習をやり、実動訓練をやり、あるいは民間の方々の協力を得てと、こうなっていかざるを得ない。抽象的ですが、もしあったらどうするんだというふうに考えていけば、本当に地域ぐるみの準備をしておかなきゃ助からないよという話になります。
 まあお金の掛かるのもそうなんですが、そのことによって実は地域社会が変容していくことを私たちは懸念をしています。災害に対して万全な訓練するんなら反対しません。災害については、繰り返しますが、敵もいませんし、隣同士が協力し合えるんです。しかし、犯罪もそうですが、とりわけ戦争という事態というのは、想定する敵をどこかで頭の中に描かなければ訓練も組み立てられない。恐らく、先ほどから出ている北の方の国が危ないとか、あるいはイスラムがというような言葉が、公式に言われないにしても、地域でささやかれるだろうと思います。そのことがもたらす地域社会の変貌や、あるいは見えざる敵に対するおびえがかえって地域社会をおかしくし、前向きに地域社会を構築していくことを妨げるんではないかという気がしています。
 更に厳しく言えば、ひょっとしてそういうことを作りたいというお気持ちがあって、つまり臨戦態勢の社会を作りたいためにこの国民保護法を作るのであれば、これはおやめいただいた方がよろしいというのが私の、私の意見です。
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松村龍二#17
○松村龍二君 浜谷参考人に一言お伺いしますが、指定公共機関ですね、民間放送に対して拘束が甘い、あるいは国民の必要な協力というものが何か生ぬるい形で決められたと。これにつきましても、私も、第二次世界大戦にいかに大本営発表が国民を間違った方向へ引っ張っていったかという点において、余り強力に一本化することは危険だなというふうな認識を持っておったわけですけれども、そのようなことで取りあえずこのような法制にしたのかなと。国民の協力といっても、理想を言えばしっかりした義務が必要かと思いますが、そういうふうに理解するわけですが、一言コメントをお願いします。
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浜谷英博#18
○参考人(浜谷英博君) 私が考えるのは、いわゆる例えば何か危ないことが実際には起こりそうであるとか、それからここにこういう危険な存在があるとかというその以前の問題で、いわゆる国そのものが一つの独立国としてあるべき姿は何かということを考えたときに、そういう国民の生命、財産を脅かすもの、あらゆるものに対する保護政策を取らない国家なんというのは国家じゃないということが基本的な私の視点でありますから、その例えば一部門がこれだというだけの話で、これに特化するようなことはあり得ないわけであります。
 したがって、そういう意味で、どういう場合にも言わば国民の生命、財産を保護して、どういう場合にも国の独立が守られるというような体制のためには何が必要かと。それが具体的なそういう危険なものがあったらなおさらそれが必要だというだけの話であって、それがないから必要でないということにはならないと。これが率直な感想であります。
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松村龍二#19
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
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森ゆうこ#20
○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。四人の参考人の先生方には、本日は大変貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございます。
 まず、一番私が聞きたいところに入る前に、少し枝葉末節という感じかもしれませんが、先日、本当は大臣に質問したかったんですが時間がありませんでしたので、一問だけ松谷先生と山中先生の御見解を伺いたいと思うんですが、まず日米協力の在り方につきまして、今回のACSA協定の改正により日米の物品役務の融通について決済手続が整うこととなりますけれども、テロ特措法に基づくアフガニスタンにおける自衛隊の給油活動についても、これまではガソリンスタンドというふうなやゆもあったわけでございます。これは無償の提供にとどまってきたわけですが、今回のACSAの締結によって日本が提供した油の対価に当たるものについても米国から返済を受けることが制度上可能となったわけですが、日本としてはどのように対応するのが適当とお考えか。
 成熟した大人の日米関係であれば、米国に対して油の返済を求めていくことが適当なのではないかと思います。むしろ、日本としての国際的なテロ対策への貢献が、そのような無償のガソリンスタンドというような役割が主なものであり、そもそもこのような形での提供自体に意味があるのかという疑問もございますので、この点について御見解を伺いたいと思います。
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清水達雄#21
○委員長(清水達雄君) 浜谷参考人ですか。
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森ゆうこ#22
○森ゆうこ君 はい、そうです。
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浜谷英博#23
○参考人(浜谷英博君) ACSAにつきましては、これは一番最初のいわゆる有事ACSAと言われるものの前のACSAの段階から、いわゆるこれは相互にそれを決済するというのが基本的な建前でございますから、それは、対等な独立国としてあるべき姿ということを考えますと、当然それはあり得ることだろうというふうに思います。
 ただ、要するに、あとは、法的にはそうでありますから、あとは政治的な配慮の問題で、それを今回はどういう形の決済にするかという、そういう柔軟性はあってもいいかと思いますが、基本原則はその最初のACSAに書かれた相互にそれを決済するということが原則だろうと思います。
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山中あき子#24
○参考人(山中あき子君) 今、浜谷委員がおっしゃったところと見解はほとんど一致しているところでございます。そういう協定をしたわけですから、協定に沿って動いていくというのがそれぞれの国の責務だろうと思いますし、ただその柔軟性の面で、運用の柔軟性の面で、油であったら油で返すのか、油であるけれども別のもので返すのか、まあ代金にするのか、そういったことというのは弾力性のうちの一つであるというふうに考えますけれども、協定を結んだからには一応協定をきちんと遵守するという姿勢でいかないと、法治国家がなかなか機能しなくなるというふうに思っております。
