農林水産委員会
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会
会議録情報#0
平成二十九年四月六日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
青山 周平君 伊東 良孝君
伊藤信太郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
勝沼 栄明君 神谷 昇君
木内 均君 笹川 博義君
新谷 正義君 助田 重義君
瀬戸 隆一君 武部 新君
豊田真由子君 中川 郁子君
鳩山 二郎君 古川 康君
細田 健一君 前川 恵君
宮川 典子君 宮路 拓馬君
森山 裕君 簗 和生君
山本 拓君 渡辺 孝一君
井坂 信彦君 岡本 充功君
金子 恵美君 後藤 祐一君
佐々木隆博君 重徳 和彦君
升田世喜男君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 中川 康洋君
真山 祐一君 斉藤 和子君
畠山 和也君 足立 康史君
吉田 豊史君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山口 英彰君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 佐々木康雄君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 柄澤 彰君
参考人
(有限会社穂海農耕代表取締役) 丸田 洋君
参考人
(東京大学大学院教授) 鈴木 宣弘君
参考人
(岡山大学大学院環境生命科学研究科教授) 小松 泰信君
参考人
(キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹) 山下 一仁君
農林水産委員会専門員 石上 智君
—————————————
委員の異動
四月六日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 助田 重義君
勝沼 栄明君 豊田真由子君
笹川 博義君 青山 周平君
瀬戸 隆一君 宮川 典子君
西川 公也君 木内 均君
宮崎 岳志君 升田世喜男君
吉田 豊史君 足立 康史君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 笹川 博義君
木内 均君 鳩山 二郎君
助田 重義君 新谷 正義君
豊田真由子君 勝沼 栄明君
宮川 典子君 瀬戸 隆一君
升田世喜男君 井坂 信彦君
足立 康史君 吉田 豊史君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 池田 道孝君
鳩山 二郎君 神谷 昇君
井坂 信彦君 後藤 祐一君
同日
辞任 補欠選任
神谷 昇君 西川 公也君
後藤 祐一君 宮崎 岳志君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業競争力強化支援法案(内閣提出第二一号)
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この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
青山 周平君 伊東 良孝君
伊藤信太郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
勝沼 栄明君 神谷 昇君
木内 均君 笹川 博義君
新谷 正義君 助田 重義君
瀬戸 隆一君 武部 新君
豊田真由子君 中川 郁子君
鳩山 二郎君 古川 康君
細田 健一君 前川 恵君
宮川 典子君 宮路 拓馬君
森山 裕君 簗 和生君
山本 拓君 渡辺 孝一君
井坂 信彦君 岡本 充功君
金子 恵美君 後藤 祐一君
佐々木隆博君 重徳 和彦君
升田世喜男君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 中川 康洋君
真山 祐一君 斉藤 和子君
畠山 和也君 足立 康史君
吉田 豊史君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山口 英彰君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 佐々木康雄君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 柄澤 彰君
参考人
(有限会社穂海農耕代表取締役) 丸田 洋君
参考人
(東京大学大学院教授) 鈴木 宣弘君
参考人
(岡山大学大学院環境生命科学研究科教授) 小松 泰信君
参考人
(キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹) 山下 一仁君
農林水産委員会専門員 石上 智君
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委員の異動
四月六日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 助田 重義君
勝沼 栄明君 豊田真由子君
笹川 博義君 青山 周平君
瀬戸 隆一君 宮川 典子君
西川 公也君 木内 均君
宮崎 岳志君 升田世喜男君
吉田 豊史君 足立 康史君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 笹川 博義君
木内 均君 鳩山 二郎君
助田 重義君 新谷 正義君
豊田真由子君 勝沼 栄明君
宮川 典子君 瀬戸 隆一君
升田世喜男君 井坂 信彦君
足立 康史君 吉田 豊史君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 池田 道孝君
鳩山 二郎君 神谷 昇君
井坂 信彦君 後藤 祐一君
同日
辞任 補欠選任
神谷 昇君 西川 公也君
後藤 祐一君 宮崎 岳志君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業競争力強化支援法案(内閣提出第二一号)
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北
北村茂男#1
○北村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業競争力強化支援法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、有限会社穂海農耕代表取締役丸田洋君、東京大学大学院教授鈴木宣弘君、岡山大学大学院環境生命科学研究科教授小松泰信君、キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹山下一仁君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用の中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、丸田参考人、鈴木参考人、小松参考人、山下参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、初めに、丸田参考人、お願いをいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、農業競争力強化支援法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、有限会社穂海農耕代表取締役丸田洋君、東京大学大学院教授鈴木宣弘君、岡山大学大学院環境生命科学研究科教授小松泰信君、キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹山下一仁君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用の中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、丸田参考人、鈴木参考人、小松参考人、山下参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、初めに、丸田参考人、お願いをいたします。
丸
丸田洋#2
○丸田参考人 おはようございます。新潟県上越市板倉区から参りました、有限会社穂海農耕の丸田と申します。
本日は、このような場をいただき、まことにありがとうございます。
それでは、まず初めに、自己紹介をさせていただきたいと思います。
私は、大学時代は工学部で航空工学を学ばせていただき、その後、重工系の会社に就職し、ガスタービンの開発を行っておりました。その後、諸事情あり、地元である新潟県上越市に戻ることになり、しばらく工業とも農業とも関係なくぷらぷらしておりましたが、平成十六年に知り合いより声をかけていただき、水稲農業を手伝ったことをきっかけに、平成十七年十二月に就農いたしました。平成十八年作より耕作を始め、今作で十二作目に入ります。
実家は、農家でもなく、農地も全く持っておりませんので、いわゆる農外参入と呼ばれる形態になるかと思います。ゼロからのスタートとなりますが、本作、二十九年作においては百三十ヘクタールを経営するまでに規模拡大をすることができました。
この場をおかりし、地域の皆様、バックアップしていただいた行政の皆様、お取引先の皆様、金融機関の皆様、携わっていただいている全ての皆様、そして何よりも、従業員のみんなにお礼を言いたいと思っております。
私が就農した際は、就農自体が非常に珍しく、周囲からは驚かれたことを思い出します。今では、就農は珍しいことではなく、新農業人フェアを初めとする農業への参入の垣根も随分下がり、農外からの参入者としては、仲間がふえていくことについて非常にうれしく思っております。
新潟県の農場ということで、コシヒカリがメーンの作付だと思われることが多いのですが、弊社のコシヒカリの作付割合は、全体の一〇%強でしかありません。それらの品種も、極わせから超晩生までと作期をずらしており、同地域の一般的な農家の方ですと九月から十月上旬までの稲刈りのところを、八月下旬から十一月上旬まで伸ばすことにより、少ない機械でより多くの面積を経営することを行っています。
また、販売については、自社で販売会社を持ち、外食、卸、商社へ玄米で直接販売をしております。
弊社の概要につきましては、お配りさせていただいております資料をごらんいただければと思います。
さて、長くなりましたが、一農業者として農業競争力強化支援法についての意見を法律の構成に沿って述べさせていただきたいと思います。
まず、第一条の「目的」についてです。
農業者は大規模化が進んだといっても、それも全体の一部でしかありません。また、もし大規模化が進み、水稲で千ヘクタールという規模があらわれたとしても、十数億円規模の売り上げにしかなりません。農業では大規模でも、他産業で見れば中小企業の域を出ることは難しく、なかなか他産業のように買い手が力を発揮するという状態になるにはほど遠いと考えられます。
民間事業者である農業者がその環境をドラスティックに変えることは非常にハードルが高いと考えられますので、その点からも、本法案の目的としては適切ではないかと考えています。
続いて、第三条から五条についてです。
まず、少し遠いところからになりますが、現場での生産者の視点から考える、今後の農業の置かれる環境についてからお話をしたいと思います。
高齢化は、皆さんが想像されているよりも、より早く押し寄せてきています。それに伴い離農される方も多く、集約化が進み、今後はより一層大規模化が進むだろうと感じています。弊社も十年足らずで百ヘクタールを超え、今後も同じような生産法人がどんどんふえてくることと感じています。
さらに先を考えれば、五百ヘクタール、千ヘクタールといった大規模法人も必ずやあらわれてくることになるかと思います。そして、国内のマーケットは、人口減とともにシュリンクし、一方で、海外の人口は二〇五〇年には百億人と言われているように、今後もどんどん増加していきます。
こういった国内外の環境を考えると、流通に関しても、今までと同じ形態のまま進んでいくとも思えません。国内販売だけではなく、輸出という選択肢も大きなものとしなければなりません。
そういったことが考えられる中で、果たして私たちだけでどうしようもない事業環境の整備はどのようになるのだろうかという不安がありました。
しかし、この三条、四条に、国及び農業生産関連事業者について環境の整備についての努力項目が明確にされていることにより、将来へ向けて、安心し、新しい取り組みも含めた経営ができると考えています。
そして、私たち農業者にも五条において農業経営の改善についての努力が求められていることについては、前向きに受けとめています。個人的には、当初案の、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるという形でもよかったのではないかと考えております。
これは、今回の農政改革において系統組織に求められている変革からも感じています。それは、系統組織のヒエラルキーのトップであるのは、全農でも単協でもなく、私たち生産者であるからです。系統組織について変化が求められているということは、組合員としての私たち自身が変化を求められていることにほかならないからです。
系統組織の変革を起こすためには、その組合員として一票を持つ私たち農業者が、しっかり考え、行動し、その一票を正しく行使することが非常に重要ではないかと考えています。そのためには、私たち農業者も成長すべく、さまざまな情報を集め、勉強していかなくてはなりません。
よって、この五条があることにより、それが明確になり、私たち農業者自身がより成長し、日本の農業を担っていくことにつながっていくのではないかと考えています。
次に、八条から十条についてです。
さきにも述べたように、今後、輸出も一つの選択肢として大きな役割を果たすだろうと考えています。海外で求められる食味や品質を供給できるようにすることはもちろんのこと、価格競争力についても重要です。
そのためには、農業資材、農業機械の価格も非常に重要になってくると考えています。同品質、同効力のものであれば、結局のところ、価格で選ぶ形にならざるを得ません。よって、それらの選択肢がどれだけあるのか、その情報がいかに入手できるかも重要です。
また、農業機械に関しては、現状の性能で十分にもかかわらず、モデルチェンジがされ、新しい機能が追加されるということが多々あります。むしろ、同じモデルを長く販売し、その価格を下げてもらう方が生産者としてはプラスであると考えます。
また、必要な機能を自分たちで選べるなど、パソコンのBTOのような形も一つの選択肢ではないかと考えています。実際、今の農業機械では、使ったことのないスイッチや機能があるということも事実です。これらを解消すれば、同じ機能で廉価なものにすることも可能なのではないでしょうか。
さらには、耐久性の向上も重要です。
弊社では、極わせから超晩生までの品種を作付けることにより、作期を長くしています。これにより、より少ない機械でより多くの面積を経営するということとなり、減価償却費の削減を図ることが可能となります。
そうなると、必然的に一台の機械の使用時間が長くなり、耐久性が重要となります。トラクターは二年で一千時間を超え、田植え機に関しては、償却期限の前の六年目となることしで一千時間に届こうとしています。これらは、弊社のお取引のある農機具屋さんでも見たことがないとおっしゃっています。
田植え機は、ことしの整備では、定額で償却した際の償却費よりも多くの整備費用がかかっています。
今は弊社が特異的に見えるかもしれませんが、大規模化が進んでいけば、遅かれ早かれ、どの生産法人も同じ取り組みをすることでしょう。よって、耐久性という視点も非常に重要になるはずです。
さらに、種子、種苗についてです。
弊社では、今作では試験も含め十一品種ほどの作付を予定しています。これは、新潟県の品種だけではなく、農研機構の品種が一番多く、民間品種も栽培しています。弊社は農研機構がなければ成り立っていないとも言えるほどです。
前述のように、極わせから超晩生までの作期分散のために、この十一の品種を探し、選んでいます。それらは現在での多収、良食味の品種を作付けていますが、原価低減のためには、より収量の増加も求められるとともに、時代とともに変わる消費者の舌にも対応していくことが必須です。
そして、これは日本国内の視点だけではなく、海外へ輸出に対応していく上でも同様です。この品種は、弊社にとっても、そして今後、生産者にとっても生命線となるはずです。
大規模になればなるほど、きめ細やかな管理が難しくなり、品種そのものの特性である、倒伏しにくさや病気へのかかりにくさに頼らざるを得ません。
実は、現在も、こういった情報がまとめられている稲品種データベースが農研機構によって整備されています。弊社も、これを活用し、品種を探して選んでいます。現在は休止中ですが、本法が施行されることにより、そういったデータベースがよりきめ細やかに整備され、生産者が知りたい情報を得られるようになることは重要であると考えます。
以上のことより、八条から十条に関しては、非常に期待が持てる項目であると感じています。
続いて、十一条から十五条についてです。
この流通に関しては、第三条から五条のところでも申し上げたように、今後、事業環境の大きな変化が考えられます。消費者の減少、高齢化とともに進む大規模化、輸出など、今まででは想像もしていないようなスピードで大きく変わっていくことでしょう。物流についても、ドライバー不足は今でさえ深刻になりつつあり、モーダルシフトも考えていかなくてはならないかもしれません。
弊社が参入した十二年前には、周辺の皆様はほとんどが系統出荷でした。弊社の場合、農外参入の新規就農だったため、JAさんへお米を出荷できるということを私自身が就農後しばらくは知らなかったため、自身で商社や卸さんへの販売ルートを開拓しなければなりませんでした。現在もそのときの販路が生きており、ほとんどが外食、卸、商社などの皆様への直接の販売です。
このことにより、前述のような多数の品種を栽培していても、実需者の皆様と非常に近い形で話ができるため、販路の確保ができるとともに、次の求められている品質、それに合う品種の提案など、常にマーケットを意識した取り組みができるようになっています。これは弊社の経営の上で非常に重要な部分になっています。
一方で、輸出に関しては全農さんと取り組んでいます。こちらも、海外で求められる品質に基づき、栽培する品種を決定しています。
このような取り組みができるのは、弊社の地元JAさんの考え方が進んでおり、直売できる部分は応援していただけますし、輸出のこの取り組みも応援していただいています。
個人的には、農産物流通においてのこれからの系統組織の役割として、単協は地域の中小規模の農場の維持発展のため、そして、全農は世界へ向けての輸出の役割を大きくすべきであると考えています。
このような形で、本質的な生産者の利益の最大化ということを考えていただけるような事業環境が整えられることにより、生産者の経営の多様性が生まれ、結果として、消費者の利益にもつながるとともに、持続的な農業経営となるのではないかと考えています。
また、昨今、弊社のような直接販売の場合、物流手段の確保も問題になっています。
主に、トラックの手配の難易度については、繁閑期での差が大きく、それらの平準化ができないものかと既に悩みの種となっています。
一方で、鉄道コンテナの手配はトラックに比べ容易ですが、コストが上昇してしまいます。
こういった問題を解決していくためには、買い手、生産者、そして物流事業者が連携し、空席情報ならぬ空き情報などが共有されれば、それに基づいた出荷計画も立てることができ、物流コストの低減にもつながるのではないかと考えています。
よって、このような事業環境を推進していただくためにも、本条項は必要であると考えます。
次に、十七条から三十条についてです。
既に、ここまでで資材供給や流通に関しての条項がありますが、その競争を促進するための新たな風を吹き込むために、本項目は必要ではないかと考えます。
何度も申し上げておりますが、大規模化が進んでいくことにより、生産現場は大きな変化が起こることでしょう。それに伴い、資材供給や流通、物流なども大きな変化を起こさなければなりません。
私が就農してから十二年ほどですが、資材や農業機械に関し、ほとんど再編が起こったり新しい企業が参入されたということを聞いたことがありません。米価は下落傾向である一方で、常に資材価格、農業機械の価格は上昇基調でした。
よって、競争が起こることによっても、そこに風穴があくことを本条項が設けられることにより期待したいと思います。
そして、イノベーションは、ほとんどの場合、中からだけではなく、外から起こることが多いものです。よって、このイノベーションも受け入れるべく、環境の整備はしておくべきであると考えます。イノベーションなくして、今後の農業の大きな成長はないはずです。
以上が、私の本法案についての意見となります。
そして、最後になりましたが、弊社が大規模化を推し進めておりますので、ここまでは大規模化が全ての前提であるかのようにお話をしましたが、一点だけお伝えしたいことがあります。
