内閣委員会

1990-06-14 参議院 全322発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成二年六月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     片山虎之助君
     八百板 正君     谷本  巍君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                片山虎之助君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                谷本  巍君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
   政府委員
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       労働省職業安定
       局次長      齋藤 邦彦君
   事務局側
      常任委員会専門員  原   度君
   説明員
       内閣官房首席内
       閣参事官     多田  宏君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省北米局
       審議官      時野谷 敦君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省アジア
       局審議官     川島  裕君
       外務大臣官房文
       書課長      鏡   武君
       外務省アジア局
       地域政策課長   渋谷  実君
       外務省アジア局
       南東アジア第二
       課長       野本 佳夫君
       外務省北米局北
       米第一課長    岡本 行夫君
       外務省北米局安
       全保障課長    重家 俊範君
       外務省北米局地
       位協定課長    森  敏光君
       外務省欧亜局ソ
       ヴィエト連邦課
       長        東郷 和彦君
       大蔵省主計局主
       計監査官     諸江 正義君
       運輸省航空局飛
       行場部計画課長  小坂 英治君
       運輸省航空局管
       制保安部管制課
       長        下里  晃君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
この発言だけを見る →
板垣正#1
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
翫正敏#2
○翫正敏君 では、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関して防衛庁に質問いたします。
 私は自衛隊は憲法第九条に違反する存在だと考えておりますので、したがって自衛隊を廃止し隊員は速やかに一般職の公務員としての仕事についていただくようにしなければならないと考えておるものでありますが、ただ自衛隊がいかに違憲とはいいましても、隊員の方々には家族の方々を含め、憲法に保障された健康で文化的な生活を営む基本的人権というものがあるわけでありますので、そういう意味において、国が隊員を雇用している責任において相当額の給料を支給したり、また退職後の年金を保障したりするということは必要なことであると、このように基本的に考えているものであります。
 さて、そこで具体的に質問いたしますが、この「自衛官の定年年齢の延長」という一覧表を見ますと、医師、歯科医師である自衛官や薬剤師である自衛官、音楽、警務の職務に従事する自衛官の定年は六十歳に延長されるのに、なぜ一般の自衛官は、将と将補という位の上の方の人は六十歳に延長されるのに、下の方へ下がると五十三歳というふうになるのか。これをお答え願いたいと思います。自衛隊が存続する間は定年は皆同じであるべきだと私は思うわけでありますが、この上の方と下の方で差がついている理由、それも地位の下の者ほど早く定年になる理由というものを簡単に御説明ください。
この発言だけを見る →
畠山蕃#3
