予算委員会

1956-02-29 参議院 全298発言

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会議録情報#0
昭和三十一年二月二十九日(水曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
二月二十七日委員竹下豐次君、杉山昌
作君及び後藤文夫君辞任につき、その
補欠として高木正夫君、小林政夫君及
び片柳眞吉君を議長において指名し
た。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     西郷吉之助君
   委員
          池田宇右衞門君
           堀  末治君
           三浦 義男君
           安井  謙君
           秋山 長造君
           曾祢  益君
           吉田 法晴君
           豊田 雅孝君
           中山 福藏君
   委員
           青木 一男君
           秋山俊一郎君
           石坂 豊一君
           井上 清一君
           伊能 芳雄君
           川村 松助君
           佐野  廣君
           田中 啓一君
           野村吉三郎君
           平林 太一君
           藤野 繁雄君
           宮澤 喜一君
           吉田 萬次君
           亀田 得治君
           佐多 忠隆君
           竹中 勝男君
           戸叶  武君
           羽生 三七君
           北 勝太郎君
           小林 政夫君
           廣瀬 久忠君
           千田  正君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   内閣総理大臣  鳩山 一郎君
   法 務 大 臣 牧野 良三君
   大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
   農 林 大 臣 河野 一郎君
   通商産業大臣  石橋 湛山君
   運 輸 大 臣 吉野 信次君
   国 務 大 臣 大麻 唯男君
   国 務 大 臣 太田 正孝君
   国 務 大 臣 高碕達之助君
   国 務 大 臣 船田  中君
  政府委員
   内閣官房長官  根本龍太郎君
   内閣官房副長官 松本 瀧藏君
   法制局長官   林  修三君
   法制局次長   高辻 正巳君
   自治庁財政部長 後藤  博君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   経済企画庁審議
   官       金子 美雄君
   経済企画庁計画
   部長      大来佐武郎君
   外務事務官
   (公使)    木村四郎七君
   外務省アジア局
   長       中川  融君
   外務省欧米局長 千葉  皓君
   外務省条約局長 下田 武三君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
   農林政務次官  大石 武一君
   農林大臣官房長 谷垣 專一君
   水産庁次長   岡井 正男君
   労働政務次官  武藤 常介君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○昭和三十一年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十一年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十一年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
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西
西郷吉之助#1
○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。
 本日より昭和三十一年度本予算に対しまする総括質疑をいたします。本日より五日間の予定で総括質疑を行いまして、来たる六、七、両日は公聴会を開きます。
 まず御報告申し上げます。予算委員のうち、竹下豐次君、杉山昌作君、後藤文夫君が辞任されまして、新たに高木正夫君、小林政夫君、片柳眞吉君が就任されました。
 なお、理事館哲二君が辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西郷吉之助#2
