我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

2015-08-05 参議院 全401発言

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会議録情報#0
平成二十七年八月五日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月四日
    辞任         補欠選任
     森屋  宏君     上月 良祐君
     金子 洋一君     白  眞勲君
     櫻井  充君     小川 敏夫君
     杉  久武君     平木 大作君
     真山 勇一君     寺田 典城君
     仁比 聡平君     大門実紀史君
     井上 義行君     山口 和之君
     福島みずほ君     又市 征治君
 八月五日
    辞任         補欠選任
     二之湯武史君     大沼みずほ君
     那谷屋正義君     藤末 健三君
     山口 和之君   アントニオ猪木君
     江口 克彦君     浜田 和幸君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鴻池 祥肇君
    理 事
                石井 準一君
                佐藤 正久君
                塚田 一郎君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                北澤 俊美君
                福山 哲郎君
                荒木 清寛君
                小野 次郎君
    委 員
                愛知 治郎君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                大沼みずほ君
                北村 経夫君
                上月 良祐君
                高橋 克法君
                豊田 俊郎君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                森 まさこ君
                山下 雄平君
                山本 一太君
                山本 順三君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                大塚 耕平君
                大野 元裕君
                小西 洋之君
                那谷屋正義君
                白  眞勲君
                広田  一君
                藤末 健三君
                蓮   舫君
                谷合 正明君
                平木 大作君
                矢倉 克夫君
                寺田 典城君
                井上 哲士君
                大門実紀史君
              アントニオ猪木君
                山口 和之君
                浜田 和幸君
                水野 賢一君
                又市 征治君
                主濱  了君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       経済産業大臣   宮沢 洋一君
       防衛大臣
       国務大臣     中谷  元君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣     山谷えり子君
   大臣政務官
       防衛大臣政務官  石川 博崇君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       前田  哲君
       内閣官房内閣審
       議官       山本 条太君
       内閣官房内閣審
       議官       土本 英樹君
       内閣官房内閣審
       議官       槌道 明宏君
       外務大臣官房審
       議官       下川眞樹太君
       外務大臣官房参
       事官       滝崎 成樹君
       外務省北米局長  冨田 浩司君
       外務省中東アフ
       リカ局長     上村  司君
       外務省中東アフ
       リカ局アフリカ
       部長       丸山 則夫君
       外務省国際法局
       長        秋葉 剛男君
       外務省領事局長  三好 真理君
       外務省国際情報
       統括官      岡   浩君
       防衛大臣官房長  豊田  硬君
       防衛大臣官房技
       術監       外園 博一君
       防衛省防衛政策
       局長       黒江 哲郎君
       防衛省運用企画
       局長       深山 延暁君
       防衛省人事教育
       局長       真部  朗君
       防衛省経理装備
       局長       三村  亨君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資
 するための自衛隊法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す
