国家安全保障に関する特別委員会
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会
会議録情報#0
平成二十五年十月三十一日(木曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 額賀福志郎君
理事 今津 寛君 理事 岩屋 毅君
理事 城内 実君 理事 左藤 章君
理事 中谷 元君 理事 大島 敦君
理事 藤井 孝男君 理事 上田 勇君
池田 道孝君 大塚 拓君
大野敬太郎君 小池百合子君
小林 鷹之君 鈴木 馨祐君
薗浦健太郎君 津島 淳君
辻 清人君 寺田 稔君
中谷 真一君 中山 泰秀君
西銘恒三郎君 野中 厚君
橋本 岳君 星野 剛士君
牧島かれん君 町村 信孝君
松本 洋平君 山際大志郎君
近藤 昭一君 近藤 洋介君
辻元 清美君 長島 昭久君
渡辺 周君 今村 洋史君
丸山 穂高君 山田 宏君
大口 善徳君 濱村 進君
畠中 光成君 山内 康一君
赤嶺 政賢君 玉城デニー君
…………………………………
参考人
(立命館大学客員教授) 宮家 邦彦君
参考人
(NPO国際地政学研究所理事長) 柳澤 協二君
参考人
(双日総合研究所上席客員研究員) 永岩 俊道君
参考人
(慶應義塾大学法学部教授) 細谷 雄一君
衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長 室井 純子君
—————————————
委員の異動
十月三十一日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 小林 鷹之君
近藤 昭一君 辻元 清美君
遠山 清彦君 濱村 進君
畠中 光成君 山内 康一君
同日
辞任 補欠選任
小林 鷹之君 牧島かれん君
辻元 清美君 近藤 昭一君
濱村 進君 遠山 清彦君
山内 康一君 畠中 光成君
—————————————
本日の会議に付した案件
安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七五号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時二分開議
出席委員
委員長 額賀福志郎君
理事 今津 寛君 理事 岩屋 毅君
理事 城内 実君 理事 左藤 章君
理事 中谷 元君 理事 大島 敦君
理事 藤井 孝男君 理事 上田 勇君
池田 道孝君 大塚 拓君
大野敬太郎君 小池百合子君
小林 鷹之君 鈴木 馨祐君
薗浦健太郎君 津島 淳君
辻 清人君 寺田 稔君
中谷 真一君 中山 泰秀君
西銘恒三郎君 野中 厚君
橋本 岳君 星野 剛士君
牧島かれん君 町村 信孝君
松本 洋平君 山際大志郎君
近藤 昭一君 近藤 洋介君
辻元 清美君 長島 昭久君
渡辺 周君 今村 洋史君
丸山 穂高君 山田 宏君
大口 善徳君 濱村 進君
畠中 光成君 山内 康一君
赤嶺 政賢君 玉城デニー君
…………………………………
参考人
(立命館大学客員教授) 宮家 邦彦君
参考人
(NPO国際地政学研究所理事長) 柳澤 協二君
参考人
(双日総合研究所上席客員研究員) 永岩 俊道君
参考人
(慶應義塾大学法学部教授) 細谷 雄一君
衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長 室井 純子君
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委員の異動
十月三十一日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 小林 鷹之君
近藤 昭一君 辻元 清美君
遠山 清彦君 濱村 進君
畠中 光成君 山内 康一君
同日
辞任 補欠選任
小林 鷹之君 牧島かれん君
辻元 清美君 近藤 昭一君
濱村 進君 遠山 清彦君
山内 康一君 畠中 光成君
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本日の会議に付した案件
安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七五号)
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額
額賀福志郎#1
○額賀委員長 これより会議を開きます。
第百八十三回国会、内閣提出、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、立命館大学客員教授宮家邦彦君、NPO国際地政学研究所理事長柳澤協二君、双日総合研究所上席客員研究員永岩俊道君、慶應義塾大学法学部教授細谷雄一君、以上の四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、心からありがとうございます。参考人各位には、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、よろしくお願い申し上げます。
議事の順序につきまして御説明を申し上げます。
まず、参考人からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますけれども、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。
それでは、まず宮家参考人にお願いをいたします。
この発言だけを見る →第百八十三回国会、内閣提出、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、立命館大学客員教授宮家邦彦君、NPO国際地政学研究所理事長柳澤協二君、双日総合研究所上席客員研究員永岩俊道君、慶應義塾大学法学部教授細谷雄一君、以上の四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、心からありがとうございます。参考人各位には、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、よろしくお願い申し上げます。
議事の順序につきまして御説明を申し上げます。
まず、参考人からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますけれども、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。
それでは、まず宮家参考人にお願いをいたします。
宮
宮家邦彦#2
○宮家参考人 おはようございます。宮家邦彦でございます。
本日は、NSCの設置法につきまして、私の立場からお話を差し上げます。個人の立場として、個人的には非常にいい法案ができたと思っておりますが、この内容それから意義については、過去、もう既に委員会でもいろいろ議論をされておられますので、私は、それを繰り返すことなく、私の個人の立場でどのように感じているか、そして、どのような問題点があり得るかということを十五分程度でお話しさせていただきます。
まず、必要性なんですけれども、どこまでしゃべっていいかはわかりませんが、私が少なくとも一九九八年に日米安保条約課長であったころの話と、それから現在、この法案ができた後のことを考えると、やはり隔世の感があると私は思っております。
昔は、こんなことを言っていいのか本当にわかりませんが、信じられないことが起きていて、防衛省は防衛省で政策をつくる、外務省は外務省で政策をつくる。防衛、外交もしくは安全保障問題、それについて、個別に、総理、官房長官に上げていくケースがある。もちろん一緒になったこともありますけれども、ばらばらのケースが多かった。それはそれでいいのかもしれませんけれども、大きな問題点があります。それは、もし話の内容が同じであれば、どっちかは不要でございます、時間がもったいないですから。もし両者が違えば、これは大問題であります。
つまり、防衛政策それから外交政策というものが、事前にちゃんと連絡をとって連携をする、その上で総理に一本化して上げていくということが、実は必ずしも十分確保されていなかったわけであります。
現在、東アジア地域では巨大なパワーシフトが起きております。我々はこのパワーシフトを生き延びなきゃいけないわけであります。
冷戦時代は確かに不安定な時期だったかもしれませんが、今に比べればはるかに安定しておりました。しかし、最近は特にそうですけれども、不測の事態がいつ起きるかわからないような状態にある。昔のように、のんびりとばらばらに省庁が官邸に入ってきては、それを総理、官房長官に御説明し、そして了承を得るというような時代ではもうないんじゃないかと私は思います。
その意味で、もしこの法案ができるということになれば、恐らく日本で初めて制度的に、外交政策そして防衛政策、この重要なものについて、つまり国家安全保障問題について重要と思われる事項について、組織的に連携、調整が行われた形で政治レベルの意思決定ができるシステムができ上がるという、これは本当に一昔前であれば信じられないことが起きようとしている。これは非常に重要なことだと思っています。
特にここで御指摘申し上げたいのは、常駐のスタッフができるということであります。
今までは、どちらかというと、何か事件が起きる、そしてその対応をその場で考える、十分な事前の準備もしないまま、もしくは、していても必ずしも関係省庁と連携をとらないままに事態が起きていく。しかしながら、現在は、常駐スタッフができ上がりそうであります。それが定期的な議論をし、そしてあらかじめ幾つかの政策オプションというものを考え、そして場合によってはリハーサルもして準備をしておく。これは極めて重要なことであります。
なぜ重要かというと、決定が早くなるからであります。もちろん、何時間も何十時間も何日もかけて決定をすることは今のシステムでもできるでしょう。しかし、何十時間も待ってくれないのです。事態というのは本当に時間がないのであります。
私も、幸い、現役でありましたときにはそういう事態には必ずしも遭遇いたしませんでしたが、私は、アラビア語でありまして、中東のことはある程度知っております。中東の地域のことが、もし同じようなことが日本で起きたとしたら、そんなに時間はないのです。場合によっては数時間で、そして、もしミサイルが飛んでくれば十分で物事を決めなきゃいけないわけであります。そのときに今のシステムで本当に決められるんだろうか、実は非常に不安がありました。
それを、恐らく、今回この法案が通ることによって、相当程度改善されることが期待されるわけであります。やはり、迅速な決定をして、そして機動性を持った政策決定をする、これが私は重要だと思います。
このNSC、もしくはこれに似たようなシステムというのは主要国どこも持っております。むしろ、逆に日本だけがないのであります。やはりこのようなことが続くということはもう考えられない。特に最近の東アジアの情勢に鑑みれば、こういうシステムが必要である、当然であろうと思います。
これに反対される方がいらっしゃるとは私は個人的には思っておりません。もちろん、内容的にいろいろ御意見がある方はあると思います。私も、幾つか注意しなければいけないと思う点がありますので、それを少し御紹介したいと思います。
まず最初に、屋上屋を架するのではないかという議論があります。しかし、屋上屋というのは屋根の上に屋根を建てることでございますが、もともと屋根が一つないのであります。屋根のないところに屋上屋は架せないのであります。
今は、危機管理について屋根があります。しかし、国家安全保障問題については屋根がないのです。屋根がないから各省庁が直接上に上がっていく。そこで連携ができないわけでありますから、屋上屋を架するのではなくて、もう一つの屋根をつくるのであります。それを屋上屋というふうな形で表現するのは、私は違和感がございます。
しかし、NSCがもしできた場合に、危機管理監との関係もしくは危機管理の活動との関係というのが当然問題になると思います。この件についても、私も随分考えておりますが、今回提出された法案を見ておりますと、そこそこのバランスのとれた解決をされているなという気がいたします。
その理由は、全ての世の中の事象というのは、全てを危機管理監が処理できるわけでもありません。それから同時に、全てをNSCの局長が処理できるわけではありません。危機管理と国家安全保障問題というのは同一ではありません。
例えば、例を一つ差し上げましょう。この間、一月でありますが、アルジェリアにおいて、邦人保護の案件で、多くの企業戦士の方が亡くなった、とうとい命を失われた。これは邦人保護の世界でございます。これは基本的に、問題が生じ、損害が生じ、その損害をどのようにして最小限に食いとめるか、もしくは事前に予防するかも含めて、危機管理の問題だと思っています。
危機管理、すなわち一種のダメージコントロール、言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そのような形で専門の部署を置いて、そして二十四時間対応できる職人芸の世界、これが私の考える危機管理でございます。
それに対して、国家安全保障問題というのは政策の企画立案、実行であります。もちろん、NSCの局長もしくは事務局というのはあくまで総理の諮問機関ということではございましょうが、実質的には、先ほど申し上げたように、関係省庁の政策というものを連携をとった上で総理に上げる機能でありますから、そこは、政策をつくる、そして実行する。
このNSCとそれから危機管理というのは、実は相互排他的なものではありません。場合によっては、両方の問題が同じときに起きることがあり得ます。
先ほどはアルジェリアの例を差し上げましたけれども、例えば湾岸戦争なんかは国家安全保障問題だと思います。
では、例えば朝鮮半島で何かが起きたとしましょう。そのときには、もし有事の動きになった場合には、これは当然国家安全保障問題になりますけれども、同時に、例えばソウルに何万人もの日本の方がおられる、この方々の避難もしくは帰国等の問題、これは危機管理として処理をできると思います。
すなわち、危機管理監と国家安全保障局長というのは、相互乗り入れが可能な、協力し合う関係にあるべきだと思っております。
その意味で、今回書かれております法案には、そこまで詳しくは書いておられませんけれども、そのような意図が感じられており、これは両者をうまくバランスをとったいいシステムであろうと私は思っております。相互乗り入れをし、もちろん独立して、並立しながらも相互で協力し合う、こういうシステムができ上がることを私は望んでおります。
三番目に、よく言われますのは、情報の集約という言葉でございます。
情報につきましても実はいろいろ誤解がございまして、NSCというのは決して情報機関ではないのです。
情報機関というのは、種々雑多な情報を集め、それをプロによって分析し、そして最終的に、これなら正しいだろうというプロダクトをつくる作業であります。その情報機関の作業というのは、実は政策立案ではございません。政策立案を支援する役割はあっても、決して情報機関は政策を提言するものではございません。
それに対して、NSCというのは政策をつくる場でございます。したがって、NSCが、新しい国際情勢に対応するために、新しい政策をつくるために、当然必要な情報というものを情報機関もしくは関係省庁から入手して、それを消費するというのがNSCだと思います。
したがいまして、NSCができたから情報が集約されるとかそういう議論ではなくて、やはり政策を語るNSCと、政策を語らない、しかしそれを支援する情報機関という、デマーケーションといいますか、すみ分け、これが必要だと思っております。
そういうふうな形でNSCを見ていけば、必ずしも今のシステムがおかしくなるということはないと思っておりますので、このような形で進めていっていいのではないかと思います。
特に、もし、もう少しお時間をいただければ、実際にどのような形で情報が使われるかということを再現したいと思います。
例えば、私がもしNSCにいるとします。そして、私は中東屋ですから、中東で何か事件が起きるとします。これはもう一刻を争う話になりますので、当然のことながら、情報機関から情報は直接間接に担当官のところに参ります。それをうまく使いながら、実際にやるのは政策の立案そして実行でございます。この接点にいるのが担当官でございますから、その担当官が使いやすい、仕事をしやすい、そして、短時間の間にできるだけ多くの情報を処理しながら間違いのない政策立案ができるようにシステムがつくられていけばいいなというふうに思いました。
