環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会

2016-12-02 参議院 全124発言

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会議録情報#0
平成二十八年十二月二日(金曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     進藤金日子君     朝日健太郎君
     中西 祐介君     森屋  宏君
     藤末 健三君     川合 孝典君
     吉良よし子君     山添  拓君
     片山 大介君     清水 貴之君
     森 ゆうこ君     福島みずほ君
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     中西  哲君     足立 敏之君
     浜口  誠君     宮沢 由佳君
     河野 義博君    佐々木さやか君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                足立 敏之君
                朝日健太郎君
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                森屋  宏君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                川合 孝典君
                田名部匡代君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                宮沢 由佳君
                熊野 正士君
               佐々木さやか君
                平木 大作君
                三浦 信祐君
                大門実紀史君
                山添  拓君
                儀間 光男君
                清水 貴之君
                福島みずほ君
                行田 邦子君
                中野 正志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   参考人
       学習院大学経済
       学部教授     遠藤 久夫君
       北海道がんセン
       ター名誉院長
       北海道医薬専門
       学校学校長    西尾 正道君
       東京大学名誉教
       授        醍醐  聰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ─────────────
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林芳正#1
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、吉良よし子君、片山大介君、藤末健三君、森ゆうこ君、進藤金日子君及び中西祐介君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君、清水貴之君、川合孝典君、福島みずほ君、朝日健太郎君及び森屋宏君が選任されました。
 また、本日、河野義博君が委員を辞任され、その補欠として佐々木さやか君が選任されました。
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林芳正#2
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。
 本日は、両案件の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、学習院大学経済学部教授遠藤久夫君、北海道がんセンター名誉院長・北海道医薬専門学校学校長西尾正道君及び東京大学名誉教授醍醐聰君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございました。
 皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、遠藤参考人、西尾参考人、醍醐参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 御発言の際は挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず遠藤参考人にお願いいたします。遠藤参考人。
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遠藤久夫#3
○参考人(遠藤久夫君) 学習院大学経済学部の遠藤でございます。医療経済学を専門としております。
 時間が限られておりますので、ちょっと文書の読み上げで失礼させていただきます。
 本日は、このような場に意見陳述する機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。
 私は、二〇〇五年から二〇一一年までの六年間、厚生労働省の中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協の委員を務めておりまして、そのうち後半の二〇〇八年から二〇一一年の三年間は会長を務めさせていただきました。現在は社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会の部会長を務めております。そういう関係で、我が国の医療保険制度及び診療報酬あるいは薬価制度について知見があるということで今回参考人として意見を述べる機会をいただいたと、このように考えております。
 まず初めに、我が国の国民皆保険について述べさせていただきます。
 御案内のとおり、昭和三十六年、一九六一年に国民皆保険体制が発足し、全ての国民が公的な医療保険に加入し、医療の保障を受けられるシステムになっているわけであります。また、我が国の医療保険では、有効性、安全性が確認され、必要かつ適切な治療は基本的に保険給付することとされております。また、高度な医療技術や革新的な医薬品が開発された場合、それらのほとんどは順次保険収載されて公的医療保険の対象となります。つまり、我が国の公的医療保障制度では、提供される医療の有効性や安全性を担保するだけではなく、新しい技術や革新的新薬も積極的に保険給付の対象としているわけであります。さらに、高額療養費制度等々によりまして、高額な費用が掛かる治療においても一定額の自己負担で受けられる仕組みになっているわけであります。このように大変恵まれた医療保険の仕組みは世界にも類がなく、まさに世界に冠たると言える国民皆保険体制だと考えることができると思います。
 しかしながら、その一方で、高齢化の進展に伴って医療費が急速に伸びていることもまた事実でありまして、様々な制度改革が現在も求められて進行しているということは御案内のとおりであります。
 さて、TPPとの関連でお話をさせていただきたいと思います。
 TPPの議論が起きた当初は、TPPの締結によりまして、いわゆる混合診療が解禁され、我が国の皆保険体制が崩壊するのではないか、あるいはアメリカの要求で我が国の医薬品や医療機器の保険償還価格が高くなり、医療費を高騰させるのではないかという、そういう議論あるいは懸念が巻き起こったわけであります。
 私は、まず申し上げておきますと、いわゆる混合診療の解禁には反対の立場であります。混合診療の禁止というのは、御案内のとおり、一連の医療の中で自由診療と保険診療を併用した場合には保険診療部分も自己負担となると、こういう仕掛けでございますけれども、この仕組みの評価は様々で、いろいろな意見もございますけれども、私は高く評価しておりまして、我が国の国民皆保険制度の土台を支えている重要な要素の一つだと思っております。
 保険診療であれば有効性と安全性が担保された医療しか対象とされませんし、保険診療であれば患者の自己負担は軽減されて、医療へのアクセスが保障されます。さらに、この混合診療を禁止している、こういう体制の下では、新薬を保険収載せずに自由診療として提供することは、患者の自己負担が非常に大きくなるため、製薬企業は新薬を速やかに保険収載しようといたします。その結果、患者は革新的な新薬でも保険診療として少ない金銭的負担で利用することが可能となると。もし混合診療禁止の仕組みが全くなければ、有効性の高い革新的な医薬品がいつまでも保険の対象とならない可能性もあるわけでございます。
 したがいまして、TPPの締結が混合診療の解禁をもたらすという懸念が現実のものとなれば、ゆゆしき問題だと私自身も思っておりました。さて、その実態はどうだったのか。こういう関心を持っておりましたので、TPP協定の関係条文、私の能力の範囲において読んでみたわけでありますけれども、混合診療の解禁につながるような内容は見受けられませんでした。その意味で、TPPの締結に伴い、混合診療が解禁され、ひいては我が国の国民皆保険体制を揺るがすという意見は杞憂であったのではないかと、このように思っております。
 一方、医薬品は公的医療保障制度の重要な要素を形成しておりまして、一体不可分な存在でありますから、社会保障の一環だとは言えるわけですけれども、一方で、工業製品であることから、TPPのような貿易のルールの議論との親和性は高いというわけで、こちらの方はTPPの議論の俎上にのるだろうとは思っておりました。実際に、TPP協定には医薬品の保険収載の手続に関する規定、あるいは締約国での協議の枠組みに関する規定が設けられております。
 この内容に触れる前に、まず、我が国の薬価制度について簡単に述べたいと思います。
