社会労働委員会

1975-04-16 衆議院 全244発言

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会議録情報#0
昭和五十年四月十六日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 大野  明君
   理事 菅波  茂君 理事 住  栄作君
   理事 竹内 黎一君 理事 戸井田三郎君
   理事 葉梨 信行君 理事 枝村 要作君
   理事 石母田 達君
      伊東 正義君    加藤 紘一君
      瓦   力君    田川 誠一君
      田中  覚君    登坂重次郎君
      羽生田 進君    橋本龍太郎君
      粟山 ひで君    稲葉 誠一君
      川俣健二郎君    田口 一男君
      田邊  誠君    吉田 法晴君
      寺前  巖君    大橋 敏雄君
      岡本 富夫君    和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        法務省入国管理
        局長      影井 梅夫君
        厚生省社会局長 翁 久次郎君
        厚生省児童家庭
        局長      上村  一君
        厚生省年金局長 曽根田郁夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    河野 義男君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 水谷 剛蔵君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 岩崎 隆造君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      梅澤 節男君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     川口 義明君
        自治省財政局財
        政課長     石原 信雄君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    —————————————
委員の異動
四月十六日
 辞任         補欠選任
  島本 虎三君     下平 正一君
  田邊  誠君     金丸 徳重君
同日
 辞任         補欠選任
  金丸 徳重君     田邊  誠君
  下平 正一君     島本 虎三君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二四号)
     ————◇—————
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大野明#1
○大野委員長 これより会議を開きます。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中覚君。
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田中覚#2
○田中(覚)委員 国民年金制度が昭和三十四年に法律的に発足をいたしまして以来、毎年制度の改善、充実が図られてきておりますが、昭和五十年度におきましても、福祉年金の大幅な引き上げを初めとして、各種年金のスライドの実施時期の繰り上げ等の措置が講ぜられましたことは政府の年金制度に対する熱意のあらわれでありまして、私どもは全面的に賛同をいたすものであります。特に田中厚生大臣は、就任されまして以来、前向きの姿勢と積極的な発言をたびたびせられておることに対しましては深く敬意を表するものであり、大臣の所期の目的が達成せられることを私どもといたしましては強く念願するものでありますが、しかしながらその反面におきまして、最近の財政経済事情その他年金をめぐる環境の動向から考えますと若干不安がないわけでもございませんので、そういったことを含めながら若干の点についてお尋ねをしてみたいと考えております。
 まず、お尋ねをする大前提といたしまして、最近の日本経済の高度成長の行き詰まりに伴いまして、財政的な事情から、年金を含めた福祉関係全体の予算といいますか、あるいは福祉政策の推進のテンポというものが従来のテンポを一体維持できるのかどうか、これまでは幸いにいたしまして、逐年予算的にも制度的にも大幅な伸長と内容の改善が見られておりますが、今後におきまして、そういったこれまでのテンポ、趨勢というものが一体そのまま維持できるとお考えになっておられるかどうか、その点からまずお伺いをしたいと思います。
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田中正巳#3
○田中国務大臣 先生御案内のとおり、従来のような極端な高度成長経済は望めなくなった、あるいは望ましくないという今日の客観情勢の中にあって、安定成長、これは反面考えてみますると、やはり従来から見ると低成長という姿になることはもう否めないと思うわけでございます。この間にあって、今日国民的要望の強い社会保障関係費を一体どのようにして織り込んでいくかということは、相当ここで考えにゃならぬ問題がいろいろあるということはもう異論のないところだろうと思います。