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。よって理事の補欠互選は、先例によりまして委員長より御指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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西
西郷吉之助#3
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。それでは中山福藏君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
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西
西郷吉之助#4
○委員長(西郷吉之助君) これより総理に対する総括質疑を開始いたします。
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羽生三七#5
○羽生三七君 昭和三十一年度一般会計予算並びにこの関係法案を審議するに当りまして、本来なら予算全般にわたっていろいろ承わりたいことがあるのでありますが、私は、本日は主として外交問題について総理の所見をお尋ねいたしたいのであります。
 というのは、総理も御承知のように、第一次鳩山内閣が成立した当時のいきさつを顧みますると、民主党が比較多数ではあっても、第一党になったのは、何といってもソ連、中国等の国交未回復国家との戦争状態の終結とその国交回復ということが主要なる目的であったと思うのであります。このアピールは確かにききました。そうしてある程度社会党の票まで食って、そうして第一次鳩山内閣が成立したと考えるのであります。鳩山総理はその後、社会保障の問題、その後というよりも、その当時、社会保障の問題とあるいは住宅政策の問題、あるいはその他内政問題について幾つかの公約をされております。しかしその公約の中心は、何といいましても日ソ交渉であったことは先にも述べた通りであります。これは間違いのない事実であります。また昨年鳩山総理は、日ソ交渉と保守合同問題との関連を私がお尋ねした際に、どんなことをしてもこの問題は、つまり日ソ交渉はなし遂げたいと答えられたのであります。このようにして日ソ交渉は昨年の六月ロンドンで会議が開かれたわけでありますが、交渉が開始されてからずいぶん長いことになります。そこで政府はほんとうに交渉を妥結させる熱意を持っておるのかどうか。もちろん私は、政府が本気でやっておると思うし、鳩山総理の熱意を疑うわけではありませんが、とにかくあまり長くなりすぎる。私が昨年お尋ねしたのは七月二十六日でありますから、ちょうどきょう私がここでお尋ねすると満七カ月目である。であるからこういう問題に、つまり交渉のさなかに、今現に交渉がマリクさんのソ連帰国で若干中絶状態になっておりますが、大まかに言って交渉が継続中に立ち入った質問をするのはどうかと思いますけれども、しかし野党の者が七カ月目でこの問題に触れるということは、必ずしも私は当を失したことではないと思う。この際この辺で一つ、外交交渉の過程に立ち入った内容的なものは別といたしまして、総理は今この段階をどういうように理解されておるのか。そんな事務的な外務省関係でなしに、総理としてどういうような御判断をなさっておるか、その辺のところをまず最初にお尋ねいたします。
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鳩山一郎#6
○国務大臣(鳩山一郎君) 最初に御質問になりましたのは、世界情勢の意味もお聞きになったのですか、ソ連との関係を中心に……。
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羽生三七#7
○羽生三七君 世界情勢はずっと後にお伺いいたします。今は日ソ交渉の現在の段階をお尋ねしておるのであります。
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鳩山一郎#8
○国務大臣(鳩山一郎君) 日ソ交渉は、現在は平和条約を逐条的にきめていこうじゃないかというようなマリクとの話し合いで、逐条的に相談中と聞いております。
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羽生三七#9
○羽生三七君 いや、それはわかったことでありまして、逐条的におやりになってきたのです。それでマリクさんがソ連共産党大会のために帰国されて、近くおそらく数日中にロンドンへ帰られて再び交渉が再開されると思う。そこで私のお尋ねしたいことは、そういう逐条審議をやっておるとか何とかいうことでなしに、率直に言って、私は交渉は停頓状態だと思うのです。そこで私の推察にして誤りがなければ、問題はすでに第一線の松本全権がこの上さらに長く相手方と話し合いをし合うようなそういう段階は過ぎておる。まさに過ぎようとしている。過ぎていると言うのはまだ早いかもしれませんが、過ぎようとしている。だから政府みずからが、特に鳩山総理みずからが決断を迫られておる段階に近づいておるように思うのでありますが、総理はそうはお考えになりませんか。
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鳩山一郎#10
