予算委員会

1991-02-06 衆議院 全351発言

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会議録情報#0
平成三年二月六日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 渡部 恒三君
   理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君
   理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君
   理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君
   理事 草川 昭三君
      相沢 英之君    愛野興一郎君
      粟屋 敏信君    井奥 貞雄君
     内海 英男君    小此木彦三郎君
      越智 伊平君    狩野  勝君
      金子 一義君    倉成  正君
      後藤田正晴君    佐藤  隆君
      志賀  節君    田邉 國男君
      戸井田三郎君    林  義郎君
      原田  憲君    松永  光君
      松本 十郎君    光武  顕君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      山本  拓君    綿貫 民輔君
      五十嵐広三君    串原 義直君
      嶋崎  譲君    新村 勝雄君
      新盛 辰雄君    辻  一彦君
      戸田 菊雄君    野坂 浩賢君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      和田 静夫君    石田 祝稔君
      日笠 勝之君    冬柴 鐵三君
      佐藤 祐弘君    辻  第一君
      不破 哲三君    吉井 英勝君
      中野 寛成君    米沢  隆君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 左藤  恵君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 井上  裕君
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
        農林水産大臣  近藤 元次君
        通商産業大臣  中尾 栄一君
        運 輸 大 臣 村岡 兼造君
        郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君
        労 働 大 臣 小里 貞利君
        建 設 大 臣 大塚 雄司君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     吹田  愰君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 佐々木 満君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      谷  洋一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 池田 行彦君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      越智 通雄君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      山東 昭子君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 愛知 和男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 西田  司君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 大島 理森君
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       米山 市郎君
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        警察庁刑事局長 國松 孝次君
        警察庁交通局長 関根 謙一君
        警察庁警備局長 吉野  準君
        総務庁長官官房
        会計課長    菊地 徳彌君
        総務庁長官官房
        交通安全対策室
        長       徳宿 恭男君
        総務庁人事局長 石川 雅嗣君
        総務庁行政管理
        局長      増島 俊之君
        防衛庁参事官  内田 勝久君
        防衛庁参事官  玉木  武君
        防衛庁参事官  宝珠山 昇君
        防衛庁参事官  上原 祥雄君
        防衛庁長官官房
        長       日吉  章君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁教育訓練
        局長      小池 清彦君
        防衛庁人事局長 坪井 龍文君
        防衛庁経理局長 村田 直昭君
