法務委員会

2025-05-21 衆議院 全203発言

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会議録情報#0
令和七年五月二十一日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 西村智奈美君
   理事 小泉 龍司君 理事 津島  淳君
   理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
      井出 庸生君    稲田 朋美君
      上田 英俊君    上川 陽子君
      河野 太郎君    小林 茂樹君
      棚橋 泰文君    寺田  稔君
      中西 健治君    平沢 勝栄君
      深澤 陽一君    牧島かれん君
      森  英介君    山本 大地君
      若山 慎司君    有田 芳生君
      篠田奈保子君    柴田 勝之君
      寺田  学君    平岡 秀夫君
      藤原 規眞君    松下 玲子君
      黒田 征樹君    萩原  佳君
      小竹  凱君    大森江里子君
      平林  晃君    本村 伸子君
      吉川 里奈君    島田 洋一君
    …………………………………
   法務大臣         鈴木 馨祐君
   経済産業副大臣      大串 正樹君
   外務大臣政務官      松本  尚君
   最高裁判所事務総局民事局長            福田千恵子君
   政府参考人
   (金融庁総合政策局参事官)            若原 幸雄君
   政府参考人
   (金融庁総合政策局参事官)            岡田  大君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    竹内  努君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    森本  宏君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 仁志君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           河野 太志君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君
   法務委員会専門員     三橋善一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  神田 潤一君     小林 茂樹君
  棚橋 泰文君     中西 健治君
  森  英介君     深澤 陽一君
  藤田 文武君     黒田 征樹君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 茂樹君     山本 大地君
  中西 健治君     牧島かれん君
  深澤 陽一君     森  英介君
  黒田 征樹君     藤田 文武君
同日
 辞任         補欠選任
  牧島かれん君     棚橋 泰文君
  山本 大地君     神田 潤一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案(内閣提出第四三号)
 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四四号)
     ――――◇―――――
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西
西村智奈美#1
○西村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局参事官若原幸雄さん、金融庁総合政策局参事官岡田大さん、法務省民事局長竹内努さん、法務省刑事局長森本宏さん、外務省大臣官房参事官門脇仁一さん、厚生労働省大臣官房審議官田中仁志さん、経済産業省大臣官房審議官河野太志さん及び中小企業庁事業環境部長山本和徳さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西村智奈美#2
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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西
西村智奈美#3
○西村委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局民事局長福田千恵子さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西村智奈美#4
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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西
西村智奈美#5
○西村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。若山慎司さん。
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若山慎司#6
