予算委員会

1989-10-13 衆議院 全169発言

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会議録情報#0
平成元年十月十三日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 中尾 栄一君
   理事 小里 貞利君 理事 越智 伊平君
   理事 佐藤 信二君 理事 谷川 和穗君
   理事 中島源太郎君 理事 佐藤 敬治君
   理事 村山 富市君 理事 宮地 正介君
   理事 玉置 一弥君
      粟屋 敏信君    稲村 利幸君
      小渕 恵三君    大坪健一郎君
      大野  明君    奥田 敬和君
      亀井 善之君    倉成  正君
      小坂徳三郎君    古賀  誠君
      後藤田正晴君    近藤 鉄雄君
      左藤  恵君    佐藤 文生君
      砂田 重民君    田澤 吉郎君
      田中 龍夫君    高鳥  修君
      二階 俊博君    野田  毅君
      浜田 幸一君    林  義郎君
      原田  憲君    保利 耕輔君
      細田 吉藏君    村山 達雄君
      森   清君    保岡 興治君
      井上 普方君    上原 康助君
      川崎 寛治君    菅  直人君
      上坂  昇君    新村 勝雄君
      辻  一彦君    坂口  力君
      日笠 勝之君    冬柴 鉄三君
      水谷  弘君    神田  厚君
      楢崎弥之助君    岡崎万寿秀君
      工藤  晃君    田中美智子君
      辻  第一君    中島 武敏君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 後藤 正夫君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 石橋 一弥君
        厚 生 大 臣 戸井田三郎君
        農林水産大臣  鹿野 道彦君
        通商産業大臣  松永  光君
        運 輸 大 臣 江藤 隆美君
        郵 政 大 臣 大石 千八君
        労 働 大 臣 福島 譲二君
        建 設 大 臣 原田昇左右君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     渡部 恒三君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 森山 眞弓君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 水野  清君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      阿部 文男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 松本 十郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      高原須美子君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      斎藤栄三郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 志賀  節君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 石井  一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        総務庁人事局次
        長
        兼内閣審議官  服藤  収君
        北方対策本部審
        議官      鈴木  榮君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  村田 直昭君
        防衛庁参事官  鈴木 輝雄君
        防衛庁長官官房
        長       児玉 良雄君
        防衛庁教育訓練
        局長      米山 市郎君
        防衛庁人事局長 畠山  蕃君
        防衛庁経理局長 藤井 一夫君
        防衛施設庁総務
        部長      吉住 愼吾君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁建設
        部長      黒目 元雄君
        防衛施設庁労務
        部長      竹下  昭君
        経済企画庁物価
        局長      栗林  世君
        経済企画庁総合
        計画局長    冨金原俊二君
        国土庁長官官房
        長       北村廣太郎君
        国土庁計画・調
        整局長     長瀬 要石君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        国土庁大都市圏
        整備局長    三木 克彦君
        国土庁地方振興
        局長      野沢 達夫君
        外務大臣官房外
        務報道官    渡邊 泰造君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省経済局長 林  貞行君
        外務省経済協力
        局長      松浦晃一郎君
        外務省条約局長 福田  博君
        大蔵省主計局長 小粥 正巳君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        国税庁次長   岡本 吉司君
        文部省初等中等
        教育局長    菱村 幸彦君
        文部省教育助成
        局長      倉地 克次君
        文部省学術国際
        局長      川村 恒明君
        文部省体育局長 前畑 安宏君
        厚生大臣官房総
        務審議官    加藤 栄一君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省生活衛生
        局長      目黒 克己君
        厚生省年金局長 水田  努君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      塩飽 二郎君
        農林水産省構造
        改善局長    片桐 久雄君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    松山 光治君
        農林水産省食品
        流通局長    鷲野  宏君
        農林水産技術会
        議事務局長   西尾 敏彦君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
        林野庁長官   甕   滋君
        運輸省国際運
        輸・観光局長  宮本 春樹君
        運輸省航空局長 丹羽  晟君
        郵政大臣官房長 白井  太君
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        労働省職業安定
        局長      清水 傳雄君
        建設省道路局長 三谷  浩君
        建設省住宅局長 伊藤 茂史君
        自治大臣官房長 小林  実君
        自治省行政局選
        挙部長     浅野大三郎君
        自治省財政局長 持永 堯民君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ─────────────
委員の異動
十月十三日
 辞任         補欠選任
  上村千一郎君     亀井 善之君
  奥田 敬和君     保利 耕輔君
  玉沢徳一郎君     森   清君
  渡辺 秀央君     保岡 興治君
  野坂 浩賢君     上坂  昇君
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
  川端 達夫君     神田  厚君
  不破 哲三君     辻  第一君
  藤田 スミ君     工藤  晃君
同日
 辞任         補欠選任
  亀井 善之君     上村千一郎君
  保利 耕輔君     二階 俊博君
  森   清君     粟屋 敏信君
  保岡 興治君     古賀  誠君
  上坂  昇君     野坂 浩賢君
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  神田  厚君     川端 達夫君
  工藤  晃君     田中美智子君
  辻  第一君     中島 武敏君
同日
 辞任         補欠選任
  粟屋 敏信君     玉沢徳一郎君
  古賀  誠君     渡辺 秀央君
  二階 俊博君     奥田 敬和君
  田中美智子君     金子 満広君
  中島 武敏君     不破 哲三君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 予算の実施状況に関する件
     ────◇─────
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中尾栄一#1
○中尾委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山達雄君。
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村山達雄#2
○村山(達)委員 村山でございます。
 私、この間、国に帰りまして、いろいろ今度の根本的税制改革、消費税の話を地元でしたのでございます。そのとき驚いたことに、例えば所得税の配偶者控除の引き上げの問題、あるいは十六歳から二十二歳までの人の割り増し控除の話、こういう話もちょっといたしましたら、そんなことがあったのかと、こんなことをやっているならなぜ我々に知らせてくれぬのだ、こういうことを多くの人から聞かされたわけでございます。
 したがいまして、今まで我々の国、あるいは恐らく全国でもそうでございましょうけれども、今度の税制改革というものの全貌あるいはその趣旨、こういうものがほとんどわからないで、その中の一つのポイントである消費税だけが切り離されてやはり喧伝されたのではないか。しかも、その消費税というのがなぜこれからの日本にとって必要なのかという観点ではなくて、消費税は好きですか嫌いですかというような観点で論議された嫌いが非常にあると思うのでございます。このことは、単に我々国民にとって本当に正確な判断を求める意味で困ったことだけではなくて、やはり将来の日本にとって非常に大事なことである、改めてこう思ったのでございます。
 そしてよく考えてみますと、これは前回の通常国会における国会の論議のあり方をそのままやはり反映したのではないだろうか。考えてみますと、あのときも確かにいろいろな議論を行いましたけれども、ほとんど全貌に対する質問というものがなかった。ほとんど消費税だけであった。しかも消費税の欠陥という点に多くの論議がささげられた。このことは、当然でございますけれどもやはりマスコミも国会論議を中心にして報道するわけでございますので、そのことが私が行った国元における人々の認識につながったのではないだろうか、こういう感じがするのでございます。
 したがって、今度の国会では消費税廃止法案、その代替財源法案、それから我が自由民主党、政府においては見直しの問題等が大きな問題になるわけでございます。しかし、この前の税制改正の全貌というものがわからなければ、これはこれらの問題を判断する上にも至大の影響があると私は思いますので、きょうは改めてその問題、税制改革全体の問題の全貌とその趣旨、こういったものを明らかにしてまいりたいと思います。
