運輸委員会

1963-06-24 衆議院 全455発言

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会議録情報#0
昭和三十八年六月二十四日(月曜日)
   午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 木村 俊夫君
   理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君
   理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君
   理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君
   理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
      安藤  覺君    有田 喜一君
      有馬 英治君    伊藤 郷一君
      伊藤宗一郎君    尾関 義一君
      加藤常太郎君    簡牛 凡夫君
      壽原 正一君    關谷 勝利君
      田澤 吉郎君    中馬 辰猪君
      福家 俊一君    増田甲子七君
      大原  亨君    加藤 勘十君
      勝澤 芳雄君    楯 兼次郎君
      松原喜之次君    矢尾喜三郎君
      内海  清君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第四部長)  關  道雄君
        運輸政務次官  大石 武一君
        運輸事務官
        (大臣官房長) 今井 榮文君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      広瀬 真一君
 委員外の出席者
        議     員 久保 三郎君
        運輸事務官
        (鉄道監督局国
        有鉄道部長)  向井 重郷君
        日本国有鉄道副
        総裁      磯崎  叡君
        日本国有鉄道常
        務理事     河村  勝君
        専  門  員 小西 真一君
    —————————————
六月二十四日
 委員川野芳滿君、砂原格君、下平正一君及び松
 井政吉君辞任につき、その補欠として田澤吉郎
 君、安藤覺君、大原亨君及び楯兼次郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員安藤覺君、田澤吉郎君、大原亨君及び楯兼
 次郎君辞任につき、その補欠として伊藤宗一郎
 君、川野芳滿君、下平正一君及び松井政吉君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員伊藤宗一郎君辞任につき、その補欠として
 砂原格君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
 鉄道新線建設緊急措置法案(久保三郎君外九名
 提出、衆法第四六号)
 日本鉄道建設公団法案(内閣提出第一〇〇号)
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木村俊夫#1
○木村委員長 これより会議を開きます。
 去る二十日本委員会に付託されました鉄道新線建設緊急措置法案を議題といたします。
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木村俊夫#2
○木村委員長 まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。久保三郎君。
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久保三郎#3
○久保議員 ただいま議題となりました鉄道新線建設緊急措置法案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、日本国有鉄道が行なう鉄道新線建設の、緊急かつ計画的な実施を促進するため、鉄道新線建設十ヵ年計画の策定とその実施に要する国庫負担等について必要な規定を設けようとするものであります。
 御承知のとおり鉄道新線の建設は国の産業開発、経済発展、あるいは地域格差の是正のためには大きな役割を果たすものであります。したがって、鉄道敷設法第一条別表により定められています予定鉄道線路は総数において二百三十一線に達する多きを数えております。
 ところが、そのうち現在建設工事を進めておりますいわゆる着工線はわずかに四十八線であり、また次に着工を予定されています調査線は十五線という実情であります。しかもこれらの着工線及び調査線につきましても、現在国鉄が行なっております毎年六十億ないし八十億程度の建設資金の投資規模では、今後十年先はおろか、二十年先になっても完成を見ないのであります。今日までの建設のテンポをもって今後を予測しますならば、着工線及び調査線の合計六十三線をすべて完成させるためには四十年ないし五十年の歳月を見込まなければなりません。加えて鉄道敷設法第一条別表の予定鉄道線路二百三十一線の全部を完成させるとすれば、これは何百年もかかり、その必要とする建設資金もこれまた天文学的数字となるのであります。
 鉄道新線の建設が必要とされながら、なぜこのようにそれが進まないのか、その理由は大きく分けて次の三点にあると考えられます。
 その第一は、現在の国鉄の経営方針であります。国鉄はその経営が苦しいあまり、いわゆる企業性の追求に急となり、独立採算制というたてまえからも、金のもうかる面にのみその力を注ぐといった経営の方針にならざるを得ない状態にあります。そのためその本来の使命である公共的任務についてややともすれば欠けるうらみを持つのであります。しかも最近における輸送の逼迫は、鉄道新線の建設よりも、現在線区の輸送力を増強し、激増する輸送の要請にいかにこたえるかが重要な問題となってきております。すなわち輸送力増強と輸送の近代化が緊急の仕事となっているのであります。これらは三十二年度から始めた国鉄第一次五ヵ年計画及び三十六年度からの第二次五ヵ年計画を通じて示された今日の国鉄の偽らざる姿であります。
 このままの状態を続けておるならば、新線建設の面において毛きわめて大きな問題が横たわっていると考えるのであります。現在、建設が進められている着工線と、近く着工する予定の調査線の全部について建設を完了されるまでに必要とされている総工費は合計して五千億といわれております。これらの資金についてどのように確保するかが大きな問題であります。すでに国鉄は第一次及び第二次五ヵ年計画を通じ、今日までの長期負債の総額は六千億に達しています。先日発表されました国鉄諮問委員会の答申によりますと、今後とも現在の投資規模を維持して国鉄が輸送力の増強、輸送の近代化を進めますならば、昭和四十五年には負債の総額は二兆四千億をこえ、支払い利子のみでも年間約千六億円、つまり予定される収入の二割が利子の支払いに充てられるという国鉄経営の破局を予測しているのであります。さらにこの推計には鉄道新線の建設を含めておりませんから、これに今日以上に鉄道新線の建設を行なうこととし、そのための借り入れ金を増加することとすれば、破局が一そう早く訪れるであろうことは論をまちません。