 私は、先ほど申し上げましたように、中医協委員六年を務めたのですけれども、そのうち四年間は、薬価専門部会という中医協の中の薬価基準を決める部会でありますけれども、そこの部会長を務めておりまして、個々の医薬品の薬価収載のみならず、薬価制度の改革に関わってきたという経験もございます。
 まず、我が国の薬価算定プロセスは、歴史的に累次の見直しを行いまして、その結果、他国よりも透明かつ公平公正な仕組みになっているということを申し上げておきたいと思います。薬価そのものは健康保険法に基づいて厚生労働大臣が定めるものでありますが、算定に当たってのルールには、算定基準という形で保険局長が通知の形で広く公開されておりますので、誰でも見ることができます。もう企業も当然これを自由に閲覧して、そのルールを十分把握した上で薬価収載の希望を提出することになっております。
 また、薬価算定の手続も透明かつ公平公正に運用されております。まず、新薬の薬価を決める場合には、中医協の下部組織であります薬価算定組織というところにメーカーが申請を出しまして、そこで議論がされて薬価の原案ができます。そのプロセスにおいて、現在は申請企業は二回意見を表明することができます。つまり、不服意見を表明して、そこでまた再検討するというプロセスになっております。この薬価算定組織は、ほとんどの審議会は全て公開になっておりますが、薬価算定組織に関しては、企業秘密の事項に基づいた議論もあるということでこれは非公開となっておりますが、企業秘密を公開しないということは他の国も同様であります。
 また、これも重要でありますけれども、薬価の算定においては外国企業と内資企業は一切差別はしておりません。全く同列に取り扱っております。そういう意味で非常に公平公正な仕組みになっているということでございます。
 次に、今度は薬価制度そのものを見直す場合はどうするか。これは、先ほどの薬価算定組織ではなく、中医協の中にあります薬価専門部会、それと中医協の総会、この二つで議論をするわけであります。
 薬価の見直しというのは二年に一回行われます。これは薬価改定、診療報酬のない奇数年に必ず議論されて何らかの改革が行われるわけでありますけれども、この見直しに際しては、見直しによって影響を受ける製薬企業の代表者あるいは卸業者等々、こういう方たちの意見陳述を一年間に二回行います。その中にはアメリカやヨーロッパの医薬品業界の団体の代表者が必ず含まれております。そういう意味で、日本だけで決めているのではないということであります。
 確かに、TPP協定には医薬品等に関する附属書がありまして、医薬品の保険収載及び保険償還価格決定に係る透明性及び手続の公正な実施について定められております。具体的には、この附属書の第三条で三つのことを言っておりまして、医薬品の保険収載の検討を一定期間内に完了させること、手続規則や方法、指針等を開示すること、それから申請者に意見提出の機会を与えることが求められているわけですが、これらを我が国の先ほどの薬価算定のプロセスに当てはめて考えてみますと、まず、医薬品の薬価収載は原則六十日間、遅くとも九十日以内ということになっております。また、先ほど御説明いたしましたように、薬価算定の基準は広く公開されておりますし、申請者に意見提出の機会も、二回あるというふうに申し上げましたけれども、ございます。
 以上のように、我が国の薬価算定プロセスは既にTPP協定が締約国に求める内容をクリアしているわけです。したがって、TPP協定によって我が国の薬価算定プロセスを何か変えなければいけないということはないというふうに考えます。
 次に、そうはいっても、TPP協定によって外国政府から様々な要求が強まるのではないかという懸念もよく聞かれます。
 そもそも我が国は、薬価制度や医薬品、医療機器について米国政府などとバイで様々な交渉協議をしてきた経緯があります。外交交渉自体は政府が行っておりますので私がその詳細を知る立場にはありませんけれども、薬価制度や医薬品、医療機器に関する交渉結果を見ますと、これは是々非々で対応しているということが分かります。我が国の国民の利益になるもの、あるいは我が国の医療保険制度の持続可能性を高めるもの、あるいは医薬品、医療機器業界の発展のため内資企業も含めて切に切望しているものなどについては制度変更を行うことがありますが、国民皆保険制度に悪影響を及ぼすものや不当な要求は再三要望があっても拒否し続けているというふうに思います。TPP発効後、もし外国政府と協議することがあったとしても、日本政府はこれまでどおりこのような姿勢で臨めば、外国政府の不当な要求を受け入れることにはならないと思います。
 今まで申し上げましたとおり、私としては、TPP協定の発効によって我が国の国民皆保険が脅かされたり薬価が高騰するといったことは生じないと思います。また、我が国の制度はTPPが求める水準を既にクリアしておりまして、むしろ締約国間で統一的なルールを定めることによって我が国の医薬品産業の海外への進出にとってプラスになることが期待されると考えます。
 これからも国民皆保険をしっかりと堅持していただいて、また、先進国として外国政府との協議には誠実に応じつつ、その要求には是々非々で対応していただくという、このようなこれまでの対応を日本政府にはお願いしたいというふうに考えております。
 私の意見陳述は以上のとおりでございます。どうもありがとうございました。
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林芳正#4
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 次に、西尾参考人にお願いいたします。西尾参考人。
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西
西尾正道#5
○参考人(西尾正道君) 北海道がんセンターの名誉院長をやっております西尾と申します。
 私は、放射線治療で四十年ほどずっと一線の病院でやってまいりました。原発問題なんかでもいろいろ発言しているんですけれども、日本人のこういった放射線の健康被害も非常にうそだらけで塗り固められているので、大変僕は危機意識を燃やしているんですけれども。
 TPPに関しては、水曜日の午後にこの参考人のお話、電話を受けまして、昨日一日でちょっと資料を作りました。以前書いたものなんかを集めて四つの資料を作っております。
 一番目は、講演なんかでスライドとして使っているスライド、ポイントになるものを十六枚ほど用意しました。今日はその内容だけで説明になると思いますけど。
 二番目は、医療がどういうふうに変わるかというようなことを、ちょっと長文ですけれども書いたものがありましたので、持ってまいりましたので、後ほど読んでいただければと思います。
 それから、三点目と四点目の原稿は、北海道医師会の雑誌に、お医者さんもTPPのことに関しては余り問題意識がないということと、それから、実は福島の原発事故の健康被害というのはこれから出てくるとして、本態は微粒子の取り込みによる内部被曝であるということで僕自身の頭も大分整理付きましたので、それをちょっと医者向けに書いた原稿でございます。三、四は投稿原稿ですけれども、一応医師会の雑誌に載った原稿でございますので、これもまた直接関係ないかもしれませんけど読んでいただきたい。特に、三番目のTPPによって医療はどう変わるかということに関しては、実は経済的な問題だけじゃなくて、健康被害が本当に深刻になるというふうに僕は思っています、最後、ちょっとお話ししますけれども。
 それとあと、よく調べてみますと、このTPPというのはとんでもなく不平等な条約なわけですね。例えば、ISD条項というのは皆さん御存じだと思いますけれども、そのほかにラチェット条項というのがありますね。これは、一回取り決めたらもう後戻りできない、とんでもなく日本が不利になってもとにかく変えることはできないとか、それから、ノン・バイオレーション・コンプレインツ、とにかく思うようにアメリカの企業が利益を得れなければ日本を訴えることができるとか、それから、スナップバック条項といいまして、アメリカに不都合なことがあればアメリカだけが一方的に関税撤廃ができるとか、大変な不平等な条約がたくさんちりばめられております。
 こういうことだけじゃなくて、医療を中心にしてちょっとお話ししますけれども、このスライド原稿の一枚目ですけれども、かつて自民党は、選挙でうそはつかない、TPP断固反対と言っていました。今の稲田防衛大臣はかつて、TPPのバスは終着駅は日本文明の墓場だという発言をしているんですけれども、もうころっと、とにかく皆さん、個人がうそをつくというレベルじゃなくて、党としてうそをついている、百八十度態度を変えちゃう。一体国民は誰に投票したらいいんですか、これ。こういう党の公約そのものも破棄しちゃう。修正どころか百八十度違うようなことを言う。これはもう、うそとしか言いようがない。これらの倫理的な、道義的な問題って一体どうなっているんでしょう。恥ずかしくないんですかね。TPPを推進している、何年か前に断固反対していたのが。とにかく、こういった形で息を吐くようにうそをつかれたら、やっていられません、国民は。
 それで、そもそも六千ページに及ぶこの内容を本当に皆さん読んでいるんですか。情報を出してくださいと言っても、のり弁当の段階です。こんなことで、知らないで、とにかく赤信号みんなで渡れば怖くないといって今皆さん賛成しようとしているわけです。冗談ではない。こんな条文が、まともにチェックもしていないわけですから、実際には赤信号も見ないで今渡ろうとしているわけです。これが今の現実です。
 実際にTPPというのは、基本的には、歴史的には、昔戦争、今TPPです。昔は戦争を仕掛けて国益を取りました。戦争をするのは国益を取るためです。ところが、公然と核兵器を持つ時代になったら、お互い面と向かって戦争はできない。そうなると、地域紛争はもちろん起こりますけれども、国家として国同士がぶつかり合えないですから、国益を取る、国益というよりもむしろグローバル企業ですけれども、国を動かしているグローバル企業の利益を取るために、貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうというのがまさにTPPでございます。これがTPPの本質でございます。