○政府委員(畠山蕃君) 御承知のように、自衛官の定年年齢はその職務の特性上必要とされます体力に一方において着目いたしまして、他方同時に豊富な知識、経験を有する人材の有効活用という観点をも考慮して、両者の調和という形で階級ごとに定めているわけでございます。すなわち、知的能力といいますか経験も含めましてそういったものへの要求が高くて体力的要素が比較的少ない上級部隊等の指揮官等の職務を行う上位階級につきましては、体力的要素をより重視される下位階級に比べて高い年齢となっているということでございます。二つの要素というものをどう調和するかというその相対的関係で定まっているということでございます。
 なお、諸外国におきましても、我が国だけではございませんで、一般的に上位階級に行くほど定年年齢が高くなっているというのが実態であります。今回の定年延長を決定いたしました考え方も、そのような一環として考えていただければと思います。
この発言だけを見る →
翫正敏#4
○翫正敏君 説明は聞きましたけれども、私としてはこのようなふうに下位の者ほど早く定年になるというようなことはおかしいと。定年である以上はどの自衛隊員も同じであるべきだというふうに思うんですけれども、まあ水かけ論になりますので次へ移りますが、この表を見ますと、一曹、二曹、三曹という方がおいででそれぞれ五十三歳が定年延長後の年齢なんですが、この下にさらに士長、一士、二士と下級の隊員の方がおられるわけですが、この方々の定年は幾つなのかお示しください。
この発言だけを見る →
畠山蕃#5
○政府委員(畠山蕃君) 士で採用される自衛官の多くはいわゆる任期制という形をとっておりまして、その任期は原則として陸上自衛隊については二年、海空自衛隊についてはそれぞれ三年という形になっております。
 なお、継続任用という形が認められておりますので、二任期目以降の任用期間は陸海空いずれも二年という形でございます。定年という形じゃなくて、そういう任期制という形をとっているわけでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#6
○翫正敏君 とすると、士長以下のいわゆる一番下の方で自衛隊の仕事をしておられるそういう方は、二年ないし三年の任期ということになりますと、その任期がたてば使い捨てというふうになる場合もあるわけですね。そう考えてよろしいですか。
この発言だけを見る →
畠山蕃#7
○政府委員(畠山蕃君) 使い捨てという表現をなさいましたけれども、自衛隊におきましてはその任務の性格上組織を常に精強に保つ必要があるということで、中でも士長以下の自衛官につきましては自衛隊の統率、運用上、その気力、体力の充実を必要とするということから若く保つ必要があるということでございまして、その観点から任期制という特殊な形をとっているわけでございます。
 それで、今申しましたように陸においては三年任期、海空においては二年任期という形をとっているわけでございますが、本人が継続任用を希望しかつその任にたえ得るということであるならば、先ほども申し上げましたように二任期目以降の継続任用という形も認められておりますし、さらに本人が部内で選考されて合格するならば曹という以上のものに昇進する可能性がある。その場合には非任期制の隊員へ移行する道も広く開かれているわけでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#8
○翫正敏君 説明はわかりましたけれども、何かこの表を見たり今ほどの御説明を聞いたりして感ずることは、自衛隊というところは上の方の人には非常に手厚く下へ行くほど何か差別的な待遇が行われているような気がしてならないわけでありますので、こういうことについて次に質問したいと思いますが、その前にちょっと確かめたいんです。
 前回のときに山口委員の方から御質問がありましたことについてですが、いわゆる退職をしましてから六十歳までの間の平均所得が一定水準を超えるというような場合、そういう場合は極めて事例としては少ないというようなことをお話しになりましたけれども、実際少ないかどうかはやってみなければわからないわけでございますから、こういうような場合には最終年度において給付金を調整すると、返還するというような場合も含めて調整すると、そういう措置を講ずるべきであるとそう思うんですけれども、前回の山口委員と同じ質問になりますけれども、二日日がたちましたがお考えは変わりませんか、そういうお考えは。
この発言だけを見る →
畠山蕃#9