○国務大臣(鳩山一郎君) 今日はまだ決断をしなくてはならないという時期には到達していないと思っております。
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羽生三七#11
○羽生三七君 私は見通しの上から判断をしておるのであります。私は今交渉の内容がどういうことになっておるか、こまかく知るすべもありませんが、しかし私は種々なる情勢から判断をして、これは停頓状態にあると解釈をいたしております。しかし、先ほども申し上げましたように、こういう重要な問題を私は立ち入ってお伺いする気は少しもない。そこで抽象的なお尋ねをするわけでありますが、鳩山総理は、この交渉は石墨だとお考えになっておられるか。交渉の見通しですが、有望であるとお考えになっておるかどうか。
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鳩山一郎#12
○国務大臣(鳩山一郎君) 非常にむずかしい質問ですが、とにかく話し合いをつけなければならない問題だと思っております。
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羽生三七#13
○羽生三七君 私は話し合いをしなければならないという総理の決意を大いに買うのであります。そうしていただきたいのであります。しかし私は、実際には見通しとしては非常な困難なところへ来ている。しかも野党のわれわれがその内容に立ち入ることをあえて避けなければならないようなほどのまた重大な問題でもあるわけであります。しかし私は興味深い問題として、この日ソ交渉以外の各種の今日までの平和条約の交渉開始の町から妥結に至りますまでの時期というものを調べてみたのです。これは興味深い問題だと思うのであります。たとえば日清戦争についてみますと、これは明治二十八年の三月二十日に日本側が伊藤、陸奥全権、相手の清国側が李鴻章全権で、この第一回会見が下関、で行われたのです。三月三十日に休戦条約が締結せられております。続いて四月十七日には日清講和条約及び付属書が調印されておるのであります。わずかに一カ月足らずの期間であります。次に日露戦争の場合を見ますると、これは一九〇五年、つまり明治三十八年でありますが、この八月十日に、御承知のように日本側が小村全権と、ロシア側がウィッチ全権との第一回会議がポーツマスで行われました。九月一日に日露休戦に関する議定書が調印をせられて、続いて九月五日に日露講和条約が成立いたしております。僅々二十五日間であります。
 さらに第一次世男大戦の場合、すなわちヴェルサイユ平和条約ですが、このときはどうかと見まするというと、一九一九年、すなわち大正八年でありますが、その年の一月十八日にパリで講和会議の第一回総会が開かれております。続いて同年の六月二十八日にいわゆる連合国とドイツ国とのヴェルサイユ平和条約が締結されておる。五カ月と少し余であります。
 戦後を見ますと、イタリアの平和条約の場合は一九四六年、昭和二十一年の四月二十五日にパリ四カ国外相会議が開かれて、七月十二日に外相会議を終結し、同年の七月二十九日に二十一カ国参加の講和会議が開始されて、同年十月十五日、講和会議が終結いたしております。この場合は約六カ月であります。
 私は先にも申しましたように、重要な平和条約を拙速でいいとは申しません。そんなことは毛頭考えておらない。しかし、今述べたような過去の類例を見まするというと、現在の日ソ交渉とこれを照合した場合に、ほんとうに政府がやる気があるのかないのかを私が疑うことは、必ずしも当を失したことではないと思うほどに、それほどに遅々としている。世界のあらゆる重要な講和条約が……。最近のアデナウアー首相のソ連訪問に伴うあの疾風迅雷的な条約の締結はこれは別としても、歴史的に講和条約締結というものがかくも長く時間を要するということはほとんど類例がない。それだから、何でもいいから早くまとめろとは私は申しません。しかし、このような事実を見た場合に、私は先にも申しましたが、拙速でいいとは言わないけれども、政府の熱意というものを実際に疑いたくなる。しかし、今ここで私は平和条約の方式がいいとか、あるいは暫定方式がいいとか、あるいは領土問題はどの程度なら話し合いをつけたらいいとか、そんなことは毛頭お開きいたしません。しかし総理が日ソ交渉の成立を希望していることもさっきのお答えでよくわかる。ぜひ成立させたいと言っていらっしゃる。しかし問題は総理のこの問題に関する基本的な態度であります。すなわち鳩山総理は、この国家的重要問題をあまり党内事情と関連させすぎておりはしないか。ここのところは総理一つよくお聞き願いたい。この重要問題を総理はあまりに党内事情と関連させすぎておる。超党派外交どころか、与党内の調整さえ困難ではないですか。もちろん、私は総理が交渉をぜひ達成させたいと念願しておることを信じております。しかし自由民主党内には、まだあなたと方針を異にして、ときには足を引っぱろうという勢力もいるのです。しかも悪いことには、これが総裁問題と関連をしておる。これは事実であります。