 それから、三ページ目ですけれども、米国の医療というのはとんでもない高い。GDPの二〇%以上を占めていますし、日本の七倍の医療費が使われている。実際にですけれども、TPPに入るということは、結局アメリカナイズされた医療になるということでございます。もうお互いに助け合うとか共に生きるなんという発想はないんです。もうとにかく医療も完全に金もうけの道具になるというふうに考えてください。
 実際に、四枚目のスライドですけれども、これは米国のロビー活動費、これ、この活動費見たら、何がターゲットですか。農業とかそういうものじゃないです、実際には。ターゲットは医療です。医療であり医療産業の、保険も含めた医療業界の仕掛けなんです、最大のターゲットは。これは、二〇一三年の三月四日付けのタイム誌に、二十八ページにわたる米国医療の驚愕、医療ビジネスという特集号が出ていました。まさにこの中から取った記事であります。こういうことによって、日本の医療は多分かなり大幅に変わると思います。
 ちなみに、米韓FTAが二〇一二年に締結されましたけど、韓国の医療費は二年間で二倍になりました、二倍になりました。多分、日本は韓国の医療規模の四倍ぐらいありますから、恐らくあっという間に膨大にお金が飛び上がる。今、オプジーボで半額にしようなんという議論をやっていますけれども、そんな話じゃ全然なくなります。本当に深刻です。遠藤先生の意見とは僕は全く反対の考え方をしていますけれども、そういうことです。
 五枚目ですけれども、従来、一九八五年以来、とにかく日本の医療市場を開放するようにアメリカはずっと働きかけてまいりました。最近では、新薬創出加算のようなものをつくったりして、非常に製薬会社が有利な形で日本市場に参入してまいりました。しかし、このTPPが、まさにこういった米国の日本の医療産業の開放を行う最後の仕上げがTPPだというふうに僕は考えております。
 ちなみに、米国業界と保険業界の標的は日本市場であるということは、これは全国保険医団体連合会の寺尾さんの論文からサマリーを取ったものです。これ六枚目です。後から詳細は読んでください。時間がありませんので飛ばします。
 七枚目は、抗がん剤の価格が今こういうふうになっています。私が医者になった頃は、一か月の抗がん剤は数千円でした。九〇年代になって数万円になりました。二十一世紀になって数十万円になりました。そして、三年前の免疫チェックポイント阻害剤が出たら数百万円になりました。ですから、これでもう桁三つ違っているんですね。桁三つ違っていますけれども、TPPが締結されればどうなるか。要するに、アメリカの製薬会社のほとんど言いなりの値段になりかねない。
 中医協ではチェックできません。それから、中医協のやっていることが透明性とか公平性を欠くといってISD条項で訴えられたら、もうそれはできませんので、かなり製薬会社の意向を酌んだ価格になる。これは今、本当に日本の医療費というのはもうとにかくパンクしつつありますけれども、そんな話じゃ全然ありません。もう断トツにとにかく日本の医療費は飛び抜けます。ですから、最終的には皆保険も実質的に崩壊するというふうに考えております。
 実際に、六枚目ですかね、TPPで日本の医療はどう変わるかということになりますと、患者負担が増大しますし、混合診療が解禁されます。民間医療保険の拡大があります。それから、営利団体が、営利の会社が医療産業に入ってきます。そういうことで、今でさえ薬剤費、医薬品は三兆円以上の輸入超過になっていますけれども、もっともっとこれが広がっていくというふうに考えられます。
 それとあと、次ですけれども、このままでは、ですから日本の医療が崩壊して、日本人の健康は守られません。その下は、具体的にどういうことも例えば想定されるかというと、例えば先進医療みたいなことが今やられていますけれども、それが医学的に効果があるということで保険診療にしようとしたときに、先進特約なんかをやっている保険会社が利益を損ねるということで、保険診療にしたらそれは企業としては非常に損をするからということで、訴えられたら負けます。ですから、新しい新技術が保険診療にできないというような事態も考えられますし、もっと言いますと、実際の手術の術式まで特許料を取るというような事態になります。そういうことで、医療費も高くなりますので、国民はみんな医療保険に入らざるを得ないというような社会にもなりかねないというのがございます。
 あと、十枚目ですかね、TPPの根底にある思考というのは本当に正しいのかと。
 基本的に、TPPの本質は、グローバル企業が一般国民を犠牲にした金もうけでございまして、それから、自由貿易というのは善であるという前提なんですけど、これはやっぱり国の状況とか経済格差みたいなのを考えてやるべきであって、これ自体が本当にいいかどうかというのは話が別ですね。
 いわゆる産業革命以来、富の源泉というのは労働力でした。しかし、今は労働力じゃなくなった。ロボットも使える、AIも使える。そうしたら何が富の源泉かというと、科学技術を持つか持たないかです。それがまさに富を生み出すものになった。そうすると、科学技術の持つ負の側面は隠す、隠蔽するということになりますし、とにかくそういうことが金もうけになっちゃうと、とんでもない格差ができます、経済的に。
 それをどう社会正義だとか公平性を保って再配分するかということが、僕は本当の意味でのこれからの政治家の仕事だと思います。こういった本質的にやるべきことをきちっとやらないで、どんどん企業がもうけるようなところに世界をどんどん誘導していくというのは、僕はとんでもないことだと思います。そういう点では、議員としてというよりは一人の人間として、共に生きるような日本の社会をどうつくるかということを本当に真剣に考えていただきたい。
 それで、最後になりますけれども、生命を脅かすTPPの二つの大きな問題というのがございます。これは今、医療問題を言いました。もう一つは健康問題です。
 例えば、この四十年間、ホルモン依存性のがん、女性は、僕、医者になった頃、乳がん一万五千人でした。今九万人です。前立腺がんもほとんどいなかったけど、今、前立腺がんも九万人で、男性の罹患者数のトップになりました。卵巣がんもどんどん増えている、子宮体がんも増えている。ホルモン依存性のがんが五倍になっているんですよ。この四十年間でアメリカの牛肉消費量は五倍になりました。まさに、エストロゲン入りの、女性ホルモン入りの餌を与えて一割生産性を高めて、そういう肉を食べている日本人もアメリカ人も五倍になっているんです、ホルモン依存性のがんが。
 それから、例えば耐性菌もそうですね、豚や鳥には抗生物質入りの餌を与えて生産性を高めている。そのため、人間が肺炎になってもなかなか効かないという問題もございます。
 それから、残留農薬がとにかく世界一緩和されている。とんでもない話だ。実際に今一番使われているネオニコチノイド系の農薬が自閉症の原因であるということが突き止められています。小児の神経発達障害の原因であるアスペルガー症候群も含めたトータルな子供のそういう精神発達障害の原因がこの農薬である。最近、WHOは、今のネオニコチノイド系の農薬は発がんにも関係しているとBランクにランキングされました。それから、認知症にも関係している、うつ病にも関係しているという報告がどんどん出てきている。このままいけば、アメリカの若者が、子供たちが二人に一人は自閉症になるよというハーバード大学から去年論文が出ました。本当にこういうことが深刻なんですね。
 遺伝子組換えも日本は一番食べている。アメリカにとって大豆やトウモロコシは家畜の餌です。ところが、日本人は納豆で大豆食べます。みそやしょうゆの原材料です。一番食生活で遺伝子組換えの影響を受けるのは日本人の食生活なんです。こういうものが全くチェックされないで、世界一遺伝子組換え食品が普及している。これはもうまさに日本人の健康そのものが保てません。
 がん患者さんが増えているというのは、高齢者だけではないです。こういう食生活を含めて増えているし、更にもっと深刻なのは、昔六十以上になってがんになったのが、今四十代ざらです。約二十年間、若年化してがんになっています。これが現実です、僕の実感として。
 こういう健康問題というのが、自分たちの国で農薬を規制したり遺伝子組換えの表示がちゃんとできるようにしたり、そういったことがTPPに入った場合にできなくなっちゃうんです。日本の国の決まりよりもTPPの方が上位にあるわけです、位置されているわけです。こういう現実をやっぱり冷静に考えていただきたいと思います。
 最後の二枚ですけれども、最近では遺伝子組換えでサケなんかも五倍ぐらいの大きいものが作られていますね。これがもう本当に規制しなくていいのってことですよね。本当に何があるか分かりませんよ。
 例えば子宮頸がんワクチンだって、今までワクチンというのは、不活化ワクチンか弱毒化ワクチン、この作り方で作っていたんです。だから、大きな問題は起こらなかった。弱毒化か不活化にして作っていた。子宮頸がんワクチンというのは、遺伝子組換えを作っているんです。遺伝子組換え技術で作って、さらに効果を高めるためにアルミニウムのようなアジュバントを加えて作っているから、ああいう予期しない問題が起こっちゃうわけです。
 もう少し冷静に、命をやっぱり重視する、とにかくお金よりも命を大事にするという発想にやっぱり切り替えるべきだと思います。
 僕は、最後のスライドですけれども、大変深刻なのは、今福島から出ている放射性物質、これは微粒子として浮遊しています、残念ながら、四番目の資料の論文に書いてありますけれども。そういうものと化学物質が、農薬も含めた化学物質が人間の体に入った場合に相乗的に発がんするということが動物実験で分かっています。こういう今、多重複合汚染の社会になってきて、恐らく今二人に一人はがんになると言われていますけれども、多分、二、三十年たったら三人のうち二人はがんになります。僕はとっくに死んでいますから、若い議員さん方、是非確かめてください。この場で西尾がうそを言ったかどうか確かめてこいと。本当にがんがどんどん増えるという社会になります。