 る諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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鴻池祥肇#1
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨四日、森屋宏君、井上義行君、杉久武君、真山勇一君、福島みずほ君、金子洋一君、櫻井充君及び仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として上月良祐君、山口和之君、平木大作君、寺田典城君、又市征治君、白眞勲君、小川敏夫君及び大門実紀史君が選任されました。
 また、本日、二之湯武史君及び江口克彦君が委員を辞任され、その補欠として大沼みずほ君及び浜田和幸君が選任されました。
    ─────────────
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鴻池祥肇#2
○委員長(鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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北村経夫#3
○北村経夫君 自由民主党の北村経夫でございます。中谷大臣、岸田大臣、連日お疲れさまでございます。
 今日質問させていただくわけでございますけれども、今朝の新聞を見ましてちょっと驚いたことがございます。今朝の東京新聞でございますけれども、その一面によりますと、安倍総理が、アメリカのイージス艦が単独で来ることはないと発言した、答弁したわけでありますね。そして、自衛隊が集団的自衛権に基づき米艦への攻撃に反撃できるようにする法案の必要性に疑問が強まった、こういう記事が載っておりました。
 昨日もこの質疑の中で、日本を防衛する米国の艦艇が単独で行動することはあり得ない、米艦艇が日本の艦艇に防護してもらうといった状況はあり得ないという主張がございました。私は、あり得るというふうに思っております。その辺、大臣の見解を伺います。
 もう一点、世界最強であるアメリカの艦艇が攻撃を受けたら、そもそもほかの米艦艇が反撃するものである、また、仮に米艦艇を自衛隊が防護しても、自衛隊は敵基地能力を有していない、したがって米国が日本に防護を要請することはあり得ない、又はその蓋然性は極めて低いという、そういう主張もなされたわけであります。米国が日本に防護を要請することはあり得るのではないかと私は思っております。
 昭和五十年でございますけれども、丸山昂防衛局長が米艦防衛について質疑の中でこう答えております。我が国の防衛のために必要であるなら出ていく、あり得るという答弁を行っているわけでございます。昭和五十年というのは圧倒的にアメリカの力が強かったときであります。それでも日本の自衛隊はあり得るというふうに答弁しているわけであります。
 そういうこともあるわけでございますが、大臣の明快な見解を伺います。
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中谷元#4
○国務大臣(中谷元君) 艦艇の運用につきましては状況に応じて異なるために、個別具体的な運用状況を網羅的に申し上げることはできませんが、その上で申し上げれば、警戒監視等に当たっては、その任務の内容、また海域における状況によりまして、単独で航行することもあれば複数で行動することもあり得るものでありまして、米艦艇が単独で行動することはあり得ないとは言えないものと考えます。
 また、例えば米国が既に武力攻撃を受けている状況におきまして米軍が自らの防護に万全を期すること、これは当然でありますが、多くの艦艇がその攻撃の排除に集中をしている状況におきまして、警戒監視に当たっているイージス艦等の艦艇の防護につきましては同盟国である我が国に依頼するといったケースも考えられます。さらに、日米は従来から我が国の武力攻撃事態において海上作戦を共同で行うことも想定をしておりまして、日米の艦艇が相互に防護する状況は現行法制下におきましても想定し得るものと考えております。また、先般公表いたしました日米ガイドラインにおきましても、自衛隊と米軍は、適切な場合に、アセット、これの防護において協力することを明記をいたしております。
 したがいまして、自衛艦が米艦艇を防護する状況はあり得ない、その蓋然性は極めて低いとの御指摘は当たらないものだと考えております。
 また、日米は従来から我が国の武力攻撃におきまして海上作戦を共同で行うということも想定をしておりまして、日米の艦艇が相互に防護する状況は現行法制下においても想定をするということでございまして、存立危機事態における米艦艇の防護につきましても、公海上における米艦艇に対する存立危機、武力攻撃を排除することを念頭に置いているわけでございまして、具体的に例えれば、米艦艇に対して飛来するミサイルを撃ち落としたり、公海上で米艦を攻撃する潜水艦からの魚雷に対処するなどの行動があり得ますが、陸上から攻撃を行う相手方のアセットを直接的に攻撃することを念頭に置いているものではありません。
 したがいまして、存立危機事態において自衛隊が敵基地攻撃能力を有していなければ米艦艇の防護ができないわけではないということでございます。
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北村経夫#5
○北村経夫君 おっしゃるとおり、潜水艦から弾道ミサイルが飛んできたり、戦闘機からの攻撃もあるわけであります。そういう意味で、米艦防護というのはあり得るというふうに私も思うわけであります。
 それと、もう一点確認をしたいことがございます。昨日の質疑の中で、日本に対して直接の武力攻撃をしていない国に対して日本が武力行使を行うことはまさに先制攻撃であり、今後、我が国は先制攻撃が可能となる国になろうとしているという指摘がありました。
 これは誤解に基づいた主張ではないかというふうに思いますけれども、この点についても大臣の見解を伺います。
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中谷元#6
○国務大臣(中谷元君) 先制攻撃というのは、何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、ある国が自衛権、これを援用して武力を行使するという国際法上違法とされる行為をいうものでございます。