そして、最後でありますが、このNSCもしくは国家安全保障会議について、誰がそれを代表するのかという議論もあり得るわけであります。これも、きのう、過去数日間、いろいろ議論をされておると思います。私の意見だけ申し上げて、お話を締めさせていただきたいと思います。
確かに、NSCというのは、日本のこの法案であれば、事務局があり、その上に局長がいて、それは内閣官房に置かれます。他方、それとは別に、総理補佐官が専任で置かれるということでございましょう。機能について申し上げれば、総理補佐官はまさに総理を補佐する、助言する立場であられると思います。それに対して、諮問機関ではありますけれども、NSCの局長というのはラインに入っておられるということでありましょう。
そういうことであれば、基本的には、やはりラインにいる国家安全保障局長が、諸外国のNSCの例えば補佐官であるとか、もしくはその種のトップと連絡をとり合うというのが普通であろうと思っております。ただし、それは、総理補佐官が何もしないでいいということでは必ずしもなくて、そこは、総理の補佐をする一環として、NSCの局長とも連携をとりながら分業をするということは十分考えられると思います。
最後になりましたけれども、この法案ができることは、私にとっては、日米安保を十年やらせていただきましたけれども、隔世の感がある極めて重要な法案であると同時に、これは間違いなく、日本がこれから十年、二十年、東アジアで起きているパワーシフトを生き延びるために絶対必要なシステムの一部だと思っております。これだけでもちろん日本が強力な国になるとは思いません。これに、秘密保護、それから国家戦略をつくる、いろいろなことの組み合わせで、日本が生き残るすべを整備していくことが必要だと思っております。
時間となりましたので、私の話はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、NSCの設置法につきまして、私の立場からお話を差し上げます。個人の立場として、個人的には非常にいい法案ができたと思っておりますが、この内容それから意義については、過去、もう既に委員会でもいろいろ議論をされておられますので、私は、それを繰り返すことなく、私の個人の立場でどのように感じているか、そして、どのような問題点があり得るかということを十五分程度でお話しさせていただきます。
まず、必要性なんですけれども、どこまでしゃべっていいかはわかりませんが、私が少なくとも一九九八年に日米安保条約課長であったころの話と、それから現在、この法案ができた後のことを考えると、やはり隔世の感があると私は思っております。
昔は、こんなことを言っていいのか本当にわかりませんが、信じられないことが起きていて、防衛省は防衛省で政策をつくる、外務省は外務省で政策をつくる。防衛、外交もしくは安全保障問題、それについて、個別に、総理、官房長官に上げていくケースがある。もちろん一緒になったこともありますけれども、ばらばらのケースが多かった。それはそれでいいのかもしれませんけれども、大きな問題点があります。それは、もし話の内容が同じであれば、どっちかは不要でございます、時間がもったいないですから。もし両者が違えば、これは大問題であります。
つまり、防衛政策それから外交政策というものが、事前にちゃんと連絡をとって連携をする、その上で総理に一本化して上げていくということが、実は必ずしも十分確保されていなかったわけであります。
現在、東アジア地域では巨大なパワーシフトが起きております。我々はこのパワーシフトを生き延びなきゃいけないわけであります。
冷戦時代は確かに不安定な時期だったかもしれませんが、今に比べればはるかに安定しておりました。しかし、最近は特にそうですけれども、不測の事態がいつ起きるかわからないような状態にある。昔のように、のんびりとばらばらに省庁が官邸に入ってきては、それを総理、官房長官に御説明し、そして了承を得るというような時代ではもうないんじゃないかと私は思います。
その意味で、もしこの法案ができるということになれば、恐らく日本で初めて制度的に、外交政策そして防衛政策、この重要なものについて、つまり国家安全保障問題について重要と思われる事項について、組織的に連携、調整が行われた形で政治レベルの意思決定ができるシステムができ上がるという、これは本当に一昔前であれば信じられないことが起きようとしている。これは非常に重要なことだと思っています。
特にここで御指摘申し上げたいのは、常駐のスタッフができるということであります。
今までは、どちらかというと、何か事件が起きる、そしてその対応をその場で考える、十分な事前の準備もしないまま、もしくは、していても必ずしも関係省庁と連携をとらないままに事態が起きていく。しかしながら、現在は、常駐スタッフができ上がりそうであります。それが定期的な議論をし、そしてあらかじめ幾つかの政策オプションというものを考え、そして場合によってはリハーサルもして準備をしておく。これは極めて重要なことであります。
なぜ重要かというと、決定が早くなるからであります。もちろん、何時間も何十時間も何日もかけて決定をすることは今のシステムでもできるでしょう。しかし、何十時間も待ってくれないのです。事態というのは本当に時間がないのであります。
私も、幸い、現役でありましたときにはそういう事態には必ずしも遭遇いたしませんでしたが、私は、アラビア語でありまして、中東のことはある程度知っております。中東の地域のことが、もし同じようなことが日本で起きたとしたら、そんなに時間はないのです。場合によっては数時間で、そして、もしミサイルが飛んでくれば十分で物事を決めなきゃいけないわけであります。そのときに今のシステムで本当に決められるんだろうか、実は非常に不安がありました。
それを、恐らく、今回この法案が通ることによって、相当程度改善されることが期待されるわけであります。やはり、迅速な決定をして、そして機動性を持った政策決定をする、これが私は重要だと思います。
このNSC、もしくはこれに似たようなシステムというのは主要国どこも持っております。むしろ、逆に日本だけがないのであります。やはりこのようなことが続くということはもう考えられない。特に最近の東アジアの情勢に鑑みれば、こういうシステムが必要である、当然であろうと思います。
これに反対される方がいらっしゃるとは私は個人的には思っておりません。もちろん、内容的にいろいろ御意見がある方はあると思います。私も、幾つか注意しなければいけないと思う点がありますので、それを少し御紹介したいと思います。
まず最初に、屋上屋を架するのではないかという議論があります。しかし、屋上屋というのは屋根の上に屋根を建てることでございますが、もともと屋根が一つないのであります。屋根のないところに屋上屋は架せないのであります。
今は、危機管理について屋根があります。しかし、国家安全保障問題については屋根がないのです。屋根がないから各省庁が直接上に上がっていく。そこで連携ができないわけでありますから、屋上屋を架するのではなくて、もう一つの屋根をつくるのであります。それを屋上屋というふうな形で表現するのは、私は違和感がございます。
しかし、NSCがもしできた場合に、危機管理監との関係もしくは危機管理の活動との関係というのが当然問題になると思います。この件についても、私も随分考えておりますが、今回提出された法案を見ておりますと、そこそこのバランスのとれた解決をされているなという気がいたします。
その理由は、全ての世の中の事象というのは、全てを危機管理監が処理できるわけでもありません。それから同時に、全てをNSCの局長が処理できるわけではありません。危機管理と国家安全保障問題というのは同一ではありません。
例えば、例を一つ差し上げましょう。この間、一月でありますが、アルジェリアにおいて、邦人保護の案件で、多くの企業戦士の方が亡くなった、とうとい命を失われた。これは邦人保護の世界でございます。これは基本的に、問題が生じ、損害が生じ、その損害をどのようにして最小限に食いとめるか、もしくは事前に予防するかも含めて、危機管理の問題だと思っています。
危機管理、すなわち一種のダメージコントロール、言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そのような形で専門の部署を置いて、そして二十四時間対応できる職人芸の世界、これが私の考える危機管理でございます。
それに対して、国家安全保障問題というのは政策の企画立案、実行であります。もちろん、NSCの局長もしくは事務局というのはあくまで総理の諮問機関ということではございましょうが、実質的には、先ほど申し上げたように、関係省庁の政策というものを連携をとった上で総理に上げる機能でありますから、そこは、政策をつくる、そして実行する。
このNSCとそれから危機管理というのは、実は相互排他的なものではありません。場合によっては、両方の問題が同じときに起きることがあり得ます。
先ほどはアルジェリアの例を差し上げましたけれども、例えば湾岸戦争なんかは国家安全保障問題だと思います。
では、例えば朝鮮半島で何かが起きたとしましょう。そのときには、もし有事の動きになった場合には、これは当然国家安全保障問題になりますけれども、同時に、例えばソウルに何万人もの日本の方がおられる、この方々の避難もしくは帰国等の問題、これは危機管理として処理をできると思います。
すなわち、危機管理監と国家安全保障局長というのは、相互乗り入れが可能な、協力し合う関係にあるべきだと思っております。
その意味で、今回書かれております法案には、そこまで詳しくは書いておられませんけれども、そのような意図が感じられており、これは両者をうまくバランスをとったいいシステムであろうと私は思っております。相互乗り入れをし、もちろん独立して、並立しながらも相互で協力し合う、こういうシステムができ上がることを私は望んでおります。
三番目に、よく言われますのは、情報の集約という言葉でございます。
情報につきましても実はいろいろ誤解がございまして、NSCというのは決して情報機関ではないのです。
情報機関というのは、種々雑多な情報を集め、それをプロによって分析し、そして最終的に、これなら正しいだろうというプロダクトをつくる作業であります。その情報機関の作業というのは、実は政策立案ではございません。政策立案を支援する役割はあっても、決して情報機関は政策を提言するものではございません。
それに対して、NSCというのは政策をつくる場でございます。したがって、NSCが、新しい国際情勢に対応するために、新しい政策をつくるために、当然必要な情報というものを情報機関もしくは関係省庁から入手して、それを消費するというのがNSCだと思います。
したがいまして、NSCができたから情報が集約されるとかそういう議論ではなくて、やはり政策を語るNSCと、政策を語らない、しかしそれを支援する情報機関という、デマーケーションといいますか、すみ分け、これが必要だと思っております。
そういうふうな形でNSCを見ていけば、必ずしも今のシステムがおかしくなるということはないと思っておりますので、このような形で進めていっていいのではないかと思います。
特に、もし、もう少しお時間をいただければ、実際にどのような形で情報が使われるかということを再現したいと思います。
例えば、私がもしNSCにいるとします。そして、私は中東屋ですから、中東で何か事件が起きるとします。これはもう一刻を争う話になりますので、当然のことながら、情報機関から情報は直接間接に担当官のところに参ります。それをうまく使いながら、実際にやるのは政策の立案そして実行でございます。この接点にいるのが担当官でございますから、その担当官が使いやすい、仕事をしやすい、そして、短時間の間にできるだけ多くの情報を処理しながら間違いのない政策立案ができるようにシステムがつくられていけばいいなというふうに思いました。
そして、最後でありますが、このNSCもしくは国家安全保障会議について、誰がそれを代表するのかという議論もあり得るわけであります。これも、きのう、過去数日間、いろいろ議論をされておると思います。私の意見だけ申し上げて、お話を締めさせていただきたいと思います。
確かに、NSCというのは、日本のこの法案であれば、事務局があり、その上に局長がいて、それは内閣官房に置かれます。他方、それとは別に、総理補佐官が専任で置かれるということでございましょう。機能について申し上げれば、総理補佐官はまさに総理を補佐する、助言する立場であられると思います。それに対して、諮問機関ではありますけれども、NSCの局長というのはラインに入っておられるということでありましょう。
そういうことであれば、基本的には、やはりラインにいる国家安全保障局長が、諸外国のNSCの例えば補佐官であるとか、もしくはその種のトップと連絡をとり合うというのが普通であろうと思っております。ただし、それは、総理補佐官が何もしないでいいということでは必ずしもなくて、そこは、総理の補佐をする一環として、NSCの局長とも連携をとりながら分業をするということは十分考えられると思います。
最後になりましたけれども、この法案ができることは、私にとっては、日米安保を十年やらせていただきましたけれども、隔世の感がある極めて重要な法案であると同時に、これは間違いなく、日本がこれから十年、二十年、東アジアで起きているパワーシフトを生き延びるために絶対必要なシステムの一部だと思っております。これだけでもちろん日本が強力な国になるとは思いません。これに、秘密保護、それから国家戦略をつくる、いろいろなことの組み合わせで、日本が生き残るすべを整備していくことが必要だと思っております。
時間となりましたので、私の話はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。拍手
額
柳
柳澤協二#4
○柳澤参考人 おはようございます。
私は、退職させていただいてもう四年になりますが、防衛省は当時防衛庁でございましたけれども、防衛庁で運用局長とか情報本部の仕事もさせていただき、あるいは官邸で五年半近く安全保障、危機管理の担当をやらせていただきました。きょうは、当時の上司も何人かお見えになっておりますけれども、その私の実務的な経験を踏まえて、この法案についての私の若干のコメントを述べさせていただきたいと思っております。
まず、危機対応ということに関して言いますと、私も、官邸におりますときに、北朝鮮の核実験、ミサイル発射の問題、あるいは、当時イラクに自衛隊がおりましたから、イラクの治安情勢の悪化の中でいろいろな事件が起きておりまして、そういったことへの対応に追われる毎日でございました。ただ、緊急事態の対処については、私がいた時代には、基本的には、各省の緊急参集チームの制度でありますとか、緊急閣僚会議の訓練もやっていただいたこともありますし、かなり整備されていた状況だったと思います。
一つのポイントは情報集約でございますが、これも、私は基本的に、情報屋もやらせていただいた経験からいいますと、情報というのは横着して待っていても来るものではないのでありますから、内閣情報会議の下部機関でございます合同情報会議を頻繁に事務副長官のもとで開催しておりましたし、そこで各省の局長や内閣情報調査室とも絶えず意見交換もしておりましたし、また、いろいろな事態があるたびに、こちらから言わなくても内調の方から、こういう情報があるよというようなことを言っていただくとか、非常にそこの関係はスムーズにいっていたなというふうに思っております。
問題は、やはりそこで政策側の人間と情報側の人間が問題意識をしっかり共有できていること、信頼関係があることが一番のポイントだろうと思っておりました。
そういう危機というのは、なぜ危機かといいますと、基本的には情報が不足しているから危機なんだと私は思います。特に、情報が足りないだけじゃなくて、矛盾した情報が入ってくるということも実際に経験したことがございます。これはもうどんな情報機関が頑張っても避けられない宿命とも言えるわけでありまして、そういう中で、まあ、情報のせいにはできません、私自身の対応のまずさもあって失敗した例も幾つか正直ございました。ただ、それはその都度その原因を分析して、次に同じような失敗が起こらないような改善措置はとられてこられたのではないかというふうに思っております。
やはり、もちろん、制度をつくっていくということも、私は別にそのこと自体に反対するものではございませんけれども、制度の本質というのは、制度そのものというよりは、いかにそういった情報がきちんと伝わり、そして、これは難しいことですが、判断ができるだけ的確になされるような、そういう人材を育て、お互いの信頼関係を、そこを文化の問題として制度化していくというのか、形を、法律上の制度以上に、そういった運用面での慣習のようなものを構築していくことが極めて重要なんだろう。