 そういう点では、自分たちの国できちっと法律である程度規制できるような体制をつくるためには、決してTPPに加入すべきではないというふうに私は思っております。
 ありがとうございました。
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林芳正#6
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 次に、醍醐参考人にお願いいたします。醍醐参考人。
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醍醐聰#7
○参考人(醍醐聰君) 醍醐と申します。
 こういう機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私用の資料は、パワーポイントバージョンで用意しました縦長でスライド二こまずつを入れました資料、もう一つ、横長で、私の名前をちょっと入れるのを忘れてしまったんですが、一番最初のページが表一、高額新医薬品データ一覧、このちょっと細かい数字の入った表、これが私の参考資料です。主にこの縦長のパワーポイントバージョンの資料で進めさせていただきます。
 私が申し上げたいことは、大きく言いまして二つでございます。
 もはや発効が見込めなくなったTPP協定、それでも国会で承認するということは、ただ無意味であるというにとどまらず、危険な行為だということをお話をしたいと。では、どこが危険なのか、協定案をスタートラインとして二国間協議に入っていくことがどうして危険なのか、そのことを少しお話ししたいと。その場合は、本日の主なテーマである医療、薬価問題を中心にお話をしたいと思っております。
 TPP協議に参加入りを決めましたときに、全国の大学教員が非常に将来を危惧しまして、約八百五十人の様々な分野の大学教員、私のような名誉教授も含めまして、TPP参加交渉からの脱退を求めようという会をつくりました。今回、この二十八日に緊急声明を発表しました。今日のこの私のお話と関わるところを少し読み上げさせていただきます。死に体のTPP協定を我が国が国会で承認しようとするのは無意味であるというにとどまらず、危険な行為である。協定文書を国内で承認すれば、仮にTPPが発効に至らないとしても、日本はここまで譲歩する覚悟を固めたという不可逆的な国際公約と受け取られ、日米二国間協議の場で協議のスタートラインとされるおそれが多分にあると。この点を私は強調したいと思っております。
 次ですが、これは実は大学教員の会だけが言ったのではなくて、安倍首相御自身が国会で実はおっしゃっているわけです。二十八日、そして昨日、実は私もテレビで見ましたが、この特別委員会の場で安倍首相はこういう答弁をされています。協定案が国会で承認されるならばということで、日本がTPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意があるという国家の意思を示すことになると、こういうことを明言されております。解釈は全く逆ですけれども、将来の見通しについてはくしくも何か同じになっているような気がしました。
 しかし、その解釈の違いなんですが、つまり、TPPバスの行き先が全く違うということですね。協定案はそれほど、安倍首相がおっしゃるほど胸を張れる内容なのか。バスの行き先は墓場から至福へといつ変わったのか。私は変わったとは思っておりません。むしろTPPの原理主義である例外なき関税撤廃に向かってひたすら走り続けるということだと思っております。そのようなTPP協定を国会が承認するということは、そもそもなぜ危険なのかというときに、その危険に警鐘を鳴らした国会決議に背いているということです。
 これにつきまして、実は次のページの画像を見ていただきたいんですが、昨日、このTPPの特別委員会を私テレビで見ておりまして、その録画をカメラで撮ってちょっと貼り付けさせていただきました。
 ある議員がこういうことをおっしゃっていました、他国に比べて多くの例外を確保したと。これはよく頑張ったというおっしゃり方でした。しかし、この他国に比べてというときに、他の国はほぼ一〇〇%関税を撤廃したのに対して、日本は全品目では九五%、農林水産品では八二%という数字をパネルで紹介されました。問題はこの八二%から外れたのが一体何なのだと、そのことを触れられなかったのを私は奇異に思いました。
 一つスライドを戻りますが、重要五品目は五百九十四ラインです。そのうちの二八・五%、百七十品目で関税を撤廃しております。また、二百六十九品目、四五・三%で税率削減か新たな関税割当てをしております。このような内容抜きによくやったと、とても言えるものではないと思っております。
 しかも、強調したいことは、この協定案がファイナルではないということです。これからがむしろどんどんとTPPバスが先へまっしぐらに走り続けると。そのことが協定案の、皆様方はもう言うまでもないことですが、附属書を御覧になればもう随所に協議協議という言葉が登場いたします。しかもまた、セーフガードにつきましても、牛肉は十六年目以降四年間連続で発効されなければ廃止、豚肉は十二年目で廃止と、軒並みこれは廃止です。
 次のページの映像の下に移っていただきますが、安倍首相は再協議には応じないということを繰り返しおっしゃっています。私はこの言葉がすり替えだというふうに思うわけです。そもそもTPP協定案で明記されている、再協議ということではなくて協議協議です。つまり、継続協議を約束するということがTPP協定のこれが根幹だと思っているわけです。協議を継続するというふうに明記されていることを、あたかも任意でやったりやらなかったりできるかのような再協議というふうに呼び方を変えるということは、私はすり替えだと思います。
 しかも、継続協議といいますけれども、逆戻りができるのかどうなのかです。
 次のスライドを見ていただきましたら、片道切符のバスと書きましたが、例えば第二・四条一では、いずれの締約国も現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならないとなっているわけですから、もう逆戻りはできないということを、これはもう好き嫌いではなくて約束しているわけですね。これは安倍首相といえども、これを変えることはもう離脱しない限りはできないわけです。免れないわけですね。それから、同じ第二の四で漸進的に関税を撤廃するということも明記しています。また、三項では、関税の撤廃時期の繰上げについて検討する、そのための協議を継続するということを、これをもう明記しております。
 さらに、附属書の二—D、日本の関税率表の中で九の(a)、オーストラリア、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、原産品の待遇についての約束にセーフガードも含むと、検討するため、この協定が効力を生じる日の後七年を経過する日以降に協議するとなっております。協議といいましても、どちらにも向けるんじゃなくて、関税を下げる撤廃の方向にひたすら走る協議だということは、もうこれは動かせない事実となっております。
 この後は、少し医療をめぐって意見を述べさせていただきたいと思います。
 協定の二の六、もうここの辺りはちょっと時間がございませんからやめますが、その中の第五条で、各締約国はこの附属書に関連する事項について協議を求める他の締約国による要請に好意的な考慮を行い、協議のための適当な機会を設けると。つまり、TPP協定全般じゃなくて、医療の分野でもこのような約束が明記されております。
 また、その下ですけれども、これは日米両国間が交わした書簡というのが含まれております。今年の二月四日、日米が交わした書簡で、フロマン氏からこういう書簡が出されております。日本国及び合衆国は、附属書二十六のA五に規定する協議制度の枠組みの下で、附属書に関するあらゆる事項、この中には保健医療制度を含む、について協議する用意があることを確認する、本代表は、貴国政府がこの了解を共有することを確認されれば幸いでありますと書きましたところ、同じ日に、高鳥修一副大臣名で、本官は、更に、日本国政府がこの了解を共有していることを確認する光栄を有しますと述べております。
 次へちょっと飛ばさせていただきます。
 私が、このような協議に入ることを約束している日米の、つまりこれはTPPの中にその入口がリンクされているわけですね。ですから、この点でTPPと二国間協議はもう連動しているわけです。TPPを承認するということは、このような協議に入ることをもう約束するということになるわけです。あるいは、発効はしなくても、安倍首相の言葉を借りれば、それを国際公約として、胸を張ってこれを約束するということをおっしゃっているわけですね。
 そのことがどういう懸念があるのかということですが、二〇一一年二月に発表されました日米経済調和対話の中の米国側関心事項ということがございます。その中で、先ほどからちょっと出ました、新薬創出加算を恒久化する、加算率の上限を廃止する、それから、オプジーボでこの後出てきます、市場拡大再算定ルールが企業の最も成功した製品の価値を損なわないよう、これを廃止若しくは改正すると、こういうことを米国は要望事項として出しております。
 その市場拡大再算定ルールを前倒しで使って半額にしたのが、御承知のオプジーボです。詳しいことは、もう時間がございませんから触れられません。これが前倒ししたことで、オプジーボは緊急でしたが半分に下がったわけです。
 ちなみに、これオプジーボだけではないということを申し上げたいので、この横長の表一、高額新医薬品のデータ一覧を御覧いただきたいと思います。オプジーボだけでは決してないと。例えば、一瓶当たりとか、あるいは一日薬価とか、十二週間とか、一日薬価でも万単位のものがこれはもうざらに出てまいります。このようなものが軒並みにあるわけですね。
 これらをどうするのかというときに、予想よりも市場が拡大した、あるいは効能が拡大した、そのことをもって、それに市場が拡大したものに見合うだけ薬価を下げるという仕組みを、これはもう今後の薬価の高止まりを抑える決め手になると私は思うわけですが、アメリカは、それやると成功した医薬品の価値を損なうという言い方でそれを廃止を求めてきているわけです。これは物すごく脅威だと私は考えております。