 限定的な集団的自衛権の行使は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生、これが大前提となっておりまして、先制攻撃ではありません。確かに、我が国に対する攻撃は発生しておりませんが、このような自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を実力をもって阻止することが正当化される、これが集団的自衛権でありまして、これは国際法上確立した権利でございます。
 このことを国際法上違法とされている先制攻撃と呼ぶということは誤りでありまして、例えば米国が、我が国がある国に攻撃をされた場合には、日米安保条約第五条に基づいて集団的自衛権を行使をして、我が国に対する武力攻撃を行った国に対して武力の行使を行うことになりますが、これを先制攻撃だとして非難をするとしたら、日米安保条約及びそれを中核とする日米安保体制、これを完全に否定をすることになると考えられます。
 したがいまして、国際社会の平和及び安全の維持のために国連憲章において認められる権利の行使につきまして、違法な行為を行っているようなことを言うべきではないということを強調したいと申し上げます。
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北村経夫#7
○北村経夫君 ありがとうございます。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。諸外国の反応についてでございます。
 日本の国民の皆さんは、この平和安全法制について外国は厳しく見ているのではないか、批判しているのではないかというふうに思っている方が多いと私は感じております。しかし、私自身、外国の政府が正式にこの平和安全法制について批判しているということを私は聞いたことがないわけであります。
 日本の方は外国の反応というのは日本のメディアを通して聞くわけでございますけれども、それは、外国の識者あるいは日本の専門家、あるいは社の論として、社説として批判している、そういうのが喧伝されて日本のマスコミで報じられるわけでありますけれども、マスコミというのは産経新聞もあれば朝日新聞もあるわけであります。二社だけ言えば申し訳ないので、読売新聞も毎日新聞も日経新聞も、全国五大紙というのがあり、地方紙というものがあるわけであります。それぞれが論説、社の論を持ち、編集権も持っているわけであります。これは民主国家として当たり前のことであり、守らなきゃいけないと私も思っているわけでございます。
 とかく出てくるのは、そういった外国の識者、あるいは社説を伝えているわけでありますけれども、大体目にすると批判的な記事が多いのは、これは事実であろうかというふうに思うわけであります。
 そこで、外務大臣に、外国政府の反応というものをお聞かせいただきたい。これまでどのようにこの平和安全法制について理解を求めてこられたか、そして具体的にどういう反応があったか、その辺を説明お願いいたします。
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岸田文雄#8
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の平和安全法制、そして国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方につきましては、総理、外務大臣、防衛大臣等を中心に、各国を訪問した際、さらには各国要人が我が国を訪問した際に丁寧に説明をしてきております。
 そして、その反応ですが、米国はもとより、豪州、ASEAN、ヨーロッパ、アフリカ、中東、中南米、こういった地域の圧倒的多数の諸国から、我が国が地域や国際社会の平和と安定により一層貢献していくものとして大きな支持が表明されていると受け止めています。
 最近の具体的な例だけ申し上げても、例えば今年六月ですか、フィリピンのアキノ大統領が我が国の衆参合同会議で演説を行われました。その際に、本国会で行われる審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持って注目している、こういった発言がありました。豪州のビショップ外相からも歓迎する発言があったと記憶していますし、最近私が会談した外務大臣、スリランカのサマラウィーラ外務大臣からも日本の平和維持・貢献への積極的な取組への期待が示されております。このように、多くの国から支持や歓迎の意が表されていると思っております。
 そして、それ以外の反応、例えば中国、韓国、こういった反応について御指摘があります。中国政府の報道官あるいは韓国政府の報道官からそれぞれ発言は行われておりますが、これは両国とも特に法案の内容を反対する旨の発言は行ってはいないと承知をしております。
 引き続き、各国に対しまして丁寧に説明をしていく所存であります。
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北村経夫#9
○北村経夫君 まあ、日本の国民の皆さんは、中国、韓国、この二つの国から大きな批判の声が上がっているというふうに受け止めておられるんだろうと思いますけれども、今外務大臣がおっしゃったように、韓国、中国政府が明示的に反対はしていないということでありました。
 民主党の岡田代表が、三日、韓国を訪れられまして、朴槿恵大統領と会談されました。これは報道によりますが、会談の中で岡田代表は、この平和安全法制、民主党としては反対しているということを述べられたというふうに報道されております。これに対して大統領は、韓国でも大きな関心を持って見ている、議論が平和と安定に寄与する形で進むことを望んでいるというふうに述べられておるわけであります。ここでも、わざわざ民主党の岡田代表が反対の意向を示したのに対して、韓国の大統領は反対ということははっきり言っていないということでございます。
 先ほど外務大臣が言われました、フィリピンのアキノ大統領が国会演説されました。先ほどの前に、大統領は、日本が平和維持のために国際社会に対して自らの責任を果たす上でより積極的に立場を取っているというふうに前置きがあったわけでございます。
