社会労働委員会

1972-08-08 衆議院 全212発言

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会議録情報#0
本国会召集日(昭和四十七年七月六日)(木曜日)
(午前零時現在)における本委員は、次の通りで
ある。
   委員長 森山 欽司君
   理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君
   理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君
   理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
      秋田 大助君    有馬 元治君
      井出一太郎君    伊東 正義君
      大野  明君    大橋 武夫君
      倉石 忠雄君    藏内 修治君
      小金 義照君    斉藤滋与史君
      澁谷 直藏君    田中 正巳君
      竹内 黎一君    中島源太郎君
      中村 拓道君    早川  崇君
      別川悠紀夫君    向山 一人君
      渡部 恒三君    大原  亨君
      川俣健二郎君    後藤 俊男君
      島本 虎三君    八木  昇君
      山本 政弘君    浅井 美幸君
      古寺  宏君    古川 雅司君
      今澄  勇君    西田 八郎君
      寺前  巖君
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七月十二日
 森山欽司君委員長辞任につき、その補欠として
 小沢辰男君が議院において、委員長に選任され
 た。
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昭和四十七年八月八日(火曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 小沢 辰男君
   理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 向山 一人君 理事 山下 徳夫君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君    井出一太郎君
      大橋 武夫君    小金 義照君
      斉藤滋与史君    別川悠紀夫君
      松山千惠子君    粟山 ひで君
      大原  亨君    後藤 俊男君
      山本 政弘君    古川 雅司君
      寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 塩見 俊二君
        労 働 大 臣 田村  元君
 委員外の出席者
        国税庁直税部所
        得税課長    系  光家君
        厚生政務次官  増岡 博之君
        厚生大臣官房審
        議官      柳瀬 孝吉君
        厚生省公衆衛生
        局企画課長   黒木  延君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      穴山 徳夫君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省年金局長 横田 陽吉君
        労働政務次官  塩谷 一夫君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 展子君
        労働省職業安定
        局長      道正 邦彦君
        労働省職業訓練
        局長      遠藤 政夫君
        自治省公務員部
        長       林  忠雄君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
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委員の異動
七月七日
 辞任         補欠選任
  田中 正巳君     野呂 恭一君
  中島源太郎君     廣瀬 正雄君
  中村 拓道君     小山 省二君
  別川悠紀夫君     木部 佳昭君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  大野  明君     原 健三郎君
  木部 佳昭君     大石 武一君
  藏内 修治君     中村 拓道君
  小山 省二君     登坂重次郎君
  澁谷 直藏君     別川悠紀夫君
  谷垣 專一君     田中 正巳君
  野呂 恭一君     粟山 ひで君
  増岡 博之君     中島源太郎君
  森山 欽司君     竹下  登君
  渡部 恒三君     松山千惠子君
八月八日
 理事小沢辰男君七月十二日委員長就任につき、
 その補欠として竹内黎一君が理事に当選した。
同日
 理事谷垣專一君及び増岡博之君七月十七日委員
 辞任につき、その補欠として伊東正義君及び向
 山一人君が理事に当選した。
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七月六日
 公的年金の年金額等の臨時特例に関する法律案
 (大原亨君外六名提出、第六十八回国会衆法第
 二〇号)
 優生保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第六十八回国会閣法第一一一号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄労働
 組合関係)(内閣提出、第六十八回国会議決第一