 なお、私は実は大蔵省に二十六年おりまして、ほとんど税の仕事をやっておりました。そのうち大体十五年ぐらいは立法に、そして十一年ぐらいは国税庁で実務に携わった者でございます。それからまた、国会へ出ましてから今日まで二十六年になるわけでございますが、終始税調に属しておったわけでございます。そして今まで私の経験した税制改革と言われるものが三つありました。昭和十五年の大改革、それから二十五年のシャウプ税制、これにも関係いたしました。それから今度の税制改革に党の税調におきまして関係させていただいたのでございます。
 時間が非常に限られておりまして一時間でございます。それで、今度の税制改革の意義、それから各税がそれらを含んでどういうふうに変わっていったかということを中心にしながら、私の考えを中心に述べながら、政府のお考えも確かめてまいりたいと思うのでございます。
 最初に、今度の税制改革の骨格といたしまして、一つは直接税の減税なのでございます。所得税、個人所得課税が三兆三千億の減税、法人課税で一兆八千億の減税、それから相続税で七千億の減税、合わせて五兆八千億の減税でございます。しかしながら、課税適正化措置によりまして一兆二千億の直接税の増税を図っておりますので、差し引き四兆六千億の減税になっているのでございます。したがいまして、今後の租税体系上、直接税は四兆六千億減額することを意味しているということでございます。片や間接税でございますけれども、五兆四千億見積もられる消費税を導入いたしました。しかしながら、この身がわりといたしまして八つの間接税を廃止し、七つの間接税の一部吸収を行っているのでございます。それらの廃止による、あるいは吸収による減税額が三兆四千億でございますから、したがって、間接税の増税がネット二兆円ということになるわけでございます。そういたしますと、直接税、間接税のネット減税は、四兆六千億マイナス二兆円でございますから二兆六千億のネット減税ということになるわけでございます。
 問題は、その租税体系の改革というのはどこにあるかと申しますと、言うまでもなく今申し上げました所得税のネット四兆六千億の減税、それから間接税が、消費税という形で五兆四千億入ってくるのだが、ネットで言いますと二兆円の増税になっている。つまり消費税という形の間接税が二兆円ふえる。片方は四兆六千億マイナスで、二兆円ふえる。ここに実は租税体系の変革という問題があるわけでございます。
 それから、今度の税制改革が家庭に対してどのように影響を及ぼしたかということを見る場合には、所得課税のマイナス三兆三千億とそれから間接税のネット増税分の二兆円で計算されるべきものであることは当然なのでございます。したがいまして、減税超過が一兆三千億になりますので、ほとんどの家庭はやはり減税の恩典を受けまして負担が減るはずなのでございます。ここをはっきりつかめていただきませんと、今度の税制改革の本当の意味がわからないだろうと思いますので、あえて申し上げておきます。
 それから、これから各税の問題に入りますが、したがって各税の問題というものは同時に税制改革と関連しているということをやはり、そしてまた各税が持っておる固有の問題も同時に解決していく、こういう問題としてお聞き願いたいと思うのでございます。
 まず、所得課税でございます。
 従来言われております問題点は、一つは水平的公平の問題でございます。すなわち、所得種類間における公平の問題、特に給与所得対例えば事業所得の関係でございます。
 普通このときにクロヨンというようなことをよく言いますが、あれは納税者割合を言っているのでございまして、それ自身は不公平ということを直ちにあらわしているわけではないのは当然でございます。しかもそのときの、例えば農業所得者の兼業所得者は、税務統計上ほとんど給与所得者としてあらわれてくるはずでございますので、あの税務統計から見た主たる業種によって、それが納税割合をあらわしているわけでございますので、これではなかなかわからぬのでございます。
 我々が本当の問題というのは、やはり所得捕捉の格差にあると私は思っておるのでございます。国税庁の年報をずうっと見てまいりますと、大体個人の営業者に対しまして一割ぐらい実額調査をやっております。その結果の平均でございますけれども、大体二割ぐらい所得が後で更正されておる、あるいは増加申告している状況でございます。これは平均でございます。必ずしも事業者がみんな悪いことをやっているということではないかもしれません。やはり、いろんな家計と事業の経費の分類ということは難しいから、おのずからそういうところもあるかと思います。
 しかし、くしくも我々は戦前の経験を持っている者でございますが、昔、主税局長通達というのが出ておりまして、主秘第一号、これは何と書いてあるかというと、「収支実調したものについては二割減額することを得。」こういう規定でございます。これは何を意味しているかといいますと、当時の所得決定は、公選から成る所得調査委員会に諮るわけでございますが、そしてそこの諮問を経て、そして初めて決定する制度でございました。その所得調査委員会に諮るときに、収支実調したものについては二割引きで提案してもいいですよ、こういう意味でございます。
 ですから、考えてみますと、やはりこの所得捕捉の格差問題というものは昔からある問題である。この問題を詰めるということはなかなか難しいのでございます。一割の実調だから税務官僚を十倍にして全部調べたらどうか、これはまた恐らく財政原則に反すると思います。したがって、何をやるかと申しますと、やはり調査能力の向上あるいは納税者の協力をお願いするという形、あるいは納税環境に関するもろもろの制度を完備していくということ、この絶えざる積み重ねによりましてこの開差をできるだけ縮めるように今努力しているというのが本当ではないかと思っております。
 それから次の問題は、垂直的公平の問題でございます。
 所得税は非常にすぐれているというのは、その垂直的公平、これが保たれているところが非常に長所と、応能負担を満足させると言われております。すなわち、給与所得者は給与所得者の仲間同士で、所得が多くなれば負担能力に応じて税額がふえますよ、こういう意味ですね。事業所得者は事業所得者の仲間同士で、所得がふえるとふえますよ、こういう問題なんです。水平的格差の問題は、絶えず努力はしておりますけれども、実情はそのようなものであろう、こういうことでございます。
 ただ、我々が考えておりましたその垂直的公平のところで二つ従来問題が指摘されております。一つは、余りにも累進税率の税率が高過ぎるじゃないかという問題でございます。かつては住民税を合わして八八%と言っておりましたのが、ようやく旧法、改正前の旧法におきまして七六%まで下がったわけでございますが、それにしても世界の最高税率を見るときに圧倒的に高いということ、余りにもそれは過重ではないであろうか、むしろその過重であることが負担のバランスを崩しているのではないだろうか、こういう指摘でございます。
 それからもう一つは、その税率の刻みが余りにも多過ぎるために簡明性を欠いておる。特に日本の慣行といたしまして、毎年毎年ベースアップがあります。それが小さな刻みでどんどん累進税率で取ってまいりますので、やはりベースアップの実感がほとんどない、そういう意味の不平が随分多かったわけでございます。だから、旧法におきましては、所得税の方では十二段階、十五から十二に減らしました。そうして今度は、住民税の方は七段階、これはかつての十四段階を半分にしました。それにしても、十二プラス七でございますから十九段階あるわけでございます。しかもそのブラッケットの置き方によりまして非常に変わってくるのでございます。これが非常に累増感を招きまして、やはり事業所得者にしてもあるいは給与所得者にしても非常な累増感をもたらしておった。こういう弊害があったと思っておるのでございます。
 この問題は今度の税制改革で見事に私は解決したと思います。今度の税制改革は、今度新しい発想でございましたが、サラリーマンの生涯収支というものを計算いたしました。従来は家計の生涯収支なんというのは計算したことありません。およそ収入がふえたらどれくらいにしたらいいのか、こういうやり方でやったのでございますが、今度は生涯収支を計算いたしますと、そうすると、ちょうど四十歳の後半から五十歳の前半、このときに一番収入が入るのでございますが、家計は赤字になる。なぜかというと、やはりそのときに子供を学校に上げる金がかかるあるいは住宅ローンの返済が始まる、こういうことでそのときにやはり家計がマイナスになるということ。大体家計調査は、今度は就職してから五歳置きのずうっと家計調査をいたしました。それをもとにしてやはり家計の実感に合うように課税最低限の引き上げあるいは税率の刻み方、数、こういうのを全部盛ったということは今度初めてだろうと思うのでございます。
 もとより所得税の累進構造につきまして決定的なものは、一つは人的控除の問題であり、もう一つは今言ったような税率の盛り方でございます。
 結論から申しますと、今度の改正によりまして、それぞれ人的控除はもう思い切って引き上げました。しかもその引き上げの中に、やはり学齢適齢者の人については割り増し控除をやるとかあるいは寝たきり老人の在宅介護については今まで八十万控除というものを百二十万控除にするとか、非常にきめの細かいものを織り込みながら人的控除を引き上げておるのでございます。
 課税最低限は三百十九万八千円、世界でもう最高の課税最低限を設定することになったわけでございます。
 税率の方はと申しますと、今度は所得税は五段階、そうして一〇、二〇、三〇、四〇、五〇、そうしてブラッケットを全く改正いたしましたから、大部分、サラリーマンの九割は最初の一〇%で済むように工夫されておるということを注目しなくちゃならぬと思います。そしてまた住民税につきましては、七段階を三段階、五、一〇、一五と非常にわかりやすい数字にいたしたのでございます。その結果といたしまして、当然のことでございますけれども、中小零細の方々は課税最低限の引き上げが非常に効くわけでございます。それから高額所得者の方は税率の改正の方が響くはずでございます。これのコンビネーションで決まっているのでございます。
 そして結果を見ますと、これは減税率で見る以外にはないと思いますけれども、減税率で見ますと、やはり下の者ほど多くの減税を受けている形が出ております。そして従来余り影響のなかった、ちょうど中堅サラリーマン、収入ベースで七百万とか八百万とかいうあたりでございましょうが、この辺も二割ぐらいの減税率が出るようになっているわけでございます。なお、全体の累進構造から申しますと、減税は非常に多いほど額は大きいわけでございますが、率で申しますともちろん下の方が圧倒的に大きい、そして全体の累進税率はと、こう申しますと、やはり累進構造はかなりふえているという結果になっているのでございます。
 それで、累進構造というのは何で決まるかと申しますと、あるいは累進というのはどういう意味か、これをやはりはっきり定義しておかなければなりません。それは、所得がふえるほど所得に対する負担率がふえますという意味でございます。額がふえるのではございません。率で計算するわけでございます。そして、累進構造がきつくなったかどうかという意味は、例えば五分位の階層に属する者の負担割合とそれから第一分位に属する者の負担割合を、倍数を計算いたしまして、その倍数がふえるということになれば累進構造がふえたということになりましょうし、これが減った場合にはややそれが減退したということを意味するわけでございます。私の計算によりますと、改正前は六・五倍でございましたが、今度は二十五倍でございますから、明らかに累進構造は上がっているということが言えます。
 なお、課税最低限と累進税率とのその累進構造に対する影響度を考えてみますと、問題なく課税最低限の引き上げの方が余計響くのでございます。それは当然のことでございまして、これは総所得の伸びに対して課税所得の伸び、これが圧倒的にふえるわけでございますので、当然そうなるのでございます。私の計算では、大体、課税最低限、人的控除の方の響く割合が累進構造に対して八割、それから税率の方がほぼ二割ぐらいだと私は試算しているのでございますが、そういうことが見事に今度は貫かれているということでございます。
 そのほかに、今度の改正におきまして配偶者特別控除、この引き上げをやったわけでございます。これも大きな問題だと思います。これはもう言うまでもなく、その問題の発足というものは、事業所得者の方はその奥さんなり子供さんに所得を分割することが合法的にもちろんできるわけでございます。それが悪いということではございません。青色申告になることによりまして所得を分割する。そうすると、所得税の構成は稼得者単位ですべて計算することになっておりますので、給与所得の控除あるいは累進税率というものの適用が分割されていくこと、しかし、給与所得者は奥さんに分割することができない、しかし奥さんの貢献度を考えるときにそれはいかがなものであろうかと、そういった発想から、例えばアメリカは二分二乗という制度をとっておる、これを日本的に一つ消化したのが配偶者特別控除であるわけでございます。二分二乗という場合は、夫婦はともに働いている場合と格差がほとんどつかない、いかがなものであろうか、逆の公平論がございまして、配偶者特別控除制度ができたのでございますが、六十二年の改正でございますが、これが初めてでありました。しかし、所得税の方で十六万五千円、それから住民税で十四万円、これはまあいかにもひどいな、こう思っておりましたら、今度は物の見事に三十五万円まで上げていただいたのでございますので、これもやはり大変な負担軽減になります。この問題は、あわせていわゆるパート問題を同時に解決しておるということも申し上げておきたいと思います。