弊社がこのように大規模化を標榜できるのも、実は、すばらしくおいしいものをつくることができる篤農家の方々がいらっしゃるからです。昨今、水稲農業イコール大規模というだけの図式で語られることが多くなっています。しかし、それは大きな間違いです。すばらしくおいしく、そして、日本の農業という文化を支えてくださっている篤農家の方々がいてこそ、私たちのような大規模な農場が維持することができるのです。
その逆もしかりです。やはり、フラッグシップとしての、文化を背負ったすばらしくおいしい農産物は、日本の中でも、そして世界に向けても必要なものです。その農産物は、新しい品種だけではなく、在来種のものですぐれているものも多々あります。
つまり、大規模がいいとか農家がいいとかではなく、これらが両方そろって、車の両輪となることにより、日本の農業は強くなり、そして、世界でも戦い、勝つことができるのではないかと強く感じています。これらを実現するためにも、本法律は有意義に働くのではないかと期待しています。
そして、このような議論により、農業者自身も、そして若者たちも、農業に携わっている産業の方々全てが、日本の農業が明るいと思っていただけるようになることを心より祈り、拙いながら、私の本法案への意見とさせていただきたいと思います。
本日は、御清聴どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような場をいただき、まことにありがとうございます。
それでは、まず初めに、自己紹介をさせていただきたいと思います。
私は、大学時代は工学部で航空工学を学ばせていただき、その後、重工系の会社に就職し、ガスタービンの開発を行っておりました。その後、諸事情あり、地元である新潟県上越市に戻ることになり、しばらく工業とも農業とも関係なくぷらぷらしておりましたが、平成十六年に知り合いより声をかけていただき、水稲農業を手伝ったことをきっかけに、平成十七年十二月に就農いたしました。平成十八年作より耕作を始め、今作で十二作目に入ります。
実家は、農家でもなく、農地も全く持っておりませんので、いわゆる農外参入と呼ばれる形態になるかと思います。ゼロからのスタートとなりますが、本作、二十九年作においては百三十ヘクタールを経営するまでに規模拡大をすることができました。
この場をおかりし、地域の皆様、バックアップしていただいた行政の皆様、お取引先の皆様、金融機関の皆様、携わっていただいている全ての皆様、そして何よりも、従業員のみんなにお礼を言いたいと思っております。
私が就農した際は、就農自体が非常に珍しく、周囲からは驚かれたことを思い出します。今では、就農は珍しいことではなく、新農業人フェアを初めとする農業への参入の垣根も随分下がり、農外からの参入者としては、仲間がふえていくことについて非常にうれしく思っております。
新潟県の農場ということで、コシヒカリがメーンの作付だと思われることが多いのですが、弊社のコシヒカリの作付割合は、全体の一〇%強でしかありません。それらの品種も、極わせから超晩生までと作期をずらしており、同地域の一般的な農家の方ですと九月から十月上旬までの稲刈りのところを、八月下旬から十一月上旬まで伸ばすことにより、少ない機械でより多くの面積を経営することを行っています。
また、販売については、自社で販売会社を持ち、外食、卸、商社へ玄米で直接販売をしております。
弊社の概要につきましては、お配りさせていただいております資料をごらんいただければと思います。
さて、長くなりましたが、一農業者として農業競争力強化支援法についての意見を法律の構成に沿って述べさせていただきたいと思います。
まず、第一条の「目的」についてです。
農業者は大規模化が進んだといっても、それも全体の一部でしかありません。また、もし大規模化が進み、水稲で千ヘクタールという規模があらわれたとしても、十数億円規模の売り上げにしかなりません。農業では大規模でも、他産業で見れば中小企業の域を出ることは難しく、なかなか他産業のように買い手が力を発揮するという状態になるにはほど遠いと考えられます。
民間事業者である農業者がその環境をドラスティックに変えることは非常にハードルが高いと考えられますので、その点からも、本法案の目的としては適切ではないかと考えています。
続いて、第三条から五条についてです。
まず、少し遠いところからになりますが、現場での生産者の視点から考える、今後の農業の置かれる環境についてからお話をしたいと思います。
高齢化は、皆さんが想像されているよりも、より早く押し寄せてきています。それに伴い離農される方も多く、集約化が進み、今後はより一層大規模化が進むだろうと感じています。弊社も十年足らずで百ヘクタールを超え、今後も同じような生産法人がどんどんふえてくることと感じています。
さらに先を考えれば、五百ヘクタール、千ヘクタールといった大規模法人も必ずやあらわれてくることになるかと思います。そして、国内のマーケットは、人口減とともにシュリンクし、一方で、海外の人口は二〇五〇年には百億人と言われているように、今後もどんどん増加していきます。
こういった国内外の環境を考えると、流通に関しても、今までと同じ形態のまま進んでいくとも思えません。国内販売だけではなく、輸出という選択肢も大きなものとしなければなりません。
そういったことが考えられる中で、果たして私たちだけでどうしようもない事業環境の整備はどのようになるのだろうかという不安がありました。
しかし、この三条、四条に、国及び農業生産関連事業者について環境の整備についての努力項目が明確にされていることにより、将来へ向けて、安心し、新しい取り組みも含めた経営ができると考えています。
そして、私たち農業者にも五条において農業経営の改善についての努力が求められていることについては、前向きに受けとめています。個人的には、当初案の、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるという形でもよかったのではないかと考えております。
これは、今回の農政改革において系統組織に求められている変革からも感じています。それは、系統組織のヒエラルキーのトップであるのは、全農でも単協でもなく、私たち生産者であるからです。系統組織について変化が求められているということは、組合員としての私たち自身が変化を求められていることにほかならないからです。
系統組織の変革を起こすためには、その組合員として一票を持つ私たち農業者が、しっかり考え、行動し、その一票を正しく行使することが非常に重要ではないかと考えています。そのためには、私たち農業者も成長すべく、さまざまな情報を集め、勉強していかなくてはなりません。
よって、この五条があることにより、それが明確になり、私たち農業者自身がより成長し、日本の農業を担っていくことにつながっていくのではないかと考えています。
次に、八条から十条についてです。
さきにも述べたように、今後、輸出も一つの選択肢として大きな役割を果たすだろうと考えています。海外で求められる食味や品質を供給できるようにすることはもちろんのこと、価格競争力についても重要です。
そのためには、農業資材、農業機械の価格も非常に重要になってくると考えています。同品質、同効力のものであれば、結局のところ、価格で選ぶ形にならざるを得ません。よって、それらの選択肢がどれだけあるのか、その情報がいかに入手できるかも重要です。
また、農業機械に関しては、現状の性能で十分にもかかわらず、モデルチェンジがされ、新しい機能が追加されるということが多々あります。むしろ、同じモデルを長く販売し、その価格を下げてもらう方が生産者としてはプラスであると考えます。
また、必要な機能を自分たちで選べるなど、パソコンのBTOのような形も一つの選択肢ではないかと考えています。実際、今の農業機械では、使ったことのないスイッチや機能があるということも事実です。これらを解消すれば、同じ機能で廉価なものにすることも可能なのではないでしょうか。
さらには、耐久性の向上も重要です。
弊社では、極わせから超晩生までの品種を作付けることにより、作期を長くしています。これにより、より少ない機械でより多くの面積を経営するということとなり、減価償却費の削減を図ることが可能となります。
そうなると、必然的に一台の機械の使用時間が長くなり、耐久性が重要となります。トラクターは二年で一千時間を超え、田植え機に関しては、償却期限の前の六年目となることしで一千時間に届こうとしています。これらは、弊社のお取引のある農機具屋さんでも見たことがないとおっしゃっています。
田植え機は、ことしの整備では、定額で償却した際の償却費よりも多くの整備費用がかかっています。
今は弊社が特異的に見えるかもしれませんが、大規模化が進んでいけば、遅かれ早かれ、どの生産法人も同じ取り組みをすることでしょう。よって、耐久性という視点も非常に重要になるはずです。
さらに、種子、種苗についてです。
弊社では、今作では試験も含め十一品種ほどの作付を予定しています。これは、新潟県の品種だけではなく、農研機構の品種が一番多く、民間品種も栽培しています。弊社は農研機構がなければ成り立っていないとも言えるほどです。
前述のように、極わせから超晩生までの作期分散のために、この十一の品種を探し、選んでいます。それらは現在での多収、良食味の品種を作付けていますが、原価低減のためには、より収量の増加も求められるとともに、時代とともに変わる消費者の舌にも対応していくことが必須です。
そして、これは日本国内の視点だけではなく、海外へ輸出に対応していく上でも同様です。この品種は、弊社にとっても、そして今後、生産者にとっても生命線となるはずです。
大規模になればなるほど、きめ細やかな管理が難しくなり、品種そのものの特性である、倒伏しにくさや病気へのかかりにくさに頼らざるを得ません。
実は、現在も、こういった情報がまとめられている稲品種データベースが農研機構によって整備されています。弊社も、これを活用し、品種を探して選んでいます。現在は休止中ですが、本法が施行されることにより、そういったデータベースがよりきめ細やかに整備され、生産者が知りたい情報を得られるようになることは重要であると考えます。
以上のことより、八条から十条に関しては、非常に期待が持てる項目であると感じています。
続いて、十一条から十五条についてです。
この流通に関しては、第三条から五条のところでも申し上げたように、今後、事業環境の大きな変化が考えられます。消費者の減少、高齢化とともに進む大規模化、輸出など、今まででは想像もしていないようなスピードで大きく変わっていくことでしょう。物流についても、ドライバー不足は今でさえ深刻になりつつあり、モーダルシフトも考えていかなくてはならないかもしれません。
弊社が参入した十二年前には、周辺の皆様はほとんどが系統出荷でした。弊社の場合、農外参入の新規就農だったため、JAさんへお米を出荷できるということを私自身が就農後しばらくは知らなかったため、自身で商社や卸さんへの販売ルートを開拓しなければなりませんでした。現在もそのときの販路が生きており、ほとんどが外食、卸、商社などの皆様への直接の販売です。
このことにより、前述のような多数の品種を栽培していても、実需者の皆様と非常に近い形で話ができるため、販路の確保ができるとともに、次の求められている品質、それに合う品種の提案など、常にマーケットを意識した取り組みができるようになっています。これは弊社の経営の上で非常に重要な部分になっています。
一方で、輸出に関しては全農さんと取り組んでいます。こちらも、海外で求められる品質に基づき、栽培する品種を決定しています。
このような取り組みができるのは、弊社の地元JAさんの考え方が進んでおり、直売できる部分は応援していただけますし、輸出のこの取り組みも応援していただいています。
個人的には、農産物流通においてのこれからの系統組織の役割として、単協は地域の中小規模の農場の維持発展のため、そして、全農は世界へ向けての輸出の役割を大きくすべきであると考えています。
このような形で、本質的な生産者の利益の最大化ということを考えていただけるような事業環境が整えられることにより、生産者の経営の多様性が生まれ、結果として、消費者の利益にもつながるとともに、持続的な農業経営となるのではないかと考えています。
また、昨今、弊社のような直接販売の場合、物流手段の確保も問題になっています。
主に、トラックの手配の難易度については、繁閑期での差が大きく、それらの平準化ができないものかと既に悩みの種となっています。
一方で、鉄道コンテナの手配はトラックに比べ容易ですが、コストが上昇してしまいます。
こういった問題を解決していくためには、買い手、生産者、そして物流事業者が連携し、空席情報ならぬ空き情報などが共有されれば、それに基づいた出荷計画も立てることができ、物流コストの低減にもつながるのではないかと考えています。
よって、このような事業環境を推進していただくためにも、本条項は必要であると考えます。
次に、十七条から三十条についてです。
既に、ここまでで資材供給や流通に関しての条項がありますが、その競争を促進するための新たな風を吹き込むために、本項目は必要ではないかと考えます。
何度も申し上げておりますが、大規模化が進んでいくことにより、生産現場は大きな変化が起こることでしょう。それに伴い、資材供給や流通、物流なども大きな変化を起こさなければなりません。
私が就農してから十二年ほどですが、資材や農業機械に関し、ほとんど再編が起こったり新しい企業が参入されたということを聞いたことがありません。米価は下落傾向である一方で、常に資材価格、農業機械の価格は上昇基調でした。
よって、競争が起こることによっても、そこに風穴があくことを本条項が設けられることにより期待したいと思います。
そして、イノベーションは、ほとんどの場合、中からだけではなく、外から起こることが多いものです。よって、このイノベーションも受け入れるべく、環境の整備はしておくべきであると考えます。イノベーションなくして、今後の農業の大きな成長はないはずです。
以上が、私の本法案についての意見となります。
そして、最後になりましたが、弊社が大規模化を推し進めておりますので、ここまでは大規模化が全ての前提であるかのようにお話をしましたが、一点だけお伝えしたいことがあります。
弊社がこのように大規模化を標榜できるのも、実は、すばらしくおいしいものをつくることができる篤農家の方々がいらっしゃるからです。昨今、水稲農業イコール大規模というだけの図式で語られることが多くなっています。しかし、それは大きな間違いです。すばらしくおいしく、そして、日本の農業という文化を支えてくださっている篤農家の方々がいてこそ、私たちのような大規模な農場が維持することができるのです。
その逆もしかりです。やはり、フラッグシップとしての、文化を背負ったすばらしくおいしい農産物は、日本の中でも、そして世界に向けても必要なものです。その農産物は、新しい品種だけではなく、在来種のものですぐれているものも多々あります。
つまり、大規模がいいとか農家がいいとかではなく、これらが両方そろって、車の両輪となることにより、日本の農業は強くなり、そして、世界でも戦い、勝つことができるのではないかと強く感じています。これらを実現するためにも、本法律は有意義に働くのではないかと期待しています。
そして、このような議論により、農業者自身も、そして若者たちも、農業に携わっている産業の方々全てが、日本の農業が明るいと思っていただけるようになることを心より祈り、拙いながら、私の本法案への意見とさせていただきたいと思います。
本日は、御清聴どうもありがとうございました。拍手
北
鈴
鈴木宣弘#4
○鈴木参考人 皆さん、おはようございます。東大の鈴木でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
さて、まず、ただいまの丸田さんの御意見、大変貴重な御意見で、また経営もすばらしく、こういう経営がしっかりと伸びていただくような支援をしていくということは非常に重要であること、これは私も全く異存がございません。
ただ、私が全体として思いますのは、この法案というのは、農業競争力強化ではなく弱体化法案になりかねない要素を含んでいるというふうに思います。
まず、法案全体の構成として、農業競争力強化の支援といいながら、具体的施策は、資材や流通産業の事業再編、参入に融資するだけに矮小化されており、包括的ビジョンがない中途半端なものとなっております。かつ、資材の引き下げ、あるいは販売価格の向上を目指すとしながら、そのために非常に重要な要素である農業者の共販、共同購入の強化という点についてはむしろ否定的な流れになっており、論理矛盾を来していると思います。これは、農業所得の向上というのは、ある意味で名目でしかないということであります。
本法は、そもそも、農業競争力強化プログラムに基づく八法案の一つで、その底流には、民間活力の最大限の活用という表現で、規制緩和すれば全てがうまくいくという、時代に逆行した短絡的な経済理論を名目に掲げ、その裏には、既存の組織によるビジネスやお金をみずからの方に引き寄せたい、今だけ、金だけ、自分だけの人たちの三だけ主義の思惑が見え隠れしております。
国民が求めているのは、アメリカを含む一部の企業利益の追求ではなく、自分たちの命、環境、地域、国土を守る安全な食料を確保するために国民それぞれがどう応分の負担をしていくかというビジョンと、そのための包括的な施策体系の構築です。競争は大事ですが、それに対して、共助共生的システムとその組織、農協や生協の役割、そして消費者の役割、政府によるセーフティーネットの役割などを包括するビジョンが本法にはありません。
本法には、個々の農家が販売先や資材の購入先を多様化させて、農協を通じた共販や共同購入からむしろ離れることを意図するような、「有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組む」という奇妙な努力義務の文言に見てとれます。
歴史的に見れば、個々の農家が大きな買い手と個別取引することで買いたたかれ、大きな売り手と個別取引することで資材価格がつり上げられ、苦しみました。そこから脱却し、所得を向上するために、農業協同組合による共販と共同購入が導入され、それは取引交渉力を対等にするための拮抗力として独禁法の適用除外になっているのが世界の原則です。
つまり、農業所得の向上の重要な要素として、協同組合を通じた共販、共同購入が重要であることをしっかりと本法案にも位置づけるべきであると思います。しかし、一連の八法案のもとになっている競争力強化プログラムは、買い取り販売への移行や資材の情報提供に徹することなど、共販と共同購入をなし崩しにし、協同組合の存立要件を否定するような流れとなっております。
しかも、最近、我が国では、農協共販に対して公取のおどし、見せしめともとれる査察が幾度も入り、独禁法の適用除外がなし崩し的に無効化されるというゆゆしき事態が進んでおり、これは違法行為であると言わざるを得ません。
さらに、公的な育種の成果を民間に譲渡するという条項は、寡占的な多国籍GM種子産業にとってはまさにぬれ手にアワで、米などの種子が特許化され独占され、価格もつり上げられていくことになり、これは国民の命の源を握られかねない重大な問題です。
二点目ですが、農業競争力向上にはパワーバランスの是正策が不可欠かつ正当であるということです。
私が酪農について、農協とメーカーと小売間のパワーバランスを計算しましたら、小売対メーカー間はほぼ一対〇で小売が圧倒的に優位、農協対メーカーはよく見積もっても五分五分、弱く見積もれば一対九で、やはり生産サイドが押されている。二〇〇八年の餌危機でも酪農家が一番苦しみました。このように、資材や流通の合理化は必要ですが、それよりも、所得がふえない大きな原因は、買いたたかれる構造にあります。
カナダの牛乳は、一リットル三百円もします。随分高いですが、消費者は不満を持っていません。うちの学生が聞きましたら、アメリカの成長ホルモン入り牛乳を飲みたくないから、これを支えますよと言いました。生産者もメーカーも小売店も十分なマージンをとって、消費者もこれでいい、幸せだと言っているんですから、こういうシステムの方がよほど持続的なシステムです。まさに三方よしの、売り手よし、買い手よし、世間よしの価格形成が実現されている。
カナダでは、酪農の指定団体に当たるミルクマーケティングボードに酪農家が結集していますので、寡占的なメーカーや小売に対して拮抗力が生まれ、こういうことが実現できるわけです。
それなのに、本法の関連法案では、酪農の指定団体を弱体化する規定があります。バター不足を指定団体にかかる規制のせいにして、取引を自由化すれば所得が上がるという理論は全く逆で、酪農家が個別取引で分断されていったら、イギリスでの経験のように、乳価は暴落し、消費者に飲用乳さえ提供できない混乱に陥りかねません。
したがって、仮にもこのような法改正を行うのであれば、競争条件の悪化を是正するための政策をセットにすることが不可欠になります。アメリカでの最低飲用乳価の導入など、あるいは酪農マルキンのようなものを修正として加えることが正当かつ不可欠である。
以上からもわかるように、一方のマーケットパワーが強い市場では、一、拮抗力を形成できる共助組織の強化、二、取引交渉力の不均衡による損失を補填する政府による下支え、これが正当化されるわけで、こういうことについて本法は全く言及もされておりません。