 鉄道新線の建設のために巨額の資金を必要とし、その資金措置の困難さが、鉄道新線の建設が進まない第二の大きな理由なのであります。
 加えて鉄道新線の建設は、その資金が巨額であるのみならず、完成までの懐妊期間が長く、未稼動資産となって経営上にもまた多くの圧迫を加えるのであります。これらの点よりしますならば、その建設資金の手当てをどうするかを考えない限り問題は解決しないのであります。
 また第三の理由として指摘しなければなりませんのは、建設された鉄道新線の経営の問題であります。戦後鉄道新線の建設が再開されましたのは、名目的にもせよ日本が独立したといわれました昭和二十七年からでありますが、その後今日までに約六百億円にのぼる資金をもちまして、合計五十四線、二千九十六キロの新線を建設しているのでありますが、そのうち開業致しております線区は全線二十一、部分八の二十九線、六百五十一キロにすぎません。しかもこれらの新線は今日に至るもすべて赤字経営であります。今後建設されるであろうところの新線につきましても、資料によりますと、海峡連絡鉄道を除きまして、そのいずれもが、すべて赤字経営を予想されておるのであります。かりに先ほど申し上げました現在の着工線及び調査線につきまして、すべて完成したときの経営について予測してみますと、営業上生ずる赤字は利子負担を含めずして年間六十四億円をこえると予想されるのであります。このようなことでありましては、新線の建設が進めば進むほど国鉄の経営はますます苦しくなり、ごく最近の機会に決定的な破局を迎えるであろうことを予想しないわけには参りません。
 また一般に、鉄道経営は巨大な固定資本を必要とするにもかかわらず、一方では安い運賃で大量輸送を行なうという公共的使命を持つものでありまして、投下資本に対して利潤の少ないのが特徴とされておる企業であります。したがいまして、従来から営業しております線区と、新しく建設された線区では、その減価償却費に大きな違いが生ずるのでありますが、それを理由として、線区ごとに違う賃率を適用し、事実上鉄道新線のみ高い運賃とするようなことは許さるべきではないと考えます。したがいまして、今日のままの状態で鉄道新線の建設を促進いたしますならば、結果において全体の運賃値上げを早い機会に導き出すこととなり、これまた私どもとして容認すべからざることとなるのであります。
 鉄道新線の建設について考えます場合には以上のような現実に立って、これを一つ一つ解明し、その解答を与えてやる立場に立たねばならぬのであります。
 そこで、政府提案の鉄道建設公団法案は率直に申し上げて、これらの根本的な問題には何らの解決が与えられておらないように考えるのであります。公団をつくれば、新線の建設が促進されるというがごとき、ごく単純な理解しかなされていないのではないかといわざるを得ません。同法案によれば、本年度の政府出資はわずかに五億であります。他は国鉄出資七十五億を予定しているのでありまして、この限りにおいては何等従来の建設規模と変わりがありません。このようなものであるなら別に公団を設ける意義がないと思うのでありまして、どうも納得ができない点が多いのであります。その上公団でつくりました新線は原則として有償で国鉄に貸すか譲渡するというのであります。自分で金を出してつくったものにさらに金を出して借りるといった不合理な規定が書いてあるのであります。しかもそれは前にも申しましたようにすべて赤字が予想される線区でありますから、かりに無料で借りましたといたしましても、赤字の重圧に悩まされるのは当然のことであります。しかも同法案は、赤字経営によって生ずる国鉄の負担について何らの規定もいたしておりません。それはつまり、赤字は国鉄で始末せよとのことでありましょうが、これはたいへん不合理な話であります。その上、公団ができますと、せっかく長い間の経験を持つ国鉄工事要員を二分することとなり、第二次、第三次という五ヵ年計画の過程ですでに不足が伝えられています工事要員をさらに縮小し、その弾力的運用を失わしめるといった損失、あるいは公団役職員、特に管理者ポストのみが増加する結果になるといった大きなむださえ生むのであります。
 要するに公団の設置は百害あって一利なしという結果になるのであります。
 もちろん政府提案の鉄道建設公団法案が出されるに至った経緯は簡単なものではございません。その基本は、鉄道建設審議会の昨年五月に出されました建議に基づくものであることは十分承知をいたしております。ところが、この建議の根幹をなすものは実は建設資金の確保に関するものであって、すなわち鉄道新線の建設は一般国民に与える有形無形の便益の増大と国家経済に与える効果の多大なることにかんがみ、国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道の企業的立場からのみこれを論ずべきではないことは明らかである、したがってこの矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を道路、港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にないものと思量せられる、よって今後の新線建設については、政府が公共事業として、その主たる財源を負担することが適当であると述べております。この前提に立ってのみ、国鉄と別個の組織を必要とする旨示唆したものにすぎないのであります。ところがいつの間にかこの本末を転倒し、枝葉の部分のみが持ち出され、幹の部分は置き忘れられている感が強いのであります。
 このような政府案の基本的欠陥をただし、今日の国鉄の実情及び新線建設のあり方などの諸点を正しく理解する中から、ここに鉄道新線建設緊急措置法案を提案する次第であります。
 申し上げるまでもなく、この法案は、鉄道新線の建設は、従来どおり日本国有鉄道をして行なわしめることを前提とし、建設公団といったような別な組織によることを考えておりません。それは、すでに申しましたところで明らかなように、国鉄か公団かが現在新線建設の問題点ではないからであります。国鉄の技術陣をもってすれば、今日予定されております鉄道新線の建設は決して不可能ではございません。いな、むしろ国鉄の技術陣の手にまたなければ、かえって多くの障害さえ予想されるのであります。さらにつけ加えて申し上げますならば、政府は現在ある公団その他の政府機関につき、なるべく合理化し、その縮小をはかろうとの方針と承知しておりますときに、公団を新たにつくるというのでは筋が通らないかと考えます。いたずらに組織をつくり、機構を複雑にするようなことは厳に慎しむべきでありましょう。