 そのほか、内職者に対して最低経費率を設けたらどうか、こういう話もありました。これは与野党のいわゆる実務者会議におきまして皆さんとお諮りして、それで満場一致やった方がいい、こういうことで、これは与野党協議で満場一致で入れることになりました。これは問題は、当然のことなのでございますが、受注者が内職者と雇用契約を結べば何の問題もないのでございます。ただ、雇用契約を結びますと仕事を出す方の側に社会保障負担が伴うわけでございますので、どうしてもやってくれない。この辺の矛盾を今度の税制の方で最低経費という形で補ったと、こういう種類のものでございます。
 そのほか、いわゆる不公平税制の問題といたしまして、医師の診療報酬の法定経費率の問題、今度五千万円以上の者については適用しない、こういうことにしたのは御承知のとおりでございます。
 また、キャピタルゲインについて、原則非課税から原則課税に持っていった。しかしその場合、分離二〇%の申告とそれから源泉における選択を認め、それで、ことしの四月一日から実施しているということもあわせて御了解願います。
 それからもう一つ、今度の減税でなかなかわかりにくいところは、これは実は三年間かかって平年度化するわけですね。つまり、所得税の減税というのは、税率の方は昭和六十三年から始まっておるわけでございます。控除は平成元年度から始まっております。それから住民税の方は、税率の改正はこの平成元年度から始まっておる。これも六—五の住民税年度でやっておるわけでございます。そして控除の引き上げは平成二年度の六月から実施になるわけでございます。だから、今度の税制改革の平年度が来るのは実は平成二年度であるわけでございます。そういうことで、これはいろいろな財政収支の関係等がございましてやむを得ずそうしたと思うのでございますが、それだけにまたわかりにくくなっておるということも事実でございます。
 次は、法人税でございます。——だから、所得税におきましては、一般の家庭につきましてはネット三兆三千億の減税、こういうことをひとつ頭の中に入れておいていただきたい。
 法人税について従来言われておりますのは、八〇年度の初頭におきまして日本の法人税の負担は、法人税の実効税率の負担でございますけれども、これは世界で一番安かったのでございます。しかしその後、各国はやはり国際競争の問題あるいは事業の活性化の問題等を考えまして、どんどん下げてまいりました。日本の方は逆に所得税の減税をやるための穴埋めを法人税で行ってまいりましたから、今日では日本は西独と並んで実効税率の最も高い国になっておる。これは将来のことを考えるときに、やはり競争は国際的にもフェアで戦うべきではなかろうか、余りにも格差のあるのはいかがなものであろうか、もしそのままほっておきますとそれはやはり産業の空洞化、あるいは将来に向かっての国の雇用の問題に響くであろうと当然考えられるわけでございます。なお、付加価値計算で見ますと、法人の付加価値計算というものは、後で消費税のところで触れますけれども、約八割を占めておるということも注目していかなければならぬのでございます。そういう意味で、この実効税率を引き下げるということ。
 それからもう一つは、実は、留保に対する税率と配当に対する税率の二本立てになっております。配当に対する税率が新たに設けられましたのは昭和三十八年でございます。このときの発想は、やはり自己資本の充実の見地から増資を促進する必要があるであろう、そういう見地から配当に対する税率は特に安くしたのでございます。しかし、その後の経過を見ておりますと、残念ながら少しも目的に沿っていない。結果として配当性向の高い会社の負担軽減にとどまっておるということがはっきりいたしましたので、今度は一本税率にしようということになったわけでございます。今度の改正では、今の留保に対する四〇を二年がかりで三七・五%、こういうことにしようとするのでございます。それからまた、配当に対する軽減税率もこれを廃止して、今三〇のものを三七・五に持っていくのでございますが、これも二年がかりで持っていこうとしているのでございます。この点がもう既に今度の税制改革で、ちょうど最初の経過年度でありますところで今税率が決められておるということでございます。
 そのほか、受取配当の益金不算入の縮減、一〇〇%をやはり二年がかりで八〇%にするとか、あるいは少額資産取得の即時償却制度、これは非常に企業が望んでおりますので、十万円という限度を二十万円に上げるとか、こういう改正が行われているのでございます。これもやはり画期的なことだと私は思っております。
 今度の税制改正全般を見ますと、全体の仕組みの異動も大変なことでございますが、一つ一つの税目、所得税、法人税、相続税あるいは間接税、これの変化だけをとってみましても、かつてない大きな規模の改正であるということをこの際申し上げておきたいと思います。
 時間がございませんので、政府側に対する御質問は後でまとめてさしていただきたいと思います。
 それから、相続税の話は体系と余り関係ございません。ただ、五十年のときに大改正をいたしまして、奥さんには相続税を原則としてかけるべきでないのじゃないかという制度をつくったのでございます。やはり世代間の遺産の継承にだけとどめて、配偶者間、奥さんからいただくというのはやめようというのが五十年の大改正であったわけでございます。それから十四年たちました。その間、土地の上昇あるいは物価の上昇等を考えますと、相続税というのは累進税率で盛っておりますので、何としても負担の適正化を図る必要がある、こういう観点から、あわせていろいろな今までの懸案事項を全部片づけた、これが相続税の七千億の減税の中身であるわけでございます。
 その次に、間接税と、それからこれは当然税制改革に関連してまいりますので税制体系の問題、これについての私の考え方を述べたいと思います。
 御案内のように、日本の間接税というのは、いわば個別間接税制度をとっております。酒にしてもたばこにしても、あるいは代表的な物品税にいたしましても、ねらい撃ちでやっているわけでございます。しかし、世の中がどんどん進歩して、所得水準が向上してまいりました。昭和二十四年のときの一人当たりの国民所得は四万円でございます。現在二百四十万円でございますから、大体六十倍になっているわけでございます。いかに所得水準が上がったか。そして大体六〇%を占める消費でございますから、消費水準も上がったことはもう当然なことなのでございます。それで、やはりそこに消費水準が多様化してくる。あるいは消費に対する価値観が全く変わってくる。このごろの若い方を見ておりますと、別に高いものがいいというようなことでなくて、例えばジーンズがいい人はジーンズを買うとか、自分の求めるもの、まあ言葉で言いますと、よくわかりませんが格好のいいものとか、いろんなものがあるのでございましょう。そういうことで非常に個性的になっておる。
 そのときに、例えば物品税でございますけれども、あの課税、非課税の区分は今だれか説明できる者がおるだろうか。コーヒーにはかかっておるが紅茶にはかからぬという説明をだれかできますかな。あらゆるところに全部あるわけでございましょう。ケヤキのたんすはかかるが桐のたんすはかからぬとか、毛皮は一万五千円からかかるけれども百万円もする高級織物はかからぬとか。私が考えますに、それぞれそのときどきにおきましてはそれなりの理由があったという歴史的遺産であると思うのでございます。そしてまた、日本の所得水準の低いときあるいは消費水準の低いとき、そのことはやはりそれなりの合理性を持っておったと思います。しかし、今日振り返ってみますと、その課税になっておるもの、非課税になっておるもの、あるいは税率の区分、例えて言いますと、ゴルフセットは三〇%であるが小型のヨットとかモーターボートは二〇%とか一五%でよろしい、値段にしたら問題にならぬわけです。こんなことだれか説明できますか。だれもできないのです。それは要するにそのときどきの歴史的な所産でございまして、それなりの意味があったのでございましょうが、今日ではほとんど意味をなくしているということ。
 それから、第二の個別消費税の欠陥は、特に日本の場合でございますが、家計の消費の五割以上を占めておりますサービスですね、これに対する課税というものが全然欠落しておる。言ってみますと、物だけ一生懸命押さえている、そしてサービスの方は全然やっていない。これもまたおかしな話であると言わざるを得ません。
 なおかつもう一つは、このような個別消費税をやっておりますと経済摩擦を起こすのは当然なことでございまして、例えば酒の税金でございますが、これは従価税あるいは級別課税を中心として、分類差等課税と言われる方式でやっております。しかし、ほかの国は全部そんなことをやっていないで、やはり広く薄く課税しているわけでございますので、ガットにおいて我々はガット違反であるという判定を残念ながら受けたのでございます。そしてまた物品税におきましても、例えば、自動車についてはアメリカから絶えずなぜ大きな車だけ、おれのところだけ高いんだ、スイスは金時計だけがなぜこんなに高いんだ、それからカナダの方は、おれの方の金貨幣は高いが地金はなぜ無税なのか、わんわん、わんわんと言われるわけでございまして、これがまた貿易摩擦になっているのでございます。
 あれこれ考えますと、要するに今の消費税というものは時代おくれであるということははっきりいたしているのでございます。世界の動向を見ておりますと、すべて課税ベースの広い間接税、一般的な間接税に移っているということでございます。とりわけ今から二十一年前にフランスとドイツが共同して実施いたしました付加価値税、これが今全世界の間接税体系を風靡いたしているのでございます。世界で現在付加価値税を採用している国は四十七カ国あります。その中でアジアは七カ国ぐらいでございましょう。しかし、もうアフリカでも気のきいた国は全部やっている。それから、中南米もほとんどやっている。OECDは、五カ国、付加価値税が出る前に製造者売上税とかあるいは卸課税とか、こういうものをやった国を除いて、全部付加価値税でございます。OECDの国でも、現在そういった古い形の課税ベースの広い間接税から付加価値税への移行を検討している国もあることは御承知のとおりでございます。また、共産圏でありますハンガリーが既に付加価値税を実施していることも注目しなければなりません。
 それなら、一体付加価値税の本質は何であろうか。したがって我が国の消費税の本質は何であろうか。これはもう言うまでもないことなんですね。国民経済の流れを考えてみますと、広い意味の生産に伴う付加価値の発生がございます。その付加価値の配分あるいは再配分に伴いまして経済主体に所得が帰属することになりましょう。帰属した所得を、それぞれの経済主体は、一部は、ほとんど大部分でございましょうけれども消費に充てる。その残りを貯蓄に充てる。その貯蓄がまた投資に向かうということは当然でございます。そこのところはまあ同じことでございましょう。
 そこで、消費税というものを考えてみますと、実はその付加価値発生の段階で課税しているのでございます。そしてその負担を、ある仕組みによりまして、最後に最終消費のところに転嫁する、こういう方式をとっているのでございます。二重課税を排除し、そして税率のとおり最後に負担する仕組みを考え出してきたのがいわゆる付加価値税であるわけでございます。我が国も同じような方式を今度は日本的方式で今採用いたしたのでございます。
 したがいまして、言えることは、この消費税の持つ大きな意味ということはそういう性質でございますので、何が特徴であるかと申しますと、やはり広く薄く課税できるということですね。付加価値発生の段階で課税して、それを消費段階に反映させるわけでございますから、これは広く薄くやれるということです。
 それから、この仕組みからして、経済に対して中立性、この問題が非常に大事な問題なのでございます。市場経済でございますので、その市場経済に対してできるだけ中立、つまり市場経済がよく動くように、機能するように働いているのでございます。ですから、この仕組みですと大体経済に対して全く中立的である、こういう形でやっているのでございます。