        防衛庁装備局長 関   收君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁建設
        部長      黒目 元雄君
        防衛施設庁労務
        部長      竹下  昭君
        経済企画庁調整
        局長      末木凰太郎君
        経済企画庁物価
        局長      田中  努君
        科学技術庁研究
        開発局長    井田 勝久君
        環境庁長官官房
        長       森  仁美君
        環境庁企画調整
        局地球環境部長 加藤 三郎君
        環境庁自然保護
        局長      伊藤 卓雄君
        国土庁長官官房
        長       八木橋惇夫君
        国土庁長官官房
        会計課長    森   悠君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        法務省刑事局長 井嶋 一友君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省欧亜局長 兵藤 長雄君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省経済協力
        局長      川上 隆朗君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合
        局長      丹波  實君
        大蔵省主計局長 保田  博君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
        国税庁次長   福井 博夫君
        文部大臣官房長 坂元 弘直君
        文部省教育助成
        局長      菴谷 利夫君
        文部省高等教育
        局長      前畑 安宏君
        文部省学術国際
        局長      長谷川善一君
        文部省体育局長 野崎  弘君
        厚生大臣官房総
        務審議官    熊代 昭彦君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      長谷川慧重君
        厚生省保健医療
        局長      寺松  尚君
        厚生省児童家庭
        局長      土井  豊君
        厚生省年金局長 末次  彬君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房予算課長   山本  徹君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        農林水産省構造
        改善局長    片桐 久雄君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
        林野庁長官   小澤 普照君
        通商産業大臣官
        房商務流通審議
        官       坂本 吉弘君
        通商産業大臣官
        房審議官    横田 捷宏君
        通商産業省通商
        政策局長    畠山  襄君
        通商産業省貿易
        局長      堤  富男君
        通商産業省機械
        情報産業局長  山本 幸助君
        資源エネルギー
        庁長官     緒方謙二郎君
        運輸省運輸政策
        局長      中村  徹君
        運輸省国際運輸
        ・観光局長   寺嶋  潔君
        運輸省航空局長 宮本 春樹君
        海上保安庁次長 豊田  実君
        気象庁長官   立平 良三君
        郵政大臣官房経
        理部長     吉高 廣邦君
        郵政省電気通信
        局長      森本 哲夫君
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      佐藤 勝美君
        労働省職業安定
        局長      若林 之矩君
        建設大臣官房会
        計課長     小野 邦久君
        建設省都市局長 市川 一朗君
        建設省住宅局長 立石  真君
        自治大臣官房総
        務審議官    紀内 隆宏君
        自治大臣官房審
        議官      二橋 正弘君
        自治省行政局公
        務員部長    滝   実君
        自治省行政局選
        挙部長     吉田 弘正君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
        消防庁長官   木村  仁君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
委員の異動
二月六日
 辞任         補欠選任
  阿部 文男君     津島 雄二君
  内海 英男君     井奥 貞雄君
  越智 伊平君     光武  顕君
