予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成二十八年三月十日(木曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
三月九日
辞任 補欠選任
愛知 治郎君 中西 健治君
赤池 誠章君 佐藤 信秋君
井上 義行君 田中 茂君
島村 大君 赤石 清美君
羽生田 俊君 渡邉 美樹君
山下 雄平君 堀内 恒夫君
相原久美子君 田中 直紀君
河野 義博君 石川 博崇君
吉良よし子君 小池 晃君
儀間 光男君 清水 貴之君
川田 龍平君 小野 次郎君
和田 政宗君 中山 恭子君
山口 和之君 山田 太郎君
福島みずほ君 吉田 忠智君
三月十日
辞任 補欠選任
小池 晃君 井上 哲士君
小野 次郎君 川田 龍平君
中山 恭子君 和田 政宗君
山田 太郎君 山口 和之君
吉田 忠智君 福島みずほ君
渡辺美知太郎君 薬師寺みちよ君
平野 達男君 荒井 広幸君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 岸 宏一君
理 事
石井 準一君
宇都 隆史君
岡田 広君
高橋 克法君
二之湯武史君
堀井 巌君
長浜 博行君
野田 国義君
山本 香苗君
委 員
赤石 清美君
石田 昌宏君
猪口 邦子君
大野 泰正君
片山さつき君
古賀友一郎君
佐藤 信秋君
田中 茂君
高野光二郎君
中西 健治君
堀内 恒夫君
三木 亨君
三宅 伸吾君
渡邉 美樹君
大久保 勉君
大塚 耕平君
風間 直樹君
小西 洋之君
田中 直紀君
西村まさみ君
広田 一君
藤田 幸久君
荒木 清寛君
石川 博崇君
新妻 秀規君
井上 哲士君
小池 晃君
辰巳孝太郎君
東 徹君
清水 貴之君
小野 次郎君
川田 龍平君
中山 恭子君
和田 政宗君
山口 和之君
山田 太郎君
福島みずほ君
吉田 忠智君
薬師寺みちよ君
渡辺美知太郎君
荒井 広幸君
平野 達男君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 亮治君
公述人
経済評論家 林 健二郎君
東短リサーチ株
式会社代表取締
役社長チーフエ
コノミスト 加藤 出君
元統合幕僚会議
議長
公益社団法人隊
友会会長 西元 徹也君
慶應義塾大学名
誉教授・弁護士 小林 節君
水戸市長 高橋 靖君
日本労働組合総
連合会事務局長 逢見 直人君
─────────────
本日の会議に付した案件
○平成二十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前九時開会
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委員の異動
三月九日
辞任 補欠選任
愛知 治郎君 中西 健治君
赤池 誠章君 佐藤 信秋君
井上 義行君 田中 茂君
島村 大君 赤石 清美君
羽生田 俊君 渡邉 美樹君
山下 雄平君 堀内 恒夫君
相原久美子君 田中 直紀君
河野 義博君 石川 博崇君
吉良よし子君 小池 晃君
儀間 光男君 清水 貴之君
川田 龍平君 小野 次郎君
和田 政宗君 中山 恭子君
山口 和之君 山田 太郎君
福島みずほ君 吉田 忠智君
三月十日
辞任 補欠選任
小池 晃君 井上 哲士君
小野 次郎君 川田 龍平君
中山 恭子君 和田 政宗君
山田 太郎君 山口 和之君
吉田 忠智君 福島みずほ君
渡辺美知太郎君 薬師寺みちよ君
平野 達男君 荒井 広幸君
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出席者は左のとおり。
委員長 岸 宏一君
理 事
石井 準一君
宇都 隆史君
岡田 広君
高橋 克法君
二之湯武史君
堀井 巌君
長浜 博行君
野田 国義君
山本 香苗君
委 員
赤石 清美君
石田 昌宏君
猪口 邦子君
大野 泰正君
片山さつき君
古賀友一郎君
佐藤 信秋君
田中 茂君
高野光二郎君
中西 健治君
堀内 恒夫君
三木 亨君
三宅 伸吾君
渡邉 美樹君
大久保 勉君
大塚 耕平君
風間 直樹君
小西 洋之君
田中 直紀君
西村まさみ君
広田 一君
藤田 幸久君
荒木 清寛君
石川 博崇君
新妻 秀規君
井上 哲士君
小池 晃君
辰巳孝太郎君
東 徹君
清水 貴之君
小野 次郎君
川田 龍平君
中山 恭子君
和田 政宗君
山口 和之君
山田 太郎君
福島みずほ君
吉田 忠智君
薬師寺みちよ君
渡辺美知太郎君
荒井 広幸君
平野 達男君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 亮治君
公述人
経済評論家 林 健二郎君
東短リサーチ株
式会社代表取締
役社長チーフエ
コノミスト 加藤 出君
元統合幕僚会議
議長
公益社団法人隊
友会会長 西元 徹也君
慶應義塾大学名
誉教授・弁護士 小林 節君
水戸市長 高橋 靖君
日本労働組合総
連合会事務局長 逢見 直人君
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本日の会議に付した案件
○平成二十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
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岸
岸宏一#1
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
本日は、平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
本日は、平成二十八年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構です。
それでは、経済・財政について、公述人経済評論家林健二郎君及び東短リサーチ株式会社代表取締役社長チーフエコノミスト加藤出君から順次御意見を伺います。
まず、林公述人にお願いいたします。林公述人。
この発言だけを見る →本日は、平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
本日は、平成二十八年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構です。
それでは、経済・財政について、公述人経済評論家林健二郎君及び東短リサーチ株式会社代表取締役社長チーフエコノミスト加藤出君から順次御意見を伺います。
まず、林公述人にお願いいたします。林公述人。
林
林健二郎#2
○公述人(林健二郎君) おはようございます。林でございます。
本日は、このような機会を頂戴いたしまして、感謝しております。よろしくお願いします。
平成二十八年度予算案を支持する立場から、予算案の評価を含めて、経済の現状と展望について、課題等について御報告申し上げたいと思います。
日本経済は、御案内のとおり、アベノミクスの効果で回復に転じましたが、ここに来て、足取りが鈍っているようであります。主な原因は二つあります。一つは、世界貿易が縮小して我が国の輸出が減少していること、第二は、予想以上に消費税引上げの影響によって消費が停滞しているからであります。
まず、輸出減少の背景として世界経済をどう見るかということについて御説明させていただきます。資料を御覧ください。
先月末のG20財務相・中央銀行総裁会議で金融、財政、構造改革の政策総動員ということが合意されたわけでありますが、リーマン・ショックから九年間、九回の会議を振り返りますと、御案内のとおり、様々な対策を実施してまいりましたが、依然不安定な状況が続いているということであります。
第一回会合では、金融、財政など政策総動員を決めまして、それによって金融危機を回避はいたしましたが、その結果、先進国の中央銀行のバランスシートが膨張し、中国は膨大な過剰設備を抱え、資源国は原油の供給過剰という三つの過剰を抱えて、リーマン・ショックの後遺症が依然残っているという状況であります。昨今、中国の経済についてその失速が懸念されておりますが、先進国も一%程度のGDPギャップを抱えておりまして、依然デフレから脱却できていない状況と考えられます。
まず、アメリカでありますが、昨年の十二月、金融正常化に向けて利上げに踏み切りましたが、雇用と物価は依然改善道半ばでありまして、なお一%以上の需給ギャップを抱えております。
問題は、利上げを織り込んでドルが四割高騰したことでありまして、その結果、景気が減速しております。これまで、ドルが四割、実効レートでありますけれども、四割以上高騰して景気が失速しなかった例は過去にございません。この点で、ドル高はアメリカ経済のみならず世界経済にも深刻な影響を与えることでありますので、今後のアメリカの金融政策の運営に当たっては十分な配慮が求められるところであります。
次に、中国でありますけれども、四兆元の財政出動の後遺症で膨大な過剰設備を抱えているわけでありますが、稼働率から見て、現在の過剰設備の解消には十年以上掛かりそうであります。今回、全人代で第十三次五か年計画が発表されまして、供給サイドの構造改革を推進すると同時に、財政金融政策で景気の下支えをしようとしておりますが、貿易が急減少しておりまして、人民元レートのある程度の切下げが必要と見られますので、為替投機等を回避しながら経済のソフトランディングを果たすのはなかなか容易ではないというふうに考えられます。
原油価格につきましては、一年半の間に約百ドルから二十ドル台に、四分の一に暴落いたしましたが、過去四十年間の動きから見て、ほぼ大底に達した模様であります。今後、緩やかな回復が予想されますが、膨大な過剰設備を抱えておりまして、原油の低価格時代はしばらく続きそうであります。
とはいえ、光もございます。景気の先行指標である世界主要四十五か国の通貨供給量は昨年九月にプラスに転じまして、今年一月は前年同期比で三%程度の回復に転じた模様であります。世界の通貨供給量は、世界のGDP、世界貿易及び国際商品市況とかなりの相関関係がありますので、通貨供給量が増えれば、やがてGDPも増え、世界貿易も回復し、国際商品市況の底入れも可能であると考えられます。
原油価格が大底を打ち、ドル高もそろそろ転換点に来ているのではないかと思われます。中国も財政金融構造改革で経済の再建に取り組んでいるところであります。世界の主要国が金融・為替政策で緊密に協調して金融市場の動揺を抑えることができれば、世界経済は安定を取り戻すことができると期待しております。
次に、我が国の経済でありますけれども、昨年十—十二月は実質でGDP前期比年率一・一%のマイナスでございました。世界貿易が昨年後半から数量ベースでマイナスに転落すると同時に我が国の輸出もマイナスになり、生産が停滞しております。昨年十—十二月の寄与度で見ると、家計消費はマイナス二%でありまして、消費停滞の影響が大きかったことが分かります。家計調査で見ると、さきの消費税引上げ後の消費支出が大幅に落ち込みまして、一三年の一〇〇に対して今年一月、名目九五・九、実質九二・一で、消費税引上げ前の水準から大きく落ち込んでおります。GDP統計で見ても、実質家計最終消費支出を見ると、二〇一三年の二百五十四・四兆円に対して、一五年は二百四十六・八兆円で、七・六兆円下回っております。消費税引上げの家計消費への負担は約六兆円と見られますので、消費停滞の約八割がこれで説明されます。