そして、情報が不足する中でありますから、いつも言われておりましたのは、最悪のことを想定しながら楽観的に行動する、そういう姿勢で総理を補佐、完全にできたという自信は全くございませんが、そういうことを心がけながらやらせてきていただいたと思っております。
安保会議が形骸化しているということをよく言われます。これは、大きな場でほとんど閣議とメンバーが変わらないところですから、そこで改めて議論が百出するようでは事前に我々がちゃんと仕事をしていないということなので、そういうことはなかったんですが、しかし、それで形骸化しているとも必ずしも思っておりませんでした。結構いろいろな御意見を出される閣僚もいらっしゃいました。活発な意見表明もあったと思います。また、案件によりましては、官房長官を中心にして外務、防衛の三閣僚の協議というのも頻繁に行っておりました。
したがって、制度がなかったために対応がおくれたということは、私の経験する限りでは、そういう問題ではなかったというふうに思っております。
ただ、そうはいっても、全てよかったかというと、私、振り返ってみまして、内閣安全保障・危機管理担当副長官補のもとに相当数の、今はどのくらいでしょうか、二百人ぐらいのスタッフがいると思いますが、これは、情報セキュリティーも含めて、ほとんどが危機対処あるいは初動対処要員でございまして、実は、政策立案のスタッフというのはほとんどいなかったのでございます。そういうところが不足しているなということを私も絶えず考えておりました。
中長期的な政策の問題については、いろいろ案件ごとの、当時も自民、公明の連立与党でございましたから、政調会長にお願いして与党のプロジェクトチームをつくっていただく、そこでの議論でありますとか、あるいは防衛計画大綱をつくるときの有識者懇のような、アドホックな外部の専門家の方の議論の場を通じて政策を詰めていくというような、そういうことができていたにとどまっているんだろうと思います。
この法案というか、傾向として、この法律がなくても、私は、運用でそういうことをやっていく趨勢にあると思いますけれども、先ほど宮家さんの御意見にもありましたが、屋上屋というのは、これは確かに屋上屋でないかもしれないが、しかし、あくまで制度論として言えば、各省設置法がそのまま残っているわけですから、これは将来、官邸がそういうところまで吸い上げて自分でやっていくということになれば、私も官邸で仕事をする中で一番大変だったのは各省の抵抗排除でございましたので、そういうところを、やがては大きな、もう一段の法的、制度的な手当てが必要になってくるというか、していただけるとありがたいなという感じがいたします。
それから、私が副長官補のときに、NSC法案は出したんですが、次の総理にかわりましたときに一度引っ込めてしまったことがございました。
これは、やはり当時の私どもの感覚、それは当時の総理、官房長官も含めてでございましたが、なかなかこういう形で、一つの形で決め打ちしてしまうのがどうなんだろうなという感覚があったことも事実でございまして、確かに、総理を補佐する機構が充実することは必要だというのは皆さん共通した意見でございました。ただ、それを、では総理も出席した四大臣会合という形でやるかということで見れば、例えば小泉総理のときは、官房長官と外務、防衛の三閣僚が何度も協議をして、その結論を総理のところに持っていって、総理は、どっちかというと、プレーヤーというよりはアンパイアとして、いいところはとる、そういう姿勢でおられた。そういうやり方をお好みになる総理もいらっしゃるんだろうと思います。
ですから、ここは、いずれにしても運用の問題ではありますけれども、余りがちがちの運用というよりは、柔軟性を持った運用をしていかなければいけないのではないかという感じがしております。
以上は、どちらかというと、技術的な、実務的な観点のお話でございますが、さらに、もう少し、私が考える本質的な要素について若干コメントしたいと思います。
私は、今回の法案の一番本質的な要素は何かといえば、各省に対する情報提供というか資料の提供を義務づけているところにあるんだろうと思っております。
ただ、これは、皆さん情報の専門家はそうお考えだと思いますが、義務づけしただけで終わりではない、義務づけすれば良質な情報が上がるという関係にはないということを心得ておく必要があるだろうということだと思います。
本来、政策と情報というのは緊張関係があるのが本来の姿であろうと思うんですね。というのは、情報というのは基本的に、客観的な事実に基づいて客観的な分析をすべきであるんですけれども、では、そういった情報分析の結論が時の総理あるいは政権が目指している政策と合っているかどうかということは、必ずしも保証をされていない。そこのところにまた情報の結論が左右されてはいけないんだろうと思います。
一方で、やはりどちらが上かといえば、それは政策が上、政策に奉仕するために情報があるのであって、その逆ではないわけでありますから、そのことに重きを置いてしまうと、政策決定者がある政策目的のために必要な情報を資料提出義務でもって求めた場合に、なかなかその意に反する情報を上げるというのは、人間のやることですから、これもちょっと難しいこともあるんだろうと思います。
そういったことに気をつけませんと、例えば、これは的確な例かどうかわかりませんが、イラク戦争の前提となった大量破壊兵器の存在に関する情報、これは私も間違えておりましたが、当時、みんなが間違えておった。これはやはり、政策決定者の方向性に情報サイドが引っ張られた側面が一つあるんだろう。そういうことにならないように気をつけていかなければならないというのが最大の教訓だろうというふうに思っております。
もう一つ、それに派生して出てくる問題でありますが、結局、一種の義務として情報を提出させるとすると、私どもも実務者としていつも迷っておったのは、本当にどこまで、ここまで情報を上げていいんだろうかというようなことは、いつも悩みでございましたが、やはりそれは、情報を受け取った側にしっかり守秘義務がないと不安だということも間違いないので、そこはちょうど秘密保護と情報提供義務というのは表裏一体の関係になってくるんだろうというふうに思います。
ただ、そうなりますと、先ほどのような情報提供が義務化されるということによって、政策が情報にまさってしまうことが、仮にそれが上下関係として認識されてしまって、それを命じた少人数の閣僚の協議によって実質的な方向性が決まってしまう、こういう関係が固定化されてくるということになると、そういう場合に、その情報の中には、当然、国の安全上、秘匿すべきものが含まれているわけでありますから、そうすると、それを理由にして、その政策決定のプロセスが一切公表されないということになってくるおそれがあるということを指摘しなければいけないと思います。
これは、私自身、実は官邸におりますときも、やろうとして、人手不足もあってできなかったことであるんですけれども、いろいろな危機管理の事案などについて年次報告書的なものをつくって、どう扱うかは別としまして、それを後世の検証にたえるような形で蓄積していく、それによって政府自身が賢くなっていくということ、そういうプロセスがぜひ必要ではないかと思っておりました。
せっかく今回六十名ほどのスタッフを新設するということであれば、国会に対してでもよろしゅうございますし、あるいは別の形でも結構でございますが、危機管理の事案、あるいは政策決定に関して議論されたことの概要、そういったものを定例的に公表していく、そういうことをぜひお考えいただきたいと思います。それが、その政権自身がより間違いの少ないものになっていくことと同時に、主権者たる国民がより賢い政府を求める権利はあると思いますので、そういうことにも奉仕していく。
ともすれば、何が秘密かということは、やや神学論争的なものにもなりがちなのでありますが、そういうツールを使って、では、その報告でもってどこまで説明ができるんだろうか、その説明のために必要な範囲のことは特定秘密ではないだろう、そういう相場観が、与野党もメディアの間にも共通認識としてでき上がっていく、そういうことにも役立っていくのではないかというふうに思っております。
可能であれば、これは私自身も現役のときにやり残した仕事であるとも認識しておりますが、そういったことについても御配慮いただければ、全体としていい方向に運用ができるのではないかということを考えております。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →私は、退職させていただいてもう四年になりますが、防衛省は当時防衛庁でございましたけれども、防衛庁で運用局長とか情報本部の仕事もさせていただき、あるいは官邸で五年半近く安全保障、危機管理の担当をやらせていただきました。きょうは、当時の上司も何人かお見えになっておりますけれども、その私の実務的な経験を踏まえて、この法案についての私の若干のコメントを述べさせていただきたいと思っております。
まず、危機対応ということに関して言いますと、私も、官邸におりますときに、北朝鮮の核実験、ミサイル発射の問題、あるいは、当時イラクに自衛隊がおりましたから、イラクの治安情勢の悪化の中でいろいろな事件が起きておりまして、そういったことへの対応に追われる毎日でございました。ただ、緊急事態の対処については、私がいた時代には、基本的には、各省の緊急参集チームの制度でありますとか、緊急閣僚会議の訓練もやっていただいたこともありますし、かなり整備されていた状況だったと思います。
一つのポイントは情報集約でございますが、これも、私は基本的に、情報屋もやらせていただいた経験からいいますと、情報というのは横着して待っていても来るものではないのでありますから、内閣情報会議の下部機関でございます合同情報会議を頻繁に事務副長官のもとで開催しておりましたし、そこで各省の局長や内閣情報調査室とも絶えず意見交換もしておりましたし、また、いろいろな事態があるたびに、こちらから言わなくても内調の方から、こういう情報があるよというようなことを言っていただくとか、非常にそこの関係はスムーズにいっていたなというふうに思っております。
問題は、やはりそこで政策側の人間と情報側の人間が問題意識をしっかり共有できていること、信頼関係があることが一番のポイントだろうと思っておりました。
そういう危機というのは、なぜ危機かといいますと、基本的には情報が不足しているから危機なんだと私は思います。特に、情報が足りないだけじゃなくて、矛盾した情報が入ってくるということも実際に経験したことがございます。これはもうどんな情報機関が頑張っても避けられない宿命とも言えるわけでありまして、そういう中で、まあ、情報のせいにはできません、私自身の対応のまずさもあって失敗した例も幾つか正直ございました。ただ、それはその都度その原因を分析して、次に同じような失敗が起こらないような改善措置はとられてこられたのではないかというふうに思っております。
やはり、もちろん、制度をつくっていくということも、私は別にそのこと自体に反対するものではございませんけれども、制度の本質というのは、制度そのものというよりは、いかにそういった情報がきちんと伝わり、そして、これは難しいことですが、判断ができるだけ的確になされるような、そういう人材を育て、お互いの信頼関係を、そこを文化の問題として制度化していくというのか、形を、法律上の制度以上に、そういった運用面での慣習のようなものを構築していくことが極めて重要なんだろう。
そして、情報が不足する中でありますから、いつも言われておりましたのは、最悪のことを想定しながら楽観的に行動する、そういう姿勢で総理を補佐、完全にできたという自信は全くございませんが、そういうことを心がけながらやらせてきていただいたと思っております。
安保会議が形骸化しているということをよく言われます。これは、大きな場でほとんど閣議とメンバーが変わらないところですから、そこで改めて議論が百出するようでは事前に我々がちゃんと仕事をしていないということなので、そういうことはなかったんですが、しかし、それで形骸化しているとも必ずしも思っておりませんでした。結構いろいろな御意見を出される閣僚もいらっしゃいました。活発な意見表明もあったと思います。また、案件によりましては、官房長官を中心にして外務、防衛の三閣僚の協議というのも頻繁に行っておりました。
したがって、制度がなかったために対応がおくれたということは、私の経験する限りでは、そういう問題ではなかったというふうに思っております。
ただ、そうはいっても、全てよかったかというと、私、振り返ってみまして、内閣安全保障・危機管理担当副長官補のもとに相当数の、今はどのくらいでしょうか、二百人ぐらいのスタッフがいると思いますが、これは、情報セキュリティーも含めて、ほとんどが危機対処あるいは初動対処要員でございまして、実は、政策立案のスタッフというのはほとんどいなかったのでございます。そういうところが不足しているなということを私も絶えず考えておりました。
中長期的な政策の問題については、いろいろ案件ごとの、当時も自民、公明の連立与党でございましたから、政調会長にお願いして与党のプロジェクトチームをつくっていただく、そこでの議論でありますとか、あるいは防衛計画大綱をつくるときの有識者懇のような、アドホックな外部の専門家の方の議論の場を通じて政策を詰めていくというような、そういうことができていたにとどまっているんだろうと思います。
この法案というか、傾向として、この法律がなくても、私は、運用でそういうことをやっていく趨勢にあると思いますけれども、先ほど宮家さんの御意見にもありましたが、屋上屋というのは、これは確かに屋上屋でないかもしれないが、しかし、あくまで制度論として言えば、各省設置法がそのまま残っているわけですから、これは将来、官邸がそういうところまで吸い上げて自分でやっていくということになれば、私も官邸で仕事をする中で一番大変だったのは各省の抵抗排除でございましたので、そういうところを、やがては大きな、もう一段の法的、制度的な手当てが必要になってくるというか、していただけるとありがたいなという感じがいたします。
それから、私が副長官補のときに、NSC法案は出したんですが、次の総理にかわりましたときに一度引っ込めてしまったことがございました。
これは、やはり当時の私どもの感覚、それは当時の総理、官房長官も含めてでございましたが、なかなかこういう形で、一つの形で決め打ちしてしまうのがどうなんだろうなという感覚があったことも事実でございまして、確かに、総理を補佐する機構が充実することは必要だというのは皆さん共通した意見でございました。ただ、それを、では総理も出席した四大臣会合という形でやるかということで見れば、例えば小泉総理のときは、官房長官と外務、防衛の三閣僚が何度も協議をして、その結論を総理のところに持っていって、総理は、どっちかというと、プレーヤーというよりはアンパイアとして、いいところはとる、そういう姿勢でおられた。そういうやり方をお好みになる総理もいらっしゃるんだろうと思います。
ですから、ここは、いずれにしても運用の問題ではありますけれども、余りがちがちの運用というよりは、柔軟性を持った運用をしていかなければいけないのではないかという感じがしております。
以上は、どちらかというと、技術的な、実務的な観点のお話でございますが、さらに、もう少し、私が考える本質的な要素について若干コメントしたいと思います。
私は、今回の法案の一番本質的な要素は何かといえば、各省に対する情報提供というか資料の提供を義務づけているところにあるんだろうと思っております。
ただ、これは、皆さん情報の専門家はそうお考えだと思いますが、義務づけしただけで終わりではない、義務づけすれば良質な情報が上がるという関係にはないということを心得ておく必要があるだろうということだと思います。
本来、政策と情報というのは緊張関係があるのが本来の姿であろうと思うんですね。というのは、情報というのは基本的に、客観的な事実に基づいて客観的な分析をすべきであるんですけれども、では、そういった情報分析の結論が時の総理あるいは政権が目指している政策と合っているかどうかということは、必ずしも保証をされていない。そこのところにまた情報の結論が左右されてはいけないんだろうと思います。
一方で、やはりどちらが上かといえば、それは政策が上、政策に奉仕するために情報があるのであって、その逆ではないわけでありますから、そのことに重きを置いてしまうと、政策決定者がある政策目的のために必要な情報を資料提出義務でもって求めた場合に、なかなかその意に反する情報を上げるというのは、人間のやることですから、これもちょっと難しいこともあるんだろうと思います。