 それから、ちょっと時間もございませんから先へ飛びますけれども、私がそういうことを言うと必ず、それやると新薬開発のインセンティブを損なうんじゃないかという指摘がございます。しかし、私、会計学を専攻している者として、これにはどうしても一言、二言申し上げたいと思うわけです。
 開発費の回収は薬価加算の理由にならないということを書きましたところですが、今回この準備をする過程で、二〇〇五年から一四年度の売上高営業利益、売上高を一〇〇としたときに営業利益として幾ら残るかということを、製造業の加重平均三・四%でした、それに対して東証一部上場二十七社の製薬企業は一六・三%、約五倍弱でした。大事なことは、この営業利益というのは試験研究費を費用として差し引いた後の数字だということを是非御理解いただきたいと思います。
 次のページですが、今度は製薬企業十六社、これは製薬工業会が出しているデータですが、これの財政状態を二〇一〇年三月期から一六年三月期の六年間で見ますと、留保利益は七・五兆円から八・七兆円へ一・二兆円増えています。じゃ、留保利益、全部設備投資等に使ったのか、そうじゃないと。この間、現金預金は一・六兆円から二・七兆円へ、つまり留保利益が増えたのとほぼ同じ額だけ手元の現金預金として持っているわけです。開発費になぜ使わないんですか。もっと薬上げてほしいんだったら、そんなことを言う前にこれなぜ使わないんですか。こんな状態で、お金が足りない、値下げされたらインセンティブが損なわれますなんということが社会的に通用するのかということを是非とも申し上げたいわけです。
 最後に、私が非常に感銘を持ったのは、二〇一三年七月四日、ちょっとこういう場で写真入りで紹介するのはいかがかと思ったんですが、自民党の長老の尾辻秀久議員が選挙の出陣式でこういう演説をされているのをユーチューブで聞きまして、メモを取りました。アメリカでは四千万人が医療保険に加入していない、WTOは世界の医療保険制度で文句なしに日本が一番と太鼓判を押した、何で十五番の国、アメリカから世界一の日本が偉そうに言われるんですかと。続きまして、私たちの宝をアメリカの保険会社のもうけの走狗にするためになくすなどという愚かなことを絶対にしてはいけない。私は、この言葉を聞いて本当に感銘を覚えました。
 これを受けまして最後に申し上げたいのは、多国籍製薬資本の営利に国民皆保険制度を侵食されてよいのか。国民皆保険制度を財政面から揺るがさないためには、TPPバスから下車するのが唯一最善の道だと私は考えます。結局、今、国会議員の皆様、あるいは国民一人一人、有権者一人一人に問われているのは、尾辻さんがおっしゃる貴重な財産、宝物を未来の世代にしっかりと引き継ぐことができるのかどうなのか、その引き継ぐ責任が問われているというふうに私は考えまして、終わらせていただきます。
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林芳正#8
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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吉川ゆうみ#9
○吉川ゆうみ君 自民党、吉川ゆうみでございます。
 参考人の皆様におかれましては、本日は貴重な意見をお伺いできましたこと、誠にありがとうございました。御礼を申し上げたいと思います。
 TPPに関しましては、特にアメリカの大統領選の決着が付いてから様々な意見がございますけれども、私自身、我が国が地方創生あるいは国力を上げていく、国全体でみんなで頑張っていくんだという現在において、TPPが発効すれば、我が国の例えば中小企業、多くの企業が、これは零細な企業も含めて、小規模事業者も含めて海外に進出するハードルを下げていく、そして安心して、レギュレーションの問題、あるいは税関の問題、あるいは模倣されるんではないかという様々な問題を心配することなく海外で頑張っていくことができる、あるいはこれまで事務所を持たなければ出ていくことができなかったというようなハードルも下がるということで、地元で様々な企業とお話をいたしておりましても、TPPに対する期待が非常に高かったがために、今、どうなるんだろうというような形で逆に心配をする声も多く聞かれるのも事実であろうかというふうに思っております。
 このような中、二国間のFTAでいいのではないかというような声も多く聞かれますけれども、私は、マルチであるからこその意義ということが非常に多くあるかと思いますし、長い時間を掛けてこれまで我が国の国益のために勝ち取ってきた、しっかりと培ってきたものをこれから二国間で始める、白紙に戻すということになれば、それはそれで非常にハードルが高く、また膨大な時間も掛かり、同じような結果を出すには困難なものがあろうかと思っておりますので、私は、まさに今後、我が国が様々な意味でイニシアチブを取っていくためにも、是非ともこの議論をしっかりとして、日本はまだこういったしっかりと議論をしているんだということをほかのTPP参加国に見せていくことも重要であろうというふうに思っております。
 そのためには、様々な、国民の皆様が思っておられる誤解や不安を解いていく、そういったことが必要であろうと思っておりますので、今日はその観点から特に医療の分野について御質問させていただきたいというふうに思います。
 実は、いろいろとお伺いしたかった、事前に勉強させていただいたことを今まで参考人の皆様、かなりお話をいただいてしまいましたので、ちょっと限られた質問になることをお許しいただければと思います。
 まず、ISDS条項における訴訟についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 私も、遠藤先生のお話にございましたように、我が国の薬価算定プロセス、これは内資、外資を差別することなく公平で、そして公正なものであると考えております。その中で、新薬の薬価決定時におけるISDS条項との関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 事前に拝読をさせていただきました西尾先生の資料の中では、平成二十七年の北海道医報の中において、TPPが妥結をされれば製薬会社はISDS条項を盾にして自分たちの増益のために薬価上限は撤廃され、製薬企業の言いなりになり、薬価は青天井になってしまうのではないかというふうに御心配をしていただいたというような記事があったかと思います。
 実際に、我が国の薬価制度において損害を被ったとして、TPP協定のISDS条項に基づき外国企業から訴えられるというようなことが想定されるのか、これを遠藤参考人の方からお伺いできればと思います。
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遠藤久夫#10
○参考人(遠藤久夫君) 日本の薬価の問題等々でISDSで訴えられるかどうかということでありますけれども、基本的には、私は、結論からいうと、訴えられない、あるいは仮に訴えられたとしても日本が負けることがないというふうに思っております。
 それは、一つには、この協定の中でありましても、公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないという条文がございますので、これはまさに医療保障制度の持続可能性ということが薬価制度にも入っております、薬価制度はそういう枠の中に入っておりますので、そういう中で基本的にそれは対象にはなり得ないだろうというふうに思います。
 しかも、元々これは、今の薬価基準制度、例えば市場拡大再算定も含めてなんですけれども、薬価制度を変えるときには非常に公開性を重視して、しかも、その議論の中で外資系企業も入れて制度を変えていると。その制度によって逸失利益が生じたから訴えるということが果たしてどこまで適切なのかどうかということもあるわけでありますので、訴えるか訴えないかは先方の問題であるから、場合によっては訴えるかもしれませんけれども、それで負けるというようなことは私はないというふうに思っております。
 私は法律の専門家じゃありませんからよく分かりませんけれども、もし訴えようとするのであれば、現行であっても、外資系企業の日本法人が今の薬価基準制度によって逸失利益を生じたからといって国家に賠償請求をしてもいいわけでありますけれどもと思うんですが、そういうことは一切聞いたこともないということもありますので、今回のTPPを承認したことによって訴訟が増えてくるというようなことは、私は十分理解できないわけであります。もし増えてくるのであるならば、そこのところをむしろお聞きしたいかなというのが私の意見でございます。
 お答えになっているかどうか分かりませんが、以上でございます。
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吉川ゆうみ#11
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 訴えられることがあっても敗訴することはないというような形で、これまでも政府からの答弁でも同様なことがございましたけれども、遠藤先生といたしましてもどのようなお考えかということをお伺いをさせていただきました。
 また、薬価改定において市場拡大再算定制度がございます。先ほども醍醐参考人の方からもお話がございまして詳細な資料も拝見させていただきましたけれども、まさにちょうど先般、オプジーボへの適応の告示があったところであるかと思いますし、これは国民の広く知るところになったのではないかなというふうに思っております。
 次に、この薬価制度の市場拡大再算定について、これはこれまで米国からも再三廃止要望がありましたけれども、我が国はここを堅持してきたというところがあるかと思いますけれども、この再算定によって薬価を下げることにより、外国の製薬会社から同じように、同様にISDS条項で訴えられ、あるいはまた我が国が敗訴することがこちらもあると思われますでしょうか。西尾先生、醍醐先生はちょうどお話の中にございましたので、こちらも遠藤参考人の方からお聞かせいただきたいと思います。
