文教科学委員会
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会
会議録情報#0
平成三十年五月十五日(火曜日)
午前十時二分開会
─────────────
委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 宮本 周司君
五月十一日
辞任 補欠選任
宮本 周司君 今井絵理子君
五月十四日
辞任 補欠選任
伊藤 孝恵君 石上 俊雄君
大島九州男君 柳田 稔君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 高階恵美子君
理 事
上野 通子君
大野 泰正君
神本美恵子君
吉良よし子君
委 員
赤池 誠章君
石井 浩郎君
今井絵理子君
衛藤 晟一君
小野田紀美君
橋本 聖子君
水落 敏栄君
佐々木さやか君
新妻 秀規君
石上 俊雄君
柳田 稔君
蓮 舫君
高木かおり君
木戸口英司君
松沢 成文君
事務局側
常任委員会専門
員 戸田 浩史君
参考人
一般社団法人日
本経済団体連合
会産業技術本部
長 吉村 隆君
早稲田大学大学
院法務研究科教
授 上野 達弘君
筑波大学附属視
覚特別支援学校
教諭 宇野 和博君
専修大学文学部
人文・ジャーナ
リズム学科教授 山田 健太君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前十時二分開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 宮本 周司君
五月十一日
辞任 補欠選任
宮本 周司君 今井絵理子君
五月十四日
辞任 補欠選任
伊藤 孝恵君 石上 俊雄君
大島九州男君 柳田 稔君
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出席者は左のとおり。
委員長 高階恵美子君
理 事
上野 通子君
大野 泰正君
神本美恵子君
吉良よし子君
委 員
赤池 誠章君
石井 浩郎君
今井絵理子君
衛藤 晟一君
小野田紀美君
橋本 聖子君
水落 敏栄君
佐々木さやか君
新妻 秀規君
石上 俊雄君
柳田 稔君
蓮 舫君
高木かおり君
木戸口英司君
松沢 成文君
事務局側
常任委員会専門
員 戸田 浩史君
参考人
一般社団法人日
本経済団体連合
会産業技術本部
長 吉村 隆君
早稲田大学大学
院法務研究科教
授 上野 達弘君
筑波大学附属視
覚特別支援学校
教諭 宇野 和博君
専修大学文学部
人文・ジャーナ
リズム学科教授 山田 健太君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
─────────────
高
高階恵美子#1
○委員長(高階恵美子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、大島九州男君及び伊藤孝恵君が委員を辞任され、その補欠として柳田稔君及び石上俊雄君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日、大島九州男君及び伊藤孝恵君が委員を辞任され、その補欠として柳田稔君及び石上俊雄君が選任されました。
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高
高階恵美子#2
○委員長(高階恵美子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に一般社団法人日本経済団体連合会産業技術本部長吉村隆君、早稲田大学大学院法務研究科教授上野達弘君、筑波大学附属視覚特別支援学校教諭宇野和博君及び専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科教授山田健太君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に一般社団法人日本経済団体連合会産業技術本部長吉村隆君、早稲田大学大学院法務研究科教授上野達弘君、筑波大学附属視覚特別支援学校教諭宇野和博君及び専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科教授山田健太君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高
高
高階恵美子#4
○委員長(高階恵美子君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方でございますが、まず、吉村参考人、上野参考人、宇野参考人及び山田参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず吉村参考人から御意見をお述べいただきます。吉村参考人。
この発言だけを見る →この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方でございますが、まず、吉村参考人、上野参考人、宇野参考人及び山田参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず吉村参考人から御意見をお述べいただきます。吉村参考人。
吉
吉村隆#5
○参考人(吉村隆君) おはようございます。経団連の産業技術本部長をしております吉村と申します。
本日は、このような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
著作権の柔軟な権利制限規定の創設は長年にわたる課題でございまして、今回こうして法制化に向けて国会で御審議いただけますことを心より感謝しております。
個人的なことで恐縮ですけれども、私自身、経団連でこの問題に初めて接したのが約十年前ということになりまして、以来約十年間にわたってこの議論に関わってまいりました。その意味でも、今回の法案成立に向けた重要な局面でこうして皆様の前でお話しすることができるということには大変感慨深いものがございます。
私からは、著作権の柔軟な権利制限規定に賛成する立場から、産業界としての考え方を申し述べたいと思います。
なお、法技術的な論点とか条文ベースの議論というのは、隣に専門家である上野先生など、ほかの専門の委員もいらっしゃいますので、その方々に基本的にはお譲りしたいというふうには思ってはおります。
まず、なぜ産業界が著作権の柔軟な権利制限規定を求めるのかということなんですけれども、その背景を昨今の状況も踏まえつつ簡単にお伝えしたいというふうに思います。
現在、IoTやビッグデータ、人工知能などの先端技術があらゆる産業にパラダイム転換をもたらしております。特に、米国や中国などの海外企業は、大量のデータを用いて革新的なビジネスモデルを構築し、国際競争で優位な立場に立っているというのが現状かと思います。
そうした中で、経団連では、我が国企業の国際競争力の向上に向けて、データの活用とそれから先端技術によって国際競争力の強化と社会課題の解決と、この両方を目指すソサエティー五・〇というコンセプトを掲げて現在様々な施策を推進しているところでございます。
ソサエティー五・〇について詳しく御説明する時間はございませんが、端的に申し上げれば、革新的な技術の活用によって第五段階目の新しい社会を創造するんだということでございます。五段階目というのは、狩猟、農耕、工業、情報社会といったものの後に来る新しい経済社会というのをイメージしております。
経団連では、こうしたソサエティー五・〇を国内外の社会課題の解決と我が国の成長を両立させるものというふうに捉えておりまして、これは国連の掲げる持続可能な開発目標、いわゆるSDGsといったものの達成にも寄与するというふうに考えております。こうした認識の下で、我々は現在、ソサエティー五・〇フォーSDGsという考え方を提唱しておりまして、国際的な評価も得つつあるという状況でございます。私も今日バッジをちょっとさせていただいているんですけれども、これはSDGsの関係のバッジですけれども、経団連ではSDGsを本業で企業としてしっかり取り組んでいこうということも別途活動しているということでございます。
ソサエティー五・〇の実現に向けてはデータあるいは情報の利活用が重要な鍵を握ります。特に、近年、著作物を含むデータあるいは情報を大量かつ迅速に集積して活用する形のビジネスが世界で次々に起こっております。こうしたビジネスを活発化させて新しいイノベーションを創出することは、我が国の国際競争力の強化にとっても社会全体にとっても有益なものであり、喫緊の課題というふうになっております。
こうした観点から我が国の現在の著作権法を見ますと、残念ながら、現状のままでは時代の要請に応えられない部分があるなというふうに感じております。詳しくはこの後申し上げたいと思うんですけれども、これまでより柔軟に様々なデータあるいは情報の利活用を認めていくということがどうしても必要になってくるというのが我々の見立てでございます。
こうした認識の下で、今般提案されている柔軟な権利制限規定に対する考え方というのを申し上げていきたいと思います。
今、私は、これまでより柔軟にデータあるいは情報の利活用を認めることが必要というふうに申し上げました。これがいわゆる柔軟な権利制限規定を求める意見ということになるわけですけれども、経団連が考えている柔軟な権利制限規定というものは、著作者が費用と労力を掛けて作った著作物を何でもかんでも権利制限の対象とすべきというものでは全くございません。著作物の利用に当たっては、著作物の創造サイクルを維持するという観点から、権利者から許諾を得ることが原則でございます。ただし、事前に権利者の許諾を得ることは極めて困難であり、かつ公共性、公益性、著作物の利用態様等の観点から、権利者の利益を不当に害さないと思われるケースが近年増えておりまして、そうしたケースについてはイノベーション創出の観点から権利制限を可能な限り認めてよいのではないかというのが経団連のスタンスでございます。
経団連では、柔軟な権利制限規定の検討に当たりまして、権利者の利益が尊重され、著作物の創造サイクルが維持されること、著作物の利活用が促進され、権利者、事業者双方のビジネスチャンスが拡大すること、事業者が適切なリスク判断ができるよう予見可能性が確保されること、この三点が重要であるというふうに主張をしておりまして、私自身も、文化審議会の著作権分科会の中で、我が国の法体系や社会状況等を多面的に考え、我が国に及ぶ実際の効果と影響を十分に吟味して最善の制度を模索するべきというふうに申し上げてきた経緯がございます。
この点、今回提案されている三層の柔軟な権利制限規定というのは、第一層として示している新三十条の四の非享受利用、新四十七条の四の電子計算機における著作物の利用に付随する利用、それから第二層として示している新四十七条の五である電子計算機による情報処理の結果提供に関する軽微の利用、こういったものによって、著作物を利用したい事業者側の現時点でのニーズをほぼ網羅するとともに、抽象度を高めた要件も加味するということで、権利制限の柔軟性も図る工夫もなされているというふうに理解をしております。
我々といたしましては、今回の条文案は、事業者にとっての予測可能性を確保する一方で、非享受とか軽微とかいった文言によって権利者の利益にもバランスよく配慮できているというものと評価しておりまして、早期の成立を強く期待するということでございます。
これまで柔軟な権利制限規定をめぐる検討の大半を費やしていたのが米国型フェアユースを日本に導入すべきであるという議論であったというふうに理解をしております。
御高承のとおり、米国のフェアユースは、著作物の利用の目的、著作物の性質、利用された著作物の量、重要性、著作物の利用の及ぼす影響という四要件を総合的に勘案して、司法が公正な利用と認めたものについては権利者の許諾を得ずに著作物の利活用を行うことが認められております。
米国型フェアユース導入の賛成論の根拠としましては、現時点で予想できない新たな技術やビジネスモデルに即応できるという意見がございます。ただし、注意すべきは、予測可能性が低く、かつ最終的には司法の判断に委ねるというものであるということでございます。我が国の企業につきましては、コンプライアンス意識が高いことから、こうした予測可能性が低くて、かつ最終的に司法判断に委ねるというものであった場合に、ビジネスにどうしても萎縮効果が生じるおそれがあるというふうに考えます。我々も会員企業の方々といろんな議論をこれまでしてきておりますけれども、やはりそういう傾向があるかなというふうに感じておりますし、さきの文化審議会の報告書でもそのような結果が示されているというところでございます。また、権利者の方から居直り侵害のおそれが高まるといったような強い懸念の声があるということも耳を傾ける必要があるというふうに思っております。
基本的な原則のみを法律で定めて具体的な運用を判例に任せるというのは一つの考え方ではあると思うんですけれども、少なくともこの考え方を著作権法だけに導入しても機能しない可能性が高いのではないかなというふうに思います。もし法体系全体を英米法型に変えるべしというような議論をするのであれば、それはそれで非常に大きな議論でありまして、幅広い国民的な議論を経る必要が不可欠ではないかなというふうに思います。
あと、米国型フェアユース導入を賛成する議論としてもう一つ根拠としてよく挙げられるのが、グーグルが生まれたのはフェアユースがあったからだという御意見がございます。この意見は、客観的に事実に照らせば少し無理があるかなというふうに思います。この点は文化審議会の報告書でも詳しいので、詳しくは割愛したいと思います。
加えて、私から、この間、東京大学の渡部俊也教授から教えていただいた話を少しだけ御紹介したいと思います。有名なグーグルの創設者であるセルゲイ・ブリン氏、この方がラリー・ペイジ氏とともに独自の検索技術を開発してグーグルの基礎をつくったというふうに言われておりますが、実は彼はその前に既に検索技術に関する特許出願を行っていて、その権利者は実は某日本企業でございました。当時、彼はその日本企業の米国法人でアルバイトをしていて、その間に検索技術の開発に成功したということでございます。その日本企業は、そういう意味ではその当時検索技術の特許権というのを有していたということですけれども、自社のビジネスモデルと異なっていたので検索サービスを事業化することはございませんでしたというようなことでございました。
何が申し上げたいかというと、日本には米国型フェアユースがないからイノベーションが起きないという主張は、それはそう主張される方もいるんですけれども、現実のビジネスというのはそれほど簡単、単純なものじゃないということだと思います。今申し上げた事例を引くまでもなく、一つ法律が何か問題で、それだけでビジネスが止まるとかそういうことではなくて、やっぱり、元々革新的なビジネスモデルを考えるとか、そういったことを含めたところからイノベーションが起こるんだろうなというふうに思っているところでございます。
話を少し戻したいと思うんですけれども、米国型フェアユースについては、日本の法体系全般に関わる問題もあり、イノベーションを萎縮させる可能性があるということ、それから居直り侵害による権利者の不利益も大きい可能性があるということから、そのまま我が国に導入しても十分に機能しない可能性が高いというふうに考えます。米国型フェアユースを強く主張する企業というのは今でもいらっしゃるわけですけれども、そうした企業さんの主張は、結局のところ事業者さんとの対立を先鋭化させるということになって、結局のところ法改正をずっと遅らせる結果を招いたというふうなことだというふうに思っています。
そういう意味で、今回の法案は権利制限の柔軟性と明確性のバランス、それから権利者と事業者の間のバランス、そういったものを取った非常にリーズナブルなものであって、我が国の国情にも沿った、この国にふさわしい内容であるというふうに考えられることから、経団連としては今国会での確実な成立を強くお願いする次第でございます。
今回の著作権法改正によって、データの収集、データの蓄積、解析、それからデータの解析結果の提供、こういったものが権利者の不利益が軽微の程度、軽微である程度を超えない限りは権利制限の対象となりますということになりますので、我が国が後れを取っているAIの開発とかインターネットによる様々なサービス、こういったものが著作権法上の懸念なく実施できることになりますので、その意義はとても大きいというふうに思います。