そういったことに気をつけませんと、例えば、これは的確な例かどうかわかりませんが、イラク戦争の前提となった大量破壊兵器の存在に関する情報、これは私も間違えておりましたが、当時、みんなが間違えておった。これはやはり、政策決定者の方向性に情報サイドが引っ張られた側面が一つあるんだろう。そういうことにならないように気をつけていかなければならないというのが最大の教訓だろうというふうに思っております。
もう一つ、それに派生して出てくる問題でありますが、結局、一種の義務として情報を提出させるとすると、私どもも実務者としていつも迷っておったのは、本当にどこまで、ここまで情報を上げていいんだろうかというようなことは、いつも悩みでございましたが、やはりそれは、情報を受け取った側にしっかり守秘義務がないと不安だということも間違いないので、そこはちょうど秘密保護と情報提供義務というのは表裏一体の関係になってくるんだろうというふうに思います。
ただ、そうなりますと、先ほどのような情報提供が義務化されるということによって、政策が情報にまさってしまうことが、仮にそれが上下関係として認識されてしまって、それを命じた少人数の閣僚の協議によって実質的な方向性が決まってしまう、こういう関係が固定化されてくるということになると、そういう場合に、その情報の中には、当然、国の安全上、秘匿すべきものが含まれているわけでありますから、そうすると、それを理由にして、その政策決定のプロセスが一切公表されないということになってくるおそれがあるということを指摘しなければいけないと思います。
これは、私自身、実は官邸におりますときも、やろうとして、人手不足もあってできなかったことであるんですけれども、いろいろな危機管理の事案などについて年次報告書的なものをつくって、どう扱うかは別としまして、それを後世の検証にたえるような形で蓄積していく、それによって政府自身が賢くなっていくということ、そういうプロセスがぜひ必要ではないかと思っておりました。
せっかく今回六十名ほどのスタッフを新設するということであれば、国会に対してでもよろしゅうございますし、あるいは別の形でも結構でございますが、危機管理の事案、あるいは政策決定に関して議論されたことの概要、そういったものを定例的に公表していく、そういうことをぜひお考えいただきたいと思います。それが、その政権自身がより間違いの少ないものになっていくことと同時に、主権者たる国民がより賢い政府を求める権利はあると思いますので、そういうことにも奉仕していく。
ともすれば、何が秘密かということは、やや神学論争的なものにもなりがちなのでありますが、そういうツールを使って、では、その報告でもってどこまで説明ができるんだろうか、その説明のために必要な範囲のことは特定秘密ではないだろう、そういう相場観が、与野党もメディアの間にも共通認識としてでき上がっていく、そういうことにも役立っていくのではないかというふうに思っております。
可能であれば、これは私自身も現役のときにやり残した仕事であるとも認識しておりますが、そういったことについても御配慮いただければ、全体としていい方向に運用ができるのではないかということを考えております。
以上でございます。拍手
額
永
永岩俊道#6
○永岩参考人 おはようございます。航空自衛隊OBの永岩であります。
本日は、自衛隊の作戦運用の現場及び司令部活動におきまして、司令官としてその統制を実施した、指揮を実施した経験から、具体的な話でお話ししたいと思います。
もちろん、私自身、NSCの立ち上げの議論につきましては大賛成でありまして、待ちに待った法案ができたなと。ただし、確認いたしますと、いろいろまだ具体的な課題があるだろうな、将来に対して、状況変化に適応する形でどうテーラーメードにしていくかということに関して、ビジョンが必要だなというふうに感じているところであります。
経歴としましては、F4ファントム、F15戦闘機に乗りまして、飛行時間四千時間、冷戦時代の対領侵任務についておりました。平成十五年には、西部航空方面隊ということで、東経百三十五度以西、北緯三十度以北の防空任務を担任しておりました。それ以降、十八年からは、航空支援集団司令官ということで、戦う航空総隊を支援する役割を負うていましたが、当時、イラク復興支援でございましたので、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地にC130の部隊を派遣しておりましたし、カタールの方に、CAOC、コンバインド・エア・オペレーションズ・センターというところに連絡要員、現地指揮官を派遣して、それを府中の航空自衛隊司令部から指揮統制しておりました。
また、支援集団司令官は邦人輸送にかかわる統合任務部隊指揮官でありまして、例えば、朝鮮半島が不安定になる、そのときに、いかに邦人を救出するか、後方輸送するかという、その任務での司令官としてアサインされておりましたが、その当時、計画立案、具体的な演習といったもろもろのことに携わっておりました。
昭和五十一年九月六日、私は、千歳基地で、アラートハンガーでスクランブル待機をしておりました。不意突然の目標の出現に、スクランブルで上がって、ベレンコ中尉の乗るミグ25を発見することができませんで、それで、やむなく千歳に帰ったんですが、その当時は、何といいますか、事態というのは不意突然に、思いもしないマグニチュードのことが思いもしないところに発生するものでありまして、現場は相当混乱しますし、情報ももちろん、いろいろな状況掌握も全くできない状態でございましたので、現場はもちろんですが、中央の方に至っても同じように情報錯綜し、基本的には、上から下までしっかりした意思のもとにマネージされたか、危機管理がされたかというと、今考えますと、非常にお寒い状態であったなというふうに認識しているところであります。
戦闘機乗りが上空で生き残りのために何に一番関心を持って行動するかといいますと、英語でまことに申しわけありませんが、SAをとるといいます。SAというのは、シチュエーショナル・アウェアネス、状況掌握であります。それはもちろん、自分の担当、正面だけではありませんで、後方も、あるいは各警戒管制組織から来るいろいろな情報もあわせまして、深刻に状況判断、SAをとります。SAが優位になりますと、基本的にその交戦につきましては勝利が見えてくるということであります。
多分、NSCも、いかにSAをとるか、情報掌握をするかというのに課題があり、そして、上空のパイロットも一緒ですが、いかに決心するか、非常に錯綜した中で、決心するまでのリードタイムが少ない中でいかに決心するかというのが問われるわけでありまして、それはNSCも全く一緒なんだろうなという感じがするところであります。
次の論点ですが、さて、NSCは、宮家先生おっしゃいましたが、なかった屋根をつくればそれでオーケーか、危機管理は大丈夫かということでありますが、全くそういったことはないというふうに思います。
最近、中国の軍事力台頭も非常に厳しいところでありますが、私は数年前に大連に行っていろいろ意見交換をする機会がありまして、その際、大連空港におりるファイナルレグ、最終着陸経路の真下で、そこに大連港があるんですけれども、そこでワリャーグの工事をしておりました。国家的な秘密であればまさかそんなに目につくところで建造なんかするとは思いませんが、そのとき着々と建造しておりました。中国に言わせると、空母は大国であれば持つべきものというふうに言っておりますので、どうもそれは中国人のナショナリズムを満足させる類いのものなのかなと。
実際、今、遼寧という名前に変わりまして、実運用に向けて着々と整備が進んでいますが、それを見ますと、空母だけで役割をなそうとしている。アメリカ軍に言わせますと、格好の、いい目標であると。中国本土にいるハイバリューアセット、戦闘機等が非常に多数艦上に載りまして、海に単艦で出てくる状況でございますから、そうしますと、それは非常に楽な作戦になるということであります。
NSCも一緒でございまして、NSCさえつくればいいかというと、決してそうではないわけでありまして、それにかかわるもろもろの体制の整えというのが全般的にデザインされて初めて機能するんだろうなというふうに私は思うところであります。
NSCは、情報の要求を出すところであり、情報のエンドユーザーであります。ですから、そういった観点でしますと、まさに情報を、どういった形で周辺体制を整えるか、デザインするか。私は、多分、アメリカと同じように、中央国家の情報組織、まさにCIAのような体制をいずれつくらなければいけないんだろうなというふうに考えているところであります。
集約した情報は、一体管理されて、そしてその状況に合わせた形で合意し、判断、決心できますような形で十分提供されないと役割をなさないというふうに考えるところであります。
ただし、総理がいつもおっしゃいますが、今そこにある危機、昔と違いまして状況が非常に厳しくなっておりまして、あすにでも、アドホックにでも、それらの脅威、危機に対して答えを準備しなければいけないというふうに思うわけであります。その言葉で適当なのがありますが、それは、まず隗より始めよ。それで、だんだん状況変化に適合させていく、アレンジしていく、テーラーメードにするという形でやれば、あした危機が至っても、あさって至っても、そのときの状況に合わせたいい答えが出るんじゃないかなというふうに思っているところであります。
それから、実はNSCは、事が起こったらそれに対処するシステム、センターではありません。私自身が考えますのは、将来のことを予測して準備しておくという組織なんですね。
というのは、私は以前、MITの方で、あるクライシスマネジメントに関連するシミュレーションに出たことがあります。MITのリチャード・サミュエルズ教授が、ジャパン・プログラムということで、日本を中心とした周辺諸国を対象として、十年後、二十年後にどういったクライシスが発生するだろうかという検討をし、そして、ジャパン・チーム、中国チーム、そのほかアメリカ・チーム等々の専門家、キャリアの外交官、大学教授、軍人、政治家も含めて、そういったスタッフを含めて非常に真剣な議論をしていましたが、まさに我々がまさかこんなことは起こらないだろうといった類いのことを考え出しました。
つまり、中国の台頭、インドの台頭、ロシアのリバイバル、アメリカの相対的な退潮、そういった環境の中で、日本周辺に不測の事態が発生する。実はそれは、極めて戦略的な議論のもとに、もう既にちゃんとテーラーメードの答えがある中を適応させるやり方でやらないと、まずもって混乱するんだなというようなことですね。そういったことをテーマに準備した、あるいは議論したことがありますが、多分、そういったことでないと、次なる時代の危機は、またとんでもないところにとんでもないことが、過去の財産にないものが起こるのが事態であるというふうに認識しますので、どうしてもそういった形で事前の準備が必要であろうなというふうに思うところであります。
その観点で申し上げますと、アメリカのNSCは、一九四七年、トルーマン大統領の時代につくられてから今のオバマ大統領まで、実に状況変化に合わせて姿を変えて、テーラーメードにしております。大統領の関心、重要事項というのもありましょうが、基本的には、いかにその状況に適合するかということに関して、体制を変えることには何ら抵抗を感じていないふうに見える。
ですから、NSCをつくったからこれで全部答えが出せるわけではありませんので、つくったら、来年は多分、いろいろなアドホックな体制整備というのが必ずや必要になるだろうなというふうに思うところであります。
当時、オバマ大統領になったときに議論されましたのが、大統領に対する意見具申を明確にする、長期的、戦略的視点から米国の国益にかなった政策判断をする、恣意的な情報操作を排除する、NSCの所掌範囲を限定せず、現下の複雑多岐の状況に適応できる柔軟な機構構成にする、メンバーは特定せず、事態、状況に臨機に参集できるようにする、NSCの所掌範囲を再整理するとともに省庁間の連携を強化する等々、過去、きっとおのおののことはそれなりにちゃんとなされていたんじゃないかと思いますが、オバマ大統領は、自分の代にかわりまして、まだまだ課題ありということで、テーラーメードにしたということであります。
それから、最後になりますが、実は、世論戦ですかね、メディア戦。お隣には三戦あるんです。スリー・タイプス・オブ・ウオーということで、世論戦、法律戦、心理戦。中でも世論戦は極めて得意であります。
まずもって、私は、作戦現場、運用の現場で、最前線で行動しておりまして、いざ、場合によって不意の衝突がここであった場合に、いかにその状況を中央にしっかり正しく伝え、とった情報についてはできるだけ速やかに、迅速に提供するかということについて腐心しておりました。時間のディレーもありましょうし、正確な情報掌握は多分非常に難しい。距岸数百マイルも離れたところで行動しておりますから、正しい情報の迅速な伝達というのは難しかろうと思いますが、大事なのは、基本的には、最前線で対処する航空自衛官、海上自衛官、陸上自衛官あるいは海上保安庁、警察等の隊員たちが、国内法、国際法理に基づいてきちっと対応しているというのが、我が自衛隊あるいはその他の機関等の今の現状の能力、実力だというふうに思っています。
それをいかにメディアあるいは政府から、あるいは次なるNSCから、日本は国内法、国際法にのっとって正しい対応をした上でのこういった事態だということを説明して、世界に日本を応援するグループを早く確保すればするほど、日本の国益にかなう政策といいますか、あるいは実行力という形になろうと思いますから、これについては、どうしても迅速に判断する必要があると思います。
私の過去の経験からしますと、例えば、日本海にロシアのTU16が墜落したことがありましたが、その際に日本側でやった状況掌握は、まず、戦闘機を返して、おりた航空機の残弾を確認するという行為をしましたが、まずもって、現場は相当混乱した経験があります。
いずれ、そういった意味での世論戦について具体的に体制をしっかり整えるというのが、日本の国益にかなう、あるいはNSCをつくった上での一つの大事な要素であろうというふうに認識するところであります。
本日の報告は以上で終わります。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、自衛隊の作戦運用の現場及び司令部活動におきまして、司令官としてその統制を実施した、指揮を実施した経験から、具体的な話でお話ししたいと思います。
もちろん、私自身、NSCの立ち上げの議論につきましては大賛成でありまして、待ちに待った法案ができたなと。ただし、確認いたしますと、いろいろまだ具体的な課題があるだろうな、将来に対して、状況変化に適応する形でどうテーラーメードにしていくかということに関して、ビジョンが必要だなというふうに感じているところであります。
経歴としましては、F4ファントム、F15戦闘機に乗りまして、飛行時間四千時間、冷戦時代の対領侵任務についておりました。平成十五年には、西部航空方面隊ということで、東経百三十五度以西、北緯三十度以北の防空任務を担任しておりました。それ以降、十八年からは、航空支援集団司令官ということで、戦う航空総隊を支援する役割を負うていましたが、当時、イラク復興支援でございましたので、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地にC130の部隊を派遣しておりましたし、カタールの方に、CAOC、コンバインド・エア・オペレーションズ・センターというところに連絡要員、現地指揮官を派遣して、それを府中の航空自衛隊司令部から指揮統制しておりました。
また、支援集団司令官は邦人輸送にかかわる統合任務部隊指揮官でありまして、例えば、朝鮮半島が不安定になる、そのときに、いかに邦人を救出するか、後方輸送するかという、その任務での司令官としてアサインされておりましたが、その当時、計画立案、具体的な演習といったもろもろのことに携わっておりました。
昭和五十一年九月六日、私は、千歳基地で、アラートハンガーでスクランブル待機をしておりました。不意突然の目標の出現に、スクランブルで上がって、ベレンコ中尉の乗るミグ25を発見することができませんで、それで、やむなく千歳に帰ったんですが、その当時は、何といいますか、事態というのは不意突然に、思いもしないマグニチュードのことが思いもしないところに発生するものでありまして、現場は相当混乱しますし、情報ももちろん、いろいろな状況掌握も全くできない状態でございましたので、現場はもちろんですが、中央の方に至っても同じように情報錯綜し、基本的には、上から下までしっかりした意思のもとにマネージされたか、危機管理がされたかというと、今考えますと、非常にお寒い状態であったなというふうに認識しているところであります。