  加藤 紘一君     金子 一義君
  浜田 幸一君     狩野  勝君
  村田敬次郎君     山本  拓君
  吉井 英勝君     不破 哲三君
  中野 寛成君     米沢  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  井奥 貞雄君     内海 英男君
  狩野  勝君     浜田 幸一君
  金子 一義君     加藤 紘一君
  光武  顕君     越智 伊平君
  山本  拓君     村田敬次郎君
  不破 哲三君     辻  第一君
  米沢  隆君     中野 寛成君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成三年度一般会計予算
 平成三年度特別会計予算
 平成三年度政府関係機関予算
     ────◇─────
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渡部恒三#1
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。不破哲三君。
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不破哲三#2
○不破委員 私は、日本共産党を代表して、湾岸戦争の問題を中心に、総理、関係閣僚に質問したいと思います。
 まず最初に、一番緊急を要する自衛隊機の中東派遣の問題ですけれども、総理は、IOM、国際移住機構からの要請があってこれを考えたということを答弁されています。このIOMからの要請を総理が知ったのはいつのことでしょうか。
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海部俊樹#3
○海部内閣総理大臣 IOMから要請があったということは、十七日の日に、私は直接その要請の文書等を見て知りました。
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不破哲三#4
○不破委員 十七日の何時ごろですか。
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海部俊樹#5
○海部内閣総理大臣 一々それは記録しておりませんので、今私の記憶の中でお答えしておるわけでありまして、何時ごろということは具体的にちょっとお答えいたしかねます。わかりません。
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不破哲三#6
○不破委員 海部総理が自衛隊機の難民輸送問題での派遣について検討するということを記者会見で言ったのは、十七日の午前十一時四十分からの記者会見でした。ですから、私は疑問に思うのは、開戦の連絡があってから、それからIOMの会議があったわけですから、それから各国に対する要請が出されているわけですから、総理が記者会見で自衛隊機の派遣の問題について発言されたときには、恐らくまだIOMの要請なるものは見ていなかったのではないかと推測するので、あえて質問したわけです。
 それで、この要請は、もう御承知のように自衛隊機を出してくれという要請ではなしに、貴国政府が民間機または軍用機による輸送能力をIOMに提供する可能性について検討し、その結果を知らせてくれという要請でした。それで、私が政府のそういう行動を見てみますと、この輸送能力を提供する可能性について余りまじめに吟味した形跡がない。それで自衛隊機の派遣という結論だけが、ひょっとすると要請以前に問題になっている。そこに大変な疑問を持つわけです。
 それで、具体的に伺いたいのですが、まず、自衛隊機のC130を中東に送るということで検討を始めた。そのC130の部隊ですね、特に今派遣を予定されている機長の、機長といいますか自衛隊では、パイロットの部隊、この部隊は、南回り、今度問題になっているカイロまでの南回りの航路を飛んだ経験のある人が含まれていますか。防衛庁の方でお答え願いたい。
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畠山蕃#7
○畠山(蕃)政府委員 アメリカから飛んできた経験はございますけれども、南回りで飛んだ経験はございません。
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不破哲三#8
○不破委員 私は民間航空の国際線のベテランの機長にいろいろ聞いたのですけれども、アメリカまでの航路と南回りの航路は決定的に違う。
 第一にまず、飛行機が飛ぶ場合には、ATCといってステーションからの無線通信を聞き取るのが非常に大事です。これは全部英語でやられておりますけれども、アメリカへ行く空路はほとんど米軍関係ですから、日本で使っている米軍基地との交信で大体間に合う。ところが、南回りというのは御承知のように、例えば香港に行けばホンコン・イングリッシュ、あるいはバンコクに行けばその手の方言、インドへ行けばインドの方言、ともかく英語が聞き取りにくいというのでは有名なコースだそうです。それで、ベテランの民間機の機長でもこれを聞き取るまでになるのには大変な苦労が要るということを聞きました。これが第一。
 それから第二に、無線ステーションによる、地上からのステーションによる援護が非常に弱い。まずステーションの数が少ないわけですね。少ないわけですからどうしても遠距離の通信によらざるを得なくなる。そうしますと、VHFという超短波の受信が不可能になって、HFという短波の受信しかできなくなる。この短波の受信というのがまた大変技術的に難しいそうです。それからまた、この短波の受信をする場合に、普通の民間機は高度三万フィートを飛びますけれども、C130の高度は二万フィートで、一番受信しにくいところを通過せざるを得ない。