それから、そもそもコストダウンだけが競争力強化であるかのような視点も間違いだと思います。
強い農業とは何でしょうか。規模拡大してコストダウンすれば強い農業になるでしょうか。それはもちろん大事ですけれども、それだけで頑張っても、オーストラリアやアメリカに一ひねりで負けてしまいます。同じ土俵では戦えません。少々高いが徹底的に物が違う、あなたのものしか食べたくない、そういう本物を提供する生産者と理解する消費者とのネットワークこそが強いきずなの源です。
スイスでは、一個八十円もする卵を小学生ぐらいに見える女の子が買って、これを買うことで生産者の皆さんの生活が支えられ、そのおかげで私たちの生活も成り立つんだから当たり前でしょうと、いとも簡単に答えたといいます。
スイスでは、ミグロという生協さんが食品流通の大きなシェアを持っていて、農協さん等と連携して、消費者と生産者が納得できる本物の基準を認証して、その価値を価格に反映させることに成功しております。こういうふうな消費者サイド、生協さんからの働きかけによる取り組みなどについてもしっかりと支援するということも本法に位置づけるべきではないでしょうか。
それでも、スイスの農業所得のほぼ一〇〇%、フランスでも九五%が補助金で賄われているというのが実態です。環境、景観、動物愛護、生物多様性など、農業の果たす多面的機能の項目ごとに、具体的にこのぐらいの応分の負担をしていこうということがしっかりと理解されておりますので、国民も納得して払えるし、農家も誇りに思って生産に臨める。このようなシステムは日本にはありません。
さらに、アメリカでは、農家にとって最低限必要な所得は政府が補填するから、そういう水準になったら政策を発動するので安心して投資をしてくださいという予見可能なシステムを完備しております。これがまさに食料を守るということではないでしょうか。農業政策は農家保護政策ではありません。国民の命を守る安全保障政策です。こういう本質的な議論なくして、食と農と地域の持続的発展はありません。
そういう意味で、我が国の収入保険というものは、米価が下がるたびに基準収入が下がっていく底なし沼で、セーフティーネットではないということを言わざるを得ません。
盲目的なアメリカ追従とまで言われているのに、なぜアメリカのすぐれた農業戦略を、食料戦略をまねしないのですか。ただでさえ、全く規模の違うアメリカ農業が徹底した農業競争力強化策を行っているのに対して、我が国はセーフティーネットはなくし、コストダウンだけで競争すれば勝てるというのは、実は家族農業がほとんどなくなってもいいという議論になるのではないでしょうか。欧米のような食料戦略なく、単に競争を促進すればうまくいく、そして、それは一部の農業に参入したい大手企業等には都合がいい、そういうふうな視点になってしまっていないでしょうか。
最後に、一連の政策決定プロセスが異常であることを言わざるを得ません。
法的位置づけもない諮問機関に、利害の一致する仲間、しかも、この人たちはアメリカの経済界とも密接につながっております。それだけを集めて、国の方向性が私的に決められ、誰も文句が言えない、とめられないというのは異常事態です。与党の国会議員になるより、規制改革推進会議メンバーに選んでもらった方が政策が決められると与党議員は嘆いておりました。
日本の対米外交は、対日年次改革要望書等に書いてあることに次々順番に応えていくだけの、その執行機関が例えば規制改革推進会議ですから、次に何が起こるかは予見できます。
アメリカからは、アメリカの商社が全農を買収したいから株式会社化してくださいとか、共済と保険は対等な競争条件にしてくださいと強く求めています。郵貯マネーがめどが立ったから、必ずJAマネーを握るまでこれは終わりません。
だから、農協改革の目的も、一連の法案の目的も、農業所得の向上であるはずはありません。信用、共済マネーを奪う、共販、共同購入を崩す、JAと既存農家が潰れたらそこに参入する、規制改革推進会議の答申はそのとおりになっております。
本法も、それを受けたものになっております。
もちろん、農家の不満に徹底的に改善策を出す農協組織の真の意味での自己改革は不可欠ですけれども、一部の利益のために、日本の食と農、関連組織、所管官庁までもなし崩し的に息の根をとめられてしまうという方向性は、これは終わりの始まりです。
そういう意味で、規制改革推進会議は解散すべきであると思います。
二〇〇八年に、前の自公政権のときに結成された農政改革特命チーム会合というのがありましたが、これはさまざまな立場の意見が総合できる会議でした。これが食料・農業・農村審議会としっかり連携し、欧米のように、自分たちの命、環境、地域、国土を守る食料、農業を、国民それぞれがどう応分の負担をしていくかというビジョンの練り直しをすべきであります。
その特命会合では、現場の声に応えて所得のセーフティーネットを再構築する具体的提案の選択肢を示しました。その一つが、戸別所得補償制度の具体像として採用されたわけです。
ですから、国民の食料を守るために必要な政策は、与野党を問わず、現場の農家や消費者、国民の声をしっかり踏まえて形成されるものであり、三だけ主義の、一部のための政策は、多くの国民にとって本意ではない。
与野党を問わず、国会議員も、所管官庁にとっても、国民の食料を守るために必死に頑張る気持ちは同じはずです。なのに、今の一部の三だけ主義の利益を念頭に置いた、国民に有害な政策がまかり通って、誰もとめられない。この流れに終止符を打って、三方よしの社会を取り戻す法案をつくるべきであります。
本法は、生産資材、食品流通にかかわる事業の再編を促しておりますが、事態の正常化のためには、それよりも政界の再編、結集の方が効果的ではないかとも思われます。
以上で終わります。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
さて、まず、ただいまの丸田さんの御意見、大変貴重な御意見で、また経営もすばらしく、こういう経営がしっかりと伸びていただくような支援をしていくということは非常に重要であること、これは私も全く異存がございません。
ただ、私が全体として思いますのは、この法案というのは、農業競争力強化ではなく弱体化法案になりかねない要素を含んでいるというふうに思います。
まず、法案全体の構成として、農業競争力強化の支援といいながら、具体的施策は、資材や流通産業の事業再編、参入に融資するだけに矮小化されており、包括的ビジョンがない中途半端なものとなっております。かつ、資材の引き下げ、あるいは販売価格の向上を目指すとしながら、そのために非常に重要な要素である農業者の共販、共同購入の強化という点についてはむしろ否定的な流れになっており、論理矛盾を来していると思います。これは、農業所得の向上というのは、ある意味で名目でしかないということであります。
本法は、そもそも、農業競争力強化プログラムに基づく八法案の一つで、その底流には、民間活力の最大限の活用という表現で、規制緩和すれば全てがうまくいくという、時代に逆行した短絡的な経済理論を名目に掲げ、その裏には、既存の組織によるビジネスやお金をみずからの方に引き寄せたい、今だけ、金だけ、自分だけの人たちの三だけ主義の思惑が見え隠れしております。
国民が求めているのは、アメリカを含む一部の企業利益の追求ではなく、自分たちの命、環境、地域、国土を守る安全な食料を確保するために国民それぞれがどう応分の負担をしていくかというビジョンと、そのための包括的な施策体系の構築です。競争は大事ですが、それに対して、共助共生的システムとその組織、農協や生協の役割、そして消費者の役割、政府によるセーフティーネットの役割などを包括するビジョンが本法にはありません。
本法には、個々の農家が販売先や資材の購入先を多様化させて、農協を通じた共販や共同購入からむしろ離れることを意図するような、「有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組む」という奇妙な努力義務の文言に見てとれます。
歴史的に見れば、個々の農家が大きな買い手と個別取引することで買いたたかれ、大きな売り手と個別取引することで資材価格がつり上げられ、苦しみました。そこから脱却し、所得を向上するために、農業協同組合による共販と共同購入が導入され、それは取引交渉力を対等にするための拮抗力として独禁法の適用除外になっているのが世界の原則です。
つまり、農業所得の向上の重要な要素として、協同組合を通じた共販、共同購入が重要であることをしっかりと本法案にも位置づけるべきであると思います。しかし、一連の八法案のもとになっている競争力強化プログラムは、買い取り販売への移行や資材の情報提供に徹することなど、共販と共同購入をなし崩しにし、協同組合の存立要件を否定するような流れとなっております。
しかも、最近、我が国では、農協共販に対して公取のおどし、見せしめともとれる査察が幾度も入り、独禁法の適用除外がなし崩し的に無効化されるというゆゆしき事態が進んでおり、これは違法行為であると言わざるを得ません。
さらに、公的な育種の成果を民間に譲渡するという条項は、寡占的な多国籍GM種子産業にとってはまさにぬれ手にアワで、米などの種子が特許化され独占され、価格もつり上げられていくことになり、これは国民の命の源を握られかねない重大な問題です。
二点目ですが、農業競争力向上にはパワーバランスの是正策が不可欠かつ正当であるということです。
私が酪農について、農協とメーカーと小売間のパワーバランスを計算しましたら、小売対メーカー間はほぼ一対〇で小売が圧倒的に優位、農協対メーカーはよく見積もっても五分五分、弱く見積もれば一対九で、やはり生産サイドが押されている。二〇〇八年の餌危機でも酪農家が一番苦しみました。このように、資材や流通の合理化は必要ですが、それよりも、所得がふえない大きな原因は、買いたたかれる構造にあります。
カナダの牛乳は、一リットル三百円もします。随分高いですが、消費者は不満を持っていません。うちの学生が聞きましたら、アメリカの成長ホルモン入り牛乳を飲みたくないから、これを支えますよと言いました。生産者もメーカーも小売店も十分なマージンをとって、消費者もこれでいい、幸せだと言っているんですから、こういうシステムの方がよほど持続的なシステムです。まさに三方よしの、売り手よし、買い手よし、世間よしの価格形成が実現されている。
カナダでは、酪農の指定団体に当たるミルクマーケティングボードに酪農家が結集していますので、寡占的なメーカーや小売に対して拮抗力が生まれ、こういうことが実現できるわけです。
それなのに、本法の関連法案では、酪農の指定団体を弱体化する規定があります。バター不足を指定団体にかかる規制のせいにして、取引を自由化すれば所得が上がるという理論は全く逆で、酪農家が個別取引で分断されていったら、イギリスでの経験のように、乳価は暴落し、消費者に飲用乳さえ提供できない混乱に陥りかねません。
したがって、仮にもこのような法改正を行うのであれば、競争条件の悪化を是正するための政策をセットにすることが不可欠になります。アメリカでの最低飲用乳価の導入など、あるいは酪農マルキンのようなものを修正として加えることが正当かつ不可欠である。
以上からもわかるように、一方のマーケットパワーが強い市場では、一、拮抗力を形成できる共助組織の強化、二、取引交渉力の不均衡による損失を補填する政府による下支え、これが正当化されるわけで、こういうことについて本法は全く言及もされておりません。
それから、そもそもコストダウンだけが競争力強化であるかのような視点も間違いだと思います。
強い農業とは何でしょうか。規模拡大してコストダウンすれば強い農業になるでしょうか。それはもちろん大事ですけれども、それだけで頑張っても、オーストラリアやアメリカに一ひねりで負けてしまいます。同じ土俵では戦えません。少々高いが徹底的に物が違う、あなたのものしか食べたくない、そういう本物を提供する生産者と理解する消費者とのネットワークこそが強いきずなの源です。
スイスでは、一個八十円もする卵を小学生ぐらいに見える女の子が買って、これを買うことで生産者の皆さんの生活が支えられ、そのおかげで私たちの生活も成り立つんだから当たり前でしょうと、いとも簡単に答えたといいます。
スイスでは、ミグロという生協さんが食品流通の大きなシェアを持っていて、農協さん等と連携して、消費者と生産者が納得できる本物の基準を認証して、その価値を価格に反映させることに成功しております。こういうふうな消費者サイド、生協さんからの働きかけによる取り組みなどについてもしっかりと支援するということも本法に位置づけるべきではないでしょうか。
それでも、スイスの農業所得のほぼ一〇〇%、フランスでも九五%が補助金で賄われているというのが実態です。環境、景観、動物愛護、生物多様性など、農業の果たす多面的機能の項目ごとに、具体的にこのぐらいの応分の負担をしていこうということがしっかりと理解されておりますので、国民も納得して払えるし、農家も誇りに思って生産に臨める。このようなシステムは日本にはありません。
さらに、アメリカでは、農家にとって最低限必要な所得は政府が補填するから、そういう水準になったら政策を発動するので安心して投資をしてくださいという予見可能なシステムを完備しております。これがまさに食料を守るということではないでしょうか。農業政策は農家保護政策ではありません。国民の命を守る安全保障政策です。こういう本質的な議論なくして、食と農と地域の持続的発展はありません。
そういう意味で、我が国の収入保険というものは、米価が下がるたびに基準収入が下がっていく底なし沼で、セーフティーネットではないということを言わざるを得ません。
盲目的なアメリカ追従とまで言われているのに、なぜアメリカのすぐれた農業戦略を、食料戦略をまねしないのですか。ただでさえ、全く規模の違うアメリカ農業が徹底した農業競争力強化策を行っているのに対して、我が国はセーフティーネットはなくし、コストダウンだけで競争すれば勝てるというのは、実は家族農業がほとんどなくなってもいいという議論になるのではないでしょうか。欧米のような食料戦略なく、単に競争を促進すればうまくいく、そして、それは一部の農業に参入したい大手企業等には都合がいい、そういうふうな視点になってしまっていないでしょうか。
最後に、一連の政策決定プロセスが異常であることを言わざるを得ません。
法的位置づけもない諮問機関に、利害の一致する仲間、しかも、この人たちはアメリカの経済界とも密接につながっております。それだけを集めて、国の方向性が私的に決められ、誰も文句が言えない、とめられないというのは異常事態です。与党の国会議員になるより、規制改革推進会議メンバーに選んでもらった方が政策が決められると与党議員は嘆いておりました。
日本の対米外交は、対日年次改革要望書等に書いてあることに次々順番に応えていくだけの、その執行機関が例えば規制改革推進会議ですから、次に何が起こるかは予見できます。
アメリカからは、アメリカの商社が全農を買収したいから株式会社化してくださいとか、共済と保険は対等な競争条件にしてくださいと強く求めています。郵貯マネーがめどが立ったから、必ずJAマネーを握るまでこれは終わりません。
だから、農協改革の目的も、一連の法案の目的も、農業所得の向上であるはずはありません。信用、共済マネーを奪う、共販、共同購入を崩す、JAと既存農家が潰れたらそこに参入する、規制改革推進会議の答申はそのとおりになっております。
本法も、それを受けたものになっております。
もちろん、農家の不満に徹底的に改善策を出す農協組織の真の意味での自己改革は不可欠ですけれども、一部の利益のために、日本の食と農、関連組織、所管官庁までもなし崩し的に息の根をとめられてしまうという方向性は、これは終わりの始まりです。
そういう意味で、規制改革推進会議は解散すべきであると思います。
二〇〇八年に、前の自公政権のときに結成された農政改革特命チーム会合というのがありましたが、これはさまざまな立場の意見が総合できる会議でした。これが食料・農業・農村審議会としっかり連携し、欧米のように、自分たちの命、環境、地域、国土を守る食料、農業を、国民それぞれがどう応分の負担をしていくかというビジョンの練り直しをすべきであります。
その特命会合では、現場の声に応えて所得のセーフティーネットを再構築する具体的提案の選択肢を示しました。その一つが、戸別所得補償制度の具体像として採用されたわけです。
ですから、国民の食料を守るために必要な政策は、与野党を問わず、現場の農家や消費者、国民の声をしっかり踏まえて形成されるものであり、三だけ主義の、一部のための政策は、多くの国民にとって本意ではない。
与野党を問わず、国会議員も、所管官庁にとっても、国民の食料を守るために必死に頑張る気持ちは同じはずです。なのに、今の一部の三だけ主義の利益を念頭に置いた、国民に有害な政策がまかり通って、誰もとめられない。この流れに終止符を打って、三方よしの社会を取り戻す法案をつくるべきであります。
本法は、生産資材、食品流通にかかわる事業の再編を促しておりますが、事態の正常化のためには、それよりも政界の再編、結集の方が効果的ではないかとも思われます。
以上で終わります。拍手
北
小
小松泰信#6
○小松参考人 おはようございます。
まず初めに、こういう貴重な場に発言の機会をいただきまして、感謝申し上げます。
挨拶はそれぐらいにいたしまして、けさ、宿舎で新聞が置いてありまして、日本農業新聞が置いてありまして、それをとりました。そうしたら、競争力強化支援法案、きょう衆議院で採決、可決されるであろうというようなことが書かれておりまして、午前のこの参考人質疑はどうなるんだろうかなと思ったわけでありますけれども。
しかし、食料に関しましては、この後申し上げますけれども、超長期的な話でございます。午後の部、どうなるか、これは皆さん方の御見識によるところでありますけれども、将来にわたっての問題であるということで、私は私なりの責任を全うしたいなと思っております。
お手元に、三枚つづりのレジュメを用意しております。
まず、私、自分自身の職歴とJAグループの関係を申し上げたいと思っております。
私、専門は大学院の環境生命科学研究科、いろいろ長ったらしく書いてございますけれども、農学部の教員で、社会科学系、特に農業協同組合論を専門にしております。
なぜ農業協同組合論を専門にしたかというのは、昭和五十八年、一九八三年、二十九歳数カ月のときに、長野県に設けられました、長野県の農協だけでお金を出してつくった長野県農協地域開発機構という、最近では余り使わない言葉ですけれども、シンクタンク、JA版のシンクタンクというものに就職いたしました。出身は九州の長崎でございますから、縁もゆかりもなかったんですけれども、現場でもまれたいというようなことで入りました。
それまで農業協同組合論を専門的に勉強してきたわけではなく、耳学問で、JA批判、農業協同組合批判を学者先生方が言っているのを聞いておりましたが、私、就職して三カ月でころっと考え方が変わりまして、これだけきちっとやっている、もちろん、百点満点の組織というのはないはずでありますけれども、四十点や五十点、ちまたで言われているような組織ではないよねと。もしこれがなかりせば、なかったらどうだったんだろうかということを考えたときに、私は、その存在意義といいますか、それまでの歴史というものをもう一遍勉強し直すようにしました。
そして、わずか六年ではありましたけれども、信州、そして可能な限りのところを見て回らせてもらって、勉強させていただいた。
その後、平成元年から石川県の農業短期大学というところで教員の職を得て、ああ、所変わればこうも変わるものかと。いい悪いは別でございます。信州の高冷野菜、果樹、そういう地帯と稲作地帯というので、やはり農業協同組合の雰囲気も違うなという、いわばそこの風土の中で、農業協同組合もそれと一体化するような形で存在してきた。
それが、平成九年から岡山大学に行き、果樹産地、そういったところでの農業の形態、農業協同組合の雰囲気というものを感じまして、ああ、やはり、三者三様といいますか、地域によって違うな、それもまた県内でも異なってくるなというようなことで、本当に農の世界というのは奥深いなということ、簡単に結論づけてはいけないなというのを、私自身つくづく、知れば知るほど学ぶようになりました。
その下に、図でお示ししておりますけれども、今大切にすべきものは何なのかということで、JAの立ち位置からちょっと考えてみようというふうに思います。
基本的には、農村社会に農業協同組合、JAは存在するわけでありますけれども、この農村社会というのは実は二つの層から成っている。表向きは、表層領域ということで、一応ビジネスというふうに書いておりますけれども、食料生産販売機能というのを担う領域がございますが、重要なのは基層領域というところでございます。
ここは、その地域にある土地や里山や川や、そういった地域資源を管理し、そして人々のつながり、コミュニティーが形成され、伝統文化が育まれ、そして最近では防災というようなことも非常に重要な役割、信仰、神事、そういうことも担うところであります。ただ、これはもう当たり前のような世界でありますから、なくなってみないとその重要性がわからない、なくなったらもう取り戻すことはできないという世界であります。