 第三番目で言いますと、捕捉の格差というものはあり得ない。つまり、消費はだれでも消費するのでございますから、捕捉格差というものはない。これが一つの大きな特徴でございます。そのことから、逆に言いますとある場合においては所得課税よりもより公平な場合がある、こういうことでございます。その意味は、例えば所得の大きい人は必ず余計消費するわけでございます。ただ、消費性向が違いますから、所得に対して消費の割合が落ちるということはありますが、必ず多く消費するわけでございますので、消費の多寡に応じて完全にやはり負担をしているわけでございます。
 ところが、よく所得税の方で聞きますのは、いろんなところで聞きますのは、あの人は私よりも税金は何か少ないらしいが派手な生活をやっている、こういうことをよく聞くのでございます。この意味するところは何でしょうか。消費は所得の多い人がやっているが、所得は多いんだが税金は少ない、こういうことですね。この方がはるかに不公平であることは当然のことなのでございます。それは全部とは申し上げません。しかし、往々にしてそういうことがあるという事実はやはり我々は本当に率直に認めなければならぬと思うのでございます。そのことからいたしまして、今日一般に言われておりますのは、所得、消費、資産に対する均衡のある税制をとりなさいということの意味は、今私が言った意味からいいまして、それだけやはり経済に対する中立性、これがすぐれているということを経済的に意味いたしておるのでございます。
 そこで、我が国は今、高齢化社会を迎えようとしているのでございます。これは世界でほとんどないようなスピードでやってまいりました。かつて働き手十人で一人を支えておったというのが、今日ではもう六人で一人、こういうことですね。二十一世紀になるとやがて二人ないし三人で一人を支える、これは統計的な正確さを持って必ず来るに違いないのでございます。そしてこのスピードは、我々が本当にびっくりするほどなスピードで来るに違いありません。
 そのことは何を意味しているかといいますと、この相対的に少なくなる働き手、すなわち我々の子供、孫であるわけでございます。これに対して所得課税に偏重する税制をそのままとっておったとするならば、これは大変なことになりましょう。だから、いつか大蔵省が試算したものによりましても、二〇一〇年の実収入に対する負担は約倍になる、こう出ておるのでございます。負担率が倍になる。率が倍になるのですよ。それから、同じことをやはり厚生省が計算しておりますね。これも同じ結果を出しているのでございます。負担率が倍になる。それで今、例えば社会保障の方を考えますと、ほとんど大部分が現在のところやはり収入ベースでやらざるを得ない。ほかの基準がなかなかできないというところはやはり一つの問題でございましょう。これは間違いなくやってくる。税の方はそれでもまだ何とかやる道があるかもしれません。そういうことを視野に入れながら、しかもこれは大変だということで、今のうちにさっき申しましたような消費税という性質、特質を持った間接税のウエートをふやしていくということは極めて当然なことだと思うのでございます。
 それからもう一つ、今度は減税を、今度のあれを通じまして家計に対する影響はどうかというのは、さっきの話でよくおわかりだろうと思いますが、要するに三兆三千億と二兆円の差額なのでございます。だから、家計調査で例えば消費税を幾ら払った、減税が幾らでした、払った消費税総額とそれから減税額を比較するのは明らかに誤りでございまして、そのうちのもう六割強はすべて旧間接税の身がわりであるわけでございます。だから、消費税としてネット増税分は二兆でございます。間違った比較というのは三兆三千億と五兆四千億を比較しているということでございます。それは、当然のことながら三兆三千億と二兆を比較しなければならぬと思っておるのでございます。
 それからもう一つの問題でございますが、このように消費税というものがかなり大きなあれを持っているということはもうおわかりになったと思いますが、この消費税の導入の時期、これが実は非常に問題であったわけでございます。当然のことでございますが、経済の不況のときには、納税義務者である事業者の方が心配するのは、これは転嫁できないのではないだろうか、結局は第二の事業税として自分たちがしょい込むことになりやしないか、このことが、ちょうど売上税のときは円高不況の真っ最中でございましたから、非常に大きな声になったわけでございます。それからもう一方は、今度は逆にインフレ経済のもとにおいてこれを導入いたしますと、便乗値上げを誘発して、そして消費者がたまったものじゃない、こういうことが十分この種の消費税を導入する時期として言われるのでございますが、幸いのことに、ことし四月の導入でございます。景気は最高潮でございました。物価は世界で一番安定しておるのが我が国であるわけでございます。安定が大事なのでございます。
 そこで、その意味で私は、この消費税の適正転嫁、いろいろまだあると思いますが、概括的に見ますればやはり転嫁は多く適正に行われておったのじゃないか。それから物価も、当然その裏腹として予定どおり、経企庁の計算では三年間は大体一・二%ぐらいになるだろう、こういう計算でございました。それが果たしてそのとおりいっているかどうか。これはちょうど裏腹の問題ですね。適正転嫁であれば物価も大体経企庁の計算どおり来るであろう、過剰転嫁になればもっと上がるはずだ、こういう裏腹の関係でございますが、まあほとんど出尽くしつつあると思いますけれども、念のためにその点だけを、適正転嫁につきましては本当を言うと各省からお聞きしたいのでございますが、実施状況を政府税調で調べておりますので、その点を代表して大蔵当局から、それから物価の点、その点については経企庁からお話しいただければありがたいと思います。
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尾崎護#3
○尾崎政府委員 転嫁の状況につきまして申し上げます。ただいま御指摘がございましたように、導入前非常に転嫁が心配されたわけでございますけれども、おかげさまで、国民の皆様の御理解によりまして、全体として円滑かつ適正に行われていると理解しております。
 具体的に申し上げますと、通産省が行っております月末ごと時点の転嫁状況に関する調査がございますけれども、おおむね転嫁をしているというように考えております事業者の割合が、四月末の時点で八〇・五%でございました。これが七月末の時点では八二・五%となっております。業種別に見ますと、七月末時点の調査でございますが、おおむね転嫁をしている事業者の割合でございます。製造業者は一〇〇%、卸売業者は九八・七%、小売業者が七七・一%、サービス業者が六〇・九%というようになっております。
 また、特に心配されました下請取引でございますけれども、通産省、公正取引委員会が協力されて御調査をなさっておりますが、本年五月から六月末に行われた特別調査の結果でございますと、ほとんどの取引が消費税分三%上乗せをしているという結果になっております。なお、ごく一部でございますけれども、消費税の適正な転嫁が行われていないなど、下請代金支払遅延等防止法に違反するおそれのある行為が行われている疑いもあるということが見られました。これにつきましては、関係当局で個別に事情聴取、所要の指導を行う、それから今後とも十分な監視を継続する御方針であるというように承知いたしております。
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高原須美子#4
○高原国務大臣 お答え申し上げます。
 消費税は最終的には消費者が負担する税でございますので、どうしても物価上昇につながることになりますけれども、これは一回限りの上昇でございまして、インフレ的な物価上昇とは全く性格を異にしているものでございます。一回限りのものでございます。
 そこで、今村山先生御指摘がありましたように、企画庁では、この消費税の導入などによって消費者物価がどれぐらい上がるのかといいますと、平成元年度では大体一・二%ということを試算しておりました。その結果どうであったかと申しますと、消費税導入後の物価動向から基調的な上昇分を差し引いてみますと、消費税の導入などによる影響はほぼ一・二%という試算に見合っていると申し上げていいと思います。
 便乗的な値上げというものは、特定の業種の、しかもその一部の事業者に限られておりまして、非常に少なかったと思います。その品目の価格上昇率も非常に落ちついてきておりまして、物価水準全体に今便乗値上げが大きな影響を与えているということは考えられません。また、物品税の廃止などによります税負担軽減分も、ほぼ適正に反映しております。
 そうして、結果、消費者物価全体について見てみますと、消費税の影響は四月中に大部分が出まして、五月に多少まだ影響が残りましたが、六月にはほぼおおむね出尽くしたというふうに見られております。
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村山達雄#5
○村山(達)委員 どうもありがとうございました。
 それから、さっき個人所得税の方でちょっとメンションを忘れましたが、重大なことは、今度の控除、それから税率のところで、やはり課税最低限が一番高くて、それから、非常に税率は下げました、しかしまだ最高税率は住民税を合わして六五%でございます。これは世界の現行の税率から見ますとやはり格段に高いのでございます。そのことの持つ経済的意味は何だろうか。私は、言うまでもなくこの税制は中産階級をできるだけ育成したい、こういうことにあることは間違いないと思っておるのでございます。やはり税引き後で計算いたしまして、可処分所得から見ますと非常にそこに格差を縮小しまして、そして中産階級を志向しておると思っておるのでございます。
 確かに、さっきも言ったように、所得水準が上がりましたので課税最低限もそれで上げていく。恐らく今の課税最低限は英国の倍ぐらいでございましょう。最も間接税中心のフランスでも二百八十万ぐらいでございますから、日本がいかに高いかということ、三百二十万でございますから。それから税率におきまして、やはり最高税率で断然高い。このことは、日本の所得水準の格差がずっと縮まったわけですね。前と比べまして。その点を考えますと、やはりそこの最高税率の違いもほどほどにすべきだというのは、当然統計から読み取れるだろうと思います。かつて第五分位対第一分位の平均所得割合が五・八倍と言われておったのが、最近では二・九倍と言われておる。そういうものと対応いたしまして、大づかみにやはりそこのところの最高税率というものはおのずから下げてくる。しかし、全体のその構造を見ますと、明らかに日本は中産階級の育成を志向しておる租税制度だと言われても、やはりそうだと言うほかはないと私は思っておるのでございます。
 さて、今まで申し述べましたように、今度の税制改革が各税ごとの改正の規模において、そしてその内容において画期的であるだけでなくて、やはり将来のこれからの人口統計に合わして考える、あるいは将来のそれに合わして租税体系というものを根本的に改めていったという意味では、私は画期的であると思います。その中心を一つなしておるものは、税収こそ所得税にはるかに及びませんが、やはり消費税であると思っております。消費税についてはいろいろなことが言われるということは、むしろ新税でございますから当然でございますが、これだけの意味を持っておる消費税、これはぜひともやはり定着をさしていかなければなりません。
 我々は、よく考えてみますと、日本は明治以来いろいろな税制改革をやってまいりました。そして、今度の改革は恐らく日本史上最も大きな改革であり、そして最も長期をにらんだ改革であると思います。それだけに非常に論議を呼ぶということは当然なことだろうと思いますが、やはり我が党が、また政府が十年かかって検討した、自信を持って提出した税制改革であり、消費税でありますので、どうかひとつこれの定着に向けて努力していただきたい。とりわけその点に関しては、総理の決意いかんがやはりその命運を左右すると思いますので、改めてこの点について総理の御所見、御決意のほどを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
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海部俊樹#6
○海部内閣総理大臣 村山委員の長年にわたる御体験と御経験から出てきておりまする高い次元に立っての税理論の御質問をいただき、私もまたそれにお答えをしていかなければならないと考えてまいりましたこと等も既にすべてほとんどを先生の御意見としてお述べをいただき、資産と消費と所得のこの税体系の基本をきちっと幅広く公平なものにして、広く薄くいろいろな立場で全体を見直していけという御意見、また今の直接税、間接税のあり方のままで二十一世紀を迎えると、そのときには一番大切なサラリーマンの税負担率が二倍になって重税感どころではないぞ、これを何とかしていくことも社会の公正につながることではなかろうか。いろいろ先生のお話に私は強い同感を覚えながら、御質問を承っておりました。