 号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄動力
 車労働組合関係)(内閣提出、第六十八回国会議
 決第二号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基づき、国会の議決を求めるの件(全国鉄施
 設労働組合関係)(内閣提出、第六十八回国会議
 決第三号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基づき、国会の議決を求めるの件(鉄道労働
 組合関係)(内閣提出、第六十八回国会議決第
 四号)
は本委員会に付託された。
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七月十二日
 一、優生保護法の一部を改正する法律案(内閣
   提出、第六十八回国会閣法第一一一号)
 二、公的年金の年金額等の臨時特例に関する法
   律案(大原亨君外六名提出、第六十八回国
   会衆法第二〇号)
 三、厚生関係の基本施策に関する件
 四、労働関係の基本施策に関する件
 五、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉
   及び人口問題に関する件
 六、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に
   関する件
 七、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
   規定に基づき、国会の議決を求めるの件
   (国鉄労働組合関係)(内閣提出、第六十八
   回国会議決第一号)
 八、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
   規定に基づき、国会の議決を求めるの件
   (国鉄動力車労働組合関係)(内閣提出、第
   六十八回国会議決第二号)
 九、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
   規定に基づき、国会の議決を求めるの件
   (全国鉄施設労働組合関係)(内閣提出、第
   六十八回国会議決第三号)
 一〇、公共企業体等労働関係法第十六条第二項
   の規定に基づき、国会の議決を求めるの
   件(鉄道労働組合関係)(内閣提出、第六
   十八回国会議決第四号)
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 委員派遣承認申請に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 厚生関係の基本施策に関する件(原子爆弾被爆
 者対策及び医療に関する問題等)
 労働関係の基本施策に関する件(労使関係及び
 労働基準に関する問題等)
     ————◇—————
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小沢辰男#1
○小沢委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび当委員会の委員長に就任をいたしました。
 御承知のごとく、本委員会は国民各層に大きな関心が持たれているところでありまして、その任務の重要性と職責の重大なことを痛感いたしておる次第であります。
 もとより浅学非才な私でございますが、委員各位の御協力により円満なる委員会運営につとめ、その職務を遂行いたしたい所存でございます。
 幸いにも、過去一年、皆さま方とともに当委員会の運営に苦労を重ねてまいったところでありますが、今後は一そうの御指導、御支援をお願いいたさなければなりません。
 ここにあらためて衷心より御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしく。拍手
     ————◇—————
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小沢辰男#2
○小沢委員長 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 ただいま理事が三名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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小沢辰男#3
○小沢委員長 御異議なしと認め、理事に
      伊東 正義君    竹内 黎一君
      向山 一人君を指名いたします。
     ————◇—————
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小沢辰男#4
○小沢委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。
 今閉会中審査におきまして委員派遣を行なう必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣の承認申請を行なうこととし、派遣委員の人選、派遣地等その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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小沢辰男#5
○小沢委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ————◇—————
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小沢辰男#6
○小沢委員長 また、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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小沢辰男#7