消費税の引上げの影響が予想以上に大きかったのは、GDPギャップを抱えて需要が供給を下回る中で、消費税の引上げで財布のひもが一層締まって消費性向が低下したためと考えられます。この消費停滞に加えて、輸出の減少で景気の足取りはしばらく鈍い状況が続きそうであります。
幸い、原油を始め国際商品価格の下落で交易条件が大幅に改善いたしました。一三年の燃料輸入額は二十七・四兆円で、円建て燃料輸入価格が一三年の一五四・八から一六年一月の七七・八に五〇%下落しましたので、我が国は十三・六兆円の価格効果を得たことになります。
それにもかかわらず原油下落効果が余り現れていないのはなぜでしょうか。これは、原油が暴落すると、当初は原料価格の低下で業績が浮上しますが、製品価格への転嫁が進むにつれて売値が下落して業績が悪化します。しかし、原料価格の転嫁が終わって、原油安に見合った新しい価格体系に移行しますと、業績が回復し景気が浮上するというこれまでの経験則が当てはまっているのではないかと思われます。
目下のところ、原油安効果のほとんどが企業と家計の貯蓄にとどまっているようであります。この価格転嫁には大体一年間ぐらい掛かりますから、交易条件の改善効果が現れるのは平成二十八年度後半に遅れるのではないか、そういう可能性が高そうであります。
この原油安効果を最大限に生かすためには、円安の是正も必要であります。
円安は、輸出産業にはプラスですけれども、輸入にはマイナスであります。この原油安効果を最大限生かすためには、行き過ぎた円安の是正が求められます。平成二十八年度の日本経済は、前半は低空飛行だと思われますが、年度後半には徐々に明るさが出るのではないかと期待しております。
このデフレ脱却の指標であるGDPギャップを御覧いただきますと、アベノミクス効果もありまして、一二年十月から十二月のマイナス二・四%から、昨年十—十二月はマイナス一・六%に改善しつつあります。過去十五年間のGDPギャップとの相関係数を見ますと、企業の付加価値額は〇・七七、設備投資は〇・八三と高く、人件費との関係は〇・五〇であります。需給ギャップが解消すれば経済活動が活発化して賃金が増え、消費も増えて景気の好循環が始まると考えられますので、GDPギャップの解消こそが当面の急務と考えます。
景気の回復には為替の安定も必要であります。
アメリカは金融の出口戦略のために利上げをしたがっている、日本と欧州はデフレ脱却のためマイナス金利政策を取り、中国のハードランディングを回避するためにはある程度の人民元安が必要と考えられます。現状を放置すると、国際金融市場が不安定になりかねません。その意味で、さきのG20の蔵相・中央銀行総裁会議の合意を基に、伊勢志摩サミットに向けて金融・為替安定のための国際協調行動のリーダーシップを是非発揮していただきたいと思います。
日本経済が抱えるもう一つの課題は、所得格差の拡大であります。
内閣府の家計調査によると、世帯主の定期収入五分位階級別の世帯当たりの年間収入は、表で御覧のとおり、過去十五年間で第一分位から第五分位に至るまでこのような数字になっております。この意味で、中低所得層の減少が明確であります。格差拡大を抑制するためにアベノミクスの下で様々な施策が講じられておりますが、消費税再引上げに当たっては、この点にも十分な配慮が必要であります。
言うまでもなく、財政再建も重要な課題であります。
幸い、消費税の引上げと予算を上回る税収で公債等残高の対GDP比がピークアウトしつつあります。この流れを確かなものにするためには、経済を再生すると同時に消費税再引上げが必要でありますが、それによって景気が失速することがあってはならないわけであります。この意味で、さきの消費税引上げで消費が失速した教訓を生かすことが肝要であります。
そのために、第一は、平成二十八年度中にGDPギャップの解消を図ること、そのためには予算案の早期成立と速やかな執行及び原油安効果を最大限生かすことでありまして、第二は、消費税引上げに際して軽減税率の導入を行うことが適切と考えます。
御案内のとおり、消費税には、消費水準に応じて比例的に負担を求めることができる反面、所得に対する負担割合が逆進的となることに対する対策が必要であります。さきの消費税引上げに際して簡素な給付措置を講じられましたが、消費支出に対する食料の比率、エンゲル係数は所得が低いほど高いわけでありますから、食料を中心とした軽減税率の導入が効果的と考えられます。
最後に、六ページで御覧いただきましたように、過去百年余の国際商品価格の歴史を振り返りますと、ほぼ三十年に一度、三倍程度に高騰することを繰り返しております。いずれも新興国の台頭と国際紛争などを背景にして高騰し、暴落の後に新しい国際秩序が形成されております。今後、世界経済が回復するにしても、従来の延長線上ではなく、技術革新、金融、資本力をバックにした通貨の安定、人材、文化力などを背景に新しい国際秩序が形成されると見るべきではないかと思います。
この点で、我が国は、技術革新で世界をリードし、人材を育て、豊かな文化を発信することによって世界経済の新しい秩序づくりに貢献するチャンスであります。そのためにも、一日も早くデフレから脱却し、一億総活躍社会の実現を目指すための予算成立とその執行を期待しているわけであります。
以上であります。
この発言だけを見る →本日は、このような機会を頂戴いたしまして、感謝しております。よろしくお願いします。
平成二十八年度予算案を支持する立場から、予算案の評価を含めて、経済の現状と展望について、課題等について御報告申し上げたいと思います。
日本経済は、御案内のとおり、アベノミクスの効果で回復に転じましたが、ここに来て、足取りが鈍っているようであります。主な原因は二つあります。一つは、世界貿易が縮小して我が国の輸出が減少していること、第二は、予想以上に消費税引上げの影響によって消費が停滞しているからであります。
まず、輸出減少の背景として世界経済をどう見るかということについて御説明させていただきます。資料を御覧ください。
先月末のG20財務相・中央銀行総裁会議で金融、財政、構造改革の政策総動員ということが合意されたわけでありますが、リーマン・ショックから九年間、九回の会議を振り返りますと、御案内のとおり、様々な対策を実施してまいりましたが、依然不安定な状況が続いているということであります。
第一回会合では、金融、財政など政策総動員を決めまして、それによって金融危機を回避はいたしましたが、その結果、先進国の中央銀行のバランスシートが膨張し、中国は膨大な過剰設備を抱え、資源国は原油の供給過剰という三つの過剰を抱えて、リーマン・ショックの後遺症が依然残っているという状況であります。昨今、中国の経済についてその失速が懸念されておりますが、先進国も一%程度のGDPギャップを抱えておりまして、依然デフレから脱却できていない状況と考えられます。
まず、アメリカでありますが、昨年の十二月、金融正常化に向けて利上げに踏み切りましたが、雇用と物価は依然改善道半ばでありまして、なお一%以上の需給ギャップを抱えております。
問題は、利上げを織り込んでドルが四割高騰したことでありまして、その結果、景気が減速しております。これまで、ドルが四割、実効レートでありますけれども、四割以上高騰して景気が失速しなかった例は過去にございません。この点で、ドル高はアメリカ経済のみならず世界経済にも深刻な影響を与えることでありますので、今後のアメリカの金融政策の運営に当たっては十分な配慮が求められるところであります。
次に、中国でありますけれども、四兆元の財政出動の後遺症で膨大な過剰設備を抱えているわけでありますが、稼働率から見て、現在の過剰設備の解消には十年以上掛かりそうであります。今回、全人代で第十三次五か年計画が発表されまして、供給サイドの構造改革を推進すると同時に、財政金融政策で景気の下支えをしようとしておりますが、貿易が急減少しておりまして、人民元レートのある程度の切下げが必要と見られますので、為替投機等を回避しながら経済のソフトランディングを果たすのはなかなか容易ではないというふうに考えられます。
原油価格につきましては、一年半の間に約百ドルから二十ドル台に、四分の一に暴落いたしましたが、過去四十年間の動きから見て、ほぼ大底に達した模様であります。今後、緩やかな回復が予想されますが、膨大な過剰設備を抱えておりまして、原油の低価格時代はしばらく続きそうであります。
とはいえ、光もございます。景気の先行指標である世界主要四十五か国の通貨供給量は昨年九月にプラスに転じまして、今年一月は前年同期比で三%程度の回復に転じた模様であります。世界の通貨供給量は、世界のGDP、世界貿易及び国際商品市況とかなりの相関関係がありますので、通貨供給量が増えれば、やがてGDPも増え、世界貿易も回復し、国際商品市況の底入れも可能であると考えられます。
原油価格が大底を打ち、ドル高もそろそろ転換点に来ているのではないかと思われます。中国も財政金融構造改革で経済の再建に取り組んでいるところであります。世界の主要国が金融・為替政策で緊密に協調して金融市場の動揺を抑えることができれば、世界経済は安定を取り戻すことができると期待しております。
次に、我が国の経済でありますけれども、昨年十—十二月は実質でGDP前期比年率一・一%のマイナスでございました。世界貿易が昨年後半から数量ベースでマイナスに転落すると同時に我が国の輸出もマイナスになり、生産が停滞しております。昨年十—十二月の寄与度で見ると、家計消費はマイナス二%でありまして、消費停滞の影響が大きかったことが分かります。家計調査で見ると、さきの消費税引上げ後の消費支出が大幅に落ち込みまして、一三年の一〇〇に対して今年一月、名目九五・九、実質九二・一で、消費税引上げ前の水準から大きく落ち込んでおります。GDP統計で見ても、実質家計最終消費支出を見ると、二〇一三年の二百五十四・四兆円に対して、一五年は二百四十六・八兆円で、七・六兆円下回っております。消費税引上げの家計消費への負担は約六兆円と見られますので、消費停滞の約八割がこれで説明されます。
消費税の引上げの影響が予想以上に大きかったのは、GDPギャップを抱えて需要が供給を下回る中で、消費税の引上げで財布のひもが一層締まって消費性向が低下したためと考えられます。この消費停滞に加えて、輸出の減少で景気の足取りはしばらく鈍い状況が続きそうであります。
幸い、原油を始め国際商品価格の下落で交易条件が大幅に改善いたしました。一三年の燃料輸入額は二十七・四兆円で、円建て燃料輸入価格が一三年の一五四・八から一六年一月の七七・八に五〇%下落しましたので、我が国は十三・六兆円の価格効果を得たことになります。
それにもかかわらず原油下落効果が余り現れていないのはなぜでしょうか。これは、原油が暴落すると、当初は原料価格の低下で業績が浮上しますが、製品価格への転嫁が進むにつれて売値が下落して業績が悪化します。しかし、原料価格の転嫁が終わって、原油安に見合った新しい価格体系に移行しますと、業績が回復し景気が浮上するというこれまでの経験則が当てはまっているのではないかと思われます。
目下のところ、原油安効果のほとんどが企業と家計の貯蓄にとどまっているようであります。この価格転嫁には大体一年間ぐらい掛かりますから、交易条件の改善効果が現れるのは平成二十八年度後半に遅れるのではないか、そういう可能性が高そうであります。
この原油安効果を最大限に生かすためには、円安の是正も必要であります。
円安は、輸出産業にはプラスですけれども、輸入にはマイナスであります。この原油安効果を最大限生かすためには、行き過ぎた円安の是正が求められます。平成二十八年度の日本経済は、前半は低空飛行だと思われますが、年度後半には徐々に明るさが出るのではないかと期待しております。