もし、総理が日ソ交渉について真に熱意を持つならば、もっと努力して党内をまとめなければだめであります。そういう努力がない限り……、ソ連の百パーセントの譲歩があれば格別ですよ。しかしそうでない限り、日ソ交渉は私はデッド・ロックに乗り上げる危険性は十分にあると思う。外交交渉でありますから、相手が百パーセント譲歩するか、こっちが百パーセント譲歩するか、そうでなければ妥協か、これ以外にはない。だからあなたが党内の取りまとめをやらないとするならば、ソ連の百パーセントの譲歩がない限りはこの交渉は非常に困難なところに落ちてくる。だから総理が先ほどお話しになったように、もしほんとうにこの日ソ交渉の成立を念願しておるならば、総理は、党内の少くとも総理と見解を異にしておる人たちの意見を取りまとめて、交渉妥結の方向に進むよう努力をせなければならぬと思いますが、そういう努力をお払いになる考えがありますか、いかがでありますか。
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鳩山一郎#14
○国務大臣(鳩山一郎君) 世界の戦争がどうしても起らないようにできるだけ努力をしなくちゃならないと思っております。米ソ戦争でも始まったならば、イーデンが言うまでもなく、世界の文明国はつぶれてしまうわけでありまするから、戦争の起らないようにしなくちゃならないのですけれども、この世界の情勢というものはなかなかそう……、非常にいい空気になってきたと思うと、また悪い方向に転換したり、また原爆、水爆を競争し合ったりいたしまして、急にその冷戦が終ったとか何とか甘えないような時代だもんですから、やはり日ソの交渉もそれと関連いたしまして、なかなかまとまらないだろうと思っております。けれども、とにかく長い間ソ連にいまして、帰ってこない邦人がたくさんいますし、その人たちは一日も早く日本に帰りたいし、帰さなくちゃならないのでありまするから、戦争の起らないような世界平和の大眼目から考えましても、日本人を早く帰したいということ、その心情から考えましても、どうしてもこの問題は早く解決しなくちゃならない問題であります。事情がよくわかれば、大して問題になる点はないだろうと思う。今のところ、領土の問題はむろん問題になっておりますけれども、この領土の問題も、考え方によりますれば、そう解決できない問題ではないと思う。戦争がないということにきまれば、じき解決できる問題で、戦争があるということになれば当分は解決できないということになる。それですから、話し合いをしていけば、領土の問題は、日本に返すということがきまりましても、戦争がないということがきまればソ連は同意をするに違いない。戦争があるかもしれないと思えば、ソ連はなかなかすぐは同窓はしないというような工合に、関連している問題ですから、急にはなかなかいかないでしょう。しかしながら、全部ソ連が日本の要求に応じないといって、ソ連に大して利益のある問題ではないのですから、話し合いの結果は、ある程度においてその話し合いがつくものと今日では思っておるわけです。私は決して希望は捨てません。
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羽生三七#15
○羽生三七君 どうも総理大臣、私の質問をお取り違えになっておるじゃないかと思う。与党の中に、総理大臣の考えられておる日ソ交渉方式と違った意見を持っている人がおるですよ。それをまとめなければ、ソ連の百パーセント譲歩がない限りは、この交渉はデッド・ロックに乗り上げる。向うの譲歩があるならば別ですよ。それはとにかくとして、今与党内に意見の対立があるが、私は確実にあると思うのですが、それをおまとめになる御協力をなさるか、ただ漫然と時期の来るのをお待ちになっておるか、与党内の反対意見を調整するような努力をなされるかどうか、これは非常な微妙な問題だと思いますが、お答えを願いたい。
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鳩山一郎#16
○国務大臣(鳩山一郎君) 大体において与党内の意見の相違は領土問題から来ていますから、世界戦争がないことにきまれば領土の問題は片づく問題だ、その世界の情勢と相関連してこの問題がきまるだろうと私は考えておるわけです。
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羽生三七#17
○羽生三七君 世界の戦争がなくなれば領土問題は片づくだろうというようなことでは、とてもこの日ソ交渉は、ここ半年、一年に片づく可能性がないということです。これは私の質問に対しては非常に的がはずれておるわけでありますが、それはあとから順々にもっとお尋ねしていきますけれども、総理は松本全権から、総理みずからモスクワを訪問して徹底的に話し合いをするということを要請された群集はありませんか。
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鳩山一郎#18
○国務大臣(鳩山一郎君) 要請された事実はございません。
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羽生三七#19