結論を急ぐようでありますけれども、現在のこういう競争力強化法案とか農業をめぐるさまざまな動きというのは、実はこの基層領域の重要性を御認識になっていないか、あるいはあえて目を伏せているかというようなことで、私は大変危惧しております。
そして、農家実行組合とか農家組合とか、もう現場の人に聞けば、ああ、あれねみたいな、町内会みたいなものでありますけれども、こういうもので実は地域が支えられ、そして、そういうところの基層領域にある地域資源を活用しながら食料生産が営々と営まれてきた。
しかしこれは、肥料、農薬は購入しなければならない、つくったものは売らなければならないということで、どうしてもビジネスの領域が必要になってくる。そこのところを、農家さんたちが出資し、地域の方々が出資して、自分たちの協同組織をつくった。
ただ、その農業協同組合は、販売、ビジネスに関しましては、ほかの領域、いわゆる地域外、あるいは国内のほかの地域と取引をしなければならないということで、いわばそこで中央会とか連合組織というのが求められてくる。
連合会の役員に現場の農家の方の代表が行って、レベルが低いというような意見がありますが、それは大きな間違いでありまして、中央会とか連合会が浮世離れしないために、現場の基層領域の動きをしっかりと理解してもらうためにそういう方々が代表として行っているんだ。そういう役割も非常にある。
ただ、もちろん、全国的な視点というのは欠落している部分、弱い部分があるかもしれませんから、職員の方々、実務精通者がそれをサポートしてやっていく、こういう流れになっておるわけであります。
この農業協同組合と異なる位置といいますか、立ち位置が違うのがグローバル企業。この図の右上に浮遊と。世界じゅうを駆けめぐる、しかし農村社会とか基層領域には責任を持たないということであります。片方で着土、地域に密着するという右下の着土という概念ですね。他方、グローバルにおいては浮遊という概念。
我々は今どちらを特に重視しなければならないのかということ、これを私は強く申し上げたい。基本的には着土ですね。これは私の言葉ではなくて、福井県立大学の学長をやり、京都大学の名誉教授だった祖田修先生の言葉であります。意識を持って腰を据えて地域に根をおろす、着土でございます。
次のページをお開きください。
そういう中で、私は、協同の力といいますか、そういうものの有用性ということで、これは単純な図ではございますけれども、寿命が延びる、医療とか衛生等々の関連の進捗の中で延びる。そういう中で、実はQOL、クオリティー・オブ・ライフというのは延びているのかというと、これは皆さん方、私もそうでありますけれども、自分の、高齢者を抱えた家とか、そういうことを考えれば、QOLは決して寿命曲線と同じような角度では延びていかない。そのギャップを私は生き地獄と呼んでおります。
組合員各位を生き地獄に落とさないために、本当なら、国家が社会保障でサポートしてくれるのが理想かもしれませんけれども、なかなかそういう状況にならない。それをきっちり、協同の力で少しでもこの寿命曲線に近づけるようにやって、生き地獄を組合員にもたらさないというようなことで、私は、農業協同組合、JAグループはやってきたんではなかろうかなというふうに思っております。
という前提で、農業競争力強化支援法案を検討する際のポイントとして、私は、第二次産業、第三次産業の論理を第一次産業に簡単に当てはめるのはかなり問題である。
かつてのペティの法則というのがあって、その国が経済的に成長していったら、人、金、土地、そういった生産要素が第二次産業、第三次産業に流れていく。第二次産業、第三次産業を成長させるために生産要素を供出していった産業が強くなれるわけがない。もし本当に強くなってほしいなら、これまで出した人や金を戻してから言ったらどうですかというのが本音の部分でございます。
そして、こういう状況の中でも、一億二千七百万人を食料では困らせないという使命に立ったときに、いかなる強さが農業に求められるのか。私は、単純な第二次産業、第三次産業の論理の強さではなく、根強さ、根強い農業という言葉を使っております。それは、地域にまさに根を張った根強さ、そして国民、そして日本の食料を評価する国外の方々のまさに体、胃袋にしっかり入り込む、そういった両方における根強い農業ということを目指すべきであろうと思っております。
そういう中で、私は、自給率が四割を切っているということは大変問題である。国民の基礎代謝、千ちょっとの熱量すら自国で供給できないということ、これは甚だ問題であろう。あえて言うなら、輸出を語る資格はない。輸出を語りたければ、食料自給率、そういうものをもっと、基礎代謝、六〇%ぐらいまで回復する、自給率を六〇%ぐらいまでに回復して後の話ではなかろうかなと思っています。
農学部の教員といたしまして、私は、その使命ということを何なのかと考えるときに、生命の連鎖性というキーワードを持っています。これは、それぞれの生き物がつながっていくということであり、かつ、横のつながりを持っていく。そういう意味では、超長期の視点が必要だし、だからこそ、規制は岩盤でなければならない。簡単に壊されるということは、まさに国民の生命というものに危機をはらんでくるということであります。であるがゆえに、成長よりも安定、改革よりも日々の改善、改良ということが問われてきます。
ぜひ御検討いただきたい事項といたしましては、先ほど鈴木先生もかなり強くおっしゃいましたけれども、競争力とは何ぞやということ。私は、ことしの農業の競争相手は昨年の日本の農業であった、ライバルは去年の農業である、そして、来年にとっての農業のライバルはことしの農業であった、そういう形での競争ということをやはり地道に続けていく必要があるのではないか。
さらに、法文の中で、有利な取引相手という言葉がありますが、超長期に考えたときに何が有利なのか。極めて短期的に、どっちが得なんでしょうというようなことを法律の条文でうたうような話なのかというふうに私は思います。そして、そういう業者から買いなさいということを法律の条文で示すレベルの話なのかというふうに非常に疑問を禁じ得ません。
次の、最後のページでございます。
さらに、食料において卸売市場等々の流通業界がどれだけの責任を果たしてきたかということ。集荷、分荷、品ぞろえ、価格発見、代金決済、情報の提供、もう少しこの辺のところをやはり評価し、改善は必要かもしれませんけれども、どんどん民間に参入させて、あるいはなくして、そこを飛ばして直接取引をしなさいというようなところまで書き込むというのは、本当に法律としてこのレベルなのかなということで、非常に私は疑問を禁じ得ないところであります。
時間が今、十四分ほどになりましたので、ぜひ、また後からの御質問にも答えたいと思いますけれども、結びのところで書いておりますが、やはり、我が国の食文化を守りながら、食料自給率六〇%を目指す、あるいは、人的資本への大胆な投資、農ある世界の人づくり、そして、ぜひ、多様な担い手、担い手の多様性を尊重し、そういう担い手が重層的に存在し、そして、生命の連鎖性というところをしっかりこの国が守り続けていくということを願って、こういうことを報告いたしまして、私の陳述とさせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →まず初めに、こういう貴重な場に発言の機会をいただきまして、感謝申し上げます。
挨拶はそれぐらいにいたしまして、けさ、宿舎で新聞が置いてありまして、日本農業新聞が置いてありまして、それをとりました。そうしたら、競争力強化支援法案、きょう衆議院で採決、可決されるであろうというようなことが書かれておりまして、午前のこの参考人質疑はどうなるんだろうかなと思ったわけでありますけれども。
しかし、食料に関しましては、この後申し上げますけれども、超長期的な話でございます。午後の部、どうなるか、これは皆さん方の御見識によるところでありますけれども、将来にわたっての問題であるということで、私は私なりの責任を全うしたいなと思っております。
お手元に、三枚つづりのレジュメを用意しております。
まず、私、自分自身の職歴とJAグループの関係を申し上げたいと思っております。
私、専門は大学院の環境生命科学研究科、いろいろ長ったらしく書いてございますけれども、農学部の教員で、社会科学系、特に農業協同組合論を専門にしております。
なぜ農業協同組合論を専門にしたかというのは、昭和五十八年、一九八三年、二十九歳数カ月のときに、長野県に設けられました、長野県の農協だけでお金を出してつくった長野県農協地域開発機構という、最近では余り使わない言葉ですけれども、シンクタンク、JA版のシンクタンクというものに就職いたしました。出身は九州の長崎でございますから、縁もゆかりもなかったんですけれども、現場でもまれたいというようなことで入りました。
それまで農業協同組合論を専門的に勉強してきたわけではなく、耳学問で、JA批判、農業協同組合批判を学者先生方が言っているのを聞いておりましたが、私、就職して三カ月でころっと考え方が変わりまして、これだけきちっとやっている、もちろん、百点満点の組織というのはないはずでありますけれども、四十点や五十点、ちまたで言われているような組織ではないよねと。もしこれがなかりせば、なかったらどうだったんだろうかということを考えたときに、私は、その存在意義といいますか、それまでの歴史というものをもう一遍勉強し直すようにしました。
そして、わずか六年ではありましたけれども、信州、そして可能な限りのところを見て回らせてもらって、勉強させていただいた。
その後、平成元年から石川県の農業短期大学というところで教員の職を得て、ああ、所変わればこうも変わるものかと。いい悪いは別でございます。信州の高冷野菜、果樹、そういう地帯と稲作地帯というので、やはり農業協同組合の雰囲気も違うなという、いわばそこの風土の中で、農業協同組合もそれと一体化するような形で存在してきた。
それが、平成九年から岡山大学に行き、果樹産地、そういったところでの農業の形態、農業協同組合の雰囲気というものを感じまして、ああ、やはり、三者三様といいますか、地域によって違うな、それもまた県内でも異なってくるなというようなことで、本当に農の世界というのは奥深いなということ、簡単に結論づけてはいけないなというのを、私自身つくづく、知れば知るほど学ぶようになりました。
その下に、図でお示ししておりますけれども、今大切にすべきものは何なのかということで、JAの立ち位置からちょっと考えてみようというふうに思います。
基本的には、農村社会に農業協同組合、JAは存在するわけでありますけれども、この農村社会というのは実は二つの層から成っている。表向きは、表層領域ということで、一応ビジネスというふうに書いておりますけれども、食料生産販売機能というのを担う領域がございますが、重要なのは基層領域というところでございます。
ここは、その地域にある土地や里山や川や、そういった地域資源を管理し、そして人々のつながり、コミュニティーが形成され、伝統文化が育まれ、そして最近では防災というようなことも非常に重要な役割、信仰、神事、そういうことも担うところであります。ただ、これはもう当たり前のような世界でありますから、なくなってみないとその重要性がわからない、なくなったらもう取り戻すことはできないという世界であります。
結論を急ぐようでありますけれども、現在のこういう競争力強化法案とか農業をめぐるさまざまな動きというのは、実はこの基層領域の重要性を御認識になっていないか、あるいはあえて目を伏せているかというようなことで、私は大変危惧しております。
そして、農家実行組合とか農家組合とか、もう現場の人に聞けば、ああ、あれねみたいな、町内会みたいなものでありますけれども、こういうもので実は地域が支えられ、そして、そういうところの基層領域にある地域資源を活用しながら食料生産が営々と営まれてきた。
しかしこれは、肥料、農薬は購入しなければならない、つくったものは売らなければならないということで、どうしてもビジネスの領域が必要になってくる。そこのところを、農家さんたちが出資し、地域の方々が出資して、自分たちの協同組織をつくった。
ただ、その農業協同組合は、販売、ビジネスに関しましては、ほかの領域、いわゆる地域外、あるいは国内のほかの地域と取引をしなければならないということで、いわばそこで中央会とか連合組織というのが求められてくる。
連合会の役員に現場の農家の方の代表が行って、レベルが低いというような意見がありますが、それは大きな間違いでありまして、中央会とか連合会が浮世離れしないために、現場の基層領域の動きをしっかりと理解してもらうためにそういう方々が代表として行っているんだ。そういう役割も非常にある。
ただ、もちろん、全国的な視点というのは欠落している部分、弱い部分があるかもしれませんから、職員の方々、実務精通者がそれをサポートしてやっていく、こういう流れになっておるわけであります。
この農業協同組合と異なる位置といいますか、立ち位置が違うのがグローバル企業。この図の右上に浮遊と。世界じゅうを駆けめぐる、しかし農村社会とか基層領域には責任を持たないということであります。片方で着土、地域に密着するという右下の着土という概念ですね。他方、グローバルにおいては浮遊という概念。
我々は今どちらを特に重視しなければならないのかということ、これを私は強く申し上げたい。基本的には着土ですね。これは私の言葉ではなくて、福井県立大学の学長をやり、京都大学の名誉教授だった祖田修先生の言葉であります。意識を持って腰を据えて地域に根をおろす、着土でございます。
次のページをお開きください。
そういう中で、私は、協同の力といいますか、そういうものの有用性ということで、これは単純な図ではございますけれども、寿命が延びる、医療とか衛生等々の関連の進捗の中で延びる。そういう中で、実はQOL、クオリティー・オブ・ライフというのは延びているのかというと、これは皆さん方、私もそうでありますけれども、自分の、高齢者を抱えた家とか、そういうことを考えれば、QOLは決して寿命曲線と同じような角度では延びていかない。そのギャップを私は生き地獄と呼んでおります。
組合員各位を生き地獄に落とさないために、本当なら、国家が社会保障でサポートしてくれるのが理想かもしれませんけれども、なかなかそういう状況にならない。それをきっちり、協同の力で少しでもこの寿命曲線に近づけるようにやって、生き地獄を組合員にもたらさないというようなことで、私は、農業協同組合、JAグループはやってきたんではなかろうかなというふうに思っております。
という前提で、農業競争力強化支援法案を検討する際のポイントとして、私は、第二次産業、第三次産業の論理を第一次産業に簡単に当てはめるのはかなり問題である。
かつてのペティの法則というのがあって、その国が経済的に成長していったら、人、金、土地、そういった生産要素が第二次産業、第三次産業に流れていく。第二次産業、第三次産業を成長させるために生産要素を供出していった産業が強くなれるわけがない。もし本当に強くなってほしいなら、これまで出した人や金を戻してから言ったらどうですかというのが本音の部分でございます。
そして、こういう状況の中でも、一億二千七百万人を食料では困らせないという使命に立ったときに、いかなる強さが農業に求められるのか。私は、単純な第二次産業、第三次産業の論理の強さではなく、根強さ、根強い農業という言葉を使っております。それは、地域にまさに根を張った根強さ、そして国民、そして日本の食料を評価する国外の方々のまさに体、胃袋にしっかり入り込む、そういった両方における根強い農業ということを目指すべきであろうと思っております。
そういう中で、私は、自給率が四割を切っているということは大変問題である。国民の基礎代謝、千ちょっとの熱量すら自国で供給できないということ、これは甚だ問題であろう。あえて言うなら、輸出を語る資格はない。輸出を語りたければ、食料自給率、そういうものをもっと、基礎代謝、六〇%ぐらいまで回復する、自給率を六〇%ぐらいまでに回復して後の話ではなかろうかなと思っています。
農学部の教員といたしまして、私は、その使命ということを何なのかと考えるときに、生命の連鎖性というキーワードを持っています。これは、それぞれの生き物がつながっていくということであり、かつ、横のつながりを持っていく。そういう意味では、超長期の視点が必要だし、だからこそ、規制は岩盤でなければならない。簡単に壊されるということは、まさに国民の生命というものに危機をはらんでくるということであります。であるがゆえに、成長よりも安定、改革よりも日々の改善、改良ということが問われてきます。
ぜひ御検討いただきたい事項といたしましては、先ほど鈴木先生もかなり強くおっしゃいましたけれども、競争力とは何ぞやということ。私は、ことしの農業の競争相手は昨年の日本の農業であった、ライバルは去年の農業である、そして、来年にとっての農業のライバルはことしの農業であった、そういう形での競争ということをやはり地道に続けていく必要があるのではないか。
さらに、法文の中で、有利な取引相手という言葉がありますが、超長期に考えたときに何が有利なのか。極めて短期的に、どっちが得なんでしょうというようなことを法律の条文でうたうような話なのかというふうに私は思います。そして、そういう業者から買いなさいということを法律の条文で示すレベルの話なのかというふうに非常に疑問を禁じ得ません。
次の、最後のページでございます。
さらに、食料において卸売市場等々の流通業界がどれだけの責任を果たしてきたかということ。集荷、分荷、品ぞろえ、価格発見、代金決済、情報の提供、もう少しこの辺のところをやはり評価し、改善は必要かもしれませんけれども、どんどん民間に参入させて、あるいはなくして、そこを飛ばして直接取引をしなさいというようなところまで書き込むというのは、本当に法律としてこのレベルなのかなということで、非常に私は疑問を禁じ得ないところであります。
時間が今、十四分ほどになりましたので、ぜひ、また後からの御質問にも答えたいと思いますけれども、結びのところで書いておりますが、やはり、我が国の食文化を守りながら、食料自給率六〇%を目指す、あるいは、人的資本への大胆な投資、農ある世界の人づくり、そして、ぜひ、多様な担い手、担い手の多様性を尊重し、そういう担い手が重層的に存在し、そして、生命の連鎖性というところをしっかりこの国が守り続けていくということを願って、こういうことを報告いたしまして、私の陳述とさせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
北
山
山下一仁#8
○山下参考人 山下でございます。
きょうは、こういう機会を設けていただきまして、ありがとうございました。
私は、前の方と違いまして、昔、役人をしていた過去官僚でございまして、若干事務的になるかもしれませんけれども、今回の法案に即して論点を整理させていただきたいというふうに思います。
まず、最初のスライドなんですが、昨年の改革の評価なんですけれども、基本的な背景は、TPPに加入して関税が下がる、そうすると価格が下がるかもしれない、価格が下がったとしても、所得というのは価格に販売量を掛けた売上高からコストを引いたものですから、コストを下げれば所得は維持できるのではないか、そういうふうな観点が背景にあったのではないかなというふうに思います。
そのときに、実は、これは私は数年前から言ってきたことなんですけれども、農業資材価格は物すごい内外価格差があるわけですね。その農業資材価格について初めて政策としてメスを入れたということは、大変画期的なことではないかなというふうに思います。そういう意味で、そこから農協のあり方についてその議論が発展したのではないかなというふうに思います。
ただ、私がつき合っている農業者の人からすると、ホームセンターよりも農協の方が高い、これは前からみんな言っていたわけです。だけれども、日本で買う価格が、国際的な価格に比べて資材価格が高いということに初めて農業者も注目することになったということは画期的かなと思います。
次に、次のスライドなんですけれども、何で柳田国男が突然出てくるんだというふうに思われるかもしれませんが、実は、柳田国男は一九〇〇年に東京大学の法学部を卒業して、当時の農商務省、今の農林省に入りました。当時、法学士がいなかったものですから、法律をつくろうとすると、内閣法制局にお願いして法律をつくっていたんですね。それでは大変だというので、商工省サイド、今の経産省サイドでは松本烝治、それから農林省サイドでは柳田国男を採用したわけでございます。
ただし、柳田国男は農商務省で大変なひどい目に遭いまして、わずか二年足らずで法制局に出向してしまうわけです。そういう面からすると、私は農林水産省に三十年間も辛抱できましたので、そういう意味では、柳田国男よりはちょっと忍耐力があったのかなというふうに思っております。
柳田国男の農政学なんですけれども、農業政策を考えるときに、二つの視点が必要でしょうと。消費者は安く売ってもらいたい、それから、生産者は高く買ってもらいたい。では、どうやってその二つの異なる主張を調和することができるのか。
そうしたら、柳田国男は、農家の所得を上げようとすると、コストを下げればいいんですよと。規模を拡大してコストを下げる、あるいは資材価格を下げる、そういうふうなことによって、その両方の、消費者の利益、それから生産者の利益を調和することができるんだというふうに考えたわけでございます。