現在、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、様々な企業が様々な分野でイノベーションを起こして革新的な製品、サービスを提供し、国民生活の向上に寄与すべく努力をしているところでございます。今回の法改正は、こうした努力を力強く後押しするものになるというふうに確信をしております。イノベーションの革新に向けて、今国会での確実な著作権法改正を再度お願いして、私からのお話を閉じさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
著作権の柔軟な権利制限規定の創設は長年にわたる課題でございまして、今回こうして法制化に向けて国会で御審議いただけますことを心より感謝しております。
個人的なことで恐縮ですけれども、私自身、経団連でこの問題に初めて接したのが約十年前ということになりまして、以来約十年間にわたってこの議論に関わってまいりました。その意味でも、今回の法案成立に向けた重要な局面でこうして皆様の前でお話しすることができるということには大変感慨深いものがございます。
私からは、著作権の柔軟な権利制限規定に賛成する立場から、産業界としての考え方を申し述べたいと思います。
なお、法技術的な論点とか条文ベースの議論というのは、隣に専門家である上野先生など、ほかの専門の委員もいらっしゃいますので、その方々に基本的にはお譲りしたいというふうには思ってはおります。
まず、なぜ産業界が著作権の柔軟な権利制限規定を求めるのかということなんですけれども、その背景を昨今の状況も踏まえつつ簡単にお伝えしたいというふうに思います。
現在、IoTやビッグデータ、人工知能などの先端技術があらゆる産業にパラダイム転換をもたらしております。特に、米国や中国などの海外企業は、大量のデータを用いて革新的なビジネスモデルを構築し、国際競争で優位な立場に立っているというのが現状かと思います。
そうした中で、経団連では、我が国企業の国際競争力の向上に向けて、データの活用とそれから先端技術によって国際競争力の強化と社会課題の解決と、この両方を目指すソサエティー五・〇というコンセプトを掲げて現在様々な施策を推進しているところでございます。
ソサエティー五・〇について詳しく御説明する時間はございませんが、端的に申し上げれば、革新的な技術の活用によって第五段階目の新しい社会を創造するんだということでございます。五段階目というのは、狩猟、農耕、工業、情報社会といったものの後に来る新しい経済社会というのをイメージしております。
経団連では、こうしたソサエティー五・〇を国内外の社会課題の解決と我が国の成長を両立させるものというふうに捉えておりまして、これは国連の掲げる持続可能な開発目標、いわゆるSDGsといったものの達成にも寄与するというふうに考えております。こうした認識の下で、我々は現在、ソサエティー五・〇フォーSDGsという考え方を提唱しておりまして、国際的な評価も得つつあるという状況でございます。私も今日バッジをちょっとさせていただいているんですけれども、これはSDGsの関係のバッジですけれども、経団連ではSDGsを本業で企業としてしっかり取り組んでいこうということも別途活動しているということでございます。
ソサエティー五・〇の実現に向けてはデータあるいは情報の利活用が重要な鍵を握ります。特に、近年、著作物を含むデータあるいは情報を大量かつ迅速に集積して活用する形のビジネスが世界で次々に起こっております。こうしたビジネスを活発化させて新しいイノベーションを創出することは、我が国の国際競争力の強化にとっても社会全体にとっても有益なものであり、喫緊の課題というふうになっております。
こうした観点から我が国の現在の著作権法を見ますと、残念ながら、現状のままでは時代の要請に応えられない部分があるなというふうに感じております。詳しくはこの後申し上げたいと思うんですけれども、これまでより柔軟に様々なデータあるいは情報の利活用を認めていくということがどうしても必要になってくるというのが我々の見立てでございます。
こうした認識の下で、今般提案されている柔軟な権利制限規定に対する考え方というのを申し上げていきたいと思います。
今、私は、これまでより柔軟にデータあるいは情報の利活用を認めることが必要というふうに申し上げました。これがいわゆる柔軟な権利制限規定を求める意見ということになるわけですけれども、経団連が考えている柔軟な権利制限規定というものは、著作者が費用と労力を掛けて作った著作物を何でもかんでも権利制限の対象とすべきというものでは全くございません。著作物の利用に当たっては、著作物の創造サイクルを維持するという観点から、権利者から許諾を得ることが原則でございます。ただし、事前に権利者の許諾を得ることは極めて困難であり、かつ公共性、公益性、著作物の利用態様等の観点から、権利者の利益を不当に害さないと思われるケースが近年増えておりまして、そうしたケースについてはイノベーション創出の観点から権利制限を可能な限り認めてよいのではないかというのが経団連のスタンスでございます。
経団連では、柔軟な権利制限規定の検討に当たりまして、権利者の利益が尊重され、著作物の創造サイクルが維持されること、著作物の利活用が促進され、権利者、事業者双方のビジネスチャンスが拡大すること、事業者が適切なリスク判断ができるよう予見可能性が確保されること、この三点が重要であるというふうに主張をしておりまして、私自身も、文化審議会の著作権分科会の中で、我が国の法体系や社会状況等を多面的に考え、我が国に及ぶ実際の効果と影響を十分に吟味して最善の制度を模索するべきというふうに申し上げてきた経緯がございます。
この点、今回提案されている三層の柔軟な権利制限規定というのは、第一層として示している新三十条の四の非享受利用、新四十七条の四の電子計算機における著作物の利用に付随する利用、それから第二層として示している新四十七条の五である電子計算機による情報処理の結果提供に関する軽微の利用、こういったものによって、著作物を利用したい事業者側の現時点でのニーズをほぼ網羅するとともに、抽象度を高めた要件も加味するということで、権利制限の柔軟性も図る工夫もなされているというふうに理解をしております。
我々といたしましては、今回の条文案は、事業者にとっての予測可能性を確保する一方で、非享受とか軽微とかいった文言によって権利者の利益にもバランスよく配慮できているというものと評価しておりまして、早期の成立を強く期待するということでございます。
これまで柔軟な権利制限規定をめぐる検討の大半を費やしていたのが米国型フェアユースを日本に導入すべきであるという議論であったというふうに理解をしております。
御高承のとおり、米国のフェアユースは、著作物の利用の目的、著作物の性質、利用された著作物の量、重要性、著作物の利用の及ぼす影響という四要件を総合的に勘案して、司法が公正な利用と認めたものについては権利者の許諾を得ずに著作物の利活用を行うことが認められております。
米国型フェアユース導入の賛成論の根拠としましては、現時点で予想できない新たな技術やビジネスモデルに即応できるという意見がございます。ただし、注意すべきは、予測可能性が低く、かつ最終的には司法の判断に委ねるというものであるということでございます。我が国の企業につきましては、コンプライアンス意識が高いことから、こうした予測可能性が低くて、かつ最終的に司法判断に委ねるというものであった場合に、ビジネスにどうしても萎縮効果が生じるおそれがあるというふうに考えます。我々も会員企業の方々といろんな議論をこれまでしてきておりますけれども、やはりそういう傾向があるかなというふうに感じておりますし、さきの文化審議会の報告書でもそのような結果が示されているというところでございます。また、権利者の方から居直り侵害のおそれが高まるといったような強い懸念の声があるということも耳を傾ける必要があるというふうに思っております。
基本的な原則のみを法律で定めて具体的な運用を判例に任せるというのは一つの考え方ではあると思うんですけれども、少なくともこの考え方を著作権法だけに導入しても機能しない可能性が高いのではないかなというふうに思います。もし法体系全体を英米法型に変えるべしというような議論をするのであれば、それはそれで非常に大きな議論でありまして、幅広い国民的な議論を経る必要が不可欠ではないかなというふうに思います。
あと、米国型フェアユース導入を賛成する議論としてもう一つ根拠としてよく挙げられるのが、グーグルが生まれたのはフェアユースがあったからだという御意見がございます。この意見は、客観的に事実に照らせば少し無理があるかなというふうに思います。この点は文化審議会の報告書でも詳しいので、詳しくは割愛したいと思います。
加えて、私から、この間、東京大学の渡部俊也教授から教えていただいた話を少しだけ御紹介したいと思います。有名なグーグルの創設者であるセルゲイ・ブリン氏、この方がラリー・ペイジ氏とともに独自の検索技術を開発してグーグルの基礎をつくったというふうに言われておりますが、実は彼はその前に既に検索技術に関する特許出願を行っていて、その権利者は実は某日本企業でございました。当時、彼はその日本企業の米国法人でアルバイトをしていて、その間に検索技術の開発に成功したということでございます。その日本企業は、そういう意味ではその当時検索技術の特許権というのを有していたということですけれども、自社のビジネスモデルと異なっていたので検索サービスを事業化することはございませんでしたというようなことでございました。
何が申し上げたいかというと、日本には米国型フェアユースがないからイノベーションが起きないという主張は、それはそう主張される方もいるんですけれども、現実のビジネスというのはそれほど簡単、単純なものじゃないということだと思います。今申し上げた事例を引くまでもなく、一つ法律が何か問題で、それだけでビジネスが止まるとかそういうことではなくて、やっぱり、元々革新的なビジネスモデルを考えるとか、そういったことを含めたところからイノベーションが起こるんだろうなというふうに思っているところでございます。
話を少し戻したいと思うんですけれども、米国型フェアユースについては、日本の法体系全般に関わる問題もあり、イノベーションを萎縮させる可能性があるということ、それから居直り侵害による権利者の不利益も大きい可能性があるということから、そのまま我が国に導入しても十分に機能しない可能性が高いというふうに考えます。米国型フェアユースを強く主張する企業というのは今でもいらっしゃるわけですけれども、そうした企業さんの主張は、結局のところ事業者さんとの対立を先鋭化させるということになって、結局のところ法改正をずっと遅らせる結果を招いたというふうなことだというふうに思っています。
そういう意味で、今回の法案は権利制限の柔軟性と明確性のバランス、それから権利者と事業者の間のバランス、そういったものを取った非常にリーズナブルなものであって、我が国の国情にも沿った、この国にふさわしい内容であるというふうに考えられることから、経団連としては今国会での確実な成立を強くお願いする次第でございます。
今回の著作権法改正によって、データの収集、データの蓄積、解析、それからデータの解析結果の提供、こういったものが権利者の不利益が軽微の程度、軽微である程度を超えない限りは権利制限の対象となりますということになりますので、我が国が後れを取っているAIの開発とかインターネットによる様々なサービス、こういったものが著作権法上の懸念なく実施できることになりますので、その意義はとても大きいというふうに思います。
現在、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、様々な企業が様々な分野でイノベーションを起こして革新的な製品、サービスを提供し、国民生活の向上に寄与すべく努力をしているところでございます。今回の法改正は、こうした努力を力強く後押しするものになるというふうに確信をしております。イノベーションの革新に向けて、今国会での確実な著作権法改正を再度お願いして、私からのお話を閉じさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
高
上
上野達弘#7
○参考人(上野達弘君) 早稲田大学の上野達弘でございます。
本日は、著作権法改正法案に関しまして意見を申し述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私、若輩者ではありますけれども、長年著作権法の研究教育に従事してまいりました。また、文化審議会の委員も長く務めてまいりました。今回の法案の基になりました法制・基本問題小委員会やそのワーキンググループ、さらにはその作業部会にも関与いたしましたので、そのような立場を踏まえつつ、本日は今回の法案に関する所見を申し述べたいというふうに思います。
法案の内容につきましては、御案内のとおり、主に四点ございます。
第一に、柔軟な権利制限規定であります。
著作権法というのは、権利を定める一方、その限界を権利制限規定として定めております。ただ、この著作権法三十条以下に列挙されております多数の権利制限規定は極めて詳細で個別的なものです。そのため、それは、明確ではある反面、ともすると硬直的で時代や社会の変化あるいは技術の発展に必ずしも対応できない場合があるのではないかとの問題提起がなされてきたわけです。
そこで、今回の法案は、既存の権利制限規定を整理統合し、シンプルにするとともに、二つの行為類型、すなわち第一層と呼ばれる権利者の利益を通常害さない行為類型、そして第二層と言われる権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型に関しましては、従来の著作権法にはこれは見られなかったような柔軟な権利制限規定を設けようとするものであります。
私の配付資料におきましても、権利制限の対象となる具体的な行為を例として掲げておりますけれども、その上で、アンダーライン引いておりますが、その他と記載しております。これは、そうした具体的例示と同等の行為であればそれ以外の行為も柔軟に権利制限の対象になることを意味しているわけであります。
少し具体的に申しますと、もし今回の改正が実現いたしますと、情報解析やリバースエンジニアリングのための複製といった具体的な行為が権利制限の対象となるだけではなく、これらと同様に著作物の表現を享受しない利用と評価できるものであれば、それらの具体的例示以外の行為も柔軟に権利制限の対象になり得ます。また、キャッシングやバックアップのための複製といったコンピューターの利用に付随する利用と評価できるものであれば、これもまた、それらの具体的例示以外の行為も柔軟に権利制限の対象になり得るわけであります。
また、第二層につきましては、現行法でもネット検索サービスがこれ可能なんですけれども、今回の改正が実現いたしますと、公開情報一般を対象とする所在検索サービスや、あるいは論文剽窃検証サービスなどの情報解析サービスも可能になるほか、これらと同様に、電子計算機による情報処理に付随する軽微な利用と評価できるものであれば、それらの具体的例示以外の行為であっても政令によって柔軟に権利制限の対象になり得るわけであります。こうした柔軟な権利制限規定というのは、我が国にとりましてかなり画期的なものだというふうに思っております。
もちろん、先ほども御紹介ありましたけれども、権利制限規定の在り方をめぐりましてはかなり以前から議論がありまして、その中では、アメリカ著作権法百七条のフェアユース規定のような一般性の高い規定を我が国著作権法にも導入すべきという見解がございました。しかし、ある規定が柔軟であればあるほど具体的妥当性の観点からは望ましいわけですけれども、他方で法規範が過度に不明確なものとなりかねず、それが国民にとって常に望ましいものとは限りません。これに対しまして、ある規定が明確であればあるほど法的安定性の観点からは望ましいわけでありますけれども、他方で法規範が過度に硬直的なものとなりかねず、これも国民にとって常に望ましいとは限りません。