 このように、明確な外国政府からの反対がないということは、やはり平和安全法制を含む日本の安全保障は地域の安定に貢献するものとしてほとんどの国から支持を受けているというふうに言えるのではないかと私は思うわけであります。政府は、こうした外国政府の声をもっと国民に説明する必要があろうかというふうに思うわけであります。
 岸田外務大臣、今晩からASEAN地域フォーラム閣僚会議に出席されるわけでありますけれども、更に理解が進むように一層の努力、そして各国の反応を国民の皆さんにもっともっと説明される必要があろうかというふうに思っておりますが、お願い申し上げます。
 さて、次に、私どもは、いろいろなところで様々な人にこの平和安全法制について説明をいたします。その中で、集団的自衛権、個別的自衛権あるいは集団安全保障ということを話しますと、ほとんどの人がそれは何なのかというふうに反応が返ってくるわけであります。こういった安全保障という高度で抽象的な概念を一般の人が理解するのは、私は難しいんだろうというふうに思いますけれども。
 そこで、そもそも論でありますけれども、集団的自衛権あるいは個別的自衛権、どういう概念なのか、そして全く別の概念である集団安全保障、そういったものを、歴史的背景を含めて、かみ砕いて説明を願いたいと思います。
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岸田文雄#10
○国務大臣(岸田文雄君) 集団的自衛権、そして個別的自衛権、そして集団安全保障について、歴史的背景も含めて説明するようにという御質問をいただきました。
 歴史的な背景を申し上げますと、まず、かつて戦争が一般的に合法であった時代がありました。二十世紀初頭までは国際法上戦争が合法であった時代が続いていたと承知していますが、その時代においては、あえてこの自衛権などによって武力の行使を正当化する必要はありませんでした。
 しかし、その後、国際連盟が設立され、そして不戦条約によって戦争の違法化が進められる、こうした動きがありました。こうした戦争の違法化が進められるのと同時並行的に自衛権の概念についても議論が行われた、こういった経緯をたどりました。
 その上で、戦後、国連憲章で国際関係における武力行使が原則として禁止され、国連安保理を中心とした集団安全保障措置が定められる。その一方で、安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的、集団的自衛権に基づく武力行使が認められた。これがこの集団的自衛権、個別的自衛権、集団安全保障の歴史的な経緯であります。
 そして、それはそれぞれどういうものかという質問もございましたが、個別的自衛権とは自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利といい、集団的自衛権とは自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利をいう、このように解されており、また、集団安全保障につきましては、国連憲章第七章において、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵害行為が行われた場合に、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため安保理が取ることのできる一連の行動について定めているわけですが、これらの一連の行動を総称して、講学上、集団安全保障の措置と呼ぶとされております。
 それぞれの説明については以上であります。
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北村経夫#11
○北村経夫君 国連憲章を読みますと、五十条までは集団安全保障の手続が述べられて、五十一条に突然、個別的、集団的自衛権といった全く違った概念が述べられているわけであります。
 これはそもそも、今説明がございましたけれども、どういうふうな過程で起きたか。これは、安保理、安全保障理事会が常任理事国、大国でございますけれども、その拒否権によって機能不全に陥る場合に備えて、中小の国が相互援助の行動が取れる制度的仕組みを取り入れたと言われているわけでございます。つまり、集団的自衛権は、集団安全保障体制の機能麻痺を補完そして代替するものと言えるのではないだろうかと思っております。
 次に、安全保障法制、質疑が続いているわけでございますけれども、日本は長年にわたって集団的自衛権は持っているが行使できないとしてまいりました。言い換えれば、こうした制約の中で、この見解に抵触しないような安保法制の下で安全保障法制あるいは自衛隊の編成、装備、そういうものを整備してきたわけでございます。このことは、複雑なこの安保法制の下でも日本の防衛は成立してきたということにほかならないのではないかというふうに思うわけであります。
 これは、戦後の東西冷戦下における日米安保条約によって米国に守られてきた、そういう事実がございます。だから、集団的自衛権を行使しなくても不利益が生じるというようなものではないとした昭和五十六年、一九八一年の政府見解を受け入れてきた。資料二にその見解が書いてございます。
 しかし、現在においてもそうした制約を課したまま日本は不利益を被らないと言えるのかどうか。鈴木内閣が不利益を生じるというようなものではないとする見解を示したのは一九八一年でございます。東西冷戦が崩壊したのが一九八九年、その八年前にこの見解が出されているわけであります。冷戦下における見解でございます。ちょうどその頃は、米ソによる核開発競争が続けられてきた。日本はアメリカの核の傘の下にあり、当時のソ連が日本に対し何か事を起こすならアメリカの核戦略がちらつく、そういった当時の日本を取り巻く安全保障環境だったわけであります。
 そうした状況でありますから、集団的自衛権を行使しなくても不利益を被らないとの見解は妥当性もあったかというふうに思うわけでございますけれども、しかし、東西冷戦の崩壊によって、世界は政治的にも経済的にも軍事的にも劇的に構造的な変化を起こしたわけであります。