次の四番目のスライド、五番目のスライドは、資材価格の国際比較と、トウモロコシが国内に入った価格、それから同じトウモロコシを国内市場で餌として売った価格、それから配合飼料で売った価格。
こうした、トウモロコシが入ってきて、飼料用として売るときはその倍になります。さらに、配合飼料として売るときは輸入価格の三倍になってしまう。私は、どうしてこういうことになるのかよくわかりませんけれども、こうしたところにメスを入れてほしいなというふうに思っています。
そこで、六番目のスライドなんですけれども、大変恐縮なんですが、羊頭狗肉の法案というふうに言わせてもらっているんですけれども、つまり、この法案の目的は何なんですかという意味です。
うたっているのは農業の競争力の強化、これをうたっているわけですね。他方で、これは農林水産省がつくった資料だと思いますけれども、昨年十一月の文書では、「生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し」と言っているわけですね。だけれども、競争力の強化と所得の向上というのは若干対立する概念ではあるわけです。
つまり、所得というのは、先ほども申し上げましたように、売上高からコストを引いたものですから、所得向上のためには価格を下げては余り都合がよくないわけですね。ところが、競争力強化のためには価格を下げる必要があるわけです。価格が下がらないと価格競争力が上がりません。したがって、輸出もできないということになるわけです。
次のスライドを見ていただきたいと思うんですが、四ページなんですけれども、これは、私の尊敬する、農業経済史を研究している暉峻衆三という方がおっしゃっていることなんですけれども、貧農層というのは、かつては、戦前は大変問題だった、これは一九六〇年代終わりには消滅したんだと。
それから、その下のスライドは、農業の種類ごとの所得の状況なんですけれども、養豚農家の所得は一千五百万円もあります。養豚農家の所得をさらに上げるというのが本当の農政の目的なんでしょうかということです。それから、稲作農家の所得、農業所得は二十七万円しかありません。ほとんどが農外収入ですね。つまり、サラリーマンとしての収入、それから、高齢化しているので年金収入ですね。
つまり、稲作農家の所得を上げようとすると、農業政策というよりも、トヨタとかパナソニックに一生懸命頑張ってもらう、こっちの方がはるかに所得の向上にはつながるということがあると思います。
次のページを開いていただきたいんですが、これは、農業基本法の生みの親である小倉武一という人が、ちょうどウルグアイ・ラウンド交渉終了時ぐらいのときに言った言葉でございます。後で参考にしていただきたいと思います。
それで、その下の十ページのスライドなんですけれども、人口減少が起こります、国内のマーケットは縮小します、そうすると、輸出をしないと、海外の市場を取り込まないと日本農業はもうやっていけないわけですね。そのときに、最初の参考人の人もおっしゃいましたように、輸出をする必要がある。
輸出をするときにどうするんだ、価格競争力をつける必要があるわけです。輸出をするときに、相手国の価格から、関税を払わないとだめで、関税を引く必要があります。それから、輸送コストも引く必要があります。その引いた価格で日本から輸出しないと、相手国の農産物の価格と太刀打ちできないわけですね。つまり、相当価格競争力を上げる必要があるということです。その面で、今回の法案の目的は、全く正しい問題認識に立っているわけです。
次に、次のスライドなんですけれども、経済学、余り農林水産省で経済学、経済学と言うと、私は随分嫌われたわけなんですけれども、経済学からすると、生産要素、これは農業資材ですね、農業資材の価格が何で高いのかというと、それは、農産物の価格が高いから農業資材の価格も高いんだ、こういうふうな経済学は発想をするわけでございます。
したがって、資材価格の内外価格差がたくさんあるというのは、最も大きな原因は、農産物価格に大変な大きな内外価格差があるということに起因しているわけでございます。したがって、発想は逆になるかもしれませんけれども、資材価格を下げるためには、農産物価格を下げていく必要があるということでございます。
そういう観点からすると、今回の法案は、良質かつ低廉な農業資材の供給をうたっています。でも、なぜ、良質かつ低廉な食料、農産物の供給をうたわないんですかということなんです。何で減反政策を維持しているんですかということなんです。減反政策というのは、農家に大変な補助金を与えて米の供給を減少させて、需給が均衡する価格よりもさらに米価を上げて、消費者に多大な負担をさせる。
普通は、例えば薬でも医療でも、財政負担をしたら、国民に安く財・サービスを供給するわけです。ところが、この政策は、財政負担をして消費者負担をさらに引き上げているという、日本の国政上、最もスキャンダラスな政策なわけです。こうした政策をもう何十年も維持しているわけです。
はっきり、こういう政策はいいんですかと。究極の逆進的な政策です。しかも、主食の米ですよ。ほかのものについてこうした政策をするのはまだわかります。しかし、我々が主食だと言っている米について、こういうふうな若干破廉恥な政策を何十年も続けているということでございます。
次のスライドなんですけれども、米の内外価格差は一旦消えたんですけれども、その下にスライドがありますように、餌米の補助金を増加して、また内外価格差を開かせてしまったということでございます。
ちょっと飛ばしてもらいまして、十六番のスライドなんですけれども、日本と異なって、アメリカやEUは、直接支払いというやり方で農業を保護する政策に移行しているということでございます。
ちょっと長くなるので、めくっていただいて、二十というスライドに移らせていただきたいと思います。
ここで、手段として、今回の法案の目的が果たして妥当なのかという議論をさせていただきたいと思います。
農水省の資料では、肥料、農薬、飼料の価格が高い理由として、過剰供給構造による低生産性を挙げています。したがって、過剰供給構造ですから、つまり、業者の数が多いから、業者の数を縮小して、事業を再編する必要があるというふうに言っているわけですね。
他方で、農業機械については、寡占による競争力が足りないので価格が高いんだと。したがって、事業者の新規参入を促進して価格を下げる、こういうふうな対策を講ずるべきだというふうに言っているんだと思います。
しかし、論理的に考えて、供給が多いのであれば、資材価格は下がるはずなんです。もし農林省が言っているように、施設が多くて稼働率が低いのでコスト増になるというのであれば、もし、ある企業が稼働率を上げてコストを下げて価格を下げていけば、市場を独占できるわけです。でも、何でそんなことが起きないのかということなんです。つまり、問題はこんなところにあるんじゃないということなんです。
何が問題か。つまり、次のスライドなんですけれども、企業にフルに操業させない、農業資材供給業界に特殊な事情が存在するからだろうというふうに思います。そうでなければ説明がつかないんです。少なくとも経済学の立場からすると、こういう状況というのは説明がつかないわけです。
では、何があるのか。ある程度の独占的な要因がどこかに存在しているということでございます。特に、農協については、資材価格が高ければ高いほど、それに応じて販売手数料収入がパーセントで決まりますから、資材価格が高ければ高いほど、農協の経営にはいいわけです。
実は、農協というのは、歴史をひもとくと、資材価格、肥料商がいて、高く肥料を売りつけられてしまった、したがって、それに対抗するためにつくったのが、農協、この前身の産業組合という組織だったわけです。ところが、年月がたつにつれて、農産物を高く売って農協の販売手数料がふえる、これはいいことです。でも、農産物の資材価格、肥料、農薬、農業機械を高く売れば売るほど農協の経営がよくなる、こういうふうなインセンティブが農協の経営を支配してしまったということでございます。
先ほども申し上げましたように、二十二ページのスライドなんですけれども、より根本的な事情というのは、やはり農政による高価格政策が背景にあるんだというふうに思います。
必要な対策としては、独禁法の厳正な運用による、適用による競争の向上だ。特に、農水省が出している資料によると、末端に行けば行くほど農協のシェアが拡大しているわけですね。つまり、市場独占力が高いわけです。それによって、その高い市場独占力によって、供給業界に対していろいろなアクションをとってくる、コントロールをしていくということがあるんだろうと思います。
それから高価格政策、いつまでこの高価格政策、高い価格で消費者の利益を踏みにじりながら、農業だけが助かる、農業だけじゃなくて、農業に属するある団体のためにこういう政策をやるのか。これは早急に見直すべきだ、欧米がやっているような、価格から直接支払いというふうな対策を講ずるべきだというふうに思います。
さらに申し上げますと、次の二十三ページのスライドですけれども、実は農協は、准組合員制度というのを持っていますから、それ自体では独禁法の適用除外の対象になりません。したがって、農協法第九条というのを設けて、独禁法の適用除外の規定の要件を満たすものとみなす規定を置いているわけです。
だから、もしその農協法の、これは皆さんができることです。農協法九条を廃止するんです。そうすると、農協に独禁法が適用になります。そうすると、公正な市場が形成されるということでございます。それが嫌なら、農協は准組合員を外して、純粋に農業協同組合として生きる道があります。あるいは、今のJAは農業を手放して、地域協同組合として生きる道が残されています。このいずれかの道を選択させるというのが一つの道かなと思います。
それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、ホームセンター、HSというのはホームセンターの誤字で申しわけないんですけれども、ホームセンターより安く農協が売れば農協の手数料を上げてやる、こういうふうなインセンティブ、農協が安く資材を供給できるようなインセンティブを導入すべきだ、そういうものをビルトインすべきだというふうに私は思います。
それから、最後に申し上げますけれども、もう国内のマーケットは、人口減少と高齢化で縮小します。日本農業が生き残る道は輸出です。輸出のためには価格競争力をつけないとだめなことは当然の話なわけです。その面で、今回の競争力強化の法案というのはそういう目的にかなうものだというふうに思います。
それから、輸出というのは、実は金のかからない備蓄なんです。輸出をします。日本は、平時は小麦や牛肉を海外から買います。シーレーンが破壊されて、日本にそういうものを輸出されなくなっていったときに、その輸出している米を食べるんです。つまり、日本で輸出の備蓄をすると物すごく金がかかるわけですね。輸出というのは、金のかからない、ゼロの備蓄政策なんです。
だから、先ほど自給率の話がありましたけれども、フランスの自給率はなぜ一〇〇%を超えているか。自給率というのは、国内で消費する以上のものを生産している、つまり輸出しているからなんです。自給率が一〇〇%を超えるというフランスは、輸出しているから自給率が一〇〇%を超えるんです。
そうした事情をよく考慮していただいて、最後に申し上げたいことは、自由貿易こそが食料安全保障を達成する道であり、政策の手段としては、もういいかげん、減反みたいな誰もが喜ばない政策をやるんじゃなくて、直接支払いに行って、打って出て、農家の所得も確保する、消費者にもメリットがある、構造改革も進む、そうした政策を採用すべきだというふうに思います。
どうも御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →きょうは、こういう機会を設けていただきまして、ありがとうございました。
私は、前の方と違いまして、昔、役人をしていた過去官僚でございまして、若干事務的になるかもしれませんけれども、今回の法案に即して論点を整理させていただきたいというふうに思います。
まず、最初のスライドなんですが、昨年の改革の評価なんですけれども、基本的な背景は、TPPに加入して関税が下がる、そうすると価格が下がるかもしれない、価格が下がったとしても、所得というのは価格に販売量を掛けた売上高からコストを引いたものですから、コストを下げれば所得は維持できるのではないか、そういうふうな観点が背景にあったのではないかなというふうに思います。
そのときに、実は、これは私は数年前から言ってきたことなんですけれども、農業資材価格は物すごい内外価格差があるわけですね。その農業資材価格について初めて政策としてメスを入れたということは、大変画期的なことではないかなというふうに思います。そういう意味で、そこから農協のあり方についてその議論が発展したのではないかなというふうに思います。
ただ、私がつき合っている農業者の人からすると、ホームセンターよりも農協の方が高い、これは前からみんな言っていたわけです。だけれども、日本で買う価格が、国際的な価格に比べて資材価格が高いということに初めて農業者も注目することになったということは画期的かなと思います。
次に、次のスライドなんですけれども、何で柳田国男が突然出てくるんだというふうに思われるかもしれませんが、実は、柳田国男は一九〇〇年に東京大学の法学部を卒業して、当時の農商務省、今の農林省に入りました。当時、法学士がいなかったものですから、法律をつくろうとすると、内閣法制局にお願いして法律をつくっていたんですね。それでは大変だというので、商工省サイド、今の経産省サイドでは松本烝治、それから農林省サイドでは柳田国男を採用したわけでございます。
ただし、柳田国男は農商務省で大変なひどい目に遭いまして、わずか二年足らずで法制局に出向してしまうわけです。そういう面からすると、私は農林水産省に三十年間も辛抱できましたので、そういう意味では、柳田国男よりはちょっと忍耐力があったのかなというふうに思っております。
柳田国男の農政学なんですけれども、農業政策を考えるときに、二つの視点が必要でしょうと。消費者は安く売ってもらいたい、それから、生産者は高く買ってもらいたい。では、どうやってその二つの異なる主張を調和することができるのか。
そうしたら、柳田国男は、農家の所得を上げようとすると、コストを下げればいいんですよと。規模を拡大してコストを下げる、あるいは資材価格を下げる、そういうふうなことによって、その両方の、消費者の利益、それから生産者の利益を調和することができるんだというふうに考えたわけでございます。
次の四番目のスライド、五番目のスライドは、資材価格の国際比較と、トウモロコシが国内に入った価格、それから同じトウモロコシを国内市場で餌として売った価格、それから配合飼料で売った価格。
こうした、トウモロコシが入ってきて、飼料用として売るときはその倍になります。さらに、配合飼料として売るときは輸入価格の三倍になってしまう。私は、どうしてこういうことになるのかよくわかりませんけれども、こうしたところにメスを入れてほしいなというふうに思っています。
そこで、六番目のスライドなんですけれども、大変恐縮なんですが、羊頭狗肉の法案というふうに言わせてもらっているんですけれども、つまり、この法案の目的は何なんですかという意味です。
うたっているのは農業の競争力の強化、これをうたっているわけですね。他方で、これは農林水産省がつくった資料だと思いますけれども、昨年十一月の文書では、「生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し」と言っているわけですね。だけれども、競争力の強化と所得の向上というのは若干対立する概念ではあるわけです。
つまり、所得というのは、先ほども申し上げましたように、売上高からコストを引いたものですから、所得向上のためには価格を下げては余り都合がよくないわけですね。ところが、競争力強化のためには価格を下げる必要があるわけです。価格が下がらないと価格競争力が上がりません。したがって、輸出もできないということになるわけです。
次のスライドを見ていただきたいと思うんですが、四ページなんですけれども、これは、私の尊敬する、農業経済史を研究している暉峻衆三という方がおっしゃっていることなんですけれども、貧農層というのは、かつては、戦前は大変問題だった、これは一九六〇年代終わりには消滅したんだと。
それから、その下のスライドは、農業の種類ごとの所得の状況なんですけれども、養豚農家の所得は一千五百万円もあります。養豚農家の所得をさらに上げるというのが本当の農政の目的なんでしょうかということです。それから、稲作農家の所得、農業所得は二十七万円しかありません。ほとんどが農外収入ですね。つまり、サラリーマンとしての収入、それから、高齢化しているので年金収入ですね。
つまり、稲作農家の所得を上げようとすると、農業政策というよりも、トヨタとかパナソニックに一生懸命頑張ってもらう、こっちの方がはるかに所得の向上にはつながるということがあると思います。
次のページを開いていただきたいんですが、これは、農業基本法の生みの親である小倉武一という人が、ちょうどウルグアイ・ラウンド交渉終了時ぐらいのときに言った言葉でございます。後で参考にしていただきたいと思います。
それで、その下の十ページのスライドなんですけれども、人口減少が起こります、国内のマーケットは縮小します、そうすると、輸出をしないと、海外の市場を取り込まないと日本農業はもうやっていけないわけですね。そのときに、最初の参考人の人もおっしゃいましたように、輸出をする必要がある。
輸出をするときにどうするんだ、価格競争力をつける必要があるわけです。輸出をするときに、相手国の価格から、関税を払わないとだめで、関税を引く必要があります。それから、輸送コストも引く必要があります。その引いた価格で日本から輸出しないと、相手国の農産物の価格と太刀打ちできないわけですね。つまり、相当価格競争力を上げる必要があるということです。その面で、今回の法案の目的は、全く正しい問題認識に立っているわけです。
次に、次のスライドなんですけれども、経済学、余り農林水産省で経済学、経済学と言うと、私は随分嫌われたわけなんですけれども、経済学からすると、生産要素、これは農業資材ですね、農業資材の価格が何で高いのかというと、それは、農産物の価格が高いから農業資材の価格も高いんだ、こういうふうな経済学は発想をするわけでございます。
したがって、資材価格の内外価格差がたくさんあるというのは、最も大きな原因は、農産物価格に大変な大きな内外価格差があるということに起因しているわけでございます。したがって、発想は逆になるかもしれませんけれども、資材価格を下げるためには、農産物価格を下げていく必要があるということでございます。
そういう観点からすると、今回の法案は、良質かつ低廉な農業資材の供給をうたっています。でも、なぜ、良質かつ低廉な食料、農産物の供給をうたわないんですかということなんです。何で減反政策を維持しているんですかということなんです。減反政策というのは、農家に大変な補助金を与えて米の供給を減少させて、需給が均衡する価格よりもさらに米価を上げて、消費者に多大な負担をさせる。
普通は、例えば薬でも医療でも、財政負担をしたら、国民に安く財・サービスを供給するわけです。ところが、この政策は、財政負担をして消費者負担をさらに引き上げているという、日本の国政上、最もスキャンダラスな政策なわけです。こうした政策をもう何十年も維持しているわけです。
はっきり、こういう政策はいいんですかと。究極の逆進的な政策です。しかも、主食の米ですよ。ほかのものについてこうした政策をするのはまだわかります。しかし、我々が主食だと言っている米について、こういうふうな若干破廉恥な政策を何十年も続けているということでございます。
次のスライドなんですけれども、米の内外価格差は一旦消えたんですけれども、その下にスライドがありますように、餌米の補助金を増加して、また内外価格差を開かせてしまったということでございます。
ちょっと飛ばしてもらいまして、十六番のスライドなんですけれども、日本と異なって、アメリカやEUは、直接支払いというやり方で農業を保護する政策に移行しているということでございます。
ちょっと長くなるので、めくっていただいて、二十というスライドに移らせていただきたいと思います。
ここで、手段として、今回の法案の目的が果たして妥当なのかという議論をさせていただきたいと思います。
農水省の資料では、肥料、農薬、飼料の価格が高い理由として、過剰供給構造による低生産性を挙げています。したがって、過剰供給構造ですから、つまり、業者の数が多いから、業者の数を縮小して、事業を再編する必要があるというふうに言っているわけですね。
他方で、農業機械については、寡占による競争力が足りないので価格が高いんだと。したがって、事業者の新規参入を促進して価格を下げる、こういうふうな対策を講ずるべきだというふうに言っているんだと思います。
しかし、論理的に考えて、供給が多いのであれば、資材価格は下がるはずなんです。もし農林省が言っているように、施設が多くて稼働率が低いのでコスト増になるというのであれば、もし、ある企業が稼働率を上げてコストを下げて価格を下げていけば、市場を独占できるわけです。でも、何でそんなことが起きないのかということなんです。つまり、問題はこんなところにあるんじゃないということなんです。
