法務委員会

2016-12-13 衆議院 全174発言

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会議録情報#0
平成二十八年十二月十三日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 鈴木 淳司君
   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君
   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君
      赤澤 亮正君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    奥野 信亮君
      門  博文君    城内  実君
      鈴木 貴子君    辻  清人君
      野中  厚君    福山  守君
      藤原  崇君    古田 圭一君
      三ッ林裕巳君    宮川 典子君
      宮路 拓馬君    宗清 皇一君
      山田 賢司君    吉野 正芳君
      若狭  勝君    枝野 幸男君
      階   猛君    山尾志桜里君
      大口 善徳君    吉田 宣弘君
      畑野 君枝君    藤野 保史君
      木下 智彦君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         金田 勝年君
   法務副大臣        盛山 正仁君
   法務大臣政務官      井野 俊郎君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局審議官)            中島 淳一君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小川 秀樹君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君
   参考人
   (独立行政法人都市再生機構理事)         伊藤  治君
   法務委員会専門員     矢部 明宏君
    —————————————
委員の異動
十二月十三日
 辞任         補欠選任
  菅家 一郎君     三ッ林裕巳君
  辻  清人君     福山  守君
  宮路 拓馬君     宗清 皇一君
同日
 辞任         補欠選任
  福山  守君     辻  清人君
  三ッ林裕巳君     菅家 一郎君
  宗清 皇一君     宮路 拓馬君
    —————————————
十二月十三日
 商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 民法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六三号)
 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第六四号)
     ————◇—————
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鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 第百八十九回国会、内閣提出、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事伊藤治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局審議官中島淳一君、法務省民事局長小川秀樹君及び国土交通省大臣官房審議官伊藤明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#3
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野智博君。
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今野智博#4
○今野委員 おはようございます。自由民主党の今野智博です。ヤジありがとうございます。
 本日、質問の機会をいただきましたこと、感謝申し上げるとともに、本国会も最終盤を迎えるに当たりまして、本委員会においては落ちついた雰囲気の中で質疑が行えること、委員長初め委員各位の御尽力に改めて感謝を申し上げながら質問に入ります。
 今まで、この民法改正の質疑、三十時間弱の質疑時間が積み上げられまして、かなり、いろいろな論点について多岐にわたる質問がされ、議論も深化してきたのではないかなと思っております。
 言うまでもなく、今回の民法改正は、本来あるべき条文の追加であったり、あるいは長年にわたる実務の慣行、判例法理等を明文化するということが主眼である一方で、保証や時効については、新たな慣行を形成すべく条文を追加したということでございます。
 私、質疑を聞いておりまして、この委員会での質疑の中で、こんな論点があったのかということで気づかされる部分も多々ありましたし、また、聞いていて、もう少し深掘りをしたらどうかという論点もございました。きょうは、せっかく質問の機会をいただきましたので、細かな点にはなりますけれども、私が委員会の質疑を聞きながら少し気になったことについて質問をしたいと思います。
 先日、公明党の吉田委員が御質問をされていた論点でございますけれども、改正案条文の四百六十五条の十というところで、保証の情報提供ということが書かれております。この中に、主たる債務者は、委託を受ける者、保証人に対して、財産の状況を通知しなければならない、それを保証人が誤認した場合に保証契約を取り消すことができるというような趣旨の条文がございます。