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森ゆうこ#25
○森ゆうこ君 私が今、今回のこの法整備の中で国民保護法制につきまして一番問題意識を持っておりますのは、先ほど先生方からも御指摘がありました国民の協力についての位置付けでございます。やはり、あらゆる非常事態に対して、それは国がもちろん国家としてやるべきこと、そしてそれに対して、国民が今回は協力という形にとどまっているわけですけれども、国民の主体的な活動というものがなければそういうものに対処することはできないということでございまして、既に、先ほども言及されました現在の災害関係法令においても、災害の現場にある者に対して消火活動や救援活動に従事させたりする例がきちんとあるわけですね。
 そういう意味におきまして、国民の協力という、国民の役割について今回の法案の中では、国民の協力としているのは、本来自分の問題として主体的に活動するのではなく、いつまでも他人の問題に対して援助するという印象を国民に与えるのではないかというふうに思っております。つまり、あくまでも、いつまで、あくまでもというかいつまでも国民が客体として位置付けられているような印象があります。
 この点についてはもちろん与野党を問わず様々な意見があるというのは承知しておりますが、先日の質問の中でもちょっと引用しました、先ほどの先生方の意見陳述の中にもありました、国民の権利の裏側にある義務という形での位置付けが上手にできないものか、国家権力に対する個人の私権というようなことではなくて、自立した国民の当然の果たすべき義務というような形で、もっと、国民がこの法律の成立後、自分たちがやるべきことということをきちんと認識できるようにするにはどのようにしたらいいかと。例えば、こういう言葉を法文の中に入れたらいいのではないかというような点ももしありましたら是非伺いたいと思いますが、これに関しては、浜谷先生、そして山中先生、西井先生の御意見を賜りたいと思います。
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浜谷英博#26
○参考人(浜谷英博君) 私が先ほど国民の協力について申し上げましたのは、何か国民の協力、国民が協力するということは、何か他人に対して自分が犠牲になって、そしてそういう活動をしなければならない、それ自身が義務付けられるということについて意識がちょっと違うんじゃなかろうかということを申し上げたんですね。結局、例えば国や地方公共団体は国民を守るべき存在、国民は守られるべき存在というような、言わばステレオタイプ的な発想で果たしていいのかということなんですね。
 じゃ、国家というものが生きているか、地方公共団体というのは息を吸っているか、これは自然人ではありませんから、そうではありません。そうすると、国が守る、地方公共団体が守るといっても、これを守るのは人間であります。この人たちはみんな国民なんですね。そうすると、考えるべきことは、守るはずのものも国民、守られべき、守られるべきものも実は国民なんですね。お互いにそういう自覚があって初めてそういう保護政策や、そういう防衛政策というのは成り立つわけであって、それを考えますと、それを考えますと、先ほどのようなステレオタイプで考えるのは果たしていかがなものかという、そういう感想を持ったということであります。
 いわゆる、それがどっかから抜け落ちてしまっているものですから、何か自分に一方的なそういう義務だけが来る、そういう滅私奉公的なそういう発想ではないということを言わば御承知いただければというふうに考えております。
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山中あき子#27
○参考人(山中あき子君) 最近、様々な事件が起こっております。これは有事などというものではなくて、日常の生活の中の事故や、それから殺人や、こういうものを全部考えてみますと、民主主義、自由主義というものに対しては、自由を得る代わりに責務があると、責任があると、ここのところの教育が本当にきちんと国民に徹底できたのかどうか、この辺を私たちはこの過去五十年の中で、もう一度本物の民主主義、本物の自由主義国家になるために、言わばさなぎが脱皮すると、そういう時期に来ていると思うんです。
 そういう意味で、先ほど私ははっきりと権利と義務ということを申し上げて、スイスの例も申し上げましたけれども、やはりそれは、一つの面では法的にきちっと決めるということ、もう一つの面では意識をどういうふうに醸成していくかと、この二点の面で、そこにきちんと留意をするということは今回のような基本法を作るときには非常に大事だというふうに思っております。
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西
西井正弘#28
○参考人(西井正弘君) 先生御承知のように、当然、義務という問題が出てまいりますと、一体その義務を果たさなかった場合はどういう制裁が科されるかという問題が出てくるんじゃないかと思うんですが、ただ、同じ義務といいましても、やっぱり段階が当然あるかと思います。例えば、協力義務というような非常に中間的なタイプの義務の課し方もあるわけでありまして、それに違反したからといって何ら罰則がないというものも当然考えられるとは思います。
 ただし、私は、この国民保護法制、国民保護法案等では、そこまで義務付けなければ本当にいざというときに人々が協力しないだろうかというふうに考えますと、必ずしもそれほど我が国の国民は冷たいものではないんじゃないかというふうに思っておりますので、先ほども自由と責任ということを山中参考人がおっしゃいましたけれども、責任があるとか責務であるとかというような表現でもそれは適当なのではないかというふうに私個人は考えております。
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森ゆうこ#29
○森ゆうこ君 続いて、今回のこの法案でいかに非常事態に機能し得るかということで、それぞれの先生方からいろんな問題点、指摘がありました。
 特定の公共施設の利用法案について、浜谷参考人、そして山中参考人、両先生に伺いたいと思うんですけれども、この法案について、これまでの審議でなかなか触れる時間がなかったと思うんですが、現実にこのスキームで果たして機能するかということがやはり問題だと思っております。
 この法案では、飛行場や空域の利用調整に関して内閣総理大臣である対策本部長が利用指針を定めるということになっているわけですけれども、このような内閣総理大臣が定めるような概括的な利用指針というものでその対処の現場において果たして機能するので、機能するかどうか、どのようにお考えでしょうか。両先生の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
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