○政府委員(畠山蕃君) ただいまの御質問にお答えする前に、私ちょっとその前の御質問に言い間違えたようでございまして、陸上自衛隊の任期が二年で海空が三年ということでございます。
 ただいまの御質問でございますけれども、この間も申し上げましたとおり、私ども法律案を作成する段階で正直申しまして非常にその点については問題意識の一部といたしまして議論したことは事実でございます。
 しかしながら、一つには、翌年の退職所得が非常に低くて給付金をフルに支給される状態で、その後三年目以降の状況が所得が上昇して、振り返ってみると平均所得が上回るケースについて償還をするということの御提案かと思いますけれども、その場合にはまず私どもの割り切りといたしましては、再就職をしたときの現在におきます中高年齢者層の労働環境から考えまして非常に厳しい状況にある。そういう中で若年で退職をして再就職の道を求めるわけでございますので、そのときに一生懸命努力をした者がさらにその努力が報われないでその分だけカットされるという形をとることは、これはやはりその自己努力を否定することにつながりかねないということから、そこは例外的ケースあるいは理論的な観点からすると全くないわけではないとは思いますけれども、その真摯な自己努力を我々としてはそれなりに受けとめなければならないだろう、そういうことから私どもとしては振り返ってその調整するということは必要ないであろうというふうに割り切った次第でございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#10
○翫正敏君 極めて納得がいかないんですけれども、おとといのときの質問へと同じ回答である、変わっていないとそういうことでありますから、次の方へ移りたいと思います。
 先ほど申しました下の方の隊員の方々についての待遇とか考え方のことに戻るんですが、昭和六十三年六月二十九日に小松基地で発生した事故の内容をごく簡単に説明してください。
この発言だけを見る →
米山市郎#11
○政府委員(米山市郎君) 六十三年六月二十九日に小松基地で発生をいたしました事故の内容でございますが、要撃訓練のため同日十六時ごろ四機編成の二番機と三番機として小松基地を離陸いたしましたF15二機が、小松沖訓練空域におきまして他の二機と組んで二対二に分かれての訓練を実施中、十六時十八分ごろ空中衝突いたしまして爆発炎上し、その結果パイロット二名が死亡をしたというものでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#12
○翫正敏君 小松基地のパイロットの方が二名お亡くなりになるという大変残念な事故が起こったわけなんですけれども、この事故後のことについてお聞きしたいんですが、小松基地司令が記者会見をされまして、あすからの訓練は続けると、このように発表されたわけであります。これに対しまして基地周辺住民の間から、墜落事故にも驚いたけれども訓練続行にはもっと驚いた、今は行方不明――そのときはまだ行方不明という状態でありましたから、行方不明の二名の隊員の捜索にこそ全力を挙げるべきではないか、自衛隊は人命軽視なのではないかというような趣旨の発言が新聞等々に報道されたという事実を把握しておられるかどうか、お聞きをいたします。
 またさらに、その後基地周辺の町内会長さんのお集まりの中でも、隊員の方が行方不明になり結局は二人お亡くなりになるということになったにもかかわらず、自衛隊は訓練を優先する余り人命の軽視があるのではないかと、このような趣旨の発言があったというふうに私は聞いておるわけですが、そのように防衛庁も把握をしておられますかどうですか。
この発言だけを見る →
米山市郎#13
○政府委員(米山市郎君) 御指摘の小松基地司令の会見に関する報道については、私どもも承知をいたしております。また、当時の基地司令が事故の発生いたしました半日の記者会見で今御指摘のようにとられかねない発言をしたというのも事実であるというふうに私どもは承知をいたしておりますが、ただこの発言はあしたからやるということではなしに、現場の責任者としてできるだけ早く訓練を再開したいというような希望を表明したものであって、直ちに事故の翌日から訓練をするというふうなことを言ったものではないというふうに理解をいたしております。
 なお、この発言につきまして地元住民から具体的にどのような御意見があったか私どももつまびらかにはいたしておりませんが、そういった関係の報道については承知をいたしております。
この発言だけを見る →
翫正敏#14