 そこで第一には、こうした低成長下において社会保障費を一体どのように国家の財政支出の中に持ってくるか、こういうことだろうと思います。これは大きな財政政策の問題になってまいりますので、私厚生大臣の立場でこのようなことを申すことはいささか越権かと思われますが、国民の間にも社会保障の水準をさらに向上させなければならないという要望の強い今日、低成長下であるからといってこれをないがしろにすることはできないということだろうと思います。したがって、私としてはできる限り、低成長下であっても国の財政支出の中において社会保障費のウエートを高めていくような努力とPRをしなければならぬだろう、こう思うわけであります。しかし、そうなってまいりますと、やはり政策の厳しい選択というものを——その政策のもたらす、持っておるところの政策効果とのにらみ合いにおいて厳しい選択をしていかなければならぬということも事実だろうと思うわけであります。
 こうしたいろいろな観点から、今後政策を選別をしていくということが必要だろうと思いますが、この後あるいは先生の方から御質問があろうかと思いますが、私は、基本的には日本の社会保障は、医療保障はかなりの発展を見ておりますが、所得保障についてはどうもいわばおくれているということでございますので、どっちかと申しますれば、こうした年金等の所得保障面に財源を投入をするという基本的な方向で進むべきものだというふうに考えております。
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田中覚#4
○田中(覚)委員 大臣のおっしゃるとおり政策の厳しい選択をしなければならない、そういう点から見て、医療保障に比べて所得保障が若干おくれておるという御指摘は私も全く同感でございますし、ことに最近、福祉福祉と、何でもとにかく福祉であれはというようなことから対象範囲の拡大等が行われてまいりましたけれども、率直に申しまして、福祉の悪平等といいますか、本来そのような対象にする必要のない者にまでどんどん拡大がされている。そして逆に、福祉を最も必要とする階層に対する施策が十分に行われないといったような、そういうきらいのある点もあるのではなかろうかというふうな見方も若干ないわけではございませんので、そういう点も含めて政策対象の厳しい選択ということをこれからしていただくことはきわめて大切だ、こう思いますが、同時にまた、福祉の財源確保について何か発想の転換といいますか、そういうようなことが必要になってくるのではないか、あるいはそういう点について大臣自身としてのお考えがありますかどうか。
 実は私どもまだ知事をしておりましたときに、これは全国知事会の提案で社会福祉税というものをひとつ創設をしてもらいたい、そのときは特に地方の社会福祉対策の財源として取り上げたわけですけれども、基本的な考え方といたしましては、国の福祉財源といたしましてもそういったことが一体考えられないものかどうか、そういったこともございますし、それからさらに専門的な問題に入ってくれば、大臣もしばしば検討したいというお言葉は述べておられるようでありまするし、当委員会の附帯決議にもはっきりと出されておりますように、たとえば年金の積み立て方式から賦課方式への切りかえというようなことを財源確保の面からどのようにお考えになるか、そういった点についての御所見をまず具体的に伺ってみたいと思います。
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田中正巳#5
○田中国務大臣 前段の政策の選択についての先生の御意見は私も全く賛成であります。福祉なるがゆえに何でもかんでもこれを進めるというようなこと、深い反省も施策もなしにこれを進めるということについては、よほど今後考えてみなければならぬ。一例を挙げれば、世上よく言われているような負担能力を考えない無料化政策のごときものは、やはりこの際は慎重に反省してみる必要があろうというふうに思います。あるいは負担能力のある者について、人気取りのために公費負担を投入するなどという一部の傾向に対しては、われわれはやはりそういうこともまた考え直さなければなるまいというふうに思っているわけであります。
 しかし、さればといって今後やはり社会保障は必要なものについては進めていかなければならぬということも事実でありますので、この財源の確保について一体どうするかということでございます。いま先生は目的税のようなことをいろいろおっしゃっておりますが、私はこれについてはなかなかそう簡単にはいくまいというふうに思っているわけであります。国民の福祉を求める声は相当に強いのですが、これに対する財政負担とか負担のあり方については、どうも十分な自覚がまだないというふうに思わなければならぬ一面もあるわけであります。果たしてこのような目的税というものが円滑に誕生ができるかどうか。今日のところ、このような目的税を起こすということについてにわかにこれを明らかにするといったようなことについては私としてはまだ踏み切れない、やはり一般的な税財源の中でやっていく以外に方法がないのじゃないかというふうに思われるわけであります。