 鉄道新線の建設が遅々として進まない理由として、冒頭三つの点を指摘いたしました。この三点について、どのように解明するかによって、新線建設の正しい回答が与えられるのであります。この提案は、この三点について次のように措置することが骨子となっているのであります。
 その第一は、鉄道新線の建設は、単に国鉄といった企業的な立場だけから見ることを排除し、政府において、日本国有鉄道及び鉄道建設審議会の意見を十分に聞き、高い見地、広い視野より、国の政策として、本年度以降十ヵ年計画を定めることとした点であります。
 もちろんこの十ヵ年計画の策定にあたりましては、法案に規定いたしました必要な手続を経ることは当然でございますが、特に、その計画を具体的に樹立するにあたって、いやしくも世間から政治路線の指弾を受けますような、政治的圧力によってそれが左右されることのないように、厳正に取り扱われることは絶対の要件であります。しかも路線の選定にあたっては、個々の路線について、他の輸送機関、たとえばバスとかトラックとかの自動車輸送との競合がどうなるかといった問題、あるいは鉄道新線の建設よりも道路建設のほうがより住民福祉の向上に役立つのではないかといったような問題など、総合的な立場に立って、科学的な検討が加えられ、今後の経済発展、地域の開発とも関連した十分な配慮がなされねばなりません。
 計画がいわゆる総花式となりますと、いたずらに予算の乱費となり、十分な経済効果を発揮し得ないのみか、国としても過大投資、あるいは二重投資、三重投資の弊害となり、大きな損失を招く結果となるのでありますから、この点は、ぜひとも慎重の上にも慎重を期さねばなりません。
 なお十ヵ年間の新線に対する投資規模はおおむね三千億円程度が適切妥当ではないかと考えるものであります。
 第二点は、十ヵ年計画に基づく鉄道新線の建設に要する経費の半額を国において負担し、国鉄経営に加えられる圧迫を幾らかでも緩和するとともに、新線建設の隘路となっています建設資金の確保をはかろうとしている点であります。この点については、すでにるる申し述べたとおりでありまして、多くを申し上げる必要はございません。しかしながら、特に次のことについてのみ触れておくことが必要であろうかと考えます。
 それは、国の負担をなぜ半額としたかということであります。本来ならば、日本国有鉄道は全額政府出資の公共企業体でありますし、きわめて苦しい経営をいたしておるのでありますから、全額政府負担であっても当然ではないかと考えるのであります。
 またそういう意見もしばしば聞かれるのでありますが、現在におきましては、他の政府機関、あるいは他の道路、港湾といった公共事業に対します国庫の負担割り合いを勘案し二分の一と定めた次第でありまして、この点は十分な御論議を承りたいと考えるところです。
 第三の点は、国鉄が新線を完成後、その営業にあたって免じた欠損について、国から補助を行なうことを明らかにした点であります。これは現在予想される鉄道新線のほとんどが赤字経営であろうと推測されることにかんがみ、新線の建設によって免ずる国鉄の経営上の圧迫を幾らかでも排除し、それによって、健全な経営を維持するための措置でありまして、補助をする具体的な額は、毎年度の予算によるのでありますが、その基準となります計算の方法は運輸省令で定めることにいたしております。
 以上がこの法律案の提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。拍手
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木村俊夫#4
○木村委員長 次に、日本鉄道建設公団法、案を議題として審査を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。加藤勘十君。
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加藤勘十#5
○加藤(勘)委員 まず第一に、鉄道建設公団法案につきましてはすでに同僚の諸君から若干の質疑がなされておりまするので、あるいは重複する点があるかもしれませんけれども、それはそれとして、私は本来的な意味においてのこの公団建設がなぜ必要であるか、その点をお伺いしたいと思います。
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大石武一#6
○大石(武)政府委員 加藤委員にお答え申し上げます。
 なぜ鉄道建設公団法が必要であるかということにつきましては、前にも御説明申し上げたと思いますが、ただいま久保委員から読み上げられました鉄道新線建設緊急措置法案と全く同じような理由でございます。現在の日本の鉄道新線建設は国鉄に一任されておるわけでございますが、これだけではこの三千億あるいは五千億円にのぼる国民の要望する新線を建設することはとうてい不可能でございます。いまのやっと七十五億円もほとんど出し得ないような国鉄の現在の経営状態では、今後五十年、六十年たちましても、この国民の希望を達成することはとうてい不可能でございます。したがいまして、何とかして十年なり十五年以内にこのような国民の要望する新線を建設いたしまして、国民の福祉を向上させることが最も大切であると考えるのでありまして、そのためには国鉄だけに責任を持たせるのではなくて、国でも十分に責任を持ち得るように、そしてまた公団自身におきましても、公債その他の発行によりまして、資金の調達ができまして工事の促進ができますようなことを考えまして、鉄道建設公団法案を提案いたしたのでございます。
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加藤勘十#7
○加藤(勘)委員 建設公団ができるとどうやってすぐに金ができるのですか。いまおっしゃるとおり、政府もその責任を負わなければならない、公債を発行して一般からの資金の徴募もできる、こういうようなお話ですが、それならば国鉄が現在やっておる新五ヵ年計画に基づいてやるということとどういう違いがあるのですか。国鉄においてでも、もし基準の上において公債募集ができぬとするならば、それをできるようにすればいいじゃないですか。建設公団ができるというが、建設公団そのものはある意味からいけば建設について管理機関なんです。一つも技術があるわけではない。結局鉄道の技術を二分するということ以外にない。二分もしくは鉄道の技術を移譲する、転出せしめるということ以外にはないわけであります。それはどこから新しい技術要素が生まれてくるのですか。現在の国鉄の技術陣にまさる技術陣が日本のどこにあるか。そしてまたそういうものが公団の必要とするようなところに来るかどうか、そういうことだって将来の問題でわからぬと思うのです。私は結局公団は国鉄の技術陣を転出せしめる、移譲せしめるということ以外にはなかろうと思うのですね。資金も、この法案によれば、政府はわずかに五億円、国鉄が七十五億円出して、将来全線完成のためにはおよそ五千億円が必要とされておるという資金事情に基づいて考えるときに、一体これによって年額八十億円どこからどうして公債を募集するのか。またそのような国鉄建設だけの公債募集が、年額どれくらいになるかわかりませんが、他の一般の金融事情と関連して許されることであるかどうか。それからまた受益者負担というような形において地元にどういう負担をせしめるのか。鉄道を敷いて一年一回か二回乗るという人がどういう負担をしなければならないのか。一体受益者負担というものが、鉄道建設の場合に、公然と他の区画整理等に基づく受益者負担と同様に法律上の義務を負うのかどうなのか。もし法律上の義務を負わないとすれば、地価の値上がり等によって利益を受けるから、その分で公債を引き受けるという形において負担をするのか。それともこれは地方の自治体が自治体として負担をするのか。あるいは個々の個人が負担をするのか。この点がこの法案では明確になっていないのですが、どちらでしょうか。