 まず、これに関して、当然、債権者側とすれば保証契約を取り消されるというのはかなり不利益が大きいということが考えられますので、そう軽々に取り消されてはたまらないということだと思いますが、では、財産状況の誤認ということについて、具体的には今後実務が積み上げられていくと思いますけれども、どの程度の誤認があれば取り消しが可能なのか、現段階で具体的なもので何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
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小川秀樹#5
○小川政府参考人 取り消し権を行使するには、その情報提供義務によって主債務者が情報提供すべき事項について誤認をしたというだけではなく、その誤認と保証契約の締結との間に因果関係があることが必要になります。そのため、その誤認の程度は、その誤認がなければ保証契約の締結をしない程度でなければならないわけですが、このような義務を設けた趣旨が、保証人において保証契約を締結するリスクの判断を可能にするためであることに照らせば、保証することによる具体的なリスクの程度を見誤らせるような事項についての誤認であったかどうかが重要であると考えられるところでございます。
 例えばということになりますが、主債務者に換価可能な資産がある、あるいは一定の収益があるといった事情は保証契約を締結するリスクを低減させるものでありますので、典型的には、主債務者に不動産などの換価可能な資産があるとの説明があったにもかかわらずそのような資産がないといったケースや、あるいは、収益が上がっているとの説明があったにもかかわらず全く収益がないといったケースなどは、通常、取り消し権を行使するに足りる誤認があったと認められるものと考えられると思います。
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今野智博#6
○今野委員 ありがとうございます。
 続きまして、これも保証に関係する条文でございますけれども、改正案の四百五十八条の三、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報の通知、情報の提供義務ということでございますが、具体的に言えば、その通知をしなければ、保証人に対して遅延損害金を請求できなくなるというような趣旨の条文が新たに設けられております。
 一般的に、意思表示に関しては到達主義がとられるということの関係で、この四百五十八条の三の通知、これに関しては、実際に保証人のところに到達することが必要なのかどうか。仮に保証人が引っ越しや行方不明ということで通知が難しい場合にどのような手続、方法が用意されているのか、それについてお伺いいたします。
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小川秀樹#7
○小川政府参考人 まず、四百五十八条の三の通知の性質でございますが、いわゆる意思表示というのは、一般に、一定の法律効果の発生を欲する意思を表示する行為をいうとされております。これに対しまして、四百五十八条の三の期限の利益の喪失の通知は、主債務者が期限の利益を喪失したという事実を保証人に知らせるものでありまして、講学上はいわゆる観念の通知と呼ばれるものでございます。先ほど申し上げました意思表示とは、その意味では厳密には異なる概念であると理解されております。
 この観念の通知は、意思表示それ自体ではないわけですが、基本的に意思表示に関する規定が類推適用されると解されておりますので、これも、相手方に到達しなければその効力を生じないということになります。したがいまして、期限の利益の喪失の通知についても、通知を発したが保証人に到達しなかった、そういう場合には通知したとは言えないということになります。
 このように、通知は保証人に到達することが必要ではありますが、保証契約の締結後に保証人の所在が不明となり、債権者が保証人に通知することが事実上困難となった場合には、債権者は、裁判所に申し立てをすることにより、公示により意思表示と同様の手法で保証人への通知をすることが可能でございます。したがいまして、そういう手法をとることによって、債権者の利益が不当に害されることはないというふうに考えております。
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今野智博#8
○今野委員 一般的には、保証契約というのは債権者と保証人との間の契約ですので、一定程度、債権者に対しても、保証人の所在については調査を尽くすことを前提とした制度だというふうに理解をいたしました。
 ちょっと、時間の関係で、続きまして、債権譲渡、とりわけ私が今一番聞きたいのが、譲渡禁止特約というものが付されている場合の債権譲渡についてでございます。
 今までの条文ですと、譲渡禁止特約が付されている場合については、その譲渡については無効になるというような解釈が一般であったかと思いますけれども、今回の改正によって、債権譲渡そのものに関しては効力を妨げられないというようなことで、少なくとも譲り渡し人、譲り受け人との間においてはその譲渡が有効である。これは、債権その他の資産を流動化させるということの社会的な要請の一環でそうした条文が設けられたのかなという気がしております。
 ただ、そうはいっても、譲渡禁止特約をする債務者側の利益、いきなり、わけのわからない、知らないところで債権者がかわってしまって、厳しい取り立てに遭うとかそういったことを避ける、あるいは、債務者側も、債権者側に対して何か債権を取得する予定があって将来的には相殺をしようとか、そういったさまざまな利益があるわけでございますけれども、今回、そうしたことを含みおきながら、いろいろな条文が設けられております。