 それから、三番目に言いますと、気象が非常に不安定な地域ですけれども、気象情報自体もそういうステーションからの情報で聞くわけですから、ベテランの機長でも本当に通過するのには困難で、例えば米人のパイロットと一緒に飛んでいても、英語が聞こえない。これは何と英語言っているのだ、一体空港へおりろというサインが出ているのか、おりるなというサインが出ているのか、それの判定さえ困難だということを聞きました。
 そういう点で、一体今防衛庁が派遣を予定しているC130の部隊がそういう点で十分な準備を整えているのかどうか、その点について自信のあるほどを伺いたいのです。
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畠山蕃#9
○畠山(蕃)政府委員 そういうこともございますので、現在、調査員も先般派遣をいたしまして、いろいろと現地の方と実情を調査いたしておりますし、それから外交ルートを通じましてもその辺のところを把握に努めている、現在鋭意準備中という状況でございます。
 なお、参考のため申し上げますと、同じように韓国のC130は南回りで支障なく飛んでいったし、これからもまた飛ぶ予定であるというふうに聞いております。
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不破哲三#10
○不破委員 私は韓国の人たちの訓練の程度を聞いているのじゃないのです。日本の自衛隊がそういう経験があるかないかを聞いているのです。ちなみに民間の場合を見ますと、そういう新しい空路を飛ぶ場合には、まず日本でみっちり基礎的な知識を頭にたたき込んで、それから二人操縦体制で行って、ベテランの機長と新しい空路につく機長が二人でまず実地の飛行をする。それでベテランの機長の方がATCという無線関係を全部引き受けて、それで一遍往復してみて、それから帰ってきて初めて、帰って試験を受けて、チェックして合格したら飛び出せるというぐらいのことをやっているわけですね。ですから、いろいろな現地事情を調べていると言っていますけれども、そういうことが果たして、実際に乗っていく人にとっては大変かわいそうな目に遭わせるのじゃないかということが航空界で話題になっているということを私聞きましたので、あえて伺う次第です。
 それからもう一つ伺いたいのですけれども、それはC130という飛行機の装備の問題です。
 それで、御承知のようにこのC130という輸送機は、戦術輸送機でありまして、大体拠点間の近距離輸送を担当しているわけですね。ですから、いわゆる航法装備、航法というのは飛行機が飛ぶ、飛行の方法の航法ですが、航法装備についてはそういう近距離輸送の装備しか備えていないと聞いています。今、国際線を飛ぶ場合でも国内線を飛ぶ場合でも、航法装置としてはINSという慣性航法装置が問題になりますが、このC130は慣性航法装置を積んでいますか。積んでいるとすれば何台積んでいますか。
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関收#11
○関政府委員 先生御指摘のINS航法装置、装置をいたしております。台数は二台でございます。
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不破哲三#12
○不破委員 二台ですか。
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関收#13
○関政府委員 はい、二台です。
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不破哲三#14
○不破委員 このINSというのは、前の大韓航空機撃墜事件があったときに大変問題になった装置です。それで、コンピューターで飛行機を動かしていけるので大変便利なんですけれども、間違うときがある。ですから、間違わないときに予防態勢が大変なんですね。
 それで、運輸大臣に伺いますが、民間の国際線の場合には何台積んでいますか。
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宮本春樹#15
○宮本政府委員 お答えいたします。
 原則として二台と承知しております。
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不破哲三#16
○不破委員 それはちょっと常識がなさ過ぎますよ。このINSというのは、例えば一台狂うと、しかし二台があって一台狂ったら、どっちが狂ってるか判定がつかないのです。Aという答えとBという答えが出て、Aが正しいのかBが正しいのか判定がつかないのです。だから三台積むのが現在の原則なんですよ。あの撃墜された大韓航空機だって三台積んでいました。それで、三台積んで、一台狂った場合に二台正確なものがあれば多数決で決めるというのが慣性航法装置の原則なんですね。ですから、今の日本航空にしても全日空にしても、全部三台積んでいて、私が機長に聞いたところだと、一台故障しても絶対に搭乗しない、これはもう答えが出なくなるからだ、航路を失うからだということを言っていました。それで、軍用機でも戦略輸送機のギャラクシーはちゃんと三台積んでいるわけですね。それを、つまりそういう点でも、そういう海を渡っての国際航空にたえ得る条件を持っていない飛行機がC130なんだということを心得てこの計画に当たられているのかどうか、そのことを伺いたいのです。