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大石武一#8
○大石(武)政府委員 御質問の数が非常に多いのでございますので、順次それぞれわれわれ御答弁申し上げますが、もし答弁し残しました点は御指摘いただきまして、また御答弁申し上げたいと思います。
 いろいろな資金の問題の御心配でございますが、資金は御承知のように国鉄で新五ヵ年計画をつくってはおりますけれども、とうていこの五千億あるいは何千億というような新線建設には手が及んでいないのは御承知のとおりでございます。これは御存じのように、国鉄がいかに収入が多くなりましても、現在の東海道新幹線の問題につきましても、三十八年、三十九年にわたりまして約九百億の補正を要するような現状でございます。しかも改良工事あるいは保安設備、そういうことを考えますと、とうてい、いまの国鉄の収入がかりに倍になりましても、あるいは国が五百億、六百億の十分な補助をいたしましても、このほとんど大部分の金は、いま申しましたような改良工事なりあるいは保安対策なりに使わなければなりませんから、ある程度の赤字は見込まれますので、とうてい新線には使い得ないことは十分に御了解がつくことと思います。そういう意味で、何とかして手を打たなければ、多数国民の要望する新線をつくることができないというのがわれわれの考え方の骨子でございます。どうしてその資金的な問題を解決するかと申しますと、やはり国鉄がいままでほとんど義務的なように出しておりました七十五億円程度の金は国鉄から出してもらいますけれども、なおこれに上回る国からの出資を多く得たいと思うのでございます。ことしはわずか五億円の出資であり、さらに五億円これは貸し付けの金がございますけれども、これは本年度は公団発足の当初でございまして、公団をつくるということ、人員を集めるということ、そういうことにおもに時間を食われますので一応その程度に落ちつきましたが、来年度からはもっともっと多くの国の出資を得るように努力する所存でございます。
 なお公債の発行でございますが、現在でも国鉄は債券を発行いたしております。しかし債券はほとんど改良工事、保安対策、そういう方面に使われているものでございます。したがって今後とも国鉄はもちろん債券の発行をいたしてまいりましょうけれども、やはりこれは現在の改良工事あるいは保安対策に使われるのが当然でございまして、新線建設のほうにこれはとうてい向ける余裕は現在のところありません。したがいまして、この公団においてやはり債券を発行してこれを新線建設の一つの資金にいたしたい、こういうのが一つのねらいでございます。
 技術的な問題でございますが、とにかく新線をどんどんつくります以上は、現在国鉄にこの仕事をやらせるといたしましても技術陣の増強が必要でございます。現在の技術員は現在最高度の能力を発揮しているわけでございますから、それ以上の新線建設の仕事がふえればやはりそれ以上に技術陣を強化、増強する必要がございます。そういう意味で、公団ができましても、できませんでも、技術陣の増強は必要でございますから、その増強分を新線公団のほうで受け持つわけでございます。もっともいま現在国鉄として新線建設を七十五億円でやっておりますから、その分に相当する技術陣は国鉄から公団のほうに来ていただきたいと思いますが、それは大体七百人程度でございまして、そう大きな影響を国鉄に与えるものではなかろうと思います。それで技術員を動員するということは、これはどんな場合でも必要でございますから、もちろんいままで国鉄で働きまして、なお能力がありながら年齢的な問題で退職しているとかいろいろな人がございます。そういう人にさらにまた十分に働いてもらいますが、また新しい技術員を動員しなければならないと思うわけであります。
 一年に一回乗るか乗らないような場所にまで早急に鉄道をつくる気持ちはございません。やはりその地域住民の非常な要望がありまして、どうしても鉄道を利用しなければならぬという希望が大いにあるところから鉄道建設を始めてまいるわけでございますから、一年に一ぺんか二へん乗るか乗らぬというところにまではなかなか公団としても手が及ばぬだろうというふうに考えております。そういう意味で、これから詳しいことはまた鉄監局長からお答え申し上げさせるわけでございますけれども、負担につきましては、先ほど社会党から御提案になりました緊急措置法案にありますように、その地域だけ高い運賃をとるわけにはまいりませんでしょうし、やはり公平な負担にしなければならない。したがって、そういう意味から申しましても、その地域住民に対して特別な負担をかけるわけにはまいらないと思います。そういう意味で公団は強要はいたしておりません。たとえば公団債を発行する場合に、自分らがどうしてもほしければ自発的に協力してくれるでありましょうし、このような法律的な強制はないのでございます。
 なお、詳しいことにつきましては鉄監局長からお答えさせたいと思っております。
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広瀬真一#9
○広瀬(眞)政府委員 ただいまの政務次官のお答えで大要は尽きておりますが、こまかい点を若干補足させていただきますと、本年度は確かに公団発足の時期でございまして、政府出資は五億円、それからほかに運用部資金の借り入れが五億ございますが、第四条の第四項で、政府及び日本国有鉄道は、必要があると認めるときは予算で定める金額の範囲内で公団に追加出資ができるというふうになっておりまして、将来は追加出資というものを大いに期待しております。この公団をつくりました趣旨も、先ほど政務次官が申し上げましたように、公共事業的な考え方で新線建設を進めてまいろうということでございますので、政府も大いに力を入れていただかなければいかぬというふうに考えます。
 なお、公団債券の問題でございますが、先ほど先生からもちょっとお尋ねがあったと思いますが、国鉄でやっておりますような利用債というようなものは考えておりませんで、一般の鉄道債券的なものを考えております。