戦闘機乗りが上空で生き残りのために何に一番関心を持って行動するかといいますと、英語でまことに申しわけありませんが、SAをとるといいます。SAというのは、シチュエーショナル・アウェアネス、状況掌握であります。それはもちろん、自分の担当、正面だけではありませんで、後方も、あるいは各警戒管制組織から来るいろいろな情報もあわせまして、深刻に状況判断、SAをとります。SAが優位になりますと、基本的にその交戦につきましては勝利が見えてくるということであります。
多分、NSCも、いかにSAをとるか、情報掌握をするかというのに課題があり、そして、上空のパイロットも一緒ですが、いかに決心するか、非常に錯綜した中で、決心するまでのリードタイムが少ない中でいかに決心するかというのが問われるわけでありまして、それはNSCも全く一緒なんだろうなという感じがするところであります。
次の論点ですが、さて、NSCは、宮家先生おっしゃいましたが、なかった屋根をつくればそれでオーケーか、危機管理は大丈夫かということでありますが、全くそういったことはないというふうに思います。
最近、中国の軍事力台頭も非常に厳しいところでありますが、私は数年前に大連に行っていろいろ意見交換をする機会がありまして、その際、大連空港におりるファイナルレグ、最終着陸経路の真下で、そこに大連港があるんですけれども、そこでワリャーグの工事をしておりました。国家的な秘密であればまさかそんなに目につくところで建造なんかするとは思いませんが、そのとき着々と建造しておりました。中国に言わせると、空母は大国であれば持つべきものというふうに言っておりますので、どうもそれは中国人のナショナリズムを満足させる類いのものなのかなと。
実際、今、遼寧という名前に変わりまして、実運用に向けて着々と整備が進んでいますが、それを見ますと、空母だけで役割をなそうとしている。アメリカ軍に言わせますと、格好の、いい目標であると。中国本土にいるハイバリューアセット、戦闘機等が非常に多数艦上に載りまして、海に単艦で出てくる状況でございますから、そうしますと、それは非常に楽な作戦になるということであります。
NSCも一緒でございまして、NSCさえつくればいいかというと、決してそうではないわけでありまして、それにかかわるもろもろの体制の整えというのが全般的にデザインされて初めて機能するんだろうなというふうに私は思うところであります。
NSCは、情報の要求を出すところであり、情報のエンドユーザーであります。ですから、そういった観点でしますと、まさに情報を、どういった形で周辺体制を整えるか、デザインするか。私は、多分、アメリカと同じように、中央国家の情報組織、まさにCIAのような体制をいずれつくらなければいけないんだろうなというふうに考えているところであります。
集約した情報は、一体管理されて、そしてその状況に合わせた形で合意し、判断、決心できますような形で十分提供されないと役割をなさないというふうに考えるところであります。
ただし、総理がいつもおっしゃいますが、今そこにある危機、昔と違いまして状況が非常に厳しくなっておりまして、あすにでも、アドホックにでも、それらの脅威、危機に対して答えを準備しなければいけないというふうに思うわけであります。その言葉で適当なのがありますが、それは、まず隗より始めよ。それで、だんだん状況変化に適合させていく、アレンジしていく、テーラーメードにするという形でやれば、あした危機が至っても、あさって至っても、そのときの状況に合わせたいい答えが出るんじゃないかなというふうに思っているところであります。
それから、実はNSCは、事が起こったらそれに対処するシステム、センターではありません。私自身が考えますのは、将来のことを予測して準備しておくという組織なんですね。
というのは、私は以前、MITの方で、あるクライシスマネジメントに関連するシミュレーションに出たことがあります。MITのリチャード・サミュエルズ教授が、ジャパン・プログラムということで、日本を中心とした周辺諸国を対象として、十年後、二十年後にどういったクライシスが発生するだろうかという検討をし、そして、ジャパン・チーム、中国チーム、そのほかアメリカ・チーム等々の専門家、キャリアの外交官、大学教授、軍人、政治家も含めて、そういったスタッフを含めて非常に真剣な議論をしていましたが、まさに我々がまさかこんなことは起こらないだろうといった類いのことを考え出しました。
つまり、中国の台頭、インドの台頭、ロシアのリバイバル、アメリカの相対的な退潮、そういった環境の中で、日本周辺に不測の事態が発生する。実はそれは、極めて戦略的な議論のもとに、もう既にちゃんとテーラーメードの答えがある中を適応させるやり方でやらないと、まずもって混乱するんだなというようなことですね。そういったことをテーマに準備した、あるいは議論したことがありますが、多分、そういったことでないと、次なる時代の危機は、またとんでもないところにとんでもないことが、過去の財産にないものが起こるのが事態であるというふうに認識しますので、どうしてもそういった形で事前の準備が必要であろうなというふうに思うところであります。
その観点で申し上げますと、アメリカのNSCは、一九四七年、トルーマン大統領の時代につくられてから今のオバマ大統領まで、実に状況変化に合わせて姿を変えて、テーラーメードにしております。大統領の関心、重要事項というのもありましょうが、基本的には、いかにその状況に適合するかということに関して、体制を変えることには何ら抵抗を感じていないふうに見える。
ですから、NSCをつくったからこれで全部答えが出せるわけではありませんので、つくったら、来年は多分、いろいろなアドホックな体制整備というのが必ずや必要になるだろうなというふうに思うところであります。
当時、オバマ大統領になったときに議論されましたのが、大統領に対する意見具申を明確にする、長期的、戦略的視点から米国の国益にかなった政策判断をする、恣意的な情報操作を排除する、NSCの所掌範囲を限定せず、現下の複雑多岐の状況に適応できる柔軟な機構構成にする、メンバーは特定せず、事態、状況に臨機に参集できるようにする、NSCの所掌範囲を再整理するとともに省庁間の連携を強化する等々、過去、きっとおのおののことはそれなりにちゃんとなされていたんじゃないかと思いますが、オバマ大統領は、自分の代にかわりまして、まだまだ課題ありということで、テーラーメードにしたということであります。
それから、最後になりますが、実は、世論戦ですかね、メディア戦。お隣には三戦あるんです。スリー・タイプス・オブ・ウオーということで、世論戦、法律戦、心理戦。中でも世論戦は極めて得意であります。
まずもって、私は、作戦現場、運用の現場で、最前線で行動しておりまして、いざ、場合によって不意の衝突がここであった場合に、いかにその状況を中央にしっかり正しく伝え、とった情報についてはできるだけ速やかに、迅速に提供するかということについて腐心しておりました。時間のディレーもありましょうし、正確な情報掌握は多分非常に難しい。距岸数百マイルも離れたところで行動しておりますから、正しい情報の迅速な伝達というのは難しかろうと思いますが、大事なのは、基本的には、最前線で対処する航空自衛官、海上自衛官、陸上自衛官あるいは海上保安庁、警察等の隊員たちが、国内法、国際法理に基づいてきちっと対応しているというのが、我が自衛隊あるいはその他の機関等の今の現状の能力、実力だというふうに思っています。
それをいかにメディアあるいは政府から、あるいは次なるNSCから、日本は国内法、国際法にのっとって正しい対応をした上でのこういった事態だということを説明して、世界に日本を応援するグループを早く確保すればするほど、日本の国益にかなう政策といいますか、あるいは実行力という形になろうと思いますから、これについては、どうしても迅速に判断する必要があると思います。
私の過去の経験からしますと、例えば、日本海にロシアのTU16が墜落したことがありましたが、その際に日本側でやった状況掌握は、まず、戦闘機を返して、おりた航空機の残弾を確認するという行為をしましたが、まずもって、現場は相当混乱した経験があります。
いずれ、そういった意味での世論戦について具体的に体制をしっかり整えるというのが、日本の国益にかなう、あるいはNSCをつくった上での一つの大事な要素であろうというふうに認識するところであります。
本日の報告は以上で終わります。どうもありがとうございました。拍手
額
細
細谷雄一#8
○細谷参考人 貴重なお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。
今まで、三人の参考人の先生方、非常に貴重な、御自身の実務的な観点、御経験から、重厚な、有意義なお話をいただいたと思います。
私は、やや異なる観点から、外交史を研究する立場、あるいはイギリスの安全保障政策、防衛政策を研究する立場から、今、このような形でNSCを日本でつくろうとしているということがどれだけ重要なことであって、また意義深いことであるかということをお話ししたいというふうに考えております。
外交史の研究を振り返ってみますと、実は、我々、日本の歴史を振り返るときに、非常に大きな誤解をしていたというふうに認識しております。
これはどういうことかと申しますと、近年、膨大な資料が公開されて、多くのすぐれた研究が生み出されてきましたが、戦前の日本の政治における根本的な問題点は、軍部の独裁ではない。そうではなくて、むしろ、余りにも首相あるいは首相官邸が権力がなさ過ぎた。なさ過ぎたことによって、組織間の対立が余りにも激しかったことによって、どれだけそのことが国益を損ねてきたのか。そのようなことが近年の研究からは明らかになっております。
資料を配付させていただきまして、例えば、静岡県立大学の森山優先生が、「日本はなぜ開戦に踏み切ったか」、膨大な軍の資料を用いて、あるいは外務省の資料を用いて書かれた御本の中で次のように書かれております。「日本の意思決定システムは、「船頭多くして船山に登る」状態だった。何か有効な解決策を実行しようとしても、誰かが強硬に反対すれば決定できない。まさに独裁政治の対極であった。」「結局、組織的利害を国家的利害に優先させ、国家的な立場から利害得失を計算することができない体制が、対米戦という危険な選択肢を浮上させたのである。」
つまりは、組織間の対立、それぞれの組織が首相あるいは大臣に重要な情報を上げない、そして、それぞれの大臣の間で問題の認識が共有されない、そういった中で、日本は繰り返し道を誤ってきたわけでございます。
つまりは、余りにも首相に権力がない、情報が集まらない、そして省庁間の調整がなされていないことがこれまで日本の歴史で多くの利害を損ねてきたのだとすれば、今必要なことはその逆である。まさに首相官邸に、機能を強化し、権力を集中させ、そして情報を集めるシステムをつくる。そうでなければ、再び日本は同じような省庁間対立から国民の生命や安全を損ね、そして重要な日本の国益というものを損ねてしまうことになるわけであります。
つまり、明治時代以来の日本政治における根本的な問題、そして病理というもの、それに対して、今ここにいらっしゃる委員会の先生方がそれを乗り越えて、まさに新しい一歩を踏み出そうとしていらっしゃる。これは偉大なことであって、また誇りにするべきことであって、日本の政治の長い歴史の中でも大変すばらしい瞬間である。ぜひそのことを御理解いただきたいということを外交史の観点から申し上げたいと思っております。
また、私の専門であるイギリスの防衛政策。
従来は、アメリカのような大統領制だからこそ、そのスタッフ機能としてNSCが必要であったということが言われておりました。しかしながら、日本が模範としてきた議院内閣制のイギリスにおいて、二〇一〇年の五月十二日にNSCがつくられました。
なぜイギリスでNSCがつくられたのか。どのような経緯からそれが必要と思われたのか。そして、設立してから三年の間に、これが非常にうまく機能しています。そして、リビアの空爆の問題やシリアの問題をめぐって、閣僚間の調整等々をめぐって、非常にうまくこのNSCというものを通じてさまざまな議論が深められて、政府として統一的な見解がつくられているわけでございます。
なぜ議院内閣制のイギリスでNSCが必要と考えられたのか、そして、なぜイギリスで、そのような政治体制のもとでうまくいっているのかということを、また後ほど少しばかりお話をさせていただきたいと思っております。
そのNSCの意義、つまり、最初に申し上げました、日本においてリーダーシップというものが十分に機能しないことがあった。それは、首相、大臣個人の問題というよりも、制度的な問題であるということですね。その制度というものを改めなければ、この根源的な問題というものを解決できない。この点について、まず冒頭に三点、問題意識を申し上げさせていただきまして、その後に、留意すべき点を四点、お話をさせていただきたいと思います。
一点目は、先ほど申し上げたリーダーシップの不在というものが、制度的な問題に根差しているということでございます。この問題を解決しなければ、省庁間の対立というものが繰り返し日本の国益を損ねるということになるわけです。
とりわけ、近年の安全保障上の脅威というものが、これは、民主党政権下における尖閣沖の漁船衝突事件、あるいは東日本大震災もそうですが、これら多くの問題が、複数の省庁にまたがる、そして非常に短い時間で決断をしなければいけない難しい問題であった、複合的な問題であったということでございます。そしてそれが、私個人の認識としましては、首相、あるいは大臣、あるいは議員の方々個人の問題というよりも、そもそも制度的な欠陥からそれらの問題というものが十分効率的に対応できなかった。
そして、これからは同じような問題を繰り返してはいけない。ぜひここで、制度的な問題というものを克服して、そして、このような複合的な、非常に大きな安全保障上の問題に接したときに、政府として効率的に対応していただきたいというのが一点目でございます。
そして二点目が、近年の世界の潮流としまして、とりわけ先進国において、いわゆる中央執政府、これは政治学の用語でコアエグゼクティブと呼んでいますが、これが機能強化されているということが世界の趨勢でございます。
これは先ほど申し上げたイギリスにおけるNSCというものの設立も同様でございますが、世界的に先進国の間で中央執政府が強化されている。そして、この中央執政府、例えば、アメリカであれば大統領府、そしてイギリスであれば首相官邸、その首脳間の連携というものが、サミットの回数がふえているということも含めて、より一層重要になってきている。
その中で、日本だけが中央執政府にNSCを持たないということによって、この中央執政府のネットワーク、NSCのネットワークに日本が入れない。それによって、それらの諸国が共有しているような情報が日本に入ってこないということになる。この世界の潮流の中で日本が孤立して、このようなNSCをつくらないことによって首相官邸で十分な情報を集中させて迅速な決定ができないとすれば、これは日本の国益を損ねることになってしまうということでございます。
そして三点目が、先ほども少々触れさせていただきましたが、近年の日本を取り囲む問題が、とりわけ複合的となり、多面的となり、そして大きな問題となっている。それは一つの省庁では解決できない。冷戦時代とは異なり、現在の脅威というものが、非常に短い時間で迅速に対応しなければならない。そして、複数省庁間の連携というものが従来にも増して必要になっている。しかしながら、この新しい脅威、新しい時代において、それに対応する制度というものが今までは十分に整えられてこなかった。
これらの三点からしても、迅速に我々はNSCというものを樹立して、これらの問題というものを克服しなければいけないというふうに考えております。
東京大学名誉教授の北岡伸一先生は、御著書の中で次のように述べています。「戦前の陸軍と海軍の対立など、有名な例である。」これは省庁間の対立ということですが、「総合的な調整の必要なことは誰もがわかっていたが、ライバルの組織に譲ることだけは、受け入れようとしなかった。」ということですね。
このような問題を解決するためには、やはり制度的な変更というものは不可欠である。
その上で、続いて四点、留意するべき点を申し上げたいと思います。