 私はそういった意味で、今回の税制改革のあるべき姿、また今国民の皆さんにお訴えしてきた全体の税制の仕組みの御理解と定着をさらに一層進めて、二十一世紀の高齢化社会を安心して迎えられるように、明るい社会というものを、豊かな暮らしというものを本当に安心して続けていくことができるような税制改革には全力を挙げていかなければならないと決意をいたしております。現実に政府税調、党税調、その他各省の間において、この間うちの一連の世論を聞き、国民の皆さんの声を聞き、消費者の声を聞き、国民の要求されておるものの中で見直すべき点は、これは思い切って見直していこう、そして定着をさせていこう、御理解をしてもらおう、こういう強い気持ちで前進をしていこうと決意をいたしておりますので、どうぞ一層のまた御質問のみならず、御指導やお導きもいただきたいと思います。ありがとうございました。
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中尾栄一#7
○中尾委員長 これにて村山君の質疑は終了いたしました。
 次に、保岡興治君。
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保岡興治#8
○保岡委員 きょうは、私も予算委員会で質問するのは初めてで、こうやって与党の一人として質問させていただく機会を得たことを大変うれしく思って、これからは国会というところは、与党も大いに論戦に参加して、政策論議を深めて国民にわかりやすい国会を目指していくべきだと思って、与えられた機会に大変感謝をいたしているところでございます。
 また、海部内閣がスタートいたしまして、海部総理大臣は、私たち自由民主党の本当に命がけでつくった政治改革大綱、これを実施するための、党にあっての政治改革推進本部の行動隊長として、政治改革の先頭に立たれるというようなことを、総理大臣になられる前に一生懸命努力をされておられました。また、三木元総理のもとにおいて、常に党改革、政治倫理の確立ということについては非常に熱心な政治家のお一人であったということは、きょう私が政治改革について質問のできることをまた大変うれしく思っていることの理由の一つでございます。
 そこで総理大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、信なくば立たずということは、これは政治の最高の理念である。この言葉は、総理の恩師である三木元総理大臣の最も好んで使われた言葉と承っております。そこで、リクルート事件を契機に広がった国民の政治不信は政治にとって極めて重要な、重大な意味を持っていると思うのでありますけれども、我が党は、責任政党として明確な政治的道義的責任を明らかにして、明確なけじめをつける立場にあったものと思います。国民の政治への信頼の回復に当たって、総理はリクルート事件のけじめについて今どのように考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
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海部俊樹#9
○海部内閣総理大臣 御指摘のように、リクルート事件に端を発した政治不信というものが、自由民主党にとってはこれを厳粛に受けとめて、この不信を取り除いて前進していかなければならぬということは党を挙げての決意でございました。それは考えただけではなくて、御指摘のように自由民主党が直ちに政治改革推進本部というものをつくって、いろいろな立場における政治改革のための、もっとずばり言うならば、リクルート事件のようなことが再発されないような政治状況をつくっていくためにはどうしたらいいか。それを達成することによって政治不信を取り除き、国民の政治への信頼を取り戻していこうというのであの政治改革大綱ができたことは、委員もその重要な一員として参加をされておった。私も、御指摘のように行動隊長として参加をして、一生懸命努力を続けてまいりました。これにみんなが力を合わせて前進をし、これをなし遂げることが国民の皆さんの信頼を取り戻すための、自由民主党がこれからたどっていかなければならない大きな道筋であると考えております。
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保岡興治#10
○保岡委員 確かに、政治の信頼を回復するに当たっては、リクルート事件のようなことが再び起きないように、あるいは今日の政治の課題を解決するということが終局のけじめのっけ方だと私も思います。しかし、私は総理にもう少しお答えをいただきたいと思ったのでありますけれども、自由民主党は内閣の総辞職をするという大変な、与党にとっては本当に、政治の責任にある者にとっては最高のけじめをつけたのではないかと私は思います。それに、御案内のとおり、自由民主党の中にあっては、けじめに対する一つの基準をつくって、多少批判を受ける立場に立たされた議員の方々は役職の辞退とか、その他政治家にとっては極めて大変な決心をして、それぞれこのけじめに対応したということも言えるのではないかと思います。そういう点、総理はいかにお考えでございましょうか。
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海部俊樹#11
○海部内閣総理大臣 私はお答えのときに、大きな立場で党全体が取り組んだ問題についてのみお答えをいたしましたけれども、ただいま具体的に過去の事実について御指摘がありました。確かに、最高の責任者である内閣総理大臣が内閣の総辞職を決意してそれを行ったということは、これは極めて厳しいものであったと思いますし、また、みずから党を離れられた、そういう決断を示された方もありました。また党としては、政治家の責任というのはそれぞれの個人個人がみずから決断をされるべき問題であるという第一義的な前提は貫きながら、今御指摘のように、未公開株に関連をした方にとっては、党のけじめ案をつくってそれによって対処をされております。そしてその上に立って、その反省の上に立って全員が政治改革を行い、例えば寄附行為の禁止とか、あるいは政治資金の明朗化とか透明化とか、いろいろなことを御議論願い、率先して党の改革案を提出するという努力を続けておるわけであります。
 私は、そういったことに対してこれを厳しく受けとめて、前進をしながら政治家一人一人が倫理をきちっと確立していくこと、また党が決められております政治改革大綱の中にも、既に国会で議決はしてありますが、政治家が守るべき行為規範、あそこの中にもいろいろなことがきちっと書いてあるのでありますから、それがさらに守られるように、院内における審査会の改正強化ということも自民党の結論としてまとめてあります。そういったことを守りながら、みずからを厳しく戒めながら、緊張感のある政治といいますか、そういったことに対してはいつも自分は政治家として厳しく考えながら行動をしていくんだという、その政治倫理の確立というものをみんなが一人一人この事件を振り返りながら再確認をされた結果の行動であった。私も、それを評価していきたいと思っております。
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保岡興治#12
○保岡委員 我が党の場合は本当に責任政党でございますから、国民から非常に厳しいけじめの要求があったり、あるいは批判が集中するのは、これはやむを得ないと思います。そういった意味では、この間の参議院選挙において、保革が結党以来初めて参議院で逆転するという大変な、重大な結果を受けたということは、これは国民がさらに加えて我が党に厳しいけじめを求めたものだと、こういうふうに考えるのが本当であると思うのです。
 そこで私は、政治的道義的責任とは一体何なんだということをやはりこの際はっきりしておきたいと思うのです。政治的道義的責任というのは、刑事事件のように過去のある犯罪について、ある事実について刑罰を科するというような、過去の責任を問うものとは性質が違うんじゃないだろうか。これは政治が常に進退をかけて真剣に政治を行っているということのあかしとして、政治の遂行上問題が発生した場合に、その事実がその者に直接関係するか否かということにかかわらないでその地位を辞するなど、その責任を明らかにする、これが将来の政治に対する信頼をつないで、また政治に緊張感をつくって、よりよい政治を行うための一つの重要な政治の大事な要素だと私は思います。そういった意味で、やはり政治の安定というものは、国家の安全保障と言われるぐらい重要でありますし、もちろん国家の安寧秩序、繁栄、すべて政治にかかっているという意味では、やはり政治の信頼をつなぐための政治的道義的責任を果たすという役割というのですか機能というものは、これはもう本当に重大である。そこで私は、海部内閣、本当に清新な内閣としてスタートされました。こういう政治的道義的責任については、今総理は答弁の中でるる言われましたからもうお答えは要りませんけれども、本当に我々はそういう姿勢で政治に当たっていかなければならない、そう考えているところでございます。
 そこで、先ほど総理が言われましたとおり、最後のリクルート事件のけじめというものは、いよいよこの再発防止に全力を尽くす、あるいは今の政治の問題に本当に弊害が出てきていることにはっきりした対策を立てて、これは本当に我が党、戦後政権をずっと担当してきているのでありますけれども、十年に一回は政権を揺るがすような疑獄事件に遭って、有能な人材がそれにかかわっている、これは国際的にも非常に信用にかかわることでありますし、また国内的にも非常に大変な問題である。そういった意味で、今まで再発防止というものは何回も繰り返されてきたんだけれども、そのたびに党改革を言い、それなりの対策をしてきたんだけれども、今度こそは何が何でも新しい時代に向けて政治改革の実を上げる、このことについて命がけにならなければならない、こういうふうに思うのでありますが、総理はいかが考えられておられるでしょうか。
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海部俊樹#13
○海部内閣総理大臣 御指摘のとおりでありまして、このまま何もしないで今のままでいて、個人の心構えだけを強調するだけでは政治改革の実が上がらないというのは、党の政治改革推進本部の御議論の中等でも種々出た問題であります。これからいろいろ皆さんの御理解、御協力を得ながら、一歩一歩政治改革の実を上げていかなければならないと考えております。
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保岡興治#14
○保岡委員 そこで私は、政治は結果責任という意味で政治を眺めた場合に、戦後の政治というものは、今日の国家の繁栄あるいは経済的発展、国際的地位の向上といったことなどから見ますと、私は政治は非常にうまくいった、こういうふうに考えております。そしてまた、我が党は常に野党が主張するべきようなことまで、公害対策とか環境問題とかいろいろなことをどんどん先取りして、日中国交回復もしかりでありますし、日ソの外交の展開もしかりでありますし、どんどん政治を国民に対応するものとして進めてきたと、私はそういうふうに確信しております。
 しかしながら私は、ここにやはり歴史の転換点が来ているというふうに考えるのであります。そして、先ほど総理が言われましたとおり、ここでこのままに推移したのでは、やはり今度のリクルート事件の発生の反省を真に生かすゆえんにならないし、また国家の将来の繁栄のために本当に重要な時期を失する、今こそやらなければいつできるか、こういう気概でやるべき時期に来ているのではないかと思います。
 そういった意味で、私は戦後の政治というものを考えたときに、やはり外交は対米を中心に図式化が非常に簡素にでき上がっていたと思います。そしてまた国内問題も、各省庁が縦割りの行政を行う中で、立派な日本の繁栄を築いていくこともそう難しいことではなかったと思います。しかしながら、それは政治の安定の上に優秀な官僚の皆さんと国民と自由民主党が政権にあって一緒に進めてきた、そういう中に実現したものである。
 しかしながら、外交も内政も非常に変質してきた。お役所の皆さんは非常に優秀ではあるけれども、やはり部署部署をかわったりするということもあって、やはり多くの人でやっておりますから、先取りして決断して、どんどん各省と総合調整をしながら自分の施策を進めるということはなかなか難しい。どうしても問題が出てから対処するというようなことにもなりがちである。こういうことを考えると、今までは日本の政治は先ほど申し上げたような進め方でよかったけれども、これからは総合調整の必要な分野がたくさん出てくるんじゃないだろうか。内政、外交ともそういう変化が生まれているのではないかということを感ずるのです。そういう観点から、まず外務大臣に所感を述べていただければ幸いでございます。