 とりわけ、改正案の四百六十六条の二ということで、これは、債権譲渡禁止特約がついた債権が譲渡された場合の債務者の利益を保護するために、債権者不確知ということで、二重払いの危険にさらされた債務者側が供託をすることができるというような条文が設けられております。
 供託できるというふうに条文では書かれておるんですが、実際上は、債務者側としては常に供託をしなければいけない、そういった状況に置かれるのではないかと私は考えられるんですけれども、その点はいかがでしょうか。
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小川秀樹#9
○小川政府参考人 まず、現行法のもとの御説明をいたしますと、譲渡制限特約つきの債権が譲渡された場合において、譲り受け人が特約の存在を知っているか否かなどを債務者が知ることができないときは、債務者は債権者を確知することができないとして、債権者不確知の弁済供託をすることによって債務を免れることができることになります。
 実際には、譲渡制限特約つきの債権が譲渡された場合には、債務者は、この弁済供託を利用することによって弁済の相手方を誤るリスクを事前に回避しておくという運用が多く行われていると承知しております。
 改正法案におきましては、譲渡制限特約が付されていても債権の譲渡の効力が妨げられないこととしております。そのため、譲渡制限特約つきの債権が譲渡された場合には、譲り受け人が譲渡禁止特約が付されていることを知っているか否かにかかわらず債権者は常に譲り受け人となるため、形式的には、債権者を確知することができないという状態ではない、債権者不確知という状態ではないということになります。
 しかし、他方で、改正法案のもとでも、譲渡制限特約が付されていることを譲り受け人が知っていたかどうかによって債務者が有効に弁済をすることができる相手方は異なるため、同様に、債務者が供託することで債務を免れさせる必要は高いと考えられます。
 そこで、改正法案では、新たな供託原因を創設し、譲渡制限特約が付された金銭債権が譲渡された場合には債務者は供託をすることができることとしております。
 もっとも、債務者が弁済の相手方を誤るリスクを回避することを目的として供託することが想定されておりますので、例えば譲り受け人が悪意または重過失であることが明らかであるような場合、これは典型的には債権の譲渡が担保目的や売買目的で行われるといったケースで、相手方が一般の金融機関や企業であるような場合ということになると思いますが、こういった場合には、債務者としては、あえて供託という手続はとらず、譲渡人に対して弁済をするという方法を選択することも十分にあり得るものと考えられております。
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今野智博#10
○今野委員 言葉でこれを聞くとなかなか理解がしがたいんですが、じっくり議事録を後で読んでいただきたいと思います。
 それと、四百六十六条の二の第二項で、供託をした場合に、債務者が譲り渡し人及び譲り受け人に対して遅滞なく供託の通知をしなければいけないというふうな条文があります。
 遅滞なく通知をしなかった場合に、では結局、債務者側がどのような不利益をこうむるのか。場合によっては債務不履行ということで責任を追及されることがあるのか。その点はいかがでしょうか。
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小川秀樹#11
○小川政府参考人 まず、通知義務を課した理由でございますが、四百六十六条の二第一項の規定に基づいて「供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。」とされております。これは、弁済供託一般について、「供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。」とされていることから、これを参照して、債務者に、今回の改正法案の制度についても通知義務を課すこととしたものでございます。
 この一般の弁済供託においては、供託をした者が民法第四百九十五条第三項に基づく通知義務を怠った場合には、供託の効力が否定されるということではなくて、供託をした者が被供託者に対して損害賠償責任を負うと解されております。したがいまして、四百六十六条の二第二項に基づく通知義務を債務者が怠った場合につきましても同様に、この義務違反に基づく損害賠償責任を負うことになると解されるところでございます。
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今野智博#12
○今野委員 ありがとうございました。
 私が若干気になっていた点について、きょうの質疑において明らかにしていただきました。
 またきょうも充実した審議が行われることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
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鈴木淳司#13
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
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吉田宣弘#14
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
 本日も、質疑の機会を賜りましたこと、心から感謝を申し上げて、限られた時間でございます、早速質問に入らせていただきます。
 まず、意思無能力者の法律行為に関する規定、これは現行民法には規定がなかったというふうに承知をしております。意思無能力者の法律行為は無効と解されてきたというふうに承知をしておりますけれども、間違いないか、確認の意味でお聞かせください。