 要は、今後ますます進めていかなければならぬこうした社会保障の財源について、国民のコンセンサスをどうやって求めていくかということが私は今後の課題だろうと思われるわけであります。
 このことはまた年金の財政方式についても言えるのではなかろうかと私は思われるわけでありまして、賦課方式論というようなことを申しておりながら、反面、これについての協力の体制というものが現実問題としてとれないということになってはこれはもう問題にならないわけでありますので、こうした国民のコンセンサスをどういうふうな形で求めていくか、これは単なる、たとえば社会保障税のような目的税の関係のみならず、年金の財政方式についても同じように言えるのではなかろうか、これが今後のわれわれの悩みだろう、かように思っております。
 まあ強いて申すならば、私は諸外国の例と比較をいたしまして社会保障費がわが国の場合非常に低い、給付が低いというようなことをいろいろ尋ねてみますと、ヨーロッパの先進諸外国との間で決定的な、つまりわが国の負担の低さを如実に示しているものは保険料負担でありまして、ヨーロッパの社会保障先進国に比べると、約三分の一ぐらいしか保険料を払っておらないという事実がございまして、これはいろいろ調べてみると、まさしくその年金の成熟化の問題との関連があるようでございますので、今後は保険料負担をどのようにして国民の理解と納得のもとに求めていくかというようなことが、今後の一つの財源調達のあり方として大いに検討に値するものではなかろうかというふうに思ったりいたしておりますが、まだこの点については結論を得ているわけではございません。漠とした感じをお答え申し上げたわけであります。
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田中覚#6
○田中(覚)委員 私は社会保障税と仮称で申し上げたのですが、われわれが取り上げたときは、要するに超過所得税あるいは累進所得税の強化というようなことを考えておったのですが、確かに一般的な税財政問題の中で考えていかなければいかぬ問題でございますから、これだけを取り上げてすぐに大臣の所見を具体的に伺うことは無理があるということは私もよく承知をいたしておりますが、この点につきまして、大蔵省主計官が出ておられるようですが、大蔵省側としてこの福祉財源についてこれからの見通しとかあるいはお考え、これはもちろんこれから全体の問題でございますからなかなかむずかしい点はあろうかと思いますが、何かお考えがあれば、この際ちょっと伺っておきたいと思います。
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梅澤節男#7
○梅澤説明員 ただいま田中議員御指摘の点でございますけれども、五十年度の社会保障関係費の構成を見てまいりますと、まず総体の約六割を占めているのが社会保険費に対する国庫負担でございます。それを内容で分析いたしますと、医療と年金でございますね、これが大体社会保障関係費の七割を占めておる。これが現在の日本の社会保障の財政構造であろうかと思います。
 そこで問題は、その社会保険費なりあるいは年金、医療というのは、制度的な支出と申しますか、最近よく言われておる言葉で申し上げますと、ともすれば非常に硬直的な要因を性格として秘めておる歳出であろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうものも含めまして福祉に対する財政需要というのは今後ともふえる、あるいは増加する傾向にありますし、また充実していかなければならない問題でありますけれども、反面、田中議員が御懸念になっておりますように、安定成長という経済基調のもとでは、今後、税の自然増収等に象徴的にあらわれますように、財源の調達という問題で非常に困難な局面が出てくるのではないか。そういたしますと、不可避的に福祉の増進を図るとすれば、反面としてやはり国民の費用負担というものも避けられないのではないか。いずれにいたしましても、社会保障の財源を調達する方式といたしましては租税か社会保険料か、いずれかになるわけでございますけれども、究極的にはこれは国民の費用負担の問題であるわけでございます。
 そこで問題は、調達のための選択といたしまして、租税でいくのか社会保険料でいくのかという問題があろうかと思います。御案内のとおり、財源の調達の問題につきましては三十七年に社会保障制度審議会の御答申がございまして、仮に一般租税財源で社会保障の各部門に財源配分をする場合のその優先順位は一体いかがであるかという問題が提起されまして、基本的にはやはり第一順位というのは社会保障の根幹をなします救貧政策と申しますか、生活保護の問題でございますね。公的扶助の面、これが第一順位であろう。第二順位は、低所得者層を中心としますいわゆる社会福祉という面。それから第三部門は、これは一般的な階層の問題でございますけれども、公衆衛生の問題でございますね。一般租税財源で負担する場合、社会保険に対する部門というのは、むしろ一番劣後的な部門ではないか。本来、社会保険の部門というのは保険料で賄いまして、どうしても保険料で賄い切れない場合、補完的に一般租税財源で賄う、そういう部門であろうというふうに提起されておるわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、日本の社会保障の現在の財政構造は逆転しておりまして、社会保険に対する部門が一番金を食っている。これは、先ほど厚生大臣が明確にお述べになったように、今後社会保険料負担、これは国際水準等の比較から見ましてもいろいろ問題があるわけでございまして、国民の各層の広い合意の上に立ちまして、これだけの福祉を達成するためにはこういう費用負担が必要である、その部門はやはり社会保険の部門に私は問題があるのではないか、問題意識としてはそのように受けとめております。