 それから技術陣営の問題でございますが、これも政務次官のお答えで尽きておりますが、現在建設局系統で新線建設に従事している職員というものはかなり明確になっておりますので、主としてこういった職員を中心に技術的な陣営を立ててまいろうというふうに考えております。
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加藤勘十#10
○加藤(勘)委員 もし建設公団ができて新しい技術陣を動員しなければならないというときに、現在の国鉄の建設事業を推進するという意味において国鉄自身に補充したらどうか。しいて公団をつくって、公団という別個の公法人格といいますか、そういう人格をつくっても、結局それは将来は経営するのでも何でもない、建設そのものだけを担当するということであって、ある意味からいえばぼくは公団自体は管理機関にすぎないと思うのです。そうすると管理のためにさらに現在の国鉄の建設事業をあちらに移すということになるわけですけれども、形は国鉄であろうと公団であろうと、早くできればいいという考え方であるかもしれないけれども、ある意味からいくと、また公団という屋上屋を架するような管理機関ができて、そこに官僚が再び——国鉄かどこか知らぬが、そういう官僚の巣くつをつくらせるということになる危険性は多分にあると思います。他の、現在見る政府関係の公社、公団、公庫等の実情を見ましても、行政管理庁の考え方によれば、順次こういうものは整理していくという方向に向いておるわけです。これは国論の一致するところです。公団、公社、公庫等を順次簡素化していく。ところが今度新しくまたこういうものを再び鉄道建設の急務であるということに名をかりてつくるということは、現在の国鉄に屋上屋を架する感があると思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
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大石武一#11
○大石(武)政府委員 加藤委員の御心配の点はごもっともと思います。できるならば公団とかそういったいわゆる官僚的な組織は少ないほうが私も望ましいと思うわけでございます。しかしどうしてもそういうものは必要な場合にやはりつくらなければならぬ、こう考えまして、この鉄道建設公団は必要やむを得ざるものと考えまして、われわれはここにこのような案を考えたわけでございます。なるほど仰せのように、この建設公団が管理機関であるということは、いずれはそうなってまいります。だんだん鉄道建設が完成いたしまして、汽車を走らせるような時期になってまいりますと、これを管理することになってまいりますが、御承知のように現在でも六十三線の鉄道建設がございます。これだけでも、われわれは現在十年とは申しておりますけれども、十年どころではなく、十五年やそこらはかかると思います。そのようなわけで、これは管理機関だけになるにはまだまだ時間がかかります。さらに社会党御提案の法案にありますように、二百三十一線の予定線があるとしますと、これは少なくとも二十年、三十年の期間は必要でございます。その間は建設事業が主でございまして、管理というものは主ではございませんから、別にこれは屋上屋を重ねるような管理機関になるようなことは考えられないのでございます。しかもこの建設公団がつくります新線は、でき上がりますと経営は全部国鉄に委託いたしますし、運転は全部国鉄に委託するわけでございますから、あとは要するに経済的な建設費用の清算とかあるいは建設費の獲得というだけの仕事でございますから、別に国鉄に対して屋上屋を重ねるような官僚的なむずかしい組織にはならないだろうと思うのでございます。こういう考え方でございます。
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加藤勘十#12
○加藤(勘)委員 これはまたあとから触れることにしますが、現在国鉄のほう——これは運輸省のほうから出された資料ですか、その資料によりますと、着工線もしくは調査線の工事費、営業収入またそれに伴う経営費の数字が出されておりますが、それによりますと、着工線四十七線、二千二百二十五キロ、工事費千九百四十三億二千九百万円、営業収入が九十億三千幾ら、これに対して経営費が、経常の費用が八十七億円で、償却費が三十八億円、合わせて百二十六億三千万円、そうしますと、この着工線の損益計算は三十五億九千万円ばかりが赤字になるわけです。それから調査線が十五線、八百六十五キロ、これの工事費が一千十二億七千万円ばかり、営業収入が四十億六千万円以上、経営費が四十七億円、償却費が二十一億円、両方で六十八億六千万円ばかり、これの差し引き二十七億九千万円、約二十八億円の赤字になっております。前者のほうは比率にすると四〇%の赤字であり、後者のほうは実に六九%の赤字になっておる。両方合わせましてもこれが完成された暁においての営業状態ですけれども、工事費二千九百五十六億円、営業収入はわずかに百三十一億円、経営費が百三十四億六千万、償却費が六十億、合わせて百九十四億九千五百万円、双方合わせたものの差し引き赤字は六十三億九千万円、こういうことになっておるのですね。この数字は三十八年度の賃金、物価等の想定によって積算されたものであると思うのです。将来この物価なりあるいは賃金なりというものが上がっていくことは必至の条件ですね。ただ三十八年度の仮算においてこういう数字が出ておるし、将来もっと建設費が賃金、物価の上昇によってふえていくということになれば、営業収益は、運賃が三十八年度の計算と変わらないとするならば、非常な大きな赤字になるということは明々白々ですね。この赤字を一体どうやって補っていくか、問題はこういう点にあると思うのです。経営は全部国鉄に移譲される。しかも原則としては有償である。有償というても、おそらくどの線を取り上げても多分に一つ残らず赤字であろうと思うのですが、そうすると赤字のものは有償ではとても引き受けられぬ。当然無償の貸与もしくは譲渡、まあ貸与になると思うのですが、その場合に一体建設費の償却は使用者である国鉄が負担をするのか、あるいはただ単に鉄道をつくって国鉄に無償で貸すという公団が負担をするのか、公団が負担をするとするならば一体どこから収入を得るか、こういう点がきわめて不明確だと思うのですが、どういうようにお考えですか。
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大石武一#13