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遠藤久夫#12
○参考人(遠藤久夫君) 遠藤でございます。
 先ほど申し上げたのは薬価基準制度全体の話でありますので、当然その中にもただいまのもの入っております。
 市場拡大再算定というのは従来からあった制度でありまして、これについては、アメリカ企業のみならず日本企業の製薬業界もずっと反対をしていた、要望があったというものでありますけれども、これは現実にはそのまま継続しているわけであります。今回はそれを少し内容を変えまして、特別に市場拡大再算定をより厳しくしたということでありますが、いずれにしても、その決定プロセスには外資系企業も、PhRMAとかEFPIAといったような外国の団体も入れた中での議論を二度やって、そして変えているということもありますので、そういう意味では非常に合理的なものであるというふうに考えますし、先ほど申し上げましたように、公共の福祉に正当な目的のある合理的なものについては基本的にはそれを妨げることができないという大きな前提もありますので、そういう意味では、先ほどと同じように、まあ訴えられないだろうなと思いますし、訴えられても負けることはないと、このように考えております。
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吉川ゆうみ#13
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 次に、TPPと日米協議についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほども、市場拡大再算定制度のお話で、アメリカからはいろいろと言われてきたけれども、我が国はここは堅持してきたというところを触れさせていただきましたけれども、その関係におきまして、衆参でこれまでこの委員会の中でも本件における質疑が非常に多く出ていたかと思いますので、それについて参考人の皆様からの御意見もお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 TPP協定では、多国間で一定の手続を確保し協議の枠組みを設けていくというものである一方、我が国においては、歴史的に米国を始め各国との協議を行ってきたというところも事実でございます。薬価制度につきましても、これも過去、歴史的に是々非々で、しっかりと必要なものは必要である、駄目なものは駄目であるというところで対応してきているかと思います。
 TPP協定が発効したからといって、私は、外国企業や外国政府の意見を受け入れていく、いかなければいけない、そういったことに押しやられていくということは考えられないというふうに思いますけれども、こちらは参考人の皆様はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。時間がございますので、是非とも三人のお方から、簡単で結構ですのでお教えいただければと思います。
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遠藤久夫#14
○参考人(遠藤久夫君) これまでも日米の間では、医薬品、医療に関してはバイでずっと議論をしてきたわけであります。その中で、一貫して米国側が要求してきたものでそれをずっと拒絶しているものも多々あるということでありまして、これが、この日米の関係がTPPに入ることによって日本側の交渉力が弱くなっていくというその理屈がよく分からないのでありまして、従来と同じような状況ではないかということで、これは殊更、TPPに入ったからといって何か日本が押し切られるという方向になる、その辺のところがよく分からない。むしろ、ほかの先生方がそこら辺をどう考えておられるのかお聞きしたいぐらいでございます。
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西
西尾正道#15
○参考人(西尾正道君) 遠藤先生は大変オプティミスティックな考え方していますけど、自分が中医協の委員でやっていましたので、中医協自体が透明性とか公平性を持ってやっていたという自負の中でお考えなんでしょうけれども、透明性があるとか公平にやっているとかという判断はそれは中医協のメンバーだけの判断であって、外から見たって、僕だって、非常に透明性はないと思っていますし、これは決めるのは訴える方ですから。ですから、今までISD条項で訴えられた国は全敗していますよ、全敗しています。アメリカが全部勝っています。冗談じゃない、それはもう本当に楽観的過ぎるというふうに僕は思いますよ。
 まさに今まで日本の薬価制度が堅持できていたのはこういうTPPのような条約がなかったからできていたんであって、これTPPになったら、これからはそれを盾にしてどんどんどんどん入ってきます。何でこんなに製薬会社が五千三百億円のロビー活動、使っているんですか。ミサイル産業だって、それこそ軍需産業だって千五百億ですよ。そんな、ターゲットは何かということを冷静に考えていただきたい。無理です。
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醍醐聰#16
○参考人(醍醐聰君) 医療の問題を考えるときは、例えば農業と違うところがあるのは、国同士、日米政府間でも、それから製薬メーカーの間でも基本的に利害の対立はないんです。そこのところをしっかり押さえないと。むしろ、市場拡大再算定ルールは、これはやめてほしい、それから新薬創出加算制度については、これは恒久化してほしいというのは、もう共通のこれは願いです。ですから、アメリカから言われて日本が押されるとか押されないとか、それは利害が対立していたらどうなるんだろうという話はあるんですけど、そもそも対立がないんです。そこのところを押さえないと。
 例えば、新薬創出加算制度というのは、自民党の今年の、一六年の総合政策、J—ファイルで、新薬創出加算制度の本格導入、恒久化ということがうたわれています。アメリカから言ってきていることと全くこれ同じです。そういうものですから、私は、ここでTPPを結ぶということは、むしろアメリカからの圧力を追い風にして国民皆保険制度、医療保険制度を揺るがすような、そういう薬価の高止まりということが、それがなかなか改まらないという状況が生まれてくる可能性が随分と高いということを感じております。
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吉川ゆうみ#17
○吉川ゆうみ君 ありがとうございました。
 一つの御質問、事象に対しても、参考人の皆様、様々な視点からの御意見いただいたかと思いますけれども、西尾参考人と醍醐参考人のその御意見について、遠藤参考人、どのような形で思われたか、お話をお伺いできればと思います。
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遠藤久夫#18
○参考人(遠藤久夫君) 先ほど申し上げたと同じでありまして、私の乏しい理解力でこの条文を読む限りにおいては、これまでバイで交渉してきたというのと、TPPに加入することによって日本側の交渉力が乏しくなるというその辺の理屈がよく分からないというのが正直なところであります。
 今後どうなのかという話になってくるとあれですけれども、しかしこれも、ただ、いろいろと先ほど申し上げましたように、公共の福祉に関するものは云々というようなことも書いてあるわけでありますので、細かく読んでいくと、いま一つ納得がいかないというのが正直なところであります。
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吉川ゆうみ#19
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 過去いろいろとあったとしても、このTPP協定の各決め事のルールの中で交渉力が弱くなっていくというようなことがどうして言えるのかというのが分からないというような形であるかと思いますけれども、どうしてそのような形が決められるのかが分からないというのは、私も遠藤参考人と同じように思うところでございます。
 最後に、医薬品の特許期間とTPPとの関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 医薬品の特許期間が延長されることによって、医薬品の価格が上がり、医療費の上昇につながるのではないかという懸念があるとも言われてまいりました。これは私は、ある意味誤解であり、TPP協定によるデータ保護期間や医薬品の特許期間延長制度の変更というものはないので、それに伴う薬価の影響もなく、特許期間の延長についてTPP協定によって我が国が新しく何か措置を講じなければいけないという必要はないというふうに私は思っております。
 むしろ、多くの海外に展開する我が国の新薬メーカー、アメリカも多いですけれども、我が国も新薬メーカー非常に多いですので、を抱える日本においては、TPP協定を結ぶほかの国々において我が国で開発された新薬の知財の部分が適切に扱われていくというようなメリットの方がむしろあるのではないかというふうに思っておりますけれども、そのような理解で間違いがないでしょうかということと、また、このような様々言われている懸念につきましてどのようにお考えか、遠藤参考人に最後お伺いができればと思います。
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遠藤久夫#20
○参考人(遠藤久夫君) 確かにTPPでは特許期間の延長に関する項目がございますけれども、大きく分けて二つございますが、これは実はもう日本では済んでいる話でありまして、適用されている話でございますので、そういう意味では、TPPの要請に合わせてこちら側の制度を変えるという必要性はないというふうに考えております。