○翫正敏君 新聞等々の報道は把握しているということでありましたので申し上げますが、政府は、自衛隊員特に下級の隊員の方々について定年の問題でも早く定年をする、下の人は二年とか三年で任期切れになってやめなければならないというような場合もあり得る、こういうふうなことを考えていきますと、何か下級の隊員というものを消耗品のように見ているのではないかという疑問が禁じ得ないわけであります。今ほどの事故の場合につきましての対応にもそのことを感ずるわけでありますが、年齢の問題につきましても差別が強いのではないか。行方不明の隊員の捜索よりも訓練続行を優先するようなそういう自衛隊の体質というもの、こういうものを根本的に改めていくべきであると私は思うわけでありますけれども、これは定年制の問題とも私はつながっておるとこのように判断しておるわけでありますので、防衛庁長官の方から基本的なこととしてお考えをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →
石川要三#15
○国務大臣(石川要三君) 今回の若年定年に対する制度でございますが、その中でなぜ下の方の者が五十三歳で上の方の者になると六十歳かという、余りにも差別があり過ぎるんじゃないか、こういうことの意見に対しては今局長の方から重ね重ねお話をいたしまして、見解が違っているようでございますけれども、私は局長のそういう見解は決して何か人間差別というような発想からこの制度ができているものではない、このように思うわけでございます。
 今回の事故の問題でありますが、これは私もまだ就任早々でございますので当時の司令の本当の気持ち、考え、これがつかめないわけでありますけれども、ただ確かに誤解されやすい発言だったなというふうな感じがいたします。それと定年制の何となく消耗品的な扱いと、これは私は、ちょっと失礼ですけれども先生も多少偏ったお考えではなかろうかな、こんなふうな感じがするわけでございますが、とにかく私どもは自衛隊というものは国を守るための若い隊員というものが必要なわけでありますから、それをあたかも何か消耗品のようなことでもし発想が成り立っているとするならば、これはとてもじゃないけれども強靱な自衛隊というものは養成できないわけでございますので、その点はいささか私は見解を異にしている、こんなわけでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#16
○翫正敏君 見解の相違というお答えでありましたので、次の方へ移らせていただきます。
 前回、六月一日の日に日ソ関係について質問しましたとき時間がありませんでしたので、そのことに関連してちょっとお尋ねしたいんです。自衛隊がいわゆる脅威または潜在的脅威ということで認識をしているのがソ連でございますが、そのソ連との間の友好関係をどう確立していくかというそういう視点で前回も質問いたしましたので、その続きを少しさせていただきたいと思います。ソ連のシェワルナゼ外相の九月来日が決定したようでありますが、何といっても来年に予定されているゴルバチョフ大統領の来日というものを機にして日ソ間の平和条約の締結に道をつけなければならない、これが大きな今政治課題となってきていると思います。
 さてそこで、前回御質問いたしました日ソ平和条約締結のネックになっている北方領土返還問題になりますけれども、これを前回取り上げまして、新しくロシア共和国最高会議議長に当選をしましたエリツィン氏の五段階返還論というものについて坂本官房長官の所感をお尋ねしたところでありました。私なりに当時のメモを整理してこういうお答えだったかなと思ってまとめてみましたんですが、世界情勢が冷戦から緊張緩和へ大きく変化しやがてアジアにも世界的枠組みの変化が及ぼうというときだから、政府の北方領土四島一括返還そして日ソ平和条約を結ぶというこの立場に変化はないけれども、自民党の内部やまた国の内外においての世論の中で今までと違う柔軟な考え方やいろんな意見が出てくるというのも自然の経緯であろうと思う、大事なのはまず日ソ間の対話の促進であると、このような趣旨の御答弁であったかと思いますが、そのように受けとめさせていただいてよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →
坂本三十次#17
○国務大臣(坂本三十次君) 大体委員のおっしゃるようなことを私申し上げたと思っております。