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田中覚#8
○田中(覚)委員 この問題は議論しておりますとなかなか尽きないわけでございますが、具体的な問題に早く入らしていただきたいので、一応問題を提起をした程度にとどめて、その次の前提的な問題をもう一つ伺っておきたいと思います。
 それは今日このインフレの克服のために政府が全力を傾注しておられ、またそれ相当の成果も上げてきておられるお立場から申しますと、物価の上昇というものはいずれだんだんと鎮静化し、正常な姿に落ちついてくるであろう、こういう見通しを持っておられると思うのであります。しかし、現実の動きを見ておりますと、年金制度の今後の改善、充実を図る上から申しまして、やはり慢性的なインフレといいますか、そういったものに十分耐え得るような仕組みを考えておかないといけないのではないかというふうに実は思われるわけであります。そういう点から申しまして、五年に一回の財政再計算を実際は四年に短縮をしたりあるいは三年に短縮をしよう、こういうふうにやっておられるわけでありますけれども、そしてまたその間は物価のスライドでつないでいくというようなことをやっておられますが、そういうことだけで一体カバーできるのかどうかという点について、私どもも若干心配をしておるわけであります。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
そういう点から申しまして、たとえばデンマークだとかオランダのように半年に一回というようなことは無理にいたしましても、西独だとかあるいはフランスなどがやっているように年に一回再計算をやるというようなことは、事実問題としてどうしてもできないことでございましょうか。
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曽根田郁夫#9
○曽根田政府委員 西ドイツの年一回の再計算について具体的内容を私よく存じ上げておりませんけれども、厚生年金あるいは国民年金につきまして制度の見直し、これは経済事情の変動が大きい場合にはできるだけタイムラグを短縮して行うことが望ましいことは当然のことでございますけれども、実際問題としましては、財政再計算ということになりますと、新しいデータの収集、それから再計算そのものの事務がやはり相当の時日を要する事務でございますので、従来からやっております五年ないし四年、これを今回は三年に短縮することにいたしておりますが、どうもこの辺が精いっぱいではないか、そして、その間はやはり現在の物価スライドで経済情勢の変動に対処していくという基本的仕組みを変えること自体はどうも非常にむずかしいような気がいたします。しかしながら、必ずしも再計算を待たぬで制度の手直しを要するような事項もございますので、そういった事項につきましては四年ないし五年を待たぬで必要の都度改正をする、そういう心構えで対処していきたいと思っております。
 基本的に、先生御指摘の点は、やはり今後長期的に見ると物価の上昇というものは傾向としては避けられないので、それに対応した年金制度あるいは年金財政の仕組みを結局は長期的にどう考えていくかということに帰着するのではないかと思いますが、そういう点につきましては、大臣もしばしば述べておられますように、将来の方向として現在の修正積み立て方式というものでいいのかどうか、これをどういうプログラムで賦課方式的な形に近づけていくか。その間、財政方式だけの問題ではございませんで、制度の仕組みもそれに応じたいろいろな手直しが必要でございますので、そういったことによって長期的には経済変動に対処していくことだろうと考えております。
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田中覚#10
○田中(覚)委員 五十年度はスライドの実施時期を、特例として、厚生年金保険と船員保険は五十年の十一月を八月ですか、それから国民年金は五十一年の一月を五十年の九月ですかに繰り上げられたわけですね。これを、これからのやり方として、ことしはやむを得ないとしても、今後、たとえばこういうスライドの実施時期を繰り上げるやり方というものを、もっと繰り上げられないかどうかという点ですね。大臣も、業務体制の整備との関連もあるけれども前向きに考えたいというようなことを先般の当委員会でも発言をしておられますが、これについてどういう具体的な検討なりあるいは準備が進められておるのか、見通しを伺いたいと思います。