まず一点目が、近年において、超党派的な安全保障上の合意というものが必要となり、それが生まれつつあるということでございます。
現在、安倍政権のもとで進めておりますこのNSCの設立の動きというもの、もともとは二〇〇七年に第一次安倍政権で種をまいたわけですが、それを育てたのは実は民主党政権だったということでございます。
すなわち、平成二十二年度の防衛大綱の中で、民主党政権でこれは閣議決定をされているわけでございますけれども、この民主党政権の防衛大綱の中でも、「首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する。」ということが、これは民主党政権下で合意されていて、その合意した大臣の中には海江田万里民主党代表も入っているわけですね。
つまり、この必要性ということは、必ずしも今の安倍政権で突然生まれたわけではなくて、実は民主党政権においても多くの先生方、閣僚の方々が認識していた問題であって、それに対してもまた取り組んでいたということでございます。
また、玄葉光一郎外務大臣が外務大臣の際に、NSCの重要性について、NSCをつくることによって「関係閣僚間の連携が一層促されるのであれば、積極的に進めるべきでしょう。実はそのような場は意外なほど少ないのが現実です。そういうNSCであれば、私は有益であると思います。」と。
つまりは、先ほど私が申し上げたとおり、明治時代以来続く日本の問題点、すなわち組織間の利害対立、そして大臣間で情報が共有されない、認識が共有されないという問題は、戦前の陸軍と海軍の対立だけではなくて、実は現在においても大きく変わっていない、そのことを恐らく玄葉大臣はおっしゃっていた。それを議論する場が少ないということですね。
イギリスにおけるNSCを設立した大きな意義としてしばしば指摘されるのが、大臣の間でコミュニティーの感覚が生まれつつある。つまりは、それ以前はそれぞれ下の組織から上がってきた省庁間、大臣の認識というものが、毎週一定時間、大臣間で緊密な協議をすることによって問題を共有し、閣僚の間で、とりわけ安全保障に関する重要閣僚の間で安全保障をめぐる認識が共有されている。このコミュニティーが生まれつつある。
そして、これは単に大臣間だけではございません。NSCをつくり、政府の官僚の方々の間で組織を超えた組織文化、新しい組織文化が生まれるということですね。それぞれの出身の省庁に戻ったとしても、問題を共有し、いわば政府一体となって、これは英語ではザ・ホウル・オブ・ガバメント・アプローチと呼んでいますが、そういったものが生まれる。これには時間がかかります。NSCをつくったからといって、すぐにそのような組織文化が生まれるとは思っておりません。数年あるいは数十年の時間が必要かもしれません。
しかしながら、今ここで新しい第一歩、勇気を出して一歩を踏み込むことによって、日本の政治に新しい組織文化を生み出して、そして、長い時間、一世紀を超えて日本の政治をむしばんできたこの深刻な組織間の利害対立というものを乗り越えるとすれば、それは、ここにいらっしゃる委員会の方々、先生方にとっては偉大な貢献であり、また第一歩だというふうに私は考えております。そしてそれが、先ほど申し上げたとおり、まさに党利党略を超えて超党派的な合意として生まれつつあるということが重要な点というふうに考えてございます。
二点目でございますが、人がいれば組織がなくてもうまくいくのではないかということは、私は、これは必ずしも当たらないというふうに考えております。
というのは、常に大臣、総理大臣が、有能な、外交、安保に精通した方々とは限らないということでございます。こちらの委員会にいらっしゃる先生方のように防衛、安全保障に精通した方々であれば、いつ大臣になっても、総理になっても、恐らくは、連携を緊密に強化し、そして迅速な対応ができるかもしれません。しかしながら、さまざまな考慮から、防衛大臣、外務大臣が、外交、防衛に精通している方々、経験が深い方々がなるとは限りません。過去どういった方がそうではなかったかということは私は申し上げることはしませんが、しかしながら、常にそういった方々がつくとは限らない。
あるいは、例えば内閣の中で、内閣官房で副長官補あるいはその下の方々の間で緊密な連携がとられるということがあるかもしれない。先ほど参考人でお話しいただいた柳澤さんのような優秀な方が副長官補でいれば、もしかしたらNSCが必要ないのかもしれない。しかしながら、常にそういった方々がその重要なポストにつくとは限りません。
したがって、人に頼るのではなくて、どのような方が大臣あるいは内閣官房のポストについたとしても、緊密な協調、チームワークがつくれて、そして迅速な決定ができるということを制度として我々はつくらなければいけない。これが二点目でございます。
三点目でございますが、イギリスでなぜNSCというものがつくられたのか。これは実はブレア政権の反省です。ブレア政権のもとでは、内閣の制度を用いずに、プライベートなアドバイザーに依拠してブレアは重要な決定をしていきました。国家の命運にかかわる、あるいは国民の安全にかかわる重要な問題が、数人の私的なアドバイザーによって振り回されるということですね。このようなことがあってはならない。やはり制度的に、専門的な見地を持ったすぐれた専門家の方々がNSCに六十人あるいはそれ以上集まることによって、そのような数人のアドバイザーに振り回されて政策が混乱をすることがない。そういったことが、今回のキャメロン政権ではNSCをつくる大きな動機となったわけでございます。
そして、まさにキャメロン政権はそれを実践し、すぐれたアドバイザーに囲まれて、単なる数人のアドバイザーではなくて、あくまでも政府全体として、あるいはそれぞれの省庁の合意を得た上で重要な決定ができるということでございます。
そして、最後に四点目を触れて、私の発言を終わらせていただきたいと思います。
四点目は、先ほど少し触れさせていただきましたが、世界全体でNSCを強化する動きがある。そうすると、世界のNSCの担当者のネットワークの間で情報を共有し、重要な決定がされる。これは、首脳間の交流が緊密になっているということと無関係ではございません。首相のもとで、NSC、局長に当たる方あるいは補佐官が各国のカウンターパートの方々と緊密に連携することによって、難しい問題が解決できるかもしれない。しかし、日本にそのポストがなければ、このネットワークに入ることができないわけですね。このネットワークに入れないことによって、国家間で重要な情報が共有できずに、また、信頼関係が、意思疎通が緊密化できないとしたら、そのことが日本の安全保障を考える上で重要な欠落となるということでございます。
この点からしましても、ここにいらっしゃる先生方におかれましては、ぜひとも迅速にこのNSCというものを設立し、首相官邸の機能を強化していただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →今まで、三人の参考人の先生方、非常に貴重な、御自身の実務的な観点、御経験から、重厚な、有意義なお話をいただいたと思います。
私は、やや異なる観点から、外交史を研究する立場、あるいはイギリスの安全保障政策、防衛政策を研究する立場から、今、このような形でNSCを日本でつくろうとしているということがどれだけ重要なことであって、また意義深いことであるかということをお話ししたいというふうに考えております。
外交史の研究を振り返ってみますと、実は、我々、日本の歴史を振り返るときに、非常に大きな誤解をしていたというふうに認識しております。
これはどういうことかと申しますと、近年、膨大な資料が公開されて、多くのすぐれた研究が生み出されてきましたが、戦前の日本の政治における根本的な問題点は、軍部の独裁ではない。そうではなくて、むしろ、余りにも首相あるいは首相官邸が権力がなさ過ぎた。なさ過ぎたことによって、組織間の対立が余りにも激しかったことによって、どれだけそのことが国益を損ねてきたのか。そのようなことが近年の研究からは明らかになっております。
資料を配付させていただきまして、例えば、静岡県立大学の森山優先生が、「日本はなぜ開戦に踏み切ったか」、膨大な軍の資料を用いて、あるいは外務省の資料を用いて書かれた御本の中で次のように書かれております。「日本の意思決定システムは、「船頭多くして船山に登る」状態だった。何か有効な解決策を実行しようとしても、誰かが強硬に反対すれば決定できない。まさに独裁政治の対極であった。」「結局、組織的利害を国家的利害に優先させ、国家的な立場から利害得失を計算することができない体制が、対米戦という危険な選択肢を浮上させたのである。」
つまりは、組織間の対立、それぞれの組織が首相あるいは大臣に重要な情報を上げない、そして、それぞれの大臣の間で問題の認識が共有されない、そういった中で、日本は繰り返し道を誤ってきたわけでございます。
つまりは、余りにも首相に権力がない、情報が集まらない、そして省庁間の調整がなされていないことがこれまで日本の歴史で多くの利害を損ねてきたのだとすれば、今必要なことはその逆である。まさに首相官邸に、機能を強化し、権力を集中させ、そして情報を集めるシステムをつくる。そうでなければ、再び日本は同じような省庁間対立から国民の生命や安全を損ね、そして重要な日本の国益というものを損ねてしまうことになるわけであります。
つまり、明治時代以来の日本政治における根本的な問題、そして病理というもの、それに対して、今ここにいらっしゃる委員会の先生方がそれを乗り越えて、まさに新しい一歩を踏み出そうとしていらっしゃる。これは偉大なことであって、また誇りにするべきことであって、日本の政治の長い歴史の中でも大変すばらしい瞬間である。ぜひそのことを御理解いただきたいということを外交史の観点から申し上げたいと思っております。
また、私の専門であるイギリスの防衛政策。
従来は、アメリカのような大統領制だからこそ、そのスタッフ機能としてNSCが必要であったということが言われておりました。しかしながら、日本が模範としてきた議院内閣制のイギリスにおいて、二〇一〇年の五月十二日にNSCがつくられました。
なぜイギリスでNSCがつくられたのか。どのような経緯からそれが必要と思われたのか。そして、設立してから三年の間に、これが非常にうまく機能しています。そして、リビアの空爆の問題やシリアの問題をめぐって、閣僚間の調整等々をめぐって、非常にうまくこのNSCというものを通じてさまざまな議論が深められて、政府として統一的な見解がつくられているわけでございます。
なぜ議院内閣制のイギリスでNSCが必要と考えられたのか、そして、なぜイギリスで、そのような政治体制のもとでうまくいっているのかということを、また後ほど少しばかりお話をさせていただきたいと思っております。
そのNSCの意義、つまり、最初に申し上げました、日本においてリーダーシップというものが十分に機能しないことがあった。それは、首相、大臣個人の問題というよりも、制度的な問題であるということですね。その制度というものを改めなければ、この根源的な問題というものを解決できない。この点について、まず冒頭に三点、問題意識を申し上げさせていただきまして、その後に、留意すべき点を四点、お話をさせていただきたいと思います。
一点目は、先ほど申し上げたリーダーシップの不在というものが、制度的な問題に根差しているということでございます。この問題を解決しなければ、省庁間の対立というものが繰り返し日本の国益を損ねるということになるわけです。
とりわけ、近年の安全保障上の脅威というものが、これは、民主党政権下における尖閣沖の漁船衝突事件、あるいは東日本大震災もそうですが、これら多くの問題が、複数の省庁にまたがる、そして非常に短い時間で決断をしなければいけない難しい問題であった、複合的な問題であったということでございます。そしてそれが、私個人の認識としましては、首相、あるいは大臣、あるいは議員の方々個人の問題というよりも、そもそも制度的な欠陥からそれらの問題というものが十分効率的に対応できなかった。
そして、これからは同じような問題を繰り返してはいけない。ぜひここで、制度的な問題というものを克服して、そして、このような複合的な、非常に大きな安全保障上の問題に接したときに、政府として効率的に対応していただきたいというのが一点目でございます。
そして二点目が、近年の世界の潮流としまして、とりわけ先進国において、いわゆる中央執政府、これは政治学の用語でコアエグゼクティブと呼んでいますが、これが機能強化されているということが世界の趨勢でございます。
これは先ほど申し上げたイギリスにおけるNSCというものの設立も同様でございますが、世界的に先進国の間で中央執政府が強化されている。そして、この中央執政府、例えば、アメリカであれば大統領府、そしてイギリスであれば首相官邸、その首脳間の連携というものが、サミットの回数がふえているということも含めて、より一層重要になってきている。
その中で、日本だけが中央執政府にNSCを持たないということによって、この中央執政府のネットワーク、NSCのネットワークに日本が入れない。それによって、それらの諸国が共有しているような情報が日本に入ってこないということになる。この世界の潮流の中で日本が孤立して、このようなNSCをつくらないことによって首相官邸で十分な情報を集中させて迅速な決定ができないとすれば、これは日本の国益を損ねることになってしまうということでございます。
そして三点目が、先ほども少々触れさせていただきましたが、近年の日本を取り囲む問題が、とりわけ複合的となり、多面的となり、そして大きな問題となっている。それは一つの省庁では解決できない。冷戦時代とは異なり、現在の脅威というものが、非常に短い時間で迅速に対応しなければならない。そして、複数省庁間の連携というものが従来にも増して必要になっている。しかしながら、この新しい脅威、新しい時代において、それに対応する制度というものが今までは十分に整えられてこなかった。
これらの三点からしても、迅速に我々はNSCというものを樹立して、これらの問題というものを克服しなければいけないというふうに考えております。
東京大学名誉教授の北岡伸一先生は、御著書の中で次のように述べています。「戦前の陸軍と海軍の対立など、有名な例である。」これは省庁間の対立ということですが、「総合的な調整の必要なことは誰もがわかっていたが、ライバルの組織に譲ることだけは、受け入れようとしなかった。」ということですね。
このような問題を解決するためには、やはり制度的な変更というものは不可欠である。
その上で、続いて四点、留意するべき点を申し上げたいと思います。
まず一点目が、近年において、超党派的な安全保障上の合意というものが必要となり、それが生まれつつあるということでございます。
現在、安倍政権のもとで進めておりますこのNSCの設立の動きというもの、もともとは二〇〇七年に第一次安倍政権で種をまいたわけですが、それを育てたのは実は民主党政権だったということでございます。
すなわち、平成二十二年度の防衛大綱の中で、民主党政権でこれは閣議決定をされているわけでございますけれども、この民主党政権の防衛大綱の中でも、「首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する。」ということが、これは民主党政権下で合意されていて、その合意した大臣の中には海江田万里民主党代表も入っているわけですね。
つまり、この必要性ということは、必ずしも今の安倍政権で突然生まれたわけではなくて、実は民主党政権においても多くの先生方、閣僚の方々が認識していた問題であって、それに対してもまた取り組んでいたということでございます。
また、玄葉光一郎外務大臣が外務大臣の際に、NSCの重要性について、NSCをつくることによって「関係閣僚間の連携が一層促されるのであれば、積極的に進めるべきでしょう。実はそのような場は意外なほど少ないのが現実です。そういうNSCであれば、私は有益であると思います。」と。
つまりは、先ほど私が申し上げたとおり、明治時代以来続く日本の問題点、すなわち組織間の利害対立、そして大臣間で情報が共有されない、認識が共有されないという問題は、戦前の陸軍と海軍の対立だけではなくて、実は現在においても大きく変わっていない、そのことを恐らく玄葉大臣はおっしゃっていた。それを議論する場が少ないということですね。
イギリスにおけるNSCを設立した大きな意義としてしばしば指摘されるのが、大臣の間でコミュニティーの感覚が生まれつつある。つまりは、それ以前はそれぞれ下の組織から上がってきた省庁間、大臣の認識というものが、毎週一定時間、大臣間で緊密な協議をすることによって問題を共有し、閣僚の間で、とりわけ安全保障に関する重要閣僚の間で安全保障をめぐる認識が共有されている。このコミュニティーが生まれつつある。