 また同時に、これから特に新興国を中心に社会保障が進んでまいりまして、そういう意味で医薬品の需要というのも増えてまいりますので、我が国の製薬メーカーがそういうところへ進出する上で非常に知的所有権が安全に守られるということで、適切な流れだろうなというふうに理解はしております。
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吉川ゆうみ#21
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 非常に様々この医薬の部分に関しては、懸念、臆測、あるいは不安ですとか誤解というものがまだまだあるのではないかというふうに思っております。実際、先ほど遠藤参考人がおっしゃっていただきましたように、もう我が国のルールとして既にあって特に変えなくてもいいというようなものが非常に多い中で、それに何か影響を受けるのではないかというような懸念も出ているのが私は不思議でならないというところもございます。
 是非とも、冒頭申し上げたような形で、私は、我が国で議論をしっかりとしていく、続けていくということにも大きな意味がある、他国に対しての意味もあるというふうに思っておりますので、また是非ともこういった国民の誤解あるいは不安というものを払拭していけるように尽くしてまいりたいと思います。
 本日はありがとうございました。
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川合孝典#22
○川合孝典君 民進党・新緑風会の川合孝典と申します。
 三人の先生方には、大変貴重なお話を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
 いよいよTPPの特別委員会も大詰めに向かってまいりまして、私たち参議院ではかなり幅広な議論をこれまでさせていただいてまいりました。ただ、どうしても神学論争と申しますか、やっても大丈夫だというのとやっちゃ駄目だというところの最後のところは理屈抜きにしたところで対立してしまっておりますので、何となく空回りの状況がずるずると続いているように残念ながら感じております。
 私の方からも幾つか、私自身がまだ疑問が解けていない問題について三名の先生方にちょっとお伺いをしたいと思います。
 先ほど吉川委員が御質問されましたが、ISDS条項についてであります。
 私、このISDS条項について、元々、自由貿易協定の中で取引のルールをきちんと守らせるためにということでISDS条項が他のFTAにも組み込まれているということであり、そのことが日本がバイで結んでいる自由貿易をこれまで円滑に運営してきたということについてはこれ理解しておるんです。だから、これがあるから駄目なんだということは決して申し上げるつもりはないんですが。
 実は、先ほど遠藤参考人がお話をされましたときに、大丈夫ですかという質問に対して恐らくおっしゃったのは、第九章の投資の章に書かれている文言、大丈夫だという根拠になっておりますのは、TPPや他の国際協定で違反があったとしても公正衡平待遇義務違反にはならない、投資家の正当な期待を裏切っただけでは義務違反にはならないという実は文言が書き込まれている、TPPの中にこれ書き込まれております。これまでNAFTAで大変なことがあったとかといったことも議論されておりますが、それよりは踏み込んで実はISDSに記載が入っているのは事実なんです。
 ところが、義務違反にならないという書き方にしかなっていないわけでありまして、では、その義務違反というのが一体何を定義にして義務違反と言っているのかという、義務違反自体の言葉、文言の定義が実はないんです。何かこれも訳の分からない話になるんですが、したがって、何が義務違反なのかが分からない以上、恣意的な認定が行われることでISDS条項違反として何らかの形で日本がアメリカに訴えられる可能性があるのではないのかということを実は十一月十五日のTPPの特別委員会の集中審議で質問させていただいたんですけれども、何をおっしゃっているのか分からない答弁しか返ってまいりませんでした。
 したがって、これ遠藤参考人にお伺いしたいのは、何をもって義務違反と定義付けるのかということについて、先生はどう捉えていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
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遠藤久夫#23
○参考人(遠藤久夫君) 適切なお答えはできないかもしれませんけれども、基本的に社会保障制度あるいは医療保障制度というのは、それぞれの国が固有の理由と資源を使って、かなりそれぞれの国、異なるものを持っているわけであります。それはそれなりの合理的な根拠があり、それぞれの国の非常に福祉のためにできているものでありまして、そこの差があることが貿易のグローバルスタンダードから見て瑕疵があるだろうという議論はおのずと制約が掛かるというふうに私は思っておりますので、そういう意味では、医療保障、あるいはもう少し広く社会保障制度のかなり根幹に影響を及ぼすような、そういうような内容であればそれは決して義務違反にはならないという。それは個々の国が本来主体的に行うべき内容で、つまり、個々の国の教育の制度に対して貿易のルールでもって何か修正しろというようなのに近いものでありますので、その辺のバランスで考えていくのが適切ではないかと。
 これは私の私的な考え方です。私は法律家ではありませんので分かりませんが、社会保障を研究している人間としてはそういうふうに思います。当然、貿易のルールが言及できる制約というのは当然あるだろう、そこの辺のところが一つの境界になるだろうと、そんなふうに考えております。
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川合孝典#24
○川合孝典君 ありがとうございました。
 おおむね実は政府の御答弁と同じようなお答えを頂戴したわけでありますが、私も、実はと申しますか、ずっと思っておるんですが、日本の医療保険制度は世界最高のものだと思っております。したがいまして、このシステムをどう守っていくのかということについては全力でその取組をしていかなければいけない。したがって、このTPPを進めていくことが我々日本にとって本当にメリットになるのかどうなのかというところをやはりきちんと検証しなければいけないと思っております。
 これまでの日本は自由貿易で損はしなかった、間違いはなかったということを繰り返し政府もおっしゃっているわけでありますが、あくまでもそれは日本よりも経済規模の小さい、日本の方が優位の状況でのバイの協定でありますので、アメリカと実際に協定を結ぶということを考えたときに、済みません、これはもう情緒的なことを申し上げることになるのかもしれないんですが、アメリカの大統領選挙で一連のどたばたがあって、そのことに対して、APECの前にトランプさんのお宅に行かれているにもかかわらず、その後TPP離脱だという話が突然起こってしまったというような、いわゆる外交を行っていく上での情報収集、リスク管理も含めて、ああいう状況の中では、本当に日米のFTAというものを進めていったとき大丈夫なのというのが素朴な私の実は危機意識ということであります。
 済みません、私がしゃべっていても仕方がありませんので、ISDSのお話で先ほど遠藤参考人がおっしゃいましたことに関連してということなんですが、ここまでは守られてきたというのは間違いない事実でございます。ただ、ここから本当に守られるのかということをどう想定して、リスクがあるのであればそのリスクをどう防いでいくのかということを議論していかなければいけないと思うんですが。
 では、続きまして、国民皆保険制度のことについて、これは三名の参考人に同じ質問にお答えいただきたいと思います。
 国民皆保険制度は守られるんだということについては、一旦TPP交渉では確認はされているわけであります。しかしながら、サイドレターにこうしたいわゆる国民皆保険制度も含めた将来の保健制度、日本の場合には国民皆保険制度を指すわけでありますが、将来の保健制度について協議する用意があることを確認したという実は書きぶりになっておりまして、これ明記されております。
 したがいまして、現状、国民皆保険制度は大丈夫な状態で協定は結んだけれども、今後、数年後、国民皆保険制度の在り方自体もどう見直していくのかということが協議で今後変わっていく、流動的になっていくということを前提として考えると、これまで御説明いただいた前提条件が崩れてしまうことになるわけでありまして、協議する用意があると、国民皆保険制度、保健制度について協議する用意があると記載されていることについて、そのことの意味をどう捉えていらっしゃるのかということを三人の参考人にお伺いしたいと思います。
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遠藤久夫#25
○参考人(遠藤久夫君) 私は、まさにそのまま、医療保険制度について両国で協議をするということであろうというふうに思って、これはあくまでも協議をするということだということでありまして、そこに何がしかの義務を双方負うというような話ではなくて、協議をすることは義務かもしれませんが、その結果をどちらかが受けなければいけないということではないということだと思います。
 むしろ私は、教えを請うのはアメリカが日本の制度を学ぶという意味では意味があるかなというぐらいには思っております。私は、基本的には日本の医療保険制度は冒頭申し上げましたように最高だと思っていますし、アメリカの医療制度は非常に問題があると思っています。
 ただ、一言言っているのは、このTPPによってアメリカのシステムが日本に入ってくるというところがちょっと十分理解できないということを先ほど来申し上げているわけでありまして、そういう意味では、日本の医療保障制度のいいところを米国に教えてあげればいいと私は個人的には思っているということであります。