○若山委員 おはようございます。自由民主党の若山慎司でございます。
 今日は、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案及び関係法律の整備に関する法律案について質問をさせていただきます。
 今日、実は、こうして立たせていただくことは、これまで委員会でも何度か立たせていただきましたけれども、本当に、私も秘書時代からずっといろいろな中小企業の資金繰りの御相談というのを受けてまいりましたけれども、そこに通ずる法案についてこうして質問に立たせていただくこと、誠に名誉なことだと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、中小企業の資金繰りが大変厳しい状況にあります中で、多様な資金調達方法を整備する。土地を差し出すというか担保に入れたり、それから保証人を立てたりというようなこと、不動産担保や人的保証に過度に依存するような資金調達を行う実情がある中で、そこに依存しない資金調達というものを促進するという観点から、この法律の果たす役割は非常に大きなものであって、また有意なものであるということを感じております。
 これまで多くの経営者の方々から様々な御相談をいただきましたけれども、実態としては、これまでこの法律がなかったことによって、判例によってルールの形成をしてきたというような経緯がありまして、金融機関の審査において、法的な安全性や予測可能性に欠けるということで、審査ではねられてしまったというような事案も多々ございました。
 この法律化をすることによって、法律関係の安定性が向上することが期待されるわけでございますが、まず、この法律により政府として期待する効果、それから、今回対象としていない財産、例えば不動産とか会社が持っている技術、特許、こういったものをもって受けるという際には、今までと同じように判例法理を利用することになるのかということをお尋ねをさせていただきたいと思います。
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竹内努#7
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 譲渡担保法案及び整備法案でございますが、譲渡担保及び所有権留保に関する法律関係の明確化や取引の法的安定性の確保を図るとともに、必要に応じてより合理的なルールを導入するものであります。法務省といたしましては、譲渡担保等がより積極的に活用され、企業の資金調達の多様化につながるものと期待をしておるところでございます。
 他方で、譲渡担保法案では、譲渡担保契約について明文の規定を設ける必要性が高いとは言えないと考えられることなどを理由に、委員御指摘の不動産や特許を受ける権利等、一定の財産を目的とする譲渡担保契約については、原則として譲渡担保法の適用を除外することとしております。譲渡担保法の適用がない財産が担保目的で譲渡された場合の法律関係につきましては、これまで同様に、判例や解釈に委ねられることになると考えております。
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若山慎司#8
○若山委員 ありがとうございました。
 私ども、物づくりの愛知を地元に抱える中で、工作機械であったり、また様々な新しい技術を生かして新しいものをクリエートしていく、生み出していくために資金調達をしていかなければならないといったときに、まずは、持っている機械類がしっかりと法的な根拠があった担保価値を評価してもらえるものになったということを一定の評価としたいとともに、今お話ありました特許等についても、これからいろいろと検討していっていただけたらなと思います。
 ただ、この法律を作りました、できましたとなったときに、やはり貸し手側の方の金融機関の審査のスキルというものがどうしても必要になってくる。金融機関としては、いや、うちはちょっと査定できないんだ、そういう経験がないんだ、実績がないんだというようなことで、なかなか受けてもらえないというようなことも多々ございます。
 そうした中、実効性のある立法を目指していくという観点から、成立後の金融機関への周知、これは金融庁としてどのように考えておられるか、また、もう一つは、政府系金融機関である政策金融公庫、特に中小企業事業部門が大きく関わるところではあると思いますけれども、こういったところの審査体制の強化についてどのように考えておられるか、所管庁それぞれにお伺いをできればと思います。
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岡田大#9
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
 譲渡担保等を利用した融資、いわゆるABLを含めまして、金融機関が金融仲介機能を発揮するに当たりましては、自らの経営資源や経営戦略を踏まえながら、事業者の資金需要に係る様々なニーズに適切に応えていくことは重要と考えております。
 金融庁におきましては、金融機関による、過度に不動産担保あるいは個人保証に依存しない、事業の実態に着目した融資というのを促進しておりまして、ABLもその選択肢の一つとして、事業者のニーズを踏まえた活用を促してきておりますが、今回、この譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案が成立しました際には、譲渡担保等に係るルールの金融機関への周知について、法務省と連携してやっていきたいと思っております。