このデフレ脱却の指標であるGDPギャップを御覧いただきますと、アベノミクス効果もありまして、一二年十月から十二月のマイナス二・四%から、昨年十—十二月はマイナス一・六%に改善しつつあります。過去十五年間のGDPギャップとの相関係数を見ますと、企業の付加価値額は〇・七七、設備投資は〇・八三と高く、人件費との関係は〇・五〇であります。需給ギャップが解消すれば経済活動が活発化して賃金が増え、消費も増えて景気の好循環が始まると考えられますので、GDPギャップの解消こそが当面の急務と考えます。
景気の回復には為替の安定も必要であります。
アメリカは金融の出口戦略のために利上げをしたがっている、日本と欧州はデフレ脱却のためマイナス金利政策を取り、中国のハードランディングを回避するためにはある程度の人民元安が必要と考えられます。現状を放置すると、国際金融市場が不安定になりかねません。その意味で、さきのG20の蔵相・中央銀行総裁会議の合意を基に、伊勢志摩サミットに向けて金融・為替安定のための国際協調行動のリーダーシップを是非発揮していただきたいと思います。
日本経済が抱えるもう一つの課題は、所得格差の拡大であります。
内閣府の家計調査によると、世帯主の定期収入五分位階級別の世帯当たりの年間収入は、表で御覧のとおり、過去十五年間で第一分位から第五分位に至るまでこのような数字になっております。この意味で、中低所得層の減少が明確であります。格差拡大を抑制するためにアベノミクスの下で様々な施策が講じられておりますが、消費税再引上げに当たっては、この点にも十分な配慮が必要であります。
言うまでもなく、財政再建も重要な課題であります。
幸い、消費税の引上げと予算を上回る税収で公債等残高の対GDP比がピークアウトしつつあります。この流れを確かなものにするためには、経済を再生すると同時に消費税再引上げが必要でありますが、それによって景気が失速することがあってはならないわけであります。この意味で、さきの消費税引上げで消費が失速した教訓を生かすことが肝要であります。
そのために、第一は、平成二十八年度中にGDPギャップの解消を図ること、そのためには予算案の早期成立と速やかな執行及び原油安効果を最大限生かすことでありまして、第二は、消費税引上げに際して軽減税率の導入を行うことが適切と考えます。
御案内のとおり、消費税には、消費水準に応じて比例的に負担を求めることができる反面、所得に対する負担割合が逆進的となることに対する対策が必要であります。さきの消費税引上げに際して簡素な給付措置を講じられましたが、消費支出に対する食料の比率、エンゲル係数は所得が低いほど高いわけでありますから、食料を中心とした軽減税率の導入が効果的と考えられます。
最後に、六ページで御覧いただきましたように、過去百年余の国際商品価格の歴史を振り返りますと、ほぼ三十年に一度、三倍程度に高騰することを繰り返しております。いずれも新興国の台頭と国際紛争などを背景にして高騰し、暴落の後に新しい国際秩序が形成されております。今後、世界経済が回復するにしても、従来の延長線上ではなく、技術革新、金融、資本力をバックにした通貨の安定、人材、文化力などを背景に新しい国際秩序が形成されると見るべきではないかと思います。
この点で、我が国は、技術革新で世界をリードし、人材を育て、豊かな文化を発信することによって世界経済の新しい秩序づくりに貢献するチャンスであります。そのためにも、一日も早くデフレから脱却し、一億総活躍社会の実現を目指すための予算成立とその執行を期待しているわけであります。
以上であります。
岸
加
加藤出#4
○公述人(加藤出君) おはようございます。東短リサーチの加藤でございます。
本日は、このような貴重な場で発言の機会を与えていただき、大変ありがとうございます。
今、林先生から世界経済の状況の御説明をいただきましたので、私の方からは、主に金融面の話を今日はさせていただこうと思います。
お手元の資料を御覧いただきますと、最初一枚めくっていただいて、二ページのところですけれども、中央銀行の資産の名目GDP比のグラフを載せています。
我が国の中央銀行である日銀は、一三年四月に二年程度でインフレ率を二%に引き上げると宣言して、国債などを大規模に購入する量的・質的緩和策、QQEを開始しました。その結果、市場から猛烈に国債を買い取っていますので、この赤い線のように、FRBやECBとは比較にならない勢いで日銀の資産が膨張しています。世界に類を見ない大胆な政策が行われていると言えます。
その結果、一番顕著に表れたのは、為替が円安方向にこの三年間動いてきて、それによって株高が起きてきたということで、次の三ページですけれども、円安、株高、それによる輸出大企業の収益向上、その結果、大手企業を中心とするベアの実現、また円安によるインバウンド観光客の急増ということが起きたということだと思います。
その点はいいわけですけれども、しかし、次の四ページ目ですけれども、インフレ率を二%に引き上げるということで始めた政策ですが、赤い線がインフレ率、消費者物価指数の総合から生鮮食品を除いたものですけれども、二〇一四年の四月、五月ぐらいは一%台半ばまで行きましたが、その後下がってきて、この一年近くはゼロ%近辺で推移していると。エネルギー要因が大きいですので、エネルギー価格を除いた青い線で見てみますと、これは一%前半まで最近上がっていたのですが、ここに来て下がり始めています。
円安傾向が止まってきましたので輸入価格の上昇が鈍ってきていますので、その点では、今後、これ緩やかに落ちてくる可能性もあるかと思います。
インフレ率が二%になかなか届かない、それから、年初からの金融市場の混乱が春の四月の春闘などにも悪影響を及ぼしてはまずいという恐らく判断だったと思いますけれども、日銀は、一月二十九日にマイナス金利政策を導入したわけです。従来のQQE、量的・質的緩和策にそれを加えるという形でマイナス金利政策が始まりました。五ページ目ですけれども、日銀当座預金を三つの階層に分けて、その一部分にマイナス金利を掛けるという政策が始まっております。
次の六ページ目ですけれども、この政策、基本的には本音の部分では円安誘導を狙っているのだと思います。ただ、日本のような大きな経済の中央銀行が通貨安誘導が目的だとは公式には言えないわけですので、ただ、実際はそういうことかなと思っておりますが、及びそれにより株価を押し上げるということが期待されていたんだと思いますけれども、六ページ目のグラフは、このマイナス金利政策が決定される前日の一月二十八日以降の主な国の株価指数、株式指数の変化を表しています。
日本は昨日までで二・三%下落していますけれども、ほかの主な国はこの一か月ちょっとの間上昇しています。ドイツの上昇が弱いのは、ドイツの大手金融機関の経営問題が言われたりとかいうようなこともありましたけれども、それを除くと欧米は緩やかに上昇していたわけです。あと、日本の株価の悪化の要因が中国のハードランディング懸念とよく言われますけれども、ただ、この一月ちょっとで見ますと、中国のこれは上海の株価ですが、それから香港はむしろ上昇しています。それから、原油要因で混乱しているともよく言われますけれども、右手の方で、ロシア、サウジアラビアあるいはブラジルはしっかりと上昇しているということで、この一月ちょっとというのは、世界的には、緩やかですけれどもリスクオフと言われる危険回避行動がやや緩んでいた一か月ちょっとだったと言えます。
ところが、日本の方はマイナスになっているというのは、一つにはマイナス金利政策の負の側面が表れてしまったということかと思います。その負の側面というのは、一つは、金融機関の収益が相当悪化するだろうということで金融株、特に銀行株が急落したと、それから、日銀の黒田総裁の政策で円安誘導していくということがどうもなかなかうまく今後もいかないかもという市場の見方もあって円高方向に来ているわけですけれども、それによる輸出企業の株が下がっているというようなことが相まったということかと思います。
また、次の七ページ目ですが、消費者のマインドもこの一月ほどは悪化している面があります。昨日発表されました内閣府の消費動向調査の消費者態度指数を見ますと、上に行くと消費者のマインドが良くて下に行くと悪化ですけれども、二月に入ってどの所得層においても急激な悪化が見られます。この日銀の緩和策、今回の緩和策が始まった一三年四月の水準よりはいずれも低いところにいるという状態です。ただ、マイナス金利政策、また後ほど触れますが、実際は個人の方々の預金がマイナスになる、金利がマイナスになるということはなかなかないんだと思いますけれども、その不安感を生んでしまったという面があるかなと思います。
ヨーロッパの場合、ヨーロッパでもマイナス金利始まったときにやっぱり一般の市民の方が、貯蓄をするとペナルティーが掛けられるというのは一体何なんだと、特にドイツ中心に結構怒りが沸き起こって、中央銀行がそれをなだめるという構図が見られましたけれども、ただ、例えばデンマークのように高福祉社会、デンマークの場合、社会福祉の支出がGDP比で世界一大きい国ですが、ああいう国ですと、一般の方々が老後のために自分で貯蓄して、その預金金利を当てにするとかということはああいう福祉国家ではないので、スウェーデンもそうですけれども、福祉国家でマイナス金利をやってもそんなに一般の人は余り気にしないようなんですけれども、日本の場合は、やっぱりなかなか高齢者の方々も不安があるということで、やや過剰な反応が出てしまっているということかと思います。
続く八ページ目ですけれども、金融機関の収益にとっては相当日本の場合厳しいということがこの八ページ目の表に表れております。
ヨーロッパでマイナス金利をやっている国々と日本の比較ですけれども、真ん中辺りに銀行間の翌日物金利というのを載せております。隣に十年物の国債の利回りを載せております。この開きが、スプレッドというところですが、この開きが大きいと基本的には金融機関というのは収益を上げやすいわけですが、日本の場合、もう既にこれが非常に横ばい、あるいは若干マイナス方向になっています。
しかも、一般的には、例えば長期の住宅ローンというのは国債の金利に上乗せして一般の方々にローンが、貸出しが行われますけれども、日本の場合、この非常に低い金利に、さらに金融機関同士の競争も激しいですから、十年固定の住宅ローン金利が、報道されていますように、一部大手行では〇・五とかあるいは〇・八とか非常に低い状態になっているわけですが、一方で、例えばスウェーデンですと、十五年の固定住宅ローン金利二・七%、あるいはデンマークは五年から十年程度のローンの平均は二・一%程度、それからスイスの十年物のローンは一・六%前後だったりということですので、日本の方は非常にローンの金利が低いと。
それは一般の方々にはメリットではあるんですが、ただ、経済全体で見た場合、日本のように非常に高齢化している社会ですと、その低金利の恩恵を受ける人の比率が、人口の比率がもう小さい社会になってしまっていますので、金利を下げることでの経済刺激効果というのもある程度はあるわけですけれども、高齢化した社会ではそれが出にくいという傾向はあるかと思います。
また、金融機関の収益が、著しくそこが圧迫されますと中小企業などに貸出しをする体力がだんだん奪われてくるというおそれもありますので、金融仲介機能が毀損されるおそれがないかという点には今後注意していく必要があると思います。