そして、これは単に大臣間だけではございません。NSCをつくり、政府の官僚の方々の間で組織を超えた組織文化、新しい組織文化が生まれるということですね。それぞれの出身の省庁に戻ったとしても、問題を共有し、いわば政府一体となって、これは英語ではザ・ホウル・オブ・ガバメント・アプローチと呼んでいますが、そういったものが生まれる。これには時間がかかります。NSCをつくったからといって、すぐにそのような組織文化が生まれるとは思っておりません。数年あるいは数十年の時間が必要かもしれません。
しかしながら、今ここで新しい第一歩、勇気を出して一歩を踏み込むことによって、日本の政治に新しい組織文化を生み出して、そして、長い時間、一世紀を超えて日本の政治をむしばんできたこの深刻な組織間の利害対立というものを乗り越えるとすれば、それは、ここにいらっしゃる委員会の方々、先生方にとっては偉大な貢献であり、また第一歩だというふうに私は考えております。そしてそれが、先ほど申し上げたとおり、まさに党利党略を超えて超党派的な合意として生まれつつあるということが重要な点というふうに考えてございます。
二点目でございますが、人がいれば組織がなくてもうまくいくのではないかということは、私は、これは必ずしも当たらないというふうに考えております。
というのは、常に大臣、総理大臣が、有能な、外交、安保に精通した方々とは限らないということでございます。こちらの委員会にいらっしゃる先生方のように防衛、安全保障に精通した方々であれば、いつ大臣になっても、総理になっても、恐らくは、連携を緊密に強化し、そして迅速な対応ができるかもしれません。しかしながら、さまざまな考慮から、防衛大臣、外務大臣が、外交、防衛に精通している方々、経験が深い方々がなるとは限りません。過去どういった方がそうではなかったかということは私は申し上げることはしませんが、しかしながら、常にそういった方々がつくとは限らない。
あるいは、例えば内閣の中で、内閣官房で副長官補あるいはその下の方々の間で緊密な連携がとられるということがあるかもしれない。先ほど参考人でお話しいただいた柳澤さんのような優秀な方が副長官補でいれば、もしかしたらNSCが必要ないのかもしれない。しかしながら、常にそういった方々がその重要なポストにつくとは限りません。
したがって、人に頼るのではなくて、どのような方が大臣あるいは内閣官房のポストについたとしても、緊密な協調、チームワークがつくれて、そして迅速な決定ができるということを制度として我々はつくらなければいけない。これが二点目でございます。
三点目でございますが、イギリスでなぜNSCというものがつくられたのか。これは実はブレア政権の反省です。ブレア政権のもとでは、内閣の制度を用いずに、プライベートなアドバイザーに依拠してブレアは重要な決定をしていきました。国家の命運にかかわる、あるいは国民の安全にかかわる重要な問題が、数人の私的なアドバイザーによって振り回されるということですね。このようなことがあってはならない。やはり制度的に、専門的な見地を持ったすぐれた専門家の方々がNSCに六十人あるいはそれ以上集まることによって、そのような数人のアドバイザーに振り回されて政策が混乱をすることがない。そういったことが、今回のキャメロン政権ではNSCをつくる大きな動機となったわけでございます。
そして、まさにキャメロン政権はそれを実践し、すぐれたアドバイザーに囲まれて、単なる数人のアドバイザーではなくて、あくまでも政府全体として、あるいはそれぞれの省庁の合意を得た上で重要な決定ができるということでございます。
そして、最後に四点目を触れて、私の発言を終わらせていただきたいと思います。
四点目は、先ほど少し触れさせていただきましたが、世界全体でNSCを強化する動きがある。そうすると、世界のNSCの担当者のネットワークの間で情報を共有し、重要な決定がされる。これは、首脳間の交流が緊密になっているということと無関係ではございません。首相のもとで、NSC、局長に当たる方あるいは補佐官が各国のカウンターパートの方々と緊密に連携することによって、難しい問題が解決できるかもしれない。しかし、日本にそのポストがなければ、このネットワークに入ることができないわけですね。このネットワークに入れないことによって、国家間で重要な情報が共有できずに、また、信頼関係が、意思疎通が緊密化できないとしたら、そのことが日本の安全保障を考える上で重要な欠落となるということでございます。
この点からしましても、ここにいらっしゃる先生方におかれましては、ぜひとも迅速にこのNSCというものを設立し、首相官邸の機能を強化していただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
額
額
左
左藤章#11
○左藤委員 おはようございます。四人の先生方、本当にありがとうございます。
きょうはNSCの件で先生方の御意見をいただきながら、共通しているのは、これは絶対必要だということであります。その中で、また、大変な問題、これは、情報をしっかりとるんだ、正しい情報をしっかりやるんだということが、それぞれの先生方の共通の認識だったと思います。
そこで、まことに恐縮ですが、宮家先生にちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
実は、先ほどアルジェリアの問題がございました。当時、城内先生、外務大臣政務官だったんですが、クロアチアにおられて、すぐアルジェリアへ飛んでいきました。すごいスピードで対応していただいたんですが、なかなかアルジェリア政府から、また、現地の情報がなかなか入りにくかった。これは、我が国も、一生懸命やっていても、なかなか現地の情報がとれなかった。これは、一つは、海外における日本の情報が、どれだけのものがとれているのか。
また、それに対して、そのときいろいろなことを言われました。スペインはもっと前もってわかっていたんじゃないかとか、イギリスもわかっていたんじゃないかとか、いろいろな御意見がありましたけれども、宮家先生が外務省におられたことも踏まえながら、こういう日本の状況、そして、情報がしっかりこれで、このNSCをとることによってさらにどういうぐあいにとれるようになるのか、お考えをちょっと伺えればと思います。
この発言だけを見る →きょうはNSCの件で先生方の御意見をいただきながら、共通しているのは、これは絶対必要だということであります。その中で、また、大変な問題、これは、情報をしっかりとるんだ、正しい情報をしっかりやるんだということが、それぞれの先生方の共通の認識だったと思います。
そこで、まことに恐縮ですが、宮家先生にちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
実は、先ほどアルジェリアの問題がございました。当時、城内先生、外務大臣政務官だったんですが、クロアチアにおられて、すぐアルジェリアへ飛んでいきました。すごいスピードで対応していただいたんですが、なかなかアルジェリア政府から、また、現地の情報がなかなか入りにくかった。これは、我が国も、一生懸命やっていても、なかなか現地の情報がとれなかった。これは、一つは、海外における日本の情報が、どれだけのものがとれているのか。
また、それに対して、そのときいろいろなことを言われました。スペインはもっと前もってわかっていたんじゃないかとか、イギリスもわかっていたんじゃないかとか、いろいろな御意見がありましたけれども、宮家先生が外務省におられたことも踏まえながら、こういう日本の状況、そして、情報がしっかりこれで、このNSCをとることによってさらにどういうぐあいにとれるようになるのか、お考えをちょっと伺えればと思います。
宮
宮家邦彦#12
○宮家参考人 ありがとうございます。
耳の痛いお話でございまして、NSCとは直接関係ないかもしれませんけれども、アルジェリアにおいては確かに十分な情報がとれなかったという反省はございました。
私は、アラビア語でございますので、ちょっとだけ反論させていただきたいんですが、アルジェリアというのは、フランスの植民地だったこともあって、フランス語が結構通じまして、そして、英語は余り使えないわけでございまして、あそこで仕事をするためには、実はフランス語とアラビア語に堪能でなければいけないのでございます。外務省でも、実は、フランス語とアラビア語が堪能な人は、英語をしゃべる人は結構いますが、なかなか人を養成するのは難しい。そういう意味では、なかなか盲点であったろうと思います。
もう一点だけ申し上げれば、情報というのは、確かに工作員が、秘密のジェームズ・ボンドみたいな人がいて持ってくるというイメージをお持ちかもしれませんけれども、情報機関の基本は、公開情報の十分な読み込みと総合的な分析が最初でございます。その作業をしないで、ただ単に情報だけをとってくるということでは、実は立派な情報機関はできないと思っています。
やはり、工作員もしくは情報収集のオペレーターと、それからそれを分析するアナリスト、この二つがうまく連携をして初めて立派な情報機関ができるだろうと思っております。その意味でも、日々勉強しなければいけないと思っています。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →耳の痛いお話でございまして、NSCとは直接関係ないかもしれませんけれども、アルジェリアにおいては確かに十分な情報がとれなかったという反省はございました。
私は、アラビア語でございますので、ちょっとだけ反論させていただきたいんですが、アルジェリアというのは、フランスの植民地だったこともあって、フランス語が結構通じまして、そして、英語は余り使えないわけでございまして、あそこで仕事をするためには、実はフランス語とアラビア語に堪能でなければいけないのでございます。外務省でも、実は、フランス語とアラビア語が堪能な人は、英語をしゃべる人は結構いますが、なかなか人を養成するのは難しい。そういう意味では、なかなか盲点であったろうと思います。
もう一点だけ申し上げれば、情報というのは、確かに工作員が、秘密のジェームズ・ボンドみたいな人がいて持ってくるというイメージをお持ちかもしれませんけれども、情報機関の基本は、公開情報の十分な読み込みと総合的な分析が最初でございます。その作業をしないで、ただ単に情報だけをとってくるということでは、実は立派な情報機関はできないと思っています。
やはり、工作員もしくは情報収集のオペレーターと、それからそれを分析するアナリスト、この二つがうまく連携をして初めて立派な情報機関ができるだろうと思っております。その意味でも、日々勉強しなければいけないと思っています。
ありがとうございました。
左
左藤章#13
○左藤委員 今先生がおっしゃったように、情報機関の重要性がございますが、安全保障局を我が国はつくるわけであります。そこにいろいろな、各省庁からそれぞれの方々が出向して、情報を共有しよう。
先ほど細谷先生もおっしゃったけれども、それぞれの省庁間の、お互いに秘密にしたり、縄張り争いをやったりと、そういうつまらぬことではこの国の安全は守れないわけであります。その中で、外務省、防衛省、それに、よく言われますが、私はそれ以外に、やはり警察庁また公安調査庁、こういうものを含めた総合的な組織をつくる必要があるんだろうと思います。
今、安全保障局の、はっきり決まっておりませんけれども、約六十人という話が出ておりますけれども、これは、アメリカは二百人と言われております。これについて、今の数字、これから決める話なんですが、妥当性があるのか、少ないのか、こんなものなのかということを、済みませんが、宮家先生そして柳澤先生からお聞きをさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →先ほど細谷先生もおっしゃったけれども、それぞれの省庁間の、お互いに秘密にしたり、縄張り争いをやったりと、そういうつまらぬことではこの国の安全は守れないわけであります。その中で、外務省、防衛省、それに、よく言われますが、私はそれ以外に、やはり警察庁また公安調査庁、こういうものを含めた総合的な組織をつくる必要があるんだろうと思います。
今、安全保障局の、はっきり決まっておりませんけれども、約六十人という話が出ておりますけれども、これは、アメリカは二百人と言われております。これについて、今の数字、これから決める話なんですが、妥当性があるのか、少ないのか、こんなものなのかということを、済みませんが、宮家先生そして柳澤先生からお聞きをさせていただきたいと思います。
宮
宮家邦彦#14
○宮家参考人 ありがとうございます。
アメリカがNSCを最初につくったときは、たしか九人で始めました。今は二百人もしくは三百人という話もございます。数が多い方がいいとは思いますが、多ければいいというものでもございません。六十人というのは、アメリカよりははるかにいいスタートだったと私は思います。
その中で、今御指摘のあったインテリジェンスコミュニティー、外、防、警察、公安調査庁も含めて、私は、ここに実は大きな問題があって、この問題を解決しないと、実は先に進めないと思っていることが一つございます。それは、インテリジェンスコミュニティーの中で情報を共有することであります。
残念ながら、今は、CIAでもどこでもいいんですが、外からとってきて、それを精査もせずに上に上げる、スピードを競っております。そういうことでは、私は立派な情報機関はできないと思っています。先ほど申し上げたように、情報をとってくることのスピードではなくて、分析の内容の結果を競うべきだと考えております。
この発言だけを見る →アメリカがNSCを最初につくったときは、たしか九人で始めました。今は二百人もしくは三百人という話もございます。数が多い方がいいとは思いますが、多ければいいというものでもございません。六十人というのは、アメリカよりははるかにいいスタートだったと私は思います。
その中で、今御指摘のあったインテリジェンスコミュニティー、外、防、警察、公安調査庁も含めて、私は、ここに実は大きな問題があって、この問題を解決しないと、実は先に進めないと思っていることが一つございます。それは、インテリジェンスコミュニティーの中で情報を共有することであります。
残念ながら、今は、CIAでもどこでもいいんですが、外からとってきて、それを精査もせずに上に上げる、スピードを競っております。そういうことでは、私は立派な情報機関はできないと思っています。先ほど申し上げたように、情報をとってくることのスピードではなくて、分析の内容の結果を競うべきだと考えております。
柳
柳澤協二#15
○柳澤参考人 アメリカのNSC、私も必ずしも専門ではございませんが、なぜ二百人というか、あるいは二百人をどうデマケしているかということが問題なんだろうと思います。
アメリカは、御案内のように、もう世界じゅうでいろいろな外交、軍事のオペレーションを展開しておりますので、基本的には、地域担当の統括官を何人か置いて、そのもとにスタッフを張りつける結果、それで二百人という数字になっているんだろうと思います。
我が国の場合でも、スタッフをどうやっていくのか、地域別にやっていくのか、あるいはファンクションでもって分けていくのかということはありますが、そういったところがこれからの課題になっていくんだろう。
それから、必ずしも意見が全く違うわけではございませんで、基本は宮家さんのおっしゃることもそのとおりだと思いますが、一番直近に官邸にいた経験を持つ私からすれば、今は、それほど各省庁の縄張り争いで、我々が、内閣官房が本当に困り切っているというような状況は、少なくとも私の経験上はなかったと思います。それだけ官邸の機能強化は進められている。ただ、それ以上に、さらにいかに賢い安全保障政策を立てていくか、そこが課題なんだろうと思っております。
この発言だけを見る →アメリカは、御案内のように、もう世界じゅうでいろいろな外交、軍事のオペレーションを展開しておりますので、基本的には、地域担当の統括官を何人か置いて、そのもとにスタッフを張りつける結果、それで二百人という数字になっているんだろうと思います。
我が国の場合でも、スタッフをどうやっていくのか、地域別にやっていくのか、あるいはファンクションでもって分けていくのかということはありますが、そういったところがこれからの課題になっていくんだろう。