そこで、明確性のある個別規定と柔軟性のある規定を組み合わせたものが望ましいと考えられます。今回の法案はそのような方向性に沿うものです。そして、今回の法案は、最近の国際的な議論におきましても一つの理想的な著作権制度の在り方とされるシンプルでフレキシブルなスタイルに日本の法律を近づけるものと言えるかもしれません。もちろん、法改正が単に理屈の上で画期的だといっても、これは意味はありません。しかし、今回の改正による新たな権利制限は、現実のイノベーション促進効果が期待できるものと考えます。
これも、もう少し具体的に一例のみ挙げますと、現行法には、情報解析のための著作物利用を可能とする四十七条の七という規定がありまして、これは、営利企業であっても著作権を気にせず機械学習を行うことができるという世界でもまれな規定であります。そのため、私も外国に行きますと、よく日本はAI開発や機械学習にとってのパラダイスだというふうに申し上げたりするわけなんですけれども、今回の改正は、この規定を更に多様な情報解析に対応できるように拡充するものです。これは、我が国のAI開発や機械学習の発展を促進する礎になることでしょう。
第二に教育の情報化です。
現行著作権法は、教育機関における複製等について既に三十五条という規定を有しております。しかし、昨今では、教室で紙の資料を配付する代わりに、受講生がアクセスできるサーバーにアップしたり講義映像を受講生がネットで見られるようにするなど、様々なICT活用教育が展開されているものと承知しております。
今回の法改正が実現いたしますと、従来と同程度の条件の下で教育機関における公衆送信等が可能になります。その代わり、一定の公衆送信については無償というわけではなく、補償金が権利者に支払われることになります。これによって、従来は権利処理が必要であったICT活用教育に伴う著作物利用が円滑化するとともに、権利者には利用に応じた利益分配が保証されることになるわけです。
さて、ここで注目されるのは、単に権利制限によって著作権を制約するだけではなく、権利制限とともに権利者に補償金請求権を付与したことです。こうした規定は現状の著作権法にもないわけではありませんけれども、これまでの我が国著作権法は、権利制限というふうに申しますと、つい無許諾、無償の完全自由になってしまうということが多過ぎたように私は思っております。そのような中、今回の三十五条の改正は、権利制限による円滑な著作物の利用の促進と補償金制度による適正な利益分配を両立するものです。これは、今後の権利制限規定の見直しにおける一つのモデルになるものと私は考えております。
第三に、障害者関係です。
著作権法は、障害者福祉を増進する観点から、既に障害者等のための利用を可能とする権利制限規定を有していますが、今回の法案は、視覚障害者等の概念に肢体不自由等により印刷物の判読が困難な者も含めることによって、録音図書等の作成等を自由に行えるようにするものです。
この改正は多様な障害者等の情報アクセス機会の充実に資するものと考えられ、その意義の大きさはここで言うまでもありません。また、この改正は、WIPOのマラケシュ条約を締結するために必要な改正でもあります。そのため、この問題は以前から検討されてまいりましたけれども、そうこうするうちに、このマラケシュ条約は二〇一六年九月に二十か国によって既に発効してしまっております。したがいまして、我が国も早急な法改正が求められるところであります。
第四に、アーカイブ関係であります。
昨今、アーカイブ施設における文化資料の収集、保存、活用が重要な政策課題となっておりますところ、今回の改正が実現いたしますと、国会図書館による絶版等資料の送信が外国の図書館等にも可能になることや、美術館等がその展示作品を解説し紹介するために観覧者のタブレット端末等に送信することが可能になるほか、国などが裁定制度を利用する場合には事前の供託義務が免除されることになります。
アーカイブというのは、人類の知の蓄積と発信に資するものです。今回の法改正は、アーカイブの発展を多面的に支援し、また、裁定制度の活用によるオーファンワークス、いわゆる権利者不明等著作物の利用を促進するものであり、大きな意義が認められます。
最後に、全体的なコメントを申し上げます。
今回の改正、とりわけ柔軟な権利制限規定については十年以上前から我が国において盛んに議論されてきたテーマでありまして、今回の改正は、平成二十一年から始まった文化審議会での議論を踏まえて、平成二十四年の改正を経まして、その後、平成二十五年から文化審議会の中、平成二十七年からはニーズを把握するためのワーキングチームが設置されるなど、我が国全体で行われた長年の議論の集大成と言うべきものです。
そして、そうしてでき上がった今回の改正法案は、これまでの改正のように単に権利制限規定を追加するというものではなく、既存の規定を整理統合するとともに、二つの行為類型については従来全く見られなかった柔軟な権利制限規定を設けるものであり、極めて画期的なものと言えます。
こうした明確性と柔軟性を組み合わせる手法というのは、我が国にとって画期的であるというばかりではなく、同様の問題を抱えている諸外国、特に我が国と同様に大陸法系諸国にも重要な示唆をもたらし得るものです。恐らく今回の改正は国際的にも注目を浴びることになるでしょう。また、教育の情報化に見られるように、権利制限による円滑な利用促進と補償金制度による適正な利益分配を両立する方法は、今後の制度論のモデルになるものでもあります。
著作権法にとって、権利保護と利用促進のバランスをいかに実現するか、これは永遠の課題です。しかし、今回の改正は、その調整に多様な手法があることを明確に示しました。その意味で、今回の改正を機に、著作権法の制度論は、これはやや大げさかもしれませんが、新時代に入ったと言えるかもしれません。もちろん、我々研究者がこれは画期的だと幾ら申し上げましても、現実社会に効果がなければ意味がありません。ただ、今回の改正によって整備された権利制限規定は、先ほどお話ししたAI開発や機械学習のための規定のように、我が国におけるイノベーション促進に具体的で実践的な効果をもたらすものと私は確信しています。
もちろん、今回の改正法の内容は、いずれも権利制限というものであります。したがって、一見すると、これは権利の切下げばかりではないかと受け止められるかもしれません。また、結果として権利者の利益を不当に害しないかといった御懸念もあるのかもしれません。しかし、今回の改正法の内容は、あくまで権利者の利益を不当に害しないことを条件とするなど、権利保護に対する制度上の配慮は十分なされているものと認識しております。
ただ、一般論として、改正法の適切な運用、これは求められるというのはもう当然のことかと思います。そのため、既に衆議院の方でも、教育の情報化に伴う補償金の適正な徴収、分配や権利制限規定に関するガイドラインの策定など必要な措置を講じるべきことを内容とする附帯決議が行われたものと承知しており、そうした点は今後の課題となろうかと存じます。
なお、今回の改正は従来の改正に比べれば比較的規模が大きいものです。そして議論の集大成でもあります。したがって、これが実現しますと、それなりに一段落するようなところがあるかもしれません。ただ、著作権制度というのは、常に社会や技術の変化への対応が求められる運命にあります。そのため、将来に向けて我が国著作権制度を絶えず検証し続けていく必要があります。
ちなみに、現行著作権法は昭和四十五年に制定されたものです。したがって、二〇二〇年には制定五十周年を迎えます。だからというわけではありませんけれども、将来の我が国にとってあるべき著作権法の姿を国際的な視野も広げつつこれからも追求していくことが重要ではないかと思っております。この点を強調いたしまして、私からのコメントとさせていただきます。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、著作権法改正法案に関しまして意見を申し述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私、若輩者ではありますけれども、長年著作権法の研究教育に従事してまいりました。また、文化審議会の委員も長く務めてまいりました。今回の法案の基になりました法制・基本問題小委員会やそのワーキンググループ、さらにはその作業部会にも関与いたしましたので、そのような立場を踏まえつつ、本日は今回の法案に関する所見を申し述べたいというふうに思います。
法案の内容につきましては、御案内のとおり、主に四点ございます。
第一に、柔軟な権利制限規定であります。
著作権法というのは、権利を定める一方、その限界を権利制限規定として定めております。ただ、この著作権法三十条以下に列挙されております多数の権利制限規定は極めて詳細で個別的なものです。そのため、それは、明確ではある反面、ともすると硬直的で時代や社会の変化あるいは技術の発展に必ずしも対応できない場合があるのではないかとの問題提起がなされてきたわけです。
そこで、今回の法案は、既存の権利制限規定を整理統合し、シンプルにするとともに、二つの行為類型、すなわち第一層と呼ばれる権利者の利益を通常害さない行為類型、そして第二層と言われる権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型に関しましては、従来の著作権法にはこれは見られなかったような柔軟な権利制限規定を設けようとするものであります。
私の配付資料におきましても、権利制限の対象となる具体的な行為を例として掲げておりますけれども、その上で、アンダーライン引いておりますが、その他と記載しております。これは、そうした具体的例示と同等の行為であればそれ以外の行為も柔軟に権利制限の対象になることを意味しているわけであります。
少し具体的に申しますと、もし今回の改正が実現いたしますと、情報解析やリバースエンジニアリングのための複製といった具体的な行為が権利制限の対象となるだけではなく、これらと同様に著作物の表現を享受しない利用と評価できるものであれば、それらの具体的例示以外の行為も柔軟に権利制限の対象になり得ます。また、キャッシングやバックアップのための複製といったコンピューターの利用に付随する利用と評価できるものであれば、これもまた、それらの具体的例示以外の行為も柔軟に権利制限の対象になり得るわけであります。
また、第二層につきましては、現行法でもネット検索サービスがこれ可能なんですけれども、今回の改正が実現いたしますと、公開情報一般を対象とする所在検索サービスや、あるいは論文剽窃検証サービスなどの情報解析サービスも可能になるほか、これらと同様に、電子計算機による情報処理に付随する軽微な利用と評価できるものであれば、それらの具体的例示以外の行為であっても政令によって柔軟に権利制限の対象になり得るわけであります。こうした柔軟な権利制限規定というのは、我が国にとりましてかなり画期的なものだというふうに思っております。
もちろん、先ほども御紹介ありましたけれども、権利制限規定の在り方をめぐりましてはかなり以前から議論がありまして、その中では、アメリカ著作権法百七条のフェアユース規定のような一般性の高い規定を我が国著作権法にも導入すべきという見解がございました。しかし、ある規定が柔軟であればあるほど具体的妥当性の観点からは望ましいわけですけれども、他方で法規範が過度に不明確なものとなりかねず、それが国民にとって常に望ましいものとは限りません。これに対しまして、ある規定が明確であればあるほど法的安定性の観点からは望ましいわけでありますけれども、他方で法規範が過度に硬直的なものとなりかねず、これも国民にとって常に望ましいとは限りません。
そこで、明確性のある個別規定と柔軟性のある規定を組み合わせたものが望ましいと考えられます。今回の法案はそのような方向性に沿うものです。そして、今回の法案は、最近の国際的な議論におきましても一つの理想的な著作権制度の在り方とされるシンプルでフレキシブルなスタイルに日本の法律を近づけるものと言えるかもしれません。もちろん、法改正が単に理屈の上で画期的だといっても、これは意味はありません。しかし、今回の改正による新たな権利制限は、現実のイノベーション促進効果が期待できるものと考えます。
これも、もう少し具体的に一例のみ挙げますと、現行法には、情報解析のための著作物利用を可能とする四十七条の七という規定がありまして、これは、営利企業であっても著作権を気にせず機械学習を行うことができるという世界でもまれな規定であります。そのため、私も外国に行きますと、よく日本はAI開発や機械学習にとってのパラダイスだというふうに申し上げたりするわけなんですけれども、今回の改正は、この規定を更に多様な情報解析に対応できるように拡充するものです。これは、我が国のAI開発や機械学習の発展を促進する礎になることでしょう。
第二に教育の情報化です。
現行著作権法は、教育機関における複製等について既に三十五条という規定を有しております。しかし、昨今では、教室で紙の資料を配付する代わりに、受講生がアクセスできるサーバーにアップしたり講義映像を受講生がネットで見られるようにするなど、様々なICT活用教育が展開されているものと承知しております。
今回の法改正が実現いたしますと、従来と同程度の条件の下で教育機関における公衆送信等が可能になります。その代わり、一定の公衆送信については無償というわけではなく、補償金が権利者に支払われることになります。これによって、従来は権利処理が必要であったICT活用教育に伴う著作物利用が円滑化するとともに、権利者には利用に応じた利益分配が保証されることになるわけです。
さて、ここで注目されるのは、単に権利制限によって著作権を制約するだけではなく、権利制限とともに権利者に補償金請求権を付与したことです。こうした規定は現状の著作権法にもないわけではありませんけれども、これまでの我が国著作権法は、権利制限というふうに申しますと、つい無許諾、無償の完全自由になってしまうということが多過ぎたように私は思っております。そのような中、今回の三十五条の改正は、権利制限による円滑な著作物の利用の促進と補償金制度による適正な利益分配を両立するものです。これは、今後の権利制限規定の見直しにおける一つのモデルになるものと私は考えております。
第三に、障害者関係です。
著作権法は、障害者福祉を増進する観点から、既に障害者等のための利用を可能とする権利制限規定を有していますが、今回の法案は、視覚障害者等の概念に肢体不自由等により印刷物の判読が困難な者も含めることによって、録音図書等の作成等を自由に行えるようにするものです。
この改正は多様な障害者等の情報アクセス機会の充実に資するものと考えられ、その意義の大きさはここで言うまでもありません。また、この改正は、WIPOのマラケシュ条約を締結するために必要な改正でもあります。そのため、この問題は以前から検討されてまいりましたけれども、そうこうするうちに、このマラケシュ条約は二〇一六年九月に二十か国によって既に発効してしまっております。したがいまして、我が国も早急な法改正が求められるところであります。
第四に、アーカイブ関係であります。
昨今、アーカイブ施設における文化資料の収集、保存、活用が重要な政策課題となっておりますところ、今回の改正が実現いたしますと、国会図書館による絶版等資料の送信が外国の図書館等にも可能になることや、美術館等がその展示作品を解説し紹介するために観覧者のタブレット端末等に送信することが可能になるほか、国などが裁定制度を利用する場合には事前の供託義務が免除されることになります。
アーカイブというのは、人類の知の蓄積と発信に資するものです。今回の法改正は、アーカイブの発展を多面的に支援し、また、裁定制度の活用によるオーファンワークス、いわゆる権利者不明等著作物の利用を促進するものであり、大きな意義が認められます。
最後に、全体的なコメントを申し上げます。
今回の改正、とりわけ柔軟な権利制限規定については十年以上前から我が国において盛んに議論されてきたテーマでありまして、今回の改正は、平成二十一年から始まった文化審議会での議論を踏まえて、平成二十四年の改正を経まして、その後、平成二十五年から文化審議会の中、平成二十七年からはニーズを把握するためのワーキングチームが設置されるなど、我が国全体で行われた長年の議論の集大成と言うべきものです。