地方の金融機関からは、安倍政権が目指している地方創生という、その関連のプロジェクトをやろうと思っても、今これだけ収益環境がマイナス金利で厳しくなってしまうと、取りあえず目先どうやって収益を上げるかという方に力を入れざるを得なくて、地方創生の議論がちょっとむしろ後回しになってしまうんじゃないかというような懸念すら出るぐらいの厳しい状況になってきているということかと思います。
あと、ヨーロッパの状況をもうちょっと見ますと、九ページ目ですが、ヨーロッパでは、大手企業やあるいは機関投資家などの大口預金がマイナス金利となっています。ここにスイスフランの紙幣の流通残高を載せていますけれども、千フラン札、額面で十一万円か十二万円という非常に大きなお札ですけれども、マイナス金利を始めてから発行量が急に伸びています。これは、スイスの年金がマイナス金利で運用難で非常に困ってしまいまして、しようがなく現金を引き出して金庫にしまうということを年金が始めています。スイスの場合、やっぱり年金制度もつだろうか、大丈夫だろうかという議論が大分行われています、国債の金利が随分下がってしまっていますから。
また、マイナス金利で企業の口座もいろいろマイナスになっていたりもしますので、デンマークの場合、企業が税金を納めるのを早めに多めに納付しようとする傾向が見られます。早めに納めて後で還付請求すると、銀行に預けておくとマイナス金利で目減りしちゃいますけれども、まず税務署に一回入れておこうという変な話が起きています。
逆にスイスでは、地方政府の口座もマイナス金利になっていますので、ある地方政府は納税は期限ぎりぎりまで遅らせてくださいと頼むというようなことまで起きています。まあこれは一種の混乱が起きているということなので、決して余りいい話ではないと。
ただ、一般の方の個人預金は、やっぱりマイナス金利にしてしまうと皆さん引き出そうとするでしょうから、銀行のシステムが成り立たなくなってしまいますので、ヨーロッパを見渡しても、まずマイナス金利にはなっていません。
十ページ目に、個人の預金金利もマイナス金利にする方策みたいなことを有名な経済学の先生方がいろいろおっしゃっていますけれども、ちょっと説明は飛ばさせていただきますが、現実には導入は難しいという流れだと思いますけれども。
そういう意味では、預金金利が余りマイナスにできないということは、貸出金利もマイナスにはならないので、全体としては、物すごく効果がある政策というわけでもなく、一方で、本来は物すごく弊害があるという政策でもないんですけれども、日本のように量的緩和、質的緩和で国債の金利を既に相当押し潰した後にマイナス金利政策という流れでいきますと、金融機関の収益悪化からくる金融仲介機能の悪化というところが懸念されるという点で、余り過度な金融緩和策というのはやっぱりそろそろ見直す方がいいのではないかというようにも思います。
また、日本のインフレの状況ですけれども、十二ページ目以降ですが、十二ページ目でアメリカと日本のインフレ率を比較しておりますけれども、左側の物の値段に関しては、もう日本の方がアメリカよりもインフレ率高くなっています。テレビなど耐久消費財は日本の方が相当インフレ率高くなっていますが、これは円安によるものです。
一方、右側のサービス価格、こちらはなかなか上がっていない。アメリカの方はしっかり上がっているけれどもサービス価格はなかなか上がらないと。これは、一つはやっぱり人件費、賃金が上がっていかないとサービス価格は上がりにくいですし、あるいは下の方の二十八番、二十九番のように家賃関連、これは、アメリカはしっかり上がっていますけれども、日本は、統計上の問題もありますが、少子高齢化で住宅需要が弱いということもあり、なかなか上がらないと。
そういう意味で、金融政策で無理やりインフレを二%に押し上げようとしてもやっぱり無理がある、じっくりと狙うのはいいと思うんですけれども、余り短期間に無理やり上げようとするとあちこちでゆがみが出てしまうということではないかと思います。
十四ページ目に賃金と物価の関係を載せておりますが、左側が平均年間賃金の推移、右側が消費者物価の推移ですけれども、やはり安定的に賃金が上がっていけば物価も上がっていくわけです。それを日本も目指すべきであり、安倍政権が賃金上昇を財界に要求しているということも正しいアプローチだと思いますけれども、ただ、なかなか一朝一夕にはいきませんので、そこはやっぱりじっくりと日本の潜在成長率、経済の実力を上げていくということが重要になってくると思います。
それには、十五ページにもありますが、株価は上がっているけれども、必ずしも実質の平均成長率がアベノミクスの間にそんなに上がっていないと。これは、やっぱり潜在成長率が下がってきているということだと思いますので、説明は省かせていただきますが、人口動態等々の問題もありますので、構造改革等を含めながら、その潜在成長率をいかに上げていくかということもやっぱり同時に行っていく必要があるということではないかと思います。
私の方からは、ひとまずここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
この発言だけを見る →本日は、このような貴重な場で発言の機会を与えていただき、大変ありがとうございます。
今、林先生から世界経済の状況の御説明をいただきましたので、私の方からは、主に金融面の話を今日はさせていただこうと思います。
お手元の資料を御覧いただきますと、最初一枚めくっていただいて、二ページのところですけれども、中央銀行の資産の名目GDP比のグラフを載せています。
我が国の中央銀行である日銀は、一三年四月に二年程度でインフレ率を二%に引き上げると宣言して、国債などを大規模に購入する量的・質的緩和策、QQEを開始しました。その結果、市場から猛烈に国債を買い取っていますので、この赤い線のように、FRBやECBとは比較にならない勢いで日銀の資産が膨張しています。世界に類を見ない大胆な政策が行われていると言えます。
その結果、一番顕著に表れたのは、為替が円安方向にこの三年間動いてきて、それによって株高が起きてきたということで、次の三ページですけれども、円安、株高、それによる輸出大企業の収益向上、その結果、大手企業を中心とするベアの実現、また円安によるインバウンド観光客の急増ということが起きたということだと思います。
その点はいいわけですけれども、しかし、次の四ページ目ですけれども、インフレ率を二%に引き上げるということで始めた政策ですが、赤い線がインフレ率、消費者物価指数の総合から生鮮食品を除いたものですけれども、二〇一四年の四月、五月ぐらいは一%台半ばまで行きましたが、その後下がってきて、この一年近くはゼロ%近辺で推移していると。エネルギー要因が大きいですので、エネルギー価格を除いた青い線で見てみますと、これは一%前半まで最近上がっていたのですが、ここに来て下がり始めています。
円安傾向が止まってきましたので輸入価格の上昇が鈍ってきていますので、その点では、今後、これ緩やかに落ちてくる可能性もあるかと思います。
インフレ率が二%になかなか届かない、それから、年初からの金融市場の混乱が春の四月の春闘などにも悪影響を及ぼしてはまずいという恐らく判断だったと思いますけれども、日銀は、一月二十九日にマイナス金利政策を導入したわけです。従来のQQE、量的・質的緩和策にそれを加えるという形でマイナス金利政策が始まりました。五ページ目ですけれども、日銀当座預金を三つの階層に分けて、その一部分にマイナス金利を掛けるという政策が始まっております。
次の六ページ目ですけれども、この政策、基本的には本音の部分では円安誘導を狙っているのだと思います。ただ、日本のような大きな経済の中央銀行が通貨安誘導が目的だとは公式には言えないわけですので、ただ、実際はそういうことかなと思っておりますが、及びそれにより株価を押し上げるということが期待されていたんだと思いますけれども、六ページ目のグラフは、このマイナス金利政策が決定される前日の一月二十八日以降の主な国の株価指数、株式指数の変化を表しています。
日本は昨日までで二・三%下落していますけれども、ほかの主な国はこの一か月ちょっとの間上昇しています。ドイツの上昇が弱いのは、ドイツの大手金融機関の経営問題が言われたりとかいうようなこともありましたけれども、それを除くと欧米は緩やかに上昇していたわけです。あと、日本の株価の悪化の要因が中国のハードランディング懸念とよく言われますけれども、ただ、この一月ちょっとで見ますと、中国のこれは上海の株価ですが、それから香港はむしろ上昇しています。それから、原油要因で混乱しているともよく言われますけれども、右手の方で、ロシア、サウジアラビアあるいはブラジルはしっかりと上昇しているということで、この一月ちょっとというのは、世界的には、緩やかですけれどもリスクオフと言われる危険回避行動がやや緩んでいた一か月ちょっとだったと言えます。
ところが、日本の方はマイナスになっているというのは、一つにはマイナス金利政策の負の側面が表れてしまったということかと思います。その負の側面というのは、一つは、金融機関の収益が相当悪化するだろうということで金融株、特に銀行株が急落したと、それから、日銀の黒田総裁の政策で円安誘導していくということがどうもなかなかうまく今後もいかないかもという市場の見方もあって円高方向に来ているわけですけれども、それによる輸出企業の株が下がっているというようなことが相まったということかと思います。
また、次の七ページ目ですが、消費者のマインドもこの一月ほどは悪化している面があります。昨日発表されました内閣府の消費動向調査の消費者態度指数を見ますと、上に行くと消費者のマインドが良くて下に行くと悪化ですけれども、二月に入ってどの所得層においても急激な悪化が見られます。この日銀の緩和策、今回の緩和策が始まった一三年四月の水準よりはいずれも低いところにいるという状態です。ただ、マイナス金利政策、また後ほど触れますが、実際は個人の方々の預金がマイナスになる、金利がマイナスになるということはなかなかないんだと思いますけれども、その不安感を生んでしまったという面があるかなと思います。
ヨーロッパの場合、ヨーロッパでもマイナス金利始まったときにやっぱり一般の市民の方が、貯蓄をするとペナルティーが掛けられるというのは一体何なんだと、特にドイツ中心に結構怒りが沸き起こって、中央銀行がそれをなだめるという構図が見られましたけれども、ただ、例えばデンマークのように高福祉社会、デンマークの場合、社会福祉の支出がGDP比で世界一大きい国ですが、ああいう国ですと、一般の方々が老後のために自分で貯蓄して、その預金金利を当てにするとかということはああいう福祉国家ではないので、スウェーデンもそうですけれども、福祉国家でマイナス金利をやってもそんなに一般の人は余り気にしないようなんですけれども、日本の場合は、やっぱりなかなか高齢者の方々も不安があるということで、やや過剰な反応が出てしまっているということかと思います。
続く八ページ目ですけれども、金融機関の収益にとっては相当日本の場合厳しいということがこの八ページ目の表に表れております。
ヨーロッパでマイナス金利をやっている国々と日本の比較ですけれども、真ん中辺りに銀行間の翌日物金利というのを載せております。隣に十年物の国債の利回りを載せております。この開きが、スプレッドというところですが、この開きが大きいと基本的には金融機関というのは収益を上げやすいわけですが、日本の場合、もう既にこれが非常に横ばい、あるいは若干マイナス方向になっています。