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海部俊樹#17
○海部内閣総理大臣 今御議論を聞いておりまして、私がまずお答えしなきゃならぬと思ったことは、そういう長い距離を飛ぶということ、特に南回りを飛ぶということは、それはおっしゃるように、C130の輸送機よりも民間航空の方が経験もあり、すぐれており、能力もあることは、これは当然のことだと考えております。同時に、輸送する人員についても非常に多いわけでありますから、具体的な要請を受けたときも直ちに民間航空にまずお願いをいたしました。今回のIOMからの要請の第一回のベトナムに対する難民の移送の問題は、民間航空が、カイロまでの輸送を引き受けてもらいましたから、カイロまで民間航空が飛び、そして運んだことは御承知のとおりであります。
 また、私が当初申し上げましたことは、IOMの方からも民間もしくは軍用機で提供できる用意があるか、その可能性について検討してほしいという要請でありますから、私は、避難民の輸送というのはこれは日本の憲法下でできる範囲のものであると考えて、その可能性について検討を始めたわけであります。そうして例示として示されたことは、カイロまでの間、例えばアンマンから、あるいは例えばダマスカスから、あの周辺に今度の湾岸の紛争を通じてイラクによる行為によって出てくる避難民がおったときは移送してほしいということでありますから、私は、長距離の場合と短距離の拠点輸送の場合等、いろいろ具体的な要請が来た場合にはあるなということが例示的に示された問題にもあるわけでありますから、そこでそのようなことを検討を始め、態度を決めたわけでありますから、あくまで長距離で、そして太平洋上の問題とか、大量輸送することが避難民にとってもこれは適切なわけでありますから、そのような対応をしていくわけであります。
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不破哲三#18
○不破委員 今首相は現地の事情についてIOMとの接触のことを言われましたが、そういう構想を立てられたからには、やはり現地と緊密な連絡をとって、ヨルダン政府やIOMのアンマン事務所ですね、とられていたのでしょうね。その質問です。
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海部俊樹#19
○海部内閣総理大臣 IOMからはそういう要請を受けて、民間機、軍用機、要請した場合に対応できるかというあれが来ましたから、例示としてそういうようなことで、だってあの地域でイラクがクウェートに対して侵略、併合して、そこから出る気の毒な避難民の人でありますから、それ以外の遠いところから出ることは、これは常識的に考えて想定いたしませんから、それを頭に描いたということはごく常識的なことだと思います。
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不破哲三#20
○不破委員 首相が頭に描いたときに、それをすぐ現地のアンマンの大使館に連絡して現地事情を調べるということはされなかったのですか。
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海部俊樹#21
○海部内閣総理大臣 それは、具体的な要請があったら、個々別々の具体的な要請があればそれに続いてするというのが、これは私どもの考えであって、だからIOMから続いて、たしか二十一日であったと私は記憶しておりますが、具体的にベトナムの避難民、カイロまで行ったら日本が輸送してくれるかという具体的な要請がありましたから、それは直ちに日本航空、全日空にお伝えして協力を要請して、困難な中から協力を受けて、四機派遣をして実施をした、こういうことでありますから、具体的にそれが来れば当然具体の対応をしますが、具体的な要請が来ないということは、いつ、どこで、何人程度、どのような需要が起こるかということは、はっきり言って未確定なことですから、確定されたときに具体的に対応するのが政府の立場であります。
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不破哲三#22
○不破委員 私、この問題が起きてからずっと、新聞もう一遍繰ってみたのですけれども、新聞報道で政府がアンマン―カイロ間にC130を飛ばしてピストン輸送をするという構想が政府の中で浮上したと報道されたのは、一月十七日の朝刊なんですね、政府筋からの話として。それで、私たちはすぐ「赤旗」の特派員をヨルダンのアンマンとカイロに派遣しまして、アンマンには二十日に着きました。それで、ちょっと驚いたことがあるのですが、大使館に連絡してみましたら、これは二十八日の時点ですけれども、もう日本の政府の方は政令の準備を進めているという段階ですが、問い合わせてみたら、この件は東京から一方的に伝えられてきたもので、自分たちは困惑している、それで、アンマン―カイロ間を政府が飛ばせるという構想を持っているという決定を我々は現地の新聞で知った、そして、だから、そういうことはわからぬから自民党に聞いてくれ、東京で、という説明が大使館から電話であったということを伺いました。ちょっと私たち自身驚いたわけですね。
 それから、私たちの特派員は、二十日にアンマンに到着してすぐ、二十二日、二十四日、二十六日と、IOMの事務所に毎日行って連絡をして事情をつかんだわけですけれども、それで、IOMの事務所でわかったことは、ともかくアンマン―カイロ間を飛行機で飛ぶとしたら、これは民間機の方が安全で、その方がいいというのは責任者の一致した結論でした。これはカイロの方は、責任者がカイロの場合には、軍用機の使用は差し支えないという点で非常に軍用機に寛容なんですけれども、しかしヨルダンはだめだよというのがカイロの責任者の話でした、軍用機は危険だと。