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河野義男#11
○河野(義)政府委員 スライドの実施につきましては、事務処理体制を前提に置いて考えなければならぬ一面があるわけでございますが、五十年におきましては、先生いま御指摘がありましたように、三カ月ないし四カ月繰り上げて対応していこうということで進めております。しかし、今後さらにそのタイムラグを縮めるための事務処理体制をどうすれば対応できるかという問題でございますが、年金受給者は毎年加速度的にふえてまいっております。これらについて定時的に処理をしなければならないわけでございますが、それと並行してスライドの実施時期を繰り上げるということはなかなか容易ではございません。
 まず第一にその事務処理体制として考えていかなければならないのは、現在年金の処理は機械で処理しておりますが、これらのコンピューターを取り扱う専門職員を養成して、教育訓練して、量、質ともに強化していかなければならないわけでございますが、定員の増ということはなかなか容易でございませんが、年金の事務処理体制につきましては、五十年度におきましてはプログラマーを中心としましたソフトウエアの部門の組織、定員の強化が認められたわけでございまして、これらを中心に今後職員の教育訓練を進めていって、今後のそういったスライドの実施時期の繰り上げ等の要請に対しまして将来的には対応できるよう努力を進めていきたい、かように考えております。
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田中覚#12
○田中(覚)委員 そういたしますと、来年度以降の問題になるかと思いますが、スライドの実施時期の繰り上げはさらに早めることは可能なんですね。
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河野義男#13
○河野(義)政府委員 私どもはそれを目標に置きまして、そういう体制の強化に努力をいたすつもりでございます。
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田中覚#14
○田中(覚)委員 そういうことであれば、できるだけそういう体制の整備を一日も早く図っていただきたい。ことに有沢懇談会などでは、機動的な業務体制の整備の強化ということを強く言っておりますね。つまり、いついかなる事態に対してもすぐに対応できるような、そういう事務処理体制というものを指しておるかと思うのでありますが、そういう点も含めて、今後ひとつできるだけ体制の整備を急いでいただきたい。そして、できるだけこのタイムラグを解消するという努力をしていただきたい。これは希望だけを申し上げておきます。
 さて、以上二点にわたりまして前提的なことを伺ったわけでありますが、そういったことを前提にいたしまして、大臣にまず第一にお伺いしたいと思いますことは、大臣は、この年金の財政再計算を二年早めて来年度やるんだということを言っておられますとともに、その機会に、制度全般の見直しをひとつしてみたいという趣旨の発言がたしかあったかと思いますが、一体、制度改善の主眼点というようなものをどこに置いて考えておられるのか承りたいと思います。
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田中正巳#15
○田中国務大臣 二年早めて五十年度に財政再計算を行うということですが、問題は山積をしているわけでありますが、しかし五十一年度にやれるものと、問題提起をいたしまして今後にさらに検討を進めていくものと二つに分けた方がよろしいんじゃないかというふうに思うわけであります。
 少なくとも五十一年度にやらなければならぬと思っていることは、物価スライドによって律し切れなかった積み残しをどのようにして拾っていくかということは、五十一年度の一つの具体的な課題であろうというふうに思うわけであります。換言すれば、賃金あるいは経済動向に対応して、物価スライドだけで律し切れないものをどう拾い上げていくかということについての検討が一つだろうと思います。いま一つは、年金各制度の間におけるいろいろなひずみあるいは欠陥等々、この後あるいは御質疑があろうかと思われるような、各制度が分立しているために起こってまいる受給者の不利等々をどの程度救済できるか、あるいは制度の中にあって、今日的感覚で見ると給付の改善を必要とするものがあるかないかなどということについて検討をするというのが、具体的な来年やらなければならぬテーマの一つだろうと思います。
 この間にあって、年金の財政方式というものをどの程度再検討できるか、具体的に実施できるかということについて問題を洗い直してみたい、かように思っているわけであります。この際、もちろん現在の修正積み立て方式における修正率の問題、あるいは俗に言われている賦課方式というものをどういうプロセスとどういう範囲でこれを導入していけるか、五十一年度にその部分的なものができるかできないか、もしそれができないとするならば、今後においてそれをどのように進めていくかといったような問題をこの際検討をいたしたいというふうに思っていますが、後段の財政方式につきましては、だんだんといろいろやってみますると、どうも関係当事者の間の年金制度に対する深い理解と互譲の精神が欠けておったのでは私はできないということになろうと思われるものですから、この方面の啓蒙について今後意欲的に努力をしなければならないというふうに思っている次第であります。