何が問題か。つまり、次のスライドなんですけれども、企業にフルに操業させない、農業資材供給業界に特殊な事情が存在するからだろうというふうに思います。そうでなければ説明がつかないんです。少なくとも経済学の立場からすると、こういう状況というのは説明がつかないわけです。
では、何があるのか。ある程度の独占的な要因がどこかに存在しているということでございます。特に、農協については、資材価格が高ければ高いほど、それに応じて販売手数料収入がパーセントで決まりますから、資材価格が高ければ高いほど、農協の経営にはいいわけです。
実は、農協というのは、歴史をひもとくと、資材価格、肥料商がいて、高く肥料を売りつけられてしまった、したがって、それに対抗するためにつくったのが、農協、この前身の産業組合という組織だったわけです。ところが、年月がたつにつれて、農産物を高く売って農協の販売手数料がふえる、これはいいことです。でも、農産物の資材価格、肥料、農薬、農業機械を高く売れば売るほど農協の経営がよくなる、こういうふうなインセンティブが農協の経営を支配してしまったということでございます。
先ほども申し上げましたように、二十二ページのスライドなんですけれども、より根本的な事情というのは、やはり農政による高価格政策が背景にあるんだというふうに思います。
必要な対策としては、独禁法の厳正な運用による、適用による競争の向上だ。特に、農水省が出している資料によると、末端に行けば行くほど農協のシェアが拡大しているわけですね。つまり、市場独占力が高いわけです。それによって、その高い市場独占力によって、供給業界に対していろいろなアクションをとってくる、コントロールをしていくということがあるんだろうと思います。
それから高価格政策、いつまでこの高価格政策、高い価格で消費者の利益を踏みにじりながら、農業だけが助かる、農業だけじゃなくて、農業に属するある団体のためにこういう政策をやるのか。これは早急に見直すべきだ、欧米がやっているような、価格から直接支払いというふうな対策を講ずるべきだというふうに思います。
さらに申し上げますと、次の二十三ページのスライドですけれども、実は農協は、准組合員制度というのを持っていますから、それ自体では独禁法の適用除外の対象になりません。したがって、農協法第九条というのを設けて、独禁法の適用除外の規定の要件を満たすものとみなす規定を置いているわけです。
だから、もしその農協法の、これは皆さんができることです。農協法九条を廃止するんです。そうすると、農協に独禁法が適用になります。そうすると、公正な市場が形成されるということでございます。それが嫌なら、農協は准組合員を外して、純粋に農業協同組合として生きる道があります。あるいは、今のJAは農業を手放して、地域協同組合として生きる道が残されています。このいずれかの道を選択させるというのが一つの道かなと思います。
それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、ホームセンター、HSというのはホームセンターの誤字で申しわけないんですけれども、ホームセンターより安く農協が売れば農協の手数料を上げてやる、こういうふうなインセンティブ、農協が安く資材を供給できるようなインセンティブを導入すべきだ、そういうものをビルトインすべきだというふうに私は思います。
それから、最後に申し上げますけれども、もう国内のマーケットは、人口減少と高齢化で縮小します。日本農業が生き残る道は輸出です。輸出のためには価格競争力をつけないとだめなことは当然の話なわけです。その面で、今回の競争力強化の法案というのはそういう目的にかなうものだというふうに思います。
それから、輸出というのは、実は金のかからない備蓄なんです。輸出をします。日本は、平時は小麦や牛肉を海外から買います。シーレーンが破壊されて、日本にそういうものを輸出されなくなっていったときに、その輸出している米を食べるんです。つまり、日本で輸出の備蓄をすると物すごく金がかかるわけですね。輸出というのは、金のかからない、ゼロの備蓄政策なんです。
だから、先ほど自給率の話がありましたけれども、フランスの自給率はなぜ一〇〇%を超えているか。自給率というのは、国内で消費する以上のものを生産している、つまり輸出しているからなんです。自給率が一〇〇%を超えるというフランスは、輸出しているから自給率が一〇〇%を超えるんです。
そうした事情をよく考慮していただいて、最後に申し上げたいことは、自由貿易こそが食料安全保障を達成する道であり、政策の手段としては、もういいかげん、減反みたいな誰もが喜ばない政策をやるんじゃなくて、直接支払いに行って、打って出て、農家の所得も確保する、消費者にもメリットがある、構造改革も進む、そうした政策を採用すべきだというふうに思います。
どうも御清聴ありがとうございました。拍手
北
北
武
武部新#11
○武部委員 自由民主党の武部新でございます。
きょうは、丸田参考人、鈴木参考人、小松参考人、山下参考人、大変貴重なお話をありがとうございました。刺激的なお話もありまして、どう質問していこうかなというのが正直ちょっと難しいところはあるんですが。
ただ、丸田参考人も、私より五つもお若いんですけれども、大変しっかりなさって、こういった経営者をしっかりと我々も育てていくと言ったらあれですけれども、つくっていくことが非常に大事だということは共通認識だと思っています。
それから、丸田参考人のお話の中にあって、非常に、大規模だけがもちろん道ではなくて、篤農家の皆さん方、要するに、地域の皆さん方としっかりと協力して農業をやっていくということが大事だというお話がありましたけれども、まさにそのとおりであって、経営能力の高い農業生産者を支援していくのと同時に、その支援する仕組みの中で、農協さんですとか全農さんですとか彼らもその努力をしてもらって、その支えていく一助を担っていただきたいということでこの支援法が私はあると思っております。
そこで、丸田参考人にお聞きしたいんですけれども、経営者として、企業ですから、農業所得というよりも利益を向上していく上で、よいものをつくる、おいしいものをつくるというのはもちろんだと思うんですけれども、その努力はもちろんだと思いますけれども、経営上、生産コストをどう抑えていくか、そのバランスについてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
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ただ、丸田参考人も、私より五つもお若いんですけれども、大変しっかりなさって、こういった経営者をしっかりと我々も育てていくと言ったらあれですけれども、つくっていくことが非常に大事だということは共通認識だと思っています。
それから、丸田参考人のお話の中にあって、非常に、大規模だけがもちろん道ではなくて、篤農家の皆さん方、要するに、地域の皆さん方としっかりと協力して農業をやっていくということが大事だというお話がありましたけれども、まさにそのとおりであって、経営能力の高い農業生産者を支援していくのと同時に、その支援する仕組みの中で、農協さんですとか全農さんですとか彼らもその努力をしてもらって、その支えていく一助を担っていただきたいということでこの支援法が私はあると思っております。
そこで、丸田参考人にお聞きしたいんですけれども、経営者として、企業ですから、農業所得というよりも利益を向上していく上で、よいものをつくる、おいしいものをつくるというのはもちろんだと思うんですけれども、その努力はもちろんだと思いますけれども、経営上、生産コストをどう抑えていくか、そのバランスについてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
丸
丸田洋#12
○丸田参考人 それでは、まず初めに、おいしいものをつくるというところなんですが、弊社としましては、おいしいものという基準は非常に難しいとまず考えています。
例えば、今、一般的に、皆さん、おいしいお米と聞いたときに、多分、白いお米に梅干しとめんたいことかそういうので食べることを考えられると思いますが、では、果たしてそのお米が本当におすしに合うかとかカレーに合うかというと、その時点でなかなか難しいものになります。つまり、おいしいというのは用途によって全て変わってくることになりますので、一概に、おいしいということだけで何に合うのかというのは、僕らは非常に難しいというふうに考えています。
ですから、そうすると、まず、お客様に合ったものを提供するというところで話が進んでいって、その中で、では、そこに対するアプローチとして生産コストをどう下げるのかというふうな形の段取りになっていくのかなと思っています。
生産コストを下げるところは、先ほど申し上げたように、僕らは作期分散をしていかに減価償却費を下げるかというところがポイントだと思っているんですが、これはすごくバランスがどうかと言われると、非常に僕らとしては、本当に五分五分みたいな形で、おいしいものを、客先に合うものを御提案させていただくと同時に、それを作期の中でどこにはまるのかということを考えて、品種を先ほど申し上げたようなデータベースから選んできてつくりますので、そういったのがもう両輪としてやはり会社の中で動くような形になっているかなというふうに思っています。
ですから、生産コストだけを追求すればおいしいものができるわけでもないですし、おいしいものをつくるからといって生産コストが上がるわけでもなくて、それはやはり両方をちゃんと見ながら、僕らとしては本当に五分五分というような形で考えていく形になるのかなというふうに思っています。
ただ、最後に申し上げたいのは、生産コストがどんと上がるということは僕らも絶対したくないことなので、そうすると販路は見つかりませんから、やはり生産コストを圧縮する前提の上で全てのことを考えていくというようなことになるのはもう間違いないことかなというふうには思います。
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ですから、そうすると、まず、お客様に合ったものを提供するというところで話が進んでいって、その中で、では、そこに対するアプローチとして生産コストをどう下げるのかというふうな形の段取りになっていくのかなと思っています。
生産コストを下げるところは、先ほど申し上げたように、僕らは作期分散をしていかに減価償却費を下げるかというところがポイントだと思っているんですが、これはすごくバランスがどうかと言われると、非常に僕らとしては、本当に五分五分みたいな形で、おいしいものを、客先に合うものを御提案させていただくと同時に、それを作期の中でどこにはまるのかということを考えて、品種を先ほど申し上げたようなデータベースから選んできてつくりますので、そういったのがもう両輪としてやはり会社の中で動くような形になっているかなというふうに思っています。
ですから、生産コストだけを追求すればおいしいものができるわけでもないですし、おいしいものをつくるからといって生産コストが上がるわけでもなくて、それはやはり両方をちゃんと見ながら、僕らとしては本当に五分五分というような形で考えていく形になるのかなというふうに思っています。
ただ、最後に申し上げたいのは、生産コストがどんと上がるということは僕らも絶対したくないことなので、そうすると販路は見つかりませんから、やはり生産コストを圧縮する前提の上で全てのことを考えていくというようなことになるのはもう間違いないことかなというふうには思います。
武
武部新#13
○武部委員 ありがとうございます。
手をかけて、コストをかけて、自分のやりたい農業でやっていくということも非常に大事なことでもあるんですけれども、今、丸田参考人のお話のとおり、求められるものにどうやって応えていくかという中で、それに合わせた営農で農作物をつくっていくということだと思うんです。
丸田参考人は、自分で販路も持っていらっしゃって、最初、農協が委託してくれるのを知らなかったというお話があったんですけれども、自分で販路を持っているメリット、強みというのはすごくあると思うんですよ、先ほどもお話をされていましたけれども。
しかし、我々は、マーケットインをした農業経営をしてもらいたいということもこの中に入っていまして、ですから、なるべくコストを抑えて、有利な販売、有利な条件というのは一体どういう条件だという先生方の話もありましたけれども、しかし、自分たちでどういったものを選んで、肥料もいろいろなものを選びながら、求められるものをつくっていくということは、すごく大事な感覚だと思うんですね、経営感覚だと思うんです。
それは、ある意味、販路を持っていないとできないことなのか。それとも、今お話の中で、輸出については全農の協力をもらいながらなさるというお話でしたけれども、役割分担があって、全農はグローバルで、それから単協、地域農協は中小規模の農業をしっかりと支えてというお話もありました。
このマーケットインの感覚というのは、丸田さんから見ると、全農とか農協とかに期待する部分というのはどういうところにありますか。むしろ、それは全農でないと、非常に販路も持っている組織をどう生産者が利用すべきと考えられますか、丸田参考人。
この発言だけを見る →手をかけて、コストをかけて、自分のやりたい農業でやっていくということも非常に大事なことでもあるんですけれども、今、丸田参考人のお話のとおり、求められるものにどうやって応えていくかという中で、それに合わせた営農で農作物をつくっていくということだと思うんです。
丸田参考人は、自分で販路も持っていらっしゃって、最初、農協が委託してくれるのを知らなかったというお話があったんですけれども、自分で販路を持っているメリット、強みというのはすごくあると思うんですよ、先ほどもお話をされていましたけれども。
しかし、我々は、マーケットインをした農業経営をしてもらいたいということもこの中に入っていまして、ですから、なるべくコストを抑えて、有利な販売、有利な条件というのは一体どういう条件だという先生方の話もありましたけれども、しかし、自分たちでどういったものを選んで、肥料もいろいろなものを選びながら、求められるものをつくっていくということは、すごく大事な感覚だと思うんですね、経営感覚だと思うんです。
それは、ある意味、販路を持っていないとできないことなのか。それとも、今お話の中で、輸出については全農の協力をもらいながらなさるというお話でしたけれども、役割分担があって、全農はグローバルで、それから単協、地域農協は中小規模の農業をしっかりと支えてというお話もありました。
このマーケットインの感覚というのは、丸田さんから見ると、全農とか農協とかに期待する部分というのはどういうところにありますか。むしろ、それは全農でないと、非常に販路も持っている組織をどう生産者が利用すべきと考えられますか、丸田参考人。
丸
丸田洋#14
○丸田参考人 やはり系統組織というのは量がありますので、そういった面では、求められるものをつくるというのは非常にあるのかなと思います。
ですから、僕らは、ある程度もう規模が大きくなっていて販売会社も持っていますので、数万俵というお米を取り扱わせていただくので、そういった面では、考え方としては、いわゆる系統組織と僕らというのはそんなに大きく多分変わらないのではなかろうかというふうには思っています。
ですから、僕らがいいとか系統がいいとかというのではなくて、結局は、やはり求められているものをどのようにしてつくっていくのか、それを生産者がつくるのか。結局、幾ら系統さんがこういうのをつくってほしいと言っても、生産者がちゃんとつくるということを判断しない限りはふえませんので、そういったことを考えると、系統もやはりそういった手段だと思いますし、僕らみたいな商系も一つの手段であるというふうには思います。
この発言だけを見る →ですから、僕らは、ある程度もう規模が大きくなっていて販売会社も持っていますので、数万俵というお米を取り扱わせていただくので、そういった面では、考え方としては、いわゆる系統組織と僕らというのはそんなに大きく多分変わらないのではなかろうかというふうには思っています。
ですから、僕らがいいとか系統がいいとかというのではなくて、結局は、やはり求められているものをどのようにしてつくっていくのか、それを生産者がつくるのか。結局、幾ら系統さんがこういうのをつくってほしいと言っても、生産者がちゃんとつくるということを判断しない限りはふえませんので、そういったことを考えると、系統もやはりそういった手段だと思いますし、僕らみたいな商系も一つの手段であるというふうには思います。
武
武部新#15
○武部委員 ありがとうございます。
数日前にちょっとある監査法人さんとお話ししたことがありまして、アグリビジネスを展開されています。農協さんに行かれたり、あるいは中央会さんともおつき合いをされているんですけれども、何をされているかというと、監査法人なので、農協改革の中で会計士監査の部分なのかなと思ったら、そこではなくて、内部管理の強化ですとか、あるいは販路の拡大ですとか、さらに言うと、地域営農の強化までコンサルをしているという話を聞いたんです。
これは僕はいいことだと思います。私の地元北海道は、非常に営農指導もしっかりやっているし、購買事業も販売事業もすごく一生懸命やっているんですけれども、いわゆる農協改革の中で、第三者の意見を取り入れながら、地域の営農指導まで、少し足りなかった部分を第三者の目を入れていろいろと話をしようということを各地でやり始めているんです。そういう話を聞きました。それには、もちろん地域と農協としっかりと一緒になってやるということも大事だし、中央会組織、県中央会組織ともしっかり連絡をとり合ってやっているという話がありました。
鈴木先生にお聞きしたいんですけれども、農協改革についてはかなり厳しい御意見をお持ちのところがあると思うんですが、そういったような動き、農協が自主改革で進めていこうというような動きについて、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →数日前にちょっとある監査法人さんとお話ししたことがありまして、アグリビジネスを展開されています。農協さんに行かれたり、あるいは中央会さんともおつき合いをされているんですけれども、何をされているかというと、監査法人なので、農協改革の中で会計士監査の部分なのかなと思ったら、そこではなくて、内部管理の強化ですとか、あるいは販路の拡大ですとか、さらに言うと、地域営農の強化までコンサルをしているという話を聞いたんです。
これは僕はいいことだと思います。私の地元北海道は、非常に営農指導もしっかりやっているし、購買事業も販売事業もすごく一生懸命やっているんですけれども、いわゆる農協改革の中で、第三者の意見を取り入れながら、地域の営農指導まで、少し足りなかった部分を第三者の目を入れていろいろと話をしようということを各地でやり始めているんです。そういう話を聞きました。それには、もちろん地域と農協としっかりと一緒になってやるということも大事だし、中央会組織、県中央会組織ともしっかり連絡をとり合ってやっているという話がありました。
鈴木先生にお聞きしたいんですけれども、農協改革についてはかなり厳しい御意見をお持ちのところがあると思うんですが、そういったような動き、農協が自主改革で進めていこうというような動きについて、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
鈴
鈴木宣弘#16
○鈴木参考人 貴重な御指摘ありがとうございます。
農協組織が自己改革として営農指導にさらに積極的に取り組む、そのほか、農家組合員あるいは地域の皆さんから農協に寄せられているいろいろな御不満、御批判に対して、しっかりと真摯に受けとめて徹底的に改善していくという必要性は非常に高い。そのために、たくさんの農協はもう既に一生懸命努力している。そういう意味での自己改革を徹底することは、今、間違いなく不可欠であり、求められており、一生懸命みんなもやっておるというふうに私も理解しております。
その一方で、そういうふうな農協の取り組みを強化するんだというふうな名目、あるいは農業所得を向上するんだという名目のもとで、農協の一番の重要な役割である、個々の農家の力が弱い者を結集し、共販し、あるいは資材を共同購入する、これは、ある意味、独占を許容するものなわけですよね。一方の大きな買い手や売り手に対して、農家の皆さんが力が弱いから、農協というものに結集して、独占を許可し、それによって拮抗力を持つということが世界の原則なわけです。
そのことに対して、それが不当な競争条件を招いているから農協を解体すべきであるというふうな議論は、全くこれは農業所得の向上とか農業の振興には逆行することであって、そういうふうな形での改革というものは、これはやはりおかしいということをしっかりと一方では主張していく、こういう二面性があるというふうに私は思っております。
この発言だけを見る →農協組織が自己改革として営農指導にさらに積極的に取り組む、そのほか、農家組合員あるいは地域の皆さんから農協に寄せられているいろいろな御不満、御批判に対して、しっかりと真摯に受けとめて徹底的に改善していくという必要性は非常に高い。そのために、たくさんの農協はもう既に一生懸命努力している。そういう意味での自己改革を徹底することは、今、間違いなく不可欠であり、求められており、一生懸命みんなもやっておるというふうに私も理解しております。