○羽生三七君 ソ連共産党大会がありまして、その際日本との関係改善が取り上げられたと思いますが、日ソ交渉にこのことは有利に響くとお考えになっておりますか。
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鳩山一郎#20
○国務大臣(鳩山一郎君) 何がですか。
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羽生三七#21
○羽生三七君 ソ連の共産党大会で日本とソ連との関係、日ソ関係をもっと改善しなければいけないということが言われているのです。これは日ソ交渉に有利な影響を与えるかどうかという問題です。
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鳩山一郎#22
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はよくその事実を知りませんでしたが、日ソ交渉に対して、ソ連もこれをなし遂げたいという希望は持っておるものと私は思っております。
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羽生三七#23
○羽生三七君 総理は去る一月二十六日の記者会見の際に、日ソ交渉は通常国会中に仕上げたいと言明されております。あの例の暫定方式とか平和条約方式とかいうようなことについては、これはあとから取り消されました、総理は。しかしこの部分は取り消されておりません。そこで一月二十六日の記者会見通り、日ソ交渉は今通常国会中に仕上げたいというお考えに変りはないかどうか、これをお尋ねいたします。
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鳩山一郎#24
○鳩山一郎君 それは今日ちょっと不明です。松本君からしばらく何とも言って参りませんし、私は重光君から聞いておりませんので、どういう情勢にあるか、全然知らないのであります。(「ちょっと的がはずれている、総理の希望がどうか」と呼ぶ者あり)予想でしょう、できるかできないかという。そればちょっとわかりません。(「決意だよ」と呼ぶ者あり)決意はやりたいと思っております。
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羽生三七#25
○羽生三七君 実は総理のからだですね。弱々しいからだを見ていると、あんまりしつこく質問をするのは実は私もいやになるのです。しかし政治家としての良心は、もっと問題を明確にしなければいかぬということを私に命じますから、はなはだ総理は不愉快でありましょうが、なお私はこの問題をもっと重ねてお尋ねをいたします。
 先にも私が申しましたように民主党が第一党となって、第一次鳩山内閣が成立してからの総理の実績を見て参りますというと、これはいささか言葉が過ぎるかもしれませんけれども、率直にいって、予算編成など人まかせで、それは確かに若干電話のお打ち合せくらいはあったでしょうけれども、ほとんど予算編成は人まかせである。しかも強力な民生安定を提唱されたのです、あのときは。しかしその当時の五カ年計画に比較して、第一回の総選挙、つまり民主党が発足するときの総選挙の五カ年計画に比較して、今年度予算は、防衛費の増加を特徴づけるだけで、民生費はことごとく頭打ちをしておるのです。健康保険など逆に国民の負担を加重させておる。しかも一方では国民の多数が必ずしも欲しない憲法改正を考えたり、再軍備の増強を計画したり、さらに、それを達成させるために、全く無謀というほかのない小選挙区制を強行しようとされておる。また総評の春季闘争なんかについては、総理は社会党の鈴木委員長との会談さえ断わられておる。鳩山総理に国民が期待しておったものは、前吉田内閣の権力政治とアメリカ一辺倒の外交を、鳩山総理ならば、鳩山氏ならば是正するかもしれない。そういう漠然たる期待であったのであります。しかもこの国民の期待の中の最大のものが国交回復問題だった。つまり日ソ交渉だった。だからほんとうに日ソ交渉をまとめようとする熱意があれば、私は道はおのずからあると思う。それは一月二十六日の総理の記者会見の際における考え方も、これは私はりっぱな一つの方針だと思う。あなたはあとで重光外相との食い違いを究明されて、これを取り消されましたが、取り消される必要はない。あれはりっぱな、あなたの一つの見識であります。われわれ社会党も、さきにこの委員会で同僚曽祢君が述べたように、交渉の方式については別個の考え方を持っておる。しかし、私は今それは申し上げません。問題は鳩山総理が総理大臣の地位につく場合の最大の公約が中ソ等との国交回復であったのですから、もしこれが実現しなかった場合、これは重大な公約違反であります。その場合、総理大臣は政治的責任をおとりになりますか、いかがでありますか。
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鳩山一郎#26
○国務大臣(鳩山一郎君) このソ連との話し合いがうまくいかない場合におきましてはむろん責任をとります。