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田中覚#16
○田中(覚)委員 いまのは、五十一年度に大体実施を若干でもやるという目標でお考えになっている問題ですね。というのは、今後の検討課題として残すものと二つに分けられましたけれども、後者の問題はいま触れられたのですか。
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田中正巳#17
○田中国務大臣 いま申し上げたことは、五十一年度の財政再計算時において検討をすべきもののほとんど大部分を申し上げたわけでございます。財政方式論についての問題は、検討課題として来年これをすべてセットできるというふうには私どもは考えておりません。しかし、部分的にそのような考え方を導入できるかどうか、導入する場合、どういう範囲とどういうプロセスでやるかといったようなことについて、なお今後いろいろと検討をいたし、努力を重ねていきたいというふうに思っているわけであります。
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田中覚#18
○田中(覚)委員 ただいまこれからの五十一年度の実施を目標にした検討課題をお述べいただいたわけでありますが、その点についてお尋ねをする前に、これはひとつ大臣のお考えを伺いたいのですが、いまの年金の給付の水準ですね。これはILOの規定をしておる水準等から見ても、あるいは欧米諸国の水準から見ても、日本の場合は制度の仕組みとしてはかなり高い水準だというふうに言われておるわけでありますが、しかしその反面、どうもヨーロッパの場合なんかは、こういう公的な年金のほかに、企業年金とかあるいは職域年金とか、これを補完する年金が相当発達しているということもありますし、それからILOの決めているその四五%という基準は、これは言うなれば開発途上国なども含めておるので、どちらかと言えば最小限の基準だ、そういう点から見ると、経済大国と言われておる日本のいま採用されておる制度的な給付の水準というものは必ずしも高いものじゃないというような議論もございますけれども、これは一体どういうふうに受けとめておられるのでございましょうか。
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曽根田郁夫#19
○曽根田政府委員 先生御指摘のように、四十八年改正時の厚生年金の給付レベルは、一応男子の平均標準報酬の六〇%相当という水準であったわけでございまして、率直に言いまして、水準としては相当な水準であるというふうに私どもは考えております。ただし、実際の支給額は厚生年金の成熟化等の問題もございまして、資格期間の短い方などもおられるものですから、想定したそのレベルまで達しておりませんけれども、レベルとしては私は相当なものである。
 そこで、基本的に、ILO等にもうたわれておる年金レベルというものは一体どう考えるべきかということでございますけれども、これは結局は、負担との関係における国民の選択という問題になろうかと思いますけれども、老後生活のすべてをこれで賄うということで、負担との見合いでそういう合意が得られるならばそれはそれでよいのでありますけれども、老後生活と現役労働者の生活内容の相違、それからまた日本の実社会における扶養の実態、そういったことを総合的にやはり考える必要があると思っておりますが、私どもといたしましては、そういったもろもろの諸要素を勘案して、なお四十八年度のレベルというものは、国際的な見合いにおきましても相応の水準であるというふうに現段階では考えております。
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田中覚#20
○田中(覚)委員 具体的なことですが、厚生年金の水準と公務員の共済年金の水準との間に大きな格差があるということをよく聞くのですが、この点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
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曽根田郁夫#21
○曽根田政府委員 御指摘のように、公務員等の共済組合の場合は、年金の算出方法が、最終一年あるいは最終時の俸給の一定割合というような算出方法でございますので、一般的に言いますと、年金水準としてはまだ格差があることは事実でございますけれども、もちろんそれぞれの制度における給付レベルというものは、それぞれの制度の沿革等もございますが、費用負担との見合いにおいてもこれは定められておるわけでございまして、率直に言いまして、公的年金としてのレベル、これがいわゆるその厚生年金相当の全く公的年金だけの要素のものとして考えるならば、私どもは、共済組合はよその制度でございますのでとやかく言うのもどうかと思いますけれども、いささか高いという感じは持つのでございますけれども、しかしその場合に、厚生年金と全く同じ意味での公的年金としてとらえていいのかどうか、たとえば民間企業におきましては、公的年金のほかに、先ほど先生御指摘ございましたけれども、全部ではございませんけれども、企業年金等が相当やはり普及いたしておりますので、そういった要素をどういうふうに考えたらいいか。まあみょっと歯切れが悪くて恐縮でございますけれども、その辺でいささか公的年金的なものすべてであると言い切れるのかどうか、そういうことも言えるのではないか。