 四島を一括返還して平和条約を結ぶ、この姿勢は変わらぬけれども、それだけではなしに、それと同時に人的、経済的、文化的、いろいろな面で日ソ間の対話と交流を進めていく。領土の返還交渉の問題とそれからまた同時にそういう幅の広い対話を進めていく。これを拡大均衡と言う人もございますけれども、幅の広い対話を進めていってそして所期の目的を達成したい。これが私の気持ちでありまして、来年あたりゴルバチョフ大統領がおいでになられると思いますが、それまでにひとつ大いにその間対話を進めて、そしてゴルバチョフ大統領が来たときに私どもの考えておるような方向に歩み寄ってもらいたい、そういうふうに期待をしております。
この発言だけを見る →
翫正敏#18
○翫正敏君 ソ連の方に歩み寄りを期待するばかりではなかなか難しいと私はそういうふうに思うのでありますが、この九月上旬にソ連の外相が来日するということが決定したという報道もきのう、おとといの新聞になされているとおりであります。
 そしてまた、昨年の末に来日をされたソ連のナンバーツーと言われますヤコブレフ氏の国内における発言でも、日本の主張、ソ連の主張、それを足して二で割るかどうかわかりませんが、第三の道というようなものも模索するということが必要ではないかというような発言もあったかと思います。また、六月十一日には来日中の日本研究センター所長という方が新聞を見ますと発言をしておられまして、それを見ましてもやはり「ゴルバチョフ大統領の訪日の際の日ソ間の対話を機に、北方領土問題は、新たな位置付けを迎える」、こういう指摘をされ、来年の大統領の来日を機にソ連政府が北方領土の解決、平和条約の締結に向けて本格的な取り組みを始めるとの見通しを示したと。このようにサルキソフ日本研究センター所長の発言なども新聞に報道されているとおりでございます。
 それに加えて、申し上げましたソ連の方では急進改革派と言われておりますエリツィンさんがことしの初旬に来られて、五段階返還論というようなものも言われたと。こういうふうにして変化球もいろいろ投げられてきていると思いますので、その点についてのことをさらに少し外務省の方にお伺いしたいと思います。
 外務省から北方領土問題に関する我が国の立場と主張というものについては六月一日にお伺いをしましたので、それはよくわかりました。で、ソ連側の主張というものをちょっと読んでみますと、ソ連側は、第二次大戦の現実に基づいて今日の世界がある。極東における戦後の現実の再検討は西部国境の再検討につながる。第二次大戦勃発の責任は日本軍国主義にある。これにより日ソ中立条約の条件は根本的に変わった。ソ連の対日参戦は同盟国の要請によるものである。ヤルタ協定は日本を強制する。一九五六年の共同宣言で歯舞、色丹を日本側に引き渡すというふうに言ったのは、第二次大戦の結果の再検討に基づくものではなく、ソ連の善意及び日本との善隣友好関係を確立するとの希望のあらわれであり、日本はこのようなソ連の善意を拒否した。一九六〇年の日米安保条約により極東の戦略情勢が変化したと、こういうようにソ連の主張があるわけであります。
 さらに、そういう意味で歯舞、色丹の二島返還もあり得ないと、このような主張をソ連側は繰り返しているというふうに理解をしておりますが、大体そういうことでよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →
東郷和彦#19
○説明員(東郷和彦君) ソ連政府の現在述べております公式的な立場につきましてはまさに先生御指摘のとおりでございまして、政府間では過去四回にわたって平和条約作業グループで議論をしております。その間ソ連側の方から提起されておる考え方は、まさに今先生が御指摘になられたとおりでございます。
 最近の例でそういうソ連政府の考え方に基づく公式的な立場を最も象徴的に述べておりますのがゴルバチョフの四月二十六日のスペルドロフスクにおける発言でございまして、クリル群島の島々に関する質問があった。余った土地は我々にはない。我々は領土の不可侵を含む戦後の現実の承認というヘルシンキの立場に立っている。こういうことを申しておりまして、グラスノスチのもとで一部のソ連の学者等から種々の先生御指摘の変化球という表現が場合によっては当てはまるような発言はございますけれども、現下の政府間の交渉におけるソ連政府の立場は極めてかたいというのが現状でございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#20