そして、そうしてでき上がった今回の改正法案は、これまでの改正のように単に権利制限規定を追加するというものではなく、既存の規定を整理統合するとともに、二つの行為類型については従来全く見られなかった柔軟な権利制限規定を設けるものであり、極めて画期的なものと言えます。
こうした明確性と柔軟性を組み合わせる手法というのは、我が国にとって画期的であるというばかりではなく、同様の問題を抱えている諸外国、特に我が国と同様に大陸法系諸国にも重要な示唆をもたらし得るものです。恐らく今回の改正は国際的にも注目を浴びることになるでしょう。また、教育の情報化に見られるように、権利制限による円滑な利用促進と補償金制度による適正な利益分配を両立する方法は、今後の制度論のモデルになるものでもあります。
著作権法にとって、権利保護と利用促進のバランスをいかに実現するか、これは永遠の課題です。しかし、今回の改正は、その調整に多様な手法があることを明確に示しました。その意味で、今回の改正を機に、著作権法の制度論は、これはやや大げさかもしれませんが、新時代に入ったと言えるかもしれません。もちろん、我々研究者がこれは画期的だと幾ら申し上げましても、現実社会に効果がなければ意味がありません。ただ、今回の改正によって整備された権利制限規定は、先ほどお話ししたAI開発や機械学習のための規定のように、我が国におけるイノベーション促進に具体的で実践的な効果をもたらすものと私は確信しています。
もちろん、今回の改正法の内容は、いずれも権利制限というものであります。したがって、一見すると、これは権利の切下げばかりではないかと受け止められるかもしれません。また、結果として権利者の利益を不当に害しないかといった御懸念もあるのかもしれません。しかし、今回の改正法の内容は、あくまで権利者の利益を不当に害しないことを条件とするなど、権利保護に対する制度上の配慮は十分なされているものと認識しております。
ただ、一般論として、改正法の適切な運用、これは求められるというのはもう当然のことかと思います。そのため、既に衆議院の方でも、教育の情報化に伴う補償金の適正な徴収、分配や権利制限規定に関するガイドラインの策定など必要な措置を講じるべきことを内容とする附帯決議が行われたものと承知しており、そうした点は今後の課題となろうかと存じます。
なお、今回の改正は従来の改正に比べれば比較的規模が大きいものです。そして議論の集大成でもあります。したがって、これが実現しますと、それなりに一段落するようなところがあるかもしれません。ただ、著作権制度というのは、常に社会や技術の変化への対応が求められる運命にあります。そのため、将来に向けて我が国著作権制度を絶えず検証し続けていく必要があります。
ちなみに、現行著作権法は昭和四十五年に制定されたものです。したがって、二〇二〇年には制定五十周年を迎えます。だからというわけではありませんけれども、将来の我が国にとってあるべき著作権法の姿を国際的な視野も広げつつこれからも追求していくことが重要ではないかと思っております。この点を強調いたしまして、私からのコメントとさせていただきます。
どうもありがとうございました。
高
宇
宇野和博#9
○参考人(宇野和博君) 筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野和博と申します。本日はこのような場を与えていただき、ありがとうございます。
私からは、障害当事者の立場から、著作権法第三十七条の改正案と読書のバリアフリー化について意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
今回の法改正は、二〇一三年、国連の世界知的所有権機関で採択されたマラケシュ条約がきっかけになっています。ですので、この法改正は、マラケシュ条約に批准するための国内法整備という側面と、これまで障害者の読書の足かせとなってきた問題の解決、両方が含まれています。よって、マラケシュ条約に批准することも、それに伴い著作権法を改正していただくことも大変有り難いことだと思っております。
著作権法改正に関し、障害者団体から要望された事項は三点あります。
一点目は、マラケシュ条約が定義する受益者と三十七条三項の権利制限対象者を一致させることです。これまで視覚障害者や文字の読み書きに困難のある発達障害者が権利制限の対象とされてきましたが、ここに、寝たきりや上肢に障害のある方、眼球使用困難者を加えることはマラケシュ条約に批准するためには必須事項と言えます。
二点目は、これまで認められてきた自動公衆送信に加え公衆送信が認められることです。これにより、図書館などからメールサービスなどによって障害者に情報が発信できるようになります。
三点目は、法改正ではなく、政令の改正事項になります。これまでボランティア団体や社会福祉協議会、障害者団体は政令にありませんでしたので、別途、文化庁長官の指定を受けない限り、著作権者の許諾を得なければ音訳や拡大写本に取り組むことができませんでした。これは、障害児教育の現場においても教材入手の足かせとなっておりました。
例えば、全盲の生徒のための点字教材はインターネット上のデータベース、サピエにそれなりの数が上がっているのですが、弱視生徒のための参考書や問題集の拡大版となると、著作権許諾の問題が足かせとなり、ほとんど整備することはできませんでした。これらのボランティア団体が政令で定められることは、障害児教育の現場においても大きな意義があると考えております。
ここで、法改正のきっかけとなったマラケシュ条約について少し触れさせていただきます。
マラケシュ条約の目的は、著作物を利用する機会を促進する、つまり障害者の読書環境を整えていくことにあります。既に三十七か国が批准しています。条約は、大きく二つのことを締約国に求めています。一つは著作権の制限や例外規定を設けること、もう一つは障害者が読書可能な図書データを国境を越えてやり取りできるようにすることです。
しかし、私は、ここで条約批准に魂を入れるためにもう一つ大事なことがあると考えております。それが条約の前文に書かれています。たとえ著作権を制限したとしても、障害者が利用可能な著作物は不足している、障害者が利用可能な形式に変えていくには相当な資源が必要であるということです。
例えば、ここに一冊の本があり、これは著作権フリーですよと言われても、私にとってはただの紙の束にしかすぎません。誰かに点字か音声か拡大か電子データにしていただく必要があるわけです。つまり、障害者の読書環境を整えていくということには、著作権を制限するだけでなく、障害者が読める媒体をいかに増やしていくかという取組の両輪が必要になるということです。
それでは、一体、今、日本には障害者が読める本はどれくらいあるのでしょうか。現在、全国の点字図書館で作成された点訳図書や録音図書は、インターネット上のサピエにアップされています。また、国立国会図書館は数年前から全国の主に公共図書館で作成された図書データを収集し始めています。このサピエと国会図書館のデータを合わせると、点訳図書でおよそ十九万タイトル、録音図書で約九万タイトル、それ以外の媒体は一万タイトル以下という状況です。世界盲人連合は、障害者の読める本を、途上国で一%未満、先進国で七%と推計しています。現在、国立国会図書館に納本されている本は既に一千万タイトルを超えていますので、この数と比べると、点字図書は約二%弱、録音図書は一%弱ということになります。
それでは、障害者が読める本をどのように増やしていったらよいのでしょうか。大切な理念は、障害のない人と同じように本を買う自由と借りる権利を確立していくことにあると思います。
まず、本を買う自由についてです。以前はデジタル技術もありませんでしたので、発売された本は、ボランティアにお願いし、点字、拡大、音声にしていただくほかはありませんでした。これらの作業には一定の期間が掛かりますので、発売日当日に障害者が本を読めるということはありませんでした。ここでもし発売日にテキストデータを売っていただけるのでしたら、今の時代、実は障害当事者でも瞬時に点字に変換したり、合成音声で聞いたり、画面上で拡大したりすることができます。つまり、誰の手も借りないで、テキストデータをベースとしたワンソース・マルチユースが可能ということです。
一方、現在の出版社の合理的な配慮に関する取組についてですが、ごく一部の本にはテキスト引換券が付いています。また、電子書籍の中には合成音声で読み上げするものもありますが、そうでないものもたくさんあります。障害者が読める媒体を販売していただく、それを促進していただくというのは、出版社、障害者双方にとってウイン・ウインになることですので、何らかの形で政策上の後押しをしていただければと思います。
次に、借りる権利についてです。今、条約批准に伴い最も考えなければならないのは、新たに受益者となる寝たきりや上肢に障害のある方の読書を誰がどのように保障するかということです。長年の歴史がある視覚障害者の読書については、視覚障害者情報提供施設、いわゆる点字図書館が大きな役割を果たしてきました。では、寝たきりや上肢障害者のために新たに情報提供施設をつくるかとなりますと、これは現実的ではありません。
それでは、点字図書館にその役割を担ってもらうかという考え方もあります。しかし、二〇〇九年に著作権法が改正され、読み書きに困難のある発達障害者が権利制限の対象者に加えられましたが、その後、発達障害者の点字図書館の利用はほとんどないという実態から考えても、これも現実的な解決とは言えません。
結論としては、公共図書館、学校図書館、大学図書館といった法律上の図書館に障害者サービスを充実させていっていただきたいと考えております。
約二年前の四月に施行された障害者差別解消法にも、障害者への合理的な配慮の提供義務が明記されております。しかし、公共図書館の障害者サービスの実態は、一部の図書館を除き、まだまだ十分とは言えない状況にあります。これは、各自治体において予算が削減され、サービスを充実したくてもできないという側面もあるようです。
学校図書館については、盲学校でさえ、年会費四万円の問題もあり、サピエに加入できていないところもあります。また、文部科学省はインクルーシブ教育を推進していますが、地域の学校に在籍する障害児の読書環境は特別支援学校よりも更に手薄になっていると言えます。
大学図書館については、せっかく国立国会図書館にデータをアップし全国で共有する仕組みがあるにもかかわらず、そこにデータをアップしている大学は僅か六大学にとどまっています。つまり、それぞれの大学でテキスト化されたデータはその障害学生支援室又は図書館に眠っており、大変もったいない状況になっています。点から線、線から面へと障害学生の教材保障のサポート体制を広げていく必要があると思います。
このように、図書館が障害者サービスを充実させていく鍵は、インターネット上のネットワークの整備にあります。その縁の下の力持ちになっていただきたいのは、国立国会図書館関西館と考えています。そして、障害者が読書可能なデータを全て関西館に蓄積していくということです。その上で、点字図書館、学校図書館、大学図書館、公共図書館がネットワーク化できれば、子供も大人も、どこに住んでいたとしても、近くの図書館に行けば日本で制作された全てのアクセシブルなデータに出会えるということになるわけです。
今、サピエに約七万タイトルの録音図書がありますが、これらは寝たきりや上肢に障害のある方にもきっと楽しんでいただけるものだと思います。しかし、残念ながら、サピエのデータは国会図書館には流れないという仕組みになっています。また、全国に約三千二百ある公共図書館のうち、サピエに加入しているのはおよそ百六十にとどまっています。
一方、サピエの財政も脆弱で、システムを管理していくための費用は厚生労働省からの補助金で賄われていますが、運営費はありませんので、実際は会員からの寄附や加盟図書館の年会費で賄われているという実情があります。
今後ネットワークを整備していくためには、省庁を横断した協議の場が必要であると考えております。といいますのは、サピエは厚生労働省、学校図書館、大学図書館、公共図書館は文部科学省、国立国会図書館は立法府の所管になっているからです。省庁の垣根を越えて、障害者の理想的な電子図書館はどうあるべきか、障害当事者を交えて今後検討していっていただきたいと考えております。
少し外国に目を向けてみますと、アメリカには日本のサピエのようにブックシェアというデータベースがあります。最初はスキャナーで読み取った不完全なデータの共有から始まったそうですが、その後、出版社がデータを提供するようになり、今は完全なデータが読めるようになっているそうです。また、フランスには、障害者が国立図書館に申し出れば出版社からデータが提供され、それが図書館を通して障害者に届けられるという仕組みが法律で定められているそうです。
これからの高齢化社会を見据え、誰もが図書に親しめるようにするにはどうしていったらいいのか、出版社にはどこまで協力がお願いできるのか、これらの課題を含め、読書のバリアフリー化に資するような施策を検討していっていただきますようお願いいたします。
障害者にとって読書は、教養や娯楽という側面だけでなく障害者の教育や就労を支える大切な基礎的環境整備とも言えます。是非、先生方のますますの御理解をお願いしつつ、私の話を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私からは、障害当事者の立場から、著作権法第三十七条の改正案と読書のバリアフリー化について意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
今回の法改正は、二〇一三年、国連の世界知的所有権機関で採択されたマラケシュ条約がきっかけになっています。ですので、この法改正は、マラケシュ条約に批准するための国内法整備という側面と、これまで障害者の読書の足かせとなってきた問題の解決、両方が含まれています。よって、マラケシュ条約に批准することも、それに伴い著作権法を改正していただくことも大変有り難いことだと思っております。
著作権法改正に関し、障害者団体から要望された事項は三点あります。
一点目は、マラケシュ条約が定義する受益者と三十七条三項の権利制限対象者を一致させることです。これまで視覚障害者や文字の読み書きに困難のある発達障害者が権利制限の対象とされてきましたが、ここに、寝たきりや上肢に障害のある方、眼球使用困難者を加えることはマラケシュ条約に批准するためには必須事項と言えます。
二点目は、これまで認められてきた自動公衆送信に加え公衆送信が認められることです。これにより、図書館などからメールサービスなどによって障害者に情報が発信できるようになります。
三点目は、法改正ではなく、政令の改正事項になります。これまでボランティア団体や社会福祉協議会、障害者団体は政令にありませんでしたので、別途、文化庁長官の指定を受けない限り、著作権者の許諾を得なければ音訳や拡大写本に取り組むことができませんでした。これは、障害児教育の現場においても教材入手の足かせとなっておりました。
例えば、全盲の生徒のための点字教材はインターネット上のデータベース、サピエにそれなりの数が上がっているのですが、弱視生徒のための参考書や問題集の拡大版となると、著作権許諾の問題が足かせとなり、ほとんど整備することはできませんでした。これらのボランティア団体が政令で定められることは、障害児教育の現場においても大きな意義があると考えております。
ここで、法改正のきっかけとなったマラケシュ条約について少し触れさせていただきます。
マラケシュ条約の目的は、著作物を利用する機会を促進する、つまり障害者の読書環境を整えていくことにあります。既に三十七か国が批准しています。条約は、大きく二つのことを締約国に求めています。一つは著作権の制限や例外規定を設けること、もう一つは障害者が読書可能な図書データを国境を越えてやり取りできるようにすることです。
しかし、私は、ここで条約批准に魂を入れるためにもう一つ大事なことがあると考えております。それが条約の前文に書かれています。たとえ著作権を制限したとしても、障害者が利用可能な著作物は不足している、障害者が利用可能な形式に変えていくには相当な資源が必要であるということです。