しかも、一般的には、例えば長期の住宅ローンというのは国債の金利に上乗せして一般の方々にローンが、貸出しが行われますけれども、日本の場合、この非常に低い金利に、さらに金融機関同士の競争も激しいですから、十年固定の住宅ローン金利が、報道されていますように、一部大手行では〇・五とかあるいは〇・八とか非常に低い状態になっているわけですが、一方で、例えばスウェーデンですと、十五年の固定住宅ローン金利二・七%、あるいはデンマークは五年から十年程度のローンの平均は二・一%程度、それからスイスの十年物のローンは一・六%前後だったりということですので、日本の方は非常にローンの金利が低いと。
それは一般の方々にはメリットではあるんですが、ただ、経済全体で見た場合、日本のように非常に高齢化している社会ですと、その低金利の恩恵を受ける人の比率が、人口の比率がもう小さい社会になってしまっていますので、金利を下げることでの経済刺激効果というのもある程度はあるわけですけれども、高齢化した社会ではそれが出にくいという傾向はあるかと思います。
また、金融機関の収益が、著しくそこが圧迫されますと中小企業などに貸出しをする体力がだんだん奪われてくるというおそれもありますので、金融仲介機能が毀損されるおそれがないかという点には今後注意していく必要があると思います。
地方の金融機関からは、安倍政権が目指している地方創生という、その関連のプロジェクトをやろうと思っても、今これだけ収益環境がマイナス金利で厳しくなってしまうと、取りあえず目先どうやって収益を上げるかという方に力を入れざるを得なくて、地方創生の議論がちょっとむしろ後回しになってしまうんじゃないかというような懸念すら出るぐらいの厳しい状況になってきているということかと思います。
あと、ヨーロッパの状況をもうちょっと見ますと、九ページ目ですが、ヨーロッパでは、大手企業やあるいは機関投資家などの大口預金がマイナス金利となっています。ここにスイスフランの紙幣の流通残高を載せていますけれども、千フラン札、額面で十一万円か十二万円という非常に大きなお札ですけれども、マイナス金利を始めてから発行量が急に伸びています。これは、スイスの年金がマイナス金利で運用難で非常に困ってしまいまして、しようがなく現金を引き出して金庫にしまうということを年金が始めています。スイスの場合、やっぱり年金制度もつだろうか、大丈夫だろうかという議論が大分行われています、国債の金利が随分下がってしまっていますから。
また、マイナス金利で企業の口座もいろいろマイナスになっていたりもしますので、デンマークの場合、企業が税金を納めるのを早めに多めに納付しようとする傾向が見られます。早めに納めて後で還付請求すると、銀行に預けておくとマイナス金利で目減りしちゃいますけれども、まず税務署に一回入れておこうという変な話が起きています。
逆にスイスでは、地方政府の口座もマイナス金利になっていますので、ある地方政府は納税は期限ぎりぎりまで遅らせてくださいと頼むというようなことまで起きています。まあこれは一種の混乱が起きているということなので、決して余りいい話ではないと。
ただ、一般の方の個人預金は、やっぱりマイナス金利にしてしまうと皆さん引き出そうとするでしょうから、銀行のシステムが成り立たなくなってしまいますので、ヨーロッパを見渡しても、まずマイナス金利にはなっていません。
十ページ目に、個人の預金金利もマイナス金利にする方策みたいなことを有名な経済学の先生方がいろいろおっしゃっていますけれども、ちょっと説明は飛ばさせていただきますが、現実には導入は難しいという流れだと思いますけれども。
そういう意味では、預金金利が余りマイナスにできないということは、貸出金利もマイナスにはならないので、全体としては、物すごく効果がある政策というわけでもなく、一方で、本来は物すごく弊害があるという政策でもないんですけれども、日本のように量的緩和、質的緩和で国債の金利を既に相当押し潰した後にマイナス金利政策という流れでいきますと、金融機関の収益悪化からくる金融仲介機能の悪化というところが懸念されるという点で、余り過度な金融緩和策というのはやっぱりそろそろ見直す方がいいのではないかというようにも思います。
また、日本のインフレの状況ですけれども、十二ページ目以降ですが、十二ページ目でアメリカと日本のインフレ率を比較しておりますけれども、左側の物の値段に関しては、もう日本の方がアメリカよりもインフレ率高くなっています。テレビなど耐久消費財は日本の方が相当インフレ率高くなっていますが、これは円安によるものです。
一方、右側のサービス価格、こちらはなかなか上がっていない。アメリカの方はしっかり上がっているけれどもサービス価格はなかなか上がらないと。これは、一つはやっぱり人件費、賃金が上がっていかないとサービス価格は上がりにくいですし、あるいは下の方の二十八番、二十九番のように家賃関連、これは、アメリカはしっかり上がっていますけれども、日本は、統計上の問題もありますが、少子高齢化で住宅需要が弱いということもあり、なかなか上がらないと。
そういう意味で、金融政策で無理やりインフレを二%に押し上げようとしてもやっぱり無理がある、じっくりと狙うのはいいと思うんですけれども、余り短期間に無理やり上げようとするとあちこちでゆがみが出てしまうということではないかと思います。
十四ページ目に賃金と物価の関係を載せておりますが、左側が平均年間賃金の推移、右側が消費者物価の推移ですけれども、やはり安定的に賃金が上がっていけば物価も上がっていくわけです。それを日本も目指すべきであり、安倍政権が賃金上昇を財界に要求しているということも正しいアプローチだと思いますけれども、ただ、なかなか一朝一夕にはいきませんので、そこはやっぱりじっくりと日本の潜在成長率、経済の実力を上げていくということが重要になってくると思います。
それには、十五ページにもありますが、株価は上がっているけれども、必ずしも実質の平均成長率がアベノミクスの間にそんなに上がっていないと。これは、やっぱり潜在成長率が下がってきているということだと思いますので、説明は省かせていただきますが、人口動態等々の問題もありますので、構造改革等を含めながら、その潜在成長率をいかに上げていくかということもやっぱり同時に行っていく必要があるということではないかと思います。
私の方からは、ひとまずここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
岸
岸宏一#5
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。
以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
堀
堀井巌#6
○堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌でございます。
本日は、林公述人そして加藤公述人におかれましては、貴重な御所見を賜りまして本当にありがとうございます。
それでは、質問をさせていただきますその前にお話の感想を申し上げて、質問をさせていただきたいと存じます。
まず、林公述人のお話の中で、いわゆる今の日本経済を取り巻く世界経済の現状についての御所見がありました。この資料でいえば、四ページにありますような米国の景気減速、そしてまた中国経済の失速、また原油安と、様々なこの日本経済を取り巻く大きな世界の課題があるということも改めて認識をしたところでございます。そういった中で、こういった環境の中にあっても日本経済がこれまで長く苦しんできたこのデフレからいかに脱却するか、そのために我々は今何をなすべきか、まさにそういう状況にあるというふうに感じたところでございます。
他方で、林公述人の方からは、少し先を見通した明るいお話も示唆をいただきました。例えば、世界経済にあっては世界の通貨供給量、これが回復基調にあって、これが世界経済にプラスの側面ももたらすのではないかというようなお話もございました。
私、いろんな、経済を見るときにやはり課題というものが見えてきますけど、やっぱり将来に向けて何か、特にこの日本経済から見たときにも新しい明るい兆しというものをどのようにしっかりとつかみながら経済運営を進めていくのかという、このことが重要だというふうに思っています。
例えば中国経済、資料でいいますと五ページですけれども、今過剰設備等で失速をしているというような解説もありますけれども、他方で、今全人代で議論されている計画、まだ六・五%の成長率を今後五年間見込んでいると。これは、もう日本の今の経済からいうと、もっともっと非常に高い数字であります。確かに、中国は、物づくりの場としては日本企業の進出の勢いもまた従前とは異なっていますけれども、やはり大きな大きな十三億人の消費市場としてこれだけの経済成長を続けていくということからすれば、日本の隣にこのような大きな大きな消費市場があるということは、やはりこれ日本経済にも相当程度寄与する可能性も十分にもちろんあろうかと、そのような見方もできるのではないかというふうに思います。
また、原油安においては、先ほども御示唆いただきましたように、本年二十八年の後半にはこの原油安効果がプラスの効果として日本経済に寄与してくるのではないかというような見通しもいただきました。大変その点、意を強くし、もし本当にそうなれば有り難いなと、このように思ったところでございます。
そこで、質問でございますが、日本経済においてはGDPギャップ、需給ギャップの解消を急げというこの十ページのお話がございました。私も、もちろんこれを、長年苦しんできた、デフレに苦しんできたことがこのGDPギャップで図としてもう本当に明確になっていますので、今ようやく解消できるかもしれないというところまでやってきたわけでございますが、今後一年あるいは少し先を見通して、先ほどの原油安効果等もございますけれども、どのような点が、この日本経済を確かな回復軌道に乗せていく、GDPギャップを解消するのにこういった正の側面があるかもしれないということで期待できるものとして見ておられるかというのを、もう一度御所見をお伺いできればというふうに存じます。林公述人にお願いします。
この発言だけを見る →本日は、林公述人そして加藤公述人におかれましては、貴重な御所見を賜りまして本当にありがとうございます。
それでは、質問をさせていただきますその前にお話の感想を申し上げて、質問をさせていただきたいと存じます。
まず、林公述人のお話の中で、いわゆる今の日本経済を取り巻く世界経済の現状についての御所見がありました。この資料でいえば、四ページにありますような米国の景気減速、そしてまた中国経済の失速、また原油安と、様々なこの日本経済を取り巻く大きな世界の課題があるということも改めて認識をしたところでございます。そういった中で、こういった環境の中にあっても日本経済がこれまで長く苦しんできたこのデフレからいかに脱却するか、そのために我々は今何をなすべきか、まさにそういう状況にあるというふうに感じたところでございます。
他方で、林公述人の方からは、少し先を見通した明るいお話も示唆をいただきました。例えば、世界経済にあっては世界の通貨供給量、これが回復基調にあって、これが世界経済にプラスの側面ももたらすのではないかというようなお話もございました。
私、いろんな、経済を見るときにやはり課題というものが見えてきますけど、やっぱり将来に向けて何か、特にこの日本経済から見たときにも新しい明るい兆しというものをどのようにしっかりとつかみながら経済運営を進めていくのかという、このことが重要だというふうに思っています。