○大石(武)政府委員 ただいまの御質問はまことにごもっともな御質問でございまして、われわれもその点についていろいろ苦慮しておるわけであります。建設費はとかく非常に金がかかりますので、なるほど建設の費用の割りに比しまして収入の少ないのは御指摘のとおりであります。これは公共的な性格を持ったものでございますから、その点はやむを得ないと思います。そしてその大きな負担はやはり国にかかってまいると私は思うのでございます。ただしいろいろ新線が営業を開始いたしますと、全部が赤字とは申されません。ことに日本全体の経済が非常に明るい方向に進んでまいっておりますし、また国民のふところ、あるいはものの見方、考え方がだんだん変わってきておりますから、この新線建設もいままでの観念で考えたような赤字ということは、そういうことではあるまい。おそらくいろいろな方面で変わっていくのではなかろうかとわれわれは考えるのであります。しかも、たとえば青函トンネルとか根岸線は十分採算がとれてもうかる線だということは予想されるわけでありますから、こういうようなことを考えますと、必ずしもみんなが赤字であると悲観することはないと、われわれは希望を持っておるわけであります。ただいまお説のように、これは三十八年度の計算でも将来六十三億の赤字が出るのではないか、今後賃金が上がっていくならばなお赤字が増加するのではないかという御指摘、そのとおりであります。しかし賃金なり物価がある率をもって上がってまいりますれば、私は鉄道運賃もそれに比例しまして改定されるのは当然だろうと思います。そういうことも考えられますし、また国全体の景気がよくなってまいれば、現在三十八年度で予想したものよりもはるかに多くの人々が利用する、あるいは物の輸送に利用されるということになりまして、やはりそれだけの収入も上がってまいると思うのでございます。そうしてまたこの赤字は、この個々の一つ一つの新線につきましてはなるほど赤字が出るかもしれませんけれども、その新線ができることによりまして、その総合的な鉄道の収入と申しますが、鉄道の経済はもっと上がってまいると思うのでございます。その線は少なくとも一時赤字であっても、その線を利用することによって他の幹線なり他の総合的な鉄道の収入は上がってまいると思います。こういう総合的な点から考えますと、必ずしもそう赤字ばかりではあるまい。推算は十五年、十八年先の問題でありますから、いまから詳しい予想はとてもできませんけれども、そのような希望を持って努力してまいりたいと思っておる次第であります。
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加藤勘十#14
○加藤(勘)委員 いま私のお尋ねした赤字は借入金の利子というものを全然見込んでない、ただ当局の出した数字をそのまま言うたに過ぎないのですが、将来これだけのものを建設するのに政府の出資がどういう関係になるのか、それから国鉄の出資が、負担がどれだけになるのか、そのほかに借入金をどの程度必要とするか、こういう見通しについてはどうですか。
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大石武一#15
○大石(武)政府委員 ただいまの御質問はまことに私どものほうとしても痛い質問でございます。実際そのような正確な計算を持つべきでございますが、はたして来年度政府から百億円の出資があるか、百五十億円の出資があるか、三年後には二百億あるか、そのような確かな数字をあげるわけには参りません。残念ながらこのような方針を立てますことに急でございまして、われわれはまだこまかい正確な数字を約束する段階にはまいっておりませんので、実はただいまの御質問につきましても明確なお答えを申し上げられないのでございますが、とにかくこれは公共企業的なものでございますから、その点において十分に政府の金を中心としていろいろな工事を進めるということに勉励努力してまいりたいと思っておる次第であります。
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加藤勘十#16
○加藤(勘)委員 それはこの法案が早急の間にできたという関係で、日本の金融財政の実情の将来への展望が明確に持たれなければ、そのうちからどれだけこの鉄道出資に回すかということが明確ではないと思いますけれども、しかしながら少なくともこれだけの案を出して、将来主として国が負担をしなければならないということ、ことに公債にしましてもその他の形による借入金にしたって、利子が伴うことは言うまでもないわけであります。したがって日本の、少なくとも見通し得られる限り財政経済の見通しの上に、どれだけ国鉄に新しい出資が可能であるか、おおよその、少なくとも年度割りにしてどのくらいのものは出し得られるかという、そういう計算は、これは運輸省だけでなくて、政府として当然大蔵省を中心として、そういう見通しと同時に案が立てられなければならないと思います。それでないと、こういう問題に対する国民一般の納得をいかしめることがむずかしいじゃないか。このことが一つ。
 それからもう一つは、将来の経営のことでありますから、赤字が出ると予想しておっても存外黒字になるかもしれぬ、黒字になると思っておっても赤字になるかもしれぬけれども、現在の国鉄の経営の上からいきまして、二百何線という線があるかもしれぬが、その中でほんとうの意味においての黒字線というのは非常に少ないじゃないですか。十九か二十か。かつかつ一ぱいにいっておるのが若干あって、ほんとうの黒字というものはわずかな線であって、あとの大部分は既設線においてすでに赤字が明白になっておる。既設線はこれから着工する線に比べれば、人口密集の度合いが高いであろうし、物資の輸送の関係においても多いであろうが、その人口の密集の度合いが高く物資の輸送の量が多いと思われる現在線においてすでに赤字が明確になっておる。これは何年毛何年もの間の経営の実績です。今後さらに新しく、現在必要としている以上には必要でない——必要でないと言うと語弊があるけれども、必要の度合いが低い新線の建設された後において、はたして営業成績が黒字を見込み得るという予想が立つでしょうか。その点はいかがですか。
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大石武一#17
○大石(武)政府委員 加藤委員のただいまの御意見はまことにごもっともでございます。最初の問題につきましては、私たちも当然年次的な資金の計画を立てまして、政府はどのくらい出資すべきである、債券はどのくらい発行すべきであるという計画を立てるのが当然で、おっしゃるとおりでありますが、われわれもこれにつきましては非常に努力いたしましたが、その精細な見通しが立ち得ませんので、まことにこの点申しわけない次第であります。ただ国鉄へはできるだけいままでのような負担はかけまいという意味におきまして、毎年七十五億の出資ということを考えております。それからさらに公共企業と同等のものでございますから、その意味において国が道路や港湾をつくると同じような意味にまで国の投資を進めてまいりたいと思って、それに努力する決意でございます。
 それからただいまの第二の御質問、これもごもっともであります。おっしゃるとおり、必ずしも必要性が低いとは申されませんが、経済的に低い、これが予想される新線でございます。そういう意味でこの点はなるほど赤字が大部分でなかろうか、私もそのとおりに思うのであります。しかしできるだけ合理化をいたしまして、いままでの鉄道と違って、これらの新線にはもっと合理的な経営ができるような方法をとれば、たとえば人の数を少なくしてやれるとか、そういういろいろな合理的な方法をもちまして、できるだけ経費を少なくして赤字を薄めてまいりたいと思います。おっしゃるとおり、現在の時点におきましては黒字となり得る線は少ないのでありますが、しかしその点につきましてはできるだけ合理化をいたしまして、赤字を少なくしていきたいというのがわれわれの願いであります。