例えば、ここに一冊の本があり、これは著作権フリーですよと言われても、私にとってはただの紙の束にしかすぎません。誰かに点字か音声か拡大か電子データにしていただく必要があるわけです。つまり、障害者の読書環境を整えていくということには、著作権を制限するだけでなく、障害者が読める媒体をいかに増やしていくかという取組の両輪が必要になるということです。
それでは、一体、今、日本には障害者が読める本はどれくらいあるのでしょうか。現在、全国の点字図書館で作成された点訳図書や録音図書は、インターネット上のサピエにアップされています。また、国立国会図書館は数年前から全国の主に公共図書館で作成された図書データを収集し始めています。このサピエと国会図書館のデータを合わせると、点訳図書でおよそ十九万タイトル、録音図書で約九万タイトル、それ以外の媒体は一万タイトル以下という状況です。世界盲人連合は、障害者の読める本を、途上国で一%未満、先進国で七%と推計しています。現在、国立国会図書館に納本されている本は既に一千万タイトルを超えていますので、この数と比べると、点字図書は約二%弱、録音図書は一%弱ということになります。
それでは、障害者が読める本をどのように増やしていったらよいのでしょうか。大切な理念は、障害のない人と同じように本を買う自由と借りる権利を確立していくことにあると思います。
まず、本を買う自由についてです。以前はデジタル技術もありませんでしたので、発売された本は、ボランティアにお願いし、点字、拡大、音声にしていただくほかはありませんでした。これらの作業には一定の期間が掛かりますので、発売日当日に障害者が本を読めるということはありませんでした。ここでもし発売日にテキストデータを売っていただけるのでしたら、今の時代、実は障害当事者でも瞬時に点字に変換したり、合成音声で聞いたり、画面上で拡大したりすることができます。つまり、誰の手も借りないで、テキストデータをベースとしたワンソース・マルチユースが可能ということです。
一方、現在の出版社の合理的な配慮に関する取組についてですが、ごく一部の本にはテキスト引換券が付いています。また、電子書籍の中には合成音声で読み上げするものもありますが、そうでないものもたくさんあります。障害者が読める媒体を販売していただく、それを促進していただくというのは、出版社、障害者双方にとってウイン・ウインになることですので、何らかの形で政策上の後押しをしていただければと思います。
次に、借りる権利についてです。今、条約批准に伴い最も考えなければならないのは、新たに受益者となる寝たきりや上肢に障害のある方の読書を誰がどのように保障するかということです。長年の歴史がある視覚障害者の読書については、視覚障害者情報提供施設、いわゆる点字図書館が大きな役割を果たしてきました。では、寝たきりや上肢障害者のために新たに情報提供施設をつくるかとなりますと、これは現実的ではありません。
それでは、点字図書館にその役割を担ってもらうかという考え方もあります。しかし、二〇〇九年に著作権法が改正され、読み書きに困難のある発達障害者が権利制限の対象者に加えられましたが、その後、発達障害者の点字図書館の利用はほとんどないという実態から考えても、これも現実的な解決とは言えません。
結論としては、公共図書館、学校図書館、大学図書館といった法律上の図書館に障害者サービスを充実させていっていただきたいと考えております。
約二年前の四月に施行された障害者差別解消法にも、障害者への合理的な配慮の提供義務が明記されております。しかし、公共図書館の障害者サービスの実態は、一部の図書館を除き、まだまだ十分とは言えない状況にあります。これは、各自治体において予算が削減され、サービスを充実したくてもできないという側面もあるようです。
学校図書館については、盲学校でさえ、年会費四万円の問題もあり、サピエに加入できていないところもあります。また、文部科学省はインクルーシブ教育を推進していますが、地域の学校に在籍する障害児の読書環境は特別支援学校よりも更に手薄になっていると言えます。
大学図書館については、せっかく国立国会図書館にデータをアップし全国で共有する仕組みがあるにもかかわらず、そこにデータをアップしている大学は僅か六大学にとどまっています。つまり、それぞれの大学でテキスト化されたデータはその障害学生支援室又は図書館に眠っており、大変もったいない状況になっています。点から線、線から面へと障害学生の教材保障のサポート体制を広げていく必要があると思います。
このように、図書館が障害者サービスを充実させていく鍵は、インターネット上のネットワークの整備にあります。その縁の下の力持ちになっていただきたいのは、国立国会図書館関西館と考えています。そして、障害者が読書可能なデータを全て関西館に蓄積していくということです。その上で、点字図書館、学校図書館、大学図書館、公共図書館がネットワーク化できれば、子供も大人も、どこに住んでいたとしても、近くの図書館に行けば日本で制作された全てのアクセシブルなデータに出会えるということになるわけです。
今、サピエに約七万タイトルの録音図書がありますが、これらは寝たきりや上肢に障害のある方にもきっと楽しんでいただけるものだと思います。しかし、残念ながら、サピエのデータは国会図書館には流れないという仕組みになっています。また、全国に約三千二百ある公共図書館のうち、サピエに加入しているのはおよそ百六十にとどまっています。
一方、サピエの財政も脆弱で、システムを管理していくための費用は厚生労働省からの補助金で賄われていますが、運営費はありませんので、実際は会員からの寄附や加盟図書館の年会費で賄われているという実情があります。
今後ネットワークを整備していくためには、省庁を横断した協議の場が必要であると考えております。といいますのは、サピエは厚生労働省、学校図書館、大学図書館、公共図書館は文部科学省、国立国会図書館は立法府の所管になっているからです。省庁の垣根を越えて、障害者の理想的な電子図書館はどうあるべきか、障害当事者を交えて今後検討していっていただきたいと考えております。
少し外国に目を向けてみますと、アメリカには日本のサピエのようにブックシェアというデータベースがあります。最初はスキャナーで読み取った不完全なデータの共有から始まったそうですが、その後、出版社がデータを提供するようになり、今は完全なデータが読めるようになっているそうです。また、フランスには、障害者が国立図書館に申し出れば出版社からデータが提供され、それが図書館を通して障害者に届けられるという仕組みが法律で定められているそうです。
これからの高齢化社会を見据え、誰もが図書に親しめるようにするにはどうしていったらいいのか、出版社にはどこまで協力がお願いできるのか、これらの課題を含め、読書のバリアフリー化に資するような施策を検討していっていただきますようお願いいたします。
障害者にとって読書は、教養や娯楽という側面だけでなく障害者の教育や就労を支える大切な基礎的環境整備とも言えます。是非、先生方のますますの御理解をお願いしつつ、私の話を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
高
山
山田健太#11
○参考人(山田健太君) 専修大学の山田健太です。
今般の著作権改正案については、国会等の議論を拝見する中で気に掛かる点がありました。そうした中で、当委員会におきまして意見陳述の機会をいただきましたことについて、大変感謝申し上げます。
本日は、言論法、情報法の研究者の立場からのお話をさせていただきたいと思っておりますが、あわせて、表現者の集まりであります日本ペンクラブの会員としての経験についても御披露させていただけることで、高階委員長を始めといたしまして、委員各位の今後の御議論の素材にしていただければ大変幸いに存じます。
さて、著作権法は法律の中でも非常に頻繁に改正が行われる法律でございます。ただし、今回の法律改正は極めて著作権法の基本的な考え方を変更するものでありまして、それだけに大きな転換点になるものであります。したがいまして、是非とも慎重な、いつも以上に慎重な御議論がいただければと思っているところであります。
委員の皆様に初めにお伝えしたいことは、みんなのためとはどういうことかということであります。言うまでも、著作権法とは、著作者が自らの創造物を我が子のようにいとおしく思う気持ち、これを権利化したものであります。同時に、その気持ちを大事に保護することが次の創造物を生み出す原動力にもなるわけです。これは豊かな表現活動そのものであります。そして同時に、この表現物が同時代あるいは後世の人々の創造的活動を刺激することで更に新しい創造物が生まれていくことになります。あるいは、こうした表現物を見る、聞く、触れることによってその人の人格的成長が実現するのでありまして、これもまた表現の自由の大切な大きな理由であります。こうした社会全体の、あるいは人類全体の自由闊達な表現活動の実現のために、いとおしく思う気持ちはあるにせよ、少しだけ我慢してもらうということで権利制限がなされているということになります。それが人類全体の進歩に貢献すると考えられるからであります。
いずれにせよ、このように著作権というのは、もうかる、もうからないというビジネスの話である前に表現の自由の問題であり、それがベースになって考えられる必要があるということをまず御理解いただければと思います。そして、そこからおのずと最初の問いであるみんなのための落としどころが見えてくることになると思います。
それからすると、今般の著作権法改正は表現の自由の立場から大きな疑問が残る点があります。
繰り返しになりますが、著作権法は表現者の人格権を保護する一方、文化の継承を図るための知恵であります。また、市民の知る権利や表現活動を守るという意味で、表現の自由のための法制度というふうに言っても構いません。そして、この表現の自由はガラスの城であり、一度壊れたら復元不可能であるというのが大きな特徴であります。とりわけ、私たち日本の社会におきましては、いわゆる日本型表現の自由モデルなるものが確立しておりまして、そのルール、原則にのっとって各種の法制度は基本構造、枠組みを維持しているという現状がございます。
では、この日本型表現の自由モデルとはどういうものか、ごく簡単にお示ししたいと思います。
一つ目には、ただし書がない絶対的な自由の保障であります。
よくアリの一穴を認めないという言い方をしますが、先般の戦争の教訓から包括的な例外を一切設けていないというのが日本の憲法の大きな特徴でございます。その中で、内在的な制約を業界自主規制によって実現し、バランスを取っているというのが一般的な方法であります。同時にまた、公権力の謙抑性が非常に良き伝統として利いているということもあります。
こうした表現の自由の大原則を大切にする、この原則にのっとりながら個別の法制度を構築していくことが必要であるということになります。それからすると、この著作権法改正を考える場合にも、いわゆるよく議論されているような米国型の著作権制度が唯一の選択肢ではないことが見えてきます。
そして、もう一つ重要なのは、文化政策としての著作権法制度を貫徹させる必要があるという点であります。
さて、これらを考えていく上で、少し具体的な話をさせていただきます。時計の針を十五年ほど戻していただくことになると思います。
二〇〇四年、グーグルが図書館プロジェクトを開始いたしました。いわゆる全ての人が自宅にいながらにして全ての本を読むことができるというプロジェクトであります。このプロジェクトをサービスするに当たりまして、ブックサーチ、すなわち図書検索サービスが始まります。この始まった中で、著作物を著者に無断で全文スキャニングをし、それをテキストデータと化して検索できるようにすることとともに検索結果の該当箇所を表示することが問題視され、訴訟になりました。まさに、現在議論されているフェアユースがどこまで許されるのか、著作物を自由にスキャニングして、企業がそれを自らの企業活動のために利活用することが許されるのかの問題の原点があるわけです。
そして、二〇一〇年二月十八日、少し大げさに言えば、私は日本を代表し、米国連邦裁判所のニューヨーク地裁におりました。そこで私たちは幾つかの教訓を得ることができました。まず一つ目には、このようにいわゆるスキャニングをし、それを利活用するという行為が問題であると考えるのは日本だけではないということであります。この法廷の場にはフランスやドイツの政府代表がいまして、意見陳述をしていました。まさに自国の文化を守るために闘っていたということであります。あるいは、アメリカの裁判所は、ペンクラブの意見書をほぼ全面的に採用し、グーグルの事業にストップが掛かりました。
よく無理が通れば道理が引っ込むということわざがありますが、実際はきちんと道理が通るということも証明されたわけであります。こうして考えると、いわゆる大きな恐竜に対するアリのような存在であったと思いますけれども、きちんと、文化にとって利便性、効率性が全てではない、あるいは一旦立ち止まって考えることが重要であるということが分かったわけであります。
その裁判を通じまして幾つかの確認がされました。一つは、やはりオプトイン原則が大事だと。すなわち、著作物に関しては、著作者の許諾なしに勝手にスキャニングをする、あるいは勝手にそれを利用するというのはよくないんだということの再確認であります。そしてまた、どう使うかということではなくて、そもそもスキャニングすること自体が問題であるということになりました。その延長線上として、もしそのコピー、複製を使う場合には極めて限定的に許諾をしていきましょうということになったわけでありまして、この考え方はこの著作権法改正の前回の改正に生かされているということになります。
その上で、今回の改正法案について考えてみたいと思います。
非常に分かりやすく考えると、今回は一層、二層、三層という形でレイヤーに分けて議論を進めています。日本型フェアユースというふうに呼ぶのか呼ばないのかということも含めていろんな議論がありますが、ごく分かりやすく考えれば、第一層目に関しては、フェアユースを導入をすると。これに比べて、第三層に関しては、フェアユースを導入するのではなくて、これまでの著作権法で定められた限定列挙の例外を拡大していくんだという考え方、そして第二層に関しては、いわゆるフェアユース風の規定を作ろうということであろうというふうに理解できます。
そう考えた場合に、一体この著作権の保護と文化の継承のバランスの取り方がいいのであるかということが問題になるわけであります。全体に考えた場合に、お手元の紙にもありますとおり、結果としては、少し言い方は乱暴ではありますが、こっそりとスキャニングをして利活用するのはいいけれども、大っぴらにそれを堂々と使うのは駄目ですよということになっているわけであります。
本当にその方法がいいのかどうか、これによっていわゆる先ほど言ったようなオプトインの原則が事実上空洞化するのではないかという問題性であります。現在は極めて限定的に複製を認めているということになりますが、そのいわゆる現状が、業界ルールが置き去りになり、事実上その政令の委任によって包括的な除外というものも起きますし、同時に公権力の謙抑性というものも薄まっていくのではないかということを心配するわけであります。
あるいは、全データが集積、集中化する中で、自分の著作物が、誰が一体保持しているのか、どういうふうに使っているのかという問題についても分からないという状況が生まれがちになります。これは著作権者の人格権を毀損する可能性すらあるというふうに言えると思います。
それからすると、例えば第一層でいうならば包括規定、あるいは利用方法の無限定化ということについてはより一層の御議論をしていただく必要があるのではないかというふうに思いますし、これはまさに一番最初にお話ししました、いわゆる日本型表現の自由でいう原則と例外というものが逆転する可能性すらあるのではないかということであります。
更に言いますと、とりわけ第二層について大きな問題があると考えております。すなわち、現在認められていないサービスとしまして所在検索サービスや情報解析サービスが挙げられ、このような書籍検索や論文剽窃検証をできるようにしましょうというのが今回の分かりやすい具体的な解決策として示されております。
すなわちこれは、先ほどのグーグルブック検索訴訟の話からしますと、米国型のフェアユースは導入しないと言いながら事実上のフェアユース規定を導入するということに近いのではないかというふうに思うわけであります。