 私ども金融庁といたしましては、引き続き、こうしたことも含めまして、事業者の実態、将来性に着目した融資の後押しに取り組んでいくことを通じまして、金融機関による一層の金融仲介機能の発揮を促してまいりたいと思います。
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山本和徳#10
○山本政府参考人 お答えいたします。
 今回の法案の目的は、不動産担保等に依存しない資金調達を促進するため、動産等を担保とする融資を推進するものと認識しております。
 御指摘いただきました日本政策金融公庫中小企業事業におきましては、同様の認識の下にこれまでも取り組んできております。
 まず、無担保での貸付けにも弾力的に対応しておりまして、二〇二三年度の融資実績に占める無担保貸付けの割合は、金額ベースで七三%となっております。
 また、担保が必要な場合でありましても、これまで機械装置や商品在庫といった動産、知的財産等を担保の対象とさせていただいてきており、動産等を担保とする融資も含めて、中小企業の幅広い資金ニーズに対応しております。
 中小企業庁といたしましては、引き続きこうした取組を進めてまいりますとともに、本法案が成立した暁には、法務省と連携しながら、政府系金融機関にも十分な周知、広報に努めてまいる所存でございます。
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若山慎司#11
○若山委員 ありがとうございました。
 実は、今週になってから、地元の染色、糸を染める会社さんたちとお話を聞く機会がありましたけれども、ちょっとした技術、それから、自分たちでは当たり前だと思っていたものが価値を生み出して、それが担保価値として認められるようなことになっていきますと大変助かるというようなお話もありました。
 どうか、これまでいろいろ資金繰り対策としてやってまいりました中で、こういった技術を持っている会社さんが、製品化したいんだけれども、資金調達ができなくて、泣く泣くそういった技術、パテントを大手の会社さんに譲り渡さざるを得ないような状況ということも、過去に出くわしたこともございました。どうぞこれからも、中小企業の皆さんの資金繰り対策として、これが更に有意に活用されるように生かしていただけたらと思う次第でございます。
 ただ、そうした中で、今回の法律の目的としては、規律の合理化ということが目的の一つにあろうかと思います。金融機関等が目的動産の担保価値を正確に把握することも非常に重要になってくるわけでございますが、そのためにも、登記による担保権のありようが明らかにされることも必要であります。
 そうしたときに、司法書士を始めとして、士業の皆さんにも積極的に中小企業の経営に関わっていただきながら登記を進めるということも重要かと思いますが、この点、いかがお考えになられますでしょうか。
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竹内努#12
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 整備法案では、譲渡担保権等の十分な公示を行うため、新たな登記類型の創設なども含めまして、動産・債権譲渡登記制度の見直しを行っております。
 また、譲渡担保法案では、占有改定の方法により対抗要件を具備した動産譲渡担保権はその他の方法により対抗要件を具備した動産譲渡担保権に劣後するものとしているため、譲渡担保法の施行後は、動産譲渡登記の対抗要件具備の方法としての重要性が一層高まるものと考えられます。
 このようなことから、整備法の施行後に新たな動産・債権譲渡登記制度が円滑に利用されるためには、この登記制度の内容や動産譲渡登記の対抗要件具備方法としての位置づけなどについて十分な周知、広報を図ることが重要と考えておりまして、登記を取り扱う司法書士等の専門職としっかり連携をしていきたいと考えております。
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若山慎司#13
○若山委員 ありがとうございました。
 では、ちょっと中身の部分に触れてまいりたいと思います。
 今法案の債務者側の課題ということで、私的実行の濫用として、いきなり回収をされてしまうというようなものに対する防御手段ということに触れたいと思います。
 私的実行の猶予期間や裁判所による譲渡担保権の実行手続の禁止命令や取消し命令、これらについてこの法案ではどのようになっているかということ。あわせて、今回、いきなり回収をされてしまうことによって、会社自体が経営が立ち行かなくなる、倒産というようなことも起こり得るわけですが、そうしたときに、労働者等の一般債権者を保護するための仕組みづくりとして、未払い賃金の問題ということがあろうかと思います。これは多分、この法案の検討段階ではいろいろな有識者の皆さんの御意見等もあってで組み上がってきたことだと思いますが、その過程の中で、労働者側の立場から、どういった方がどういった意見を述べられた中でこの法律に仕上がっていったのかというところを、経過を御説明をいただければと思います。
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竹内努#14