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中山太郎#15
○中山国務大臣 保岡先生からの御指摘のように、私は外交をお預かりする責任者として率直に申し上げることは、戦後の国際政治は歴史的な転回点に来た。社会主義経済をやっておった国々は、経済理論のまずさから今日経済的な大混乱が起こっている。そういう中で、日本が先進首脳国の中で非常に経済的にも豊かになってきたという中には、先生の御指摘のように日米安全保障条約を基盤にした、日米関係を中心とした西側陣営の協力によって今日までやってまいったと思っておりますが、これからの新しい歴史の展開について、私は、外政即内政、内政即外政という考え方を持って当たらなければ、国際社会では信頼をこれから持ち続けることはなかなか難しくなる時代がやってきたのではないか、このように考えております。
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保岡興治#16
○保岡委員 同じように内政の問題についても、いろいろ総合調整を要することはたくさんあるだろうと思いますが、私は、土地政策などやはり今日いろいろ問題がたくさんあって、革命をやらなければできないんじゃないか。極めてすぐれて政治的であるということを示していると思うのですね、そういう言葉の中に。私は、そういった意味で戦後の政治の中でやはり反省すべき点は、こういう総合調整を要する分野において我々は足りないところがあったのじゃないだろうか、そういうこともまた感ずるわけでございます。
 そういう観点に立って、国土庁長官、土地基本法などを出して頑張っておられますが、所見をお伺いしたいと思います。
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石井一#17
○石井国務大臣 就任いたしまして二カ月たっております。私もいささかふなれな分野でございましたが、この二カ月、いろいろ問題を追求してまいりました。そうして委員御指摘の、本当に根の深い、幅の広い、非常に困難な問題であるということを痛感いたしました。それだけに、今の政治改革という問題にあわせてこの問題の御指摘をいただいたことを、私としては大変感謝いたしておる次第でございます。
 昨日も御答弁申し上げましたけれども、日本の土地はアメリカの土地の百倍と、こう申し上げてもいい、非常に高い、貴重なものになっております。しかしながら、日本における土地に対します人々の概念というのは、土地というのは個人の資産だ、そして自分の自由に使うべきものなのだ、こういうものがまず支配的にございます。そういう中から、公が優先せず私権が先行し、そうして複雑な行政が絡み合って、ある意味におきましては政策不在、すべて自由経済の中で放置された中に、今日のような価格、こういうような土地問題というものが顕在化してきております。しかし、本当にまじめに働いておる人々が一生働いても自分の土地つきの家が買えないという国であれば、いかにこの国が恵まれた豊かな国だといったところで、その実感が本当に国民の、庶民の中に出てくるだろうかということを考えましたときに、私は、今ありますいろいろの問題の中でも、この土地問題の解決というのは最大の政治課題ではないかというふうに認識をいたしております。
 今回、御指摘の土地基本法を国会で御審議いただきまして、野党の皆様もおおむね御賛同をいただいておるようでございますから、必ずこの法案を成立させまして、今、後ろの方でノーと言われておられる方もありますが、ぜひともひとつ基本的に土地というのは公のものなのだ、そして土地にはコストがかかるのだ、そして利用すべきものなのだ、基本的な土地に対する概念を変える。そうした中に、次に各省が総合的に、縦割りの行政でなく、すべてが連動した中に問題を解決していく。いろいろの問題がございますが、例えば農地を宅地化するという問題一つ考えましても、農林省、もちろん自治省、大蔵省、国土庁、建設省、ほかにも法務省も関係があるかもわかりません、こういう状況の中から出てくるわけでございますから、今後政治改革と政策の転換という意味から、私も土地担当大臣として総合調整機能を発揮いたしまして、また海部内閣の各閣僚にも御理解をいただいてその実を上げたい、そのように考えております。
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保岡興治#18
○保岡委員 ありがとうございます。
 農政などもやはりこれは今度の参議院の選挙の大敗の一つの要因にも挙げられておりますけれども、国内の農業を保護するということも極めて大事でありますけれども、やはり競争原理が働くようなふうに持っていくとか、市場性を導入するとか、あるいは現在国際化の波が急激に押し寄せる、そういうことを調整していかなきゃならない、この辺は非常に政治の有効性というものが発揮されなきゃならぬ分野だと思うのですが、農林大臣、いかがでございましょうか。
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鹿
鹿野道彦#19
○鹿野国務大臣 農政におきましても、やはり思い切って、そのような国際情勢の中においてどうあるべきかということを当然考えてもいかなきゃなりません。思い切った政策を推進していかなきゃならない、このことは当然のことだと思います。しかし、農業、林業、漁業というふうなものは、単なる経済的な問題だけではなしに、日本の国の国土の保全なり自然環境の保全なり、また長い歴史の中で今日まで地域社会をつくってきた、地域経済の発展に大変な貢献をしてきた、役割をしてきた、こういう非常に重要な問題もあるわけであります。そういう中においてどこまでの決断をやっていくか、どこを守っていくかというふうなことを、これからそういう調整の中において、調和の中において決断をしていかなきゃならない、こう思っております。
 そこで、基本的には農業をやっている人たちが、林業をやっている人たちが、漁業をやっている人たちがどういうふうな考え方を持っているのか、どんな夢を持っているのか、どんな悩みを持っているのかというふうなことを私どもは十分承知をしていかなきゃならない。そして私どもの基本的な考え方もよく理解をしていただくという努力もしていかなきゃならない。そのようなことから、そういう認識の上に立って私自身も九州にも行きました、四国にも関東にも北陸にも東北にも行ってまいりました。そして農家の人たちから、また林業をやっている、漁業をやっている人たちから直接、シナリオなしでいろいろな意見交換もさせていただいているところであります。そこに私どもの基本的な姿勢があるのだ、このように御理解をいただけば幸いと思うところであります。
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保岡興治#20
○保岡委員 ありがとうございます。
 結局、竹下総理大臣のときに、私的諮問機関で政治改革に関する有識者会議というのを開いておられました。答申も得て、それに沿って自由民主党も政治改革の大綱をなお充実を図ったものでございますけれども、その会議でメンバーの一人である京極純一東大名誉教授が、「世間の期待は、何も選挙制度や政治資金についてばかりではない。国民の生活の改善、土地やマイホーム、物価や流通の問題など、自分に成果が返ってくる政治をしてほしいということだ」と、こう述べておられます。私は、まさに卓見であって、政治改革の究極の目標というものは、時代の変化の中にあって、政治が有効性を回復して真に国民に利益を還元していける、こういう機能をいかに確保していくか、そういうことに今日の政治に問題がないか、こういう視点から政治改革に取り組んでいくべきではないか。そういう意味で、我が自由民主党の政治改革大綱はそのことを冒頭に掲げて基本的な認識として示しております。
 そういう点、総理大臣として、今後の政治の有効性確保ということについて、政治改革との関係でどのような決意を持っておられるか、簡単に述べていただければ幸いでございます。
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海部俊樹#21
○海部内閣総理大臣 政治を行っていくその目的は何だといえば、これは国の安全と国民生活の安定、向上にあると言って言い過ぎではございません。
 ですから、何のために政治改革をやるのか、ただ政治家が選挙法とか政治資金のことだけをやっておればそれでいいというものではなくて、国民一人一人の生活の安定、向上につながるように持っていくことが大事ではないかとおっしゃる御意見は、私はそのとおりだと思いますし、特にまた、皆さん方の御努力によって、追いつこう、追い越そう、ひたすらに物の豊かさを求めてきた時代は終わって、物の豊かさから公正を求められる時代、心の豊かさを求められる時代に国民の要求も願いも変わってきたのだということも、私は、これは同じ角度のことでございますから、公正な社会をつくるというところに政策の重点を置きますと、先ほど来委員御指摘の、例えば土地基本法の問題一つとらえましても、土地は公共性のあるものであって間違っても投機対象にはしないという決意を秘めた土地基本法をまず成立させて、それによって、土地の値段による国民の間の価格的な問題に対する何か違和感を取り除いていくとか、そのほかに文化とか芸術、スポーツというものをもっともっと普及させていくことが生きがいにつながっていくとか、いろいろ政策努力には幅がありますけれども、そういったものを目指していくためにも、まず第一歩として政治改革をしてまず信頼を取り戻して、それから目指す社会は、そういった心豊かな、幅の広い、物の豊かさだけを追い求める社会ではない、公正というものを求める社会になっていかなきゃならない、これが私どもの目指す目標にならなければならぬ、こう考えて取り組んでおりますので、御理解いただきます。
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保岡興治#22
○保岡委員 総理の所信表明の中の部分で、「今二十一世紀への跳躍台に立って、新しい時代の扉を開く重大な使命を深く自覚し、」と述べておられるのです。私は、これは海部内閣の最大のやはり所信表明における精神であったろうと理解しております。また、海部内閣は「改革と対話の政治」ということを標榜されました。私は、これも極めて政治改革に関係する重要なスローガンであろうと思っております。そういうことで、海部内閣の本当にこれからの御努力を心から期待するものでございます。
 そこで、そういった基本認識はさておいて、現実の政治の問題でありますが、私は、参議院選挙の大敗の最大の原因、ベースにあったものは、やはり何といってもリクルート事件から起こった政治不信だろうと思います。その根底をなすものは、やはり私は一つには政治に余りにもお金がかかり過ぎる。それで、この政治にお金がかかり過ぎるというのは、政治資金というのは本来大事な政治を賄うためのものでございますから、本来なら、正しいというのか、本来の政治の目的に使うべき資金というものはむしろ積極的に確保を図るものであって、それが多ければ多いほどいいわけじゃありませんけれども、必要なものは確実に措置するのがむしろ政治資金の本質だと思うのです。
 ところが、今度の参議院選挙の結果批判された政治資金の問題は、政治の本来の政策活動とか調査活動とかいったものに使われるもの以外の、選挙のための、支援を得るための、日ごろのいろいろな地盤をつくっていくための努力とか、あるいは同じ選挙区で競争が生まれる、しかも同じ政党の者同士の競争が生まれるために、どうしても政策で特色を出すわけにいかない、したがって、日ごろのおつき合いをできるだけよくして、そうして自分の特徴を売り込むというのですか、これは政治家の資質を売り込むというようなことになれば政治の一つの重要な要素だと思いますけれども、やはりどうしても自分を売り込むためのいろいろな経費もたくさんかかる、ここに私は根本的な今度の問題をとらえなきゃいけない。
 いわゆる選挙を勝ち抜くために仲間同士が戦うということは、党が頼りにならない、要するに選挙で当選してくるためには、党のお世話にならないで個人の後援会をつくって頭張らなきゃいけない。そして、一人では政治ができないから、仲間が必要だからやはり派閥というものが生まれて、そうして人事をしっかり握り、そして、選挙の支援や、その人が政治活動ができる基盤を与えるのに努力するのは当たり前だ。私はそういうことで、やはり地盤培養のために、競争が激化してお金がかかればかかるほど、これはやはり派閥のリーダーというものも本来政治の素質を高く持った人がリーダーになっていかなければならない。しかし、そういう人ですら、やはり大変な資金の収集の努力をしなければ政治ができない、こういうことになって、そこにやはり族議員の問題などもありますけれども、いろいろこれには役割もちゃんとあると思うのでございますけれども、やはり国民から見た場合には、官界、政界、財界の癒着現象があるのではないかという疑問を持たれたのも、これはむべなるかなというところがあるのではないか。