 構造的変化、すなわち、中国やインドといった新興国が台頭し、グローバルなパワーバランスの変化、アメリカの相対的な力の低下、弾道ミサイルなどの軍事科学技術の変化、高度化、そして九・一一やISILのような国際テロ、さらにサイバーテロの脅威が高まってきた、こうした劇的な変化が今、今日起きているわけであります。新たな脅威が増し、日本を取り巻く状況が大きく変わった、このことを踏まえて議論をしなければ、観念的な安全保障の議論に陥ってしまうと私は思うわけであります。
 新たな脅威にどう備えるか。既存の防衛政策、防衛策が新たな脅威に対して通用しないとなれば、抑止というものは成立しないと言えるわけであります。そこでは新たな防衛政策が必要になる、このことが今の日本に突き付けられている課題ではないかと私は思っているわけであります。平和安全法制は、まさに新たな脅威から国民の生命、平和な暮らしを守る、そのための法制だと私は確信しております。
 そこで、質問いたします。この鈴木内閣が示した八一年の答弁書、集団的自衛権の行使は憲法上許されないことによって不利益が生じるというようなものではないとしております。日本への軍事的脅威が高まっているただいま現在、この不利益を被らないと果たして言えるのか、その辺の見解を求めます。
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中谷元#12
○国務大臣(中谷元君) 我が国を取り巻く安全保障環境、これはパワーバランスの変化、また技術革新の急速な進展によります兵器の能力の向上、また大量破壊兵器などの脅威、近年では海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びそれを妨げるリスク、これが拡散、深刻化をしていることなどによりまして、根本的に変容をするとともに一層厳しさを増しております。脅威は容易に国境を越えてやってきますし、もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできない、そういう時代になってきております。
 このような厳しさを増す安全保障環境に照らせば、新三要件、これを満たす場合における限定的な集団的自衛権の行使が許されないということは、我が国の存立を全うし国民を守ることができないということでありまして、不利益、これが生じることになると考えております。
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北村経夫#13
○北村経夫君 ありがとうございました。その不利益を被らない、それは時代とともに変わってきたという見解を示されました。
 国民の皆様の理解を深める、この法制について理解を深めるには、やはり脅威というものをもう一度認識していただくことが第一であろうというふうに思うわけでございますけれども、特に私は今日は軍事的脅威の具体的な説明をしていただきたい、質問いたしたいというふうに思っております。
 これまでも安全保障環境の変化というのは政府は繰り返し述べてきておられますけれども、軍事科学技術の発達についてより詳しい説明が必要ではないかというふうに思うわけであります。昨日も、公明党の矢倉委員が北朝鮮の弾道ミサイル等質問しておられました。そして、我が党の佐藤委員も、ほかの同僚委員も北朝鮮について詳しく質問してこられましたけれども、私は今日は中国について伺いたいと思います。
 中国は特に軍事技術の向上というのは著しいわけでございまして、まず中国の海空戦力の近代化について概略を説明していただきたいと思います。
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黒江哲郎#14
○政府参考人(黒江哲郎君) 中国の軍事力に関します御質問でございますけれども、特に中国は継続的に高い水準で国防費を増加させておると、これを受けまして、核・ミサイル戦力あるいは御指摘の海空軍の戦力、これらを中心としまして軍事力を広範かつ急速に強化をしておるということでございます。
 まず、海上戦力について申し上げますと、艦隊防空能力あるいは対艦攻撃能力の高い駆逐艦、フリゲートの増強、洋上補給艦など後方支援機能の整備、陸上兵力の洋上機動展開のための揚陸艦等の増強、中国初の空母遼寧の就役、通常動力、あと原子力双方でございますが、潜水艦の増強等によりまして、より遠方の海域において作戦を遂行する能力の構築を目指しているというふうに我々は考えております。
 また、航空戦力につきましては、現在の主力でございます第四世代の近代的戦闘機の着実な増加、また次世代の戦闘機と見られますJ20等の開発、空中給油機あるいは早期警戒管制機といった近代的な航空戦力の運用によりまして必要な能力を向上させるといったことで、空軍戦力につきましても、より遠方での制空戦闘及び対地・対艦攻撃が可能な能力等の向上を目指しておると、このように認識をいたしております。
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北村経夫#15
○北村経夫君 そこで、今も触れられましたけれども、戦闘機、第四世代の戦闘機、これは日本、中国それぞれの保有機数、どのくらいあるか。そして、在日米軍と第七艦隊の合わせた保有機数はどのくらいになるんでしょうか。
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黒江哲郎#16
○政府参考人(黒江哲郎君) 御質問の第四世代戦闘機の機数でございますけれども、まず我が国が保有する第四世代の戦闘機につきましては、F15及びF2でございますが、その総数は二百九十三機でございます。これに対しまして、中国のいわゆる第四世代戦闘機としまして、J10、SU27、J11、SU30といった機種でございますが、その総数は七百三十一機でございます。また、日本、自衛隊の保有します第四世代戦闘機と在日米軍及び第七艦隊に所属します同種の戦闘機、これを合わせますと、米軍につきましては約百九十機でございますので、自衛隊と合わせますと合計で約四百八十機という状況でございます。
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北村経夫#17
○北村経夫君 今説明があったように、日本とアメリカ軍の合計機数、第四世代の戦闘機に対して、中国は圧倒的な数を勝っているという事実があるわけでございます。