○翫正敏君 ところで、世界情勢ということに関連して言いますと、昨年一九八九年十二月二日から三日にかけて地中海のマルタ島仲で、ブッシュ、ゴルバチョフの米ソ首脳会談というのが開かれたわけであります。そのとき新聞の報道で国民の中でももてはやされた言葉がャルタからマルタへの道と、こういう言葉でありました。
 歴史を振り返ってみますと、第二次世界大戦中、米英ソなど連合国は公式発表では常に我々は領土の拡大を求めない、こう言っていたにもかかわらず、ソ連のクリミア半島のヤルタで米英ソ三国首脳会談が行われ、そしてソ連の対日参戦がそこで決定をされまして、その見返りとして我が国固有の領土である北方領土四島のソ連への分割というものが密約をされたと、私はそのように理解をしております。しかし、今やソ連のペレストロイカというものに端を発して、世界に大きな変化が起きつつあるというそういう時代だと思います。ヤルタ協定、これが日本領土の一部を分割してソ連の支配下に置くという密約であったとするならば、なおさら逆にソ連が四十五年間にわたって北方領土四島を支配し続けてきたという、こういう重い現実というものもあると思います。
 エリツィン氏は五段階返還論というものを来日のときに唱えられましたけれども、この方はソ連随一の急進改革派というふうに言われておりますが、その一方で民族主義的傾向も強いという評価も物の本には載っておりました。この氏自身の発言の中にも、これは大事なことだと私は思いますが、ソ連の首脳が今ソ連国内で北方領土返還を言い出せば急速に国民の支持を失い指導力を失いかねない、急進改革派の随一の指導者で今度ロシア共和国の最高会議議長というものに当選をされたこの方でさえ、こういうことを日本へ来られたときの講演の中で言っておられるわけであります。
 そうしたことを考えますと、先ほど外務省が言われたゴルバチョフ大統領の領土問題についての対応は非常にかたいとこういうことでありますけれども、やはりそれはそれなりにソ連の国内事情というもの、日本の言葉で言うと日本の国民感情というような言葉がありますけれども、そういうものに相当するようなものがやはりあって、ソ連の国内事情というものの中からそういうのが出てきておるのではないかとこのように思うんですけれども、外務省としてはそういう日本で言うところの日本の国民感情とかいうような言葉、ソ連の国内事情、国民感情こういうようなものを、今ほど申し上げましたようなことをどのように把握しておられるかをお答えいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
東郷和彦#21
○説明員(東郷和彦君) 先生まさに御指摘になられましたように、ソ連のペレストロイカに端を発して、ソ連国内及び世界に本当に大きな根本的な変化が生じつつあると私どもも認識しております。ソ連の国内の状況に関して申し上げれば、このペレストロイカの過程の中でソ連人自身の意見というようなものがいろいろな形のところで反映されてきていると。これはまさにゴルバチョフ政権が抱えている経済改革、政治改革、それから民族問題、この三つの大問題についてソ連人自身がどういうふうに物を考えているかということが色濃く反映されてきているわけでございます。
 一番最近の例で申し上げれば、ロシア共和国の主権宣言という、これは本当にこれまでのソ連邦の歴史の中で恐らくだれも想像しなかったような基本的な問題がこの数日間起きているわけでございまして、外交面における代表権をロシア共和国が主張し、かつそれを九百七票対十三票という圧倒的な多数で可決しているという状況は、恐らくこれは過去五年間のゴルバチョフが抱えてきた問題の中でも最も重要さの大きな問題だというふうに私どもも認識しておりますし、そういう状況の中で諸般の対外問題に関するゴルバチョフ政権の対応、これはゴルバチョフ政権としてはいろいろ難しい点もあるだろうという点はわからないわけではございません。しかしながら、私どもの認識としましては、こういう混乱の状況の中でこそ物事の筋目というものがより明らかになってきているというふうにも思われます。
 対外関係でヨーロッパ等で起きている問題、ベルリンの壁の崩壊、ドイツ統一に向かってというのはまさにそのような動きでございますし、我が北方領土問題についての筋目ある対応というものも、こういう混乱の状況の中でこそより明らかになってくる可能性もあり、筋目と同時にソ連にとって領土問題を解決して平和条約を結び日ソ関係を抜本的に改善するということがいかに今後のソ連及びアジア・太平洋にとって利益になるかということが、こういう状況の中でおのずから明らかになってくるはずだというふうに考えておりまして、それをこれから数年間のソ連最高首脳との対話の中においてぜひ実現したいというふうに考えている次第でございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#22