 そういった意味で、この金のかかる政治というものを、先ほど申し上げたように、何遍も何遍も疑獄事件を起こしてきて、そのたびに我々は反省してやったはずでございますけれども、なかなかそれが実行できなかった。今度はこの根本的な問題に対してどのような対策を講ずることが本当の問題の解決になるか、これは非常に重要なことを含んでおると思うのです。この点について、総理に、その淵源、根本的なところはどこにあるかということについて見解を賜りたいと思います。
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海部俊樹#23
○海部内閣総理大臣 政治と政治に必要な資金の関係についてお触れになりました。我が国の政治にかかるお金の額が多過ぎるのではないかという御批判はいろいろなところから出てきておりますけれども、実際、私が諸外国を旅行させていただいて、そこの国会議員に会っていろいろお話を聞きますときに、例えば人件費とかあるいは交通通信費とか政治活動というものにかかる費用を国がほとんど抱えておって、個人で余り自分の日常の政治活動にお金をかけなくてもいいよ、例えばその代表的な例はアメリカでございました。また、ヨーロッパの国々のように、いろいろ個人は政策努力を一生懸命やれば、あと選挙区の培養とか選挙民との連絡という我々が今時間とお金を最もそこに費やしておるようなことは政党のそれぞれの支部が政党活動としてきちっとやっておってくれる。ああ、うらやましいな、こういうふうになれば個人でお金を集めるということに時間や能力を使わなくても、政策努力に一生懸命打ち込むことができるんだなということに私はうらやましさを感じたこと、率直でございました。
 ですから、今の政治資金の問題で、今度出ております公職選挙法も、お金の出の方、選挙区に対する支出の方を縛っていこう、これも大切なことの一つでありますから、一人一人が自覚をしてブレーキをかけていかなければなりませんけれども、そこだけで片づくものでもないと思っておりますから、私はそれは政治改革の第一歩だということをいつもいろいろ申し上げてきました。
 では、究極のことは何であるかというと、私はやはり欧米型の選挙といいますか、政策論争というものを中心にしながら、政党の支部というもの、政党の機関というものが政党活動として議員のそういった日常の活動を肩がわりする、と言うと言い方が悪いですね、本来のものとして政党の業務としてやって、議員は政策努力、政策活動、国会活動に専念できるようなそんな仕組みが必要である、こう思っておりますから、政府としては、選挙制度審議会の方にその抜本的な問題についてただいま諮問をしておるところであります。願いとしては、政策論争中心の選挙ができるように、そして個人が政治資金のことで、もっと必要だからもっと集めなければというところに余計な時間とエネルギーを使わなくてもいいような、本来の政治活動に精魂を打ち込むことができるような姿にしていくことが最も望ましいことであると思って、それに向かって私は努力を続けていく決意でございます。
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保岡興治#24
○保岡委員 今総理が指摘されたように、私もこの間ヨーロッパ各国の選挙制度をお仲間の方と視察をしてまいりました。本当に信じられないぐらい選挙費用が少ないですね。それから、日常活動費も少ない。イギリスなどは百二十万から百四十万ぐらいで本当に選挙ができる、こう言うのですね。しかし、政党が徹底的に宣伝をしてくれる。これはまた大変なお金をかけているようで、やっぱり総理が言われましたとおり、政党が選挙や日常の政治活動をサポートする、選挙資金も政党に入れる、議員はひたすら本来の政治活動に専念して頑張っていけばいい。もちろん小選挙区を中心とするイギリスやフランスなどに見られるように、本当に仲間同士の同士打ちということがないですから、さっき言ったような水膨れ的な地盤培養のための選挙資金などの拡大現象、がんのようにそれが拡大していくというようなことは全くないようになっているように思えたわけです。
 私は、そういうことから、やはり政治家が、政治が必要であればあるほど、政策活動がこれから時代の要請として高まってくればくるほど、日本の国会議員が時間的余裕を持って、スタッフも充実して、しかも場所もしっかりした、もっと広い議員会館をきちっと持って、そうして政策立案等の経費も十分に補助できるような体制をとっていかなければならないと思うのです。しかし、それには、政党法で国庫補助をするとかあるいは議員のいろいろな活動の公的な負担を大きくしていくにしても、私は、そこにはやはり国民が、議員定数を思い切って削減するというような血の出るようなことをやって初めて納得して、なるほどそういう政治の仕組みが必要なんだという理解をしてくれるんだろうと思うのです。
 そういった意味で、私は、先ほど総理が言われましたとおりに、こういう問題もやはり選挙制度が根本にあるという認識を示されたように思います。私は、選挙制度審議会にいろいろ政治資金のことについても総理が諮問をして、鋭意検討を願って御努力を願っていることを承知しております。私は、そういう意味で、やはりこういう問題も根本には選挙制度の改革というものがあるんだ、これを抜きにして、依然として中選挙区を維持していくような形の中でどんなに寄附の禁止をしても、あるいは政治資金の明朗化を図ろうと思っていろいろ努力しても、公費負担の拡大も図れないまま党への政治献金を、党に拡大してそちらの方に移していくということもなかなか難しいままにこの政治改革という大事な時期を失してしまうことがあるのではないだろうか。当面の対策として、寄附の禁止やあるいは政治資金の明朗化について我々は法案を出してあります。これとて現実の政治の中でこれを実現するということは大変なことなんです。
 それで、私はそういった意味で、時間もなくなってしまって大変恐縮ですが、簡単なお答えをいただきたいのでございますけれども、政府広報とかあるいは教育の問題とか、そういうこともトータルでやっていくような決意でないと、総合的な、全面的な改正の中でこれを実現していくのでないと、この三つの法律も、またやったはいいが法定選挙費用のような、あるいは選挙違反はみんながやっているんじゃないかというような、それでいて警察もどうにもならない、たまに見せしめにやるだけだ、見つかったが損だというようなことに終わったのでは、この日本の政治をこの機会に改めようという趣旨に反するのではないか。そういった意味で、私は、この問題も選挙制度というものが根本に横たわっているということを深く認識すべきだと考えているものでございます。
 それから、私は大変御質問が、ちょっと申しわけないのですけれども、時間がないので先に進ませていただいて、お答えを省略というのか、お答えいただくのは結構でございますが、私、この参議院選挙の結果を見るときに、消費税の問題はこれまた大変な問題だったと思うのですね。この消費税の問題は、私は十分国会で議論されなかったということが国民の理解を得られなかった最大の原因じゃないだろうかと思うのです。やはりこれだけの国政の基本にかかわるような大政策の転換を国民に十分理解してもらいながら、その共感を得ながら進める政治というものが必要だ。私は今度の国会の審議に消費税のあり方を見ると、やはり野党の場合には審議拒否とか牛歩戦術とか、審議をしないための戦術を駆使してこれを阻止しようとする、与党は与党で、何とか野党に通してもらいたいものだから減税を先にぽんと与えざるを得ないというような国会運営で、裏で何か話し合いをして、この減税と消費税との兼ね合いというものが非常に大事であるにもかかわらず、それすら国民に理解されないで審議が進んでいく。これは与野党ともやはり問題があるのではないかと思うのです。
 私は時間がありませんのでもう指摘にとどめたいと思うのでございますけれども、やはり国会が言論の府として、最高の機関として機能するためには活発な政策論議が行われなければいかぬ。それは与野党ともそうだと思うのです。そういった意味で、私はなぜこういうことが起こったのかという淵源を考えてみますと、私はやはり与党と野党の勢力が固定化してきているところに問題があるのではないかと思うのです。私は、悪いという意味ではないのです。そこに原因があるのではないか。それは自由民主党が永久政権だということです。野党は万年野党になっている。
 なぜかというと、私は、今度の衆議院選挙が予想されていますが、社会党が百八十人立てようとした。これは、政権をとるためには、過半数とるためにはもっと二百四十人ぐらい立候補させなければいけない、それを全員当選させなければいけない。にもかかわらず百人の目標を立てた。最も順風満帆なときですら、現職の立場が困るとか、複数立候補することによってみんなが共倒れになったら困るとか、恐らくそういうことは当然政治の現実の中に起こってくる。やはり百三十人を立てられるのか、百五十人なのかという問題になってくる。私は、そのように、やはり社会党もかつては国民政党のように包括的な政党の姿をとった時代もあると思うのです。しかしながら、だんだん労働組合という一つの選挙母体や資金源というものがベースになってきておるのではないか、こういうふうに私は外から見て考えるわけです。そこに労働組合の組織率はどんどん落ちてくる、そして、自治労などのような、田舎の名望家がなっているような、エリートがなっているような地域では社会党が強くて、都会ではむしろ社会党が弱くなっている、こういうようないろいろな野党にも変質がある。私は、社会党も立派な政党として、政党は国民の共有の財産ですから、立派にやってもらいたいという意味では、本当にだんだんだんだん指定席というものが、従来のベースで政治をやっているのでは多数がとれないという環境になってきているということがあると思うのです。第一党の社会党ですらそうだから、他の野党も同じような問題を抱えている。そこに分裂も起こってなかなか政策協議もできない。これがやはり私は自由民主党が永久政権になってきた最大の裏の理由だと思うのです。
 ですから、与党もだんだん野党の、国会での政策論議を徹底的にして過半数の支持を国民に求めていくという姿勢がいつの間にか失われて、自分の支持母体にサービスをしてそこに強力な支援を得るための部分的な利益の代表になってきているのではないか。そういう意味で私は、選挙制度というものが中選挙区であるがゆえに、やはり自由民主党は大変な金のかかる選挙を抱えてしまっているけれども幸い政権は保障されて、野党を相手に議論をしない国対国会を自然につくり上げてくる一つのベースになっているのではないかという気がするわけです。これが政権が伯仲して健全な野党が出て、そして本当に競い合うようになると、自由民主党とてもっともっと能力を発揮する力がわいてくるだろう。国民との対話をしながら国民のニーズを、共感を得ながら政治を進めながらもっとすばらしい政党に変わっていく。そういった意味で、私は現在の中選挙区制度というのは、必ずしも自由民主党の力を発揮することにもこれからの時代を考えるとならないのではないかというふうに考える者の一人なんです。
 そういうことで、国会の論議が与野党でできるように、この予算委員会も今度与党が数に応じて質問するという新しい改革をされましたが、まさにこういうことをどんどんやる。国対国会ではなくて委員会中心主義で、本当に委員会が独自性を発揮して国民のために議論する。それも野党が政府を追及するような形の審議ではなくて、やはり国会議員同士が、与野党の国会議員同士が国の将来の本質的な議論を深めていく、こういうことが私は大事なのではないかと思っております。これも選挙制度の一つのベースがあるということを御認識いただければ幸いだと思います。
 時間がないので先に進みたいと思いますが、ちょっと前後いたしましたけれども、私は企業献金ということについてお伺いしておきたいと思うのでございます。
 私は、先ほど申し上げたように、必要な政治資金というものは確保しなければならない、これはもう当然なことなんです。それで、よく企業献金について禁止をするというような議論が行われます。しかし、この企業献金も社会的存在として日本の社会の発展に多大な貢献をしています。それでまた、昨今では地域や文化の振興、国際協力などで、幅広い利益追求以外の公的な役割というものを演じているわけなんです。しかも、企業は税金を払っているのです。タックスペイヤーである。これは、税金を払っているものは税金の使われ方について物を言ったり、政治に参加する権利があるということを意味しているのだろうと思うのです。私は、野党の一部に企業献金は廃止し、労働組合の献金は今までどおり認めるというものもあるわけですけれども、組合は法人税を払っていない、企業は払っているという差がむしろあるのじゃないかと思ったりするわけです。そういうことで、企業献金は自然人でなくて参政権が認められていないという議論もありますけれども、私は、実態に即して考えなければ、政治は現実でありますからおかしなことになる。