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西
西尾正道#26
○参考人(西尾正道君) 基本的には自分だけ良ければいいという大変身勝手な米国の考え方、主流です、それが。そういうものが日本の皆保険を取り入れるわけがない。オバマ・ケアだってパンクしていますよね、いろんな抜け道つくって。それが現実ですよ。
 実際に例えば、先ほど吉川議員が言っていましたけど、ジェネリックの問題にしても、知的財産権でとにかく八年、最短八年になりましたね。さらに、ジェネリックをその後作ろうとしても、とにかく特許を持っている会社の許可が要るとかいうことになって、ずっとジェネリックも作れない。確実にこれは薬剤費上がりますよ、間違いなく。そうしたら、それだけでももう医療費はパンクしますよ、多分。
 実際に、ターゲットは日本の薬事制度そのものがターゲットなんだと、個別の何ぼ高くするとかという話じゃなくて、制度そのものがターゲットになる。これが障害になっている、障壁になっているということで崩しに来ているわけですから、いずれ、その附属文書に書いているように皆保険も見直しされるでしょう。それが形ばかり維持されたとしても、結局新しい治療法がどんどん保険診療に入っていかないという形に僕はなると思います。
 実質的に名ばかり残るかもしれないですけれども、どんどんどんどん給付範囲というか、保険で見れる範囲が縮小していく、本当に最低限の医療しか受けれないと。それ以外は全部自費でお支払いください、ないしは保険会社から払ってもらってくださいという形になります。それがもう本当に、病院だけじゃなくて、金融、投資、保険会社含めてトータルに仕掛けられているというふうに考えていただきたいと思います。
 確実に駄目になります。もう医療費はパンクします。そして、それが皆保険を実質的には崩壊していくという道につながると思います。余りにも楽観的過ぎますね。そんな日本人のようなお人よしじゃないです、アメリカ人は。本当に自分だけ得すればいいというような連中です、言葉は悪いですけど。まさにそうですよ。ヤジいやいや、普通はそうじゃないけど、今仕掛けている企業家の発想というのはそうです。だから、公共性に鑑みるなんてとんでもない話です。
 昔、レントゲン博士は、エックス線を発見しましたけど、これは人類共通の財産だからといって特許申請しませんでした。今そうじゃないです。もうとにかく特許を取って知的財産権で大もうけしようという、そういう社会です。重々そういうことをやっぱり自覚すべきだと思いますね。余りにもお人よしです、日本人は。
 そして、公共性だとか透明性を侵しているかどうかというのはアメリカが決めることで、中医協の委員が決めることじゃないです、これは。
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醍醐聰#27
○参考人(醍醐聰君) TPPで国民皆保険制度なんというのはこれは誇張だというときに、私自身は、財政面から揺るがすとか、そういうことをずっとこれ言っているつもりです。日本の公的医療保険制度をアメリカなり民間にも委ねてしまうとかいうふうな意味でTPPが国民皆保険制度を壊すというふうなことを私は言っているつもりはありませんし、日本でもそういうことを言っている人はいないと思います。ですから、神学論争しているのは誰がやっているんだろうと。そういう土俵に話を移している方が私は神学論争をやっているんじゃないのかと、問題の核心をそらしていると。
 先ほどちょっとありましたけれども、じゃ、アメリカが実際に何かやってくるなんということが、その足場があるのかということですけど、透明性、腐敗防止のところに附属書二十六のAがあります。
 最近、薬価制度をめぐって非常に問題なのは、日本もアメリカもコストと言わないで価値ということを言っているんですね。価値を維持しなくちゃいけないという言葉をよく使います。
 例えば、この二十五日、経済財政諮問会議に塩崎大臣が提出されたペーパーというのを私は見ましたが、イノベーション推進、費用対効果による価値に基づき、上市後の薬価引上げを含め価格設定の本格導入をすると。日本政府自身が引上げもあり得るということを明記、明言しているんです。そのときの土台になるのが価値なんですね。一見、価値というと、イノベーションを大事にしようというふうな印象を与えます。そのことが、先ほど言った附属書の二十六のAの原則のところにこういう言葉があることが私は非常にこれは問題だと思っています。
 その原則の(d)のところで、これは協議に入るときの話の原則ですよ、協議に入る、「競争的な市場の作用を通じて、又は医薬品若しくは医療機器の客観的に示された治療上の意義を適切に評価する手続を採用し、若しくは維持することにより、医薬品及び医療機器の価値を認める必要性」、これを原則としてシェアしましょうと言っているんですね。この辺りが非常に、アメリカがいろんな主張をしてくるときの、原則として入っているわけですから、大いにこの辺りは私は要注意だと思っております。
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川合孝典#28
○川合孝典君 ありがとうございました。
 薬価制度自体がターゲットだと西尾参考人がおっしゃいましたが、実は民主党が与党だったときの、今から四、五年前になりますが、当時、私、薬事法の改正作業チームの委員長をやっておりまして、現在の医薬品医療機器等法案を元々仕込んだ人間ということでありまして、したがって、この薬価の在り方ということについては、安全性の確保とイノベーションの両立をどう図っていくのかという観点から、あらゆる検証を半年以上掛けてやらせていただいたことを今お話を聞いていて思い出したわけでありますが。せっかく遠藤参考人いらっしゃいますので、繰り返し繰り返しモノクローナル抗体のお話が出てくるわけでありまして、話題のオプジーボ、ヒト型抗ヒトPD—1モノクローナル抗体医薬品という訳の分からない名前が付いておるものなんですけれども、これほどまでに医療費が増大した理由は、元々悪性黒色腫だけを適応にしていたのを適応拡大して、非小細胞型肺がんと、たしか腎細胞がんだったと思いますが、六十倍ぐらいにたしか適応症例数が増えたと、対象症例が増えた、そのことによって一気に総額の薬剤費が膨らんでしまったということを理解しております。
 私、日本の薬価の制度の計算の在り方についてなんですが、従来の医薬品の薬価の考え方というのは、これまで積み上げてきたものということで問題ないと思っているんですが、オーファンドラッグや今回のようなウルトラオーファンドラッグと呼ばれる薬の研究開発を行って上市していったときに、従来の医薬品のような薬価設定のやり方をしていると、当然企業もボランティアで薬を作っているわけではありませんので、研究開発費、数十年の期間と数百億円のお金を掛けて、かつ二万分の一から三万分の一の確率でしか売れる薬が作れないという、ばくちのようなビジネスをやっていることを考えると、一定の期間内に薬価を回収しなければいけないという製薬企業の気持ちは分かりますし、それがなければ、そもそも研究開発しない、こういう話になることも理解はできるんですが、少なくとも、ウルトラオーファン、オーファンというカテゴリーの医薬品については、薬価を設定するに当たって、適応拡大に連動させて薬価の見直しをどう行っていくのかということの装置が元々組み込まれていなければいけなかったんだと私は実は理解いたしております。
 そういう意味で、これまで積み上げてきた仕組みというものとは別に、今後、希少疾病に対して、患者さんが少ないからもう薬はないよと言われている分野がいっぱいあるわけであります。それを、薬を医薬品会社が作ろうとしたときに、お金掛けなければ作れないのであれば、そのお金を国が負担するのか、若しくは製薬企業が負担するのだったら、一定期間で最低限赤字だけは出ないような枠組みというのをどう守っていくのかといったことのやっぱり議論はしていかなければいけないと思っております。
 そうした枠組みも含めて、アメリカの場合にはそんなデリケートな判断せずに、国民皆保険制度もなければ医療保険制度もろくなものがないということでありますので、そういう、今、日本も大丈夫だとおっしゃいますけれども、突っ込もうと思えば突っ込める、突っ込まれる余地というのはゼロではないという状況の中で今後アメリカとどう向き合っていくのか、自由貿易の枠組みの中でどう向き合っていくのかということが求められているわけであります。
 薬価制度の今後のいわゆる高額医薬品の在り方について、場当たり的な薬価の見直しということではなく、システマチックな薬価の見直しということが今後求められると思いますが、この点について最後に遠藤参考人にお伺いをします。
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遠藤久夫#29
○参考人(遠藤久夫君) 御指摘のとおりだと思います。
 類似薬効比較方式、原価計算方式という方法を使って新薬の値段を決めておりますけれども、いろいろと改良も加えているのですけど、今回やはり非常に大きな問題点が浮き彫りになりました。
 原価計算方式の場合は、最初に予定されている予想販売量というものをベースに値段を決めますけれども、これが後で効能追加になりますとマーケットが大きくなるので、それでは非常に会社側にとって利益が多過ぎるということで今回は引き下げているわけですが、もう一つ、類似薬効比較方式の場合は、途中で適応拡大をすると、これまた市場拡大再算定の対象になるという仕組みになっておりますが、その二つを組み合わせるというような考え方というのは、今委員からお話ありましたけれども、そういうものもあり得るだろうと思います。
 いずれにしましても、薬価基準の考え方については今後真剣に検討していく必要があるというふうに思っております。これは何もアメリカがどうのではなくて、日本固有の課題、日本の財政状況からいっての課題、こういう意味で考えるべき話だろうというふうに思っております。
 以上でございます。
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