例えば中国経済、資料でいいますと五ページですけれども、今過剰設備等で失速をしているというような解説もありますけれども、他方で、今全人代で議論されている計画、まだ六・五%の成長率を今後五年間見込んでいると。これは、もう日本の今の経済からいうと、もっともっと非常に高い数字であります。確かに、中国は、物づくりの場としては日本企業の進出の勢いもまた従前とは異なっていますけれども、やはり大きな大きな十三億人の消費市場としてこれだけの経済成長を続けていくということからすれば、日本の隣にこのような大きな大きな消費市場があるということは、やはりこれ日本経済にも相当程度寄与する可能性も十分にもちろんあろうかと、そのような見方もできるのではないかというふうに思います。
また、原油安においては、先ほども御示唆いただきましたように、本年二十八年の後半にはこの原油安効果がプラスの効果として日本経済に寄与してくるのではないかというような見通しもいただきました。大変その点、意を強くし、もし本当にそうなれば有り難いなと、このように思ったところでございます。
そこで、質問でございますが、日本経済においてはGDPギャップ、需給ギャップの解消を急げというこの十ページのお話がございました。私も、もちろんこれを、長年苦しんできた、デフレに苦しんできたことがこのGDPギャップで図としてもう本当に明確になっていますので、今ようやく解消できるかもしれないというところまでやってきたわけでございますが、今後一年あるいは少し先を見通して、先ほどの原油安効果等もございますけれども、どのような点が、この日本経済を確かな回復軌道に乗せていく、GDPギャップを解消するのにこういった正の側面があるかもしれないということで期待できるものとして見ておられるかというのを、もう一度御所見をお伺いできればというふうに存じます。林公述人にお願いします。
林
林健二郎#7
○公述人(林健二郎君) 今先生おっしゃったとおりだと思います。
このGDPギャップ、昨年十—十二で一・六%でありますけれども、仮に昨今の潜在成長率を前提にして政府の二十八年度の経済見通し、実質GDPベースで、が実現すれば、二十八年度の第四・四半期、つまり来年の一—三月にはGDPギャップが解消する見込みであります。その意味で、この政府の予算をしっかり実現して、それで見通しどおりの経済ができれば私は十分可能だと考えております。
この発言だけを見る →このGDPギャップ、昨年十—十二で一・六%でありますけれども、仮に昨今の潜在成長率を前提にして政府の二十八年度の経済見通し、実質GDPベースで、が実現すれば、二十八年度の第四・四半期、つまり来年の一—三月にはGDPギャップが解消する見込みであります。その意味で、この政府の予算をしっかり実現して、それで見通しどおりの経済ができれば私は十分可能だと考えております。
堀
堀井巌#8
○堀井巌君 ありがとうございます。
この政府予算、今度の今我々が議論をしております平成二十八年度の総予算でありますけれども、これが日本の経済の回復、GDPギャップの解消に寄与するというふうな御所見もいただきましたですけれども、具体的に今回の予算の中でどういった点が貢献するというふうに評価しておられるか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →この政府予算、今度の今我々が議論をしております平成二十八年度の総予算でありますけれども、これが日本の経済の回復、GDPギャップの解消に寄与するというふうな御所見もいただきましたですけれども、具体的に今回の予算の中でどういった点が貢献するというふうに評価しておられるか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。
林
林健二郎#9
○公述人(林健二郎君) 中でも、この一億総活躍社会を実現するために様々な施策があります。例えばIoTであるとかロボットであるとか、こういった生産革命を推進するという、こういったことに予算がしっかり付いていますし、さらには農業の輸出の振興とか物流システムの拡充であるとか、そういうきめの細かい施策がありますので、その点に期待しております。
この発言だけを見る →堀
堀井巌#10
○堀井巌君 ありがとうございます。
私も全く同感でございまして、特に、様々な新しい改革というものが、これは、すぐには経済にどのような正の効果を及ぼすのかというのは見えにくいところはあるかもしれませんが、確実に日本の経済の構造を景気回復の軌道に乗せるような形で寄与していくものだというふうに期待をしておりまして、今がやっぱり私は正念場だというふうに思っております。
原油高のときに、我々は原油高で日本経済本当に大変だというような話をしておりました。原油安でも、今も大変だ大変だと言う。原油価格が高くても安くても課題というものは、経済に対する様々な負の側面というのはあります。でも、正の側面もある。しっかりと冷静に分析していくことが重要だというふうに思っております。
済みません、時間がなくなりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →私も全く同感でございまして、特に、様々な新しい改革というものが、これは、すぐには経済にどのような正の効果を及ぼすのかというのは見えにくいところはあるかもしれませんが、確実に日本の経済の構造を景気回復の軌道に乗せるような形で寄与していくものだというふうに期待をしておりまして、今がやっぱり私は正念場だというふうに思っております。
原油高のときに、我々は原油高で日本経済本当に大変だというような話をしておりました。原油安でも、今も大変だ大変だと言う。原油価格が高くても安くても課題というものは、経済に対する様々な負の側面というのはあります。でも、正の側面もある。しっかりと冷静に分析していくことが重要だというふうに思っております。
済みません、時間がなくなりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
長
長浜博行#11
○長浜博行君 両公述人におかれましては、大変すばらしいお話をありがとうございました。
昨今の新聞を、表紙を見ると、アベノミクスの失敗によるところの消費増税見送りという観測記事が大分出るようになりました。景気弾力条項を削除して、もう消費税は上げるものという状況の中においてこういう判断をする場合には、もちろん法律を改正しなければならないので、かなりの政治的なリアクションを呼んでいくというふうにも思いますが、加藤公述人の十三ページの資料にあるように、元々かなり無理があった二年間でのインフレ目標設定ではなかったのかなというふうに思っております。二回総理大臣をされますので、その気合と迫力は委員会質疑でも度々感ずるところはあるのでありますけれども、何か物すごく焦っているなという状況の中での無理を感ぜざるを得ません。
特に、QQEの話が出ましたけれども、一三年の四月から量的・質的金融緩和が行われ続けているわけでありますが、この参議院の一月二十一日の決算委員会の質疑の中で黒田総裁が、QQEは所期の効果をもう既に発揮しているんだということと、民主党議員のマイナス金利の質問に対して、現時点でマイナス金利を具体的に考えていることはないと、ECBの件もコメントされましたけれども、FRBの形の中でのアメリカの利上げの問題を含めて、マイナス金利にする必要はないのではないかという頭の中にあったところが、すぐ、一月の二十九日でしたか、もう既にこれを決定して二月から実施をするという。
これは、スイスというかヨーロッパの状況の中にも見られないような、極めて短期間の中での政策変更が行われたと思いますが、これの影響というのは、加藤公述人、急激に行われたことによるリアクションというのも私は非常に事務的な面でも多かったと思うんですが、どのようにお考えになりますか。
この発言だけを見る →昨今の新聞を、表紙を見ると、アベノミクスの失敗によるところの消費増税見送りという観測記事が大分出るようになりました。景気弾力条項を削除して、もう消費税は上げるものという状況の中においてこういう判断をする場合には、もちろん法律を改正しなければならないので、かなりの政治的なリアクションを呼んでいくというふうにも思いますが、加藤公述人の十三ページの資料にあるように、元々かなり無理があった二年間でのインフレ目標設定ではなかったのかなというふうに思っております。二回総理大臣をされますので、その気合と迫力は委員会質疑でも度々感ずるところはあるのでありますけれども、何か物すごく焦っているなという状況の中での無理を感ぜざるを得ません。
特に、QQEの話が出ましたけれども、一三年の四月から量的・質的金融緩和が行われ続けているわけでありますが、この参議院の一月二十一日の決算委員会の質疑の中で黒田総裁が、QQEは所期の効果をもう既に発揮しているんだということと、民主党議員のマイナス金利の質問に対して、現時点でマイナス金利を具体的に考えていることはないと、ECBの件もコメントされましたけれども、FRBの形の中でのアメリカの利上げの問題を含めて、マイナス金利にする必要はないのではないかという頭の中にあったところが、すぐ、一月の二十九日でしたか、もう既にこれを決定して二月から実施をするという。
これは、スイスというかヨーロッパの状況の中にも見られないような、極めて短期間の中での政策変更が行われたと思いますが、これの影響というのは、加藤公述人、急激に行われたことによるリアクションというのも私は非常に事務的な面でも多かったと思うんですが、どのようにお考えになりますか。
加
加藤出#12
○公述人(加藤出君) 先生おっしゃられましたように、余りに急激な導入だったものですから、やっぱり金融の実務の面での混乱が起きたということかと思います。
ヨーロッパ、ECBの場合、マイナス金利政策、一四年六月から始まりましたけれども、一二年の暮れぐらいからはECBの幹部がマイナス金利政策やるかもしれないよという情報発信あるいは観測気球を上げて、金融業界に例えばシステム面の対応であるとか税務面、会計面あるいは制度面でマイナス金利に対応できるかということをやっぱり準備させておいたという感じがあったと思うんですが、我が国の場合、突然始まってしまったということで、今でもマイナス金利を会計上どう扱うかとかあるいはシステムにまだ入らないとかいうことがありますので、やっぱりまだ混乱の余波は続いているということだと思います。
また、こういう形で、実務面の混乱を余り重視しないで急に始められたことで、先行きの出口政策というのはやっぱりすごく市場とのコミュニケーションが重要になると思うんですが、そういうときにも、もし何か乱暴にやられたら大変だというようになるでしょうから、出口時の市場の期待のコントロールというものも難しくなってしまうのではないかと懸念されます。
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また、こういう形で、実務面の混乱を余り重視しないで急に始められたことで、先行きの出口政策というのはやっぱりすごく市場とのコミュニケーションが重要になると思うんですが、そういうときにも、もし何か乱暴にやられたら大変だというようになるでしょうから、出口時の市場の期待のコントロールというものも難しくなってしまうのではないかと懸念されます。
長
長浜博行#13