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 譲渡担保権の私的実行につきましては、短時間で実行が完了することから、債務者が倒産法上の制度を利用することによって事業継続に必要な財産の流出を防ぐなどの対応を取るための時間的な余裕が乏しいと指摘をされてきました。
 そこで、譲渡担保法案では、設定者が事業継続のために必要な手段を取るための猶予期間を設けることとし、設定者に対する通知から二週間が経過し、又は動産譲渡担保権者等が譲渡担保動産の引渡しを受けるまでは実行の効果が発生しないこととしております。破産手続等において、裁判所が譲渡担保権の実行の開始前に実行の禁止を命ずることができることとしたのも、同様の趣旨に基づくものでございます。
 さらに、集合動産、集合債権譲渡担保権について実行通知等がされますと、設定者は、目的動産の処分権限や目的債権の取立て権限を失うことにより、それ以後の事業の継続が困難になるおそれや資金繰りが悪化するおそれがあります。
 そこで、譲渡担保法案では、譲渡担保権設定者が処分権限や取立て権限を回復することができるように、担保権の実行手続の取消し命令を設けることとしております。
 それから、労働者の関係ですが、法制審議会担保法制部会には、労働組合の関係者に委員として参加していただくとともに、組入れ制度の検討の際には、労働事件に精通した弁護士にも参考人として御参加をいただき、労働者の視点や労働者保護の視点から意見をいただいたところでございます。
 譲渡担保法案は、特定の意見のみを反映したものではありませんが、労働者の視点等を有する委員等の意見も勘案し、立案したものでございます。
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若山慎司#15
○若山委員 ありがとうございました。
 起こり得る事態に対してしっかりと備えていかなければなりませんし、内容についても、これから経過を見ながら、いろいろと更に深化させていただく必要性ということもあるのではないかと思います。
 では、最後に、逆に、担保権者側の権限を制約し過ぎると、動産や債権の担保の促進を阻害することにもなりかねない、この法案が、骨抜きというか、意味がなくなってしまうこともあります。そうした中で、この法案で譲渡担保権者の権限を強化するものとしてどのようなことを設定されているかということを、最後、お聞きしたいと思います。
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竹内努#16
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 譲渡担保法案では、譲渡担保権者の利益を保護するため、例えば次のような規定を設けることとしております。
 まず、譲渡担保権者が、目的である財産の代替として設定者が取得する金銭等からも優先して弁済を受けることができるという物上代位を明文化することとしておりますほか、動産譲渡担保権の優先弁済権の行使が妨害されているときは、動産譲渡担保権者はその妨害停止の請求等をすることができる旨の規定を設けることとしております。
 また、集合動産、集合債権を目的とする譲渡担保権について、設定者はその目的である財産の価値を担保権者を害する程度に減少することのないように維持しなければならないという、担保価値維持義務に関する規定を設けております。
 さらに、譲渡担保権の実行手続に関しましては、設定者等が譲渡担保動産の価値を減少させる行為等をし、又はそのおそれがあるときは、裁判所が、その行為の禁止等や執行官による譲渡担保動産の保管等を命ずることができることとしたほか、私的実行のための引渡命令や私的実行の終了後の引渡命令を設けるなど、動産譲渡担保権の実行手続の実効性を確保するための裁判手続を設けることとしております。
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西
西村智奈美#17
○西村委員長 若山さん、時間ですので、御協力お願いします。
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若山慎司#18
○若山委員 ありがとうございました。
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西
西村智奈美#19
○西村委員長 次に、篠田奈保子さん。
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篠田奈保子#20
○篠田委員 立憲民主党・無所属の篠田奈保子です。
 本担保法制の見直しに関して、特に労働者の立場から質問をさせていただきます。
 私は、地方の都市の町の弁護士として、中小企業の様々な御相談にも応じてまいりました。倒産処理、そしてまた倒産に関する相談のほとんどは、労働者が三十人未満の小さな企業のことが多くて、管財人業務の主な仕事としては、在庫の処分をして、それを換価して財団をつくる、それからまた売掛金の回収をして破産財団をつくる、それを各債権者に配分をするというような仕事となります。
 この本担保法制の見直しによって、様々なものが担保に取れるということになりますので、いわゆる倒産状態になったときには、不動産も担保権者に、様々な債権についても担保権者に、そしてまた倉庫内の様々な在庫についても全て担保権者にということで、一般債権者、特に労働債権者に関しては、かなり自分の取り分が、ほとんど配当が得られないというような状況も生じるというふうに考えて、ちょっと危惧するところがございます。