すなわち、まず第一に、いずれにせよ著作物を全文スキャニングする、しかもそのスキャニングは著作者に無断ですることについて許容する、許諾をするという問題性が残ります。さらに、スナペットの表示に関しても、どこまでそのスナペットの表示にするかについては法律上の明記がなくて、事実上政令若しくは運用によって決まっていくという状況があり、なし崩しで多くの表示がなされる、やはり重要な検索表示が自由にできるということにつながりかねません。更に言うならば、情報解析のサービスにおいては、事実上の内容チェックというものがAI技術との関連の中でできていくだろうということも考えられます。それからすると、今我々が大事にしてきた日本型表現の自由のモデルというものが事実上崩れていくという可能性があるんではないかということであります。
最後に、文化政策の点でも一言だけお話をしておきたいと思います。
この今回の議論の中では、幾度か著作権の保護と著作物の公正な利用のバランスで文化の発展を図るというふうな文言が出てまいります。ただ、実際は、大事なのは著作権の保護と文化の継承のバランスの結果としてその著作物の公正利用を図るというのが大事なポイントでありまして、この二つは似たような文章でありますけれども、微妙に違うんではないかというふうに考えております。
あくまでも、今日お話をしましたように、大事なのは表現の自由という基本的な考え方に基づいてどういう形でするのが一番人類全体の表現活動が活発化できるかということであって、その上でイノベーションの創造や経済的な活動の利活用ということが考えられてしかるべきだろうと思いますので、それからすると、著作権の保護と経済的な利便性というものをバランシングするというそのバランスの立て方は、どうも今回の表現の自由の考え方からすると違うのではないかということを思うわけであります。
その中で、このペーパーにありますように、公正な利用というものは実際上はこのフェアユース、事実上パブリックユース、みんなのための利用というふうになっておりますけれども、このみんなのための利用というのが事実上は国家繁栄というか、あるいは経済の成長という形の国の利益というものにつながりかねないというふうに思うわけで、本当であれば、このフェアユースという考え方はいかに多様性を維持するか、多様性を確保するかというものでなくてはいけない、そのための豊かなコンテンツの実現がなくてはいけない。そのためには、やはり自由な表現活動の基盤であるとか多様な情報流通の維持であるとか、そういう数字で表れないものを大切にしていくような形での議論をより一層深めていただきたいというふうに思い、私の話を閉じさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →今般の著作権改正案については、国会等の議論を拝見する中で気に掛かる点がありました。そうした中で、当委員会におきまして意見陳述の機会をいただきましたことについて、大変感謝申し上げます。
本日は、言論法、情報法の研究者の立場からのお話をさせていただきたいと思っておりますが、あわせて、表現者の集まりであります日本ペンクラブの会員としての経験についても御披露させていただけることで、高階委員長を始めといたしまして、委員各位の今後の御議論の素材にしていただければ大変幸いに存じます。
さて、著作権法は法律の中でも非常に頻繁に改正が行われる法律でございます。ただし、今回の法律改正は極めて著作権法の基本的な考え方を変更するものでありまして、それだけに大きな転換点になるものであります。したがいまして、是非とも慎重な、いつも以上に慎重な御議論がいただければと思っているところであります。
委員の皆様に初めにお伝えしたいことは、みんなのためとはどういうことかということであります。言うまでも、著作権法とは、著作者が自らの創造物を我が子のようにいとおしく思う気持ち、これを権利化したものであります。同時に、その気持ちを大事に保護することが次の創造物を生み出す原動力にもなるわけです。これは豊かな表現活動そのものであります。そして同時に、この表現物が同時代あるいは後世の人々の創造的活動を刺激することで更に新しい創造物が生まれていくことになります。あるいは、こうした表現物を見る、聞く、触れることによってその人の人格的成長が実現するのでありまして、これもまた表現の自由の大切な大きな理由であります。こうした社会全体の、あるいは人類全体の自由闊達な表現活動の実現のために、いとおしく思う気持ちはあるにせよ、少しだけ我慢してもらうということで権利制限がなされているということになります。それが人類全体の進歩に貢献すると考えられるからであります。
いずれにせよ、このように著作権というのは、もうかる、もうからないというビジネスの話である前に表現の自由の問題であり、それがベースになって考えられる必要があるということをまず御理解いただければと思います。そして、そこからおのずと最初の問いであるみんなのための落としどころが見えてくることになると思います。
それからすると、今般の著作権法改正は表現の自由の立場から大きな疑問が残る点があります。
繰り返しになりますが、著作権法は表現者の人格権を保護する一方、文化の継承を図るための知恵であります。また、市民の知る権利や表現活動を守るという意味で、表現の自由のための法制度というふうに言っても構いません。そして、この表現の自由はガラスの城であり、一度壊れたら復元不可能であるというのが大きな特徴であります。とりわけ、私たち日本の社会におきましては、いわゆる日本型表現の自由モデルなるものが確立しておりまして、そのルール、原則にのっとって各種の法制度は基本構造、枠組みを維持しているという現状がございます。
では、この日本型表現の自由モデルとはどういうものか、ごく簡単にお示ししたいと思います。
一つ目には、ただし書がない絶対的な自由の保障であります。
よくアリの一穴を認めないという言い方をしますが、先般の戦争の教訓から包括的な例外を一切設けていないというのが日本の憲法の大きな特徴でございます。その中で、内在的な制約を業界自主規制によって実現し、バランスを取っているというのが一般的な方法であります。同時にまた、公権力の謙抑性が非常に良き伝統として利いているということもあります。
こうした表現の自由の大原則を大切にする、この原則にのっとりながら個別の法制度を構築していくことが必要であるということになります。それからすると、この著作権法改正を考える場合にも、いわゆるよく議論されているような米国型の著作権制度が唯一の選択肢ではないことが見えてきます。
そして、もう一つ重要なのは、文化政策としての著作権法制度を貫徹させる必要があるという点であります。
さて、これらを考えていく上で、少し具体的な話をさせていただきます。時計の針を十五年ほど戻していただくことになると思います。
二〇〇四年、グーグルが図書館プロジェクトを開始いたしました。いわゆる全ての人が自宅にいながらにして全ての本を読むことができるというプロジェクトであります。このプロジェクトをサービスするに当たりまして、ブックサーチ、すなわち図書検索サービスが始まります。この始まった中で、著作物を著者に無断で全文スキャニングをし、それをテキストデータと化して検索できるようにすることとともに検索結果の該当箇所を表示することが問題視され、訴訟になりました。まさに、現在議論されているフェアユースがどこまで許されるのか、著作物を自由にスキャニングして、企業がそれを自らの企業活動のために利活用することが許されるのかの問題の原点があるわけです。
そして、二〇一〇年二月十八日、少し大げさに言えば、私は日本を代表し、米国連邦裁判所のニューヨーク地裁におりました。そこで私たちは幾つかの教訓を得ることができました。まず一つ目には、このようにいわゆるスキャニングをし、それを利活用するという行為が問題であると考えるのは日本だけではないということであります。この法廷の場にはフランスやドイツの政府代表がいまして、意見陳述をしていました。まさに自国の文化を守るために闘っていたということであります。あるいは、アメリカの裁判所は、ペンクラブの意見書をほぼ全面的に採用し、グーグルの事業にストップが掛かりました。
よく無理が通れば道理が引っ込むということわざがありますが、実際はきちんと道理が通るということも証明されたわけであります。こうして考えると、いわゆる大きな恐竜に対するアリのような存在であったと思いますけれども、きちんと、文化にとって利便性、効率性が全てではない、あるいは一旦立ち止まって考えることが重要であるということが分かったわけであります。
その裁判を通じまして幾つかの確認がされました。一つは、やはりオプトイン原則が大事だと。すなわち、著作物に関しては、著作者の許諾なしに勝手にスキャニングをする、あるいは勝手にそれを利用するというのはよくないんだということの再確認であります。そしてまた、どう使うかということではなくて、そもそもスキャニングすること自体が問題であるということになりました。その延長線上として、もしそのコピー、複製を使う場合には極めて限定的に許諾をしていきましょうということになったわけでありまして、この考え方はこの著作権法改正の前回の改正に生かされているということになります。
その上で、今回の改正法案について考えてみたいと思います。
非常に分かりやすく考えると、今回は一層、二層、三層という形でレイヤーに分けて議論を進めています。日本型フェアユースというふうに呼ぶのか呼ばないのかということも含めていろんな議論がありますが、ごく分かりやすく考えれば、第一層目に関しては、フェアユースを導入をすると。これに比べて、第三層に関しては、フェアユースを導入するのではなくて、これまでの著作権法で定められた限定列挙の例外を拡大していくんだという考え方、そして第二層に関しては、いわゆるフェアユース風の規定を作ろうということであろうというふうに理解できます。
そう考えた場合に、一体この著作権の保護と文化の継承のバランスの取り方がいいのであるかということが問題になるわけであります。全体に考えた場合に、お手元の紙にもありますとおり、結果としては、少し言い方は乱暴ではありますが、こっそりとスキャニングをして利活用するのはいいけれども、大っぴらにそれを堂々と使うのは駄目ですよということになっているわけであります。
本当にその方法がいいのかどうか、これによっていわゆる先ほど言ったようなオプトインの原則が事実上空洞化するのではないかという問題性であります。現在は極めて限定的に複製を認めているということになりますが、そのいわゆる現状が、業界ルールが置き去りになり、事実上その政令の委任によって包括的な除外というものも起きますし、同時に公権力の謙抑性というものも薄まっていくのではないかということを心配するわけであります。
あるいは、全データが集積、集中化する中で、自分の著作物が、誰が一体保持しているのか、どういうふうに使っているのかという問題についても分からないという状況が生まれがちになります。これは著作権者の人格権を毀損する可能性すらあるというふうに言えると思います。
それからすると、例えば第一層でいうならば包括規定、あるいは利用方法の無限定化ということについてはより一層の御議論をしていただく必要があるのではないかというふうに思いますし、これはまさに一番最初にお話ししました、いわゆる日本型表現の自由でいう原則と例外というものが逆転する可能性すらあるのではないかということであります。
更に言いますと、とりわけ第二層について大きな問題があると考えております。すなわち、現在認められていないサービスとしまして所在検索サービスや情報解析サービスが挙げられ、このような書籍検索や論文剽窃検証をできるようにしましょうというのが今回の分かりやすい具体的な解決策として示されております。
すなわちこれは、先ほどのグーグルブック検索訴訟の話からしますと、米国型のフェアユースは導入しないと言いながら事実上のフェアユース規定を導入するということに近いのではないかというふうに思うわけであります。
すなわち、まず第一に、いずれにせよ著作物を全文スキャニングする、しかもそのスキャニングは著作者に無断ですることについて許容する、許諾をするという問題性が残ります。さらに、スナペットの表示に関しても、どこまでそのスナペットの表示にするかについては法律上の明記がなくて、事実上政令若しくは運用によって決まっていくという状況があり、なし崩しで多くの表示がなされる、やはり重要な検索表示が自由にできるということにつながりかねません。更に言うならば、情報解析のサービスにおいては、事実上の内容チェックというものがAI技術との関連の中でできていくだろうということも考えられます。それからすると、今我々が大事にしてきた日本型表現の自由のモデルというものが事実上崩れていくという可能性があるんではないかということであります。
最後に、文化政策の点でも一言だけお話をしておきたいと思います。
この今回の議論の中では、幾度か著作権の保護と著作物の公正な利用のバランスで文化の発展を図るというふうな文言が出てまいります。ただ、実際は、大事なのは著作権の保護と文化の継承のバランスの結果としてその著作物の公正利用を図るというのが大事なポイントでありまして、この二つは似たような文章でありますけれども、微妙に違うんではないかというふうに考えております。
あくまでも、今日お話をしましたように、大事なのは表現の自由という基本的な考え方に基づいてどういう形でするのが一番人類全体の表現活動が活発化できるかということであって、その上でイノベーションの創造や経済的な活動の利活用ということが考えられてしかるべきだろうと思いますので、それからすると、著作権の保護と経済的な利便性というものをバランシングするというそのバランスの立て方は、どうも今回の表現の自由の考え方からすると違うのではないかということを思うわけであります。
その中で、このペーパーにありますように、公正な利用というものは実際上はこのフェアユース、事実上パブリックユース、みんなのための利用というふうになっておりますけれども、このみんなのための利用というのが事実上は国家繁栄というか、あるいは経済の成長という形の国の利益というものにつながりかねないというふうに思うわけで、本当であれば、このフェアユースという考え方はいかに多様性を維持するか、多様性を確保するかというものでなくてはいけない、そのための豊かなコンテンツの実現がなくてはいけない。そのためには、やはり自由な表現活動の基盤であるとか多様な情報流通の維持であるとか、そういう数字で表れないものを大切にしていくような形での議論をより一層深めていただきたいというふうに思い、私の話を閉じさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
高
高階恵美子#12
○委員長(高階恵美子君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
赤
赤池誠章#13
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。今日は参考人の方々に質問をさせていただきたいと思います。
まず、吉村参考人に御質問をさせていただきます。
経団連のお考えはよく、今日の陳述含めて理解をさせていただいております。その一方で、経団連の中でも、やはり米国型フェアユースこそ今後の科学技術の発展とともにイノベーションの創出、企業活動にとって重要だという企業もあるやに聞いております。
その辺での経団連の中での議論として、今回の法改正につきまして理解が進み、また、この法改正をてこにイノベーション創出に向けていこうという機運みたいなものがどういう現状か、教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →まず、吉村参考人に御質問をさせていただきます。
経団連のお考えはよく、今日の陳述含めて理解をさせていただいております。その一方で、経団連の中でも、やはり米国型フェアユースこそ今後の科学技術の発展とともにイノベーションの創出、企業活動にとって重要だという企業もあるやに聞いております。
その辺での経団連の中での議論として、今回の法改正につきまして理解が進み、また、この法改正をてこにイノベーション創出に向けていこうという機運みたいなものがどういう現状か、教えていただきたいと思います。