○長浜博行君 まさに、出口戦略のお話もされましたけれども、私、別に民主党とは言いませんけれども、自民党で安倍さんの後にやられる方は本当に私は大変だなと思うんですね、出口戦略をどういうふうに付けていくのか。
現状の中でも、マイナス金利付きQQEが例えば民間の金融機関の貸出増加とかリスク資産への運用資産の配分見直し、いわゆるポートフォリオのリバランス、こういったことがこの急激な変化の中においても政策的効果を既に出している、あるいはこれから出していかれるというように思われますか。
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加
加藤出#14
○公述人(加藤出君) 元々、もう既に国債の金利は非常に低い状態に二〇一三年四月からの政策でなっていましたので、多くの金融機関は安全資産である日本国債を買っている、それだけでは収益が十分出ないという状況で、もう既にリバランスはある程度行っていたという中で更にその状況が厳しくなっていますので、ここから先のリバランスというと、やっぱり相当苦渋の決断、あるいは本当は取りたくないんだけれどもしようがないということで取っていくリスクということになりますので、危険な面も出てきてしまいますから、ポートフォリオ・リバランスというのもやはり程度の問題というのがあって、余り金融機関を追い込んでしまうと後で大きな反動が出てくるおそれもありますし、あと一方で、リーマン・ショック以降、世界的に金融規制当局は金融規制を強化してリスクを取るなというようにしているわけですので、非常に規制当局と中央銀行で逆方向の政策を行っているというちぐはぐ感もあり、及びその間に挟まれてしまって一般の金融機関の運用というのは非常に厳しい状況にあるのではないかと思います。
この発言だけを見る →長
長浜博行#15
○長浜博行君 結果として金庫が売れて、日本でも十万円札を作らなきゃいけないんじゃないかという、こういうふうに預金の引き出し等々が起こっただけということにはならないようにしなければいけないというふうにも思います。
スプレッドマイナスのお話などもされていましたけれども、私、心配するのは、これだけの低金利、マイナス金利の中において基本的に一番プラスなのは、大量の国債を発行しているといいますか膨大な借金を抱えている日本国でありますので、財政規律の緩みを政治家にあるいは政策担当者に与えるのではないかなという、こういう財政規律に関しては、先生、どうお考えになられますか。
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加
加藤出#16
○公述人(加藤出君) やはり大胆な緩和策で国債の名目金利を下げるということの長期的な大きなリスクの一つは、財政規律に対する国民あるいは議会の意識が低下するリスクということだろうと思います。これは海外でも随分議論されているわけで、ヨーロッパにおいても、特にドイツの中央銀行が量的緩和策にいつも非常に後ろ向きであるということの大きな理由の一つは、財政再建を含む構造改革が南欧で進まなくなるのではないかという懸念もあったりするわけです。
超緩和策、こういった金利を押し下げる超緩和策が構造改革を行う際の痛みの痛み止めということであれば、パッケージではいいことだと思うんですけれども、痛み止めの方に甘んじてしまって逆に改革の方が遅れてしまうということに、単なる痛み止めのモルヒネになってしまうと、長い目で見ると我々の将来世代にツケを回してしまうということにもなりますので、大胆な緩和策にはそういった副作用もあり得るということを意識しながら使っていくということが非常に重要ではないかと思います。
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長
石
石川博崇#18
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
林公述人、加藤公述人、お二人の先生方におかれましては、本日は貴重な御所見を賜りまして、心より感謝、御礼申し上げたいと思います。
まず、林公述人に何点か御質問させていただきたいと思います。
林先生からは、来年度予算案、税制に対する力強い御支持とともに、現在の我が国の経済状況に対しまして、世界経済の動向あるいは消費性向から足取りが鈍っているという御指摘がございました。
そうした中で、原油安の価格転嫁の効果を生かすためにも円安の是正が求められること、さらにはGDPギャップの迅速な解消が必要であること、そして、その中でも所得格差の是正を進めるべきという御所見がございまして、消費税の引上げに際してはこの点を留意して軽減税率の導入を図るべきという貴重な御意見をいただいたところでございます。
そこで、この軽減税率につきましてもう少し先生から御所見を賜れればというふうに思いますが、この軽減税率、様々な議論が与党の中でもありました。また、今も国民の皆様からいろんな御意見をいただいているところでございます。
一つメリットとして御指摘させていただきたいのは、やはりこの消費税、今の日本が抱える財政状況の財政健全化に向けた消費税を引き上げるに当たって、国民の皆様の御理解をいただくということ、それから痛税感を低所得者対策として緩和していくということ、さらには、将来的にはインボイスを導入する、このことに道を開いて税負担の公平性を確保していく、こうしたメリットがあるのではないかと私は考えておりますが、林公述人から、この軽減税率導入のメリットにつきまして御所見を賜れればというふうに思います。
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まず、林公述人に何点か御質問させていただきたいと思います。
林先生からは、来年度予算案、税制に対する力強い御支持とともに、現在の我が国の経済状況に対しまして、世界経済の動向あるいは消費性向から足取りが鈍っているという御指摘がございました。
そうした中で、原油安の価格転嫁の効果を生かすためにも円安の是正が求められること、さらにはGDPギャップの迅速な解消が必要であること、そして、その中でも所得格差の是正を進めるべきという御所見がございまして、消費税の引上げに際してはこの点を留意して軽減税率の導入を図るべきという貴重な御意見をいただいたところでございます。
そこで、この軽減税率につきましてもう少し先生から御所見を賜れればというふうに思いますが、この軽減税率、様々な議論が与党の中でもありました。また、今も国民の皆様からいろんな御意見をいただいているところでございます。
一つメリットとして御指摘させていただきたいのは、やはりこの消費税、今の日本が抱える財政状況の財政健全化に向けた消費税を引き上げるに当たって、国民の皆様の御理解をいただくということ、それから痛税感を低所得者対策として緩和していくということ、さらには、将来的にはインボイスを導入する、このことに道を開いて税負担の公平性を確保していく、こうしたメリットがあるのではないかと私は考えておりますが、林公述人から、この軽減税率導入のメリットにつきまして御所見を賜れればというふうに思います。
林
林健二郎#19
○公述人(林健二郎君) 今先生おっしゃったように、逆進性を解消するという対策としていろんな案がありますけれども、一番効率的なのは、私は現段階では軽減税率だというふうに思います。将来、所得の正確な掌握ができるような時点であればまた別な議論もありますが、現段階では軽減税率だと思います。
それから、やがては、日本経済を考えますと、将来的には消費税中心の税収体系になる可能性がありますから、なるべく早い段階からしっかりした制度をつくっていくと、その意味でもインボイスの導入は将来必要だというふうに考えます。公平性の点からもそれが正しいというふうに思われます。
特に、先ほど触れましたように、今、中低所得者、低所得者だけじゃなくて中低所得者の収入減ということと消費の停滞というのが起こっていますので、そういう意味では、幅広い階層に影響を与えるという意味で、より幅広い影響を与えるという意味で軽減税率が有効だというふうに考えます。
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特に、先ほど触れましたように、今、中低所得者、低所得者だけじゃなくて中低所得者の収入減ということと消費の停滞というのが起こっていますので、そういう意味では、幅広い階層に影響を与えるという意味で、より幅広い影響を与えるという意味で軽減税率が有効だというふうに考えます。
石
石川博崇#20
○石川博崇君 先生からは、資料の中で、エンゲル係数を用いて、所得階層二百万以下の方々については三三%、また一千五百万以上の方々については二〇%という点から考えても、低所得者対策としてもこの軽減税率が重要なのではないかという御指摘をいただきました。
一方で、国民の皆様からの御議論の中では、この軽減税率導入によって事業主の方々の事務負担が増える点についての懸念、それから、線引きについてこれまでも様々御議論がございました。
今回は食料品全般を、外食と酒類は対象外とさせていただきますけれども、それ以外、加工品も含めて食料品全般を対象とすることによりまして、線引きについてはできる限り分かりやすいものになったのではないかというふうに考えておりますが、こうした国民の皆様の御懸念に対してどのように対応していくことが適切なのか、特に事業主の方々の事業費負担、これを軽減していくこと、これは極めて重要な点でございますが、この点について林公述人から御所見を賜れれば幸いでございます。
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今回は食料品全般を、外食と酒類は対象外とさせていただきますけれども、それ以外、加工品も含めて食料品全般を対象とすることによりまして、線引きについてはできる限り分かりやすいものになったのではないかというふうに考えておりますが、こうした国民の皆様の御懸念に対してどのように対応していくことが適切なのか、特に事業主の方々の事業費負担、これを軽減していくこと、これは極めて重要な点でございますが、この点について林公述人から御所見を賜れれば幸いでございます。
林
林健二郎#21
○公述人(林健二郎君) その事務負担は当然掛かりますけれども、しかし、世界主要国においては軽減税率の導入ということが多く行われていますので、日本においてもそれが実現できるように、予算措置も含めて対応していかなければならないというふうに思います。これからまだ約一年間の余裕がありますから、その間に十分説明をして、どういう対策が必要かも十分議論されて、その上で進めていただきたいと思います。
今回の軽減税率の対象については、一応私は社会常識から見て適切な御判断ではなかったかと思います。
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石
石川博崇#22
○石川博崇君 ありがとうございます。
消費が、前回の五%から八%に引き上げた段階以降、引き続き落ち込みが続いているという御指摘でございまして、この消費を引き上げていくためにも、あるいはこれ以上、今回、来年の四月に引上げの段階で落とさないためにも軽減税率導入が重要だという御指摘でございましたが、あわせて、しっかりと景気、経済を向上させていくためにも、中小企業あるいは地方にも今のアベノミクスの恩恵を行き届けさせる、そういった取組が重要なのではないかというふうに思います。それとともに、やはり賃金上昇に向けた流れを築いていくということが大事ではないかと思います。