 こういった課題に関して、本法案はどのような手当てを準備をしているのか、まずお答えをいただけますでしょうか。
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竹内努#21
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 譲渡担保法案では、労働債権者を含む一般債権者の保護の観点から、集合動産譲渡担保権又は集合債権譲渡担保権が実行された場合に、一般債権者への弁済原資を確保し、これによって担保権者と一般債権者との間の分配の公平を図るため、集合動産譲渡担保権等が実行された場合において、設定者について法的倒産手続が開始したときは、譲渡担保権者が実行により回収した額のうちの一定額を破産財団等に組み入れなければならないこととしております。
 これは、集合動産譲渡担保権等は、一定の範囲に属する設定者の財産を一括して担保の目的とするものであって、その範囲の定め方によっては設定者の倒産時において一般債権者のための引き当て財産が著しく減少するおそれがあること、また、集合動産及び集合債権の価値を維持するためには労働債権者や仕入れ先などの一般債権者の寄与が必要であり、さらには、これらの一般債権者の寄与によってその価値が増大することもあることから、このような点で、集合動産譲渡担保権等には特定物を目的とする譲渡担保権その他の担保権とは異なる特殊性があり、その価値の全てが担保権者の債権の満足に充てられるのは相当とは言えないということを考慮したものであります。
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篠田奈保子#22
○篠田委員 ありがとうございます。
 本法制に関しては、一定の組入れ義務を設けていただいたということは大変ありがたいことではあるかなと思いますが、この破産財団への組入れ義務がしっかりと機能をするためには、やはり破産管財人の責務が重要となると考えます。
 破産管財人の責務がしっかりと果たされるための担保は用意をされておりますでしょうか。
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竹内努#23
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 集合動産譲渡担保権者等に組入れ義務が発生するのは、設定者について法的倒産手続が開始した場合でございます。例えば、破産手続におきましては、選任された破産管財人がその実行をした譲渡担保権者と交渉し、組入れ額を算定するために必要な資料を収集した上で、組入れ義務の履行を請求することとなると考えられます。その上で、組入れ義務が履行された後は、破産手続の中で、労働債権者を含む債権者に対し配当が実施されることとなります。
 こうした破産管財人の職務に関しまして、破産管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならないこととされており、関係法令の定めに従い、財団の管理、処分等を適切に行うことが期待され、裁判所がこれを監督することとされておるところでございます。
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篠田奈保子#24
○篠田委員 実務でしっかりと実効性ある運用がなされることを期待したいというふうに思います。
 私のところに、会社が倒産しました、賃金が払われていません、どうしたらいいですかという御相談は本当に多く寄せられております。例えば、こういった、全てを担保で取られているようなケースだと、労働者の方が、倒産手続に入ったとしても、もう自分は配当にあずかれない、だから債権届出も諦めるというような方も出てくるのかなというふうに思います。
 やはり、新しい破産財団への組入れ義務があって、配当を受けられる可能性があるということをしっかりと労働債権者にも知らしめる必要があると考えております。例えばですが、破産裁判所から労働債権者への破産開始決定の通知にこの制度の説明文書を同封するなどして周知を図るというようなことも一つ考えられるかなと思いますが、このような破産裁判所の新たな対応について、裁判所はいかがお考えでしょうか。
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福田千恵子#25
○福田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、労働債権者に対して破産手続に参加するのに必要な情報が提供されることは重要であると認識しております。
 このため、現在の破産手続の実務においても、労働債権者が債権届出をしないまま失権することがないよう、破産法の規定に基づき、破産管財人が労働債権者に対し、破産債権の届出に必要な情報提供を行うなどしているところでございます。
 本法律案における組入れ制度について、労働債権者に対する情報提供をどのように行うのかについては、本法律案の成立後、破産事件を担当する個々の裁判所において検討をすべき事項になりますので、現時点で事務当局としてお答えをすることは困難ではありますが、配当原資となる破産財団の形成に関する情報を手続のどの段階で誰が提供するのが最も効果的かという観点から、適切な検討がされることになると考えております。