○小沢委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ————◇—————
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小沢辰男#8
○小沢委員長 この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣塩見俊二君。
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塩見俊二#9
○塩見国務大臣 ただいま委員長からのお許しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 私は、先般厚生大臣に就任をいたしました塩見俊二でございます。よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 戦後の日本経済は、驚異的な発展を遂げ、いまやGNPは自由主義国家ではアメリカに次いで第二位となったのでありまするが、従来とかく経済成長に施策の重点が置かれ、経済発展の成果が必ずしも国民福祉の向上に適正に配分されているとはいえなかったのであります。
 一九七〇年代は、福祉優先の時代といわれ、あるいは福祉なくして成長なしといわれる時代であり、福祉行政の積極的な推進をはからなければならないと思います。
 まず、今後ますます重要となる老人対策についてでありまするが、さきの通常国会におきまして懸案の老人医療費の無料化、老齢福祉年金の引き上げがはかられたのでありまするが、老人対策は、生活保障、健康の確保、さらには生きがいを高めるための施策を総合的に推進する必要があると考えます。特に、老後保障の中心となる年金制度につきましては、国民の期待に沿う年金とするよう年金額の大幅な引き上げ等制度の充実をはかってまいりたいと考えております。
 次に医療保険制度の問題でありますが、国民の医療を確保する上で政府管掌健康保険の財政再建をはじめとする医療保険制度の改善は緊急の課題と考え、私といたしましては、できるだけ早い機会に関連の法案を国会に提出したいと考えておりますが、いずれにいたしましてもこの問題につきましては、今後とも委員各位の御理解をいただきながら、その早期解決に努力してまいる所存でございます。
 国民の健康に関する対策につきましても、ガン、脳卒中などの成人病対策や、いわゆる難病についての対策を推進するとともに、積極的に健康を増進するための施策についても力を入れていかなければならないと考えておるのであります。
 次に、社会福祉対策についてでありますが、次代をになう児童の健全育成や社会的にハンディキャップを負っている身体障害者、心身障害児に対する施策、さらにこれら施策の推進の基礎となる社会福祉施設の整備及びその職員の確保について一そうの施策の推進をはかっていく必要があると考えます。
 このほか、厚生省が解決すべき課題は、山積をいたしております。そのいずれをとりましても、国民一人一人の日々の生活に深くかかわり合いのあるところでありますので、一件一件迅速に、かつ、確実に処理していく所存でございます。
 私は、皆さまの御支援を得つつ、全力をあげて厚生行政に取り組み、国民福祉の向上に努力する覚悟でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。拍手
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小沢辰男#10
○小沢委員長 次に、厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。厚生政務次官増岡博之君。
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増岡博之#11
○増岡説明員 このたび厚生政務次官になりました増岡でございます。
 ただいま大臣からお話がございましたように、たいへん大事な厚生行政の一端に参加いたすことになりましたので、今後とも従来同様、諸先生の御指導、御支援をお願いいたしまして、まことに簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。拍手
     ————◇—————
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小沢辰男#12
○小沢委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。山本政弘君。
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山本政弘#13
○山本(政)委員 あしたは長崎に原子爆弾が落ちた日ですが、ここ数日いろいろな行事が行なわれております。その中で、たとえば原水禁の国民会議では「核実験国政府は被爆者の治療義務に加え、あらゆる物質的、精神的損害について補償の義務を負うべきだ」こういうふうにもいっておる。それから核禁会議では「韓国人被爆者救援のため、韓国に原爆診療センターを設立する」という宣言をやったのであります。それから原水協では川崎の場合に、被爆二世の治療費を全額市で受け持つというような、いろいろなことが行なわれております。
 そこでお伺いしたいのですけれども、これは歴代の大臣がこういうふうにおっしゃっておるわけであります。たとえば原爆の被害者に対して国家補償という観点から考えることができないのか、こういう質問に対して、被爆者の対策というものを国家補償とするには、戦争の一般の犠牲者と比べてみて均衡を失するんじゃないだろうかと思う。だから国家補償というものは考えられない、こういうふうにずっと内田さんのときも、それから斉藤前厚相のときもお答えになっておる。両大臣とも実はこういうふうに言っておるのです。しかしながら原爆によって被爆をせられた方々の苦痛、被害というものは非常に大きいと、斉藤国務大臣は田畑委員の質問に対して、こう言われた。