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加藤勘十#18
○加藤(勘)委員 もちろん将来の展望において、常に動いておる経済現象を見通すということは困難なことであります。したがって、精密な数字上の資料がなければいかぬなどというやぼなことは私も言うつもりはない。けれども、少なくも大綱だけは示してもらいたい。ただ三十八年度政府が五億円出資ということだけでは相済まないんじゃないが、少なくともこの鉄道が引かれるについては、政府に、ことしは五億円であるけれども、明年以後おおよその見当でもいいから、どれだけのものが負担し得られるという大綱だけは示してもらわぬと、この点に対する不安が消えないだろうと思います。
 それからもう一つ、いまの赤字問題についての経営上の合理化の問題でありまするが、言うまでもなく、鉄道経営については、他の精密機械工場のように、すべてを自動式にやるということは不可能でありまして、どうしても人力を中心として、ただ、こまかい設備なんかの点において自動化し得るものはあり得ても、私は、機械化によって労働力を少なくするということは、非常にむずかしいと思うのです。最低限の要るものだけは要るのであって、それを減らすということになれば、今度は、労働者に対する作業量の非常な増大による圧迫になる、こういう点が考えられまするから、ただ単に合理化ということばだけで経費の負担が軽減されるというようなことは、あまりにもぼくはその場限りのことばじゃないかと思う。それだけではとても納得できないんじゃないかと思う。
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大石武一#19
○大石(武)政府委員 ただいまの後段のほうの御意見に対しましては、全く同感でございます。私たちとしても、確かにいわゆる人員の合理化だけで必ずしも赤字が克服できないということはお説のとおり、そのように考えます。これはしかし、いま赤字を少なくしなければならぬのがわれわれの立場でございます。せっかく国鉄に経営を委託する以上は、国鉄にできるだけの負担をかけないということがわれわれの考えでなければなりません。そういう意味におきまして、できるだけの合理化をいたすつもりでございます。なるほど労働の強化をいたすようなことは、労働力にあまり負担をかけるようなことは、もちろんこれはできません。ですが、そういうことも一つ一つのちりも積もり積もって山となるのたとえのとおり、一つ一つの小さな合理化を積み重ねながら、たとえばいろいろな全体の輸送力の問題にしましても、いろいろな問題にしても、一つ一つの合理化の積み重ねをいたしまして、できる限り赤字をなくしてまいりたいのがわれわれの希望でございます。
 それから先ほどの、ことしはなるほど五億円だけの出資で、来年のことははっきりわからぬじゃないかという御意見でございますが、実際は来年はどうしなければならぬという一つの目安は持っております。来年の日本の経済状態によっては、いまわれわれ一運輸省だけで来年これだけを出せということは必ずしも言いかねますので、御質問のありましたように、十分納得のいく答弁ができないことはまことに申しわけないと思いますが、一応できる限りの努力をして、必ず来年度以降は五億円や十億円でない多くの政府の出資を取る決意を持って、いま働いておるわけであります。
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加藤勘十#20
○加藤(勘)委員 いまの政務次官のお答えについて、今度は大臣にお伺いしたいのですが、この法案を決定されるときに、いまお聞きのとおり、将来の政府の財政負担についての問題について、運輸大臣と大蔵大臣でもよし、運輸省と大蔵省でもよし、もしくは閣議において決定されておるかどうか、そういうことについて話し合いがなされたことがあるでしょうか、どうでしょうか。
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綾部健太郎#21
○綾部国務大臣 具体的な何千何ぼという数字につきましては相談いたしませんけれども、予算折衝のときに、大蔵大臣と折衝いたしましたときには、今後赤字線を十年間になくする方針だ、それに幾ら要るか、五千億要る、平均すると年五百億、最初は少なくとも、だんだん最後の年に至ってたくさん出るかもわからぬが、そのことについて話し合いました。
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加藤勘十#22
○加藤(勘)委員 そうすると、大体十年計画として、赤字を解消するために、建設費として、あるいはその間の、順次鉄道が敷かれ、営業も一部開始されていくわけですから、そういう赤字補てん等を含めて概算五千億円、年額五百億円というものについて政府はほぼ責任を持つお考えでしょうか。ただ閣議で話し合われたというだけでなく、将来責任を持つお考えでしょうか。
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綾部健太郎#23
○綾部国務大臣 ただいま申し上げましたのは、閣議の話し合いではないんです。予算折衝をするときに、その当時の大蔵大臣、すなわち現大蔵大臣とそういう話し合いをしたのでございまして、私は、この鉄道建設公団を発足いたしました経緯にかんがみまして、政府はその趣旨に従い予算措置をとるものと期待いたしております。現大蔵大臣もそう考えておると思います。
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加藤勘十#24
○加藤(勘)委員 その年額五百億円前後の負担は、どういう形において負担をされるのですか。これはどこでどういうように分担して負担するかということは別にして、たぶん私は長期もしくは短期の借り入れ金というものをも計算の中に入っているだろう。東海道新線のような場合には国際金融機関からの借り入れもすでに行なわれているが、今後のローカル線の建設にこういう国際金融機関の借り入れを受けるということは事実上不可能だと思います。そうすると、これは国内において借り入れ金なり公債の発行なり、何らかの形によらなければならぬと思うのですが、この問題だけで年額五百億円の費用をどこからどうして支出するかは別問題として、相当困難ではないかと思うのです。時の金融事情にもよりますけれども、そうすると、おおよその目当てがついておらぬと、途中であるいは払えぬということもなかろうが、高利の金を使わなければならぬような羽目におちいることはないですかどうですか。