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小川秀樹#15
○小川政府参考人 現行法におきましては明文の規定はございませんが、意思無能力者がした法律行為は無効となると解釈されておりまして、この点につきましては判例、学説上異論なく認められていたところだというふうに理解しております。
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吉田宣弘#16
○吉田(宣)委員 今般の法改正でこの内容が規定をされたというふうに私は承知をしております。
 次に、錯誤について。
 これまで、意思表示に要素の錯誤がある場合には無効であると規定をされていたというふうに承知をしております。今般の改正で、無効でなく、これが取り消しという規定の仕方になったというふうなことでございますけれども、無効から取り消しになった趣旨について御説明を願いたいと思います。
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小川秀樹#17
○小川政府参考人 現行法の九十五条は、錯誤による意思表示につきましては無効としております。この無効という効果の一般的な理解によれば、まず無効は誰でも主張することができるということ、それから無効を主張することができる期間には制限はないというのが、二つ挙げられようかと思います。もっとも、錯誤による意思表示の効力を否定するのは意思表示をしました表意者を保護するためでありますので、相手方やそれ以外の第三者が意思表示の無効を主張することを認める必要はないと考えられます。そこで、判例も、取り消しと同様に、原則として意思表示をした者のみが錯誤により意思表示の効力を否定することができるとしております。
 また、他人の欺罔行為に基づいて誤解を生じたという、いわゆる詐欺の場合を考えますと、意思表示は無効でなく取り消しとされておりますため、その効力を否定することができる期間は五年間に制限されるにもかかわらず、他人の欺罔行為によることなくみずから誤解をするに至った錯誤の場合にはそのような期間制限がないということになりまして、そのままでは、落ち度のある表意者をより保護する結果となっておって、バランスを欠いていると考えられます。
 そこで、改正法案におきましては、以上のような点を考慮いたしまして、錯誤による意思表示は、無効ではなく、取り消すことができるものとしております。
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吉田宣弘#18
○吉田(宣)委員 いわゆる表意者保護に関する視点からそのような改正がなされたというふうな御説明であったかと思います。
 加えて、現行法では、無権代理人の行った法律行為は本人との関係では効果が帰属しないと承知をしておりますけれども、改正法でも変化がないのでしょうか。お聞かせください。
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小川秀樹#19
○小川政府参考人 現行法百十三条一項は、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」と規定しておりまして、無権代理人が行った法律行為は、原則としては本人との関係でその効力が生じないものとされております。
 改正法案におきましても、この現行法百十三条第一項については改正を行っておりませんで、改正法案のもとにおいてもこの点については変更はございません。
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吉田宣弘#20
○吉田(宣)委員 さらに進ませていただきます。
 次に、無権利者に対する弁済の効力についてお聞きをしたいと思います。
 無権利者に対する弁済の効力は無効であるというふうに承知をしております。まず、この認識で間違いがないのか。
 また、改正法では、意思無能力者の行った法律行為について無効であるとの明文の規定が施されたのに対し、無権利者に対する弁済については現行法も改正法も規定がないというふうに承知をしております。改正法において規定がない理由を御説明願いたいと思います。
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小川秀樹#21
○小川政府参考人 弁済を受領する権限のない無権利者に対する弁済は、これは原則として効力を有しません。このことについては、条文上明記はされておりませんが、異論なく認められるところだというふうに理解しております。
 それから、規定を設けなかった理由でございますが、現行法においてはそもそも弁済という用語の意義が明らかになるような規定さえございませんでしたので、改正法案においては、債務者が債権者に対して弁済をしたときにはその債権は消滅する旨の弁済の原則的な規定を設けることとしております。民法改正法案の第四百七十三条でございます。
 他方で、この規定を前提とする限り、無権利者に対する弁済が有効とならないことにつきましては、その規定の反対解釈から容易に読み取ることができるというふうに考えられますので、その趣旨を明示する規定を設ける必要性は改正法案のもとでは低くなっていると考えられます。そこで、無権利者に対する弁済について、その効力を有しない旨の規定を置くこととはしなかったものでございます。
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吉田宣弘#22
○吉田(宣)委員 加えて問いをさせていただきたいと思います。
 この無権利者への弁済、これは現行民法で四百七十八条という例外規定があると承知をしておりますけれども、改正法案の中に本条に対応する規定はあるかどうか教えてください。