 いずれにいたしましても、先ほど言いましたようにそれぞれの職域における、それぞれのグループにおける沿革あるいはまた費用負担の見合い、そういったことでございますので、現実の格差があるということはやはりこれは認めないわけにいきませんけれども、その格差が、直ちに厚生年金がすべてその水準まで引き上げなければならない水準であるかどうかについては、私はまだ問題があるというふうに考えております。
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田中覚#22
○田中(覚)委員 この格差が相当大きいのは事実ですね。そういう点で今後、こういう給付水準の格差の是正というようなことは、結局、厚生年金側の改善、改革として取り上げるほかはないのじゃないかと実は思うわけですが、じゃ、ほかにも大分、公務員共済年金と比べての格差が目立つわけですね。
 たとえば、厚生年金の場合には六十歳になって老齢年金がもらえる。しかし、その年齢に達しましてもさらに就職をした場合、就職していわゆる在職中になった場合には、支給についていろいろの制限がございますね。共済の場合は、年齢も五十五歳で、そして何らの支給についての制限もないというような点から比べますと、かなりこのアンバランスがあるように実は思われるわけですが、老後保障という点から申しましても、若干やはり問題があるんじゃなかろうかというふうな気もいたしますので、この点については、一体今後、どういうふうなお考えで対処されるつもりか、お伺いをしたいと思います。
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曽根田郁夫#23
○曽根田政府委員 支給開始年齢あるいは在職老齢年金の共済組合との対比におけるお尋ねでございますが、これはもう当然のことでございますが、ここでお断りいたしておきますと、共済組合は、公的年金制度としては老齢年金を厳格に退職老齢年金としてとらえておりまして、したがいまして、共済組合というその職域にとどまっておる限りは、年齢が何歳になっても共済組合からの年金は支給されない。ただし、数から言いますとそのような方は非常に少なくて、一般的には五十五歳前後で役所をやめて民間の会社、団体に再就職する、そうしますと、少なくとも共済組合としては退職要件を満たすことになりますので、実際には民間で働いておって年金がもらえる。それとの対比で実は厚生年金が批判されておるわけでございますけれども、しかし厳密にはこれは制度が分立しておることからくる問題点でありまして、退職要件そのものは、共済年金の場合は非常に厳格に守っておるわけでございます。
 しかしながら、そういう実態がございますので、厚生年金の場合も六十五歳以降には退職要件を問わないことにしたのでございますけれども、さらにその上に、六十歳以降でも一定の賃金以下の人には、そういう方の生活実態にかんがみまして一定の年金を差し上げるという仕組みをとって、この限度額についていろいろ問題がございますので、ただいま御審議をお願いしております改正法案でも、かなりの引き上げを行うことにいたしておりますが、この問題は、この取り扱いをどうするかというのは非常に大きな問題でございますけれども、結局は退職要件をどうするかという問題で、将来の年金財政、これは非常に長期的に考えなければなりませんので、まあ私どもの率直な気持ちを言わせていただければ、六十五歳未満の在職老齢年金については、やはり現在の仕組みのように、一定の所得以下の人に差し上げるという仕組みでやむを得ないのではないか、しかしながら、その限度額につきましては、実情に合うように、それぞれの改正の都度、実態に応じて改善を図っていくというのが現段階における私どもの考えでございますが、いずれにいたしましても、基本的な問題でございますので、なお来年度改正案の際の一つの重要な事項として検討さしていただきたいというふうに考えております。
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田中覚#24
○田中(覚)委員 これはこの委員会でもいろいろ議論がされたようですが、公務員の場合は、五十五歳でやめて民間に就職をすれば、共済年金と民間の給料とがまるまるもらえる。しかし民間の場合は、六十歳で大会社をやめてどこかの中小企業に就職する場合、その給料が四万八千円を超えていると、いわゆる五万円年金というのは全部六十五歳まではストップ、六十五歳を超えればもらえるようになるけれども、それは二割制限をかけられる。しかも、就職しているからまた厚生年金に入って掛金を掛ける。月給はだんだん上がっていく。掛金がふえておれば当然にその年金額がふえなければいけないのに、それは六十五歳の支給のときのベースでそのままくぎづけにされるというようなことを聞くのですけれども、それは本当ですか。