 それから当時の増岡委員、いまの政務次官の質問に対して、国民的意識の変遷ということもある。そういうことに対する意識の盛り上がりを考慮に入れながらできるだけのことをしたい、こう言っているのです。とすると、これほどの、つまりいま申し上げた三点、原水禁、核禁会議あるいは原水協、そういう団体の盛り上がりというものが現実にあるし、そして被爆者は援護法制定というものをやってほしいという気持ちがあるわけです。そのことに対して、一体厚生大臣はどういうふうにお考えになっておるか、これが第一点であります。第二点は、四十六年の三月十一日政務次官が国家補償をなすべきであるという質問を当時の厚生大臣になされた。いま政務次官におなりになった。私は皮肉で申し上げておるんじゃありません。増岡さんが政務次官におなりになられて、当時は国家補償というものを強調なされたということになれば、少なくともそのことを厚生行政の中に反映すべきだ、こういうふうに私は思うのであります心そうすると、そのことに対して政務次官は一体どのようにお考えになるか、まず大臣と政務次官のお考えをお伺いしたい。
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塩見俊二#14
○塩見国務大臣 ただいまの山本委員の御質問は、本質的な問題に触れた御質問だと承っておったわけであります。原爆の被害者に対しましては、従来から政府といたしましても、その被害の深刻さに対応して、それぞれの処置を講じてまいったところは御承知のとおりであります。
 ただ、この問題を国家補償としてとらえるかどうかというお尋ねのようであったのでございまするが、私は従来からの考え方につきまして、いまこれを変更するというような特別の理由が発生をしたとは考えていないわけでございます。
 しかしながら、これは決して原爆の被害者に対して、これを軽く見るということ等では毛頭ありませんで、やはり原爆の被害者にはその実情に応じまして国家補償という名前がつこうが、あるいはどういう名前がつこうが、その時代に応じてできるだけの対策を講じていく、こういうふうに私は考えておる次第であります。
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増岡博之#15
○増岡説明員 当時の私の考え方は、いまも変わっていないと思うのでございますけれども、国家補償という名前を使おうと社会保障のワクの中でやろうと、ともかく被爆者の方々に対する処遇が年々改善せられていかなければならないという気持ちから、政府はどのように考えられるかということを当時お尋ねしたのだというふうに覚えておるわけでございます。
 今日におきましても、まだ政府として踏み切るところまでいっておりませんから、特別措置法なり医療法なりのワクの中で最大限に救済措置ができるようにやってまいりたいというふうに考えております。
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山本政弘#16
○山本(政)委員 厚生大臣は特別な理由がない、こうおっしゃったその特別な理由がないという理由をお聞かせ願いたい。
 三十八年の原爆投下を国際法違反とした東京地裁の判決はこういっておるのですよ。「原爆被害の甚大なことは、一般災害の比ではない。」といっておる。「国がこれにかんがみ、充分な救済策をとるべきことは、多言を要しないであろう。」そして最後に、「本訴訟をみるにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられない」という結論を下しておるのです。
 政府は、国家補償ということに踏み切らないという理由に対して、被爆者に対する補償というのは、戦災者との補償の均衡の原則に反するといっておるのです。だけれども、戦争による被害者、戦災者との補償の均衡に反するということは、戦災者というのはほとんどもう立ち直っておること、あるいは戦傷病者においては義手義足というものがつけられて、ある意味では機能が回復しておるというふうに理解していいだろうと私は思う、あるいは言い過ぎかもしれませんが…。しかし、原爆の被害者というのは、状況が悪くなりこそすれ、よくなるということはないのですよ。そのことは、あなた方はお考えになったのだろうかどうだろうか。
 もう一つは、政府の考え方の中に、被爆時に国家との間に命令服従の関係がなかったということ、私はずっと調べてみて、そういうことがあるのに気がついたのです。そうすると、戦争を起こした責任は、政府に、国家にないのか。戦後が終わったということによって、その人たちに対して免罪ということを考えておるのかどうか。もし戦後が終わったということで、あなた方が免罪をされておるのだというふうにお考えだったら、私はたいへんな誤りだと思うのです。一体国家補償というのは何ですか。これが二番目の質問です。
 特別の理由がないというその理由についてお聞かせを願いたい。それから国家補償というものは、どういうふうにあなた方は御理解になっておるのか。
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塩見俊二#17
○塩見国務大臣 私は特別の理由が発生をしておるというふうに考えられないということを申し上げたのでございまするが、御承知のとおり原爆が投下されて二十七年間、政府はこの被爆者に対する援護、被爆者に対しまして、できるだけいろいろな措置をとってきたと私は考えておるわけでありまして、そういうふうな過程の中で、今日まで国家補償という姿でのそういった措置でなくて、やはりそういう原爆によって悲惨な状況になった、そういう方々の具体的な実情に応じて、これに対する国としての措置をとってきたと考えておるわけでありまして、そういったような基本的な考え方を変更するような新しい事態というものは、いま生まれてきておるようには考えないという意味で、変わった理由を見つけるのは困難だという意味のお答えを申し上げた次第であります。