 それで、そのときにIOMのアンマン事務局で聞いてみても、日本の大使館の代表がこのことで来たのが二月二十四日だと言うのですね。二月二十四日に軍用機がいいだろうか……(海部内閣総理大臣「まだ二月二十四日は来てませんよ、正確に言ってください」と呼ぶ)失礼、一月二十四日です。あなたも時々間違えるじゃないの。一月二十四日にこの問題で初めて来て、軍用機がいいか民用機がいいかということを聞きに来た。それで私は、人道上の問題で、本当に現地の事情からいってどういう手段が適切かということをまず考えるのが人道問題といったら先であって、それだったら、当然ヨルダンに大使館もあるわけですから、それからIOMとも接触をして、実際にどうなっているか、実際には全部アジア系の難民は、バスで来て、船で渡ってエジプトへ入ってカイロへ行くというコースをとっているわけですね。大体交通時間十四時間ぐらいです、我々の代表が走ってみたら。そういうコースをとっている。全部こなしている。そういう事情を全部つかんだ上で決めるべきものがこういう計画であると思うのだが、実際には現地のそういう日本の代表部等を通じての事情をつかむ手だても講じられないまま、この計画だけがひとり走っているというように、この経過から見て判断せざるを得ないわけですね。この点は一体どうなんでしょう。
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海部俊樹#23
○海部内閣総理大臣 出先の大使館のやりとり等については担当局長から答弁させますが、私が基本的なことを申し上げますのは、日本はできる限りのことはしよう、そしてできる限りのことをするためには、前回の国会のやりとり等もあり、国際機関から要請を受けた場合に、日本で許されることはやろう、できるだけの努力はしよう、こういう対応を決めるわけでありますから、一々どこで何がどれくらい起こるかということは、正直言ってよくわからない状況だから、国際機関を中心に、国際機関が判断をして、これは必要だ、そしてこれはこのようなことが依頼ができるという可能性を持ったならば、国際機関の判断で具体的な要請が出るわけです。来てからまたイロハのイから考えておるのでは、こういったことに対してはツーレート・ツースモールという御批判がいろいろなところから出るが、そういったことはできるだけ避けていこう、対応と準備だけは、日本でできることは、日本の腹構えはきちっと決めたいということで対処しておるわけでありますから、具体的な要請があるときには要請にこたえられるような措置をしておるというふうに御理解いただきたいし、また第一の要請に対しては、民間航空でカイロからベトナムまで率先して応じたということでございます。
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不破哲三#24
○不破委員 第一の要請についての対応は、別に我々異を唱えているわけではない、評価しているのです。
 それで、問題はカイロ―アンマン間なんですけれども、今の御返事から承って、カイロ―アンマン間の輸送について、自衛隊機の派遣という問題が国際機関から要請がない限り、これは発効しないんだというふうに理解していいんですね。
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海部俊樹#25
○海部内閣総理大臣 必要がなければ要請がないでしょうし、要請がないところへ出ていくことは考えておりません。必要なときにお役に立とうということです。
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不破哲三#26
○不破委員 これは大事な点なんです。国際機関から自衛隊機の派遣の要請がない限り出さないということが確認されたので、私は次に進みたいと思います。
 それで、総理は今、要請があってからばたばたしたら大変だ、今から用意しておくんだというので言われましたが、現実には、今ヨルダン事情を調べてみますと、現地から私のところに刻々情報来ますけれども、大体全部難民は順次こなされているという報告ですから、今すぐそういうことはないと思うのですね。それで、その要請が将来来た場合に備えるといって政府がやったのが政令による自衛隊機の派遣という措置でした。それで、このことに関しては、憲法にかかわる重大問題だということで、この予算委員会でも随分議論がありました。
 憲法にかかわるという場合、二つの問題があります。それは何といっても、戦争の周辺地域に自衛隊機を送る。これは単なる飛行機が二機、四機、五機と行くだけじゃなしに、それに伴って送られる部隊が聞くところによりますと二百名というのですから、要するに二百名という自衛隊の大部隊が戦争周辺地域に送られる。これは去年は国連平和協力法案の中に一項目入っていた問題で、それが否決された段階で、廃案になった段階であえてやろうというわけですから、内容的に重大な憲法違反の問題がある。これが一つです。
 それで、二つ目の問題は、その内容的に重大な問題を一片の政令、つまり政府の決定でやろうとする問題ですね。これについてもずっと議論がありましたので、私、できるだけダブりを避けて、少し整理をしていきたいと思うのですけれども、この予算委員会でも随分過去の政府答弁ということが問題になりました。ただその中で、過去の政府答弁といってもいろいろ種類があります。一番重いのは例の百条の五ですね、自衛隊法の。百条の五が制定されたときの国会で政府がどういう答弁をしているかということが私は一番問題になると思うのです。