それから、必ずしも意見が全く違うわけではございませんで、基本は宮家さんのおっしゃることもそのとおりだと思いますが、一番直近に官邸にいた経験を持つ私からすれば、今は、それほど各省庁の縄張り争いで、我々が、内閣官房が本当に困り切っているというような状況は、少なくとも私の経験上はなかったと思います。それだけ官邸の機能強化は進められている。ただ、それ以上に、さらにいかに賢い安全保障政策を立てていくか、そこが課題なんだろうと思っております。
左
左藤章#16
○左藤委員 今、情報機関の問題で、正しい情報、そしていろいろな交錯することもございますけれども、それを判断する能力、これが一番大事だろうと思いますが、その中で、我々はどうしても、たくさんの方の情報をとるためにいろいろなことをしなきゃならない、いろいろなアンテナを張っていかなきゃならないということには間違いないと思います。
そういう面で、ちょっと細谷先生にお聞きしたいんですが、イギリスは議院内閣制で大統領制じゃありません。それでもうまくいっているとおっしゃっていました。その中で、情報のとり方、そして決定の仕方、これはイギリスはどうなっているんでしょうか。ひとつ教えていただければと思います。
この発言だけを見る →そういう面で、ちょっと細谷先生にお聞きしたいんですが、イギリスは議院内閣制で大統領制じゃありません。それでもうまくいっているとおっしゃっていました。その中で、情報のとり方、そして決定の仕方、これはイギリスはどうなっているんでしょうか。ひとつ教えていただければと思います。
細
細谷雄一#17
○細谷参考人 イギリスについてでございますが、やはり日本と大きな違いというものが、インテリジェンスコミュニティーというものが確立しているということだと思います。
つまり、日本の場合は、例えば防衛省は防衛省、あるいは外務省は外務省という、それぞれのコミュニティーはありますが、その垣根を越えたコミュニティーというものはつくられていない。
まさに、それぞれの省庁の違いがあったとしても、情報を扱う専門家として、エキスパートとして、いわゆる国益を実現するためのインテリジェンスコミュニティーというもの、それは、省庁からMI5、MI6に入ったり出たりすることはありますが、それを繰り返すことによって独自のインテリジェンスコミュニティーという文化がつくられて、コミュニティーの意識というものがつくられる。
この意識があるかないかということが恐らく日本とイギリスの大きな違いであって、日本でNSCをつくる、そして、これは恐らくある程度の時間がかかるんだろうと思います。時間がかかりながらも、インテリジェンスコミュニティーというものをつくり、省庁の垣根を越えて、同じ情報を扱うプロとして協力をして、それを総理あるいは政府に上げていくという、これが恐らくイギリスと日本の違いであって、イギリスでそれが機能をする大きな要因になっているんだろうと思っております。
この発言だけを見る →つまり、日本の場合は、例えば防衛省は防衛省、あるいは外務省は外務省という、それぞれのコミュニティーはありますが、その垣根を越えたコミュニティーというものはつくられていない。
まさに、それぞれの省庁の違いがあったとしても、情報を扱う専門家として、エキスパートとして、いわゆる国益を実現するためのインテリジェンスコミュニティーというもの、それは、省庁からMI5、MI6に入ったり出たりすることはありますが、それを繰り返すことによって独自のインテリジェンスコミュニティーという文化がつくられて、コミュニティーの意識というものがつくられる。
この意識があるかないかということが恐らく日本とイギリスの大きな違いであって、日本でNSCをつくる、そして、これは恐らくある程度の時間がかかるんだろうと思います。時間がかかりながらも、インテリジェンスコミュニティーというものをつくり、省庁の垣根を越えて、同じ情報を扱うプロとして協力をして、それを総理あるいは政府に上げていくという、これが恐らくイギリスと日本の違いであって、イギリスでそれが機能をする大きな要因になっているんだろうと思っております。
左
左藤章#18
○左藤委員 今、イギリスの話を教えていただきましたけれども、これは日本としてもそれをやっていかなきゃならないんだろう、このように思います。
そういう面で、柳澤先生は政府の中にいたわけであります。先ほど、もう垣根はほとんどなくなりつつありますよとおっしゃっていましたけれども、今、イギリスの方向性として我が国は対応できる、しなきゃなりませんが、感触としてはどんな感じでしょうか、いけると思いますか。
この発言だけを見る →そういう面で、柳澤先生は政府の中にいたわけであります。先ほど、もう垣根はほとんどなくなりつつありますよとおっしゃっていましたけれども、今、イギリスの方向性として我が国は対応できる、しなきゃなりませんが、感触としてはどんな感じでしょうか、いけると思いますか。
柳
柳澤協二#19
○柳澤参考人 この手のお話には、これで十分ということはないんだろうと思っております。
私なんかは、むしろ、私の経験、自分が汗をかいたところの記憶しかないからそのように申し上げるのかもしれませんけれども、当時、官房長官、事務副長官の指導のもとに、問題意識の共有は相当できていた。ただ、国内情報を扱っている官庁と海外情報を扱っている役所は、それは席を同じにしても、なかなかお互いに融通はできない側面はあるのは仕方がないので、そういうものはそういうものとして、また別の形で取り扱いをやっていた。
コミュニティーがあるかないかというのは、白か黒かという話ではなくて、その間にいろいろなグラデーションがある。ただ、そういうものができつつある状況ではあると思います。であるがゆえに、こういうものを仮につくったとしても、そういうことを目指していく土台はあるんだろうということだと思っております。
この発言だけを見る →私なんかは、むしろ、私の経験、自分が汗をかいたところの記憶しかないからそのように申し上げるのかもしれませんけれども、当時、官房長官、事務副長官の指導のもとに、問題意識の共有は相当できていた。ただ、国内情報を扱っている官庁と海外情報を扱っている役所は、それは席を同じにしても、なかなかお互いに融通はできない側面はあるのは仕方がないので、そういうものはそういうものとして、また別の形で取り扱いをやっていた。
コミュニティーがあるかないかというのは、白か黒かという話ではなくて、その間にいろいろなグラデーションがある。ただ、そういうものができつつある状況ではあると思います。であるがゆえに、こういうものを仮につくったとしても、そういうことを目指していく土台はあるんだろうということだと思っております。
左
左藤章#20
○左藤委員 ありがとうございます。
国家安全保障局の方ですが、ここに局長がおられる。これが、NSCの諸外国とのカウンターパートになる。これは日本でいうと、総理大臣補佐官がおられるわけですね。先ほど宮家先生は、そこでアドバイスをしながら、出ていくのは局長の方だ、それがいいんだ、こうおっしゃっていました。
それ以外に、実は、内閣危機管理監というのがございます。これは、もちろん危機管理と、先ほどおっしゃった、国家全体の安全保障とは違うから両立をするんだという話もありますけれども、これは、あるところにあったら、一人でいいんじゃないかという話を言う方もおられます。
これについて、柳澤先生、宮家先生はどうお考えですか。もう一度お願いを申し上げたいと思います。
この発言だけを見る →国家安全保障局の方ですが、ここに局長がおられる。これが、NSCの諸外国とのカウンターパートになる。これは日本でいうと、総理大臣補佐官がおられるわけですね。先ほど宮家先生は、そこでアドバイスをしながら、出ていくのは局長の方だ、それがいいんだ、こうおっしゃっていました。
それ以外に、実は、内閣危機管理監というのがございます。これは、もちろん危機管理と、先ほどおっしゃった、国家全体の安全保障とは違うから両立をするんだという話もありますけれども、これは、あるところにあったら、一人でいいんじゃないかという話を言う方もおられます。
これについて、柳澤先生、宮家先生はどうお考えですか。もう一度お願いを申し上げたいと思います。
宮
宮家邦彦#21
○宮家参考人 私の個人的な経験で申し上げれば、やはり餅は餅屋だと思っております。
危機管理というのはやはり独特の能力といいますか、識見といいますか、経験なしにはできないことだと思いますが、危機管理の専門家が必ずしも政策立案の専門家ではありません。また、外国の事情に詳しく、歴史も言語も詳しい人が、十分危機管理ができるとも思いません。そこは、同じ事象でも、危機管理的な側面と政策立案的な側面というのは、やはり切り分けすることは可能だと思っておりますし、それについては、できれば独立したオフィスないし担当の方を置いて、相互補完的に仕事をする方が結局はうまくいくと思っています。
確かに、最近、アメリカでは、NSCの中に危機管理的な要素を持ち込んで、今、統一しているということも聞いております。しかし、それはあくまでもNSCというものがしっかりできていて初めてでき上がることであって、今のように、日本では屋根は一つしかなくて、本来は二つあるべきところが一つしかないわけですから、まずはNSCの屋根をつくった上で、また、この後、必要であれば、どのように連携を深めていくかを考えることは重要だと思いますが、やはり、その二つの機能というのを一人に全てやってもらうというのは、物理的にも、それから内容面でもなかなか難しいのではないかというのが、私の経験則から出た結論でございます。
この発言だけを見る →危機管理というのはやはり独特の能力といいますか、識見といいますか、経験なしにはできないことだと思いますが、危機管理の専門家が必ずしも政策立案の専門家ではありません。また、外国の事情に詳しく、歴史も言語も詳しい人が、十分危機管理ができるとも思いません。そこは、同じ事象でも、危機管理的な側面と政策立案的な側面というのは、やはり切り分けすることは可能だと思っておりますし、それについては、できれば独立したオフィスないし担当の方を置いて、相互補完的に仕事をする方が結局はうまくいくと思っています。
確かに、最近、アメリカでは、NSCの中に危機管理的な要素を持ち込んで、今、統一しているということも聞いております。しかし、それはあくまでもNSCというものがしっかりできていて初めてでき上がることであって、今のように、日本では屋根は一つしかなくて、本来は二つあるべきところが一つしかないわけですから、まずはNSCの屋根をつくった上で、また、この後、必要であれば、どのように連携を深めていくかを考えることは重要だと思いますが、やはり、その二つの機能というのを一人に全てやってもらうというのは、物理的にも、それから内容面でもなかなか難しいのではないかというのが、私の経験則から出た結論でございます。
柳
柳澤協二#22
○柳澤参考人 私も、実感としましては、危機管理の仕事というのは、基本的に二十四時間官邸に張りつけの仕事であります。一方で、政策面でいろいろ外国とのカウンターパート関係を築くというようなことを仕事とされる方は、そういうわけには多分いかない。
ですから、そこは危機管理の初動対処のためのヘッドと、それから政策を中長期的に考えていくためのディビジョンのヘッドというのは、おのずと、任務付与をそういう形でしっかりすみ分けてやっていただかないと、実際問題として、そういう、外交、防衛に精通して国際情勢にも明るい、学問的な素養もある方が二十四時間官邸に張りつけになってというふうなことになるのは、人材の無駄でもあると思いますし、なかなかそういうことを引き受けてくれる方がいるとも思えないものですから、そういう運用上の工夫はぜひ必要なんだろうと思います。
この発言だけを見る →ですから、そこは危機管理の初動対処のためのヘッドと、それから政策を中長期的に考えていくためのディビジョンのヘッドというのは、おのずと、任務付与をそういう形でしっかりすみ分けてやっていただかないと、実際問題として、そういう、外交、防衛に精通して国際情勢にも明るい、学問的な素養もある方が二十四時間官邸に張りつけになってというふうなことになるのは、人材の無駄でもあると思いますし、なかなかそういうことを引き受けてくれる方がいるとも思えないものですから、そういう運用上の工夫はぜひ必要なんだろうと思います。
左
左藤章#23
○左藤委員 ありがとうございます。
それについて、永岩先生は現場の司令官として活躍されていた方なんですけれども、先ほど、これは現場の危機、いろいろすぐ判断をしなきゃならない、そういうことも踏まえながら、今のお話で、国家安全保障局がどのように持っていっていいのか、どのような方向性でいくのか、御意見を賜りたいと思います。
この発言だけを見る →それについて、永岩先生は現場の司令官として活躍されていた方なんですけれども、先ほど、これは現場の危機、いろいろすぐ判断をしなきゃならない、そういうことも踏まえながら、今のお話で、国家安全保障局がどのように持っていっていいのか、どのような方向性でいくのか、御意見を賜りたいと思います。
永
永岩俊道#24
○永岩参考人 補職にいかなる財産、引き出しをお持ちの方をアサインするかというのは、人事上、非常に苦労するわけですが、私は、いずれのポストにつく際も、皆、最初は初心者マークなんだろうなというふうに思います。
大事なのは、そのアサインされる前に、いわゆるリーダーシップトレーニング、あるいは、センターカウンシルを指揮する上でのエクササイズですね、リーダーシップトレーニング、それをしっかりやる。それまでの体制というのですか、それをしっかり築く必要があるなと。
事態が発生して、それは問題解決なわけですから、状況をいかに掌握し、迅速に答えを案出し、適用し、行動させ、また、とった行動の反省をし、戦略を立てる。そのサイクルで、実は指揮所活動はなされるわけです。
報告のときにコンバインド・エア・オペレーションズ・センターということを申し上げましたが、それは、エア・タスキング・オーダー、タスキング・オーダーという、四十八時間あるいは七十二時間等のサイクルでそれを転がしながら、状況掌握、対処、意思決定、行動、行動の監視ということをやっておりますので、そういった体制自体をしっかりつくるというのが大事なんだろうなというふうに思うところであります。
この発言だけを見る →大事なのは、そのアサインされる前に、いわゆるリーダーシップトレーニング、あるいは、センターカウンシルを指揮する上でのエクササイズですね、リーダーシップトレーニング、それをしっかりやる。それまでの体制というのですか、それをしっかり築く必要があるなと。
事態が発生して、それは問題解決なわけですから、状況をいかに掌握し、迅速に答えを案出し、適用し、行動させ、また、とった行動の反省をし、戦略を立てる。そのサイクルで、実は指揮所活動はなされるわけです。
報告のときにコンバインド・エア・オペレーションズ・センターということを申し上げましたが、それは、エア・タスキング・オーダー、タスキング・オーダーという、四十八時間あるいは七十二時間等のサイクルでそれを転がしながら、状況掌握、対処、意思決定、行動、行動の監視ということをやっておりますので、そういった体制自体をしっかりつくるというのが大事なんだろうなというふうに思うところであります。
左
左藤章#25
○左藤委員 では、改めて永岩先生にお聞きしますが、先ほど細谷先生が、首相機能を強化する、これが日本がこれから国際社会で間違わずにいく方法だろうということをおっしゃっていましたけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
この発言だけを見る →永
左
左藤章#27
○左藤委員 どうもありがとうございます。
国家安全保障局の中に四大臣が入ります。その下に幹事というのが入ることになっています。その幹事は誰だというと、事務次官だということになります。
そうすると、それぞれの省庁が安全保障局に出向して、そこでいろいろなキャップをまとめて、またそこで、事務次官も入った会議、まあ、意見を述べるかどうかは別として、こういうことをすることによって、さらに意思疎通が、また情報をしっかりと共有することが私はできると思うんですが、それについて宮家先生のお考えはどうでしょうか。幹事を置くということです。
この発言だけを見る →国家安全保障局の中に四大臣が入ります。その下に幹事というのが入ることになっています。その幹事は誰だというと、事務次官だということになります。
そうすると、それぞれの省庁が安全保障局に出向して、そこでいろいろなキャップをまとめて、またそこで、事務次官も入った会議、まあ、意見を述べるかどうかは別として、こういうことをすることによって、さらに意思疎通が、また情報をしっかりと共有することが私はできると思うんですが、それについて宮家先生のお考えはどうでしょうか。幹事を置くということです。
宮
左