 それから、国家補償でなければならないじゃないかというような御意見のように承ったのでございますが、なるほど戦争は確かに政府の決定によってやった、政府が責任を負う、政府に責任があるのじゃないかというお尋ねにつきましては、私もそういうふうな理解をするわけでございます。しかしながら、戦争をやったから、すべてのものが国家補償の姿で救済をしなくてはならぬじゃないかというふうに直接つながるかどうかということについては、私はさらに検討をさせていただきたいと思う次第であります。
 お答えになったかどうか、一応いま私の理解で、質問に対してお答えした次第であります。
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山本政弘#18
○山本(政)委員 前の厚生大臣は、国民的な意識の向上あるいはそういう意識の盛り上がりということによって、そういう考え方というものをやはり変えていかなければならないだろうという一応前向きな考え方を示されたことがある。しかもいま大臣は、さらに検討するというけれども、検討する検討するで二十七年過ごしてきた中で、それではいま大臣の検討するというお答えの中に、われわれは期待を持っていいのですか。そこをはっきりしてください。私どもが、要するに原爆の被爆者、犠牲者に対して、さらに一そうの前進を、期待を持っていいのか。きょう大臣のあいさつの中に、老人対策、医療、もろもろのことがあります。しかし被爆者のことには触れておらぬ。現実には、しかしここ数日、紙面はそのことにほとんど——ほとんどという言い方は言い過ぎかもわかりませんけれども、かなりの紙面がそのことにさかれておるのです。そういう事実というものをあなたはどういうふうに御理解なすっておるのか。検討するというんだったならば、二十七年間のお返事がずっと検討するということなんです。それでは今度の通常国会に私どもは何かを期待していいのですか。たとえば援護法の制定という前向きなことに対して期待をしていいのかどうか、それを聞かしてください。あなたは要するに厚生省の最高の責任者である。あなたがそういうことを決意なされば、私はできないことはないと思う。
    〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
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塩見俊二#19
○塩見国務大臣 山本委員と私の応答に若干ギャップがあるような感じがするわけでございます。私はこの援護の姿等についてその検討をするというようなつもりでお答えを申し上げたわけでありまして、直ちにいまおっしゃられましたように、それを国家補償に切りかえる、その約束ができるか、こういうふうな質問をいただいたわけでございまするが、そこまでは私も考えていないわけでありまして、来国会には必ず援護法を提出しますということは、ここで申し上げたつもりはないわけでございます。
 先ほどから申し上げましたとおり、とにかく援護の内容を充実していく。時代の推移によってもこれを充実していく。あるいは私もこの間テレビに出ましたが、二世問題という問題も新たに相当な関心を持って生まれてきておるというようないろいろな事態もあるようでございます。そういったもろもろの問題について、厚生省としてやはりいろいろ検討をさせていただきたい、こういうふうなことでございますので、来国会に性格をかえて出すのかどうかということについては、実は私からそういうことを申し上げることのお約束は、いまできないことをはっきり申し上げておきます。
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山本政弘#20
○山本(政)委員 私も大臣のテレビを拝見いたしました。原爆の被害者というのは、放射能を浴びたということによってすでに第一次の障害を受けているのです。よく被爆者はひびの入ったからだ、こういうのです。と申しますのは、いま私が申し上げたことをさしている。そして第二の障害というのがそこから出てくるわけです。たとえばけさの新聞にもあります。足腰が感覚がないとかしびれて、そして認定患者としての要するに申請をしたら、それが退けられたということで裁判になったということが、けさの新聞に出ておりました。つまりひびの入ったからだというのは、そっくりそのまま健全なからだとしては社会復帰ができないということなんです。そして放射能を浴びた結果第二次障害が出てくる。たとえば、私も医学的なことはよくわかりませんけれども、がんになった場合には、がんを摘出することによって治癒するという場合には手帳が交付される。しかし手術をしたあとは、その手帳はなくなってしまう。取られてしまう。戻さなければならぬ。こういうようなことがあるわけです。あるいは被爆した事実というものが認められないということから、被爆者の中には、私は実は被爆したんです、要するに自分を世間にさらけ出すという形で、被爆の証人になってくれる人をさがし始めておるという話もある。つまり戦争で受けた被害を証言をしてもらわなければならぬという悲劇が一体あるんだろうかどうだろうか。そしてそのことに対して、政府は一体——私は何も考えないと申しておりません。しかしそのことによってもっと積極的な態度をとるという姿勢がなぜなされないのだろうか。実質的に詰めていくのだということになれば、援護法制定とまではいかないにしても、援護法制定に近いものをお考えになっているのかどうなのか、具体的に一体どうなさろうとしておるのか。そのことなしに、私どもは前向きにやりますと言っても、被爆者の人たちは私は納得しないだろうと思います。