 実際の戦闘では、パイロットの練度あるいはレーダーの性能、そして基地の位置、様々な要素を考えなければならないのでありますけれども、数は質を補う性能を持っているというふうに言われるわけであります。これは補うどころか、戦力は数の二乗に比例するとも言われているわけでございます。こうした戦闘機の脅威というのは現実にあるということであります。
 次に、中国の弾道ミサイル、巡航ミサイル、これの保有、配備状況について説明をいただきたいんですけれども、そのうち、日本を射程内に収める弾道ミサイルはどれほど保有されているのか、そして弾道ミサイル、巡航ミサイル、この弾頭には何が積まれるのか、答えられる範囲で説明をお願いいたします。
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黒江哲郎#18
○政府参考人(黒江哲郎君) 中国が保有いたしております弾道ミサイル、巡航ミサイルの状況でございますが、公刊情報によりますと、射程の長いものから申し上げますと、大陸間弾道ミサイルにつきましては五十基ないし六十基、中距離の弾道ミサイルにつきましては八十ないし百二十基、短距離の弾道ミサイルについては千二百基以上、また、射程千五百キロメートル以上の巡航ミサイルにつきましては二百基から五百基というところで保有しているという形であるということでございます。
 また、それらの弾道ミサイルの弾頭に何が搭載可能かということでございますけれども、中距離あるいは大陸間の弾道ミサイルといったものにつきましては核の搭載ということが可能であると、そういう状況でございます。
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北村経夫#19
○北村経夫君 弾道ミサイル、巡航ミサイルによって、我が国は攻撃される脅威にさらされている。今の数字を見ても、大変な数の弾道ミサイルは我が国が射程内に入っているということが言えるわけであります。特に中国、あるいは、今お聞きしませんでしたけれども、ロシアも弾道・巡航ミサイルに核兵器が搭載され得るという状況がある。そして、北朝鮮もこの弾道ミサイルに積む核弾頭の小型化を急いでいると。昨日もこの委員会質疑の中でそういうことが述べられておりました。
 こうした脅威に対して、日本においては弾道ミサイルを迎撃する弾道ミサイル防衛、これが今や整備されるようになってきているわけであります。そして米国、米国は効果的な巡航ミサイル防衛システム、NIFC—CAというようなものがございますけれども、それを構築しようとしているわけであります。
 私は、最新鋭の装備の導入、そして効果的な運用によって随分脅威に対して対処ができるというふうに思っておりますけれども、平和安全法制によりどのような抑止力が高まっていくのか、その辺を明確にお答えいただきたいと思います。
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中谷元#20
○国務大臣(中谷元君) 外交を通じて平和を守るというのが重要なことであるということは言うまでもございませんが、今後とも積極的な平和外交、これは展開していく必要がございます。
 その一方で、万が一への備え、これも怠ってはならないわけでございまして、今回の平和安全法制、これが実現をいたしますと、国民の命と平和な暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまであらゆる事態に対して切れ目のない対応を行うことが可能となるわけでございまして、日本が危険にさらされたときに日米同盟、これは完全に機能するようになるわけでございます。
 さらに、それを世界に発信をすることによって紛争を未然に防止をする力、すなわち抑止力、これは更に高まって、日本が攻撃を受けるリスク、これは更に下がっていくと考えられます。
 また、日本が更に国際社会と連携して、地域そして世界の平和維持、発展のために協力をしていくことが可能になりまして、それによって世界平和が実現される、そういったことに貢献できるようになるというふうに考えております。
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北村経夫#21
○北村経夫君 次に、中国の海洋進出、無法な振る舞いであるように見えますけれども、海洋進出によって、その現状どうなっているかをお聞きしたいわけであります。
 この中国の近代化、日本に対する安全保障の大変な脅威になっている。そして、中国は、いわゆるA2AD、接近阻止、領域拒否、そういう戦略を追求していると言われております。これが進められることによって、我が国に具体的な影響、どういうものがあるか、大臣にお伺いいたします。
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中谷元#22
○国務大臣(中谷元君) 中国は、非常に透明性を欠いた中で軍事力を広範かつ急速に強化をしておりまして、その一環でいわゆるA2AD能力、これの強化に取り組んでいると見られます。
 これはどういうことかといいますと、中国にとって、周辺地域への他国の軍事力の接近、展開、これを阻止をし、また、当該地域での他国の軍事活動を阻止するための能力の向上につながるものであると考えられまして、我が国周辺を含めて、海洋における活動も質、量共に急速に拡大をしており、これらの活動には、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない非常に危険なものも見られるわけでありまして、例えば、二〇一二年以降、中国公船による尖閣諸島周辺海域における領海侵入の動きは著しく活発化をしまして、既に百回以上の領海侵入、これがされております。
 二〇一三年以降、この年末に、尖閣諸島をあたかも中国の領土であるかのような形で独自の主張に基づく東シナ海防空識別区、これを設定。そして、近年、中国機に対する緊急発進、スクランブルの回数も、五年前、二〇〇九年度と比較しまして十倍以上の水準となっている。