○翫正敏君 私は外務省の考え方はやはり非常にかたいというふうに思うわけでありまして、原則論に終始し教科書的であるというふうに思わざるを得ないのであります。
 ゴルバチョフ大統領が米ソ首脳会談の席で北方領土の返還について日本側の見返り云々というようなことを発言したというそういう報道もありましたが、その後そういうことはないという否定の報道もまたあったりしまして、真相は明らかでありません。やはり先ほど申しましたように、ソ連の首脳が今ソ連国内で北方領土返還というようなことを言い出せば急速に国民の支持を失い指導力を失いかねないというこういう状況などを考えてみますと、見返りに日本の経済協力というのを期待していたとしてもなかなかそういうことを言い出せないとか、言ったとしてもまた後で否定するとか、そのような状況なのかなとも思うわけであります。
 ペレストロイカというものが推進されておりますが、逆に経済が停滞しているということが報道されておりまして、ソ連経済の停滞している状態の建て直しを図りつつ政権の基盤の強化をねらっているとも見られるわけでありますけれども、ごく最近の米ソ首脳会談におけるゴルバチョフ大統領が言ったとかまた否定されたりもしております発言について、官房長官は大体どのような状況だというふうに政治的に見ておられるか、お答えいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
坂本三十次#23
○国務大臣(坂本三十次君) 北方領土問題に関係して領土について日本と取引したいと思っているという説が流れましたので、これはやっぱりその真意は確かめにゃいかぬと思いまして、首脳会談ですからアメリカの政府の方に対しても念入りに照会をいたしましたけれども、アメリカ政府の方からはそのような領土問題で何らかの取引をしたいというようなことは一切なかったと、こういうのが今までの回答であります。
この発言だけを見る →
翫正敏#24
○翫正敏君 この六月二日の米ソ首脳会談が国民の中でも大きな話題になりましたけれども、この中でゴルバチョフ大統領がいわゆる四つの自由ということを言ったというので、新聞にも大きく載りました。
 官房長官にちょっと政治的な判断としてのお考えをお聞きしたいのでまたちょっと読んでみますが、「フランクリン・ルーズベルトは半世紀前に、言論の自由、良心の自由、貧困からの自由、恐怖からの自由の四つの基本的自由について語った。この理想はどの国でも達成されていない。我々は共同の努力で新しい世界に歩んでいかねばならない。」云々と、後続くんですが、そのような発言が調印式のあいさつにあったということであります。
 そしてさらに、このペレストロイカの推進というものに当たって、いろいろ各種の論文などがゴルバチョフ大統領が書記長の時代から発表しておられますけれども、その中の一節をちょっと読んでみますと、これは一九八九年十一月の論文の一節なんですけれども、万人に共通するグローバルな問題が、人類の生活においてますます大きな地位を占め始めている。これらすべては次のように予想してよい根拠を与えている。すなわち、さまざまな社会体制は、それぞれの特殊性を保持しながらも、ますます全人類的諸価値――平和、安全、自由、各民族が自己の運命を決定する可能性のような諸価値――の優位によって限界づけられる枠の中で発展していくだろうと。
 これ訳文ですから、このようなちょっとかたいような表現もありますけれども、従来のいわゆる社会主義体制、資本主義体制という体制と体制の対決とか対立とかというものから全人類的課題というものへ人類が力を合わせて進んでいかなきゃならない時代へ来ているんだというような、こういう認識だと私受けとめておりますけれども、こういうような中でやはり来年の来日というものも迎えるわけでありますから、北方領土の問題を解決してそして平和条約を締結するという大きな課題についての官房長官の決意も含めて、今ほどの私が読みましたゴルバチョフ大統領また書記長時代のこの発言の感想なども少しお聞かせください。
この発言だけを見る →
坂本三十次#25