そこで、加藤公述人にお伺いをさせていただきたいと思いますが、加藤公述人からは、最後に潜在成長率の引上げが重要であるというふうに御指摘を賜りました。まさにそのとおりだというふうに思っております。今のこの成長を引き上げていく上で、例えば中小企業の生産性を向上させていくこと、そして地方も含めて賃金上昇の流れをくんでいくこと、こうしたことによって潜在成長率をしっかりと引き上げていくことが重要かと思いますが、そのための具体的な施策につきまして御所見を賜れれば幸いでございます。
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そこで、加藤公述人にお伺いをさせていただきたいと思いますが、加藤公述人からは、最後に潜在成長率の引上げが重要であるというふうに御指摘を賜りました。まさにそのとおりだというふうに思っております。今のこの成長を引き上げていく上で、例えば中小企業の生産性を向上させていくこと、そして地方も含めて賃金上昇の流れをくんでいくこと、こうしたことによって潜在成長率をしっかりと引き上げていくことが重要かと思いますが、そのための具体的な施策につきまして御所見を賜れれば幸いでございます。
加
加藤出#23
○公述人(加藤出君) 例えば、日本の場合、新しい会社を起こす起業のしやすさという点でもやっぱりまだいろいろ制約があるんだと思いますが、例えば、世界銀行が毎年出していますビジネスのしやすさランキングというのがありますけれども、起業のしやすさで見ると、二〇一六年は日本は八十一位で、前年の七十七位よりまた低下しているということもあり、一つは、やはりいろいろ規制緩和などを進めながら新しいビジネスを起こしやすいようにする、チャレンジしやすい社会にしていくということがまず大事かと思います。
また、私の資料の十六ページ目にも載せておりますが、やはり何といっても人口が減っていく、しかも働く世代の人口が減っていくという中で、日本の消費のマーケットというものがやっぱりなかなか魅力的に企業から見えず、どうしても外に投資が行ってしまうという状況ですから、せっかくの金融緩和もなかなか投資のチャンスとして生かされず、お金は外に向かいがちに、企業の収益は、せっかく稼いだ収益は外に投資されてしまうという状況ですから、やっぱりこの人口問題ということも非常に重要、あるいはこの十六ページ目の下に載せておりますけれども、イノベーションが起きやすい環境となると、海外の優秀な才能もどんどん取り込みながらやっていくというようなアプローチも重要になってくるであろうと思いますので、人口対策あるいは移民対策等々もタブーなく議論していくことが必要ではないかなと思います。
この発言だけを見る →また、私の資料の十六ページ目にも載せておりますが、やはり何といっても人口が減っていく、しかも働く世代の人口が減っていくという中で、日本の消費のマーケットというものがやっぱりなかなか魅力的に企業から見えず、どうしても外に投資が行ってしまうという状況ですから、せっかくの金融緩和もなかなか投資のチャンスとして生かされず、お金は外に向かいがちに、企業の収益は、せっかく稼いだ収益は外に投資されてしまうという状況ですから、やっぱりこの人口問題ということも非常に重要、あるいはこの十六ページ目の下に載せておりますけれども、イノベーションが起きやすい環境となると、海外の優秀な才能もどんどん取り込みながらやっていくというようなアプローチも重要になってくるであろうと思いますので、人口対策あるいは移民対策等々もタブーなく議論していくことが必要ではないかなと思います。
石
小
小池晃#25
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
林公述人、加藤公述人、今日はありがとうございます。
加藤公述人にお伺いをしたいと思います。
日銀は異次元緩和、強力な金融緩和をやっているわけですが、出口についてなかなか説明をしないんですね。この点は他国の中央銀行はどうなのか。FRBは、入口のところで既に出口について基本的な考え方を示して、国庫納付金に与える影響なども説明をしている、試算を示しているわけですが、出口のリスク、コストについて説明をしているというふうに聞いているんですが、中央銀行としてはやっぱりこの点どうすべきなのか、御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →林公述人、加藤公述人、今日はありがとうございます。
加藤公述人にお伺いをしたいと思います。
日銀は異次元緩和、強力な金融緩和をやっているわけですが、出口についてなかなか説明をしないんですね。この点は他国の中央銀行はどうなのか。FRBは、入口のところで既に出口について基本的な考え方を示して、国庫納付金に与える影響なども説明をしている、試算を示しているわけですが、出口のリスク、コストについて説明をしているというふうに聞いているんですが、中央銀行としてはやっぱりこの点どうすべきなのか、御意見をお伺いしたいと思います。
加
加藤出#26
○公述人(加藤出君) 確かに、FRBに比べると、やっぱり出口に関する日銀の説明は不足しているということはあるかと思います。
FRBの場合、議会から、こんなに大量に市場から債券を買い取ってあとどうなるんだということを、主に共和党サイドから激しい批判もあったので、その議会に答えるという意味合いもあってかなり説明していたということがあるかと思いますけれども、あと、日銀もある程度出口政策のイメージは既に説明されているわけですけれども、余り踏み込んだことを言っていないのは大きく二つ理由があるかと思いますが、一つは、期待に働きかける政策、インフレを二%にしますよといって、それをみんなに信じてもらってインフレ率を上げるという政策なので、それが実現する前に出口の話を余りしたくない、できないという、その政策のアプローチからきてしまう制約があるんだと思います。
あともう一つは、やっぱり根本的な問題としては、これだけ巨大な政府債務のある我が国で国債を猛烈に買い取っているということで、どうやって将来の日銀が国債の買入れをやめていったときにうまくソフトランディングを長期金利ができるのかというところの問題というのは、財政再建とも直結してくる話でしょうから、実際のところなかなかそこを日銀の方からイメージをつくれないということと、両方、二つ理由があるのかなと推測します。
この発言だけを見る →FRBの場合、議会から、こんなに大量に市場から債券を買い取ってあとどうなるんだということを、主に共和党サイドから激しい批判もあったので、その議会に答えるという意味合いもあってかなり説明していたということがあるかと思いますけれども、あと、日銀もある程度出口政策のイメージは既に説明されているわけですけれども、余り踏み込んだことを言っていないのは大きく二つ理由があるかと思いますが、一つは、期待に働きかける政策、インフレを二%にしますよといって、それをみんなに信じてもらってインフレ率を上げるという政策なので、それが実現する前に出口の話を余りしたくない、できないという、その政策のアプローチからきてしまう制約があるんだと思います。
あともう一つは、やっぱり根本的な問題としては、これだけ巨大な政府債務のある我が国で国債を猛烈に買い取っているということで、どうやって将来の日銀が国債の買入れをやめていったときにうまくソフトランディングを長期金利ができるのかというところの問題というのは、財政再建とも直結してくる話でしょうから、実際のところなかなかそこを日銀の方からイメージをつくれないということと、両方、二つ理由があるのかなと推測します。
小
小池晃#27
○小池晃君 国会でもかなり問いただしているんですけど、答えないんですね。おっしゃるように、やっぱり政府も含めたこれは責任だと私も思うので、ちょっと引き続きこの問題を取り上げていきたいというふうに思います。
それから、二%物価目標が個人消費に与えた影響についてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、期待物価上昇率を引き上げる、今もお話ありましたが、実質金利が下がれば投資が進むんだと。そうなっていないわけであります。
個人消費について、原油価格が下がってきてはいますけれども、円安の影響で食料品価格など生活必需品の物価も上がって個人消費に悪影響を与えた側面もあるのではないかというふうに思うんですが、この間のこの日銀の行動が個人消費に与えた影響についてはどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →それから、二%物価目標が個人消費に与えた影響についてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、期待物価上昇率を引き上げる、今もお話ありましたが、実質金利が下がれば投資が進むんだと。そうなっていないわけであります。
個人消費について、原油価格が下がってきてはいますけれども、円安の影響で食料品価格など生活必需品の物価も上がって個人消費に悪影響を与えた側面もあるのではないかというふうに思うんですが、この間のこの日銀の行動が個人消費に与えた影響についてはどのようにお考えでしょうか。
加
加藤出#28
○公述人(加藤出君) 日銀の政策によって、円安、株価である程度消費者のマインドも明るくなったと、それから大手企業を中心に賃上げもあったということでのマインドの好転というのはまあ実際あったんだと思いますが、ただ、円安主導で輸入物価を上げていくと、一番顕著なのは、食品価格が上昇すると生活コストの上昇になりますから、ほかの消費が停滞してしまうということが起きてきたこの三年間ということだと思います。
ですので、賃上げに伴う、購買力の増加に伴う物価の上昇といういい形のスパイラルが起きればいいわけですけれども、金融政策だけで早期にインフレを起こそうとすると、まずは輸入物価を押し上げてということにやっぱりどうしてもなってしまいますので、その点では、消費においてはマイナス面も出てしまっているということゆえに、先ほどの私の資料の七ページ目の消費者態度指数も、今の政策を始めた三年前よりも必ずしもマインドが高い位置にいないというのは、やっぱりそういう面も出てしまっているということだと思います。
この発言だけを見る →ですので、賃上げに伴う、購買力の増加に伴う物価の上昇といういい形のスパイラルが起きればいいわけですけれども、金融政策だけで早期にインフレを起こそうとすると、まずは輸入物価を押し上げてということにやっぱりどうしてもなってしまいますので、その点では、消費においてはマイナス面も出てしまっているということゆえに、先ほどの私の資料の七ページ目の消費者態度指数も、今の政策を始めた三年前よりも必ずしもマインドが高い位置にいないというのは、やっぱりそういう面も出てしまっているということだと思います。
小
小池晃#29
○小池晃君 今お話あった消費者態度指数、これはもう二月、がたっと落ちているわけですね。これはやっぱり、あのマイナス金利という政策そのもののイメージ、まあ国民からすると、もう何というか打つ手なしというようなイメージを与えてしまう。それがこの消費マインドにかなり大きな影響を与えたのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
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