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曽根田郁夫#25
○曽根田政府委員 六十五歳以上の方に支給する在職老齢年金につきましては、御指摘のように、六十五歳時点で老齢年金の受給資格期間を満たしている者につきましては、その時点でそれまでの期間、標準報酬に見合った年金額を差し上げまして、その後、最終的に再就職のところをやめられるまでは一応その水準で固定をいたしておりますが、仮に六十五歳で五万円なら五万円の年金を受ける人が、六十八歳なら六十八歳で最終的に働くのをやめて老後の生活に入られるという場合には、もちろんその六十八歳の時点でもう一度計算をし直しますから、その後の再就職の三年分の期間、あるいはその標準報酬が年金額の上に反映されることになっておりますので、最終的にはくぎづけということはございません。
 ただ毎年毎年やってもいいではないかという御意見も実はございます。しかし、これは非常に事務的に大量の事務量を要するものですから、どうも毎年毎年年金額の改定をするのはいかがなものであろうか、いまのところはそういうふうに考えております。
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田中覚#26
○田中(覚)委員 時間がございませんので、次へ移りたいと思います。
 これまでの年金制度の改正は、給与水準の引き上げだとか、あるいはスライド制の実施だとか、そういうところに重点を置かれてきたためにあるいはやむを得なかったかと思いますが、先ほど大臣も、五十一年度の検討課題として、一般的に各年金制度が分離しておることからくるひずみだとか不利だとか、そういうものの是正をひとつ取り上げたい、こういうお話でございましたので、多分その検討課題の中に入っているのだと思いますが、遺族年金とか障害年金の改善が従来どうもおくれておるような気がいたしますので、来年度の検討の中にはぜひ改善措置を織り込んで実現をしていただきたい、こう思うわけです。
 特に具体的なポイントといたしましては、年金の仕組みがそれぞれ違うわけですから、通算にはいろいろむずかしい問題もあるのだと思いますけれども、受給権を漏れなく確保していくという点から申しまして、老齢年金でとられているような通算措置を遺族、障害年金についても及ぼしていくということはぜひやってもらいたいと思います。いかがですか。
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曽根田郁夫#27
○曽根田政府委員 老齢年金と同じように、遺族、障害給付についても通算措置をやるべきではないかというお尋ねと思いますが、これにつきましては前々から当委員会で御答弁いたしておりますように、やはり来年度の一つの重要な課題として現在関係各省庁と協議を進めております。ただし、先生御指摘のように各制度、それぞれの給付につきましてそれぞれの資格要件あるいは遺族の範囲等あるいは廃疾表等の差異がございますので、完全な形でのいわゆる通算ということは、率直に言いまして来年度の問題としては、期待できないと思いますけれども、やはり問題は年金権に結びつかない人を救うというのが第一義であろうかと思いますので、そういった方向で、できるだけ各省庁との間の協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
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田中覚#28
○田中(覚)委員 次に、遺族年金についてのもう一つの要望といたしましては、遺族年金受給者の生活の実態あるいは年金受給の実態から見て、あるいはILOで決めておる基準等から考えても、いまの老齢年金の五割という支給率はぜひ引き上げてもらいたい。またその最低保障額をこれまた引き上げるように格別の配慮をしてもらいたいと思うのですが、これについてはいかがですか。
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曽根田郁夫#29
○曽根田政府委員 やはり来年の改正の重要な検討課題の一つと思っております。できるだけその方向で努力いたしたいと思っておりますが、これも先ほどの通算措置と同じように、各公的年金に共通する問題でもございますので、各省庁とも十分協議を進めて、その方向に努力いたしたい。しかし、これにつきましては、やはりILOの条約にもございますように、すべての遺族を同じようにとらえるのかどうか、遺族の生活実態に応じて重点的に行うのかどうか、それからまた遺族給付の改善ということになりますと、現在の被用者の妻の国民年金への任意加入という問題を制度的にはどういうふうに将来考えるのか、そういったことも実は総合的に考えなければなりませんので、そういうことも念頭に置きつつ努力をいたしたいというふうに考えております。
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