吉
吉村隆#14
○参考人(吉村隆君) 大変重要な御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、経団連にはたくさんの企業が加盟しておられますので、米国型がいいんだ、米国型こそがいいんだとおっしゃっている企業さんがあることは理解をしております。ただ、私の理解するところでは、そういうことをおっしゃっている方の方が少ないというふうに理解をしております。
というのは、先ほども御説明を申し上げましたけれども、やはり日本企業、一般には法令遵守の意識が高いので、余りにも漠然とした規定があることをもって、そこでビジネス突っ込んでいけるのかということについては、現実的にはなかなか難しいというのが現状だと理解をしております。これは私どもも十年来議論しておりますけれども、そういうのが実感だと思います。ですので、日本企業がイノベーションを起こすためには、一定程度どういう範囲なのかというのが見えるような範囲での柔軟性がある規定といったものが一番日本企業が新しいビジネスを起こしやすい、そういうものになるというふうに確信をしているところでございます。
そういう意味では、今回の法改正について会員企業の皆さんとも数多く議論をしておりますけれども、ほとんどの企業さんは今回の改正を非常に高く評価しておりますし、是非お願いしたいという意見だということでございまして、今後の日本企業のたくさんのイノベーションが起きることを確信をしているところでございます。
以上です。
この発言だけを見る →御指摘のとおり、経団連にはたくさんの企業が加盟しておられますので、米国型がいいんだ、米国型こそがいいんだとおっしゃっている企業さんがあることは理解をしております。ただ、私の理解するところでは、そういうことをおっしゃっている方の方が少ないというふうに理解をしております。
というのは、先ほども御説明を申し上げましたけれども、やはり日本企業、一般には法令遵守の意識が高いので、余りにも漠然とした規定があることをもって、そこでビジネス突っ込んでいけるのかということについては、現実的にはなかなか難しいというのが現状だと理解をしております。これは私どもも十年来議論しておりますけれども、そういうのが実感だと思います。ですので、日本企業がイノベーションを起こすためには、一定程度どういう範囲なのかというのが見えるような範囲での柔軟性がある規定といったものが一番日本企業が新しいビジネスを起こしやすい、そういうものになるというふうに確信をしているところでございます。
そういう意味では、今回の法改正について会員企業の皆さんとも数多く議論をしておりますけれども、ほとんどの企業さんは今回の改正を非常に高く評価しておりますし、是非お願いしたいという意見だということでございまして、今後の日本企業のたくさんのイノベーションが起きることを確信をしているところでございます。
以上です。
赤
赤池誠章#15
○赤池誠章君 引き続き吉村参考人にお伺いをいたしますが、今、本当にたくさんの企業が、それぞれの新たなビジネスの創出、イノベーション創出ということで、いろんなアイデア段階から、シーズ、ニーズ、様々な形で検討なさっていると思うんですが、吉村参考人が全てを知っているとは思いませんが、一通りの大きな声の中で、やりたいと思っていたことが、今回の法改正でですね、イノベーションの創出につながる、これがやりたいのにできない、今回の法改正でもできないというものがあるかないか、一点お聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →吉
吉村隆#16
○参考人(吉村隆君) ビジネスはある意味闘いですので、現状、新しく考えていること、そのときそのとき私が全部存じ上げるという立場にはないわけですけれども、ほぼほぼ今言われているニーズについては今回の法改正で手当てされるというふうに思います。
それでは不十分だという企業さん確かにいらっしゃるんですけれども、実はそういう企業さんとも議論する機会がございまして、そういう企業さんに対してはどういうビジネスやりたいんですかという御質問をすると、いや、秘密ですとおっしゃるわけですね。そうすると、いや、日本は米国型フェアユースがないからできないんだとおっしゃるわけです。であれば、アメリカでやればいいじゃないですかというふうに私はその方にはお伝えしております。日本で米国型のフェアユースができないできないと言って、もう何年も待っているわけですね、その企業さん。そんな暇があったらやれと、アメリカでやってみろと、そして逆輸入すればいいじゃないかという。何が申し上げたいかというと、意外とそうおっしゃっている企業さんも実はアイデアないのかなというのが私の実感でございます。
ですので、少なくとも今、今回の法改正で、上野先生からも非常に画期的というような御評価もございました。これでできることはすごく拡大していると思います。ですので、米国型フェアユースを主張している企業さんは是非この法律を使ってどこまでできるのかというのを、訴訟を覚悟で、司法判断、もう最後は委ねるところたくさんございますので、そこにチャレンジしていくということを、是非そういう米国型を主張される企業さんにはお勧めしたいというふうに思っているところでございます。
以上です。
この発言だけを見る →それでは不十分だという企業さん確かにいらっしゃるんですけれども、実はそういう企業さんとも議論する機会がございまして、そういう企業さんに対してはどういうビジネスやりたいんですかという御質問をすると、いや、秘密ですとおっしゃるわけですね。そうすると、いや、日本は米国型フェアユースがないからできないんだとおっしゃるわけです。であれば、アメリカでやればいいじゃないですかというふうに私はその方にはお伝えしております。日本で米国型のフェアユースができないできないと言って、もう何年も待っているわけですね、その企業さん。そんな暇があったらやれと、アメリカでやってみろと、そして逆輸入すればいいじゃないかという。何が申し上げたいかというと、意外とそうおっしゃっている企業さんも実はアイデアないのかなというのが私の実感でございます。
ですので、少なくとも今、今回の法改正で、上野先生からも非常に画期的というような御評価もございました。これでできることはすごく拡大していると思います。ですので、米国型フェアユースを主張している企業さんは是非この法律を使ってどこまでできるのかというのを、訴訟を覚悟で、司法判断、もう最後は委ねるところたくさんございますので、そこにチャレンジしていくということを、是非そういう米国型を主張される企業さんにはお勧めしたいというふうに思っているところでございます。
以上です。
赤
赤池誠章#17
○赤池誠章君 是非、今法律を、改正をてこにというか、ますます活用していただいて、経済界としてイノベーションの創出につなげていただければなというふうに思います。
続きまして、上野参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
先生は長年、まさにこの審議会の下で御活動していただいて、言ってみれば、上野先生のお考えがこの中に盛り込まれているというふうにも聞かせていただいているわけでありますが、その中で、画期的であり革新的であり新時代を創出するということで高く評価をいただいているということの中で、今後、国際的にも非常に注目を浴びて、一つの大きな、英米法、大陸法を含めて一つの、今回の日本のこの柔軟な権利規定、権利者の保護と同時に活用のモデルになるということを聞かせていただく中で、日本においても法務省を中心に法整備支援ということで様々な日本の法律を海外に輸出しようという中で、この議論を国内法にとどまらず、やっぱり海外の、日本の国際社会の中の貢献の一つとして位置付け得るのかなということも感じさせていただいておりまして、そのためにどういう形で、英語にするのか、国際会議の中でどう発信するのか、先生のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
この発言だけを見る →続きまして、上野参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
先生は長年、まさにこの審議会の下で御活動していただいて、言ってみれば、上野先生のお考えがこの中に盛り込まれているというふうにも聞かせていただいているわけでありますが、その中で、画期的であり革新的であり新時代を創出するということで高く評価をいただいているということの中で、今後、国際的にも非常に注目を浴びて、一つの大きな、英米法、大陸法を含めて一つの、今回の日本のこの柔軟な権利規定、権利者の保護と同時に活用のモデルになるということを聞かせていただく中で、日本においても法務省を中心に法整備支援ということで様々な日本の法律を海外に輸出しようという中で、この議論を国内法にとどまらず、やっぱり海外の、日本の国際社会の中の貢献の一つとして位置付け得るのかなということも感じさせていただいておりまして、そのためにどういう形で、英語にするのか、国際会議の中でどう発信するのか、先生のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
上
上野達弘#18
○参考人(上野達弘君) 御質問ありがとうございます。
ただいま委員から御指摘いただきました。大変重要な点だというふうに思っております。
国際的にも、著作権法の権利制限規定をどのように設計すべきかというのは非常に大きな課題になっております。これは我が国と問題意識を共有しているものです。数年前にも国際的なシンポジウムがこの権利制限をテーマにして数回行われました。その中では、やはり新しい時代に、新しい技術にどうやって対応するのか、そのときに権利制限規定をどれだけ柔軟なものにするのかというのが大きなテーマになっています。
もちろん、英米法系の諸国であれば、アメリカ型のフェアユースであったり、あるいはイギリス型のフェアディーリングであったり、柔軟な規定というのは元々あるわけですけれども、特に大陸法系諸国においてどのように権利制限規定を柔軟化していくかということについて悩んでいるわけであります。私もそれで随分議論に参加してまいりました。大陸法系諸国でアメリカ型のフェアユース規定を導入している国というのは、私の知る限り、韓国と台湾ぐらいしかないと思います。
したがって、どういう形で柔軟な規定を導入するかというのが問題となっている中、今回の日本の新しい規定は、明確性と柔軟性を兼備したような新しい形の権利制限規定を提案するものでありますので、これはかなり国際的に注目を浴びるものだと思っております。ただ、難しいのは、先ほど委員からも御指摘がございましたように、これを英語に訳すときに、表現の享受をするとかというのはこれどのように訳すのかと。これは平成二十一年の報告書のときからありましたので、私もドイツにおりましたときにそれをどのように翻訳しようかというふうに悩んだことがございますけれども。
いずれにいたしましても、そうした今回の改正がもし実現しましたときには、国際的な発信というのも是非前向きに検討していいのではないかと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →ただいま委員から御指摘いただきました。大変重要な点だというふうに思っております。
国際的にも、著作権法の権利制限規定をどのように設計すべきかというのは非常に大きな課題になっております。これは我が国と問題意識を共有しているものです。数年前にも国際的なシンポジウムがこの権利制限をテーマにして数回行われました。その中では、やはり新しい時代に、新しい技術にどうやって対応するのか、そのときに権利制限規定をどれだけ柔軟なものにするのかというのが大きなテーマになっています。
もちろん、英米法系の諸国であれば、アメリカ型のフェアユースであったり、あるいはイギリス型のフェアディーリングであったり、柔軟な規定というのは元々あるわけですけれども、特に大陸法系諸国においてどのように権利制限規定を柔軟化していくかということについて悩んでいるわけであります。私もそれで随分議論に参加してまいりました。大陸法系諸国でアメリカ型のフェアユース規定を導入している国というのは、私の知る限り、韓国と台湾ぐらいしかないと思います。
したがって、どういう形で柔軟な規定を導入するかというのが問題となっている中、今回の日本の新しい規定は、明確性と柔軟性を兼備したような新しい形の権利制限規定を提案するものでありますので、これはかなり国際的に注目を浴びるものだと思っております。ただ、難しいのは、先ほど委員からも御指摘がございましたように、これを英語に訳すときに、表現の享受をするとかというのはこれどのように訳すのかと。これは平成二十一年の報告書のときからありましたので、私もドイツにおりましたときにそれをどのように翻訳しようかというふうに悩んだことがございますけれども。
いずれにいたしましても、そうした今回の改正がもし実現しましたときには、国際的な発信というのも是非前向きに検討していいのではないかと思っております。
以上です。
赤
赤池誠章#19
○赤池誠章君 続きまして、宇野参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
今回の法改正、賛成だということの中で、さらに、法改正にとどまらず体制整備もしっかりやっていただきたいという御意見でありました。その際、海外においては、先進国七%を是非クリアしてほしいということの中で、米国とフランスの事例を取り上げられておりますが、我が国が目標とすべき、一番モデルとすべき国がどこで、それはどういうところをもっと勉強したらいいのか、フランスなのかアメリカなのか、是非教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →今回の法改正、賛成だということの中で、さらに、法改正にとどまらず体制整備もしっかりやっていただきたいという御意見でありました。その際、海外においては、先進国七%を是非クリアしてほしいということの中で、米国とフランスの事例を取り上げられておりますが、我が国が目標とすべき、一番モデルとすべき国がどこで、それはどういうところをもっと勉強したらいいのか、フランスなのかアメリカなのか、是非教えていただきたいと思います。
宇
宇野和博#20
○参考人(宇野和博君) 非常に難しいところではあるんですが、アメリカのブックシェアの場合は、民間企業が自らそのブックシェアに対してデータを提供するということを進めているわけです。フランスの場合は、ちゃんと法律を作って、国立図書館を通して障害者が図書データを入手するという仕組みができ上がっているわけです。
今の時代、なかなか日本の出版社も、出版不況ということがありますので、その雰囲気をつくっていくためにはなかなか時間が掛かるのかなというのが正直なところですけれども、果たして今の日本の出版社にどこまで障害者の読書保障に対して気持ちがあるのかとか、また国立国会図書館の電子納本とか、又はその電子化、この辺りの作業の進展具合と相まって進んでいくものだと思いますので、民間の動きと公の動き、これは両方とも相まっていくなというふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →今の時代、なかなか日本の出版社も、出版不況ということがありますので、その雰囲気をつくっていくためにはなかなか時間が掛かるのかなというのが正直なところですけれども、果たして今の日本の出版社にどこまで障害者の読書保障に対して気持ちがあるのかとか、また国立国会図書館の電子納本とか、又はその電子化、この辺りの作業の進展具合と相まって進んでいくものだと思いますので、民間の動きと公の動き、これは両方とも相まっていくなというふうに考えております。
以上です。
赤
佐
佐々木さやか#22
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
今日は、参考人の先生方、大変にありがとうございました。
今までお話がありましたように、今回の法改正というのは、日本の様々な法体系ですとか状況に照らす中で、この権利の保護ということと、そして利用の促進、また明確性と柔軟性というところをどうバランスを取るかというところ、非常によく考えられた改正ではないかというふうに思っております。