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小川秀樹#23
○小川政府参考人 現行法第四百七十八条に対応する規定は改正法案でも存在しておりますし、条文番号も変わっておりませんので、四百七十八条がこれに対応する規定でございます。
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吉田宣弘#24
○吉田(宣)委員 先ほど改正法の民法のたてつけについて説明がございましたけれども、やはり私はちょっと疑問なんです。
 なぜかと申しますと、無権利者の弁済については、原則明文の規定がなくて、例外について明文の規定があるということなんですね。
 最初に御説明いただいたとおり、現行法は、意思無能力の法律行為は無効と解されていて、争いの余地はなかった。とりたてて明文の規定を立てなくても国民生活には私は特段混乱は生じなかったであろうと思います。ただ、国民にわかりやすい民法を目指すという意味において、明文化した意義そのものを否定するつもりはもちろんございません。
 錯誤無効については、権利の内容が変更されているという意味でお聞きをいたしました。
 無権代理行為が本人との関係で効果が帰属をしない、これは現行法にも規定がある。
 しかし、無権利者への弁済の効力について、これは原則であるにもかかわらず明文の規定がない、例外については明文規定があるという状態が改正法でも維持されるということに、私だけかもしれませんが、違和感があります。
 そこで、もう一度、念のため確認したいんですけれども、現行民法四百七十八条と改正法の四百七十八条は、無権利者への弁済が無効であるという原則に対する例外規定であるという理解で間違いないか、確認の意味でお聞かせください。
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小川秀樹#25
○小川政府参考人 委員の御理解のとおり、現行法四百七十八条は、弁済を受領する権限のない無権利者に対する弁済が効力を有しないという原則に対する一定の例外を定めておりまして、改正法案における四百七十八条も同様の例外を定めております。
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吉田宣弘#26
○吉田(宣)委員 もう少し議論を深めさせていただきたいと思います。具体的な例を立ててお聞きしたいと思います。
 預金通帳を登録の印鑑とともに盗まれて、窃盗人が銀行の窓口でその通帳から預金の払い戻しを受けた場合、被害者は救済されるかという例でお聞きしたいと思いますが、先般、参考人質疑で資料配付されました「消費者からみた民法改正」というオレンジ色の本に書いてある事例です。
 この場合、窃盗人は預金については当然無権利者ということで、したがって、銀行の払い戻し行為は無権利者への弁済であって無効となる、銀行には払い戻した現金の返還請求権が発生するだけで、預金者の権利には影響を及ぼさない、これが原則であるということで間違いないか、お聞かせください。
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小川秀樹#27
○小川政府参考人 先ほども申し上げましたように、弁済を受領する権限のない無権利者に対する弁済は、原則として効力を有しないものでございます。
 委員御指摘の預金通帳と登録印鑑を窃取した者ということになりますと、弁済を受領する権限のない無権利者の典型であると考えられますので、その意味では、弁済としての効力を有せず、預金者の権利には影響を及ぼさないのが原則でございます。
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吉田宣弘#28
○吉田(宣)委員 原則、影響がないということなんですね。すなわち、預金者を保護する必要性はこの時点ではないということになります。
 しかし、現行法でも改正法でも四百七十八条があるので、銀行は払い戻し行為につき善意無過失であれば払い戻しは弁済として有効となり、原則は修正されて、預金者が今度は窃盗人に対して不当利得返還請求権を行使するしかすべはないという結論になると考えますが、これで間違いございませんでしょうか。
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小川秀樹#29
○小川政府参考人 現行法四百七十八条は、債権の準占有者に対してした弁済は、弁済が善意でかつ無過失であったときに限り有効であるとしております。
 委員御指摘の、預金通帳及び登録印を所持している者についてはこの債権の準占有者に当たるとする判断が裁判例としても多いというふうに指摘されております。
 改正法案は、債権の準占有者という用語の意味内容を明確化することとしておりますが、その範囲を実質的に改めるものではございません。したがいまして、先ほど申し上げました指摘を前提といたしますと、債務者名義の預金通帳などを持参した者は四百七十八条に該当することになるものと考えられます。
 したがいまして、委員御指摘の事例については、現行法と改正法案のいずれにおいても、もちろん個別の事案ごとの判断ではございますが、四百七十八条により、その払い戻しは弁済としての効力を生じ、預金者の債権は消滅することになることと考えられます。このため、預金者は、銀行に対して払い戻しを請求することはできず、民法の規定のみを前提とする限りは、窃盗した者に対する不当利得返還請求権あるいは不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することによって救済を受けることになると考えられるところでございます。
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