 そういうことで、この問題については最後にお答えをいただきたい。ぜひ前向きに何らかの措置をとるということをこの段階でやっていただきたい。これほどあなた、新聞にここ数日ずっと出てきている問題じゃありませんか。具体的にいまどうこうということは私は申し上げませんし、そしてそのお答えをいただこうとも思いません。しかし、もっと一段と進んだ対策というものを、あなた方がおとりになる必要は私は明らかにあるだろうと思うのですよ。現医務局長、前公衆衛生局長だってうなずいておられるのですよ。そんなら、あなた方はやはり何かの形でもう少し前向きの御返事を私はいただきたいと思う。ここらで何らかのふん切りをしなければ救われないですよ、実際。再度お答えをいただきたいと思います。
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塩見俊二#21
○塩見国務大臣 原爆の被爆者が二十七年間、今日もなお悩み続けているということは、私どもも全く心から御同情申し上げるところでございます。ただいまお尋ねがございましたが、私はそういったような現実の姿をよく把握しながら、さらにいままでやってきましたいろいろな施策、また新たにとるべき施策があれば、そういう施策、具体的に各被爆者に対してお世話のできるような対策をさらに充実して、ひとつ実行するように努力したいと思います。
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山本政弘#22
○山本(政)委員 日曜の日ですが、私の区内に住んでいる人から訪問を受けたのです。四十三歳、被爆者であります。そしてまだ独身であります。結婚の話が出るというのです。だけれども、自分として被爆者であるということを隠すわけにはいかぬというのです。だから白血球が減っているのです、こういう話をしたら、結局は結婚の話が破れていっておる。私は直接その人から聞いた。つまり被爆者は就職あるいは結婚、すべての面で社会的な差別を現実に受けておると私は思うのです。あなた方どう思おうと受けておる。そしてその人たちの実際の状況というものは何一つよくなっておらぬという実態があるのです。
    〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕
 だから政務次官も、おそらく政務次官におなりになるまでは、ずっと国家補償のことを叫び続けてこられたのではないかと私は思うのです。私は決して皮肉で申し上げているのではないのです。ある意味では期待を持ち、だからやっていただけるのではないだろうかと思うから、私は申し上げておるのです。
    〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
 私がいまから質問する朝鮮人の被爆者の人たちについても、私は同じことが言えると思うのです。その人たちは被爆者であると同時に朝鮮人であるがゆえに、現実に二重の差別の中に置かれているんですよ。
 これはすでに御承知だと思いますけれども、孫振斗という人がおる。この人のおとうさんは大正五年に来日しているのです。そして一九四八年に原爆症で大阪で死亡なさっておる。おかあさんも妹さんもいま韓国におって、そして原爆症に悩まされておるという現実がある。しかも本人は昭和二年に日本で生まれて、小学校も高等科も日本の学校を出ている。そして卒業して芸陽製紙所という紙の工場に出ている。昭和十九年であります。そして二十年に広島逓信局の電信電話局のおとうさんの仕事を手伝っておる。そして専売局の構内の電信電話局の倉庫内で仕事をしておるときにこの人は被爆をされているのです。もちろん家族も全員被爆されている。そして二十六年に外国人登録令違反に問われて大村の収容所から帰っていった。帰っていって釜山の第一病院で彼は原爆症にかかったという診断をちゃんともらっているのです。白血球減少という診断をもらっているのです。四十五年です。そして治療したさに佐賀県に密入国をしてきた。それも私は無理もないと思うんですよ。生まれてからずっと育ってきて日本語しか知らぬ人たちが、ことばが通じない韓国で生活ということもなかなかできないということになれば、日本に帰ってきて、せめて日本で生活をしながら原爆の治療というものを受けたいという気持ちは私は痛いほどわかりますよ。そして唐津の日赤に来て白血球に異常があると診断されている。そして広島大学の森と広瀬という二人の先生から、放射能障害の精密検査が必要だと言われている。ところが密入国ということで懲役十カ月。そして結核になった。国立の福岡東病院に入院して、結核予防法と生活保護法の適用を受けておる。その中で「肺結核治療のため一年以上の入院治療と二年の治療を要する。尚原子爆弾に被爆しているので今後定期的に原爆症の検査を要する」と診断をされている。四十六年の十月の五日に被爆者の健康手帳交付を彼は申請したけれども、これがけられている。そして、四十六年十二月に特別在留を願う陳情書を法務大臣に提出したのであります。それ以後のことについては、私は、いまここでこういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、増岡さんにもたいへんお骨折りを願いました。そして、これが却下されて、強制送還になるかもわからぬという、そういううき目にあっているのです。
    〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕
 なぜ手帳がこの人に交付されないのです。ずっと日本で育って、日本人と同じ生活をし、そして戦時中は電信電話局に働き、その仕事のさなかに被爆をして、手続に粗漏があったかどうか、そのために送還をされた。しかし、本人は、自分の病気が原爆症にかかったということを知って、そして、治療を受けたいために密入国をしてきた。私は、法の運用というものは人間にあると思うんですよ。しかも、本人の、おれは原爆症にかかっているんだという主張ではなくて、ちゃんと唐津の日赤、広島大学、福岡の東病院、すべての病院がちゃんと、原爆にかかっておるという証明をやっておるじゃありませんか。なぜ、それが手帳というものが出されないのですか。なぜ出されないのです。答弁してください。
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増岡博之#23