その一方で、そういうふうな農協の取り組みを強化するんだというふうな名目、あるいは農業所得を向上するんだという名目のもとで、農協の一番の重要な役割である、個々の農家の力が弱い者を結集し、共販し、あるいは資材を共同購入する、これは、ある意味、独占を許容するものなわけですよね。一方の大きな買い手や売り手に対して、農家の皆さんが力が弱いから、農協というものに結集して、独占を許可し、それによって拮抗力を持つということが世界の原則なわけです。
そのことに対して、それが不当な競争条件を招いているから農協を解体すべきであるというふうな議論は、全くこれは農業所得の向上とか農業の振興には逆行することであって、そういうふうな形での改革というものは、これはやはりおかしいということをしっかりと一方では主張していく、こういう二面性があるというふうに私は思っております。
武
武部新#17
○武部委員 丸田参考人が、今、鈴木先生の前にお話しされたとおりでありますし、鈴木先生のおっしゃっているとおりでもあるんですけれども、農協にも、やはり選ばれる農協になってもらわなきゃいけないんだと思います。農協の持っているパワーもありますから、バイイングパワーもありますから、それを使えるところは丸田参考人も使っていくべきであるし、お話の中にもありましたけれども、中小規模の、まさに鈴木先生がおっしゃっているような、弱い立場の皆さん方をちゃんとフォローしていくということの機能というのは重要でありますし、その上で、今回の法律の中でも、選んでもらえるようにその努力をしてくれということを、我々は全農さんにもプログラムの中でもお話をして、了解をとって、改革を進めましょうというような話をしています。
そういった意味では、まさに、農家の皆さん方が届かないところの構造改革ですとか、経営努力だけではできないところをしっかりと、構造改革もそうですし新規参入もそうなんですけれども、そういうことができる環境をつくっていくというのが今回の法律でして、それに対して丸田さんも大変期待をしているということを表明していただきました。
もう一つ大事なことが、ちょっとなるほどなと思って聞いていたんですけれども、丸田参考人が、品種、しっかりと農作業を分散させて、平準化させて、そしてうまく農地を、今でも百町歩以上やっているんですから大規模ですけれども、その限られた農地の中をうまく使って所得を上げていくというお話。これは僕の地元もそうでして、基本、畑作三品なんですけれども、あいている時間というのは必ずあるんですよね。そのあいている時間に何を植えてもうけるかということは、それぞれ農家のすごい工夫をしているところだと思うんですよ。
いろいろな意味で単一じゃなくて複合的な経営を進めていくというのは、米作農家もそうだと思うんですけれども、米の中でもいろいろな、早い遅いというのも入れてやるということは非常に大事なことであって、こういうことについて、たしか山下先生も、工業にはならないけれども、しかし平準化をどんどん進めていくことが大事だというようなお話を私は読んだことがあるんですけれども、その点について、もうちょっと詳しく、実際やっていらっしゃる丸田参考人と、そして山下参考人も御意見があればちょっとお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →そういった意味では、まさに、農家の皆さん方が届かないところの構造改革ですとか、経営努力だけではできないところをしっかりと、構造改革もそうですし新規参入もそうなんですけれども、そういうことができる環境をつくっていくというのが今回の法律でして、それに対して丸田さんも大変期待をしているということを表明していただきました。
もう一つ大事なことが、ちょっとなるほどなと思って聞いていたんですけれども、丸田参考人が、品種、しっかりと農作業を分散させて、平準化させて、そしてうまく農地を、今でも百町歩以上やっているんですから大規模ですけれども、その限られた農地の中をうまく使って所得を上げていくというお話。これは僕の地元もそうでして、基本、畑作三品なんですけれども、あいている時間というのは必ずあるんですよね。そのあいている時間に何を植えてもうけるかということは、それぞれ農家のすごい工夫をしているところだと思うんですよ。
いろいろな意味で単一じゃなくて複合的な経営を進めていくというのは、米作農家もそうだと思うんですけれども、米の中でもいろいろな、早い遅いというのも入れてやるということは非常に大事なことであって、こういうことについて、たしか山下先生も、工業にはならないけれども、しかし平準化をどんどん進めていくことが大事だというようなお話を私は読んだことがあるんですけれども、その点について、もうちょっと詳しく、実際やっていらっしゃる丸田参考人と、そして山下参考人も御意見があればちょっとお伺いしたいと思います。
丸
丸田洋#18
○丸田参考人 やはり作期分散をしていかないと機械の稼働率が全然上がりませんので、そういった面では、非常に僕らとしてはもったいないと思っています。
例えばコンバイン一台、僕らが使用するような六条の百二十馬力、キャビン付の機械になると、定価で一千七百万とかします。普通の農家さんが、では、二週間ぐらい使います、七年償却で、七年掛けますと、約百日使うと考えた場合、単純に一日当たり十七万円になります。一日十七万円を使う作業機械ってほかにあるのかと言われると、多分ないんですよね。なので僕らは、そんな投資、農外参入、新規就農だったので、まず現金が用意できないですから、いかにそれを圧縮するかということを考えました。
そうすると、僕らは、八月末から九月、十月というところで、実際には約八十日間の稲刈り期間を設けて、晴天率が七割とすると六十日ぐらいです。六十日を七年で考えれば、四百二十日で一千七百万を割ればいいわけですから、約四万二千円から三千円ぐらいまで下がる。ということを考えれば、単純に四分の一ぐらいにコストが下がるわけですよね。僕らとしては、いかにそれをするかということを考えていかないといかぬのだろうと思います。
ただ、これは単純に、では農業機械を下げないでいいじゃないかということになると思うんですが、それでもやはり減価償却費はすごく重い負担になるので、僕らはさらに圧縮しなきゃいけないですし、こういったことをすると、今度は一年当たりに使う期間がどんどん長くなるので、今の農業機械の耐久性だと全然足らなくなる場合が出てくる。
そうすると、より耐久性があってということをやはり僕らとしてはより求めなければいけなくなってくるので、そこはぜひメーカーさんにも考えていただきたいですし、僕らがいかにそれを一農家として言ったところで、先ほど申し上げたような、バイイングパワーがあるわけではありませんので、こういった構造が変えられるような形での法案の中でそこを環境整備していただければ、より早く、生産者の大規模化が起きていくのはもう明確なので、そういったことにではメーカーさん変わってくださいと僕らが言い続けるよりもねじを巻くことができると思いますので、そういった面で、非常にこういった法案というのは僕らは必要なんだろうというふうに思っています。
この発言だけを見る →例えばコンバイン一台、僕らが使用するような六条の百二十馬力、キャビン付の機械になると、定価で一千七百万とかします。普通の農家さんが、では、二週間ぐらい使います、七年償却で、七年掛けますと、約百日使うと考えた場合、単純に一日当たり十七万円になります。一日十七万円を使う作業機械ってほかにあるのかと言われると、多分ないんですよね。なので僕らは、そんな投資、農外参入、新規就農だったので、まず現金が用意できないですから、いかにそれを圧縮するかということを考えました。
そうすると、僕らは、八月末から九月、十月というところで、実際には約八十日間の稲刈り期間を設けて、晴天率が七割とすると六十日ぐらいです。六十日を七年で考えれば、四百二十日で一千七百万を割ればいいわけですから、約四万二千円から三千円ぐらいまで下がる。ということを考えれば、単純に四分の一ぐらいにコストが下がるわけですよね。僕らとしては、いかにそれをするかということを考えていかないといかぬのだろうと思います。
ただ、これは単純に、では農業機械を下げないでいいじゃないかということになると思うんですが、それでもやはり減価償却費はすごく重い負担になるので、僕らはさらに圧縮しなきゃいけないですし、こういったことをすると、今度は一年当たりに使う期間がどんどん長くなるので、今の農業機械の耐久性だと全然足らなくなる場合が出てくる。
そうすると、より耐久性があってということをやはり僕らとしてはより求めなければいけなくなってくるので、そこはぜひメーカーさんにも考えていただきたいですし、僕らがいかにそれを一農家として言ったところで、先ほど申し上げたような、バイイングパワーがあるわけではありませんので、こういった構造が変えられるような形での法案の中でそこを環境整備していただければ、より早く、生産者の大規模化が起きていくのはもう明確なので、そういったことにではメーカーさん変わってくださいと僕らが言い続けるよりもねじを巻くことができると思いますので、そういった面で、非常にこういった法案というのは僕らは必要なんだろうというふうに思っています。
山
山下一仁#19
○山下参考人 どうも、私の本を読んでいただきまして、ありがとうございます。
農業と工業の違いは、農業の場合は、自然それから動植物を相手にするということですね。だから、稲作でいえば、田植えの期間それから稲刈りの期間、これに物すごく労働が集中するわけですね。
例えば北海道でいえば、十ヘクタール規模の、都府県でいえば大規模な経営があるんですけれども、冬が迫りますから、どうしても田植えの期間を十日間とか二週間ぐらいしかとれないわけですね。したがって、夫婦二人でやろうとすると十ヘクタールぐらいが限度で、人を雇って、パートを雇ってやっと二十ヘクタールぐらいが今の北海道の稲作経営の実態だと思うんです。
ところが、中国地方の中山間地域、山間地域で、夫婦二人で二十ヘクタールやっている経営があるんです。それはなぜかというと、標高差がありますから、段々に田植えをしていくわけです。しかもいろいろな、わせ、なかて、おくてというのを組み合わせていけば、もうほとんど、三月ぐらいから十二月まで田んぼにいることができるわけです。つまり、作業を平準化する、そういうことによって、夫婦二人で二十ヘクタールの規模をできるわけですね。
冬場は何をしているかというと、それぐらいの大きな規模であると、ミニ農協ぐらいの米の生産があるわけですね。それを、冬場はマーケティングをやっているわけです。スーパーに直接やっている。
それから、丸田さんの例なんですけれども、大分とか山口とか、そういう農家と連携して、機械なんかも一緒に使おうという運動があります。実は、ドールという会社が、九州から北海道まで七つの農場で農業を展開しています。ブロッコリーをつくっているんですけれども、作期がずれますから、どんどんどんどん人を移動させることによって労働者も活用して、機械も物すごく償却コストも下げる、こういうふうな経営があるので、そういう意味では、日本は極めて恵まれた国だと、コストをもっともっと下げられるというふうな条件があるんだろうというふうに思います。
この発言だけを見る →農業と工業の違いは、農業の場合は、自然それから動植物を相手にするということですね。だから、稲作でいえば、田植えの期間それから稲刈りの期間、これに物すごく労働が集中するわけですね。
例えば北海道でいえば、十ヘクタール規模の、都府県でいえば大規模な経営があるんですけれども、冬が迫りますから、どうしても田植えの期間を十日間とか二週間ぐらいしかとれないわけですね。したがって、夫婦二人でやろうとすると十ヘクタールぐらいが限度で、人を雇って、パートを雇ってやっと二十ヘクタールぐらいが今の北海道の稲作経営の実態だと思うんです。
ところが、中国地方の中山間地域、山間地域で、夫婦二人で二十ヘクタールやっている経営があるんです。それはなぜかというと、標高差がありますから、段々に田植えをしていくわけです。しかもいろいろな、わせ、なかて、おくてというのを組み合わせていけば、もうほとんど、三月ぐらいから十二月まで田んぼにいることができるわけです。つまり、作業を平準化する、そういうことによって、夫婦二人で二十ヘクタールの規模をできるわけですね。
冬場は何をしているかというと、それぐらいの大きな規模であると、ミニ農協ぐらいの米の生産があるわけですね。それを、冬場はマーケティングをやっているわけです。スーパーに直接やっている。
それから、丸田さんの例なんですけれども、大分とか山口とか、そういう農家と連携して、機械なんかも一緒に使おうという運動があります。実は、ドールという会社が、九州から北海道まで七つの農場で農業を展開しています。ブロッコリーをつくっているんですけれども、作期がずれますから、どんどんどんどん人を移動させることによって労働者も活用して、機械も物すごく償却コストも下げる、こういうふうな経営があるので、そういう意味では、日本は極めて恵まれた国だと、コストをもっともっと下げられるというふうな条件があるんだろうというふうに思います。
武
武部新#20
○武部委員 ありがとうございます。
山下参考人も、家族経営でもいろいろと知恵や工夫をすれば十分コストを下げてやっていけるというお話だったと聞きました。
それで、もう時間が来るんですけれども、最後に、丸田参考人、GAP、団体の取得第一号で、今指導員もやられていらっしゃるんですね。今、我々も規格・認証の議論をしています。簡単で結構なので、GAP取得のメリットを、感じたところがあればお話ししていただきたいと思いますし、恐らく社員さんなんかに、GAPの生産工程管理なんかをする上で、社員教育なんかにもメリットがあるんじゃないかなと思うんですけれども。
この発言だけを見る →山下参考人も、家族経営でもいろいろと知恵や工夫をすれば十分コストを下げてやっていけるというお話だったと聞きました。
それで、もう時間が来るんですけれども、最後に、丸田参考人、GAP、団体の取得第一号で、今指導員もやられていらっしゃるんですね。今、我々も規格・認証の議論をしています。簡単で結構なので、GAP取得のメリットを、感じたところがあればお話ししていただきたいと思いますし、恐らく社員さんなんかに、GAPの生産工程管理なんかをする上で、社員教育なんかにもメリットがあるんじゃないかなと思うんですけれども。
丸
丸田洋#21
○丸田参考人 まさかGAPの話が出るとは思っていなかったので、全然答えを用意していなかったんですが。
実は、かれこれ十年近くやっておりますので、そういった中で、弊社にとってはGAPというのは社内のルールをつくるための道具というような位置づけになっています。ですから、うちの従業員さんにGAPのことを聞いても彼らは答えられないと思います。というのも、社内でもマニュアルがあったりルールづくりがされていたり、そこのための道具としてGAPを活用しているからという形なので、会社のルールに従っていれば、いつの間にかもうGAPができているというような形になると思います。
僕らは、やはり農場にとってGAPというものは農産物の安全性を担保するものとして最低限の重要なものであるというふうに考えています。例えば、自動車メーカーさんが車を売るときに一番重要なのは多分その安全であって、ブレーキがきくということによって乗る方々の安全を守ることが最優先だと思うんですが、僕ら農産物、食べ物をつくっている者として一番重要なのは、その農産物の安全という部分です。ですから、もし、そこのところを、GAPが面倒くさいとかというような農業者の人たちがいるのであれば、彼らは経営者としてその農産物の安全を担保する気があるのかないのかというところを、まず彼らは自分自身に問うべきだというふうに僕は強く感じています。
ですから、そこのところができて初めて、本当はその上でマーケティングがあって、おいしいものをつくるというところになるはずなのであるので、なので、そこのところで、先ほど、本法案でもある努力項目というものが農業者にもし求められるのであれば、そういったところも含めた形で、農業者自身がより成長しなければ、考え方自身も成長しなければいけないんだろうというふうに思っています。
ですから、僕らはその安全性が担保できるような仕組みを持っていることで、例えば外食の方であったり商社の方であったりという方たちとお話しさせていただけるようになりますので、結果として、僕らとしては販路を得るような形になる。
今回の場合は、オリンピックとかがあれば、よりそれが明確に見えているのであれば、生産者の方々は、自社の中でもプラスになるし販路でもプラスになるというふうに、もうそれが明確でありますので、これは取り組む以外のものは僕はないんじゃないかなというふうには思っています。
この発言だけを見る →実は、かれこれ十年近くやっておりますので、そういった中で、弊社にとってはGAPというのは社内のルールをつくるための道具というような位置づけになっています。ですから、うちの従業員さんにGAPのことを聞いても彼らは答えられないと思います。というのも、社内でもマニュアルがあったりルールづくりがされていたり、そこのための道具としてGAPを活用しているからという形なので、会社のルールに従っていれば、いつの間にかもうGAPができているというような形になると思います。
僕らは、やはり農場にとってGAPというものは農産物の安全性を担保するものとして最低限の重要なものであるというふうに考えています。例えば、自動車メーカーさんが車を売るときに一番重要なのは多分その安全であって、ブレーキがきくということによって乗る方々の安全を守ることが最優先だと思うんですが、僕ら農産物、食べ物をつくっている者として一番重要なのは、その農産物の安全という部分です。ですから、もし、そこのところを、GAPが面倒くさいとかというような農業者の人たちがいるのであれば、彼らは経営者としてその農産物の安全を担保する気があるのかないのかというところを、まず彼らは自分自身に問うべきだというふうに僕は強く感じています。
ですから、そこのところができて初めて、本当はその上でマーケティングがあって、おいしいものをつくるというところになるはずなのであるので、なので、そこのところで、先ほど、本法案でもある努力項目というものが農業者にもし求められるのであれば、そういったところも含めた形で、農業者自身がより成長しなければ、考え方自身も成長しなければいけないんだろうというふうに思っています。
ですから、僕らはその安全性が担保できるような仕組みを持っていることで、例えば外食の方であったり商社の方であったりという方たちとお話しさせていただけるようになりますので、結果として、僕らとしては販路を得るような形になる。
今回の場合は、オリンピックとかがあれば、よりそれが明確に見えているのであれば、生産者の方々は、自社の中でもプラスになるし販路でもプラスになるというふうに、もうそれが明確でありますので、これは取り組む以外のものは僕はないんじゃないかなというふうには思っています。
武
北
中
中川康洋#24
○中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。
きょうは、参考人の質疑ということで、参考人の先生方、本当に貴重な時間をいただきまして、大変にありがとうございます。主に、現場の思い、感覚からのところを中心に御質問をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
初めに、人材の育成について、丸田参考人にお伺いをしたいと思います。
丸田参考人は、二〇一五年の四月に開催された産業競争力会議の場で、御社を紹介しているパワーポイントの資料などにおいて、人材育成の仕組みの必要性について何度か触れられております。拝見をさせていただきました。
例えば、御社を紹介するパワポの中で、継続して取り組むべき課題の一つに、「人財」育成と。このジンザイのザイは、いわゆる財産の財という字をお書きいただいていますけれども、具体的には、「経営者がほとんどいない今、人財育成がされていることはまれ。」である、このため、農業生産法人の従業員を対象に、社会人基礎力をベースとした育成の仕組みを行政が提供し、次世代のミドルマネジメント層、そしてトップマネジメント層を育成することが将来的にも短期的にも急務と考えるというふうにお書きをいただいております。
実は、今回、政府が決定した農業競争力強化プログラム、この中にも人材力の強化というところがございまして、具体的には、農業教育システムの推進とか、就職先としての農業法人などの育成、さらには次世代人材への投資、こういったものが掲げられているわけですが、これらの取り組みは、基本的には、丸田参考人の人材育成のお考えと私は軌を一にするのではないかなというふうにも思っております。
それで、今回改めてお伺いをしたいのは、これからの農政における人材育成の必要性、さらには、今回、この農業競争力強化プログラムに人材力強化というものが入っているところに対しての感想などをまずお聞かせ願いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