その中で、まず上野参考人にお聞きをしたいと思います。
柔軟な権利制限規定のお話の中で、非享受利用について特にお伺いをしたいんですけれども、今回三十条の四ということで新しい規定が設けられると。これは享受を目的としない利用について権利制限を定めたものでありますけれども、例えばこの条文では一号、二号、三号ということで情報解析などの例が挙げられていると。
上野参考人が強調されましたところは、そういった例に加えて、その他ということがあり得るんだというところでございました。その他に当たるかどうかというのは、この条文に書かれた本文のところ、ただし書もございますけれども、ここに当てはまるかどうかということが判断されていくわけだと思いますけれども、こういった条文について、最終的には司法判断というところがあるんですが、ただ、どういう場合が享受目的に当たらないのかということは、やはり法律の審議の中を通して、予測可能性ですとか、そういったところに資する議論をしていくべきじゃないかなというふうに思っております。
そういった観点から、この享受を目的としない利用に当たるかどうかというところ、微妙な判断になるようなこともあるんじゃないかと思うんですが、この判断基準ですとか、どういった趣旨なのかとか、そういったところはこの議論の中でどういうふうなものがあったのか、また上野参考人はどのようにお考えになるか、教えていただければと思います。
この発言だけを見る →今日は、参考人の先生方、大変にありがとうございました。
今までお話がありましたように、今回の法改正というのは、日本の様々な法体系ですとか状況に照らす中で、この権利の保護ということと、そして利用の促進、また明確性と柔軟性というところをどうバランスを取るかというところ、非常によく考えられた改正ではないかというふうに思っております。
その中で、まず上野参考人にお聞きをしたいと思います。
柔軟な権利制限規定のお話の中で、非享受利用について特にお伺いをしたいんですけれども、今回三十条の四ということで新しい規定が設けられると。これは享受を目的としない利用について権利制限を定めたものでありますけれども、例えばこの条文では一号、二号、三号ということで情報解析などの例が挙げられていると。
上野参考人が強調されましたところは、そういった例に加えて、その他ということがあり得るんだというところでございました。その他に当たるかどうかというのは、この条文に書かれた本文のところ、ただし書もございますけれども、ここに当てはまるかどうかということが判断されていくわけだと思いますけれども、こういった条文について、最終的には司法判断というところがあるんですが、ただ、どういう場合が享受目的に当たらないのかということは、やはり法律の審議の中を通して、予測可能性ですとか、そういったところに資する議論をしていくべきじゃないかなというふうに思っております。
そういった観点から、この享受を目的としない利用に当たるかどうかというところ、微妙な判断になるようなこともあるんじゃないかと思うんですが、この判断基準ですとか、どういった趣旨なのかとか、そういったところはこの議論の中でどういうふうなものがあったのか、また上野参考人はどのようにお考えになるか、教えていただければと思います。
上
上野達弘#23
○参考人(上野達弘君) 御質問ありがとうございます。
まさにこの、先ほども翻訳しにくいと申し上げたこの享受ですね、表現された思想又は感情の享受というのは一体どのような意味を持つのかというのが今後この解釈として問題となってこざるを得ません。
典型的には、本当にバックエンドで機械の中で蓄積されているとか複製されるというようなこと。これは確かに、著作権法上は、物理的には複製なんですけれども、そのようなものについて権利を及ぼすということは本来的ではない、そして権利者に与える不利益は通常ないという考えから、このような非享受利用については権利が及ばない、広く柔軟に及ばないとしてもいいだろうという考え方に基づいているところであります。
その背景にあるのは、元々著作権法というのは、複製とか広く権利が及んでも、昔であれば出版をするとかということにしか権利は及ばなかったわけですけれども、コンピューターが発達してインターネットが発達しますと、多くの場面で簡単に複製だとか送信とかが起きてしまう。それが全て権利侵害だということになってしまうと社会的に不都合が生じるということですので、したがって、そういう権利が形式的には及んでしまうけれども、実質的には権利の対象にならなくてもいいだろうというものについて非享受利用という形で権利の制限を定めたものというふうに理解しております。それに従って今後も解釈されていくんだろうと承知しております。
この発言だけを見る →まさにこの、先ほども翻訳しにくいと申し上げたこの享受ですね、表現された思想又は感情の享受というのは一体どのような意味を持つのかというのが今後この解釈として問題となってこざるを得ません。
典型的には、本当にバックエンドで機械の中で蓄積されているとか複製されるというようなこと。これは確かに、著作権法上は、物理的には複製なんですけれども、そのようなものについて権利を及ぼすということは本来的ではない、そして権利者に与える不利益は通常ないという考えから、このような非享受利用については権利が及ばない、広く柔軟に及ばないとしてもいいだろうという考え方に基づいているところであります。
その背景にあるのは、元々著作権法というのは、複製とか広く権利が及んでも、昔であれば出版をするとかということにしか権利は及ばなかったわけですけれども、コンピューターが発達してインターネットが発達しますと、多くの場面で簡単に複製だとか送信とかが起きてしまう。それが全て権利侵害だということになってしまうと社会的に不都合が生じるということですので、したがって、そういう権利が形式的には及んでしまうけれども、実質的には権利の対象にならなくてもいいだろうというものについて非享受利用という形で権利の制限を定めたものというふうに理解しております。それに従って今後も解釈されていくんだろうと承知しております。
佐
佐々木さやか#24
○佐々木さやか君 四十七条の五について、続いて吉村参考人に御意見を伺いたいんですが、この四十七条の五も柔軟な権利制限規定ということで、一項の三号には、前二号に掲げるもののほかということで、今後出てくるようなニーズに対して対応するという規定になっております。
こういう、じゃ新しいニーズ、どういうものについて認めるかということを判断するに当たっても、そういうバランスをどう取っていくか重要になりますけれども、ここについて経済界としてどのようなことを、何というか、考えていらっしゃるか、どういう形で判断していくのが適当というふうに思っていらっしゃるか、御意見をいただきたいと思います。
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吉
吉村隆#25
○参考人(吉村隆君) ここで政令で定めるということになっているのは、現在想定されている利用目的を明記しながら将来のニーズにも対応できるようなバスケット条項を作ったということだというふうに理解をしております。
ここの政令をどういうふうにするかというのは、確かに御指摘のように結構難しいところがあって、じゃ、ニーズを物すごく細かく、こういうビジネスしたいんですと申し上げないとやってもらえないのかというと、それはビジネス上の秘密もございますので、ある程度抽象化したようなところで議論していただく必要もあるだろうと思いますし、それから、まさにこういったものを作ったのは、法改正が一つ一つやるとまた時間が掛かるみたいな話を考えると、ここで政令で認めてもらう方が早かろうということもございますので、ニーズが出てきたときにはここで迅速に政令の方を出していただくということも大事だと思います。
つまり、一定程度の抽象性を持ったところで議論していただいて、そうだよねとなったら政令で迅速に結論を出していくということが期待したいところだというふうに産業界側からは見えるということだと思います。
以上です。
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つまり、一定程度の抽象性を持ったところで議論していただいて、そうだよねとなったら政令で迅速に結論を出していくということが期待したいところだというふうに産業界側からは見えるということだと思います。
以上です。
佐
佐々木さやか#26
○佐々木さやか君 では、時間が限られているので最後の質問になるかと思いますが、宇野参考人にお聞きをしたいと思います。
読書環境の充実のための体制整備について大変重要なお話を伺いました。その中で一つ質問させていただきたいのは、公共図書館、学校図書館、大学図書館について、バリアフリーのサービスについてまだまだ十分ではないという御指摘がありました。お話にもありましたとおり、なかなか予算とか財源の関係で一気に全ての必要なサービスを充実するというのは難しいかもしれないなと思っております。
その中で、例えば優先順位を付けるとしたらどういったところからやり始めるべきかといいますか、例えば建物の物理的なバリアフリー自体まだ十分じゃないかもしれませんし、ほかのソフト面というか、そういう支援のサービスも不十分なところがあるのかなと思いますけれども、優先順位を仮に付けるとしたらどのようなところからやっていけばよろしいでしょうか。
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その中で、例えば優先順位を付けるとしたらどういったところからやり始めるべきかといいますか、例えば建物の物理的なバリアフリー自体まだ十分じゃないかもしれませんし、ほかのソフト面というか、そういう支援のサービスも不十分なところがあるのかなと思いますけれども、優先順位を仮に付けるとしたらどのようなところからやっていけばよろしいでしょうか。
宇
宇野和博#27
○参考人(宇野和博君) 公共図書館の障害者サービスにつきましては、確かにお話のありましたとおり、ハード面、ソフト面、両方必要だというふうに思います。
ただ、現状、先ほどお話し申し上げたとおり、全国の図書館が障害者サービスを展開していくためのサポート体制、それが私は国立国会図書館関西館によるネットワークの充実だというふうに思っています。そのネットワークの支えの上にそれぞれの図書館がそれぞれの障害者に対してこういう図書がありますよという紹介のサービスが展開していけると思いますので、まず一番最初はネットワーク、その後は各図書館職員の意識改革、そしてあわせて、当然ながら個々の図書館のハード面のバリアフリー化ということも必要になっていくんだろうというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、現状、先ほどお話し申し上げたとおり、全国の図書館が障害者サービスを展開していくためのサポート体制、それが私は国立国会図書館関西館によるネットワークの充実だというふうに思っています。そのネットワークの支えの上にそれぞれの図書館がそれぞれの障害者に対してこういう図書がありますよという紹介のサービスが展開していけると思いますので、まず一番最初はネットワーク、その後は各図書館職員の意識改革、そしてあわせて、当然ながら個々の図書館のハード面のバリアフリー化ということも必要になっていくんだろうというふうに思います。
以上です。
佐
石
石上俊雄#29
○石上俊雄君 国民民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。
今日は、四名の参考人の皆さん、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
まず、吉村参考人、上野参考人、山田参考人、三名に共通した内容で質問をさせていただきたいと思いますが、音楽と映像のコンテンツ業界から見た本法の改正、柔軟な権利制限ということについてちょっとお聞きしていきたいと思うんですけど、私自身が電機産業の労働組合の出身でございまして、私どもの部会というんですかね、音響部会というのがあって、そこは音響機器をやっているヤマハさんですとかパイオニアさんですとかコロムビアさんとか、そのほかにレコード業界や映像ソフト業界さんですね、例えばキングレコードさんとかコロムビアさんとかワーナーミュージックさんとかおられるわけであります。そういった方といろいろ話をしていると、ネット上の違法なアップロード被害がとにかく深刻なんだよねという話をよく聞くんです。その見付けるのに四千万円から五千万円掛けてクローリングシステムというのを入れていろいろウエブ内を動かしているわけでありますが、年間に六十から七十万件も削除しているという話を聞きます。しかし、見付かったとしても、じゃ、賠償で回収できるかというと、一件当たり七十万円程度でなかなか割に合わないというのも現状なんだよという話なんだそうですね。
今回の改正なんですが、デジタル化、ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備の必要性というのは、先ほど御説明いただいて理解はするんでありますけれども、だからといって、悪質な侵害行為も適法になったと誤解する居直り侵害者や思い込み侵害者の予想される増加を黙って受容するわけにはいかないというふうに思っておりまして、そういう声明が、音楽、映像制作者連盟さんとかレコード協会さんとかこういうところだけではなくて、新聞協会とか書籍出版協会さんからも出されているということでございますので、この辺に対して、参考人はそれぞれ、要はその方々から言わせたら、個別権利制限規定をスピーディーに立法化するとか権利制限規定を適法に運用すればいいんじゃないかという声も出ているわけでありますが、この辺に対して参考人の皆さんの御意見はどうか、お聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、四名の参考人の皆さん、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
まず、吉村参考人、上野参考人、山田参考人、三名に共通した内容で質問をさせていただきたいと思いますが、音楽と映像のコンテンツ業界から見た本法の改正、柔軟な権利制限ということについてちょっとお聞きしていきたいと思うんですけど、私自身が電機産業の労働組合の出身でございまして、私どもの部会というんですかね、音響部会というのがあって、そこは音響機器をやっているヤマハさんですとかパイオニアさんですとかコロムビアさんとか、そのほかにレコード業界や映像ソフト業界さんですね、例えばキングレコードさんとかコロムビアさんとかワーナーミュージックさんとかおられるわけであります。そういった方といろいろ話をしていると、ネット上の違法なアップロード被害がとにかく深刻なんだよねという話をよく聞くんです。その見付けるのに四千万円から五千万円掛けてクローリングシステムというのを入れていろいろウエブ内を動かしているわけでありますが、年間に六十から七十万件も削除しているという話を聞きます。しかし、見付かったとしても、じゃ、賠償で回収できるかというと、一件当たり七十万円程度でなかなか割に合わないというのも現状なんだよという話なんだそうですね。
今回の改正なんですが、デジタル化、ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備の必要性というのは、先ほど御説明いただいて理解はするんでありますけれども、だからといって、悪質な侵害行為も適法になったと誤解する居直り侵害者や思い込み侵害者の予想される増加を黙って受容するわけにはいかないというふうに思っておりまして、そういう声明が、音楽、映像制作者連盟さんとかレコード協会さんとかこういうところだけではなくて、新聞協会とか書籍出版協会さんからも出されているということでございますので、この辺に対して、参考人はそれぞれ、要はその方々から言わせたら、個別権利制限規定をスピーディーに立法化するとか権利制限規定を適法に運用すればいいんじゃないかという声も出ているわけでありますが、この辺に対して参考人の皆さんの御意見はどうか、お聞きしたいと思います。