 また、二〇一三年には海上自衛隊の護衛艦に対する火器管制レーダーの照射事案が、二〇一四年には海上自衛隊、航空自衛隊の航空機に対する異常接近、この事案も発生をいたしておりまして、このような中国による軍事力の強化及び海洋進出を含む軍事動向等につきましては、その不透明性と相まって、我が国を含む地域、国際社会の安全保障上の懸念になっているものだというふうに認識しております。
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北村経夫#23
○北村経夫君 そういうふうに、東シナ海に極めて厳しい現実があるということだろうというふうに思います。
 ここの委員会でも質疑がございましたけれども、中国は東シナ海に十二基のプラットホームを建設している、更に建設が進められていると言われております。これを軍事転用、このプラットホームを軍事転用すれば、今言われた東シナ海上空に設定した防空識別圏、これが本当に機能することになり得る。そうなれば、自衛隊あるいは米軍の展開というものに大きな影響を与えるわけでございます。そうしたことを踏まえてこの平和安全法制を議論し、さらにその法整備、切れ目のない法整備をしていかなければならないというふうに思っているわけであります。
 最後に、もう一問質問をさせていただきます。
 武器等防護、アセット防護についてでございますけれども、日本の防衛のために米軍は平素から情報収集そして警戒監視というものを行っております。これらの米軍艦船を日本は防護しなくてもよいのかという議論もあり、そのための自衛隊法九十五条の二の改正と考えるわけであります。
 これまでどのような支障があり、この自衛隊法を改正することによってどのような意義があるのか、改めて説明をお願いいたします。
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中谷元#24
○国務大臣(中谷元君) 先ほどお話ししたように、我が国を取り巻く安全保障環境、これは厳しさを増しておりまして、やはり平素から自衛隊と米軍等が連携をして様々な活動を行う機会が増加をいたしておりまして、その重要性も一層高まっていると。
 そういう中で、自衛隊と米軍等の部隊が連携をして我が国の防衛に資する活動、これに従事をしている際に米軍等に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に、緊密に連携をして対応することが我が国の安全にとって非常に重要でもあるし、その対応に隙があっては我が国に脅威が及ぶことを防止できないというおそれがありまして、この度、自衛隊法第九十五条の二、これによりまして、自衛隊が米軍のアセット、装備品等の防護、これを行うことは平時における日米防衛協力の重要な要素といたしまして改正をお願いをしているところでございます。
 これによりまして、自衛隊と米軍の連携した警戒態勢等の強化につながり、日米同盟の抑止力、対処力、これが一層強化されることになるものと考えております。
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北村経夫#25
○北村経夫君 まだちょっと時間がございますので質問をもう一つしたいと思いますけれども、中谷大臣、先ほどもちょっと触れました米国のイージス艦に最新鋭のレーダーシステム、NIFC—CAの導入ということでございますけれども、このことについて説明できる範囲で御説明いただきたいと思います。
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中谷元#26
○国務大臣(中谷元君) 日々刻々、科学技術というものは進歩をいたしておりまして、いかにこういう点におきまして情報を収集をし、処理をし、対応する、スピードにおきましても精度においてもこれは求められることでございまして、米国もこのような新しいミサイル防衛システム、これを研究をいたしておるわけでございますので、我が国の安全保障にも非常にこれは密接に関係するものであるという見地で、我が国といたしましても米国等の対応を見守りながら検討を行っているというところでございます。
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北村経夫#27
○北村経夫君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
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三宅伸吾#28
○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。
 質問の機会をいただきまして、鴻池委員長を始め理事、委員の皆様、また答弁のためにお集まりを賜りました大臣、法制局長官の皆様、心より御礼を申し上げます。
 これまでの審議で明らかになったこと、安全保障環境が悪化する中で何らかの自衛のための措置は必要だということの理解は進んでいるわけでございますけれども、本法案に対してはなかなか理解が進んでいないということでございます。
 どうしてなんだろうかとずっと考えてきたわけでございます。北朝鮮、ミサイル・核開発でございます。薄気味悪いと感じる人が多いと思います。中国、膨大な軍事予算を重ねております。尖閣をうかがい、南シナ海では岩礁を埋め立てたわけでございます。一党独裁、膨張主義国家でございます。不気味で怖いというふうに、国民、思っている方は多いと思います。だから抑止力の向上が必要だということも分かっている方は増えてきていると思います。しかし、法案にはなぜか反対だという声が耳に届いてくるわけでございます。
 脚本家の倉本聰さんという方がいらっしゃいます。八月一日付けの日経新聞、「私の履歴書」でこのように述べておられます。「国を愛する気持ちはひと一倍だが、愛国心を強調すると右と批評される。国を守るのは大事なことだ。しかし、衆院を通過した安保法制には反対。戦争の臭いがするからだ。」と倉本さんは書いておられます。
 私には本法案が戦争のにおいは全くいたしません。ただ、やはり、私の四国香川の地元に戻りまして有権者の方とお話をしますと、倉本さんと同じような意見をおっしゃる方も一部にはいらっしゃるわけでございます。この法案は、国の独立と国際社会の中で日本の名誉と信頼に関わる重要なものでございます。やはり、そのことを国民に理解していただいて、スムーズに成立させることが必要だと考えます。