この発言だけを見る →きょうは、参考人の質疑ということで、参考人の先生方、本当に貴重な時間をいただきまして、大変にありがとうございます。主に、現場の思い、感覚からのところを中心に御質問をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
初めに、人材の育成について、丸田参考人にお伺いをしたいと思います。
丸田参考人は、二〇一五年の四月に開催された産業競争力会議の場で、御社を紹介しているパワーポイントの資料などにおいて、人材育成の仕組みの必要性について何度か触れられております。拝見をさせていただきました。
例えば、御社を紹介するパワポの中で、継続して取り組むべき課題の一つに、「人財」育成と。このジンザイのザイは、いわゆる財産の財という字をお書きいただいていますけれども、具体的には、「経営者がほとんどいない今、人財育成がされていることはまれ。」である、このため、農業生産法人の従業員を対象に、社会人基礎力をベースとした育成の仕組みを行政が提供し、次世代のミドルマネジメント層、そしてトップマネジメント層を育成することが将来的にも短期的にも急務と考えるというふうにお書きをいただいております。
実は、今回、政府が決定した農業競争力強化プログラム、この中にも人材力の強化というところがございまして、具体的には、農業教育システムの推進とか、就職先としての農業法人などの育成、さらには次世代人材への投資、こういったものが掲げられているわけですが、これらの取り組みは、基本的には、丸田参考人の人材育成のお考えと私は軌を一にするのではないかなというふうにも思っております。
それで、今回改めてお伺いをしたいのは、これからの農政における人材育成の必要性、さらには、今回、この農業競争力強化プログラムに人材力強化というものが入っているところに対しての感想などをまずお聞かせ願いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
丸
丸田洋#25
○丸田参考人 一言で言ってしまえば、非常に期待をしているというところだと思います。
先ほどから申し上げているように、大規模化が進んでいくと、やはり経営の仕方ということをきちんと考えていかないと非常に難しくなってくるだろうというふうに思っています。
大体、例えば四十ヘクタール、六十ヘクタールぐらいまでだとある程度勢いでいける部分はあると思うんですが、自身、百ヘクタールをやってみたときに、全く違うマネジメントがやはり必要になってきます。それは、やはり金融機関に対してもそうですし、事業計画をつくるとかというところに関してもそうです。
そういったところを自分自身が経験していく中で、やはりそういったことを学ぶ場があるということは非常に今後も重要だろうと思いますし、そういった人材を、今後、一つの企業という組織の中で考えていった場合に、一般企業であれば、二十年、三十年のスパンの中で、きちんとした育成プランがあった中で普通は一般的にはやられていきますが、農業の場では余りそういったことが今まで語られることがなかったので、どうしても、今後そういった企業的な部分が出てくるのであれば、それに対する何らかの準備ということは必要だろうと思いますし、そういった面で、この人材力の強化ということがあることには非常に期待をしているというふうに申し上げます。
この発言だけを見る →先ほどから申し上げているように、大規模化が進んでいくと、やはり経営の仕方ということをきちんと考えていかないと非常に難しくなってくるだろうというふうに思っています。
大体、例えば四十ヘクタール、六十ヘクタールぐらいまでだとある程度勢いでいける部分はあると思うんですが、自身、百ヘクタールをやってみたときに、全く違うマネジメントがやはり必要になってきます。それは、やはり金融機関に対してもそうですし、事業計画をつくるとかというところに関してもそうです。
そういったところを自分自身が経験していく中で、やはりそういったことを学ぶ場があるということは非常に今後も重要だろうと思いますし、そういった人材を、今後、一つの企業という組織の中で考えていった場合に、一般企業であれば、二十年、三十年のスパンの中で、きちんとした育成プランがあった中で普通は一般的にはやられていきますが、農業の場では余りそういったことが今まで語られることがなかったので、どうしても、今後そういった企業的な部分が出てくるのであれば、それに対する何らかの準備ということは必要だろうと思いますし、そういった面で、この人材力の強化ということがあることには非常に期待をしているというふうに申し上げます。
中
中川康洋#26
○中川(康)委員 ありがとうございました。
資料を読ませていただいて、人材力とか人材の育成という部分で、現場の人材力だけをおっしゃる方というのは結構今までいたと思うんですけれども、しかし、丸田参考人の場合は、基礎力は当然育成しながら、その後のミドルマネジメント層、さらにはトップマネジメント層という、こういった認識までお持ちになりながら、そこをやはり行政も一緒になって育成をしていってもらいたいと。これは今回のプログラムの中のいわゆる人材力の育成に私は非常に合致しているんじゃないかなというふうに感じたものですから、現場の思いというか課題も含めて、いろいろな思いをお持ちになっていると思いましたので、そのところをお伺いさせていただいたわけでございます。
次に、二点目に、既に御意見の中にも出ていましたが、今後の米の輸出の可能性について、丸田参考人並びに山下参考人にも御意見をお伺いしたいと思います。
現在、政府は、平成二十八年五月に決めました農林水産業の輸出力強化戦略、これに従いまして、二〇一九年までに一兆円の目標で輸出額を伸ばしていこうということを頑張っているわけであります。この品目の中には当然米も入っておりまして、その輸出の目標額は、米の加工品も合わせてではありますけれども、六百億円ということを掲げているわけでございます。
丸田参考人は、先ほども申し上げましたこの産業競争力会議の場で、米の輸出について、将来的には輸出を考えている、しかし私はコシヒカリを輸出するのが一番だとは全く思っていない、現地の方々が食べたいものをつくる、要はマーケットインの体制をつくる、このことが大事なんだということをおっしゃっていただいておりまして、現在、先ほどもお話がありましたが、JA全農と組んで、東南アジアなどへの輸出、これを始めているというお話をいただいております。
また、山下参考人も、先ほどもお話がありましたが、私、読ませていただいた資料の、昨年十二月の商工ジャーナルへの寄稿、「農業改革の新展開」の中で、輸出可能性のある国産農産物は何か、それは米なのだと明言をされているわけであります。
ですから、ここでは両参考人に、今後の我が国における米の輸出の可能性並びにその戦略、既に一部お答えいただいたところもありますが、改めてここのところをお聞かせ願いたいと思います。
この発言だけを見る →資料を読ませていただいて、人材力とか人材の育成という部分で、現場の人材力だけをおっしゃる方というのは結構今までいたと思うんですけれども、しかし、丸田参考人の場合は、基礎力は当然育成しながら、その後のミドルマネジメント層、さらにはトップマネジメント層という、こういった認識までお持ちになりながら、そこをやはり行政も一緒になって育成をしていってもらいたいと。これは今回のプログラムの中のいわゆる人材力の育成に私は非常に合致しているんじゃないかなというふうに感じたものですから、現場の思いというか課題も含めて、いろいろな思いをお持ちになっていると思いましたので、そのところをお伺いさせていただいたわけでございます。
次に、二点目に、既に御意見の中にも出ていましたが、今後の米の輸出の可能性について、丸田参考人並びに山下参考人にも御意見をお伺いしたいと思います。
現在、政府は、平成二十八年五月に決めました農林水産業の輸出力強化戦略、これに従いまして、二〇一九年までに一兆円の目標で輸出額を伸ばしていこうということを頑張っているわけであります。この品目の中には当然米も入っておりまして、その輸出の目標額は、米の加工品も合わせてではありますけれども、六百億円ということを掲げているわけでございます。
丸田参考人は、先ほども申し上げましたこの産業競争力会議の場で、米の輸出について、将来的には輸出を考えている、しかし私はコシヒカリを輸出するのが一番だとは全く思っていない、現地の方々が食べたいものをつくる、要はマーケットインの体制をつくる、このことが大事なんだということをおっしゃっていただいておりまして、現在、先ほどもお話がありましたが、JA全農と組んで、東南アジアなどへの輸出、これを始めているというお話をいただいております。
また、山下参考人も、先ほどもお話がありましたが、私、読ませていただいた資料の、昨年十二月の商工ジャーナルへの寄稿、「農業改革の新展開」の中で、輸出可能性のある国産農産物は何か、それは米なのだと明言をされているわけであります。
ですから、ここでは両参考人に、今後の我が国における米の輸出の可能性並びにその戦略、既に一部お答えいただいたところもありますが、改めてここのところをお聞かせ願いたいと思います。
丸
丸田洋#27
○丸田参考人 やはり、米の輸出の可能性というのは、先ほど申し上げられているとおり、僕もあるんだろうと思っています。
ただ、やはり、海外で求められる米って何なのかということを知ることが非常に重要だろうと思っています。例えば、すごく変な例えなんですが、スパゲッティ、今はパスタと言いますね、パスタが日本に入ってきて、日本の今食べているパスタというものの中で、昔、ナポリタンという、むしろ伸びているような麺のものの方が日本人はおいしいと感じる、そういったものは海外の人と日本の人というのは嗜好がやはり違う部分が必ずあると思うんです。
ですので、米も、輸出する先のところで、日本人がおいしいと思うコシヒカリが果たして海外の人もおいしいかと言われると、それに対する確信はやはりないわけで、そういった中で、海外の方々がおいしいというお米に対して僕らはアプローチをしていくべきなんだろうというふうに思っています。
ですから、そこに対する育種が今後されていったりという、そこもバックアップがしていただけるのであれば、非常に輸出の未来も明るいだろうというふうに思っています。
この発言だけを見る →ただ、やはり、海外で求められる米って何なのかということを知ることが非常に重要だろうと思っています。例えば、すごく変な例えなんですが、スパゲッティ、今はパスタと言いますね、パスタが日本に入ってきて、日本の今食べているパスタというものの中で、昔、ナポリタンという、むしろ伸びているような麺のものの方が日本人はおいしいと感じる、そういったものは海外の人と日本の人というのは嗜好がやはり違う部分が必ずあると思うんです。
ですので、米も、輸出する先のところで、日本人がおいしいと思うコシヒカリが果たして海外の人もおいしいかと言われると、それに対する確信はやはりないわけで、そういった中で、海外の方々がおいしいというお米に対して僕らはアプローチをしていくべきなんだろうというふうに思っています。
ですから、そこに対する育種が今後されていったりという、そこもバックアップがしていただけるのであれば、非常に輸出の未来も明るいだろうというふうに思っています。
山
山下一仁#28
○山下参考人 私は、日本で最高の輸出品目というのは米だと思います。なぜかというと、こんなに減反しているんです。四〇%も減反しているわけです。一番生産余力があるのは米なわけですね。ただし価格が高い。
私のスライドの十三ページにあるんですけれども、一旦、二〇一四年度に内外価格差が逆転したわけですね。これはSBS米の資料なんですけれども。でも、この一万二千円とか一万四千円とか、今の六十キログラム当たりの米価の水準というのは、減反政策によって維持されている政策なんです。もし減反政策をやめれば、私の計算では、七千円とか八千円ぐらいに落ちます。
では、七千円、八千円に米価が落ちたときに何が起こるかというと、商社が七千円、八千円で買い付けます。それで輸出するんです。そうすると、実は輸出価格まで価格は戻るわけです。そうすると、例えばそれが一万一千円の水準だとしますと、多分、日本の米の生産量は今は七百五十万トンぐらい、七百五十万トンを切るような状況ですけれども、一千二百万トンぐらいには私はいくんだと思います。そうすると、単純に計算するだけで、米の輸出額は八千億円になります。
その輸出の可能性、どういう市場があるかというと、実は中国は、昔は全部インディカ米しかつくっていなかったんです。インディカ米の生産、消費だったわけです。ところが、日本の炊飯器が普及したことによって、ジャポニカ米の方が炊飯器で炊くとおいしいというのがわかり始めて、十五年前にはゼロ%だったジャポニカ米の生産が、今は三割まで拡大しているわけですね。中国でジャポニカ米の需要が物すごくふえてきている。
それから、カリフォルニアでも、実は私、昨年調査に行ったんですけれども、日本米は現地のカリフォルニア米の二倍、三倍の価格で売られている。
こういう状況を目にしますと、やはり、世界に冠たる品質の米を、もっと価格競争力をつければ、つまり、ベンツをある程度安い価格で売れば必ず売れるわけです。日本でレクサスが売れているのと同じような状況が世界市場で起こってくるのではないかなというふうに期待しています。
この発言だけを見る →私のスライドの十三ページにあるんですけれども、一旦、二〇一四年度に内外価格差が逆転したわけですね。これはSBS米の資料なんですけれども。でも、この一万二千円とか一万四千円とか、今の六十キログラム当たりの米価の水準というのは、減反政策によって維持されている政策なんです。もし減反政策をやめれば、私の計算では、七千円とか八千円ぐらいに落ちます。
では、七千円、八千円に米価が落ちたときに何が起こるかというと、商社が七千円、八千円で買い付けます。それで輸出するんです。そうすると、実は輸出価格まで価格は戻るわけです。そうすると、例えばそれが一万一千円の水準だとしますと、多分、日本の米の生産量は今は七百五十万トンぐらい、七百五十万トンを切るような状況ですけれども、一千二百万トンぐらいには私はいくんだと思います。そうすると、単純に計算するだけで、米の輸出額は八千億円になります。
その輸出の可能性、どういう市場があるかというと、実は中国は、昔は全部インディカ米しかつくっていなかったんです。インディカ米の生産、消費だったわけです。ところが、日本の炊飯器が普及したことによって、ジャポニカ米の方が炊飯器で炊くとおいしいというのがわかり始めて、十五年前にはゼロ%だったジャポニカ米の生産が、今は三割まで拡大しているわけですね。中国でジャポニカ米の需要が物すごくふえてきている。
それから、カリフォルニアでも、実は私、昨年調査に行ったんですけれども、日本米は現地のカリフォルニア米の二倍、三倍の価格で売られている。
こういう状況を目にしますと、やはり、世界に冠たる品質の米を、もっと価格競争力をつければ、つまり、ベンツをある程度安い価格で売れば必ず売れるわけです。日本でレクサスが売れているのと同じような状況が世界市場で起こってくるのではないかなというふうに期待しています。
中
中川康洋#29
○中川(康)委員 ありがとうございました。
両先生とも、非常にここに可能性を見出されているお話をいただきましたし、いわゆる価格の競争力が出てくれば市場は海外にも拡大していくというお話をいただいたのかなと思っています。
特に、丸田参考人からは、いわゆるマーケットインの体制ですね、コシヒカリが我々としてはいいものを、それを向こうに売ればいいんだという感覚ではなくて、いわゆる現地の需要というか、その思いに沿ったところでどう出していくのかという、このところのお話をいただくことができたのかなというふうにも思っております。
さらには、山下参考人からは、非常に戦略的な部分もありましたけれども、減反との兼ね合わせのお話もありましたが、しかし、これからの可能性があるところは米であると。現状、輸出戦略で二〇一九年一兆円というふうには言っているものの、米のウエートというのは非常に、まだまだないんですね。しかし、最も可能性があるのはここなんだというところ、今までの議論の中で余りなかった視点ではなかったのかなというふうに思いましたので、先生の原稿を読ませていただいて、そのところの思いをいま一度確認させていただいたわけでございます。大変にありがとうございました。
次に、少し観点を変えまして、丸田参考人にお伺いしたいんですが、今回の競争力プログラムの中には、全農の自己改革を進めるための外部からの人材登用という、そういった項目が入っておるわけでございます。
丸田参考人は、実はもともとエンジニアということを今お話しいただいて、農業については農外参入からの新規就農者であるというふうに今御自身でおっしゃっていただいておりました。
少し失礼な発言になるかもしれませんが、私は、丸田参考人がもともとは全く畑違いのエンジニアであって、御社を立ち上げるまでにも幾つかの仕事を経験されているというところ、いわゆる非農家出身の新規参入者だったからこそ、現在取り組まれている米農業に対して、例えば、おもしろいかもしれないという新たな可能性とかイノベーション、これを見出すことができたのではないかな、こんなふうに思っています。これからの農政もイノベーションがなければだめだというお話も今いただいたわけです。
そこで、一つお伺いしたいんですが、今回政府が取りまとめた農業競争力強化プログラムには、特に全農の取り組みについて書いてありまして、その最後にこのように書かれています。全農は、自己改革を進めるため、役職員の意識改革、さらには外部からの人材登用、また組織体制の整備などを行うというふうに示されておるんです。
私は、この中の特に外部からの人材登用というのは、これまでの組織にはなかった新しい風というか新たな風を内部に入れるという意味において、やはりある意味必要なんじゃないかなというふうに感じている一人なわけですが、当初全く違った分野から農業という分野に可能性を見出して新規参入された丸田参考人として、この外部からの人材登用の必要性とか、さらにはその効果、こういったものがどう出てくるのかというのを、御自身の経験からも含めてお話をちょっと賜れればというふうに思っております。
この発言だけを見る →両先生とも、非常にここに可能性を見出されているお話をいただきましたし、いわゆる価格の競争力が出てくれば市場は海外にも拡大していくというお話をいただいたのかなと思っています。
特に、丸田参考人からは、いわゆるマーケットインの体制ですね、コシヒカリが我々としてはいいものを、それを向こうに売ればいいんだという感覚ではなくて、いわゆる現地の需要というか、その思いに沿ったところでどう出していくのかという、このところのお話をいただくことができたのかなというふうにも思っております。
さらには、山下参考人からは、非常に戦略的な部分もありましたけれども、減反との兼ね合わせのお話もありましたが、しかし、これからの可能性があるところは米であると。現状、輸出戦略で二〇一九年一兆円というふうには言っているものの、米のウエートというのは非常に、まだまだないんですね。しかし、最も可能性があるのはここなんだというところ、今までの議論の中で余りなかった視点ではなかったのかなというふうに思いましたので、先生の原稿を読ませていただいて、そのところの思いをいま一度確認させていただいたわけでございます。大変にありがとうございました。
次に、少し観点を変えまして、丸田参考人にお伺いしたいんですが、今回の競争力プログラムの中には、全農の自己改革を進めるための外部からの人材登用という、そういった項目が入っておるわけでございます。
丸田参考人は、実はもともとエンジニアということを今お話しいただいて、農業については農外参入からの新規就農者であるというふうに今御自身でおっしゃっていただいておりました。
少し失礼な発言になるかもしれませんが、私は、丸田参考人がもともとは全く畑違いのエンジニアであって、御社を立ち上げるまでにも幾つかの仕事を経験されているというところ、いわゆる非農家出身の新規参入者だったからこそ、現在取り組まれている米農業に対して、例えば、おもしろいかもしれないという新たな可能性とかイノベーション、これを見出すことができたのではないかな、こんなふうに思っています。これからの農政もイノベーションがなければだめだというお話も今いただいたわけです。
そこで、一つお伺いしたいんですが、今回政府が取りまとめた農業競争力強化プログラムには、特に全農の取り組みについて書いてありまして、その最後にこのように書かれています。全農は、自己改革を進めるため、役職員の意識改革、さらには外部からの人材登用、また組織体制の整備などを行うというふうに示されておるんです。
私は、この中の特に外部からの人材登用というのは、これまでの組織にはなかった新しい風というか新たな風を内部に入れるという意味において、やはりある意味必要なんじゃないかなというふうに感じている一人なわけですが、当初全く違った分野から農業という分野に可能性を見出して新規参入された丸田参考人として、この外部からの人材登用の必要性とか、さらにはその効果、こういったものがどう出てくるのかというのを、御自身の経験からも含めてお話をちょっと賜れればというふうに思っております。