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綾部健太郎#25
○綾部国務大臣 財政のことは私どもとしては大蔵大臣を信用する以外にちょっと考えられません。大蔵大臣はそれについて必ず十年間に五千億円、それは鉄道建設公債を発行するかもわかりませんし、あるいは政府保証の借り入れ金をするかもわからぬし、また低金利の各種の積み立て金と申しますか、預金部の金、郵政省の保険の金その他を流用するようなことはあるかもわかりませんが、十年間にどうしても鉄道を建設してやらなければいけない、この鉄道それ自体はかりに赤字でありましても、地方の開発になるし、ひいて国民北港の向上になるし、地域格差の是正にもなりますので、それをやるには政府は何らかの措置を講じて、ただいまここで、それじゃ預金部の金を何ぼ借りるんだ、鉄道公債を幾ら発行するんだ、政府出資は幾らするというその見通しにつきましては、大蔵大臣といえどもここで的確なお答えはできぬと思いますが、総括して十年間にこれだけの鉄道を建設するんだ、その熱意と方法については大蔵大臣は私以上に考えてくれているのじゃないかと思います。予算折衝のときに、この法案を本年は大蔵大臣は認めぬだろうと言っておったのを、とにかく認めさして発足したゆえんは、大蔵大臣はじめ政府、大蔵当局によほどの決意が要ることを断行したのでありますから、それを信頼するほか、運輸当局といたしまして、ここでどうこうという数字をあげまして御説明申し上げることは、私は遺憾ながら、加藤先生の御質問はごもっともではございますが、また私どもの答えられないという真意も御了承願いたいと思うのです。
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加藤勘十#26
○加藤(勘)委員 それは運輸大臣が言われるとおり、ここで具体的なものでもってどうこうなんということは、それは答えられないということもよくわかっておりますが、ただ先ほどから申しておりまするとおり、将来の展望の大綱については、少なくともおおよその点だけでも示されておれば、なるほどそれだけの費用を将来政府が負担したり、あるいはくふうをして鉄道をつくってくれるんだ、こういうことが国民一般に納得されるという程度のものは必要ではないかと思うのですよ。具体的なものがなくちゃいかぬというようなことではないと思うのです。しかし、それすらもここには示されていないわけなんです。その点が、われわれはこの問題を取り扱う上においてむしろ非常に一つの不満とする。これはおそらく鉄道当局でもそうだろうと私は思うのです。だから、そういう点についてどうしても大蔵大臣の意向をはっきりと確かめたい、こう思うのです。近くそういう機会があったら、私はぜひそういう手続をとってもらいたいと思う。ことに、いま大臣がおっしゃったように、この法律の主眼とするところは、経済基盤の強化をはかるということと、それから地域格差の是正をやる、この二つの点にあるわけですね。これはもっともな話でありまして、われわれも僻遠の地域におけるひとり文化施設だけではなく、教育社会諸般の施設が僻遠の地はおくれているから、そういうところを十分補って地域格差を全般的になくする、これはもうわれわれの念願とするところなんです。したがって、そういう意味においての鉄道建設ということについてわれわれは異議を言うものではないわけです。ただしかし、先ほど政務次官も言われましたように、この法案の今日ここに問題として提起されるに至った経過等からかんがみまして、建設審議会において、ことにいまの田中大蔵大臣が小委員長で鉄道建設の急を叫ばれたことが一つの機縁になっておる。とすれば、鉄道審議会は運輸大臣の諮問に応じて、鉄道建設について諮問されたことに対しての審議答申をする、こういうたてまえになっておりまして、交通全般の問題について審議するという権限がないのかどうか、全く諮問された範囲の鉄道だけしかないのかどうか、交通全般については何もそういう権限がないのかどうかということを、まず一つお伺いしたいと思います。
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綾部健太郎#27
○綾部国務大臣 もちろん名の示すごとく鉄道建設審議会でございますから、鉄道のみでございます。ほかの交通機関、たとえば船舶、たとえば飛行機、たとえば自動車等については諮問もありませんし、諮問しても権限はありません。
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加藤勘十#28
○加藤(勘)委員 そこで、現在の日本の社会経済全般の情勢から勘案しまして、交通機関というものが鉄道に限定される、ことに地域開発という一つの使命を持った、あるいは地域格差をなくするという点において、鉄道だけが唯一の交通機関として取り上げられるものであるか、あるいはときによれば、まあ第一に道路の建設が必要ですが、道路、バス、トラック、あるいは地域によっては沿岸の内海航路の船舶、あるいは航空機等、全般の交通機関について総合的に審査して、この地域は鉄道によらなければならぬとか、この地域は必ずしも鉄道路線を敷かなくても、もっと建設費の安いバスならバス、トラックならトラックがより適切ではないかという、要するに、日本の経済の基盤を強化するということと地域の格差をなくするということがこの法律の主眼である以上は、総合的に交通全般について考えられることが妥当でないかと思いますが、必ずしも運輸当局は鉄道建設審議会の答申だけにとらわれることなく、鉄道についてはなるほどこういう答申が出たけれども、今日の社会情勢に適応するような交通機関として何が妥当であるかということをさらに再検討されて、審議会の答申を採用されるものは採用されるし、採用することのないものは採用する必要もない、こういうことになると思うのですが、答申は何でもかでもこれを一〇〇%受け入れなければならない義務が運輸大臣にはあるでしょうか、ないでしょうか、どうでしょうか。
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綾部健太郎#29
○綾部国務大臣 交通全般についての考え方は加藤さんのおっしゃるとおりでございます。しかしこの間の豪雪の対策その他を勘案し、この建議が出てきまして以来、運輸省、国鉄等でいろいろ考えましたが、日本のような地理的状況その他を勘案いたしまして、今後の物資の輸送は何と申しましても鉄道というものに比重がかかるということは、もう過去の統計の示すとおりでございます。将来も私どもはさように考えますので、建設審議会の答申に基づきまして、運輸省ではしばしば考えましたが、結局この鉄道建設公団をやるということに踏み切った次第でございます。ただこれのみにというのではございません。これがいままでの物資輸送の関係あるいは地方開発の関係から考えまして非常に主要なものであるという考えのもとに、この法案を提出した次第でございます。
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