○増岡説明員 ただいまの孫さんの件につきまして、全く先生のおっしゃるとおり、被爆者であることも間違いないし、その症状があることも、そのとおりであります。非常にお気の毒に思うわけでございます。これは政務次官になる前でありますけれども、先生からそのお話を承りまして、厚生省とも、あるいは法務省ともいろいろ相談をいたしたわけでございますけれども、法律の特別措置法のたてまえからいって、日本人という限定はないわけでありますけれども、法の精神からいって、当然日本の国内に住み、日本の社会になじんでおる方々ということが、法にはございませんけれども、そのたてまえをとるべきであろうという法制局の見解でもございましたので、それでは、御本人が特別在留許可の申請をしておられまして、それで法務省のほうに話し合いまして、ぜひ特別在留許可をしてほしい。それが出れば、当然日本の社会になじんでおる人ということになるわけでございますけれども、たいへん残念なことでございますけれども、密入国の疑いで刑がもう言い渡されておるわけでございます。特別在留許可の手続をしますのは、その刑が執行されたあと、その願いを出し、それを法務省が取り入れるかどうかという判断を下す規則になっておるということでございます。また、御本人が御病気で、結核予防法の適用やら生活保護の適用やらを受けておられるわけでございます。これを一面でいいますと、原爆のいろいろな施策がまだ十分でございませんから、それよりもよほど手厚いことになっておるかと思うわけでございます。しかし、そういう実情でございますので、刑の執行ができない。したがって、特別在留許可というものの審理すらできない。法務省はそういう回答をいまのところいたしておるわけでございます。
 しかし、人道上の問題でもありますので、法務省とは今後ともそういうかけ合いをいたしたいと思いますけれども、現状のところでは、そういうことから、特別措置法の精神でございます、日本国内の社会になじんでおる状態であるかどうかという判定がつきかねる状態でございますので、手帳の交付はなされていないというのが現状であろうかと思うわけでございます。
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山本政弘#24
○山本(政)委員 増岡さんには私はたいへんお世話になったので、それは感謝申し上げます。
 公衆衛生局長——いまの医務局長はその当時の公衆衛生局長です。きょうは公衆衛生局長がおられないので、当時の状況はあなたがよく知っておられると思うので、私はお伺いするのです。
 厚生省が福岡県の衛生部に出した回答には四点あるのです。「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の趣旨は、被爆者の特殊性を考慮した各種の法定の措置を行なうことにより、」これが第一であります。そして「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これが第二。そして「日本国内の地域社会において社会生活を営んでいない、いわゆる地域社会との結合関係を有してない者については、同法は適用されない」これが第三。第四は「不法入国」という点。これが手帳を交付されない、あなた方の理由になっているわけです。
 お伺いいたします。
 第一の「被爆者の特殊性を考慮した各種の法定の措置を行なう」このことについては、孫さんは適用されますよね。原爆医療法には、国籍排除の規定はないわけでしょう。適用されますね。その点どうでしょう。
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滝沢正#25
○滝沢説明員 その点については、原爆医療法は外国人に対する適用を排除する特別の定めはございません。適用できると思います。
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山本政弘#26
○山本(政)委員 「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これはどういう理由か、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
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滝沢正#27
○滝沢説明員 原爆被爆者が放射能の影響を受けたということが、先ほど来御議論のございます国家補償の問題とからみますと、一般の戦争被災者と基本的に違う問題は、放射能の影響を受けているということにあるわけでございまして、そういう点でこの立法は属地法であって、日本の地域社会における社会保障という観点から、特殊な健康の状態、いわゆる放射能を浴びた特殊な健康状態を特に配慮して医療に関する法律あるいは特別措置に関する法律ができておる、こういうことでございますので、いわゆる法制局の解釈から申しましても、地域の居住性の確認をもってこの法の適用をいたすべきである、こういう解釈でございます。
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山本政弘#28
○山本(政)委員 あなたは私の質問にはお答えになっていないのですよ。あなたのお答えになったのは第三点なんです。第二点は「日本国の領域内に成立している地域社会の福祉の向上を図ることにある」これは、このまま解釈するならば、要するに原爆の被爆者は放射能を持っているから、それをまき散らして社会福祉のためによくない、こうお考えになっているのかというのですよ。
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滝沢正#29
○滝沢説明員 そういうことについては、からだの放射能の影響が他人に及ぶということの学問的根拠はございません。
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