 事実、ヨーロッパにおいても企業献金は全く禁止されておりません。額の規制すらないのが多くの国の例であります。アメリカでは個人献金が原則になっておりますが、PACという制度があってちゃんと、この間著名なアメリカの議員の一人に伺ったところが、やはり企業にPACという政治活動委員会みたいなのをつくって、そこに企業の構成員からお金を集める、しかし結局は、それは企業が払う給料がもとになっているという意味では、企業を中心とする献金であることは間違いないのです、実質は企業献金である。私はこのように考えたときに、日本には個人献金の風習がないですよね、習慣が。私はどこへ行っても、個人献金する人がいますか、手を挙げてくださいと言うと、我が党の支持者の中でも非常に少ない。私は、個人献金はむしろ経験的に言うと非常に利害に絡んで、何かこの人は多額持ってきたけれども何か頼み事があるのじゃないかなという感じさえ持つのが個人献金のあり方じゃないか。そういった意味で私は、企業献金というものはきちっと認めていくという姿勢を貫かないと政治がおかしくなると思うのですが、自治大臣、いかがでございましょうか。
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渡部恒三#25
○渡部国務大臣 ただいまの保岡委員のお話、すばらしい御見識であると承っておりました。
 これは企業も個人もそれぞれ社会的存在でございます。この日本の国が平和で豊かで自由に発展していくことによって、この国に住んでおる人たちの幸せがあり、またこの国の企業も発展していくわけでありますから、この政党こそが国の発展のために、我々の平和と自由を守ってくれるために役に立つ政党である、あるいはこの政治家こそがこの日本のために、平和と自由を守るために、我々の豊かさを進めるために役に立ってくれる政治家であるという、信頼する政党や政治家に企業が法に許された範囲での献金をすることは、これは美徳であって、これが悪いことのようにこれを一概に言うことは大変間違いである。ただ間違いなのは、それぞれ自分の利益とか個別的なものの何か代償を得るというようなことでやることが非難されることであって、企業献金全体を悪であるというような風潮は大変間違いであって、これは国民の皆さん方に正しく理解をしていただかなければならない問題だ、こう考えております。
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保岡興治#26
○保岡委員 私は、そういう原理原則というものをきちっとするのが日本には少し足りないと思うのですね。例えばリクルート事件の献金問題などの流れを見ておりましても、やはり国民も理解がしてもらえるように、正当な手続を踏んできちっとやった献金というものは、その会社がやることは全部悪いというわけじゃないのです。その立派な、優秀な企業が過ちを犯したというだけの話です。その辺はやはりきちっと区別して考えていかないと、政治の本質を見誤ることになっていくんではないだろうか。やはり原理原則というのをきちっとすることが今の日本には必要なのではないかということを感ずるものでございます。
 そこで最後に、もう時間もなくなりましたので質問させていただきたいわけでございますけれども、今政治改革の三つの法案が国会で審議されようとしているわけです。私は、先ほど申し上げたように、寄附の禁止の厳しい措置など大変な前進だと思うのですね。そしてまた、国会議員が全員資産公開するということも大変なこれはまた措置である。そしてまた、これは政治資金の明朗化を図るための、あるいは政治資金を投機的な株や土地に使わない、運用しないということなどもはっきり言って今度のリクルート事件の反省に立った具体的な対策なのですね。こういった三つの法案は、私は、なかなか現実の政治の中で、ここまでやはり工夫して確実に対策を出すということは大きな前進であり、確実な一歩だと思いますから、私は、この国会でも与野党でよく話し合って、とりあえずこの法律は成立させるということが一番肝要なことではないだろうか、これが国民にこたえるゆえんではないだろうかというふうに考えるものでございます。
 しかし、私は、先ほど指摘しましたように、政治家が本当に政治活動に専念できる時代をつくらなきゃいけない。日本の国会議員が選挙区のサービスやお金集めに時間や労力を割かないで、やはり本来の十分政策活動できる環境をつくることを考えないと、本当の政治改革の目的は達成できないということを申し上げたのですが、そういった意味でも、選挙制度というものがやはり根幹にあるんだ。これを改革せずに幾ら言っても現実を無視した規制みたいな形になって、国民の不信を買う結果になる。そして政策論議を深め、国民と政治を結びつける開かれた政治、開かれた国会というものを実現するためにも、先ほど申し上げたような活発な議論を行っていくためには、やはり健全な野党が育ってくるような、そして自民党がもっと頑張れるような、そういう政治の緊張の中で政治の浄化を図り、政策の推進を図っていくのが、これは民主主義のルールである。政権交代のない制度などというのは、私は、政党政治において極めて問題があると思う。そういった意味で、やはり野党の皆様方も中選挙区に数、それだけ与えられている定員の中で一つの支持母体に依存するというのではなくて、国民の包括政党たらんという努力が今後待たれるのであります。そういったことに沿った選挙制度というものはどこに求めるべきかということを真剣に考えていかなければならない、そして与野党で真剣な議論をしていかなければならないと思うのでございます。
 私は、そういったことを含めて、自由民主党の政治改革大綱は、あのリクルート事件がまだ初めのころ、一月に発足して早くも二十七回の会合を重ね、有識者からどんどん意見を聴取し、しかも我が党の衆参の国会議員全員が集まって、三日間、丸九時間徹底的に議論しました。そしてまた、二万人の方にアンケート調査も行ってつくったこの政治改革大綱というものは、余り褒めてくれないマスコミの方も非常によくできているという評価が高かったと記憶しているのです。私は、そういった意味で、この政治改革の基本はどこにあるかということは、やはり抜本的な改正をやって、二度とこういうことを起こさない、今度こそ起こさないためには、その根底にある選挙制度を見直すことが急務である、こういうことが柱になっているものだと思うのであります。
 そういった意味で、せんだって小沢幹事長が近畿の幹事長ブロック会議において、選挙制度の改革というものを基本に置いて進めないと現実的じゃない。選挙制度の改革というものは、今日出してある三つの法案を成功させる意味でも、さらにイギリス型の腐敗防止法を実現し、そうして資格争訟などを迅速に行って、もし間違ったことをした人は永久に資格を喪失する、これぐらい厳しいことをやって、本当に政治本来の活動ができる日本の政治の環境をつくり上げていくためには、やはり今出してある法律でもまだ不十分なんです。不十分なんです。抜本的改革とあわせて、定数の削減とあわせて、いろいろな政治資金の問題から万般にわたって根本的な改革ができる、ここに私は今度の今与えられている政治改革の基本があると思うのでございます。
 総理は、こういう制度を実現するために選挙制度審議会に諮問をして、一生懸命、この間も会合に出て審議会の先生方に御努力願うことをお話しされておられました。委員の方々からも、我々の出す答申は当然尊重してほしいという御要請が口々に出たと思います。私は、選挙制度というものは党利党略でやるものでなくて、政党は、これは国民の財産でございますから、やはり公正な選挙制度をつくらなければならない。そういった意味では与野党の活発な議論もこれから必要でありましょうし、また国民の共感を得ながらやっていかなきゃならないという問題もございます。しかしながら、私は、それぞれの党が自分の党はこう考えるということをしっかり打ち出すことがまず前提である。そういった意味で、選挙制度審議会の答申について我々はこれを尊重するんだという国会決議をお互いにやっていくぐらい選挙制度審議会の先生方の御努力を待つ姿勢が今必要なんじゃないか、私はそういう気がするのでございますが、総理、いかがでございましょうか。
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海部俊樹#27
○海部内閣総理大臣 いろいろな御意見を私も傾聴いたしました。そして、先ほど私も申し上げたように、今のままで、議員一人一人がみずから決意をするだけで、今のままの制度、仕組みのままでは政治改革には不十分であるということも申し上げて、政策中心の、そしてお金のかからないといいますか、かかるときには公の立場で、そして党を中心にお金は出す、けれども、議員個人は政策論争中心の選挙ができるようにしたいものだ、こういう希望も願いも述べました。
 そしてさらに、今お話ありましたように、選挙制度審議会にも私はいろいろなことをお願いをしてきており、来年三月ごろまでにどうか答申をまとめていただきたい、これもお願いをしてまいりました。来た以上は、各党各派で御相談をいただき、その結果を十二分に尊重して、今おっしゃるようにそれはもう守っていきましょうというぐらいの心構えで受けとめていただけると本当に前進が図れるのではないか。
 先生の御意見には私も同感でございますが、今後とも皆さんの一層の御理解とお力添えで適切な結論が得られていきますことを心から御期待をし、政府としてもできるだけの御協力をさせていただきます。
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保岡興治#28
○保岡委員 私は、リクルート事件というものは本当に不幸にして起こったけれどもへ本当に議会政治のもう戦後の最大の危機だ、我が党結党以来の危機だと言ってあの政治改革大綱をまとめたことを忘れてはならないと思うのです。災いを転じて福とすると言うと語弊もあるかもしれませんけれども、この国民の政治不信はまさに今の政治に対する正しい評価を内に秘めているものだと思うのです。そして、未来に対する国民が期待する政治の実現の願いが込められているものだと私は思います。そういった意味で、議会開設百年というものが来年待っているわけでございます。このリクルート事件において国際的な信用がどうなったか、国内の政治がやはり不安定になってくる、こういうことで円安になったりして物価が上がったら何のための消費税の議論を、数%を争ってやっておるのかわからないようなことにもつながるわけです。
 私は、総理が二十一世紀の扉を開く政治を実現するための努力を御自身がなさるんだと言われました。そういった意味で、二十一世紀の政治を実現するには、二十一世紀からスタートするような選挙制度を当てにして、十年後を考えて選挙制度をつくるなどというのは、将来の政治家を不当に縛ることにもなる可能性があるし、またそこに追い込んでしまう、将来の政治家を一方的に。それは勝手な話じゃないかと思いますし、また世の中の変化は非常に速いわけですから、そういった変化にも対応し得るのか。私はそんな悠長な話ではない、抜本的な政治改革の基礎になっているだけに、選挙制度の改革というものは、やはり二十一世紀の政治の扉を開くためということであれば今から制度をスタートさせて、万般の根本的な政治、本当に全体の改革をするという、それはお互いが決心すれば今をおいてはできないわけですから、こういうときだからこそ私はできるというふうに思うのです。
 私は、そういった意味で総理大臣が、また閣僚の皆様、内閣全体となってこの政治改革は打って一丸となって、総理も言われるように、国民と対話をしながら、対話の政治をやっていくということで国民の共感を得ながら、この運動は進めていっていただきたい。政治改革大綱にもそれが書いてありますので、ひとつよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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中尾栄一#29
○中尾委員長 これにて保岡君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ────◇─────
    午後一時一分開議
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