 それで、これは一九八六年十月から十二月にかけて衆参両院で議論をされているわけですけれども、そのときに各党の質問に対して政府が、この条項はこの範囲で解釈されるものだから採択をしてもらいたいということを説明しているわけですね。その説明の中に、これは何遍も言われていますから余り詳しくは繰り返しませんけれども、そうむやみにこの範囲を拡大することはないという言明がある。それから、具体的に、イラン・イラク戦争のときの在外邦人の救出のことが具体的な問題になって、そういうことを自衛隊が任務としてやる場合には明確な法改正が必要だということを、つまりこの百条の五を制定した国会で答弁している。だから、そういう条件でこの百条の五というのは国会を通過しているわけですね。だから、その条件の枠を越えたことを政府がやるとすれば、これはいわば国会がだまし討ちされたことになる。つまりこの法改定は、こういう内容でこれ以上の限度はないんですよということを繰り返し繰り返し言明した上で通過したものですから、それが非常に大事な点だと思うのですね。しかも、その点で、その国会答弁の直後に、政府は政令なるものを定めて、ここで言われている政令で、自衛隊法で「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」についての政令を決めていますね。
 その政令で「その他」を含めて決めた内容は何なのかということを、これは法制局長官ですか、伺いたいのですが。
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工藤敦夫#27
○工藤政府委員 お答えいたします。
 現在、ただいま御指摘の自衛隊法の施行令で定められておりますものでございますが、自衛隊法の百条の五第一項に基づきます政令としまして、自衛隊法施行令の百二十六条の十六がございます。ここで掲げてございますのは、現時点においては一号から五号まででございます。
 私の記憶いたしますところ、ちょっと時点がはっきりいたしませんが、この自衛隊法の改正が行われましたとき、そのときに制定されましたものは、たしか「国賓に準ずる賓客」以下四号だったと存じます。それ以後、一度改正をいたしまして、第一号として「天皇及び皇族」を追加したことがある。この結果、現在一号から五号までになっている、かように……(不破委員「読んでくれませんか、一号から五号までを」と呼ぶ)第一号が「天皇及び皇族」、第二号「国賓に準ずる賓客」、第三号「衆議院議長及び参議院議長」、第四号「最高裁判所長官」、第五号「内閣総理大臣又は前二号に掲げる者に準ずる者」、こういうことでございます。
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不破哲三#28
○不破委員 首相はこの条項を素直に読んでくれと言いますけれども、議事録を含めて素直に読んでみると、この百条の五が制定されたときに、政府側はむやみに拡大解釈しないんだと言い、それから在外邦人の救出なんかは法改正が必要なんだと言い、そういう考え方で政令は既に定めてあるわけですよね。政令が決まってなくて、任意に放置されていて、海部さんがたまたま見つけて、それで新しくつくればいいというものじゃなくて、既に政令は定めてあるわけですね、これは。いわばその点では解決済みの問題なんですよ。しかも、そのときの、この法律を定めたときの国会の、それを前提にして国会が承認した政府解釈によれば、邦人救出のようなものは、これには入っていない、そうは読めない、それをやるときには新たな自衛隊法の改正が必要だ、そういうことまで政府が約束をしているわけですから、それが国会との間に、立法府である国会と行政府である政府との間に成り立っている合意なんですね。その合意が踏みにじられるとしたら、国会の大問題になるんですよ。だから、単に過去の政府答弁との整合性云々という問題じゃないのです。そういう合意のもとに承認した法律を後から政府が勝手に解釈をして、政府の独断的な政令を出して、何でもそれにつけられるということになったならば、これは法治国家の根本が問われるし、国会の根本が問われる、こういう問題だと思いますが、総理、いかがですか。
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海部俊樹#29
○海部内閣総理大臣 昨日来御議論のたびに私は自衛隊法の第百条の五というのを私なりに素直に読んで、「内閣総理大臣その他政令で定める者」、その「輸送を行うことができる。」こう書いてあるわけです。それの解釈について、一体制限列挙なのか例示列挙なのか、それは例示列挙だからという御意見が随分ございました。それなれば、この法律をつくるときに、どうして「その他政令で定める者」という書き方がなされておるのか。事態は刻々変われば、それについて政府が責任において政令で定めなきゃならぬ状態も起こるのではないか。それも認めない、許さないとおっしゃるならば、この百条の五のときに、「その他」この範囲とこの類型を超えないものを定めることができるとか、これは制限列挙の規定の法律にされるべきではなかったのではないか。私は、法律の解釈というのは、あくまでそこに出ておることを素直に皆が読んで、そこに書いてあることを行う。だから、「政令で定める者」というものは、書いてなければ、制限列挙であれば、私はそれはそうだと申し上げます。けれども、制限列挙でないわけですから、そういった状況を踏まえて、政府の責任で政令をきちっとつくらせていただくことは、この法に基づいて、法で、「政令で定める」となっているのだから定めた、こう素直に受けとめて御報告を申し上げ続けておるということです。
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