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羽生三七#27
○羽生三七君 日ソ交渉が不成功に終った場合には政治的責任をとられることが明かになりましたが、しかし私は首相が政治的責任をとることを目的に発言をしておるのではない。われわれは正しい交渉の成立を期待しておる。はなはだ何といいますか、失礼な言い分かもしれませんけれども、鳩山首相から日ソ交渉を引いたら、この公約実現を引いたら何が残るか。これは非常に失礼な言い分ですが、これは私のいつわらざる感想でもあれば、同時に国民大衆の大多数も同じことを考えておると思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)先に申しましたように、日ソ交渉と総裁の問題とは相当深い関連性を持っておるように思います。まあ立場が違いますから、こんなことを言うのもどうかと思いますが、単にあなたが総裁になることだけにどれだけの意味があるか。何もなすことなく何カ月初代総裁の地位についてどれだけ意味があるか。それも一つの人生の生き方かもしれない。しかしあなたは現に総理大臣なのです。現職の総理大臣なのです。だから自分の所信を貫くに一番いい立場にある。やろうと思えば何でもできる。もしあなたが総理大臣の地位にあるうちに歴史的な業績を残すとすれば、私はこの日ソ交渉を成立させることだと思う。総理は多年の念願がかなって吉田前首相に取ってかわった。そしてまたさきにあなたと初代総裁の地位を争う立場にあった緒方竹虎氏を失ったのであります。あなたはあなたを取り巻く人たちの言うことさえ聞いていれば初代総裁はまず間違いない。しかし私はあなたが真に責任を自覚する政治家でおありになるならば、この公約を果す道をお選びになることを希望いたしておきます。また交渉がデッド・ロックに乗り上げた場合には、最初から総理がよく言われた、戦後十年たってまだ日ソ間に戦争状態が続くということは好ましくないという、従ってそれゆえにこそ日ソ交渉をやるんだと言われたあなたの希望もだめになる。あなたは現職総理大臣中に、今申し上げたような、党内のバランスの上にのみあぐらをかかぬように、積極的にこの交渉成立のために努力されるかどうか、重ねてこの問題をもう一度お尋ねしておきます。
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鳩山一郎#28
○国務大臣(鳩山一郎君) ソ連との間の戦争状態が終結するということは私は必要なことだと思いまするから、そのためには努力をいたします。
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羽生三七#29
○羽生三七君 いろいろまだお聞きしたいことがありますが、微妙な段階にありますので、日ソ交渉問題はこの程度で、次の問題に移ります。
 次にお尋ねしたいことは、やはり総理が第一次鳩山内閣成立の際に言われた中ソとの国交回復でありますが、中共問題についてお尋ねいたします。
 この問題は、衆参両院の本会議や委員会でずいぶん論議されたのであります。政府の考え方もある程度わかっております。私の方から政府の考え方を要約いたしますと、中共問題は台湾政府との関係や国際情勢にも関係があるので、今直ちに中共を承認するとかしないとか具体的措置をとり得る段階でない。今のところは貿易の拡大等に重点を置いて施策を進める。これが要約した政府の立場であります。これは間違いないと思います。
 そこで、私はここで同じような質問を繰り返そうとは毛頭考えておりません。また同じような答弁を聞きたくもないのであります。私のお尋ねしたいことは、問題は国際情勢に変化が起るまで、つまりこれをもっと具体的に申し上げますというと、アメリカの対中共方針や国連の方針が何らかの変化が起るまで日本としてはどうにもならないという立場をとるのか。つまりですね、政府は国際情勢もあるし台湾政府もあるから、中共問題は今直ちにどうするわけにもいかぬから、せめて貿易を拡大すると、そういう場合、進んで日本が国際情勢の変化を求めるような積極性を持つ意思はないか。国際情勢が変れば日本はついていくというのでなしに、その国際情勢を変えていくというような努力をする意思はないか。そのためにアメリカともっと話し合いをしないかということの必要性を私は痛感するのでありますが、そういう御意思がありますか。そのためにはアメリカともよく話し合わなければならないし、またアメリカや中共を含めてアジア会議を提唱してはどうかとも考えている。私はずっと前の予算委員会でも総理にお尋ねしたことがある。だからアメリカと話し合う、あるいはアメリカと中共とを含めたアジア会議を提唱して、積極的に国際情勢を変えていく、変ったら日本もついていくというのでなしに、日本もその一環に加って国際情勢を漸次変えていく、そういう努力をなさる考えはないか。つまりそういう積極性をお持ちになる意思はないかどうか、これをお伺いいたします。
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