 国民の支持を受けて法案を成立させるための二つの条件があると私は思います。
 まず第一、国民の間で戦争への漠然とした大きな懸念、更に言えば、この懸念の背景には過去の軍国主義による大戦で味わった苦しみの記憶とその再発への不安があるように私には思えてなりません。だとすれば、本法案が戦争リスクを下げるものであること、そして戦争、軍国主義再発の懸念がないことを国民が理解すれば、国民が広く支持する形でこの法案を成立させることができると考えます。
 もちろん、憲法の話が難しく、政府の説明が国民の五臓六腑になかなかすとんと落ちていないのも、本法案が不人気の理由だと思います。分かりやすい憲法の話も必要であります。本日の質疑では、戦争リスクが高まる法案ではないこと、また、本法案が合憲であることを確かめたいと思っているわけでございます。
 まず第一の戦争への漠然とした大きな懸念、軍国主義再発への不安が不必要であることについて議論したいと思います。
 さきの大戦、評価はいろいろございます。例えば、一九五九年の砂川事件大法廷判決、十五人の裁判官が全員一致で下した評価はこうでございます。「わが国の誤つて犯すに至つた軍国主義的行動」と、こういうふうに最高裁大法廷は全員一致で述べております。自衛のために開戦したわけでございますけれども、終戦の決断が余りに遅過ぎたというのは、私は明らかだと思います。
 振り返れば、七十年前の明日、八月六日午前八時過ぎ、広島に原爆が投下されました。続いて、九日には長崎でも無辜の尊い命が失われました。二つの都市での犠牲者数二十万人以上とされております。空襲でも東京だけで十万人など、各地の空襲でもおびただしい数の人命が失われました。沖縄の地上戦では約二十万人もが亡くなったとされております。そしてまた、本土を遠く離れたアジア太平洋地域でも多数の軍人が戦死されました。銃弾ではなく、餓死、病死した人の数も数え切れません。その数、百万人前後とも言われております。
 日本は、刀折れ矢尽き、また補給路も早々と断たれたのに、なぜ戦争を継続したのか。早期に戦争を終えておけば、国内での空襲、沖縄地上戦の被害者、そして外地での餓死者、病死者数はかなり減ったはずでございます。なぜ早期終戦ができなかったのか、疑問は尽きないわけでございます。
 六月一日の衆議院の平安特の委員会におきまして、安倍総理、このように述べておられます。「大戦の結果、日本は敗戦を迎え、多くの人々が貴重な人命を失ったわけでありますし、アジアの人々にも多くの被害を及ぼした」、「そうした結果を生み出した日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のこと」と、このように総理は述べたわけでございます。
 歴史を振り返れば、様々な疑問が浮かびます。なぜ新聞は戦争をあおったのか、そして、なぜ新聞の論調に一部を除く政治家は迎合したのか、行け行けどんどんの空気が支配する状況にあってもノーと言える国家リーダーが必要だったわけです。しかし、そんな空気に支配されてからでは、実は手遅れかもしれません。ノーと言うリーダーは抹殺され、竹やりでB29に立ち向かえというような空気に拍車を掛ける新リーダーが喝采を浴びて登場する可能性も大だったのかもしれません。
 さきの大戦では、戦争相手国の惨状にも胸が痛みます。私たち一人一人が歴史を前に考えなければなりません。戦後七十年、政治社会システムは大きく変貌しましたけれども、日本は過去の過ちを繰り返さないほどに立派になったのか、そして、周辺諸国の状況はどうなのか、全てを総合判断し、国民の平和な暮らしと国の独立を守るために、憲法の枠内で必要なことは断行しなければならないと考えます。
 そこで、中谷防衛大臣にお聞きをいたします。
 戦前には、中国大陸などで軍部の暴走がありました。このため、過去の誤った軍国主義が再発しないかと心配している人も少なくないわけであります。私は、さきの大戦での失敗を繰り返さないために、戦後、我が国は何重もの制度的歯止めをつくり込んできたと考えます。過剰な自衛権の発動を防ぐ制度的な仕組みは今回の法案を含めきちんと整備されているのか、このことにつき、民主的統制の観点から、旧日本軍と自衛隊を取り巻く環境の違いなどを含め、国民が安心でき、政府に全幅の信頼を寄せられるような中谷大臣の深い歴史観に基づく答弁を求めたいと思います。
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中谷元#29
○国務大臣(中谷元君) 旧憲法下におきましては、まず統帥権の独立としまして、軍の作戦などに関する事項について内閣とか議会の統制の及び得ない範囲が広く認められていたということでありまして、一時期を除きまして、軍部大臣現役武官制として、陸海軍の大臣、これは現役軍人でなければならなかったために、事実上、軍の意向に沿う内閣でなければ成立しなかった、軍の賛成がなかったら国策を立てたりこれを遂行することができなかったというようなことから、軍が不当に国政に影響を与えていたということが考えられるわけでございます。
 そこで、戦後におきましては、終戦までの経緯に対する反省もありまして、自衛隊が国民の意思によって整備、運用されること、これを確保するために、例えば国民を代表する国会、ここが自衛官の定数、主要装備などを法律、予算の形で議決をし、また防衛出動などの承認を行うということ、国の防衛に関する事務、これは一般行政事務といたしまして内閣の行政権に完全に属し、その最高責任者である内閣総理大臣その他の国務大臣は憲法上文民でなければならないということ、そして、防衛省におきまして防衛大臣が自衛隊を管理、運営をして統制するなど、旧憲法下の体制とは全く異なり、各レベルで厳格な文民統制、この制度を採用をしてきているわけであります。
 現在、参議院におきまして御審議をいただいている平和安全法制が整備された後におきましても、こうした我が国の文民統制の考え方は揺るぎがないものであり、自衛権の行使について国会承認などの厳格な制度の下に慎重に判断をされていくことにつきましては何ら変わりがないわけでございまして、しっかりとこのシビリアンコントロール、この体制を維持してまいりたいと考えております。
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