○国務大臣(坂本三十次君) 米ソ首脳会談でゴルバチョフ大統領がかってのルーズベルト大統領の四つの自由というのを引いて、つまりアメリカもソ連もそういうグローバルな普遍的価値というものを共有しておるという、非常に冷戦時代には考えられないようなやはりこれは私はソ連の指導者として立派な見識であろう、そういうふうに思うております。
 しかし、同時にゴルバチョフ大統領も国内で大変な問題を抱えて、あなたのおっしゃるとおりであります。しかも、それをうまく持っていかなきゃならぬということでありますから、非常に細心な表現もまた使っておるようなわけでありまして、ゴルバチョフ大統領の発言の中に、思慮の足りないせっかちさとか、あるいはバランスの不足とかが国際情勢全体の危険な不安定化をもたらす心配があるということも言っておりまして、歴史的変換期にある世界においてはなおさら慎重な対応が必要であるというふうにして、大きなグローバルな目的を達成するためには非常に細かい配慮が必要であるということを述べたものだと思いまして、これはやはり大きなソ連の一般的な見解を述べたものであろうと私は思うております。
 しかし、それが直ちに北方領土問題、日ソ間の問題にどうあらわれてくるかということはまだそう簡単に予測をする段階ではない。もちろん交渉事でありますから、今外務省の言ったように、ゴルバチョフさんは余った土地は寸土もないと言い切っておったり、あるいはまた大きな平和への前進という意味で細心の注意を払ってでもやっていきたい、こういう意向もございますので その辺はやっぱりもう少し見きわめさせていただきたいなと思うております。とにかくシェワルナゼ外相が九月の上旬に来ますから、そして日本の外務大臣もその後年内にもソ連へ行くでしょう。そしてゴルバチョフ大統領を迎える環境を整えて、そこで大きな歴史のうねりの中で前進を図っていきたい、対話を進めて問題解決に当たっていきたい、こういうのが私どもの今のところ見通しでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#26
○翫正敏君 おとといの石川防衛庁長官のお言葉をかりるならば、氷は解けるときが危険だとこういう言葉でありましたから、慎重に運ばなければならないという政府の基本的な考えについて私が異を唱えておるわけではないんですけれども、しかしやはりこのようにして世界情勢が激変、激動しておる時代にその方向を我が国が誤ることなく平和国家として進んでいく基本的な道なわけでありますから、日ソ間の仮想敵国ということに、今仮想敵国という言葉はないんですからちょっと訂正いたしますけれども、潜在的脅威ですか、そういうことで対応しておられるわけでありますから、これからやはり平和条約を結んでいくためにはどうしてもネックになっているのは北方領土問題であるということは明らかなわけでありますから、この点のどのような解決を図っていくかというのは政府にかけられた非常に大きな国民の期待だと思いますので、その期待を述べさせていただきます。
 質問は変わりますが、次に自衛隊が五月二十九日に象徴天皇即位の礼に使用する高御座をヘリコプターで京都から東京まで運んだことについて防衛庁に質問をいたします。
 自衛隊の任務というものをハンドブックを読ませていただいて見てみますと、自衛隊の任務は「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」、こうなっていまして、自衛隊の行動としては「自衛隊がその任務遂行のため行う行動の概要は、次頁のとおりである。」、こうなっていまして、防衛出動、防衛出動待機、命令による治安出動、治安出動待機、要請による治安出動、海上における警備行動、災害派遣、地震防災派遣、対領空侵犯措置、機雷等の除去、不発弾の処理、こういうものが挙げられておるわけであります。
 この十一項目が自衛隊の行動と、こういうふうにハンドブックを見ますと書いてありますが、今回の象徴天皇即位の礼に使用するとされております高御座をヘリコプターで京都から東京まで運んだという自衛隊のこの行為は、このうちどの任務に該当するのでしょうか。
この発言だけを見る →
日吉章#27
○政府委員(日吉章君) 今般の高御座と御帳台の輸送につきましては、内閣官房長官からの依頼を受けまして、自衛隊法第百条に基づきまして輸送事業の受託として行ったものでございます。
この発言だけを見る →
翫正敏#28
○翫正敏君 ちょっともう一遍言って。輸送事業の何ですか。
この発言だけを見る →
日吉章#29
○政府委員(日吉章君) 輸送事業の受託でございます。参考までに第百条……
この発言だけを見る →
← 戻る