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篠田奈保子#26
○篠田委員 ありがとうございます。
 しっかりと実務で労働債権者に情報が行くようにしていただきたいと思います。
 それから、この組入れ制度なんですが、担保権を一定制約する意義は理解をいたしましたが、労働債権を含めた一般債権者の保護にどの程度寄与するかというのはちょっと若干疑問がございます。
 この一般債権者には、いわゆる公租公課の、租税の債権者も含まれるのでしょうか。
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竹内努#27
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の組入れ制度の立案過程におきましては、譲渡担保権者から倒産財団への組入れ額をどのように算出するかなどについて様々な議論がありましたが、最終的には、制度の実効性を考慮して、目的である財産の価値を基準とする考え方を採用することとしております。
 そして、現在の金融実務におきましては、被担保債権額が担保目的財産の価値を上回らないように管理しながら融資をするという手法も見られるようになっていることからしますと、組入れ制度は、一般債権者への弁済原資を確保することに資するものと考えております。
 この一般債権者には、租税債権者も含まれております。例えば、破産手続においては、労働債権のうち、その開始前三か月間の給料の請求権等は財団債権と扱われ、租税債権とは同順位として扱われます。そのため、組入れ義務が生じた場合には、財団債権である労働債権が残存している限り、組入れの結果として、労働債権への弁済額は増加することになります。
 したがって、組み入れられた額が租税債権者を含む一般債権者への弁済原資になるとしても、労働債権保護の観点から、相当程度の実効性を期待することができるものと考えております。
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篠田奈保子#28
○篠田委員 実際に破産事件の配当表なんかを見ても、やはり中小企業というのは、たくさん実は税金の滞納、あとは社会保険料の滞納をしている事例が大変多くありまして、給料の三か月分が財団債権として租税債権と同列ということになっても、ほとんど大きな金額が租税債権の配当に充てられて、実際になかなか労働債権の配当に充てられないということで、何か本当に、この企業を支えてきた労働者の賃金、未払い賃金が租税債権と三か月だけ同等、そしてほかのものは劣後するということは、私は政策としていかがなものかというふうに日々思うところでございます。
 賃金や退職金などの労働債権というのは、労働者と家族のほぼ唯一の生活の糧でありまして、倒産などにより賃金が支払われなければ、そこでもう生活が詰んでしまうという、まさに衣食住が欠けるという状態になってしまいます。
 労働債権を社会政策的にやはり特別に保護する必要性は非常に高く、これまでも様々な、国会の中で、労働債権の優先順位を、担保法制においてもっとしっかりと特別な地位を与えるべきであるということが議論をされております。
 これに関して、法務大臣、いかがお考えでしょうか。
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鈴木馨祐#29
○鈴木国務大臣 まず、篠田先生、実務の現場での様々な御経験ということで、今も拝聴させていただいておりました。
 私どもとしては、この労働債権でありますけれども、これは民法において、債務者の総財産を目的とする一般の先取特権が付与をされております。加えて、破産手続におきましても、その一部、これが財団債権とされておりますなど、一定の優越的な地位、これが与えられていると私どもとしては認識をしているところであります。
 その上で、倒産法制全体において、この労働債権の優先順位、これを更に引き上げるべきではないか、そういった御趣旨だと思いますけれども、そこについては、抵当権等の約定担保権、これを設定する際に、これに優先する債権はどの程度あるのか、どの程度発生をするのか、そういった予測、これは困難ということがあります。そういった中で、担保取引の安定性を害するおそれがあるのではないか、あるいは、抵当権や質権等の不動産に設定できる担保権と労働債権との関係を全面的に見直す必要が生じてまいりますので、その際には実務に対する重大な影響が生じ得るのではないか、こういった様々な課題があると我々としては認識をしておりまして、そういった意味では、慎重な検討が必要ではないかと考えております。
 ただ、法制審の担保法制部会においても、倒産法制における労働債権の優先順位につきましては、債権の倒産手続における優劣関係全般に関わる問題として倒産法制の見直しの中で検討すべきである、そうした御意見があったのも事実であります。
 そういった中で、私どもといたしましては、こうした御意見、これも今の委員の指摘も含めてしっかり受け止め、まずは倒産局面における各債権者の債権の満足の状況等についてのやはり実態調査、これを行っていくことが必要であろうということで、こうしたことも検討しているところでありまして、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
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